JP2021171951A - ダンボール材およびこれを用いたダンボール箱 - Google Patents

ダンボール材およびこれを用いたダンボール箱 Download PDF

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Shunsuke Shioda
壮 佐藤
So Sato
優作 高杉
Yusaku Takasugi
悠生 川浪
Hisao Kawanami
豪 盤指
Go Banzashi
良樹 小関
Yoshiki Koseki
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Abstract

【課題】蛇腹折りのダンボール材の折目の破損を抑制する。【解決手段】ダンボール材1は、連続する両面ダンボールにおいて矩形状のシート2が第一方向CDに沿って直線状に延在する折目Fのそれぞれにおいて第二方向MDへ折り返され、第三方向TDに沿ってシート2が積み重ねられている。このダンボール材1は、両面ダンボールを構成するライナの坪量が110[g/m2]以上であって290[g/m2]以下である。ライナのパルプ繊維長が0.55[mm]以上であって1.60[mm]以下である。ライナのパルプ繊維の第一方向CDの配向に対する第二方向MDの配向の比率である繊維配向比が1.0以上であって2.0以下である。両面ダンボールを構成する中芯のパルプ繊維長に対するライナ原紙のパルプ繊維長の比率である繊維長比が0.65以上であって1.90以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、蛇腹折りのダンボール材およびこれを用いたダンボール箱に関する。
製函用資材として、蛇腹折り(「ファンフォールド」とも称される)のダンボール材が知られている。ダンボール材には連続する矩形状のシート間に折目が設けられ、この折目でシートが交互に折り返されている。このような蛇腹折りのダンボール材では、連続するシートが上下に積み重ねられ、直方体状の荷姿に折り畳まれている。
上記のダンボール材は、包装対象のサイズに応じて最適な大きさの箱を製造する製函システム(「自動包装システム」や「三辺可変システム」,「三辺自動梱包」,「オンデマンド包装」などとも称される)の包装資材に用いられる。この製函システムでは、以下に例示する各種の工程が実施される(下記の特許文献1を参照)。
・フィード工程:蛇腹折りのダンボール材を繰り出す工程
・ カット工程 :フィード工程で繰り出された平面状のダンボール材を切り出す工程
・フォールド工程:カット工程で切り出されたダンボール材から箱を組み立てる工程
・プリント工程:平面状もしくは組み立てられたダンボール材に印刷を施す工程
・ 荷詰め工程 :組み立てられる箱に内容物を収容する工程
特表2013-513869号公報
しかしながら、蛇腹折りのダンボール材に用いられる性状によっては、折目の破損を招くおそれがある。
本件は、上記の課題に鑑みて創案されたものであり、折目の破損を抑制することを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用および効果であって、従来の技術では得られない作用および効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
ここで開示するダンボール材は、連続する両面ダンボールにおいて矩形状のシートが第一方向に沿って直線状に延在する折目のそれぞれにおいて前記折目の沿う平面で前記第一方向に直交する第二方向へ折り返され、前記第一方向および前記第二方向の双方に直交する第三方向に沿って前記シートが積み重ねられた蛇腹折りのダンボール材である。
本ダンボール材は、前記両面ダンボールを構成するライナの坪量が110[g/m]以上であって290[g/m]以下であり、前記ライナのパルプ繊維長が0.55[mm]以上であって1.60[mm]以下であり、前記ライナにおけるパルプ繊維の前記第一方向の配向に対する前記第二方向の配向の比率である繊維配向比が1.0以上であって2.0以下であり、前記両面ダンボールを構成する中芯のパルプ繊維長に対する前記ライナの前記パルプ繊維長の比率である繊維長比が0.65以上であって1.90以下である。
本件によれば、折目の破損を抑制できる。
蛇腹折りのダンボール材を示す斜視図である。 蛇腹折りのダンボール材に用いられたシートにおける段目の一例を示す模式図である。
以下、実施形態としてのダンボール材およびダンボール箱を説明する。
本実施形態のダンボール材は、連続するダンボールにおいて矩形状のシートが折り畳まれた蛇腹折りの製函用資材である。このダンボール材には、中芯に対して両側にライナが設けられた両面ダンボールが用いられる。
上記の両面ダンボールには、一つの中芯および二つのライナのそれぞれに対応する三つの原紙(資材)から構成されたシングルフルートのダンボールのほか、いわゆる「複両面ダンボール」や「複々両面ダンボール」のように二つ以上の中芯ならびに二つのライナおよび一つ以上の中ライナのそれぞれに対応する五つ以上の原紙から構成されたマルチフルートのダンボールも含まれる。本実施形態では、シングルフルートの両面ダンボールからなるダンボール材を主に例示する。
ダンボール材が製函されると、ダンボール箱となる。詳細に言えば、製函システムの製函用資材に用いられたダンボール材は、シートが順繰りに送り出されるフィード工程,送り出されたシートが箱の展開パターンに切り抜かれるカット工程,箱の形状に折り立てられるフォールド工程といった種々の工程を経てダンボール箱に製函される。なお、ダンボール箱を組み立てる製函システムは、特に制限されないが、たとえば自動包装システムの全自動システム(フルオート機)である「CMC社製のCarton Wrap XL」,「CMC社製のカートンラップ1000」,「Neopost社製のCVP−500」,「オーエスマシーナリー社製のTXP−600」や、半自動システム(セミオート機)の「Pack Size社製のEM7」,「Panotec社製のCompack」,「HOMAG社製のPAQTEQ C−200」,「HOMAG社製のPAQTEQ C−250」を用いることができる。
本実施形態では、下記の方向I,IIが以下の表1に示すように対応する例を挙げ、ダンボール材は水平面に載置されたものとする。
・方向 I :水平面に載置されたダンボール材における方向
・方向II:ダンボール材を製造する途中の半製品における方向
Figure 2021171951
縦方向(第一方向,図中には「CD」と記す)および横方向(第二方向,図中には「MD」と記す)は水平に沿う方向であり、シート(折目)の沿う平面が延在する方向である。これらの縦方向と横方向とは互いに直交する。高さ方向(第三方向,図中には「TD」と記す)は、鉛直方向に沿う方向であり、縦方向および横方向の双方に直交する。この高さ方向は、シートが重ね合わせられる方向に対応する。
MD(Machine Direction)方向は、「流れ方向」とも称され、ダンボール材の製造過程が上流から下流へ進捗する方向である。CD(Cross Direction)方向は、MD方向の沿う平面においてMD方向に直交する方向である。TD(Transverse Direction)方向は、MD方向およびCD方向の双方に直交する方向である。
そのほか、特に断らない限り、本実施形態の「数値X〜数値Y」なる表現は、数値X以上であって数値Y以下の範囲を意味する。
[I.一実施形態]
下記の一実施形態では、ダンボール材の構成を項目[1]および[2]で述べる。項目[1]では、ダンボール材が折り畳まれた構造(以下「折畳構造」と称する)を説明する。項目[2]では、ダンボール材に用いられる性状に関するパラメータを説明する。
そして、項目[1]および[2]の構成による作用および効果を項目[3]で述べる。
[1.折畳構造]
図1に示すように、ダンボール材1は、直方体状をなす製函用資材である。
ダンボール材1では、連続する矩形状のシート2(図1では一部のみに符合を付す)が折目F(図1では一部のみに符合を付す)で折り返され、折り返されたシート2が高さ方向に積み重ねられている。
このように折り畳まれたダンボール材1には、縦方向および高さ方向の双方に沿う一対の側面に、複数の折目Fが縦方向に沿って直線状に延在する。
ここで、連続する三つのシート2(図1では二点鎖線で示す)に着目して、ダンボール材1の折畳構造を説明する。
・第一シート21:第二シート22の一側に連続するシート2
・第二シート22:第一シート21と第三シート23との双方に連続するシート2
・第三シート23:第二シート22の他側に連続するシート2
第一シート21と第二シート22との間に第一折目F1が設けられ、第一折目F1を介してシート21,22が連続している。第二シート22と第三シート23との間に第二折目F2が設けられ、第二折目F2を介してシート22,23が連続している。
第一折目F1は、第一シート21に対して横方向の一方(図1では右方)へ向けて第二シート22が折り返される折目Fであり、ダンボール材1における横方向の他方(図1では左方)に配置される。第二折目F2は、第二シート22に対して横方向の他方(図1では左方)へ向けて第三シート23が折り返される折目Fであり、ダンボール材1における横方向の一方(図1では右方)に配置される。
第一シート21では、横方向(折目Fと交差する方向)に延在する第一端縁E1(図1には手前側の端縁のみに符号を付す)にダンボールの段目10(波目)が露出する。同様に、第二シート22には、横方向(折目Fと交差する方向)に延在する第二端縁E2(図1には手前側の端縁のみに符号を付す)にダンボールの段目10が露出する。
第一シート21および第二シート22からなるシート対20では、第一端縁E1と第二端縁E2とが高さ方向に隣り合って配置される。
上記の折畳構造を有するダンボール材1によれば、ロール状に巻回することの困難な資材であっても直方体状に折り畳むことができる。すなわち、ロール状に巻回可能な資材よりも高い強度をもつダンボールのシート2をコンパクトな荷姿にすることができる。このように強度の確保されたシート2が折り畳まれたダンボール材1は、強度の要求される箱を製造する製函システムの包装資材に用いて好適である。
そのほか、折目Fは、ダンボールの段目10に沿って設けられている。言い換えれば、MD方向に対して垂直な段目10のダンボール材1が製造される。
なお、ダンボール材1は、汚損や荷崩れを防ぐために、包装用のフィルムで被包(包装)されることが好ましい。
[2.パラメータ]
以下、ダンボール材1のパラメータを説明する。
まず、ダンボール材1のサイズや段数などの基本的なパラメータを述べる。その後に、ダンボール材1の性状に関するパラメータを詳述する。
[2−1.基本的なパラメータ]
ダンボール材1のサイズは、下記の寸法L1〜L3から定まる。
・ 縦寸法L1 :縦方向の寸法(第一寸法)
・ 横寸法L2 :横方向の寸法(第二寸法)
・高さ寸法L3:高さ方向の寸法(第三寸法)
上記の寸法L1〜L3は、小さいほど製造される箱のサイズや形状の制約が大きくなるおそれがあり、大きいほど運搬や納入といった作業性が低下するおそれがある。これらの観点より、寸法L1〜L3は、下記の表2に示す範囲であることが好ましい。
Figure 2021171951
そのほか、ダンボール材1における折目Fの本数をN[本]とおけば、シート2の枚数はN+1[枚]である。この場合には、N+1[段]のシート2がダンボール材1において重ね合わせられている。
たとえば、ダンボール材1の段数としては、たとえば10〜1000[段]のさまざまな段数が挙げられる。詳細を後述する折り畳みに関するパラメータが測定される対象のダンボール材については、所定の段数(たとえば100[段])未満の測定対象については、全段のそれぞれにおいてパラメータを測定するのが好ましい。一方、所定の段数(たとえば100[段])以上の測定対象については、部分的(たとえばパートに分けた部分や設定された領域)にパラメータが測定してもよい。
なお、ダンボール材1に用いられるシート2には、任意の坪量を設定することができる。シート2に採用される坪量の範囲としては、50〜1500[g/m2]の範囲が挙げられ、好ましくは100〜1000[g/m2]の範囲が挙げられ、より好ましくは200〜800[g/m2]の範囲が挙げられ、さらに好ましくは200〜600[g/m2]の範囲が挙げられる。
上記の坪量に中芯の段繰率を加味し、縦寸法L1および横寸法L2とシート2の段数N+1とを乗算すれば、ダンボール材1の重量が算出される。
[2−2.性状に関するパラメータ]
本実施形態は、製函システムの資材に用いられた場合に良好な箱を製造することができるようにする観点に立脚して、ダンボール材1の性状に関する構成を備えている。具体的には、以下に列挙する観点I〜Vの少なくとも何れかの観点に立脚して、ダンボール材1の性状に関する所定の構成を備えている。
・観点 I :製函性を確保すること
・観点 II :箱に組み立てるときに折り曲げられた箇所の破断を抑制すること
・観点III:印刷が施された場合の適性を確保すること
・観点 IV :折目Fの破損を抑えること
・観点 V :ライナの剥がれを抑えること
上記の観点I〜Vは、共通の序数I〜Vが記された下記の課題I〜Vを解決するための観点である。
・課題 I :製函性が不十分であること
・課題 II :箱に組み立てるときに折り曲げられた箇所が破断しやいすいこと
・課題III:印刷が施された場合の適性が不十分であること
・課題 IV :折目Fの破損を招きやすいこと
・課題 V :ライナの剥がれを招きやすいこと
上記の観点I〜V,課題I〜Vに対応する所定の構成には、以下に示す構成a〜eの少なくとも一つが含まれる。
・構成a:下記の構成1および2
>構成1:厚み寸法が所定の寸法範囲であること
>構成2:平面圧縮強さが所定の圧縮強さ範囲であること
・構成b:下記の構成2および3
>構成2:上記の構成2
>構成3:段繰率が所定の倍率範囲であること
・構成c:角度比が所定の比率範囲であること
・構成d:下記の構成4〜7
>構成4:ライナの坪量が所定の坪量範囲であること
>構成5:ライナのパルプ繊維長が所定の繊維長範囲であること
>構成6:ライナの繊維配向比が所定の配向比範囲であること
>構成7:繊維長比が所定の繊維長比範囲であること
・構成e:接着力が所定の力範囲であること
<構成a>
構成aは、上述のように、「厚み寸法が所定の寸法範囲である構成1」と「平面圧縮強さが所定の圧縮強さ範囲である構成2」とを備えている。
構成aの「厚み寸法」とは、一枚あたりのシート2の厚さを表すパラメータである。構成aの「平面圧縮強さ」は、シート2を厚み方向(高さ方向,TD方向)に圧縮したときの強さであり、ダンボール材1のシートのつぶれにくさに対応するパラメータである。
本願の発明者らは、シート2の厚み寸法が所定の寸法範囲であって平面圧縮強さが所定の圧縮強さ範囲であれば、上述の課題I,IIが抑えられる傾向にあるとの知見を得た。逆に言えば、構成aの範囲外にある厚み寸法や平面圧縮強さのシート2は、課題I,IIが生じやすい傾向にあることを見出した。
つまり、シート2には、上述の観点I,IIに立脚して構成aが備えられている。
厚み寸法が所定の寸法範囲を上回っていれば、シート2が製函用の罫線で折り曲げられる際にライナ2a,2bが伸びきれずに破断し、課題IIを招くものと推察される。一方、厚み寸法が所定の寸法範囲を下回っていれば、シート2の強度が不十分であり、製函用の罫線以外の箇所で折り曲げられて、課題Iを招くものと推察される。平面圧縮強さが所定の圧縮強さ範囲を下回っている際にも、シート2の強度が不十分であり、製函用の罫線以外の箇所で折り曲げられて、課題Iを招くものと推察される。
また、平面圧縮強さが所定の圧縮強さ範囲を上回っていれば、製函用の罫線が形成されにくく、課題Iを招くものと推察される。
構成aの「所定の寸法範囲」は、2.0[mm]以上であって9.6[mm]以下であり、3.0[mm]以上であって8.0[mm]以下であることが好ましく、4.0[mm]以上であって7.0[mm]以下であることがより好ましい。
また、構成aの「所定の圧縮強さ範囲」は、50[kPa]以上であって250[kPa]以下であり、80[kPa]以上であって220[kPa]以下であることが好ましく、110[kPa]以上であって190[kPa]以下であることがより好ましい。
<構成b>
構成bは、構成aと同様の「平面圧縮強さが所定の圧縮強さ範囲である構成2」と、上述の「段繰率が所定の倍率範囲である構成3」とを備えている。
構成bの「段繰率」とは、中芯のライナに対するMD方向(横方向)の長さ寸法の倍率を表すパラメータである。
本願の発明者らは、シート2の平面圧縮強さが所定の圧縮強さ範囲であって段繰率が所定の倍率範囲であれば、上述の課題Iが抑えられる傾向にあるとの知見を得た。逆に言えば、構成bの範囲外にある平面圧縮強さや段繰率のシート2は、課題Iが生じやすい傾向にあることを見出した。
つまり、シート2には、上述の観点Iに立脚して構成bが備えられている。
平面圧縮強さが所定の圧縮強さ範囲を下回っていれば、上述したように、シート2の強度が不十分であることにより、課題Iを招くものと推察される。一方、平面圧縮強さが所定の圧縮強さ範囲を上回っていれば、製函用の罫線が形成されにくく、課題Iを招くものと推察される。
同様に、段繰率が上記の所定倍率を下回っていれば、シート2の強度が不十分であることにより、課題Iを招くものと推察される。一方、段繰率が上記の所定倍率を上回っていれば、製函用の罫線が形成されにくく、課題Iを招くものと推察される。
構成bの「所定の圧縮強さ範囲」は、構成aの「所定の圧縮強さ範囲」と同様に、50[kPa]以上であって250[kPa]以下であり、80[kPa]以上であって220[kPa]以下であることが好ましく、110[kPa]以上であって190[kPa]以下であることがより好ましい。
構成bの「所定の倍率範囲」は、1.2[倍]以上であって1.7[倍]以下であり、1.35[倍]以上であって1.6[倍]以下であることが好ましく、1.45[倍]以上であって1.55[倍]以下であることがより好ましい。
なお、ここでいう段繰率の倍率範囲は、シート2がシングルフルートの場合だけでなく、シート2がダブルフルートの場合であっても適用することができる。具体的に言えば、ダブルフルートの何れの中芯の段繰率とも、1.2[倍]以上であって1.7[倍]以下であり、1.35[倍]以上であって1.6[倍]以下であることが好ましく、1.45[倍]以上であって1.55[倍]以下であることがより好ましい。ここでいうダブルフルートの段繰率とは、各段(ダブルフルートにおいて一方および他方のそれぞれのフルートに対応する段)について算出された段繰率である。
<構成c>
構成cは、上述のように「角度比が所定の比率範囲である構成」を備えている。
構成cの「角度比」とは、ダンボール材1のシート2における段目10の傾き度合いに対応するパラメータである。
以下、シート2の要部を拡大して示す図2を参照して、角度比について説明する。なお、シート2の段目10がやや傾いた状態を図2に例示している。
シート2は、表裏のライナ2a,2bと中芯2cとが接着された構造をなしている。中芯2cは、段目10を構成し、ライナ2a,2bどうしの間で波形構造を形成している。
この中芯2cは、理想的な形状であれば、横方向および高さ方向に沿う断面(すなわち段目10)の形状が正弦波状をなす。一方、実際のシート2では、理想的な形状に対して中芯2cのなす段目10が傾いている場合もありうる。このような傾きの度合いを表すのが角度比である。
この角度比は、中芯2cと補助線Lとが交差する角度θ1,θ2(交差角度)に基づいて算出される比率である。
補助線Lは、ライナ2a,2bと平行な方向(すなわち横方向〈MD方向〉)であってライナ2a,2bどうしの中央(すなわち高さ方向〈TD方向〉の真ん中)を通る仮想的な線として設定される。
角度θ1,θ2は、上記の補助線Lに対して中芯2cが交差する箇所のうち、隣り合う二点P1,P2における交差角度のうち鋭角の角度である。
そして、二つの角度θ1,θ2どうしの差の絶対値を二つの角度θ1,θ2の和で除した比率が角度比である。この角度比は、下記の式cで表される。
角度比=|θ1−θ2|/(θ1+θ2)・・・式c
このように規定される角度比は、理想的な段目10であれば、0(ゼロ)であり、段目10が偏倚するほど大きな値となる。
本願の発明者らは、シート2の角度比が所定の比率範囲であれば、上述の課題IIIが抑えられる傾向にあるとの知見を得た。逆に言えば、構成cの範囲外にある角度比のシート2は、課題IIIが生じやすい傾向にあることを見出した。
つまり、シート2には、上述の観点IIIに立脚して構成cが備えられている。
角度比が所定の比率範囲を上回っていれば、シート2における段目10の高さが不揃いになりやすく、課題IIIを招くものと推察される。
構成cの「所定の比率範囲」は、0.30以下であり、0.15以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。
<構成d>
構成dは、ダンボール材1の両面ダンボールを構成するライナに関し、上述のように構成4〜構成7を兼ね備えている。構成4〜7で各パラメータが特定されるライナは、表ライナ,裏ライナを含み、ダンボール材1に用いられるシート2を構成するライナとも言える。
構成4の「坪量」は、ライナの面積1[m2]あたりの重さ[g]を表すパラメータである。
構成5の「パルプ繊維長」は、ライナを構成するパルプ繊維の長さである。以下、ライナを構成するパルプ繊維を「ライナ繊維」と称し、ライナ繊維の長さを「ライナ繊維長」と称する。
構成6の「繊維配向比」は、ライナ繊維の縦方向の配向に対する横方向の配向の比率(MD/CD)である。
構成7の「繊維長比」は、ダンボール材1の両面ダンボールを構成する中芯のパルプ繊維長に対するライナ繊維長の比率(ライナ/中芯)である。以下、中芯のパルプ繊維を「中芯繊維」と称し、中芯繊維の長さを「中芯繊維長」と称する。
構成5,7に関し、ライナ繊維長が絶対的な長さであるのに対して、繊維長比は中芯繊維長に対するライナ繊維長の相対的な長さである。
本願の発明者らは、構成4〜7の全てを兼ね備えたダンボール材1によれば、上述の課題IVが有効に抑えられる傾向にあるとの知見を得た。逆に言えば、構成4〜7の何れか一つでも備えていないダンボール材1では、課題IVが生じやすい傾向にあることを見出した。
つまり、上述の観点IVに立脚してダンボール材1に構成4〜7の構成dが備えられている。
――構成4――
構成4に関するライナの坪量が小さいほど、ライナの強度が低下する傾向にある。この傾向からは、ライナの坪量が所定の下限坪量よりも小さいと、ライナの全体的な強度が不足することによって課題IVを招くものと推測される。
一方、構成4に関するライナの坪量は、大きいほどライナの強度が高まる傾向にあるだけでなく、ライナの厚み(「嵩」や「紙厚」とも称される)が大きくなる傾向もある。この傾向からは、ライナの坪量が所定の上限坪量よりも大きいと、ダンボール材1における折目Fの折り返しによる応力がライナに集中しやすくなることによって課題IVを招くものと推測される。
そのため、構成4の「所定の坪量範囲」は、所定の下限坪量以上であって所定の上限坪量以下に設定されている。所定の下限坪量は、110[g/m]であり、115[g/m]であることが好ましく、140[g/m]であることがより好ましい。所定の上限坪量は、290[g/m]以下であり、240[g/m]であることが好ましく、180[g/m]であることがより好ましい。
――構成5――
構成5に関するライナ繊維長が短いほど、ライナ繊維どうしの絡まり度合いが低く、ライナの全体的な強度が低下する傾向にある。この傾向からは、ライナ繊維長が所定の下限繊維長よりも小さいと、ライナの強度が不足することによって課題IVを招くものと推測される。
一方、構成5に関するライナ繊維長が長いほど、ライナの全体的な強度は向上するものの、ライナの表面の凹凸が大きくなる傾向がある。この傾向からは、ライナ繊維長が所定の上限繊維長よりも大きいと、ライナの表面に大きな凹凸が形成され、ダンボール材1に要求される仕様や品質を満たすことができない(ダンボール材1に適さない)おそれがある。
さらに、構成5に関するライナ繊維長が長いほど、ライナ繊維どうしの絡まり度合いが高くなってライナの全体的な強度が高まる傾向があることから、折目Fでの折り返しに対する抗力や折目Fでライナを折り返すのに要する外力も大きくなる傾向もある。この傾向からは、ライナ繊維長が所定の上限繊維長よりも大きいと、折目Fやその周辺箇所においてライナに応力が集中することにより、課題IVを招くものと推測される。
そのため、構成5の「所定の繊維長範囲」は、所定の下限繊維長以上であって所定の上限繊維長以下に設定されている。所定の下限繊維長は、0.55[mm]であり、0.70[mm]であることが好ましく、0.90[mm]であることがより好ましい。所定の上限繊維長は、1.60[mm]であり、1.45[mm]であることが好ましく、1.30[mm]であることがより好ましい。
上記のようにライナ繊維長が所定の繊維長範囲であることでライナの全体的な強度が確保されたとしても、横方向へのライナ繊維の配向が小さいほど、ライナの横方向の強度が低下する傾向にある。そのため、つぎに説明する繊維配向比が所定の配向比範囲が特定されている。
――構成6――
構成6に関する繊維配向比が小さいほど、折目Fに沿うライナ繊維の配向が強くなることから、折目Fの割れや避けといった課題IVを招く傾向にある。この傾向からは、繊維配向比が所定の下限配向比よりも小さいと、折目Fに沿うライナ繊維の配向によって課題IVを招くものと推測される。
一方、構成6に関する繊維配向比が大きいほど、折目Fに交差するライナ繊維の配向が強くなることから、折目Fでの折り返しに対する抗力が大きくなる傾向にあり、折目Fでライナを折り返すのに要する外力も大きくなる傾向もある。この傾向からは、繊維配向比が所定の上限配向比よりも大きいと、折目Fやその周辺箇所においてライナに応力が集中することにより、課題IVを招くものと推測される。
更に言えば、繊維配向比が所定の上限配向比よりも大きいと、縦方向の引っ張り荷重に対して裂けや割れといった破損を招きやすい傾向にあり、ライナに要求される基本的な強度の等方性を確保することができない(強度の異方性によってダンボール材1に適さない)おそれがある。
そのため、構成6の「所定の配向比範囲」は、所定の下限配向比以上であって所定の上限配向比以下に設定されている。所定の下限配向比は、1.0であり、1.2であることが好ましく、1.3であることがより好ましい。所定の上限配向比は、2.0であり、1.8であることが好ましく、1.7以下であることがより好ましい。
――構成7――
構成7に関する繊維長比が小さいほど、ライナの強度が中芯の強度に対して相対的に低下する傾向がある。このような強度の不釣合いの傾向からは、繊維長比が所定の下限比よりも小さいと、折目Fの成形性が低下するものと推測され、課題IVを招く一因になりうるものとも推測される。
一方、構成7に関する繊維長比が大きいほど、ライナの強度が中芯の強度に対して相対的に大きくなる傾向にあることから、折目Fでの折り返しに対する抗力が大きくなる傾向にあり、折目Fにおいてライナを折り返すのに要する外力も大きくなる傾向もある。この傾向からは、繊維配向比が所定の上限比よりも大きいと、折目Fやその周辺箇所においてライナに応力が集中することにより、課題IVを招くものと推測される。
そのほか、繊維長比が所定の上限比よりも大きいと、ライナの表面に大きな凹凸が形成され、ダンボール材1に要求される仕様や品質を満たすことができない(ダンボール材1に適さない)おそれがある。
そのため、構成7の「所定の繊維長比範囲」は、所定の下限比以上であって所定の上限比以下に設定されている。所定の下限比は、0.65であり、0.80であることが好ましく、0.90であることがより好ましい。所定の上限比は、1.90であり、1.60であることが好ましく、1.40であることがより好ましい。
<構成e>
構成eは、上述のように「接着力が所定の力範囲である構成」を備えている。
構成eの「接着力」とは、シート2の中芯2cとライナ2a,2bとを接着する強さに対応するパラメータである。
なお、ここでいう「接着力」は、中芯2cと表ライナ2aとの接着力(グルーマシン側の接着力)と、中芯2cと裏ライナ2bとの接着力(シングルフェーサ側の接着力)との平均値を意味する。
本願の発明者らは、シート2の接着力が所定の力範囲であれば、上述の課題Vが抑えられる傾向にあるとの知見を得た。逆に言えば、構成eの範囲外にある接着力のシート2は、課題Vが生じやすい傾向にあることを見出した。
つまり、シート2には、上述の観点Vに立脚して構成eが備えられている。
接着力が所定の力範囲を下回っていれば、ダンボール材1が箱に製造されるときにライナ2a,2bが中芯2cから剥がれやすくなり、課題Vを招くものと推察される。
構成eの「所定の力範囲」は、140[N]以上であり、190[N]以上であることが好ましく、220[N]以上であることがより好ましい。
[3.作用および効果]
本実施形態のダンボール材1は、上述の構成a〜eの少なくとも何れか一つを備えることにより、製函用資材に用いられた場合に良好な状態の箱の製造することができる。
構成aによれば、シート2の厚み寸法が所定の寸法範囲であって平面圧縮強さが所定の圧縮強さ範囲であることから、測定ダンボール材1の製函性を確保することができ、箱に組み立てるときに折り曲げられた箇所の破断を抑制することができる。
構成bによれば、シート2の平面圧縮強さが所定の圧縮強さ範囲であって段繰率が所定の倍率範囲であることから、測定ダンボール材1の製函性を確保することができる。
構成cによれば、シート2の角度比が所定の比率範囲であることから、測定ダンボール材1に印刷が施された場合の適性を確保することができる。
構成dによれば、上記の構成4〜7兼ね備えていることから、折目Fの破損を抑制できる。
構成eによれば、シート2の接着力が所定の力範囲であることから、測定ダンボール材1から組み立てられた箱のライナ2a,2bが剥がれるのを抑えることができる。
[II.実施例]
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
本項目[II]では、構成a〜eの実施例および比較例に共通する事項を項目[1]で述べ、構成a〜eのそれぞれに対応する実施例および比較例を項目[2]で述べる。さらに、構成a〜eのうち三つの構成を組み合わせた実施例を項目[3]で述べる。
[1.共通事項]
構成a〜eの実施例および比較例において、パラメータの測定される対象となるダンボール材(以下「測定ダンボール材」と称する)に共通する構成を説明する。
――測定対象――
測定ダンボール材は、両面ダンボールのシートである。
この測定ダンボール材は、下記のサイズである。
・ サ イ ズ :縦寸法1300[mm],
横寸法1150[mm],
高さ寸法1800[mm]
――前処理――
パラメータの測定対象である測定ダンボール材またはその一部は、JIS Z0203:2000に準拠して温度23[℃]および湿度50[%]の温湿度条件で24時間以上の前処理が施された常態としたうえで、各パラメータを測定した。
そのほか、ライナ原紙と中芯原紙とを貼合する段ボール用接着剤には、通常用いられるワンタンク方式の澱粉糊を使用した。また、測定ダンボール材は、段繰りロールを有するコルゲータを用いて製造した。
――評価――
つぎの項目[2]で詳細を後述する実施例および比較例のそれぞれは、「◎」,「○」,「△」,「×」の四段階で評価した。
[2.構成a〜e]
<構成a>
――測定対象――
構成aに関する実施例a1〜a6および比較例a7〜a14に用いる測定ダンボール材は、以下に列挙するように、五種の段山数のうち何れか一つの段山数に設定された段繰りロールにて製造した。
・段山数34[山/30cm]:実施例a1〜a6,比較例a7〜a9
・段山数38[山/30cm]:比較例a14
・段山数40[山/30cm]:比較例a12,a13
・段山数46[山/30cm]:比較例a10
・段山数50[山/30cm]:比較例a11
なお、「段山数」とは、シートにおいて30[cm]あたりの山(段)の数に対応し、段目の波長で30[cm]を除算した数値に対応する。
以下、実施例a1〜a6および比較例a7〜a14に関して、フルートの種別,段繰りロールの段高,原紙の坪量を述べる。
実施例a1〜a6,比較例a7〜a14には、以下に示すようにシングルフルートおよびダブルフルートの何れか一方を採用した。
・シングルフルート:実施例a1〜a3,a5,a6および比較例a8〜a14
・ ダブルフルート :実施例a4および比較例a7
実施例a1〜a6,比較例a7〜a14は、以下に列挙するように、五種の段高のうち何れか一つの段高に設定された段繰りロールにて製造した。なお、「段高」とは、測定ダンボール材のシートにおける段の高さに対応し、段目の振幅に対応する寸法である。
・段高0.5[mm]:比較例a9
・段高1.5[mm]:実施例a1
・段高2.5[mm]:比較例a10,a11
・段高3.1[mm]:実施例a2
・段高3.4[mm]:比較例a12,a13
・段高3.5[mm]:比較例a14
・段高4.5[mm]:実施例a3〜a6,比較例a8
・段高4.7[mm]:比較例a7
実施例a1〜a6,比較例a7〜a9では、以下に示す共通のライナ原紙を用いた。
・ライナ原紙:160[g/m2]〔MC160:王子マテリア株式会社製〕
比較例a10〜a14では、特許公報6213364号の製造方法にしたがって作製したさまざまな坪量のライナ原紙を使用した。具体的には、以下に示す三種の坪量のうち何れか一つの坪量を採用した。ここで列挙する坪量は、測定ダンボール材の資材(原材料)をなす原紙の坪量である。
・(ライナ原紙の)坪量120[g/m2]:比較例a14
・(ライナ原紙の)坪量170[g/m2]:比較例a10,a12
・(ライナ原紙の)坪量200[g/m2]:比較例a11,a13
一方、実施例a1〜a6,比較例a7〜a14では、特開2018−162526号公の製造方法にしたがって作製したさまざまな坪量の中芯原紙を使用した。具体的には、実施例a1〜a6,比較例a7〜a14のそれぞれに、以下に示す七種の坪量のうち何れか一つの坪量を採用した。
・(中芯原紙の)坪量 60[g/m2]:比較例a8
・(中芯原紙の)坪量 80[g/m2]:実施例a6
・(中芯原紙の)坪量120[g/m2]:比較例a10,a14
・(中芯原紙の)坪量150[g/m2]:比較例a11
・(中芯原紙の)坪量170[g/m2]:実施例a5,比較例a12,a13
・(中芯原紙の)坪量250[g/m2]:実施例a1〜a4,比較例a9
・(中芯原紙の)坪量320[g/m2]:比較例a7
測定ダンボール材のシートの資材をなす原紙(ライナ原紙,中芯原紙)の坪量は、下記の手順xa〜xdで測定した。
・手順xa:JIS Z0203:2000に準拠して坪量を測定する原紙を前処理
する。
・手順xb:250[mm]×400[mm]サイズに原紙を切り出す。
・手順xc:手順xbで切り出された原紙の重量を電子天秤で測定する。
・手順xd:手順xcで測定された重量を単位平方メートルあたりの重量[g/m2
]に換算する。
なお、測定ダンボール材のシートをなすライナ(原紙)の坪量は、下記の手順ya〜yfで測定される。
・手順ya:測定ダンボール材のシートを水道水に15[分]間浸漬する。
・手順yb:手順yaで浸漬されたシートのライナと中芯と手で引き剥がす。
・手順yc:手順ybで引き剥がしたライナを105[℃]の乾燥機で20[分]間
乾燥する。
・手順yd:手順ycで乾燥されたライナを250[mm]×400[mm]サイズ
に切り出す。
・手順ye:手順ydで切り出されたライナの重量を電子天秤で測定する。
・手順yf:手順yeで測定された重量を単位平方メートルあたりの重量[g/m2
]に換算する。
また、測定ダンボール材のシートをなす中芯(原紙)の坪量は、下記の手順za〜zgで測定される。
・手順za:測定ダンボール材のシートを水道水に15[分]間浸漬する。
・手順zb:手順zaで浸漬されたシートのライナと中芯と手で引き剥がす。
・手順zc:手順zbで引き剥がしたライナを105[℃]の乾燥機で20[分]間
乾燥する。
・手順zd:JIS Z0203:2000に準拠して坪量を測定するライナを前処
理する。
・手順ze:250[mm]×400[mm]サイズにライナを切り出す。なお、波
形構造が残す場合は、波を引き延ばしておさえながら本サイズに切り出
す。
・手順zf:手順zeで切り出されたライナの重量を電子天秤で測定する。
・手順zg:手順zfで測定された重量を単位平方メートルあたりの重量[g/m2
]に換算する。
そのほか、測定される測定ダンボール材のシートをなすライナや中芯の坪量は、測定ダンボール材の資材をなす原紙の坪量に対して、同じ原紙を測定対象にする場合であっても坪量の測定値が±10[%]程度は変動しうる。
上記の測定ダンボール材について、下記の表3,表4に示す厚み寸法,平面圧縮強さが測定された。
Figure 2021171951
Figure 2021171951
「厚み寸法」は、測定ダンボール材における一枚あたりのシートの厚さに対応するパラメータである。この厚み寸法は、下記の手順aa〜adで測定した。
・手順aa:測定ダンボール材の全段数のうち半分の段数(すなわち真ん中の段)を
基準に上下五段分のシートを採取する。具体的には、測定ダンボール材
の全段数Mが奇数の場合、測定ダンボール材の全段数のうち半分の段数
M/2を四捨五入した段(すなわち真ん中の段)を基準に上下五段分の
シートを採取する。測定ダンボール材の全段数Mが偶数の場合、測定ダ
ンボール材の全段数のうち半分の段数[(M/2)+1]を基準に上下五
段分のシートを採取した。なお、試験片を採取するときに、段が潰れな
いように注意した。
・手順ab:手順aaで採取された十枚のシートから5[cm]×5[cm]サイズ
の正方形に試験片を切り出す。
・手順ac:手順abで切り出された試験片の厚みを下記の準拠規格,測定機器,測
定条件で測定する。
>準拠規格:段ボール業界規格T0004:2000
>測定機器:厚み計(ミツトヨラチェット製,型番K470101K)
>測定条件:プランジャの直径16[mm],荷重3923[mN]
・手順ad:手順acで測定された厚みから、測定結果の精度を低下させる外乱(要
因)となりうる数値(いわば大きく外れた数値)を除外して、平均値を
とったものを厚み寸法とした。
なお、手順adの「外乱となりうる数値の除外」では、手順acで測定された各数値を母集団としたときに、その母集団の標準偏差が±3σから外れる数値が排除される。
「平面圧縮強さ」は、測定ダンボール材のシートのつぶれにくさに対応するパラメータである。この平面圧縮強さは、下記の手順aA〜aDで測定した。
・手順aA:手順aaと同様に、測定ダンボール材の全段数のうち半分の段数を基準
に上下五段分のシートを採取する。
・手順aB:手順aAで採取された十枚のシートから直径6.4[cm]の円形の試
験片を切り出す。
・手順aC:手順aBで切り出された試験片の平面圧縮強さを下記の準拠規格,測定
機器,試験速度・平行度の測定条件で測定する。なお、平行度とは、平
面圧縮用の冶具の上下の平行度合いを表す。
>準拠規格:JIS Z 0403−1:1999
>測定機器:平面圧縮用の冶具(テスター産業株式会社製)を取り付けた圧縮
試験機(株式会社エー・アンド・デイ製,RTF1350)
>試験速度(測定条件):12.5±2.5[m/min]
>平行度(測定条件):圧縮寸法の1/1000以下
・手順aD:上記の手順adと同様に、手順aCで測定された平面圧縮強さから、測
定結果の精度を低下させる外乱(要因)となりうる数値を除外して、平
均値をとったものを平面圧縮強さとした。
――評価――
上記のようにして厚み寸法,平面圧縮強さのそれぞれが測定された実施例a1〜a6および比較例a7〜a14について、つぎに説明する製函性,罫割れのそれぞれを評価した。
「製函性」は、測定ダンボール材の折目を跨ぐカット線で切り出されたダンボール片(以下「評価ダンボール片」と称する)が手組み(手作り)にて組み立てられた箱の精度の良否に対応する評価基準である。手組みの方法として、カットされた段ボール片の所定の罫線の箇所で折りたたみ、ホットメルト接着剤にて貼着し、製函した。
なお、製函システムによって評価ダンボール片を組み立てる手法は、手組みであっても製函システムによる組み立てであっても同様である。そのため、手組みによって組み立てられた評価ダンボール片の製函性には、製函システムで組み立てられた評価ダンボール片との製函性と相関があるものと言える。
「評価ダンボール片」は、測定ダンボール材が下記の形状・サイズにサンプルカッター(株式会社ミマキエンジニアリング社製,CF2−1218)で下記の枚数が打ち抜かれた試験片である。
・形 状:A式段ボール箱が展開されたパターン
・サイズ:A式段ボール箱の側板の幅寸法356[mm],
A式段ボール箱の端板の幅寸法159[mm],
A式段ボール箱の高さ寸法256[mm]
・枚 数:100[枚]
上記の評価ダンボール片は、下記の基準で評価した。
・◎:全て(100[枚])の評価ダンボール片において製函性が良好である。
・○:100[枚]の評価ダンボール片のうち1〜2[枚]の製函性が不良である。
・△:100[枚]の評価ダンボール片のうち3[枚]の製函性が不良である。
・×:100[枚]の評価ダンボール片のうち4[枚]以上の製函性が不良である。
なお、製函性に関して「○」の評価が得られた実施例a4では、2[枚]の製函性が不良であった。
ここでいう「製函性が良好」とは、評価ダンボール片において下記の折部A,Bどうしの距離寸法が所定の距離寸法未満であることをいう。
・折部A:製函用の罫線(折目とは別の要素)が設けられた部分
・折部B:箱に組み立てられたとき(製函時)に実際に折れた部分
「所定の距離寸法」は、評価ダンボール片の折目に対して垂直な方向(MD方向)の寸法については2.0[mm]であり、折目と平行な方向(CD方向)の寸法については5[mm]である。
一方、「製函性が不良」とは、評価ダンボール片において上記の折部A,Bどうしの距離寸法が所定の距離寸法以上であることをいう。
また、「罫割れ」とは、評価ダンボール片が箱に組み立てられるときに折り曲げられた箇所が破断していることをいう。この罫割れは、製函性を評価した箱(すなわち評価ダンボール片が組み立てられた箱,以下「評価箱」と称する)を目視することで観察される。
この罫割れは、下記の基準で評価した。
・◎:全て(100[箱])の評価箱において罫割れが見られなかった。
・○:100[箱]の評価箱のうち1〜2[箱]に罫割れが見られた。
・△:100[箱]の評価箱のうち3[箱]に罫割れが見られた。
・×:100[箱]の評価箱のうち4[箱]以上に罫割れが見られた。
なお、罫割れに関して「○」の評価が得られた実施例a3,a5,a6および比較例a8については、実施例a3,a5,a6で1[箱]に罫割れが見られ、比較例a8で2[箱]に罫割れが見られた。
実施例a1〜a6では、厚み寸法が2.0[mm]以上であって9.6[mm]以下であり、平面圧縮強さが50[kPa]以上であって250[kPa]以下であり、製函性および罫割れの双方で少なくとも「△」以上の良好な評価が得られた。
一方、2.0〜9.6[mm]の範囲から外れた厚み寸法の比較例a7,a9や、50〜250[kPa]の範囲から外れた平面圧縮強さの比較例a7〜a14では、製函性の評価が「×」の不良な評価が得られた。また、厚み寸法が9.6[mm]よりも大きい比較例a7では、罫割れの評価も「×」の不良な評価であった。
比較例a7からは、厚み寸法が9.6[mm]よりも大きいと、製函用の罫線で折り曲げられる際にライナ原紙が伸びきれずに破断し、罫割れの評価が不良となるものと推察される。
この比較例a7や、比較例a9〜a14からは、平面圧縮強度が250[kPa]よりも大きいと、製函用の罫線を入れずらくなり(罫線の形成性が低下することにより)、製函用の罫線以外の箇所で折り曲げられて、製函性の評価が不良となることも推察される。
比較例a8からは、平面圧縮強度が50[kPa]未満であると、評価ダンボール片の曲げ強度が不十分であって製函用の罫線以外の箇所で折り曲げられやすくなり、製函性の評価が不良となるものと推察される。
同様に、比較例a9からは、厚み寸法が2.0[mm]未満であると、評価ダンボール片の曲げ強度が不十分であって製函用の罫線以外の箇所で折り曲げられやすくなり、製函性の評価が不良となるものと推察される。
上記の比較例a7〜a14に鑑みて、実施例a1〜a6からは、9.6[mm]以下の範囲で厚み寸法が小さいほど罫割れの発生が抑えられると推察される。一方、2.0[mm]以上の範囲で厚み寸法が大きいほど製函用の罫線以外の箇所での折り曲げが抑えられると推察される。
実施例a1〜a6からは、平面圧縮強度が250[kPa]以下であれば製函用に形成される罫線の不良が抑えられることも推察される。一方、平面圧縮強度が50[kPa]以上であれば評価ダンボール片の曲げ強度が確保され、製函用の罫線以外の箇所で折り曲げが抑えられると推察される。
よって、厚み寸法が2.0[mm]以上であって9.6[mm]以下であり、平面圧縮強さが50[kPa]以上であって250[kPa]以下であれば、製函性の確保と罫割れの抑制とを両立することができると言える。
<構成b>
――測定対象――
構成bに関する実施例b1〜b3および比較例b4,b5に用いる測定ダンボール材には、実施例a1〜a6,比較例a7〜a9と同様のライナ原紙を用いた。
比較例b6〜b10では、特許公報6213364号の製造方法にしたがって作製したさまざまな坪量のライナ原紙を使用した。具体的には、以下に示す三種の坪量のうち何れか一つの坪量を採用した。
・(ライナ原紙の)坪量120[g/m2]:比較例b10
・(ライナ原紙の)坪量170[g/m2]:比較例b7〜b9
・(ライナ原紙の)坪量200[g/m2]:比較例b6
実施例b1〜b3,比較例b4,b5,b8では、下記の中芯原紙を用いた。
・ 中芯原紙 :170[g/m2]〔LB170:王子マテリア株式会社製〕
比較例b6,b7,b9,b10では、特開2018−162526号公の製造方法にしたがって作製したさまざまな坪量の中芯原紙を使用した。具体的には、比較例b6,b7,b9,b10のそれぞれに、以下に示す三種の坪量のうち何れか一つの坪量を採用した。
・(中芯原紙の)坪量120[g/m2]:比較例b9,b10
・(中芯原紙の)坪量130[g/m2]:比較例b7
・(中芯原紙の)坪量150[g/m2]:比較例b6
また、実施例b1〜b3および比較例b4〜b10に用いる測定ダンボール材は、下記の表5,表6に示す各種の段山数および段繰率となる段繰りロールを有するコルゲータを用いて製造した。また、実施例b1〜b3および比較例b4〜b10のそれぞれについて、上述の手順aA〜aDと同様の手順で平面圧縮強さを測定し、下記の表5,表6に示す平面圧縮強さが測定された。
実施例b1〜b3および比較例b4〜b10にはシングルフルートを採用した。
Figure 2021171951
Figure 2021171951
「段繰率」は、中芯のライナに対するMD方向の長さ寸法の倍率に対応するパラメータである。この段繰率は、下記の手順ba〜bgで測定した。
・手順ba:手順aa,aAと同様に、測定ダンボール材の全段数のうち半分の段数
を基準に上下五段分のシートを採取する。
・手順bb:手順baで採取された十枚のシートから中芯の山が連続する方向(横方
向,MD方向)に20[cm]であって、中芯の山に直交する方向(縦
方向,CD方向)に10[cm]のサイズに切り出す。
・手順bc:手順bbで切り出された試験片を水道水に24時間浸漬する。
・手順bd:手順bcの浸漬後に、表裏のライナを剥がして中芯を取り出す。
・手順be:手順bdで取り出された中芯を手で引き伸ばし、伸びきった状態の長さ
を定規で測定する。
・手順bf:手順beで測定された「中芯の伸びきった長さ」と手順bbで切り出さ
れた試験片の中芯の山が連続する方向の長さ(「元のダンボールシート
の長さ」と称する,ここでは20[cm])とから下記の式bで段繰率
を算出する。
段繰率=中芯が伸びきった状態の長さ/元のダンボールシートの長さ・・・式b
・手順bg:上記の手順ad,aDと同様に、手順bfで算出された段繰率から、測
定結果の精度を低下させる外乱(要因)となりうる数値を除外して、平
均値をとったものを段繰率とした。
――評価――
上記のようにして段繰率が得られた実施例b1〜b3および比較例b4〜b10について、製函性を評価した。この製函性は、実施例a1〜a6および比較例a7〜a14の評価に用いた製函性と同義である。なお、製函性に関して「○」の評価が得られた実施例b1では、2[枚]の製函性が不良であった。
実施例b1〜b3では、段繰率が1.2[倍]以上であって1.7[倍]以下であり、平面圧縮強さが50[kPa]以上であって250[kPa]以下であり、製函性について少なくとも「△」以上の良好な評価が得られた。
一方、段繰率が1.2[倍]未満であって平面圧縮強さが50[kPa]未満の比較例b4や、段繰率が1.7[倍]よりも大きくて平面圧縮強さが250[kPa]よりも大きい比較例b5,段繰率が1.2[倍]以上であって1.7[倍]以下であるものの平面圧縮強さが250[kPa]よりも大きい比較例b6〜b10では、製函性の評価が「×」の不良な評価が得られた。
比較例b4からは、段繰率が1.2[倍]未満であることや平面圧縮強さが50[kPa]未満であることにより、評価ダンボール片の曲げ強度が不十分であるため製函用の罫線以外の箇所で折り曲げられやすくなり、製函性の評価が不良となるものと推察される。
比較例b5,比較例b6〜b10からは、段繰率が1.7[倍]よりも大きいことや平面圧縮強さが250[kPa]よりも大きいことにより、製函用の罫線を入れずらくなり(罫線の形成性が低下することにより)、製函用の罫線以外の箇所で折り曲げられて、製函性の評価が不良となるものと推察される。
上記の比較例b4〜b10に鑑みて、実施例b1〜b3からは、段繰率が1.2[倍]以上であることや平面圧縮強さが50[kPa]以上であることにより、製函用の罫線以外の箇所での折り曲げが抑えられると推察される。また、段繰率が1.7[倍]以下であることや平面圧縮強さが250[kPa]以下であることにより、製函用に形成される罫線の不良が抑えられると推察される。
よって、段繰率が1.2[倍]以上であって1.7[倍]以下であり、平面圧縮強さが50[kPa]以上であって250[kPa]以下であれば、製函性を確保することができると言える。
<構成c>
――測定対象――
構成cに関する実施例c1〜c3および比較例c4には、実施例b1〜b3や比較例b4と同様の原紙を用い、以下に示す諸元の段繰りロールを有するコルゲータを用いて製造されたAフルートの測定ダンボール材を用いた。
・ 段高 :4.5[mm]
・段山数:34[山/30cm]
そして、下記の表7に示す角度比となるように製造された測定ダンボール材を実施例c1〜c3および比較例c4に用いた。なお、表7の単位[−]は、無次元量を表す。
Figure 2021171951
「角度比」とは、測定ダンボール材のシートにおける段目の傾き度合いに対応するパラメータである。この角度比は、下記の手順ca〜cfで測定した。
・手順ca:測定ダンボール材のシートにおいて中芯の一つの山を縦方向(CD方
向)から写真を撮影する。
・手順cb:手順caで撮影された写真を一つの山が高さ10[cm]以上となるよ
うに拡大して印刷用紙にプリントする。
・手順cc:表裏のライナと平行な方向(すなわち横方向〈MD方向〉)であって、
表ライナと裏ライナとの中央(TD方向中央)を通る補助線を引く。
・手順cd:手順ccで引いた補助線と中芯との交点のうち、隣り合う任意の二点を
選択する。
・手順ce:手順cdで選択された二点のそれぞれにおいて、補助線と中芯とのなす
角度のうち鋭角を分度器で測定した。
・手順cf:手順ceで測定された二つの角度(測定値)どうしの差の絶対値を二つ
の角度の和で除した比率を算出する。
――評価――
上記のようにして角度比が得られた実施例c1〜c3および比較例c4について、印刷適性を評価した。
「印刷適性」とは、測定ダンボール材に印刷を施した場合の適性であり、測定ダンボール材に施された印刷の良否に対応する評価基準である。
この印刷適性は、下記の手順cA〜cCで評価した。
・手順cA:測定ダンボール材のシートをMD方向が長辺となる500[mm]×1
350[mm]のサイズにカットする。
・手順cB:手順cAでカットされた試験片に対して、ダイレクトフレキソ印刷機D
YNA FLEX160(ボブスト社製)によって、550[線/イン
チ]に彫刻したアニロックスロールで水性フレキソインキ(品番:Su
per−EX FK−99、サカタインク社製)で下記の順番で塗工し
印刷した。
>塗工の順番:紅→墨→藍→黄→ニス
・手順cC:手順cBで印刷された仕上がりを目視にて観察した。
上記の印刷適性は、下記の基準で評価した。
・◎:インキの着肉ムラが無く、印刷の仕上がりが良好である。
・○:インキの着肉ムラがほとんど無く、実用上の問題がない。
・△:インキの着肉ムラがやや多いが、実用上の問題はない。
・×:インキの着肉ムラが非常に多く、実用上の問題があり、品質も著しく劣る。
実施例c1〜c3では、角度比が0.30以下であり、印刷適性について「△」以上の評価が得られ、実用上の問題はない。角度比が0.15以下の実施例c1,c2では、「○」以上の評価が得られ、角度比が0.05以下の実施例c1では、「◎」の評価が得られた。
一方、角度比が0.30よりも大きい比較例c4では、印刷適性について「×」の評価が得られ、実用上の問題がある。
比較例c4からは、角度比が0.30よりも大きいことにより、段目の高さが不揃いとなることで、印刷適性の評価が不良となるものと推察される。あるいは、インキの着肉時に試験片が段目の傾きに応じた方向へ変形しやすくなることも、印刷適性の評価が不良となる推察する理由に挙げられる。
これに対し、実施例c1〜c3からは、角度比が0.30以下であることにより、段目の高さのバラツキが抑えられ、実用上問題のない印刷適性が得られると推察される。段目の高さのバラツキは、実施例c1,c2からは角度比が0.15以下であることにより確実に抑えられ、実施例c1からは角度比が0.05以下であることにより、より一層抑えられると推察される。
よって、角度比が0.30以下であれば、印刷適性を確保できると言える。
<構成d>
――測定対象――
まず、下記の表8〜表11に示す構成dに関する実施例d1〜d11,d21〜d32および比較例d12〜d20,d33〜d36の測定ダンボール材の構成を説明する。
Figure 2021171951
Figure 2021171951
Figure 2021171951
Figure 2021171951
構成dに関する実施例d1〜d11,d21〜d32および比較例d12〜d20,d33〜d36のライナ原紙には、上記の表8〜表11に示すように、以下に示す坪量のうち何れか一つの坪量を採用した。これらライナ原紙は、特許6213364号公報のダンボール用ライナの製造方法にしたがって作製した。
・(ライナ原紙の)坪量120[g/m2
・(ライナ原紙の)坪量160[g/m2
・(ライナ原紙の)坪量280[g/m2
・(ライナ原紙の)坪量100[g/m2
・(ライナ原紙の)坪量320[g/m2
・(ライナ原紙の)坪量110[g/m2
・(ライナ原紙の)坪量105[g/m2
また、実施例d1〜d11,d21〜d32および比較例d12〜d20,d33〜d36では、上記の表8〜表11に示すように、以下に示す二種の坪量のうち何れか一つの坪量を採用した。これらの中芯原紙は、特開2017−218721号公報の製造方法にしたがって作製した。
・(中芯原紙の)坪量120[g/m2
・(中芯原紙の)坪量160[g/m2
上記のライナ原紙および中芯原紙の各坪量は、測定ダンボール材の資材(原材料)をなす原紙の坪量であり、JIS Z0203:2000に準拠して温度23[℃]および湿度50[%]の温湿度条件で24時間以上の前処理が施された常態において測定された。
実施例d1〜d11,d21〜d32および比較例d12〜d20,d33〜d36の測定ダンボール材は両面ダンボールであり、以下に示す五種のフルートのうち何れか一つのフルートを採用した。
・ A フルート
・ B フルート
・ C フルート
・ ABフルート
・ ACフルート
実施例d21〜d27,d32,比較例d35,d36の測定ダンボール材は、高さ方向の一方から他方へ向かう順に下記の坪量を有する五つの原紙を積層して構成されている。
・ライナ原紙:坪量160[g/m2
・ 中芯原紙:坪量160[g/m2
・ 中ライナ原紙:坪量160[g/m2
・ 中芯原紙:坪量160[g/m2
・ライナ原紙:坪量160[g/m2
また、実施例d28の測定ダンボール材は、高さ方向の一方から他方へ向かう順に下記の坪量を有する五つの原紙を積層して構成されている。
・ライナ原紙:坪量280[g/m2
・ 中芯原紙:坪量160[g/m2
・ 中ライナ原紙:坪量160[g/m2
・ 中芯原紙:坪量160[g/m2
・ライナ原紙:坪量280[g/m2
また、実施例d29の測定ダンボール材は、高さ方向の一方から他方へ向かう順に下記の坪量を有する五つの原紙を積層して構成されている。
・ライナ原紙:坪量160[g/m2
・ 中芯原紙:坪量120[g/m2
・ 中ライナ原紙:坪量120[g/m2
・ 中芯原紙:坪量120[g/m2
・ライナ原紙:坪量160[g/m2
測定ダンボール材を構成するライナ原紙(表ライナ用および裏ライナ用)の製造において、原料パルプの繊維分級機(MAX−F700,相川鉄工株式会社製)を使用して、上記の表8〜表11に記載のように、パルプ繊維長が調整されている。
また、測定ダンボール材を構成するライナ原紙(表ライナ用および裏ライナ用)の製造おいて、ライナ原紙を抄く際に、ジェットワイヤー比を調整して、上記の表8〜表11に記載のように繊維配向比を調整した。ジェットワイヤー比とは、抄紙機におけるワイヤーの走行速度(W)に対するパルプ分散液の流速(J)の比(J/W)である。ジェットワイヤー比を調整することにより、ワイヤー付近における分散液の流れを層流域にコントロールできる。
「繊維長」は、下記の手順da〜deで測定される。
手順da:ダンボール材の最上段から2段目を40[cm]角に切り出し、その40
[cm]角ダンボールシートを測定に供試した。切り出し位置はダンボール
シート幅の真ん中とした。それから、ダンボールシートをイオン交換水に
15分間浸漬し、イオン交換水から取り出す。
手順db:手順daで取り出したダンボールシートからライナ原紙(表ライナおよび
裏ライナ)のそれぞれを、ライナ原紙が破れないよう、手で剥がすことで
中芯原紙から分離する。
手順dc:手順dbで分離したライナ原紙と中芯原紙とのそれぞれを、イオン交換水
に浸し、濃度2%に調整した上で、24時間浸した。
手順dd:手順dcにより濃度を調整したライナ原紙と中芯原紙とのそれぞれを24
時間浸した後、標準型離解機(熊谷理機工業社製)を用いて20分間離解
して、パルプを繊維状に分解する。
手順de:手順ddで離解後のスラリー(パルプ繊維)を分取し、下記の繊維長測定
機を使用して、JISP8226−2:2011に準拠した繊維長を測定
した。
・繊維長測定機:品番FS−5 UHDベースユニット,バルメット社製
また、「繊維長比」は、上記の手順da〜deで測定したライナ原紙の繊維長と中芯原紙の繊維長とに基づき下記の式dで計算した。
繊維長比=ライナ原紙の繊維長/中芯原紙の繊維長・・・式d
「繊維配向比」は、下記の手順dA〜dDで測定される。
手順dA:上記の手順daと同様
手順dB:上記の手順dbと同様
手順dC:手順dBで分離したライナ原紙と中芯原紙とのそれぞれを、シリンダード
ライヤー(品番:MR3D,ジャポー株式会社製)により水分がなくなる
まで乾燥する。
手順dD:手順dCで乾燥したライナ原紙と中芯原紙の繊維配向比を、下記の繊維配
向特性評価装置を使用して測定する。
・繊維配向特性評価装置:品番SST‐2500,野村商事株式会社製
なお、繊維配向比の値は、上記の繊維配向特性評価装置の設定仕様の都合上、1.0が最小値となる。
――評価――
実施例d1〜d11,d21〜d32および比較例d12〜d20,d33〜d36では、測定ダンボール材の全ての折目(端部)について折れ割れ性を評価した。「折れ割れ性」とは、ダンボール材を折り曲げた際の破損しにくさに対応する評価基準である。「破損」は折目でのライナ原紙の割れ,裂け,破れなどを含む。
折れ割れ性の評価では、折目の箇所において表ライナおよび裏ライナの少なくとも一方のライナ原紙に割れが生じているか否かを確認し、確認結果を以下の基準で評価した。「折目の箇所」とは、折目の周辺を含む領域である。
◎:折目に割れが観察されない
○:折目に割れが1〜2つ観察された
△:折目に割れが3〜4つ観察された
×:折目に割れが5つ以上観察された
なお、実施例d1〜d11,d21〜d32および比較例d12〜d20,d33〜d36では、最も評価の高い「◎」およびその次に評価の高い「○」は良好な評価とし、最も評価の低い「×」およびその次に評価の低い「△」は不良な評価とした。
実施例d1〜d11,d21〜d32では、ライナ原紙の坪量が110[g/m]以上であって290[g/m]以下であり、ライナ原紙のパルプ繊維長が0.55[mm]以上であって1.60[mm]以下であり、繊維配向比が1.0以上であって2.0以下であり、繊維長比が0.65以上であって1.90以下であり、折れ割れ性について「〇」以上の評価が得られた。
特に、ライナ原紙の坪量が140[g/m]以上であって180[g/m]以下であり、ライナ原紙のパルプ繊維長が0.90[mm]以上であって1.30[mm]以下であり、繊維配向比が1.3以上であって1.7以下であり、繊維長比が0.90以上であって1.40以下である実施例d3,d11,d23,d30〜d32では、折れ割れ性について最も優れた「◎」の評価が得られた。
一方で、比較例d12,d13,d15,d33〜d36では、ライナ原紙のパルプ繊維長が0.55[mm]〜1.60[mm]の範囲を外れており、折れ割れ性について「△」以下の不良な評価が得られた。
また、比較例d14では、繊維配向比が2.0よりも大きく、折れ割れ性について「×」の評価が得られた。また、比較例d16,d17では繊維長比が0.65〜1.90の範囲を外れており、折れ割れ性について「△」の評価が得られた。また、比較例d18〜d20ではライナ原紙の坪量が110[g/m]〜290[g/m]の範囲を外れており、折れ割れ性について「△」以下の評価が得られた。
比較例d12,d13,d33〜d36からは、ライナ原紙のパルプ繊維長が0.55[mm]未満であることにより、パルプ繊維長が短すぎるためパルプ繊維どうしの絡まりが少なくライナ原紙の全体的な強度が弱くなるため、折れ割れ性が不良となるものと推測される。比較例d15からはパルプ繊維長が1.60[mm]よりも大きいことにより、比較例d14からは繊維配向比が2.0よりも大きいことにより、折目やその周辺箇所においてライナ原紙に応力が集中するため、折れ割れ性が不良となるものと推測される。
比較例d16からは、繊維長比が0.65よりも小さいことにより、ライナ原紙の全体的な強度が中芯原紙に対して相対的に低下するため、折目の成形性が低下して不良な折れ割れ性が得られたものと推測される。比較例d17からは、繊維長比が1.90よりも大きいことにより、折目やその周辺箇所においてライナ原紙に応力が集中するため、折れ割れ性が不良となるものと推測される。
比較例d18,d19からは坪量が110[g/m]よりも小さいことにより、ライナ原紙の全体的な強度が低下するため、折れ割れ性が不良となるものと推測される。比較例d20からは坪量が290[g/m]よりも大きいことにより、折目やその周辺箇所においてライナ原紙に応力が集中するため、折れ割れ性が不良となるものと推測される。
上記の比較例d12〜d20,d33〜d36に鑑みて、実施例d1〜d11,d21〜d32からは、ライナ原紙の坪量が110[g/m]以上であって290[g/m]以下であることを前提にして、ライナ原紙のパルプ繊維長が0.55[mm]以上であって1.60[mm]以下であり、繊維長比が0.65以上であって1.90以下であることによりライナ原紙の全体的な強度が確保され、且つ、繊維配向比が1.0以上であって2.0以下であることにより、ライナ原紙の横方向の強度が確保されるので、折れ割れ性が良好になると推察される。
実施例d3,d11,d23,d30〜d32からは、パルプ繊維長が0.9[mm]以上であって1.30[mm]以下であり、繊維配向比が1.3以上であって1.7以下であることにより、ライナ原紙の全体的な強度とライナ原紙の横方向の強度とが底上げされるので、折れ割れ性がより良好になると推察される。
よって、ライナ原紙の坪量が110[g/m]以上であって290[g/m]以下であり、ライナ原紙のパルプ繊維長が0.55[mm]以上であって1.60[mm]以下であり、繊維配向比が1.0以上であって2.0以下であり、繊維長比が0.65以上であって1.90以下であれば、折目の破損を抑制できることがわかる。延いては、測定ダンボール材を用いたダンボール箱の外観が低下するのを抑えることができ、ダンボール箱の品質を確保できるとも言える。
<構成e>
――測定対象――
構成eに関する実施例e1〜e3および比較例e4には、実施例b1〜b3,c1〜c3,d1〜d3や比較例b4,c4,d4と同様の原紙を用い、実施例c1〜c3,d1〜d3や比較例c4,d4と同様の段繰りロールを有するコルゲータを用いて製造されたAフルートの測定ダンボール材を用いた。
上記のように製造された測定ダンボール材を用いた実施例e1〜e3および比較例e4のそれぞれについて、接着力を測定し、下記の表10に示す接着力が測定された。
なお、表10の表記に関し、「S側」は「シングルフェーサ側」(裏ライナ側)を意味し、「G側」は「グルーマシン側」(表ライナ側)を意味する。
Figure 2021171951
「接着力」は、測定ダンボール材のシートにおいて中芯の段頂(極大値に対応する箇所)とライナとの接着部の引き剥がし抵抗値に対応するパラメータである。平たく言えば、測定ダンボール材のシートをなすライナの剥がれにくさに対応するパラメータである。
この接着力は、下記の手順ea〜eeで測定した。
・手順ea:測定ダンボール材の全段数Mが奇数の場合、半分の段数M/2の四捨五
入した段(すなわち真ん中の段)を基準に上下十段分のシートを採取し
、変形(たとえば凹み)のない二十枚のシートを切り出す。全段数Mが
偶数の場合、半分の段数((M/2)+1)を基準に上下十段分のシー
トを採取し、変形(たとえば凹み)のない二十枚のシートを切り出す。
・手順eb:手順eaで切り出されたシートから、以下に示すサイズに試験用のサン
プルをサンプルカッター(株式会社ミマキエンジニアリング社製,CF
2−1218)を用いて切り出す。
中芯の波形構造と平行な方向(縦方向〈CD方向〉) :50[mm]
中芯の波形構造と直交する方向(横方向〈MD方向〉):85[mm]
・手順ec:手順ebで切り出されたサンプルは、表裏のそれぞれ十枚準備する。具
体的には、シングルフェーサ側の接着力を測定するための十枚と、グル
ーマシン側の接着力を測定するための十枚とを準備する。
・手順ed:手順ecで準備されたサンプルを下記の測定装置に装着し、下記の準拠
規格,測定条件で接着力を測定した。
>準拠規格:JIS Z0402:1995
>測定装置:圧縮試験機(株式会社エー・アンド・デイ製,RTF1350)
>測定条件:ピンアタッチメント(日本T.M.C.株式会社)をサンプルに装着
し、測定装置上に置いて、剥離面が上側となるように13[mm/分
]の速度で荷重を印加し、サンプルの接着部が剥離したときの最大荷
重を測定する。
・手順ee:手順ad,aD,aCと同様に、手順edで測定された接着力か
ら、測定結果の精度を低下させる外乱(要因)となりうる数値を除外し
て、平均値をとったものを破裂強さとした。
――評価――
上記のようにして接着力が得られた実施例e1〜e3および比較例e4について、ライナ剥がれを評価した。
「ライナ剥がれ」とは、箱の品質の高低や外観の良否などに対応する評価基準である。このライナ剥がれは、下記の手順eA〜eCで評価した。
・手順eA:構成a,bに係る製函性の評価と同様に、測定ダンボール材の折目を跨
ぐカット線で評価ダンボール片をサンプルカッター(株式会社ミマキエ
ンジニアリング社製,CF2−1218)を用いて切り抜く。なお、一
枚目の評価ダンボール片を切り抜くにあたって新しいカッタ刃に交換し
、このカッタ刃を百枚目(最後)まで交換せずに使用した。
・手順eB:手順eAで切り抜かれた評価ダンボール片を手組みで組み立てる。「評
価ダンボール片」は、測定ダンボール材が下記の形状・サイズにサンプ
ルカッター(株式会社ミマキエンジニアリング社製,CF2−1218
)で下記の枚数が打ち抜かれた試験片である。
形 状:A式段ボール箱が展開されたパターン
サイズ:A式段ボール箱の側板の幅寸法356[mm],
A式段ボール箱の端板の幅寸法159[mm],
A式段ボール箱の高さ寸法256[mm]
枚 数:100[枚]
・手順eC:手順eBで組み立てられた評価箱におけるライナ(シート)の剥がれの
有無を観察する。
上記のライナ剥がれは、下記の基準で評価した。
・◎:全て(100[箱])の評価箱において、ライナの剥がれが見られなかった。
・○:100[箱]の評価箱のうち1〜2[箱]にライナの剥がれが見られた。
・△:100[箱]の評価箱のうち3〜4[箱]にライナの剥がれが見られた。
・×:100[箱]の評価箱のうち5[箱]にライナの剥がれが見られた。
なお、ライナ剥がれに関して「○」の評価が得られた実施例e2,e3については、実施例e2で1[箱]にライナの剥がれが見られ、比較例e3で2[箱]にライナの剥がれが見られた。そのほか、ライナ剥がれに関して「△」の評価が得られた実施例や比較例は無かった。
実施例e1〜e3では、シングルフェーサ側およびグルーマシン側で測定された接着力の平均値(以下「平均接着力」と称する)が140[N]以上であって、ライナ剥がれについて「○」以上の評価が得られた。特に、平均接着力が220[N]以上の実施例e1では、「◎」の評価が得られた。
一方、平均接着力が140[N]未満の比較例1では、ライナ剥がれについて「×」の評価が得られた。
上記の平均接着力が140[N]以上であれば、測定ダンボール材から評価ダンボール片が切り抜かれるときにライナが剥がれにくくなり、評価ダンボール片から評価箱が組み立てられるときにもライナが剥がれにくくなると推察される。さらに、平均接着力が220[N]以上であれば、評価ダンボール片の切り抜き時や組み立て時の双方でライナの剥がれを防止することができると推察される
よって、平均接着力が140[N]以上であれば、評価箱のライナが剥がれにくくなると言える。延いては、評価箱の外観が低下するのを抑えることができ、評価箱の品質を確保することができるとも言える。
[3.三構成を組み合わせた実施例]
さいごに、構成a,bおよびcを組み合わせた実施例abcを述べる。
なお、実施例abcについて測定対象や評価の詳細は、特に言及しない限り、上述の内容と同様である。
――測定対象――
実施例abcは、以下に列挙するパラメータを兼ね備えた測定ダンボール材を対象にして評価した。
・ 厚 み 寸法 :5.1[mm]
・平面圧縮強さ:170[kpa]
・ 角 度 比 :0.00
・ 平均接着力 :237.5[N]
>シングルフェーサ側:230[N]
> グルーマシン側:245[N]
――評価――
実施例abcの測定ダンボール材に対して、製函性,罫割れ,印刷適性,ライナ剥がれのそれぞれを評価した。その結果、製函性,罫割れ,印刷適性,ライナ剥がれの何れにおいても優良(上述の「◎」)の評価が得られた。
実施例abcの評価結果より、構成a,b,cを組み合わせた場合には、各構成a,b,cに対応する評価が損なわれることなく優良なことがわかる。
さらに、上記のパラメータを有する測定ダンボール材を製函システムに用いた場合には、箱の組み立て速度(包装スピード)を高めることができると推察される。その理由としては、下記の理由α,βが挙げられる。
・理由α:ライナ剥がれの優良な評価が得られることから、ライナの剥がれを抑えつ
つ、測定ダンボール材を評価ダンボール片に切り抜く加工(すなわち「ス
リッタ加工」)の速度を高められると推察されること。言い換えれば、ス
リッタ加工において切り抜き対象のダンボール材をスリッタによって高速
で切り抜いたとしても、その衝撃でライナが剥がれにくいと推察されるこ
と。
・理由β:製函性の優良な評価が得られることから、製函性を確保したうえで、製函
システムの包装速度を高められると推察されること。言い換えれば、評価
ダンボール片を組み立てる装置ユニット(たとえば包装用ロボットアーム
)が組み立て対象のダンボール材を高速で折り立てたとしても、罫線にお
いて折れ曲がる(罫線以外の箇所での折れ曲がりが抑えられる)と推察さ
れること。
[III.変形例]
上述の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせることもできる。
たとえば、ダンボール材が製函システム用の資材である場合には、意図的に形成された切れ込みやミシン目などの追加加工が折目に施されていないことが好ましく、ダンボール材におけるライナの表層に設けられる罫線を起点(たとえば罫線を内側)に180[°]折り返される箇所が折目であることが好ましい。一方、ダンボール材が製函システム用以外の資材である場合には、切れ込みやミシン目などの加工が折目に施されていてもよい。
上述したダンボール材や測定ダンボール材に用いるライナ原紙および中芯原紙は、例に挙げた品番の製品に限らず、特許6213364号公報のダンボール用ライナの製造方法
で作製したライナ原紙や、特開2017−218721号公報の段ボール原紙の製造方法で作製した中芯原紙を用いても良い。
上述した蛇腹折りのダンボール材の用途は、製函システムに適用される製函用資材としての用途に限らない。
蛇腹折りのダンボール材には、従来の枚葉のダンボールシートと異なる、複数のシートが折目を介して連設された構造を活かした様々な活用方法がある。
例えば、蛇腹折りのダンボール材は、シートを展開した状態で、延在する方向の寸法が大きいウェブ状の紙資材として扱うこともできる。
ウェブ状の紙資材として利用方法としては、例えば下記の用途を例に挙げることができる。
災害用品としての利用:窓に貼り付けることで、台風時の窓割れ対策に利用できるほ
か、避難所でのプライバシー保護やストレス軽減用のパーテ
ーションとしての利用や、緩衝材や冷え対策用の敷物として
利用可能である。
イベント行事での利用:イベントや学校行事の看板等の創作物に利用可能である。
建築/引越資材としての利用:建築現場や引越し現場で一時的にドアや壁、扉などを
守る必要がある場合、対象物に貼り付けるタイプの保
護材(養生材)として活用可能である。対象物に巻き
付けるタイプの保護材(梱包資材)として利用するこ
ともできる。
何れの利用方法においても、複数のシートが折目を介して連設された構造であることで、作業効率向上や、延在する方向の寸法を確保できるという利点がある。
1 ダンボール材
10 段目(波目)
2 シート
20 シート対
21 第一シート
22 第二シート
23 第三シート
F 折目
L 補助線
L1 縦寸法(第一寸法)
L2 横寸法(第二寸法)
L3 高さ寸法(第三寸法)

Claims (3)

  1. 連続する両面ダンボールにおいて矩形状のシートが第一方向に沿って直線状に延在する折目のそれぞれにおいて前記折目の沿う平面で前記第一方向に直交する第二方向へ折り返され、前記第一方向および前記第二方向の双方に直交する第三方向に沿って前記シートが積み重ねられた蛇腹折りのダンボール材であって、
    前記両面ダンボールを構成するライナの坪量が110[g/m]以上であって290[g/m]以下であり、
    前記ライナのパルプ繊維長が0.55[mm]以上であって1.60[mm]以下であり、
    前記ライナにおけるパルプ繊維の前記第一方向の配向に対する前記第二方向の配向の比率である繊維配向比が1.0以上であって2.0以下であり、
    前記両面ダンボールを構成する中芯のパルプ繊維長に対する前記ライナの前記パルプ繊維長の比率である繊維長比が0.65以上であって1.90以下である
    ことを特徴とするダンボール材。
  2. 前記ライナの坪量が140[g/m]以上であって180[g/m]以下であり、
    前記ライナの前記パルプ繊維長が0.90[mm]以上であって1.30[mm]以下であり、
    前記繊維配向比が1.3以上であって1.7以下であり、
    前記繊維長比が0.90以上であって1.40以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載のダンボール材。
  3. 請求項1または2に記載のダンボール材を用いた
    ことを特徴とするダンボール箱。
JP2020075602A 2020-04-21 2020-04-21 ダンボール材およびこれを用いたダンボール箱 Pending JP2021171951A (ja)

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