JP2023141085A - 蛇腹折りダンボール材及びこれを用いた自動包装システム - Google Patents
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Abstract
Description
よって、蛇腹折りダンボール材において、折目の箇所での罫割れを抑制するうえで改善の余地がある。
本実施形態で例示する蛇腹折りダンボール材(以下、単に「ダンボール材」ともいう)は、帯状に連続するダンボールが複数の折目で交互に折り返して積み重ねられた蛇腹折りの製函用資材である。このダンボール材には、中芯に対して両側にライナが設けられた両面ダンボールが用いられる。
詳細に言えば、自動包装システムの製函用資材に用いられたダンボール材は、シートが順繰りに送り出されるフィード工程,送り出されたシートが箱の展開パターンに切り抜かれるカット工程,箱の形状に折り立てられるフォールド工程といった種々の工程を経てダンボール箱に製函される。
なお、ダンボール箱を組み立てる製函システムは、特に制限されないが、たとえば自動包装システムの全自動システムである「CMC社製のカートンラップ1000」,「Neopost社製のCVP-500」,「オーエスマシーナリー社製のTXP-600」や、半自動システムの「Pack Size社製のEM7」,「Panotec社製のCompack」を用いることができる。
縦方向(図中には「CD」と記す)及び横方向(図中には「MD」と記す)は水平に沿う方向であり、ダンボール(折目)の沿う平面が延在する方向である。これらの縦方向と横方向とは互いに直交する。高さ方向(図中には「TD」と記す)は、鉛直方向に沿う方向であり、縦方向及び横方向の双方に直交する。
縦方向は、ダンボール材を平面状に展開した状態で、帯状に連続する両面ダンボールの幅方向に対応する。横方向は、平面状に展開した両面ダンボールが帯状に連続する方向(延在する方向)に対応する。高さ方向は、ダンボール材において両面ダンボールが折り重ねられた方向に対応する。
そのほか、特に断らない限り、本実施形態の「数値X~数値Y」なる表現は、数値X以上であって数値Y以下の範囲を意味する。
下記の一実施形態では、ダンボール材の構成を項目[1]及び[2]で述べる。項目[1]では、ダンボール材が折り畳まれた構造(以下「折畳構造」と称する)を説明する。項目[2]では、ダンボール材に用いられるダンボール(シート)の性状に関するパラメータを説明する。
そして、項目[1]及び[2]の構成による作用及び効果を項目[3]で述べる。
図1に示すように、ダンボール材1は、直方体状をなす製函用資材である。
ダンボール材1では、帯状に連続するシート2(図1では一部のみに符合を付す)が折目F(図1では一部のみに符合を付す)で折り返され、折り返されたシート2が高さ方向に積み重ねられている。
このように折り畳まれたダンボール材1には、縦方向及び高さ方向の双方に沿う一対の側面に、複数の折目Fが縦方向に沿って直線状に延在する。
・第一シート21:第二シート22の一側に連続するシート2
・第二シート22:第一シート21と第三シート23との双方に連続するシート2
・第三シート23:第二シート22の他側に連続するシート2
第一折目F1は、第一シート21に対して横方向の一方(図1では右方)へ向けて第二シート22が折り返される折目Fであり、ダンボール材1における横方向の他方(図1では左方)に配置される。第二折目F2は、第二シート22に対して横方向の他方(図1では左方)へ向けて第三シート23が折り返される折目Fであり、ダンボール材1における横方向の一方(図1では右方)に配置される。
第一シート21及び第二シート22からなるシート対20では、第一端縁E1と第二端縁E2とが高さ方向に隣り合って配置される。
なお、ダンボール材1は、汚損や荷崩れを防ぐために、包装用のフィルムで被包(包装)されることが好ましい。
[2.パラメータ]
以下、ダンボール材1のパラメータを説明する。
まず、ダンボール材1のサイズや段数などの基本的なパラメータを述べる。その後に、ダンボール材1の物性に関するパラメータを詳述する。
ダンボール材1のサイズは、下記の寸法L1~L3から定まる。
・ 縦寸法L1 :縦方向の寸法
・ 横寸法L2 :横方向の寸法
・高さ寸法L3:高さ方向の寸法
上記の寸法L1~L3は、小さいほど製造される箱のサイズや形状の制約が大きくなるおそれがあり、大きいほど運搬や納入といった作業性が低下するおそれがある。
これらの観点より、寸法L1~L3は、下記の範囲であることが好ましい。
たとえば、ダンボール材1の段数としては、たとえば10~1000[段]のさまざまな段数が挙げられる。詳細を後述する折り畳みに関するパラメータが測定される対象のダンボール材については、所定の段数(たとえば100[段])未満の測定対象については、全段のそれぞれにおいてパラメータを測定するのが好ましい。一方、所定の段数(たとえば100[段])以上の測定対象については、部分的に(たとえばパートに分けた部分や設定された領域の)パラメータを測定してもよい。
上記の坪量に中芯の段繰率を加味し、縦寸法L1及び横寸法L2とシート2の段数N+1とを乗算すれば、ダンボール材1の重量が算出される。
本実施形態のダンボール材1は、折目Fの箇所でライナに破れ(罫割れ)が生じにくいようにする観点に立脚して、ダンボール材1の物性に関する構成を備えている。具体的には、以下の観点に立脚して、ダンボール材1に用いるライナの物性に関する所定の構成を備えている。
・観点:折目Fの箇所でライナの罫割れを抑えること
上記の観点は、下記の課題を解決するための観点である。
・課題:折目Fの箇所でライナの罫割れを招きやすいこと
蛇腹折りダンボール材1における折目Fは、連続するシートが180[°]折り返される箇所である。ダンボール材1では、この折目Fの箇所でライナに罫割れが発生しやすい傾向がある。そのため、上記の課題は、蛇腹折りダンボール材1で折目Fの箇所でライナに罫割れを招きやすい課題といえる。
・構成1:小サイズ繊維の個数割合が所定の第一割合範囲内である
・構成2:中サイズ繊維の個数割合が所定の第二割合範囲内である
・構成3:大サイズ繊維の個数割合が所定の第三割合範囲内である
・構成4:パルプ繊維の長さ加重平均繊維長が所定の長さ範囲内である
「小サイズ繊維」は、パルプ繊維長が0.01[mm]以上であって0.50[mm]未満である短いサイズのパルプ繊維である。
「小サイズ繊維の個数割合」は、ライナを構成するパルプ繊維のうち小サイズ繊維が含有される割合である。
「中サイズ繊維の個数割合」は、ライナを構成するパルプ繊維のうちの中サイズ繊維が含有される割合である。
「大サイズ繊維」は、パルプ繊維長が1.20[mm]以上であって10.00[mm]未満である中サイズのパルプ繊維である。
「大サイズ繊維の個数割合」は、ライナを構成するパルプ繊維のうち大サイズ繊維が含有される割合である。
「長さ加重平均繊維長」は、ISO 16065-2:2007に準拠して測定された、パルプ繊維長の平均値に対応するパラメータである。
つまり、ダンボール材1には、上述の観点に立脚して上記の構成1~4が備えられている。
構成1の小サイズ繊維の個数割合が多いほど、繊維どうしの相対的な変位が許容される傾向にあり、衝撃(外力)に対する緩衝性が高い傾向にある。この小サイズ繊維の個数割合の多いダンボール材1が折り重ねられた状態について言えば、ダンボール材1において折目Fをなすライナに加わる衝撃が緩和(緩衝)されやすくなる。小サイズ繊維の個数割合が少ないダンボール材1では衝撃によって折目Fの破損を招きやすいのに対して、このような衝撃が小サイズ繊維の個数割合が多いダンボール材1では緩和され、折目Fを破損させる衝撃を緩和する緩衝効果を発揮する傾向にある。
よって、構成1~4を兼ね備えることにより、ダンボール材1において折目Fの箇所で罫割れが生じることを抑制することができる。
一方、構成1~4(特に構成1,2及び3)の少なくとも何れか一つを満足しない場合、緩衝効果とライナの強度確保との少なくとも一方が不十分になり、罫割れが生じやすくなる。
大サイズ繊維の個数割合が第三割合範囲を下回る場合には、大パルプ繊維の個数割合が少ないためライナの強度が不十分になり、罫割れが生じやすくなるものと推察される。一方、大サイズ繊維の個数割合が第三割合範囲を上回る場合には、相対的に中サイズ繊維及び小サイズ繊維の個数割合が減少するため緩衝効果が不十分になり、罫割れが生じやすいものと推察される。
長さ加重平均繊維長が所定の長さ範囲を超える場合、上記の構成1~3の少なくとも何れか一つを満足しない傾向がある。
第二割合範囲は、25[%]以上であって45[%]以下であり、好ましくは27[%]以上であって43[%]以下であり、より好ましくは30[%]以上であって40[%]以下である。
第三割合範囲は、5[%]以上であって25[%]以下であり、好ましくは10[%]以上であって25[%]以下であり、より好ましくは10[%]以上であって20[%]以下である。
所定の長さ範囲は、0.7[mm]以上であって1.2[mm]以下であり、好ましくは0.75[mm]以上であって1.15[mm]以下であり、より好ましくは0.8[mm]以上であって1.1[mm]以下である。
本実施形態のダンボール材1は、上述の構成1~4を兼ね備えることにより、ダンボール材1において折目Fの箇所でライナに罫割れが生じることを抑制することができる。
本実施形態のダンボール材1と、これを用いて内容物を梱包するためのダンボール箱を製造する製函機構と、を備えた自動包装システムによれば、ダンボール材1の罫割れが抑制されているので、ライナに破れのない適正なダンボール箱を製造することができる。
以下、実施例1~16及び比較例1~9を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
実施例1~16及び比較例1~9において、パラメータの測定される対象となるダンボール材(以下「測定ダンボール材」と称する)は、帯状の両面ダンボール(ダンボールウェブ)を複数の折目で蛇腹折りに折り畳んだものである。
・ サ イ ズ :縦寸法:800[mm],
横寸法:21000[mm]
上記の両面ダンボール1Wには横方向に1000[mm]間隔で離間した20[個]の折目Fが設けられる。
>温湿度条件:温度23[℃],湿度50[%Rh]
この測定ダンボール材は、下記のサイズである。
・ サ イ ズ :縦寸法:800[mm],
横寸法:1000[mm]
高さ寸法:21[段]
実施例1~16及び比較例1~9の両面ダンボールには、下記表1に示す坪量,紙厚,密度及びパルプ混合比率のライナと、下記表1に示す坪量,紙厚及び密度の中芯とが使用された。
なお、坪量はJIS P 8124:2011に準拠して測定した。紙厚は、JIS P 8118:2014に準拠して測定した。密度は、測定した紙厚及び坪量に基づいて算出した。
・ A フルート(シングルフルート),総厚:5.0[mm]
・ B フルート(シングルフルート),総厚:3.0[mm]
・ AC フルート( ダブルフルート),総厚:9.0[mm]
・手順A1:下記三種類のパルプスラリーをマスターバッチとして作成した
>パルプスラリーx:パルプ繊維長が0.00[mm]以上であって0.50[
mm]未満と想定されるパルプスラリー
>パルプスラリーy:パルプ繊維長が0.50[mm]以上であって1.20[
mm]未満と想定されるパルプスラリー
>パルプスラリーz:パルプ繊維長が1.20[mm]以上と想定されるパルプ
スラリー
・手順A2:手順A1で作成した各パルプスラリーの混合比率の調整や坪量の調整を含
む処理により、所望の物性に調整したライナ原紙を得た
・手順A10:下記三種のパルプα,β及びγにイオン交換水を加えて濃度2[質量%
]に調整した後、JIS P8220-1:2012に準拠して下記の
標準型離解機により20分間離解処理を実施した。
>パルプ α:針葉樹晒クラフトパルプ
>パルプ β:広葉樹晒クラフトパルプ
>パルプ γ:ダンボール古紙パルプ
>標準型離解機:品番No.2532,熊谷理機工業株式会社製
ッシュワイヤー」を用いて、32メッシュワイヤーを通過したパルプス
ラリーxを回収した。パルプスラリーxのフリーネス(CSF)は40
0[ml]である。なお、CSFは、JIS-P8220に準拠して標
準離解機にて試料を離解処理した後、JIS-P8121に準拠してカ
ナダ標準濾水度試験機にて測定した濾水度の値である。
>32メッシュワイヤー:線形0.29[mm],目開き0.50[mm],空間率
40.4[%],株式会社奥谷金網製作所製
を回収して、回収したパルプに対し下記の「12メッシュワイヤー」を
用いて、12メッシュワイヤーを通過したパルプスラリーyを回収する
とともに、12メッシュワイヤーを通過しなかったパルプスラリーzを
回収した。パルプスラリーyのCSFは450[ml]であり、パ
ルプスラリーzのCSFは500[ml]である。
>12メッシュワイヤー:線形0.90[mm],目開き1.22[mm],空間率
33.2[%],株式会社奥谷金網製作所製
・実施例1:パルプスラリーx,y,zを下記表1の混合比率で混合し、多層抄き抄紙
機を使用して抄紙を行って三層で構成される坪量100[g/m2]で紙
厚120[μm]のダンボール用ライナ原紙として、下記の抄紙条件で
作成された。また、密度0.83[g/m3]となるように適宜カレンダ
ー処理を実施した。
>抄紙条件:カチオン性の紙力増強剤を紙層の全パルプの合計100[質量部]に対し
て0.5[質量部]で含有する。なお、全てのカチオン性の紙力増強剤を
表層に含有させた。なお、ライナ原紙の三層のうち中層と裏層との抄紙条
件は上記の抄紙条件に限定されない。
m],密度を0.89[g/m3]に変更した点を除き、実
施例1と同様に作成した。
・実施例3:ライナ原紙の坪量を280[g/m2],紙厚を310[μm],密度を
0.90[g/m3]に変更した点を除き、実施例1と同様に作成した。
・実施例4~12,比較例1~9:パルプスラリーx,y,zを下記表1の混合比率
で混合した点を除き、実施例2と同様に作成した。
・実施例1:坪量100[g/m2],紙厚120[μm],密度0.83[g/cm3
]〔OND-EM100:王子マテリア株式会社製〕
・実施例2,4~12,15,16:坪量120[g/m2],紙厚135[μm],
密度0.89[g/cm3]〔OND-EM12
0:王子マテリア株式会社製,JIS規定の
MC級中芯原紙〕
・実施例3:坪量200[g/m2],紙厚220[μm],密度0.91[g/cm3
O]〔ND-EM200:王子マテリア株式会社製,JIS規定のMC
級中芯原紙〕
・実施例13:坪量120[g/m2],紙厚135[μm],密度0.89[g/
cm3]〔OPN-EM120:王子マテリア株式会社製,JIS規
定のMA級中芯原紙〕
・実施例14:坪量120[g/m2],紙厚135[μm],密度0.89[g/
cm3]〔OND-NB120:王子マテリア株式会社製,JIS
規定のMC級中芯原紙〕
・比較例1~9:坪量120[g/m2],紙厚135[μm],密度0.89[g/
cm3]〔OND-EM120:王子マテリア株式会社製,JIS規
定のMC級中芯原紙〕
・手順C1:中芯にライナを貼合するコルゲータ処理を1回実施して、片面ダンボール
が作成される。
・手順C2:片面ダンボールトにライナを貼合するコルゲータ処理を実施することで、
両面ダンボール(シングルフルート)が作成される。手順C1,C2を繰
り返し、両面ダンボールに更に片面ダンボールを貼合することで、マルチ
フルートの両面ダンボールが作成される。
コルゲータにおける加熱加圧条件は特に限定されない。一例として、加熱加圧条件は、シングルフェーサにおいて加熱温度120~200[℃],線圧20~40[kN/m],加圧時間0.01~0.20[秒]であって、ダブルフェーサにおいて加熱温度120~200[℃],線圧0.1~1.0[kN/m],加圧時間2~7[秒]であることが好ましい。
「中サイズ繊維」は、パルプ繊維長が0.50[mm]以上であって1.20[mm]未満である中サイズのパルプ繊維である。
「大サイズ繊維」は、パルプ繊維長が1.20[mm]以上であって10.00[mm]未満である中サイズのパルプ繊維である。ここで、大サイズ繊維の上限値は、ライナ原紙に用い得るパルプ繊維のサイズの上限として一般的な値を設定している。すなわち、大サイズ繊維の上限値を超える大きなパルプ繊維はライナ原紙に用いられないのが一般的である。
具体的には以下の手順D1~D5でライナのパルプ繊維を離解して、パルプ繊維長を測定した。
・手順D1:測定ダンボール材の下記切り出し位置から下記寸法で正方形の測定用サン
プルシートを切り出す
>寸法:縦方向40[cm]
横方向40[cm]
>切り出し位置:測定ダンボール材の任意の段における縦方向の端縁から中央側へ離
間した任意の位置(言い換えれば、幅方向の中央付近)
分間浸漬し、その後、イオン交換水から取り出す。
・手順D3:上記の手順D2で取り出した測定用サンプルシートから、ライナ原紙(表
ライナ及び裏ライナ)のそれぞれを破れないよう手で剥がして、ライナ原紙
と中芯原紙とを分離する。
2[質量%]に調整して、24[時間]浸漬する。
・手順D5:上記の手順D4でライナ原紙を24[時間]浸漬した後、ISP8220
-2:2012に準拠して下記の標準型離解機を用いて20分間離解処理
を行い、パルプを繊維状に離解する。
>標準型離解機:品番No.2532,熊谷理機工業株式会社製
上記の手順D5の後に未離解パルプが存在する場合は、再度上記の手順D5を実施して、パルプを繊維状に離解する。
測定機を用いて、上記の四種のパラメータを測定した。
>繊維長測定機:型式FS-5 UHDベースユニット付,バルメット社製
なお、上記の繊維長測定機は、付属のカメラを用いてパルプ繊維の1本1本を検出し、測定可能である。そのため、離解処理で得られたパルプ繊維を用いて、測定用サンプルシート(測定ダンボール材の一部)をなすライナ原紙に含まれる全パルプ繊維のうち、「小サイズ繊維の個数割合」と、「中サイズ繊維の個数割合」と、「大サイズ繊維の個数割合」と、全パルプ繊維における「長さ加重平均繊維長」との四種のパラメータを測定可能である。ここで、「個数割合」とは、全パルプ繊維の本数に対する所定サイズ(長さ)のパルプ繊維の本数の割合である。
測定ダンボール材の一部について測定した上記の四種のパラメータの数値は、測定ダンボール材(全体)をなすライナ原紙に含まれる全パルプ繊維に関する数値とみなすことができる。
上記のようにして、「小サイズ繊維の個数割合」,「中サイズ繊維の個数割合」,「大サイズ繊維の個数割合」及び「長さ加重平均繊維長」が測定された実施例1~16及び比較例1~9について、罫割性を評価した。
「罫割性」とは、測定ダンボール材で連続するシートどうしを折り返した折目の箇所でのライナの破れにくさに対応する評価基準である。
・手順E1:測定ダンボール材の最上段に下記の鉄板を載せた
>鉄板:品番「SPHC900サイズ」,鉄板市場社,寸法900[mm]×110
0[mm]
図3は、上述した測定ダンボール材1Mの側面図であって、最上段に鉄板5を載せた状態を示す。図3に示すように、測定ダンボール材1Mには、横方向の一側の折目FAと他側の折目FBとのそれぞれが10[個]ずつ設けられている。鉄板5は、測定ダンボール材1Mに対して、縦方向及び横方向の中央に位置するように最上段の上側を向いた面に載置されている。
>温湿度条件:温度23[℃],湿度50[%Rh]
・手順E3:上記の手順E2の後、鉄板を載置したまま、下記のビルトインチャンバーに下記の条件で24[時間]放置した
>ビルトインチャンバー:型式「TBR-3HW2P3AC」、エスペック株式会社
>条件:温度5[℃],Dry条件
>振動機:製品名「多軸振動試験装置」,品番「DS-3000-15L」,IMV
株式会社製
>加 振 力:30[kN]
>加振方法:ランダム波、
>周 波 数:100[Hz]
>試験時間:3[時間]
・手順E5:上記の手順E3及びE4の後、全ての折目FA及びFBの状態を目視で確
認した
・4:手順E4の後に何れの折目にもライナに破れが生じない
・3:手順E4の後に一[箇所]以上の折目でライナに破れAが生じた
・2:手順E4の後に一[箇所]以上の折目でライナに破れBが生じた
・1:手順E3の後に、一[箇所]以上の折目でライナに破れBが生じた
「破れA」は、ライナを構成する複数層のうち表層にのみ破れが生じ、中芯までは見えていない状態である。
「破れB」は、ライナが破れて中芯まで見えている状態である。
上記の基準で「3」以上を良好な評価とし、「2」以下を不良な評価とした。
小サイズ繊維の個数割合が45[%]以上であって、大パルプ繊維の個数割合が10[%]以上である実施例1~3,6~8,10,11,13~16では、罫割性で「4」の評価が得られた。
一方、小サイズ繊維の個数割合が40[%]未満又は55[%]よりも大きいか、中サイズ繊維の個数割合が25[%]未満又は45[%]よりも大きいか、大パルプ繊維の個数割合が5[%]未満又は25[%]よりも大きいか、長さ加重平均繊維長が0.7[mm]未満又は1.2[mm]よりも大きい比較例1~9では、罫割性で「2」以下の評価が得られた。
実施例4,5,9,12に鑑みて、実施例1~3,6~8,10,11,13~16からは、更に、小サイズ繊維の個数割合が45[%]以上であって、大パルプ繊維の個数割合が10[%]以上であれば、折目の箇所で罫割れを防止できると言える。
比較例5~7からは、小パルプ繊維の個数割合の数値が55[%]よりも大きい場合、相対的に中パルプ繊維及び大パルプ繊維の個数割合が減少するためライナの強度が不十分になり、罫割れが生じやすくなるものと推察される。
比較例8からは、大パルプ繊維の個数割合の数値が5[%]未満である場合、大パルプ繊維の個数割合が少ないためライナの強度が不十分になり、折目に破れ(罫割れ)が生じやすいものと推察される。
比較例1,4,6~9からは、中パルプ繊維の個数割合の数値が25[%]未満であるか、又は、45[%]よりも大きい場合、小パルプ繊維及び大パルプ繊維の少なくとも一方の個数割合が過大又は過少となり、緩衝効果とライナの強度との少なくとも一方が不十分になるものと推察される。
比較例5,6からは、長さ加重平均繊維長が、0.7[mm]未満である又は1.2[mm]よりも大きい場合には、小サイズ繊維の個数割合と、中サイズ繊維の個数割合と、大サイズ繊維の個数割合との少なくとも何れか一つを満足しない傾向がある。
上述の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせることもできる。
ダンボール材が製函システム用の資材である場合には、意図的に形成された切れ込みやミシン目などの追加加工が折目に施されていないことが好ましく、ダンボール材におけるライナの表層に設けられる罫線を起点(たとえば罫線を内側)に180[°]折り返される箇所が折目であることが好ましい。一方、ダンボール材が製函システム用以外の資材である場合には、切れ込みやミシン目などの加工が折目に施されていてもよい。
蛇腹折りダンボール材には、従来の枚葉のダンボールシートと異なる、複数のシートが折目を介して連設された構造を活かした様々な活用方法がある。
例えば、蛇腹折りダンボール材は、シートを展開した状態で、延在する方向の寸法が大きいウェブ状の紙資材として扱うこともできる。
災害用品としての利用:窓に貼り付けることで、台風時の窓割れ対策に利用で
きるほか、避難所でのプライバシー保護やストレス軽
減用のパーテーションとしての利用や、緩衝材や冷え
対策用の敷物として利用可能である。
イベント行事での利用:イベントや学校行事の看板等の創作物に利用可能であ
る。
建築/引越資材としての利用:建築現場や引越し現場で一時的にドアや壁、扉などを
守る必要がある場合、対象物に貼り付けるタイプの保
護材(養生材)として活用可能である。対象物に巻き
付けるタイプの保護材(梱包資材)として利用するこ
ともできる。
何れの利用方法においても、複数のシートが折目を介して連設された構造であることで、作業効率向上や、延在する方向の寸法を確保できるという利点がある。
1W 両面ダンボール
1M 測定ダンボール材
10 段目(波目)
2 シート
20 シート対
21 第一シート
22 第二シート
23 第三シート
F 折目
FA,FB 折目
L 補助線
L1 縦寸法
L2 横寸法
L3 高さ寸法
Claims (4)
- 中芯に対してライナを貼合した帯状に連続するダンボールを、前記ダンボールの面において前記ダンボールが帯状に延在する方向に対し交差する方向に延びた複数の折目で交互に折り返して積み重ねられた蛇腹折りダンボール材であって、
ISO 16065-2:2007に準拠して測定された前記ライナに用いるライナ原紙のパルプ繊維の長さ加重平均繊維長が、0.7[mm]以上であって1.2[mm]以下であり、
前記ライナの前記パルプ繊維のうち、ISO 16065-2:2007に準拠して測定されたパルプ繊維長が0.01[mm]以上であって0.50[mm]未満である小サイズ繊維の個数割合が40[%]以上であって55[%]以下であり、
前記ライナの前記パルプ繊維のうち、ISO 16065-2:2007に準拠して測定されたパルプ繊維長が0.50[mm]以上であって1.20[mm]未満である中サイズ繊維の個数割合が25[%]以上であって45[%]以下であり、
前記ライナの前記パルプ繊維のうち、ISO 16065-2:2007に準拠して測定されたパルプ繊維長が1.20[mm]以上であって10.00[mm]未満である大サイズ繊維の個数割合が5[%]以上であって25[%]以下である
ことを特徴とする蛇腹折りダンボール材。 - 前記小サイズ繊維の個数割合が45[%]以上であり、
前記大サイズ繊維の個数割合が10[%]以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の蛇腹折りダンボール材。 - 前記ライナの坪量が100[g/m2]以上であって280[g/m2]以下であり、
前記中芯の坪量が100[g/m2]以上であって200[g/m2]以下であり、
前記ダンボールがシングルフルート又はダブルフルートである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の蛇腹折りダンボール材。 - 請求項1~3の何れか1項に記載の蛇腹折りダンボール材と、
前記蛇腹折りダンボール材を用いて内容物を梱包するためのダンボール箱を組み立てるための製函機構と、を備えた
ことを特徴とする自動包装システム。
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---|---|---|---|
JP2022047219A JP7107459B1 (ja) | 2022-03-23 | 2022-03-23 | 蛇腹折りダンボール材及びこれを用いた自動包装システム |
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JP2004156160A (ja) * | 2002-11-05 | 2004-06-03 | Rengo Co Ltd | 製紙方法 |
JP6947319B1 (ja) * | 2021-02-02 | 2021-10-13 | 王子ホールディングス株式会社 | ダンボール材およびこれを用いたダンボール箱 |
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- 2022-03-23 JP JP2022047219A patent/JP7107459B1/ja active Active
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