JP6702495B1 - ダンボール材およびこれを用いたダンボール箱 - Google Patents

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Abstract

【課題】製函システムにおけるダンボール材の搬送性を向上する。【解決手段】蛇腹折りのダンボール材は、連続するダンボールにおいて矩形状のシート2が第一方向CDに沿って直線状に延在する折目のそれぞれにおいて第二方向MDへ折り返され、第三方向TDに沿ってシート2が積み重ねられている。このシート2は、ダンボールを構成する原紙の一つである表ライナ9aどうしを継ぎ合わせて連続させる継手部4と、継手部4に対して、継ぎ合われた表ライナ9aの一方の端縁が第二方向MDに沿って第二方向MDの一側へフラップ状に延出した余剰フラップ部6と、を有する。余剰フラップ部6は、第二方向MDの寸法が60[mm]以下であり、ISO2493:2010に準拠して測定されたこわさが1500[mN]以下である。【選択図】図2

Description

本発明は、蛇腹折りのダンボール材およびこれを用いたダンボール箱に関する。
製函用資材として、蛇腹折り(「ファンフォールド」とも称される)のダンボール材が知られている。ダンボール材には連続する矩形状のシート間に折目が設けられ、この折目でシートが交互に折り返されている。このような蛇腹折りのダンボール材では、連続するシートが上下に積み重ねられ、直方体状の荷姿に折り畳まれている。
上記のダンボール材は、包装対象のサイズに応じて最適な大きさの箱を製造する製函システム(「自動包装システム」や「三辺可変システム」,「三辺自動梱包」,「オンデマンド包装」などとも称される)の包装資材に用いられる。この製函システムでは、以下に例示する各種の工程が実施される。
・フィード工程:蛇腹折りのダンボール材を繰り出す工程
・ カット工程 :フィード工程で繰り出された平面状のダンボール材を切り出す工程
・フォールド工程:カット工程で切り出されたダンボール材から箱を組み立てる工程
特表2013−513869号公報
しかしながら、蛇腹折りのダンボール材が製函システムの資材に用いられた場合に、ダンボール材に用いられるシートの性状によっては、製函システムにおけるダンボール材の搬送性が損なわれることがある。
本件は、上記の課題に鑑みて創案されたものであり、製函システムにおけるダンボール材の搬送性を向上させることを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用および効果であって、従来の技術では得られない作用および効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
ここで開示するダンボール材は、連続するダンボールにおいて矩形状のシートが第一方向に沿って直線状に延在する折目のそれぞれにおいて前記折目の沿う平面で前記第一方向に直交する第二方向へ折り返され、前記第一方向および前記第二方向の双方に直交する第三方向に沿って前記シートが積み重ねられた蛇腹折りのダンボール材である。
本件のダンボール材は、前記ダンボールを構成する原紙の一つであるライナどうしを継ぎ合わせて連続させる継手部と、前記継手部に対して、継ぎ合われた前記ライナの一方の端縁が前記第二方向に沿って前記第二方向の一側へフラップ状に延出した余剰フラップ部と、を有し、前記ライナの坪量が115[g/m ]以下であり300[g/m ]以上であって、前記余剰フラップ部は、前記第二方向の寸法が20[mm]以上であり60[mm]以下であって、ISO2493:2010に準拠して測定されたこわさが410[mN]以上であり1500[mN]以下である。
本件によれば、製函システムにおけるダンボール材の搬送性を向上できる。
蛇腹折りのダンボール材を示す斜視図である。 継手部を示す斜視図である。 継手部を示す側面図である。 (a),(b)余剰フラップ部の長さを説明する平面図である。 (a)両面テープを有する継手部を示す側面図であり、(b)は旧表ライナと両面テープを示す平面図である。 製函システムでのダンボール材の搬送を説明する側面図である。 テープ部材の貼付態様の変形例を示す側面図である。
以下、実施形態としてのダンボール材およびダンボール箱を説明する。
本実施形態のダンボール材は、連続するダンボールにおいて矩形状のシートが折り畳まれた蛇腹折りの製函用資材である。このダンボール材には、中芯に対して両側にライナが設けられた両面ダンボールが用いられる。
上記の両面ダンボールには、一つの中芯および二つのライナのそれぞれに対応する三つの原紙(資材)から構成されたシングルフルートのダンボールのほか、いわゆる「複両面ダンボール」や「複々両面ダンボール」のように二つ以上の中芯および二つのライナならびに一つ以上の中ライナのそれぞれに対応する五つ以上の原紙から構成されたマルチフルートのダンボールも含まれる。本実施形態では、シングルフルートの両面ダンボールからなるダンボール材を主に例示する。
ダンボール材が製函されると、ダンボール箱となる。詳細に言えば、製函システムの製函用資材に用いられたダンボール材は、シートが順繰りに送り出されるフィード工程,送り出されたシートが箱の展開パターンに切り抜かれるカット工程,箱の形状に折り立てられるフォールド工程といった種々の工程を経てダンボール箱に製函される。なお、ダンボール箱を組み立てる製函システム(自動包装機)は、特に制限されないが、たとえば自動包装システムの全自動システムである「CMC社製のCarton Wrap XL」,「CMC社製のカートンラップ1000」,「Neopost社製のCVP−500」,「オーエスマシーナリー社製のTXP−600」や、半自動システムの「Pack Size社製のEM7」,「Panotec社製のCompack」を用いることができる。
本実施形態では、下記の方向I,IIが以下の表1に示すように対応する例を挙げ、ダンボール材は水平面に載置されたものとする。
・方向 I :水平面に載置されたダンボール材における方向
・方向II:ダンボール材を製造する途中の半製品における方向
Figure 0006702495
縦方向(第一方向,図中には「CD」と記す)および横方向(第二方向,図中には「MD」と記す)は水平に沿う方向であり、シート(折目)の沿う平面が延在する方向である。これらの縦方向と横方向とは互いに直交する。高さ方向(第三方向,図中には「TD」と記す)は、鉛直方向に沿う方向であり、縦方向および横方向の双方に直交する。この高さ方向は、シートが重ね合わせられる方向に対応する。
MD(Machine Direction)方向は、「流れ方向」とも称され、ダンボール材の製造過程やダンボール材を資材とした製函システムの工程が上流から下流へ進捗する方向である。CD(Cross Direction)方向は、MD方向の沿う平面においてMD方向に直交する方向である。TD(Transverse Direction)方向は、MD方向およびCD方向の双方に直交する方向である。
そのほか、特に断らない限り、本実施形態の「数値X〜数値Y」なる表現は、数値X以上であって数値Y以下の範囲を意味する。
[I.一実施形態]
下記の一実施形態では、ダンボール材の構成を項目[1]で述べ、ダンボール材に用いられる性状に関するパラメータを項目[2]で述べる。そして、項目[1]および[2]の構成による作用および効果を項目[3]で述べる。
[1.構成]
本項目[1]では、ダンボール材の基本的な構成を小項目[1−1]で述べ、ダンボール材の継ぎ合わせに関する構成を小項目[1−2]で詳述する。
[1−1.ダンボール材の基本]
本項目[1−1]では、ダンボール材が折り畳まれた構造(以下「折畳構造」と称する)を説明する。
<折畳構造>
図1に示すように、ダンボール材1は、直方体状をなす製函用資材である。
ダンボール材1では、連続する矩形状のシート2(図1では一部のみに符合を付す)が折目F(図1では一部のみに符合を付す)で折り返され、折り返されたシート2が高さ方向に積み重ねられている。
このように折り畳まれたダンボール材1には、縦方向および高さ方向の双方に沿う一対の側面に、複数の折目Fが縦方向に沿って直線状に延在する。
ここで、連続する三つのシート2(図1では二点鎖線で示す)に着目して、ダンボール材1の折畳構造を説明する。
・第一シート21:第二シート22の一側に連続するシート2
・第二シート22:第一シート21と第三シート23との双方に連続するシート2
・第三シート23:第二シート22の他側に連続するシート2
第一シート21と第二シート22との間に第一折目F1が設けられ、第一折目F1を介してシート21,22が連続している。第二シート22と第三シート23との間に第二折目F2が設けられ、第二折目F2を介してシート22,23が連続している。
第一折目F1は、第一シート21に対して横方向の一方(図1では右方)へ向けて第二シート22が折り返される折目Fであり、ダンボール材1における横方向の他方(図1では左方)に配置される。第二折目F2は、第二シート22に対して横方向の他方(図1では左方)へ向けて第三シート23が折り返される折目Fであり、ダンボール材1における横方向の一方(図1では右方)に配置される。
第一シート21では、横方向(折目Fと交差する方向)に延在する第一端縁E1(図1には手前側の端縁のみに符号を付す)にダンボールの段目10(波目)が露出する。同様に、第二シート22には、横方向(折目Fと交差する方向)に延在する第二端縁E2(図1には手前側の端縁のみに符号を付す)にダンボールの段目10が露出する。
第一シート21および第二シート22からなるシート対20では、第一端縁E1と第二端縁E2とが高さ方向に隣り合って配置される。
上記の折畳構造を有するダンボール材1によれば、ロール状に巻回することの困難な資材であっても直方体状に折り畳むことができる。すなわち、ロール状に巻回可能な資材よりも高い強度をもつダンボールのシート2をコンパクトな荷姿にすることができる。このように強度の確保されたシート2が折り畳まれたダンボール材1は、強度の要求される箱を製造する製函システムの包装資材に用いて好適である。
そのほか、折目Fは、ダンボールの段目10に沿って設けられている。言い換えれば、MD方向に対して垂直な段目10のダンボール材1が製造される。
なお、ダンボール材1は、汚損や荷崩れを防ぐために、包装用のフィルムで被包(包装)されることが好ましい。
[1−2.ダンボール材の詳細]
本実施形態のダンボール材1には、ダンボール材1の連続する寸法を確保するために、ダンボール材1のシート2を構成する複数の原紙どうしを継ぎ合わせて連続させる継手部4が設けられている。継手部4によって、ダンボールの連続する方向(横方向に対応する方向,MD方向に対応する流れ方向)にシート2を構成する各種の原紙どうしが継ぎ合わせられている。このダンボール材1には、継手部4に対してフラップ状に延出した余剰フラップ部6が付設されている。
<継手部>
図2,図3に示すように、継手部4は、ダンボール材1のシート2が複数の原紙から構成された構造を前提とし、ダンボール材1の連続する方向に原紙の少なくとも一部どうしを継ぎ合わせている。
原紙には、表ライナ9a(ライナ原紙)および裏ライナ9b(ライナ原紙)ならびに中芯9c(中芯原紙)が含まれ、ライナ9a,9bの間には中芯9cが介装されている。中芯9cは、縦方向から視て波形に形成されており、波形の山部が表ライナ9aに接着され、波形の谷部が裏ライナ9bに接着されている。中芯9cと接着されたライナ9a,9bは、折目Fの箇所を除いて平面状に設けられている。
継手部4の形態として、以下の三種の形態がある。
・表ライナ継手部:表ライナ9aどうしを継ぎ合わせる継手部4
・裏ライナ継手部:裏ライナ9bどうしを継ぎ合わせる継手部4
・ 中芯継手部 :中芯9cどうしを継ぎ合わせる継手部4
本実施形態では、継手部4が表ライナ継手部として構成されている場合を例に挙げて説明をする。以下、表ライナ継手部を単に「継手部4」と称する。
ここで例示する継手部4では、ダンボール材1の連続する方向に並んだ旧表ライナ91(継ぎ合わされたライナの他方)と新表ライナ92(継ぎ合わされたライナの一方)とが高さ方向に重ね合わされて、継ぎ合わされている。図2,図3では、旧表ライナ91の上面に新表ライナ92の下面が重ね合わされている。
このような表ライナ9aどうしの継ぎ合わせは、コルゲータによりダンボール材1が製造される過程(すなわちダンボールの製造途中)において実施される。具体的には、コルゲータにおいて表ライナ9aの紙切れが起きた際に、紙切れが起きた旧表ライナ91の上面に新表ライナ92の下面を継ぎ合わせる。
継手部4は、表ライナ9aどうしを継ぎ合わせるためにテープ部材4Tを備える。テープ部材4Tには、「名称:クラフト粘着テープ、品番:KS−NO.111−BK50P、幅40mm(菊水テープ株式会社)」といった、支持体の片面に粘着剤の塗工された粘着テープを用いる。このようなテープ部材4Tの貼付態様としては、新旧表ライナ91,92に巻回される態様が挙げられる。具体的に言えば、旧表ライナ91の上面と新表ライナ92の下面とを重ね合わせた状態で、新表ライナ92の上面に縦方向に沿って貼り付けられ、且つ、縦方向の両端部で旧表ライナ91の下面側へ巻回され、旧表ライナ91の下面に貼り付けられた態様が挙げられる。
<余剰フラップ部>
余剰フラップ部6は、新表ライナ92の端縁がテープ部材4Tよりも横方向の一側へフラップ状に延出した部位である。
この余剰フラップ部6は、継手部4で原紙を継ぎ合わせるための余裕分(いわゆる「マージン」)に対応する部位であり、継手部4による継ぎ合わせに付随して形成される部位といえる。詳細に言えば、上述のように旧表ライナ91の上面に新表ライナ92の下面が継ぎ合わされる際に、新表ライナ92の先端がテープ部材4Tの領域(新表ライナ92が旧表ライナ91に貼り合わされた領域)よりもMD方向の一側へ延出した余裕分に対応する部位が余剰フラップ部6である。この余剰フラップ部6は、表ライナ9aの上面に延出した状態となる。
余剰フラップ部6は、横方向の他側の一辺ではテープ部材4Tによって旧表ライナ91の上面に固定された状態をなし、テープ部材4Tよりも横方向の一側の部位は旧表ライナ91の上面に重ね合わされているものの貼り合されていない状態をなす。
余剰フラップ部6の延出している方向は、製函システムにおいてMD方向(流れ方向下流側)に対応する方向である。具体的に言えば、製函システムにおいてシート2が搬送される方向に向けて余剰フラップ部6が延出する状態でダンボール材1が繰り出される。
――余剰フラップ部の長さ――
余剰フラップ部6の長さは、横方向の一側で縦方向に延在する一辺と横方向の他側で縦方向に延在する一辺とが横方向に離間する寸法である。余剰フラップ部6の長さは、図4(a),(b)に示すように計測される。具体的には、横方向の他側の一辺〔図4(a),(b)で破線で示す〕で余剰フラップ部6を新表ライナ92から切り取る。つぎに、切り取った余剰フラップ部6に対応する原紙片で、縦方向の一端での寸法Xと縦方向の中央部での寸法Yと縦方向の他端での寸法Zとをそれぞれ測定する。そして、三点で測定した寸法X,Y,Zの平均値を下記の式1で計測する。
余剰フラップの長さ=(X+Y+Z)/3 ・・・式1
図4(b)に示す旧表ライナ91に対して新表ライナ92が斜めに貼り付けられた場合も、三点の寸法X,Y,Zの平均値が余剰フラップ部6の長さとなる。
コルゲータにおいて表ライナ9aどうしを継ぎ合わせるテープ部材40Tには、例えば、「名称:ボンドテープ、品番:WF833(コニシ株式会社)」といった、支持体の両面に粘着剤の塗工された両面テープを用いることもできる。両面テープの貼付態様としては、図5(a),(b)に示すように、旧表ライナ91の上面で縦方向に沿って貼り付けられ、新表ライナ92の下面に貼り付けられた態様が挙げられる。この態様では、新表ライナ92の先端がテープ部材40Tの領域よりもMD方向の一側へ延出した余裕分に対応する部位が余剰フラップ部6である。
テープ部材40Tに用いられる両面テープの貼付態様は、図5(a),(b)の例に限定されず、新表ライナ92の上面で縦方向に沿って貼り付けられ、旧表ライナ91の下面に貼り付けられた態様が挙げられる。この態様では、旧表ライナ91の先端がテープ部材40Tの領域よりもMD方向の他側へ延出した余裕分に対応する部位が余剰フラップ部6となる。
なお、コルゲータによるダンボール製造よりも前の段階でライナどうしが継ぎ合わされている場合もある。その場合、ライナどうしを継ぎ合わせるテープ部材には、例えば、上述の両面テープや片面テープを用いることができる。具体的な貼り合わせ態様の一例としては、継ぎ合わされるライナどうしの間に両面テープが配置され、ライナどうしが貼り合わされる態様が挙げられ、また、片面テープを用いて、旧表ライナと新裏ライナを重ね合わせることなく、旧表ライナと新表ライナを貼り合わせる態様が挙げられる。
[2.パラメータ]
以下、ダンボール材1のパラメータを説明する。
まず、ダンボール材1のサイズや段数などの基本的なパラメータを述べる。その後に、ダンボール材1の余剰フラップ部6に関するパラメータを詳述する。
[2−1.基本的なパラメータ]
ダンボール材1のサイズは、下記の寸法L1〜L3から定まる。
・ 縦寸法L1 :縦方向の寸法(第一寸法)
・ 横寸法L2 :横方向の寸法(第二寸法)
・高さ寸法L3:高さ方向の寸法(第三寸法)
上記の寸法L1〜L3は、小さいほど製造される箱のサイズや形状の制約が大きくなるおそれがあり、大きいほど運搬や納入といった作業性が低下するおそれがある。これらの観点より、寸法L1〜L3は、下記の表2に示す範囲であることが好ましい。
Figure 0006702495
そのほか、ダンボール材1における折目Fの本数をN[本]とおけば、シート2の枚数はN+1[枚]である。この場合には、N+1[段]のシート2がダンボール材1において重ね合わせられている。
たとえば、ダンボール材1の段数としては、たとえば10〜1000[段]のさまざまな段数が挙げられる。詳細を後述する折り畳みに関するパラメータが測定される対象のダンボール材については、所定の段数(たとえば100[段])未満の測定対象については、全段のそれぞれにおいてパラメータを測定するのが好ましい。一方、所定の段数(たとえば100[段])以上の測定対象については、部分的(たとえばパートに分けた部分や設定された領域)にパラメータが測定してもよい。
なお、ダンボール材1に用いられるシート2には、任意の坪量を設定することができる。シート2に採用される坪量の範囲としては、50〜1500[g/m2]の範囲が挙げられ、好ましくは100〜1000[g/m2]の範囲が挙げられ、より好ましくは200〜800[g/m2]の範囲が挙げられ、さらに好ましくは200〜600[g/m]の範囲が挙げられる。
上記の坪量に、縦寸法L1および横寸法L2とシート2の段数N+1とを乗算すれば、ダンボール材1の重量が算出される。
[2−2.余剰フラップ部に関するパラメータ]
本実施形態のダンボール材1は、下記の観点Pに立脚して、余剰フラップ部6の性状に関する所定の構成を備えている。
・観点P:製函システムにおけるダンボール材の搬送性を向上させること
上記の観点Pは、下記の課題Pを解決するための観点である。
・課題P:製函システムにおけるダンボール材の搬送性に改善の余地があること
上記の課題Pは、製函システムのフィード工程において、ダンボール材1の搬送性が低下する課題ともいえる。
製函システムには、例えば、図6に示すように、ダンボール材1の搬送経路上にガイドロール7が設けられている。ガイドロール7は、TD方向(高さ方向に対応)の上側から表ライナ9aの表面に周面部が接触するように配置されており、ダンボール材1の搬送を案内(ガイド)する部材である。このガイドロール7に余剰フラップ部6が干渉すると、テープ部材4Tや余剰フラップ部6が剥離したり破損したりするおそれがある。
また、製函システムのカット工程には、ダンボール材1をCD方向に沿って枚葉状のシートにカットする刃が設けられている。ダンボール材1に余剰フラップ部6が存在していると、カット工程の刃がダンボール材の搬送の妨げとなり、搬送性が低下するおそれがある。また、上述した要因以外にも、製函時にシートを折り畳むための機械が余剰フラップ部6に干渉するおそれがある。
これらのように、ダンボール材1を製函システムに通した際には、様々な要因が上記の課題Pを招くおそれがある。
上記の観点Pに立脚した所定の構成には、以下に示す構成1,2が含まれる。
・構成1:余剰フラップ部6の横方向の長さ6Lが所定の長さ以下であること
・構成2:余剰フラップ部6のこわさが所定値以下であること
構成1の「横方向の長さ」とは、製函システムにおいて搬送される余剰フラップ部6のMD方向に沿う長さ6Lに対応する寸法である。
構成2の「こわさ」とは、曲げ(たわみ)に対する抵抗性(いわゆる紙の「腰」)に対応するパラメータである。こわさの値が大きいほど、折り曲げのために大きな外力が必要となる。
本願の発明者らは、余剰フラップ部6の長さ6Lが所定の長さ以下であって余剰フラップ部6のこわさが所定値以下であれば、上述の課題Pが抑えられる傾向にあるとの知見を得た。逆に言えば、上述の構成1,2の範囲外にある余剰フラップ部6の長さやこわさのダンボール材1は、上述の課題Pが生じやすい傾向にあることを見出した。
余剰フラップ部6の長さ6Lが大きいほど、ダンボール材1を製函システムに通した際に余剰フラップ部6が干渉しやすくなるので、余剰フラップ部6の長さ6Lが所定の長さよりも大きいと上述の課題Pを招くものと推察される。
また、余剰フラップ部6のこわさが大きいほど折り曲げのために大きな外力が必要となり余剰フラップ部6が製函システムに通された際に干渉が生じやすくなり、テープ部材4Tの剥離をはじめとしてテープ部材4Tや余剰フラップ部6の破損が発生しやすくなる。そのため、こわさが所定のこわさ上限値よりも大きいことも、課題Pを招く要因と推察される。
構成1の「横方向の長さ」は上限値が60[mm]であり、50[mm]であることが好ましく、40[mm]であってもよい。
また、構成2の「こわさ」は上限値が1500[mN]であり、1400[mN]であることが好ましく、1300[mN]であってもよい。
ところで、継手部4は、他の部位に対して強度や剛性といった物性が異なるおそれがあり、見栄えの低下も招くおそれもある。そのため、製函される箱に要求された仕様や製函システムの諸元に応じて、箱に組み立てられる領域に継手部4を含めるか否かが判断される。よって、継手部4をオペレータやセンサ(装置)などに識別させることが要求されうる。
そこで、継手部4の識別性を確保する観点Qからは、継手部4に付設された余剰フラップ部6の長さ6Lが所定の下限値以上であることが好ましい。換言すれば、余剰フラップ部6の長さ6Lを識別性の確保される下限値以上に設定することが好ましい。
余剰フラップ部6の長さ6Lの下限値は20[mm]であることが好ましく、25[mm]であることがより好ましく、30[mm]であってもよい。
また、こわさは、上述の観点Pからは小さいほど望ましいものの、ダンボール材1の強度を確保する観点Rからは、所定の下限値以上であることが好ましい。すなわち、ダンボール材1の強度が確保される所定の下限値以上にこわさを設定することが好ましい。
「こわさ」の下限値は410[mN]であることが好ましく、420[mN]であることがより好ましく、430[mN]であってもよい。
[3.作用および効果]
本実施形態のダンボール材1は、上述の構成を備えることにより、製函システムにおけるダンボール材の搬送性を向上することができる。
[II.実施例]
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
まず、下記の表3,表4に示す実施例1〜8および比較例9〜16において、パラメータの測定対象となるダンボール材(以下「測定ダンボール材」と称する)の構成を説明する。
Figure 0006702495
Figure 0006702495
――測定対象――
実施例1〜8および比較例9〜16の測定ダンボール材には、以下に示す中芯原紙を用いた。
・中芯の坪量:120[g/m2]〔S120:王子マテリア株式会社製〕
一方、実施例1〜8および比較例9〜16のライナには、上記の表3,表4に示すように、以下に示す五種の坪量のうち何れか一つの坪量を採用した。
・ライナの坪量:120[g/m2]〔OFLC120:王子マテリア株式会社製〕
・ライナの坪量:170[g/m2]〔OFK170:王子マテリア株式会社製〕
・ライナの坪量:280[g/m2]〔OFK280:王子マテリア株式会社製〕
・ライナの坪量:100[g/m2]〔軽量中芯100:王子マテリア株式会社製〕
・ライナの坪量:320[g/m2]〔OFK320:王子マテリア株式会社製〕
ライナおよび中芯の坪量は、JIS Z0203:2000に準拠して温度23[℃]および湿度50[%]の温湿度条件で24時間以上の前処理が施された常態において測定した。
また、ライナと中芯とを貼合するダンボール用接着剤には、通常用いられるステインホール方式の澱粉糊を使用した。
実施例1〜8および比較例9〜16の測定ダンボール材は両面ダンボールであり、以下に示す2種のフルートのうち何れか一つのフルートを採用した。
・ A フルート:実施例1〜6,比較例9〜13
・ ABフルート:実施例7,8,比較例14〜16
また、測定ダンボール材は、以下に示す緒元の段繰りロールを有するコルゲータを用いて製造された。
>Aフルート
・ 段高 :4.5[mm]
・段山数:34[山/30cm]
>ABフルート
――Aフルート――
・ 段高 :4.5[mm]
・段山数:34[山/30cm]
――Bフルート――
・ 段高 :2.5[mm]
・段山数:50[山/30cm]
なお、「段山数」とは、シートにおいて30[cm]あたりの山(段)の数に対応し、段目の波長で30[cm]を除算した数値に対応する。
この測定ダンボール材は、下記のサイズである。
・ サ イ ズ :縦寸法1300[mm],
横寸法1100[mm],
高さ寸法1800[mm]
そして、上記の表3,表4に示す余剰フラップ部の長さ(余剰長さ)かつこわさとなるように製造された継手部の設けられた測定ダンボール材を実施例1〜8および比較例9〜16に用いた。
継手部では、下記のテープ部材を用いてライナどうしを継ぎ合わせた。
テープ部材:名称「クラフト粘着テープ」,品番「KS−NO.111−BK50P
」,幅40[mm],菊水テープ株式会社製
「余剰フラップ部の長さ」は、余剰フラップ部における横方向の他側(MD方向の他側に対応,流れ方向上流側に対応)で縦方向に延在する一辺と余剰フラップ部の横方向の一側(MD方向の一側に対応,流れ方向下流側に対応)で縦方向に延在する一辺とが横方向に離間する寸法を測定した。
余剰フラップ部の長さは下記のように計測する。
・手順1:余剰フラップ部を横方向の他側の一辺でライナから切り取る。
・手順2:手順1で切り取った余剰フラップ部に対応する原紙片で、縦方向の一端で
の寸法Xと縦方向の中央部での寸法Yと縦方向の他端での寸法Zとのそれ
ぞれを、SUS定規(品番:ST−600KD、新潟精機株式会社製)を
用いて測定する〔上述の図4(a),(b)参照〕。三点の寸法X,Y,
Zは小数点第1位を四捨五入する。
・手順3:三点で測定した寸法X,Y,Zの平均値を計測し、計測した平均値を余剰
フラップ部の長さとする。
「こわさ」は、下記の手順A〜Gで測定した。
・手順A:実施例1〜8および比較例9〜16の測定ダンボール材のそれぞれをイオ
ン交換水に1分間含浸し、イオン交換水から取り出す。
・手順B:余剰フラップ部に使用されているライナを、ライナが破れないように手で
剥がすことで中芯から分離する。
・手順C:手順Bで得られたライナをろ紙で挟んで、ライナの水を軽くとる。そして
、所定の矩形型枠にライナを嵌めて、横方向および縦方向に軽く張力をか
けた状態で風を当てて自然乾燥させる。
・手順D:手順Cを繰り返し、重量の変化率が1.0[%]以下となった段階で手順
Cを終える。
・手順E:手順Dで得られたライナを温度23[℃],湿度50[%]の環境下に2
4時間以上放置して、調温調湿する。
・手順F:手順Eで得られたライナを横方向38[mm]かつ縦方向70[mm]に
切り取る。
・手順G:手順Fで得られたライナの横方向が縦方向に対して垂直に屈曲するように
、屈曲力[mN]を下記の準拠規格,測定機器,曲げ角度・曲げ長さの測
定条件で測定する。屈曲力[mN]は測定ダンボール材のライナ両面を測
定して平均値を計測する。
>準拠規格:ISO 2493:2010
>測定機器:ISOこわさ試験機(Lorentzen&Wettre社製)
>曲げ角度(測定条件):15[°]
>曲げ長さ(測定条件):10mm
――評価――
上記のようにして余剰フラップ部の長さとこわさのそれぞれが測定された実施例1〜8および比較例9〜16について、つぎに説明する搬送性試験により搬送性を評価した。
ここで「搬送性」は、自動包装機において測定ダンボール材を搬送したときの評価基準である。
この搬送性試験は下記の手順1〜3で実施した。
・手順1:実施例1〜8および比較例9〜16の測定ダンボール材のそれぞれを五つ
用意する。
・手順2:下記の自動包装機を下記の製造条件にセットして、自動包装機に測定ダン
ボール材を通す。
>自動包装機:名称「Carton Wrap XL」,CMC社製
>製造条件:長さ:250[mm],幅:400[mm],高さ:150[mm]
の箱を1時間当たり800箱作成する搬送速度に設定する。
・手順3:実施例1〜8および比較例9〜16の測定ダンボール材それぞれについて
手順2を五[回]実施して、搬送性を評価する。
搬送性は以下の基準で評価した。
・◎:五[回]とも問題無く搬送される。
・○:一[回]だけ搬送が止まる。
・△:二[回]〜四[回]搬送が止まる。
・×:五[回]とも搬送が止まる。
最も評価の高い「◎」およびその次に評価の高い「○」は、良好な評価とした。一方、最も評価の低い「×」およびその次に評価の低い「△」は、不良な評価とした。
実施例1〜8では、余剰フラップ部の長さが60[mm]以下であり、こわさが1500[mN]以下であり、搬送性について少なくとも「〇」の良好な評価が得られた。
一方で、比較例11〜13,15,16では、余剰フラップ部の長さが60[mm]よりも大きいため、こわさが1500[mN]以下であっても、搬送性について「△」以下の不良な評価が得られた。
これらの比較例11〜13,15,16からは、余剰フラップ部の長さが60[mm]よりも大きいと、測定ダンボール材の搬送時に余剰フラップ部がガイドロール等に干渉し、テープ部材や余剰フラップ部の剥離や破損を招いたものと推測される。そのため、搬送性が不良となるものと推測される。さらに、比較例11と比較例13を比べると、比較例11では、比較例13よりも余剰フラップ部の長さが比較的短く、こわさがやや小さいため、比較例13よりも搬送性の評価が良好だったものと推測される。
こわさが1500[mN]よりも大きい比較例10,14では、搬送性について「×」の不良な評価が得られた。この比較例10では、余剰フラップ部の長さが60[mm]以下であっても、搬送性について「×」の不良な評価が得られた。
これらの比較例10,14からは、こわさが1500[mN]よりも大きいと余剰フラップ部6を折り曲げるために必要な外力が大きくなるため、テープ部材や余剰フラップ部の破損を招き、搬送性が不良となるものと推測される。
上記の比較例9〜16に鑑みて、実施例1〜8からは、余剰フラップ部の長さが60[mm]以下であり、且つ、こわさが1500[mN]以下であることにより、余剰フラップ部がガイドロールに干渉しにくくなることが推測される。よって、テープ部材や余剰フラップ部の破損が抑制され、搬送性が良好になると推察される。
更に言えば、実施例7に鑑みた実施例1からは、こわさが410[mN]以上であることによりライナの強度が確保されるので、搬送性の向上と測定ダンボール材の強度の確保とを両立できると言える。また、余剰フラップ部の長さが20[mm]以上であることにより継手部の識別性が確保される。
[III.変形例]
上述の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせることもできる。
たとえば、ダンボール材が製函システム用の資材である場合には、意図的に形成された切れ込みやミシン目などの追加加工が折目に施されていないことが好ましく、ダンボール材におけるライナの表層に設けられる罫線を起点(たとえば罫線を内側)に180[°]折り返される箇所が折目であることが好ましい。一方、ダンボール材が製函システム用以外の資材である場合には、切れ込みやミシン目などの加工が折目に施されていてもよい。
継手部は、上述のように旧表ライナの上面に新表ライナの下面を重ね合わせる構成に限らず、旧表ライナの下面に新表ライナの上面を重ね合わせる構成であってもよい。その場合、余剰フラップ部は、旧表ライナ(継ぎ合わされたライナの一方)の端縁が横方向の一側(MD方向,流れ方向下流側に対応する方向)へフラップ状に延出された部位である。
余剰フラップ部の延出している方向(横方向の一側)は、ダンボール材1を製函する製函システムにおける流れ方向下流側に対応する方向に少なくとも一致していればよく、ダンボール材1の製造工程における流れ方向との一致は必須ではない。
テープ部材の貼付態様の変形例として、図7に示すように新旧表ライナ91,92の下面に貼り付けられる態様が挙げられる。具体的に言えば、旧表ライナ91の上面に新表ライナ92を重ね合わせた状態で、縦方向に沿って旧表ライナ91と新表ライナ92とに跨って新旧表ライナ91,92の下面に貼り付けられた態様が挙げられる。この場合、余剰フラップ部6の長さ6Lは、横方向の他側で縦方向に延在する旧表ライナ91の端縁と余剰フラップ部6の横方向の一側で縦方向に延在する一辺とが横方向に離間する寸法に対応する。
また、継手部は、テープ部材でライナどうしを継ぎ合わせる構成に限らず、粘着剤でライナ原紙どうしを継ぎ合わせる構成や、ライナ原紙どうしが圧着された構成、ステープラでライナ原紙どうしを継ぎ合わせる構成であってもよい。
本発明はフラップ部の特性が重要であり、言い換えれば、表ライナ原紙の特性が重要となる。つまり、今回使用しているAフルート、ABフルート以外のシングルフルート、マルチフルートの表ライナ原紙の特性が本発明に合致していれば、同様の結果となる。
上述したダンボール材や測定ダンボール材に用いるライナ原紙および中芯原紙は、例に挙げた品番の製品に限らず、特許6213364号公報のダンボール用ライナの製造方法で作製したライナ原紙や、特開2017−218721号公報の段ボール原紙の製造方法で作製した中芯原紙を用いても良い。
1 ダンボール材
10 段目(波目)
2 シート
20 シート対
21 第一シート
22 第二シート
23 第三シート
4 継手部
4T テープ部材
40T 両面テープ
6 余剰フラップ部
6L 余剰フラップ部の長さ(第二方向の寸法)
7 ガイドロール
9a 表ライナ(ライナ)
9b 裏ライナ(ライナ)
9c 中芯
F 折目
L1 縦寸法(第一寸法)
L2 横寸法(第二寸法)
L3 高さ寸法(第三寸法)

Claims (4)

  1. 連続するダンボールにおいて矩形状のシートが第一方向に沿って直線状に延在する折目のそれぞれにおいて前記折目の沿う平面で前記第一方向に直交する第二方向へ折り返され、前記第一方向および前記第二方向の双方に直交する第三方向に沿って前記シートが積み重ねられた蛇腹折りのダンボール材であって、
    前記ダンボールを構成する原紙の一つであるライナどうしを継ぎ合わせて連続させる継手部と、
    前記継手部に対して、継ぎ合われた前記ライナの一方の端縁が前記第二方向に沿って前記第二方向の一側へフラップ状に延出した余剰フラップ部と、を有し、
    前記ライナの坪量が115[g/m ]以上であり300[g/m ]以下であって、
    前記余剰フラップ部は、
    前記第二方向の寸法が20[mm]以上であり60[mm]以下であって
    ISO2493:2010に準拠して測定されたこわさが410[mN]以上であり1500[mN]以下である
    ことを特徴とするダンボール材
  2. 前記継手部は、前記ライナどうしを貼り付けるテープ部材を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載のダンボール材。
  3. 前記余剰フラップ部は、自動包装機の流れ方向下流側へ延出した
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のダンボール材
  4. 請求項1〜の何れか1項に記載のダンボール材を用いた
    ことを特徴とするダンボール箱。
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