JP3160065U - 段ボール及び段ボール箱 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた美粧性と衛生性を有し、白い再生紙の原料古紙とすることができる段ボールおよび段ボール箱を提供する。【解決手段】ライナー1と中芯2とからなる段ボールであって、ライナー1及び中芯2原紙の原材料を晒バージンパルプとし、前記ライナー1及び中芯2の白色度を80%以上とする。また、段ボール箱は、上記段ボールからなる段ボール箱であって、段ボール箱の接合に有害成分を含有しない接着剤を用いる。【選択図】図1
Description
本考案は、晒バージンパルプを原材料とする段ボールおよび段ボール箱に関するものである。
食品、食品容器、医薬品などの包装資材に用いる段ボールには優れた美粧性と衛生性が要求される。
美粧性については外観的に真っ白であることと、白色表層紙あるいは表面塗工層の内側の段ボール古紙の色または古紙中の未晒クラフトパルプ及び古紙中の夾雑物などが透けて見えないことが要求される。真っ白であることについては、JIS−P8148法によるISO白色度が80%以上であることが望ましい。
衛生性については、古紙中の有害夾雑物、古紙原料由来の古紙中の蛍光染料、その他の古紙中の不衛生な物、コルゲート加工や製函加工に用いられる糊に含まれる有害成分など、食品衛生上の不適切な物が含まれていないことが要求される。
通常の段ボールは、ライナーには表層に未晒クラフト紙を抄合わせたKライナーまたはCライナーが、中芯には中芯原紙が用いられている。このKライナー、Cライナーおよび中芯原紙は通常80%から100%の段ボール古紙から製造される。KライナーおよびCライナーの表面は茶褐色で、その白色度は高くとも35%程度である。
また、表側のライナーの最外層に白色度の高い薄紙を抄合わせた白ライナーまたはコート白ボールを用いることで美粧性を持たせた段ボールも数多く存在するが、白色表層紙あるいは表面コート層の内側の段ボール古紙の色が透けて見える。
また、表側のライナーの最外層に白色度の高い薄紙を抄合わせた白ライナーまたはコート白ボールを用いることで美粧性を持たせた段ボールも数多く存在するが、白色表層紙あるいは表面コート層の内側の段ボール古紙の色が透けて見える。
以上に示したように、従来の段ボールは、十分な白さを備えておらず、美粧性を有していないので、食品、食品容器、医薬品などの包装資材としては適していなかった。また、段ボール箱の製函において有害成分を含有する接着剤を用いて接合した段ボール箱は、衛生性に欠けるので、上記と同様に、食品などの包装資材としては適していなかった。
ところで、環境問題や資源保護に対応するため、一度使用した古紙は、再生紙の原料として再利用されている。古紙には上質古紙、新聞古紙、段ボール古紙など様々なグレードがあるものの、印刷用紙や包装用紙などのいわゆる白い紙を作るための古紙パルプの原料古紙は白い紙に限られる。したがって、通常の段ボールや未晒クラフト紙などは、白い紙を作るための古紙パルプ製造工程において、原料古紙として投入することができなかった。
また、オフィスなどから排出される機密古紙は、上質紙や印刷用紙の古紙であり、白い紙を作るための古紙パルプ製造工程における古紙としては上級の部類に属するが、通常、機密古紙は普通の褐色仕様の段ボールに入れられて製紙工場に運ばれ、その段ボール箱の中身の機密古紙だけが古紙パルプ製造工程に投入され、輸送に使用された段ボール箱は別の用途に供される。したがって、機密古紙と段ボール箱を分別する必要があり、またこの際、機密が漏れてしまう恐れもあった。
なお、特許文献1ないし3のように、段ボールに製函した後の外側に相当するライナーにのみ、あるいは段ボールに製函した後の内側に相当するライナーにのみ、高い白色度と衛生性を備える紙を使用して高い美粧性を持たせた段ボールも存在するが、段ボールを構成するすべての原紙を、高白色度でかつ古紙無配合であって衛生性を備える紙とした段ボールは、未だ供給されていない。
そこで本考案は上記課題を解決するためになされたものであり、優れた美粧性と衛生性を有し、白い再生紙の原料古紙とすることができる段ボールおよび段ボール箱を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1記載の考案は、ライナーと中芯とからなる段ボールであって、ライナー及び中芯原紙の原材料を晒バージンパルプとし、前記ライナー及び中芯の白色度を80%以上とすることを特徴とする。
これによると、十分な白さを備え、しかも内部の色が透けて見えることのない段ボールを提供することができる。また、使用済みの本考案に係る段ボールは、白い再生紙を製造するための原料古紙とすることができる。
請求項2記載の考案は、請求項1記載の段ボールからなる段ボール箱であって、段ボール箱の接合に有害成分を含有しない接着剤を用いることを特徴とする。
これによると、上記段ボールを用いて段ボール箱を形成するので、十分な白さを備え、内部の色が透けて見えることのない段ボール箱を提供することができる。しかも、段ボール箱の接合に有害成分を含有しない接着剤を用いるので、本考案に係る段ボール箱は衛生性にも優れている。
使用済みの本考案に係る段ボール箱は、上記段ボールと同様に、白い再生紙を製造するための原料古紙とすることができる。これに関連して、本考案に係る段ボール箱は、機密古紙の回収輸送用段ボールとして使用することができ、封緘においてテープ等の固定手段が古紙再生工程に対応可能なものである場合には、機密古紙の充填された段ボール箱を開梱することなくそのまま離解パルパーに投入することが可能である。
使用済みの本考案に係る段ボール箱は、上記段ボールと同様に、白い再生紙を製造するための原料古紙とすることができる。これに関連して、本考案に係る段ボール箱は、機密古紙の回収輸送用段ボールとして使用することができ、封緘においてテープ等の固定手段が古紙再生工程に対応可能なものである場合には、機密古紙の充填された段ボール箱を開梱することなくそのまま離解パルパーに投入することが可能である。
請求項3記載の考案は、請求項2記載の段ボール箱において、前記接着剤が水溶性であることを特徴とする。
これによると、段ボール箱の接合に用いる接着剤を水溶性のものとすることで、再生紙を製造する際の古紙工程における分散性を確保できる。
請求項1記載の考案によると、本考案に係る段ボールは、十分な白さを備え、内部の色が透けて見えることがないので、美粧性に優れ、清潔感を備えている。そのため、当該段ボールは、食品、食品容器、医薬品などの包装資材としても用いることもできる。また、使用済みの本考案に係る段ボールは、白い再生紙を製造するための原料古紙とすることができる。
請求項2記載の考案によると、上記段ボールを用いて段ボール箱を形成するので、美粧性に優れ、かつ、清潔感のある段ボール箱を提供することができる。しかも、段ボール箱の接合において有害成分を含有しない接着剤を用いるので、本考案に係る段ボール箱は衛生性にも優れている。そのため、本考案に係る段ボール箱は、食品分野および医薬品分野などにおける包装容器としても用いることができる。
また、使用済みの本考案に係る段ボール箱は、白い再生紙を製造するための原料古紙とすることができる。さらに、本考案に係る段ボール箱は、機密古紙の回収輸送用段ボールとして使用することができ、機密古紙の充填された段ボール箱を開梱することなくそのまま離解パルパーに投入することができる。したがって、従来の段ボール箱を使用して機密古紙を回収した場合のように、古紙再生工程において機密古紙と段ボール箱を分別する必要が無く、機密が漏れる恐れもない。
また、使用済みの本考案に係る段ボール箱は、白い再生紙を製造するための原料古紙とすることができる。さらに、本考案に係る段ボール箱は、機密古紙の回収輸送用段ボールとして使用することができ、機密古紙の充填された段ボール箱を開梱することなくそのまま離解パルパーに投入することができる。したがって、従来の段ボール箱を使用して機密古紙を回収した場合のように、古紙再生工程において機密古紙と段ボール箱を分別する必要が無く、機密が漏れる恐れもない。
請求項3記載の考案によると、段ボール箱の接合に水溶性の接着剤を用いることにより、再生紙を製造する際の古紙工程における分散性を確保できる。
以下、本考案に係る段ボールBおよび段ボール箱Cを実施するための形態について図面を用いて説明する。
まず、本考案に係る段ボールBの実施形態について説明する。本実施形態による段ボールBは、コルゲート加工により得られる両面段ボールであって、図1及び図2に示すように、波形成形された中芯2と、その波頂部および波谷部に接着される2枚のライナー1,1とによって構成されている。
ライナー1,1および中芯2原紙は、晒処理を施したバージンパルプを原材料とする。具体的には、ライナー1,1については、晒処理を施したバージンパルプを原材料とする高級白板紙、特殊白板紙または食品容器原紙などの白板紙や加工原紙を、中芯2原紙については、これを原材料とする上質紙、上質コート紙、晒クラフト紙または純白ロール紙などの印刷用紙や包装用紙、または食品容器原紙などの加工原紙をそれぞれ適用することができる。
上記紙種の中でも、コスト性、取扱性および衛生性の観点からは、ライナー1,1としてはカップ原紙などの加工原紙を、中芯2原紙には上質紙などの印刷用紙を使用することが望ましい。
この構成によると、ライナー1,1及び中芯2原紙のJIS−P8148法に準拠する白色度を80%以上とすることができる。
上記紙種の中でも、コスト性、取扱性および衛生性の観点からは、ライナー1,1としてはカップ原紙などの加工原紙を、中芯2原紙には上質紙などの印刷用紙を使用することが望ましい。
この構成によると、ライナー1,1及び中芯2原紙のJIS−P8148法に準拠する白色度を80%以上とすることができる。
段ボールBは、上記ライナー1,1および中芯2原紙に対し、コルゲータを用いて、中芯2原紙を波型成形し、中芯2の波頂部および波谷部にライナー1,1を接着することにより製造することができる。
ライナー1,1と中芯2の接着には接着剤が用いられる。この接着剤としてはコーンスターチ、馬鈴薯でんぷん、タピオカでんぷんなどのでんぷん糊もしくは変性でんぷん糊、酢酸ビニル共重合体もしくはアクリル酸エステル共重合体などの水性エマルジョン糊を挙げることができる。中でも、古紙再生工程における分散性および衛生性の観点からは、コーンスターチなどの変性でんぷん糊が望ましい。以下、ライナー1,1と中芯2の接着に用いる接着剤は、コーンスターチなどの変性でんぷん糊であるものとして説明を行う。
以上により構成される本考案に係る段ボールBは、十分な白さを備え、しかも内部の色が透けて見えることがないので、美粧性に優れ、清潔感を備えている。そのため、本考案に係る段ボールBは、食品、食品容器、医薬品などの包装資材として用いることもできる。さらに、使用済みの本考案に係る段ボールBは、白い再生紙を製造するための原料古紙とすることができる。
また、ライナー1,1と中芯2の接着剤として、コーンスターチなどの変性でんぷん糊を使用することにより、段ボールの衛生性および古紙再生工程における分散性を確保できる。
また、ライナー1,1と中芯2の接着剤として、コーンスターチなどの変性でんぷん糊を使用することにより、段ボールの衛生性および古紙再生工程における分散性を確保できる。
なお、本考案の実施形態として両面段ボールについて説明したが、本考案は、中芯2の波頂部または波谷部の一方にのみライナー1を接着する片面段ボールにも適用することができ、例えばこれを梱包材等として使用することもできる。
次に、本考案に係る段ボール箱Cの実施形態について説明する。図3および図4は、本考案に係る段ボール箱Cの実施形態を示す。段ボール箱Cは、上記段ボールBを用いて加工された段ボールシートSを製函して製造される。
段ボールシートSは、4面の側面シート11、12、13、14と、側面シートの上縁および下面にそれぞれ設けられる上面フラップ21、22、23、24及び下面フラップ31、32、33、34と、により構成される。また、側面シート11の側縁には、側面シート11、14を連結するための継ぎしろ部41が設けられている。この継ぎしろ部41の外面を側面14の内面に接合すると、側面シート11、14が連結され、梱包前の段ボール箱Cが完成する。
段ボール箱Cの製造については、まず、プリンタ、スロッタおよびダイカッタ等を用いて、上記段ボールBの断裁、溝切り、けい線入れおよび型抜の各処理を行い、段ボールシートSを形成する。次いで、グルアを用いて段ボールシートSの接合(製函)処理等を行うことにより段ボールCが製造される。
段ボールシートSの接合には接着剤が用いられる。この接着剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性糊を挙げることができる。中でも、古紙再生工程における分散性および衛生性の観点からは、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子糊が望ましい。
以上により構成される本考案に係る段ボール箱Cは、優れた美粧性と清潔感を有し、しかも、衛生性および古紙再生工程における分散性にも優れている。
本考案に係る段ボール箱Cの使用方法については、一般的な段ボール箱と同様であり、対象物の梱包の際に、側面シート11、12、13、14を長方形形状に広げ、上面フラップ21、22、23、24および下面フラップ31、32、33、34を内側に折り曲げてテープ等の固定手段により封緘して使用する。
本考案に係る段ボール箱Cは、その性質により、従来の段ボール箱と同じ用途に使用できることは勿論のこと、美粧性や衛生性が求められる食品分野および薬品分野等の容器としても使用することができる。
また、本考案に係る段ボール箱Cは、機密古紙の回収輸送用段ボールとして使用することができ、封緘の際に用いられるテープ等の固定手段が古紙再生工程に対応可能なものである場合には、機密古紙の充填された段ボール箱Cを開梱することなくそのまま離解パルパーに投入することが可能である。したがって、従来の段ボール箱を使用して機密古紙を回収した場合のように、古紙再生工程において機密古紙と段ボール箱を分別する必要が無く、機密が漏れる恐れもない。
本考案に係る段ボール箱Cは、その性質により、従来の段ボール箱と同じ用途に使用できることは勿論のこと、美粧性や衛生性が求められる食品分野および薬品分野等の容器としても使用することができる。
また、本考案に係る段ボール箱Cは、機密古紙の回収輸送用段ボールとして使用することができ、封緘の際に用いられるテープ等の固定手段が古紙再生工程に対応可能なものである場合には、機密古紙の充填された段ボール箱Cを開梱することなくそのまま離解パルパーに投入することが可能である。したがって、従来の段ボール箱を使用して機密古紙を回収した場合のように、古紙再生工程において機密古紙と段ボール箱を分別する必要が無く、機密が漏れる恐れもない。
以上に説明した段ボールBおよび段ボール箱Cの実施例について説明する。
ライナー1,1の原紙については、カナダ標準ろ水度で500mlに叩解されたLBKPバージンパルプおよびNBKPバージンパルプの1:1重量部からなる原料パルプに、0.2重量%のサイズ剤を添加し、多層抄き抄紙機で澱粉糊を層間接着糊として用い、4層抄き合せで抄紙して、坪量180g、白色度83%のカップ原紙が製造される。
中芯2原紙については、カナダ標準ろ水度で450mlに叩解されたLBKPバージンパルプおよびNBKPバージンパルプの9:1重量部からなる原料パルプに、0.2重量%のサイズ剤を添加し、長網抄紙機で抄紙して、坪量127.9g、白色度86%の上質紙が製造される。
上記上質紙を中芯2原紙として、上記カップ原紙を表ライナー1および裏ライナー1として、コーンスターチ糊を接着剤として用い、コルゲータで段ボールBを製造する。次いで、上記段ボールBを、プリンタ、スロッタおよびダイカッタ等により段ボールシートSに加工する。最後に、水溶性のPVA糊を用い、グルアで段ボールシートSの接合処理を行うことにより、本考案に係る段ボール箱Cが完成する。
実施例の段ボールBの破裂強度について、JIS P8131に規定されている方法により評価したところ、その破裂強度は1150kPaであった。したがって、本考案の段ボールBはJIS Z1516の両面段ボール2種の規格を満たす段ボールとして用いることが可能である。
1 ライナー
2 中芯
11、12、13、14 側面シート
21、22、23、24 上面フラップ
31、32、33、34 下面フラップ
41 継ぎしろ部
B 段ボール
C 段ボール箱
S 段ボールシート
2 中芯
11、12、13、14 側面シート
21、22、23、24 上面フラップ
31、32、33、34 下面フラップ
41 継ぎしろ部
B 段ボール
C 段ボール箱
S 段ボールシート
Claims (3)
- ライナー(1)と中芯(2)とからなる段ボールであって、ライナー(1)及び中芯(2)原紙の原材料を晒バージンパルプとし、前記ライナー(1)及び中芯(2)の白色度を80%以上とすることを特徴とする段ボール。
- 請求項1記載の段ボールからなる段ボール箱であって、段ボール箱の接合に有害成分を含有しない接着剤を用いることを特徴とする段ボール箱。
- 前記接着剤は水溶性であることを特徴とする請求項2記載の段ボール箱。
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