JP6947161B2 - タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。
従来より、タイヤの転がり抵抗を低減することにより(転がり抵抗性能の向上)、車の低燃費化が行われてきたが、近年、車の低燃費化への要求はますます強くなってきており、タイヤ部材の中でもタイヤにおける占有比率の高いトレッド部を製造するためのゴム組成物に対して、優れた低発熱性(低燃費性)が要求されている。
ゴム組成物において低発熱性を満足させる方法として、補強用充填剤の含有量を減量する方法が知られている。しかし、この場合、ゴム組成物の硬度が低下するためタイヤが軟化し、車のハンドリング性能(操縦安定性)やウェットグリップ性能が低下したり耐摩耗性が低下したりするという問題があった。
特許文献1には、シランカップリング剤を重合させた重合体を含有することにより、低燃費性を改善できることが開示されているが、まだ改善の余地があり、また他の技術の開発も望まれている。
特開2012−52128号公報
本発明は、前記課題を解決し、良好な硬度を維持しつつ、シリカの分散性、低燃費性を向上できるタイヤ用ゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明者が鋭意検討した結果、特定の化合物を配合することにより、良好な硬度を維持しつつ、シリカの分散性、低燃費性を向上できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、ゴム成分と、シリカと、下記式(I)で表される化合物、及び下記式(II)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種のシリカ分散剤とを含むタイヤ用ゴム組成物に関する。
Figure 0006947161
(式(I)中、Rは、炭化水素基を表す。R〜Rは、同一若しくは異なって、水素原子、炭化水素基、又は−(AO)−H基(nは整数を表し、R〜Rの各nは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)を表す。xは整数を表す。)
Figure 0006947161
(式(II)中、R11は、炭化水素基を表す。R12〜R15は、同一若しくは異なって、水素原子、炭化水素基、又は−(AO)−H基(nは整数を表し、R12〜R15の各nは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)を表す。y、zは、同一若しくは異なって、整数を表す。)
上記ゴム成分100質量%中のスチレンブタジエンゴムの含有量が30〜100質量%であることが好ましい。
上記ゴム成分100質量部に対して、上記シリカ分散剤を0.1〜10.0質量部含むことが好ましい。
上記ゴム成分100質量部に対して、上記シリカを20〜140質量部含むことが好ましい。
上記ゴム成分100質量部に対する、上記シリカ及びカーボンブラックの合計含有量が20〜160質量部であることが好ましい。
上記タイヤ用ゴム組成物は、トレッド用ゴム組成物として用いられることが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製したタイヤ部材を有する空気入りタイヤに関する。
上記タイヤ部材がトレッドであることが好ましい。
本発明によれば、ゴム成分と、シリカと、上記式(I)で表される化合物、及び上記式(II)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種のシリカ分散剤とを含むタイヤ用ゴム組成物であるので、良好な硬度を維持しつつ、シリカの分散性、低燃費性を向上できる。従って、該ゴム組成物をトレッドなどタイヤの各部材に使用することで前述の性能に優れた空気入りタイヤを提供できる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分と、シリカと、上記式(I)で表される化合物、及び上記式(II)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種のシリカ分散剤とを含む。
シリカなどの無機充填剤は表面の親水性が高く、ゴム中への分散性が低いという問題があった。本発明では、本願特定のシリカ分散剤をシリカと共に配合することにより、良好な硬度を維持しつつ、シリカの分散性、低燃費性を向上できる。これは、本願特定のシリカ分散剤が、第2級以上のアミン基(第2級アミン基又は第3級アミン基)(上記式(I)の−NR基、上記式(II)の−NR1112基)と共に、第1級〜第3級のアミン基(第1級アミン基、第2級アミン基又は第3級アミン基)(上記式(I)の−NR基、上記式(II)の−NR1415基)とを有する化合物であるため、該化合物分子の両末端に存在する特定の2個のアミン基が、シリカと相互作用することにより、シリカの分散性が向上するものと推測される。更に、本願特定のシリカ分散剤が、窒素原子に結合した−(AO)−H基を有する場合、シリカとの相互作用がより強固なものとなり、本発明の効果がより顕著に得られる。これは、−(AO)−H基が適度な親水性を有するためと推測される。
また、本発明では、良好な硬度を維持できるため、良好な車のハンドリング性能(操縦安定性)、ウェットグリップ性能、耐摩耗性が得られる。
本発明において使用できるゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、SBR、BRが好ましく、SBRとBRを併用することがより好ましい。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)等を使用できる。
SBRのスチレン含量は、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。また、SBRのスチレン含量は、好ましくは50質量%以下である。スチレン含量が上記範囲内のSBRを配合することにより、本発明の効果がより好適に得られる。
なお、スチレン含量は、H−NMR測定によって算出できる。
上記ゴム組成物がSBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは60質量%以上である。該SBRの含有量は、100質量%であってもよく、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。SBRの含有量が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
SBRは、JSR(株)、住友化学(株)、旭化成ケミカルズ(株)、日本ゼオン(株)、ランクセス社、トリンセオ社等より、製造販売されるものを使用できる。
BRとしては特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B、JSR(株)製のBR730等の高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等のシンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等を使用できる。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、BRのシス含量は90質量%以上が好ましい。
上記ゴム組成物がBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。該BRの含有量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。BRの含有量が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
ゴム成分100質量%中のSBR及びBRの合計含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上であり、100質量%であってもよい。SBR及びBRの合計含有量が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
本発明では、下記式(I)で表される化合物、及び下記式(II)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種のシリカ分散剤が使用される。シリカとともに、本願特定のシリカ分散剤を配合することにより、良好な硬度を維持しつつ、シリカの分散性、低燃費性を向上できる。なお、シリカ分散剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Figure 0006947161
(式(I)中、Rは、炭化水素基を表す。R〜Rは、同一若しくは異なって、水素原子、炭化水素基、又は−(AO)−H基(nは整数を表し、R〜Rの各nは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)を表す。xは整数を表す。)
Figure 0006947161
(式(II)中、R11は、炭化水素基を表す。R12〜R15は、同一若しくは異なって、水素原子、炭化水素基、又は−(AO)−H基(nは整数を表し、R12〜R15の各nは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)を表す。y、zは、同一若しくは異なって、整数を表す。)
〜R及びR11〜R15の炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。なかでも、脂肪族炭化水素基が好ましい。炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜30、より好ましくは5〜25、更に好ましくは8〜22、特に好ましくは12〜20である。
脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルキレン基、アルケニル基、アルケニレン基、アルキニル基、アルキニレン基等が挙げられる。なかでも、上記炭素数のアルキル基が好ましい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜8のものが好ましく、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜10のものが好ましく、具体的には、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル(tolyl)基、キシリル(xylyl)基、ナフチル基等が挙げられる。なお、トリル基及びキシリル基におけるベンゼン環上のメチル基の置換位置は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれの位置でもよい。
〜R及びR12〜R15の−(AO)−H基(nは整数を表し、R〜Rの各n及びR12〜R15の各nは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)のAOは、同一又は異なって、炭素数1〜6(好ましくは炭素数2〜4、より好ましくは炭素数2〜3)のオキシアルキレン基を表す。すなわち、AOは、より好ましくは炭素数2〜3のオキシアルキレン基(オキシエチレン基(EO)、オキシプロピレン基(PO))である。(AO)が2種以上のオキシアルキレン基を含む場合、オキシアルキレン基の配列はブロックでもランダムでもよい。
nは、AOの付加モル数を表す。nは、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜16、更に好ましくは1〜15、特に好ましくは1〜10、最も好ましくは1〜5である。
AOは、オキシエチレン基(EO)、オキシプロピレン基(PO)のみから構成されていることが好ましい。特に、−(AO)−H基は、−(EO)−H基、−(PO)−H基、−(EO)−(PO)−H基、−(PO)−(EO)−H基であることが好ましい。−(AO)−H基は、シリカ分散剤中にオキシプロピレン基(PO)が存在することで、シリカとの吸着が抑制され、シリカとシランカップリング剤との反応を阻害しにくくなり、より良好な低燃費性が得られるという理由から、−(PO)−H基、−(EO)−(PO)−H基、−(PO)−(EO)−H基であることがより好ましく、シリカ分散剤の分子末端付近にオキシプロピレン基(PO)が存在する−(PO)−H基、−(EO)−(PO)−H基であることが更に好ましく、−(EO)−(PO)−H基であることが特に好ましい。
a、bは、それぞれEO、POの付加モル数を表し、n=a+bである。
a、bは、それぞれ好ましくは1〜16、より好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜5である。bの下限は、特に好ましくは2である。
xは、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜7、更に好ましくは2〜5、特に好ましくは3である。
y、zは、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜7、更に好ましくは2〜5、特に好ましくは3である。
式(I)において、R〜Rのうち少なくとも1つが−(AO)−H基であることが好ましく、R〜Rのうち少なくとも2つが−(AO)−H基であることがより好ましく、R〜Rの全てが−(AO)−H基であることが更に好ましい。
すなわち、上記式(I)で表される化合物は、下記式(I−1)で表される化合物であることが更に好ましい。
Figure 0006947161
(式(I−1)中、n1、n2、n3が整数(nと同様の整数)を表す点以外は、式(I)と同様である。)
式(I)、式(I−1)において、AOの付加モル数の合計(n1+n2+n3)は、好ましくは1〜60、より好ましくは1〜30、更に好ましくは2〜16、特に好ましくは3〜15である。
式(II)において、R13は、水素原子であることが好ましい。また、R12、R14、R15のうち少なくとも1つが−(AO)−H基であることが好ましく、R12、R14、R15のうち少なくとも2つが−(AO)−H基であることがより好ましく、R12、R14、R15の全てが−(AO)−H基であることが更に好ましい。
式(II)において、AOの付加モル数の合計は、好ましくは1〜60、より好ましくは1〜30、更に好ましくは2〜16、特に好ましくは3〜15である。
シリカ分散剤としては、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、上記式(I)で表される化合物が好ましく、上記式(I−1)で表される化合物がより好ましい。また、上記式(I)で表される化合物において、R〜Rのうち少なくとも1つが水素原子であることも好ましく、R〜Rのうち少なくとも2つが水素原子であることもより好ましく、R〜Rの全てが水素原子であることも更に好ましい。
シリカ分散剤の具体例としては、例えば、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のリポミンDA−T(式(I)中、R:炭素数14〜18のアルキル基、R〜R:水素原子、x:3)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のリポミンDA−CD(式(I)中、R:炭素数10〜16のアルキル基、R〜R:水素原子、x:3)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のリポミンDA−HT(式(I)中、R:炭素数14〜18のアルキル基(硬化牛脂アルキル基)、R〜R:水素原子、x:3)、日油(株)製のニッサンアミンDT(式(I)中、R:炭素数14〜18のアルキル基、R〜R:水素原子、x:3)、日油(株)製のニッサンアミンDT−H(式(I)中、R:炭素数14〜18のアルキル基(硬化牛脂アルキル基)、R〜R:水素原子、x:3)、日油(株)製のニッサンアミンDOB−R(式(I)中、R:炭素数18のアルキル基、R〜R:水素原子、x:3)、日油(株)製のニッサンアミンDVフレーク(式(I)中、R:炭素数22のアルキル基、R〜R:水素原子、x:3)、アクゾノーベル(株)製のトリアミンT(式(II)中、R11:炭素数14〜18のアルキル基、R12〜R15:水素原子、y、z:3)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のリポノールDA−T/13(式(I)中、R:炭素数14〜18のアルキル基、R〜R:−(EO)−H基(AOの付加モル数の合計:3、式(I−1)のn1:1、n2:1、n3:1)、x:3)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のリポノールDA−HT/E13(式(I)中、R:炭素数14〜18のアルキル基(硬化牛脂アルキル基)、R〜R:−(EO)−H基(AOの付加モル数の合計:3、式(I−1)のn1:1、n2:1、n3:1)、x:3)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のリポノールDA−T/E18(式(I)中、R:炭素数14〜18のアルキル基、R〜R:−(EO)−H基(AOの付加モル数の合計:8、x:3)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のリポノールDA−T/25(式(I)中、R:炭素数14〜18のアルキル基、R〜R:−(EO)−H基(AOの付加モル数の合計:15、x:3)、日油(株)製のナイミーンDT−203(ポリオキシエチレンアルキルプロピレンジアミン)、日油(株)製のナイミーンDT−208(ポリオキシエチレンアルキルプロピレンジアミン)ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のリポノールDA−HT/E13−P13(式(I)中、R:炭素数14〜18のアルキル基(硬化牛脂アルキル基)、R〜R:−(EO)−(PO)−H基(AOの付加モル数の合計:6、式(I−1)のn1:2、n2:2、n3:2)、x:3)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のリポノールDA−HT/E13−P16(式(I)中、R:炭素数14〜18のアルキル基(硬化牛脂アルキル基)、R〜R:−(EO)−(PO)−H基(AOの付加モル数の合計:9、式(I−1)のn1:3、n2:3、n3:3)、x:3)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のリポノールDA−HT/P13−E13(式(I)中、R:炭素数14〜18のアルキル基(硬化牛脂アルキル基)、R〜R:−(PO)−(EO)−H基(AOの付加モル数の合計:6、式(I−1)のn1:2、n2:2、n3:2)、x:3)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のリポノールDA−T/E13−P16(式(I)中、R:炭素数14〜18のアルキル基、R〜R:−(EO)−(PO)−H基(AOの付加モル数の合計:9、式(I−1)のn1:3、n2:3、n3:3)、x:3)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のリポノールDA−HT/P13(式(I)中、R:炭素数14〜18のアルキル基(硬化牛脂アルキル基)、R〜R:−(PO)−H基(AOの付加モル数の合計:3、式(I−1)のn1:1、n2:1、n3:1)、x:3)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のリポノールDA−T/P13(式(I)中、R:炭素数14〜18のアルキル基、R〜R:−(PO)−H基(AOの付加モル数の合計:3、式(I−1)のn1:1、n2:1、n3:1)、x:3)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のリポノールDA−HT/P16(式(I)中、R:炭素数14〜18のアルキル基(硬化牛脂アルキル基)、R〜R:−(PO)−H基(AOの付加モル数の合計:6、x:3)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカ分散剤としては上記市販品等を使用してもよく、またこれら市販品等とは別に製造したものを用いてもよい。製造方法としては例えば、多価アミン化合物に対してアルキレンオキサイドを、触媒存在下もしくは触媒を用いずに作用させることが考えられるが、この方法に限定されるものではない。
シリカ分散剤の含有量(2種以上を併用する場合は合計含有量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上、特に好ましくは2.0質量部以上である。また、該含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは8.0質量部以下、更に好ましくは6.0質量部以下である。シリカ分散剤の含有量が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
本発明では、シリカが使用される。シリカとともに、本願特定のシリカ分散剤を配合することにより、良好な硬度を維持しつつ、シリカの分散性、低燃費性を向上できる。シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカのチッ素吸着比表面積(NSA)は、40m/g以上が好ましく、50m/g以上がより好ましく、100m/g以上が更に好ましく、150m/g以上が特に好ましい。40m/g以上では、良好な硬度が得られる傾向がある。また、シリカのNSAは、250m/g以下が好ましく、220m/g以下がより好ましく、200m/g以下が更に好ましい。250m/g以下であると、良好な低燃費性、加工性が得られる傾向がある。
なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは40質量部以上、更に好ましくは60質量部以上である。20質量部以上であると、シリカの配合による充分な効果(良好な硬度、低燃費性の改善)が得られる傾向がある。上記シリカの含有量は、好ましくは140質量部以下、より好ましくは120質量部以下、更に好ましくは100質量部以下である。140質量部以下であると、シリカのゴムへの分散性がより良好になり、良好な低燃費性、ゴムの加工性が得られる傾向がある。
本発明のゴム組成物には、シリカと共に、シランカップリング剤を使用することが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、スルフィド系、メルカプト系、ビニル系、アミノ系、グリシドキシ系、ニトロ系、クロロ系シランカップリング剤などが挙げられる。なかでも、本発明の効果が良好に得られるという理由から、スルフィド系が好ましい。
スルフィド系シランカップリング剤としては、本発明の効果が良好に得られるという理由から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィドが好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドがより好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。また、シランカップリング剤の含有量は、好ましくは20質量部以下、より好ましくは12質量部以下である。シランカップリング剤の含有量が上記範囲内であると、シリカの分散性がより良好となり、本発明の効果がより好適に得られる。
本発明のゴム組成物は、カーボンブラックを含有することが好ましい。これにより、良好な補強性が得られ、良好な硬度が得られる。
カーボンブラックとしては特に限定されず、例えば、GPF、HAF、ISAF、SAFなどを用いることができる。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は30m/g以上が好ましく、60m/g以上がより好ましい。NSAが30m/g以上では、充分な補強性が得られ、良好な硬度が得られる傾向がある。また、カーボンブラックのNSAは250m/g以下が好ましく、150m/g以下がより好ましく、100m/g以下が更に好ましい。NSAが250m/g以下であると、良好な加工性、低燃費性が得られる傾向がある。
なお、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K6217−2:2001に準拠して測定される。
カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸油量は、好ましくは70ml/100g以上、より好ましくは90ml/100g以上である。また、カーボンブラックのDBP吸油量は、好ましくは160ml/100g以下、より好ましくは120ml/100g以下である。該範囲内とすることによって、本発明の効果がより好適に得られる。
なお、カーボンブラックのDBP吸油量は、JIS K6217−4:2001に準拠して測定される。
本発明のゴム組成物にカーボンブラックが配合される場合、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。また、カーボンブラックの含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。カーボンブラックの含有量が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
シリカ及びカーボンブラックの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは50質量部以上、更に好ましくは70質量部以上である。また、該合計含有量は、好ましくは160質量部以下、より好ましくは140質量部以下、更に好ましくは120質量部以下、特に好ましくは110質量部以下である。シリカ及びカーボンブラックの合計含有量が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、タイヤ工業で従来使用されている配合剤、例えば、クレー等の補強用充填剤、各種軟化剤、各種老化防止剤、ワックス、ステアリン酸、酸化亜鉛、硫黄などの加硫剤、各種加硫促進剤などを配合することができる。
加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系若しくはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、又は、キサンテート系加硫促進剤が挙げられる。なかでも、本発明の効果が良好に得られるという理由から、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましい。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DZ)等が挙げられる。なかでも、本発明の効果が良好に得られるという理由から、CBSが好ましく、CBSとN,N’−ジフェニルグアニジンとを併用することがより好ましい。
本発明のゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。
本発明のゴム組成物は、タイヤの各部材(特に、トレッド(キャップトレッド))に好適に使用できる。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤの各部材(特に、トレッド(キャップトレッド))の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造することができる。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、競技用タイヤ等として好適に用いられ、特に乗用車用タイヤとしてより好適に用いられる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
SBR:日本ゼオン(株)製の市販品(S−SBR、スチレン含量:41質量%)
BR:JSR(株)製の市販品(シス含量:95質量%)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN330(NSA:75m/g、DBP吸油量:102ml/100g)
シリカ:エボニックデグッサ社製のウルトラジルVN3(NSA:175m/g)
シランカップリング剤:エボニックデグッサ社製のSi266(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
化合物A:リポノールDA−T/13(上記式(I)(上記式(I−1))で表される化合物)
化合物B:リポノールDA−T/25(上記式(I)(上記式(I−1))で表される化合物)
PEG4000:日油(株)製のPEG#4000(ポリエチレングリコール、重量平均分子量:4000)(HO(CHCHO)Hにおいて、pは約90である。)
化合物C:リポミンDA−CD(上記式(I)で表される化合物)
化合物D:リポミンDA−T(上記式(I)で表される化合物)
化合物E:リポノールDA−T/E13−P16(上記式(I)(上記式(I−1))で表される化合物)
化合物F:リポノールDA−HT/E13−P13(上記式(I)(上記式(I−1))で表される化合物)
化合物G:リポノールDA−HT/E13−P16(上記式(I)(上記式(I−1))で表される化合物)
化合物H:リポノールDA−HT/P13−E13(上記式(I)(上記式(I−1))で表される化合物)
化合物I:リポノールDA−HT/P16(上記式(I)で表される化合物)
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエースワックス
オイル:出光興産(株)製のプロセスオイルPW−32(パラフィン系プロセスオイル)
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
実施例及び比較例
表1〜3に示す配合処方にしたがい、バンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を165℃で、4分間混練りし、混練り物を得た。次に、オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、80℃で、4分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。更に、得られた未加硫ゴム組成物を、170℃で20分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物、加硫ゴム組成物を用いて以下の評価を行った。結果を表1〜3に示す。なお、表1〜3において、基準比較例をそれぞれ比較例1、4、5とした。
(シリカ分散指標)
得られた加硫ゴム組成物について、アルファテクノロジーズ社製のRPA2000型試験機を用いて100℃、1Hzの条件下にて、歪0.5、1、2、4、8、16、32、64%のGを測定し、Gの最大値とGの最小値の差よりシリカのペイン効果を求め、基準比較例の結果を100として指数化してシリカの分散性指標とした。指数が小さいほど、シリカが分散しており、シリカの分散性に優れることを示す。指数が90以下の場合に、良好であると判断した。
(低燃費性)
(株)上島製作所製スペクトロメーターを用いて、動的歪振幅1%、周波数10Hz、温度50℃で加硫ゴム組成物のtanδを測定した。tanδの値について基準比較例を100として指数表示した。指数が小さいほど転がり抵抗が小さく、低燃費性に優れることを示す。指数が95以下の場合に、良好であると判断した。
(硬度)
JIS K6253の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」に従って、タイプAデュロメーターにより、加硫ゴム組成物の硬度を測定した。測定は、25℃で行った。結果は、基準比較例の結果を100として指数表示した。指数が大きいほど、良好な硬度を有することを示し、良好な車のハンドリング性能(操縦安定性)、ウェットグリップ性能、耐摩耗性が得られることを示す。指数が90以上の場合に、良好であると判断した。
Figure 0006947161
Figure 0006947161
Figure 0006947161
表1〜3より、ゴム成分と、シリカと、上記式(I)で表される化合物、及び上記式(II)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種のシリカ分散剤とを含む実施例は、良好な硬度を維持しつつ、シリカの分散性、低燃費性を向上できた。

Claims (9)

  1. スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムを含有するゴム成分と、シリカと、下記式(I)で表される化合物、及び下記式(II)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種のシリカ分散剤とを含み、
    前記ゴム成分100質量%中の前記スチレンブタジエンゴムの含有量が30〜95質量%、前記ブタジエンゴムの含有量が5〜60質量%であるタイヤ用ゴム組成物。
    Figure 0006947161
    (式(I)中、Rは、炭化水素基を表す。R〜Rは、同一若しくは異なって、水素原子、炭化水素基、又は−(AO)−H基(nは整数を表し、R〜Rの各nは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。AOは、同一又は異なって、炭素数1〜6のオキシアルキレン基を表す。)を表す。xは整数を表す。)
    Figure 0006947161
    (式(II)中、R11は、炭化水素基を表す。R12〜R15は、同一若しくは異なって、水素原子、炭化水素基、又は−(AO)−H基(nは整数を表し、R12〜R15の各nは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。AOは、同一又は異なって、炭素数1〜6のオキシアルキレン基を表す。)を表す。y、zは、同一若しくは異なって、整数を表す。)
  2. 前記ゴム成分100質量%中の前記スチレンブタジエンゴムの含有量が40〜90質量%、前記ブタジエンゴムの含有量が10〜40質量%である請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記ゴム成分100質量部に対して、前記シリカ分散剤を0.1〜10.0質量部含む請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 前記ゴム成分100質量部に対して、前記シリカを20〜140質量部含む請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 前記ゴム成分100質量部に対する、前記シリカ及びカーボンブラックの合計含有量が20〜160質量部である請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. 前記ゴム成分100質量%中の前記スチレンブタジエンゴム及び前記ブタジエンゴムの合計含有量が60質量%以上である請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  7. トレッド用ゴム組成物として用いられる請求項1〜6のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製したタイヤ部材を有する空気入りタイヤ。
  9. 前記タイヤ部材がトレッドである請求項8記載の空気入りタイヤ。
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