JP7101611B2 - 炭素繊維含有樹脂押出発泡成形用組成物、これを用いた発泡成形品およびその製造方法 - Google Patents
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ポリエステル樹脂、炭素繊維、発泡剤および吸湿剤を混合する混合工程と、
得られた混合物を溶融混練し、金型から押し出して発泡させる発泡工程と、
前記金型から押し出された中間品を冷却する冷却工程と、
前記冷却した中間品を所定の長さにカットするカット工程を含むことを特徴とする。
本発明において、吸湿剤は、酸化カルシウムおよびカルボジイミド化合物から選ばれる少なくとも一つであるのが好ましい。とくに酸化カルシウムはコストが安く、取り扱い性もよく、安全であることから好ましい。酸化カルシウムは篩分け法による平均粒子径が0.1~50μmの粉体粒子が混合性もよいことから好ましい。より好ましい平均粒子径は0.5~20μmである。カルボジイミド化合物は、一例としてジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-N’-エチルカルボジイミド等がある。
吸湿剤の添加割合は、ポリエステル樹脂と炭素繊維の合計100質量部に対して0.1~10質量部が好ましく、より好ましくは1~10質量部であり、さらに好ましくは2~9質量部である。
吸湿剤を含むことにより、炭素繊維に水分が吸着していてもポリエステル樹脂の溶融混練時の分解を抑制し、連続押し出しが可能な炭素繊維含有樹脂押出発泡成形品およびその製造方法を提供できる。
本発明においては、マトリックス成分としてポリエステル樹脂を使用する。ポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、これらのポリマーを主成分とする共重合体、およびこれらの混合物から選ばれる少なくとも一つの樹脂が好ましい。この中でもポリエチレンテレフタレート(PET)は強度、弾性率などの物理特性が高いことから好ましい。
本発明においては、強化繊維として炭素繊維を使用する。炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)を焼成したPAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等、いかなる炭素繊維でも使用できる。好ましくは、PAN系の長繊維炭素繊維をカットした、長さが2~20mmのチョップである。この炭素繊維は強度も高く、取り扱い性も良好である。炭素繊維の添加割合は、ポリエステル樹脂と炭素繊維の合計100質量部に対して、5~50質量部が好ましく、より好ましくは10~40質量部であり、さらに好ましくは15~35質量部である。
発泡剤としては、化学発泡剤、揮発性発泡剤、ガス発泡剤などを使用できる。化学発泡剤としては、5-フェニルテトラゾール(分解温度230~280℃、ガス発生量180mg/g)、アゾジカルボンアミド(分解温度200~220℃、ガス発生量240mg/g)等を使用できる。発泡剤の添加割合は、ポリエステル樹脂と炭素繊維の合計100質量部に対して0.01~10質量部が好ましく、より好ましくは0.05~5質量部であり、さらに好ましくは0.1~1質量部である。
押出発泡成形品の発泡倍率は1.1~5倍が好ましい。この程度の発泡体は低発泡押出成形品と言われている。より好ましい発泡倍率は1.1~4.0倍であり、さらに好ましい発泡倍率は1.1~3.0倍である。
その他の添加物として、増粘剤、展着剤、紫外線安定剤(耐光剤)、着色剤等を加えてもよい。増粘剤としては重量平均分子量が1,000~300,000、分子内に2~100個のエポキシ基を含有する高分子型多官能エポキシ化合物等がある。展着剤としてはパラフィンオイル、流動パラフィン、トリメチルシラン等がある。紫外線安定剤(耐光剤)としては様々な市販品がある。着色剤は様々な色調の顔料がある。その他の添加物の添加割合は合計量で、ポリエステル樹脂と炭素繊維の合計100質量部に対して、0.01~2質量部が好ましく、より好ましくは0.05~1.5質量部であり、さらに好ましくは0.1~1質量部である。
(a)ポリエステル樹脂、炭素繊維、発泡剤および吸湿剤を混合する混合工程
(b)得られた混合物を溶融混練し、金型から押し出して発泡させる発泡工程
(c)前記金型から押し出された中間品を冷却する冷却工程
(d)前記冷却した中間品を所定の長さにカットするカット工程
なお、混合工程(a)は、上記成分を同時別々にホッパーに投入することに限定されるものではなく、あらかじめ、ポリエステル樹脂および炭素繊維を予め溶融混練し、冷却してペレットを作製し、当該ペレットと発泡剤および吸湿剤をホッパーに投入し混合する方法やポリエステル樹脂、炭素繊維および吸湿剤を予め溶融混練し、冷却してペレットを作製し、当該ペレットと発泡剤をホッパーに投入し混合する方法も含まれる。配合割合の調整が容易で吸湿剤の劣化を防止する点を鑑みた場合、あらかじめ、ポリエステル樹脂および炭素繊維を予め溶融混練し、冷却してペレットを作製し、当該ペレットと発泡剤および吸湿剤をホッパーに投入し混合する方法が好ましい。
<ポリエステル樹脂>
ポリエチレンテレフタレート(PET)、固有粘度0.66(繊維用)のペレットを使用した。
<炭素繊維>
炭素繊維はゾルテック製の繊維長6mmのチョップを使用した。
<ポリエステル樹脂および炭素繊維を予め溶融混練し、冷却してペレットを作製する工程>
ポリエチレンテレフタレート(PET)と炭素繊維を混合して溶融混練し、押出機を使用して、温度270℃、金型温度35℃、冷却時間15-20秒の条件でストランドに成形し、カットして直径約5mm、長さ約5mmのペレットにした。PETと炭素繊維チョップとの配合割合は、PET70質量部(70kg)、炭素繊維チョップ30質量部(30kg)とした。
<前記ペレット、発泡剤、吸湿剤および添加剤を混合する混合工程>
前記ペレット100質量部(100kg)に対して発泡剤として5-フェニルテトラゾールを0.15質量部(0.15kg)、吸湿剤として酸化カルシウムを5質量部(5kg)、展着剤として流動パラフィン0.1質量部(0.1kg)をそれぞれ計量し、混合した。
<前記混合物を溶融混練し、金型から押し出して発泡させる発泡工程>
前記混合物を図1に示す押出発泡成形装置を使用して溶融混練し、金型から押し出した。押出機の温度は270℃とした。
<前記金型から押し出された中間品を冷却する冷却工程>
前記金型から押し出された中間品を図1に示すように冷却サイザーと冷却機で室温(25℃)まで冷却し、引き取り機で引き取った。
<前記冷却した中間品を所定の長さにカットするカット工程>
引き取った連続する押出発泡成形品を一例として2mごとにカットした。得られた押出発泡成形品の断面形状はタテ20mm、ヨコ50mmの矩形(但し角はない)であった。
条件と結果は表1にまとめて示す。
さらに、実施例1の押出発泡成形品の圧縮弾性率、強さ、荷重たわみ温度及び線膨張係数を下記に示す測定法により測定したところ、幅方向における圧縮弾性率が1.4GPa、幅方向における強さが49.8MPa、厚さ方向における圧縮弾性率が1.3GPa、厚さ方向における強さが49.5MPa、荷重たわみ温度が194℃、線膨張係数が1.9(1/℃(×10-5))であった。
圧縮弾性率、強さ:JIS K7220
荷重たわみ温度:JIS K7191
線膨張係数:25℃と55℃での寸法変化量にて測定。
PETと炭素繊維チョップとの配合割合をPET80質量部(80kg)、炭素繊維チョップ20質量部(20kg)とした以外は実施例1と同様とした。条件と結果は表1にまとめて示す。
吸湿剤としての酸化カルシウムを加えない以外は実施例1と同様とした。条件と結果は表1にまとめて示す。
さらに、比較例1の押出発泡成形品の圧縮弾性率、強さ、荷重たわみ温度及び線膨張係数を実施例1と同じ測定法により測定したところ、幅方向における圧縮弾性率が1.1GPa、幅方向における強さが41.9MPa、厚さ方向における圧縮弾性率が0.8GPa、厚さ方向における強さが69.8MPa、荷重たわみ温度が156℃、線膨張係数が2.19(1/℃(×10-5))であった。
吸湿剤としての酸化カルシウムを加えず、代わりにポリエステル樹脂と炭素繊維とを予め溶融混練し冷却したペレットを、140℃、5時間熱風乾燥した以外は実施例1と同様とした。条件と結果は表1にまとめて示す。
比重:JIS K7222
曲げ弾性率、強さ:JIS K7221-2
ビス引き抜き強度:直径4mm、長さ50mmのビスを貫通後、引き抜く際の強度を測定する。
シャルピー衝撃強度:JIS K7077(NBは非破壊を示す)
ビカット軟化点(℃):JIS K7206
2 ホッパー
3 押出機
4 金型
5 冷却サイザー
6 冷却機
7 引き取り機
8 切断機
Claims (7)
- ポリエステル樹脂、炭素繊維および発泡剤を含む炭素繊維含有樹脂押出発泡成形用組成物であって、
前記組成物は、吸湿剤をさらに含むことを特徴とする炭素繊維含有樹脂押出発泡成形用組成物。 - 前記吸湿剤は、酸化カルシウムおよびカルボジイミド化合物から選ばれる少なくとも一つである請求項1に記載の炭素繊維含有樹脂押出発泡成形用組成物。
- 前記吸湿剤の添加割合は、ポリエステル樹脂と炭素繊維の合計100質量部に対して0.1~10質量部である請求項1又は2に記載の炭素繊維強含有樹脂押出発泡成形用組成物。
- 前記炭素繊維は、長繊維炭素繊維をカットした、長さが2~20mmのチョップである請求項1~3のいずれかに記載の炭素繊維含有樹脂押出発泡成形用組成物。
- 前記ポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、これらのポリマーを主成分とする共重合体、およびこれらの混合物から選ばれる少なくとも一つの樹脂である請求項1~4のいずれかに記載の炭素繊維含有樹脂押出発泡成形用組成物。
- 請求項1~5のいずれかに記載の炭素繊維含有樹脂押出発泡成形用組成物を使用した発泡成形品であって、
ポリエステル樹脂、炭素繊維および吸湿剤を含み、発泡倍率が1.1~5倍であることを特徴とする炭素繊維含有樹脂押出発泡成形品。 - 請求項6に記載の炭素繊維含有樹脂押出発泡成形品の製造方法であって、
ポリエステル樹脂、炭素繊維、発泡剤および吸湿剤を混合する混合工程と、
得られた混合物を溶融混練し、金型から押し出して発泡させる発泡工程と、
前記金型から押し出された中間品を冷却する冷却工程と、
前記冷却した中間品を所定の長さにカットするカット工程を含むことを特徴とする炭素繊維含有樹脂押出発泡成形品の製造方法。
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JP2018243232A JP7101611B2 (ja) | 2018-12-26 | 2018-12-26 | 炭素繊維含有樹脂押出発泡成形用組成物、これを用いた発泡成形品およびその製造方法 |
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JP2009167297A (ja) | 2008-01-16 | 2009-07-30 | Toyota Motor Corp | 加水分解性ポリエステル樹脂組成物 |
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