JP6798634B1 - ダンボール材 - Google Patents

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Abstract

【課題】ダンボール材で折り返し保持性の確保と罫割れの抑制とを両立する。【解決手段】ダンボール材1は、中芯に対してライナを貼合したダンボールを用いたダンボール材であって、ライナから切り出した測定片を25[℃]の温度条件のもと周波数100[Hz]の振動条件の引張剪断モードで測定された動的粘弾性が所定の範囲内である。動的粘弾性は、弾性率E′と、弾性率E′に対する損失弾性率E′′の比率であるtanδとの値により規定されている。所定の範囲は、弾性率E′が1.00×109[Mpa]以上であって8.00×109[Mpa]以下であり、tanδが2.50×10-2以上であって1.50×10-1以下である。【選択図】図1

Description

本発明はダンボール材に関する。
製函用資材として、蛇腹折り(「ファンフォールド」とも称される)のダンボール材が知られている。
ダンボール材には連続する矩形状のシート間に折目が設けられ、この折目でシートが交互に折り返されている。このような蛇腹折りのダンボール材では、連続するシートが上下に積み重ねられ、直方体状の荷姿に折り畳まれている。
上記の蛇腹折りダンボール材を製造するための折り畳み装置は、連続するシートを折目で交互に折り返すフォールディングパートと、折り返されたシートを積み重ねるスタッキングパートとを備えている(例えば下記の特許文献1を参照)。
製造されたダンボール材で荷姿の安定性や定形性を確保するためには、スタッキングパートにおいて、折目を介して連続したシートどうしが隙間を開けずに接した状態で折り合わされていることが望ましい。
特表2015-509473号公報
しかし、ダンボール材に用いられる性状によっては、折目を介して連続したシートどうしに隙間が生じ(「折目が開い」)てシートを折目で折り返した状態を保持する性能(折り返し保持性)が不十分となることがあった。延いては、荷姿の安定性や定形性が不十分になるおそれがあった。また、ダンボール材に用いられる性状によっては、シートを折目で折り返した際に折目の箇所に破損(罫割れ)が生じやすい場合がある。
本件は、上記の課題に鑑みて創案されたものであり、折り返し保持性の確保と罫割れの抑制との両立を図ることを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用および効果であって、従来の技術では得られない作用および効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
ここで開示するダンボール材は、中芯に対してライナを貼合したダンボールを用いたダンボール材である。本ダンボール材は、前記ライナから切り出した測定片を25[℃]の温度条件のもと周波数100[Hz]の振動条件の引張剪断モードで測定された動的粘弾性が所定の範囲内であり、前記動的粘弾性は、弾性率E′と、前記弾性率E′に対する損失弾性率E′′の比率であるtanδとの値により規定されている。前記所定の範囲は、前記弾性率E′が1.00×109[Mpa]以上であって8.00×109[Mpa]以下であり、前記tanδが2.50×10-2以上であって1.50×10-1以下である。
本件によれば折り返し保持性の確保と罫割れの抑制とを両立することができる。
蛇腹折りのダンボール材を示す斜視図である。 折り畳み機構を説明する説明図である。 蛇腹折りのダンボール材の荷姿を示す説明図であり、(a)には良好な荷姿を示し、(b)には不良な荷姿を示す。
以下、実施形態としてのダンボール材を説明する。
本実施形態のダンボール材は、連続するダンボールにおいて矩形状のシートが折り畳まれた蛇腹折りの製函用資材である。このダンボール材には、中芯に対して両側にライナが設けられた両面ダンボールが用いられる。
上記の両面ダンボールには、一つの中芯および二つのライナのそれぞれに対応する三つの原紙(資材)から構成されたシングルフルートのダンボールのほか、いわゆる「複両面ダンボール」や「複々両面ダンボール」のように三つ以上の中芯および二つのライナのそれぞれに対応する五つ以上の原紙から構成されたマルチフルートのダンボールも含まれる。本実施形態では、シングルフルートの両面ダンボールからなるダンボール材を主に例示する。
ダンボール材が製函されると、ダンボール箱となる。詳細に言えば、製函システムの製函用資材に用いられたダンボール材は、シートが順繰りに送り出されるフィード工程,送り出されたシートが箱の展開パターンに切り抜かれるカット工程,箱の形状に折り立てられるフォールド工程といった種々の工程を経てダンボール箱に製函される。なお、ダンボール箱を組み立てる製函システムは、特に制限されないが、たとえば自動包装システムの全自動システムである「CMC社製のカートンラップ1000」,「Neopost社製のCVP−500」,「オーエスマシーナリー社製のTXP−600」や、半自動システムの「Pack Size社製のEM7」,「Panotec社製のCompack」を用いることができる。
本実施形態では、下記の方向I,IIが以下の表1に示すように対応する例を挙げ、ダンボール材は水平面に載置されたものとする。
・方向 I :水平面に載置されたダンボール材における方向
・方向II:ダンボール材を製造する途中の半製品における方向
Figure 0006798634
縦方向(第一方向,図中には「CD」と記す)および横方向(第二方向,図中には「MD」と記す)は水平に沿う方向であり、シート(折目)の沿う平面が延在する方向である。これらの縦方向と横方向とは互いに直交する。高さ方向(第三方向,図中には「TD」と記す)は、鉛直方向に沿う方向であり、縦方向および横方向の双方に直交する。この高さ方向は、シートが重ね合わせられる方向に対応する。
MD(Machine Direction)方向は、「流れ方向」とも称され、ダンボール材の製造過程が上流から下流へ進捗する方向である。CD(Cross Direction)方向は、MD方向の沿う平面においてMD方向に直交する方向である。TD(Transverse Direction)方向は、MD方向およびCD方向の双方に直交する方向である。
そのほか、特に断らない限り、本実施形態の「数値X〜数値Y」なる表現は、数値X以上であって数値Y以下の範囲を意味する。
[I.一実施形態]
下記の一実施形態では、ダンボール材の構成を項目[1]および[2]で述べる。項目[1]では、ダンボール材が折り畳まれた構造(以下「折畳構造」と称する)を説明する。項目[2]では、ダンボール材に用いられるシート(段ボールシート)の性状に関するパラメータを説明する。
そして、項目[1]および[2]の構成による作用および効果を項目[3]で述べる。
[1.折畳構造]
図1に示すように、ダンボール材1は、直方体状をなす製函用資材である。
ダンボール材1では、連続する矩形状のシート2(図1では一部のみに符合を付す)が折目F(図1では一部のみに符合を付す)で折り返され、折り返されたシート2が高さ方向に積み重ねられている。
このように折り畳まれたダンボール材1には、縦方向および高さ方向の双方に沿う一対の側面に、複数の折目Fが縦方向に沿って直線状に延在する。
ここで、連続する三つのシート2(図1では二点鎖線で示す)に着目して、ダンボール材1の折畳構造を説明する。
・第一シート21:第二シート22の一側に連続するシート2
・第二シート22:第一シート21と第三シート23との双方に連続するシート2
・第三シート23:第二シート22の他側に連続するシート2
第一シート21と第二シート22との間に第一折目F1が設けられ、第一折目F1を介してシート21,22が連続している。第二シート22と第三シート23との間に第二折目F2が設けられ、第二折目F2を介してシート22,23が連続している。
第一折目F1は、第一シート21に対して横方向の一方(図1では右方)へ向けて第二シート22が折り返される折目Fであり、ダンボール材1における横方向の他方(図1では左方)に配置される。第二折目F2は、第二シート22に対して横方向の他方(図1では左方)へ向けて第三シート23が折り返される折目Fであり、ダンボール材1における横方向の一方(図1では右方)に配置される。
第一シート21では、横方向(折目Fと交差する方向)に延在する第一端縁E1(図1には手前側の端縁のみに符号を付す)にダンボールの段目10(波目)が露出する。同様に、第二シート22には、横方向(折目Fと交差する方向)に延在する第二端縁E2(図1には手前側の端縁のみに符号を付す)にダンボールの段目10が露出する。
第一シート21および第二シート22からなるシート対20では、第一端縁E1と第二端縁E2とが高さ方向に隣り合って配置される。
上記の折畳構造を有するダンボール材1によれば、ロール状に巻回することの困難な資材であっても直方体状に折り畳むことができる。すなわち、ロール状に巻回可能な資材よりも高い強度をもつダンボールのシート2をコンパクトな荷姿にすることができる。このように強度の確保されたシート2が折り畳まれたダンボール材1は、強度の要求される箱を製造する製函システムの包装資材に用いて好適である。
そのほか、折目Fは、ダンボールの段目10に沿って設けられている。言い換えれば、MD方向に対して垂直な段目10のダンボール材1が製造される。
なお、ダンボール材1は、汚損や荷崩れを防ぐために、包装用のフィルムで被包(包装)されることが好ましい。
[2.パラメータ]
以下、ダンボール材1のパラメータを説明する。
まず、ダンボール材1のサイズや段数などの基本的なパラメータを述べる。その後に、ダンボール材1のシート2に関するパラメータを詳述する。
[2−1.基本的なパラメータ]
ダンボール材1のサイズは、下記の寸法L1〜L3から定まる。
・ 縦寸法L1 :縦方向の寸法(第一寸法)
・ 横寸法L2 :横方向の寸法(第二寸法)
・高さ寸法L3:高さ方向の寸法(第三寸法)
上記の寸法L1〜L3は、小さいほど製造される箱のサイズや形状の制約が大きくなるおそれがあり、大きいほど運搬や納入といった作業性が低下するおそれがある。これらの観点より、寸法L1〜L3は、下記の表2に示す範囲であることが好ましい。
Figure 0006798634
そのほか、ダンボール材1における折目Fの本数をN[本]とおけば、シート2の枚数はN+1[枚]である。この場合には、N+1[段]のシート2がダンボール材1において重ね合わせられている。
たとえば、ダンボール材1の段数としては、たとえば10〜1000[段]のさまざまな段数が挙げられる。詳細を後述する折り畳みに関するパラメータが測定される対象のダンボール材については、所定の段数(たとえば100[段])未満の測定対象については、全段のそれぞれにおいてパラメータを測定するのが好ましい。一方、所定の段数(たとえば100[段])以上の測定対象については、部分的(たとえばパートに分けた部分や設定された領域)にパラメータを測定してもよい。
なお、ダンボール材1に用いられるシート2には、任意の坪量を設定することができる。シート2に採用される坪量の範囲としては、50〜1500[g/m2]の範囲が挙げられ、好ましくは100〜1000[g/m2]の範囲が挙げられ、より好ましくは200〜800[g/m2]の範囲が挙げられ、さらに好ましくは200〜600[g/m2]の範囲が挙げられる。
上記の坪量に中芯の段繰率を加味し、縦寸法L1および横寸法L2とシート2の段数N+1とを乗算すれば、ダンボール材1の重量が算出される。
[2−2.ダンボール材1の性状に関するパラメータ]
本実施形態のダンボール材1は、ダンボール材1の荷姿を良好にする観点に立脚して、性状に関する構成を備えている。具体的には、以下の観点I,IIに立脚して、性状に関する所定の構成を備えている。「ダンボール材1の荷姿」とは、直方体状に折り畳まれた蛇腹折りのダンボール材1の外観である。
・観点 I :折目Fでの折り返し保持性を確保すること
・観点 II :折目Fでの罫割れを抑制すること
上記の観点I,IIは、下記の課題I,IIを解決するための観点である。
・課題 I :折目Fでの折り返しが開くこと
・課題 II :折目Fで罫割れが生じること
上記の観点Iでいう「折り返し保持性」とは、シート2を折目Fで折り返した状態を保持する性能である。
課題Iでいう「折目Fでの折り返しが開くこと」とは、シート2を折目Fで折り返した際に、折り返した状態が保持されずに折目Fを介して連続するシート2どうしの間に隙間が生じることである。折り返し保持性が不十分であると課題Iが生じる。この課題Iは、折目Fでの折り返し開くことによりダンボール材1の荷姿が乱れる課題とも言える。
上記の観点II,課題IIで「罫割れ」とは、シート2を折目Fで折り返した状態で、折目Fの外側に位置するライナに生じる割れ(破損,破れ)である。
観点Iに立脚して折り返し保持性を確保しようとすると、課題IIが生じやすくなる傾向があり、観点IIに立脚して折目Fでの罫割れを抑制しようとすると課題Iが生じやすくなる傾向がある。そのため、観点Iと観点IIとを両立することは困難である。
以下、上記の観点I,IIの前提事項として、蛇腹折りのダンボール材1を製造する折り畳み装置の構成と、製造されたダンボール材1の荷姿の良否とを小項目〔i〕,〔ii〕で説明する。その後、小項目〔iii〕で観点I,IIに立脚した所定の構成を説明する。
〔i.折り畳み装置〕
図2に示す折り畳み装置50は、帯状に連続するダンボールを蛇腹折りに折り畳む装置である。
折り畳み装置50は、特に制限されないが、例えば下記の折り畳み装置を用いることができる。
・折り畳み装置:BHS Corrugated Machinery 社製,
品番「AS−F」
折り畳み装置50は、搬送パート50A,フォールディングパート50B,スタッキングパート50Cを備える。
搬送パート50Aは、図示しない上流側のダンボール生産装置(コルゲータ)で製造された帯状のダンボールウェブ1Wをフォールディングパート50B(図2で二点鎖線を参照)へ搬送する搬送路をなす。
図示しないコルゲータで製造されたダンボールウェブ1Wには横方向へ一定間隔で離間して複数の折目Fが設けられている。各折目Fの上流側と下流側とにはシート2(図1参照)が連続している。
複数の折目Fには、上流側のシートが下流側のシートに対して横方向の一方(図2では右方)へ向けて折り返される折目(図1の「第一折目F1」に対応する折目)と、上流側のシートが下流側のシートに対して横方向の他方(図2では左方)へ向けて折り返される折目(図1の「第二折目F2」に対応する折目)とがある。これら第一折目F1と第二折目F2とは搬送方向に沿って交互に並んでいる。
搬送パート50Aで上方を向いた面をダンボールウェブ1Wの表面(おもてめん)と称し、下方を向いた面をダンボールウェブ1Wの裏面(うらめん)と称する。第一折目F1はダンボールウェブ1Wの表面に凹設された溝で形成され、第二折目F2はダンボールウェブ1Wの裏面に凹設された溝で形成されることで、上記の各方向への折り返しを確実にしている。
フォールディングパート50Bは搬送パート50Aとスタッキングパート50Cとの間に設けられており、搬送パート50Aにより搬送されたダンボールウェブ1Wを折目Fで交互に折り返してスタッキングパート50Cへ送給するパートである。
フォールディングパート50Bでは、搬送パート50Aから搬送されたダンボールウェブ1Wが搬送方向へ押し出されつつ下方へ落下する。このとき、第一折目F1では上流側のシートが下流側のシートに対して横方向の一方(図2では右方)へ向けて折り返され、第二折目F2では上流側のシートが下流側のシートに対して横方向の他方(図2では左方)へ向けて折り返される。
フォールディングパート50Bには、ダンボールウェブ1Wの折り返しを補助する補助機構(図示省略)が設けられてよい。補助機構は、ダンボールウェブ1Wをなすシートが第一折目F1,第二折目F2で確実に交互に折り返されるように補助する機構である。補助機構の具体的な構造は、特に限定されないが、例えば第二折目F2を支承するロッドを備えた回転機構(上記の特許文献1を参照)を用いることができる。
スタッキングパート50Cは、フォールディングパート50Bで交互に折り返されたシートを積み重ねる(スタッキングする)パートである。スタッキングパート50Cは、フォールディングパート50Bの下方に配置されている。そのため、スタッキングパート50Cでは、折目F1,F2で交互に折り返されたシート2(図1参照)が下方から上方へ順次積み重ねられる。こうして、直方体状の荷姿をなす蛇腹折りのダンボール材1が製造される。
〔ii.荷姿の良否〕
荷姿が良好なダンボール材1では、図3(a)に示すように、折目Fを介して連続するシートどうしが折目Fで180[°]折り返された後、その折目Fを介して連続するシートどうしが隙間を開けずに接した状態で折り合される。
このように折目Fが閉じた状態で保持されている場合、ダンボール材1の荷姿が良好であるものの、折目Fの罫割れを招くという課題IIが生じるおそれがある。
荷姿が不良なダンボール材1では、図3(b)に示すように、折目Fを介して連続するシートどうしが折目Fで180[°]折り返された後、その折目Fを介して連続するシートどうしに隙間Sが生じた状態で後続のシートが積み重ねられる。
このように折目Fの閉じた状態が保持されていない場合、折目Fの罫割れは生じにくいものの、折目Fでの折り返しが開くという課題Iが生じるおそれがある。これにより、隙間Sの箇所でシートに折れが生じたり、隙間Sよりも上方でダンボール材1が傾いたりして、ダンボール材1の定形性や安定性が損なわれるおそれもある。延いては蛇腹折りの途中で積み重ねられたシートが崩れてしまい、蛇腹折りのダンボール材1が作成できないおそれがある。
〔iii.構成〕
ダンボール材1は、上記の観点I,IIおよび課題I,IIに対応して、下記の構成を備えている。
・構成:ダンボール材1を構成するライナの動的粘弾性が所定の範囲内であること
「動的粘弾性」とは、弾性率E′,損失弾性率E′′,tanδとの三種の値で規定されるパラメータであって、ダンボール材1を折り曲げた際の折り曲げた状態の保持性(折目Fの開きにくさ)と折目Fでの罫割れの生じにくさに対応するパラメータである。ダンボール材1を折目Fで折り曲げた際にダンボール材1のライナ原紙をなすパルプ繊維に伸びが生じるが、「動的粘弾性」は、ダンボール材1を折目Fで折り曲げた際にパルプ繊維が伸びた状態の保持性に対応するパラメータとも言える。
弾性率E′は、弾性の強さを表しており、ダンボール材1を折り曲げた際に元の形に戻ろうとする(つまり折目Fを開こうとする)反発力に対応している。
損失弾性率E′′は、粘性の強さを表している。
tanδは、下記の式1より弾性率E′に対する損失弾性率E′′の比率である。このtanδは、「1」以下の値であると弾性領域(元の形に戻ろうとする領域)の物性をもつことを意味し、そうでなければ粘性領域(元の形に戻りにくい領域)の物性をもつことを意味する。
tanδ=E′′/E′・・・・式1
tanδの値が大きいほど上記の反発力が小さくなり、tanδの値が小さいほど上記の反発力が大きくなる。
本願の発明者らは、ダンボール材1を構成するライナの動的粘弾性のうち弾性率E′とtanδとが所定の範囲内であれば、上述の課題I,IIが抑えられる傾向にあるとの知見を得た。逆に言えば、所定の範囲外にある動的粘弾性のライナを用いたダンボール材は、課題I,IIが生じやすい傾向にあることを見出した。
つまり、ダンボール材1には、上述の観点I,IIに立脚して上記の構成が備えられている。
動的粘弾性のうち弾性率E′が所定の範囲を上回っており、tanδが所定の範囲を下回っている場合、ダンボール材1が折目Fで折り曲げられた際、ライナ原紙をなすパルプ繊維が伸びた状態で留まらずに折目Fを開こうとする反発力が大きくなって、課題Iを招くものと推察される。
動的粘弾性のうち弾性率E′が所定の範囲を下回っており、tanδが所定の範囲を上回っている場合、ダンボール材1が折目Fで折り曲げられた際、ライナ原紙をなすパルプ繊維が伸びた状態で折目Fに折り曲げによる外力が加わり、課題IIを招きやすくなるものと推察される。
弾性率E′は、1.00×109[Mpa]以上であって8.00×109[Mpa]以下であり、tanδは、2.50×10-2以上であって1.50×10-1以下である。弾性率E′,tanδの値がこの範囲ならば、製函用資材に適したダンボール材を得ることができる。
蛇腹折りのダンボール材の製造に適しているという点で、弾性率E′が1.50×109[Mpa]以上であって7.00×109[Mpa]以下であることが好ましく、tanδが3.00×10-2以上であって1.00×10-1以下であることが好ましい。
自動包装システムに用いる資材に適しているという点で、弾性率E′が2.00×109[Mpa]以上であって6.00×109[Mpa]以下であることがより好ましく、tanδが3.50×10-2以上であって9.70×10-2以下であることがより好ましい。
さらに、観点Iに立脚すると弾性率E′が3.00×109[Mpa]以下であってtanδが7.00×10-2以上であることが好ましく、弾性率E′が2.50×109[Mpa]以下であってtanδが8.00×10-2以上であることがより好ましい。
観点IIに立脚すると弾性率E′が4.00×109[Mpa]以上であってtanδが4.00×10-2以下であることが好ましく、弾性率E′が4.50×109[Mpa]以上であってtanδが3.80×10-2以下であることがより好ましい。
[3.作用および効果]
本実施形態のダンボール材1は、上述の構成を備えることにより、ダンボール材1を折目Fで折り返した際に折目Fでの折り返しが開かず、また、折目Fで罫割れが生じにくいため、折り返し保持性の確保と罫割れの抑制との両立を図ることができる。そのため、例えば蛇腹折りのダンボール材1で荷姿の定形性や安定性が確保される。
[II.実施例]
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例において、パラメータの測定される対象となるダンボール材(以下「測定ダンボール材」と称する)は、両面ダンボールのシートである。
この測定ダンボール材は、下記のサイズである。
・ サ イ ズ :縦寸法1300[mm],
横寸法1150[mm],
高さ寸法1800[mm]
実施例1〜6および比較例7,8では、以下に示す三種のフルートのうち何れか一つのフルートを採用した。
・ A フルート
・ B フルート
・ E フルート
実施例1〜6および比較例7,8のそれぞれで表ライナおよび裏ライナには、下記の品番「No.1」〜「No.6」のうち何れか一つのライナ原紙を用いた。
・No.1:坪量120[g/m2],フリーネス400[ml]
・No.2:坪量160[g/m2],フリーネス400[ml]
・No.3:坪量170[g/m2],フリーネス400[ml]
・No.4:坪量210[g/m2],フリーネス400[ml]
・No.5:坪量120[g/m2],フリーネス300[ml]
・No.6:坪量120[g/m2],フリーネス600[ml]
品番「No.1」のライナ原紙は、フリーネスが400[ml]の針葉樹クラフトパルプおよびダンボール古紙パルプを原料とし、多層抄き抄紙機を使用して抄紙を行って三層で構成されるダンボール用ライナ原紙として作成された。抄紙条件は、カチオン性の紙力増強剤を紙層の全パルプの合計100[質量部]に対して、0.5[質量部]で含有し、表層のパルプのうち、針葉樹クラフトパルプを10[質量%]の割合で含有した。なお、カチオン性の紙力増強剤は全て表層に含有させた。また、針葉樹クラフトパルプは紙層の全パルプのうち6[質量%]であった。
品番「No.2」のライナ原紙は、坪量を160[g/m2]に変更した以外は、「No.1」のライナ原紙と同様の作成方法で作成された。
品番「No.3」のライナ原紙は、表層のパルプのうち針葉樹クラフトパルプが含有される割合を50[質量%]に変更し、坪量を170[g/m2]に変更した以外は、「No.1」のライナ原紙と同様の作成方法で作成された。
品番「No.4」のライナ原紙は、坪量を210[g/m2]に変更した以外は、「No.1」のライナ原紙と同様の作成方法で作成された。
品番「No.5」のライナ原紙は、針葉樹クラフトパルプおよびダンボール古紙パルプのフリーネスを300[ml]に変更した以外は、「No.1」のライナ原紙と同様の作成方法で作成された。
品番「No.6」のライナ原紙は、針葉樹クラフトパルプおよびダンボール古紙パルプのフリーネスを600[ml]に変更した以外は、「No.1」のライナ原紙と同様の作成方法で作成された。
「フリーネス」は原紙の原料をなすパルプが叩解される程度を表すパラメータである。
パルプの叩解とは、パルプ繊維を叩き、磨砕(摩砕)する機械的処理であり、周知のリファイナー(機械的処理設備)を用いて実施される。フリーネスの値はリファイナーの設定により調節され得る。
パルプを叩解する工程(叩解工程)は、原紙の製造工程における抄紙工程の直前に実施される。この叩解工程では、抄紙に用いられるパルプの叩解のほか、パルプに薬品を配合する処理などが施される。
実施例1〜6および比較例7,8のそれぞれで中芯には、下記の品番「No.7」,「No.8」のうち何れか一つの中芯原紙を用いた。
・No.7:坪量120[g/m2]〔OND−EM120:王子マテリア株式会社 製〕
・No.8:坪量160[g/m2]〔OND−EM160:王子マテリア株式会社
製〕
実施例1〜6および比較例7,8の測定ダンボール材のそれぞれは、表3に示す総厚[mm]を有する両面ダンボールである。
Figure 0006798634
上記の実施例1〜6および比較例7,8のそれぞれについて、表3に示す動的粘弾性(弾性率E′,損失弾性率E′′およびtanδの三種の値)が測定された。
実施例1〜6および比較例7,8のそれぞれでは、ライナ原紙のフリーネスを調節することで、弾性率E′の値を変化させており、その結果tanδの値が調節されている。
動的粘弾性は、下記の手順A1〜A5で、実施例1〜6および比較例7,8のそれぞれの測定ダンボール材から取り出された測定用サンプル片(測定片)を用いて測定された。
手順A1:測定ダンボール材の全段数のうち半分の段数(すなわち真ん中の段)を基
準に真ん中の段よりも上方の任意の段から測定用シートを切り出す。具体
的には、測定ダンボール材の全段数Mが奇数の場合、測定ダンボール材の
全段数のうち半分の段数M/2を四捨五入した段(すなわち真ん中の段)
を基準にシートを採取し、測定ダンボール材の全段数Mが偶数の場合、測
定ダンボール材の全段数のうち半分の段数[(M/2)+1]を基準にシ
ートを採取した。なお、シートを採取するときに、傷や凹みの無い(また
は少ない)段を選定するように注意した。
手順A2:手順A1で採取した測定用シートを、水道水に15[分]間浸漬する。
手順A3:手順A2で浸漬された測定用シートを水道水から取り出して、取り出した
測定用シートのライナ原紙(表ライナおよび裏ライナ)のそれぞれを、ラ
イナ原紙が破れないよう、手で剥がすことで中芯原紙から分離する。
手順A4:手順A3で分離したライナ原紙を105[°]の乾燥機で20[分]間乾
燥する。
手順A5:手順A4で乾燥されたライナ原紙から下記の寸法の測定用サンプル片を切
り出す。
>寸法
・縦方向:5[mm]
・横方向:30[mm]
上記の手順A5で切り出した測定用サンプル片について、下記の機器を用いて下記の条件で、動的粘弾性(弾性率E′,損失弾性率E′′,tanδ)が測定された。測定には、表ライナのライナ原紙から切り出された測定用サンプル片を用いた。なお、裏ライナのライナ原紙から切り出された測定用サンプル片を用いた場合であっても、表ライナの測定用サンプル片を用いた場合と測定結果に差異が生じない、または、略生じない。
>機器
動的粘弾性測定装置
株式会社ユービーエム製,型番Rheogel−E4000
>条件
・測定手法:引張剪断モード
・ 周波数 :100 [Hz](振動条件)
・ 歪 み :0.10[%]
・ 温 度 :25 [℃](温度条件)
――評価――
上記のようにして動的粘弾性が測定された実施例1〜6および比較例7,8について、つぎに説明するスタッキング性と罫割性とを評価した。
「スタッキング性」は、測定ダンボール材が蛇腹折りに折り畳まれた(スタッキングされた)際の荷姿の良否に対応する評価基準であり、シートを折目で折り返した状態の保持する性能(折り返し保持性)とも言える。
「罫割性」は、測定ダンボール材を折目で折り返した状態で、折目の箇所における破損(罫割れ)のしにくさに対応する評価基準である。破損は折目の箇所でのライナ原紙の割れ,裂け,破れなどを含む。折目の箇所とは折目の周辺を含む領域である。
評価対象となる測定ダンボール材は、下記の製造工程で製造された両面ダンボールウェブを下記の折畳工程で蛇腹折りに折り畳んで製造されたものである。
製造工程は下記の手順B1〜B4を備える。この製造工程で両面ダンボールウェブの製造には、シングルフェーサとダブルフェーサとを備える周知のコルゲータが用いられる。
・手順B1:中芯用原紙ロールから供給された中芯原紙に段目(波目)を形成し、形
成した段目の段頂に接着剤を塗工する。
・手順B2:手順B1で接着剤を塗布した中芯原紙に対して裏ライナ用原紙ロールか
ら供給された裏ライナ用のライナ原紙を貼合し、これをロールで加圧お
よび加熱して接着し、片面ダンボールウェブを形成する(シングルフェ
ーサでの処理)。
・手順B3:手順B2で形成した片面ダンボールウェブの中芯側に、表ライナ用原紙
ロールから供給された表ライナ用のライナ原紙を接着剤で貼合し、これ
を加圧および加熱ロールで加圧および加熱して接着し、両面ダンボール
ウェブを作成する(ダブルフェーサでの処理)。
・手順B4:手順B3で作成した両面ダンボールウェブに対して、延在方向に一定間
隔で離間して幅方向に延びる折目を形成する。
上記の手順B2,B3において加圧および加熱は、例えば下記の条件で実施される。
>手順B2(シングルフェーサ)
・加熱温度120〜200[℃]
・ロール線圧20〜40[kN/m]
・加圧時間0.01〜0.20[秒]、
>手順 B3 (ダブルフェーサ)
・加熱温度120〜200[℃]
・ロール線圧0.1〜1.0[kN/m]
・加圧時間2〜7[秒]
手順B1,B2でライナ原紙と中芯原紙とを貼合する接着剤には通常用いられるワンタンク方式の澱粉糊を使用した。
なお、ライナ原紙と中芯原紙とを貼合には、合成樹脂などのエマルジョンが使用されてもよい。合成樹脂の具体例としては、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリアミド,ポリエステル,エチレン−不飽和カルボン酸共重合体,スチレン−ブタジエン共重合体,ブタジエン−アクリロニトリル共重合体,スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体,ポリ酢酸ビニル,エチレン−酢酸ビニル共重合体,ポリアクリル酸エステル系共重合体,スチレン−アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。
そのほか、手順B1,B2でライナ原紙と中芯原紙とを貼合する方法として、ライナ原紙または中芯原紙に対して押出ラミネートや合成樹脂エマルジョンの塗工などを施すことにより接着剤層を形成してから、ライナ原紙と中芯原紙とを重合する方法や,ライナ原紙および中芯原紙の間に合成樹脂フィルムを介在させてこれらを加圧および加熱して接着する方法が採用されてもよい。
上記の製造工程で作成された両面ダンボールウェブは、下記の手順C1,C2を備える折畳工程で蛇腹折りに折り畳まれる。この折畳工程では下記の折り畳み装置を下記の条件で用いる。
・折り畳み装置:BHS Corrugated Machinery 社製
品番「AS−F」,
・ 搬 送 速 度:100[m/min]
・手順C1:手順B4の後、作成された両面ダンボールウェブを上記の折り畳み装置
へ搬送する(図2の搬送パート50Aを参照)。
・手順C2:手順C1で搬送された両面ダンボールウェブを折目で交互に折り返して
、蛇腹折りに折り畳み、上述した荷姿寸法の蛇腹折りの測定ダンボール
材を作成する(図2のフォールディングパート50B,スタッキングパ
ート50Cを参照)。
スタッキング性の評価では、上記の手順C2で作成された測定ダンボール材の外観を目視で確認し、以下の基準で評価した。
・○:測定ダンボール材が作成可能であり、何れの折目にも隙間〔図3(b)の
符号Sを参照〕が生じていない。
・△:測定ダンボール材が作成可能であるが、一[個]以上の折目に隙間〔図3
(b)の符号Sを参照〕が生じた。
・×:測定ダンボール材が作成できなかった。
スタッキング性の評価では「△」以上を良好な評価とした。
罫割性の評価では、上記の手順C2で作成された測定ダンボール材で折目の箇所に罫割れが生じている否かを目視確認し、確認結果を以下の基準で評価した。「折目の箇所」は、上記のように、折目の周辺を含む領域である。
・○:全ての折目に罫割がみられなかった。
・△:一[個]以上の折目で幅方向の一部分に罫割れが一[個]以上みられた。
・×:一[個]以上の折目で幅方向の全幅にわたり罫割れが一[個]以上みられた。
罫割性の評価では「△」以上を良好な評価とした。
実施例1〜6では弾性率E′が1.00×109[Mpa]以上であって8.00×109[Mpa]以下であり、tanδが2.50×10-2以上であって1.50×10-1以下であり、スタッキング性および罫割性について「△」以上の評価が得られた。
特に、弾性率E′が3.00×109[Mpa]以下であってtanδが7.00×10-2以上である実施例1,2,5,6では、罫割性について「△」の評価だったが、スタッキング性について「〇」の評価が得られた。
また、弾性率E′が4.00×109[Mpa]以上であってtanδが4.00×10-2以下である実施例3,4ではスタッキング性について「△」の評価だったが、罫割性について「〇」の評価が得られた。
一方、弾性率E′が1.00×109[Mpa]未満または8.00×109[Mpa]よりも大きく、tanδが2.50×10-2未満または1.50×10-1よりも大きい比較例7,8では、スタッキング性または罫割性について「×」の評価が得られた。
弾性率E′が8.00×109[Mpa]より大きくtanδが2.50×10-2未満である比較例7では、罫割性について「〇」の評価が得られたがスタッキング性について「×」の評価が得られた。また、弾性率E′が1.00×109[Mpa]未満でtanδが1.50×10-1より大きい比較例8では、スタッキング性について「〇」の評価が得られたが罫割性について「×」の評価が得られた。
比較例7,8に鑑みて実施例1〜6からは、弾性率E′が1.00×109[Mpa]以上であって8.00×109[Mpa]以下であり、tanδが2.50×10-2以上であって1.50×10-1以下であれば、測定ダンボール材を折目で折り返した際に折目における折り返しの開きが抑制されるとともに、折目での罫割れが抑制されると言える。
さらに、実施例1,2,5,6からは、弾性率E′が3.00×109[Mpa]以下であってtanδが7.00×10-2以上であれば、測定ダンボール材を折目で折り返した際に折目での折り返しが開くことを防止できると言える。実施例3,4からは、弾性率E′が4.00×109[Mpa]以上であってtanδが4.00×10-2以下であれば、測定ダンボール材を折目で折り返した際に折目での罫割れを防止できると言える。
比較例7からは、弾性率E′が8.00×109[Mpa]より大きくtanδが2.50×10-2未満であることにより、折目で折り曲げられた際にライナ原紙をなすパルプ繊維が伸びた状態で留まらずに折目を開こうとする反発力が大きくなり、スタッキング性が不良となるものと推測される。
比較例8からは、弾性率E′が1.00×109[Mpa]未満でtanδが1.50×10-1より大きいことにより、ライナ原紙をなすパルプ繊維が伸びた状態で折目Fに折り曲げによる外力が加わり、罫割性が不良になるものと推測される。
そのほか、実施例1〜6よりもフリーネスの値が小さい比較例7と、実施例1〜6よりもフリーネスの値が大きい比較例8とから、フリーネスの値が小さいほど弾性率E′の値が大きくなりtanδの値が小さくなって、フリーネスの値が大きいほど弾性率E′の値が小さい大きくなりtanδの値が大きくなることが見て取れる。
比較例7,8に鑑みて実施例1〜6からはフリーネスの値が350[ml]以上であり500[ml]以下であれば、弾性率E′が1.00×109[Mpa]以上であって8.00×109[Mpa]以下であり、tanδが2.50×10-2以上であって1.50×10-1以下の範囲内に調節されると言える。
互いにフリーネスが共通する実施例1〜6のうち、実施例1とは針葉樹クラフトパルプの割合とライナ原紙の坪量とが異なる実施例3や、実施例1とはライナ原紙の坪量が異なる実施例4からは、針葉樹クラフトパルプの割合やライナ原紙の坪量が大きいほど弾性率E′の値が大きくなりtanδの値が小さくなる傾向があると推測される。
なお、損失弾性率E′′については、実施例1〜6から、1.50×108[Mpa]以上であって2.50×108[Mpa]以下の範囲内であることが好ましいと推測される。
[III.変形例]
上述の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせることもできる。
たとえば、ダンボール材は蛇腹折りされたダンボール材1に限らず、枚葉シート状のダンボール材であってもよい。ダンボール材には、中芯に対して片側にライナが設けられた片面ダンボールが用いられてもよい。ダンボールを蛇腹折りに折り畳む装置は図2に例示した構造に限定されない。どのような構造の折り畳み装置を用いて蛇腹折りされたダンボール材でも上述の課題I,IIが生じ得る。
ダンボール材が製函システム用の資材である場合には、意図的に形成された切れ込みやミシン目などの追加加工が折目に施されていないことが好ましく、ダンボール材におけるライナの表層に設けられる罫線を起点(たとえば罫線を内側)に180[°]折り返される箇所が折目であることが好ましい。一方、ダンボール材が製函システム用以外の資材である場合には、切れ込みやミシン目などの加工が折目に施されていてもよい。
上述した蛇腹折りのダンボール材の用途は、製函システムに適用される製函用資材としての用途に限らない。
蛇腹折りのダンボール材には、従来の枚葉のダンボールシートと異なる、複数のシートが折目を介して連設された構造を活かした様々な活用方法がある。
例えば、蛇腹折りのダンボール材は、シートを展開した状態で、延在する方向の寸法が大きいウェブ状の紙資材として扱うこともできる。
ウェブ状の紙資材として利用方法としては、例えば下記の用途を例に挙げることができる。
災害用品としての利用:窓に貼り付けることで、台風時の窓割れ対策に利用で
きるほか、避難所でのプライバシー保護やストレス軽
減用のパーテーションとしての利用や、緩衝材や冷え
対策用の敷物として利用可能である。
イベント行事での利用:イベントや学校行事の看板等の創作物に利用可能であ
る。
建築/引越資材としての利用:建築現場や引越し現場で一時的にドアや壁、扉などを
守る必要がある場合、対象物に貼り付けるタイプの保
護材(養生材)として活用可能である。対象物に巻き
付けるタイプの保護材(梱包資材)として利用するこ
ともできる。
何れの利用方法においても、複数のシートが折目を介して連設された構造であることで、作業効率向上や、延在する方向の寸法を確保できるという利点がある。
1 ダンボール材
10 段目(波目)
2 シート
20 シート対
21 第一シート
22 第二シート
23 第三シート
50 折り畳み装置
50A 搬送パート
50B フォールディングパート
50C スタッキングパート
F 折目
L 補助線
L1 縦寸法(第一寸法)
L2 横寸法(第二寸法)
L3 高さ寸法(第三寸法)

Claims (3)

  1. 中芯に対してライナを貼合したダンボールを用いており、帯状に連続する前記ダンボールを交互に折り返して積み重ねられた蛇腹折りであるダンボール材であって、
    前記ライナから切り出した測定片を25[℃]の温度条件のもと周波数100[Hz]の振動条件の引張剪断モードで測定された動的粘弾性が所定の範囲内であり、
    前記動的粘弾性は、弾性率E′と、前記弾性率E′に対する損失弾性率E′′の比率であるtanδとの値により規定されており、
    前記所定の範囲は、
    前記弾性率E′が1.00×109[Mpa]以上であって3.00×109[Mpa]以下であり、
    前記tanδが7.00×10-2以上であって1.50×10-1以下であることを特徴とするダンボール材
  2. 前記ライナをなす原紙に用いるパルプのフリーネスが350[ml]以上であって500[ml]以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載のダンボール材。
  3. 前記中芯の両側に対して前記ライナを貼合した両面ダンボールを前記ダンボールとして用いた
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のダンボール材
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