JP6955745B2 - ポリアミド樹脂組成物およびそれからなる発泡成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリアミド樹脂組成物およびそれからなる発泡成形体に関するものである。
ポリアミド6、ポリアミド66に代表される脂肪族の汎用ポリアミド樹脂は、耐薬品性、剛性、摺動性、成形性等の優れた性質を有しているため、広範な用途に用いられている。そして、その発泡成形体は、その軽量性、緩衝性、耐熱性等を活かして、緩衝材、包装材、建材等への応用が検討されている。
ポリアミド樹脂の発泡成形体は、ポリアミド樹脂が溶融粘度、伸張粘度ともに低い樹脂であるため、従来から、架橋剤や発泡剤を添加し、単軸押出機中でポリアミド樹脂を増粘させながら発泡剤を溶解させて押出発泡させたり(化学発泡法)、温度変化や圧力変化により膨張されたガスによって押出発泡させたり(物理発泡法)することにより製造されている。しかしながら、ポリアミド樹脂単独の発泡成形体では衝撃強度等の機械的強度が十分ではない。そのため、本発明者らは、特許文献1において、微細化されたセルロース繊維を含有したコアバック射出発泡成形用のポリアミド樹脂組成物を提案している。
国際公開2014/171430号パンフレット
しかしながら、特許文献1のポリアミド樹脂組成物は、コアバック法には適した樹脂組成物ではあったが、伸張粘度が低いため、押出発泡成形によって発泡成形体を製造することができなかった。
本発明は、上記のような問題点を解決するものであり、押出発泡成形に適したポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)ポリアミド樹脂100質量部と、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維0.1〜10.0質量部と、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル0.1〜5.0質量部とを含有するポリアミド樹脂組成物
(2)(1)記載のポリアミド樹脂組成物からなる発泡成形体。
本発明によれば、押出発泡成形に適したポリアミド樹脂組成物を提供することができる。本発明のポリアミド樹脂組成物からなる発泡成形体は、緩衝材、包装材、建材等の各種用途に用いることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂と、平均繊維径が10μm以下であるセルロース繊維と、発泡核剤とを含有する。
本発明で用いるポリアミド樹脂は、アミノカルボン酸、ラクタムまたはジアミンとジカルボン酸とから形成されるアミド結合を有する重合体をいう。
アミノカルボン酸としては、例えば、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、4−(アミノメチル)安息香酸が挙げられる。
ラクタムとしては、例えば、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムが挙げられる。
ジアミンとしては、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,4−ジメチルオクタメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジンが挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ジグリコール酸が挙げられる。
本発明で用いるポリアミド樹脂の具体例としては、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ポリアミド116)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミドTMHT)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポリヘキサメチレンテレフタル/イソフタルアミド(ポリアミド6T/6I)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドPACM12)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ポリアミド9T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド10T)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド11T)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ポリアミド11T(H))やこれらの共重合体や混合物が挙げられる。中でも、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12やこれらの共重合体や混合物が好ましい。
本発明で用いるセルロース繊維としては、例えば、木材、稲、綿、麻、ケナフ等に由来するもの、バクテリアセルロース、バロニアセルロース、ホヤセルロース等の生物由来のもの、再生セルロース、セルロース誘導体が挙げられる。
大きさが均一でかつ細かい発泡セルを多量に有する発泡成形体とするには、セルロース繊維を凝集させることなく、樹脂組成物中に均一に分散させることが好ましい。このためにはポリアミド樹脂に対するセルロース繊維の分散性や、ポリアミド樹脂とセルロース繊維の親和性が重要である。また、セルロース繊維が有する性質をできるだけ発揮させるためには、セルロース繊維の表面積を増やすことが重要である。このため、できるだけ微細化されたセルロース繊維を用いることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物中に含有されるセルロース繊維は、平均繊維径が10μm以下であることが必要で、1μm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましく、40〜100nmであることがさらに好ましい。セルロース繊維の平均繊維径が10μmを超える場合、セルロース繊維の表面積を増やすことができず、ポリアミド樹脂に対する分散性や親和性を向上させることが困難となる。この結果、前記セルロース繊維を用いたポリアミド樹脂組成物から得られる発泡成形体は、発泡セルの大きさが均一にならなかったり、発泡セルが大きくなったりする。また、セルロース繊維の凝集物が目視で確認されるようになり、表面外観、耐衝撃性に劣るものとなる。
ポリアミド樹脂組成物中のセルロース繊維の平均繊維径を10μm以下とするには、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維を用いることが好ましい。
平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維としては、例えば、セルロース繊維を引き裂くことによってミクロフィブリル化したものや、屑糸として出されたセルロース繊維の集合体や、バクテリアが産出したバクテリアセルロースや、セルロース繊維を酸化させた後に微細化されたセルロース繊維が挙げられる。
セルロース繊維を引き裂くことによってミクロフィブリル化したものは、セルロース繊維を、ボールミル、石臼粉砕機、高圧ホモジナイザー、ミキサー等各種粉砕装置を用いて引き裂くことによって得ることができる。市販品としては、例えば、ダイセルファインケム社製の「セリッシュ」が挙げられる。
屑糸として出されたセルロース繊維の集合体は、紡績時、織布時、不織布製造時、そのほか繊維製品の加工時等に屑糸して得ることができる。これらのセルロース繊維の集合体は、セルロース繊維が前記工程を経た後に屑糸となったものであるため、セルロース繊維が微細化したものとなっている。
バクテリアが産出するバクテリアセルロースとしては、例えば、アセトバクター族の酢酸菌を生産菌として産出されたものが挙げられる。植物のセルロースは、セルロースの分子鎖が収束したもので、非常に細いミクロフィブリルが束になって形成されているものであるのに対し、酢酸菌より産出されたセルロースはもともと幅20〜50nmのリボン状であり、植物のセルロースと比較すると極めて細い網目状を形成している。
セルロース繊維を酸化させた後に微細化されたセルロース繊維としては、例えば、N−オキシル化合物の存在下にセルロース繊維を酸化させた後に、水洗、物理的解繊させたものが挙げられる。N−オキシル化合物としては、例えば、2,2,6,6−Tetramethylpiperidine−1−oxyl radicalが挙げられる。
本発明におけるポリアミド樹脂組成物中のセルロース繊維は、平均繊維径と平均繊維長との比であるアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)が10以上であることが好ましく、50以上であることがより好ましく、100以上であることがさらに好ましい。アスペクト比が10以上であることにより、得られる発泡成形体の機械的特性が向上しやすくなる。
ポリアミド樹脂組成物中のセルロース繊維の含有量は、ポリアミド樹脂100質量部に対して、0.1〜10.0質量部とすることが必要であり、0.5〜10.0質量部とすることが好ましく、0.5〜5.0質量部とすることがより好ましい。セルロース繊維の含有量が0.1質量部未満である場合、発泡成形において発泡しにくくなるため、大きさが均一でかつ細かい発泡セルを多量に有する発泡成形体を得ることができないので好ましくない。一方、セルロース繊維の含有量が10.0質量部を超える場合、セルロース繊維をポリアミド樹脂組成物中に含有させることが困難となったり、得られる発泡成形体中の発泡セルの大きさが不均一になったりするので好ましくない。
中でも、本発明におけるポリアミド樹脂組成物を、後述するような製造法で得ることにより、セルロース繊維の含有量が少量であっても、それがポリアミド樹脂中に均一に分散されたポリアミド樹脂組成物となるので、発泡成形において、十分に発泡し、かつ大きさが均一でかつ細かい発泡セルを多量に有する発泡成形体を得ることが可能となる。
セルロース繊維は水との親和性が非常に高く、平均繊維径が小さいほど水に対して良好な分散状態を保つことができる。また、水を失うと水素結合により強固にセルロース繊維同士が凝集し、一旦凝集すると凝集前と同様の分散状態をとることが困難となる。特にセルロース繊維の平均繊維径が小さくなるほどこの傾向が顕著となる。そのため、セルロース繊維は水を含んだ状態でポリアミド樹脂と複合化することが好ましい。本発明においては、ポリアミド樹脂の重合時に、水を含んだ状態のセルロース繊維の存在下に、ポリアミド樹脂を構成するモノマーの重合反応を進行させることにより、セルロース繊維を含有するポリアミド樹脂組成物を得る方法を採ることが好ましい。このような製造法により、ポリアミド樹脂中にセルロース繊維を凝集させずに均一に分散させることが可能となる。
本発明においては、得られるポリアミド樹脂組成物の伸張粘度を向上させる目的で、多官能化合物を用いる必要がある。多官能化合物としては、例えば、多官能エポキシ化合物、多官能イソシアネート化合物、多官能カルボジイミド化合物、多官能カルボン酸無水物が挙げられる。中でも、反応性、反応温度、汎用性、コストの観点から、多官能エポキシ化合物と多官能カルボジイミド化合物が好ましい。多官能化合物は、単独で用いてもよいし、併用してもよい。多官能化合物は、1分子鎖あたり、2〜100個の官能基を有することが好ましい。
多官能エポキシ化合物としては、低分子の多官能エポキシ化合物と高分子の多官能エポキシ化合物が挙げられる。低分子の多官能エポキシ化合物としては、例えば、ポリグリシジルエーテル化合物が挙げられ、市販品としては、例えば、阪本薬品工業社製「SR−TMP」、ナガセケムテックス社製「デナコールEX−521」が挙げられる。高分子の多官能エポキシ化合物としては、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、アクリル・スチレン共重合体、シリコーン・アクリル共重合体、ポリエチレングリコール樹脂を主成分とするものが挙げられる。ポリエチレン樹脂を主成分とするものの市販品としては、例えば、住友化学社製「ボンドファストE」が挙げられる。アクリル樹脂を主成分とするものの市販品としては、例えば、東亞合成社製「レゼダGP−301」、「ARUFONUG−4000」、三菱レイヨン社製「メタブレンKP−7653」が挙げられる。アクリル・スチレン共重合体を主成分とするものの市販品としては、例えば、BASF社製「Joncryl−ADR−4368」、東亞合成社製「ARUFON UG−4040」が挙げられる。シリコーン・アクリル共重合体を主成分とするものの市販品としては、例えば、三菱レイヨン社製「メタブレンS−2200」が挙げられる。ポリエチレングリコール樹脂を主成分とするものの市販品としては、例えば、日油社製エピオール「E−1000」が挙げられる。
多官能イソシアネート化合物としては、モノメリックMDI(MDI:メチレンビス(4,1−フェニレン)ジイソシアネート)やポリメリックMDIや芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。モノメリックMDIの市販品としては、例えば、BASF社製「ルプラネートMS」が挙げられる。ポリメリックMDIの市販品としては、例えば、日本ポリウレタン工業社製「ミリオネートMR−200」、BASF社製「ルプラネートM20S」が挙げられる。芳香族ポリイソシアネートの市販品としては、例えば、日本ポリウレタン工業社製「ミリオネートMT」が挙げられる。
多官能カルボジイミド化合物としては、例えば、芳香族ポリカルボジイミド、脂肪族(脂環族)ポリカルボジイミドが挙げられる。芳香族ポリカルボジイミドの市販品としては、例えば、ラインケミー社製「スタバックゾールP」、「スタバックゾールP−400」が挙げられる。脂肪族(脂環族)ポリカルボジイミドの市販品としては、例えば、日清紡績社製「カルボジライトLA−1」が挙げられる。
多官能オキサゾリン化合物としては、例えば、1,3−フェニレン−ビスオキサゾリン等の芳香族ポリオキサゾリン、オキサゾリン含有ポリマーが挙げられる。オキサゾリン含有ポリマーの市販品としては、例えば、日本触媒社製「エポクロス」が挙げられる。
多官能カルボン酸無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
多官能化合物の分子量は、2000〜200000であることが好ましく、2000〜100000がより好ましく、5000〜50000がさらに好ましい。分子量が2000未満である場合、溶融混練により芳香族ポリアミドと反応させる際に分解したり、揮発したり、均一に分散しなかったりといった問題が生じ、操業性や製造性が低下する場合がある。一方、分子量が200000を超える場合、伸張粘度の増大効果が小さかったり、均一に分散しなかったりする場合がある。多官能化合物の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した重量平均分子量を用いることができる。測定の際に用いられる溶離液は、試料の溶離液への溶解性を考慮して選択されるが、例えば、クロロホルム、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラヒドロフランが挙げられる。
ポリアミド樹脂組成物中の多官能化合物の含有量は、ポリアミド樹脂100質量部に対して、0.1〜5.0質量部とすることが必要で、0.2〜3.0質量部とすることが好ましく、0.3〜1.0質量部とすることがより好ましい。多官能化合物の含有量が0.1質量部未満の場合、配合効果が小さいので好ましくない。一方、多官能化合物の含有量が5.0質量%を超える場合、溶融時の流動性が乏しく取扱性が困難となるので好ましくない。
本発明においては、より微細な気泡を有する発泡成形体を製造する目的で、気泡調整剤を用いてもよい。気泡調整剤としては、例えば、酸化チタン、タルク、カオリン、クレー、珪酸カルシウム、シリカ、クエン酸ソーダ、炭酸カルシウム、珪藻土、焼成パーライト、ゼオライト、ベントナイト、ガラス、石灰石、硫酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸第二鉄、ポリテトラフルオロエチレン粉末、セルロースが挙げられる。このような気泡調整剤は、発生する気泡を小さくする観点から、平均粒径が100μm以下のものが好ましい。気泡調整剤は、ポリアミド樹脂組成物に予め添加してもよいし、発泡時に添加してもよい。
気泡調整剤を用いる場合、その含有量は、ポリアミド樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部とすることが好ましく、0.1〜3質量部とすることがより好ましい。気泡調整剤の含有量が0.01質量%未満の場合、発泡成形体の気泡が粗大となり外観が損なわれる場合がある。一方、気泡調整剤の含有量が5質量%を超える場合、押出発泡時に破泡が頻繁に起こり、独立気泡率が低下したり、外観が損なわれたりする場合がある。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、ポリアミド樹脂と多官能化合物以外に他の樹脂を含有してもよい。
他の樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フッ素樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、フェノキシ樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリブタジエン等のエラストマーが挙げられる。他の樹脂は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
他の樹脂を用いる場合、その含有量は、ポリアミド樹脂組成物の均一性や耐熱性を維持する観点から、ポリアミド樹脂組成物全体に対して、10質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下とすることがより好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに熱安定剤、酸化防止剤、顔料、耐候剤、難燃剤、可塑剤、分散剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、架橋剤、鎖延長剤、末端封鎖剤、充填材、強化材等の添加剤を加えてもよい。前記添加剤は、重合時、溶融混練時または押出発泡時いずれに添加してもよい。
熱安定剤や酸化防止剤としては、例えば、ホスファイト系有機化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ヒンダードアミン系化合物、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物、リン化合物またはこれらの混合物が挙げられる。
末端封鎖剤としては、例えば、多官能化合物以外のカルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物が挙げられる。
分散剤としては、例えば、流動パラフィン、ミネラルオイル、クレオソート油、潤滑油、シリコーンオイル等の工業用オイル、コーン油、大豆油、菜種油、パーム油、亜麻仁油、ホホバ油等の植物油、イオン性やノニオン性の界面活性剤が挙げられる。
充填材としては、無機充填材、有機充填剤が挙げられる。無機充填材としては、例えば、タルク、層状珪酸塩、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維が挙げられる。有機充填材としては、例えば、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ、ケナフ等の天然に存在するポリマーやこれらの変性品が挙げられる。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、予め平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維を含有するポリアミド樹脂(以下、「セルロース含有ポリアミド樹脂」と略称する場合がある。)を作製し、セルロース含有ポリアミド樹脂と多官能化合物とを溶融混練する方法が挙げられる。
セルロース含有ポリアミド樹脂は、セルロース繊維の水分散液と、ポリアミド樹脂を構成するモノマーとを混合し、重合反応を進行させることにより得ることができる。
セルロース繊維の水分散液は、精製水とセルロース繊維とをミキサー等で攪拌することにより得ることができる。水分散液中のセルロース繊維の含有量は、0.01〜50質量%とすることが好ましい。
重合反応は、150〜270℃でおこなうことが好ましい。重合時には、必要に応じてリン酸や亜リン酸等の触媒を添加してもよい。そして、重合反応終了後は、得られたポリアミド樹脂組成物を払い出した後、切断してペレットとすることが好ましい。
なお、セルロース繊維としてバクテリアセルロースを用いる場合、セルロース繊維の水分散液として、バクテリアセルロースを精製水に浸して溶媒置換したものを用いてもよい。バクテリアセルロースの溶媒置換したものを用いる際には、溶媒置換後、所定の濃度に調整した後、ポリアミド樹脂を構成するモノマーと混合し、上記と同様に重合反応を進行させることが好ましい。
本発明においては、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維を用い、かつセルロース繊維を水分散液のまま重合反応に供することで、分散性が良好な状態で重合反応に供することができる。さらに、重合反応に供されたセルロース繊維は、重合反応中のモノマーや水との相互作用により、また上記のような温度条件で攪拌することにより、分散性が向上し、繊維同士が凝集することがなく、平均繊維径が小さいセルロース繊維が良好に分散したポリアミド樹脂を得ることが可能となる。なお、上記方法によれば、セルロース繊維の分散性が向上するため、重合反応前に添加したセルロース繊維の平均繊維径よりも、重合反応終了後に混合物中に含有されているセルロース繊維の方が、平均繊維径や繊維長が小さいものとなることもある。
また、上記方法では、セルロース繊維を乾燥させる工程が不要となり、微細なセルロース繊維の飛散が生じる工程を経ずに製造が可能であるため、操業性よくセルロース繊維含有ポリアミド樹脂を得ることが可能となる。またモノマーとセルロースを均一に分散させる目的として水を有機溶媒に置換する必要がないため、ハンドリングに優れるとともに製造工程中において化学物質の排出を抑制することが可能となる。
セルロース繊維含有ポリアミド樹脂の相対粘度は特に限定されないが、1.5〜7.0であることが好ましく、1.7〜6.0であることがより好ましい。相対粘度が1.5未満の場合、均一な発泡セルが生成しにくく、発泡成形性が低下し、また、機械的特性も低下する場合がある。一方、相対粘度が7.0を超える場合、セルロース繊維含有ポリアミド樹脂の流動性が低下するため、発泡成形性が低下する場合がある。なお、相対粘度の測定方法は後述するが、溶媒として96%硫酸を用い、温度25℃、濃度1g/100mlの条件においておこなった。
元来、ポリアミド樹脂は、伸張粘度が低く、発泡適性を有していない。これに対して、本発明においては、ポリアミド樹脂とセルロース繊維と多官能化合物とを反応させて伸張粘度を増大させるため、発泡適性を有したポリアミド樹脂組成物を得ることができる。
セルロース繊維含有ポリアミド樹脂の伸長粘度は、8.00×10〜5.00×10Pa・sであることが好ましく、1.00×10〜3.0×10Pa・sであることがより好ましく、1.00×10〜9.50×10Pa・sであることがさらに好ましい。伸長粘度が8.00×10〜5.00×10Pa・sの範囲内であると、発泡に適した粘性を有するものとなり、発泡セルの大きさが均一であり、かつ適度な大きさの発泡セルが多数形成されるため、表面外観、耐衝撃性に優れたものとなる。
中でも好ましい範囲である、1.00×10〜9.50×10Pa・sの伸長粘度を有するセルロース繊維含有ポリアミド樹脂は、ポリアミド樹脂組成物中のセルロース繊維の平均繊維径を、上記した最も好ましい範囲である40〜100nmとなるようにし、かつセルロース繊維の含有量を、上記した最も好ましい範囲である0.5〜5質量部とすることで調製することができる。なお、セルロース繊維含有ポリアミド樹脂中のセルロース繊維の平均繊維径が、最も好ましい範囲である40〜100nmの範囲を超えても、セルロース繊維含有ポリアミド樹脂の伸長粘度が1.00×10〜3.0×10Pa・sの範囲となる場合もあるが、セルロース繊維の平均繊維径が100nmを超えると、得られる発泡成形体はセル径の大きい発泡セルが生じ、均一性にやや劣るものとなりやすい。したがって、本発明において、セルロース繊維含有ポリアミド樹脂のセルロース繊維の平均繊維径は40〜100nmであることが好ましい。
なお、伸長粘度とは、一般的に熱可塑性樹脂を発泡させる際の、溶融樹脂の粘りを示す尺度であり、本発明においては、押出発泡成形のしやすさを示すものである。伸長粘度は、下記のような方法で測定されたせん断粘度に基づき、Cogswellの理論式により算出されるものである。
せん断速度は、キャピラリレオメータにて、(セルロース繊維含有ポリアミド樹脂の融点+30℃)条件下、キャピラリ長さの異なる2種類のダイを用いて測定される溶融粘度より下記式を用い算出することができる。以下、キャピラリ長さをL、キャピラリ直径をDとする。
伸長粘度ηe(Pa・s)は以下の式で算出される。
Figure 0006955745
ここで、τc:補正せん断応力(Pa)である。
Figure 0006955745
ここで、D :キャピラリ直径(mm)、Pc:キャピラリ内圧力損失(Pa)である。
なお、同一せん断速度における樹脂圧力を各ダイで測定したときのL/D(横軸)と樹脂圧力(縦軸)の1次式から得られる縦軸の切片をPcとする(Bagley補正)。
Figure 0006955745
ここで、γc:補正せん断速度(s−1)、γa:見掛けのせん断速度(s−1)、n:べき法則指数である。
nは、横軸にlog(τc)、縦軸にlog(γa)をプロットしたときの傾きとして求めることができる。
セルロース繊維含有ポリアミド樹脂と多官能化合物を溶融混練する方法としては、均一に溶融混練できれば特に限定されないが、例えば、通常の押出機を用いた溶融混練法が挙げられる。
本発明の発泡成形体は、本発明のポリアミド樹脂組成物を押出発泡成形することにより得ることができる。発泡剤としては、熱分解型発泡剤、物理発泡剤等を用いることができる。
熱分解型発泡剤は、分解温度以上に加熱されることによりガスを発生して、樹脂を発泡させる発泡剤である。熱分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミドやバリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ヒドラジカルボンアミド等のヒドラジン化合物、テトラゾール化合物、炭酸水素ナトリウム等の無機系の発泡剤を挙げることができる。中でも、分解温度の高いテトラゾール化合物が好ましい。熱分解型発泡剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。熱分解型発泡剤をポリアミド樹脂組成物に配合する方法は特に限定されないが、例えば、熱分解型発泡剤をポリアミド樹脂組成物とともに押出機に供給する方法が挙げられる。
物理発泡剤は、化学反応を伴わずに、温度変化や圧力変化により膨張したガスによって、樹脂を発泡させる発泡剤である。物理発泡剤としては、例えば、窒素、二酸化炭素、水等の無機化合物や、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン等の各種炭化水素、フロン化合物、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類、エタノールやメタノール等の各種アルコール類に代表される有機溶媒が挙げられる。物理発泡剤をポリアミド樹脂組成物に配合する方法は特に限定されないが、例えば、ポリアミド樹脂組成物を押出機に供給し、押出機の途中から物理発泡剤を注入する方法が挙げられる。
発泡剤の配合量は、ポリアミド樹脂組成物に対して0.05〜10質量%とすることが好ましく、0.1〜6質量%とすることがより好ましい。発泡剤の配合量が0.05質量%未満の場合、十分に発泡した(発泡倍率が高い)発泡成形体が得られない場合がある。一方、発泡剤の配合量が10質量%を超える場合、破泡が起こる場合や、発泡成形体内部で気泡の合一が起こり、発泡成形体の外観が損なわれる場合がある。
本発明のポリアミド樹脂組成物は発泡特性に優れているため、発泡成形することにより、後述する発泡倍率[(発泡成形体の見かけ密度)/(ポリアミド樹脂組成物の見かけ密度)]を2倍以上とすることができる。
本発明の発泡成形体の吸水時の寸法安定性は、後述の寸法安定性の評価において、長さ変化率および幅変化率ともに±3%未満であることが好ましい。ポリアミド樹脂は一般に水分を吸いやすい樹脂であるため、ポリアミド樹脂を用いた成形体においては、一般に、長期間使用時の変化率が小さいことが求められる。前記両変化率が±3%未満であれば、発泡成形体として用いた場合であっても、実用上問題ないといえる。前記両変化率を±3%未満とするには、平均繊維径が10μm以下のセルロースを含有したポリアミド樹脂と特定量の多官能化合物を併用することにより達成することができる。
発泡成形体を製造する方法は特に限定されないが、例えば、押出機を用いて、ポリアミド樹脂組成物をスリット状ノズルから押出発泡してシート状(発泡シート)にしたり、丸形ノズルから押出発泡してストランド形状(発泡ストランド)にしたりする方法が挙げられる。該発泡シートや発泡ストランドを切断することで、発泡成形体の形状を粒子状とすることができる。また、得られた押出発泡成形体をそのまま熱成形したり、切断して発泡粒子とした後に金型内で成形したりすることもできる。
本発明の発泡成形体の製造に用いる押出機は特に限定されないが、例えば、単軸押出機、二軸押出機、複数の押出機を連結させたタンデム型の押出機が挙げられる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は発泡性能に優れていることから、その発泡成形体は、包装材、梱包材、緩衝材、断熱材、保温材、保冷材、消音材、吸音材、防音材、制振材、建材、クッション材、資材、容器等に好適に用いることができる。具体的には、ソファ、ベッドマット、椅子、寝具、マットレス、電灯カバー、ぬいぐるみ、スリッパ、クッション、ヘルメット、カーペット、枕、靴、ポーチ、マット、クラッシュパッド、スポンジ、文具、玩具、DIY用品、パネル、畳芯材、マネキン、自動車内装部材・クッション、カーシート、デッドニング、ドアトリム、サンバイザー、自動車用制振材・吸音材、スポーツ用マット、フィットネス用品、スポーツ用プロテクター、ビート板、グラウンドフェンス、レジャーシート、医療用マットレス、医療用品、介護用品、リハビリ用品、建築用断熱材、建築目地材、面戸材、建築養生材、反射材、工業用トレー、チューブ、パイプカバー、エアコン断熱配管、ガスケット芯材、コンクリート型枠、土木目地、つらら防止パネル、保護材、軽量土、盛土、人工土壌、梱包材・包装資材、梱包資材、ラッピング、生鮮品・野菜・果物等の梱包材・包装材、電子機器等の梱包材・緩衝包装材、生鮮品・野菜・果物等の保温・保冷箱、カップラーメン・弁当箱等の食品容器、食用トレー、飲料容器、農業用資材、発泡模型、スピーカ用振動板等が挙げられる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
A.評価方法
(1)セルロース繊維の平均繊維径
(1−1)重合反応前のセルロース繊維の平均繊維径
必要に応じて凍結乾燥したセルロース繊維を、電界放射型走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S−4000)を用いて観察した。電子顕微鏡(SEM)画像からセルロース繊維(単繊維)の長手方向に対する垂直方向の長さを測定した。このとき、垂直方向の長さのうち最大のものを繊維径とした。同様にして10本のセルロース繊維(単繊維)の繊維径を測定し、10本の平均値を算出したものを平均繊維径とした。
(1−2)樹脂組成物中のセルロース繊維の平均繊維径
発泡成形体から、凍結ウルトラミクロトームを用いて厚さ100nmの切片を採取し、OsO(四酸化オスミウム)で切片染色を実施後、透過型電子顕微鏡(日本電子社製JEM−1230)を用いて観察をおこなった。電子顕微鏡画像からセルロース繊維(単繊維)の長手方向に対する垂直方向の長さを測定した。このとき、垂直方向の長さのうち最大のものを繊維径とした。同様にして10本のセルロース繊維(単繊維)の繊維径を測定し、10本の平均値を算出したものを平均繊維径とした。
なお、セルロース繊維の繊維径が大きいものについては、ミクロトームにて10μmの切片を切り出したものか、発泡成形体をそのままの状態で、実体顕微鏡(OLYMPUS SZ−40)を用いて観察をおこない、得られた画像から上記と同様にして繊維径を測定し、平均繊維径を求めた。
(2)樹脂組成物中のセルロース繊維の含有量
エスアイアイ・ナノテクノロジー社製のTG/DTA 7200装置を用いて下記条件で測定した。
十分に乾燥されたセルロースと樹脂をそれぞれ既知濃度となるように専用パンの中で量り取り、290℃から320℃までの重量減少を樹脂中のセルロース量として検量線を作成し、この検量線を用いて、得られた発泡成形体中のセルロース繊維含有量を算出した。
このとき、発泡成形体は凍結粉砕して用い、試料量10mgを精密天秤で量り取り、窒素雰囲気中での昇温測定をおこなった。昇温条件は、30℃から285℃まで5℃/minで昇温し、285℃から320℃まで0.63℃/minで昇温し、再び320℃から350℃まで5℃/min昇温し、最後に350℃から550℃まで10℃/minで昇温させた。
(3)ポリアミド樹脂またはセルロース繊維含有ポリアミド樹脂の相対粘度
セルロース繊維含有ポリアミド樹脂(95℃の熱水で処理し、精錬をおこない、乾燥させたもの)を用いて、96%硫酸で、温度25℃、濃度1g/100mlの条件において、相対粘度を求めた。
(4)セルロース繊維含有ポリアミド樹脂の伸長粘度
セルロース繊維含有ポリアミド樹脂のせん断粘度ηc(Pa・s)を所定温度条件下、キャピラリレオメータ(島津製作所製CFT−500D)を用いて測定し、前述の理論にしたがって伸長粘度ηe(Pa・s)を求めた。なお、ダイ1として、キャピラリ長さ15mm、キャピラリ直径1mmφ、ダイ2として、キャピラリ長さ0.25mm、キャピラリ直径1mmφである2種類のダイを用いた。
(5)ポリアミド樹脂組成物の発泡性能
ポリアミド樹脂組成物(発泡前)および発泡成形体の質量を測定し、さらにそれらの見かけ体積を、湿式電子比重計(アルファ・ミラージュ社製、商品名「EW−300SG」)を用いて測定した。ポリアミド樹脂組成物と発泡成形体について、見かけ体積と質量の比から見かけ密度を算出した。そして、発泡倍率を以下の式より算出した。
発泡成形体の発泡倍率=(発泡成形体の見かけ密度)/(ポリアミド樹脂組成物の見かけ密度)
発泡性能は、以下の基準で評価した。
○:発泡倍率が2倍以上である。
×:発泡倍率が2倍未満である。
(6)発泡成形体の吸水時寸法安定性
得られた発泡成形体を、25℃で水浸漬により吸水させ、発泡成形体の総質量に対して10質量%の水を吸水させた。吸水処理前後の発泡成形体の長さと幅を測定し、長さおよび幅における寸法変化率を以下の式より算出した。
寸法変化率(%)=〔(Y−X)/X〕×100
X:吸水処理前の発泡成形体の長さ、または幅
Y:吸水処理後の発泡成形体の長さ、または幅
寸法変化率の値により、以下の2段階の基準で評価した。
○:長さ変化率および幅変化率ともに±3%未満である
×:長さ変化率、幅変化率の少なくとも一方が±3%以上である
B.原料
(1)セルロース繊維水分散液の調製
(1−1)セルロース繊維水分散液1
セリッシュKY100G(ダイセルファインケム社製:平均繊維径が125nmのセルロース繊維が10質量%含有されたもの)に、精製水を加えてミキサーで攪拌し、セルロース繊維の含有量が3質量%のセルロース繊維水分散液1を調製した。
(1−2)セルロース繊維水分散液2
セリッシュKY100S(ダイセルファインケム社製)をそのまま用いた。
(1−3)セルロース繊維水分散液3
セリッシュKY100G(ダイセルファインケム社製:平均繊維径が125nmのセルロース繊維が10質量%含有されたもの)をそのまま用いた。
(1−4)セルロース繊維
コットンの短繊維(平均繊維径16μm)を用いた。
(2)ポリアミド樹脂
(2−1)セルロース繊維含有ポリアミド樹脂(A−1)
セルロース繊維水分散液1を70質量部と、ε−カプロラクタムを100質量部とを、均一な分散液となるまでさらにミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合分散液を攪拌しながら240℃に加熱し、徐々に水蒸気を放出しつつ、0MPaから0.7MPaの圧力まで昇圧した。その後、大気圧まで放圧し、240℃で1時間重合反応をおこなった。重合終了後、重合物を払い出し、切断して、ペレットとし、95℃の熱水で処理し、精練をおこない、乾燥させ、セルロース含有ポリアミド樹脂(A−1)を得た。
得られたセルロース含有ポリアミド樹脂の相対粘度は、2.45であった。
(2−2)セルロース繊維含有ポリアミド樹脂(A−2)
セルロース繊維水分散液2を70質量部と、ε−カプロラクタムを100質量部とを、均一な分散液となるまでさらにミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合分散液を攪拌しながら240℃に加熱し、徐々に水蒸気を放出しつつ、0MPaから0.7MPaの圧力まで昇圧した。その後、大気圧まで放圧し、240℃で1時間重合反応をおこなった。重合終了後、重合物を払い出し、切断して、ペレットとし、95℃の熱水で処理し、精練をおこない、乾燥させ、セルロース含有ポリアミド樹脂(A−2)を得た。
(2−3)セルロース繊維含有ポリアミド樹脂(A−3)
セルロース繊維水分散液2を100質量部と、ε−カプロラクタムを100質量部とを用いた他は実施例1と同様にしてセルロース含有ポリアミド樹脂(A−3)を得た。
得られたセルロース含有ポリアミド樹脂の相対粘度は、2.47であった。
(2−3)セルロース繊維含有ポリアミド樹脂(A−4)
セルロース繊維を2質量部と、ε−カプロラクタムを100質量部とを用いた他は実施例1と同様にしてセルロース含有ポリアミド樹脂(A−4)を得た。
得られたセルロース含有ポリアミド樹脂の相対粘度は、2.44であった。
(2−4)ポリアミド6樹脂(A−5)
・ユニチカ社製「A1030BRL」、融点:225℃、相対粘度:2.5
(3)多官能化合物
(3−1)多官能エポキシ化合物(B−1)
・トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、阪本薬品工業社製「SR−TMP」、重量平均分子量:254
(3−2)多官能カルボジイミド化合物(B−2)
・日清紡績社製「カルボジライト LA−1」、重量平均分子量:5000
(4)発泡剤
・二酸化炭素
(5)気泡調整剤
・微粉タルク
林化成社製「MW−HST」、平均粒径:2.5μm
実施例1
セルロース繊維含有ポリアミド樹脂(A−1)102.1質量部と、多官能化合物(B−1)0.6質量部とをドライブレンドし、二軸押出混練機(池貝社製、「PCM−30」)の基部から供給して、溶融混練をおこなった。ダイスからストランド状に引き取った後、水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングしてポリアミド樹脂組成物を得た。なお、スクリューは、径が29mm、L/Dが30のものを用いて、ノズルは、4mm×3孔のものを用いた。また、混練機の上流側温度は260℃、中流と下流側温度は320℃、ダイス出口温度は320℃に設定した。吐出速度は3kg/hとした。
続いて、得られたポリアミド樹脂組成物102.7質量部と、微粉タルク1.0質量部とをドライブレンドし、二軸押出発泡機(池貝社製、「PCM−30」)の基部から供給し、押出機途中から、液化炭酸ガス注入装置(昭和炭酸社製)を用いて、二酸化炭素を注入して、押出発泡させ、シート形状の発泡成形体を製造した。なお、スクリューは、径が29mm、L/Dが30のものを用いて、ダイは、0.8mm×33mmスリットのものを用いた。また、混練機の上流側温度は230℃、中流と下流側温度は210℃、ダイ出口温度は220℃に設定した。吐出速度は5kg/hとした。得られた発泡成形体の発泡倍率は7倍であった。
実施例〜7、参考例1、比較例1〜5
樹脂組成が表1のようになるように配合する組成を変更した以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物とその発泡成形体を得た。
Figure 0006955745
実施例1、3〜7、参考例1、比較例1〜5で得られたポリアミド樹脂組成物とその発泡成形体の特性値を表1に示す。
実施例1、3〜7で得られたポリアミド樹脂組成物は、いずれも伸張粘度が1.0×10Pa.s以上であって発泡性能に優れていた。また、それから得られた発泡成形体は、吸水時の寸法安定性に優れていた。
比較例1のポリアミド樹脂組成物は、多官能化合物を含有していなかったため、発泡性能が悪かった。
比較例2のポリアミド樹脂組成物は、多官能化合物の含有量が多かったため、発泡性能が悪く、吸水時の寸法安定性が悪かった。
比較例3のポリアミド樹脂組成物は、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維を含有していなかったため、発泡性能が悪く、吸水時の寸法安定性が悪かった。
比較例4のポリアミド樹脂組成物は、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維の含有量が多かったため、発泡性能が悪かった。
比較例5のポリアミド樹脂組成物は、平均繊維径が10μmを超えるセルロース繊維を用いたため、発泡性能が悪く、吸水時の寸法安定性が悪かった。

Claims (2)

  1. ポリアミド樹脂100質量部と、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維0.1〜10.0質量部と、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル0.1〜5.0質量部とを含有するポリアミド樹脂組成物。
  2. 請求項1記載のポリアミド樹脂組成物からなる発泡成形体。
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