JP7257148B2 - プラスチックキャップ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
粘稠性を有する内容物が充填される容器に適用されるキャップにおいては、容器胴部を押圧することにより内容物が注出されるため、注出量を容易に調整するには注出口の径が小径であることが望ましい。しかしながら、注出口が小径のキャップでは、開口予定部にプルリングを形成すること自体が難しく、形成できたとしても、プルリングが小径となるため指で把持することが難しいので、上述したように、使用開始時に容易に開口を形成することはできない。
このような問題を解決するものとして、本発明者等は、キャップ本体及び上蓋から成るプラスチックキャップにおいて、上蓋には、天面内面から下方に突出し、外面に係合部を有する突出部が形成されており、キャップ本体には、注出用ノズル内面と密着可能な外径を有する環状側壁及び該環状側壁の下方に底部が形成されて成る中栓が形成されており、該中栓が、前記注出用ノズルの中栓と密着可能な内径を有するシール部分よりも下方で破断可能な弱化部を介してキャップ本体に一体に形成されており、環状側壁の内面には、前記突出部の係合部と上下方向に係合可能な被係合部が形成されていることを特徴とするプラスチックキャップを提案した(特願2017-129504)。
しかしながら、上記キャップは、キャップ本体に上蓋をセットしてシールした状態で、中栓部分を下方から押し上げ、中栓をキャップ本体から切り離すと同時に上蓋に組み付けることにより形成されるが、中栓部分を下方から押し上げる際に、シールされた状態にある上蓋内の内圧が上昇することにより、上蓋とキャップ本体とのシール部分に隙間が生じたり、或いは加熱処理に付されると上蓋が開いてしまうという問題があった。上蓋とキャップ本体のシール部分に僅かでも隙間が生じてしまうと、内容物充填後のシャワー洗浄等の際に、キャップ内に洗浄水が流入するおそれがあり、また上蓋が開いた状態では、キャップ内が汚染されるおそれもある。その一方、上蓋内の内圧が上昇した場合でも上蓋とキャップ本体とのシール状態が影響を受けないように過剰に両者の嵌合を強めると、開封性に劣るようになる。
1.前記注出用ノズル内面には、内方に突出する複数個のリブが形成されており、隣接するリブの間が前記通気路となること、
2.前記通気路形成部分が、前記突出部の係合部よりも下方に位置すること、
3.前記リブの各々の周方向長さは同一であり、該リブの各々の直径方向反対領域には該リブが存在しないリブ非存在領域が位置すること、
4.前記中栓は、頂板部の開口予定部の端縁から、破断可能な弱化部を介して、形成されていること、
5.前記上蓋が、キャップ本体にヒンジ連結されていること、
6.前記上蓋がキャップ本体にシールされた状態で、前記破断可能な弱化部が破断され、キャップ本体から離脱した中栓の被係合部が前記突出部の係合部を乗り越え互いに係合可能になると共に環状側壁外面と注出用ノズル内面が密着しており、且つ前記中栓が前記リブを乗り越える際に、環状側壁外面と注出用ノズル内面の間に前記通気路となる隙間を形成すること、
が好適である。
更に、上述した中栓のキャップ本体からの切り離しと上蓋への組み付けに際して、上蓋とキャップ本体頂板部で形成されるキャップ内空間の内圧の上昇が有効に防止されており、上蓋とキャップ本体のシール状態を損なうことがない。特に大径の注出用ノズルの場合には、中栓の上方への押し上げによりキャップ内空間に大きな圧縮力がかかるため、本発明のプラスチックキャップは有効である。
図1~図8に示す本発明のプラスチックキャップの一例は、キャップ本体1、及びこのキャップ本体1にヒンジ2により連結された上蓋20、並びにキャップ本体1から破断可能な弱化部3を介して切り離し可能に形成され、キャップ本体1から切り離し後は上蓋20と一体可能にされる中栓30から成り、これらが一体的に成形されて成るヒンジキャップである。
容器口部(図示せず)に嵌合固定されるキャップ本体1は、頂板部4及び頂板部4の周縁から垂下するスカート部5から成っている。スカート部5の内面には、後述する容器口部60の係合凹部と係合し、キャップ本体1を容器口部に固定するための内方に突出する環状凸部6,6・・・が形成されている。
また頂板部4の外面側の端部には、上蓋20と係合して上蓋20を固定するための環状突起7が形成され、該環状突起7よりも内側の注出方向(ヒンジ部の反対側)側に注出用ノズル8が形成されている。この注出用ノズル8は、注出方向(図面向かって左)側の軸方向高さが高く、ヒンジ2側が低く傾斜して形成されている。注出用ノズル8の内面には、内方に突出する複数個のリブ9,9・・・が下方に形成されている。この隣接するリブ9,9の間が、中栓のキャップ本体からの切り離しと上蓋への組み付けに際して、上蓋とキャップ本体頂板部で形成されるキャップ内空間の内圧を解放可能な通気路となる。このリブ9,9・・・の形成位置(通気路形成部分)は、後述するように、上蓋の突出部の係合部よりも下方であると共に、注出用ノズル8と中栓30の閉栓状態におけるシール部分よりも下方且つ破断可能な弱化部3よりも上方である。一方、頂板部4の内面には、容器口部60内面と密着するインナーリング10が形成されている。
この中栓30は、破断可能なスコア3から下方に延びる環状側壁31及び環状側壁31の軸方向下端を塞ぐように底部32が形成されている。また前述したとおり、環状側壁31の外径は、注出用ノズル8の内面と密着する大きさであり、中栓全体の軸方向長さは、図に示す具体例では、ヒンジ側高さとほぼ同等の長さとなるように形成されている。また図に示す具体例では、底部32は軸方向下方に行くにしたがって径が減少するように、傾斜部32aが形成されており、中栓30はキャップ本体から離脱し、上蓋と一体化した後、注出用ノズル8内への嵌合が容易になっている。
また中栓30の環状側壁31の内面上方には、後述する上蓋に形成された中栓係合部(係合部)と被係合するための環状の上蓋係合部(被係合部)33が形成されている。
更に、中栓30の底部32には軸方向上方に延びる環状のガイド部34が形成されている。
上蓋20は、天面21と天面21の外周縁から垂下する周状壁22から成っており、周状壁22の内面下方には、前述したキャップ本体1の環状突起7と係合し、閉栓状態において上蓋20をキャップ本体1に固定するための環状突条23が形成されている。また周状壁22の下端のヒンジ2と反対側の位置には、上蓋20を上方に持ち上げるための摘み24が形成されている。尚、本明細書において、上蓋20に関する軸方向の上方又は下方とは、天面21を上にした状態(図3に示すような状態)での上方又は下方をいう。
また天面21には、閉栓状態において、中栓30の環状側壁31の先端とその先端が合致する下方に延びる周状突起25が形成されている。この周状突起25が中栓30の環状側壁31先端に位置することにより、中栓を上蓋にセットする際に中栓30が上方に行き過ぎてしまうことを防止することができる。
この環状突出部27内に、前述した中栓30の環状ガイド部34が挿入されることによって、キャップ本体1から離脱した中栓30の傾き防止と、上蓋開封時における突出部27が内倒れすることによる中栓30の上蓋20からの離脱が防止できる。また環状ガイド部34の先端34aは、中栓が上蓋と一体化された状態で、前記環状突出部27の係合部28よりも軸方向の上方に位置し且つ中栓30の上蓋係合部(被係合部)33の軸方向の下方に位置している(図6参照)。これにより、中栓を上蓋にセットする際に、突出部27の係合部28が径方向内側に逃げることができ、中栓30の上蓋係合部(被係合部)33をスムーズに乗り越えることが可能になる。
尚、環状突出部27の内径は、環状ガイド部34の外径よりも大きい内径を有し、且つガイド部34の長さよりも深く形成されている。これにより中栓30は、上蓋20に対して可動領域を有することになり、前述したような上蓋の初期開封力を増加させることなく、また密封性能も向上できる。
リブ9,9・・・は、注出用ノズル8の内面の同一軸方向高さに間隔を置いて複数個形成されている。図に示す具体例では、リブ9,9・・・はそれぞれ周方向に40°の幅を有し、等間隔をおいて3個形成されている。環状側壁31の下部外面のリブ9,9・・・と接触していない部分、即ち、周方向に見て隣接するリブとリブの間の部分は、注出用ノズル8の内面との間に、リブ9の内方への突出量だけ通気路となる隙間40が形成される(図5)。
このため、中栓30を上方に押し上げることにより、上蓋20及びキャップ本体頂板部4並びに中栓30の上面で区画されるキャップ内空間で圧縮された空気は、この隙間40を通って外部(キャップ本体の下方)に解放されることから、キャップ内空間の内圧は上昇することがなく、上蓋20とキャップ本体1のシール状態が維持される。その結果、シャワー洗浄に付された場合の洗浄水侵入のおそれや、加熱殺菌処理等に付された場合に上蓋がキャップ本体から外れてしまうようなことが有効に防止されている。
また中栓30のガイド部34は環状突出部27内に挿入されることにより、中栓30が注出用ノズル8から取り外された状態(図8参照)においても、中栓30の環状側壁31が傾いてしまうことが有効に防止され、中栓が脱落することもない。
上蓋20を更に引き上げ、環状突出部27が距離Lだけ上昇し、環状突出部27の中栓係合部(係合部)28が中栓30の上蓋係合部(被係合部)33と係合することによって、中栓30も上蓋20と共に引き上げられ、図8に示すように、中栓30が上蓋20と一体化し注出用ノズル8から取り除かれる。この際、中栓30のガイド部34は環状突出部27内に挿入されているため、突出部27が内方に倒れてしまうことが有効に防止される。即ち、中栓30の環状側壁31の外面と注出用ノズル8の内面とを比較的強く密着させシール性を向上させても、上蓋20から中栓30が外れてしまうことを防止できる。
すなわち、図に示したプラスチックキャップは、キャップ本体及び上蓋がヒンジで連結され、キャップ本体及び上蓋並びに中栓が一体的に成形されるものであったが、上蓋がキャップ本体と別体として成形され、キャップ本体に螺子係合等によって固定されるものであってもよい。この場合でも、中栓はキャップ本体と一体に成形できるため、従来のキャップに比して成形は容易であり、生産性及び経済性に優れている。
また図に示したキャップ本体は、容器口部に係合部同士で嵌合固定されるスカート部が一重構造の打栓キャップであったが、分別廃棄を容易にするために、スカート部の外側にスコアが形成された外側筒壁を有する二重構造とすることもできる。また容器口部と螺子係合によって固定されるスカート部に螺子部が形成されたキャップ本体であっても勿論よい。
更に中栓の底部の形状も、図に示す具体例に限定されず種々の変更が可能であるが、中栓の注出用ノズルへの嵌合のしやすさの観点から、底部の形状は、環状側壁よりも小径となるように環状側壁と底部の境界部分に、傾斜が形成された円錐台形状、半球状や、段差状等であることが好適である。
図に示したリブは、注出用ノズルの同一軸方向高さに3個等間隔で形成されていたが、これに限定されず、注出用ノズルの内径やリブの周方向幅に応じて適宜複数個設ければよい。また注出用ノズルの軸方向長さやリブの軸方向長さにもよるが、複数個のリブは必ずしもの同一軸方向高さになくてもよい。
更に、図に示した具体例では、注出用ノズル8と頂板部内面との境界部分にテーパ面8aが形成され、破断可能な弱化部はテーパ面の上端に形成されていたが、図9に示すように、このようなテーパ面を形成することなく、境界部分の下端に破断可能な弱化部3を形成することもできる。これにより、リブ9と弱化部3の軸方向距離が長くなり、中栓を注出用ノズル内にセットする際の弱化部の破断とリブの乗り越えのタイミングが重なることがなく、中栓をセットする際の抵抗を低減することが可能になる。
本発明のキャップは、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂などの従来プラスチックキャップの成形に用いられていた樹脂により、射出成形等、従来公知の方法によって成形することができる。
Claims (8)
- 頂板部及びスカート部から成り、該頂板部外面には開口予定部を取り囲むように注出用ノズルが形成されて成る、容器口部に嵌合固定されるキャップ本体と、天面と該天面外周縁から垂下する周状壁から成る上蓋とから成るプラスチックキャップにおいて、
前記上蓋には、天面内面から下方に突出し、係合部を有する突出部が形成されており、
前記キャップ本体には、前記注出用ノズル内面と密着可能な外径を有する環状側壁及び該環状側壁の下方に底部が形成されて成る中栓が形成されており、該中栓は、前記注出用ノズルの中栓と密着可能な内径を有するシール部分よりも下方で破断可能な弱化部を介してキャップ本体に一体に形成されており、前記環状側壁には、前記突出部の係合部と上下方向に係合可能な被係合部が形成されており、
前記注出用ノズル内面には、キャップ本体から離脱した中栓の環状側壁外面との間に通気路を形成可能な部分を有しており、該通気路形成部分は、前記シール部分よりも下方且つ破断可能な弱化部よりも上方に位置することを特徴とするプラスチックキャップ。 - 前記注出用ノズル内面には、内方に突出する複数個のリブが形成されており、隣接するリブの間が前記通気路となる請求項1記載のプラスチックキャップ。
- 前記通気路形成部分が、前記突出部の係合部よりも下方に位置する請求項1記載のプラスチックキャップ。
- 前記リブの各々の周方向長さは同一であり、該リブの各々の直径方向反対領域には該リブが存在しないリブ非存在領域が位置する請求項2記載のプラスチックキャップ。
- 前記中栓は、頂板部の開口予定部の端縁から、破断可能な弱化部を介して、形成されている請求項1~4の何れかに記載のプラスチックキャップ。
- 前記上蓋が、キャップ本体にヒンジ連結されている請求項1~5の何れかに記載のプラスチックキャップ。
- 前記上蓋がキャップ本体にシールされた状態で、前記破断可能な弱化部が破断され、キャップ本体から離脱した中栓の被係合部が前記突出部の係合部を乗り越え互いに係合可能になると共に環状側壁外面と注出用ノズル内面が密着しており、且つ前記中栓が前記リブを乗り越える際に、環状側壁外面と注出用ノズル内面の間に前記通気路となる隙間を形成する請求項2又は4記載のプラスチックキャップ。
- 請求項1~7の何れかに記載のプラスチックキャップの製造方法であって、前記キャップ本体及び上蓋を成形した後、前記上蓋がキャップ本体にシールされた状態で、前記中栓の底部を下方から押圧することにより、前記破断可能な弱化部を破断し、且つ前記環状側壁外面と注出用ノズル内面の間に形成される通気路から、前記上蓋及びキャップ本体頂板部により形成される空間の内圧を開放すると共に、前記突出部の係合部と前記中栓の被係合部を係合可能とし且つ環状側壁外面と注出用ノズル内面とを密着させることを特徴とするプラスチックキャップの製造方法。
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