ボルト連結具の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態のボルト連結具1は、3本のボルトを連結するための器具である。本実施形態では、吊ボルトPと2本の振止ボルト(第一振止ボルトQ及び第二振止ボルトR)とを連結するボルト連結具1を例として説明する。なお、以下の説明で参照する平面図(図2、図6〜図8)及び断面図(図9)においては、理解を容易化する目的で、第二挟着部材20と第三挟着部材30とが互いに逆向きの位置関係となるように、かつ、第一挟着部材10の姿勢を規制する第一ベース部材60と第三挟着部材30の姿勢を規制する第二ベース部材70とが互いに同じ向きの位置関係となるように描いている。
図1に、構造体2に吊設機器4を吊り下げ支持する吊下支持構造を示す。この吊下支持構造は、構造体2から垂設された吊ボルトPを、吊設機器4に固定してなり、又は吊設機器4を支持する支持部3に固定してなる。図1に示す例では、この吊下支持構造は、吊ボルトPを、吊設機器4を支持する支持部3に固定してなる。図1に示す例では、吊下支持構造が、例えばケーブルラックやケーブル等の配設方向Xに沿って配設される吊設機器4を吊り下げ支持する場合を想定しており、図示は省略するが、配設方向Xに沿う複数箇所に、構造体2から左右一対の吊ボルトP(配設方向Xに直交する水平方向に並ぶ一対の吊ボルトP)が垂設されている。そして、当該左右一対の吊ボルトPが、吊設機器4を下方から支持する支持部3としての支持枠体に固定されている。なお、構造体2は、例えばコンクリート製の天井スラブや梁等であって良い。また、吊設機器4は、ケーブルラックやケーブル以外に、空調機器の室内機や照明機器等であっても良い。
図1に示すように、1本の吊ボルトPに対して、2本の振止ボルトQ,Rが、互いに交差しかつ吊ボルトPに交差する姿勢で配設される。2本の振止ボルトQ,Rは、鉛直方向に対して配設方向Xの互いに反対側に傾斜する姿勢で、吊ボルトPと共に、配設方向Xに沿う鉛直平面に沿って配置される。そして、同一平面に沿って配置される吊ボルトPと2本の振止ボルトQ,Rとが、ボルト連結具1によって連結される。すなわち、ボルト連結具1は、同一平面に沿ってかつ互いに交差する方向に沿って配置される3本のボルトP,Q,Rを連結する。なお、図1では、2本の振止ボルトQ,Rが、ボルト連結具1とは反対側(構造体2側)において、連結具によって構造体2に固定される場合を例示しているが、2本の振止ボルトQ,Rが、ボルト連結具1とは反対側において、当該ボルト連結具1によって連結される吊ボルトPとは別の吊ボルトPに対して、連結具(例えば、ボルト連結具1と同じ構成の連結具)によって連結されても良い。本実施形態では、吊ボルトPが「第一ボルト」に相当し、第一振止ボルトQが「第二ボルト」に相当し、第二振止ボルトRが「第三ボルト」に相当する。
図2〜図5に示すように、吊ボルトPと第一振止ボルトQと第二振止ボルトRとを連結するボルト連結具1は、第一挟着部材10と、第二挟着部材20と、第三挟着部材30と、1本の連結ボルト40と、弾性部材50とを備えている。第一挟着部材10と第二挟着部材20と第三挟着部材30とは、第一挟着部材10が第二挟着部材20と第三挟着部材30との間に位置する状態で重ねて配置されている。また、弾性部材50は、連結ボルト40に装着されている。そして、連結ボルト40の締結によって、他部材と第一挟着部材10との間に吊ボルトPが挟着固定されると共に、他部材と第二挟着部材20との間に第一振止ボルトQが挟着固定され、更に、他部材と第三挟着部材30との間に第二振止ボルトRが挟着固定される。すなわち、連結ボルト40の締結によって3つの挟着部材10,20,30が一体化した状態で、3本のボルトP,Q,Rが連結される。
本実施形態のボルト連結具1は、第一ベース部材60と、第二ベース部材70とを更に備えている。第一ベース部材60は、第一挟着部材10と第二挟着部材20との間に配置され、第二ベース部材70は、第一挟着部材10と第三挟着部材30との間に配置されている。すなわち、第一挟着部材10と第二挟着部材20とは、第一ベース部材60における互いに反対側の面に配設され、第一挟着部材10と第三挟着部材30とは、第二ベース部材70における互いに反対側の面に配設されている。具体的には、第一挟着部材10が、第一ベース部材60の第一面60aに配設され、第二挟着部材20が、第一ベース部材60における第一面60aとは反対側の第二面60bに配設されている。また、第三挟着部材30が、第二ベース部材70の第一面70aに配設され、第一挟着部材10が、第二ベース部材70における第一面70aとは反対側の第二面70bに配設されている。連結ボルト40の締結によって、第一挟着部材10と第二挟着部材20との間に第一ベース部材60が配置されると共に第一挟着部材10と第三挟着部材30との間に第二ベース部材70が配置された状態で、3つの挟着部材10,20,30が一体化した状態となる。
第一挟着部材10は、他部材との間に吊ボルトPを挟着固定するための部材である。すなわち、第一挟着部材10は、他部材との間に吊ボルトPを挟み込んで保持する。以下では、第一挟着部材10と他部材との間に吊ボルトPが挟着固定された状態で吊ボルトPの延在方向に平行となる方向を、第一挟着部材10の幅方向とする。本実施形態では、第一挟着部材10との間に吊ボルトPを挟着固定する他部材は、第一ベース部材60である。第一挟着部材10は、例えば金属製の板材で構成される。第一挟着部材10は、挟着本体部11と側板部18と湾曲部16とガイド部19とを有する。挟着本体部11は、第一ベース部材60に重ね合わされて当該第一ベース部材60への固定部となる部位である。挟着本体部11は、矩形状に形成されている。挟着本体部11には、連結ボルト40の軸部42が挿通可能な挿通孔12が形成されている。
図5に示すように、側板部18は、挟着本体部11の外縁に沿って第一ベース部材60とは反対側に立設するように形成されている。側板部18は、挟着本体部11の外縁における一部の領域に、具体的には、挟着本体部11の矩形状の外縁における挿通孔12を挟んで対向する2辺に相当する部分に形成されている。第一挟着部材10を挟むように配置される2つの部材(本例では、第一ベース部材60と第二ベース部材70)は、側板部18に対して互いに反対側から当接するように配置される。よって、連結ボルト40が締結された状態で、これら2つの部材の間隔は、側板部18の高さに応じた間隔に維持される。側板部18の延在方向(挟着本体部11の外縁に沿う方向)の長さは、これら2つの部材の間のガタツキを抑制する機能を側板部18が適切に果たすように設定すると好適である。
湾曲部16は、挟着本体部11の外縁における側板部18の形成されていない部分から、挟着本体部11の外方に延出している。挟着本体部11と湾曲部16とは一体的に形成されている。本実施形態では、湾曲部16は、平面視形状がおよそ150°の中心角を有する円弧状(内側が第一ベース部材60側となる円弧状)となる湾曲板部として形成されている。湾曲部16は、吊ボルトPの外面に概ね沿うように湾曲している。湾曲部16は、吊ボルトPを包囲する状態で当該吊ボルトPを実際に固定する部位であり、「第一ボルトの固定部位」に相当する。
湾曲部16の内面には、吊ボルトPのネジ部に係止される係止突起17が突出形成されている。吊ボルトPに対して軸方向の複数箇所で係止可能なように、複数の係止突起17が分散して設けられている。このような係止突起17を有することで、吊ボルトPに対するボルト連結具1の位置ズレを抑制することができる。
ガイド部19は、湾曲部16から挟着本体部11とは反対側に延出している。湾曲部16とガイド部19とは一体的に形成されている。ここでは、湾曲部16における幅方向の全域から延出するように、ガイド部19が形成されている。ガイド部19は、平板状の挟着本体部11に対して傾斜する平板状に形成されている。ガイド部19は、湾曲部16の端部から屈曲形成された板体で構成されている。ガイド部19は、湾曲部16から離れるに従って第一ベース部材60から離れる姿勢で配置されている。ここでは、図4に示すように、ガイド部19における湾曲部16とは反対側の外縁は、円弧状に、具体的には、正面視(図1参照)で後述する円板状のベース本体部61,71の外縁に沿う円弧状に形成されている。挟着本体部11とガイド部19との傾斜角度(なす角)は、例えば120°〜150°であって良く、本実施形態では140°程度に設定されている。ガイド部19は、吊ボルトPを湾曲部16(これは、第一挟着部材10における吊ボルトPの固定部位である)へと案内する。なお、ボルト連結具1を吊ボルトPに取り付ける作業は、吊ボルトPが、吊設機器4又は吊設機器4を支持する支持部3に固定された状態で行われる場合がある。この場合、吊ボルトPをその固定部位に対して当該吊ボルトPの軸方向に挿入することはできず、吊ボルトPはその固定部位に対して横から挿入する(当該吊ボルトの径方向に挿入する)必要がある。本実施形態では、ガイド部19が第一挟着部材10に設けられるため、ガイド部19の案内作用によって、吊ボルトPをその固定部位に対して容易に横から挿入することができる。なお、ボルト連結具1を吊ボルトPに取り付ける作業の詳細は後述する。
第二挟着部材20は、他部材との間に第一振止ボルトQを挟着固定するための部材である。すなわち、第二挟着部材20は、他部材との間に第一振止ボルトQを挟み込んで保持する。以下では、第二挟着部材20と他部材との間に第一振止ボルトQが挟着固定された状態で第一振止ボルトQの延在方向に平行となる方向を、第二挟着部材20の幅方向とする。本実施形態では、第二挟着部材20との間に第一振止ボルトQを挟着固定する他部材は、第一ベース部材60である。すなわち、本実施形態では、第一挟着部材10との間に吊ボルトPを挟着固定する他部材と、第二挟着部材20との間に第一振止ボルトQを挟着固定する他部材とが、共通のベース部材(第一ベース部材60)とされている。言い換えれば、第一挟着部材10と第二挟着部材20とが1つのベース部材(第一ベース部材60)を共用している。第二挟着部材20は、例えば金属製の板材で構成される。
第二挟着部材20は、挟着本体部21と湾曲部26とリブ部29とを有する。挟着本体部21は、第一ベース部材60に重ね合わされて当該第一ベース部材60への固定部となる部位である。挟着本体部21は、矩形状領域と半円状領域とが組み合わされてなるD字状に形成されている。挟着本体部21の中心部には、連結ボルト40の軸部42が挿通可能な挿通孔22が形成されている。また、挟着本体部21には、挿通孔22を取り囲むように環状突起23が形成されている。環状突起23は、第一ベース部材60とは反対側に向かって突出するように形成されている。環状突起23の内側には、多角形状(本例では六角形状)の凹部が形成されている。
湾曲部26は、D字状の挟着本体部21における矩形状領域から、半円状領域とは反対側に延出している。挟着本体部21と湾曲部26とは一体的に形成されている。本実施形態では、湾曲部26は、平面視形状がおよそ180°の中心角を有する円弧状(内側が第一ベース部材60側となる円弧状)となる湾曲板部として形成されている。湾曲部26は、第一振止ボルトQの外面に概ね沿うように湾曲している。湾曲部26は、第一振止ボルトQを包囲する状態で当該第一振止ボルトQを実際に固定する部位である。
湾曲部26の内面には、第一振止ボルトQのネジ部に係止される係止突起27が突出形成されている。第一振止ボルトQに対して軸方向の複数箇所で係止可能なように、複数の係止突起27が分散して設けられている。このような係止突起27を有することで、第一振止ボルトQに対するボルト連結具1の位置ズレを抑制することができる。
リブ部29は、第二挟着部材20の幅方向両側において、挟着本体部21の少なくとも一部と湾曲部26の少なくとも一部とに亘って一体的に形成されている。本実施形態では、挟着本体部21の一部と湾曲部26の全部とに亘って、リブ部29が形成されている。リブ部29は、挟着本体部21及び湾曲部26の板面に対して交差(本例では直交)している。このようなリブ部29を有することで、第二挟着部材20の強度の向上が図られている。
リブ部29における湾曲部26の先端側の角部は、角の尖った先鋭状ではなく、平面視で丸みを帯びたR状に形成されている。このリブ部29のR状の角部は、第一振止ボルトQを湾曲部26(これは、第二挟着部材20における第一振止ボルトQの固定部位である)へと案内する機能を果たす。すなわち、リブ部29のR状の角部により、第一振止ボルトQを湾曲部26へと案内する、第二挟着部材20のガイド部29Aが構成されている。
第三挟着部材30は、他部材との間に第二振止ボルトRを挟着固定するための部材である。すなわち、第三挟着部材30は、他部材との間に第二振止ボルトRを挟み込んで保持する。以下では、第三挟着部材30と他部材との間に第二振止ボルトRが挟着固定された状態で第二振止ボルトRの延在方向に平行となる方向を、第三挟着部材30の幅方向とする。本実施形態では、第三挟着部材30との間に第二振止ボルトRを挟着固定する他部材は、第二ベース部材70である。すなわち、本実施形態では、第三挟着部材30との間に第二振止ボルトRを挟着固定する他部材は、共通のベース部材としての第一ベース部材60とは別の第二ベース部材70である。第三挟着部材30は、例えば金属製の板材で構成される。
本実施形態では、第二挟着部材20と第三挟着部材30とが同一形状に形成されている。よって、第三挟着部材30は、挟着本体部21に対応する挟着本体部31と、湾曲部26に対応する湾曲部36と、リブ部29に対応するリブ部39とを有する。そして、挟着本体部31と湾曲部36とリブ部39とは、一体的に形成されている。
挟着本体部31は、第二ベース部材70に重ね合わされて当該第二ベース部材70への固定部となる部位である。D字状の挟着本体部31には、挿通孔22に対応する挿通孔32と、環状突起23に対応する環状突起33とが形成されている。環状突起33は、第二ベース部材70とは反対側に向かって突出するように形成されている。第二振止ボルトRの外面に概ね沿うように湾曲した湾曲部36の内面には、係止突起27に対応する係止突起37が形成されている。係止突起37は、第二振止ボルトRのネジ部に係止される。挟着本体部31の一部と湾曲部36の全部とに亘って形成されたリブ部39における湾曲部36の先端側の角部はR状に形成されており、当該R状の角部により、ガイド部29Aに対応するガイド部39Aが構成されている。第三挟着部材30のガイド部39Aは、第二振止ボルトRを湾曲部36(これは、第三挟着部材30における第二振止ボルトRの固定部位である)へ案内する機能を果たす。
環状突起33の内側には、連結ボルト40に螺合されるナット45の回り止め部34が設けられている。本実施形態では、環状突起33自体は円環状に形成されていると共に、その内側には、ナット45の外形形状に対応する多角形状(本例では六角形状)の凹部が形成されている。この多角形状の凹部により、回り止め部34が構成されている。このような回り止め部34を環状突起33に有することで、連結ボルト40の締結操作時に、ナット45が供回りするのを防止することができる。
第一ベース部材60は、第一挟着部材10との間に吊ボルトPを挟着固定すると共に第二挟着部材20との間に第一振止ボルトQを挟着固定するための共通の基材である。第一ベース部材60は、例えば金属製の板材で構成される。第一ベース部材60は、ベース本体部61を有する。ベース本体部61は、第一挟着部材10及び第二挟着部材20の固定部を提供する部位である。ベース本体部61は、円板状に形成されている。ベース本体部61の中心部には、連結ボルト40の軸部42が挿通可能な挿通孔62が形成されている。このように、第一ベース部材60は、円板状の本体部(ベース本体部61)を有する板材で構成され、連結ボルト40の挿通孔62が、当該本体部の中心部に形成されている。
ベース本体部61には、挿通孔62を取り囲むように厚み方向の一方側(本例では第二面60b側)に突出する環状突起63が形成されている。第一ベース部材60が環状突起63を有することで、当該第一ベース部材60のメッキ処理をガラメッキ(バレルメッキ)で行う場合にも、第一ベース部材60どうしの貼り付きが生じにくい。
また、ベース本体部61には、環状突起63の外側に、厚み方向において環状突起63の突出方向とは反対側(本例では第一面60a側)に突出する規制部64が形成されている。規制部64は、ベース本体部61の直径方向において環状突起63を挟んで互いに反対側に位置するように、2つ一組で設けられている。一対の規制部64は、直方体状の突起部として形成されていると共に、当該直方体状の突起部の長手方向がベース本体部61の直径方向に直交する向きとなる状態で互いに平行に設けられている。一対の規制部64の間隔は、第一挟着部材10の幅と同等に設定されている。一対の規制部64は、第一挟着部材10に対して幅方向の両側方から当接することで、第一挟着部材10の配設姿勢を特定姿勢に規制する。規制部64も、ガラメッキ時における第一ベース部材60どうしの貼り付き防止に寄与している。
第二ベース部材70は、第三挟着部材30との間に第二振止ボルトRを挟着固定するための基材である。第二ベース部材70は、例えば金属製の板材で構成される。本実施形態では、第一ベース部材60と第二ベース部材70とが同一形状に形成されている。よって、第二ベース部材70は、ベース本体部61に対応するベース本体部71を有する。円板状のベース本体部71には、挿通孔62に対応する挿通孔72と、環状突起63に対応する環状突起73と、規制部64に対応する規制部74とが形成されている。挿通孔72は、ベース本体部71の中心部に形成されている。よって、第二ベース部材70は、円板状の本体部(ベース本体部71)を有する板材で構成され、連結ボルト40の挿通孔72が、当該本体部の中心部に形成されている。
環状突起73は、第二面70b側に吐出するように形成されている。また、規制部74は、第一面70a側に突出するように形成され、一対の規制部74の間隔は、第三挟着部材30の幅と同等に設定されている。一対の規制部74は、第三挟着部材30に対して幅方向の両側方から当接することで、第三挟着部材30の配設姿勢を特定姿勢に規制する。
第二ベース部材70は、ガイド部76を有している。ガイド部76は、ベース本体部71の周方向の一部の領域において径方向に突出するように形成されている。ベース本体部71とガイド部76とは一体的に形成されている。ベース本体部71は、全体として(環状突起73及び規制部74以外の部分が)平板状に形成されており、ガイド部76は、全体として平板状のベース本体部71に対して傾斜するように屈曲形成されている。ガイド部76は、ベース本体部71の端部から屈曲形成された板体で構成されている。ベース本体部71とガイド部76との傾斜角度(なす角)は、例えば120°〜150°であって良く、本実施形態では135°程度に設定されている。ガイド部76は、第二振止ボルトRを、第二ベース部材70における第三挟着部材30の配設面である第一面70aへと案内する機能を果たす。
ガイド部76は、ベース本体部71の周方向における一対の規制部74の設置位置の中間部に設けられている。ガイド部76は、長方形状に形成されていると共に、当該長方形状のガイド部76の長手方向の長さが第三挟着部材30の幅と同程度又はそれよりも若干狭い長さに設定されている。これにより、ガイド部76は、一対の規制部74によって姿勢保持されている第三挟着部材30の湾曲部36(これは、第三挟着部材30における第二振止ボルトRの固定部位である)に沿うように設けられている。逆に言えば、上述した規制部74は、第三挟着部材30の湾曲部36がガイド部76の設置位置を向くように第三挟着部材30の配設姿勢を規制している。
本実施形態では、第一ベース部材60と第二ベース部材70とが同一形状に形成されているため、第一ベース部材60は、ガイド部76に対応する対応部分66を有している。この対応部分66は、ボルトを案内する機能は有さないが、第一ベース部材60が対応部分66を有し、第二ベース部材70がガイド部76を有する構成とすることで、作業者がボルト連結具1を把持する際に、手指をこれらの対応部分66やガイド部76に引っかけることができる。そのため、作業者にとってボルト連結具1の把持が容易になるという利点がある。
連結ボルト40は、螺合されるナット45と協働して、第一挟着部材10、第二挟着部材20、及び第三挟着部材30を連結する。ここでは、連結ボルト40は、第一挟着部材10と第二挟着部材20との間に第一ベース部材60を挟み、かつ、第一挟着部材10と第三挟着部材30との間に第二ベース部材70を挟んだ状態で、ナット45と協働して、これらを一体的に連結する。連結ボルト40は、第二挟着部材20側から、軸部42が第二挟着部材20の挿通孔22、第一ベース部材60の挿通孔62、第一挟着部材10の挿通孔12、第二ベース部材70の挿通孔72、及び第三挟着部材30の挿通孔32を順に貫通し、第三挟着部材30側でナット45に螺合される。そして、連結ボルト40とナット45とが締結されたとき、ワッシャー43を介して、連結ボルト40の頭部41とナット45との間に、第一挟着部材10、第二挟着部材20、第三挟着部材30、第一ベース部材60、及び第二ベース部材70が連結固定される。なお、ワッシャー43は、第二挟着部材20の環状突起23よりも大径のものを用いる。
連結ボルト40には、弾性部材50が装着されている。弾性部材50としては、コイルばねが用いられており、より具体的には、軸方向の位置に応じてコイル径が次第に変化する円錐コイルばねが用いられている。弾性部材50は、第二挟着部材20に対して第一挟着部材10とは反対側で、連結ボルト40の軸部42に装着されている。弾性部材50は、第二挟着部材20と連結ボルト40の頭部41との間に、連結ボルト40の頭部41側にワッシャー43を介する状態で、連結ボルト40に装着されている。また、弾性部材50は、定常状態(外力が作用していない状態)に比べて圧縮された状態で、連結ボルト40に装着されている。
連結ボルト40に装着された圧縮状態の弾性部材50は、連結ボルト40の緩締め状態で、第二挟着部材20及び第三挟着部材30のそれぞれと第一挟着部材10とを互いに近接させるように付勢する。すなわち、弾性部材50は、連結ボルト40の緩締め状態で、ナット45によって背面側から支持された第三挟着部材30に対して第二挟着部材20を押圧付勢する。第二挟着部材20と第三挟着部材30との間には第一挟着部材10が配置されているため、第三挟着部材30に対して第二挟着部材20が押圧付勢されることで、第二挟着部材20及び第三挟着部材30のそれぞれと第一挟着部材10とが互いに近接するように付勢される。なお、「連結ボルト40の緩締め状態」とは、連結ボルト40の軸部42にナット45が螺合され、かつ、完全には締結されていない状態である。第二挟着部材20及び第三挟着部材30のそれぞれと第一挟着部材10とが互いに近接するように付勢することで、湾曲部16に吊ボルトPが収容された状態の第一挟着部材10と他部材(本例では、第一ベース部材60)とが互いに近接するように付勢し、湾曲部26に第一振止ボルトQが収容された状態の第二挟着部材20と他部材(本例では、第一ベース部材60)とが互いに近接するように付勢し、かつ、湾曲部36に第二振止ボルトRが収容された状態の第三挟着部材30と他部材(本例では、第二ベース部材70)とが互いに近接するように付勢することができ、これにより吊ボルトPと第一振止ボルトQと第二振止ボルトRとを同時に仮止めすることができる。すなわち、吊ボルトPと第一振止ボルトQと第二振止ボルトRとを個別に又は一斉に仮止めすることで、吊ボルトPと第一振止ボルトQと第二振止ボルトRとの全てが仮止めされた状態とすることができる。
本実施形態のボルト連結具1は、第一挟着部材10、第二挟着部材20、第三挟着部材30、第一ベース部材60、第二ベース部材70、連結ボルト40、及び弾性部材50の全てが仮組された状態(仮組状態)で施工することができる。なお、ボルト連結具1の仮組状態は、ワッシャー43及び弾性部材50が装着された連結ボルト40が、第一挟着部材10、第二挟着部材20、第三挟着部材30、第一ベース部材60、及び第二ベース部材70を貫通して緩締め状態となっている状態である。なお、ボルト連結具1の仮組状態では、連結ボルト40の軸部42を軸として、第一ベース部材60及びそれに姿勢保持された第一挟着部材10に対して、第二挟着部材20が回動自在に連結されると共に、第二ベース部材70及びそれに姿勢保持された第三挟着部材30が回動自在に連結される。
本実施形態では、第二挟着部材20は、第二挟着部材20と第一ベース部材60の対応部分66とが干渉しない範囲で、第一ベース部材60及びそれに姿勢保持された第一挟着部材10に対して回動させることができる。上述したように、本実施形態では、対応部分66と同じ形状のガイド部76の大きさが、第三挟着部材30の幅と同程度又はそれ以下とされるため、第二挟着部材20の回動範囲(すなわち、対応可能な第一振止ボルトQの設置角度範囲)を大きく確保することが可能となっている。一方、本実施形態では、上述したように、第一挟着部材10のガイド部19の外縁は、正面視で第二ベース部材70のベース本体部71の外縁に沿う円弧状に形成されており、第二ベース部材70のガイド部76と第一挟着部材10のガイド部19とが、連結ボルト40の軸部42周りの周方向の同じ位置に配置されている場合であっても、これら2つのガイド部19,76が互いに干渉しない構成となっている。そのため、第二ベース部材70及びそれに姿勢保持された第三挟着部材30は、第一ベース部材60及びそれに姿勢保持された第一挟着部材10に対して、360°回動させることが可能であり、第三挟着部材30の回動範囲(すなわち、対応可能な第二振止ボルトRの設置角度範囲)を大きく確保することも可能となっている。
ボルト連結具1の仮組状態で、当該ボルト連結具1を吊ボルトPに取り付ける。図6に示すように、第一ベース部材60の端縁と第一挟着部材10のガイド部19との間に形成される平面視V字状の受け部を、吊ボルトPに対して当該吊ボルトPの径方向にあてがう。この際、第二ベース部材70の角度は、ガイド部76が吊ボルトPに干渉しないように調整される。そのままボルト連結具1を吊ボルトP側に押し付けると、吊ボルトPが、第一挟着部材10のガイド部19の案内作用により第一ベース部材60と第一挟着部材10との間に進入する。そして、弾性部材50の弾性付勢力に反して、第一ベース部材60に対して第一挟着部材10が吊ボルトPにより押し広げられる。
さらにボルト連結具1を押し込むと、自ずと第一挟着部材10が湾曲部16で吊ボルトPを包囲する状態となり、この状態で、弾性部材50の弾性復元力により、第一挟着部材10と第一ベース部材60との間に吊ボルトPが仮止めされる。こうして、第一挟着部材10のガイド部19の案内作用により、第一ベース部材60と第一挟着部材10の湾曲部16との間に吊ボルトPを容易に誘導することができる。そして、連結ボルト40に装着された弾性部材50の付勢力により、吊ボルトPを容易に仮止めすることができる。
その後、第二振止ボルトRの設置角度に応じて第三挟着部材30及び第二ベース部材70のラフな角度調整を行ってから、ボルト連結具1に第二振止ボルトRを取り付ける。図7に示すように、第二ベース部材70のガイド部76と第三挟着部材30のガイド部39Aとの協働によって形成される平面視V字状の受け部に、第二振止ボルトRを当該第二振止ボルトRの径方向にあてがう。そのまま第二振止ボルトRを押し込むと、第二振止ボルトRが、第二ベース部材70のガイド部76の案内作用により第二ベース部材70の第一面70a(図2参照)へと誘導されると共に、第三挟着部材30のガイド部39Aの案内作用により第二ベース部材70と第三挟着部材30との間に進入する。そして、弾性部材50の弾性付勢力に反して、第二ベース部材70に対して第三挟着部材30が第二振止ボルトRにより押し広げられる。なお、その際、第一ベース部材60に対して第一挟着部材10は閉じたままであり、吊ボルトPの仮止め状態は適切に維持される。
さらに第二振止ボルトRを押し込むと、自ずと第三挟着部材30が湾曲部36で第二振止ボルトRを包囲する状態となり、この状態で、弾性部材50の弾性復元力により、第三挟着部材30と第二ベース部材70との間に第二振止ボルトRが仮止めされる。こうして、第二ベース部材70及び第三挟着部材30の各ガイド部76,39Aが協調して、第二ベース部材70と第三挟着部材30の湾曲部36との間に第二振止ボルトRを容易に誘導することができる。すなわち、ガイド部76の案内作用により第二ベース部材70の第一面70a側へと誘導された第二振止ボルトRを、そのまま、第三挟着部材30の湾曲部36へと容易に誘導することができる。そして、連結ボルト40に装着された弾性部材50の付勢力により、第二振止ボルトRを容易に仮止めすることができる。このように、吊ボルトPが仮止めされた状態で第二振止ボルトRを更に仮止めすることで、吊ボルトPと第二振止ボルトRとの双方が仮止めされた状態とすることができる。
その後、第一振止ボルトQの設置角度に応じて第二挟着部材20のラフな角度調整を行ってから、ボルト連結具1に第一振止ボルトQを取り付ける。図8に示すように、第一ベース部材60の端縁と第二挟着部材20のガイド部29Aとの間に形成される平面視V字状の受け部に、第一振止ボルトQを当該第一振止ボルトQの径方向にあてがう。そのまま第一振止ボルトQを押し込むと、第一振止ボルトQが、第二挟着部材20のガイド部29Aの案内作用により第一ベース部材60と第二挟着部材20との間に進入する。そして、弾性部材50の弾性付勢力に反して、第一ベース部材60に対して第二挟着部材20が第一振止ボルトQにより押し広げられる。なお、その際、第一ベース部材60に対して第一挟着部材10は閉じたままであり、かつ、第二ベース部材70に対して第三挟着部材30は閉じたままであり、吊ボルトP及び第二振止ボルトRの仮止め状態は適切に維持される。
さらに第一振止ボルトQを押し込むと、自ずと第二挟着部材20が湾曲部26で第一振止ボルトQを包囲する状態となり、この状態で、弾性部材50の弾性復元力により、第二挟着部材20と第一ベース部材60との間に第一振止ボルトQが仮止めされる。こうして、第二挟着部材20のガイド部29Aの案内作用により、第一ベース部材60と第二挟着部材20の湾曲部26との間に第一振止ボルトQを容易に誘導することができる。そして、連結ボルト40に装着された弾性部材50の付勢力により、第一振止ボルトQを容易に仮止めすることができる。このように、吊ボルトP及び第二振止ボルトRが仮止めされた状態で第一振止ボルトQを更に仮止めすることで、吊ボルトPと第一振止ボルトQと第二振止ボルトRとの全てが仮止めされた状態とすることができる。
ところで、図10に示すように、第一振止ボルトQは、ボルト連結具1が吊ボルトPに取り付けられた状態で、ボルト連結具1に取り付けられる。そのため、第一ベース部材60の端縁と第二挟着部材20のガイド部29Aとの間に形成される平面視V字状の受け部に第一振止ボルトQを押し込んで、第一ベース部材60と第二挟着部材20との間に第一振止ボルトQを進入させる際に、図11及び図12に示すように、第一振止ボルトQを、第二挟着部材20とは反対側から吊ボルトPによって受け止め支持することができる。これにより、弾性部材50の弾性付勢力に反して第二挟着部材20を第一ベース部材60に対して押し広げる作業が行いやすくなっている。なお、図11は、図10におけるXI−XI断面図であり、第一振止ボルトQが図10において二点鎖線で示す位置に配置されている状態での断面を実線で示し、第一ベース部材60に対して第二挟着部材20が第一振止ボルトQにより押し広げられた状態を二点鎖線で示している。また、図12は、図10におけるXII−XII断面図であり、第一振止ボルトQがガイド部29Aと第一ベース部材60との間に位置する状態(図11よりも後の局面)での断面を示している。
なお、ここでは、ボルト連結具1を吊ボルトPに取り付けた後、第二振止ボルトR及び第一振止ボルトQの順にボルト連結具1に取り付ける場合を例として説明したが、ボルト連結具1を吊ボルトPに取り付けた後、第一振止ボルトQ及び第二振止ボルトRの順にボルト連結具1に取り付けても良い。
吊ボルトPと第一振止ボルトQと第二振止ボルトRとを同時に仮止めした後は(すなわち、吊ボルトPと第一振止ボルトQと第二振止ボルトRとの全てを仮止めした後は)、作業者は、両手を自由に使える状態で、連結ボルト40の締結操作を行うことができる。よって、吊ボルトPと第一振止ボルトQと第二振止ボルトRとの連結作業を容易に行うことができる。このとき、圧縮状態の弾性部材50は、第一挟着部材10及び第二挟着部材20を介して(本例では、更に第一ベース部材60及び第二ベース部材70を介して)、第三挟着部材30をナット45側に付勢し、当該ナット45が第三挟着部材30の環状突起33に形成された回り止め部34に係止する。このため、連結ボルト40の締結操作時に、ナット45の供回りを自動的に防止することができ、吊ボルトPと第一振止ボルトQと第二振止ボルトRとの連結作業をさらに容易に行うことができる。
連結ボルト40を締め増して完全に締結すると、図9に示すように、連結ボルト40の頭部41とナット45との間に、ワッシャー43、第二挟着部材20、第一ベース部材60、第一挟着部材10、第二ベース部材70、及び第三挟着部材30が緊締された状態となる。このとき、ワッシャー43は第二挟着部材20の環状突起23よりも大径に形成されており、ワッシャー43が環状突起23に当接支持された状態で、それらの間に、連結ボルト40の軸部42を取り巻く環状空間Aが形成される。この環状空間Aは、第二挟着部材20の環状突起23の内側に形成され、挟着本体部21からの環状突起23の突出高さ相当分の厚みを有する扁平空間である。そして、この環状空間Aに、高圧縮時に渦巻状の扁平形状となる円錐コイルばねからなる弾性部材50が収容される。環状空間Aは、弾性部材収容空間として機能する。このように、連結ボルト40の締結後、第二挟着部材20の環状突起23の内側空間に弾性部材50を収容することで、連結ボルト40の締結後における弾性部材50の影響を排除して、吊ボルトPと第一振止ボルトQと第二振止ボルトRとを安定的に固定することができる。
しかも、第二挟着部材20と第三挟着部材30とが同一形状に形成され、環状突起23,33の内側の多角形状の凹部が、第三挟着部材30側ではナット45の回り止めのために利用され、第二挟着部材20側では弾性部材50の収容のために利用される。よって、部品の共通化によって製造コストを低減しつつ、吊ボルトPと第一振止ボルトQと第二振止ボルトRとの連結作業を容易化することができると共に、それらを安定的に固定することができる。
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、第一挟着部材10が、外縁が円弧状に形成された板体からなるガイド部19を有する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えばガイド部19が、異なる形状の板体で構成されても良いし、複数の線状体等で構成されても良い。或いは、第一挟着部材10が、ガイド部19を有さなくても良い。
(2)上記の実施形態では、第二ベース部材70が、長方形状の板体からなるガイド部76を有する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えばガイド部76が、異なる形状の板体で構成されても良いし、複数の線状体等で構成されても良い。或いは、第二ベース部材70がガイド部76を有さなくても良い。
(3)上記の実施形態では、第一ベース部材60と第二ベース部材70とが同一形状に形成されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第一ベース部材60と第二ベース部材70とが別形状に形成されても良い。この場合、例えば、第一ベース部材60が対応部分66を有さない構成とすることもできる。このように、第一ベース部材60が対応部分66を有さない場合には、第二挟着部材20は、第一ベース部材60及びそれに姿勢保持された第一挟着部材10に対して、360°回動させることが可能となる。
(4)上記の実施形態では、第二挟着部材20及び第三挟着部材30が、それぞれリブ部29,39のR状の角部からなるガイド部29A,39Aを有する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えばガイド部29A,39Aの少なくとも一方が、湾曲部26,36の端部から屈曲形成された板体又は線状体等で構成されても良い。或いは、第二挟着部材20及び第三挟着部材30の少なくとも一方が、ガイド部29A,39Aを有さなくても良い。
(5)上記の実施形態では、第一ベース部材60のベース本体部61の中心部に、連結ボルト40の挿通孔62が形成され、第二ベース部材70のベース本体部71の中心部に、連結ボルト40の挿通孔72が形成されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、ベース本体部61における中心部とは異なる位置に挿通孔62が形成される構成、ベース本体部71における中心部とは異なる位置に挿通孔72が形成される構成、或いはこれら2つの構成を組み合わせた構成としても良い。
(6)上記の実施形態では、第一挟着部材10との間に吊ボルトPを挟着固定する他部材と、第二挟着部材20との間に第一振止ボルトQを挟着固定する他部材とが、共通のベース部材(第一ベース部材60)である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第一挟着部材10及び第二挟着部材20に対して、それぞれ専用のベース部材が設けられても良い。すなわち、第一挟着部材10との間に吊ボルトPを挟着固定する他部材と、第二挟着部材20との間に第一振止ボルトQを挟着固定する他部材とが、互いに異なるベース部材であっても良い。この場合に、第一挟着部材10を、上記の実施形態での第一挟着部材10を連結ボルト40の軸方向に反転させた構成とし、第一挟着部材10との間に吊ボルトPを挟着固定する他部材と、第三挟着部材30との間に第二振止ボルトRを挟着固定する他部材とが、共通のベース部材(第二ベース部材70)である構成としても良い。
(7)上記の実施形態では、第一挟着部材10との間に吊ボルトPを挟着固定する他部材が第一ベース部材60であり、第二挟着部材20との間に第一振止ボルトQを挟着固定する他部材が第一ベース部材60であり、第三挟着部材30との間に第二振止ボルトRを挟着固定する他部材が第二ベース部材70である構成を例として説明した。すなわち、上記の実施形態では、第一挟着部材10との間に吊ボルトPを挟着固定する他部材と、第二挟着部材20との間に第一振止ボルトQを挟着固定する他部材と、第三挟着部材30との間に第二振止ボルトRを挟着固定する他部材との全てが、円板状の本体部を有する板材(ベース部材)である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、これら3つの他部材の一部のみが、円板状の本体部を有する板材である構成や、これら3つの他部材の全てが、円板状の本体部を有する板材ではない構成とすることもできる。
例えば、ボルト連結具1が第一ベース部材60を備えず、第一挟着部材10が、他部材としての第二挟着部材20(例えば、挟着本体部21)との間に吊ボルトPを挟着固定し、第二挟着部材20が、他部材としての第一挟着部材10(例えば、挟着本体部11)との間に第一振止ボルトQを挟着固定する構成とすることができる。この場合、上記3つの他部材のうちの、第三挟着部材30との間に第二振止ボルトRを挟着固定する他部材のみが、円板状の本体部を有する板材とされる。また、例えば、ボルト連結具1が第二ベース部材70を備えず、第三挟着部材30が、他部材としての第一挟着部材10(例えば、挟着本体部11)との間に第二振止ボルトRを挟着固定する構成とすることもできる。この場合、上記3つの他部材のうちの、第一挟着部材10との間に吊ボルトPを挟着固定する他部材と、第二挟着部材20との間に第一振止ボルトQを挟着固定する他部材のみが、円板状の本体部を有する板材とされる。なお、ボルト連結具1が第一ベース部材60及び第二ベース部材70の一方ではなく双方を備えない構成とすることもできる。ボルト連結具1が第一ベース部材60及び第二ベース部材70の少なくとも一方を備えない構成では、部品点数を少なく抑えて低コスト化を図ることができる。
(8)上記の実施形態では、第一挟着部材10の湾曲部16が、平面視形状がおよそ150°の中心角を有する円弧状に形成され、第二挟着部材20の湾曲部26及び第三挟着部材30の湾曲部36が、それぞれ平面視形状がおよそ180°の中心角を有する円弧状に形成されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、湾曲部16,26,36の中心角は、上記の実施形態での角度とは異なる角度であっても良い。また、第一挟着部材10の湾曲部16の中心角が、90°等の180°未満の角度である場合に、第一ベース部材60にも湾曲部が設けられて、第一挟着部材10の湾曲部16と第一ベース部材60の湾曲部との間に吊ボルトPが固定されても良い。また、吊ボルトPの固定部位が、吊ボルトPの外周を包囲する直方体状部で構成されても良い。或いは、第一挟着部材10が上面部とその外縁から垂下する垂下壁部とを有するトレイ状(下面側が開口した箱状)に形成され、吊ボルトPの固定部位が、吊ボルトPの外面に沿うように垂下壁部に形成された一対の切欠部で構成されても良い。第二挟着部材20側の構成や第三挟着部材30側の構成に関しても、同様に考えることができる。
(9)上記の実施形態では、連結ボルト40が、第二挟着部材20側から、第二挟着部材20、第一ベース部材60、第一挟着部材10、第二ベース部材70、及び第三挟着部材30を順に貫通し、第三挟着部材30側でナット45に螺合される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、連結ボルト40が、第三挟着部材30側から、第三挟着部材30、第二ベース部材70、第一挟着部材10、第一ベース部材60、及び第二挟着部材20を順に貫通し、第二挟着部材20側でナット45に螺合されても良い。この場合、環状突起23,33の内側の多角形状の凹部が、第二挟着部材20側でナット45の回り止めのために利用され、第三挟着部材30側で弾性部材50の収容のために利用される。
(10)上記の実施形態では、第二挟着部材20と第三挟着部材30とが同一形状に形成されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第二挟着部材20と第三挟着部材30とが別形状に形成されても良い。この場合、例えば、第二挟着部材20には、弾性部材50を収容可能なだけで回り止め機能を有さない環状突起23を設けると共に、第三挟着部材30には環状突起33を設けずに線状突起又は点状突起等からなる回り止め部34を設けても良い。また、連結ボルト40を締結するためにナット45を用いずに、第二挟着部材20又は第三挟着部材30にバーリングタップを立てても良い。
(11)上記の実施形態では、第一ベース部材60が直方体状の突起部からなる規制部64を有し、第二ベース部材70が直方体状の突起部からなる規制部74を有する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えばこれらの規制部64,74の少なくとも一方が、線状突起又は線状に配列された点状突起等で構成されても良い。或いは、第一ベース部材60及び第二ベース部材70の少なくとも一方が規制部64,74を有さなくても良い。
(12)上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。