<実施形態>
本発明の実施形態に係る成形品集積装置1ついて、図面を参照しつつ説明する。図1は、成形品集積装置1を用いた、樹脂シート91による成形品を製造するための工程の一部を表す図である。図2は、成形品集積装置1を、図1における作業者側から見た側面図である。図3は、ベルトコンベアを、図1における上下方向の上側から見た平面図である。
成形品集積装置は、例えば、食材の包装用容器や、テイクアウト用の食品の包装用容器等(以下、単に包装用容器等という)の樹脂シート91による成形品を製造するための工程に組み込まれて用いられる。
樹脂シート91は、例えば、シート捲回ロール(不図示)より供給される長尺状のシートである。樹脂シート91は、シート捲回ロールから、まずシート加熱成形装置(不図示)に供給される。シート加熱成形装置は、樹脂シート91を、加熱して軟化させた後、金型によって、包装用容器等の目的の形状に賦形する。これにより、樹脂シート91に成形品92が形成される。
成形品92は、一端に閉塞部92bを備え、他端に閉塞部92bよりも広い間口の開口部92aを備える有頂筒状に形成されている。開口部92aは、送出ラインFLの上側に向かって開口している。
また、成形品92は、樹脂シート91の送り方向HZに、複数の成形品92が一定の間隔を持って連続的に形成されている。また、成形品92は、図2に示すように、幅方向WDに沿う樹脂シート91の幅方向(図2中の左右方向)にも、一定の間隔を持って複数例(例えば4列)形成されている。さらにまた、成形品92は、樹脂シートの面内の一部を賦形したものであるため、樹脂シート91の面内には賦形されていない面(未成形面93)が残っている。よって、樹脂シート91は、連続して形成される成形品92同士が、未成形面93を介して連なった状態となっている。
樹脂シート91は、シート加熱成形装置で賦形された後、トリミング装置4に送られる。トリミング装置4は、トリムユニット20を備えており、このトリムユニット20により、樹脂シート91の成形品92と未成形面93との間に、成形品92と未成形面93とを切り離すための切込みを入れる。
トリムユニット20は、送出ラインFL上側の、切断刃(例えばトムソン刃)を有する上側テーブル21と、送出ラインFL下側の下側テーブル23とを、対向させた配置で備えている。上側テーブル21と下側テーブル23は、1つのサーボモータの回転に基づき、カムとリンクを用いたクランク機構を介して、回転運動を直線運動に変換することにより、同期した周期的動作で、互いに近接または離間する方向に上下動可能となっている。
樹脂シート91は、上側テーブル21と下側テーブル23との間にある送出ラインFL上で、一時的な停止を伴って、送り方向HZ下流側に断続的に送出される。この停止のタイミングで、上側テーブル21と下側テーブル23とが互いに近接することで、樹脂シート91に、上記の切込みを入れる。つまり、上昇する下側テーブル23が樹脂シート91を支えるとともに、下降する上側テーブル21が、切断刃によって、下側テーブル23により保持された樹脂シート91に上記の切込みを入れる。この切込みよっては、成形品92と未成形面93とは完全に切り離されず、数か所の接続点が残された状態となる。
樹脂シート91は、トリミング装置4で切込みを入れられた後、成形品集積装置1に送られる。成形品集積装置1は、ノックアウト装置11と、コンベア装置12と、クランプ13(図2参照)と、を備える。成形品集積装置1に送られた樹脂シート91は、図2に示すように、成形品集積装置1内で、幅方向WDの両端をクランプ13によって保持されている。
ノックアウト装置11は、第1リニアガイド112と、第1ボールネジ部113と、第1支持部材114と、第2支持部材115と、ノックアウトロッド116と、を有している。
第1ボールネジ部113は、サーボモータ(不図示)により、その軸心を中心として回転可能とされている。また、第1ボールネジ部33は、第1リニアガイド112と共に、上下方向VTに沿って配置され、サーボモータの回転に基づく自転運動により、固定して設置された第1支持部材114に対して、相対的に上下動可能に取り付けられている。
第1リニアガイド112と第1ボールネジ部113の下端には、送り方向HZおよび幅方向WDに平行な第2支持部材115に係止されている。第2支持部材115には、複数本のノックアウトロッド116が、上下方向VTに沿って装着されている。なお、本実施形態においては送り方向HZに4列、幅方向WDに4列の、計16本のノックアウトロッド116が装着されているが、本数はこれに限定されない。
第1ボールネジ部113が第1支持部材114に対して相対的に上下動するのに伴い、第2支持部材115および第2支持部材115に装着されているノックアウトロッド116が上下動する。例えば、図1に示すのは、ノックアウトロッド116が、上下方向VTにおいて最も高い位置(スタート位置)にある状態である。この状態からノックアウトロッド116が下降していくと、ノックアウトロッド116の先端部116aが、ノックアウトロッド116の直下に位置する成形品92の閉塞部92bと接触する。閉塞部92bに接触した後にさらに下降することで、成形品92が樹脂シート91から切り離される。これにより、成形品92を樹脂シート91から抜き落とすことが可能である。上述の通り、ノックアウト装置11は、計16本のノックアウトロッド116を有するため、一度に16個の成形品92を抜き落とすことが可能である。
成形品92を樹脂シート91から抜き落とした後は、ノックアウトロッド116はスタート位置に戻る。ノックアウトロッド116がスタート位置に戻ると、成形品92がノックアウトロッド116の直下に位置するよう、樹脂シート91が送り出されるため、再びノックアウトロッド116が成形品92を抜き落とすことが出来るようになる。
コンベア装置12は、第2リニアガイド122と、第2ボールネジ部123と、第3支持部材124と、ベルトコンベア125と、ファンユニット126(減圧手段の一例)を有している。
第2ボールネジ部123は、サーボモータ(不図示)により、その軸心を中心として回転可能とされている。また、第2ボールネジ部123は、第2リニアガイド122と共に、上下方向VTに沿って配置され、サーボモータの回転に基づく自転運動により、固定して設置された第3支持部材124に対して、相対的に上下動可能に取り付けられている。また、第2ボールネジ部123と第3支持部材124とは、上端側でベルトコンベア125を支えている。
ベルトコンベア125は、ローラ127,127にシリコン(滑り止め弾性体の一例)を材質とするベルトを巻回することで構成されている。また、ベルトコンベア125は、樹脂シート91から抜き落とされた成形品(打抜成形品94)を受け取り、集積する受取面125aを備える。
受取面125aは、上記ベルトにより、樹脂シート91の送り方向HZおよび幅方向WDに、広さを持って形成されている。これにより、一度に複数の打抜成形品94を受け取ることが可能となっている。なお、本実施形態においては、ノックアウトロッド116により、一度に16個の成形品92が抜き落とされるため、受取面125aは、一度に16個の打抜成形品94を受け取ることが可能とされている。
また、受取面125aには、図3に示すように、上記ベルトを貫通する複数の貫通孔125b(通気孔の一例)が、等間隔に並んで形成されている。貫通孔125bは、ファンユニット126に接続されている。ファンユニット126は、動作することで負圧を生じるため、この負圧により、貫通孔125bを介して、受取面125aの上の打抜成形品94を吸着することが可能である。これにより、打抜成形品94が、受取面125aの上で位置ずれしてしまうことを防止することが出来る。また、上記の通り、受取面125aはシリコンを材質とするベルトにより形成されているため、その表面が滑りにくく、打抜成形品94が、受取面125aの上で位置ずれしにくくなっている。
また、貫通孔125bは、空気逃がし経路としても利用可能である。打抜成形品94が受取面125aに落下する際に、打抜成形品94と受取面125aとの間の空気は、貫通孔125bからベルトコンベア125の外部に逃げることが出来るため、打抜成形品94が受取面125aに落下する際に、打抜成形品94と受取面125aとの間の空気が抵抗となるおそれが低減される。そうすれば、打抜成形品94が、抜き落とされてから受取面125aまで真直ぐに落下することが出来る。
上記のようなベルトコンベア125は、第2ボールネジ部123が第3支持部材124に対して相対的に上下動するのに伴って、上下方向VTと平行な方向に、上下動することが可能となっている。これにより、ベルトコンベア125は、ノックアウトロッド116に近接して打抜成形品94を受け取る受取位置(例えば図5や図10に示す位置)と、受取位置から所定の距離だけノックアウトロッド116から離間する待機位置(例えば図4や図8に示す位置)との間を移動しながら、打抜成形品94を受取面125aの上に集積していく(この集積を行う動作についての詳細は後述する)。
そして、所定の個数の集積が完了すると、ベルトコンベア125は、払い出し位置(例えば図1に示す位置)に移動し、ローラ127の動作により、受取面125aの上の打抜成形品94を製品搬出部6に払い出す。
製品搬出部6は、ベルトコンベアである。製品搬出部6の上面6aの上下方向VTの高さは、払い出し位置に位置するベルトコンベア125の受取面125aと同一とされている。これにより、製品搬出部6は、ベルトコンベア125から払い出された打抜成形品94を、上面6aで受け取ることが出来る。 製品搬出部6は、ベルトコンベア125から受け取った打抜成形品94を、送り方向HZに、作業者7が待機している側に向かって搬送する。
なお、成形品92が抜き落とされた後の樹脂シート91は、未成形面93のみが残った状態で、成形品集積装置1から送り出されて、回収装置(不図示)にロール状に巻き取られる。
次に、成形品集積装置1が成形品92(打抜成形品94)の集積を行う動作について、図4から図15を用いて詳細に説明する。図4から図15は、成形品集積装置1が送出ラインFLの上側に開口する成形品92(打抜成形品94)の集積を行う動作を表す図である。
成形品集積装置1が動作をスタートすると、まず、ベルトコンベア125が、図4に示すように、二点鎖線で表されたベルトコンベア125の払い出し位置から距離D11だけ移動する。この距離D11移動した後の位置が待機位置である。この距離D11がどのように定められるのかについては、後述する。
次に、図5に示すように、ベルトコンベア125は、待機位置からさらにノックアウトロッド116に近接し、受取位置に位置する。この受取位置は、二点鎖線で表されたベルトコンベア125の払い出し位置を基準とすれば、距離D21だけ移動した位置である。この距離D21は、成形品92の閉塞部92bと受取面125aとの距離である抜き落とし距離D31が、例えば、樹脂シート91の板厚程度となるように定められている。ただし、抜き落とし距離D31は、樹脂シート91の板厚よりも大きいことが望ましい。抜き落とし距離D31が板厚以下であると、ノックアウトロッド116が成形品92を抜き落とす前に、成形品92の閉塞部92bが受取面125aに突き当たってしまい、抜き落とすことができないためである。
次に、図6に示すように、ベルトコンベア125が受取位置に静止した状態で、ノックアウト装置11が動作し、ノックアウトロッド116が下降される。ノックアウトロッド116が下降していくと、まず、ノックアウトロッド116の先端部116aが、ノックアウトロッド116の直下に位置する成形品92の閉塞部92bと接触する。その後、ノックアウトロッド116がさらに下降することで、成形品92が樹脂シート91から抜き落とされる。そして、抜き落とされた成形品である打抜成形品94は、ノックアウトロッド116がストロークS11下降した時点で、ベルトコンベア125の受取面125aに接地される。ストロークS11は、ノックアウトロッド116の先端部116aが、ベルトコンベア125の受取面125aに突き当たらない程度に設定される。
打抜成形品94は、樹脂シート91から切り離された瞬間から受取面125aに接地されるまでの間、すなわち抜き落とし距離D31(図5参照)を移動する間、支持されていない状態である。しかし、抜き落とし距離D31は樹脂シート91の板厚程度と小さいため、打抜成形品94は、ノックアウトロッド116が下降する勢いにより、ノックアウトロッド116の先端部116aに密着したまま抜き落とし距離D31を移動する。よって、打抜成形品94は、樹脂シート91から切り離されてから受取面125aまで、大きく位置ずれすることなく、上下方向VTにほぼ真直ぐに移動する。
また、もし、打抜成形品94がノックアウトロッド116の先端部116aに密着せず、樹脂シート91から切り離されてから受取面125aまで落下したとしても、すなわち抜き落とし距離D31(図5参照)を落下したとしても、抜き落とし距離D31は樹脂シート91の板厚程度と小さいため、落下する距離が非常に短い。よって、打抜成形品94は、樹脂シート91から切り離されてから受取面125aまで、大きく位置ずれすることなく、上下方向VTにほぼ真直ぐに落下する。
また、ファンユニット126が動作することで生じる負圧により、受取面125aが打抜成形品94を吸着することに加え、受取面125aがシリコンにより形成されているため、打抜成形品94が受取面125aに接地された後は、位置ずれしにくくなっている。
次に、図7に示すように、ノックアウト装置11が動作することで、ノックアウトロッド116が上昇し、元の位置に戻る。このとき、ベルトコンベア125は、受取位置に静止した状態である。
次に、図8に示すように、ベルトコンベア125が、受取位置から待機位置に移動し、ノックアウトロッド116から離間する。この待機位置は、受取面125a上の打抜成形品94が、次にノックアウトロッド116の直下に送り出されてくる成形品92と干渉しないように退避する位置である。よって、先述の距離D11は、成形品92の閉塞部92bと打抜成形品94の開口部94aとの間にクリアランスD41が生じるように定められている。クリアランスD41は、打抜成形品94と成形品92とが干渉しないために十分な大きさであり、かつ最小限の値に定められる。
次に、図9に示すように、成形品92がそれぞれのノックアウトロッド116の直下に位置するまで樹脂シート91が送り出される。この際、ベルトコンベア125が待機位置に位置しており、上述の通り、成形品92の閉塞部92bと打抜成形品94の開口部94aとの間にクリアランスD41があるため、成形品92と打抜成形品94は干渉しない。
次に、図10(a)に示すように、ベルトコンベア125は、待機位置から再びノックアウトロッド116に近接し、受取位置に位置する。これにより、成形品92の閉塞部92bが、直前に抜き落とされた打抜成形品94の開口部94aに挿し込まれた状態となる。
ここで、図10(a)に示す受取位置は、二点鎖線で表されたベルトコンベア125の払い出し位置を基準とすれば、距離D22だけ移動した位置である。この距離D22は、図5に示す距離D21よりも、スタック距離D61(図10(b)参照)の分だけ小さい値となっている。図10(b)を用いて詳しく説明する。
図10(b)においては、成形品92を抜き落とし、打抜成形品94の上に重ねた状態を想定した仮想打抜成形品95を、二点鎖線で表している。成形品92は、樹脂シート91から切り離された後、打抜成形品94の上に積み重ねられて静止するまで、成形品92の閉塞部92bと仮想打抜成形品95の閉塞部95bとの距離D51だけ移動する。つまり、距離D51は、図5に示す抜き落とし距離D31に相当するものであり、抜き落とし距離D31と同一の値に定められている。
また、仮想打抜成形品95で示すように、打抜成形品94を上下に隣接して積み重ねた場合、上側の打抜成形品(仮想打抜成形品95)は、下側の打抜成形品94に対してスタック距離D61分だけオフセットした状態となる。
以上から、図10(a)に示すベルトコンベア125の受取位置は、成形品92の閉塞部92bとベルトコンベア125の受取面125aとの距離D32が、抜き落とし距離D31に相当する距離D51と、スタック距離D61とを合わせたものとなるように設定される。距離D32が、抜き落とし距離D31に相当する距離D51と、スタック距離D61とを合わせたものであるということは、距離D32は、抜き落とし距離D31よりもスタック距離D61の分だけ大きい値であることを意味する。これに伴い、距離D22は、距離D21よりもスタック距離D61の分だけ小さくなるのである。
ここで、スタック距離D61は、打抜成形品94を積み重ねた個数分だけ累積されていくため、ベルトコンベア125の受取位置は、抜き落としを行う度に、スタック距離D61ずつ払い出し位置に近づいていく点に留意されたい。
ベルトコンベア125が、図10(a)に示す受取位置に位置した後は、図11に示すように、ベルトコンベア125が受取位置に静止した状態で、ノックアウト装置11が動作し、ノックアウトロッド116が下降される。ノックアウトロッド116が下降するストロークS11は、一定であり、図6の場合と同一である。
ノックアウトロッド116がストロークS11だけ下降することで、先述した図6の場合と同様に、成形品92を樹脂シート91から抜き落とす。そして、抜き落とされた打抜成形品94(第2打抜成形品94とする)は、直前に抜き落とされた打抜成形品94(つまり、図6で抜き落とされた打抜成形品94(第1打抜成形品94とする))の上に積み重ねられる。
第2打抜成形品94は、樹脂シート91から切り離された瞬間から第1打抜成形品94の上に積み重ねられるまでの間、すなわち距離D51(図10(b)参照)を移動する間、支持されていない状態である。しかし、第2打抜成形品94は、図10(a)および図10(b)に示すように、成形品92の閉塞部92bが第1打抜成形品94の開口部94aに挿し込まれた状態で抜き落とされたものであるため、第1打抜成形品94にガイドされて、距離D51を移動し、第1打抜成形品94の上に積み重ねられる。第1打抜成形品94は、上述の通り、抜き落とされてから真直ぐに受取面125aに移動した上、受取面125aに吸着されているため、ガイドとしての機能を十分に果たし得るものである。
次に、図12に示すように、ノックアウト装置11が動作することで、ノックアウトロッド116が上昇し、元の位置に戻る。このとき、ベルトコンベア125は、受取位置に静止した状態である。
次に、図13(a)に示すように、ベルトコンベア125が、受取位置から待機位置に移動し、ノックアウトロッド116から離間する。ここで、図13(a)に示す受取位置は、二点鎖線で表されたベルトコンベア125の払い出し位置を基準とすれば、距離D12だけ移動した位置である。この距離D12は、図8および図9に示す距離D11よりも、スタック距離D61(図13(b)参照)の分だけ小さい値となっている。図13(b)を用いて詳しく説明する。
待機位置とは、先述の通り、受取面125a上の打抜成形品94が、次にノックアウトロッド116の直下に送り出されてくる成形品92と干渉しないように退避する位置である。そのため、図13(b)に示すように、受取面125aの上に打抜成形品94が複数積み重ねられているときには、樹脂シート91に最も近い打抜成形品94の開口部94aと、樹脂シート91の成形品92の閉塞部92bとの間に、クリアランスD41(図8および図9に示すクリアランスD41と同一)を確保しなければならない。樹脂シート91に近い側の打抜成形品94は、その下の打抜成形品94に対して、スタック距離D61分だけオフセットしているため、図13(a)に示すベルトコンベア125の待機位置は、図8および図9に示す待機位置よりもスタック距離D61分だけ、払い出し位置に近くなっている。スタック距離D61は、上述の通り、打抜成形品94を積み重ねた個数分だけ累積されていくため、ベルトコンベア125の待機位置は、抜き落としを行う度に、スタック距離D61ずつ払い出し位置に近づいていく。
次に、図14に示すように、成形品92がそれぞれのノックアウトロッド116の直下に位置するまで樹脂シート91が送り出される。この際、ベルトコンベア125が待機位置に位置しており、上述の通り、成形品92の閉塞部92bと打抜成形品94の開口部94aとの間にクリアランスD41があるため、成形品92と打抜成形品94は干渉しない。
図10〜14に示す動作を繰り返し、所定の個数の打抜成形品94が受取面125aの上に集積されれば、図15に示すように、ベルトコンベア125は、払い出し位置に戻り、集積した打抜成形品94を製品搬出部6に払い出す。なお、所定の個数とは、打抜成形品94の形状により異なるものであり、集積された打抜成形品94が傾いたりせず、安定した姿勢を保つことが出来る高さに収まるように設定される。
以上、図4から図15を以って説明した打抜成形品94の集積を行う動作は、成形品集積装置1に接続される制御装置(不図示)が備えるプログラムにより自動的に行われるもので、動作タクト(例えば図4から図8に示す、1つの成形品92を抜き落とすのにかかる時間)は、例えば1.5秒である。
また、上記プログラムを動作させる前には、ノックアウトロッド116のストロークS11と、ベルトコンベア125の待機位置を定める距離D11と、ベルトコンベア125の受取位置を定める距離D21と、待機位置および受取位置が、抜き落としを行う毎にどれだけ払い出し位置に近づいていけば良いのかを定めるスタック距離D61と、を予め設定しておく必要がある。
ここまで説明したように、樹脂シート91の成形品92は、開口部92aが送出ラインFLの上側に向かって開口している。しかし、成形品集積装置1は、図16から図25に示す樹脂シート96に形成される成形品97のように、送出ラインFLの下側に向かって開口している成形品を抜き落とし、集積することも可能である。成形品集積装置1が成形品97の集積を行う動作について、図16から図25を用いて以下に説明する。図16から図25は、成形品集積装置1が送出ラインFLの下側に開口する成形品97(打抜成形品98)の集積を行う動作を表す図である。
成形品集積装置1が動作をスタートすると、まず、ベルトコンベア125が、図16に示すように、払い出し位置から距離D13だけ移動し、待機位置に位置する。
次に、図17に示すように、ベルトコンベア125は、待機位置からさらにノックアウトロッド116に近接し、受取位置に位置する。この受取位置は、二点鎖線で表されたベルトコンベア125の払い出し位置を基準とすれば、距離D23だけ移動した位置である。この距離D23は、成形品97の開口部97aと受取面125aとの距離である抜き落とし距離D33に基づき定まる。抜き落とし距離D33が樹脂シート96の板厚程度とされるのは、抜き落とし距離D31(図5参照)と同様である。
次に、図18に示すように、ベルトコンベア125が受取位置に静止した状態で、ノックアウト装置11が動作し、ノックアウトロッド116がストロークS12の分だけ下降される。これにより、成形品97は、樹脂シート96から抜き落とされ、打抜成形品98としてベルトコンベア125の受取面125aに接地される。
このとき、抜き落とし距離D33が樹脂シート96の板厚程度と小さいため、打抜成形品98は、上記した打抜成形品94と同様に、樹脂シート96から切り離されてから受取面125aまで、大きく位置ずれすることなく、上下方向VTにほぼ真直ぐに移動または落下する。また、打抜成形品98が受取面125aに接地された後、受取面125aが打抜成形品98を吸着ことや、受取面125aがシリコンで形成されていることにより、打抜成形品98が位置ずれしにくくなっている点も、上記した打抜成形品94の場合と同様である。
次に、図19に示すように、ベルトコンベア125が受取位置に静止した状態で、ノックアウトロッド116が上昇し、元の位置に戻る。
次に、図20に示すように、ベルトコンベア125が、受取位置から待機位置に移動し、ノックアウトロッド116から離間する。この待機位置は、受取面125a上の打抜成形品98が、次にノックアウトロッド116の直下に送り出されてくる成形品97と干渉しないように退避する位置である。よって、先述の距離D13は、成形品97の開口部97aと打抜成形品98の閉塞部98bとの間にクリアランスD42が生じるように定められている。クリアランスD42は、打抜成形品94と成形品92とが干渉しないために十分な大きさであり、かつ最小限の値に定められる。
次に、図21に示すように、ベルトコンベア125が待機位置に位置した状態で、成形品97がそれぞれのノックアウトロッド116の直下に位置するまで樹脂シート91が送り出される。
次に、図22(a)に示すように、ベルトコンベア125は、待機位置から再びノックアウトロッド116に近接し、受取位置に位置する。これにより、直前に抜き落とされた打抜成形品98の閉塞部98bが、成形品97の開口部97aに挿し込まれた状態となる。
ここで、図22(a)に示す受取位置は、二点鎖線で表されたベルトコンベア125の払い出し位置を基準とすれば、距離D24だけ移動した位置である。この距離D24は、図17に示す距離D23よりも、スタック距離D62(図22(b)参照)の分だけ小さい値となっている。図22(b)を用いて詳しく説明する。
図22(b)においては、成形品97を抜き落とし、打抜成形品98の上に重ねた状態を想定した仮想打抜成形品99を、二点鎖線で表している。成形品97は、樹脂シート96から切り離された後、打抜成形品94の上に積み重ねられて静止するまで、成形品97の開口部97aと仮想打抜成形品99の開口部99aとの距離D52だけ移動する。つまり、距離D52は、図17に示す抜き落とし距離D33に相当するものであり、抜き落とし距離D33と同一の値に定められている。
また、仮想打抜成形品99で示すように、打抜成形品98を上下に隣接して積み重ねた場合、上側の打抜成形品(仮想打抜成形品95)は、下側の打抜成形品94に対してスタック距離D61分だけオフセットした状態となる。
以上から、図22(a)に示すベルトコンベア125の受取位置は、成形品97の開口部97aとベルトコンベア125の受取面125aとの距離D34が、抜き落とし距離D33に相当する距離D52と、スタック距離D62とを合わせたものとなるように設定される。これは、距離D34が、抜き落とし距離D33よりもスタック距離D62の分だけ大きい値であることを意味する。これに伴い、距離D24は、距離D23よりもスタック距離D62の分だけ小さくなるのである。また、スタック距離D62は、打抜成形品98を積み重ねた個数分だけ累積されていくため、ベルトコンベア125の受取位置は、抜き落としを行う度に、スタック距離D62ずつ払い出し位置に近づいていく。
ベルトコンベア125が、図22(a)に示す受取位置に位置した後は、図23に示すように、ベルトコンベア125が受取位置に静止した状態で、ノックアウトロッド116がストロークS12の分だけ下降される。これにより、成形品97を樹脂シート96から抜き落とす。そして、抜き落とされた打抜成形品98(第2打抜成形品98とする)は、直前に抜き落とされた打抜成形品98(つまり、図18で抜き落とされた打抜成形品98(第1打抜成形品98とする))の上に積み重ねられる。このとき、第2打抜成形品94は、図22(a)および図22(b)に示すように、第1打抜成形品98の閉塞部98bが成形品97の開口部98aに挿し込まれた状態で抜き落とされたものであるため、第1打抜成形品94にガイドされて、距離D52を移動する。
次に、図24に示すように、ノックアウト装置11が動作することで、ノックアウトロッド116が上昇し、元の位置に戻る。このとき、ベルトコンベア125は、受取位置に静止した状態である。
次に、図25(a)に示すように、ベルトコンベア125が、受取位置から待機位置に移動し、ノックアウトロッド116から離間する。ここで、図25(a)に示す受取位置は、二点鎖線で表されたベルトコンベア125の払い出し位置を基準とすれば、距離D14だけ移動した位置である。この距離D14は、図20および図21に示す距離D13よりも、スタック距離D62(図25(b)参照)の分だけ小さい値となっている。これは、図25(b)に示すように、樹脂シート96に最も近い打抜成形品98の閉塞部98bと、樹脂シート96の成形品97の開口部97aとの間に、クリアランスD42(図20および図21に示すクリアランスD42と同一)を確保するためである。樹脂シート96に近い側の打抜成形品98は、その下の打抜成形品98に対して、スタック距離D62分だけオフセットしているため、図25(a)に示すベルトコンベア125の待機位置は、図20および図21に示す待機位置よりもスタック距離D62分だけ、払い出し位置に近くなっている。スタック距離D62は、打抜成形品98を積み重ねた個数分だけ累積されていくため、ベルトコンベア125の待機位置は、抜き落としを行う度に、スタック距離D62ずつ払い出し位置に近づいていく。
次に、成形品97がそれぞれのノックアウトロッド116の直下に位置するまで樹脂シート96が送り出されるが、上記クリアランスD42により、成形品97と打抜成形品98は干渉しない。
上記した成形品97の打ち抜きおよび打抜成形品98の集積を繰り返し、所定の個数の打抜成形品98が受取面125aの上に集積されれば、ベルトコンベア125は、払い出し位置に戻り、集積した打抜成形品98を製品搬出部6に払い出す。
以上、説明した動作は、成形品集積装置1に接続される制御装置(不図示)が備えるプログラムにより自動的に行われるもので、動作タクト(例えば図16から図20に示す、1つの成形品97を抜き落とすのにかかる時間)は、例えば1.5秒である。
また、上記プログラムを動作させる前には、ノックアウトロッド116のストロークS12と、ベルトコンベア125の待機位置を定める距離D13と、ベルトコンベア125の受取位置を定める距離D23と、待機位置および受取位置が、抜き落としを行う毎にどれだけ払い出し位置に近づいていけば良いのかを定めるスタック距離D62と、を予め設定しておく必要がある。
以上説明したように、本実施形態に係る成形品集積装置1によれば、
(1)樹脂シート91,96から、樹脂シート91,96の送り方向HZに複数連続して形成された成形品92,97を抜き落とすノックアウトロッド116と、ノックアウトロッド116と樹脂シート91,96を挟んで対向して位置し、ノックアウトロッド116により抜き落とされた成形品(打抜成形品94,98)を集積する受取面125aを備えるコンベアと、を備える成形品集積装置1において、コンベアは、受取面125aがベルトで形成されたベルトコンベア125であること、ノックアウトロッド116が成形品92,97を抜き落とす方向と平行な方向(上下方向VT)に、ノックアウトロッド116に近接して打抜成形品94,98を受け取る受取位置と、受取位置から所定の距離だけノックアウトロッド116から離間する待機位置と、の間を移動可能であること、を特徴とする。
(1)に記載の成形品集積装置1によれば、ノックアウトロッド116により抜き落とされた成形品(打抜成形品94,98)を集積する受取面125aを備えるコンベアは、受取面125aがベルトで形成されたベルトコンベア125である。よって、例えば、コンベアの打抜成形品を集積する受取面125aを、樹脂シート91,96の送り方向HZや、樹脂シート91,96の幅方向WD(送り方向と直角な方向)に、広さを持ったものとすれば、複数個の成形品92,97を同時に抜き落としても、上記受取面に打抜成形品を集積することが可能である。そすうれば、抜き落とす個数分だけ固定バケット筒およびマンドレルを用意しなければならないような、製造コストの増大につながる問題はない。
さらに、成形品92,97の形状に合わせた専用の固定バケット筒を用意しなければならないような製造コストの増大につながる問題や、異なった形状の成形品を抜き落とす場合に、その成形品に合わせた専用の固定バケット筒に交換しなければならないような作業効率の低下につながる問題もない。
また、コンベア(ベルトコンベア125)は、ノックアウトロッド116が成形品92,97を抜き落とす方向と平行な方向(上下方向VT)に、ノックアウトロッド116に近接して打抜成形品94,98を受け取る受取位置と、受取位置から所定の距離だけノックアウトロッド116から離間する待機位置と、の間を移動可能である。よって、ノックアウトロッド116が成形品の抜き落としを行う際には、受取位置に位置させ、成形品92,97の抜き落とし後、樹脂シート91,96が成形品集積装置1に送られる際には、待機位置に位置させることが可能である。
ノックアウトロッド116が成形品92,97の抜き落としを行う際に、コンベア(ベルトコンベア125)を受取位置に位置させることで、ノックアウトロッド116が抜き落としを行う位置から受取面125aまでの距離を小さくすることが可能であるため、ノックアウトロッド116が抜き落としを行う位置から受取面125aまで打抜成形品94,98を保持した状態で運ぶ必要がない。よって、打抜成形品94,98を保持するための構造を要しないため、成形品集積装置1の構造を単純にすることができ、製造コストが増大する問題が解決される。
また、成形品92,97の抜き落とし後、樹脂シート91,96が成形品集積装置1に送られる際に、コンベアを待機位置に位置させることで、コンベア(ベルトコンベア125)に高さがある打抜成形品94,98を集積した場合や、複数の打抜成形品94,98を積み重ねた場合など、打抜成形品94,98がコンベア(ベルトコンベア125)の受取面125aから樹脂シート91,96側に突出した状態となっても、成形品集積装置1に送られてくる樹脂シート91,96に形成されている成形品92,97と、コンベア(ベルトコンベア125)上に集積された打抜成形品94,98とが干渉しないようにすることが出来る。
(2)(1)に記載の成形品集積装置1において、成形品92は、一端に閉塞部92bを備え、他端に閉塞部92bよりも広い間口の開口部92aを備える有頂筒状に形成されていること、開口部92aは、ノックアウトロッド116側に開口していること、コンベア(ベルトコンベア125)が、受取位置にあるときに、成形品92の閉塞部92bが、直前に抜き落とされた打抜成形品94の開口部94aに挿し込まれ、該成形品92は、ノックアウトロッド116により抜き落とされると、該打抜成形品94にガイドされて、該打抜成形品94の上に集積されること、を特徴とする。
(3)(1)に記載の成形品集積装置において、成形品97は、一端に閉塞部97bを備え、他端に閉塞部97bよりも広い間口の開口部97aを備える有頂筒状に形成されていること、開口部97aは、コンベア(ベルトコンベア125)側に開口していること、コンベア(ベルトコンベア125)が、受取位置にあるときに、直前に抜き落とされた打抜成形品98の閉塞部98bが、成形品97の開口部97aに挿し込まれ、該成形品97は、ノックアウトロッド116により抜き落とされると、該打抜成形品98にガイドされて、該打抜成形品98の上に集積されること、を特徴とする。
(2)または(3)に記載の成形品集積装置1によれば、n回目に樹脂シート91,96から抜き落とされる成形品92,97は、n−1回目に抜き落とされたコンベア(ベルトコンベア125)の受取面125a上の打抜成形品94,98がガイドとなり、その上に集積される。打抜成形品94,98自体をガイドとして用いることで、特別なガイド用の部材を要することなく、コンベア(ベルトコンベア125)の受取面125a上に打抜成形品94,98を集積することが可能であるため、成形品集積装置1の製造コストの増大を防止することが可能である。
(4)(2)または(3)に記載の成形品集積装置1において、コンベア(ベルトコンベア125)は、受取面125aに、コンベア(ベルトコンベア125)の外部に開放される空気逃がし経路(例えば、貫通孔125b)を備えること、を特徴とする。
(5)(2)または(3)に記載の成形品集積装置1において、コンベア(ベルトコンベア125)は、受取面125aに、減圧手段(例えば、ファンユニット126)に接続された通気口(例えば、貫通孔125b)を備えること、受取面125aは、減圧手段(ファンユニット126)が、通気口(貫通孔125b)を通じて打抜成形品94,98を吸引することで、打抜成形品94,98を吸着すること、を特徴とする。
(6)(2)乃至(5)のいずれか1つに記載された成形品集積装置1において、コンベア(ベルトコンベア125)は、受取面125aが、滑り止め弾性体(例えば、シリコン)により形成されていること、を特徴とする。
上記した(2)または(3)に記載の成形品集積装置1のように、打抜成形品94,98をガイドとするには、受取面125a上の打抜成形品94,98が、樹脂シート91,96の成形品92,97の直下に位置することが望ましい。このためには、まず1回目に抜き落とされた打抜成形品94,98が、抜き落とされてから受取面125aまで真直ぐに落下し、受取面125aの上で静止することが求められる。しかし、打抜成形品94,98が受取面125aに落下する際に、打抜成形品94,98と受取面125aとの間の空気が抵抗となり、抜き落とされてから受取面125aまで真直ぐに落下しないおそれがある。また、例え真直ぐに落下したとしても、受取面125aに落下した際の衝撃で、打抜成形品94,98が落下した位置で静止せずに位置ずれを起こすおそれがある。
そこで、(4)に記載の成形品集積装置1のように、コンベア(ベルトコンベア125)の受取面125aに、コンベア(ベルトコンベア125)の外部に開放される空気逃がし経路(貫通孔125b)を設けることとすれば、打抜成形品94,98が受取面125aに落下する際に、打抜成形品94,98と受取面125aとの間の空気は、空気逃がし経路(貫通孔125b)からコンベアの外部(ベルトコンベア125)に逃げることが出来るため、打抜成形品94,98が受取面125aに落下する際に、打抜成形品94,98と受取面125aとの間の空気が抵抗となるおそれが低減される。そうすれば、1回目に抜き落とされた打抜成形品94,98が、抜き落とされてから受取面125aまで真直ぐに落下することが出来る。
また、(5)に記載の成形品集積装置1のように、受取面125aが、減圧手段(ファンユニット126)によって、通気口(貫通孔125b)を通じて打抜成形品94,98を吸引するものとすれば、打抜成形品94,98が落下した位置で静止せずに位置ずれを起こすおそれが低減される。つまり、打抜成形品94,98を、受取面125a上の落下した位置に静止させることができる。
また、(6)に記載の成形品集積装置1のように、受取面125aを、滑り止め弾性体(シリコン)により形成することで、打抜成形品94,98が落下した位置で静止せずに位置ずれを起こすおそれが低減される。つまり、打抜成形品94,98を、受取面125a上の落下した位置に静止させることができる。
なお、本実施形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な改良、変形が可能である。例えば、本実施形態においては、16本のノックアウトロッド116により、一度に16個の成形品92,97を抜き落とすこととしているが、個数はこれに限定されず、成形品92,97の形状や、ベルトコンベア125の受取面125aの広さに応じて、変更が可能である。