JP6942021B2 - プラスチックキャップ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
粘稠性を有する内容物が充填される容器に適用されるキャップにおいては、容器胴部を押圧することにより内容物が注出されるため、注出量を容易に調整するには注出口の径が小径であることが望ましい。しかしながら、注出口が小径のキャップでは、開口予定部にプルリングを形成することが難しい。またプルリングを形成できたとしても、プルリングが小径となるため指で把持することが難しく、上述したように、使用開始時に容易に開口を形成することはできない。
しかしながら、2ピースタイプのキャップであることから、内蓋の成形工程及び内蓋の外蓋への組み付け工程という、2工程が追加されると共に、内蓋成形のための金型も必要になるため、ワンピースタイプのキャップの成形に比して、生産性及び経済性の点で未だ十分満足するものではない。
上記プラスチックキャップは、キャップ本体と一体に成形された中栓が、注出用ノズルの中栓と密着可能な内径を有するシール部分よりも下方で破断可能な弱化部を介してキャップ本体に一体に形成されていると共に、破断された弱化部のキャップ本体側の端縁は注出用ノズルの内部に位置していることから、内容物の注出性やシールポイントを損なうこともなく、密封性に優れている。
従って本発明の目的は、成形時には生産性に優れたワンピースタイプでありながら、使用時には密封性及び開封性に優れた2ピースキャップになり、熱間充填等にも対応可能な小径の注出用開口を形成可能なプラスチックキャップを提供することである。
本発明の他の目的は、密封性及び開封性に優れた小径の注出用開口を形成可能なプラスチックキャップを生産性よく成形可能なプラスチックキャップの成形方法を提供することである。
1.前記中栓は、頂板部の開口予定部の端縁から、破断可能な弱化部を介して、一体に形成されていること、
2.前記上蓋がキャップ本体に係合された状態で、前記破断可能な弱化部が破断され、キャップ本体から離脱した中栓の被係合部が前記突出部の係合部を乗り越え互いに係合可能になると共に環状側壁外面と注出用ノズル内面が密着すること、
3.前記上蓋の突出部には、前記係合部よりも上方に、第二の係合部が形成されており、前記中栓が上蓋の開封に伴い上昇し、環状突起が環状嵌合部から外れた後に、前記被係合部が第二の係合部と係合すること、
4.前記環状嵌合部が、環状突起の形状に合致した環状凹部であること、
5.前記環状嵌合部が、下側環状突条及び上側環状突条によって形成されること、
6.前記中栓の閉塞部が環状側壁の下方に形成された底部であり、該底部には、上方に延びるガイド棒が形成されており、前記突出部の中央には、前記ガイド棒を収納可能な凹部が形成されており、前記ガイド棒の外径が前記突出部の凹部の内径よりも小さいこと、
7.前記上蓋が、キャップ本体にヒンジ連結されていること、
が好適である。
本発明の製造方法においては、前記キャップ本体及び上蓋がヒンジ連結されており、キャップ本体及び上蓋を開いた状態で成形した後、上蓋をキャップ本体に係合することが好適である。
また環状嵌合部が上側環状突条及び下側環状突条を有し、これらの間に環状突起の形状に対応する環状凹部が形成されていることにより、環状突起と環状嵌合部の嵌合力を向上でき、シール部に上下方向の荷重、すなわち落下時のウォーターハンマーまたは熱間充填中の容器内圧の上昇による上向きの荷重や、熱間充填後の容器内圧の減圧吸収による下向きの荷重が作用した場合にも、環状突起と環状係合部の係合が解除されてしまうことが有効に防止されている。
更に、最初に開封した直後に上蓋を閉じる際に、中栓の被係合部が上蓋に形成された突出部の第二の係合部を乗り越えることにより、2回目以降の閉開栓では、前述した環状突起と環状嵌合部の係合がないため、開封力を低減することができ、開封性に優れている。
またプルリングを形成できない小径の注出用開口を形成できることから、容器を押圧した分だけ注出することができると共に、容易にスクイズバック可能であり、液だれなどを有効に防止することできる。
更にキャップ本体と一体に成形された中栓は、注出用ノズルとのシール部よりも下方で破断可能な弱化部を介してキャップ本体に一体に形成されていることから、破断された弱化部のキャップ本体側の端縁は注出用ノズルの内部に位置し、内容物の注出性を損なうことや、シール性を損なうこともなく、密封性に優れている。
また本発明のプラスチックキャップは、上蓋の突出部の中栓係合部と中栓の被係合部が上下方向に間隙を有するよう形成されているため、中栓は上蓋に対して可動性を有している。そのため、上蓋の動きに遅れてから追従するため、開封力を分散させることができ、上蓋の初期開封力を上昇させることがない。また上蓋が落下衝撃を受けた場合にも中栓は上蓋と一緒に動かないので、密封性が損なわれることが有効に防止されている。
更にキャップ本体に弱化部を介して一体に形成されている中栓は、その閉塞部をキャップ本体下方から押圧することによって中栓はキャップ本体から離脱すると同時に上蓋に形成された突出部と嵌合して上蓋と一体となることから、組み付けも容易であり、生産性及び経済性に優れている。
図1及び図2に示す本発明のプラスチックキャップの一例は、キャップ本体1、及びこのキャップ本体1にヒンジ連結された上蓋20、並びにキャップ本体1から離脱可能に形成され、キャップ本体から離脱後は上蓋20と一体化される中栓30から成り、これらが一体的に成形されて成るヒンジキャップである。
容器口部(図示せず)に嵌合固定されるキャップ本体1は、頂板部2及び頂板部2の周縁から垂下するスカート部3から成り、スカート部3は上方から下方へ延びる溝4を介して内側筒壁3aと外側筒壁3bとに分断されており、内側筒壁3aをタガ締めするように外側筒壁4が形成されて成っている。尚、溝4の下端部は周方向において後述する上蓋20のヒンジ部分に対応する一部の領域をスリット12で貫通しており、スリット12以外の周方向の領域は内側筒壁3aと外側筒壁3bとを連結部13を介して連結している。連結部13は周方向に破断可能な破断連結部と、破断連結部よりも比較的厚肉な非破断連結部とで形成されている。内側筒壁3aの内面下方には、後述する容器口部の係合凹部と係合し、キャップ本体1を容器口部に固定するための内方に突出する環状凸部5が形成されている。外側筒壁3bは、ヒンジ部近傍に上方から下方へ延びる破断可能な軸方向スコア6が形成されており、これにより、内容物がなくなり、廃棄する際には、上蓋20をヒンジ部分で下方に引き下げてスコア6を破断し、続いて連結部13のうち破断連結部を周方向に破断するが非破断連結部は破断されないため、上蓋20とキャップ本体1とが連結したまま容器口部から容易に取り外すことができ、分別廃棄性を有している。
また頂板部2の外面側の端部には、上蓋20と係合して上蓋20を固定するための環状突起7が形成され、該環状突起7よりも内側の注出方向(ヒンジ部の反対側)側に注出用ノズル8が形成されている。一方、頂板部2の内面には、容器口部内面と密着するインナーリング9が形成されている。
この中栓30は、破断可能なスコア10から下方に延びる環状側壁31及び環状側壁31を塞ぐように形成された閉塞部である底部32が形成されている。また前述したとおり、環状側壁31の外径は、注出用ノズル8の内面のシール部分と密着する大きさであり、中栓の環状側壁31は、注出用ノズル内面の一部(シール部分)に密着する長さに形成されている。また図に示す具体例では、底部32は下端に向かって径が減少するように、傾斜が形成されており、キャップ本体から中栓を離脱(弱化部10を破断すること)し、注出用ノズル8の内面に中栓30を密封状態にセットした後、上蓋を再び閉じる際、注出用ノズル8内への嵌合が容易になっている。
また中栓30の内部には、環状側壁31上方に、後述する上蓋に形成された中栓係合部28と被係合するための環状の被係合部33が内方に突出するように形成されていると共に、底部32の中央から上方に延びるガイド棒34が形成されている。
上蓋20は、天面21と天面21の外周縁から垂下する周状壁22から成っており、周状壁22の内面下方は、前述したキャップ本体1の環状突起7と係合し、閉栓状態において上蓋20をキャップ本体1に係合するための環状突条23が形成されている。また周状壁22の外面下端のヒンジ11と反対側の位置には、上蓋20を上方に持ち上げるための摘み24が形成されている。
また天面21には、キャップ本体の注出用ノズル8に対応する位置に、注出用ノズル8の先端外径とほぼ内径が同じ大きさの下方に延びる周状突起25が形成されている。この周状突起25内に注出用ノズル8の注ぎ口先端部が位置することにより、キャップが外部から衝撃を受けた時等に、上蓋20がキャップ本体1からずれてしまうことを有効に防止できる。またこの周状突起25が形成された部分を除いて、天面21の内面から下方に向かって円弧状突起26が形成されている。この円弧状突起26により、閉栓状態において、上蓋20の上方からの衝撃による上蓋の潰れを防止することができる。
また上蓋20を最初に開封するまでは、第一の中栓係合部28aと被係合部33は、図4に示すように軸方向にL1の間隙を有するように形成されており、また後述するように、ガイド棒34が凹部29の寸法に対して小径且つ短いことから、上蓋20が開封するためにわずかに引き上げられ突出部27が多少斜めになっても、密封シール状態の中栓30の位置は変化せず、突出部27だけが上蓋20と同時に上昇して中栓30は注出用ノズル8から移動せず、そこから更に上蓋20が引き上げられると中栓30の密封シール状態が解除されることになる。このため、上蓋20の開封初期(具体的には、キャップ本体1の環状突起7と上蓋20の環状突条23との係合を外そうとする時)においては、中栓30はまだ動くことなく注出用ノズル8に嵌合しているため、上蓋20の初期開封力を増加させることないので、開封性を損なうことがない。しかも開封初期の状態ではキャップの密封性も解除されていない。
尚、この凹部29は、ガイド棒34の外径よりも大きい内径を有し、且つガイド棒の34の長さよりも深く形成されている。これにより中栓30は、上蓋20に対して可動領域を有することになり、前述したような上蓋の初期開封力を増加させることなく、また密封性能も向上できる。
図5に示す通り、最初に開封された上蓋20は、中栓30の被係合部33が上蓋20の突出部27の第一の係合部28aと係合可能な位置にある。中栓30のガイド棒34の外径は突出部27の凹部29の内径に比して小さく、中栓30は突出部27に対して傾いた状態で注出用ノズル8の先端に当接することができることから、中栓30の注出ノズル8への嵌め込みが容易になる。
更に上蓋20を矢印Xの方向に移動させると、図6に示すように、注出用ノズル8の先端で押された中栓30は上蓋方向に移動し(矢印Y)、被係合部33が突出部の第二の係合部28bを乗り越えて、第二の係合部28bと係合可能な位置に固定されることになる。
また図7から明らかなように、一旦開封された後の閉蓋状態においては、中栓30の環状突起35は、注出用ノズル8の上側環状突条14aよりも上に位置し、これらは係合することがない。そのため、図8に示すように、2回目以降の閉開封操作においては、中栓の環状突起35は注出用ノズル8の上側環状突条14bを乗り越える必要がないので、閉開封に要する力が低減されている。
すなわち、図に示したプラスチックキャップは、キャップ本体及び上蓋がヒンジで連結され、キャップ本体及び上蓋並びに中栓が一体的に成形されるものであったが、上蓋がキャップ本体と別体として成形され、キャップ本体に螺子係合等によって固定されるものであってもよい。この場合でも、中栓はキャップ本体と一体に成形できるため、従来のキャップに比して成形は容易であり、生産性及び経済性に優れている。
また図に示したキャップ本体は、容器口部に嵌合固定されるタイプのキャップであることから、分別廃棄のためにスカート部の外側にスコアが形成された外側筒壁を有する二重構造のものであったが、容器口部と螺子係合によって固定されるスカート部に螺子部が形成されたキャップ本体であっても勿論よい。
更に、本発明のプラスチックキャップは、プルリングを形成できない小径の注出用開口を有するキャップにおいても優れた成形性や密封性等を発現し得るものであるため、特に注出用開口の大きさが3〜18mmの範囲にあることが好適である。
また中栓の被係合部と、突出部の第一の中栓係合部の軸方向の間隙L1の長さは、キャップの口径や注出用開口の大きさなどによって一概に規定できないが、中栓の軸方向長さに対して20〜80%の長さであることが好ましい。
更にまた中栓の底部の形状も、図に示す具体例に限定されず種々の変更が可能であるが、中栓の注出用ノズルへの嵌合のしやすさの観点から、底部の形状は、環状側壁と底部の境界部分に傾斜が形成された円錐台形状や、半球状等であることが好適である。
本発明のキャップは、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂などの従来プラスチックキャップの成形に用いられていた樹脂により、射出成形や圧縮成形等、従来公知の方法によって成形することができる。
また中栓をキャップ本体とは別に成形する場合、これに限定されないが、例えばキャップ本体を耐熱性に優れたポリプロピレンで成形し、中栓をポリエチレンで成形することにより、耐熱性、密封性及び開封性に優れたプラスチックキャップを成形できる。
Claims (10)
- 頂板部及びスカート部から成り、該頂板部外面には開口予定部を取り囲むように注出用ノズルが形成されて成る、容器口部に嵌合固定されるキャップ本体と、天面と該天面外周縁から垂下する周状壁から成る上蓋とから成り、該上蓋には、天面内面から下方に突出し、外面に係合部を有する突出部が形成されており、前記キャップ本体には、前記注出用ノズル内面と密着可能な外径を有する環状側壁及び該環状側壁を閉塞する閉塞部が形成されて成る中栓が形成されており、該中栓は、前記注出用ノズルの中栓と密着可能な内径を有するシール部分よりも下方で破断可能な弱化部を介してキャップ本体に一体に形成されて成るプラスチックキャップであって、
前記中栓の環状側壁には前記突出部の係合部と係合可能な被係合部が形成されており、
前記中栓の環状側壁外面又は注出用ノズル内面の何れか一方の面には周方向に延びる環状突起が形成されていると共に、前記中栓の環状側壁外面又は注出用ノズル内面の前記環状突起が形成されていない他方の面には、前記環状突起を上下方向から挟み込んで嵌合可能な環状嵌合部が形成されていることを特徴とするプラスチックキャップ。 - 前記中栓は、頂板部の開口予定部の端縁から、破断可能な弱化部を介して、一体に形成されている請求項1記載のプラスチックキャップ。
- 前記上蓋がキャップ本体に係合された状態で、前記破断可能な弱化部が破断され、キャップ本体から離脱した中栓の被係合部が前記突出部の係合部を乗り越え互いに係合可能になると共に環状側壁外面と注出用ノズル内面が密着する請求項1又は2記載のプラスチックキャップ。
- 前記上蓋の突出部には、前記係合部よりも上方に、第二の係合部が形成されており、前記中栓が上蓋の開封に伴い上昇し、環状突起が環状嵌合部から外れた後に、前記被係合部が第二の係合部と係合する請求項3記載のプラスチックキャップ。
- 前記環状嵌合部が、環状突起の形状に合致した環状凹部である請求項1〜4の何れかに記載のプラスチックキャップ。
- 前記環状嵌合部が、下側環状突条及び上側環状突条によって形成される請求項1〜4の何れかに記載のプラスチックキャップ。
- 前記中栓の閉塞部が環状側壁の下方に形成された底部であり、該底部には、上方に延びるガイド棒が形成されており、前記突出部の中央には、前記ガイド棒を収納可能な凹部が形成されており、前記ガイド棒の外径が前記突出部の凹部の内径よりも小さい請求項1〜6の何れかに記載のプラスチックキャップ。
- 前記上蓋が、キャップ本体にヒンジ連結されている請求項1〜7の何れかに記載のプラスチックキャップ。
- 前記キャップ本体及び上蓋を成形した後、前記上蓋がキャップ本体に係合された状態で、前記中栓の閉塞部を下方から押圧し、前記破断可能な弱化部を破断すると共に、前記突出部の係合部と前記中栓の被係合部を係合可能とし且つ前記中栓の環状側壁外面又は注出用ノズルの内面の間に形成される環状突起と環状嵌合部が係合させることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のプラスチックキャップの製造方法。
- 前記キャップ本体及び上蓋がヒンジ連結されており、キャップ本体及び上蓋を開いた状態で成形した後、上蓋をキャップ本体に係合する請求項9記載のプラスチックキャップの製造方法。
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