以下,本発明にかかる画像形成装置を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,タンデム型のカラープリンタに本発明を適用したものである。
本形態の画像形成装置は,タンデム方式のフルカラープリンタであり,図1に示すように並列に配置された4つの画像形成ユニットを有するものである。具体的に,本形態のカラープリンタ100は,4色の画像形成ユニット1K,1C,1M,1Yを有している。また,その他に露光装置8,中間転写ベルト10,2次転写ローラ11,クリーニングブレード12等を有している。各画像形成ユニットは,中間転写ベルト10上に各色の画像を形成するものである。各画像形成ユニットは,画像形成ユニット1Kがブラック(K),画像形成ユニット1Cがシアン(C),画像形成ユニット1Mがマゼンタ(M),画像形成ユニット1Yがイエロー(Y)の各色に対応している。なお,各画像形成ユニットの配置は図1の順序に限定されるものではない。
また,画像形成ユニット1Kは,図2に示すように,回転ドラム型の電子写真感光体であり,負帯電性の有機光導電体(OPC)である感光体ドラム2を有している。感光体ドラム2は,図2中の矢印方向に一定の速度で回転するようになっている。また,感光体ドラム2の周囲には,その回転方向に沿って,帯電装置3,現像装置4,転写装置5,トナー収出量制御部材6,トナー帯電量制御部材7が順次配置されている。また,帯電装置3と現像装置4との間には,潜像が形成される露光エリアが設けられている。その他の画像形成ユニットについても同様の構成となっている。
本形態のカラープリンタ100は,トナー収出量制御部材6に対して直流電圧と交流電圧とが重畳された振動バイアス(以下,「トナー量制御バイアス」とする)を印加するためのバイアス印加部61と,トナー帯電量制御部材7に対して直流バイアス(以下,「トナー帯電量制御バイアス」とする)を印加するためのバイアス印加部71と,トナー量制御バイアスおよびトナー帯電量制御バイアスを制御する制御部62とを備えている。バイアス印加部61は,直流成分電圧Vdc,ピーク間電圧Vpp,周波数,デューティ比の少なくとも1つが可変である。なお,不図示であるが,帯電装置3,現像装置4,転写装置5の各装置にもそれぞれ電源が接続されており,所定のバイアスが印加される。
帯電装置3は,感光体ドラム2の表面を均一に帯電させるものである。帯電装置3としては,コロナ放電により帯電させる非接触方式のコロナ帯電装置の他,導電性の接触帯電部材を感光体ドラム2の表面に接触させて帯電させる接触方式の帯電装置が適用可能である。接触方式の帯電装置は,放電生成物の発生を抑え,感光体ドラム2の劣化を防ぐことができ,高画質を維持することができる。また,オゾンレスによって排気ダクト,ファン等が不要となり,装置のコンパクト化も可能になる。接触方式の帯電装置としては,ローラ型,ブレード型,ブラシ型,シート型など各種のものがある。
本形態では,帯電装置としてローラ型のものを使用する。具体的に帯電装置3は,図3に示すように,芯金31(SUS,直径:6mm)と,芯金31を覆う発泡体ベース層32(膜厚:2.5mm)と,発泡体ベース層32を覆う中間層33(膜厚:0.45mm,抵抗:2E+5Ω,硬度:75°,表面粗さRa:0.2μm以下)と,中間層33をコーティングする表面層34(膜厚:10μm,抵抗:2E+5Ω)とを有する。なお,発泡体ベース層32,中間層33,表面層34を構成する材料は一般的な樹脂材料であればよい。
なお,帯電装置3への印加バイアス(帯電バイアス)は,感光体ドラム2の表面電位を所定の値に設定できるものであればどのようなものであってもよい。例えば,直流電圧や交流電圧であってもよいし,直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧であってもよい。また,パルス電圧,サイン波形,矩形波形,その他の波形の電圧でもよい。本形態では,サイン波(Vdc:−520V,Vpp:1200V,周波数:1kHz)の帯電バイアスが印加される。
図4は,帯電バイアスのパラメータ(Vdc,Vpp)を変化させたときの帯電ローラのトナー汚れ状態を調査した結果を示している。図5は,帯電バイアスのパラメータ(Vdc,Vpp)を変化させたときの帯電ローラの外添剤汚れ状態を示している。両図とも帯電ローラの汚れの判断は目視で行い,●は良好,▲は一部不良,■は不良を示している。両図に示したように,図中左上の領域ではプラストナーによる汚れが目立ち,図中右下の領域ではマイナストナーによる汚れが目立つ結果となった。これにより,帯電バイアスの使用領域としては,両図中の破線枠で示したように,Vdcが−200V〜−650Vの範囲内であり,Vppが700V〜1400Vの範囲内であることが帯電ローラの汚染を抑制する上で好ましいことがわかる。
現像装置4は,潜像上にトナーを付与する機能に加え,トナーを回収する機能を有している。すなわち,本形態では,静電潜像の白地部については感光体ドラム上の転写残トナーを回収し,それ以外の部分についてはトナーを付与する。現像装置4としては,接触型であっても非接触型であってもよい。また,現像方式は,トナーとキャリアとからなる2成分現像方式であっても,キャリアを含まない1成分現像方式であってもよい。本形態では,負帯電極性トナーを使用するが,トナー像の現像が可能であれば,正帯電極性トナーであってもよい。
トナー収出量制御部材6は,感光体ドラム2上のトナー量の調節を行うためのものである。トナー収出量制御部材6としては,ロール状の導電性ブラシ部材を適用する。本形態では,繊径が2.2dT,密度が240kF,パイル長が3mm,抵抗が1E+5Ω,押し込み量が0.5mmのナイロンブラシを使用する。トナー収出量制御部材6は,感光体ドラム2に対してカウンタ方向に回転し,その周速比θは2である。なお,トナー収出量制御部材6の構成は上記のものに限るものではない。回収率および吐出率は繊径および密度については影響しないことがわかる。トナー収出量制御部材6は,少なくとも,繊径が2D〜6D(2.2dT〜6.6dT),密度が150kF〜240kF,パイル長が2mm〜10mm,ブラシ成形品の抵抗値が104Ω〜106Ωの範囲内のものであれば適用可能である。
トナー収出量制御部材6には,電源となるバイアス印加部61を介してトナー量制御バイアスが印加される。本形態では,Vdcが−500V〜+50V,Vppが300V,デューティ(−)が5%〜95%,周波数が100Hzとする矩形波のバイアスが印加される。本トナー量制御バイアスのパラメータのうち,Vdcおよびデューティは可変であり,環境や動作モードに応じて制御部62によって制御される。本形態では,トナー量制御バイアスのVdcおよびデューティを変えることにより,トナーの回収率(トナー収出量制御部材6がトナーを取り込む確率)および吐出率(トナー収出量制御部材6がトナーを吐き出す確率)を変化させる。制御の詳細については後述する。
トナー帯電量制御部材7は,感光体ドラム2上のトナーの帯電極性および帯電量を正規に揃えるためのものである。本形態では,負帯電極性トナーを使用するため,トナーの帯電極性を負極性に揃える。トナー帯電量制御部材7としては,導電性カーボンを分散した導電性発泡体のパッド部材を適用する。本形態では,セル径の分布が100μm〜250μmの範囲内に集中し,かつ平均セル径が200μm以下であり,体積抵抗率が104Ωcm〜106Ωcmの範囲内であり,発泡密度(単位体積あたりの重さ)が0.2g/cm3〜0.5g/cm3の範囲内である発泡体を使用する。また,感光体ドラム2への押圧力を0.02MPaとする。
トナー帯電量制御部材7には,電源となるバイアス印加部71を介してトナー帯電量制御バイアスが印加される。具体的にトナー帯電量制御部材7には,負極性の直流バイアスが印加される。本形態では,−500V〜−300Vの範囲内の直流バイアスが印加される。トナー帯電量制御バイアスのパラメータも可変であり,環境や動作モードに応じて制御部62によって制御される。
また,トナー帯電量制御部材7は,感光体ドラム2に摺接しており,感光体ドラム2の軸方向に往復移動可能に設けられている。すなわち,発泡体であるトナー帯電量制御部材7が感光体ドラム2の表層に摺擦することで,感光体ドラム2の表面が研磨される。そして,感光体ドラム2の表面が研磨されることで,感光体ドラム2の表面に固着した微小物質が除去される。
なお,トナー帯電量制御部材7の往復運動は,感光体ドラム2の回転中は常時行われる。また,トナー帯電量制御部材7の移動速度,移動量,押し当て量等を調節することによって感光体ドラム2の研磨量を制御することができる。例えば,α値(研磨量μm/感光体ドラム10万回転)を0.1〜3の範囲内で制御可能である。
続いて,本形態のカラープリンタ100にて画像を形成する場合の動作について説明する。なお,図6に感光体ドラム2の表面電位の推移を示す。まず,帯電装置3の負極性バイアスにより,感光体ドラム2の表面が所定の電位V0に一様に帯電処理される(図6(a))。
次に,露光装置8が感光体ドラム2上の露光エリアに光を照射することにより,1ページ目の静電潜像が形成される。本工程では,レーザ光により露光された部分が電位Viとなり,電位V0と電位Viとのコントラストによって静電潜像が形成される(図6(b))。
次に,現像装置4では,負帯電極性のトナーを担持する現像ローラに現像バイアスが印加されており,電位Vd(V0<Vd<Vi)となっている現像ローラ上を静電潜像が通過する際に現像が行われる。このとき,現像ローラ上のトナーは,電位Viとなっている露光部(黒地部)では感光体ドラム2へ移動し,電位V0となっている非露光部(白地部)では移動しない(図6(c))。これにより,感光体ドラム2上にトナー像が形成される。
次に,転写装置5により,トナー像が中間転写ベルト10上に転写される。すなわち,感光体ドラム2上のトナーは,転写装置5の正極性の転写バイアスVtにより中間転写ベルト10上に移動する(図6(d))。このとき,一部のトナーは,転写されずに感光体ドラム2上に残留し,転写残トナーとなる。
次に,トナー収出量制御部材6により,感光体ドラム2上の転写残トナーが回収される。さらに,回収したトナーの一部は,再び感光体ドラム2上に吐き出される(図6(e))。すなわち,一旦,トナーを回収した後,その回収したトナーを吐き出す。これにより,特定の場所に集中したトナーを散らすことができる。
また,トナー収出量制御部材6では,感光体ドラム2上の転写残トナーが所定量以下となるように,トナー収出量制御部材6のトナーの回収率および吐出率が調節される。すなわち,トナーの吐出率を下げると,感光体ドラム2上の転写残トナー量が減るため,帯電不良や露光不良に有利となる。しかし,ブラシ部材であるトナー収出量制御部材6内にトナーが蓄積されることになる。トナーの蓄積量が多くなると,回収率の低下やトナーの漏れが生じる。そのため,適宜,蓄積したトナーを吐き出す必要がある。そこで,感光体ドラム2上のトナーが所定量以上とならないように回収率および吐出率を変化させる。
また,感光体ドラム2に対してカウンタ回転するトナー収出量制御部材6では,摩擦によってトナーの帯電極性が調節される。すなわち,トナー同士の摩擦,転写バイアス,トナー量制御バイアス等によってトナーの帯電極性および帯電量が変化する。この帯電極性が反転したトナーをトナー収出量制御部材6によって荷電し,その一部を再反転させる。
次に,トナー帯電量制御部材7により,トナー収出量制御部材6を通過したトナーあるいはトナー収出量制御部材6から吐き出されたトナーの帯電極性および帯電量を負極性に揃える(図6(f))。すなわち,トナー収出量制御部材6だけでは,必ずしもすべての反転トナーを正規極性に戻すことはできない。また,正規極性に戻ったとしてもその帯電量まで正規の帯電量に戻すことは難しい。トナー帯電量制御部材7では,この帯電量が変化したトナー,すなわち荷電不良(荷電過多,荷電不足)のトナーが規定の帯電量に揃えられる。
その後,再び帯電装置3により転写残トナーの上から感光体ドラム2の表面が帯電処理される(図6(g))。このとき,トナー収出量制御部材6にて転写残トナーの付着量が所定量以下に抑えられていることから,転写残トナーに遮られることなく感光体ドラム2の表面が一様に帯電される。また,トナー帯電量制御部材7にて転写残トナーの帯電量が規定値に揃えられていることから,転写残トナーの帯電装置3への付着が抑制される。
その後,露光部で2ページ目の静電潜像が形成される(図6(h))。このときも同様に,トナー収出量制御部材6にて転写残トナーの付着量が所定量以下に抑えられていることから,転写残トナーに遮られることなく露光処理が行われる。
次に,現像装置4にて,現像と残留トナーの回収とが同時に行われる。すなわち,転写残トナーのうち,非露光部(白地部)に存在するものは現像装置4に回収され,露光部(黒地部)に存在するものはトナー像となる(図6(i))。このとき,トナー帯電量制御部材7にて転写残トナーの帯電量が規定値に揃えられていることから,転写残トナーの回収が円滑に行われる。
このような動作を画像形成ユニットごとに繰り返し,中間転写ベルト10上にそれぞれの色のトナー画像を重ねる。そして,4色のトナー像が重ね合わせられることにより,中間転写ベルト10上にカラー画像が形成される。このカラー画像が2次転写ローラ11にて記録紙に転写される。そして,その記録紙が定着装置を介して排出トレイに出力される。
続いて,トナー収出量制御部材6について詳説する。図7は,転写残トナーの付着量と濃度ムラとの関係を示している。本グラフは,横軸を感光体ドラム上のトナーの付着量とし,縦軸をその付着量のときに採取した画像サンプルの濃度変化量としている。あらかじめ,転写残トナーの「有り部」と「無し部」とのハーフトーン画像(10%,20%,30%,50%)を形成し,目視による官能評価を行ったところ,濃度変化量ΔE*ab≦2の場合には濃度差が認識されなかった。そこで,転写残トナーを0〜0.5g/m2 の範囲内で評価したことろ,図7に示したように,0.2g/m2 以下であれば濃度変化量ΔE*abを2以下とすることがわかった。そこで,トナー収出量制御部材6では,転写残トナーの通過量を0.2g/m2 以下となるように調節する。
次に,トナー収出量制御部材6へのトナー量制御バイアスについて説明する。まず,Vdc,Vpp,デューティおよび周波数が回収率および吐出率に与える影響を評価した。なお,本評価では,前提条件として,Vdc=−100V,Vpp=300V,デューティ=50%(矩形波),周波数=100Hz,θ(周速比=トナー収出量制御部材の回転速度/感光体ドラムの回転速度)=2とし,そのうち1つのパラメータを評価項目ごとに変化させている。
図8は,Vdcと回収率との関係を示している。図8中,(a)は周波数を100Hzとしたときの評価結果を示し,(b)は周波数を1000Hzとしたときの評価結果を示している。図8に示したように,Vdcによる回収率の変化は,周波数(100Hz/1000Hz)に依存することがわかった。また,両結果ともに,いずれの環境(LL環境(低温低湿環境),HH環境(高温高湿環境))であっても,Vdcを0V以上とすることで回収率が100%となることがわかった。さらには,Vdcが0Vよりも低い範囲では,その絶対値が大きいほど回収率が低下し,−400V以下では回収率がほぼ0%となることがわかった。
図9は,Vppと回収率との関係を示している。図9中,(a)は周波数を100Hzとしたときの評価結果を示し,(b)は周波数を1000Hzとしたときの評価結果を示している。図9に示したように,Vppによる回収率の変化は,周波数(100Hz/1000Hz)に依存することがわかった。また,Vppが400Vよりも小さい段階では周波数による多少の違いがあるものの,Vppが400V以上のときは回収率が100%となることがわかった。さらには,Vppが400Vよりも低い範囲では,その値が小さいほど回収率が低下することがわかった。
図10は,Vdcと吐出率との関係を示している。図10中,(a)は周波数を100Hzとしたときの評価結果を示し,(b)は周波数を1000Hzとしたときの評価結果を示している。図10に示したように,Vdcによる吐出率の変化は,周波数(100Hz/1000Hz)に依存することがわかった。また,Vdcによって,吐出率を0%〜最大80%の範囲内で制御することができることがわかった。具体的には,Vdcが−100V付近のときをピークとして,−100Vからの差が大きいほど吐出率が低下することがわかった。
図11は,Vppと吐出率との関係を示している。図11中,(a)は周波数を100Hzとしたときの評価結果を示し,(b)は周波数を1000Hzとしたときの評価結果を示している。図11に示したように,Vppによる吐出率の変化は,周波数(100Hz/1000Hz)に依存することがわかった。また,Vppによって,吐出率を0%〜100%の範囲内で制御することができることがわかった。具体的には,Vppが大きいほど吐出率が低下することがわかった。
図12は,周波数と回収率との関係を示している。図12に示したように,環境によって回収率は異なるものの,50Hz〜2000Hzの範囲内では回収率を制御できることがわかった。具体的には,周波数が高いほど回収率が低下することがわかった。
図13は,周波数と吐出率との関係を示している。図13に示したように,環境によって吐出率は異なるものの,30Hz〜2000Hzの範囲内では吐出率を制御できることがわかった。具体的には,周波数が100Hz付近のときが高吐出率のピークとなることがわかった。
図14は,デューティ(−)と吐出率との関係を示している。図14に示したように,デューティによって吐出率を制御できることがわかった。具体的には,(−)側の比率を上げるほど吐出率が高くなることがわかった。一方,不図示であるが,(−)側の比率を下げるほど回収率が高くなることもわかった。すなわち,本形態のトナーは負極性に帯電していることから,正極性成分を強くすると回収率が高まり,正極性成分を弱くすると吐出率が高まる。従って,デューティ(−)が5%のときは回収傾向にあり,50%以上のときは吐出傾向にある。
上記(図8〜図14)の評価結果からわかるように,トナー量制御バイアスのパラメータであるVdc,Vpp,デューティおよび周波数によってトナーの回収率および吐出率を制御することができる。
本形態では,トナー量制御バイアスのデューティを変化させてトナー量を調節する。すなわち,デューティ(−)が5%のときは回収傾向にあり,50%以上のときは吐出傾向にある。この特性を利用して,トナーの回収/吐出制御を行う。
また,デューティとともにVdcも併せて変化させ,トナーの回収を制御する。すなわち,トナー通常環境下においては,Vdcが0Vのとき,トナーの回収率がほぼ100%,吐出率がおよそ50%であることから,回収と吐出とが同時に行われる。より具体的には,転写残トナーを一旦回収した後,その回収したトナーの一部が吐き出される。この場合,回収率の方が高い故にトナー収出量制御部材6への蓄積が多くなる。つまり,回収傾向のバイアスと言える。また,Vdcが400Vであれば,トナーの回収率がほぼ100%,吐出率が10%以下であることから,吐出が殆ど行われず,トナーが回収・蓄積される。すなわち,より強い回収傾向のバイアスと言える。また,Vdcが−400Vであれば,トナーの回収率がほぼ0%であることから,回収が殆ど行われない。
なお,制御するパラメータはVdcに限るものではない。Vdc,周波数,デューティの各パラメータであっても,高回収率を維持したまま吐出率を変化させることができる。
続いて,トナー帯電量制御部材7について詳説する。図15は,トナー帯電量制御バイアスとトナー帯電量の変化量との関係を示している。図15に示すように,トナー帯電量制御バイアスを変化させることでトナー帯電量を制御することができる。図16は,トナー帯電量制御部材7の通過前後におけるトナー帯電量の分布を示している。図16に示すように,転写直後では正極性に帯電しているトナー,すなわち逆極性に帯電しているトナーが多い。その後,トナー収出量制御部材6によって逆極性に帯電したトナーが正規極性に戻される(図16中,荷電制御前)。しかし,トナー収出量制御部材6を通過しただけでは,帯電量のばらつきを抑えるまでには至らない。そこで,トナー帯電量制御部材7を通過することにより,トナー帯電量のばらつきが小さくなることがわかる(図16中,荷電制御後)。
図17は,帯電前のトナー帯電量と帯電ローラの汚れとの関係を示している。図17中のVdcは帯電ローラのVdcを意味し,帯電ローラのVppは1200Vとしている。本グラフは,横軸を転写後であって帯電直前のトナーの帯電量(μC/g)とし,縦軸をその帯電量のときの帯電ローラ上の汚れ(すなわち帯電ローラ上にシールを貼付して汚れを抽出し,その汚れを白紙に転写したときのL*)を計測した。一般的に,L*が80以上あれば,帯電ローラの汚れが画質に影響を与えることはない。図17に示したように,トナーの帯電量が−15μC/g以下になると,帯電ローラが著しく汚染されることがわかる。そこで,本形態のトナー帯電量制御部材7では,感光体ドラム上の帯電装置の通過直前の転写残トナーの帯電量を−15μC/g以下(すなわち絶対値として以上)となるように調節する。なお,図17に示したように,帯電ローラの汚れは,帯電ローラへのVdcに依存しない。
続いて,トナー量調節手順について,図18のフローチャートおよび図19のタイムチャートを基に説明する。なお,あらかじめ本形態の画像形成装置には幾つかの動作モードが設定されている。
具体的には,画像形成の終了後に行われるエンドシーケンス吐出モード(以下,「モード1」とする),画像形成の開始前に行われる作像前シーケンス回収モード(以下,「モード2」とする),電源オン直後に行われる電源オン時吐出モード(以下,「モード3」とする)が設定されている。各モード,作像時,像間時での各バイアスの設定は,次の表1の通りである。
まず,電源オンした後,動作モードがモード3に切り換わる(S1)。具体的に,トナー量制御バイアスをVdcが−500V,デューティを95%とすることで,トナーの回収を抑制し,ブラシからトナーを積極的に吐き出す制御を行う。さらに,トナー帯電量制御部材7にVdcが−500Vのトナー帯電量制御バイアスが印加されることで,帯電装置3直前のトナーの帯電量が調節される。吐き出されたトナーは,帯電装置3を汚染することなく現像装置4で回収される。
プリント開始指示を受けると,動作モードがモード2に切り換わる(S2)。具体的に,トナー量制御バイアスをVdcが+50V,デューティを5%とすることで,トナーの吐出を抑制し,トナーを積極的に回収する制御を行う。これにより,作像前における感動体ドラム2上のトナー量を極力少なくする。
作像を開始すると,動作モードが作像モードに切り換わる(S3)。具体的に,トナー量制御バイアスをVdcが0Vとすることで,トナーを積極的に回収しつつも所定値以上とならない程度にトナーを吐き出す制御を行う。また,トナー帯電量制御部材7のトナー帯電量制御バイアスVdcを−300Vまで抑える。作像モードでは,積極的にトナーを回収するため,帯電装置3に達するトナー量は少ない。そのため,トナー帯電量制御部材7にて積極的にトナー帯電量を調節しなくてもよい。
その後,作像が終了であるか否かを判断し(S4),像間においては,動作モードが像間モードに切り換わる(S5)。具体的に,トナー量制御バイアスのデューティを95%とすることで,トナーを吐き出す制御を行う。さらに,トナー帯電量制御バイアスVdcを−500Vとすることで,トナーの帯電極性を積極的に揃える。帯電装置3を通過したトナーは現像装置4によって回収される。トナー帯電量制御部材7にてトナーの帯電極性を正規極性に揃えることで,帯電装置3の汚染を抑制する。さらには,現像装置4でのトナー回収を円滑に行う。以後,すべての作像が終了するまで,作像モードと像間モードとが繰り返される。
すべての作像が終了すると,動作モードがモード1に切り換わる(S6)。具体的に,トナー量制御バイアスをVdcが−500V,デューティが95%とすることで,トナーの回収を抑制し,トナーをブラシから積極的に吐き出す制御を行う。さらに,トナー帯電量制御部材7にVdcが−500Vのトナー帯電量制御バイアスが印加されることで,感光体ドラム2上のトナーの帯電量が調節される。また,帯電装置3にトナーを吐き出すバイアスが間欠的に印加されることで,帯電ローラに付着したトナーが吐き出される。吐き出されたトナーは,現像装置4で回収される。モード1での動作が終了するとプリント動作が終了となる。
なお,本形態では,動作モードごとにトナー量制御バイアスないしトナー帯電量制御バイアスを制御しているが,これに限るものではない。例えば,露光装置8のドットカウンタから印字率を検知し,その印字率から転写残トナーの量を予測し,その予測値を基にトナー量制御バイアスを切り換えることとしてもよい。
以上詳細に説明したように本形態のカラープリンタ100は,現像同時クリーニング方式であり,転写装置5と帯電装置3との間に,転写残トナー量を調節するトナー収出量制御部材6を有することとしている。トナー収出量制御部材6には,直流電圧に交流電圧を重畳したトナー量制御バイアスが印加され,制御部62が当該バイアスのパラメータを調節することによってトナー収出量制御部材6のトナーの回収率および吐出率を制御している。これにより,感光体ドラム2上のトナー量を一定値以下に維持することができる。また,トナーを一旦回収し,その後に吐出することにより,一箇所に集中したトナーを散らすことができる。よって,トナー集中による帯電ムラないし露光ムラが抑制される。
また,感光体ドラム2の回転方向の,帯電装置3の下流側に,トナーの帯電量を調節するトナー帯電量制御部材7を有することとしている。トナー帯電量制御部材7には,トナーの正規帯電極性のバイアスが印加され,トナーの帯電極性および帯電量が揃えられる。よって,帯電装置3の汚染が抑制されとともに,現像装置4での回収を円滑に行うことができる。また,トナー帯電量制御部材7は,感光体ドラム2の軸方向に対して往復運動する。これにより,感光体ドラム2の表面が研磨され,感光体ドラム2の表面に固着した微小物質が除去される。従って,現像同時クリーニング方式の画像形成装置において,帯電部での帯電不良および露光部での露光不良を抑制し,高画質の画像を形成する画像形成装置が実現している。
また,トナー収出量制御部材6は,適度にトナーを吐き出しており,回収したトナーは一時的に保持されるのみである。つまり,転写残トナーを廃棄物として長期的に保持するものではない。そのため,トナーの廃棄を目的とするクリーニング装置と比較してトナーの蓄積量は小さく,そのサイズは小さくて済む。従って,画像形成装置全体のコンパクト化を妨げるものではない。
また,トナー帯電量制御部材7がトナーの帯電量の調節機能と感光体ドラム2の研磨機能とを兼ねる。そのため,両機能専用の部材をそれぞれ設ける場合と比較してコンパクトである。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,画像形成装置としては,プリンタ,複写機,スキャナ,FAX等であって電子写真方式にて画像を形成するものであれば適用可能である。また,カラー画像を形成するものであってもモノクロ画像専用のものであってもよい。また,タンデム方式であっても4サイクル方式であってもよい。