連結金具の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態の連結金具1は、構造体90から垂設された吊ボルト80に、L型アングル材70を水平姿勢で連結するための器具である。この連結金具1は、L型アングル材70の垂直フランジ71を支持する第一支持部材10と、第一支持部材10に重ね合わされるとともにL型アングル材70の水平フランジ72とを支持する第二支持部材20と、締結部材40を用いて第一支持部材10と第二支持部材20とに連結され、かつ、吊ボルト80を挟み込んで保持する挟着部材30とを備える。このような構成の連結金具1を用いることで、L型アングル材70と吊ボルト80とを容易にかつ強固に連結することができる。
図1に、構造体90にL型アングル材70を吊下げ支持する支持構造を示す。本支持構造は、構造体90から垂設された吊ボルト80を、連結金具1を介してL型アングル材70が水平姿勢になるように連結し、固定している。なお、構造体90は例えばコンクリート製の天井スラブや梁等であって良い。L型アングル材70は、断面L字状の金属製のアングル材であり、連結金具1で固定されたときに上下方向に沿って配置される垂直フランジ71と、水平方向に沿って配置される水平フランジ72とを有する(図8を参照)。なお、L型アングル材70は、ケーブルラック等の吊設部材を下方から支持するために設けられる。吊ボルト80の外面には、ネジ山とネジ溝がそれぞれ螺旋状を描いて交互に形成されている。
本実施形態では、L型アングル材70が「長尺部材」に相当する。また、L型アングル材70の垂直フランジ71が「第一部分」に相当し、水平フランジ72が「第二部分」に相当する。また、吊ボルト80が「吊棒状体」に相当する。
図2〜4に示すように、本実施形態の連結金具1は、第一支持部材10と、第二支持部材20と、挟着部材30と、締結部材40と、弾性部材50とを備えている。締結部材40により、第一支持部材10と第二支持部材20と挟着部材30とが連結されている。これらは、第一支持部材10を中心として、その両側に第二支持部材20と挟着部材30とが分かれて配置されている。挟着部材30が第一支持部材10の一方側の面に取り付けられ、第二支持部材20が第一支持部材10の他方側の面に取り付けられている。締結部材40には、弾性部材50が装着されている。
第一支持部材10は、主にL型アングル材70の垂直フランジ71を支持するための部材である。また、第一支持部材10は、第二支持部材20及び挟着部材30を保持するための役割も果たす。本実施形態の第一支持部材10は、例えば金属製の板材で構成されている。第一支持部材10は、本体部11と、係止部12と、支持部13とを有する。また、第一支持部材10は、回動規制片14と、係止突起15と、ガイド部16とをさらに有する。これらは、一体的に形成されている。
本体部11は、第一支持部材10の主要部をなす部材である。本体部11は、平板状(平坦な板状)に形成されている。本体部11は、吊ボルト80に沿って配置されるとともに、第二支持部材20の本体部21に沿って配置される。本体部11は、締結部材40が挿通される挿通孔11aを有している。なお、当該挿通孔11aは、締結ボルト41の外径よりも大きい貫通孔である。
係止部12は、吊ボルト80に対して本体部11とは反対側から係止可能な部位である。係止部12は、吊ボルト80の軸方向に分かれて複数個所に設けられている。本実施形態では、図3に示すように、第一支持部材10の本体部11の上端から水平方向に沿って延びる上側板19が設けられており、この上側板19から幅方向に突出した部位(上側板突出部19a)が第一の係止部12となっている。また、本体部11における下方側の側端から垂直に折り曲げられて鉛直方向に沿って延びる横側板17aが設けられており、この横側板17aの先端部が本体部11と平行になるようにさらに折り曲げられた部位(横側板折曲部17b)が第二の係止部12となっている。
さらに、本体部11における横側板17aよりもさらに下方の側端から、下側延出板17cが幅方向に延出している。この下側延出板17cは、吊ボルト80に対して本体部11と同じ側から係止可能な部位(第二係止部)として設けられている。
支持部13は、L型アングル材70の垂直フランジ71の下端に係止せしめる部位である。この支持部13は、本体部11の下端を上方に向けて屈曲させた屈曲部分で構成されている。本実施形態では、図7に示すように、本体部11に対しておよそ45°の角度をなして第二支持部材20側に屈曲している。支持部13は、垂直フランジ71の下端部を下方から支持する。
回動規制片14は、本体部11の側面から第二支持部材20側に突出して設けられている。図2,3に示すように、回動規制片14は、本体部11の幅方向の一方側の側縁に設けられている。また、本実施形態では、二つの回動規制片14(14a,14b)が、吊ボルト80の軸方向に一定間隔を隔てて離間して設けられている。そして図4に示すように、第二支持部材20が締結部材40の軸を中心として半時計回りに回動した場合は、上側回動規制片14aに第二支持部材20が係止し、時計回りに回動した場合は、下側回動規制片14bに第二支持部材20が係止することで、第二支持部材20の回動を所定範囲内に規制することができる。
本実施形態では、図3に示すように、本体部11における横側板17aよりも上方の側端から、上側延出板17dが幅方向に延出している。この上側延出板17dの上端及び下端は、先端が挟着部材30側を向くように僅かに屈曲され、この屈曲部分により、係止突起15が構成されている。係止突起15は、図8に示すように、吊ボルト80が第一支持部材10と挟着部材30とに挟み込まれた状態で吊ボルト80側に突出し、当該吊ボルト80のネジ溝に係止する。これにより、吊ボルト80に対する軸方向の位置ズレを抑制するように構成されている。
ガイド部16は、第一支持部材10と挟着部材30とで吊ボルト80を挟み込む際に、第一支持部材10と挟着部材30との間に吊ボルト80を案内する。本実施形態では、ガイド部16は、図3,4に示すように、本体部11の上側延出板17dの側端から挟着部材30とは反対側に屈曲形成されている。本実施形態では、ガイド部16は、上下方向における一対の回動規制片14の間に形成されている。また、ガイド部16は、本体部11に対しておよそ135°の角度をなして第二支持部材20側に屈曲している。
第二支持部材20は、L型アングル材70の水平フランジ72を支持するための部材である。本実施形態の第二支持部材20は、例えば、金属製の板材で構成されている。第二支持部材20は、本体部21と、支持板22と、支持部23とを有する。第二支持部材20は、屈曲部24と、リブ部25と、線状突起26をさらに有する。これらは一体的に形成されている。
第二支持部材20の本体部21は、図2,3に示すように、平板状(平坦な板状)に形成され、第一支持部材10の本体部11に沿うよう配置される。本体部21は、締結部材40が挿通される挿通孔21aを有している。挿通孔21aは、締結ボルト41の外径よりも大きい貫通孔となっている。
支持板22は、本体部21からおよそ垂直に折り曲げられて平板状に形成された部位である。本体部21と支持板22とを主体とする第二支持部材20は、略L字状の板状部材で構成されている。支持板22は、L型アングル材70の水平フランジ72に沿って配置される。支持板22の端部は屈曲されており、当該屈曲箇所が支持部23となっている。
支持部23には、L型アングル材70の水平フランジ72の先端が係止される。本実施形態では、支持部23は、図8,9に示すように、支持板22に対しておよそ60°の角度をなして屈曲している。支持部23は、水平フランジ72の端部に対して上方から係止して、当該水平フランジ72を略水平になるように保持する。L型アングル材70は、全体として、支持板22と第一支持部材10の本体部11とに沿って配置され、支持部23と第一支持部材10の支持部13とに係止されて連結金具1に保持される。
本体部21における水平フランジ72の支持部23とは反対側の端部は第一支持部材10側に屈曲しており、当該屈曲部位が屈曲部24となっている。そして、第二支持部材20は、屈曲部24の先端で第一支持部材10に当接している。本実施形態では、屈曲部24は、本体部21に対しておよそ120°の角度をなして第一支持部材10側に屈曲している。このため、屈曲部24の先端が第一支持部材10に当接し、当該当接箇所を支点として、第一支持部材10の本体部11と第二支持部材20の本体部21の間に空間Sが生じる。図6に示すように、本実施形態では、支持板22はL型アングル材70の水平フランジ72よりも短く設定され、第一支持部材10と第二支持部材20との間にL型アングル材70を保持した状態で、L型アングル材70を保持していない状態よりも空間Sが大きくなる。
リブ部25は、第二支持部材20の幅方向両側において、少なくとも本体部21と支持板22とに亘って一体的に形成されている。本実施形態では、本体部21の一部と支持板22の全部とに亘って、リブ部25が形成されている。具体的には、本体部21のうち屈曲部24を除く部分と支持板22の全部とに亘って、リブ部25が形成されている。なお本例では、リブ部25は、支持部23には形成されていない。当該リブ部25は、本体部21及び支持板22の板面に対して交差(本例では直交)している。このようなリブ部25を有することで、第二支持部材20の強度の向上が図られている。
このようなリブ部25のうち幅方向一方側のリブ部25は、第一支持部材10の回動規制片14に隣接して配置されている。リブ部25は、第二支持部材20が締結部材40の軸を中心に回動する際に回動規制片14に係止される。このため、第二支持部材20が自在に回動することを防ぐことができ、第一支持部材10の支持部13と第二支持部材20の支持部23とが向かい合う状態を適切に維持することができる。
線状突起26は、本体部21と支持板22と支持部23の一部とに亘って一体的に形成されている。本実施形態の線状突起26は、第二支持部材20の長手方向に延びる長手方向延在部26Aと、幅方向に延びる幅方向延在部26Bとを有する。長手方向延在部26Aは、挿通孔21aを挟んで両側に位置するように、第二支持部材20の幅方向に分かれて一対設けられている。幅方向延在部26Bは、挿通孔21aよりも支持板22側で、一対の長手方向延在部26Aどうしを幅方向に連結している。線状突起26は、第一支持部材10とは反対側に突出しており、第一支持部材10側が溝形状(断面U字型の凹形状)となるように形成されている。線状突起26は、一種のリブ部としての機能を果たし、これにより、第二支持部材20のさらなる強度の向上が図られている。
挟着部材30は、締結部材40を用いて第一支持部材10と第二支持部材20とに連結され、かつ、吊ボルト80を挟み込んで保持する部材である。本実施形態では、挟着部材30は、第一支持部材10に対して第二支持部材20とは反対側から直接連結され、第一支持部材10との間に吊ボルト80を挟み込んで保持する。本実施形態の挟着部材30は、例えば金属製の板材で構成されている。図3,4に示すように、挟着部材30は、本体部31と湾曲部32とリブ部34とを有する。これらの本体部31、湾曲部32は、一体的に形成されている。本体部31は、第一支持部材10に重ね合わされて第一支持部材10への固定部となる部位である。本体部31は、矩形状領域と半円状領域とが組み合わされてなるD字状に形成されている。本体部31の中心部には、締結部材40を構成する締結ボルト41の軸部が挿通可能な挿通孔31aが形成されている。
また、本体部31における挿通孔31aの周囲に、供回り防止部36が設けられている。図4に示すように、供回り防止部36は、ナット42の外形に応じた形状(本実施形態では六角形状)の凹部が内周面に形成された環状突起で構成されている。弾性部材50の付勢力によってナット42が供回り防止部36に保持されるため、締結ボルト41を締結する際にナット42の回動を防ぐことができ、締結作業を容易に行うことができる。
湾曲部32は、D字状の本体部31における矩形状領域から、半円状領域とは反対側に延出している。本実施形態では、湾曲部32は、側面視形状がおよそ180°の中心角を有する円弧状となる湾曲板部として形成されている。湾曲部32は、吊ボルト80の外面に概ね沿うように湾曲している。湾曲部32は、吊ボルト80を包囲する状態で第一支持部材10の本体部11との間に当該吊ボルト80を実際に固定する部位である。
図3,9に示すように、湾曲部32の内面には、吊ボルト80の外面のネジ溝に係止される係止爪33が突出形成されている。吊ボルト80に対して軸方向の複数箇所で係止可能なように、複数の係止爪33が分散して設けられている。このような係止爪33を有することで、吊ボルト80に対する連結金具1の軸方向の位置ズレを抑制することができる。特に本実施形態では、挟着部材30に設けられた係止爪33と第一支持部材10に設けられた係止突起15とが、吊ボルト80に対して径方向の反対側から係止し合っているので、連結金具1の位置ズレを効果的に抑制することができる。
リブ部34は、挟着部材30の幅方向両側において、少なくとも本体部31と湾曲部32とに亘って一体的に形成されている。本実施形態では、本体部31の全部と湾曲部32の全部とに亘って、リブ部34が形成されている。リブ部34は、本体部31及び湾曲部32の板面に対して交差(本例では直交)している。このようなリブ部34を有することで、挟着部材30の強度の向上が図られている。
このようなリブ部34のうち幅方向一方側のリブ部34は、第一支持部材10の上側板19に隣接して配置される。リブ部34は、挟着部材30が締結部材40の軸を中心に回動する際に上側板19に係止される。このため、挟着部材30が自在に回動することを防ぐことができ、第一支持部材10の上側延出板17dと挟着部材30の湾曲部32とが向かい合う状態を適切に維持することができる。
本実施形態では、締結部材40は、締結ボルト41とナット42とで構成されている。本実施形態では、図3,4に示すように、締結部材40を構成する締結ボルト41は、軸部が第一支持部材10、第二支持部材20、挟着部材30の挿通孔(11a,21a,31a)に挿通された状態で、挟着部材30側で供回り防止部36に保持されたナット42に締結される。そして、締結ボルト41とナット42とが締結されたとき、ワッシャー35を介して、締結ボルト41の頭部とナット42との間に、第二支持部材20、第一支持部材10、及び挟着部材30がこの順に連結固定される。なお、ワッシャー35は、第二支持部材20の挿通孔21aよりも大径のものを用いる。
弾性部材50は、締結部材40に装着されている。本実施形態では、弾性部材50としてコイルばねが用いられており、より具体的には、軸方向の位置に応じてコイル径が次第に変化する円錐コイルばねが用いられている。図3,4に示すように弾性部材50は、第二支持部材20に対して第一支持部材10とは反対側で、締結部材40を構成する締結ボルト41の軸部に装着されている。弾性部材50は、第二支持部材20と締結部材40を構成する締結ボルト41の頭部との間に、当該頭部側にワッシャー35を介する状態で、締結ボルト41に装着されている。また、弾性部材50は、定常状態(外力が作用していない状態)に比べて圧縮された状態で、締結部材40に装着されている。
締結部材40に装着された圧縮状態の弾性部材50は、締結部材40の緩締め状態で、第二支持部材20を第一支持部材10及び挟着部材30側に向けて付勢する。また、圧縮状態の弾性部材50は、締結部材40の緩締め状態で、第二支持部材20、第一支持部材10、及び挟着部材30を互いに近接するように付勢する。なお、「締結部材40の緩締め状態」とは、締結部材40の軸部がナット42に螺合され、かつ、完全には締結固定されていない状態である。
本実施形態の連結金具1は、図6,7に示すように、第一支持部材10、第二支持部材20、挟着部材30、締結部材40、及び弾性部材50の全てが仮組みされた状態(仮組状態)で施工することができる。なお、連結金具1の仮組状態は、ワッシャー35及び弾性部材50が装着された締結ボルト41が、第二支持部材20、第一支持部材10、及び挟着部材30を貫通して挟着部材30側でナット42に螺合されつつ完全には締結固定されていない状態である。なお、連結金具1の仮組状態では、挟着部材30のリブ部34が第一支持部材10の上側板19に係止するため、第一支持部材10に対する挟着部材30の姿勢が維持される。同様に、第二支持部材20のリブ部25が、第一支持部材10の回動規制片14に係止するため、第一支持部材10に対する第二支持部材20の姿勢も維持される。
連結金具1を用いて、吊ボルト80とL型アングル材70とを連結固定するには、以下のようにすれば良い。まず、連結金具1の仮組状態で、図6に示すように第一支持部材10のガイド部16及び第二支持部材20の湾曲部32の近傍の部位を吊ボルト80に当てがう。そしてそのまま吊ボルト80の径方向に押し込むと、弾性部材50の付勢力に抗して挟着部材30と第一支持部材10とが拡開する。連結金具1をさらに押し込めば、第一支持部材10の本体部11と挟着部材30の湾曲部32との間に吊ボルト80が収まることになる。この状態で、弾性部材50の弾性復元力で挟着部材30が第一支持部材10側に向けて付勢されるので、吊ボルト80に対して連結金具1を仮止めすることができる。
次に、図7に示すように、例えば作業者の指などを使って、第二支持部材20を弾性部材50の付勢力に抗して持ち上げるようにして、第一支持部材10から第二支持部材20を拡開させる。すると、第一支持部材10の支持部13と第二支持部材20の支持部23との間口が広がる。間口が開いた状態で、L型アングル材70の垂直フランジ71の下端を支持部13に係止させ、水平フランジ72の先端が第二支持部材20の支持部23に収まるようにL型アングル材70をスライドして差し込んだ後、指を第二支持部材20から離す。そうすると、弾性部材50の弾性復元力で第一支持部材10と第二支持部材20とが近接するように付勢されるので、L型アングル材70をも仮止めすることができる。このようにして、連結金具1を介して、吊ボルト80とL型アングル材70とを仮止めすることができる。
なお、第一支持部材10から第二支持部材20を拡開させる際には、それにつられて、吊ボルト80に対して傾くような外力が第一支持部材10に作用し得る。このような場合でも、本実施形態の第一支持部材10には係止部12が設けられているので、そのような外力が作用したとき、本体部11とは反対側から係止部12が吊ボルト80に係止することにより、第一支持部材10のそれ以上の姿勢変化を規制することができる。よって、吊ボルト80に連結金具1が取付けられた状態を適切に維持することができる。
その後、作業者は、両手を自由に使える状態で、締結部材40の締結操作を行うことができる。締結部材40を締め増して完全に締結すると、図8,9に示すように、締結ボルト41の頭部とナット42との間に、ワッシャー35を介して、第二支持部材20、第一支持部材10、及び挟着部材30が緊締された状態となる。この状態で、吊ボルト80とL型アングル材70とを安定的に連結することができる。このように、本実施形態の連結金具1によれば、作業者が両手を自由に使える状態で1つの締結部材40を締め付けるだけで最終の固定状態を実現できるため、吊ボルト80とL型アングル材70との連結作業を容易に行うことができる。また、締結部材40の締結操作を、その前段階でL型アングル材70を扱ったのと同じ側から行うことができるので、この点からも連結作業が容易化されている。
このとき、上述したように第二支持部材20には屈曲部24が設けられていることで、第一支持部材10の本体部11と第二支持部材20の本体部21の間には空間Sが存在している。このような空間Sが存在することにより、屈曲部24の先端を支点として第一支持部材10と第二支持部材20とがより近接するまで締結部材40を締め付けることができる。このため、空間Sを利用して、第二支持部材20における水平フランジ72の支持部23と、第一支持部材10における垂直フランジ71の支持部13とをより近づけることができる。従って、大きな力でL型アングル材70を保持することができる。すなわち、吊ボルト80とL型アングル材70とを連結金具1を介して容易に連結できるだけでなく、強固に連結することができる。
本実施形態の連結金具1は、吊ボルト80とL型アングル材70との仮止めができるとともに、1つの締結部材40を締め付けるだけで最終固定ができるので、作業者の安全性を高めることができる。よって、例えば天井付近等の高所で用いる場合に特に適している。
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、吊ボルト80に、L型アングル材70を水平姿勢で連結するための連結金具1を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、図10,11に示すように、吊ボルト80にチャンネル材100を水平姿勢で連結するために連結金具1を使用しても良い。なお、チャンネル材100は、断面C字型の金属製のチャンネル材であり、連結金具1で固定されたときに水平方向に沿って配置される水平板102と、この水平板102の両端部において上下方向に沿って配置される一対の垂直板(第一垂直板101,第二垂直板103)とを有する。この場合、チャンネル材100が「長尺部材」に相当する。第一支持部材10の支持部13及び第二支持部材20の支持部23は、少なくともチャンネル材100を水平姿勢で保持できれば、各種の具体的形状が採用可能である。
図10に第1の構成例を示す。この図に示すように、第一支持部材10の支持部13は、本体部11に対しておよそ直角をなして第二支持部材20側に屈曲している。支持部13は、チャンネル材100の水平板102における第一垂直板101側の端部を下方から支持する。また、第二支持部材20の支持部23は、支持板22に対しおよそ直角をなして屈曲し第二垂直板103に沿って延在する支持延在部23Aと、支持延在部23Aの下端からさらにおよそ直角に屈曲し水平板102における第二垂直板103側の端部を下方から支持する支持屈曲部23Bとを有している。このように構成することで、締結部材40の締め付けにより、チャンネル材100と吊ボルト80とを強固に連結することができる。このような構成では、水平板102における第一垂直板101側の端部が「第一部分」に相当し、水平板102における第二垂直板103側の端部が「第二部分」に相当する。
図11に第2の構成例を示す。この図に示すように、第一支持部材10の支持部13は、本体部11に対しおよそ直角をなして屈曲しチャンネル材100の水平板102に沿って延在する支持延在部13Aと、支持延在部13Aの先端からさらにおよそ直角に屈曲し第二垂直板103の下端に係止される屈曲部13Bとを有する。第一支持部材10は、支持延在部13Aにより、チャンネル材100を下方から支持する。また、第二支持部材20の支持部23は、支持板22に対しおよそ直角に屈曲し第二垂直板103の上端に係止される。このように構成することで、締結部材40の締め付けにより、チャンネル材100と吊ボルト80とを強固に連結することができる。このような構成では、水平板102が「第一部分」に相当し、第二垂直板103の上端が「第二部分」に相当する。
(2)L型アングル材70やチャンネル材100に限らず、例えば長尺部材としてのH型鋼を吊ボルト80に水平姿勢で連結するために連結金具1を使用しても良い。或いは、その他の用途に応じた各種の長尺部材を吊ボルト80に水平姿勢で連結するために連結金具1を使用しても良い。第一支持部材10の支持部13及び第二支持部材20の支持部23の具体的形状は、長尺部材の形状に応じて適宜変更すれば良い。
(3)上記の実施形態では、第二支持部材20における本体部21の一部と支持板22の全部とに亘って、それらだけにリブ部25が形成されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、屈曲部24を含む本体部21の全部と支持板22の全部とに亘ってリブ部25が形成されても良い。また、支持部23を含む第二支持部材20の全体に亘ってリブ部25が形成されても良い。或いは、本体部21の全部又は一部と支持板22の一部とに亘ってリブ部25が形成されても良い。
(4)上記の実施形態では、挟着部材30を第二支持部材20とは反対側で第一支持部材10に重ね合わせ、挟着部材30と第一支持部材10との間に吊ボルト80を挟み込む構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、挟着部材30を第一支持部材10とは反対側で第二支持部材20に重ね合わせ、挟着部材30と第二支持部材20との間に吊ボルト80を挟み込む構成としても良い。
(5)上記の実施形態では、1つの締結部材40を締め付けて吊ボルト80とL型アングル材70とを連結させる構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、複数の締結部材40を用いて吊ボルト80とL型アングル材70とを連結させる構成としても良い。例えば、第一支持部材10と第二支持部材20とを連結するための締結部材40と、第一支持部材10と挟着部材30とを連結するための締結部材40とが別異の部材であっても良い。
(6)上記の実施形態では、吊ボルト80に対して第一支持部材10の本体部11とは反対側から係止可能な係止部12(上側板突出部19a,横側板折曲部17b)を2つ設ける構成として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、係止部12を1つ又は3つ以上設けても良い。また、係止部12の形状は上記実施形態のように矩形状の平板に限定されるものではなく、その他の形状であっても良い。
(7)上記の実施形態では、上下に分かれて設けられた2つの回動規制片14が第二支持部材20の回動を所定範囲内に規制する構成を例にして説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、例えば1つの回動規制片14が、第二支持部材20の本体部21の上端から下端までに亘って設けられても良い。なお、その場合、ガイド部16が省略されても良い。或いは、例えばガイド部16が第二支持部材20の本体部21の上端から下端までに亘って設けられ、これが回動規制片14を兼用する(第二支持部材20の回動を所定範囲内に規制する機能を果たす)ように構成されても良い。
(8)上記の実施形態では、締結ボルト41の頭部とナット42の間に、第二支持部材20、第一支持部材10、及び挟着部材30がこの順に連結固定される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、締結ボルト41の頭部とナット42の間に、挟着部材30、第一支持部材10、及び第二支持部材20がこの順に連結固定される構成としても良い。この場合、弾性部材50は、挟着部材30に対して第一支持部材10とは反対側で、締結部材40を構成する締結ボルト41の軸部に装着される。
(9)上記の実施形態では、締結ボルト41とナット42とを締結することで、連結金具1により吊ボルト80とL型アングル材70とを連結させる構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第二支持部材20又は挟着部材30に被締結部としてバーリングタップ部を設けて、これに締結ボルト41を締め付ける構成としても良い。このような構成では、締結ボルト41とバーリングタップ部とで締結部材40が構成される。この場合、ナット42を取付ける必要がないため、吊ボルト80とL型アングル材70との連結に必要な部材を減らすことができる。
(10)上記の実施形態では、第二支持部材20が、水平フランジ72の支持部23とは反対側の端部に第一支持部材10側に屈曲している屈曲部24を有し、第二支持部材20は、屈曲部24の先端で第一支持部材10に当接している構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば第二支持部材20が、屈曲部24を有さない構成であっても良い。この場合、第一支持部材10と第二支持部材20とが、締結部材40の周辺で面接触する。従って、吊ボルト80とL型アングル材70との仮止め状態において締結部材40を締め付けると、第一支持部材10と第二支持部材20とが面接触状態を維持したまま、吊ボルト80とL型アングル材70とが連結金具1を介して連結される。
(11)上記の実施形態では、L型アングル材70の垂直フランジ71を支持する支持部13及び水平フランジ72を支持する支持部23が、それぞれ第一支持部材10の本体部11及び第二支持部材20の支持板22を屈曲させて形成されていた。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば本体部11や支持板22とは別体の支持片が、本体部11及び支持板22に対して溶接等によって一体化されていても良い。
(12)上記の実施形態では、締結部材40に弾性部材50が装着されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、弾性部材50は必ずしも締結部材40に装着されていなくても良い。この場合、吊ボルト80及びL型アングル材70の仮止め機能は失われるものの、締結部材40の締付けにより、吊ボルト80とL型アングル材70とを、連結金具1を介して容易かつ強固に連結させることができる。
(13)上記の実施形態で説明した吊ボルト80とL型アングル材70との取付けの順序はあくまで例示である。すなわち、上記の実施形態の構成に限定されることなく、例えば、水平フランジ72の先端部を第二支持部材20の支持部23に係止した状態でそのまま第二支持部材20を上方に拡開させ、L型アングル材70の垂直フランジ71の下端が第一支持部材10の支持部13に収まるようにL型アングル材70をスライドさせても良い。或いは、最初にL型アングル材70を連結金具1に取り付け、その後、L型アングル材70を保持している連結金具1を吊ボルト80に取付けても良い。
(14)上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示されている構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示されている構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。