以下に、本発明の実施の形態にかかる換気システムを図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる換気システム1の住宅200における構成例を示す図である。図2は、本発明の実施の形態1にかかる換気システム1の構成を示すブロック図である。図2における矢印は、信号の送信方向を示している。図3は、本発明の実施の形態1にかかる換気システム1の機能構成を示すブロック図である。
2階建ての建物である住宅200に設けられた本実施の形態1にかかる換気システム1は、遠隔操作機器10と、制御装置20と、シャッター付き排気部30と、シャッター付き給気部40と、宅内無線ライン50と、宅内通信ライン60と、を有している。
図1に示すように、住宅200において、1階の部屋211における建物の外部に隣り合う壁には、シャッター付き排気部30が配置されている。また、換気システム1は、シャッター付き給気部40として、第1シャッター付き給気部40a、第2シャッター付き給気部40bおよび第3シャッター付き給気部40cを有する。第1シャッター付き給気部40aは、1階の部屋212における建物の外部に隣り合う壁に配置されている。第2シャッター付き給気部40bは、2階の部屋213における建物の外部に隣り合う壁に配置されている。第3シャッター付き給気部40cは、2階の部屋214における建物の外部に隣り合う壁に配置されている。なお、以下では、シャッター付き排気部30を排気部30と呼ぶ場合がある。また、以下では、シャッター付き給気部40を給気部40と、第1シャッター付き給気部40aを第1給気部40aと、第2シャッター付き給気部40bを第2給気部40bと、第3シャッター付き給気部40cを第3給気部40cと呼ぶ場合がある。
遠隔操作機器10は、たとえば携帯電話またはタブレットなどの携帯機器である。遠隔操作機器10は、換気システム1の運転、停止または風量の調整などの操作を行うための指示情報が入力され、該指示情報を制御装置20に送信する機能を有する。遠隔操作機器10は、入力部11と、表示部12と、通信部13と、制御部14とを有する。入力部11と表示部12と通信部13と制御部14とは、互いに通信可能である。
入力部11は、使用者が換気システム1の運転、停止または風量の調整などの各種の操作を行うための指示情報を入力する入力手段である。表示部12は、換気システム1の運転状況または遠隔操作機器10に入力された情報など、換気システム1の制御に必要な各種の情報を表示する表示手段である。通信部13は、制御装置20との間で、換気システム1の制御に必要な各種の情報の通信を、宅内無線ライン50を介して行う。制御部14は、遠隔操作機器10全体の動作を制御する。
また、制御部14は、例えば、図4に示したハードウェア構成の処理回路として実現される。図4は、本発明の実施の形態1にかかる処理回路のハードウェア構成の一例を示す図である。制御部14が図4に示す処理回路により実現される場合、制御部14は、例えば、図4に示すメモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行することにより、実現される。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して上記機能を実現してもよい。また、制御部14の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。
また、同様にメモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行することにより、通信部13が実現されるように構成してもよい。また、通信部13を実現するためのプロセッサおよびメモリは、制御部14を実現するプロセッサおよびメモリと同一であってもよいし、別のプロセッサおよびメモリであってもよい。
制御装置20は、換気システム1の運転、停止または風量の調整などの動作を、遠隔管理により制御する。制御装置20は、通信部21と、制御部22とを有する。
通信部21は、遠隔操作機器10との間で、換気システム1の制御に必要な各種の情報の通信を、宅内無線ライン50を介して行う。また、通信部21は、シャッター付き排気部30およびシャッター付き給気部40との間で、シャッター付き排気部30およびシャッター付き給気部40の制御に必要な各種の情報の通信を、宅内通信ライン60を介して行う。
制御部22は、遠隔操作機器10から宅内無線ライン50を介して送信される情報に基づいて、または該制御部22に予め設定された情報に基づいて、シャッター付き排気部30およびシャッター付き給気部40の制御に必要な各種の処理を制御する。制御部22は、換気運転を実施する際に、シャッター付き排気部30を動作させるとともに、複数のシャッター付き給気部40のうち給気を行わせるシャッター付き給気部40を制御する機能を有する。また、制御部22は、制御装置20全体の動作を制御する。
また、制御部22は、例えば、図4に示したハードウェア構成の処理回路として実現される。制御部22が図4に示す処理回路により実現される場合、制御部22は、例えば、図4に示すメモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行することにより、実現される。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して上記機能を実現してもよい。また、制御部22の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。
また、同様にメモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行することにより、通信部21が実現されるように構成してもよい。また、通信部21を実現するためのプロセッサおよびメモリは、制御部22を実現するプロセッサおよびメモリと同一であってもよいし、別のプロセッサおよびメモリであってもよい。
シャッター付き排気部30は、制御装置20の制御部22から送信される制御情報に基づいて室内の空気の排気を行う。シャッター付き排気部30は、排気口31と、排気側送風機32と、開閉処理部33と、通信部34と、制御部35とを有する。
排気口31は、建物の外部に隣り合う壁に設けられた通気口であり、室内の空気を住宅200の室内から排気するための排気口である。本実施の形態1において、排気口31は、換気システム1において建物の外部に隣り合う壁に設けられた複数の通気口のうち、排気側送風機32によって換気が行われる1つ以上の通気口である第1の通気口である。排気側送風機32は、住宅200の室内から室内空気を吸い込むとともに排気口31を通して住宅200の外部へ送り出して排出する排気のための送風を行う送風機である。すなわち、排気側送風機32は、通気口を通して部屋の空気を換気する機械換気装置である。排気側送風機32は、住宅200における換気の空気流を発生させる。
開閉処理部33は、シャッターを開閉することによって排気口31を開閉して、シャッター付き排気部30による排気の実施または停止を切り換える。通信部34は、制御装置20との間で、シャッター付き排気部30の制御に必要な各種の情報の通信を、宅内通信ライン60を介して行う。制御部35は、制御装置20の制御部22から送信される制御情報に基づいてシャッターの開閉および排気側送風機32の運転を制御するとともに、シャッター付き排気部30の全体の動作を制御する。
また、制御部35は、例えば、図4に示したハードウェア構成の処理回路として実現される。制御部35が図4に示す処理回路により実現される場合、制御部35は、例えば、図4に示すメモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行することにより、実現される。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して上記機能を実現してもよい。また、制御部35の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。
また、通信部34を、同様にメモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行することにより、実現されるように構成してもよい。また、通信部34を実現するためのプロセッサおよびメモリは、制御部35を実現するプロセッサおよびメモリと同一であってもよいし、別のプロセッサおよびメモリであってもよい。
シャッター付き給気部40は、制御装置20の制御部22から送信される制御情報に基づいて新鮮な空気である外気を住宅200の外部から室内に給気する。シャッター付き給気部40は、給気口41と、開閉処理部42と、通信部43と、制御部44とを有する。
給気口41は、建物の外部に隣り合う壁に設けられた通気口であり、新鮮な空気である外気を室内に給気するための給気口である。本実施の形態1において、給気口41は、換気システム1において建物の外部に隣り合う壁に設けられた複数の通気口のうち、排気側送風機32によって換気が行われる第1の通気口以外の通気口である。そして、本実施の形態1において、給気口41は、換気運転中にシャッターにより開かれる1つの第2の通気口と、換気運転中にシャッターにより開かれない他の通気口とに該当する。開閉処理部42は、シャッターを開閉することによって給気口41を開閉して、シャッター付き給気部40による給気の実施または停止を切り換える。通信部43は、制御装置20との間で、シャッター付き給気部40の制御に必要な各種の情報の通信を、宅内通信ライン60を介して行う。
制御部44は、制御装置20の制御部22から送信される制御情報であって給気口41の開閉を指示する開閉信号に基づいて、開閉処理部42におけるシャッターの開閉を制御して、シャッター付き給気部40による給気の実施または停止を切り換える制御を行う。制御部44は、シャッターを開放して給気口41を開口している時間である開口時間を、制御装置20の制御部22から送信される開閉信号に基づいて制御する。また、制御部44は、シャッター付き給気部40の全体の動作を制御する。
また、制御部44は、例えば、図4に示したハードウェア構成の処理回路として実現される。制御部44が図4に示す処理回路により実現される場合、制御部44は、例えば、図4に示すメモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行することにより、実現される。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して上記機能を実現してもよい。また、制御部44の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。
また、同様にメモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行することにより、通信部43が実現されるように構成してもよい。また、通信部43を実現するためのプロセッサおよびメモリは、制御部44を実現するプロセッサおよびメモリと同一であってもよいし、別のプロセッサおよびメモリであってもよい。
宅内無線ライン50は、遠隔操作機器10と制御装置20との間で各種の情報の通信を行うための建物内無線通信回線である。
宅内通信ライン60は、シャッター付き排気部30およびシャッター付き給気部40と、制御装置20との間で、シャッター付き排気部30およびシャッター付き給気部40の制御に必要な各種の情報の通信を行うための建物内通信回線である。宅内通信ライン60は、有線方式の通信回線であってもよく、また無線方式の通信回線であってもよい。
次に、本実施の形態1にかかる換気システム1の動作例について説明する。図5は、本発明の実施の形態1にかかる換気システム1の制御装置20が給気部40に開閉信号を送信するタイミングを示すタイミングチャートである。図6は、本発明の実施の形態1にかかる換気システム1の制御装置20の制御部22における制御処理の手順を示すフローチャートである。図7は、本発明の実施の形態1にかかる換気システム1において第1給気部40aの給気口41のみを開いた場合の空気の流れを示した図である。図8は、本発明の実施の形態1にかかる換気システム1において第2給気部40bの給気口41のみを開いた場合の空気の流れを示した図である。図9は、本発明の実施の形態1にかかる換気システム1において第3給気部40cの給気口41のみを開いた場合の空気の流れを示した図である。図7、図8および図9における矢印は、空気の流れを示している。なお、住宅200内においては、各部屋を仕切るドアなどを閉めて部屋を閉め切っても、ドアのガラリまたはドアと床との隙間などを通して部屋の内外の通気が可能である。
以下では、換気システム1が、第3種換気での24時間換気の開始時における換気システム1の動作例について説明する。24時間換気の開始時には、排気部30は停止しており、第1給気部40a、第2給気部40bおよび第3給気部40cは閉鎖されている。
ステップS1において制御装置20の制御部22は、24時間換気の開始情報を遠隔操作機器10から受け取ると、時刻T1において排気部30を駆動させるとともに第1給気部40aの給気口41のみを開く制御を行う。すなわち、制御部22は、排気部30の排気側送風機32を動作させるとともに排気部30のシャッターを開き、第1給気部40aの給気口41を開き、第2給気部40bの給気口41および第3給気部40cの給気口41を閉じた状態のままとする制御を行う。第1給気部40aは、制御部22から送信される開閉信号である開信号に基づいてシャッターを開くことにより給気口41を開き、給気口41を介した通気が可能な状態となる。
これにより、図7に示すように、複数の給気部40の給気口41のうち第1給気部40aの給気口41のみが開かれ、第2給気部40bおよび第3給気部40cの給気口41が閉鎖された状態で住宅200内の空気の換気が行われる。この場合は、第1給気部40aの給気口41から部屋212に外気が給気され、部屋212の空気が住宅200内を通って部屋211の排気部30から建物の外部に排気される。
つぎに、ステップS2において制御部22は、時刻T1から開口時間OT1が経過したか否かを、制御部22の時計機能を用いて判定する。開口時間OT1は、第1給気部40aの給気口41の予め定められた開口時間であり、制御部22に設定されている。開口時間OT1が経過していないと判定された場合は、ステップS2においてNoとなり、制御部22は、ステップS2を繰り返す。開口時間OT1が経過したと判定された場合は、ステップS2においてYesとなり、制御部22は、ステップS3に進む。
ステップS3において制御部22は、時刻T2に、排気部30を駆動させたまま、第2給気部40bの給気口41のみを開く制御を行う。すなわち、制御部22は、排気部30を動作させた状態で、第1給気部40aの給気口41を閉じると同時に第2給気部40bの給気口41を開き、第3給気部40cを閉じた状態のままとする制御を行う。時刻T2は、時刻T1から開口時間OT1が経過した時刻である。第1給気部40aは、制御部22から送信される開閉信号である閉信号に基づいてシャッターを閉じて給気口41を閉鎖することで、給気口41を介した通気が不可能な状態となる。また、第2給気部40bは、制御部22から送信される開閉信号である開信号に基づいてシャッターを開いて給気口41を開くことで、給気口41を介した通気が可能な状態となる。
すなわち、記制御部22は、第1の通気口である排気口31をシャッターにより開くとともに排気側送風機32を運転させた状態で、排気口31以外の複数の通気口のうち、1つの第2の通気口である第2給気部40bの給気口41をシャッターにより開き、他の通気口である第1給気部40aの給気口41をシャッターにより閉じる制御を行う。
これにより、図8に示すように、複数の給気部40の給気口41のうち第2給気部40bの給気口41のみが開かれ、第1給気部40aおよび第3給気部40cの給気口41が閉鎖された状態で住宅200内の空気の換気が行われる。この場合は、第2給気部40bの給気口41から部屋213に外気が給気され、部屋213の空気が住宅200内を通って部屋211の排気部30から建物の外部に排気される。部屋213の空気は、排気部30が発生する空気流により、階段または吹き抜けを通り、部屋211の排気部30へ流れる。
つぎに、ステップS4において制御部22は、時刻T2から開口時間OT2が経過したか否かを、制御部22の時計機能を用いて判定する。開口時間OT2は、第2給気部40bの給気口41の予め定められた開口時間であり、制御部22に設定されている。開口時間OT2が経過していないと判定された場合は、ステップS4においてNoとなり、制御部22は、ステップS4を繰り返す。開口時間OT2が経過したと判定された場合は、ステップS4においてYesとなり、制御部22は、ステップS5に進む。
ステップS5において制御部22は、時刻T3に、排気部30を駆動させたまま、第3給気部40cの給気口41のみを開く制御を行う。時刻T3は、時刻T2から開口時間OT2が経過した時刻である。すなわち、制御部22は、排気部30を動作させた状態で、第2給気部40bの給気口41を閉じると同時に第3給気部40cの給気口41を開き、第1給気部40aを閉じた状態のままとする制御を行う。第2給気部40bは、制御部22から送信される開閉信号である閉信号に基づいてシャッターを閉じて給気口41を閉鎖することで、給気口41を介した通気が不可能な状態となる。また、第3給気部40cは、制御部22から送信される開閉信号である開信号に基づいてシャッターを開いて給気口41を開くことで、給気口41を介した通気が可能な状態となる。
これにより、図9に示すように、複数の給気部40の給気口41のうち第3給気部40cの給気口41のみが開放され、第1給気部40aおよび第2給気部40bの給気口41が閉鎖された状態で住宅200内の空気の換気が行われる。この場合は、第3給気部40cの給気口41から部屋214に外気が給気され、部屋214の空気が住宅200内を通って部屋211の排気部30から建物の外部に排気される。部屋214の空気は、排気部30が発生する空気流により、階段または吹き抜けを通り、部屋211の排気部30へ流れる。
つぎに、ステップS6において制御部22は、時刻T3から開口時間OT3が経過したか否かを、制御部22の時計機能を用いて判定する。開口時間OT3は、第3給気部40cの給気口41の予め定められた開口時間であり、制御部22に設定されている。開口時間OT3が経過していないと判定された場合は、ステップS6においてNoとなり、制御部22は、ステップS6を繰り返す。開口時間OT3が経過したと判定された場合は、ステップS6においてYesとなり、制御部22は、ステップS1に戻る。
ステップS1において制御部22は、第1給気部40aの給気口41のみを開く制御を行う。ただし、排気部30はすでに動作しているため、排気部30を駆動させる制御は行われない。
上述したステップS1からステップS6までの処理において、制御部22は、排気側送風機32により換気を行う第1の通気口である排気口31をシャッターにより開くとともに排気側送風機32を運転させた状態で、第1の通気口以外の前記複数の通気口のうち、1つの第2の通気口をシャッターにより開き、他の通気口を閉じる制御を行う。そして、上述したステップS1からステップS6までの処理によって、部屋212の換気と、部屋213の換気と、部屋214の換気と、がこの順で1回ずつ行われる。本実施の形態1では、部屋212の換気と、部屋213の換気と、部屋214の換気とがこの順で1回ずつ行われる換気が、換気運転の1サイクルとされる。換気運転の1サイクルにおける各部屋の換気回数は変更可能である。部屋211の換気は、部屋213の換気、部屋214の換気および部屋212の換気時に同時に行われる。
上述した処理が行われることにより、換気システム1では、複数設けられている給気部40の給気口41のうち開かれている給気口41が常に1箇所とされるため、給気口41が開口されている部屋を確実に換気することが可能となる。これにより、省エネルギーのために高気密化が進み、シックハウス等の対策として換気が重要となってきている住宅状況において、より多様化する間取りの影響を受けることなく、各部屋に必要な換気を確実に行うことが可能となる。したがって、換気システム1では、各部屋について必要な換気量のバランスのとれた換気が可能となる。
また、換気システム1では、換気の実施中におけるどの時点においても、給気が行われる給気部40と、排気が行われる排気部30とが各々1箇所に限定されているので、換気の実施中における風路が明確に判別可能である。
また、換気システム1は、高気密化が図られることで締め切った状態において給気部40以外の給気箇所がほとんど無い住宅200に適用することにより、開かれている給気口41が設けられている部屋の換気を、より確実に行うことが可能となり、換気の実施中における風路がより明確に判別可能となる。
また、制御部22における給気口41の開閉の制御は、給気口41を開くかまたは給気口41を閉じるかの2パターンのみの制御である。このため、換気システム1は、複雑な構成および制御を要することなく、簡単な構成で容易に各部屋に異なった換気量の制御を安価に実現でき、量産に適している。また、制御部22における給気口41の開閉の切り替え制御は、給気部40に開閉信号を送信するのみで実現でき、制御部22における換気処理が簡単である。
また、制御部22には、各給気部40における給気口41の開口時間の初期設定値が予め設定されている。制御部22には、各給気部40についての開口時間の初期設定値に基づいて、上述した換気処理を制御する。各給気部40における給気口41の開口時間の初期設定値は、同じ開口時間とされている。
また、住宅200内に配置された複数の給気部40のうち、シャッターを開くことによって給気口41を開口する給気部40の順番は、遠隔操作機器10から変更を指示する指示情報を入力することにより、任意に設定を変更可能である。遠隔操作機器10の入力部11で受け付けられた指示情報は、遠隔操作機器10の制御部14および通信部13を介して制御装置20の制御部22に送信される。
また、上記においては、制御装置20が排気部30および給気部40から独立して設けられた構成について示したが、制御装置20は排気部30および給気部40のうちのいずれかに内蔵されてもよい。
また、上記においては、排気部30が1箇所のみに配置されている場合について示したが、排気部30を複数箇所に設けることも可能である。この場合は、給気口41が開口されている給気部40が配置されている部屋の換気量が、複数の排気部30の排気量の合計である総合排気量に増えることになり、短時間で換気が可能となる。この場合の換気風路は、給気口41が開口されている給気部40から複数の排気部30の各々に向かう風路となる。この場合も、給気が行われる給気部40が1箇所に限定されているので、換気の実施中における換気風路が明確に判別可能である。
また、換気システム1では、制御装置20と、HEMS(Home Energy Management System)、とを接続することにより、住宅200内の各部屋の空気調和管理の1つの方法として、上述した換気を行うことも可能となる。
また、制御装置20の機能を、HEMSにおいて住宅200内の複数の宅内設備機器の運転、停止または風量の調整などの動作を遠隔管理により制御する宅内設備機器集中管理装置が兼ねてもよい。
また、基本的にある瞬間に開いている給気口41は1箇所が望ましいが、排気部30の位置に対して、給気口41が設けられている各部屋と排気部30との間を流れる空気流の圧力損失が同じであると判断でき、換気量が同じであれば、同時に2箇所以上の給気口41を開けることも可能となる。
上述したように、本実施の形態1にかかる換気システム1は、部屋のレイアウトに影響されることなく複数の部屋における必要な換気が可能な換気システムを実現できる。
実施の形態2.
実施の形態2では、換気システム1の変形例について説明する。本実施の形態2にかかる換気システム2は、シャッターを開いて給気口41を開く開口時間を各給気部40によって変化させる。各給気部40における給気口41の開口時間を給気部40ごとに変化させる場合には、開口時間は、制御装置20の制御部22において決定され、制御される。
各給気部40についての開口時間の設定は、遠隔操作機器10から開口時間の変更を指示する指示情報を入力することにより、任意に設定を変更可能である。遠隔操作機器10の入力部11で受け付けられた指示情報は、遠隔操作機器10の制御部14および通信部13を介して制御装置20の制御部22に送信される。これにより、ユーザが部屋の大きさ等の条件に基づいて、制御部22に設定されている各給気部40についての開口時間を適宜変更することが可能であり、所望の開口時間での換気運転が可能である。
住宅200内の各部屋の大きさが各々異なる場合は、各部屋に設けられた給気部40の給気口41の開口時間により各部屋の換気量を調整することが可能である。すなわち、排気部30による換気風量が一定の条件である場合で、住宅200内の各部屋の容積が異なる場合には、部屋の空気全体を換気するために必要な開口時間は各部屋によって異なる。このため、各給気部40についての開口時間は、給気部40が配置されている部屋の容積に基づいて異なる時間に設定される。すなわち、各給気部40についての開口時間は、給気部40が配置されている部屋の容積が大きいほど、長く設定される。これにより、換気量が必要な部屋ほど、開口時間を長くすることができる。
したがって、制御部22は、排気側送風機32による換気が行われない通気口である給気口41のうち、容積が相対的に大きい部屋に設けられた給気口41を開閉するシャッターを開く開口時間を、容積が相対的に小さい部屋に設けられた給気口41を開閉するシャッターを開く開口時間より長くする制御を行う。
これにより換気システム2は、給気部40が配置されている部屋の容積が大きいほど、開口時間を長くすることにより、住宅200内の各部屋の大きさに対応して各部屋の換気を確実に行うことができる。
また、換気運転の1サイクルにおける給気部40についての開口回数は、初期設定では、1回とされている。換気運転の1サイクルにおける給気部40についての開口回数は、遠隔操作機器10から開口回数の変更を指示する指示情報を入力することにより、任意に設定を変更可能である。遠隔操作機器10の入力部11で受け付けられた指示情報は、遠隔操作機器10の制御部14および通信部13を介して制御装置20の制御部22に送信される。これにより、ユーザが部屋の大きさ等の条件に基づいて、制御部22に設定されている各給気部40についての開口回数を適宜変更することが可能であり、換気運転の1サイクルにおいて所望の開口回数での換気運転が可能である。
排気部30の排気風量と部屋の容積とにより、給気部40が配置されている部屋について最低限必要な換気量から、最低限必要な開口時間を求めることができる。最低限必要な換気量は、部屋の空気全体を換気する換気量または所望の換気量とすることができる。開口時間に基づいて、換気運転の1サイクルにおける給気部40についての開口回数を所望の開口回数に変更することができる。
そして、換気システム2は、給気部40が配置されている部屋の容積が大きいほど、開口回数を多くすることにより、住宅200内の各部屋の大きさに対応して各部屋の換気を確実に行うことができる。
また、住宅200内の各部屋に設けられた複数の給気口が開いた状態で行われる第3種換気では、給気口が配置されている部屋から排気部までの各風路を流れる空気流の圧力損失の違いにより、各部屋の大きさ対応した換気ができない場合が多い。
排気部30による換気風量が一定の条件である場合には、給気部40が配置されている部屋と排気場所との距離によって、給気部40が配置されている部屋から排気場所に達するまでの空気流の圧力損失が異なり、換気効率が異なる。すなわち、部屋の空気全体を換気するために必要な給気部40の開口時間は、給気部40が配置されている部屋と排気場所との距離によって、部屋ごとに異なる。このため、各給気部40についての開口時間は、給気部40が配置されている部屋と排気場所との距離に基づいて、異なる時間に設定される。すなわち、各給気部40についての開口時間は、給気部40が配置されている部屋と排気部30との距離が長いほど、長く設定される。
したがって、制御部22は、排気側送風機32による換気が行われない通気口である給気口41のうち、給気口41が設けられた部屋と排気側送風機32との距離が相対的に長い部屋に設けられた給気口41を開閉するシャッターを開く時間を、給気口41が設けられた部屋と排気側送風機32との距離が相対的に短い部屋に設けられた給気口41を開閉するシャッターを開く時間より長くする制御を行う。
これにより換気システム2は、給気部40が配置されている部屋と排気部30との距離が長いほど、開口時間を長くすることにより、住宅200内の部屋の間取りに対応して各部屋の換気を確実に行うことができる。また、換気システム2は、給気部40が配置されている部屋と排気部30との距離が長いほど、開口回数を多くすることにより、住宅200内の部屋の間取りに対応して各部屋の換気を確実に行うことができる。
また、換気システム2は、各種のセンサの検知結果に基づいて、自動的に各給気部40における給気口41の開口時間を変化させる、または自動的に開口回数を変化させることにより、部屋の状況に対応した適切な換気を実現することができる。図10は、本発明の実施の形態2にかかる換気システム2の構成を示すブロック図である。図10における矢印は、信号の送信方向を示している。
本実施の形態2にかかる換気システム2は、上述した実施の形態1にかかる換気システム1の構成に加えて、部屋における人の在否および人数を検知する人感センサ70と、部屋の室内空気の二酸化炭素(CO2)の濃度を検知する二酸化炭素センサ80と、部屋の室内空気の温度を検知する室内温度センサ90と、外気温度を検知する外気温度センサ100と、をさらに有する。人感センサ70と、CO2センサ80と、室内温度センサ90と、外気温度センサ100とは、通信ライン110により制御装置20と通信可能である。換気システム2は、実施の形態1にかかる換気システム1の機能に加えて、各種のセンサの検知結果に基づいて換気運転を行うことができる。すなわち、本実施の形態2にかかる換気システム2では、センサと連携した換気運転である連携運転を実施可能である。
人感センサ70は、住宅200内において給気部40が設けられた各部屋に設置されている。人感センサ70は、予め定められた周期で定期的に部屋における人の在否および人数を検知して、通信ライン110を介して検知結果を制御装置20の制御部22に送信する。
CO2センサ80は、住宅200内において給気部40が設けられた各部屋に設置されている。CO2センサ80は、予め定められた周期で定期的に部屋の室内空気のCO2濃度を検知して、通信ライン110を介して検知結果を制御装置20の制御部22に送信する。
室内温度センサ90は、住宅200内において給気部40が設けられた各部屋に設置されている。室内温度センサ90は、予め定められた周期で部屋の室内空気の温度を検知して、通信ライン110を介して検知結果を制御装置20の制御部22に送信する。
外気温度センサ100は、住宅200の外部に設置されている。外気温度センサ100は、予め定められた周期で外気温度を検知して、通信ライン110を介して検知結果を制御装置20の制御部22に送信する。
部屋における人の在否および在室人数によって、CO2による室内空気の汚れ度合いが異なる。したがって、排気部30による換気風量が一定の条件であり、1回の換気で部屋の空気全体を換気しない場合には、予め定められた基準まで部屋の空気を清浄化するために必要な給気部40の開口時間は、部屋における人の在否および在室人数によって異なり、また室内空気のCO2濃度によって異なる。換気システム2では、人感センサ70の検知結果に基づいて、開口されている給気部40の給気口41の開口時間または開口回数を変更可能である。
図11は、本発明の実施の形態2にかかる換気システム2の制御装置20の制御部22における人感センサ70と連携した制御処理の手順を示すフローチャートである。以下、換気システム2における人感センサ70の検知結果に基づいた換気運転について説明する。以下に示す処理は、図6を参照して説明した制御装置20の制御部22における制御中に行われる。
ステップS10において制御装置20の制御部22は、給気部40の給気口41を開いた部屋の人感センサ70から送信された検知結果に基づいて、給気部40の給気口41を開いた部屋に人が在室しているか否かを判定する。以下、給気部40の給気口41を開いた部屋を対象部屋と呼ぶ。対象部屋に人が在室していると判定された場合は、ステップS10においてYesとなり、ステップS20に進む。対象部屋に人が在室していないと判定された場合は、ステップS10においてNoとなり、ステップS40に進む。
ステップS20において、制御部22は、対象部屋の人感センサ70から送信された検知結果に基づいて、対象部屋に人が在室している在室人数が閾値人数以上か否かを判定する。在室人数が閾値人数以上である場合は、ステップS20においてYesとなり、ステップS30に進む。在室人数が閾値人数未満である場合は、ステップS20においてNoとなり、ステップS10に戻る。
閾値人数は、対象部屋における給気部40の給気口41の開口時間または開口回数を変更するか否かを判定するための閾値であり、予め制御部22に設定されている。閾値人数は、遠隔操作機器10から変更を指示する指示情報を入力することにより、任意に設定を変更可能である。遠隔操作機器10の入力部11で受け付けられた指示情報は、遠隔操作機器10の制御部14および通信部13を介して制御装置20の制御部22に送信される。
ステップS30において、制御部22は、対象部屋の給気部40の給気口41の開口時間を、制御部22に設定されている開口時間の初期設定値よりも長くした変更設定値を設定して、変更設定値に基づいて対象部屋における給気部40の給気口41の開閉を制御する。または、制御部22は、対象部屋に対しての換気運転の1サイクルにおける給気部40の給気口41の開口回数を、制御部22に設定されている開口回数の初期設定値よりも多くした変更設定値を設定して、変更設定値に基づいて対象部屋における給気部40の給気口41の開閉を制御する。これにより、換気システム2は、閾値人数以上の人が在室することにより室内空気が汚れ易い対象部屋の換気量を増やすことができ、対象部屋の空気をより清浄化することができる。
ステップS30の後、制御部22は、現在の対象部屋に対しての、換気運転の1サイクル内における一連の連携制御を終了する。なお、換気運転の1サイクル内において、開口時間を長くした変更設定値または開口回数を多くした変更設定値を設定した対象部屋に対しては、更なる開口時間または開口回数の変更設定値の設定は行われない。
一方、ステップS40において、制御部22は、対象部屋の給気部40の給気口41の開口時間を、制御部22に設定されている開口時間の初期設定値よりも短くして24時間換気における下限値に設定して、対象部屋における給気部40の給気口41の開閉を制御する。そして、制御部22は、ステップS10に戻る。
以上の制御を行うことにより、換気システム2は、人感センサ70の検知結果に基づいて、対象部屋における人の在否および在室人数に対応した適切な換気を実現して対象部屋の空気をより清浄化することができ、快適で安全な環境を提供することができる。
図12は、本発明の実施の形態2にかかる換気システム2の制御装置20の制御部22におけるCO2センサ80と連携した制御処理の手順を示すフローチャートである。以下、換気システム2におけるCO2センサ80の検知結果に基づいた換気運転について説明する。以下に示す処理は、図6を参照して説明した制御装置20の制御部22における制御中に行われる。
ステップS110において制御装置20の制御部22は、対象部屋のCO2センサ80から送信された検知結果に基づいて、対象部屋の室内空気のCO2濃度が閾値濃度より高いか否かを判定する。対象部屋の室内空気のCO2濃度が閾値濃度より高いと判定された場合は、ステップS110においてYesとなり、ステップS120に進む。対象部屋の室内空気のCO2濃度が閾値濃度以下であると判定された場合は、ステップS110においてNoとなり、制御部22は、ステップS110を繰り返す。
閾値濃度は、対象部屋における給気部40の給気口41の開口時間または開口回数を変更するか否かを判定するための閾値であり、予め制御部22に設定されている。閾値濃度は、遠隔操作機器10から変更を指示する指示情報を入力することにより、任意に設定を変更可能である。遠隔操作機器10の入力部11で受け付けられた指示情報は、遠隔操作機器10の制御部14および通信部13を介して制御装置20の制御部22に送信される。
ステップS120において、制御部22は、対象部屋の給気部40の給気口41の開口時間を、制御部22に設定されている開口時間の初期設定値よりも長くした変更設定値を設定して、変更設定値に基づいて対象部屋における給気部40の給気口41の開閉を制御する。または、制御部22は、対象部屋に対しての換気運転の1サイクルにおける給気部40の給気口41の開口回数を、制御部22に設定されている開口回数の初期設定値よりも多くした変更設定値を設定して、変更設定値に基づいて対象部屋における給気部40の給気口41の開閉を制御する。これにより、換気システム2は、室内空気のCO2濃度が閾値濃度より高い対象部屋の換気量を増やすことができ、対象部屋の室内空気のCO2濃度を確実に低減することができる。
ステップS120の後、制御部22は、現在の対象部屋に対しての、換気運転の1サイクル内における一連の連携制御を終了する。なお、換気運転の1サイクル内において、開口時間を長くした変更設定値または開口回数を多くした変更設定値を設定した現在の対象部屋に対しては、更なる開口時間または開口回数の変更設定値の設定は行われない。
以上の制御を行うことにより、換気システム2は、CO2センサ80の検知結果に基づいて、対象部屋における室内空気のCO2濃度に対応した適切な換気を実現して対象部屋の空気をより清浄化することができ、快適で安全な環境を提供することができる。
なお、上記のように開口時間を長くする代わりに、排気部30の排気風量、すなわち排気側送風機32の風量を制御部22に設定されている初期設定の設定値よりも多くしてもよい。これにより、換気システム2は、CO2センサ80の検知結果に基づいて、対象部屋における室内空気のCO2濃度に対応した適切な換気を実現できる。
なお、リビングのように人が多く集まり、室内空気のCO2濃度が高くなって空気が汚れ易い部屋では、給気部40の開口時間は、初期設定においても他の部屋よりも長く設定されることが好ましい。
図13は、本発明の実施の形態2にかかる換気システム2の制御装置20の制御部22における室内温度センサ90および外気温度センサ100と連携した制御処理の手順を示すフローチャートである。以下、換気システム2における室内温度センサ90および外気温度センサ100の検知結果に基づいた換気運転について説明する。以下に示す処理は、図6を参照して説明した制御装置20の制御部22における制御中に行われる。
ステップS210において制御装置20の制御部22は、外気温度センサ100および対象部屋の室内温度センサ90から送信された検知結果に基づいて、対象部屋の室内温度が外気温度より高いか否かを判定する。対象部屋の室内温度が外気温度より高いと判定された場合は、ステップS210においてYesとなり、ステップS220に進む。対象部屋の室内温度が外気温度以下であると判定された場合は、ステップS210においてNoとなり、制御部22は、ステップS210に戻る。
ステップS220の処理は、上述した図12に示すフローチャートのステップS120の場合と同様である。これにより、換気システム3は、現在の対象部屋の換気量を増やすことができ、現在の対象部屋の室内温度を低下させることができる。
ステップS220の後、制御部22は、現在の対象部屋に対しての、換気運転の1サイクル内における一連の連携制御を終了する。なお、換気運転の1サイクル内において、開口時間を長くした変更設定値または開口回数を多くした変更設定値を設定した現在の対象部屋に対しては、更なる開口時間または開口回数の変更設定値の設定は行われない。
以上の制御を行うことにより、換気システム2は、室内温度センサ90および外気温度センサ100の検知結果に基づいて、対象部屋における室内温度に対応した適切な換気を実現して対象部屋の室内温度を適正化することができ、快適で安全な環境を提供することができる。
たとえば夏場に、住宅200を締め切った状態で外気温度よりも部屋の室内温度が高くなっている場合があり得る。この場合には、室内温度が外気温度よりも高くなっている部屋の給気部40の給気口41の開口時間を制御部22に設定されている開口時間の初期設定値よりも自動的に長くして換気を行うことで、対象部屋ごとに室内温度を下げることが可能となる。このような換気は、対象部屋に設置された空気調和機を動作させる前の対象部屋の排熱を行うことができ、空気調和機の省エネルギーに貢献できる。
なお、換気システム2においては、排気部30における排気能力、すなわち排気量が複数段階に変更可能な場合には、開口時間を長くまたは開口回数を多くする代わりに、排気部30の排気風量、すなわち排気側送風機32の風量を制御部22に設定されている初期設定の設定値よりも多くしてもよい。これにより、換気システム2は、センサの検知結果に基づいて、対象部屋の状況に対応した適切な換気を実現することができる。さらに、給気部40の給気口41の開口時間の変更または開口回数の変更と、排気部30の排気風量の変更とを組み合わせることにより、更なる細やかな換気量の制御が可能となる。
また、換気システム1の変形例として、住宅200内の各種の宅内設備機器の動作状態に基づいて、自動的に各給気部40における給気口41の開口時間を変化させる、または自動的に開口回数を変化させることにより、部屋の状況に対応した適切な換気を実現することができる。図14は、本発明の実施の形態2にかかる換気システム3の構成を示すブロック図である。図14における矢印は、信号の送信方向を示している。
本実施の形態2にかかる換気システム3は、上述した実施の形態1にかかる換気システム1の構成に加えて、レンジフードファン120と、照明機器130と、をさらに有する。レンジフードファン120と、照明機器130とは、通信ライン140により制御装置20と通信可能である。換気システム3は、実施の形態1にかかる換気システム1の機能に加えて、住宅200内の各種の宅内設備機器の動作状態に基づいて換気運転を行うことができる。すなわち、本実施の形態2にかかる換気システム3では、住宅200内の宅内設備機器と連携した換気運転である連携運転を実施可能である。宅内設備機器は、建物内に配置された各種電子機器であり、ここでは、レンジフードファン120と、照明機器130とが例示される。
レンジフードファン120は、住宅200内においてキッチンに設けられた排気用のファンである。レンジフードファン120は、運転中は、運転している旨を通知する信号である運転情報を、通信ライン140を介して制御装置20の制御部22に予め定められた周期で送信する。また、レンジフードファン120は、レンジフードファン120の運転を停止すると、運転を停止している旨を通知する信号である停止情報を、通信ライン140を介して制御装置20の制御部22に予め定められた周期で送信する。
照明機器130は、住宅200内において給気部40が設けられた各部屋に設置されている。照明機器130は、点灯すると、点灯している旨を通知する信号である点灯情報を、通信ライン140を介して制御装置20の制御部22に予め定められた周期で送信する。また、照明機器130は、消灯すると、消灯している旨を通知する信号である消灯情報を、通信ライン140を介して制御装置20の制御部22に予め定められた周期で送信する。
図15は、本発明の実施の形態2にかかる換気システム3の制御装置20の制御部22におけるレンジフードファン120と連携した制御処理の手順を示すフローチャートである。以下、換気システム3におけるレンジフードファン120の動作状態に基づいた換気運転について説明する。以下に示す処理は、図6を参照して説明した制御装置20の制御部22における制御中に行われる。
ステップS310において制御装置20の制御部22は、レンジフードファン120から運転情報を受信しているかまたは停止情報を受信しているかに基づいて、レンジフードファン120が運転しているか否かを判定する。制御部22は、運転情報を受信している場合に、レンジフードファン120が運転していると判定する。制御部22は、停止情報を受信している場合に、レンジフードファン120が停止していると判定する。レンジフードファン120が運転していると判定された場合は、ステップS310においてYesとなり、ステップS320に進む。レンジフードファン120が停止していると判定された場合は、ステップS310においてNoとなり、制御部22は、ステップS310に戻る。
ステップS320において、制御部22は、レンジフードファン120との間の風路が1番短い給気部40の給気口41の開口時間を、制御部22に設定されている開口時間の初期設定値よりも長くした変更設定値を設定して、変更設定値に基づいて対象部屋における給気部40の給気口41の開閉を制御する。または、制御部22は、レンジフードファン120との間の風路が1番短い給気部40の給気口41に対しての換気運転の1サイクルにおける給気部40の給気口41の開口回数を、制御部22に設定されている開口回数の初期設定値よりも多くした変更設定値を設定する。そして、制御部22は、変更設定値に基づいて、レンジフードファン120との間の風路が1番短い給気部40の給気口41の開閉を制御する。これにより、換気システム3は、レンジフードファン120との間の風路が1番短い給気部40の給気口41からの給気を増やして、キッチンの負圧を低減することが可能となる。
ここで、制御部22は、レンジフードファン120との間の風路が1番短い給気部40が現在の対象部屋に配置された給気部40である場合には、現在の対象部屋に配置された給気部40について変更設定値を設定して換気を制御する。また、制御部22は、レンジフードファン120との間の風路が1番短い給気部40が現在の対象部屋に配置された給気部40でない場合には、上記の変更設定値の設定は行わず、次の対象部屋以降の対象部屋に配置された給気部40のうちレンジフードファン120との間の風路が1番短い給気部40について変更設定値を設定して換気を制御する。
なお、ステップS320において制御部22は、レンジフードファン120との間の風路が1番短い給気部40であるか否かにかかわらず、現在の対象部屋に配置された給気部40について変更設定値を設定して換気を制御することも可能である。この場合も、レンジフードファン120との間の風路が1番短い給気部40の給気口41からの給気を増やす場合よりは効果は減るものの、キッチンの負圧を低減することが可能となる。
ステップS320の後、制御部22は、現在の対象部屋に対しての、換気運転の1サイクル内における一連の連携制御を終了する。なお、換気運転の1サイクル内において、開口時間を長くした変更設定値または開口回数を多くした変更設定値を設定した対象部屋に対しては、更なる開口時間または開口回数の変更設定値の設定は行われない。
以上の制御を行うことにより、換気システム3は、レンジフードファン120の動作状態に基づいて、レンジフードファン120との間の風路が1番短い給気部40の給気口41からの給気を増やして、キッチンの負圧を低減することができ、キッチンの窓が開けにくくなる状態などの発生を抑制できる。
図16は、本発明の実施の形態2にかかる換気システム3の制御装置20の制御部22における照明機器130と連携した制御処理の手順を示すフローチャートである。以下、換気システム3における照明機器130の動作状態に基づいた換気運転について説明する。以下に示す処理は、図6を参照して説明した制御装置20の制御部22における制御中に行われる。
ステップS410において制御装置20の制御部22は、対象部屋について、照明機器130から点灯情報を受信しているかまたは消灯情報を受信しているかに基づいて、照明機器130が点灯しているか否かを判定する。制御部22は、点灯情報を受信している場合に、照明機器130が点灯していると判定する。制御部22は、消灯情報を受信している場合に、照明機器130が消灯していると判定する。対象部屋の照明機器130が点灯していると判定された場合は、対象部屋に人がいると判定され、ステップS410においてYesとなり、ステップS420に進む。対象部屋の照明機器130が消灯していると判定された場合は、ステップS410においてNoとなり、制御部22は、ステップS410に戻る。
ステップS420の処理は、上述した図12に示すフローチャートのステップS120の場合と同様である。これにより、換気システム3は、照明機器130が点灯していると判定された現在の対象部屋の換気量を増やすことができ、現在の対象部屋の空気をより清浄化することができ、快適で安全な環境を提供することができる。また、ステップS420において制御部22は、対象部屋の給気部40の給気口41の開口時間を、現在、照明機器130が点灯していない他の部屋の開口時間の初期設定値よりも長く設定してもよい。また、制御部22は、対象部屋の給気部40の給気口41の開口回数を、現在、照明機器130が点灯していない他の部屋の開口回数の初期設定値よりも多く設定してもよい。
ステップS420の後、制御部22は、現在の対象部屋に対しての、換気運転の1サイクル内における一連の連携制御を終了する。なお、換気運転の1サイクル内において、開口時間を長くした変更設定値または開口回数を多くした変更設定値を設定した対象部屋に対しては、更なる開口時間または開口回数の変更設定値の設定は行われない。
以上の制御を行うことにより、換気システム3は、照明機器130の動作状態に基づいて、給気部40の給気口41からの給気を増やして、キッチンの負圧を低減することができ、キッチンの窓が開けにくくなる状態などの発生を抑制できる。
なお、換気システム3においては、排気部30における排気能力、すなわち排気量が複数段階に変更可能な場合には、開口時間を長くするまたは開口回数を多くする代わりに、排気部30の排気風量、すなわち排気側送風機32の風量を制御部22に設定されている初期設定の設定値よりも多くしてもよい。これにより、換気システム3は、照明機器130の動作状態に基づいて、上記と同様に対象部屋の状況に対応した適切な換気を実現することができる。さらに、給気部40の給気口41の開口時間の変更または開口回数の変更と、排気部30の排気風量の変更とを組み合わせることにより、更なる細やかな換気量の制御が可能となる。
また、換気システム1の変形例として、制御装置20の制御部22が時計機能を有してもよい。これにより、制御部22は、寝室に設けられた給気部40の給気口41の開口時間を、寝室が使用される夜間は初期設定値より自動的に長く変更し、寝室が使用されることが少ない昼間は初期設定値より自動的に短く変更することが可能である。このように、制御部22が時計機能を有することにより、各給気部40の給気口41の開口時間を、居住者の生活パターンまたは部屋の利用状況に合わせて変更することが可能であり、各部屋について必要十分な換気が可能となる。
また、給気部40における給気口41の開閉の切り替えは、制御装置20の制御部22から送信される開閉信号に基づいて行われる。このため、遠隔操作機器10から制御部22に割り込み処理信号を送ることで、任意のタイミングで任意の部屋を強制換気することが可能である。
また、換気システム2,3は、部屋の間取りの多様化に起因して一般的な第3種換気では難しかった建物の建築後の換気量の調整が、制御部22における設定により、容易に再設定および変更が可能となる。
また、換気システム2,3では、制御装置20と、HEMSとを接続することにより、住宅200内の各部屋の空気調和管理の1つの方法として、上述した換気を行うことも可能となる。また、制御装置20の機能を、HEMSにおいて住宅200内の複数の宅内設備機器の運転、停止または風量の調整などの動作を遠隔管理により制御する宅内設備機器集中管理装置が兼ねてもよい。
上述したように、本実施の形態2にかかる換気システム2,3は、換気システム1と同様の効果を有する。
また、本実施の形態2にかかる換気システム2は、各種のセンサと連携した換気運転を行うことにより、対象部屋の状況に対応した適切な換気を実現することができる。また、本実施の形態2にかかる換気システム3は、宅内設備機器と連携した換気運転を行うことにより、対象部屋の状況に対応した適切な換気を実現することができる。
実施の形態3.
上述した実施の形態では、排気側が機械換気であり、給気側が自然換気である第3種換気を行う場合について説明したが、上述した処理を排気側が自然換気であり、給気側が機械換気である第2種換気を行う場合に適用してもよい。すなわち、シャッター付き給気部40を給気扇としてもよい。この場合は、シャッター付き排気部30は排気側送風機32を備えない。
図17は、本発明の実施の形態3にかかる換気システム4の住宅200における構成例を示す図である。図18は、本発明の実施の形態3にかかる換気システム4の機能構成を示すブロック図である。2階建ての建物である住宅200に設けられた本実施の形態3にかかる換気システム4は、遠隔操作機器10と、制御装置20と、シャッター付き給気部160と、シャッター付き排気部150と、宅内無線ライン50と、宅内通信ライン60と、を有している。換気システム4において換気システム1と同様の構成については、換気システム1と同じ符号を付して説明を省略する。
図17に示すように、住宅200において、1階の部屋211における建物の外部に隣り合う壁には、シャッター付き排気部150が配置されている。また、換気システム4は、シャッター付き給気部160として、第1シャッター付き給気部160a、第2シャッター付き給気部160bおよび第3シャッター付き給気部160cを有する。第1シャッター付き給気部160aは、1階の部屋212における建物の外部に隣り合う壁に配置されている。第2シャッター付き給気部160bは、2階の部屋213における建物の外部に隣り合う壁に配置されている。第3シャッター付き給気部160cは、2階の部屋214における建物の外部に隣り合う壁に配置されている。
シャッター付き排気部150は、排気側送風機32を備えておらず、排気口31において自然換気を行う点がシャッター付き排気部30と異なる。
シャッター付き給気部160は、給気側送風機45を備え、給気口41において機械換気を行う点がシャッター付き給気部40と異なる。給気側送風機45は、建物の外の空気を給気口41を通して建物の中に給気する送風を行う送風機である。すなわち、給気側送風機45は、通気口を通して部屋の空気を換気する機械換気装置である。
本実施の形態3においては、給気口41は、換気システム3において建物の外部に隣り合う壁に設けられた複数の通気口のうち、給気側送風機45によって換気が行われる1つ以上の通気口である第1の通気口である。また、本実施の形態3においては、排気口31は、換気システム4において建物の外部に隣り合う壁に設けられた複数の通気口のうち、給気側送風機45によって換気が行われる第1の通気口以外の通気口である。そして、本実施の形態3においては、排気口31は、換気運転中にシャッターにより開かれる1つの第2の通気口と、換気運転中にシャッターにより開かれない他の通気口とに該当する。
したがって、換気システム4は、第2種換気を行う。換気システム4は、上述した実施の形態における各部屋のシャッター付き給気部40の給気口41の開口時間を、シャッター付き給気部160の給気側送風機45の動作時間に置き換えることにより、上述した実施の形態の場合と同様の効果が得られる。また、換気システム4は、上述した実施の形態において各部屋のシャッター付き給気部40の給気口41での換気運転の1サイクル内の開口回数を、換気運転の1サイクル内の給気側送風機45の動作回数に置き換えることにより、上述した実施の形態の場合と同様の効果が得られる。
なお、換気システム4においては、シャッター付き給気部160における排気能力、すなわち給気量が複数段階に変更可能な場合には、換気運転の1サイクル内の対象部屋の給気口41の開口時間を長くする代わり、または換気運転の1サイクル内の対象部屋の給気側送風機45の動作回数を多くする代わりに、シャッター付き給気部160の給気風量、すなわち給気側送風機45の風量を制御部22に設定されている初期設定の設定値よりも多くしてもよい。これにより、換気システム4は、換気システム2および換気システム3の場合と同様に、対象部屋の状況に対応した適切な換気を実現することができる。さらに、上記の給気口41の開口時間の変更または給気側送風機45の動作回数の変更と、シャッター付き給気部160の給気風量の変更とを組み合わせることにより、更なる細やかな換気量の制御が可能となる。
したがって、第2種換気を行う換気システム4でも、より多様化する間取りの影響を受けることなく、各部屋に必要な換気を確実に行うことが可能となり、各部屋について必要な換気量のバランスのとれた換気が可能となる。
実施の形態4.
図19は、本発明の実施の形態4にかかる第1の換気システム5および第2の換気システム6の住宅200における構成例を示す図である。上述した実施の形態1では、図1に示すように、1階に設けた1つの排気部30で1階および2階の各部屋の換気を行う構成を示したが、1階および2階の各々の階の1つの部屋に排気部30を設けてもよい。そして、1階および2階の各々の階に、給気部40が設けられた部屋が複数存在するものとする。
この場合は、1階の部屋221に排気部30である第1シャッター付き排気部30aが配置され、1階の部屋である部屋222に給気部40である第1シャッター付き給気部40aが配置され、1階の部屋である部屋223に給気部40である第2シャッター付き給気部40bが配置される。また、2階の部屋224に排気部30である第2シャッター付き排気部30bが配置され、2階の部屋である部屋225に給気部40である第3シャッター付き給気部40cが配置され、2階の部屋である部屋226に給気部40である第4シャッター付き給気部40dが配置される。
そして、遠隔操作機器10と、制御装置20と、1階の複数の部屋の給気部40である第1給気部40aおよび第2給気部40bと、1階に設けられた第1排気部30aと、により第1の換気システム5が構成される。また、遠隔操作機器10と、制御装置20と、2階の複数の部屋の給気部40である第3給気部40cおよび第4給気部40dと、2階に設けられた第2排気部30bと、により第2の換気システム6が構成される。
第1の換気システム5および第2の換気システム6は、上述した実施の形態で示した換気運転を行うことができる。また、遠隔操作機器10と制御装置20とは、第1の換気システム5および第2の換気システム6に対して、上述した実施の形態で示した換気についての制御を行う。これにより、1階と2階との各々の階毎に、上述した実施の形態で示した換気を行うことができる。これにより、初期設定の段階で、1日あたりの各部屋の換気時間を長く確保することができ、対象部屋の空気をより清浄化することができ、快適で安全な環境を提供することができる。
したがって、実施の形態4では、建物が複数階構造を有し、機械換気装置である排気側送風機32が建物の各階に配置されている。そして、制御部22は、建物の各階において、排気部30により換気を行う排気口31をシャッターにより開くとともに排気側送風機32を運転させた状態で、複数の給気口41のうち、対象部屋に設けられた給気口41をシャッターにより開き、他の給気口41を閉じる。
第1の換気システム5および第2の換気システム6は、完全に独立して換気運転を行ってもよい。また、第1の換気システム5と第2の換気システム6とは、交互に換気運転を行ってもよい。この場合は、第1の換気システム5と第2の換気システム6とのうち一方の換気システムの排気部30が動作しているときは、他方の換気システムの排気部30は停止してシャッターも閉じているとよい。
また、第1の換気システム5と第2の換気システム6とは、実施の形態3で説明した換気システム4により第2種換気を行う場合に適用することも可能である。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、実施の形態の技術同士を組み合わせることも可能であるし、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。