以下に、本発明にかかる換気システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。各図面間においても同様である。
実施の形態
図1は、本発明の実施の形態にかかる換気システムの構成を示すブロック図である。実施の形態にかかる換気システムは、サニタリー排気装置10と、熱交換換気装置20と、レンジフードファン30と、建物内通信ライン40とを有している。
サニタリー排気装置10は、建物内における複数のサニタリーゾーンの空気の排気を行う排気装置である。ここで、サニタリーゾーンとは、キッチンを除いた、トイレ、浴室または洗面所などの、衛生のための設備を持つスペースを意味する。サニタリー排気装置10は、建物の外部まで配設されて建物外に連通したダクトからなる第1排気風路部に接続される。また、サニタリー排気装置10は、壁または天井を介して建物外に連通されてもよい。また、サニタリー排気装置10は、各サニタリーゾーンまで配設されて該サニタリーゾーンに連通したダクトからなる第2排気風路部に接続されている。また、サニタリー排気装置10は、天井を介して各サニタリーゾーンに連通されてもよい。
サニタリー排気装置10は、排気部11と、サニタリー排気装置操作スイッチ12と制御部13とを有する。排気部11は、ファンを備えて排気を実行する。サニタリー排気装置操作スイッチ12は、居住者がサニタリー排気装置10の運転、停止または風量の調整などの操作を行うための指示情報を入力するスイッチであり、サニタリーゾーンの任意の部屋に配置される。
制御部13は、サニタリー排気装置操作スイッチ12から入力される指示情報に基づいて、排気部11を含むサニタリー排気装置10全体の動作を制御する。また、制御部13は、レンジフードファン30からレンジフードファン運転開始信号またはレンジフードファン運転停止信号が入力されると、該レンジフードファン運転開始信号またはレンジフードファン運転停止信号の信号に基づいて排気部11の運転状態を変更させる制御を行うことができる。すなわち、制御部13は、レンジフードファン30の運転状態に連動してサニタリー排気装置10の運転状態を制御するレンジフードファン連動機能を有する。制御部13は、レンジフードファン30からレンジフードファン運転開始信号を受信すると、サニタリー排気装置10が運転を停止している場合はサニタリー排気装置10の排気を開始し、サニタリー排気装置10が運転している場合は排気風量を増加させる制御を行う。
ここで、サニタリー排気装置10の第1の構成例について説明する。サニタリー排気装置10は、1台のサニタリー排気装置10が第2排気風路部を介して、または天井を介して、トイレと浴室とサニタリーゾーンにおける他の室内とに連通するように構成することができる。そして、サニタリー排気装置10は、トイレと浴室とサニタリーゾーンにおける他の室内とからの総排気風量を一定の風量として、同時に一括してトイレと浴室と他の室内とから排気する。サニタリーゾーンにおける他の室内は、たとえば洗面所である。
第1の構成例のサニタリー排気装置10の制御部13は、該制御部13がレンジフードファン30からレンジフードファン運転開始信号を受信した際にサニタリー排気装置10が運転を停止している場合は、サニタリー排気装置10に接続された全ての室内の排気を開始するように排気部11を制御する。
第1の構成例の場合は、サニタリーゾーンのうちトイレと浴室とを除いた他の室内に接続する第2排気風路部の途中に、該第2排気風路部の風路を個別に閉鎖して、サニタリー排気装置10によって排気が行われる風路を切り換えることが可能な風路切り替え装置50が配置される。風路切り替え装置50は、第2排気風路部の風路を閉鎖する閉鎖処理部51と、閉鎖処理部51における第2排気風路部の風路の閉鎖を制御する制御部52とを有する。風路切り替え装置50には、たとえば風路切替えダンパーを用いることができる。
風路切り替え装置50の制御部52は、レンジフードファン30からレンジフードファン運転開始信号が入力されると、該風路切り替え装置50が配置されている第2排気風路部の風路を閉鎖する。これにより、サニタリー排気装置10が運転していても、風路切り替え装置50が配置された第2排気風路部が連通する他の室内の排気は停止する。ここで、サニタリー排気装置10は、上記のようにトイレと浴室と他の室内とからの総排気風量を一定の風量として、同時に一括してトイレと浴室と他の室内とから排気するように構成されている。したがって、他の室内からの排気が停止されることによって、トイレおよび浴室からの排気風量が通常運転状態、すなわちトイレと浴室と他の室内とから排気が行われている場合よりも増加し、トイレの臭気および湿度の高い浴室の空気をサニタリー排気装置10によって排気するために必要な排気風量を確保することができる。ここで、トイレおよび浴室からの排気風量は、レンジフードファン運転開始信号が入力された時点、すなわちレンジフードファン30が運転を開始した時点よりも増加する。
すなわち、サニタリー排気装置10が、レンジフードファン運転開始信号に基づいて、該サニタリー排気装置10に接続された全ての室内の排気を開始する。そして、風路切り替え装置50が、レンジフードファン運転開始信号に基づいて、サニタリーゾーンのうちトイレと浴室とを除いた他の室内に接続する第2排気風路部の風路を閉鎖する。これにより、サニタリー排気装置10におけるトイレおよび浴室からの排気風量をレンジフードファン運転開始信号が入力された時点、すなわちレンジフードファン30が運転を開始した時点よりも増加させて、トイレの臭気および湿度の高い浴室の空気が他の室内へ逆流することを抑制することができる。
サニタリー排気装置10における排気は、第2排気風路部の風路を閉鎖した後にトイレの臭気および湿度の高い浴室の空気をサニタリー排気装置10によって排気するために必要な排気風量が確保できる既定の総排気風量で行われる。ここでの既定の総排気風量は、レンジフードファン30による排気とサニタリー排気装置10による排気とによって建物内が過度の負圧状態にならない程度とされる。既定の総排気風量は、たとえばトイレおよび浴室の気圧がキッチンの気圧を大きく上回らないようにあらかじめ設定される。
なお、サニタリー排気装置10の総排気風量は、レンジフードファン30が開始した運転の排気風量に対応させて異ならせてもよい。これにより、レンジフードファン30の排気風量に対応させて、トイレの臭気および湿度の高い浴室の空気をサニタリー排気装置10によって排気するために必要な排気風量を確保することができる。レンジフードファン30の排気風量の情報は、たとえばレンジフードファン運転開始信号に組み込まれてもよく、またレンジフードファン30の排気風量ごとにレンジフードファン運転開始信号自体を異ならせてもよい。
なお、第1の構成例の場合は、トイレおよび浴室からの排気風量をレンジフードファン運転開始信号が入力された時点、すなわちレンジフードファン30が運転を開始した時点よりも増加させる機能を風路切り替え装置50が担う。すなわち、サニタリー排気装置10の制御部13は、サニタリー排気装置10が運転している状態でレンジフードファン30からレンジフードファン運転開始信号を受信した際に排気風量を増加させる制御機能を持たなくてよい。
また、風路切り替え装置50の制御部52は、レンジフードファン30からレンジフードファン運転停止信号が入力されると、第2排気風路部の風路の閉鎖を解除する。これにより、サニタリー排気装置10が運転することによって、風路切り替え装置50が配置された第2排気風路部が連通するサニタリーゾーンの排気が可能となる。
また、レンジフードファン30からレンジフードファン運転開始信号を受信した際にサニタリー排気装置10が運転している場合は、第1の構成例のサニタリー排気装置10の制御部13は、レンジフードファン運転開始信号に基づいて排気部11の運転状態を変えることはない。また、レンジフードファン30からレンジフードファン運転停止信号を受信した際にサニタリー排気装置10が運転している場合は、第1の構成例のサニタリー排気装置10の制御部13は、レンジフードファン運転停止信号に基づいて制御部11の運転状態を変えることはない。
一方、風路切り替え装置50の制御部52は、レンジフードファン30からレンジフードファン運転開始信号が入力されると、該風路切り替え装置50が配置されている第2排気風路部の風路を閉鎖する。これにより、サニタリー排気装置10が運転していても風路切り替え装置50が配置された第2排気風路部が連通するサニタリーゾーンの他の室内の排気は停止する。ここで、サニタリー排気装置10は、上記のようにトイレと浴室と他の室内とからの総排気風量を一定の風量として同時に一括してトイレと浴室と他の室内とから排気するように構成されている。したがって、他の室内からの排気が停止されることによって、トイレおよび浴室からの排気風量がレンジフードファン運転開始信号が入力された時点における通常運転状態、すなわちトイレと浴室と他の室内とから排気が行われている場合よりも増加し、トイレの臭気および湿度の高い浴室の空気をサニタリー排気装置10によって排気するために必要な排気風量を確保することができる。
すなわち、サニタリー排気装置10は、レンジフードファン運転開始信号を受信した際にサニタリー排気装置10が運転している場合には、運転状態を変えることなく運転を継続する。そして、風路切り替え装置50が、レンジフードファン運転開始信号に基づいて、サニタリーゾーンのうちトイレと浴室とを除いた、サニタリーゾーンの他の室内に接続する第2排気風路部の風路を閉鎖する。これにより、サニタリー排気装置10におけるトイレおよび浴室からの排気風量を、レンジフードファン運転開始信号が入力された時点、すなわちレンジフードファン30が運転を開始した時点よりも増加させて、トイレの臭気および湿度の高い浴室の空気が他の室内へ逆流することを抑制することができる。
ここで、サニタリー排気装置10における排気は、第2排気風路部の風路を閉鎖した後にトイレの臭気および湿度の高い浴室の空気をサニタリー排気装置10によって排気するために必要な排気風量が確保できる既定の総排気風量で行われる。ここでの既定の総排気風量は、レンジフードファン30による排気とサニタリー排気装置10による排気とによって建物内が過度の負圧状態にならない程度とされる。なお、サニタリー排気装置10は、レンジフードファン運転開始信号に基づいて、建物内が過度の負圧状態にならない程度にサニタリー排気装置10の総排気風量を多少増加させてもよい。
つぎに、サニタリー排気装置10の第2の構成例について説明する。サニタリー排気装置10は、第2排気風路部を介して個別にトイレと連通して該トイレの空気を排気するトイレ排気装置と、第2排気風路部を介して個別に浴室に連通して該浴室の空気を排気する浴室排気装置とを備えるサニタリー排気装置10を構成することができる。トイレ排気装置と浴室排気装置とは、互いに独立してトイレまたは浴室と連通される。なお、トイレ排気装置は、壁または天井を介してトイレと連通してもよい。浴室排気装置についても同様である。第2の構成例の場合は、トイレ排気装置と浴室排気装置とは、サニタリーゾーンのうちトイレと浴室とを除いた他の室内には接続しておらず、該他の室内の排気は行わない。
トイレ排気装置の制御部13は、該制御部13がレンジフードファン30からレンジフードファン運転開始信号を受信した際にトイレ排気装置が運転を停止している場合は、トイレ排気装置の排気を開始する。同様に、浴室排気装置の制御部13は、該制御部13がレンジフードファン30からレンジフードファン運転開始信号を受信した際に浴室排気装置が運転を停止している場合は、浴室排気装置の排気を開始する。
ここでのトイレ排気装置と浴室排気装置とにおける排気は、トイレの臭気および湿度の高い浴室の空気をサニタリー排気装置10によって排気するために必要な排気風量が確保できる既定の排気風量で行われる。ここでの既定の排気風量は、レンジフードファン30による排気とトイレ排気装置および浴室排気装置による排気とによって建物内が過度の負圧状態にならない程度とされる。
また、トイレ排気装置と浴室排気装置とのそれぞれの排気風量は、レンジフードファン30が開始した運転の排気風量に対応させて異ならせてもよい。これにより、レンジフードファン30の排気風量に対応させて、トイレの臭気および湿度の高い浴室の空気をサニタリー排気装置10によって排気するために必要な排気風量を確保することができる。レンジフードファン30の排気風量の情報は、たとえばレンジフードファン運転開始信号に組み込まれてもよく、またレンジフードファン30の排気風量ごとにレンジフードファン運転開始信号自体を異ならせてもよい。
サニタリー排気装置10であるトイレ排気装置と浴室排気装置との制御部13は、該制御部13がレンジフードファン30からレンジフードファン運転開始信号を受信した際にサニタリー排気装置10が運転している場合は、それぞれトイレ排気装置または浴室排気装置の排気風量を増加させる。ここで、トイレ排気装置または浴室排気装置の排気風量は、レンジフードファン運転開始信号が入力された時点、すなわちレンジフードファン30が運転を開始した時点よりも増加させる。ここでのトイレ排気装置と浴室排気装置とにおける排気は、トイレの臭気および湿度の高い浴室の空気をサニタリー排気装置10によって排気するために必要な排気風量が確保できる既定の排気風量で行われる。既定の排気風量は、レンジフードファン30による排気とトイレ排気装置および浴室排気装置による排気とによって建物内が過度の負圧状態にならない程度とされる。
また、トイレ排気装置と浴室排気装置とのそれぞれの排気風量は、レンジフードファン30が開始した運転の排気風量に対応させて異ならせてもよい。これにより、レンジフードファン30の排気風量に対応させて、トイレの臭気および湿度の高い浴室の空気をサニタリー排気装置10によって排気するために必要な排気風量を確保することができる。レンジフードファン30の排気風量の情報は、たとえばレンジフードファン運転開始信号に組み込まれてもよく、またレンジフードファン30の排気風量ごとにレンジフードファン運転開始信号自体を異ならせてもよい。
また、トイレ排気装置と浴室排気装置とは、レンジフードファン30からレンジフードファン運転停止信号が入力されると、レンジフードファン運転開始信号に基づいた運転状態の変更が行われる前の運転状態に戻る。
熱交換換気装置20は、熱交換器21と、排気側送風機22と、給気側送風機23と、熱交換器操作スイッチ24と、制御部25とを有している。熱交換換気装置20は、たとえば建物の屋根裏または各階の天井裏などの室内以外のスペースに配置される。
熱交換器21は、建物外から熱交換換気装置20を介して建物内に導入される外気と、建物内の室内から熱交換換気装置20を介して建物外に排出される室内空気との間で熱交換を行う。すなわち、熱交換器21は、建物外から吸い込んだ外気と建物内の室内から吸い込んだ室内空気との間で熱交換を行う。熱交換換気装置20は、建物の外部まで配設されて建物外に連通したダクトからなる第1給気風路部に接続されている。また、熱交換換気装置20は、1または複数の室内まで配設されて該室内に連通したダクトからなる第2給気風路部に接続されている。熱交換換気装置20は、建物の外部まで配設されて建物外に連通したダクトからなる第3排気風路部に接続されている。また、熱交換換気装置20は、1または複数の室内まで配設されて該室内に連通したダクトからなる第4排気風路部に接続されている。
排気側送風機22は、建物内の室内から室内空気を吸い込むとともに熱交換後の室内空気を建物の外側へ送り出して排出する熱交換排気のための送風を行う送風機である。給気側送風機23は、建物外から外気を吸い込むとともに熱交換後の外気を室内へ送り出す熱交換給気のための送風を行う送風機である。
熱交換器操作スイッチ24は、居住者が熱交換換気装置20の運転、停止または風量の調整などの操作を行うための指示情報を入力するスイッチであり、建物内の任意の部屋に配置される。
熱交換換気装置20は、通常、在室者が居ない場合においても小風量で常時換気、すなわち24時間換気が行われる24時間換気システムに用いられる。ここで、24時間換気システムとは、室内の空気をファンなどの機械を使って小風量で計画的に入れ替え、常に新鮮な空気を維持するシステムである。24時間換気は、住宅内から発生するVOC(Volatile Organic Compounds)を排出することを目的としている。
常時換気運転を行っている熱交換換気装置20は、レンジフードファン30からレンジフードファン運転開始信号が入力されると、排気側送風機22を停止させ、または風量を低減させる。これにより、熱交換換気装置20による熱交換排気は、停止または風量が低減する。熱交換換気装置20は、レンジフードファン運転開始信号に基づいて熱交換排気を停止した場合には、建物外から吸い込んだ外気を室内へ熱交換を行わずに送り出す通常給気を行う。これにより、建物全体の過度な負圧、すなわち給気不足を抑制することができる。
なお、建物全体の過度な負圧を抑制する観点から、熱交換換気装置20は、レンジフードファン運転開始信号に基づいて熱交換排気を停止することが好ましい。レンジフードファン運転開始信号に基づいて熱交換排気の風量を低減する場合には、建物全体の過度な負圧を抑制することができるように、レンジフードファン30が運転を開始した場合の建物内の排気風量によって、低減する風量があらかじめ決められる。
熱交換換気装置20によって24時間換気が行われている場合には、低減された熱交換排気の風量は、24時間換気における熱交換排気の排気風量よりも少なくなる。一方、給気側送風機23は、停止または熱交換給気の風量が低減されることはない。また、熱交換換気装置20が24時間換気以上の大排気風量で駆動していた場合には、低減された風量は、該大排気風量よりも少なくなる。一方、給気側送風機23は、停止または熱交換給気の風量が低減されることはない。
また、熱交換換気装置20は、レンジフードファン30からレンジフードファン運転停止信号が入力されると、熱交換排気の停止状態または熱交換排気の排気風量の低減状態を解除し、レンジフードファン運転停止信号に基づいた運転状態の変更が行われる前の運転状態に戻る。
上記のような運転状態の変更の処理は、熱交換換気装置20内に設けられた制御部25が、レンジフードファン運転開始信号およびレンジフードファン運転停止信号に基づいて、排気側送風機22を制御することによって行われる。
制御部25は、レンジフードファン運転開始信号およびレンジフードファン運転停止信号に基づいた排気側送風機22の運転の制御を含む、熱交換換気装置20全体の処理を制御する。
レンジフードファン30は、キッチンに設けられた排気用のファンである。レンジフードファン30は、建物の外壁まで配設されて建物外に連通したダクトからなる第5排気風路部に接続されている。レンジフードファン30の運転により、第5排気風路部を介してキッチンの空気が排気される。レンジフードファン30は、排気部31と、レンジフードファン操作スイッチ32と制御部33とを有する。
レンジフードファン操作スイッチ32は、居住者がレンジフードファン30の運転、停止または風量の調整などの操作を行うための指示情報を入力するスイッチであり、キッチンに配置される。レンジフードファン30は、レンジフードファン操作スイッチ32を操作することによって、排気風量を数段階に切り替えて運転可能である。
レンジフードファン30の制御部33は、レンジフードファン運転開始信号およびレンジフードファン運転停止信号の送信を含む、レンジフードファン30全体の処理を制御する。レンジフードファン30の制御部33は、レンジフードファン30の運転が開始されると、該レンジフードファン30が運転を開始した旨を通知する信号であるレンジフードファン運転開始信号を、建物内通信ライン40を介して送信する。
レンジフードファン30の制御部33は、レンジフードファン30が運転をスタートさせると同時に、レンジフードファン運転開始信号を送信する。サニタリー排気装置10が第1の構成例のように構成される場合には、レンジフードファン30の制御部33は、レンジフードファン運転開始信号をサニタリー排気装置10、風路切り替え装置50および熱交換換気装置20に送信する。サニタリー排気装置10が第2の構成例のように構成される場合には、レンジフードファン30の制御部33は、レンジフードファン運転開始信号をサニタリー排気装置10および熱交換換気装置20に送信する。
また、レンジフードファン30の制御部33は、レンジフードファン30の運転が停止すると、レンジフードファン30が運転を停止した旨を通知する信号であるレンジフードファン運転停止信号を、建物内通信ライン40を介して送信する。サニタリー排気装置10が第1の構成例のように構成される場合には、レンジフードファン30の制御部33は、レンジフードファン運転停止信号をサニタリー排気装置10、風路切り替え装置50および熱交換換気装置20に送信する。サニタリー排気装置10が第2の構成例のように構成される場合には、レンジフードファン30の制御部33は、レンジフードファン運転停止信号をサニタリー排気装置10および熱交換換気装置20に送信する。
建物内通信ライン40は、サニタリー排気装置10および熱交換換気装置20と、レンジフードファン30とを、情報を通信可能に接続する通信回線である。建物内通信ライン40は、有線通信回線が用いられる。なお、建物内通信ライン40に無線通信回線を用いることも可能である。
上述した実施の形態にかかる換気システムでは、熱交換換気装置20が常時換気を行っている状態で運転を開始したレンジフードファン30が、レンジフードファン運転開始信号を送信する。そして、運転を停止しているサニタリー排気装置10は、レンジフードファン運転開始信号に基づいてトイレおよび浴室からの排気を開始する。また、運転しているサニタリー排気装置10は、レンジフードファン運転開始信号に基づいて排気風量を増加してトイレおよび浴室の排気を行う。ここで、トイレおよび浴室からの排気風量は、レンジフードファン運転開始信号が入力された時点、すなわちレンジフードファン30が運転を開始した時点よりも増加させる。これにより、トイレの臭気および湿度の高い浴室の空気をサニタリー排気装置10によって排気するために必要な排気風量を確保することができ、トイレの臭気および湿度の高い浴室の空気が他の室内へ逆流することを抑制することができる。
また、熱交換換気装置20は、レンジフードファン運転開始信号に基づいて常時換気を停止して通常給気を実行し、または常時換気における熱交換排気の風量を低減する。これにより、建物全体の過度な負圧、すなわち給気不足を抑制することができる。
したがって、上述した実施の形態にかかる換気システムでは、レンジフードファン30を運転した場合においても、建物内が過度の負圧になることを抑制しつつ、トイレの臭気および湿度の高い浴室の空気が他の室内へ逆流することを抑制することが可能となる。
なお、上記においてはレンジフードファン運転開始信号を受信した場合にサニタリー排気装置10がトイレと浴室との両方の排気を行う場合について説明したが、トイレまたは浴室のどちらか一方の排気を行うことも可能である。
次に、本実施の形態にかかる換気システムが一般家庭住宅に適用された場合の該換気システムの動作の例について説明する。図2は、本実施の形態にかかる換気システムの一般家庭住宅における構成例を示す図である。図2においては、熱交換換気装置によって常時換気が行われている状態でレンジフードファンが運転を開始した状態を示している。図2において、矢印は空気の流れを示しており、矢印の大きさは風量を表している。
図2において、住宅の1階の浴室102の天井裏200には、サニタリーゾーンであるトイレ101、浴室102および洗面所103の空気の排気を行う排気装置であるサニタリー排気装置10aが配置されている。サニタリー排気装置10aは、浴室102の天井を介して浴室102に連通している。また、サニタリー排気装置10aは、建物の外部まで配設されて建物外に連通したダクトからなる第1排気風路部111に接続されている。また、サニタリー排気装置10aは、トイレ101および洗面所103まで配設されて該トイレ101および洗面所103に連通したダクトからなる第2排気風路部112に接続されている。
図2におけるサニタリー排気装置10aは、上述した第1の構成例のサニタリー排気装置10である。サニタリー排気装置10aは、トイレ101と浴室102とサニタリーゾーンにおける他の室内である洗面所103とに連通しており、トイレ101と浴室102と洗面所103とからの総排気風量を一定の風量として、同時に一括してトイレ101と浴室102と洗面所103とから排気を行う。
サニタリー排気装置10aと洗面所103を接続する第2排気風路部112の途中には、風路切り替え装置50である風路切替えダンパーが配置される。
住宅の1階の玄関廊下105の天井裏200には、熱交換換気装置20aが配置されている。熱交換換気装置20aは、建物の外部まで配設されて建物外に連通したダクトからなる第1給気風路部121に接続されている。また、熱交換換気装置20aは、リビングダイニングキッチン104および図示しない1階の他の室内まで配設されて該リビングダイニングキッチン104および図示しない1階の他の室内に連通したダクトからなる第2給気風路部122に接続されている。以下では、リビングダイニングキッチン104をLDK104と記載する場合がある。熱交換換気装置20aは、建物の外部まで配設されて建物外に連通したダクトからなる第3排気風路部123に接続されている。また、熱交換換気装置20aは、LDK104および図示しない1階の他の室内まで配設されて該LDK104および図示しない1階の他の室内に連通したダクトからなる図示しない第4排気風路部に接続されている。
熱交換換気装置20aは、熱交換器21と、排気側送風機22と、給気側送風機23と、玄関廊下105に配置された熱交換器操作スイッチ24と、制御部25とを有している。なお、熱交換器21と制御部25とについては、図示を省略している。
住宅の1階のLDK104には、レンジフードファン30が配置されている。レンジフードファン30は、建物の外壁まで配設されて建物外に連通したダクトからなる第5排気風路部131に接続されている。また、LDK104には、レンジフードファン操作スイッチ32が配置されている。
住宅の2階の廊下301の屋根裏400には、熱交換換気装置20bが配置されている。熱交換換気装置20bは、建物の外部まで配設されて建物外に連通しダクトからなる第1給気風路部121に接続されている。また、熱交換換気装置20bは、2階の居室302、居室303および居室304まで配設されて該居室302、居室303および居室304に連通しダクトからなる第2給気風路部122に接続されている。熱交換換気装置20bは、建物の外部まで配設されて建物外に連通しダクトからなる第3排気風路部123に接続されている。また、熱交換換気装置20bは、2階の居室302、居室303および居室304まで配設されて該居室302、居室303および居室304に連通しダクトからなる図示しない第4排気風路部に接続されている。
熱交換換気装置20bは、図示しない熱交換器と、排気側送風機22と、給気側送風機23と、2階の廊下301に配置された熱交換器操作スイッチ24と、図示しない制御部とを有している。
住宅の2階のトイレ305には、サニタリー排気装置であるトイレ排気装置10bが配置されている。トイレ排気装置10bは、トイレ305の壁を介して建物外に連通しており、トイレ305の排気を行う。トイレ排気装置10bは、上述した第2の構成例のサニタリー排気装置10である。ただし、ここではサニタリー排気装置10aの動作の説明を主とするため、トイレ排気装置10bの動作の説明は省略する。
また、サニタリー排気装置10a、熱交換換気装置20aおよび熱交換換気装置20bと、レンジフードファン30とは、建物内通信ライン40を介して情報を通信可能に接続されている。図2においては、建物内通信ライン40を点線矢印で示している。
つぎに、図2に示すように構成される換気システムの動作について説明する。図3は、図2に示す換気システムの動作の手順を示すフローチャートである。まず、ステップS10では、熱交換換気装置20aおよび熱交換換気装置20bが常時換気、すなわち24時間換気を実施している状態で、居住者がレンジフードファン操作スイッチ32を操作することによりレンジフードファン30が運転をスタートさせる。
ステップS20では、レンジフードファン30が運転をスタートさせると同時に、該レンジフードファン30の制御部33が、レンジフードファン運転開始信号を送信する。レンジフードファン30の制御部33は、レンジフードファン運転開始信号をサニタリー排気装置10aと、トイレ排気装置10bと、風路切り替え装置50と、熱交換換気装置20aと、熱交換換気装置20bとに送信する。
ステップS30では、熱交換換気装置20の制御部25は、レンジフードファン運転開始信号を受信すると、該レンジフードファン運転開始信号に基づいて該熱交換換気装置20の排気側送風機22を停止、または排気風量を低減させる。すなわち、熱交換換気装置20aおよび熱交換換気装置20bは、それぞれ排気側送風機22を停止、または排気風量を低減させる。熱交換換気装置20aおよび熱交換換気装置20bは、排気側送風機22を停止した場合には、通常給気を行う。
ステップS40では、レンジフードファン運転開始信号を受信すると、サニタリー排気装置10aが排気を開始または排気を継続する。すなわち、サニタリー排気装置10aの制御部13は、レンジフードファン運転開始信号を受信した際にサニタリー排気装置10aが運転していない場合は、サニタリー排気装置10aの排気を開始する制御を行う。ここで、サニタリー排気装置10aは、トイレ101と浴室102と洗面所103とからの総排気風量を一定の風量として、同時に一括してトイレ101と浴室102と洗面所103とからの排気を開始する。また、サニタリー排気装置10aの制御部13は、レンジフードファン運転開始信号を受信した際にサニタリー排気装置10aが運転している場合は、排気の運転状態を変えることなく、排気運転を行う制御を行う。
ステップS50では、レンジフードファン運転開始信号を受信すると、風路切り替え装置50の制御部52は、該風路切り替え装置50が配置されている第2排気風路部112の風路を閉鎖処理部51によって封鎖する制御を行う。これにより、サニタリー排気装置10aが運転していても風路切り替え装置50が配置された第2排気風路部112が連通する洗面所103の排気は停止する。ここで、サニタリー排気装置10aは、トイレ101と浴室102と洗面所103とからの総排気風量を一定の風量として、同時に一括してトイレ101と浴室102と洗面所103とからの排気を行う。したがって、洗面所103からの排気が停止されることによって、トイレ101および浴室102からの排気風量が通常運転状態、すなわちトイレ101と浴室102と洗面所103とから排気が行われている場合よりも増加し、トイレ101の臭気および湿度の高い浴室102の空気をサニタリー排気装置10aによって排気するために必要な排気風量を得ることができる。ここで、トイレ101および浴室102からの排気風量は、レンジフードファン運転開始信号が入力された時点、すなわちレンジフードファン30が運転を開始した時点よりも増加する。
すなわち、サニタリー排気装置10aが、レンジフードファン運転開始信号に基づいて、該サニタリー排気装置10aに接続された全ての室内の排気を開始する。そして、風路切り替え装置50が、レンジフードファン運転開始信号に基づいて、洗面所103に接続する第2排気風路部112の風路を閉鎖する。これにより、サニタリー排気装置10aにおけるトイレ101および浴室102からの排気風量を、レンジフードファン運転開始信号が入力された時点、すなわちレンジフードファン30が運転を開始した時点よりも増加させることができる。
トイレ101および浴室102からの排気風量は、洗面所103の排気を停止した後にトイレ101の臭気および湿度の高い浴室102の空気を排気するために必要な排気風量が確保できる既定の排気風量で行われる。ここでの既定の排気風量は、レンジフードファン30による排気とサニタリー排気装置10による排気とによって建物内が過度の負圧状態にならない程度とされる。これにより、レンジフードファン30を運転した場合においても、該熱交換換気装置20の排気側送風機22を停止、または排気風量を低減させることにより建物内が過度の負圧になることを抑制しつつ、トイレ101の臭気および湿度の高い浴室102の空気が他の室内へ逆流することを抑制することが可能となる。
図4は、本実施の形態にかかる換気システムの一般家庭住宅における他の構成例を示す図である。図4においては、熱交換換気装置によって常時換気が行われている状態でレンジフードファンが運転を開始した状態を示している。図4において、矢印は空気の流れを示しており、矢印の大きさは風量を表している。図4に示す換気システムが図2に示す換気システムと異なる点は、サニタリー排気装置10aの代わりに、トイレ排気装置10cと浴室排気装置10dとを備えることである。図4におけるトイレ排気装置10cと浴室排気装置10dとは、上述した第2の構成例のサニタリー排気装置である。
トイレ排気装置10cは、住宅の1階のトイレ101に配置されている。トイレ排気装置10cは、トイレ101の壁を介して建物外に連通しており、トイレ101の排気を行う。浴室排気装置10dは、住宅の1階の浴室102の天井裏200に配置されている。浴室排気装置10dは、浴室102の天井を介して浴室102に連通しており、浴室102の排気を行う。また、浴室排気装置10dは、建物の外部まで配設されて建物外に連通しダクトからなる第1排気風路部111に接続されている。また、トイレ排気装置10cと浴室排気装置10dとは、洗面所103には接続しておらず、洗面所103の排気は行わない。
つぎに、図4に示すように構成される換気システムの動作について説明する。図5は、図4に示す換気システムの動作の手順を示すフローチャートである。まず、ステップS10では、熱交換換気装置20aおよび熱交換換気装置20bが常時換気、すなわち24時間換気を実施している状態で、居住者がレンジフードファン操作スイッチ32を操作することによりレンジフードファン30が運転をスタートさせる。
ステップS22では、レンジフードファン30が運転をスタートさせると同時に、レンジフードファン30の制御部33が、レンジフードファン運転開始信号を送信する。レンジフードファン30の制御部33は、レンジフードファン運転開始信号をトイレ排気装置10bと、トイレ排気装置10cと、浴室排気装置10dと、熱交換換気装置20aと、熱交換換気装置20bとに送信する。
ステップS30では、熱交換換気装置20の制御部25は、レンジフードファン運転開始信号を受信すると、該レンジフードファン運転開始信号に基づいて該熱交換換気装置20の排気側送風機22を停止、または排気風量を低減させる。すなわち、熱交換換気装置20aおよび熱交換換気装置20bは、それぞれ排気側送風機22を停止、または排気風量を低減させる。熱交換換気装置20aおよび熱交換換気装置20bは、排気側送風機22を停止した場合には、通常給気を行う。
ステップS42では、レンジフードファン運転開始信号を受信すると、トイレ排気装置10bとトイレ排気装置10cと浴室排気装置10dとが排気を開始または排気を継続する。すなわち、サニタリー排気装置であるトイレ排気装置10bとトイレ排気装置10cと浴室排気装置10dとのそれぞれの制御部13は、レンジフードファン運転開始信号を受信した際に該トイレ排気装置10bとトイレ排気装置10cと浴室排気装置10dとが運転していない場合は、それぞれトイレ排気装置10b、トイレ排気装置10cまたは浴室排気装置10dの排気を開始する制御を行う。ここで、トイレ排気装置10bとトイレ排気装置10cと浴室排気装置10dとは、それぞれ独立して排気を行う。
また、トイレ排気装置10bとトイレ排気装置10cと浴室排気装置10dとの制御部13は、レンジフードファン運転開始信号を受信した際に運転している場合は、それぞれトイレ排気装置10bとトイレ排気装置10cと浴室排気装置10dとの排気風量を増加させる制御を行う。ここで、トイレ排気装置10bとトイレ排気装置10cと浴室排気装置10dとの排気風量は、レンジフードファン運転開始信号が入力された時点、すなわちレンジフードファン30が運転を開始した時点よりも増加させる。
ステップS42におけるトイレ排気装置10bとトイレ排気装置10cと浴室排気装置10dとにおける排気は、トイレ101,305の臭気および湿度の高い浴室102の空気を排気するために必要な排気風量が確保できる既定の排気風量で行われる。ここでの既定の排気風量は、レンジフードファン30による排気とトイレ排気装置10bおよびトイレ排気装置10cによる排気とによって建物内が過度の負圧状態にならない程度とされる。これにより、レンジフードファン30を運転した場合においても、該熱交換換気装置20の排気側送風機22を停止、または排気風量を低減させることにより建物内が過度の負圧になることを抑制しつつ、トイレ101の臭気および湿度の高い浴室102の空気が他の室内へ逆流することを抑制することが可能となる。
上述したように、本実施の形態にかかる換気システムでは、熱交換換気装置20が常時換気を行っている状態で運転を開始したレンジフードファン30が、レンジフードファン運転開始信号を送信する。運転を停止しているサニタリー排気装置10は、レンジフードファン運転開始信号を受信すると、該レンジフードファン運転開始信号に基づいてトイレおよび浴室からの排気を開始する。また、運転しているサニタリー排気装置10は、レンジフードファン運転開始信号を受信すると、該レンジフードファン運転開始信号に基づいて排気風量を増加してトイレおよび浴室の排気を行う。サニタリー排気装置10は、レンジフードファン運転開始信号が入力された時点、すなわちレンジフードファン30が運転を開始した時点よりも排気風量を増加させる。これにより、トイレの臭気および湿度の高い浴室の空気をサニタリー排気装置10によって排気するために必要な排気風量を確保することができ、トイレの臭気および湿度の高い浴室の空気が他の室内へ逆流することを抑制することができる。
また、熱交換換気装置20は、レンジフードファン運転開始信号に基づいて常時換気を停止して通常給気を実行し、または常時換気における熱交換排気の風量を低減する。これにより、建物全体の過度な負圧、すなわち給気不足を抑制することができる。
したがって、上述した実施の形態にかかる換気システムによれば、レンジフードファン30を運転した場合においても、建物内が過度の負圧になることを抑制しつつ、トイレの臭気および湿度の高い浴室の空気が他の室内へ逆流することを抑制することが可能となる。