JP6952611B2 - ベルトコンベア用潤滑剤組成物及びベルトコンベアの潤滑性向上方法 - Google Patents
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一方、特許文献3に記載のコンベア用除菌性潤滑剤組成物は、カチオン界面活性剤抵抗性菌の除菌効果を有するが、ボトルへ飲料を充填する際に、飲料がボトル外に零れ落ちた際に、飲料と潤滑剤が反応して不溶性の沈殿物を生じる虞があった。
本発明は、上記従来技術の問題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、潤滑性に優れるとともに、カチオン界面活性剤抵抗性菌の除菌性に優れ、飲料と混合された際に不溶性の沈殿物を生じないベルトコンベア用潤滑剤組成物及びこの潤滑剤組成物を用いたベルトコンベアの潤滑方法を提供することにある。
(1)(A)成分として、下記一般式(1)及び/又は下記一般式(2)で表されるアニオン界面活性剤、
(B)成分として炭化水素基の炭素数が9以上、22以下の脂肪族アルコールに酸化アルキレンを付加して生成されるノニオン界面活性剤、
(C)成分としてジアルキルジメチルアンモニウム塩、
(D)成分としてアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、
(E)成分として2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンから選ばれる1種以上の防腐剤、
(F)成分として水
を含有することを特徴とするベルトコンベア用潤滑剤組成物、
(2)(C)成分が、ジオクチルジメチルアンモニウム塩である上記(1)のベルトコンベア用潤滑剤組成物、
(3)(C)成分と(D)成分の合計の割合が組成物全体の1質量%以上、8質量%以下であり、かつ、質量比で、(C)成分/(D)成分の値が0.6以上、5.0以下であることを特徴とする上記(1)又は(2)のベルトコンベア用潤滑剤組成物、
(4)質量比で、(A)成分/(E)成分の値が2.0以上、20以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかのベルトコンベア用潤滑剤組成物、
(5)さらに(G)成分としてキレート剤を含有する上記(1)〜(4)のいずれかのベルトコンベア用潤滑剤組成物、
(6)さらに(H)成分としてポリオールを含有する上記(1)〜(5)のいずれかのベルトコンベア用潤滑剤組成物、
(7)上記(1)〜(6)のいずれかのベルトコンベア用潤滑剤組成物の(A)成分の濃度を0.005質量%以上、0.1質量%以下とした処理液を、被搬送物を搬送するベルトコンベアに連続的に供給することを特徴とするベルトコンベアの潤滑性向上方法、
(8)上記(1)〜(6)のいずれかのベルトコンベア用潤滑剤組成物の(A)成分の濃度を0.005質量%以上、0.1質量%以下とした処理液を、被搬送物を搬送するベルトコンベアに、処理液の供給時間/処理液の非供給時間が0.25以上、10以下となるように間欠的に供給することを特徴とするベルトコンベアの潤滑性向上方法、
を要旨とするものである。
試験に使用した化合物を下記に記す。なお、括弧内のCに続く数はアルキルまたはアルケニル基の炭素数を、EOはエチレンオキシド、POはプロピレンオキシドの略であり、その後の数字はそれぞれEO、POの平均付加モル数を表す。尚、表中における実施例および比較例の配合の数値は純分の質量%を表す。
A−1:ポリオキシエチレン(EO4モル)アルキル(C12)エーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩(東邦化学工業社製「フォスファノールML−240」をモノエタノールアミンで完全中和したもの)
A−2:ポリオキシエチレン(EO2モル)アルキル(C12)エーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩(東邦化学工業社製「フォスファノールML−220」をモノエタノールアミンで完全中和したもの)
A−3:ポリオキシエチレン(EO4モル)アルキル(C6〜10混合)エーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩(東邦化学工業社製「フォスファノールRA−600」をモノエタノールアミンで完全中和したもの)
A−4:ポリオキシエチレン(EO7モル)アルキル(不飽和C18)エーテルリン酸エステルナトリウム塩(東邦化学工業社製「フォスファノールRD−720N」)
A′−1:ポリオキシエチレン(EO1モル)アルキル(C4)エーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩(東邦化学工業社製「フォスファノールBH−650」をモノエタノールアミンで完全中和したもの)
A′−2:アルキル(C12)エーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩(東邦化学工業社製「フォスファノールML−200」をモノエタノールアミンで完全中和したもの)
B−1:デシルアルコール(C10)のEO7モル付加物
B−2:オクタデセニルアルコール(C18)のEO9モル付加物
B−3:合成アルコール(C9〜11混合)のEO7モル付加物
B−4:ドデシルアルコール(C12)のEO5モル、PO3モル付加物
B−5:ドデシルアルコール(C12)のEO12モル、PO3モル付加物
B′−1:2−エチルヘキシルアルコール(C8)のEO6モル付加物
C−1: ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド(LONZA社製「バーダックLF−80」)
C−2: ジデシルジメチルアンモニウムクロライド(LONZA社製「バーダック2280」)
D−1:アルキル(C8−18)ジメチルベンジルアンモニウムクロライド(ライオン社製「リポカードCB−50」)
D−2:アルキル(C12〜18)ジメチルベンジルアンモニウムクロライド(LONZA社製「ハイアミン3500−J」)
E−1:2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(ソージャパン社製「アクティサイドM20」)
E−2:1、2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(ソージャパン社製「アクティサイドB20( N)」)
F−1:水道水(東京都荒川区の水道水)
G−1:エチレンジアミン四酢酸
G−2:エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩
G−3:メチルグリシン二酢酸ナトリウム塩
H−1:グリセリン
H−2:プロピレングリコール
H−3:ポリエチレングリコール(重量平均分子量200)
表1〜9に示す配合に基づきベルトコンベア用潤滑剤組成物を調製した。各ベルトコンベア用潤滑剤組成物を希釈して下記の試験を行った。表1〜8に実施例1〜80の結果を、表9に比較例1〜8の結果をそれぞれ示す。なお、表中における実施例および比較例の配合の数値は純分の質量%を表す。
以下の試験方法により樹脂製ベルトコンベアとボトルの間の動摩擦係数を測定し、潤滑剤組成物の潤滑性を評価した。
試験方法:
潤滑剤組成物を水道水で0.5質量%に希釈し、ベルトコンベアスピード30m/分、長さ1.5mの樹脂製ベルトコンベア上に、内径6mmの樹脂製チューブを介して60mL/分の供給速度で5分間連続供給した。5分後、供給を続けながらポリエチレンテレフタレート(PET)製容器(重量953g)、アルミ缶容器(重量732g)、ガラス瓶容器(488g)をベルトコンベア上に置き、摩擦係数を測定した。なお、摩擦係数は、容器と荷重測定器を連結させ、ベルトコンベア稼動中の引張り荷重値を測定し、以下の計算式より算出したものである。
摩擦係数(μ)=引張り荷重(g)/容器重量(g)
潤滑性評価基準:
◎:摩擦係数(μ)=0.07以上、0.09未満(滑りが優れている)。
○:摩擦係数(μ)=0.09以上、0.11未満(滑りが良好)。
△:摩擦係数(μ)=0.11以上、0.13未満(問題なく滑る)。
×:摩擦係数(μ)=0.13以上(滑りが悪い)又は0.07未満(滑りすぎる)。
とし、◎、○、△を実用性のあるものとして判定した。
以下の試験方法によりステンレス製ベルトコンベアとボトルの間の動摩擦係数を測定し、潤滑剤組成物の潤滑性を評価した。
試験方法:
潤滑剤組成物を水道水で0.5質量%に希釈し、ベルトコンベアスピード30m/分、長さ1.5mのステンレス製ベルトコンベア上に、内径6mmの樹脂製チューブを介して100mL/分の供給速度で5分間連続供給した。5分後、供給を続けながらPET製容器(重量953g)、アルミ缶製容器(重量732g)、ガラス瓶容器(488g)をベルトコンベア上に置き、摩擦係数を測定した。なお、摩擦係数は、容器と荷重測定器を連結させ、ベルトコンベア稼動中の引張り荷重値を測定し、以下の計算式より算出したものである。
摩擦係数(μ)=引張り荷重(g)/容器重量(g)
潤滑性評価基準:
◎:摩擦係数(μ)=0.13以上0.16未満(滑りが優れている)。
○:摩擦係数(μ)=0.16以上0.18未満(滑りが良好)。
△:摩擦係数(μ)=0.18以上0.20未満(問題なく滑る)。
×:摩擦係数(μ)=0.20以上(滑りが悪い)。
とし、◎、○、△を実用性のあるものとして判定した。
試験方法:
潤滑剤組成物を水道水で0.5質量%に希釈し、ベルトコンベアスピード30m/分、長さ1.5mのステンレス製ベルトコンベア上に、内径6mmの樹脂製チューブを介して100mL/分の供給速度で30分間連続供給した後、ベルトコンベア表面の状態を目視で評価した。
汚れ防止性評価基準:
○:汚れの付着が見られない。
△:ごくわずかに表面に黒色汚れが付着している。
×:表面に黒色汚れが付着している。
とし、○、△を実用性のあるものとして判定した。
試験方法:
潤滑剤組成物を水道水で0.5質量%に希釈した水溶液50mLと市販のビール50mLを100mL容ガラス製サンプル瓶中で混合し室温で5時間静置した後、混合液の外観及びサンプル瓶の底の状態を目視評価した。
飲料混合性評価基準:
○:混合液が透明で沈殿物がない。
△:混合液に濁りが見られるが沈殿物がない。
×:沈殿物が見られる。
とし、○、△を実用性のあるものとして判定した。
潤滑剤組成物について、以下の方法で貯蔵安定性試験を行い、評価した。
試験方法:
調製した潤滑剤組成物100gを透明ガラス瓶に入れ、40℃で1ヶ月静置した後に外観を目視観察した。
貯蔵安定性評価基準:
○:透明である。
△:分離はないが、若干濁りが見られる
×:分離が見られる。
とし、○、△を実用性のあるものとして判定した。
潤滑剤組成物の除菌性を以下の方法で試験し、評価した。
試験方法:
緑膿菌を、滅菌したSCD培地を用いて37℃で24時間培養し、10の9乗レベルcfu/mLの菌液とした。潤滑剤組成物を純水で0.5質量%に希釈した水溶液10mLに対して菌液100μLを添加し25℃で15分接触した後、この1mLを分取して滅菌したSCDLP寒天培地で混釈培養し、生菌数を確認して下記の基準で評価した。
供試緑膿菌としては、NBRC13736を用いた。
評価基準:
○:供試菌のLog reductionが6以上の菌数減少。
△:供試菌のLog reductionが4以上、6未満の菌数減少。
×:供試菌のLog reductionが4未満の菌数減少。
とし、○、△を実用性のあるものとして判定した。
潤滑剤組成物のカチオン界面活性剤抵抗性菌に対する除菌性を以下の方法で試験し、評価した。
試験方法:
SCD寒天培地で培養した供試カチオン界面活性剤抵抗性菌株を滅菌した生理食塩水に懸濁し、10の8乗レベルcfu/mLの菌液とした。潤滑剤組成物を純水で0.5質量%に希釈した水溶液30mLに対して菌液300μLを添加し25℃にて7日間接触させた後、この1mLを分取して滅菌したSCD寒天培地で混釈培養し、生菌数を確認して下記の基準で評価した。なお、使用する希釈水は炭酸カルシウム換算で50mg/L[ドイツ硬度2.8°DH]の人工硬水を用いた。
供試カチオン界面活性剤抵抗性菌株としては、食品工場で採取し、分離同定したカチオン界面活性剤抵抗性菌株であるSerratia marcescensを用いた。
評価基準
○:供試菌のLog reductionが6以上の菌数減少
△:供試菌のLog reductionが4以上、6未満の菌数減少
×:供試菌のLog reductionが4未満の菌数減少
とし、○、△を実用性のあるものとして判定した。
Claims (8)
- (A)成分として、下記一般式(1)及び/又は下記一般式(2)で表されるアニオン界面活性剤、
(B)成分として炭化水素基の炭素数が9以上、22以下の脂肪族アルコールに酸化アルキレンを付加して生成されるノニオン界面活性剤、
(C)成分としてジアルキルジメチルアンモニウム塩、
(D)成分としてアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、
(E)成分として2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンから選ばれる1種以上の防腐剤、
(F)成分として水
を含有することを特徴とするベルトコンベア用潤滑剤組成物。 - (C)成分が、ジオクチルジメチルアンモニウム塩である請求項1記載のベルトコンベア用潤滑剤組成物。
- (C)成分と(D)成分の合計の割合が組成物全体の1質量%以上、8質量%以下であり、かつ、質量比で、(C)成分/(D)成分の値が0.6以上、5.0以下であることを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項に記載のベルトコンベア用潤滑剤組成物。
- 質量比で、(A)成分/(E)成分の値が2.0以上、20以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のベルトコンベア用潤滑剤組成物。
- さらに(G)成分としてキレート剤を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のベルトコンベア用潤滑剤組成物。
- さらに(H)成分としてポリオールを含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のベルトコンベア用潤滑剤組成物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のベルトコンベア用潤滑剤組成物の(A)成分の濃度を0.005質量%以上、0.1質量%以下とした処理液を、被搬送物を搬送するベルトコンベアに連続的に供給することを特徴とするベルトコンベアの潤滑性向上方法。
- 請求項1〜6の何れかに記載のベルトコンベア用潤滑剤組成物の(A)成分の濃度を0.005質量%以上、0.1質量%以下とした処理液を、被搬送物を搬送するベルトコンベアに、処理液の供給時間/処理液の非供給時間が0.25以上、10以下となるように間欠的に供給することを特徴とするベルトコンベアの潤滑性向上方法。
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