図により本発明に係る画像形成装置の一実施形態を具体的に説明する。
〔第1実施形態〕
先ず、図1〜図7を用いて本発明に係る画像形成装置の第1実施形態の構成について説明する。
<画像形成装置>
図1は本発明に係る画像形成装置の構成を示す断面説明図である。図1に示す画像形成装置13は、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKの各色の画像形成ステーション14Y,14M,14C,14Kに、トナー像を担持する像担持体となる感光ドラム1Y,1M,1C,1Kを有している。尚、説明の都合上、各感光ドラム1Y,1M,1C,1Kを代表して単に感光ドラム1を用いて説明する場合もある。他の画像形成プロセス手段についても同様である。
各感光ドラム1の周囲には、該感光ドラム1の表面を一様に帯電する帯電手段となる帯電ローラ2が設けられている。更に、該帯電ローラ2により一様に帯電した感光ドラム1の表面に画像情報に応じたレーザ光3aを照射して静電潜像を形成する潜像形成手段となるレーザスキャナ3が設けられている。
更に、該レーザスキャナ3により感光ドラム1の表面に形成された静電潜像にトナーを供給して現像する現像手段となる現像装置4が設けられている。更に、該現像装置4により感光ドラム1の表面に現像したトナー像を転写体となる中間転写ベルト8の外周面上に一次転写する一次転写手段となる一次転写ローラ5が設けられている。
更に、該一次転写ローラ5により一次転写した後の感光ドラム1の表面(像担持体上)に残留した転写残トナーを清掃する清掃手段となるブラシ状の回転体からなるファーブラシ6が設けられている。更に、該ファーブラシ6とクリーニングブレード7とを有するクリーニング手段となるクリーニング装置15が設けられている。
本実施形態では、一次転写後に感光ドラム1の表面上に残った転写残トナーを掻き取った後、該転写残トナーを回収して保持するブラシ状の回転体として任意に回転可能なファーブラシ6を用いている。尚、本実施形態では、回転体としてファーブラシ6を用いて説明するが、回転可能なロール状の回転体であっても良い。
各感光ドラム1の表面に対向して張架ローラ8a,8b,8cにより図1の時計回り方向に回転可能に張架された中間転写ベルト8が設けられている。中間転写ベルト8の外周面に対向して二次転写手段となる二次転写ローラ10が設けられている。図示しない搬送手段により記録材12が中間転写ベルト8の外周面と二次転写ローラ10とが当接した二次転写ニップ部に搬送される。
<画像形成動作>
先ず、図1の反時計回り方向に回転する感光ドラム1の表面は、図3に示す高圧電源502に設けられた帯電バイアス電源から帯電バイアス電圧が印加される帯電ローラ2により一様に帯電される。帯電ローラ2により一様に帯電された感光ドラム1の表面にレーザスキャナ3により画像情報に応じたレーザ光3aが走査露光されて該感光ドラム1の表面に静電潜像が形成される。感光ドラム1の表面に形成された静電潜像に対して現像装置4からトーナ(現像剤)が供給されてトナー像として現像される。
各感光ドラム1の表面上に現像されたトナー像は、図3に示す高圧電源502に設けられた一次転写バイアス電源から各一次転写ローラ5に一次転写バイアス電圧が印加される。これにより図1の時計回り方向に回転する中間転写ベルト8の外周面上に重畳して順次一次転写される。
中間転写ベルト8の外周面上に一次転写されたトナー像は以下の通りである。図3に示す高圧電源502に設けられた二次転写バイアス電源から二次転写手段となる二次転写ローラ10に一次転写バイアス電圧が印加される。これにより中間転写ベルト8の外周面と二次転写ローラ10とが当接した二次転写ニップ部に搬送される記録材12に一括して二次転写される。
トナー像が二次転写された記録材12は、定着手段となる定着装置11に搬送され、該定着装置11に設けられた定着ローラと加圧ローラとの定着ニップ部を通過する間に加熱及び加圧されてトナー像が記録材12に熱定着される。
二次転写後に中間転写ベルト8の外周面上に残った転写残トナーは、クリーニング手段となるクリーニング装置9に設けられクリーニングブレードにより中間転写ベルト8の外周面上から掻き取られて除去された後、廃トナー容器内に回収される。
<現像剤>
本実施形態の現像剤は、非磁性トナーと磁性キャリアとを有する二成分現像剤として構成されている。トナーは、磁性キャリアとの摺擦により負極性に摩擦帯電される。本実施形態のトナーは、ポリエステルを主体とした樹脂バインダーに顔料を混練したものを粉砕分級して得られた平均粒径が約6μmのトナーを用いている。また、感光ドラム1の露光部電位に付着したトナーの平均帯電量は、約−30μC/gである。
<像担持体>
本実施形態の像担持体となる感光ドラム1は、軸方向の長さが360mm、外径直径が84mmの負帯電性のOPC(Organic Photo Conductor:有機光半導体)からなる有機感光体を有して構成される。感光ドラム1は、アルミニウム等の導電性基体上に、有機光導電体を主成分とする光導電層を備えた感光層が形成されている。
OPCは、一般的には導電性基体としての金属基体の上に有機材料から成る電荷発生層、電荷輸送層、表面保護層が積層されて構成される。例えば、特開2005−43806号公報に開示された材質を用いて、それぞれの層を構成することが出来る。感光ドラム1は、通常、300mm/secのプロセススピード(周速度)で図1の反時計回り方向に回転する。感光ドラム1は、制御手段であって変更手段となるCPU(Central Processing Unit:中央演算装置)500により駆動制御される駆動源となるモータ501によって回転駆動される。
<帯電手段>
本実施形態の帯電手段となる帯電ローラ2は、感光ドラム1の表面に接触して従動回転する接触式の帯電ローラ2である。感光ドラム1との間の微小ギャップにおいて生じる放電現象を利用して感光ドラム1の表面を均一に帯電する。帯電ローラ2の導電性の芯金には、所定の条件の帯電バイアス電圧が印加される。
例えば、帯電ローラ2に印加する直流成分(DC)バイアスを−500V、交流成分(AC)バイアスを、その環境条件における放電開始電圧の2倍以上のピーク間バイアスに設定する。これにより図1の反時計回り方向に回転する感光ドラム1の表面上の画像形成領域が約−500Vに一様に帯電処理される。つまり、感光ドラム1の表面上の帯電電位は、ネガ(負極)(負)極性であり、ネガ(負極)(負)側に感光ドラム1の表面を帯電させている。
尚、画像形成中に帯電ローラ2に印加される直流成分(DC)バイアスは、この値に限定されるものではなく、環境条件や感光ドラム1及び帯電ローラ2の使用耐久状況等に応じて、良好な画像形成に適する電位に適宜設定される。尚、本実施形態では、感光ドラム1の表面に接触する接触式の帯電ローラ2を用いた一例について説明するが、非接触式の帯電ローラ2やコロナ帯電器といった他の帯電手段を用いても良い。
<潜像形成手段>
本実施形態の潜像形成手段となるレーザスキャナ3は、帯電ローラ2により一様に帯電された感光ドラム1の表面に対して画像情報に基づいて画像露光を行なう半導体レーザを備えている。レーザ光3aが照射された感光ドラム1の表面上の露光電位は−200Vである。尚、本実施形態では、像露光手段として半導体レーザを用いた一例について説明するが、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)等を用いた他の像露光手段を用いても良い。
<電位測定手段>
図4は像担持体となる感光ドラム1の表面電位を測定する電位測定手段となる電位測定装置16の構成を示す断面説明図である。本実施形態の電位測定装置16はチョッパー方式の電位センサにより感光ドラム1の表面電位を測定する。
本実施形態では、感光ドラム1の表面電位を測定する電位測定手段として、図4に示すチョッパー方式の電位センサからなる電位測定装置16を用いている。これにより帯電ローラ2により一様に帯電された感光ドラム1の表面にレーザスキャナ3によりレーザ光3aを照射した露光後に、該感光ドラム1の表面電位を測定する。これにより感光ドラム1の表面上の帯電電位及び露光電位が実際に所定の電位になっているか否かを確認できる。
図4に示すように、電位測定装置16に設けられるチョッパー方式の電位センサは、測定対象物となる感光ドラム1と、測定電極801との間に導電性の振動物体となる音叉型振動子802が配置されている。
図4の矢印A方向に振動する音叉型振動子802により感光ドラム1の表面から測定電極801へ入射される電気力線807の入射量を増減させて、測定対象物となる感光ドラム1の表面の電界強度を測定する。
尚、図4に示すチョッパー方式の電位センサ以外の電位測定手段を用いて感光ドラム1の表面電位を測定することも可能である。例えば、容量変動方式の電位センサを用いて測定電極801自体を物理的に振動させ、該測定電極801と測定対象物となる感光ドラム1との間の電界分布を変化させて、該感光ドラム1の表面の電界強度を測定することが出来る。
図4において、測定電極801は、測定対象物となる感光ドラム1からの電気力線807を受ける。音叉型振動子802は、測定対象物となる感光ドラム1から測定電極801へ入射する電気力線807を図4の矢印A方向に振動してチョッピングする。増幅素子803は、測定電極801に誘起される微小交流信号をインピーダンス変換して増幅する。圧電素子804は、音叉型振動子802に振動を与える。
また、805は回路基板である。806は接続コネクタである。接続コネクタ806及び回路基板805を介して圧電素子804への駆動信号や測定電極801からの受信信号や、これ等を駆動する電源等を入出力する。
図4に示すように、測定対象物となる感光ドラム1の表面から測定電極801に向かって矢印B方向に電気力線807が入射する。シールドケース808は、回路基板805を収納する。回路基板805上には、インピーダンス変換回路となる増幅素子803が実装されている。
<現像手段>
図2に示すように、現像手段となる現像装置4は、非磁性トナーと磁性キャリアとの混合物である二成分現像剤を収容した現像剤容器4aと、該現像剤容器4aの開口部に回転可能に設けられた現像剤担持体となる現像スリーブ4bとを備えている。
本実施形態では、現像スリーブ4bの軸方向の長さは325mmである。現像スリーブ4bは、その内部に固定配置されたマグネットにより現像剤容器4a内の現像剤を磁気的に保持し、該現像スリーブ4bの表面と、感光ドラム1の表面との間に形成されるギャップ部からなる現像部へ現像剤を搬送する。
現像スリーブ4bには、−400Vの直流電圧と、ピークトゥピーク電圧Vppが1600Vの交流電圧とを重畳した現像バイアス電圧を印加する現像バイアス電源が接続されている。この現像バイアス電圧を現像スリーブ4bに印加することにより感光ドラム1の表面上に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像処理が行なわれる。
<クリーニング手段>
図2はクリーニング手段となるクリーニング装置15の構成を示す断面説明図である。図2に示すように、各クリーニング装置15には、ハウジング20に図2の時計回り方向に回転可能に支持された清掃手段となるファーブラシ6が設けられている。本実施形態のファーブラシ6は、一次転写後に感光ドラム1の表面上に残った転写残トナーを掻き取るトナー掻き取り手段と、感光ドラム1の表面上を研磨する像担持体研磨手段とを兼ねている。ファーブラシ6よりも感光ドラム1の回転方向下流には、該感光ドラム1の表面に当接するクリーニングブレード7が設けられている。
一次転写後に感光ドラム1の表面に残留した転写残トナー等の残留物は、ファーブラシ6によって掻き乱されることによって該感光ドラム1の表面に対する付着力が弱められる。その後、クリーニングブレード7によって感光ドラム1の表面から掻き取られて除去されて廃トナー容器となるハウジング20内に回収される。
感光ドラム1の表面から除去された転写残トナー等の残留物は、一旦、ファーブラシ6の繊維間に保持された後、該ファーブラシ6の図2の時計回り方向の回転によって該ファーブラシ6の外周面に当接したスクレーパ60との当接位置まで運ばれる。
スクレーパ60の先端と、ファーブラシ6の外周面との当接によって繊維からなるファーブラシ6が弾性変形する。そして、該ファーブラシ6の繊維の反発力によって転写残トナー等の残留物は、ファーブラシ6から飛び出す。そして該ファーブラシ6の下部に設けられた螺旋状羽根を有する搬送スパイラル61の付近に落下する。
搬送スパイラル61の付近に落下した転写残トナー等の残留物は、感光ドラム1の回転軸方向に延在した搬送スパイラル61の螺旋状羽根によって該感光ドラム1の軸方向に搬送される。更に、図示しない回収トナー搬送経路を経由して、図示しない廃トナー回収容器内に回収される。
本実施形態のクリーニングブレード7は、ウレタンゴム製で構成され、該クリーニングブレード7の軸方向の長さは、340mmである。該クリーニングブレード7は、所定の当接圧で感光ドラム1の表面に当接されている。
<ファーブラシ>
ブラシ状の回転体からなるファーブラシ6は、その回転軸6aに繊維が植毛されたものである。外径直径が12mmの金属製の回転軸6aの表面に繊維を植毛した布材を巻き付けて製作されている。ファーブラシ6の繊維は、6デニール(denier:単位長さ当たりの重量)のアクリル製の単繊維を束ねた繊維を植毛密度が50kF/inch2( 単繊維当たりの植毛密度)で基材に植毛したものである。ファーブラシ6の繊維の長さは、4.5mmである。
本実施形態のファーブラシ6として採用した繊維状のアクリルは、摩擦帯電系列の中でマイナス(負極)に帯電し易い特性を有する。ファーブラシ6として適用可能な他の繊維材質としては、ポリエステルでも良い。ファーブラシ6を感光ドラム1の表面に対して、0.5mm程度侵入させる位置に配置して、該感光ドラム1の回転方向に対して順方向に回転しながら該感光ドラム1の表面を摺擦する。
ファーブラシ6の材質としては、トナー及び感光ドラム1の帯電電位と逆極性に帯電し易い帯電系列の材質としてアクリルやポリエステル等を用いることがある。転写残トナーの平均帯電量はポジ(正極)側になることもある。これは、感光ドラム1の表面が一次転写ローラ5を通過する際の影響である。一次転写されなかった転写残トナーの平均帯電量は、大きく低下し、極性がネガ(負極)からポジ(正極)へ反転することもある。
そのため、マイナス(負極)になり易い帯電系列を有するファーブラシ6の方がポジ(正極)極性になった転写残トナー等を回収し易くなる。これにより感光ドラム1の表面から転写残トナーを除去し易くしてクリーニング動作を補助する効果がある。
更に、ファーブラシ6の接触により感光ドラム1の表面上でネガ(負極)に帯電した電位をゼロ電位に戻す方向に徐電する効果がある。これらの効果からファーブラシ6の材質としてはアクリルやポリエステルが好ましい。
他にファーブラシ6の材質としては、ポリテトラフルオロエチレン (PTFE:polytetrafluoroethylene,)、塩化ビニル等も適用出来る。
図2に示すように、ファーブラシ6の感光ドラム1の表面に対向する側(図2の左側)とは反対側(図2の右側)の外表面にスクレーパ60が接触している。感光ドラム1の表面からファーブラシ6の繊維の反発力によって該ファーブラシ6に回収した転写残トナーは、該ファーブラシ6の外周面に当接したスクレーパ60により該ファーブラシ6から弾き出される。これによりファーブラシ6が回収した転写残トナーで該ファーブラシ6の繊維間が目詰まりし難い。
また、クリーニング装置15が画像形成装置13に取り付けられた際にファーブラシ6の金属製の回転軸6aは、該画像形成装置13の金属フレームに接地するように取り付けられる。感光ドラム1とファーブラシ6とは、図2の矢印a,b方向にそれぞれ回転する。これにより感光ドラム1とファーブラシ6とは、両者の当接ニップ部で同じ方向に回転する。
ファーブラシ6は、図3に示す駆動源となるモータ501を駆動制御する制御手段であって変更手段となるCPU500によって任意に回転することができる。本実施形態のファーブラシ6は、感光ドラム1の表面の周速度に対する所定の周速度比(例えば、140%)で回転し得るように設定されている。
<ファーブラシの特性>
前述したファーブラシ6及び感光ドラム1の材質では、該感光ドラム1の表面に対するファーブラシ6の摺擦回数が多過ぎると、該感光ドラム1の表面は、トナー像が現像される電位極性とは逆極性の電位に帯電してしまう。本実施形態では、感光ドラム1の表面上のトナー像が現像される電位極性がネガ(負極)に対して、逆極性となるポジ(正極)に帯電することをポジ(正極)帯電する場合の一例について説明する。
感光ドラム1の表面は、ファーブラシ6が新しい初期状態の方がポジ(正極)帯電し難い。これは、ファーブラシ6が新しいと、転写残トナーによる汚染もなく、ファーブラシ6の繊維の剛性も強いためである。また、ファーブラシ6が新しい初期状態の方が感光ドラム1の表面のクリーニング性能は高い。
転写残トナーで汚れていない初期のファーブラシ6であれば、感光ドラム1の表面の周速度に対して140%の周速度比でファーブラシ6を回転する必要はない。つまり、新しい初期状態のファーブラシ6では十分なクリーニング性能を確保しているため感光ドラム1の表面の周速度に対して140%の周速度比よりも遅くしてもクリーニング性能を損なうことはない。
本発明者は、新しい初期状態から耐久後半における様々な状態のファーブラシ6を感光ドラム1の表面に摺擦したときの該感光ドラム1の表面電位への影響を調べた。その結果、ファーブラシ6の繊維の間に転写残トナーが目詰まりするほど、感光ドラム1の表面がポジ(正極)帯電し易くなることが分かった。
同様に種々の状態のファーブラシ6においてクリーニング性能を調べると、ファーブラシ6の繊維間に転写残トナーが目詰まりするほど、感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1が高くなることが分かった。
また、感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比を小さくするほど、感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1が高くなることも分かった。
感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1が低いほど、感光ドラム1の表面に対するファーブラシ6の摺擦力が強く、クリーニング性能が高い。
逆に、感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1が高いほど、該感光ドラム1の表面に対するファーブラシ6の摺擦力が弱く、クリーニング性能が低下することが分かった。
以上より、感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1と、クリーニング性能には、図6に示すような相関関係があり、これらの相関関係をテーブル化して図3に示す画像形成装置13内に備えられた記憶手段となるデータベース505に記憶しておく。
感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1が低下するのを防止するには、ファーブラシ6にトナーを供給して該ファーブラシ6の繊維間に強制的にトナーを目詰まりさせて感光ドラム1の表面に対するファーブラシ6の摺擦力を弱める方法が考えられる。或いは、感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比を遅くすることも考えられる。
これらの対策を実施する際、感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1と、該感光ドラム1の表面のクリーニング性能との相関関係に基づいて該クリーニング性能が損なわれない範囲で実施する。
ファーブラシ6との摺擦により感光ドラム1の表面がどのように帯電するかは、以下のように測定して判断した。画像形成装置13が設置された環境条件として温度が20℃、湿度が50%の環境条件を考慮する。この環境条件において、図3に示す高圧電源502に設けられた帯電バイアス電源により帯電ローラ2に印加する帯電バイアス電圧をOFFとする。更に、同じく高圧電源502に設けられた一次転写バイアス電源により一次転写ローラ5に印加する一次転写バイアス電圧をOFFとする。他に感光ドラム1の表面電位に影響を及ぼすレーザスキャナ3等の動作もOFFとする。
クリーニング装置15は、画像形成装置13の通常の画像形成動作と同じ状態にして、感光ドラム1の空回転を10分程度実施する。空回転中の感光ドラム1の表面電位を図4に示す電位測定装置16により1秒毎に測定し、10分経過した際の感光ドラム1の表面電位を測定した。
感光ドラム1の空回転開始から10分後の該感光ドラム1の表面電位がマイナス(負極)側であれば、マイナス(負極)の帯電電位と同極性と判断する。そのときの感光ドラム1の表面電位の絶対値の大きさが大きいほど、ファーブラシ6による摺擦の影響が大きいと判断した。
一方、感光ドラム1の空回転開始から10分後の該感光ドラム1の表面電位がプラス(正極)側であれば、マイナス(負極)の帯電電位と逆極性と判断し、該感光ドラム1の表面がポジ(正極)帯電していると判断した。同様に、そのときの感光ドラム1の表面電位の大きさがファーブラシ6の摺擦による影響の大きさであると判断した。
<清掃手段の摺擦条件の制御>
次に、図3、図5、図7を用いて清掃手段となるファーブラシ6の摺擦条件の制御について説明する。図3は本実施形態の制御系の構成を示すブロック図である。図5は感光ドラム1の表面電位に対応して感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比を変更する様子を示すフローチャートである。図7はファーブラシ6の回転時間(感光ドラム1の空回転時間)と、感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1との関係を示す図である。
<制御系>
先ず、図3を用いて本実施形態の制御系の構成について説明する。図3において、制御手段となるCPU(Central Processing Unit:中央演算装置)500には以下の各部材が接続されている。図4に示す電位測定装置16や画像形成装置13が設置されている環境条件を検知する環境センサ503が接続されている。他に画像形成を実施した条件を記憶する記憶手段となるメモリ504が接続されている。
他にCPU500には、各部品毎の記録材12の耐久枚数や記録材12の耐久枚数に応じた感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比等のテーブルを記憶した記憶手段となるデータベース505が接続されている。他にトナー量検出手段となるトナー量検出部506等が接続されている。
CPU500は、予め入力されてデータベース505に記憶された信号や画像形成の入力情報に応じて画像形成装置13を動作させる。そのためCPU500は、感光ドラム1やファーブラシ6や現像装置4や中間転写ベルト8等を駆動するための駆動源となるモータ501に接続されている。
また、CPU500には、高圧電源502が接続されている。高圧電源502は、画像形成時に帯電ローラ2に帯電バイアス電圧を印加する帯電バイアス電源が設けられる。更に、現像スリーブ4bに現像バイアス電圧を印加する現像バイアス電源が設けられる。更に、一次転写ローラ5に一次転写バイアス電圧を印加する一次転写バイアス電源が設けられる。更に、二次転写ローラ10に二次転写バイアス電圧を印加する二次転写バイアス電源が設けられる。
これによりCPU500は、画像形成信号に応じて、モータ501及び高圧電源502を制御して、帯電ローラ2、現像装置4、一次転写ローラ58、二次転写ローラ10にそれぞれのバイアス電圧を印加して画像形成動作を行なうことが出来る。
次に、図5を用いてファーブラシ6の駆動制御について説明する。先ず、ステップS1においてファーブラシ6の駆動制御を開始する。ファーブラシ6の駆動制御を実施するタイミングとしては以下の通りである。画像形成装置13を使用するために電源をONし、記憶手段となるメモリ504やデータベース505に記憶された画像形成条件データを参照して、画像形成するための準備動作を行なう。そのときにファーブラシ6の駆動制御を実施すれば良い。
または、ファーブラシ6が新しい初期状態では、該ファーブラシ6の摺擦により感光ドラム1の表面がポジ(正極)帯電し難いことが分かっている。この場合、メモリ504やデータベース505に記憶された画像形成条件データを参照する。そして、ファーブラシ6の回転総数J0や一次転写後に感光ドラム1の表面に残留した転写残トナーがファーブラシ6に到来するトナー量に応じて制御タイミングを変更しても良い。
例えば、ファーブラシ6が新しい初期状態から記録材12の印刷枚数が10000枚までの間は、記録材12の印刷枚数が1000枚毎に図5に示すファーブラシ6の駆動制御を実施する。そして、記録材12の印刷枚数が10000枚を超えて20000枚までの間は、記録材12の印刷枚数が2000枚毎にファーブラシ6の駆動制御を実施する。そして、記録材12の印刷枚数が20000枚を超えた場合は、記録材12の印刷枚数が5000枚毎にファーブラシ6の駆動制御を実施するようにしても良い。
尚、ファーブラシ6と、感光ドラム1の表面との摺擦条件の変更は、記録材12の画像形成枚数が増加するにつれて、ファーブラシ6と、感光ドラム1の表面との摺擦回数を増加させることも出来る。ファーブラシ6と、感光ドラム1の表面との摺擦回数は、感光ドラム1の周速度に対するファーブラシ6の周速度比に比例する。従って、記録材12の画像形成枚数が増加するにつれて、感光ドラム1の周速度に対するファーブラシ6の周速度比を増加させることも出来る。また、前述したように、感光ドラム1の周速度に対するファーブラシ6の周速度比を変更する駆動制御タイミングの間隔を記録材12の印刷枚数が進むにつれて広げることも出来る。
ファーブラシ6の駆動制御がスタートしたら、帯電ローラ2、中間転写ベルト8や一次転写ローラ5、現像装置4等は駆動せずに、ファーブラシ6と感光ドラム1とをモータ501により回転駆動させる。ファーブラシ6と感光ドラム1とが回転駆動を開始してから一定の時間(本実施形態では30秒)が経過する。そのとき、ステップS2において、図2に示すレーザスキャナ3よりも感光ドラム1の回転方向下流側に配置された図4に示す電位測定装置16により、そのときの感光ドラム1の表面電位を測定する。前記ステップS2において、図4に示す電位測定装置16により測定した感光ドラム1の表面の帯電電位V1は、例えば、+18Vであった。
次に、ステップS3において、CPU500は、予めデータベース505に記憶して格納してある閾値V0を読み出し、前記ステップSにおいて図4に示す電位測定装置16により測定された感光ドラム1の表面の帯電電位V1と、該閾値V0とを比較する。画像形成装置13の構成にもよるが本実施形態においては、閾値V0を+10Vとした。即ち、感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1電位が+10V以下であれば画像不良の発生はない。
前記ステップS3において、図4に示す電位測定装置16により測定された感光ドラム1の表面の帯電電位V1と、該閾値V0とが以下の数1式の関係となる。その場合は、感光ドラム1の表面の帯電電位V1は、画像ムラが発生するポジ(正極)帯電電位V1ではない。このためステップS4に進んで感光ドラム1の表面の周速度に対して140%の周速度比でファーブラシ6を回転させた後、ステップS5に進んでファーブラシ6の駆動制御を終了する。
[数1]
V1≦V0
一方、前記ステップS3において、図4に示す電位測定装置16により測定された感光ドラム1の表面の帯電電位V1と、該閾値V0とが以下の数2式の関係であれば、ステップS6に進む。
[数2]
V1>V0
前記ステップS6において、CPU500は、図4に示す電位測定装置16により測定された感光ドラム1の表面の帯電電位V1と、閾値V0との値に応じて以下の通り制御する。予めデータベース505に記憶された図6に示す感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1と、閾値V0と、感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比との関係を示すテーブルを参照する。そして感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比を変更する。
感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比の変更は、変更手段となるCPU500により図3に示すモータ501により回転駆動されるファーブラシ6と感光ドラム1の回転数をそれぞれ制御することにより行なうことが出来る。
本実施形態では、図4に示す電位測定装置16の測定結果に応じて、変更手段となるCPU500は、ファーブラシ6と感光ドラム1の表面との摺擦条件を変更する。
そして、ステップS6において変更した感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比にて前記ステップS2〜S3の工程を再度、実施する。前記ステップS3において、感光ドラム1の表面の帯電電位V1と閾値V0とが前記数1式の関係になるまで前記ステップS6の感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比の変更が繰り返し実施される。
ファーブラシ6が感光ドラム1の表面を摺擦することによる摩擦帯電による帯電性は、温度や湿度の環境条件に依存する。このため画像形成装置13が設置される場所の温度や湿度の環境条件を検出する環境センサ503の検出結果に応じて閾値V0を適宜変更しても良い。環境センサ503により検出した温度や湿度の環境情報もCPU500に送られて演算制御に使用される。
尚、図5では、感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比を下げることにより感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1を下げる。感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比を下げる他に、該ファーブラシ6に対してトナーを強制的に供給することでも良い。
また、ステップS6の工程において調整される感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比は、図6に示すクリーニング性能を考慮しながら調整している。これにより感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電防止と、クリーニング性能確保の両立を実現することができる。
また、図5に示すファーブラシ6の駆動制御を実施する際に、図3に示す高圧電源502からの信号も考慮して図4に示す電位測定装置16による測定結果を判断する。そして、データベース505に記憶されたテーブルを比較参照して、図5に示すファーブラシ6の駆動制御結果が決められている。
図6に感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比に対する感光ドラム1の表面のクリーニング性能と、感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1との関係を示す。感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1は、図4に示す電位測定装置16により測定する。また、感光ドラム1の表面のクリーニング性能は、図2に示すクリーニングブレード7を通過してくる感光ドラム1の表面上のトナー等の粒子の通過個数を測定することで判断した。
図6において、二つの縦軸は、感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1と、感光ドラム1の表面のクリーニング性能を示す。感光ドラム1の表面のクリーニング性能として、図2に示すクリーニングブレード7を通過してくる感光ドラム1の表面上のトナー等の粒子の通過個数をカウントしている。
図6の横軸は、感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比を示す。感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比を変化させて、それぞれの条件で確認し、感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1と、クリーニング性能とが両立する範囲が図3に示すデータベース505に記憶されている。
図6に示すように、ファーブラシ6の外周面の周速度が感光ドラム1の表面の周速度に対して速いほど(図6の右側)、ファーブラシ6が感光ドラム1と摺擦する。このため図6の曲線dで示すように、感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1は大きくなる。
一方、ファーブラシ6の外周面の周速度が感光ドラム1の表面の周速度に対して速いほど(図6の右側)、図6の曲線eで示すように、感光ドラム1の表面のクリーニング性能は向上する。ファーブラシ6の外周面の周速度が感光ドラム1の表面の周速度に対して遅いと(図6の左側)、感光ドラム1の表面上の転写残トナーを掻き乱す能力が低下してクリーニング性能は低下する。
尚、図6ではクリーニングブレード7を通過してくる感光ドラム1の表面上のトナー等の粒子の通過個数を測定した結果をクリーニング性能の評価とした。このため図6において曲線eが上昇するとクリーニング性能の低下を意味し、曲線eが下降するとクリーニング性能の向上を意味している。
例えば、感光ドラム1、ファーブラシ6及びクリーニングブレード7が何れも新品である場合を考慮する。感光ドラム1の表面の周速度に対してファーブラシ6の外周面の周速度比が30%〜105%までは感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1と、クリーニング性能とが両立できることが分かった。
図7はファーブラシ6の空回転時間と、感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1との関係を示す。図7の縦軸は感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1を示し、横軸はファーブラシ6の空回転時間を示す。図7にプロットしているファーブラシ6の条件は、図7の曲線f,g,hで示す三通りを例示している。
図7に示す曲線fは、新品のファーブラシ6の外周面の周速度を感光ドラム1の表面の周速度に対して140%の周速度比で空回転させたものである。
図7に示す曲線gは、新品のファーブラシ6の外周面の周速度を感光ドラム1の表面の周速度に対して100%の周速度比で空回転させたものである。
図7に示す曲線hは、耐久(旧品)のファーブラシ6の外周面の周速度を感光ドラム1の表面の周速度に対して140%の周速度比で空回転させたものである。
図7に示す曲線fでは、ファーブラシ6の空回転時間が5分に達すると、感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1は、+50Vを超えてしまう。このため感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1が高い。
図7に示す曲線gは、図5に示して前述した制御に従って、曲線fで示すファーブラシ6の外周面の周速度を感光ドラム1の表面の周速度に対して140%から100%の周速度比まで落としたときの感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1を示す。図7に示す曲線gでは、曲線fに比べて感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1が低く安定している。
図7に示す曲線hは、耐久(旧品)のファーブラシ6であるため感光ドラム1の表面をポジ(正極)帯電させる能力が新品のファーブラシ6に比べて低い。そのため図7に示す曲線hは、感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比が曲線fと同じ140%のままでも感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1は低く安定している。
尚、感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1の測定は、記録材12に画像形成する際に一枚毎に行なっても良い。画像形成が終わった後回転時等のタイミングで感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1を測定することが出来る。これにより感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1が一定以下になるよう制御することもできる。
つまり、感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1が一定以下に安定するように感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比を変更する制御を行なう。
また、本実施形態では、感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1を図4に示す電位測定装置16により測定した一例である。このため電位測定装置16を新たに設けることによる画像形成装置13の大型化やコストアップにつながる。
電位測定装置16を用いて感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1を直接、測定しているため検知精度は良い。他に、電位測定装置16の代わりとして、感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1に対してトナーを供給して現像を行なう。そして、該感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1の帯電領域に現像されたトナー量を図3に示すトナー量検出部506により検出する。
感光ドラム1の表面にファーブラシ6が摺擦して該感光ドラム1の表面がトナー像が現像される電位極性とは逆極性雄の電位に帯電する。その帯電した電位に対して現像装置4により現像を行なう。その現像されたトナー像のトナー量をトナー量検出手段となるトナー量検出部506により検出する。本実施形態の電位測定手段は、電位測定装置16の代わりに、トナー量検出部506により検出したトナー量に基づいて感光ドラム1の表面の電位を測定する。
そして、該トナー量検出部506の検出結果に基づいて、変更手段となるCPU500が感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比を変更する制御を行なうことでも良い。
図3に示すトナー量検出部506としては、例えば、感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1に対してトナーを供給して現像を行なったパッチ画像の濃度を光学的に検知するパッチ画像検知センサが適用出来る。他に、記録材12にトナー画像を定着した後、該トナー画像をスキャナで読み取って濃度を測定することもできる。
感光ドラム1の表面と、ファーブラシ6との摺擦により該感光ドラム1の表面電位が現像する側の帯電電位の極性と逆極性に帯電したポジ(正極)帯電電位V1を検知し、感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比を変更する。
感光ドラム1の表面と、ファーブラシ6との摺擦により該感光ドラム1の表面電位が現像する側の帯電電位の極性と逆極性に帯電したポジ(正極)帯電電位V1に応じて、感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比を低減する。これにより感光ドラム1の表面電位が現像する側の帯電電位の極性と逆極性に帯電することを防止することができる。
即ち、ファーブラシ6等の清掃部材の摺擦により感光ドラム1の表面電位が現像する側の帯電電位の極性と逆極性に帯電する。これにより該感光ドラム1の表面電位が不均一になる。これにより画像ムラや白地部かぶり等の画像不良が発生する。本実施形態では、これを防止すると共に、感光ドラム1の表面のクリーニング不良の防止を両立することができる。また、画像形成の高速化も容易になる。
〔第2実施形態〕
次に、図8を用いて本発明に係る画像形成装置の第2実施形態の構成について説明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。
本実施形態において、前記第1実施形態と異なるのは、図8に示すファーブラシ6の回転動作を行なう制御フローである。従って、前記第1実施形態と重複する説明は省略する。図8は本実施形態の画像形成装置の第2実施形態におけるファーブラシ6の回転動作を制御する様子を示すフローチャートである。
図8において、感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1は、ファーブラシ6の状態F0により異なる。ファーブラシ6の状態F0は、前述したように、画像形成動作を繰り返すと変化していく。具体的に、ファーブラシ6の状態F0変化は、ファーブラシ6の回転数と、ファーブラシ6の繊維間に侵入するトナー量と、該トナーの帯電量とによって変化する。
また、感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1は、感光ドラム1の表層状態と、膜厚とによって、ポジ(正極)帯電電位V1が変化してくる。
そこで、本実施形態では、ファーブラシ6の回転数と、該ファーブラシ6に到達するトナー量とを積算する。図3に示す画像形成装置13の画像形成条件を記憶した記憶手段となるメモリ504に記憶されたデータと、CPU500内の演算装置とにより積算する。
ファーブラシ6と、感光ドラム1の表面とが摺擦を繰り返すことにより該ファーブラシ6の物理的な変形やブラシ特性が変化する。このためファーブラシ6の状態F0変化は、ファーブラシ6の回転数に依存する。
また、ファーブラシ6の繊維間のトナーの有無によって、感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電性が変化する。そこで、ファーブラシ6の回転数に加えて該ファーブラシ6に到達するトナー量を考慮する必要がある。
ファーブラシ6に到達するトナー量は以下の通り算出する。図2に示す中間転写ベルト8を介して当接された感光ドラム1の表面と一次転写ローラ5の表面との一次転写ニップ部で随時測定されたトナー画像の転写効率を測定データとして図3に示すデータベース505に記憶しておく。そして、画像形成の際に入力された画像情報と、図3に示すデータベース505に記憶された転写効率とを演算することにより算出している。
トナーの帯電量は、一次転写ローラ5を通過するときに変化することが知られている。このため一次転写ローラ5に印加する一次転写バイアス電圧等の転写条件を変動させたときの感光ドラム1の表面上に残留した転写残トナーの帯電量を測定し、図3に示す記憶手段となるデータベース505に記憶しておく。
そして、該データベース505に記憶された感光ドラム1の表面上に残留した転写残トナーの帯電量データに基づいて以下の通り予測することが出来る。一次転写ローラ5に印加する一次転写バイアス電圧等の転写条件と、印刷する画像情報とを参照して、ファーブラシ6に到達するトナー量と、該トナーの帯電量とを算出して予測することが出来る。
尚、ファーブラシ6に到達するトナーを算出して予測する際、感光ドラム1の軸方向のトナー分布も含めて算出しておくと、感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電による帯電ムラを防止することが出来る。
一方、感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電特性に影響する該感光ドラム1の表層状態と、膜厚の変化は、感光ドラム1の回転数に関係することが知られている。このためCPU500は、感光ドラム1の回転数を積算し、該感光ドラム1の回転総数N0を図3に示すデータベース505に記憶しておく。
より正確に感光ドラム1の表層状態と、膜厚とを予測する。そのためには、図2に示す帯電ローラ2により感光ドラム1の表面に印加される帯電バイアス電圧等の帯電条件を考慮する。更に、一次転写ローラ5に印加する一次転写バイアス電圧等の転写条件を考慮する。更には、クリーニング装置15に設けられるファーブラシ6やクリーニングブレード7の感光ドラム1の表面に対する当接条件等も考慮することが望ましい。
本実施形態では、感光ドラム1の表層状態や膜厚(感光体)の状態変化は、感光ドラム1の回転総数N0のみを予測算出のパラメータとして使用する。また、ファーブラシ6の状態F0変化は、画像形成時にファーブラシ6が回転駆動されるため該ファーブラシ6の回転数の積算値と、画像情報の履歴をパラメータとして使用する。
図8は、記録材12に画像形成を行なう際に該記録材12の枚数毎に感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比を変更制御するフローチャートを示す。
図8のステップS11において、感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比の制御を開始する。次に、ステップS12において、CPU500は、図3に示すデータベース505に随時記憶された感光ドラム1の回転総数N0と、ファーブラシ6の回転総数J0と、画像情報L0とを参照する。データベース505は画像形成を実施した条件を記憶する記憶手段として構成される。
次に、ステップS13において、前記ステップS12でCPU500が取得した画像情報L0と、ファーブラシ6の回転総数J0とにより該ファーブラシ6の状態F0を算出する。
前記ステップS13において、ファーブラシ6の状態F0は、感光ドラム1の表面を摺擦により、どれだけポジ(正極)帯電する状態にあるかを0%〜100%までの数値で算出される。
本実施形態では、ファーブラシ6の状態F0の値が大きいほど、ファーブラシ6が摺擦により感光ドラム1の表面をポジ(正極)帯電する力が強いと定義した。
画像情報L0は、一次転写後に感光ドラム1の表面に残留した転写残トナーが図2に示すファーブラシ6に到達するトナー量と、該トナーの帯電量とを算出するのに用いている。前記ステップS13において、ファーブラシ6の状態F0を算出する。その際に、画像情報L0は、ファーブラシ6の状態F0を算出する直前のX枚の記録材12に印刷される画像情報Pを用いる。更に、ファーブラシ6を交換して使い始めてから今現在までに流された画像情報(制御パッチ画像を含む)Qを用いる。
ここでいう画像情報L0,P,Qとは、通常の画像形成だけでなく、制御用に形成された画像やジャム(JAM)等のトラブル時に使用されたトナー量も含めて計算したものを意味する。
従って、画像情報に基づく積算方法でも良いが、図示しないトナーボトルから現像装置4へのトナー補給の履歴や、トナーボトルにおけるトナー残量に基づいて画像情報を計算しても良い。
尚、ファーブラシ6の状態F0を算出する直前のX枚の記録材12に印刷される画像情報Pは以下の通りである。ファーブラシ6が新品に近い状態であっても該ファーブラシ6の状態F0を算出する直前のX枚の記録材12に感光ドラム1の表面に形成された制御パッチ画像等が転写されずにクリーニングブレード7で回収する場合がある。更に、ベタ画像で転写効率が低い状態で使用され、ファーブラシ6にトナーが大量に到達する場合を想定して、ファーブラシ6の状態F0を計算するのに使用している。
従って、ファーブラシ6の状態F0は、前記画像情報P,Qを用いて直前に流された画像によるファーブラシ6の状態F(P)への影響を考慮する。更に、ファーブラシ6が交換されて使い始めてから今現在に至るまでのファーブラシ6の状態F(Q)への影響を考慮する。そして、前記F(P),F(Q)に、それぞれ係数α,βを掛けて足し合わせて求めた以下の数3式により計算される。尚、以下の数3式におけるF(P),F(Q)は、ファーブラシ6の回転総数J0(耐久)によるファーブラシ6の外径直径の変化と、該ファーブラシ6に来るトナー量(画像情報)から計算される。
[数3]
F0=α×F(P)+β×F(Q)
これによりファーブラシ6の状態F0と、感光ドラム1の表面の状態とが分かる。更に、現状のファーブラシ6の周速度(回転速度)が分かる。これによりファーブラシ6と、感光ドラム1との摺擦回数により該感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1と、クリーニング性能とをデータベース505に記憶されたテーブルを用いて算出して予測することができる。
つまり、感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1と、クリーニング性能とを両立できるファーブラシ6の周速度の設定範囲が明らかになる。感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1と、クリーニング性能とを両立できる設定範囲に基づいて図8のステップS14,S15,S18に示されるそれぞれの閾値N1,F2,F1が設定されている。ファーブラシ6の周速度(回転速度)に応じて、閾値N1,F2,F1は適宜変更される。
次に、ステップS14において、CPU500は、データベース505に随時積算されて記憶された感光ドラム1の回転総数N0が、予め設定された閾値N1以上か否かを比較する。前記ステップS14において、感光ドラム1の回転総数N0が閾値N1以上だった場合は、ステップS15に進む。
前記ステップS15において、CPU500は、前記数3式により計算されたファーブラシ6の状態F0が、予め設定された閾値F2以下か否かを比較する。前記ステップS15において、ファーブラシ6の状態F0が閾値F2以下の場合は、CPU500は、ファーブラシ6の摺擦によって感光ドラム1の表面をポジ(正極)帯電する可能性は低いと判断する。そして、ステップS16に進んで、感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比を変更しない。その後、ステップS17に進んで制御を終了する。
前記ステップS14において、感光ドラム1の回転総数N0が、閾値N1未満の場合は、ステップS18に進む。前記ステップS18において、CPU500は、ファーブラシ6の状態F0が予め設定された閾値F1以上か否かを判断する。
感光ドラム1の表面状態により該感光ドラム1の表面のポジ(正極)化傾向が変わる。このため前記ステップS14において感光ドラム1の回転総数N0を確認する。感光ドラム1の回転総数N0が閾値N1よりも小さいときの方が、該感光ドラム1の表面がポジ(正極)化し易い傾向がある。そのため感光ドラム1の表面のポジ(正極)化傾向に合わせて前記ステップS18においてファーブラシ6の状態F0の閾値F1が設定される。
一方、感光ドラム1の回転総数N0が閾値N1以上のときは、該感光ドラム1の表面がポジ(正極)化し難い状態になる。その状態を考慮して前記ステップS15においてファーブラシ6の状態F0の閾値F2が設定される。前記ステップS18における閾値F1は、感光ドラム1の表面がポジ(正極)化し易い状態での閾値になるため前記ステップS15における閾値F2と比較してファーブラシ6のポジ(正極)化として許容できる範囲が狭くなる。つまり、{閾値F1<閾値F2}の関係に設定される。尚、感光ドラム1の表面のポジ(正極)化が初期ほど大きい傾向は、該感光ドラム1の表層や感光層の材質により異なる。
前記ステップS18において、ファーブラシ6の状態F0が閾値F1以上の場合は、ステップS19に進む。前記ステップS19において、CPU500は、感光ドラム1と、ファーブラシ6との状態からデータベース505に記憶されたテーブルを参照して該ファーブラシ6の周速度(回転速度)が最適な回転速度となるように変更する。
その後、前記ステップS17に進んで制御を終了する。また、前記ステップS15において、ファーブラシ6の状態F0が閾値F2よりも大きい場合は、前記ステップS19に進んでデータベース505に記憶されたテーブルを参照しながらファーブラシ6の周速度(回転速度)を変更する。その後、前記ステップS17に進んで制御を終了する。
本実施形態のように、感光ドラム1の回転総数N0と、ファーブラシ6の回転数と周速度(回転速度)と画像比率とから以下を予測する。どのような条件であればクリーニング性能と感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電を防止できるかを予測する。これによりファーブラシ6の周速度(回転速度)を変更できる。
また、ファーブラシ6の周速度(回転速度)を変更する他にファーブラシ6に対してトナーを強制補給することによっても感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電を防止することができる。
このように、感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電防止の方法は、画像形成装置13の状態や使用状況に応じて、適宜使い分ければ良い。
前記第1実施形態では、図4に示す電位測定装置16やパッチ画像検知センサ等を設けて感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1を測定した。本実施形態では、図4に示す電位測定装置16やパッチ画像検知センサ等を設けることなく、感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1を予測し、ファーブラシ6の周速度(回転速度)の制御を最適化することができる。
尚、ファーブラシ6の周速度(回転速度)の制御タイミングとしては、画像形成の前や、画像形成の後にファーブラシ6の状態F0を算出し、該ファーブラシ6の状態F0の算出直後の動作からファーブラシ6の周速度(回転速度)を変更すれば良い。
CPU500は、データベース505に記憶されたテーブルのデータを参照してファーブラシ6の状態F0を閾値F1,F2と比較演算するだけである。このため画像形成装置13のダウンタイムにつながることはないので、短い間隔で実施することが出来る。
<モノクロ印刷からカラー印刷に変更された場合>
図1は、中間転写ベルト8の張架方向(図1の左右方向)に沿って四色の画像形成ステーション14Y,14M,14C,14Kが一直線状に並設されたタンデム型のフルカラーの画像形成装置13である。このような画像形成装置13では、ブラックK色等のモノクロ印刷時は、帯電ローラ2や一次転写ローラ5にそれぞれのバイアス電圧を印加しない。そして、感光ドラム1のみが空回転する状態でブラックKの画像形成ステーション14Kのみが画像形成動作を実施する。
ブラックK等のモノクロ印刷の間、カラーの各画像形成ステーション14Y,14M,14Cでは、ファーブラシ6と感光ドラム1とは空回転状態が続く。
この場合、図8のステップS13において、ステップS12で取得した画像情報L0は、ベタ白が連続しており、カラーの画像形成ステーション14Y,14M,14Cでは画像形成を行なわない。このため一次転写後に各感光ドラム1の表面に残留する転写残トナーも無いため各ファーブラシ6には転写残トナーが殆んど供給されない。
このためCPU500は、ファーブラシ6の繊維間に侵入するトナーが減少したことを検出し、ファーブラシ6の状態F0の数値は大きくなる。即ち、CPU500は、モノクロ印刷時のファーブラシ6により摺擦される感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電性が高くなると判断する。そして、ステップS19において、CPU500は、ファーブラシ6の周速度(回転速度)を変更する。
つまり、モノクロ印刷時は、カラーの各画像形成ステーション14Y,14M,14Cにおいて、ファーブラシ6の摺擦により感光ドラム1の表面がポジ(正極)帯電する可能性が高い。このためファーブラシ6の周速度(回転速度)を低下させる。これにより感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電を防止する。
一方、モノクロ印刷が終了してカラー印刷が開始される。そのとき、ファーブラシ6の周速度(回転速度)が低過ぎると、感光ドラム1の表面のクリーニング性能が不足する恐れがある。このため図8に示す制御を再度実施して、必要に応じてファーブラシ6の周速度(回転速度)を上げる変更を実施する。
尚、タンデム型のカラーの画像形成装置13においては、モノクロ印刷時に、カラーの画像形成ステーション14Y,14M,14Cの各感光ドラム1の表面を中間転写ベルト8の外周面から離間させるように移動する移動手段を設けたものもある。その場合は、カラーの画像形成ステーション14Y,14M,14Cは停止している。このため前述した考慮は不要であり、ファーブラシ6と感光ドラム1の駆動状況に応じてファーブラシ6の状態F0を適宜判断すれば良い。
<モノクロ印刷の場合>
ブラックK等のモノクロ印刷時のカラーの画像形成ステーション14Y,14M,14Cでは、各帯電ローラ2Y,2M,2Cに帯電バイアス電圧を印加しなくても良い。その場合は、感光ドラム1の表面電位は略0Vである。そのためファーブラシ6の摺擦により感光ドラム1の表面がポジ(正極)帯電し易い。
そこで、ブラックK等のモノクロ印刷時のカラーの画像形成ステーション14Y,14M,14Cの各帯電ローラ2Y,2M,2Cに小さい帯電バイアス電圧を印加する。これにより感光ドラム1の表面がカラー印刷時ほどの表面電位ではないが、小さい表面電位になるよう帯電させても良い。
前述した「モノクロ印刷からカラー印刷に変更された場合」で示した図8のステップS11〜S14では、画像情報L0と、感光ドラム1の回転総数N0とからファーブラシ6の状態F0を演算している。他に、感光ドラム1の表面を帯電する帯電ローラ2に印加する帯電バイアス電圧の設定に基づいてファーブラシ6の周速度(回転速度)を調整しても良い。
本発明者の検討によれば、感光ドラム1の表面電位の絶対値が大きいほど、ファーブラシ6の摺擦により該感光ドラム1の表面がポジ(正極)帯電し難いことが分かった。しかも、感光ドラム1が同じ表面電位(例えば、−100V)であっても帯電ローラ2に印加する帯電バイアス電圧の設定によりファーブラシ6を摺擦したときの感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電電位V1は異なることも分かった。
図1に示す本実施形態のように接触帯電方式の帯電ローラ2に印加する帯電バイアス電圧の交流成分(AC)バイアスとしてピークトゥピーク電圧Vppが800Vで、感光ドラム1の表面電位を−100Vに帯電させた場合を考慮する。更に、交流成分(AC)バイアスとしてピークトゥピーク電圧Vppが2000Vで、感光ドラム1の表面電位を−100Vに帯電させた場合を考慮する。
この場合、帯電ローラ2に印加する帯電バイアス電圧の交流成分(AC)バイアスとしてピークトゥピーク電圧Vppが800Vの方がファーブラシ6の摺擦により感光ドラム1の表面がポジ(正極)帯電し易いことが分かっている。
そのため画像情報L0やファーブラシ6の回転総数J0や感光ドラム1の回転総数N0に基づいてファーブラシ6の周速度(回転速度)を変更しても良い。或いは、帯電ローラ2に印加する帯電バイアス電圧の交流成分(AC)バイアス電圧に応じてファーブラシ6の周速度(回転速度)を変更しても良い。
帯電ローラ2に印加する帯電バイアス電圧の交流成分(AC)バイアス電圧は、帯電ローラ2からの放電電流量と相関関係があるパラメータである。帯電ローラ2からの放電電流量が小さいと、ファーブラシ6の摺擦により感光ドラム1の表面がポジ(正極)帯電し易い。
本実施形態のように帯電ローラ2が接触帯電方式ではなく、非接触のコロナ帯電方式を考慮する。コロナ帯電器の放電電極に印加する放電電流量を小さくするとファーブラシ6の摺擦により感光ドラム1の表面がポジ(正極)帯電し易い。
これらを考慮して、カラー印刷時は、帯電ローラ2に印加する帯電バイアス電圧の交流成分(AC)バイアスとして以下の通りである。ピークトゥピーク電圧Vppが2000Vを印加した状態で、直流成分(DC)バイアスを印加して感光ドラム1の表面電位が−800Vになるように設定する。
一方、モノクロ印刷時のカラーの画像形成ステーション14Y,14M,14Cでは、各帯電ローラ2の交流成分(AC)バイアスとして以下の通りである。ピークトゥピーク電圧Vppが500Vを印加した状態で、直流成分(DC)バイアスを印加して感光ドラム1の表面電位が−100Vになるように設定する。
ブラックKの画像形成ステーション14Kは、帯電ローラ2に印加する帯電バイアス電圧の交流成分(AC)バイアスとして以下の通りである。ピークトゥピーク電圧Vppが2000Vを印加した状態で、直流成分(DC)バイアスを印加して感光ドラム1の表面電位が−800Vになるように設定する。
モノクロ印刷時のカラーの画像形成ステーション14Y,14M,14Cでは、画像形成を行なわない。このためモノクロ印刷時のカラーの画像形成ステーション14Y,14M,14Cの各帯電ローラ2に印加する帯電バイアス電圧の交流成分(AC)バイアスを以下の通りとする。カラー印刷時の各帯電ローラ2に印加する帯電バイアス電圧の交流成分(AC)バイアスの1/4の大きさのピークトゥピーク電圧Vppを印加して感光ドラム1の表面を帯電する。
尚、帯電ローラ2が接触帯電方式ではなく、非接触のコロナ帯電方式であれば、コロナ帯電器の放電電極に印加する放電電流量をカラー印刷時に比べてモノクロ印刷時は小さくする。
このように、接触帯電方式の帯電ローラ2を用いて放電電流量が小さい状態で感光ドラム1の表面が帯電されているモノクロ印刷時のカラーの画像形成ステーション14Y,14M,14Cでは以下の通りである。ファーブラシ6の摺擦により各感光ドラム1の表面がポジ(正極)帯電し易い。
そこで、帯電ローラ2の放電電流量に相当するパラメータを予めメモリ504及びデータベース505に記憶しておき、モノクロ印刷時では、ファーブラシ6の周速度(回転速度)をカラー印刷時に対して一律に低下させる制御としても良い。
具体的には、接触帯電方式の帯電ローラ2の場合は、該帯電ローラ2に印加する帯電バイアス電圧の交流成分(AC)バイアス、或いは、直流成分(DC)バイアスが小さいほど、ファーブラシ6の周速度(回転速度)を下げる制御を行なう。
また、非接触のコロナ帯電方式の場合は、コロナ帯電器の放電電極に印加する放電電流量が小さいほど、ファーブラシ6の周速度(回転速度)を下げる制御を行なう。この場合、変更手段となるCPU500は、帯電手段となるコロナ帯電器に印加された帯電バイアスにより生じる放電量に応じて、ファーブラシ6と感光ドラム1の表面との摺擦条件を変更する。
カラー印刷時は、感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比を120%とする。モノクロ印刷時は感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比を100%となるようにファーブラシ6の周速度(回転速度)を制御することでも良い。
モノクロ印刷時のカラーの画像形成ステーション14Y,14M,14Cの各帯電ローラ2からの放電電流量を小さくすることにより各感光ドラム1に対するダメージを最小限に抑えることができる。更に、前述したように、ファーブラシ6の摺擦により各感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電の防止も両立できる。
<カラー印刷からモノクロ印刷に変更された場合>
図1に示すタンデム型のフルカラーの画像形成装置13では、カラー印刷時は、カラーの画像形成ステーション14Y,14M,14Cのそれぞれにおいて画像形成動作を行なう。このため各画像形成ステーション14Y,14M,14C毎に画像情報L0に応じてファーブラシ6の周速度(回転速度)を変更する場合がある。尚、条件によっては全色の画像形成ステーション14のファーブラシ6が同一の周速度(回転速度)になる場合もある。
カラー印刷からモノクロ印刷に変更された場合は、前述した「モノクロ印刷からカラー印刷に変更された場合」と同様に以下の通りである。ファーブラシ6と、感光ドラム1とは空回転状態が続けられ、一次転写後に各感光ドラム1の表面に残留した転写残トナーもファーブラシ6の繊維間に供給されない。このためファーブラシ6の摺擦による感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電性が高くなる。
カラー印刷時のファーブラシ6の状態F0に応じて、適宜、モノクロ印刷時はファーブラシ6の周速度(回転速度)を低下させる。モノクロ印刷時は各ファーブラシ6の周速度(回転速度)を一律に低下させても良い。また、カラー印刷からモノクロ印刷に変更された場合以外にも印刷開始からモノクロ印刷を行なうときも同様に各ファーブラシ6の周速度(回転速度)を一律に低下させても良い。
<感光ドラム1のみが交換された場合>
ファーブラシ6は繰り返し画像形成を行なって耐久した状態であるが、感光ドラム1が何らかのトラブルが生じたり寿命に達したときに該感光ドラム1のみを交換した場合について説明する。
感光ドラム1のみを交換すると、図8のステップS12において、データベース505に記憶されたテーブルからデータを呼び出すと、感光ドラム1の回転総数N0がゼロになっている。
ここで、感光ドラム1自体は、新品の方がファーブラシ6の摺擦により該感光ドラム1の表面がポジ(正極)帯電し易い特性を持っている。このため図3のステップS14において、CPU500は、データベース505に記憶されたテーブルのデータを参照して感光ドラム1が新品か否かを判断する。
これにより感光ドラム1のみが交換された場合を考慮できる。新品の感光ドラム1においては、感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比を低下させる。これにより感光ドラム1のみが新品に交換されてもファーブラシ6の摺擦による該感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電の発生を防止することができる。
感光ドラム1の耐久が進むにつれ、感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比を上げる。これによりファーブラシ6の摺擦による該感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電の防止とクリーニング性能の確保を両立することができる。
<トナーの強制消費が実行された場合>
例えば、白ベタ画像のように画像比率の低い画像を連続して形成すると、現像装置4が空回転状態になり、現像剤容器4a内に収容された現像剤が劣化する。このため所定枚数の記録材12の画像比率の低い画像を連続して形成した場合において、現像装置4の現像剤容器4a内に収容された現像剤を強制消費させる場合がある。
現像装置4の現像剤容器4a内に収容された現像剤を強制消費したトナーが一次転写されずに感光ドラム1の表面上に担持されてクリーニング装置15に到達すると、大量のトナーがファーブラシ6に到達する。
或いは、ベタ画像の連続形成やジャム(JAM)等のトラブルにより、ファーブラシ6に到達するトナー量が一時的に増加する場合がある。図8のステップS12において、画像情報L0のうちで、ファーブラシ6の状態F0を算出する直前のX枚の記録材12に印刷される画像情報Pを考慮する。更に、ファーブラシ6を交換して使い始めてから今現在までに流された画像情報(制御パッチ画像を含む)Qを考慮する。そして、該画像情報Pを考慮してファーブラシ6の状態F0が算出される。
そのファーブラシ6の状態F0に基づいて、CPU500は、該ファーブラシ6の周速度(回転速度)の変更が必要か否かを判断する。これによりファーブラシ6の摺擦による感光ドラム1の表面のポジ(正極)帯電防止とクリーニング性能の両立とを行なうことができる。
本実施形態によれば、ファーブラシ6の摺擦により感光ドラム1の表面電位が現像する側の帯電電位の極性と逆極性に帯電したことを検知し、感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比を変更する。
ファーブラシ6の摺擦により感光ドラム1の表面電位が現像する側の帯電電位の極性と逆極性に帯電した帯電電位V1に応じて、感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比を低減する。これにより感光ドラム1の表面電位が現像する側の帯電電位の極性と逆極性に帯電するのを防止することができる。
即ち、ファーブラシ6等の清掃部材の摺擦により感光ドラム1の表面が現像する側の帯電極性と逆極性に帯電した帯電電位V1により感光ドラム1の表面電位が不均一になる。これにより画像ムラや白地部かぶり等の画像不良が発生する。このような画像不良の防止と、クリーニング不良の防止を両立することができる。また、画像形成スピードの高速化も容易になる。
本実施形態では、変更手段となるCPU500は、記憶手段となるメモリ504やデータベース505に記憶した画像形成条件に応じて、ファーブラシ6と、感光ドラム1の表面との摺擦条件を変更する。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
尚、前記各実施形態では、ファーブラシ6と、感光ドラム1の表面との摺擦条件を変更する一例として、感光ドラム1の表面の周速度に対するファーブラシ6の外周面の周速度比を変更する一例について説明した。
他に、ファーブラシ6と、感光ドラム1の表面との単位時間当たりの摺擦回数を変更する。或いは、ファーブラシ6と、感光ドラム1の表面との相対的な移動方向を変更する。或いは、ファーブラシ6と、感光ドラム1の表面との当接圧を変更する。或いは、感光ドラム1の表面に対するファーブラシ6の侵入量を変更する。これらのうちの少なくとも一つを変更することでファーブラシ6と、感光ドラム1の表面との摺擦条件を変更することも出来る。