JP6948538B2 - アルミナジルコニア繊維及びその製造方法 - Google Patents

アルミナジルコニア繊維及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6948538B2
JP6948538B2 JP2017047339A JP2017047339A JP6948538B2 JP 6948538 B2 JP6948538 B2 JP 6948538B2 JP 2017047339 A JP2017047339 A JP 2017047339A JP 2017047339 A JP2017047339 A JP 2017047339A JP 6948538 B2 JP6948538 B2 JP 6948538B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
less
zirconia
fiber
alumina
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017047339A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018150640A (ja
Inventor
拓也 苗代迫
拓也 苗代迫
勝 杉山
勝 杉山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Isolite Insulating Products Co Ltd
Original Assignee
Isolite Insulating Products Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Isolite Insulating Products Co Ltd filed Critical Isolite Insulating Products Co Ltd
Priority to JP2017047339A priority Critical patent/JP6948538B2/ja
Publication of JP2018150640A publication Critical patent/JP2018150640A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6948538B2 publication Critical patent/JP6948538B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Inorganic Fibers (AREA)

Description

本発明は、アルミナジルコニア繊維及びその製造方法に関する。
アルミナジルコニア繊維は、アルミナとジルコニアとを含む繊維であり、アルミナ繊維と同様に高い耐熱性を有すると共に、アルミナ繊維よりも高い靱性を有している。アルミナジルコニア繊維の高い靱性は、応力が加わった際にジルコニアが正方晶相(t相)から単斜晶相(m相)に相転移することによって亀裂の伝播を回避し、亀裂先端の応力集中を緩和できることに基づいている。したがって、アルミナジルコニア繊維に含まれるジルコニアは、正方晶の割合が高いことが望ましい。
しかし、純粋なジルコニアは室温で単斜晶相が最も安定であるため、従来から、アルミナジルコニア繊維では、ジルコニアを正方晶相に維持するために、イットリウム等の安定化剤が使用されていた。そのようなアルミナジルコニア繊維としては、特許文献1を挙げることができる。
一方で、イットリウムを含むアルミナジルコニア繊維は、イットリウムが高価である等の課題があった。それに対して、特許文献2は、イットリウムの代わりにシリカを安定化剤として使用したアルミナジルコニア繊維を開示している。
特許文献2では、アルミニウム源であるオキシ塩化アルミニウムと、ジルコニウム源であるオキシ塩化ジルコニウムとを混合する際に、ゲル化防止剤として低分子水溶性カルボン酸を添加し、そして安定化剤としての加熱焼成後にシリカを生成する化合物、及び紡糸するために粘調液に適度な粘度を与えるための繊維化助剤(増粘剤)を添加している。特許文献2では、このようにして繊維を製造することによって、イットリウムを使用する必要が無く、かつ繊維径の小さなアルミナジルコニア繊維が得られるとしている。
なお、特許文献3では、イットリウムもシリカも使用せずにアルミナジルコニア繊維を得ているが、ここではジルコニウム源として酢酸ジルコニウムを使用して、ゲル化を防止している。ただし、特許文献3の方法によって得られるアルミナジルコニア繊維中のジルコニアの正方晶の割合は高くなく、繊維強度が不十分であった。
特開昭63−50527号公報 特開平09−291421号公報 特開昭58−4096号公報
特許文献2のアルミナジルコニア繊維は、高温ではジルコニアとシリカが反応して、ジルコンが形成され、繊維が脆くなるという課題があった。また、特許文献2のアルミナジルコニア繊維は、還元雰囲気においては、シリカが反応して消失するという課題があった。
そこで、本発明は、上記の課題が存在しない、新規なアルミナジルコニア繊維及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、以下の態様を有する本発明を見出した。
《態様1》
オキシ塩化アルミニウム、オキシ塩化ジルコニウム、及び低分子水溶性カルボン酸を混合して、ゲル化していない紡糸液を得る工程;及び
前記紡糸液を紡糸して未焼成繊維を得る工程;及び
前記未焼成繊維を焼成する工程
を含む、アルミナジルコニア繊維の製造方法であって、
前記紡糸液の水溶性有機ポリマーの含有量が、前記オキシ塩化アルミニウムのアルミナ換算量100重量部に対して3重量部未満であり、
前記アルミナジルコニア繊維のシリカの含有量が、1重量%未満である、アルミナジルコニア繊維の製造方法。
《態様2》
前記アルミナジルコニア繊維のイットリアの含有量が、1重量%未満である、態様1に記載の方法。
《態様3》
前記低分子水溶性カルボン酸が、乳酸であり、かつ前記紡糸液への乳酸の配合量が、オキシ塩化ジルコニウムのジルコニア換算量100重量部に対して30重量部以上である、態様1又は2に記載の方法。
《態様4》
前記紡糸液を濃縮する工程をさらに含む、態様1〜3のいずれか一項に記載の方法。
《態様5》
シリカ及びイットリアがそれぞれ1重量%未満であり、ジルコニアの結晶相の80重量%以上が正方晶相である、アルミナジルコニア繊維。
《態様6》
アルミナの含有量が55重量%以上95重量%以下であり、ジルコニアの含有量が5重量%以上45重量%以下である、態様5に記載の繊維。
《態様7》
平均繊維長が、30mm未満である、態様5又は6に記載の繊維。
図1は、実施例1、2及び4で得られた繊維のX線回折データを示す。ジルコニアの結晶相は、正方晶(t相)から実質的に構成されており、斜方晶(m相)が少ないことが理解できる。 図2(a)は、実施例1で得られた繊維について撮影した走査型透過電子顕微鏡(STEM)の写真を示している。図2(b)は、STEMの写真と共に、その写真の位置で測定したアルミニウムとジルコニウムの元素マッピングをそれぞれ示している。図2(b)左の中央位置に写っている黒い影の位置で、ジルコニウムのマッピングによる濃度が高くなっており、中央位置に写っている黒い影がジルコニアの粒子であることを理解できる。
《アルミナジルコニア繊維の製造方法》
本発明のアルミナジルコニア繊維の製造方法は、オキシ塩化アルミニウム、オキシ塩化ジルコニウム、及び低分子水溶性カルボン酸を混合して、ゲル化していない紡糸液を得る工程;紡糸液を紡糸して未焼成繊維を得る工程;及び未焼成繊維を焼成する工程を含む。この方法では、紡糸する際に使用する紡糸液の水溶性有機ポリマーの含有量が低いこと、すなわちオキシ塩化アルミニウムのアルミナ換算量100重量部に対して3重量部未満であること、及びジルコニアを正方晶相に維持するためのシリカを含まないことを特徴としている。
本発明者らは、特許文献2に記載の方法において、繊維化助剤(増粘剤)として使用されている水溶性有機ポリマーの量を減少させ、また特に水溶性有機ポリマーを添加せずに紡糸した場合、最終的に得られる繊維中のジルコニアが正方晶相を維持できることを見出した。この事実は、室温では単斜晶相のジルコニアが最も安定であること、及びジルコニアを正方晶相に維持するために従来は安定化剤を使用していたことから考慮すると、非常に驚くべきことであった。
理論に拘束されないが、水溶性有機ポリマーを少ない量で用いた場合又は使用しなかった場合には、ジルコニアがアルミナ中に微分散された状態で存在でき、繊維中でジルコニアがアルミナに包み込まれるように存在すると考えられる。実際に、図2に示すように、実施例において得られた繊維には、ジルコニアの粒が非常に小さいことが分かっている。すなわち、本発明の方法によって得られた繊維では、ジルコニアがアルミナに包み込まれるように存在していることによって、ジルコニアの結晶成長が抑制されて、ジルコニアの結晶が単斜晶相に相転移することを抑制できていると考えられる。
なお、本願発明の方法では、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール等の従来の繊維化助剤を使用した場合と比較して、得られる繊維が短くなる傾向にはあるものの、このような繊維化助剤を使用しなくても繊維化が可能であった。従来は、繊維化助剤を使用せずに繊維化することは困難であったが、本発明の方法では、ゲル化防止剤として使用される低分子水溶性カルボン酸が、繊維化助剤としても機能していると考えられる。
本発明の紡糸液を得る工程では、オキシ塩化アルミニウム水溶液と低分子水溶性カルボン酸とを混合し、その後、オキシ塩化ジルコニウムを混合することによって、ゲル化を防止することができる。
オキシ塩化アルミニウムは、Al(OH)Cl3n−m・lHO{ここで、n=1〜6、m=1〜15、lは0以上;好ましくはn=2、m=5、かつl=0であるか、n=4、m=9、かつl=0であるか、n=2、m=5、lは1以上である}の化学式で示される水溶性アルミニウム塩又は水和物であり、好ましくは無機ポリマーの水溶液の形態で使用される。例えば、オキシ塩化アルミニウム水溶液に含まれるアルミナ換算量は、10重量%以上、15重量%以上、又は20重量%以上であってもよく、50重量%以下、40重量%以下、又は30重量%以下であってもよい。ここで、「アルミナ換算量」とは、オキシ塩化アルミニウム水溶液に含まれるアルミニウムの全量がアルミナになったと仮定した場合の、そのアルミナの重量分率をいう。
オキシ塩化アルミニウムは、最終的に得られるアルミナジルコニア繊維において、アルミナ含有量が、40重量%以上、50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、又は70重量%以上となるように、添加して紡糸液を得ることができる。また、オキシ塩化アルミニウムは、最終的に得られるアルミナジルコニア繊維において、アルミナ含有量が、98重量%以下、95重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、又は80重量%以下となるように、添加して紡糸液を得ることができる。このような範囲であれば、繊維の靱性がジルコニアによって強化されやすく、かつアルミナがジルコニアを包み込むように存在することができることによりジルコニアの結晶が単斜晶相に相転移することを抑制しやすい。
オキシ塩化ジルコニウムは、通常、ZrOClの化学式で表わされ、水和物の粉体の形態で使用されてもよく、水溶液の形態で使用されてもよい。水溶液の形態である場合、オキシ塩化ジルコニウム水溶液のジルコニア換算量は、5重量%以上、10重量%以上、又は15重量%以上であってもよく、50重量%以下、40重量%以下、又は30重量%以下であってもよい。ここで、「ジルコニア換算量」とは、オキシ塩化ジルコニウム水溶液に含まれるジルコニウムの全量がジルコニアになったと仮定した場合の、そのジルコニアの重量分率をいう。
オキシ塩化ジルコニウムは、最終的に得られるアルミナジルコニア繊維において、ジルコニア含有量が、2重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、又は20重量%以上となるように、添加して紡糸液を得ることができる。また、オキシ塩化ジルコニウムは、最終的に得られるアルミナジルコニア繊維において、ジルコニア含有量が、60重量%以下、50重量%以下、45重量%以下、40重量%以下、又は30重量%以下となるように、添加して紡糸液を得ることができる。このような範囲であれば、繊維の靱性がジルコニアによって強化されやすく、かつアルミナがジルコニアを包み込むように存在することができることによりジルコニアの結晶が単斜晶相に相転移することを抑制しやすい。
低分子水溶性カルボン酸は、オキシ塩化アルミニウムとオキシ塩化ジルコニウムとのゲル化を防止でき、かつこれらの紡糸液を紡糸させることができれば、その種類については特に限定されない。なお、低分子水溶性カルボン酸の「低分子」とは、従来技術で使用されてきた水溶性有機ポリマーの繊維化助剤と区別することを意図して使用されており、一般的な意味では低分子とはいえない化合物をも包含される。
例えば、そのような低分子水溶性カルボン酸としては、分子量が1000以下、500以下、300以下、200以下、150以下、又は100以下のカルボキシル基を含む化合物を挙げることができる。また、低分子水溶性カルボン酸は、1以上のカルボキシル基を有することができ、上記の目的に反しない限り、ヒドロキシル基、アミノ基、エーテル基、エステル基等の他の官能基も有することができる。
低分子水溶性カルボン酸としては、例えばC〜C20の飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、ヒドロキシ酸、芳香族カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、オキソカルボン酸等を挙げることができる。具体的には、酢酸、プロピオン酸、乳酸、シュウ酸、クエン酸、アクリル酸、安息香酸、フタル酸、サリチル酸等を挙げることができる。この中でも特に、乳酸を挙げることができる。
低分子水溶性カルボン酸の紡糸液への配合量は、オキシ塩化アルミニウムとオキシ塩化ジルコニウムとのゲル化を防止でき、かつこれらの紡糸液を紡糸させるのに十分な量であれば特に限定されない。例えば、低分子水溶性カルボン酸の紡糸液への配合量は、オキシ塩化ジルコニウムのジルコニア換算量100重量部に対して、30重量部以上、50重量部以上、60重量部、80重量部以上、又は100重量部以上であってもよく、1000重量部以下、500重量部以下、300重量部以下、200重量部以下、150重量部以下、120重量部以下、又は100重量部以下であってもよい。オキシ塩化ジルコニウムのジルコニア換算量に対する低分子水溶性カルボン酸の紡糸液への配合量が少なすぎる場合には、たとえゲル化を防止できたとしても、紡糸することができない場合がある。
上述のとおり、紡糸液には、従来繊維化助剤として使用されてきたような水溶性有機ポリマーが添加されないことが好ましく、紡糸液が水溶性有機ポリマーを含有するとしても、オキシ塩化アルミニウムのアルミナ換算量100重量部に対して3重量部未満、好ましくは2重量部未満、より好ましくは1重量部未満である。水溶性有機ポリマーを多く含む場合には、最終的に得られる繊維の繊維長が長くなるものの、繊維中に正方晶相のジルコニアが少なくなる傾向にある。
水溶性有機ポリマーは、通常重量平均分子量が1万以上であり、具体的には、例えば澱粉、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。
紡糸液には、焼成後にシリカを生成する化合物を含む必要がない。焼成後にシリカを生成する化合物としては、例えばシリカゾル及びシリコーンオイルを挙げることができる。そのため、本発明の方法によって得られるアルミナジルコニア繊維は、シリカの含有量が1重量%未満であり、好ましくは0.8重量%以下、0.5重量%以下、0.3重量%以下、又は0.1重量%以下であり、特に好ましくは実質的にシリカを含有しない。
また、紡糸液には、焼成後にイットリアを生成する化合物を含む必要がない。焼成後にイットリアを生成する化合物としては、例えば塩化イットリウム等のイットリウム塩を挙げることができる。そのため、本発明の方法によって得られるアルミナジルコニア繊維は、イットリアの含有量が1重量%未満であることが好ましく、より好ましくは0.8重量%以下、0.5重量%以下、0.3重量%以下、又は0.1重量%以下であり、特に好ましくは実質的にイットリアを含有しない。
さらに、紡糸液には、焼成後にジルコニアを正方晶相に維持するための安定化剤として機能するための化合物を含む必要がない。焼成後にジルコニアを正方晶相に維持するための安定化剤としては、アルカリ土類金属及び希土類化合物の塩化物及び酸化物を挙げることができ、例えば酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化セリウム等を挙げることができる。そのため、本発明の方法によって得られるアルミナジルコニア繊維は、これらのそれぞれの含有量が、10重量%未満であることが好ましく、より好ましくは8重量%以下、5重量%以下、3重量%以下、1重量%以下、0.8重量%以下、0.5重量%以下、0.3重量%以下、又は0.1重量%以下であり、特に好ましくは実質的にこれらの化合物を含有しない。
本発明の方法は、紡糸液を紡糸して未焼成繊維を得る工程をさらに含む。紡糸は、本分野で公知のスピニング法等によって行うことができる。
本発明の方法では、紡糸液の粘度は、25℃で回転式粘度計(リオン株式会社製のビスコテスタVT−06)で測定した場合に、50dPa・s〜300dPa・sの範囲の粘度、好ましくは80dPa・s〜200dPa・sの範囲の粘度、より好ましくは100dPa・s〜150dPa・sの範囲とすることができる。ここで、粘度計のローターは、粘度に応じて選択することができ、例えば150dPa・s以下の粘度の場合には上記粘度計に付属している1号ローターを使用し、それ以上の粘度では2号ローターを使用する。また、紡糸液の固形分濃度は、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、又は40重量%以上であってもよく、60重量%以下、50重量%以下、40重量%以下、又は30重量%以下であってもよい。紡糸液をこのような粘度及び/又は固形分濃度とするために、本発明の方法では、紡糸をする前に、濃縮してもよい。
本発明の方法は、未焼成繊維を焼成する工程をさらに含む。焼成を行うことによって、未焼成繊維に含まれる有機成分を消失させる。
焼成の温度は、例えば、800℃以上、900℃以上、1000℃以上、又は1050℃以上であってよく、1300℃以下、1250℃以下、1200℃以下、1150℃以下であってもよい。焼成時間は、例えば15分以上、30分以上、1時間以上、2時間以上であってもよく、5時間以下、3時間以下、2時間以下、又は1時間以下であってもよい。
本発明の方法では、焼成をする前に、未焼成繊維を乾燥する工程を行ってもよい。
《アルミナジルコニア繊維》
本発明のアルミナジルコニア繊維は、シリカ及びイットリアが1重量%未満であり、ジルコニアの結晶相の80重量%以上が正方晶相である。本発明のアルミナジルコニア繊維は、上記の本発明の方法によって得られる繊維であってもよい。したがって、本発明の繊維の詳細は、本発明の方法に関して上述した内容を参照することができ、特に本発明の繊維のアルミナ、ジルコニア、シリカ、イットリア、及び他の安定化剤の含有量は、本発明の方法によって得られる繊維に関して上述した含有量を参照することができる。また、本発明の方法も、本発明の繊維に関して後述する内容を、さらに参照することができる。
本発明のアルミナジルコニア繊維は、イットリアを実質的に含んでいないため低コストで製造することができ、シリカを実質的に含んでいないため高温環境又は還元雰囲気にさらされても劣化しにくく、かつ正方晶相のジルコニアを多く含んでいるため靱性が高いため非常に有用である。
本発明のアルミナジルコニア繊維の平均繊維径は、例えば1μm以上、2μm以上、3μm以上、又は5μm以上であってもよく、20μm以下、10μm以下、8μm以下、又は5μm以下であってもよい。
本発明のアルミナジルコニア繊維の平均繊維長は、50mm以下、40mm以下、30mm以下、30mm未満、20mm以下、又は15mm以下であってもよく、5mm以上、10mm以上、15mm以上、又は20mm以上であってもよい。
本発明のアルミナジルコニア繊維の結晶化率は、10%以上、15%以上、20%以上、又は25%以上であってもよく、50%以下、40%以下、35%以下、又は30%以下であってもよい。
本発明のアルミナジルコニア繊維に含まれるアルミナの結晶相は、好ましくはα相であるが、中間アルミナと呼ばれるγ相、θ相でもよい。
本発明のアルミナジルコニア繊維は、ジルコニアの結晶相の50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、若しくは98重量%以上が正方晶相であってもよく、又は実質的に全てが正方晶相であってもよい。ジルコニアの結晶相の一部は、単斜晶相であってもよく、ジルコニアの結晶相の50重量%以下、40重量%以下、30重量%以下、20重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、若しくは2重量%以下が単斜晶相であってもよく、実質的に単斜晶相で含まれていなくてもよい。
本発明のアルミナジルコニア繊維に含まれるジルコニアの結晶の平均等価直径は、10nm以上、20nm以上、又は30nm以上であってもよく、100nm以下、50nm以下、40nm以下、又は30以下であってもよい。ここで、粒子の等価直径とは、粒子の外周長さと等しい外周長さを有する正円の直径をいう。ジルコニアの結晶の等価直径を測定するに当たっては、走査型透過電子顕微鏡(STEM)で元素マッピングを行ってジルコニウム含有量が高い粒子をジルコニア粒子と決定する。そして、ジルコニア粒子の100個以上の粒子の等価直径から、平均等価直径を決定する。
本発明のアルミナジルコニア繊維は、高温域で使用される断熱材、特に800℃以上、900℃以上、1000℃以上、又は1200℃以上の温度域で使用される断熱材として有用である。また、本発明のアルミナジルコニア繊維は、還元雰囲気下で使用される断熱材、例えば水素雰囲気下で使用される断熱材、特に半導体製造工程における水素雰囲気下で使用される断熱材として有用である。さらに、本発明のアルミナジルコニア繊維は、半導体もしくはセラミック電子材料等の製造工程で使用される、加熱処理装置の断熱材として有用である。この場合、本発明のアルミナジルコニア繊維は、周知の方法によって、必要に応じてバインダーが付与され、また必要に応じて成型されて用いられる。
本発明を以下の実施例でさらに具体的に説明をするが、これによって限定されるものではない。
《製造例》
〈実施例1〉
オキシ塩化アルミニウム水溶液(アルミナ換算量23.2重量%)3252gに、低分子水溶性カルボン酸として50重量%の乳酸330gを添加した混合した。これに、オキシ塩化ジルコニウム水溶液419g(ジルコニア換算量20.0重量%)を添加し、加熱濃縮して粘度100dPa・s、固形分31%、アルミナ含有量90%の紡糸液を得た。この紡糸液を通常のスピニング法によって紡糸し、未焼成繊維を得た。この未焼成繊維を、1100℃1時間で焼成することによって、実施例1の結晶質のアルミナジルコニア繊維を得た。
〈実施例2〜4〉
オキシ塩化アルミニウム、オキシ塩化ジルコニウム及び乳酸の量を、表1に示すように変更して、実施例2〜4のアルミナジルコニア繊維を得た。
〈比較例1〉
オキシ塩化アルミニウム、オキシ塩化ジルコニウム及び乳酸の量を、表1に示すように変更したこと、及び繊維化助剤(増粘剤)として紡糸液に28gのポリエチレンオキサイド(PEO)を添加したことを除いて実施例1と同様にして、比較例1のアルミナジルコニア繊維を得た。
〈比較例2〉
乳酸を使用しなかった以外は実施例2と同様にして繊維を得ようとしたところ、紡糸液がゲル化して繊維化することができなかった。
《評価方法》
〈繊維強度〉
水中で繊維に剪断力を加えた後に、その沈降性を評価することによって、各繊維の繊維強度を評価した。強度の高い繊維は、剪断が加えられた後でも、粉々にはならずに繊維の形態を維持できるため、沈降試験を行った後にその液中での高さを維持できる一方で、強度の低い繊維は、粉々になり、沈降試験後はすぐに液中に沈んでしまい液中での高さを維持できないため、この試験では、沈降試験後の液中高さが高いほど、強度が高い繊維であることを意味している。
この繊維強度試験では、バルク繊維5.0gとイオン交換水400gとを1000ccのプラスティックビーカーに入れ、外径75mmの4枚の撹拌羽根を取り付けた撹拌機によって、1000rpmで10分間撹拌した。撹拌時の撹拌羽根の位置は、撹拌羽根の上端がビーカーに水を約200ml入れたときの液面に一致する位置に合わせた。
その後、500mlのメスシリンダーに、撹拌後の液を移し、さらなる水でビーカー内を洗浄しながらメスシリンダーに移して全体が500mlになるように調整した。メスシリンダーに蓋をして、天地撹拌を10回行い、10分間静置した後の、バルクの沈降容積を読み取った。
〈ジルコニア結晶相〉
各繊維中に含まれているジルコニアの結晶相を、X線回折によって調査して、正方晶相(t相)と単斜晶相(m相)とが含有されているかを確認した。また、実施例1の繊維について走査型透過電子顕微鏡(STEM)及びその元素マッピング機能を使用して、でジルコニアの粒子を観察した。
《結果》
各実施例及び比較例の製造条件及び測定結果を表1に示す。また、実施例1、2及び4についてのX線回折データを、図1に示す。
Figure 0006948538
図1のX線回折データを参照すると、実施例4においては単斜晶相(m相)の回折ピークがわずかに存在しており、単斜晶相(m相)が生じていることが示唆されているのに対して、実施例1及び2では単斜晶相(m相)の回折ピークが存在しておらず、繊維中のジルコニアの全てが正方晶相(t相)となっていることが示唆されている。
図2(a)は、実施例1の繊維の走査型透過電子顕微鏡(STEM)の写真を示しており、図2(b)は、STEMの写真と共に、その写真の位置で測定したアルミニウムとジルコニウムの元素マッピングをそれぞれ示している。図2(b)左の中央位置に写っている黒い影の位置で、ジルコニウムのマッピングによる濃度が高くなっており、この黒い影がジルコニア粒であることが分かる。図2からは、実施例1の繊維に含まれるジルコニアの結晶粒径が10〜30nm程度と、非常に小さいことが理解できる。
実施例1〜3の繊維では、ジルコニアに単斜晶相(m相)が存在していなかった。その結果、これらの繊維は強度が高く、沈降性が高い値となった。実施例4は、ジルコニア含有量が高い結果、ジルコニアが結晶成長して単斜晶相(m相)がわずかに生じたため、実施例1〜3の繊維と比較して沈降性が低くなった。比較例1は、繊維化助剤としてポリエチレンオキサイドを使用したため、ジルコニアが単斜晶相(m相)に相転移をし、強度が大きく低下した。

Claims (4)

  1. オキシ塩化アルミニウム、オキシ塩化ジルコニウム、及び低分子水溶性カルボン酸を混合して、ゲル化していない紡糸液を得る工程;及び
    前記紡糸液を紡糸して未焼成繊維を得る工程;及び
    前記未焼成繊維を焼成する工程
    を含む、アルミナジルコニア繊維の製造方法であって、
    前記紡糸液の水溶性有機ポリマーの含有量が、前記オキシ塩化アルミニウムのアルミナ換算量100重量部に対して3重量部未満であり、
    前記アルミナジルコニア繊維のシリカの含有量が、1重量%未満である、アルミナジルコニア繊維の製造方法。
  2. 前記アルミナジルコニア繊維のイットリアの含有量が、1重量%未満である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記低分子水溶性カルボン酸が、乳酸であり、かつ前記紡糸液への乳酸の配合量が、オキシ塩化ジルコニウムのジルコニア換算量100重量部に対して、30重量部以上である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記紡糸液を濃縮する工程をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
JP2017047339A 2017-03-13 2017-03-13 アルミナジルコニア繊維及びその製造方法 Active JP6948538B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017047339A JP6948538B2 (ja) 2017-03-13 2017-03-13 アルミナジルコニア繊維及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017047339A JP6948538B2 (ja) 2017-03-13 2017-03-13 アルミナジルコニア繊維及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018150640A JP2018150640A (ja) 2018-09-27
JP6948538B2 true JP6948538B2 (ja) 2021-10-13

Family

ID=63680124

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017047339A Active JP6948538B2 (ja) 2017-03-13 2017-03-13 アルミナジルコニア繊維及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6948538B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7387043B1 (ja) 2023-03-01 2023-11-27 第一稀元素化学工業株式会社 ジルコニア含有アルミナ系複合酸化物、及び、ジルコニア含有アルミナ系複合酸化物の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018150640A (ja) 2018-09-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5166518B2 (ja) イットリア系耐火性組成物
CA2763679C (fr) Produit fritte a base d'alumine et de zircone
JP2008531455A (ja) ジルコニア及び酸化セリウムに基づく焼結ビーズ
CN105813977A (zh) 二氧化硅粒子及其制造方法以及二氧化硅溶胶
CN101623513B (zh) 一步法制备介孔生物玻璃材料的方法
JP6948538B2 (ja) アルミナジルコニア繊維及びその製造方法
JP6645821B2 (ja) 酸化チタン及びその製造方法
JP6665902B2 (ja) 酸化ジルコニウム粒子の水分散液と有機溶媒分散液の製造方法
JP7348956B2 (ja) ナノ酸化ジルコニウム粉体、その調製方法及び得られる分散液、光学フィルム
CN111074379A (zh) 一种氧化铝-氧化锆复合短纤维及其制备方法
WO2009018024A1 (en) Grinding beads and method of producing the same
JPH06507946A (ja) イットリア−アルミナファイバー
RU2465247C2 (ru) Волокна из поликристаллического корунда и способ их получения
CN114685149A (zh) 一种功能化氧化铝陶瓷纤维及制备方法
JP2012529411A (ja) イットリアを主成分とするスラリー組成物
JP2003003335A (ja) 無機繊維
JP6796390B2 (ja) アルミナ系酸化物連続繊維及びその製造方法
JP2885697B2 (ja) アルミナジルコニア繊維及びその製造方法
JP6665900B2 (ja) 酸化ジルコニウム粒子の水分散液と有機溶媒分散液の製造方法
JP6665901B2 (ja) 酸化ジルコニウム粒子の水分散液と有機溶媒分散液の製造方法
JP3546467B2 (ja) 水性アルミナゾル及びその製造法
JP4048017B2 (ja) 耐久性および耐摩耗性にすぐれたジルコニア質焼結体からなる粉砕・分散用メディア
JP7408721B2 (ja) 負熱膨張材及び複合材料
JP7427058B2 (ja) 負熱膨張材、その製造方法及び複合材料
JPH04349172A (ja) ジルコニアセラミックス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200108

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210105

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210218

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210727

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20210820

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210824

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6948538

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150