JP2019119828A - ベルトコンベア用潤滑剤組成物及びベルトコンベアの潤滑性向上方法 - Google Patents

ベルトコンベア用潤滑剤組成物及びベルトコンベアの潤滑性向上方法 Download PDF

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Abstract

【課題】潤滑性に優れるとともに、カチオン界面活性剤抵抗性菌の除菌性に優れ、零れた飲料と混じった際に不溶性の沈殿物を生じて汚染する虞のないベルトコンベア用潤滑剤組成物の提供。【解決手段】(A)成分式(1)又は式(1)の一つのM、OがR1−O−(CH2CH2O)n−で置換されたアニオン界面活性剤、(B)成分特定のノニオン界面活性剤、(C)成分ジアルキルジメチルアンモニウム塩、(D)成分アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、(E)成分2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン又は1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンから選択される1種以上の防腐剤、(F)成分として水を含有するベルトコンベア用潤滑剤組成物。(R1はO及び/又はNを含有/非含有のC6〜18以下の炭化水素基;nは2〜20の整数;M1はH、アルカリ金属、アミン類又はNH4)【選択図】なし

Description

本発明は、ベルトコンベア用潤滑剤組成物及びベルトコンベアの潤滑性向上方法に関する。更に詳細には、プラスチック製、紙製、金属製、ガラス製及びセラミック製等の容器を、ベルトコンベア等のコンベア上を搬送しながら、容器に飲用水、お茶、コーヒー、紅茶、乳飲料、炭酸飲料、ビール、酒類、調味料、加工食品等を充填、包装する工程において、容器とベルトコンベアとの間の摩擦を低減させ、容器の転倒等を防止するために用いられるベルトコンベア用潤滑剤組成物及びその組成物を用いたベルトコンベアの潤滑性向上方法に関する。
飲用水、清涼飲料、牛乳、ジュース、酒類、ドリンク剤等の容器には、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック製容器、紙製容器、金属製容器、ガラス製容器、セラミック製容器等が使用されるが、飲料製造工場におけるこれら容器への充填や包装工程において、連続的に大量の容器を移動搬送するために一般的にベルトコンベアが使用されている。このような工場においては、ベルトコンベアを連続運転させ、容器等の被搬送物を高速搬送することが一般的であるが、このとき容器同士あるいは容器とベルトコンベアとの接触面に発生する摩擦により、容器の変形や容器の転倒等が起こる場合があり、こうした障害を防ぐために潤滑剤をベルトコンベア上等に塗布あるいは噴霧して、容器等の被搬送物とベルトコンベアとの間の摩擦係数を下げることが一般的である。
従来のベルトコンベア用潤滑剤としては、界面活性剤の水溶液を用いることが一般的であった。例えば殺菌性を有するカチオン界面活性剤とアルキルリン酸エステル塩とを特定の比率で含有するボトルコンベヤーベルト用潤滑剤(特許文献1)、カチオン界面活性剤としてジデシルジメチルアンモニウム塩と、アニオン界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を含有する殺菌性潤滑剤(特許文献2)等が知られている。また、(A)成分として2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、(B)成分として1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、(C)成分としてカチオン界面活性剤、(D)成分として水、(E)成分としてキレート剤を含有し、(A)成分及び(B)成分の含有量が、(A)成分≦(B)成分であることを特徴とするコンベア用除菌性潤滑剤組成物(特許文献3)が知られている。
特許第2797289号 特許第4558955号 特許第5843645号
しかしながら、特許文献1及び2に記載されているコンベア用潤滑剤は、長期間使用すると潤滑剤の希釈液中にカチオン界面活性剤抵抗性の菌が繁殖して腐敗することがあり、それによって潤滑剤供給ノズルが閉塞することや衛生度が悪化することが問題となっていた。
一方、特許文献3に記載のコンベア用除菌性潤滑剤組成物は、カチオン界面活性剤抵抗性菌の除菌効果を有するが、ボトルへ飲料を充填する際に、飲料がボトル外に零れ落ちた際に、飲料と潤滑剤が反応して不溶性の沈殿物を生じる虞があった。
本発明は、上記従来技術の問題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、潤滑性に優れるとともに、カチオン界面活性剤抵抗性菌の除菌性に優れ、飲料と混合された際に不溶性の沈殿物を生じないベルトコンベア用潤滑剤組成物及びこの潤滑剤組成物を用いたベルトコンベアの潤滑方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者が鋭意検討した結果、(A)特定のアニオン界面活性剤、(B)脂肪族アルコールに酸化アルキレンを付加して生成されるノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤として(C)ジアルキルジメチルアンモニウム塩及び(D)アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩を組み合わせて用い、更に(E)2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンから選ばれる1種以上の防腐剤、(F)水を含有するベルトコンベア用潤滑剤組成物が、優れた潤滑性を有するだけでなく、除菌性に優れ、しかも驚くべきことにカチオン界面活性剤抵抗性菌に対する除菌性がより向上され、さらに零れ落ちた飲料と混合された際に不溶性の沈殿物を生じない等の優れた効果を有することを発見し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、
(1)(A)成分として、下記一般式(1)及び/又は下記一般式(2)で表されるアニオン界面活性剤、
Figure 2019119828
Figure 2019119828
(一般式(1)、一般式(2)において、R1は酸素原子及び/又は窒素原子を有していてもよい炭素数6以上、18以下の炭化水素基であり、nは2以上、20以下の数であり、M1は水素、アルカリ金属、アミン類、NH4のいずれかである。)
(B)成分として炭化水素基の炭素数が9以上、22以下の脂肪族アルコールに酸化アルキレンを付加して生成されるノニオン界面活性剤、
(C)成分としてジアルキルジメチルアンモニウム塩、
(D)成分としてアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、
(E)成分として2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンから選ばれる1種以上の防腐剤、
(F)成分として水
を含有することを特徴とするベルトコンベア用潤滑剤組成物、
(2)(C)成分が、ジオクチルジメチルアンモニウム塩である上記(1)のベルトコンベア用潤滑剤組成物、
(3)(C)成分と(D)成分の合計の割合が組成物全体の1質量%以上、8質量%以下であり、かつ、質量比で、(C)成分/(D)成分の値が0.6以上、5.0以下であることを特徴とする上記(1)又は(2)のベルトコンベア用潤滑剤組成物、
(4)質量比で、(A)成分/(E)成分の値が2.0以上、20以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかのベルトコンベア用潤滑剤組成物、
(5)さらに(G)成分としてキレート剤を含有する上記(1)〜(4)のいずれかのベルトコンベア用潤滑剤組成物、
(6)さらに(H)成分としてポリオールを含有する上記(1)〜(5)のいずれかのベルトコンベア用潤滑剤組成物、
(7)上記(1)〜(6)のいずれかのベルトコンベア用潤滑剤組成物の(A)成分の濃度を0.005質量%以上、0.1質量%以下とした処理液を、被搬送物を搬送するベルトコンベアに連続的に供給することを特徴とするベルトコンベアの潤滑性向上方法、
(8)上記(1)〜(6)のいずれかのベルトコンベア用潤滑剤組成物の(A)成分の濃度を0.005質量%以上、0.1質量%以下とした処理液を、被搬送物を搬送するベルトコンベアに、処理液の供給時間/処理液の非供給時間が0.25以上、10以下となるように間欠的に供給することを特徴とするベルトコンベアの潤滑性向上方法、
を要旨とするものである。
本発明のベルトコンベア用潤滑剤組成物は、金属製、樹脂製何れのベルトコンベアに対しても優れた潤滑性を有するだけでなく、除菌性、カチオン界面活性剤抵抗性菌に対する除菌性に優れ、貯蔵安定性にも優れる。さらにボトルに飲料を充填する際に、飲料が零れ落ちても不溶性の沈殿物を生じる虞がないため製造機器類を衛生的に保つことができる等の効果を奏する。
本発明のベルトコンベア用潤滑剤組成物において、(A)成分として用いる一般式(1)、一般式(2)で表されるアニオン界面活性剤としては、一般式(1)、一般式(2)におけるR1が、酸素原子及び/又は窒素原子を有していても良い炭素数6以上、18以下の炭化水素基である化合物である。このような炭化水素基としては、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、イソオクタデシル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、デカン酸モノエタノールアミド基、ドデカン酸モノエタノールアミド基、テトラデカン酸モノエタノールアミド基、ヘキサデカン酸モノエタノールアミド基等が挙げられる。なかでも潤滑性に優れることからドデシル基、イソトリデシル基、オクタデシル基、オクタデセニル基が好ましく、ドデシル基、オクタデセニル基がより好ましい。一般式(1)、一般式(2)に示す化合物は、オキシエチレン基の平均重合度:nは2以上、20以下であるが、潤滑性に優れることから2以上、7以下であることが好ましく、2以上、4以下であることが特に好ましい。オキシエチレン基の平均重合度:nが2未満であると貯蔵安定性が低下し、20を超えると潤滑性が低下するため好ましくない。また本発明のベルトコンベア用潤滑剤組成物における(A)成分としては、潤滑性に優れることから一般式(1)で表されるアニオン界面活性剤が好ましいが、合成上、一般式(1)で示される化合物のみを得ることは困難であるため、(A)成分としては、一般式(1)で示される化合物と、一般式(2)で表される化合物との混合物が好ましいが、潤滑性の点で(A)成分中の一般式(1)で示される化合物の割合は60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることが特に好ましい。(A)成分中の一般式(1)で示される化合物の割合が60質量%未満であるとステンレス製ベルトコンベアでの潤滑性が低下する虞がある。一般式(1)、一般式(2)におけるM1は水素、アルカリ金属、アミン類、NH4である。アルカリ金属としてはナトリウム、カリウムが挙げられる。アミン類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−t−ブチルエタノールアミン、N−t−ブチルジエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)イソプロパノールアミン、N,N−ジエチルイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、アミノメチルプロパノール、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミンが挙げられる。(A)成分としては、一般式(1)、一般式(2)におけるM1が同じものを用いても、異なるものを用いても良い。(A)成分としては、潤滑性に優れることから一般式(1)、一般式(2)におけるM1が、ナトリウム、カリウム、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミンであるものが好ましく、さらに貯蔵安定性に優れることからモノエタノールアミン、トリエタノールアミンであるものがより好ましい。(A)成分としては、一般式(1)、一般式(2)における炭化水素基:R1の炭素数、オキシエチレン基の重合度:n、M1等の異なる化合物の混合物を用いることもできる。一般式(1)、一般式(2)で表されるアニオン界面活性剤としては、より具体的にはポリオキシエチレン(EO4モル)アルキル(C6〜10)エーテルリン酸、ポリオキシエチレン(EO2モル)ラウリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレン(EO4モル)ラウリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレン(EO3モル)トリデシルエーテルリン酸、ポリオキシエチレン(EO6モル)トリデシルエーテルリン酸、ポリオキシエチレン(EO2モル)ステアリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレン(EO3モル)ステアリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレン(EO4モル)オレイルエーテルリン酸、ポリオキシエチレン(EO7モル)オレイルエーテルリン酸、からなる群から選択される化合物のナトリウム塩、カリウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等が挙げられる。(A)成分は単独で用いても、2種以上を組み合わせても良い。
本発明のベルトコンベア用潤滑剤組成物は、(A)成分を2質量%以上、10質量%以下含有していることが、潤滑性に優れるため好ましい。ベルトコンベア用潤滑剤組成物中の(A)成分の割合は、2質量%以上、6質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上、5質量%以下であることが特に好ましい。組成物中の(A)成分の割合が2質量%未満であるとステンレス製ベルトコンベアでの潤滑性が低下する虞があり、10質量%を超えて配合すると樹脂製ベルトコンベアでの潤滑性および除菌性が低下する虞がある。
本発明のベルトコンベア用潤滑剤組成物における(B)成分としては、炭化水素基の炭素数が9以上、22以下の脂肪族アルコールに酸化アルキレンを付加して生成されるノニオン界面活性剤が用いられる。(B)成分に使用できる脂肪族アルコールとしては、ノニルアルコール、デシルアルコール、イソデシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、イソトリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、イソオクタデシルアルコール、オクタデセニルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、ヘンエイコシルアルコール、ドコシルアルコール等が挙げられ、これらは単独でも組み合わせても良い。これらのうち酸化アルキレンを付加して得られるノニオン界面活性剤が、潤滑性とステンレス製ベルトコンベアの濡れ性の性能に優れることから、ノニルアルコール、デシルアルコール、イソデシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクタデシルアルコール、オクタデセニルアルコールが好ましく、特に飲料混合性にも優れることからノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコールが好ましい。(B)成分は、上記の脂肪族アルコールに酸化アルキレンを付加することによって得られる。酸化アルキレンとしては、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレンが挙げられるが経済性の点で酸化エチレン、酸化プロピレンが好ましい。酸化アルキレンの重合形態としては単独重合体、共重合体どちらでも良いが、潤滑性の点で共重合体であることが好ましい。単独重合体としては酸化エチレンの単独重合体が好ましい。共重合形態としては酸化エチレンと酸化プロピレンとのランダム共重合体、ブロック共重合体、ランダム/ブロック共重合体等いずれでも良い。(B)成分のノニオン界面活性剤は、酸化アルキレンの重合度が6以上、20以下であるポリオキシ基を有するものが好ましく、より好ましくは酸化アルキレンの重合度が8以上、20以下のポリオキシアルキレン基を有するものであり、さらに好ましく重合度8以上、15以下のポリオキシアルキレン基を有するものである。酸化アルキレンの重合度が6未満であると組成物の貯蔵安定性が低下するため好ましくなく、重合度が20を超えるとステンレス製ベルトコンベアでの潤滑性が低下するため好ましくない。(B)成分のノニオン界面活性剤は、ポリオキシアルキレン基に占めるオキシエチレン基の割合が50モル%〜100モル%であることが好ましく、60モル%〜100モル%がより好ましい。オキシエチレン基の割合が50モル%未満になると、組成物の貯蔵安定性が低下する虞がある。(B)成分は単独で用いても、脂肪族アルコールの種類、酸化アルキレンの種類や重合形態、重合度等の異なる2種以上を組み合わせて用いても良い。
(B)成分のベルトコンベア用潤滑剤組成物中の割合は、潤滑性、飲料混合性の点で1質量%以上、10質量%以下が好ましいが、2質量%以上、6質量%以下であることがより好ましく、2質量%以上、5質量%以下であることが特に好ましい。1質量%未満であると樹脂製ベルトコンベアでの潤滑性が低下する虞が生じ、さらに潤滑剤組成物の飲料に対する混合性が低下するため、充填機、ボトルキャップ巻締機、および缶蓋シーマー等でこぼれ落ちた飲料と潤滑剤組成物が機器内部や搬送ベルトコンベア上で混合された際に、不溶性の異物を生じ環境を汚染する虞がある。一方、10質量%を超えて配合しても樹脂製ベルトコンベアでの潤滑性能のそれ以上の向上が期待できないため経済的に好ましくなく、また、ステンレス製ベルトコンベアでの潤滑性が低下する虞がある。
本発明のベルトコンベア用潤滑剤組成物における(C)成分としてはジアルキルジメチルアンモニウム塩が用いられるが、アルキル基の炭素数8以上、12以下のものが好ましい。ジアルキルジメチルアンモニウムの塩を形成する対イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、アジピン酸イオン、硫酸イオン、メト硫酸イオンなどが挙げられ、中でも経済性の点で塩化物イオンが好ましい。(C)成分は単独で用いても、2種以上を組み合わせても良い。(C)成分のベルトコンベア用潤滑剤組成物中の割合は、除菌性、飲料混合性の点で0.5質量%以上、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以上、4質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上、3質量%以下であることが特に好ましい。0.5質量%未満であると除菌性が低下する虞があり、5質量%を超えて配合すると飲料混合性が低下し充填機、ボトルキャップ巻締機、および缶蓋シーマー等でこぼれ落ちた飲料と潤滑剤が機器内部や搬送ベルトコンベア上で混合された際に不溶性の異物を生じ環境を汚染する虞があるため好ましくない。
本発明のベルトコンベア用潤滑剤組成物における(D)成分としてはアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩が用いられる。(D)成分は単独で用いても、2種以上を組み合わせても良い。(D)成分のベルトコンベア用潤滑剤組成物中の割合は、除菌性、飲料混合性の点で0.5質量%以上、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以上、4質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上、3質量%以下であることが特に好ましい。0.5質量%未満であると潤滑性、除菌性が低下する虞があり、5質量%を超えて配合すると飲料混合性が低下し充填機、ボトルキャップ巻締機、および缶蓋シーマー等でこぼれ落ちた飲料と潤滑剤が機器内部や搬送ベルトコンベア上で混合された際に異物を生じ環境を汚染する虞があるため好ましくない。
本発明のベルトコンベア用潤滑剤組成物における(C)成分と(D)成分の合計の割合は飲料混合性、貯蔵安定性の点で組成物全体の1質量%以上、8質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以上、7質量%以下であることがより好ましく、2質量%以上、5質量%以下であることが特に好ましい。(C)成分と(D)成分の合計の割合が1質量%未満であるとカチオン界面活性剤の抵抗性菌に対する除菌性が低下する虞があり、8質量%を超えると、飲料混合性および貯蔵安定性が低下する虞がある。また、質量比で(C)成分/(D)成分の値はステンレス製ベルトコンベアの汚れ防止性、カチオン界面活性剤抵抗性菌に対する除菌性の点で0.6以上、5.0以下であることが好ましく、0.8以上、3.5以下であることがより好ましく、1.0以上、2.0以下であることが特に好ましい。(C)成分/(D)成分の値が0.6未満であるとカチオン界面活性剤の抵抗性菌に対する除菌性が十分に発揮されない虞があり、5.0を超えるとステンレス製ベルトコンベアの濡れ性が低下し、潤滑性が低下する虞がある。
本発明のベルトコンベア用潤滑剤組成物における(E)成分としては2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンから選ばれる1種以上の防腐剤が用いられる。(E)成分のベルトコンベア用潤滑剤組成物中の割合は、カチオン界面活性剤抵抗性菌に対する除菌性の点で0.2質量%以上、2質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上、1.5質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上、1.0質量%以下であることが特に好ましい。0.2質量%未満であると、(C)成分、(D)成分を組み合わせて用いたことによるカチオン界面活性剤の抵抗性菌に対する除菌性が低下する虞があり、2質量%を超えて配合した場合、貯蔵安定性が低下する虞がある。
本発明のベルトコンベア用潤滑剤組成物において、質量比で(A)成分/(E)成分の値は2.0以上、20以下であることが好ましく、3.5以上、15以下であることがより好ましく、4.0以上、10以下であることが特に好ましい。(A)成分/(E)成分の値が2.0未満であるとステンレス製ベルトコンベアの潤滑性および貯蔵安定性が低下する虞があり、20を超えると樹脂製ベルトコンベアでの潤滑性およびカチオン界面活性剤の抵抗性菌に対する除菌性が低下する虞がある。
本発明のベルトコンベア用潤滑剤組成物において、(F)成分の水は特に限定はなく、水道水、工業用水、再生水、イオン交換水、RO水、蒸留水、軟水等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせても良いが、経済性の点から水道水または工業用水が好ましい。水道水としては、例えば、東京都荒川区の水道水(pH=7.6、総アルカリ度(炭酸カルシウム換算として)40.5mg/L、ドイツ硬度2.3°DH(そのうち、カルシウム硬度1.7°DH、マグネシウム硬度0.6°DH)、塩化物イオン21.9mg/L、ナトリウム及びその化合物15mg/L、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素1.2mg/L、フッ素及びその化合物0.1mg/L、ホウ素及びその化合物0.04mg/L、総トリハロメタン0.016mg/L、残留塩素0.4mg/L、有機物(全有機炭素量)0.7mg/L)が挙げられる。水は、潤滑剤組成物全体が100質量%となる量を配合(必要に応じて後述する(G)成分、(H)成分を配合する場合、これらを含めて全体が100質量%となる量を配合)するものである。
本発明のベルトコンベア用潤滑剤組成物には、さらに(G)成分としてキレート剤を配合することができる。キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、グルタミン酸二酢酸(GLDA)、アスパラギン酸二酢酸(ASDA)や、これらのカリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン等のアルカノールアミンの塩が挙げられる。(G)成分は単独で用いても、2種以上を組み合わせても良い。(G)成分のベルトコンベア用潤滑剤組成物中の割合は、ステンレス製ベルトコンベアでの潤滑性及びカチオン界面活性剤の抵抗性菌に対する除菌性の向上効果の点で5質量%以上、20質量%以下配合することが好ましく、5質量%以上、15質量%以下配合することがより好ましく、8質量%以上、15質量%以下配合することが特に好ましい。5質量%未満であるとステンレス製ベルトコンベアでの潤滑性及びカチオン界面活性剤の抵抗性菌に対する除菌性の向上効果が十分に得られない虞があり、20質量%を超えて配合した場合貯蔵安定性が低下する虞がある。
本発明のベルトコンベア用潤滑剤組成物には、さらに(H)成分としてポリオールを配合することができる。ポリオールとしては、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール等が挙げられ、潤滑性、貯蔵安定性の点からグリセリンを用いることが特に好ましい。本発明のコンベア用潤滑剤組成物において、(H)成分としてポリエチレングリコールを配合する場合、潤滑性の点でポリエチレングリコールの重量平均分子量が100以上、6000以下であることが好ましく、200以上、4000以下であることがより好ましく、200以上、1000以下であることが特に好ましい。(H)成分は単独で用いても、2種以上を組み合わせても良い。(H)成分のベルトコンベア用潤滑剤組成物中の割合は、潤滑性、貯蔵安定性の点で0.1質量%以上、19質量%以下配合することが好ましく、1質量%以上、15質量%以下であることがより好ましく、2質量%以上、10質量%以下であることが特に好ましい。0.1質量%未満であると潤滑性及び貯蔵安定性において十分な効果が得られない虞があり、19%を超えて配合しても貯蔵安定性のそれ以上の向上は望めないため経済的に好ましくない。
本発明のベルトコンベア用潤滑剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他成分として当該技術分野で通常使用される成分を更に含有していてもよい。このような成分としては、例えば、金属腐食抑制剤、pH調整剤、粘稠剤等が挙げられる。
金属腐食抑制剤としては、短鎖のジカルボン酸やトリカルボン酸などのポリカルボン酸、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾールおよびメルカプトベンゾチアゾールなどのトリアゾール、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸などのようなホスホン酸等が挙げられる。
pH調整剤として用いる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられ、好ましくはモノエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミンが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせても良い。また、pH調整剤として用いる酸としては、塩酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、安息香酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、グルコン酸、エチレンジアミン四酢酸、ホスホノブタントリカルボン酸、リン酸などが挙げられるが、好ましくは、酢酸、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせても良い。
粘稠剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸等の高分子ポリカルボン酸のアルカリ中和塩等が挙げられる。
本発明のベルトコンベア用潤滑剤組成物は、水で希釈した処理液をベルトコンベア上及び/又はベルトコンベア上の被搬送品に供給することでベルトコンベアと被搬送品との間の摩擦係数を低下させ、ベルトコンベアの潤滑性を向上することができる。潤滑剤組成物の希釈液の供給方法としては、(A)成分濃度が0.005質量%以上、0.1質量%以下となるよう水で希釈した処理液を連続供給又は間欠供給する方法が挙げられる。供給手段としては処理液を滴下、塗布等により10〜150mL/分の流量で連続供給又は間欠供給する方法、スプレーにより10〜150mL/分の流量で連続噴霧供給又は間欠噴霧供給する方法が挙げられる。間欠供給、間欠噴霧供給の場合、処理液の供給時間と、処理液の非供給時間の比、処理液の供給時間/処理液の非供給時間の値が、0.25以上、10以下となるように間欠的に供給することが好ましく、0.5以上、5以下がより好ましく、1以上、3以下が特に好ましい。また、本発明のベルトコンベア用潤滑剤組成物は(H)成分のポリオールを配合することにより非供給時間が長い場合においても優れた潤滑性が得られる。処理液の連続供給、連続噴霧供給により処理する方法は、ステンレス製ベルトコンベアや、飲料充填機、キャッパー、シーマー、キャンフィードチェーン等の金属製コンベアの処理に適している。また、処理液の間欠供給、間欠噴霧供給により処理する方法は、樹脂製ベルトコンベアに適している。
被搬送品の形状、構造、材質等は特に規定されないが、飲料物用の容器が好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)製、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、ポリスチレン製、ポリアミド製、ポリカーボネート製等のプラスチック製容器;紙パック等の紙製容器(ワックス仕上げや樹脂コーティングを含む);鉄製、アルミニウム製、錫製、銅製、亜鉛製、あるいはこれらの複合材料等からなる金属製容器;ガラス製容器;セラミックス製容器等が挙げられる。これらの容器の中でも、本発明の効果が顕著に表れることから、鉄製またはアルミニウム製容器が好ましい。
以下、本発明を実施例により、具体的に説明する。なお、以下の実施例等において「%」は特に記載が無い限り質量%を示す。
試験に使用した化合物を下記に記す。なお、括弧内のCに続く数はアルキルまたはアルケニル基の炭素数を、EOはエチレンオキシド、POはプロピレンオキシドの略であり、その後の数字はそれぞれEO、POの平均付加モル数を表す。尚、表中における実施例および比較例の配合の数値は純分の質量%を表す。
(A)成分
A−1:ポリオキシエチレン(EO4モル)アルキル(C12)エーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩(東邦化学工業社製「フォスファノールML−240」をモノエタノールアミンで完全中和したもの)
A−2:ポリオキシエチレン(EO2モル)アルキル(C12)エーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩(東邦化学工業社製「フォスファノールML−220」をモノエタノールアミンで完全中和したもの)
A−3:ポリオキシエチレン(EO4モル)アルキル(C6〜10混合)エーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩(東邦化学工業社製「フォスファノールRA−600」をモノエタノールアミンで完全中和したもの)
A−4:ポリオキシエチレン(EO7モル)アルキル(不飽和C18)エーテルリン酸エステルナトリウム塩(東邦化学工業社製「フォスファノールRD−720N」)
(A)成分の比較成分
A′−1:ポリオキシエチレン(EO1モル)アルキル(C4)エーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩(東邦化学工業社製「フォスファノールBH−650」をモノエタノールアミンで完全中和したもの)
A′−2:アルキル(C12)エーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩(東邦化学工業社製「フォスファノールML−200」をモノエタノールアミンで完全中和したもの)
(B)成分
B−1:デシルアルコール(C10)のEO7モル付加物
B−2:オクタデセニルアルコール(C18)のEO9モル付加物
B−3:合成アルコール(C9〜11混合)のEO7モル付加物
B−4:ドデシルアルコール(C12)のEO5モル、PO3モル付加物
B−5:ドデシルアルコール(C12)のEO12モル、PO3モル付加物
(B)成分の比較成分
B′−1:2−エチルヘキシルアルコール(C8)のEO6モル付加物
(C)成分
C−1: ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド(LONZA社製「バーダックLF−80」)
C−2: ジデシルジメチルアンモニウムクロライド(LONZA社製「バーダック2280」)
(D)成分
D−1:アルキル(C8−18)ジメチルベンジルアンモニウムクロライド(ライオン社製「リポカードCB−50」)
D−2:アルキル(C12〜18)ジメチルベンジルアンモニウムクロライド(LONZA社製「ハイアミン3500−J」)
(E)成分
E−1:2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(ソージャパン社製「アクティサイドM20」)
E−2:1、2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(ソージャパン社製「アクティサイドB20( N)」)
(F)成分
F−1:水道水(東京都荒川区の水道水)
(G)成分
G−1:エチレンジアミン四酢酸
G−2:エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩
G−3:メチルグリシン二酢酸ナトリウム塩
(H)成分
H−1:グリセリン
H−2:プロピレングリコール
H−3:ポリエチレングリコール(重量平均分子量200)
実施例1〜80、比較例1〜8
表1〜9に示す配合に基づきベルトコンベア用潤滑剤組成物を調製した。各ベルトコンベア用潤滑剤組成物を希釈して下記の試験を行った。表1〜8に実施例1〜80の結果を、表9に比較例1〜8の結果をそれぞれ示す。なお、表中における実施例および比較例の配合の数値は純分の質量%を表す。
Figure 2019119828
Figure 2019119828
Figure 2019119828
Figure 2019119828
Figure 2019119828
Figure 2019119828
Figure 2019119828
Figure 2019119828
Figure 2019119828
※1 樹脂製ベルトコンベア潤滑性試験
以下の試験方法により樹脂製ベルトコンベアとボトルの間の動摩擦係数を測定し、潤滑剤組成物の潤滑性を評価した。
試験方法:
潤滑剤組成物を水道水で0.5質量%に希釈し、ベルトコンベアスピード30m/分、長さ1.5mの樹脂製ベルトコンベア上に、内径6mmの樹脂製チューブを介して60mL/分の供給速度で5分間連続供給した。5分後、供給を続けながらポリエチレンテレフタレート(PET)製容器(重量953g)、アルミ缶容器(重量732g)、ガラス瓶容器(488g)をベルトコンベア上に置き、摩擦係数を測定した。なお、摩擦係数は、容器と荷重測定器を連結させ、ベルトコンベア稼動中の引張り荷重値を測定し、以下の計算式より算出したものである。
摩擦係数(μ)=引張り荷重(g)/容器重量(g)
潤滑性評価基準:
◎:摩擦係数(μ)=0.07以上、0.09未満(滑りが優れている)。
○:摩擦係数(μ)=0.09以上、0.11未満(滑りが良好)。
△:摩擦係数(μ)=0.11以上、0.13未満(問題なく滑る)。
×:摩擦係数(μ)=0.13以上(滑りが悪い)又は0.07未満(滑りすぎる)。
とし、◎、○、△を実用性のあるものとして判定した。
※2 ステンレス製ベルトコンベア潤滑性試験
以下の試験方法によりステンレス製ベルトコンベアとボトルの間の動摩擦係数を測定し、潤滑剤組成物の潤滑性を評価した。
試験方法:
潤滑剤組成物を水道水で0.5質量%に希釈し、ベルトコンベアスピード30m/分、長さ1.5mのステンレス製ベルトコンベア上に、内径6mmの樹脂製チューブを介して100mL/分の供給速度で5分間連続供給した。5分後、供給を続けながらPET製容器(重量953g)、アルミ缶製容器(重量732g)、ガラス瓶容器(488g)をベルトコンベア上に置き、摩擦係数を測定した。なお、摩擦係数は、容器と荷重測定器を連結させ、ベルトコンベア稼動中の引張り荷重値を測定し、以下の計算式より算出したものである。
摩擦係数(μ)=引張り荷重(g)/容器重量(g)
潤滑性評価基準:
◎:摩擦係数(μ)=0.13以上0.16未満(滑りが優れている)。
○:摩擦係数(μ)=0.16以上0.18未満(滑りが良好)。
△:摩擦係数(μ)=0.18以上0.20未満(問題なく滑る)。
×:摩擦係数(μ)=0.20以上(滑りが悪い)。
とし、◎、○、△を実用性のあるものとして判定した。
※3 ステンレス製ベルトコンベア汚れ防止性試験(濡れ性試験)
試験方法:
潤滑剤組成物を水道水で0.5質量%に希釈し、ベルトコンベアスピード30m/分、長さ1.5mのステンレス製ベルトコンベア上に、内径6mmの樹脂製チューブを介して100mL/分の供給速度で30分間連続供給した後、ベルトコンベア表面の状態を目視で評価した。
汚れ防止性評価基準:
○:汚れの付着が見られない。
△:ごくわずかに表面に黒色汚れが付着している。
×:表面に黒色汚れが付着している。
とし、○、△を実用性のあるものとして判定した。
※4 飲料混合性試験
試験方法:
潤滑剤組成物を水道水で0.5質量%に希釈した水溶液50mLと市販のビール50mLを100mL容ガラス製サンプル瓶中で混合し室温で5時間静置した後、混合液の外観及びサンプル瓶の底の状態を目視評価した。
飲料混合性評価基準:
○:混合液が透明で沈殿物がない。
△:混合液に濁りが見られるが沈殿物がない。
×:沈殿物が見られる。
とし、○、△を実用性のあるものとして判定した。
※5 貯蔵安定性試験
潤滑剤組成物について、以下の方法で貯蔵安定性試験を行い、評価した。
試験方法:
調製した潤滑剤組成物100gを透明ガラス瓶に入れ、40℃で1ヶ月静置した後に外観を目視観察した。
貯蔵安定性評価基準:
○:透明である。
△:分離はないが、若干濁りが見られる
×:分離が見られる。
とし、○、△を実用性のあるものとして判定した。
※6 除菌性試験
潤滑剤組成物の除菌性を以下の方法で試験し、評価した。
試験方法:
緑膿菌を、滅菌したSCD培地を用いて37℃で24時間培養し、10の9乗レベルcfu/mLの菌液とした。潤滑剤組成物を純水で0.5質量%に希釈した水溶液10mLに対して菌液100μLを添加し25℃で15分接触した後、この1mLを分取して滅菌したSCDLP寒天培地で混釈培養し、生菌数を確認して下記の基準で評価した。
供試緑膿菌としては、NBRC13736を用いた。
評価基準:
○:供試菌のLog reductionが6以上の菌数減少。
△:供試菌のLog reductionが4以上、6未満の菌数減少。
×:供試菌のLog reductionが4未満の菌数減少。
とし、○、△を実用性のあるものとして判定した。
※7カチオン界面活性剤抵抗性菌に対する除菌性試験
潤滑剤組成物のカチオン界面活性剤抵抗性菌に対する除菌性を以下の方法で試験し、評価した。
試験方法:
SCD寒天培地で培養した供試カチオン界面活性剤抵抗性菌株を滅菌した生理食塩水に懸濁し、10の8乗レベルcfu/mLの菌液とした。潤滑剤組成物を純水で0.5質量%に希釈した水溶液30mLに対して菌液300μLを添加し25℃にて7日間接触させた後、この1mLを分取して滅菌したSCD寒天培地で混釈培養し、生菌数を確認して下記の基準で評価した。なお、使用する希釈水は炭酸カルシウム換算で50mg/L[ドイツ硬度2.8°DH]の人工硬水を用いた。
供試カチオン界面活性剤抵抗性菌株としては、食品工場で採取し、分離同定したカチオン界面活性剤抵抗性菌株であるSerratia marcescensを用いた。
評価基準
○:供試菌のLog reductionが6以上の菌数減少
△:供試菌のLog reductionが4以上、6未満の菌数減少
×:供試菌のLog reductionが4未満の菌数減少
とし、○、△を実用性のあるものとして判定した。

Claims (8)

  1. (A)成分として、下記一般式(1)及び/又は下記一般式(2)で表されるアニオン界面活性剤、
    Figure 2019119828
    Figure 2019119828
    (一般式(1)、一般式(2)において、R1は酸素原子及び/又は窒素原子を有していてもよい炭素数6以上、18以下の炭化水素基であり、nは2以上、20以下の数であり、M1は水素、アルカリ金属、アミン類、NH4のいずれかである。)
    (B)成分として炭化水素基の炭素数が9以上、22以下の脂肪族アルコールに酸化アルキレンを付加して生成されるノニオン界面活性剤、
    (C)成分としてジアルキルジメチルアンモニウム塩、
    (D)成分としてアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、
    (E)成分として2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンから選ばれる1種以上の防腐剤、
    (F)成分として水
    を含有することを特徴とするベルトコンベア用潤滑剤組成物。
  2. (C)成分が、ジオクチルジメチルアンモニウム塩である請求項1記載のベルトコンベア用潤滑剤組成物。
  3. (C)成分と(D)成分の合計の割合が組成物全体の1質量%以上、8質量%以下であり、かつ、質量比で、(C)成分/(D)成分の値が0.6以上、5.0以下であることを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項に記載のベルトコンベア用潤滑剤組成物。
  4. 質量比で、(A)成分/(E)成分の値が2.0以上、20以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のベルトコンベア用潤滑剤組成物。
  5. さらに(G)成分としてキレート剤を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のベルトコンベア用潤滑剤組成物。
  6. さらに(H)成分としてポリオールを含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のベルトコンベア用潤滑剤組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のベルトコンベア用潤滑剤組成物の(A)成分の濃度を0.005質量%以上、0.1質量%以下とした処理液を、被搬送物を搬送するベルトコンベアに連続的に供給することを特徴とするベルトコンベアの潤滑性向上方法。
  8. 請求項1〜6の何れかに記載のベルトコンベア用潤滑剤組成物の(A)成分の濃度を0.005質量%以上、0.1質量%以下とした処理液を、被搬送物を搬送するベルトコンベアに、処理液の供給時間/処理液の非供給時間が0.25以上、10以下となるように間欠的に供給することを特徴とするベルトコンベアの潤滑性向上方法。
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