用語解説
用語「エアフィルタ」は、フィルタ支持体によって支持されている本明細書に記載のポリマー収着剤が、ガス状物質を空気から除去できるように、空気、例えば移動空気の流れに暴露される、任意の装置(apparatus又はdevice)を指す。用語「フィルタ支持体」は、収着剤粒子を保持することができ、収着剤粒子を、例えば、移動空気(moving air)の流れに暴露することができるが、移動空気からの微細粒子のいずれの濾過も必ずしも実施しない任意の構造体を指す。用語「濾材」は、それ自体が微細粒子を濾過することができるフィルタ支持体を指す。「微細」粒子は、平均直径(又は非球状粒子の場合は相当直径)が100ミクロン未満の粒子である。「微」粒子は、平均直径又は相当直径が10ミクロン未満の粒子である。
用語「ポリマー収着剤」及び「多孔質ポリマー収着剤」は同じ意味で用いられ、多孔質であり、例えば、アルデヒドなどのガス状物質を収着できるポリマー材料を指す。ポリマー収着剤などの多孔質材料は、例えばこれらの細孔のサイズに基づいて特徴付けることができる。用語「ミクロ細孔」は、2ナノメートル未満の直径を有する細孔を指す。用語「メソ細孔」は、2〜50ナノメートルの範囲の直径を有する細孔を指す。用語「マクロ細孔」は、50ナノメートル超の直径を有する細孔を指す。
用語「上流」は、フィルタが移動空気に暴露される状況に用いることができ、移動空気がフィルタに遭遇する方向を指し、「下流」は、濾過された空気がフィルタから流出する方向を指す。
用語「ネット」は、中実材料、例えばフィラメントの比較的少ない層(5つ以下、多くの場合1つ)から構成されるフィルタ支持体を指す。
用語「繊維ウェブ」は、繊維の多数の層(例えば、5つ超)から構成されるフィルタ支持体を指す。
用語「メルトブローン」は、溶融ポリマー流を、押出オリフィスにごく近接して配置された吹き出しオリフィスを介して導入された、収束する高速空気流中に押出成形することによって形成される繊維(及びその結果得られる繊維ウェブ)を指す。当業者であれば、メルトブローン繊維及びウェブが、このような繊維及びウェブを同定し、また、他の種類のウェブと識別することが可能な特色及び特徴(例えば、複屈折などの光学的性質、融解挙動などによって明らかとなるような、繊維を構成する材料の分子の配向の違いなど)を、特徴的に呈することを理解するであろう。
図1の一般的な図に示すように、エアフィルタ1を開示する。エアフィルタ1は、本明細書に開示のポリマー収着剤粒子100を、ガス状物質、例えばホルムアルデヒドなどのアルデヒドを空気から除去できるように、空気、例えば移動空気の流れ(空気流の全体的な方向は、図1及び他の図において、ブロック矢印によって示す。)に暴露させる任意の装置(apparatus又はdevice)である。
エアフィルタ1は、少なくとも1つのフィルタ支持体10を備える。フィルタ支持体10は、空気が移動している場合、移動空気によって収着剤粒子100が脱落されないように収着剤粒子100を保持しながら、収着剤粒子100を空気に暴露させるように支持する、任意の構造体とすることができる。空気が移動している場合、空気は、層流中又は乱流中に個々の収着剤粒子に遭遇する場合があるか、又は、例えば、収着剤粒子の集合を通過する流動様式の間を遷移する場合がある。1つの一般的な種類の実施形態において、フィルタ支持体10は、図1の一般的な図に示すように、収着剤粒子100が上に提供され(例えば、その主表面に付着され)、例えば空気の移動流が横断し得る、基材の形態をとる場合がある。この種のいくつかの実施形態において、フィルタ支持体10は、収着剤粒子100を、例えばフィルタ支持体に付着された(例えば、接着剤結合された)収着剤粒子として、保持する場合がある。別の一般的な種類の実施形態において、フィルタ支持体10は、例えば図2の一般的な図に示すように、収着剤粒子をフィルタ支持体内に機械的に保持することによって、収着剤粒子100を保持する場合がある。(換言すれば、このような実施形態において、収着剤粒子は必ずしもフィルタ支持体に付着されていなくてよいが、フィルタ支持体は、収着剤粒子がフィルタ支持体から脱落及び除去されるのを物理的に阻止することができる。)いくつかの実施形態において、収着剤粒子のフィルタ支持体への機械的保持と、付着(例えば結合)との組み合わせを用いる場合がある。
いくつかの実施形態において、エアフィルタ1は、収着剤粒子100を有するフィルタ支持体10であり得る(例えば、本質的にフィルタ支持体10からなり得る)(例えば、このようなフィルタ支持体の自立部品(freestanding piece)を、例えば室内空気清浄器内に取り付けることができる。)。他の実施形態において、エアフィルタ1は、任意の目的のため、所望により、(少なくとも1つのフィルタ支持体10に加え)他の層を備える場合があり、かつ/又は、例えば、周囲フレーム、1つ以上の補強部材若しくは安定化部材、1つ以上のハウジング部品などの任意の他の補助的な構成要素を更に備える場合がある。様々な特定の例示的な実施形態及び配列を、本明細書において後に詳述する。
図1について説明したように、いくつかの実施形態において、フィルタ支持体は、主表面上に収着剤粒子100が配置されている、例えば付着されている基材(非通気性又は通気性であり得る基材)の形態をとる場合がある。この種のエアフィルタは、例えば、収着剤粒子を保持する平面基材であって、吸着材粒子は平面基材の主表面に付着された平面基材、収着剤粒子がその内表面に付着された中空管、又は、収着剤粒子が流動チャネルの内表面に付着された積層若しくは入れ子の微細構造化基材によって提供される流動チャネルの配列(例えば、Insleyへの米国特許第7955570号に記載の一般的な種類のもの)などを備える場合がある。いくつかの実施形態において、収着剤粒子100は、例えば任意の工業規模の堆積プロセスにおいて統計学的に生じ得るような副次的な積層を除き、少なくとも実質的に単層として(例えば図1に示すように)、基材の表面上に提供することができる。
図2に関しては、フィルタ支持体という用語は、収着剤粒子100を内部に保持するように設計され、容器の内部13に空気を入れるための少なくとも1つの空気吸入口11と、処理された空気を容器から排出させるための少なくとも1つの空気排出口12とを含む、任意の容器を広範に包含する。この一般的な種類のこのような支持体は、収着剤粒子100が、例えば1つ以上の射出成形されたハウジング部品から作製されたカートリッジハウジング内に保持されている、公知のフィルタカートリッジを含む場合がある。このようなフィルタカートリッジには、単一の空気吸入口及び/若しくは空気排出口が設けられる場合があるか、又は、フィルタカートリッジハウジング内に多数の貫通孔(through−apertures)が設けられ、空気吸入口若しくは空気排出口が集合的に設けられる場合がある。このような貫通孔は、収着剤粒子が貫通孔を通過するのを防止するのに適切なサイズであってもよく、かつ/又は、いくつかの実施形態において、収着剤粒子をカートリッジハウジング内に確実に保持するため、通気性保護層(例えば、スクリーン又はメッシュ)を設ける場合がある。いくつかの実施形態において、フィルタ支持体は、図1の設計のように、収着剤粒子に近接した(例えば、支持及び保持する)支持体の位置において、非通気性である場合がある(例えば、貫通孔を含まない場合がある。)。他の実施形態において、フィルタ支持体は、図2の設計のように、収着剤粒子に近接した支持体の位置において、通気性であり得る(例えば、1つ以上の貫通孔を含み得る)。いくつかの実施形態において、容器の形態のフィルタ支持体(例えば、フィルタカートリッジ)は、例えば、共に組み立てられ、空気吸入口(複数可)及び空気排出口(複数可)を除き、非通気性であり得る、1つ以上の射出成形されたハウジング部品から構成される場合がある。このようなハウジング部品は、例えば、ポリアミド、ポリスチレン、ABSポリマー、ポリオレフィンなどから選択される熱可塑性若しくは熱硬化性ポリマー又はコポリマーから、好都合に作製することができる。このような容器はまた、例えば、1つ以上の弾性ガスケット、ラッチ、スプラッシュガード、コネクタ(例えば、カートリッジを、例えば個人用呼吸保護装置に連結するために必要な場合)などの補助的な構成要素を含む場合がある。
(例えば図2のように)容器の形態であるフィルタ支持体10は、例えば射出成形部品から作製された剛性カートリッジの形態をとる必要は、必ずしもないことを強調しておく。むしろ、いくつかの実施形態において、このような容器は、例えば、2つの通気性の「壁」の形態をとることがあり、「壁」のうち少なくとも1つは比較的可撓性の材料(例えば、繊維ウェブ、穿孔又は微細孔可撓性ポリマーフィルムなどの多孔質基材)から作製され、収着剤粒子がこれら2つの壁の間に挟持されている。このような容器(概してフィルタ「カートリッジ」とも呼ばれる。)は、例えばパウチ又はサシェの形態をとる場合がある。
更に、フィルタ支持体という用語はまた、その上又は内部に収着剤粒子100が配置されている、任意の多孔質の通気性材料を広範に包含する。(多孔質の通気性材料は、例えば独立気泡発泡体とは区別されるように、空気流が材料を通過できるように相互連結された内部多孔性(internal porosity)を有する材料を意味する。)このような材料は、例えば任意の好適な種類の連続気泡発泡体材料であってもよいか、又は、このような材料は、微多孔膜、例えば、転相膜(phase−inversion membrane)、トラックエッチ膜(例えば、Whatmanより商標名NUCLEPOREで入手可能な様々な製品によって例示される種類のもの)、若しくは、伸長膨張した膜(例えば、W.L Gore and Associatesより商標名GORE−TEXで入手可能な様々な製品及びCelgard corporationより商標名CELGARDで入手可能な様々な製品によって例示される種類のもの)であってもよい。この一般的な種類のフィルタ支持体10は、例えば、上記のように、これらの間に空間を画定するように対で用いられることに限定されるものではないことが理解されよう。使用の特定の態様に関わらず、このようなフィルタ支持体10は、いくつかの実施形態において、主平面を呈し、約8、5、3、又は1mm未満の厚さを呈し、少なくともシート状材料の主平面に少なくともほぼ垂直な方向に空気流がフィルタ支持体を通過できるように構成されているシート状材料の形態をとる場合がある。
上記の説明から、本明細書に開示のフィルタ支持体は、収着剤粒子を空気、例えば移動空気の流れに暴露することができる、任意の形態又は幾何学的形状(及び、例えば、無孔質基材、通気性ネット、若しくは多孔質発泡体などの単一体からなるもの、又は、フィルタカートリッジを集合的に形成する部品の、組み立てられた組み合わせから作製されたもの)で、任意の材料又は配列を、広範に包含することが理解されよう。いくつかの実施形態において、フィルタ支持体は、移動空気が、例えば、収着剤粒子を保持する支持体の主表面に少なくともほぼ平行に流動し得るように(例えば、図1の配列のように)構成することができる。いくつかの実施形態において、移動空気は、支持体の主表面に少なくともほぼ垂直に流動し得る(例えば、図2の配列のように)。いくつかの実施形態において、移動空気は、これら2つの両極端の中間の方向に流動し得る。いくつかの実施形態において、両方向及び/又はこれら2つの両極端の中間の方向の空気流が、例えばエアフィルタの異なる部分に生じ得る。
図3に例示的に示した一般的な種類の実施形態において、エアフィルタ1は、「ハニカム」15の形態のフィルタ支持体10を備える場合がある。当業者であれば、ハニカムを、空気流を通過させることができる多数の肉眼で見える貫通孔を含み、開口(apertures)が、ハニカム構造の隔壁(壁)によって互いに分離されている、流動支持構造体として認識するであろう。(ここでは便宜上、ハニカムという用語を用いているが、当業者であれば、構造体が任意の形状(例えば、正方形、三角形、円形などの開口を有する。)のものであってもよく、図3の例示的な設計に示した正六角形状に厳密に限定されるものではなく、若干不規則な外観を呈し得ることを理解するであろう。)このようなハニカムは、かなり大きい直径又は相当直径(例えば10〜15mm)の貫通孔を含む場合が多く、例えばわずか数mm以下の直径又は相当直径の流動チャネルを含む場合が多い上記の積層微細構造化基材とは対照的である。ハニカムの壁は、例えば、成形又は押出成形されたプラスチック、板紙又は厚紙、金属などの任意の好適な材料から作製することができる。
いくつかの実施形態において、収着剤粒子がハニカムの開口を画定する内壁に付着される場合がある。しかしながら、いくつかの実施形態において、図3のように、ハニカムの開口に収着剤粒子を部分的又は少なくとも実質的に充填する(例えば、収着剤粒子の平均粒度、粒度分布、及び形状に応じ、充填挙動により許容される程度に)のが好都合な場合がある。このような場合、ハニカムには、ハニカムの貫通孔に空気流を流入及び排出させ、かつ更にハニカムの貫通孔内に収着剤粒子を保持する、上流及び下流の通気性基材(例えば、好適なメッシュ又はスクリーン)を設けることができる。(図3の例示的なハニカムにおける空気流の方向は、円/点矢印で示すように、平面外である。)いくつかの実施形態において、収着剤粒子は、例えば粒子がわずかに動ける又は移動できるように、開口内にゆるく充填してもよい。他の実施形態において、例えば、開口内での粒子の移動又は沈降を最小限に抑えるように、収着剤粒子を相互に結合してもよい(例えば、ガス状物質を捕集する粒子の能力に影響を及ぼすような、粒子を許容できないほど閉塞させる量ではなく、粒子が接触点で互いに結合するのに十分な量で、接着剤、熱活性化結合剤などを用いることによる。)。換言すれば、いくつかの実施形態において(必ずしもハニカムでの使用に限定されるものではなく)、収着剤粒子100は、個々の粒子として提供されるのではなく、共に結合された粒子の集合体によって集合的に提供される、一体構造の通気性ブロック(任意の所望のサイズ及び形状のもの)の形態で提供される場合がある。このような一体構造を製造する例示的な方法(この場合もやはり、任意の所望のエアフィルタに組み込む、例えば、カートリッジ若しくはキャニスタなどの容器に嵌合するために、又は、例えば呼吸マスクの層を形成するために、任意の好適なサイズ及び形状を有し得る)は、例えばBraunへの米国特許第5033465号に説明されている。収着剤粒子同士を結合し、特に、少なくとも半可撓性である(したがって、例えば、可撓性呼吸マスクでの使用に特に好適であり得る)構造体を製造する方法は、例えばSenkusへの米国特許第6391429号に説明されている。
当業者であれば、いくつかの上記の実施形態の間(例えば、収着剤粒子が中空管内に提供されたものと、積層微細構造化基材によって画定されたチャネル内に提供されたものと、ハニカムの開口内に提供されたものとの間)に、確固とした境界線は必ずしも存在し得ないことを理解するであろう。このような設計及び配列、並びにこれらの組み合わせの全てが、本明細書に開示の、1つ以上のフィルタ支持体を有するエアフィルタの一般的な概念の範囲内に包含される。なお、いくつかの実施形態において、本明細書に開示のエアフィルタ1は、例えば充填層を形成するように、任意の好適な容器(例えば剛性又は少なくとも半可撓性である、任意の幾何学的形態でかつ任意の材料から作製されたもの)の内部に部分的に充填された、又は、少なくとも実質的に充填された収着剤粒子を有し得ることに、特に留意されたい。いくつかの実施形態において、このような容器は、中空管、例えば、Draeger管と呼ばれることが多いガス検知管に類似した管の形態をとる場合がある。
いくつかの実施形態において、フィルタ支持体10は、図4の例示的な一般的な図に示すように、空気流を通過させる多数の貫通孔22を有する薄いシート状材料を含む場合がある。様々な実施形態において、フィルタ支持体10は、任意の好適なネット、メッシュ、スクリーン、スクリム、織布又は編物材料、溶融紡糸材料、微細孔フィルムなどの形態をとる場合がある。ネットという用語は、フィラメント(又は、概して、貫通開口の間の中実材料の層)の比較的少ない層(5つ以下、多くの場合、図4のように単層)から構成される、任意のこのような材料を記述する際、便宜上本明細書において用いられる。多くの場合、このようなフィラメント(又はシート状フィルタ支持体材料、例えば微細孔フィルムの中実部分)は、直径又は相当直径が比較的大きい(例えば、0.1、0.2、又は0.5mm以上)。このようなネットは、任意の好適な材料、例えば有機ポリマー、無機材料(例えば、ガラス又はセラミック)、又は金属若しくは合金から構成され得る。
このような実施形態において、空気流は、主として、ネットの中実部分21(例えばフィラメント)の間の貫通孔22を通して発生し得る。その結果、空気流は、支持体に少なくともほぼ垂直に方向付けられるが、所望により、空気流はネットに少なくともほぼ平行に発生する場合がある。ネットを通過するほぼ垂直な空気流の場合、収着剤粒子を、(図4のように)ネットの上流側23に配置するのが好都合な場合がある。しかしながら、所望により、収着剤粒子を、ネットの下流側24に配置してもよい。特定の実施形態において、収着剤粒子をネットの両側に配置してもよい。いくつかの実施形態において、図1及び4の例示的な実施形態におけるように、収着剤粒子を有するネット(又は、概して、任意の十分に通気性の基材)が、「開放面」として用いられる場合がある。他の実施形態において、十分に通気性である二次保持層(例えば、ネットの第2の層、又は繊維ウェブの層、微多孔性膜など)を収着剤粒子の上に配置し、収着剤粒子を適所に保持するのを補助してもよい。(換言すれば、収着剤粒子は、ネットと二次保持層との間に挟持されている場合がある。)
多くの実施形態において、収着剤粒子100は、例えば、ネットの一方の少なくとも1つの主表面上に提供された接着剤、例えば感圧接着剤、ホットメルト接着剤、エポキシ接着剤など28を介し、ネットの中実材料(例えば、フィラメント)に結合、例えば接着剤結合され得る。収着剤粒子はそれぞれ、例えば単一のフィラメントに結合され得るか、又は、複数のフィラメントに結合され得る。フィラメントの平均直径、及びフィラメントの間の貫通孔の平均サイズは、所望により、収着剤粒子の平均粒度を考慮して選択することができる。様々な実施形態において、このようなネットは、例えば0.2mm〜約2.0mmの範囲の平均フィラメント径を呈し得る。様々な実施形態において、ネットの開口部は、例えば、最短寸法約0.5mm〜最長寸法約5mmの範囲であり得、収着剤の粒度を考慮して選択され得る。具体例としては、約1〜2mmの範囲の開口部を有するネットは、8×20メッシュの範囲の粒度を呈する収着剤との使用に非常に好適であり得る。本明細書に開示の使用に好適であり得る例示的なネットとしては、Delstar Technologiesより入手可能な様々な製品、例えば、商標名KX215P、R0412−10PR、RB0404−10P、N02014−90PP、RB0404−28P、N03011−90PP、及びTK16−SBSHで入手可能な製品が挙げられる。
特定の実施形態において、好適な感圧接着剤28がネットの主表面上に提供される場合がある(換言すれば、感圧接着剤は、ネットのその主表面を集合的に提供するフィラメントの表面上に提供される場合がある。)。これは、例えば、感圧接着剤前駆体をネット上にコーティングした後、前駆体を感圧接着剤に変換することによって実施され得る。前駆体は、例えば、有機溶媒(複数可)中の溶液、エマルジョン、ホットメルト組成物などであり得る。このような前駆体は、例えば、乾燥によって溶媒及び/又は水を除去することにより、冷却してホットメルト組成物を固化させることによるなどして、変換することができる。堆積及び変換は、(フィルタの通常使用において空気流がネットを通過しないことになっている場合を除き)ネットの貫通孔の許容できない充填又は目詰まりを回避するように実施しなくてはならない。
いくつかの実施形態において、ネット上に配置されている粒子は、(例えば機械的な絡み合いによってではなく)主として、例えば接着剤結合によってネットに付着され得ることが理解されよう。いくつかの実施形態において、収着剤粒子は、少なくとも実質的に単層の形態で、フィルタ支持体上に存在し得る。他の実施形態において、収着剤粒子は、多層(例えば、収着剤粒子の第1層をネットの主表面に接着剤結合し、追加の接着剤を収着剤粒子の第1層の上に適用し、より多くの収着剤粒子を堆積させ、このプロセスを繰り返し、任意の所望の深さの収着剤粒子の集合を構築することによって作製される。)に存在し得る。
いくつかの実施形態において、フィルタ支持体10は、図5の例示的な実施形態に示すように、多くの場合互いに絡み合い、多くの場合多数の「層」(例えば、5層超)に存在する多数の繊維から構成されるシート状材料を含む場合がある。繊維ウェブという用語は、任意のこのような材料を記述する際、便宜上本明細書において用いられる。当然のことながら、多くのこのような繊維ウェブのランダム性のため、繊維は、必ずしも、また、多くの場合、個別の層(例えば、互いから剥離することができる層)には存在し得ないことが理解されよう。しかしながら、これは、このようなウェブの厚さ(深さ)を、(図5のように)ウェブの第1の主表面43からウェブの第2の主表面44に通過する際、例えば5つ以上の別個の繊維又は繊維の区画に遭遇すれば、容易に明らかとなろう。このような繊維配列を呈する任意の材料は、本明細書で用いられる繊維ウェブの定義の中に入る。
このような繊維は、直径又は相当直径が比較的小さい(例えば、100、80、60、40、20、10、5、又は2μm未満)場合が多い。当然のことながら、様々な直径の繊維の混合物を用いてもよい。このような繊維ウェブは、任意の好適な種類のウェブ、例えば、繊維が比較的ランダムに配列されている不織布ウェブであり得る(例えば、カードウェブ及び特定の種類の繊維堆積方法において発生し得るような、部分量の繊維配列は除く。)。あるいは、このような繊維ウェブは、繊維が十分な数の層で提供されている、編物又は織布ウェブから構成される場合がある。典型的には、空気は、ウェブの多数の繊維の間の間隙空間を通過することによってウェブ中を流動し、多くの場合、このような空気流は、図5のように、繊維ウェブの主平面に少なくともほぼ垂直に方向付けられる。しかしながら、所望により、繊維ウェブの主平面に少なくともほぼ平行に空気流が発生する場合がある。このような繊維ウェブの繊維は、(ウェブが、加工及び取り扱いに十分な機械的完全性を有するように)任意の好適な方法で、互いに結合することができる。このような結合方法は、例えば、水流交絡、ニードルパンチ、カレンダー加工などから選択され得る。いくつかの実施形態において、繊維は、自発的に互いに結合され得る。すなわち、繊維は、オーブン内で得られるような高温において、又は点結合若しくはカレンダー加工におけるような固体の接触圧を加えずに、いわゆるスルーエアボンダーによって結合される。特定の実施形態において、繊維は、Foxへの米国特許第7947142号に記載の一般的な種類の自発結合法を用いて結合させることができる(加熱空気の流れを繊維の集合の中に通過させた後、強制的にクエンチさせる。)。又は、1つ以上のバインダー(繊維、固体粒子、水性エマルジョンなどの形態)を加えた後に活性化し(例えば加熱により)、繊維同士を結合し、最終的なウェブを形成してもよい。任意のこのような結合操作(繊維の絡みによって主として機械的に達成される、又は、繊維の融着及び/若しくは加えられたバインダーを用いて達成される。)は、以下に説明するように、収着剤粒子をウェブ内又はウェブ上に結合する役割を更に果たす場合がある。
いくつかの実施形態において、図4のネット上の粒子の配列とある程度同様に、収着剤粒子を、繊維ウェブの主表面(例えば、上流の主表面)上に主として又は限定して、堆積させる場合がある。いくつかの実施形態において、収着剤粒子の少なくともいくつかが、少なくとも部分的に繊維質ウェブの内部に貫入している場合がある。(これは、例えば図4のようなフィラメントの単層によってもたらされるネットの状態、すなわち、支持体が収着剤粒子が貫入できる「内部」をほとんど又は全く呈していない場合とは対照的である。)いくつかのこのような実施形態において、収着剤粒子は、主として、収着剤粒子がその上又は内部に堆積された、主表面に近接した繊維ウェブの領域に見出すことができる。しかしながら、多くの実施形態において、粒子が表面上に残存する、又は、繊維ウェブの内部に短い距離だけ貫入するように、粒子が一方の表面上に例えば堆積されるのではなく、収着剤粒子100が、(図5の例示的な実施形態に示すように)繊維ウェブの厚さ全体に広く分散されるのが望ましい場合がある。収着剤粒子がウェブの内部全体に広く(例えば、ランダムに)分散された繊維ウェブを形成する好適な方法は、本明細書において後述する。
特定の実施形態において、繊維ウェブフィルタ支持体は、不織布ウェブであり得る。定義によると、不織布繊維ウェブは、例えば織布若しくは編物、又は微細孔フィルムを包含しない。このようなウェブは、任意の好適な方法で製造することができ、任意の好適な種類のものとすることができる。例えば、このような不織布ウェブは、カードウェブ;湿式ウェブ(例えば製紙プロセスによって製造される。);例えば、公知のRando−Webberプロセスなどの従来のエアレイプロセスによって製造された、若しくは、Lalouchへの米国特許第8834759号に記載の重力レイプロセスなどの専用プロセスによって製造された、乾式ウェブ;又は溶融紡糸ウェブ(例えばスパンボンドウェブ、スパンレースウェブなど)であり得る。(特定の例えばスパンボンドウェブ又はスパンレースウェブは、例えば形成される繊維の深さによって、繊維ウェブではなく、ネットとして適している場合があることが理解されよう。)特定の実施形態において、不織布ウェブはメルトブローンウェブであり得、そのプロセス及び得られるウェブは、当業者には公知である。これらの様々な材料の層の任意の組み合わせ(不織布ウェブではない層との組み合わせを含む。)を用いることができる。繊維は、任意の好適な材料、例えば、熱可塑性有機繊維(例えば、ポリオレフィン繊維、セルロース繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維など)、無機繊維(繊維ガラス又はセラミック繊維など)、金属繊維などから作製され得る。
収着剤粒子は、多孔質材料、例えば不織布ウェブなどの繊維ウェブ上及び/又は内部に提供され、任意の好適な方法により、本明細書に開示のエアフィルタのフィルタ支持体を形成することができる。いくつかの実施形態において、収着剤粒子は、あらかじめ存在する繊維ウェブ上又はその中に堆積されている場合がある。例えば、いくつかの実施形態において、不織布ウェブは、接着性繊維及び/又は非繊維状バインダー(非繊維状バインダーは、例えば粒子、エマルジョン又はラテックスなどの形態をとり得る。)などの、1つ以上の結合構成成分を含む場合がある。ウェブは、このような結合構成成分(複数可)を軟化及び活性化する温度まで加熱することができ、次いで、収着剤粒子を不織布ウェブの主表面上に堆積させ、主表面に結合させることができる。多数のこのようなプロセスにより、収着剤粒子は、優先的に、収着剤粒子が堆積された不織布ウェブの主表面上又は主表面に近接して存在することとなり得ることが理解されよう。所望により、このようなプロセスを複数回繰り返し、連続層同士を結合し、内部に収着剤粒子を含む多層製品を形成することができる。
他の実施形態において、収着剤粒子を、ウェブの製造プロセス中に、不織布ウェブ中に導入してもよい。例えば、不織布ウェブがメルトブローにより製造される場合、収着剤粒子を、初期繊維の流動する流れに導入するのが好都合な場合がある(初期繊維という用語は、繊維となる固化を開始した可能性のある、若しくは、繊維となる固化を開始した可能性のない、又は、繊維となる固化を完了した可能性のある溶融流を指す。)。このような操作を実施する一般的な方法はFoxへの米国特許出願公開第2012/0272829号に開示されており、本明細書に参照により組み込まれる。初期繊維は、初期繊維が少なくともわずかに粘着性(接着性)である状態で、(例えば、一時的な捕集表面上に、又は、フィルタ支持体の一部として残存する二次ウェブ上に)堆積させてもよい。このような配列により、メルトブローン不織布ウェブの繊維の少なくともいくつかを、収着剤粒子に結合させる(例えば、融着させる)ことができる。このようにして、内部に収着剤粒子を含むメルトブローンウェブを単一の操作で製造することができる。
当然のことながら、他の方法を用い、繊維がウェブとして捕集される前に、収着剤粒子を繊維の混合物中に導入することもまた可能である。例えば、収着剤粒子を、ウェブ形成プロセス(例えば、上記の重力レイウェブ形成プロセス)に投入される繊維と混合し、収着剤粒子を内部に含む繊維の集合体を形成することができる。このような手法は、繊維の集合体を加熱し、繊維同士を結合し、ウェブを形成し、かつ/又は収着剤粒子をウェブ中に結合できるように、投入された材料にバインダー(繊維の形態で、又は、粒子、エマルジョンなどの非繊維状バインダーとして)を加えることを含む場合がある。1つ又は複数のいずれの手法を用いる場合であっても、収着剤粒子が繊維ウェブ中又は繊維ウェブ上に結合される主要機構は、繊維同士を結合してウェブを形成するのに用いられる結合機構と同一であるか、又は、異なる場合がある。
特に、メルトブローン繊維ウェブについては、様々な繊維形成ポリマー材料が、このような繊維の形成に用いられ得る。少なくともいくつかの繊維は、不織布ウェブの製造に用いられる条件下(例えば、メルトブロー条件)で十分な結合(接着)性を呈する材料から作製され得る。例としては、ポリウレタンエラストマー材料、ポリブチレンエラストマー材料、ポリエステルエラストマー材料、ポリエーテルブロックコポリアミドエラストマー材料、ポリオレフィン系エラストマー材料(例えば、商標名VERSIFYでDowより入手可能なもの)、及びエラストマースチレンブロックコポリマー(例えば、商標名KRATONでKraton Polymers(Houston,TX)より入手可能なもの)などの熱可塑性樹脂が挙げられる。少なくとも1つの暴露された繊維の表面(例えば、コアシース繊維のシース部分)が十分な接着性を示す、多成分繊維(例えば、コアシース繊維、分割可能又は並行複合繊維、及びいわゆる「海中の島」繊維)もまた、用いることができる。
いくつかの実施形態において、収着剤粒子100に結合可能な繊維は、メルトブローンウェブに存在する唯一の繊維であり得る。他の実施形態において、他の繊維(例えば、収着剤粒子の結合には、いかなる程度であっても有意には関与しない。)は、例えば十分な接着性繊維が存在する限り、存在してもよい。様々な実施形態において、接着性繊維は、少なくとも約2重量%、少なくとも約4重量%、及び少なくとも約6重量%のメルトブローン不織布ウェブを含み得る。更なる実施形態において、接着性繊維は、約20重量%以下、約17重量%以下、及び約15重量%以下のメルトブローン不織布ウェブを含み得る。ウェブ中に存在する任意の非接着性繊維は、任意の好適な種類及び組成のものでもよく、例えば、公知のポリエステル繊維のいずれかを用いることができるのと同様に、公知のポリオレフィン繊維(例えばポリプロピレン、ポリエチレンなど)のいずれかを、用いることができる。少なくともいくつかの実施形態において、不織布ウェブは、いずれの種類の、いずれの加えられたバインダーも、本質的に含まない。すなわち、このような場合、収着剤粒子の本質的に全ての結合(収着剤粒子をメルトブローン不織布ウェブ中で保持する。)は、接着性繊維によって行われる。したがって、このような実施形態は、粒子又は粉末など、ラテックス、エマルジョン、懸濁液、又は溶液などの液体などの形態のバインダーの存在を排除する。
上記の説明は、収着剤粒子への繊維の結合が、粒子を不織布ウェブ内に保持するために少なくとも部分的に用いられる方法に関連していることが理解されよう。繊維内の収着剤粒子の物理的な絡み合いはまた、収着剤粒子を不織布ウェブ内に保持するのを補助することもできる。いくつかの実施形態において、二次通気層(例えばスクリム又はフェーシング)を、不織布ウェブの1つ以上の主表面に適用し(例えば、結合し)、収着剤粒子のいずれかが主表面から脱落する可能性を最小限に抑えることができる。実際に、いくつかの実施形態において、メルトブローンウェブを作製する作用でメルトブローンウェブが二次ウェブに結合されるように、メルトブローン不織布ウェブを形成する初期繊維を(初期繊維の流れに組み込まれる収着剤粒子と共に)、二次ウェブ(例えば、スクリム又はフェーシング)の主表面上に堆積させるのが好都合な場合がある。
いくつかの実施形態において、エアフィルタ1は、少なくとも1つの濾材40を備え得る。濾材は、収着剤粒子100を保持し、収着剤粒子100を空気に暴露させることができるフィルタ支持体10であり、これに加え、濾材は、移動空気から有意な量の微細粒子(すなわち、平均直径が100ミクロン以下の粒子)を濾過することができる特定の種類のフィルタ支持体である。濾材40は、通気性ネットワーク構造(ここで、通気性ネットワーク構造中又は通気性ネットワーク構造上には、通気性ネットワーク構造中を移動する空気流に収着剤粒子を暴露するように、収着剤粒子を組み込むことができる。)をもたらすことができ、更にそれ自体が微細粒子を濾過することができる、任意の材料を含み得る。このような濾材は、例えば、メルトブローンウェブ及び/又は帯電ウェブである不織布ウェブであり得る。
説明したように、濾材は、有意な量の微細粒子(直径100μm以下)を捕集することができる。特定の実施形態において、濾材は、例えば10μm以下の範囲、又は2.5μm以下の範囲の有意な量の微粒子を捕集することができる。特定の実施形態において、濾材はHEPA濾過の実施が可能であり得る。下記の通り、エレクトレット(帯電)材料の使用により、例えば微粒子濾過又はHEPA濾過を実施する能力を実質的に高められ得ることが理解されよう。様々な実施形態において、濾材40は、約80、70、60、50、40、30、20、10、又は5未満の透過百分率(本明細書では、フタル酸ジオクチルをチャレンジ材料(challenge material)として用い、Foxへの米国特許第7947142号に記載の方法を用いて試験するものと規定する。)を呈し得る。概してフィルタ支持体に関して本明細書で記載されている全てのプロセス(例えば、繊維結合、帯電、プリーツ加工など)、パラメータ及び特徴付けを、特に濾材に適用することができる。
いくつかの実施形態において、フィルタ支持体として(又は、特に、濾材として)用いるための不織布ウェブ(例えば、メルトブローン不織布ウェブ)は、静電的に帯電している繊維を含み得る。このような繊維の帯電は、任意の好適な方法により、例えば、Angadjivandへの米国特許第5496507号に教示されているように、又はSebastianへの米国特許出願公開第2009/0293279号に教示されているように、水を用い、電荷を不織布ウェブに付与することにより、行うことができる。不織布エレクトレットウェブはまた、Klaaseへの米国特許第4588537号に記載のようにコロナ帯電によって、又は、Brownへの同第4798850号に記載のように機械的手法を用いて繊維に電荷を付与することによって、製造することができる。このような手法の任意の組み合わせを用いてもよい。繊維は、不織布ウェブに形成される前に、又は、不織布ウェブが形成された後に帯電してもよい。(いずれの場合も、プリーツ加工する場合には、任意のこのような帯電は、エアフィルタ材をプリーツ加工する前に、好都合に実施することができる。)エアフィルタが(下記のように)フィルタ支持体10とは異なる層である粒子濾過層を備える場合、このような粒子濾過層は、所望により、例えば上記の手法のいずれかによって、帯電させてもよい。
フィルタ支持体(自立型、又は多層アセンブリの一部)をプリーツ加工する場合、プリーツの形成及びプリーツ間隔は、Siverssonへの米国特許第4798575号、Siverssonへの同第4976677号、及びWenzへの同第5389175号に開示のものを含む、任意の好適な手法を用いて実施することができる。有用であり得るプリーツ加工手順は、例えばDuffyへの米国特許第7235115号にも記載されている。(しかしながら、少なくともいくつかの実施形態において、スコアリングプロセスによって収着剤粒子の少なくともいくつかが粉砕されることがあるので、スコアプリーツ加工の使用は回避してもよいことが理解されよう。)様々な実施形態において、プリーツ加工されたエアフィルタ支持体は、2.5センチメートル当たり約0.5〜約5個のプリーツを含み得る。より具体的には、プリーツ間隔は、例えば約6、8、10、又は12mm〜約50、40、30、20、又は15mmであり得る。様々な実施形態において、プリーツの高さは、例えば約15、20、25、又は30mm〜約100、80、60又は40mmであり得る。
エアフィルタ1は、単層からなるフィルタ支持体10(定義によると、少なくともいくつかのポリマー収着剤粒子100を支持する)を備えてもよいか、又は、フィルタ支持体10の多層(例えば、各層は、少なくともいくつかのポリマー収着剤粒子100を有する。)がエアフィルタ1に存在してもよい。特に、フィルタ支持体(複数可)10自体が、本明細書で定義されるようなエアフィルタ材でない場合、エアフィルタ1は、ポリマー収着剤粒子100を含まない1つ以上の粒子濾過層(例えば、微細粒子、微粒子の濾過、及び/又はHEPA濾過が可能である。)を、(少なくとも1つのフィルタ支持体層10に加え)含むことができる。このような粒子濾過層は、所望により静電的に帯電していてもよく、様々な実施形態において、約80、70、60、50、40、30、20、10、又は5未満の透過百分率を呈し得る。(粒子という用語は、例えばエアロゾル、粉塵、霧、煙霧、煙、カビ、細菌、胞子、花粉などを広範に包含する。)特定の実施形態において、このような粒子濾過層は、例えば、Foxへの米国特許第8240484号に記載の種類の高ロフトスパンボンド不織布ウェブであってもよく、8%未満〜約4%の固形性を有し、捲縮繊維、空隙形成繊維及び複合繊維を実質的に含まない溶融紡糸繊維から構成される。
任意の粒子濾過層が存在するか否かにかかわらず、エアフィルタ1は、例えば、カバー層、粗プレフィルタ、担体層、皮膚接触層として機能し、機械的支持又は剛性などをもたらす、1つ以上の二次層(例えば、スクリム、ネット、カバーなど)を、(少なくとも1つのフィルタ支持体層10及び場合により備えられる任意の粒子濾過層に加え)備える場合がある。すなわち、概して、フィルタ支持体層10の特定の種類、構成又は構造に関係なく、このようなフィルタ支持体層を、エアフィルタ1を集合的に提供することができる多層通気性アセンブリ(積層体)の1つの層として提供することができる。任意のこのような多層積層体には、当然のことながら、本明細書に記載のように、プリーツ加工、フレーム加工などを施すことができる。
本明細書に開示の収着剤粒子(例えば、不織布繊維ウェブ内に分散されたもの、基材の表面上に配置されたもの、受け部(複数可)に充填され、例えば充填層を形成するものなど)は、任意の二次収着剤粒子と組み合わせて用いることができ、空気中に存在する任意の所望の成分(例えば有害ガス/蒸気)を捕集するように構成される。いくつかの実施形態において、このような二次収着剤粒子は、例えば、ポリマー収着剤粒子100の上流又は下流にある別の層に存在してもよい。他の実施形態において、収着剤粒子100及び任意の所望の二次収着剤粒子(複数可)を共に混合してもよい。二次収着剤粒子(別の層で用いられる、又は、ポリマー収着剤粒子100と混合した混合物として用いられる。)は、例えば、活性炭、アルミナ及び他の金属酸化物、粘土、ホプカライト、イオン交換樹脂、分子ふるい及びゼオライト、シリカ、炭酸水素ナトリウム、並びにこれらの材料のいずれかの組み合わせなどから選択することができる。特定の実施形態において、二次収着剤粒子(例えば活性炭)は、例えば任意の所望の金属塩又は化合物を好適に含浸させた含浸収着剤粒子であってもよい。二次収着剤粒子としての使用に好適であり得る様々な粒子(含浸粒子を含む。)は、Billingsleyへの米国特許出願公開第2015/0306536号に詳述されており、この目的のために、その全容が参照により本明細書に組み込まれる。これらの粒子のいずれかの任意の組み合わせを用いてもよい。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示の収着剤粒子100を有するエアフィルタ1を、エアフィルタ1とは別に設けられた二次エアフィルタと組み合わせて用いてもよい。いくつかの実施形態において、エアフィルタ1及び二次エアフィルタを、空気処理装置の異なる領域に取り付けてもよい。(例えば、エアフィルタ1及び二次エアフィルタはそれぞれフレーム付きエアフィルタであってもよく、それぞれが、例えば室内空気清浄器に別々に挿入されていてもよい。)あるいは、エアフィルタ1及び二次エアフィルタを、例えば空気処理装置に取り付ける前に、共に組み立てて(また、例えば、互いに連結して)もよい。エアフィルタ1は、例えば、二次エアフィルタの上流又は下流に配置することができる(エアフィルタ1が上流にある場合、エアフィルタ1は、例えば二次フィルタのプレフィルタとして機能し得る。)。いくつかの例示的な実施形態において、二次エアフィルタは、例えば微粒子を捕集するように構成されてもよく、例えば約80、70、60、50、40、30、20、10、又は5未満の透過百分率を呈し得る。
本明細書に開示の収着剤粒子100を有するフィルタ支持体10は、任意の好適な最終用途用に構成された、任意の種類のエアフィルタ1に用いることができる。具体例としては、フィルタ支持体10は、例えば、個人用呼吸保護器具、又はその一部であるエアフィルタに用途を見出すことができる。フィルタ支持体10は、マスク本体に流体連結可能なフィルタカートリッジの形態をとることができ、個人用呼吸保護装置(例えば、使い捨てのフィルタカートリッジと、使用者の顔に適合するように形状化されて保持される部分であるマスク本体と、適切な時期にマスク本体に取り付けられる交換フィルタカートリッジ)を提供することについては、既に説明した。他の実施形態において、フィルタ支持体10を、「濾過フェースピース」呼吸マスク60に組み込むことができる。この一般的な種類の製品では、マスク本体自体が、濾過機能を提供する。すなわち、マスク本体を、装着可能なフィルタカートリッジなどと共に用いる呼吸マスクとは異なり、濾過フェースピース呼吸マスクは、フィルタカートリッジの取り付け又は交換の必要がないように、マスク本体全体の大部分又は本質的に全てにわたって存在する濾過層(複数可)を有するように設計されている。(すなわち、濾過フェースピース呼吸マスクでは、マスク本体自体が、それに取り付けられた1つ以上のカートリッジに依存せずに、濾過機能を行う。濾過フェースピース呼吸マスク60は、多くの場合、2つの構成、すなわち、図6の例示的な図に示すような(例えば、使用者の顔に適合するようにほぼカップ状に形状化された)成形品、及び、平坦又はほぼ平坦な状態で供給することができ、後に開いて広げ、図7の例示的な図に示すように、使用者の顔に適合させることができる、平坦折り畳み式のもののうちの1つで提供される。
このような呼吸マスク(例えば、平坦折り畳み式又は成形された呼吸マスク)60は、任意の所望の補助層(例えば、1つ以上のカバー層、補剛層、プレフィルタ層など)及び構成要素(例えば、1つ以上の排気弁、取り付けバンド又はストリング、ノーズピースなど)を備え得る。平坦折り畳み式呼吸マスクで用いられる場合、フィルタ支持体10は、比較的可撓性の層の形態(例えば、材料をより容易に折り畳めるように設けられた1つ以上の選択的な折り目63を有する。)をとる場合が多い。フィルタ支持体10が成形された呼吸マスク(折り畳み可能には設計されていない。)で用いる場合、フィルタ支持体10は、例えば幾分半剛性の材料であってもよい(ただし、多くの成形されたカップ状の呼吸マスクでは、剛性のほとんどが、濾過層(複数可)とは別の補剛層によってもたらされるため、このような製品で用いるためには、フィルタ支持体10は、厳密に剛性又は半剛性でなくてもよいことに留意されたい。)。
上記の用途は、主として、いわゆる「負圧」呼吸マスクのカテゴリーに入る、すなわち、空気を移動させるための原動力が、別途設けられた電動ファンではなく、使用者の呼吸である製品であることが理解されよう。このような負圧呼吸マスクは、例えば、フルフェース呼吸マスク、ハーフフェース呼吸マスク、及びフード(例えば、避難フード、スモークフードなど)として構成されることが多い。このような製品は全て、本明細書で用いられる負圧呼吸マスクという用語によって包含され、フィルタ支持体10は、任意のこのような製品と共に用いることができる。
他の実施形態において、フィルタ支持体10は、空気を移動させるための原動力が電動ファン又は送風機である呼吸マスクで用いることができる。このような製品は、例えばPAPR(動力式空気清浄呼吸マスク)を含み得る。このような製品において、フィルタ支持体10(概して、エアフィルタ1)は、使用者の顔又は頭部に近接して配置してもよい、又は、遠隔配置(例えば、ベルト付きのハウジングの受け部に配置する。)としてもよい。
図8の例示的な実施形態に示すようないくつかの実施形態において、フィルタ支持体10(例えば、プリーツ加工されているもの又はされていないもの、及び粒子濾過層などの他の層を含むもの又は含まないものなど)を、周囲フレーム70(例えば補剛フレーム又は支持フレーム)を含むエアフィルタ1に組み込むことができる。周囲フレーム70は、例えば、フィルタ支持体の周縁領域の周囲に配置することができる。フレームに好適な材料としては、チップボード、又は板紙、合成プラスチック材料及び金属が挙げられる。好適なフレーム構造体は、例えば、Pitzenへの米国特許第6126707号の図1〜4に示された「ピンチ」フレーム構造体、上記の’707号特許の図5及び6に示された「ボックス」フレーム構造体、上記の’707号特許の図7〜11に示されたハイブリッドフレーム構造体、Sundetへの米国特許第7503953号に開示のフレーム構造体のいずれか、及びDuffyへの同第7235115号に開示のフレーム構造体のいずれかから選択することができる。任意のこのようなフレームは、任意の好適な方法、例えば熱融着、室温接着剤などにより、フィルタ支持体に取り付けることができる。
フィルタ支持体1を備えるエアフィルタ10(フレーム付き又はフレームなし)は、任意の好適な動力式空気処理システム、例えばHVACシステムにおいて(例えば、住宅、オフィスビル、小売施設などで用いられることが多い、強制空気加熱、冷却、及び/又は加熱/冷却システムにおいて)、移動空気を濾過するために有利に用いることができる。このようなフィルタはまた、室内空気清浄器、自動車(例えば自動車の車内空気濾過など)、クリーンルーム、手術室などに用途を見出すことができる。いくつかの実施形態において、エアフィルタ1(例えば、フィルタカートリッジの一部として)を、上記のように、動力式空気清浄呼吸マスクの空気通路に挿入してもよい。このような使用のいずれか又は全てにおいて、エアフィルタ1はフレーム付きエアフィルタでなくてもよいが、多くのこのような使用において、エアフィルタ1がフレーム付きエアフィルタであることが有利であり得る。
上記の説明は、好適なフィルタ支持体10上にポリマー収着剤粒子100を提供し、エアフィルタ1を提供し、支持された収着剤粒子が空気に暴露されるようにエアフィルタを配置する方法に関する(空気という用語は広範に用いられ、任意のガス又はガス状混合物、例えば窒素、除湿窒素若しくは空気、酸素富化空気、麻酔ガス若しくはガス混合物を含む空気などを包含する。)。多くの実施形態において、収着剤粒子が暴露される空気は、移動空気流の形態である。ある場合、(「能動」濾過と呼ばれることがある。)このような移動空気は、電動式送風機、ファンなどによって移動させることができる。他の場合、(「受動」濾過と呼ばれることがある。)このような移動空気は、任意の電動式機構によってではなく、例えば人の呼吸によって移動させることができる。用語「受動」濾過はまた、エアフィルタ1が、例えば周囲雰囲気中で、流れ、渦などに暴露される状態を包含する。このような流れ及び渦は、例えば、風(例えば窓スクリーンの形態で設けられたフィルタ支持体10の外表面に対して衝突されるような場合がある。)の形態をとる場合がある。又は、屋内環境において、このような流れ及び渦は、例えば建物の室内で(例えば開閉するドア、動作する人などにより)定期的に発生する対流、ランダムな空気流の形態をとる場合がある。したがって、本明細書に開示のエアフィルタ1は、例えばカートリッジ、袋、パウチ、キャニスタ、又は、概して、収着剤粒子100を内部に保持し、空気を容器に入れ、収着剤粒子を接触させた後、容器から排出させるように少なくとも1つの通気性の壁を有する任意の種類の容器などの装置を、このような装置が任意の種類の機械的送風機と共に用いられるか否か、又は任意の種類の呼吸マスクにおいて用いられるか否かに関わらず、包含することが理解されよう。
大まかに要約すると、本明細書に記載のエアフィルタ1は、空気から少なくともいくつかのアルデヒド分子を除去することが所望される任意の好適な用途において、用途を見出すことができる。このような用途は、単一の使用者が用いるように設計された個人用装置(例えば、個人用呼吸保護装置)、又は、例えば、人が居住する、働く、又は集まる建物、車両、及び他の場所のために設計された集合装置(例えば、室内空気清浄器、HVACシステムなど)を伴う場合がある。説明したように、このような用途は、「能動」又は「受動」濾過を伴う場合があり、多種多様な幾何学的形式のいずれかで構成され、多種多様な材料のいずれかから構成されるエアフィルタ1を用いることができる。また、説明したように、本明細書に記載のポリマー収着剤粒子100に加え、1つ以上の二次収着剤を、粒子100と混合し、かつ/又は別々の層に提供して用いることができる。更に説明したように、エアフィルタ1は、微粒子濾過を提供し、かつ/又はアルデヒド以外のいくつかのガス/蒸気を捕集する少なくとも1つの層を(ポリマー収着剤粒子100を支持する少なくとも1つの支持層10に加え)含む場合がある。この代わりに、又はこの補助として、エアフィルタ1に加え、例えば、微粒子の濾過及び/又はいくつかの他のガス/蒸気の捕集を行うための二次エアフィルタを設けることができる。更に、フィルタ支持体の上記の実施形態のいずれかの組み合わせを用いてもよい。例えば、ポリマー収着剤粒子100は、繊維ウェブ内又はネットの表面上に配置される場合があり、ウェブ又はネットは、例えば、ハウジング内に配置され、フィルタカートリッジを提供する場合がある。
ポリマー収着剤粒子100は、ジビニルベンゼン/無水マレイン酸前駆体ポリマー材料と窒素含有化合物との反応生成物である。窒素含有化合物は、ポリマー収着剤に共有結合するようになる。ポリマー収着剤は、典型的には、多孔質であり、細孔が多くの場合メソ細孔及び/又はミクロ細孔のサイズ範囲である粒子の形態で提供される。ポリマー収着剤を用い、室温又は使用条件下で揮発性であるアルデヒドを収着させることができる。好適なアルデヒドは、典型的には、式(I)
R2−(CO)−H
(I)
[式中、R2は水素、アルキル、ビニル、又はアリールである。]のものである。式(I)のアルデヒドの分子量は、典型的には、200g/モル以下である。いくつかの実施形態において、アルデヒドはホルムアルデヒド(R2が水素である。)又はアセトアルデヒド(R2がメチルである。)である。
説明したように、ポリマー収着剤は、ジビニルベンゼン/無水マレイン酸前駆体ポリマー材料と窒素含有化合物との反応によって得られる。前駆体ポリマー材料は、無水マレイン酸、ジビニルベンゼン、及び場合により含まれるスチレン系モノマーを含有するモノマー混合物を含む重合性組成物から合成される。より具体的には、前駆体ポリマー材料は、1)8〜65重量%の無水マレイン酸、2)30〜85重量%のジビニルベンゼン、及び3)0〜40重量%のスチレン系モノマーであって、スチレン、アルキル置換スチレン、又はこれらの組み合わせであるスチレン系モノマー、を含有するモノマー混合物から生成される。量は、重合性組成物中のモノマーの総重量に等しい、モノマー混合物中のモノマーの総重量に基づく。前駆体ポリマー材料を用いて、アルデヒドの収着に特に効果的なポリマー収着剤を生成する場合、モノマー混合物は、多くの場合、1)15〜65重量%の無水マレイン酸、2)30〜85重量%のジビニルベンゼン、及び3)0〜40重量%のスチレン系モノマーであって、スチレン、アルキル置換スチレン、又はこれらの組み合わせであるスチレン系モノマー、を含有する。
モノマー混合物に含まれる無水マレイン酸により、前駆体ポリマー材料内に式(II)の無水マレイン酸モノマー単位が形成される。
この式及び本明細書に含まれる他の式中のアステリスクは、モノマー単位の別のモノマー単位への、又は、末端基への結合位置を示す。
前駆体ポリマー材料の生成に用いられる無水マレイン酸の量は、前駆体ポリマー材料と反応してポリマー収着剤を生成することができる窒素含有化合物の量に影響を及ぼす。窒素含有化合物は、無水物基と反応して、ポリマー収着剤であるポリマー材料に共有結合するようになる。
いくつかの実施形態において、モノマー混合物に含まれる無水マレイン酸の量は、少なくとも8重量%、少なくとも10重量%、少なくとも12重量%、少なくとも15重量%、又は少なくとも20重量%である。無水マレイン酸の量は、最大65重量%、最大60重量%、最大55重量%、最大50重量%、最大45重量%、最大40重量%、最大35重量%、最大30重量%、又は最大25重量%とすることができる。例えば、無水マレイン酸は、8〜65重量%、15〜65重量%、15〜60重量%、15〜50重量%、15〜40重量%、20〜65重量%、20〜60重量%、20〜50重量%、20〜40重量%、30〜65重量%、30〜60重量%、30〜50重量%、40〜65重量%、又は40〜60重量%の範囲で存在してもよい。量は、前駆体ポリマー材料の生成に用いられる重合性組成物に含有されるモノマー混合物中のモノマーの総重量に基づく。
換言すれば、前駆体ポリマー材料は、式(II)のモノマー単位を、8〜65重量%、15〜65重量%、15〜60重量%、15〜50重量%、15〜40重量%、20〜65重量%、20〜60重量%、20〜50重量%、20〜40重量%、30〜65重量%、30〜60重量%、30〜50重量%、40〜65重量%、又は40〜60重量%の範囲で含有する。これらの量は、前駆体ポリマー材料中のモノマー単位の総重量に基づく。
モノマー混合物に含まれるジビニルベンゼンにより、前駆体ポリマー材料内に式(III)のジビニルベンゼンモノマー単位が形成される。
ベンゼン環に結合した2つの基は、互いにオルト位、メタ位、又はパラ位であり得る。式(III)のモノマー単位は、高い架橋密度並びにミクロ細孔及び/又はメソ細孔を有する硬質ポリマー材料の生成に寄与する。
前駆体ポリマー材料の生成に用いられるジビニルベンゼンの量は、前駆体ポリマー材料及びポリマー収着剤の両方のBET比表面積に強い影響を有し得る。BET比表面積は、前駆体ポリマー材料の生成に用いられるモノマー混合物中のジビニルベンゼンの量の増加と共に、また、その結果得られる、ポリマー収着剤中の式(III)のモノマー単位の量と共に増加する傾向がある。ジビニルベンゼンの量が30重量%未満である場合、ポリマー収着剤が、十分に高いBET比表面積を有さない場合がある。一方、ジビニルベンゼンの量が85重量%超である場合、ポリマー収着剤中の窒素含有基がより少ないため、収着したアルデヒドの量が損なわれる場合がある。いくつかの実施形態において、モノマー混合物に含まれるジビニルベンゼンの量は、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、又は少なくとも45重量%である。ジビニルベンゼンの量は、最大85重量%、最大80重量%、最大75重量%、最大70重量%、最大65重量%、最大60重量%、又は最大50重量%とすることができる。例えば、量は、30〜85重量%、30〜80重量%、30〜75重量%、30〜70重量%、30〜65重量%、30〜60重量%、30〜55重量%、30〜50重量%、35〜80重量%、35〜70重量%、35〜60重量%、40〜85重量%、40〜80重量%、40〜70重量%、又は40〜60重量%の範囲とすることができる。量は、前駆体ポリマー材料の生成に用いられる重合性組成物に含有されるモノマー混合物中のモノマーの総重量に基づく。
換言すれば、前駆体ポリマー材料は、式(III)のモノマー単位を、30〜85重量%、30〜80重量%、30〜75重量%、30〜70重量%、30〜65重量%、30〜60重量%、30〜55重量%、30〜50重量%、35〜80重量%、35〜70重量%、35〜60重量%、40〜85重量%、40〜80重量%、40〜70重量%、又は40〜60重量%の範囲で含有する。これらの量は、前駆体ポリマー材料中のモノマー単位の総重量に基づく。
ジビニルベンゼンは、純粋な形態で得ることが困難な場合がある。例えば、ジビニルベンゼンは、55重量%程度の低い純度で市販されていることが多い。ジビニルベンゼンを約80重量%超の純度で得るのは、困難かつ/又は高コストであり得る。ジビニルベンゼンに伴う不純物は、典型的には、スチレン、アルキル置換スチレン(例えば、エチルスチレン)、又はこれらの混合物などのスチレン系モノマーである。したがって、スチレン系モノマーは、多くの場合、前駆体ポリマー材料の生成に用いられる重合性組成物に含有されるモノマー混合物中のジビニルベンゼン及び無水マレイン酸と共に存在する。モノマー混合物は、典型的には、モノマー混合物中のモノマーの総重量に基づいて0〜40重量%のスチレン系モノマーを含有する。スチレン系モノマーの含量が40重量%超である場合、所望のBET比表面積(例えば、少なくとも25m2/g)を有するポリマー収着剤を提供するには、架橋密度が低過ぎる場合があり、かつ/又は架橋間距離が大き過ぎる場合がある。架橋密度が低下するのに従い、ポリマー収着剤は剛性が低下し、多孔性が低下する傾向がある。典型的には、55重量%の純度を有するジビニルベンゼンは、スチレン系モノマー不純物の含量が高過ぎるため、前駆体ポリマー材料の生成に用いられるモノマー混合物中での使用には好適でない。すなわち、ジビニルベンゼンの最小量を有するモノマー混合物を得るためには、ジビニルベンゼンは、多くの場合、少なくとも約80重量%の純度である。純度が約80重量%未満のジビニルベンゼンを用いると、BET比表面積が望ましくなく低い前駆体ポリマー材料及び/又はポリマー収着剤が生成される場合がある。
モノマー混合物に含まれるスチレン系モノマーにより、前駆体ポリマー材料内に式(IV)のスチレン系モノマー単位の存在がもたらされる。
基R
3は水素又はアルキル(例えば、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル)である。
いくつかの実施形態において、前駆体ポリマー材料の生成に用いられるスチレン系モノマーの量は、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、又は少なくとも5重量%である。スチレン系モノマーの量は、最大40重量%、最大30重量%、最大20重量%、又は最大10重量%とすることができる。例えば、量は、0〜40重量%、1〜40重量%、5〜40重量%、10〜40重量%、0〜30重量%、1〜30重量%、5〜30重量%、10〜30重量%、0〜20重量%、1〜20重量%、5〜20重量%、又は10〜20重量%の範囲とすることができる。量は、前駆体ポリマー材料の生成に用いられる重合性組成物に含有されるモノマー混合物中のモノマーの総重量に基づく。
換言すれば、前駆体ポリマー材料は、式(IV)のモノマー単位を、0〜40重量%、1〜40重量%、5〜40重量%、10〜40重量%、0〜30重量%、1〜30重量%、5〜30重量%、10〜30重量%、0〜20重量%、1〜20重量%、5〜20重量%、又は10〜20重量%の範囲で含有する。これらの量は、前駆体ポリマー材料中のモノマー単位の総重量に基づく。
全体として、前駆体ポリマー材料は、8〜65重量%の無水マレイン酸、30〜85重量%のジビニルベンゼン、及び0〜40重量%のスチレン系モノマーを含む、モノマー混合物を含有する重合性組成物から生成される。いくつかの実施形態において、モノマー混合物は、15〜65重量%の無水マレイン酸、30〜85重量%のジビニルベンゼン、及び0〜40重量%(又は5〜40重量%)のスチレン系モノマーを含有する。いくつかの実施形態は、25〜65重量%の無水マレイン酸、30〜75重量%のジビニルベンゼン、及び1〜20重量%(又は5〜20重量%)のスチレン系モノマーを含有する。いくつかの実施形態は、25〜60重量%の無水マレイン酸、30〜75重量%のジビニルベンゼン、及び1〜30重量%(又は5〜30重量%若しくは10〜30重量%)のスチレン系モノマーを含有する。更に他の実施形態において、モノマー混合物は、30〜65重量%の無水マレイン酸、30〜70重量%のジビニルベンゼン、及び1〜20重量%(又は5〜20重量%若しくは10〜20重量%)のスチレン系モノマーを含有する。更に他の実施形態において、モノマー混合物は、30〜60重量%の無水マレイン酸、30〜65重量%のジビニルベンゼン、及び1〜20重量%(又は5〜20重量%若しくは10〜20重量%)のスチレン系モノマーを含有する。更なる実施形態において、モノマー混合物は、40〜60重量%の無水マレイン酸、30〜55重量%のジビニルベンゼン、及び1〜20重量%(又は5〜20重量%若しくは10〜20重量%)のスチレン系モノマーを含有する。また、更なる実施形態において、モノマー混合物は、20〜40重量%の無水マレイン酸、50〜70重量%のジビニルベンゼン、及び1〜20重量%(又は5〜20重量%若しくは10〜20重量%)のスチレン系モノマーを含有する。重量%値は、前駆体ポリマー材料の生成に用いられるモノマー混合物中のモノマーの総重量に基づく。
前駆体ポリマー材料の生成に用いられる重合性組成物に含まれるモノマー混合物は、典型的には、無水マレイン酸、ジビニルベンゼン、及びスチレン系モノマーから選択される少なくとも95重量%のモノマーを含有する。例えば、モノマー混合物中のモノマーの少なくとも97重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、少なくとも99.5重量%、少なくとも99.9重量%、又は100重量%は、無水マレイン酸、ジビニルベンゼン、及びスチレン系モノマーから選択される。高純度のジビニルベンゼンが用いられるいくつかの実施形態において、モノマー混合物は、ジビニルベンゼン及び無水マレイン酸のみを含有する。すなわち、ジビニルベンゼン及び無水マレイン酸の量の合計は100重量%である。
モノマー混合物に加え、前駆体ポリマー材料の生成に用いられる重合性組成物は、有機溶媒を含む。重合性組成物は、重合前には単一相である。換言すれば、重合前には、重合性組成物は懸濁液ではない。有機溶媒は、モノマー混合物に含まれるモノマーを溶解し、かつ前駆体ポリマー材料が生成し始める際にこれを可溶化するように選択される。有機溶媒としては、典型的には、ケトン、エステル、アセトニトリル、又はこれらの混合物が挙げられる。
有機溶媒は、前駆体ポリマー材料の生成中にポロゲンとして機能することができる。有機溶媒の選択は、BET比表面積、及び前駆体ポリマー材料中に形成される細孔のサイズに強く影響を及ぼし得る。モノマー及び生成するポリマーのいずれとも混和性である有機溶媒を用いることにより、前駆体ポリマー材料内でミクロ細孔及びメソ細孔が形成されやすくなる。モノマー及び生成するポリマーに対する良溶媒により、最終的なポリマー収着剤の多孔性のより大きな比率が、ミクロ細孔及びメソ細孔の形態となる傾向がある。
特に好適な有機溶媒としては、ケトン、エステル、アセトニトリル、及びこれらの混合物が挙げられる。得られる前駆体ポリマー材料が少なくとも100m2/g相当のBET比表面積を有している場合には、他の有機溶媒を、これらの有機溶媒の1つ以上と共に加えることができる。好適なケトンの例としては、これらに限定されるものではないが、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンなどのアルキルケトンが挙げられる。好適なエステルの例としては、これらに限定されるものではないが、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、及び酢酸tert−ブチルなどの酢酸エステルが挙げられる。
有機溶媒は、任意の所望の量で用いることができる。重合性組成物は、多くの場合、1〜75重量%の範囲の固形分率を有する(すなわち、重合性組成物は、25〜99重量%の有機溶媒を含有する。)。固形分率が低過ぎると、重合時間が望ましくなく長くなる場合がある。固形分率は、多くの場合、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、又は少なくとも15重量%である。しかしながら、固形分重量%が高過ぎると、モノマーは有機溶媒との単一相を形成しない。更に、固形分率を増加させると、BET比表面積がより低い前駆体ポリマー材料が生成されやすくなる。固形分率は、最大75重量%、最大70重量%、最大60重量%、最大50重量%、最大40重量%、最大30重量%、又は最大25重量%とすることができる。例えば、固形分率は、5〜75重量%、5〜70重量%、5〜60重量%、5〜50重量%、5〜40重量%、5〜30重量%、又は5〜25重量%の範囲とすることができる。
モノマー混合物及び有機溶媒に加え、前駆体ポリマー材料の生成に用いられる重合性組成物は、典型的には、フリーラジカル重合反応用の開始剤を含む。任意の好適なフリーラジカル開始剤を用いることができる。好適なフリーラジカル開始剤は、典型的には、重合性組成物に含まれるモノマーと混和性であるように選択される。いくつかの実施形態において、フリーラジカル開始剤は、室温よりも高い温度で活性化され得る熱開始剤である。他の実施形態において、フリーラジカル開始剤はレドックス開始剤である。重合反応はフリーラジカル反応であるため、重合性組成物中の酸素の量を最小限に抑えることが望ましい。
開始剤の種類及び量はいずれも重合速度に影響し得る。概して、開始剤の量を増やすとBET比表面積が低下する傾向があるが、開始剤の量が少な過ぎるとモノマーからポリマー材料への高い変換率を得ることが困難となる場合がある。フリーラジカル開始剤は、典型的には、0.05〜10重量%、0.05〜8重量%、0.05〜5重量%、0.1〜10重量%、0.1〜8重量%、0.1〜5重量%、0.5〜10重量%、0.5〜8重量%、0.5〜5重量%、1〜10重量%、1〜8重量%、又は1〜5重量%の範囲の量で存在する。重量%は、重合性組成物中のモノマーの総重量に基づく。
好適な熱開始剤としては、有機過酸化物及びアゾ化合物が挙げられる。アゾ化合物の例としては、これらに限定されるものではないが、商標名VAZOでE.I.du Pont de Nemours Co.(Wilmington,DE)より市販されているもの、例えば、VAZO 64(2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル))(AIBNと呼ばれることが多い)及びVAZO 52(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル))などが挙げられる。他のアゾ化合物は、Wako Chemicals USA,Inc.(Richmond,VA)より市販されており、例えば、V−601(ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート))、V−65(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))、及びV−59(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))などである。有機過酸化物としては、これらに限定されるものではないが、過酸化ベンゾイル(BPO)などのビス(1−オキソアリール)ペルオキシド、過酸化ラウロイルなどのビス(1−オキソアルキル)ペルオキシド、及び過酸化ジクミル又は過酸化ジ−tert−ブチルなどのジアルキルペルオキシド、並びにこれらの混合物が挙げられる。熱開始剤の活性化に必要な温度は、多くの場合、25℃〜160℃の範囲、30℃〜150℃の範囲、40℃〜150℃の範囲、50℃〜150℃の範囲、50℃〜120℃の範囲、又は50℃〜110℃の範囲である。
好適なレドックス開始剤としては、アリールスルフィン酸塩、トリアリールスルホニウム塩、又は酸化状態の金属、過酸化物、若しくは過硫酸塩と組み合わせたN,N−ジアルキルアニリン(例えば、N,N−ジメチルアニリン)が挙げられる。具体的なアリールスルフィン酸塩としては、テトラブチルアンモニウム4−エトキシカルボニルベンゼンスルフィネート、テトラブチルアンモニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルフィネート、及びテトラブチルアンモニウム3−トリフルオロメチルベンゼンスルフィネートなどのテトラアルキルアンモニウムアリールスルフィネートが挙げられる。具体的なトリアリールスルホニウム塩としては、トリフェニルスルホニウム陽イオンを有するもの、並びにPF6 −、AsF6 −、及びSbF6 −から選択される陰イオンを有するものが挙げられる。好適な金属イオンとしては、例えば、第3族の金属、遷移金属、及びランタニド金属のイオンが挙げられる。具体的な金属イオンとしては、これらに限定されるものではないが、Fe(III)、Co(III)、Ag(I)、Ag(II)、Cu(II)、Ce(III)、Al(III)、Mo(VI)、及びZn(II)が挙げられる。好適な過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどが挙げられる。好適な過硫酸塩としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸テトラアルキルアンモニウム(例えば、過硫酸テトラブチルアンモニウム)などが挙げられる。
重合性組成物は、典型的には、界面活性剤を含まない、又は、実質的に含まない。本明細書で用いる場合、界面活性剤に関して「実質的に含まない」という用語は、界面活性剤が重合性組成物に意図的に加えられておらず、存在し得る任意の界面活性剤は、重合性組成物の構成成分の1つに存在する不純物(例えば、有機溶媒中又はモノマーの1つに存在する不純物)によるものであるという意味である。重合性組成物は、典型的には、重合性組成物の総重量に基づいて0.5重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、又は0.01重量%未満の界面活性剤を含有する。界面活性剤は、前駆体ポリマー材料中のミクロ細孔及びメソ細孔への到達を制限する傾向があり、場合によってはこれらの細孔を塞ぐ傾向があるため、これらの材料を含まないことが有利である。
重合性組成物がフリーラジカル開始剤の存在下で加熱されると、モノマー混合物中のモノマーの重合が起こる。モノマー混合物中の各モノマーの量のバランスをとることによって、かつ、モノマーの全て及び成長中のポリマー材料をその初期の生成段階中に可溶化できる有機溶媒を選択することによって、少なくとも100m2/g相当のBET比表面積を有する前駆体ポリマー材料を調製することができる。前駆体ポリマー材料のBET比表面積は、少なくとも150m2/g、少なくとも200m2/g、又は少なくとも300m2/gとすることができる。BET比表面積は、例えば、最大1000m2/g若しくはそれ以上、最大900m2/g、最大800m2/g、最大750m2/g、又は最大700m2/gとすることができる。
前駆体ポリマー材料は、重合性組成物の反応生成物である。重合性組成物から生成される前駆体ポリマー材料は、(a)8〜65重量%の式(II)
の第1のモノマー単位、
(b)30〜85重量%の式(III)
の第2のモノマー単位、及び
(c)0〜40重量%の式(IV)
[式中、R
3は水素又はアルキル(例えば、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子)である。]の第3のモノマー単位を含有する。
多くの実施形態において、アルデヒド用ポリマー収着剤として特に効果的であるように、前駆体ポリマー材料は、(a)15〜65重量%の式(II)の第1のモノマー単位、(b)30〜85重量%の式(III)の第2のモノマー単位、及び(c)0〜40重量%(又は5〜40重量%)の式(IV)の第3のモノマー単位を含有する。各重量%値は、前駆体ポリマー材料中のモノマー単位の総重量に基づく。
前駆体ポリマー材料のいくつかの実施形態は、25〜65重量%の式(II)の第1のモノマー単位、30〜75重量%の式(III)の第2のモノマー単位、及び1〜20重量%(又は5〜20重量%)の式(IV)の第4のモノマー単位を含有する。いくつかの実施形態は、25〜60重量%の式(II)の第1のモノマー単位、30〜75重量%の式(III)の第2のモノマー単位、及び1〜30重量%(又は5〜30重量%若しくは10〜30重量%)の式(IV)の第4のモノマー単位を含有する。更に他の実施形態において、モノマー混合物は、30〜65重量%の式(II)の第1のモノマー単位、30〜70重量%の式(III)の第2のモノマー単位、及び1〜20重量%(又は5〜20重量%若しくは10〜20重量%)の式(IV)の第4のモノマー単位を含有する。更に他の実施形態において、モノマー混合物は、30〜60重量%の式(II)の第1のモノマー単位、30〜65重量%の式(III)の第2のモノマー単位、及び1〜20重量%(又は5〜20重量%若しくは10〜20重量%)の式(IV)の第4のモノマー単位を含有する。更なる実施形態において、モノマー混合物は、40〜60重量%の式(II)の第1のモノマー単位、30〜55重量%の式(III)の第2のモノマー単位、及び1〜20重量%(又は5〜20重量%若しくは10〜20重量%)の式(IV)の第4のモノマー単位を含有する。また、更なる実施形態において、モノマー混合物は、20〜40重量%の式(II)の第1のモノマー単位、50〜70重量%の式(III)の第2のモノマー単位、及び1〜20重量%(又は5〜20重量%若しくは10〜20重量%)の式(IV)の第4のモノマー単位を含有する。重量%値は、前駆体ポリマー材料に用いられるモノマー単位の総重量に基づく。
ポリマー収着剤は、前駆体ポリマー材料を、窒素含有化合物と反応させることにより生成される。窒素含有化合物は通常塩基性であり、前駆体ポリマー材料中の無水物基と反応する。すなわち、窒素含有化合物は、前駆体ポリマー材料内の式(II)のモノマー単位と反応する。この反応の結果、窒素含有化合物をポリマー材料に結合させる共有結合が形成される。
窒素含有化合物は、アンモニア、単一の一級アミノ基(−NH2)を有する化合物、又は式−NHR[式中、Rは水素又はアルキルである。]の基を2つ以上有する化合物である。好適なアルキルR基(すなわち、アルキルがアルカンの1価の基である。)は、多くの場合、1〜20個の炭素原子を有する。例えば、アルキルは、少なくとも1個の炭素原子、少なくとも2個の炭素原子、又は少なくとも4個の炭素原子を有する場合があり、最大20個の炭素原子、最大18個の炭素原子、最大16個の炭素原子、最大10個の炭素原子、又は最大6個の炭素原子を有する場合がある。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有する。
単一の一級アミノ基を有する窒素含有化合物は一級アミン化合物であり、典型的には、他の一級及び/又は二級アミノ基を含まない。すなわち、単一の窒素含有基があり、それは−NH2である。式−NHRのアミノ基を少なくとも2つ有する窒素含有化合物は、一級アミノ基(Rは水素に相当する。)を2つ以上有する場合がある、二級アミノ基(Rはアルキルに相当する。)を2つ以上有する場合がある、又は、一級アミノ基を少なくとも1つ及び二級アミノ基を少なくとも1つ有する場合がある。
多くの好適な窒素含有化合物は、式(V)のものである。
R4NHR1
(V)
式(V)において、基R1は水素又はアルキルである。基R4は水素、アルキル、又は式−R5−NHR6若しくは−(C=NH)−NH2の基である。基R5は共有結合、アルキレン、アリーレン、アラルキレン、1つ以上のオキシ(−O−)基を有するヘテロアルキレン、又は1つ以上の−NH−基を有するヘテロアルキレンである。基R6は水素、アルキル、又は−C(=NH)−NH2である。
R1及びR4の両方が水素である場合、式(V)はアンモニアに相当する。R1が水素であり、R4がアルキルである場合、式(V)は単一の一級アミノ基を有する化合物に相当する。R4が−R5−NHR6である場合、又はR4が−(C=NH)−NH2である場合、式(V)は、式−NHRの基を2つ以上有する化合物に相当する。
式(V)のR1に好適なアルキル基は、少なくとも1個の炭素原子、少なくとも2個の炭素原子、又は少なくとも4個の炭素原子を有する場合があり、最大20個の炭素原子、最大18個の炭素原子、最大12個の炭素原子、最大10個の炭素原子、又は最大6個の炭素原子を有する場合がある。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有する。
いくつかの実施形態において、式(V)のR4はアルキルである。窒素含有化合物として好適であるためには、R4がアルキルである場合、R1は水素に相当する。すなわち、式(V)の化合物は一級アミン化合物である。R4に好適なアルキル基は、多くの場合、少なくとも1個の炭素原子、少なくとも2個の炭素原子、又は少なくとも4個の炭素原子を有し、最大20個の炭素原子、最大18個の炭素原子、最大12個の炭素原子、最大10個の炭素原子、又は最大6個の炭素原子を有する場合がある。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有する。好適な一級アミン化合物の例としては、これらに限定されるものではないが、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、及びシクロヘキシルアミンが挙げられる。
いくつかの実施形態において、式(V)のR4は式−R5−NHR6の基であり、窒素含有化合物は式(V−1)のものである。
R6HN−R5−NHR1
(V−1)
このような化合物は、式−NHRのアミノ基を少なくとも2つ有する。式(V−1)のR6に好適なアルキル基は、少なくとも1個の炭素原子、少なくとも2個の炭素原子、又は少なくとも4個の炭素原子を有する場合があり、最大20個の炭素原子、最大18個の炭素原子、最大12個の炭素原子、最大10個の炭素原子、又は最大6個の炭素原子を有する場合がある。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子又は1〜4個の炭素原子を有する。基R5は共有結合(すなわち、窒素含有化合物がヒドラジン化合物である。)又はアルキレン(すなわち、アルキレンがアルカンの2価の基である。)、アリーレン、アラルキレン、1つ以上のオキシ(−O−)基を有するヘテロアルキレン、又は1つ以上の−NH−基を有するヘテロアルキレンであり得る。
式(V−1)の好適なアルキレンR5基は、通常、少なくとも1個の炭素原子、少なくとも2個の炭素原子、少なくとも3個の炭素原子、又は少なくとも4個の炭素原子を有し、最大20個の炭素原子、最大16個の炭素原子、最大12個の炭素原子、最大10個の炭素原子、又は最大6個の炭素原子を有する場合がある。いくつかの窒素含有化合物は、R1が水素であり、R5がアルキレンであり、R6が水素である、式(V−1)のものである。このような窒素含有化合物の例は、例えば、メチレンジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、及びブチレンジアミンなどのアルキレンジアミンである。両方がアルキルに相当するR1及びR6を有する式(V−1)の窒素含有化合物としては、N,N’−ジメチルエチレンジアミンが挙げられる。
式(V−1)の化合物の他の実施例において、基R5は、少なくとも1つのカテナリー−O−基又は−NH−基を有するヘテロアルキレンである(すなわち、ヘテロアルキレンは、カテナリーヘテロ原子を有するアルカンである、ヘテロアルカンの2価の基である。)。換言すれば、ヘテロアルキレンR3基は、式−Ra−[O−Rb]n−又は−Ra−[NH−Rb]n−[式中、各Ra及び各Rbは独立してアルキレンであり、nは1〜50、1〜40、1〜30、1〜20、1〜10、1〜6又は1〜4の範囲の整数である。]のうちの1つ以上の基を有する。好適なRa及びRbアルキレン基は、多くの場合、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、又は1〜3個の炭素原子を有する。ヘテロアルキレンは、多くの場合、最大30個の炭素原子及び最大16個のヘテロ原子、最大20個の炭素原子及び最大11個のヘテロ原子、又は最大10個の炭素原子及び最大6個のヘテロ原子を有する。このような窒素含有化合物は、式(V−2)及び(V−3)によって表すことができる。
R6HN−Ra−[O−Rb]n−NHR1
(V−2)
R6HN−Ra−[NH−Rb]n−NHR1
(V−3)
いくつかの窒素含有化合物は、R1が水素であり、R5が−O−基を有するヘテロアルキレンであり、R6が水素である、式(V−2)のものである。このような窒素含有化合物の例は、ポリエチレングリコールジアミン及びポリプロピレングリコールジアミンなどのポリ(アルキレンオキシド)ジアミンである。更なる窒素含有化合物は、R1が水素であり、R5が−NH−基を有するヘテロアルキレンであり、R6が水素である、式(V−3)のものである。このような窒素含有化合物は、例えば、式H2N−[(CH2)xNH]y−(CH2)xNH2[式中、xは1〜4の範囲の整数であり、yは1〜10の範囲である。]の化合物であり得る。例としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、及びテトラエチレンペンタミンが挙げられる。
式(V−1)のR5基はまた、アリーレン基又はアラルキレン基の場合もある。好適なアリーレン(すなわち、炭素環式芳香族化合物の2価の基)R5基は、典型的には、6〜12個の炭素原子を有し、多くの場合、フェニレン又はジフェニレンである。好適なアラルキレンR5基は、アリール基で置換されたアルキレン、アルキル基で置換されたアリーレン、又はアルキレン基に結合したアリーレンを有する2価の基を指す。アルキレン又はアラルキレンのアルキル部分は、多くの場合、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有する。アリール又はアラルキレンのアリーレン部分は、多くの場合、6〜12個の炭素原子を有し、多くの場合、フェニル又はフェニレンのいずれかである。R1及びR6の両方が水素であり、R5がアリーレンである式(V−1)の窒素含有化合物の例としては、これに限定されるものではないが、フェニレンジアミンが挙げられる。
更に他の窒素含有化合物は、R6が式(V−4)で示すような−(C=NH)−NH2である、式(V−1)のものである。
NH2−(C=NH)−HN−R5−NHR1
(V−4)
例えば、いくつかの化合物において、R1は水素であり、R5はアルキレンである。このような化合物の1つは、アグマチンである。アグマチンは他の共鳴構造によっても表すことができるが、式(V−1)及び(V−4)の両方の範囲内にあるものとみなされる。
式(V)の他の実施形態において、R4は基−(C=NH)−NH2である。得られる化合物は、式(V−5)のものである。
H2N−(C=NH)−NHR1
(V−5)
R1が水素である場合、この化合物はグアニジンである。
他の好適な窒素含有化合物は、式−NHR1[式中、R1は水素又はアルキルである。]のうちの少なくとも3つの基を有するポリアミンである。このような化合物は、式(VI)のものであり得る。
R7−(NHR1)z
(VI)
式(V)において、R1は上で定義した通りであり、変数zは少なくとも3に相当し、最大10、最大8、最大6、又は最大4であり得る。R7基は、多くの場合、アルカンのz価の基、又はヘテロアルカンのz価の基である。アルカンの好適なz価の基は、多くの場合、4つの隣接基のうちの少なくとも3つが−CH2−である分枝炭素原子を有する。ヘテロアルカンの好適なz価の基は、多くの場合、3つの隣接炭素原子(例えば、アルキレン基又はアルキル基である3つの隣接基)を有する分枝窒素原子を有する、又は、4つの隣接原子のうちの少なくとも3つが炭素(例えば、アルキレン基又はアルキル基である3つの隣接基)である分枝炭素原子を有する。これらのヘテロアルカンのz価の基は、多くの場合、式−Rc−[NH−Rd]p−[式中、各Rc及び各Rdは独立してアルキレンであり、pは1〜50、1〜40、1〜30、1〜20、1〜10、1〜6、又は1〜4の範囲の整数である。]のうちの1つ以上の基を含む。好適なRc及びRdアルキレン基は、多くの場合、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、又は1〜3個の炭素原子を有する。アルカンのz価の基は、多くの場合、少なくとも2個の炭素原子、少なくとも3個の炭素原子、少なくとも4個の炭素原子、又は少なくとも5個の炭素原子を有し、最大20個の炭素原子、最大16個の炭素原子、最大12個の炭素原子、又は最大8個の炭素原子を有する。ヘテロアルカンのz価の基は、多くの場合、最大30個の炭素原子及び最大16個のヘテロ原子、最大20個の炭素原子及び最大11個のヘテロ原子、又は最大10個の炭素原子及び最大6個のヘテロ原子を有する。
式R7−(NHR1)zの具体的なポリアミンとしては、様々なポリイミンが挙げられる。いくつかのポリイミンとしては、各窒素分枝原子が式−Rc−[NH−Rd]p−の3つの基に結合した1つ以上の分枝窒素原子が挙げられる。各分枝部分の末端基は、多くの場合、−NH2などの式−NHR1の基である。例としては、様々な分枝ポリエチレンイミンが挙げられる。別の具体的なポリアミンは、R7がアルカンの3価の基(すなわち、炭素分枝原子が3つの隣接アルキレン基及び1つの隣接メチル基を有する4つの炭素原子に結合している。)であり、各R1が水素であり、zが3に相当する、2−(アミノメチル)−2−メチル−1,3−プロパンジアミンである。
多くの実施形態において、式(V)(式V−1〜V−5を含む。)及び式(VI)のものなどの窒素含有化合物は、2000ダルトン(Da)以下の分子量(又は重量平均分子量)を有する。例えば、分子量(又は重量平均分子量)は、1500Da以下、1000Da以下、750Da以下、500Da以下、又は250Da以下である。
窒素含有化合物は、前駆体ポリマー材料中の式(II)のモノマー単位と反応する。この反応の結果、窒素含有化合物は、反応部位が式(II)のモノマー単位の無水物基(−(CO)−O−(CO)−)であるポリマー材料に共有結合する。環状構造は典型的には開環され、式(VII)、式(VIII)、又はこれらの組み合わせのモノマー単位を形成する。
式(VII)及び(VIII)において、式(V)の窒素含有化合物が用いられる場合、基Aは−NR
1R
4に相当し、式(VI)の窒素含有化合物が用いられる場合、基Aは−NR
1−R
7(NHR
1)
z−1に相当する。あるいは、環状構造は、場合により、式(IX)[式中、A
1は2価の基であり、式(V)の化合物、又は式(VI)から水素原子を2個除いた化合物に相当する。]で示すような形態であり得る。
前駆体ポリマー材料中の式(II)のモノマー単位の各モルに対して、最大2モルの窒素含有化合物が付加され得る。すなわち、式(II)のモノマー単位の総モルに基づいて、最大200モル%の窒素含有化合物が、前駆体ポリマー材料と反応し得る。いくつかの実施形態において、付加される窒素含有化合物の量は、前駆体ポリマー材料中の式(II)のモノマー単位の総モルに基づいて、最大175モル%、最大150モル%、最大125モル%、又は最大100モル%である。窒素含有化合物の量は、前駆体ポリマー材料中の式(II)のモノマー単位の総モルに基づいて、少なくとも1モル%、少なくとも2モル%、少なくとも5モル%、少なくとも10モル%、少なくとも20モル%、少なくとも50モル%、少なくとも75モル%、又は少なくとも100モル%であり得る。いくつかの実施形態において、窒素含有化合物の量は、前駆体ポリマー材料中の式(II)のモノマー単位の総モルに基づいて、1〜200モル%の範囲、10〜200モル%の範囲、50〜200モル%の範囲、50〜150モル%の範囲、75〜150モル%の範囲、75〜125モル%の範囲、又は100〜200モル%の範囲である。
窒素含有化合物を前駆体ポリマー材料と反応させるため、多くの場合、窒素含有化合物を水及び/又は好適な有機溶媒に溶解させる。好適な有機溶媒は、窒素含有化合物を溶解するが、窒素含有化合物とは反応しない溶媒である。例示的な有機溶媒としては、これらに限定されるものではないが、アルコール、テトラヒドロフラン及びジエチルエーテルなどのエーテル、並びに塩化メチレン及びクロロホルムなどの様々な塩素化溶媒が挙げられる。水及び/又は有機溶媒中の窒素含有化合物の濃度は、窒素含有化合物の溶解度に応じて任意の好適な量とすることができる。いくつかの実施形態において、水及び/又は有機溶媒中の窒素含有化合物の濃度は、1〜40重量%の範囲、1〜30重量%の範囲、1〜20重量%の範囲、又は1〜10重量%の範囲である。
窒素含有化合物の溶液は、前駆体ポリマー材料と混合される。窒素含有化合物間の反応は、室温で行うことができる、又は、混合物を室温より高い温度まで加熱することによって行うことができる。例えば、混合物は、30〜120℃の範囲の温度で、数時間〜数日間加熱することができる。いくつかの実施形態において、30〜100℃、40〜90℃、50〜90℃、又は60〜80℃で、12〜24時間、懸濁液を加熱する。
フィルタ支持体(任意の種類のもの)で用いるための収着剤粒子の粒度は、所望に応じて異なってもよい。様々な実施形態において、収着剤粒子は、標準米国メッシュサイズ(グレード)が、少なくとも約4メッシュ(すなわち、粒度は名目上4.8mm未満)、6メッシュ(粒度は名目上3.4mm未満)、8メッシュ(粒度は名目上約2.4mm未満)、12メッシュ(1680マイクロメートル未満)、少なくとも約16メッシュ(<1190マイクロメートル)、少なくとも約20メッシュ(<840マイクロメートル)、少なくとも約40メッシュ(<425マイクロメートル)、又は少なくとも約60メッシュ(<250マイクロメートル)であり得る。更なる実施形態において、収着剤粒子は、標準米国メッシュグレードが、約325メッシュ以下(すなわち、粒度は名目上44マイクロメートル超)、230メッシュ以下(>63マイクロメートル)、140メッシュ以下(>105マイクロメートル)、100メッシュ以下(>150マイクロメートル)、80メッシュ以下(>180マイクロメートル)、60メッシュ以下(>250マイクロメートル)、50メッシュ以下(>300マイクロメートル)、又は45メッシュ以下(>355マイクロメートル)であり得る。
当業者であれば、これらのメッシュサイズの全てが絶対的な標準ではなく、名目上のグレードに相当することを理解するであろう。例えば、材料が12メッシュの材料として記載されている場合、約95%以上の粒子が、12メッシュのふるいを通過する(したがって、名目上、サイズは約1680マイクロメートル未満となる。)。材料が12×20メッシュの材料として記載されている場合、95%以上の材料が12メッシュのふるいを通過し(すなわち、約1680マイクロメートル未満の粒子が12メッシュのふるいを通過する)、20メッシュのふるいに保持される(すなわち、約841マイクロメートル超の粒子は、20メッシュのふるいを通過しない。)。所望により、粒度範囲が異なる収着剤粒子の混合物(例えば、二峰性混合物)を用いることができる。収着剤粒子100を、任意の所望の粒度分布を有するように処理することができる。このような処理としては、例えば、所望に応じて、粒子を篩過すること及び/又は粒子を機械的に粉砕することを挙げることができる。
ポリマー収着剤の多孔性は、低温条件(例えば、77°Kの液体窒素)下における、多孔質材料による窒素又はアルゴンなどの不活性ガスの吸着等温線から特徴付けることができる。吸着等温線は、典型的には、約10−6〜約0.98+0.01の範囲の複数の相対圧力における、多孔質ポリマー収着剤によるアルゴンなどの不活性ガスの吸着を測定することによって得られる。次いで、等温線を、比表面積を算出するためのBET(Brunauer−Emmett−Teller)法など、多孔性及び細孔サイズ分布を特徴付けるための密度汎関数理論(DFT)などの様々な方法を用いて分析する。
用語「表面積」は、到達可能な細孔の内表面を含む、材料の表面の総面積を指す。表面積は、典型的には、相対圧力のある範囲にわたって低温条件(例えば、77°Kの液体窒素)下で材料の表面上に吸着する、窒素又はアルゴンなどの不活性ガスの量を測定することによって得られる吸着等温線から算出される。用語「BET比表面積」は、BET法を用い、相対圧力範囲0.05〜0.30にわたる不活性ガスの吸着等温線データから通常算出される、材料1g当たりの表面積(典型的には、m2/g)である。
ポリマー収着剤は、典型的には、前駆体ポリマー材料よりも小さいBET比表面積を有する。式(VII)及び(VIII)のモノマー単位を形成するための無水物基の開環により、主鎖の立体配座の自由度は十分に増加し、その結果、多孔性は低下し得る。更に、式(VII)、(VIII)、及び(IX)のモノマー単位中の窒素含有基間の水素結合は、場合により、細孔への到達を制限又は阻害する可能性がある。この低下のため、多くの場合、可能な限り最高のBET比表面積を有し、更に、窒素含有化合物と反応するのに十分な無水物基を有する前駆体ポリマー材料を調製することが望ましい。
ポリマー収着剤は、典型的には、少なくとも25m2/g相当のBET比表面積を有する。いくつかの実施形態において、BET比表面積は、少なくとも50m2/g、少なくとも75m2/g、又は少なくとも100m2/gである。BET比表面積は、最大700m2/g若しくはそれ以上、最大600m2/g、最大500m2/g、最大400m2/g、最大300m2/g、又は最大200m2/gであり得る。いくつかの実施形態において、BET比表面積は、25〜600m2/gの範囲、25〜500m2/gの範囲、25〜400m2/gの範囲、25〜300m2/gの範囲、50〜300m2/gの範囲、50〜200m2/gの範囲、75〜200m2/gの範囲、又は50〜100m2/gの範囲である。
BET比表面積は、少なくとも部分的には、ポリマー収着剤中のミクロ細孔及び/又はメソ細孔の存在に起因する。ポリマー収着剤のアルゴン吸着等温線(77°Kにおいて)は、相対圧力0.1未満でアルゴンのかなりの吸着があることを示しており、これはミクロ細孔が存在することを示唆するものである。相対圧力が0.1〜約0.95で、吸着は徐々に増加する。この増加は、メソ細孔の広いサイズ分布を示すものである。
いくつかの実施形態において、ポリマー収着剤のBET比表面積の少なくとも20%は、ミクロ細孔及び/又はメソ細孔の存在に起因する。ミクロ細孔及び/又はメソ細孔の存在に起因するBET比表面積の比率は、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、又は少なくとも60%であり得る。いくつかの実施形態において、ミクロ細孔及び/又はメソ細孔の存在に起因するBET比表面積の比率は、最大90%若しくはそれ以上、最大80%若しくはそれ以上、又は最大75%若しくはそれ以上であり得る。
多孔質ポリマー収着剤は、少なくとも0.05cm3/g相当の総細孔容積を有する。総細孔容積は、約0.98(例えば、0.98±0.01)相当の相対圧力(p/p°)において、液体窒素温度(77°K)で吸着したアルゴンの量から算出される。いくつかの実施形態において、総細孔容積は、少なくとも0.075cm3/g、少なくとも0.10cm3/g、少なくとも0.15cm3/g、少なくとも0.20cm3/g、少なくとも0.25cm3/g、又は少なくとも0.30cm3/gである。総細孔容積は、最大1.0cm3/g若しくはそれ以上、最大0.9cm3/g、最大0.8cm3/g、最大0.7cm3/g、最大0.6cm3/g、又は最大0.5cm3/g、最大0.4cm3/g、最大0.3cm3/g、又は最大0.2cm3/gであり得る。細孔容積は、多くの場合、0.05〜1cm3/gの範囲、0.05〜0.8cm3/gの範囲、0.05〜0.6cm3/gの範囲、0.05〜0.4cm3/gの範囲、0.05〜0.2cm3/gの範囲、又は0.75〜0.2cm3/gの範囲である。
ジビニルベンゼン/無水マレイン酸ポリマー材料の構造は、多孔質ポリマー収着剤用の前駆体ポリマー材料としての使用に特に非常に好適である。スチレン系モノマー由来の式(IV)のモノマー単位の含量が低い場合、ジビニルベンゼン/無水マレイン酸前駆体ポリマー材料は、ジビニルベンゼン及び無水マレイン酸由来の交互モノマー単位を有する。この構造は高い架橋をもたらし、多孔質ポリマー材料、特にミクロ細孔及び/又はメソ細孔の含量が高い多孔質ポリマー材料の生成に寄与する。
いくつかの実施形態において、ポリマー収着剤は、酸塩基指示薬を更に含む。酸塩基呈色指示薬(すなわち、酸性型である状態から塩基性型である状態への変化を受ける際に変色する染料(典型的には有機染料))は、窒素含有化合物と同時に、又は窒素含有化合物の添加後に加えることができる。酸塩基呈色指示薬は、典型的には、窒素含有化合物のpKbよりも低いpKbを有するように選択される。すなわち、酸塩基呈色指示薬は、ポリマー収着剤上の利用可能な窒素含有基の全て又はかなりの部分がアルデヒドと反応した場合に、第1の色から第2の色に変化するように選択される。色の変化は、アルデヒドを収着するポリマー収着剤の容量に達した、又は、ほぼ達していることを示す。本明細書で用いる場合、用語「ほぼ達している」とは、容量の少なくとも60%以上に達した(すなわち、利用可能な収着部位の少なくとも60%以上がアルデヒドの収着に用いられた。)という意味である。例えば、収着部位の少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%が、アルデヒドの収着に用いられている。
窒素含有化合物のpKbを知ることにより、当業者は、より低いpKb値を有する酸塩基呈色指示薬を容易に選択することができる。いくつかの用途において、窒素含有化合物のpKb値と酸塩基呈色指示薬のpKbとの差は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、又は少なくとも4である。酸塩基呈色指示薬のpKbは、多くの場合、3〜10の範囲である。
酸塩基呈色指示薬の例としては、これらに限定されるものではないが、メチルレッド、ブロモキシレノールブルー、パラロザニリン、クリソイジン、チモールブルー、メチルイエロー、ブロモフェニルブルー、コンゴーレッド、メチルオレンジ、ブロモクレゾールグリーン、アゾリトミン、ブロモクレゾールパープル、ブロモチモールブルー、フェノールレッド、ニュートラルレッド、ナフトールフタレイン、クレゾールレッド、フェノールフタレイン、及びチモールフタレインが挙げられる。
酸塩基呈色指示薬は、任意の好適な方法を用いてポリマー収着剤に加えることができる。いくつかの実施形態において、ポリマー収着剤を、酸塩基呈色指示薬の溶液に少なくとも10分間、少なくとも20分間、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、又は少なくとも8時間浸漬する。酸塩基呈色指示薬の溶液は、多くの場合、5〜10mg/mLの濃度範囲である。多くの場合、ポリマー収着剤約0.5gを、溶液約10mLに浸漬する。
ポリマー収着剤は、捕集剤の含浸に基づく収着剤よりも、明確な利点をもたらす。捕集剤は、典型的には、例えば、活性炭のように、マトリックス材料上に単に収着されている。すなわち、捕集剤は、通常、マトリックス材料に共有結合しておらず、移動することができる。対照的に、本明細書に記載のポリマー収着剤は、アルデヒドと相互作用しかつ移動しない、共有結合した窒素含有基を有する。
酸塩基指示薬が存在するいくつかの実施形態において、ポリマー収着剤粒子100の役割は、少なくとも部分的に又は主として、ポリマー収着剤粒子が暴露される空気中にアルデヒドガス(例えばホルムアルデヒド)が存在することを視覚的に示すことである。すなわち、好適なフィルタ支持体10上に提供されたこのようなポリマー収着剤粒子100の集合体は、例えば、Draeger管によって例示される種類の公知のガス検知装置と同様の機能を提供し得る。
別の態様において、エアフィルタ1のフィルタ支持体10上に支持されたポリマー収着剤粒子100によってアルデヒドを収着する方法が提供される。ポリマー収着剤は粒子の形態であり、(a)前駆体ポリマー材料と、(b)窒素含有化合物と、の反応生成物である。上記の通り、収着剤は、任意の好適な粒度分布に、例えば粉砕及び/又は篩過することができる。前駆体ポリマー材料は、重合性組成物の重合生成物を含む前駆体ポリマー材料であって、重合性組成物は、(1)重合性組成物中のモノマーの総重量に基づいて8〜65重量%の無水マレイン酸、(2)重合性組成物中のモノマーの総重量に基づいて30〜85重量%のジビニルベンゼン、及び(3)重合性組成物中のモノマーの総重量に基づいて0〜40重量%のスチレン系モノマー(スチレン系モノマーは、スチレン、アルキル置換スチレン、又はこれらの組み合わせである。)を含有する。窒素含有化合物は、アンモニア、単一の一級アミノ基(−NH2)を有する化合物、又は式−NHR[式中、Rは水素又はアルキルである]のアミノ基少なくとも2つ有する化合物から選択される。好適な窒素含有化合物は、典型的には、上記の式(V)及び(VI)のものである。
多孔質ポリマー収着剤は、アルデヒドを収着する。好適なアルデヒドは、式(I)のものである。
R2−(CO)−H
(I)
式中、R2は水素、アルキル、ビニル、アリール、又はアルキルで置換されたアリールである。好適なアルキル基は、典型的には、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、1〜3個の炭素原子、又は1個の炭素原子を有する。アリール基は、最大12個の炭素原子、又は最大6個の炭素原子を有し得る。アリール基は、多くの場合、フェニルである。アリール基は、1〜4個の炭素原子又は1〜3個の炭素原子を有するアルキル基などのアルキル基で置換されている場合がある。
アルデヒドは、ガス又は蒸気の形態である際に、ポリマー収着剤により収着される。したがって、アルデヒドの分子量は、典型的には、200g/モル以下、150g/モル以下、100g/モル以下、75g/モル以下、又は50g/モル以下である。好適なアルデヒドとしては、これらに限定されるものではないが、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタナール(バレルアルデヒド)、イソバレルアルデヒド、ヘキサナール、ベンズアルデヒド、2,5−ジメチルベンズアルデヒド、2,4−ジメチルベンズアルデヒド、2,3−ジメチルベンズアルデヒド、トルアルデヒド(オルト−トルアルデヒド、メタ−トルアルデヒド、パラ−トルアルデヒド、及びこれらの混合物)、アクロレイン、並びにクロトンアルデヒドが挙げられる。
アルデヒドは、室温において、又は−30℃〜150℃、−30℃〜100℃の範囲、若しくは−20℃〜50℃の範囲などの任意の所望の温度において、収着させることができる。
別の態様において、フィルタ支持体上に支持された多孔質ポリマー収着剤粒子と、多孔質ポリマー収着剤上に収着されたアルデヒドと、を含む組成物が提供される。ポリマー収着剤及びアルデヒドは、上記と同じである。アルデヒドは、ポリマー収着剤上に存在する任意の一級アミノ基又は二級アミノ基と反応することができる。いくつかの実施形態において、ポリマー収着剤は、窒素含有化合物として、式(V)、(V−1)、(V−4)、(V−5)、又は(VI)のいずれかの化合物を用いて生成される。
例示的な実施形態の一覧
実施形態1は、ポリマー収着剤粒子を支持するフィルタ支持体を備えるエアフィルタであって、ポリマー収着剤が、(a)重合性組成物の重合生成物を含む前駆体ポリマー材料であって、重合性組成物が、(1)重合性組成物中のモノマーの総重量に基づいて8〜65重量%の無水マレイン酸、(2)重合性組成物中のモノマーの総重量に基づいて30〜85重量%のジビニルベンゼン、及び(3)重合性組成物中のモノマーの総重量に基づいて0〜40重量%のスチレン系モノマー(スチレン系モノマーは、スチレン、アルキル置換スチレン、又はこれらの組み合わせである。)を含む前駆体ポリマー材料と、(b)アンモニア、単一の一級アミノ基(−NH2)を有する化合物、又は式−NHR[式中、Rは水素又はアルキルである。]のアミノ基を少なくとも2つ有する化合物から選択される窒素含有化合物と、の反応生成物を含み、ポリマー収着剤が多孔質粒子の形態で存在する、エアフィルタである。
実施形態2は、フィルタ支持体が、少なくともいくつかのポリマー収着剤粒子が配置された少なくとも1つの主表面を有する基材を含む、実施形態1に記載のエアフィルタである。実施形態3は、ポリマー収着剤粒子が、実質的に単層として基材の主表面上に存在する、実施形態2に記載のエアフィルタである。実施形態4は、フィルタ支持体が、ポリマー吸着材粒子を有する多孔質の通気性材料を含み、ポリマー収着剤粒子は、材料の主表面上に配置され、及び/又は、材料の少なくとも主表面に近接した位置の材料の内部に配置された、実施形態1に記載のエアフィルタである。実施形態5は、ポリマー収着剤粒子が、多孔質の通気性材料の内部全体に配置されている、実施形態4に記載のエアフィルタである。
実施形態6は、エアフィルタが、フィルタ支持体から本質的になる、実施形態1〜5のいずれかに記載のエアフィルタである。実施形態7は、フィルタ支持体が、シート状材料を含み、シート状材料は、主平面を呈し、約3mm未満の厚さを呈し、少なくともシート状材料の主平面に少なくともほぼ垂直な方向に、空気流がフィルタ支持体を通過できるように構成されている、実施形態1〜6のいずれかに記載のエアフィルタである。実施形態8は、フィルタ支持体が、少なくともいくつかのポリマー収着剤粒子が接着剤付着された主表面を有するネットを含む、実施形態1〜3及び6〜7のいずれかに記載のエアフィルタである。
実施形態9は、フィルタ支持体が、内部を呈する繊維ウェブを含み、ポリマー収着剤粒子が、ウェブの内部の少なくとも部分内に配置されている、実施形態1〜7のいずれかに記載のエアフィルタである。実施形態10は、ポリマー収着剤粒子が、繊維ウェブの内部全体に配置されている、実施形態9に記載のエアフィルタである。実施形態11は、ウェブが不織布繊維ウェブである、実施形態9〜10のいずれかに記載のエアフィルタである。実施形態12は、不織布繊維ウェブがメルトブローンウェブである、実施形態11に記載のエアフィルタである。実施形態13は、繊維ウェブの少なくともいくつかの繊維がそれぞれ、少なくとも1つのポリマー収着剤粒子に結合されている、実施形態9〜12のいずれかに記載のエアフィルタである。
実施形態14は、フィルタ支持体が多層通気性アセンブリの1つの層である、実施形態1〜13のいずれかに記載のエアフィルタである。実施形態15は、多層通気性アセンブリが、フィルタ支持体と同じ層ではなく、かつ50未満の透過百分率を呈する粒子濾過層である少なくとも1つの層を含む、実施形態14に記載のエアフィルタである。実施形態16は、粒子濾過層がエレクトレット部分を含む、実施形態15に記載のエアフィルタである。
実施形態17は、フィルタ支持体が、50未満の透過百分率を呈する濾材である、実施形態1〜16のいずれかに記載のエアフィルタである。
実施形態18は、フィルタ支持体がプリーツ加工されている、実施形態1〜17のいずれかに記載のエアフィルタである。
実施形態19は、エアフィルタが、強制空気加熱ユニット、強制空気冷却ユニット、強制空気加熱/冷却ユニット、室内空気清浄器、及び自動車用車内空気濾過ユニットからなる群から選択される空気処理装置のエアフィルタ受け部に挿入されるように構成されたフレーム付きエアフィルタである、実施形態1〜18のいずれかに記載のエアフィルタである。
実施形態20は、フィルタ支持体が、収着剤粒子が内部に配置されている貫通孔を有するハニカムを含む、実施形態1、6、及び14〜16のいずれかに記載のエアフィルタである。
実施形態21は、フィルタ支持体が濾過フェースピース呼吸マスクの層を提供する、実施形態1〜5及び7〜18のいずれかに記載のエアフィルタである。実施形態22は、濾過フェースピース呼吸マスクが、平坦折り畳み式呼吸マスク及び成形された呼吸マスクからなる群から選択される、実施形態21に記載のエアフィルタである。
実施形態23は、フィルタ支持体が、ポリマー収着剤粒子が配置された内部を有し、かつ少なくとも1つの空気吸入口及び少なくとも1つの空気排出口を有する容器を含む、実施形態4〜18のいずれかに記載のエアフィルタである。実施形態24は、フィルタ支持体がフィルタカートリッジを含む、実施形態23に記載のエアフィルタである。実施形態25は、フィルタカートリッジが、ハーフフェース負圧呼吸マスク、フルフェース負圧呼吸マスク、避難フード、及び動力式空気清浄呼吸マスクからなる群から選択される個人用保護装置と共に用いられるように構成されている、実施形態24に記載のエアフィルタである。
実施形態26は、空気からアルデヒドの少なくとも一部を捕集する方法であって、方法が、実施形態1〜25のいずれかに記載のポリマー収着剤粒子を有するフィルタ支持体を備えるエアフィルタを、ポリマー収着剤粒子が空気に暴露されるように配置することと、空気中に存在するアルデヒドの少なくとも一部をポリマー収着剤粒子に収着させることと、を含み、アルデヒドが、式(I):R2−(CO)−H[式中、R2は水素、アルキル、ビニル、又はアリールである。]のものであり、式(I)のアルデヒドの分子量は200g/モル以下である、方法である。実施形態27は、R2が水素又はメチルである、実施形態26に記載の方法である。
実施形態28は、フィルタ支持体が主表面を呈し、空気が、フィルタ支持体の主表面の平面と少なくともほぼ一致する方向に移動する空気流の形態で存在する、実施形態26〜27のいずれかに記載の方法である。実施形態29は、フィルタ支持体が、空気流を、フィルタ支持体を通して通過させ、空気が、フィルタ支持体の少なくとも一部分を、フィルタ支持体の主表面に少なくともほぼ垂直な方向に通過する空気流の形態で存在する、実施形態26〜27のいずれかに記載の方法である。
実施形態30は、実施形態1〜25のいずれかに記載のエアフィルタを用いて実施される、実施形態26〜27のいずれかに記載の方法である。
実施形態31は、ポリマー収着剤粒子を有するフィルタ支持体を備えるエアフィルタの製造方法であって、方法が、(a)重合性組成物の重合生成物を含む前駆体ポリマー材料であって、重合性組成物が、(1)重合性組成物中のモノマーの総重量に基づいて8〜65重量%の無水マレイン酸、(2)重合性組成物中のモノマーの総重量に基づいて30〜85重量%のジビニルベンゼン、及び(3)重合性組成物中のモノマーの総重量に基づいて0〜40重量%のスチレン系モノマーであって、スチレン、アルキル置換スチレン、又はこれらの組み合わせであるスチレン系モノマー、を含む前駆体ポリマー材料を準備することと、(b)前駆体ポリマー材料を、アンモニア、単一の一級アミノ基(−NH2)を有する化合物、又は式−NHR[式中、Rは水素又はアルキルである。]のアミノ基を少なくとも2つ有する化合物から選択される窒素含有化合物と反応させ、共有結合した窒素含有基を有しかつ粒子の形態であるポリマー収着剤を生成させることと、(c)ポリマー収着剤粒子をフィルタ支持体上に支持させることと、を含む方法である。
実施形態32は、エアフィルタが、少なくとも1つの二次収着剤を更に含む、実施形態1〜25のいずれかに記載のエアフィルタである。実施形態33は、少なくとも1つの二次収着剤が活性炭を含む、実施形態32に記載のエアフィルタである。
実施形態34は、重合性組成物が、15〜65重量%の無水マレイン酸、30〜85重量%のジビニルベンゼン、及び0〜40重量%のスチレン系モノマーを含む、実施形態1〜25及び32〜33のいずれかに記載のエアフィルタである。実施形態35は、重合性組成物が、25〜65重量%の無水マレイン酸、30〜75重量%のジビニルベンゼン、及び1〜20重量%のスチレン系モノマーを含む、実施形態1〜25及び32〜33のいずれかに記載のエアフィルタである。実施形態36は、重合性組成物が、30〜65重量%の無水マレイン酸、30〜70重量%のジビニルベンゼン、及び1〜20重量%のスチレン系モノマーを含む、実施形態1〜25及び32〜33のいずれかに記載のエアフィルタである。
実施形態37は、窒素含有化合物が、式(V):R4NHR1[式中、R1は水素又はアルキルであり、R4は水素、アルキル、式−R5−NHR6又は−(C=NH)−NH2の基であり、R5は共有結合、アルキレン、アリーレン、アラルキレン、1つ以上のオキシ(−O−)基を有するヘテロアルキレン、又は1つ以上の−NH−基を有するヘテロアルキレンであり、R6は水素、アルキル、又は−(C=NH)−NH2である。]のものである、実施形態1〜25及び32〜36のいずれかに記載のエアフィルタである。実施形態38は、式(V)の窒素含有化合物が2000ダルトン以下の分子量を有する、実施形態37に記載のエアフィルタである。
実施形態39は、窒素含有化合物が、式(VI):R7−(NHR1)z[式中、R7はアルカンのz価の基又はヘテロアルカンのz価の基であり、zは3〜10の範囲の整数である。]のものである、実施形態1〜25及び32〜36のいずれかに記載のエアフィルタである。
実施形態40は、ポリマー収着剤が酸塩基染料を更に含む、実施形態1〜25及び32〜39のいずれかに記載のエアフィルタである。
分析及び特徴付け手順
多孔性及びガス収着の試験を、「Polymeric Sorbents for Aldehydes」と題するWendlandへの米国特許仮出願第62/269613号に記載の手順と同様に実施した。この仮出願の全容が、参照により本明細書に組み込まれる。
実施例A
前駆体ポリマー材料のバッチを、Wendlandへの米国特許仮出願第62/269613号の実施例14の記載とほぼ同様に、調製した。前駆体ポリマー材料は、BET比表面積(SABET)が約320m2/gの範囲、総細孔容積が約0.250cm3/gの範囲であった(0.98相当の分圧(p/p°)で測定した。)。
ポリマー前駆体材料を8×12メッシュに篩過した。32オンスの広口瓶中で、エチレンジアミン(EDA)164mL(2.45モル)を、エタノール(EtOH)492mLに溶解させた。この溶液に、ポリマー前駆体材料100gを加えた。広口瓶に蓋をし、回転装置にセットした。広口瓶を室温で、18時間回転させた。固体を真空濾過によって分離し、EtOHで洗浄した。固体を32オンスの広口瓶に入れ、この広口瓶にEtOHを50mL加えた。固体をEtOH中に4時間静置した。固体を真空濾過によって再度分離し、EtOHで洗浄した。次いで、固体を、120℃のバッチ式オーブン中で3時間乾燥させた。この生成物(ポリマー収着剤)は、BET比表面積(SABET)が約140m2/gの範囲、総細孔容積が約0.17cm3/gの範囲であった(0.98相当のp/p°)。
エアフィルタ(室内空気清浄器での使用のためにモデルKJEA−400として販売され、3M Company(Shanghai,China)より入手可能)を入手した。入手したフィルタは、活性炭であると考えられ、6×12メッシュの範囲の粒子の形態であるとみられる収着剤が充填されたハニカム支持体を備えていた。保護スクリーンをハニカムの一方の主面側から取り外し、活性炭を廃棄し(ハニカムの各貫通孔から)、ほぼ同等の容積の上記のポリマー収着剤で置き換えた。(しかしながら、用いたポリマー収着剤の総重量は、ポリマー収着剤の密度が著しく低いため、置き換えられた活性炭の重量の約40%に過ぎなかった。)この保護スクリーンを元通りに取り付け、実施例Aのエアフィルタを得た。
同様のハニカム型エアフィルタを得て(活性炭は、供給されたまま内部に残した。)、比較例として用いた。
ホルムアルデヒド捕集効率試験を、2つのフィルタ試料について、9百万分率(体積比)のホルムアルデヒドのチャレンジに対し、相対湿度50%、空気流156LPMで実施した。パラホルムアルデヒド溶液を湿度50%の空気流中で加熱することにより、ホルムアルデヒドを発生させた。California Analytical Instrumentsの光音響検出器を用い、ホルムアルデヒド濃度を測定した。ホルムアルデヒド捕集効率は、効率(%)=100×(1−C下流(フィルタ使用時)/C下流(フィルタ不使用時))[式中、Cは流動する空気流中のホルムアルデヒドの濃度である。]によって算出した。図9は、時間の関数としてのホルムアルデヒド捕集効率のプロットを示し(各エアフィルタ/収着剤試料について)、図10は、時間(x)軸を各収着材が用いられた単位面積当たりの質量(g/m2)で規準化した図9のデータを示す。
ホルムアルデヒド捕集効率プロットから、95%ホルムアルデヒド破過時の総ホルムアルデヒド負荷容量を求めた。これは、(規準化したデータを用い)標準的な適合法を用い、直線をプロットに適合させ、ホルムアルデヒド捕集効率が5%に低下した時点のx軸上の点に直線を外挿することによって行った。次いで、この直線の下の面積を算出し、ホルムアルデヒドの質量流量と単位面積当たりの収着剤質量とを乗し、ホルムアルデヒド容量を求めた(フィルタ面積の1平方メートル当たりの収着されたホルムアルデヒドをグラム単位で報告した)。
テーブルAにおいて、試験面積は、移動空気流に暴露されたハニカムの開口の総面積である(両方のフィルタ試料について同じ。)。ホルムアルデヒド容量は、上記の手順から得られた95%ホルムアルデヒド破過時のホルムアルデヒド負荷容量である。収着剤重量は、フィルタ試料の単位面積当たりの収着剤の充填量である。収着剤容量はホルムアルデヒド容量を収着剤重量で除したものであり、その結果、収着容量は、用いられた収着剤の質量当たりの捕集されたホルムアルデヒドの質量として(単位%で)報告される。初期効率は、(図10の)ホルムアルデヒド捕集効率プロットをゼロのx軸値に延長することによって得られ、収着剤のホルムアルデヒドへの初期の暴露に際してのホルムアルデヒド捕集における収着効率の推定値が得られる。
実施例B
前駆体ポリマー材料のバッチを、実施例Aについて上記したのとほぼ同様に作製した。手順を合計6回繰り返し、20×60メッシュで篩過したポリマー前駆体材料1256gを集めた。5ガロンのプラスチック容器中で、EDA2056mL(30.8モル)を、EtOH8225mLに溶解させた。この溶液に、ポリマー前駆体材料1256gを加えた。容器に蓋をし、回転装置にセットした。容器を室温で18時間回転させた。固体を真空濾過によって単離し、EtOHで洗浄した。固体を5ガロンのプラスチック容器に入れ、この容器にEtOHを8.0L加えた。固体をEtOH中で4時間静置した。固体を真空濾過によって再度分離し、EtOHで洗浄した。次いで、固体を120℃のバッチ式オーブン中で3時間乾燥させた。この生成物(ポリマー収着剤)は、BET比表面積(SABET)が約140m2/gの範囲、総細孔容積が約0.17cm3/gの範囲であった(0.98相当のp/p°)。
ポリマー収着剤粒子を含むフィルタ支持体である中間層を含む3層の積層体を、Foxへの米国特許出願公開第2012/272829号の記載と同様のプロセスで形成した。簡潔に要約すると、第1のカバー層を、移動するコレクタ表面上に繰り出し、熱可塑性メルトブローン繊維とポリマー収着剤粒子とを混合した混合物を第1のカバー層上に堆積させ、メルトブローン繊維がまだかなり温かく、粘着性であるうちに、第2のカバー層をメルトブローン繊維/収着剤粒子層に接触させた。その結果、中間のメルトブローン繊維/収着剤粒子層が、第1及び第2のカバー層の両方に融着した。
第1のカバー層は、Foxへの米国特許第7947142号に開示の一般的な種類の静電的に帯電したメルトスパンボンド不織布材である。第1のカバー層は非常に硬く、以下の特性を呈した(平坦なウェブとして測定):基本重量107g/m2、ソリディティ10%、及び透過百分率(DOP)20。第2のカバー層は、Berriganへの米国特許仮出願第61/873110号に記載の一般的な種類のスパンボンドポリプロピレン不織布材である。第2のカバー層は最小の剛性を有し、基本重量は44g/m2であり、試験速度14cm/秒で0.34mmH2Oの通気抵抗を呈した。メルトブローン繊維は、Dowより商標名VERSIFY 4301で入手可能な熱可塑性エラストマー製であり、用いられたメルトブロー条件下で、メルトブローン繊維は、中間(メルトブローン繊維/収着剤)層の約16重量%を占めた。
得られた3層の繊維ウェブは、試験速度14cm/秒で面積重量533g/m2、通気抵抗8.41mm H2Oを呈し、総収着剤含量は321g/m2であった。このウェブは、プリーツ高さ25mm及びプリーツ間隔12.5mmの折り畳みブレード式プリータを用い、プリーツ状の構造に形成した。ウェブは、作製されたままで直接プリーツ加工が可能であり、プリーツ形状を良好に形成及び保持するために、一貫したプリーツ間隔を維持するために用いられる、プリーツ山部に取り付けられた薄いストリップのほかに、いずれの補強層(例えばワイヤメッシュ)も積層する必要はなかった。ウェブ剛性の大部分は、第1のカバー層による寄与であるとみられた。
プリーツ加工した実施例Bのエアフィルタ試料についてホルムアルデヒド捕集効率試験を実施した。結果は、図11に上記の比較例(ハニカム−活性炭)と共に示す。この場合には、実施例Bのデータへの最良適合は、直線適合ではなく、指数曲線によって求めた。ハニカム(比較例)のデータは、ホルムアルデヒド捕集効率が5%に低下した時点まで外挿する必要があったが、実施例Bについてはこの時点に対する実測データが得られ、外挿はほとんど又は全く不要であった。
実施例C
前駆体ポリマー材料のバッチを、実施例Aについての上記とほぼ同様に作製した。違いは、バッチサイズが非常に小さい(手順を、2.0Lの容器ではなく300ccの容器中で実施した。)ことと、高い固形分率で実施したことであるが、モノマーの組成は同じであった(34重量%のジビニルベンゼン、57.5重量%の無水マレイン酸、及び8.5重量%のスチレン系モノマー)。
32オンスの広口瓶中で、EDA115mL(1.72モル)を、EtOH230mLに溶解させた。この溶液に、ポリマー前駆体材料(8×12メッシュに篩過した)17.5gを加えた。広口瓶に蓋をし、80℃の砂浴に入れた。この懸濁液をこの高温で18時間加熱した。固体を真空濾過によって単離し、EtOHで洗浄した。固体を8オンスの広口瓶に入れ、この広口瓶にEtOHを200mL加えた。固体をEtOH中に4時間静置した。固体を真空濾過によって再度単離し、EtOHで洗浄した。次いで、固体を高真空下において、80℃で8時間乾燥させた。この生成物(ポリマー収着剤)は、BET比表面積(SABET)が約140m2/gの範囲、総細孔容積が約0.17cm3/gの範囲であった(0.98相当のp/p°)。
ネットは、Delstar Technologiesより商品名DELNET R0412−10PRで入手した。このネットは、報告によると基本重量が60g/m2であった。ネットは、互いにほぼ垂直に方向付けられた2組のフィラメントを含み、それぞれの寸法が約1.7×0.7mmであるほぼ矩形の貫通孔(開口)の配列を形成した。感圧接着剤前駆体(コーティング溶液)をネットの両側に適用し、溶剤を乾燥させ、ネットのそれぞれの側に、(アクリル系)PSAを、それぞれの側の基本重量を約30g/m2で残存させた。コーティングしたネットもまた、プリーツ高さ25mm及びプリーツ間隔12.5mmの折り畳みブレード式プリータ上で、プリーツ状に形成した。プリーツ加工終了後、収着剤粒子が、プリーツ加工したネットの主表面上に存在するPSAに接着剤付着するように、プリーツ加工したネットの両側に、収着剤粒子を手動で散布した。収着剤は、基本重量約800g/m2(両側の収着剤粒子を合計して)で得られた。
プリーツ加工した実施例Cのエアフィルタ試料についてホルムアルデヒド捕集効率試験を実施した。結果は、図12に上記の比較例(ハニカム−活性炭)と共に示す。ハニカム(比較例)のデータは、ホルムアルデヒド捕集効率が5%に低下した時点まで外挿する必要があったが、実施例Cについてはこの時点に対する実測データが得られ、外挿はほとんど又は全く不要であった。
上記の実施例で示されたように、本明細書に開示のポリマー収着剤粒子は、フィルタ支持体上に配置されてエアフィルタを形成する場合、例えば代表的な活性炭に比べ、ホルムアルデヒドを捕集する能力の向上を呈することができる。これは、様々なフィルタ支持体(例えば、ハニカム、ネット、及び繊維ウェブ)について示され、ポリマー収着剤粒子の能力の向上は全てのフィルタ支持体の形式を通して一貫し、例えば収着容量パラメータにおいて特に明白であった。
本出願の特許請求の範囲は、「Polymeric Sorbents for Aldehydes」と題するWendlandへの米国特許仮出願第62/269613号を、参照により組み込む。その出願は、(組成及び手順が上記の実施例で用いられたものと同様である実施例14に加え)ポリマー収着剤が、様々な(例えば、ジビニルベンゼン、無水マレイン酸、及びスチレン系モノマーの)モノマー比を用い、様々なアミン(例えば、水酸化アンモニウム、ヒドラジン一水和物、エチレンジアミン、及びN、N’−ジメチルエチレン−ジアミン)、及び様々な反応条件を用いて作製された、多数の他の実施例を含んでいる。これらの実施例は簡略化のため本明細書中では再現しなかったが、上記の’613号出願におけるこれらの実施例のポリマー収着剤の特徴(例えば多孔性、表面積、総細孔容積、及び特にホルムアルデヒドの吸着に関して)により、当業者は、これらの実施例の収着剤が示した特性(特にホルムアルデヒドを収着する向上した能力)が、これらの材料が本明細書に開示のように任意の好適なフィルタ支持体上に配置されることが同様に呈されることを予期するであろう。
前述の実施例は、理解を明確にするためにのみ提示したものであり、これらの実施例による不要な限定はないものと理解される。実施例に記載の試験及び試験結果は、予測的なものではなく、例示的なものであることが意図され、試験手順の変更により、異なる結果がもたらされることが予想され得る。実施例中の全ての定量値は、用いられた手順に含まれる周知の許容誤差を考慮した近似的なものと理解される。
本明細書に開示の特定の例示的な要素、構造、特徴、詳細、構成などは、多数の実施形態において改変及び/又は組み合わされ得ることが、当業者には明らかであろう。全てのこのような変更及び組み合わせは、例示的な説明のために選択された代表的な設計としてだけではなく、考案された発明の範囲内にあることが、本発明者によって想定される。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載の特定の例示的な構造に限定されるのではなく、少なくとも特許請求の範囲の文言によって説明される構造、及びこれらの構造の同等物にまで拡大する。本明細書に代替物として明確に記載されている要素のいずれも、所望により、任意の組み合わせにおいて、特許請求の範囲に明示的に含まれる場合がある、又は、特許請求の範囲から除外される場合がある。オープンエンドの用語(例えば、を含む及びその派生語)で本明細書に記載されている要素又は要素の組み合わせのいずれも、クローズエンドの用語(例えば、からなる及びその派生語)及び部分的にクローズエンドの用語(例えば、から本質的になる、及びその派生語)で更に記載されているものとみなされる。様々な理論及び可能な機構が本明細書で説明可能であるが、いかなる場合であっても、このような説明は、特許請求可能な主題を限定するものではない。本明細書の記載と、参照によって本明細書に組み込んだいずれかの文書の開示との間に何らかの矛盾又は不一致が存在する場合、本明細書の記載が優先するものとする。