JP6947319B1 - ダンボール材およびこれを用いたダンボール箱 - Google Patents
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Abstract
Description
・フィード工程:蛇腹折りのダンボール材を繰り出す工程
・ カット工程 :フィード工程で繰り出された平面状のダンボール材を切り出す工程
・フォールド工程:カット工程で切り出されたダンボール材から箱を組み立てる工程
本件は、上記の課題に鑑みて創案されたものであり、製造された箱の強度と、つぶしやすさと、蛇腹折性とを確保することを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用および効果であって、従来の技術では得られない作用および効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
本ダンボール材は、前記両面ダンボールを構成するライナの坪量が80[g/m2]以上であって270[g/m2]以下であり、前記ライナのパルプ繊維の長さ加重平均繊維長が0.90[mm]以上であって1.50[mm]以下であり、前記ライナの前記パルプ繊維のルンケル比が1.20以上であって1.60以下であり、前記ライナに添加された紙力増強剤の添加量が0.15[質量部]以上であって5.25[質量部]以下である。
そのうえ、本ダンボール材は、前記両面ダンボールを構成する中芯の坪量が80[g/m2]以上であって180[g/m2]以下であり、前記中芯の長さ加重平均繊維長が0.86[mm]以上であって1.24[mm]以下であり、前記中芯のルンケル比が0.96以上であって1.29以下であり、前記中芯の紙力増強剤の添加量が0.01[質量部]以上であって3.90[質量部]以下である。
本実施形態のダンボール材は、連続するダンボールにおいて矩形状のシートが折り畳まれた蛇腹折りの製函用資材である。このダンボール材には、中芯に対して両側にライナが設けられた両面ダンボールが用いられる。
・方向 I :水平面に載置されたダンボール材における方向
・方向II:ダンボール材を製造する途中の半製品における方向
そのほか、特に断らない限り、本実施形態の「数値X〜数値Y」なる表現は、数値X以上であって数値Y以下の範囲を意味する。
下記の一実施形態では、ダンボール材の構成を項目[1]および[2]で述べる。項目[1]では、ダンボール材が折り畳まれた構造(以下「折畳構造」と称する)を説明する。項目[2]では、ダンボール材に関するパラメータを説明する。
そして、項目[1]および[2]の構成による作用および効果を項目[3]で述べる。
図1に示すように、ダンボール材1は、直方体状をなす製函用資材である。
ダンボール材1では、連続する矩形状のシート2(図1では一部のみに符号を付す)が折目F(図1では一部のみに符号を付す)で折り返され、折り返されたシート2が高さ方向に積み重ねられている。
このように折り畳まれたダンボール材1には、縦方向および高さ方向の双方に沿う一対の側面に、複数の折目Fが縦方向に沿って直線状に延在する。
・第一シート21:第二シート22の一側に連続するシート2
・第二シート22:第一シート21と第三シート23との双方に連続するシート2
・第三シート23:第二シート22の他側に連続するシート2
第一折目F1は、第一シート21に対して横方向の一方(図1では右方)へ向けて第二シート22が折り返される折目Fであり、ダンボール材1における横方向の他方(図1では左方)に配置される。第二折目F2は、第二シート22に対して横方向の他方(図1では左方)へ向けて第三シート23が折り返される折目Fであり、ダンボール材1における横方向の一方(図1では右方)に配置される。
第一シート21および第二シート22からなるシート対20では、第一端縁E1と第二端縁E2とが高さ方向に隣り合って配置される。
なお、ダンボール材1は、汚損や荷崩れを防ぐために、包装用のフィルムで被包(包装)されることが好ましい。
以下、ダンボール材1のパラメータを説明する。
まず、ダンボール材1のサイズや段数などの基本的なパラメータを述べる。その後に、ダンボール材1の性状に関するパラメータを詳述する。
ダンボール材1のサイズは、下記の寸法L1〜L3から定まる。
・ 縦寸法L1 :縦方向の寸法(第一寸法)
・ 横寸法L2 :横方向の寸法(第二寸法)
・高さ寸法L3:高さ方向の寸法(第三寸法)
上記の寸法L1〜L3は、小さいほど製造される箱のサイズや形状の制約が大きくなるおそれがあり、大きいほど運搬や納入といった作業性が低下するおそれがある。これらの観点より、寸法L1〜L3は、下記の表2に示す範囲であることが好ましい。
たとえば、ダンボール材1の段数としては、たとえば10〜1000[段]のさまざまな段数が挙げられる。詳細を後述する折り畳みに関するパラメータが測定される対象のダンボール材については、所定の段数(たとえば100[段])未満の測定対象については、全段のそれぞれにおいてパラメータを測定するのが好ましい。一方、所定の段数(たとえば100[段])以上の測定対象については、部分的(たとえばパートに分けた部分や設定された領域)にパラメータが測定してもよい。
上記の坪量に中芯の段繰率を加味し、縦寸法L1および横寸法L2とシート2の段数N+1とを乗算すれば、ダンボール材1の重量が算出される。
本実施形態のダンボール材1は、以下の観点に立脚して、性状に関する所定の構成を備えている。
・観点 :製造された箱の強度とつぶしやすさと蛇腹折正とを確保すること
上記の観点は、下記の課題1,2,3を解決するための観点である。
・課題1:製造された箱の強度が不十分であること
・課題2:製造された箱のつぶしにくいこと
・課題3:ダンボール材1で蛇腹折性が不十分であること
・構成:下記の構成1および構成2
>構成1:ライナが下記の構成1A〜1Dを備えること
構成1A:坪量が所定の第一坪量範囲であること
構成1B:繊維長の長さ加重平均繊維長が所定の第一長さ範囲であること
構成1C:ルンケル比が所定の第一比範囲であること
構成1D:紙力増強剤の添加量が所定の第一添加量範囲であること
>構成2:中芯が下記の構成2A〜2Dを備えること
構成2A:坪量が所定の第二坪量範囲であること
構成2B:繊維長の長さ加重平均繊維長が所定の長さ第二範囲であること
構成2C:ルンケル比が所定の第二比範囲であること
構成2D:紙力増強剤の添加量が所定の第二添加量範囲であること
する傾向があり、坪量が小さいほどライナや中芯の硬さや強度が減少する傾向がある。
「長さ加重平均繊維長」は、ダンボール材1を構成するライナや中芯に含有されるパルプ繊維の長さ(繊維長)の平均値に対応するパラメータである。
繊維長の値が大きいと、パルプ繊維どうしが絡まりやすくなり、ライナや中芯の硬さが増す傾向がある。繊維長の値が小さいと、パルプ繊維どうしが絡まりにくくなり、ライナや中芯の柔軟性が増す傾向がある。
ルンケル比が大きいほど剛直な繊維であることを示している。ルンケル比の値が大きいと、繊維の剛直性が増加し、ライナや中芯の硬さが増す傾向がある。ルンケル比の値が小さいと、パルプ繊維の柔軟性が増加し、しなやかなライナや中芯を得られる傾向がある。
紙力増強剤の添加量が多いほど、ライナや中芯の硬さが増す傾向がある。ルンケル比の値が小さいと、パルプ繊維の柔軟性が増加してしなやかなライナや中芯を得られる傾向がある。
ダンボール材1を構成するライナや中芯の硬さや強度を増すほどダンボール材1を用いて製造されたダンボール箱で強度を確保し得る。しかし、製造されたダンボール箱の強度が過大であると、課題2を招くおそれがある。
つまり、ダンボール材1には、上述の観点1,2および3に立脚して上記の構成1A〜1Dおよび構成2A〜2Dが備えられている。
ライナや中芯の坪量、長さ加重平均繊維長、ルンケル比および紙力増強剤の添加量の少なくとも何れか一つが所定の範囲を上回っている場合には、ライナや中芯の強度が過大となり、課題2,3を招く傾向がある。
ライナの長さ加重平均繊維長の第一長さ範囲は、0.90[mm]以上であって1.50[mm]以下であり、好ましくは0.92[mm]以上であって1.45[mm]以下であり、より好ましくは0.95[mm]以上であって1.40[mm]以下である。
ライナの紙力増強剤の第一添加量範囲は、0.15[質量部]以上であって5.25[質量部]以下であり、好ましくは0.90[質量部]以上であって4.00[質量部]以下であり、より好ましくは1.25[質量部]以上であって3.30[質量部]以下である。
中芯の長さ加重平均繊維長の第二長さ範囲は、0.86[mm]以上であって1.24[mm]以下であり、好ましくは0.88[mm]以上であって1.22[mm]以下であり、より好ましくは0.90[mm]以上であって1.20[mm]以下である。
中芯の紙力増強剤の第二添加量範囲は、0.01[質量部]以上であって3.90[質量部]以下であり、好ましくは0.05[質量部]以上であって3.80[質量部]以下であり、より好ましくは0.40[質量部]以上であって3.10[質量部]以下である。
本実施形態のダンボール材1は、構成1,2により、ダンボール材から製造された箱の強度と、つぶしやすさと、蛇腹折性とを確保することができる。
上述の構成1,2を備えることにより、ダンボール材1が製函用資材に用いられた場合に良好な状態の箱の製造することができる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
――前処理――
パラメータの測定対象である測定ダンボール材またはその一部は、JIS Z0203:2000に準拠して温度23[℃]および湿度50[%]の温湿度条件で24時間以上の前処理が施された常態としたうえで、各パラメータを測定した。
そのほか、ライナ原紙と中芯原紙とを貼合する段ボール用接着剤には、通常用いられるワンタンク方式の澱粉糊を使用した。また、測定ダンボール材は、段繰りロールを有するコルゲータを用いて製造した。
実施例1〜22および比較例23〜32において測定ダンボール材は、下記のサイズ(荷姿寸法)である。
・ サ イ ズ :縦寸法1300[mm],
横寸法1150[mm],
高さ寸法1800[mm]
実施例1〜22および比較例23〜32において測定ダンボール材は、以下に示す五種のフルートのうち何れか一つのフルートを採用した。
・ A フルート(段数:360[段])
・ B フルート(段数:600[段])
・ ACフルート(段数:200[段])
>Aフルート
・ 段高 :4.5[mm]
・段山数:34[山/30cm]
>Bフルート
・ 段高 :2.5[mm]
・段山数:50[山/30cm]
>ACフルート
――Aフルート――
・ 段高 :4.5[mm]
・段山数:34[山/30cm]
――Cフルート――
・ 段高 :3.5[mm]
・段山数:40[山/30cm]
なお、「段山数」とは、シートにおいて30[cm]あたりの山(段)の数に対応し、段目の波長で30[cm]を除算した数値に対応する。
・No.1〜7,No.14〜18:坪量180[g/m2]
・ No.8,12 :坪量120[g/m2]
・ No.9,13 :坪量210[g/m2]
・ No.10 :坪量50[g/m2]
・ No.11 :坪量280[g/m2]
・測定装置:製品名「カナディアンスタンダ―ドフリーネス」,熊谷理機工業株式会
社,製品番号「No.2580‐A」
> サイズ剤:薬剤名「サイズパイン N−830(荒川化学工業株式会社製)」
を紙層の全パルプの合計100[質量部]に対して0.5[質量
部]で含有する
>紙力増強剤:薬剤名「PT−1001(荒川化学工業株式)」を紙層の全パルプ
の合計100[質量部]に対して0.50[質量部]で含有する
>硫酸バンド:紙層の全パルプの合計100[質量部]に対して5[質量部]で
含有する
> NKP :10[質量%]の割合で含有する
> LKP :80[質量%]の割合で含有する
> MP :10[質量%]の割合で含有する
品番「No.3」のライナ原紙は、NKPを20[質量%]、LKPを70[質量%]、MPを10[質量%]に変更した以外は、「No.1」のライナ原紙と同様の作成方法で作成された。
品番「No.4」のライナ原紙は、紙力増強剤の添加量を0.20[質量部]に変更した以外は、「No.1」のライナ原紙と同様の作成方法で作成された。
品番「No.5」のライナ原紙は、紙力増強剤の添加量を1.00[質量部]に変更した以外は、「No.1」のライナ原紙と同様の作成方法で作成された。
品番「No.7」のライナ原紙は、紙力増強剤の添加量を5.00[質量部]に変更した以外は、「No.1」のライナ原紙と同様の作成方法で作成された。
品番「No.8」のライナ原紙は、坪量を120[g/m2]に変更した以外は、「No.1」のライナ原紙と同様の作成方法で作成された。
品番「No.9」のライナ原紙は、坪量を210[g/m2]に変更した以外は、「No.1」のライナ原紙と同様の作成方法で作成された。
品番「No.10」のライナ原紙は、坪量を50[g/m2]に変更した以外は、「No.1」のライナ原紙と同様の作成方法で作成された。
品番「No.11」のライナ原紙は、坪量を280[g/m2]に変更した以外は、「No.1」のライナ原紙と同様の作成方法で作成された。
品番「No.13」のライナ原紙は、坪量を210[g/m2]に変更して、NKPを30[質量%]、LKPを60[質量%]、MPを10[質量%]に変更した以外は、「No.1」のライナ原紙と同様の作成方法で作成された。
品番「No.14」のライナ原紙は、坪量を180[g/m2]に変更した以外は、「No.8」のライナ原紙と同様の作成方法で作成された。
品番「No.16」のライナ原紙は、紙力増強剤の添加量を5.50[質量部]に変更した以外は、「No.1」のライナ原紙と同様の作成方法で作成された。
品番「No.17」のライナ原紙は、紙力増強剤の添加量を1.30[質量部]に変更した以外は、「No.1」のライナ原紙と同様の作成方法で作成された。
品番「No.18」のライナ原紙は、紙力増強剤の添加量を3.20[質量部]に変更した以外は、「No.1」のライナ原紙と同様の作成方法で作成された。
・No.19〜25,No.30〜33:坪量160[g/m2]
・ No.26,29 :坪量120[g/m2]
・ No.27 :坪量50[g/m2]
・ No.28 :坪量210[g/m2]
・測定装置:製品名「カナディアンスタンダ―ドフリーネス」,熊谷理機工業株式会
社,製品番号「No.2580‐A」
> サイズ剤:薬剤名「サイズパイン N−830(荒川化学工業株式会社製)」
を紙層の全パルプの合計100[質量部]に対して0.50[質量
部]で含有する
>紙力増強剤:薬剤名「PT−1001(荒川化学工業株式)」を紙層の全パルプ
の合計100[質量部]に対して0.30[質量部]で含有する
>硫酸バンド:紙層の全パルプの合計100[質量部]に対して1.00[質量部
]で含有する
>パルプスラリー:雑古紙を15[質量%]と段古紙を85[質量%]との割合で
混合させたパルプスラリーを用いた
品番「No.21」の中芯原紙は、雑古紙を10[質量%]と段古紙を90[質量%]との割合で混合させたパルプスラリーを用いた以外は、「No.19」の中芯原紙と同様の作成方法で作成された。
品番「No.22」の中芯原紙は、紙力増強剤の添加量を0.05[質量部]に変更した以外は、「No.19」の中芯原紙と同様の作成方法で作成された。
品番「No.23」の中芯原紙は、紙力増強剤の添加量を0.50[質量部]に変更した以外は、「No.19」の中芯原紙と同様の作成方法で作成された。
品番「No.25」の中芯原紙は、紙力増強剤の添加量を3.80[質量部]に変更した以外は、「No.19」の中芯原紙と同様の作成方法で作成された。
品番「No.26」の中芯原紙は、坪量を120[g/m2]に変更した以外は、「No.19」の中芯原紙と同様の作成方法で作成された。
品番「No.27」の中芯原紙は、坪量を50[g/m2]に変更した以外は、「No.19」の中芯原紙と同様の作成方法で作成された。
品番「No.28」の中芯原紙は、坪量を210[g/m2]に変更した以外は、「No.19」の中芯原紙と同様の作成方法で作成された。
品番「No.30」の中芯原紙は、雑古紙を5[質量%]と段古紙を95[質量%]との割合で混合させたパルプスラリーを用いた以外は、「No.19」の中芯原紙と同様の作成方法で作成された。
品番「No.32」の中芯原紙は、紙力増強剤の添加量を0.10[質量部]に変更した以外は、「No.19」の中芯原紙と同様の作成方法で作成された。
品番「No.33」の中芯原紙は、紙力増強剤の添加量を4.00[質量部]に変更した以外は、「No.19」の中芯原紙と同様の作成方法で作成された。
そして、実施例1〜22および比較例23〜32の測定ダンボール材のそれぞれに用いるライナ原紙と中芯原紙とについて、下記の表4に示す長さ加重平均繊維長と、ルンケル比とが測定された。
ルンケル比は、中芯原紙を構成するパルプ繊維の形状を示すパラメータであり、(ルンケル比)=(繊維壁厚の2倍)/(繊維内腔径)で算出される。ルンケル比が大きいほど剛直な繊維であることを示している。
長さ加重平均繊維長とルンケル比とは、下記の繊維分級機を用いて調節された。
・繊維分級機:品名「MAX−F700」,相川鉄工株式会社製
手順A1:ダンボール材の最上段から2段目を40[cm]角に切り出し、その40
[cm]角ダンボールシートを測定に供試した。切り出し位置はダンボール
シート幅の真ん中とした。それから、ダンボールシートをイオン交換水に
15分間浸漬し、イオン交換水から取り出す。
手順A2:手順A1で取り出したダンボールシートから中芯原紙のそれぞれを、中芯
原紙が破れないよう、手で剥がすことでライナ原紙から分離する。
手順A3:手順A2で分離した中芯原紙をイオン交換水に浸し、濃度2±0.2[%
]に調整した上で、24時間浸した。
手順A4:手順A3により濃度を調整した中芯原紙を24時間浸した後、JISP8
220−1:2012に準拠し、標準型離解機(品番No.2580‐A
、熊谷理機工業社製)を用いて20分間離解して、パルプを繊維状に分
解する。
手順A5:手順A4で離解後のスラリー(パルプ繊維)を分取し、下記の繊維長測定
機を使用して、ルンケル比と、JISP8226−2:2011に準拠し
た長さ加重平均繊維長とを測定した。
・繊維長測定機:品番FS−5 UHDベースユニット,バルメット社製
実施例1〜22および比較例23〜32の測定ダンボール材に対して、次に説明する「製函後のつぶれにくさ」と「製函後のつぶしやすさ」と「蛇腹折性」とを評価した。
「製函後のつぶれにくさ」は、ダンボール箱の耐荷重性に対応する評価基準である。
評価対象のダンボール箱は、下記の評価ダンボール片が手組み(手作り)にて組み立てられた箱である。
なお、製函システムによって評価ダンボール片を組み立てる手法は、手組みであっても製函システムによる組み立てであっても同様である。そのため、手組みによって組み立てられた評価ダンボール片の「製函後のつぶれにくさ」には、製函システムで組み立てられた評価ダンボール片の「製函後のつぶれにくさ」と相関があるものと言える。
・形 状:A式段ボール箱が展開されたパターン
・サイズ:A式段ボール箱の側板の幅寸法170[mm],
A式段ボール箱の端板の幅寸法255[mm],
A式段ボール箱の高さ寸法350[mm]
折目:側板の2面のいずれかで側板の中心に折目が存在,
側板の中心は、側板の端縁から85[mm]の位置
箱の高さ方向に沿って折目が延在する
態様α:側板の中心である端板の端縁から85[mm]の位置(幅寸法の中央
部)が折られるよう、手で180[°]折り畳む。その後展開して、
折目を付与させる。
態様β:側板の中心である端板の端縁から85[mm]の位置(幅寸法の中央
部)が折られるよう、手で180[°]折り畳み、その状態で24時
間保持する。その後展開して、折目を付与させる。
上記の表3で「折目の付け方」の項目には、実施例1〜22および比較例23〜32のそれぞれで態様αまたはβの何れが適用されているかが示されている。
・手順B1:評価ダンボール片を用いて作成したA式ダンボール箱の中に重量10
[kg]の下記重りを入れて、ホットメルト接着剤にて底面に貼着し
て封函し、A式ダンボール箱の底面全体に荷重がかかるようする。
>重り:ポリ袋(品番:VX29−HCL、寸法:横520[mm
]、縦600[mm]、厚さ0.02[mm]、日本サニパ
ック株式会社製)に水道水10[L]を投入し、水がこぼ
れない様に袋をしばって作成した。
・手順B2:手順B1のダンボール箱を5[個]用意し、5[個]のダンボール箱
をズレが無いように5[段]積み上げる。つまり1番下のダンボール
箱に約40[kg]の荷重をかける。
・手順B3:手順B2の状態で24時間静置して、1番下のダンボール箱の状態を
確認する。
・手順B4:手順B1〜手順B3を、実施例1〜22および比較例23〜32のそ
れぞれの測定ダンボール材を用いた評価ダンボール片で製造されたダ
ンボール箱につき、1[回]ずつ実施する。
・◎:試験前後でダンボール箱に変化がない(つぶれ、凹み、傷が生じない)
・○:天面および側面の一方、もしくは、天面と側面との両方でダンボールがひしゃ
げた(ゆがんだ、凹んだ)
・△:天面および側面の一方、もしくは、天面と側面との両方でダンボールに破れが
生じた
・×:ダンボール箱がつぶれた
「製函後のつぶれにくさ」では「○」以上を良好な評価とし、「△」以下を不良な評価とした。
製函後のつぶしやすさの評価のために、下記の手順C1,C2でダンボール箱の圧縮試験を実施する。
・手順C1:手組でA式ダンボール箱を組み立てる。A式ダンボール箱は上述した
製函後のつぶしにくさの試験と同様の評価ダンボール片を用いて100
[箱]作成する。
・手順C2:手順C1で組み立てたダンボール箱を下記のダンボール箱圧縮潰し機に
投入し、投入されたダンボール箱がダンボール箱圧縮潰し機内で詰まっ
てしまうか否か、言い換えればダンボール箱圧縮潰し機が投入されたダ
ンボール箱をつぶせずに停止するか否かを観察する。
>段ボール箱圧縮潰し機:品番M780R−1200P,株式会社シ
ロ産業製
製函後のつぶしやすさは以下の基準で評価した。
・◎:100[回]中、全て潰すことができた。
・○:100[回]中、1[回]ダンボール箱が詰まってしまった。
・△:100[回]中、2〜4[回]ダンボール箱が詰まってしまった。
・×:100[回]中、5[回]以上ダンボール箱が詰まってしまった。
「製函後のつぶしやすさ」では「○」以上を良好な評価とし、「△」以下を不良な評価とした。
評価対象となる測定ダンボール材は、下記の製造工程で製造された両面ダンボールウェブを下記の折畳工程で蛇腹折りに折り畳んで製造されたものである。
製造工程による測定ダンボール材の製造には、シングルフェーサとダブルフェーサとを備える周知のコルゲータが用いられる。
・手順D1:中芯用原紙ロールから供給された中芯原紙に段目(波目)を形成し、
形成した段目の段頂に接着剤を塗工する。
・手順D2:手順D1で接着剤を塗布した中芯原紙に対して裏ライナ用原紙ロール
ら供給された裏ライナ用のライナ原紙を貼合し、これをロールで加圧
および加熱して接着し、片面ダンボールかウェブを形成する(シング
ルフェーサでの処理)。
・手順D3:手順D2で形成した片面ダンボールウェブの中芯側に、表ライナ用原
紙ロールから供給された表ライナ用のライナ原紙を接着剤で貼合し、
これを加圧および加熱ロールで加圧および加熱して接着し、両面ダン
ボールウェブを作成する(ダブルフェーサでの処理)。
・手順D4:手順D3で作成した両面ダンボールウェブに対して、延在方向に一定
間隔で離間して幅方向に延びる折目を形成する。
>手順D2(シングルフェーサ)
・加熱温度120〜200[℃]
・ロール線圧20〜40[kN/m]
・加圧時間0.01〜0.20[秒]
>手順D3(ダブルフェーサ)
・加熱温度120〜200[℃]
・ロール線圧0.1〜1.0[kN/m]
・加圧時間2〜7[秒]
なお、ライナ原紙と中芯原紙とを貼合には、合成樹脂などのエマルジョンが使用されてもよい。合成樹脂の具体例としては、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリアミド,ポリエステル,エチレン−不飽和カルボン酸共重合体,スチレン−ブタジエン共重合体,ブタジエン−アクリロニトリル共重合体,スチレンーブタジエンーアクリロニトリル共重合体,ポリ酢酸ビニル,エチレン−酢酸ビニル共重合体,ポリアクリル酸エステル系共重合体,スチレン−アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。
・折り畳み装置:BHS Corrugated Machinery社製、
品番「AS−F」,
・ 搬 送 速 度:100[m/min]
・手順E1:手順D4の後、作成された両面ダンボールウェブを上記の折り畳み装置
へ搬送する。
・手順E2:手順E1で搬送された両面ダンボールウェブを折目で交互に折り返して
、蛇腹折りに折り畳み、上述したサイズ(荷姿寸法)の測定ダンボール
材を作成する。
手順D1〜D4,E1,E2により、実施例1〜22および比較例23〜32のそれぞれの測定ダンボール材を作成する。
・☆:測定ダンボール材の折目付近に空隙が見られず、シート間で1[cm]以上
の横ズレが1つも存在しなかった。
・◎:測定ダンボール材の折目付近に空隙が見られず、シート間で2[cm]以上
の横ズレが1つも存在しなかった。
以上の横ズレが1つも存在しなかった。
・△:測定ダンボール材のシート間で2[cm]以上5[cm]以下の横ズレが1
つ以上存在した。
・×:測定ダンボール材のシート間で5[cm]を超える横ズレが1つ以上
存在した。
「蛇腹折性」では、「○」以上を良好な評価とし、「△」以下を不良な評価とした。
なお、「蛇腹折性」の評価が「×」に相当する測定ダンボール材(シート間で5[cm]を超える横ズレが1以上存在している測定ダンボール材)を製函システム(CMCカートンラップ100,CMC社製)に適用した場合、製函速度500[箱/時]で通紙した際に、測定ダンボール材の蛇行や、蛇行を強制することに伴うシートの折れなど、搬送不良が発生して機械停止が生じることが確認された。
特に、ライナの紙力増強剤の添加量が1.25[質量部]以上であって3.30[質量部]以下である実施例10,11では「蛇腹折性」が「☆」の最も高い評価が得られた。
実施例15,16では、中芯の紙力増強剤の添加量が0.40[質量部]以上であって3.10[質量部]以下であり、「製函後のつぶれにくさ」と「製函後のつぶしやすさ」と「蛇腹折性」とのすべてで「◎」の優良な評価が得られた。
ライナの坪量が270[g/m2]よりも大きく、また、中芯の坪量が180[g/m2]よりも大きい比較例24,25では、「製函後のつぶしやすさ」と「蛇腹折性」とで不良な評価が得られた。
ライナの長さ加重平均繊維長が1.50[mm]よりも大きくルンケル比が1.60よりも大きく、また、中芯の長さ加重平均繊維長が1.24[mm]よりも大きくルンケル比が1.29よりも大きい比較例27では、「製函後のつぶしやすさ」で不良な評価が得られた。
ライナの紙力増強剤が5.25[質量部]よりも大きい比較例30および中芯の紙力増強剤が3.90[質量部]よりも大きい比較例32では、「製函後のつぶしやすさ」と「蛇腹折性」とで不良な評価が得られた。
比較例24,25から、ライナの坪量が270[g/m2]よりも大きく、また、中芯の坪量が180[g/m2]よりも大きいと、ダンボール箱をつぶすために必要な外力が過度に大きくなり、製函後のダンボール箱をつぶしにくくなり、かつ、ライナや中芯が硬すぎて折目付近で外観が損なわれやすいと推察される。
比較例27から、ライナの長さ加重平均繊維長が1.50[mm]よりも大きくルンケル比が1.60より大きく、また、中芯の長さ加重平均繊維長が1.24[mm]よりも大きくルンケル比が1.29よりも大きいと、ダンボール箱をつぶすために必要な外力が過度に大きくなり、製函後のダンボール箱をつぶしにくくなると推察される。
比較例30,32から、ライナの紙力増強剤が5.25[質量部]よりも大きい場合、または、中芯の紙力増強剤が3.90[質量部]よりも大きい場合、ダンボール箱をつぶすために必要な外力が過度に大きくなり、製函後のダンボール箱をつぶしにくくなり、かつ、ライナや中芯が硬すぎて折目付近で外観が損なわれやすいと推察される。
特に、実施例10,11から、ライナの紙力増強剤の添加量が1.25[質量部]以上であって3.30[質量部]以下であることにより、蛇腹折性がより向上されると言える。
折目の付け方が互いに異なる実施例1,22から、折目の付け方の違いは、ダンボール箱のつぶしにくさと、ダンボール箱のつぶしやすさと、蛇腹折性との評価に影響を及ぼさないと言える。折目の付け方の違いが評価に影響を及ぼさないため、測定ダンボール材に折目を入れる手法は任意の手法を採用できると言える。
上述の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせることもできる。
たとえば、ダンボール材が製函システム用の資材である場合には、意図的に形成された切れ込みやミシン目などの追加加工が折目に施されていないことが好ましく、ダンボール材におけるライナの表層に設けられる罫線を起点(たとえば罫線を内側)に180[°]折り返される個所が折目であることが好ましい。一方、ダンボール材が製函システム用以外の資材である場合には、切れ込みやミシン目などの加工が折目に施されていてもよい。
10 段目(波目)
2 シート
20 シート対
21 第一シート
22 第二シート
23 第三シート
F 折目
L1 縦寸法(第一寸法)
L2 横寸法(第二寸法)
L3 高さ寸法(第三寸法)
Claims (5)
- 連続する両面ダンボールにおいて矩形状のシートが第一方向に沿って直線状に延在する折目のそれぞれにおいて前記折目の沿う平面で前記第一方向に直交する第二方向へ折り返され、前記第一方向および前記第二方向の双方に直交する第三方向に沿って前記シートが
積み重ねられた蛇腹折りのダンボール材であって、
前記両面ダンボールを構成するライナの坪量が80[g/m2]以上であって270[g/m2]以下であり、
前記ライナのパルプ繊維の長さ加重平均繊維長が0.90[mm]以上であって1.50[mm]以下であり、
前記ライナの前記パルプ繊維のルンケル比が1.20以上であって1.60以下であり、
前記ライナに添加された紙力増強剤の添加量が0.15[質量部]以上であって5.25[質量部]以下であり、
前記両面ダンボールを構成する中芯の坪量が80[g/m2]以上であって180[g/m2]以下であり、
前記中芯の長さ加重平均繊維長が0.86[mm]以上であって1.24[mm]以下であり、
前記中芯のルンケル比が0.96以上であって1.29以下であり、
前記中芯の紙力増強剤の添加量が0.01[質量部]以上であって3.90[質量部]以下である
ことを特徴とするダンボール材。 - 前記ライナに添加された紙力増強剤の添加量が0.90[質量部]以上であって4.00[質量部]以下である
ことを特徴とする請求項1に記載のダンボール材。 - 前記ライナに添加された紙力増強剤の添加量が1.25[質量部]以上であって3.30[質量部]以下である
ことを特徴とする請求項1に記載のダンボール材。 - 前記中芯に添加された紙力増強剤の添加量が0.40[質量部]以上であって3.10[質量部]以下である
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のダンボール材。 - 請求項1〜4の何れか1項に記載のダンボール材を用いた
ことを特徴とするダンボール箱。
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