JP6941208B2 - 酸化ガリウム膜の製造方法および縦型半導体装置の製造方法 - Google Patents

酸化ガリウム膜の製造方法および縦型半導体装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体装置等に有用な結晶性酸化物半導体膜及び酸化ガリウム膜の製造方法に関する。また、縦型半導体装置の製造方法に関する。
高耐圧、低損失および高耐熱を実現できる次世代のスイッチング素子として、バンドギャップの大きな酸化ガリウムを用いた半導体装置が注目されており、インバータなどの電力用半導体装置への適用が期待されている。しかも、広いバンドギャップからLEDやセンサー等の受発光装置としての応用も期待されている。
このような酸化ガリウム系半導体を用いた半導体装置を実現するために用いる下地材料としては、主にサファイア基板が検討されてきた。
サファイア基板を用いる場合、サファイアが絶縁体であるために下地材料に電流を流すことができない問題がある。この場合、下地材料上に電極を形成することができず、半導体装置の単位面積当たり出力電流に限界が生じてしまう。また、サファイアの低い熱伝導率も半導体装置の大電流化に伴う発熱や高温動作の課題となっている。
さらに、下地材料の特性は低損失な半導体装置を実現するための電気特性上の課題も引き起こしている。例えば、縦型半導体装置では下地材料や、下地材料とチャネル層との間の層の低損失化が要求されている。
加えて、携帯機器等の発展に伴い、情報処理端末の単位体積あたり処理能力向上を背景として、半導体装置の小型化が要求されており、異なる機能を有する半導体装置を複合化して半導体装置の個数を低減する市場要求もある。ここでは、産業応用が圧倒的に進んでいるシリコンを用いた半導体装置、又は基板との複合化が強く求められている。
以上のような背景から、酸化ガリウムをサファイア基板から剥離する技術は解決策の一つとなる。剥離方法として、特許文献1では、成膜温度を変更する方法を開示している。この方法は実施が容易であるが、膜と基板の熱膨張率の違いから、成膜中に基板が反ったり割れたりするという致命的な問題があった。また、特許文献2では、レーザー照射による剥離方法を開示している。しかし、レーザーの波長域に対して透明である酸化ガリウム膜、サファイア基板に対しては効果が得られない、といった問題があった。
このように、これまでに結晶成長技術の実証されているサファイア基板を用いた場合であっても、下地材料等の貼り替えは、実現困難であった。
特開2017−22188号公報 特開2016−82232号公報
本発明は、結晶性酸化物半導体膜、例えば半導体装置(特に縦型の素子)に有用な結晶性酸化物半導体膜を工業的に有利に製造できる方法を提供することを目的とする。また、酸化ガリウム膜、例えば半導体装置(特に縦型の素子)に有用な結晶性酸化ガリウム半導体膜を工業的に有利に製造できる方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、結晶性酸化物半導体膜の製造方法であって、
基板上に、結晶性酸化物半導体層および光吸収層を積層し、該光吸収層に光を照射することで前記光吸収層を分解し、前記結晶性酸化物半導体層と前記基板とを分離することで結晶性酸化物半導体膜を製造する工程を含むことを特徴とする結晶性酸化物半導体膜の製造方法を提供する。
この本発明の製造方法によれば、結晶性酸化物半導体層を基板から容易に分離(剥離)できて、結晶性酸化物半導体膜を工業的に有利に製造することができる。
また、前記照射する光を、レーザー光とするか、または、フラッシュランプの光とすることができる。
これらにより、生産性よく結晶性酸化物半導体膜の剥離を行うことができる。
また、前記基板の直径を、50mm以上とすることができる。
これにより、大面積の結晶性酸化物半導体膜を得ることができる。
前記結晶性酸化物半導体層を、酸化ガリウム層とすることができる。
これにより、酸化ガリウム層を基板から容易に分離(剥離)できて、酸化ガリウム膜を工業的に有利に製造することができる。
また本発明は、酸化ガリウム膜の製造方法であって、
表面が単結晶構造を有する基板と、該基板上に酸化鉄(III)層と酸化ガリウム層とが、ミストCVD法によりこの順に形成されている基体に対し、光を照射することで前記酸化ガリウム層と基板とを前記酸化鉄(III)層で分離し、
該酸化ガリウム層の分離により酸化ガリウム膜を製造することを特徴とする酸化ガリウム膜の製造方法を提供する。
この本発明の製造方法によれば、酸化ガリウム層を基板から容易に分離(剥離)できて、酸化ガリウム膜を工業的に有利に製造することができる。特には結晶性酸化ガリウム層の場合、該酸化ガリウム層を高い結晶性を維持したまま、容易に基板から剥離することができる。
また、酸化ガリウム層等はミストCVD法で成膜するためコスト的にも有利である。
なお、本発明における上記酸化ガリウム層(酸化ガリウム膜)は、含まれる金属の主成分がガリウムである金属酸化物層(膜)を意味し、他の金属成分も含むことができる。
また、上記酸化鉄(III)層も、含まれる金属の主成分が鉄(III)である金属酸化物層を意味し、他の金属成分も含むことができる。
また、前記酸化鉄(III)層の厚みを、1〜500nmとすることができる。
こうすることで、酸化ガリウム膜の結晶性を維持しながら、剥離効果をより一層容易に得ることができる。
また、前記照射する光として、波長が600nm以下の光を含むものとすることができる。
これにより、より効率的に酸化ガリウム膜の剥離を行うことができる。
また、前記照射する光を、レーザー光とするか、または、フラッシュランプの光とすることができる。
これらにより、生産性よく酸化ガリウム膜の剥離を行うことができる。
また、前記基板の直径を、50mm以上とすることができる。
これにより、大面積の酸化ガリウム膜を得ることができる。
また、本発明は、上記本発明の結晶性酸化物半導体膜の製造方法により製造した結晶性酸化物半導体膜、または、上記本発明の酸化ガリウム膜の製造方法により製造した酸化ガリウム膜を用いて縦型半導体装置を製造することを特徴とする縦型半導体装置の製造方法を提供する。
これにより、工業的に有利に縦型半導体装置を製造することができる。
以上のように、本発明の結晶性酸化物半導体膜の製造方法によれば、結晶性酸化物半導体膜、例えば半導体装置(特に縦型の素子)に有用な結晶性酸化物半導体膜を工業的に有利に製造できる。結晶性酸化物半導体膜を容易に製造でき、しかもコスト面でも有利である。
また、本発明の酸化ガリウム膜の製造方法によれば、酸化ガリウム膜、例えば半導体装置(特に縦型の素子)に有用な結晶性酸化ガリウム半導体膜を工業的に有利に製造できる。酸化ガリウム膜を容易に製造でき、しかもコスト面でも有利である。
さらに、本発明の縦型半導体装置の製造方法であれば、工業的に有利に縦型半導体装置を製造することができる。
本発明に係る酸化ガリウム膜の製造方法において、酸化ガリウム層を分離する前の基体(基板、酸化鉄(III)層、酸化ガリウム層)の一例を示す概略模式図である。 本発明に係る酸化ガリウム膜の製造方法に用いることができる成膜装置の一例を示す概略構成図である。 成膜装置におけるミスト化部の一例を説明する図である。 酸化ガリウム層側からの光照射による酸化ガリウム層と基板との分離の様子を示す説明図である。 基板側からの光照射による酸化ガリウム層と基板との分離の様子を示す説明図である。 本発明に係る結晶性酸化物半導体膜の製造方法において、結晶性酸化物半導体膜を分離する前の基体(基板、光吸収層、結晶性酸化物半導体層)の一例を示す概略模式図である。 結晶性酸化物半導体層側からの光照射による結晶性酸化物半導体層と基板との分離の様子を示す説明図である。 基板側からの光照射による結晶性酸化物半導体層と基板との分離の様子を示す説明図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、基板上に、結晶性酸化物半導体層および光吸収層を積層し、該光吸収層に光を照射することで光吸収層の一部を分解し、結晶性酸化物半導体層と基板とを分離することで結晶性酸化物半導体膜を製造する結晶性酸化物半導体膜の製造方法により、容易に基板から剥離して結晶性酸化物半導体膜を得ることができ、工業的に有利な製造方法であることを見出し、本発明を完成した。
以下に図面を参照しながら詳細な説明をする。
図6に、本発明の結晶性酸化物半導体膜の製造方法において、結晶性酸化物半導体膜を分離する前の基体(基板、光吸収層、結晶性酸化物半導体層)の一例を示す。
基体1200は、基板1201と、光吸収層1202と、結晶性酸化物半導体層1203を有している。以下、各部について詳述する。
(基板)
基板1201は、表面に光吸収層1202、結晶性酸化物半導体層1203を成膜可能であり、これらの層状の膜を支持できるものであれば特に限定されない。該基板1201としては、例えば、サファイア、チタン酸バリウム、酸化コバルト、酸化クロム、酸化銅、スカンジウム酸ジスプロシウム、三酸化二鉄、四酸化三鉄、スカンジウム酸ガドリニウム、タンタル酸リチウム、タンタル酸カリウム、アルミン酸ランタン、ランタンストロンチウムアルミネート、ランタンストロンチウムガレート、アルミニウムタンタル酸ランタンストロンチウム、酸化マグネシウム、スピネル、酸化マンガン、酸化ニッケル、水晶、スカンジウムマグネシウムアルミネート、酸化ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、酸化スズ、酸化テルル、酸化チタン、YAG、イットリア安定化ジルコニア、イットリウムアルミネート、酸化亜鉛、等の酸化物の他、シリコン、ゲルマニウム、シリコンカーバイド、グラファイト、雲母、フッ化カルシウムや、銀、アルミニウム、金、銅、鉄、ニッケル、チタン、タングステン、亜鉛等の金属のなかから選択しても良いが、これに限られるものではない。
なお、ここでいう基板の例としては自立膜等も挙げることができ、自立する酸化ガリウム膜、板状体の酸化ガリウム膜を用いたり、酸化ガリウム膜を有する基板も用いることもできる。
該基板は、多結晶でもアモルファスでも構わないが、単結晶であることが好ましい。
該基板1201の厚さは特に限定されないが、好ましくは、10〜2000μmであり、より好ましくは50〜800μmである。また、前記基板の表面の面積は100mm以上が好ましく、より好ましくは直径が2インチ(50mm)以上のものである。このような大面積の基板を用いることで、最終的に大面積の結晶性酸化物半導体膜を得ることができるので好ましい。
(結晶性酸化物半導体層)
本発明において結晶性酸化物半導体層1203は特に限定されないが、例えば金属酸化物層があげられる。より具体的には、インジウム、アルミニウムおよびガリウムから選ばれる1種または2種以上の元素を含有する結晶性酸化物半導体を主成分として含むのが、デバイスに用いた際の放熱性および耐圧性の更なる向上の観点から好ましい。ここでいう主成分とは、金属成分のうち50〜100%含まれることを意味し、他の金属成分を含んでいても良い。該結晶性酸化物半導体層1203は単結晶、多結晶、アモルファスのいずれでも構わないが、単結晶の方が好ましい。膜厚は0.1〜50μmが好ましい。
(光吸収層)
本発明において光吸収層1202は、外部から照射した光を吸収し、自らが分解する層である。基板1201ないし結晶性酸化物半導体層1203のいずれかと吸収係数もしくはバンドギャップに大きな違いがあることが好ましい。また、結晶成長の観点からは、結晶構造や格子定数が基板1201や結晶性酸化物半導体層1203に近いことが好ましい。結晶性酸化物半導体層1203が、インジウム、アルミニウムおよびガリウムから選ばれる1種または2種以上の元素を含有する結晶性酸化物半導体を主成分として含む場合は、Cr、Ir、Fe、Rh、V、Ti、などの金属酸化物が好適に用いられ、これらを主成分とする混晶でもかまわない。ここでいう主成分とは、金属成分のうち50〜100%含まれることを意味し、他の金属成分を含んでいても良い。該光吸収層1202は単結晶、多結晶、アモルファスのいずれでも構わないが、単結晶の方が好ましい。膜厚は適宜決定されるが1〜500nmが好ましい。
(基体)
本発明に用いられる基体1200は、基板1201上に、少なくとも光吸収層1202と結晶性酸化物半導体層1203がこの順に形成されている。
この序列が保たれていれば、層間に別の層が形成されていても構わない。すなわち、基板1201と光吸収層1202間、また、光吸収層1202と結晶性酸化物半導体層1203間に、例えば、酸化アルミ、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化クロム、酸化鉄、およびこれらの混晶などが形成されていても構わない。
また、結晶性酸化物半導体膜1203上に別の層が形成されてもかまわない。
後に詳述する本発明における剥離工程において、基体1200に照射する光を、基板1201側または結晶性酸化物半導体層1203側から光吸収層1202にまで届かせられる構造であれば良い。
このような基体1200に対し、本発明の結晶性酸化物半導体膜の製造方法では、光の照射により結晶性酸化物半導体層1203と基板1201とを光吸収層1202で分離する。以下、この分離(剥離)工程について詳述する。
(剥離)
図6に示すように、例えば結晶性酸化物半導体層1203側から、基体1200に光を照射する(照射光1205)。
照射光1205の光源としては、ハロゲンランプ、低圧放電ランプ、高圧放電ランプ等、いずれを用いても構わないが、レーザーもしくはフラッシュランプは、基体1200、特に光吸収層1202に短時間に高エネルギー密度を与えることができるため好ましい。レーザー光やフラッシュランプの光を用いるのであれば、生産性高く剥離工程を行うことができる。
レーザー源としては、YAG系、YVO系、GdVO系等の第二次高調波が使用できる。レーザー照射時の基板温度は、室温でもかまわないが、100〜500℃に昇温してもよい。加熱により、成膜時の熱膨張が緩和され、熱歪、ひび割れ等の発生のおそれがなくなる。レーザーの条件は適宜決定可能であるが、例えば、出力が0.01〜20W、周波数が10〜500kHz、ガルボヘッドを備え、スキャン速度が1〜5000mm/秒、などとすることができる。
フラッシュランプは、例えば、基体温度を室温〜300℃として、処理時間を0.01〜1000ミリ秒とできる。フラッシュランプは短時間で大面積に効果的に熱処理ができるので、熱歪、ひび割れ等の発生のおそれがなくなる。
照射光1205は、前述したように基体1200の上側、すなわち図6のように結晶性酸化物半導体層1203側から照射してもよいし、基板1201が透明な場合は、基板1201側すなわち図6の下側から照射しても構わない。当該方法により、簡便に、基板1201から結晶性酸化物半導体層1203を分離して結晶性酸化物半導体膜を得ることが可能となる。
図7、8にこの結晶性酸化物半導体膜の分離の様子を示す。
前者の場合、図7に示すように、光吸収層1202における結晶性酸化物半導体層1203側の部分が照射光1205を吸収して、金属もしくは酸化数が低下した金属酸化物と酸素に分解され、結晶性酸化物半導体層1203が基板1201から剥離されて結晶性酸化物半導体膜1206が製造される。
一方で後者の場合、図8に示すように、光吸収層1202における基板1201側の部分が照射光1205を吸収して、金属もしくは酸化数が低下した金属酸化物と酸素に分解され、結晶性酸化物半導体層1203が光吸収層1202とともに基板1201から剥離されて光吸収層付きの結晶性酸化物半導体膜1206が製造される。付いてきた光吸収層は必要に応じて除去すれば良い。
なお、あらかじめ剥離前に、剥離後の結晶性酸化物半導体膜1206を支持する別の基板を結晶性酸化物半導体層1203に接着しておいてから、上記光照射処理をすることも可能である。こうすることにより、基板の貼り替えが可能となる。
本発明においては、上記のようにして得られた結晶性酸化物半導体膜1206を半導体装置に用いることができる。なお、本発明の結晶性酸化物半導体膜1206を半導体装置に用いる場合には、本発明の結晶性酸化物半導体膜1206をそのまま半導体装置に用いてもよいし、さらに他の層(例えば絶縁体層、半絶縁体層、導体層、半導体層、緩衝層またはその他中間層等)などを形成してもよい。
本発明の結晶性酸化物半導体膜1206は、様々な半導体装置に有用であり、とりわけ、パワーデバイスに有用である。また、半導体装置は、電極が半導体層の片面側に形成された横型の素子(横型デバイス)と、半導体層の表裏両面側にそれぞれ電極を有する縦型の素子(縦型デバイス)に分類することができ、本発明においては、前記結晶性酸化物半導体膜1206を横型デバイスにも縦型デバイスにも好適に用いることができるが、中でも、縦型デバイスに用いることが好ましい。前記半導体装置としては、例えば、ショットキーバリアダイオード(SBD)、金属半導体電界効果トランジスタ(MESFET)、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、静電誘導トランジスタ(SIT)、接合電界効果トランジスタ(JFET)、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)または発光ダイオードなどが挙げられる。本発明においては、前記半導体装置が、SBD、MOSFET、SIT、JFETまたはIGBTであるのが好ましく、SBD、MOSFETまたはSITであるのがより好ましい。
上記の方法を用い、特には酸化ガリウム膜を製造することができる。例として、結晶性酸化物半導体層を酸化ガリウム層とした場合(さらには、光吸収層を特に酸化鉄(III)層とした場合)を挙げることができる。すなわち、本発明者らは、表面が単結晶構造を有する基板と、該基板上に酸化鉄(III)層と酸化ガリウム層とが、ミストCVD法によりこの順に形成されている基体に対し、光を照射することで酸化ガリウム層と基板とを酸化鉄(III)層で分離し、該酸化ガリウム層の分離により酸化ガリウム膜を製造する酸化ガリウム膜の製造方法により、容易に基板から剥離して酸化ガリウム膜を得ることができ、工業的に有利な製造方法であることを見出し、本発明を完成した。特には結晶性酸化ガリウム層の場合、高い結晶性を維持したまま容易に剥離して酸化ガリウム膜を得ることができる。
図1に、本発明の酸化ガリウム膜の製造方法において、酸化ガリウム層を分離する前の基体(基板、酸化鉄(III)層、酸化ガリウム層)の一例を示す。
基体200は、基板201と、酸化鉄(III)層202と、酸化ガリウム層203を有している。以下、各部について詳述する。
(基板)
基板201は、表面に酸化鉄(III)層202、酸化ガリウム層203を成膜可能であり、これらの層状の膜を支持できるもので、かつ、少なくとも表面が単結晶構造を有するものであれば特に限定されない。該基板201としては、単結晶基板又は表面に単結晶薄膜を有する基板を用いることができる。
例えば、基板として、サファイア、チタン酸バリウム、酸化コバルト、酸化クロム、酸化銅、スカンジウム酸ジスプロシウム、三酸化二鉄、四酸化三鉄、スカンジウム酸ガドリニウム、タンタル酸リチウム、タンタル酸カリウム、アルミン酸ランタン、ランタンストロンチウムアルミネート、ランタンストロンチウムガレート、アルミニウムタンタル酸ランタンストロンチウム、酸化マグネシウム、スピネル、酸化マンガン、酸化ニッケル、水晶、スカンジウムマグネシウムアルミネート、酸化ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、酸化スズ、酸化テルル、酸化チタン、YAG、イットリア安定化ジルコニア、イットリウムアルミネート、酸化亜鉛、等の酸化物の他、シリコン、ゲルマニウム、シリコンカーバイド、グラファイト、雲母、フッ化カルシウムや、銀、アルミニウム、金、銅、鉄、ニッケル、チタン、タングステン、亜鉛等の金属のなかから、単結晶基板を選択しても良いし、上記の材料から選択した基板の表面に単結晶膜を形成したものを用いることもできるが、これに限られるものではない。
なお、ここでいう基板の例としては自立膜等も挙げることができ、自立する単結晶酸化ガリウム膜、板状体の単結晶酸化ガリウム膜を用いたり、単結晶酸化ガリウム膜を有する基板も用いることもできる。
該基板201の厚さは特に限定されないが、好ましくは、10〜2000μmであり、より好ましくは50〜800μmである。また、前記基板の表面の面積は100mm2以上が好ましく、より好ましくは直径が2インチ(50mm)以上のものである。このような大面積の基板を用いることで、最終的に大面積の酸化ガリウム膜を得ることができるので好ましい。
(酸化ガリウム層)
前述したように、本発明において酸化ガリウム層203とは、酸化ガリウムを主成分とする層であり、金属の主成分がガリウムである金属酸化物膜を意味する。ここでいう主成分とは、金属成分のうち50〜100%がガリウムであることを意味し、他の金属成分を含んでいても良い。該酸化ガリウム層203は単結晶、多結晶、アモルファスのいずれでも構わないが、単結晶の方が好ましい。膜厚は0.1〜50μmが好ましい。
(酸化鉄(III)層)
前述したように、本発明において酸化鉄(III)層202とは、酸化鉄(III)を主成分とする層であり、金属の主成分が鉄(III)である金属酸化物膜を意味する。ここでいう主成分とは、金属成分のうち50〜100%が鉄(III)であることを意味し、他の金属成分を含んでいても良い。該酸化鉄(III)層202は単結晶、多結晶、アモルファスのいずれでも構わないが、単結晶の方が好ましい。
なお膜厚は1〜500nmが好ましい。このような膜厚であれば、酸化ガリウム膜の結晶性を維持しながら、剥離効果をより一層容易に得ることができる。
α−Feはコランダム型の結晶構造を有し、これはα−Gaの結晶構造と同じである。格子定数も極めて近いことから、単結晶α−Fe上にはα−Gaをエピタキシャル成長させることが可能となる。さらに、α−Feはα−Gaに比べバンドギャップが小さいのが特徴であり、吸収端は550nm程度である。
(基体)
本発明に用いられる基体200は、基板201上に、少なくとも酸化鉄(III)層202と酸化ガリウム層203がこの順に形成されている。
この序列が保たれていれば、層間に別の層が形成されていても構わない。すなわち、基板201と酸化鉄(III)層202間、また、酸化鉄(III)層202と酸化ガリウム層203間に、例えば、酸化アルミ、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化クロム、酸化鉄、およびこれらの混晶などが形成されていても構わない。
また、酸化ガリウム層203上に別の層が形成されてもかまわない。
後に詳述する本発明における剥離工程において、基体200に照射する光を、基板201側または酸化ガリウム層203側から酸化鉄(III)層202にまで届かせられる構造であれば良い。
当該基体200の酸化鉄(III)層202、酸化ガリウム層203は、本発明の酸化ガリウム膜の製造方法においてはミストCVD法により作製されたものであり、そのためコスト面で有利なものである。ここで、以下にミストCVD法による成膜装置、および成膜方法の一例を示す。
(成膜装置)
図2に、本発明に係る成膜方法に使用可能な成膜装置101の一例を示す。成膜装置101は、原料溶液をミスト化してミストを発生させるミスト化部120と、ミストを搬送するキャリアガスを供給するキャリアガス供給部130と、ミストを熱処理して基板上に成膜を行う成膜部140と、ミスト化部120と成膜部140とを接続し、キャリアガスによってミストが搬送される搬送部109とを有する。また、成膜装置101は、成膜装置101の全体又は一部を制御する制御部(図示なし)を備えることによって、その動作が制御されてもよい。
なお、ここで、本発明でいうミストとは、気体中に分散した液体の微粒子の総称を指し、霧、液滴等と呼ばれるものを含む。
(原料溶液)
酸化鉄(III)層202用の原料溶液(水溶液)104aには、少なくとも鉄を含んでいれば特に限定されない。すなわち、鉄の他、例えば、ガリウム、インジウム、アルミニウム、バナジウム、チタン、クロム、ロジウム、イリジウム、ニッケル及びコバルトから選ばれる1種又は2種以上の金属を含んでもよい。前記金属を錯体又は塩の形態で、水に溶解又は分散させたものを好適に用いることができる。錯体の形態としては、例えば、アセチルアセトナート錯体、カルボニル錯体、アンミン錯体、ヒドリド錯体などが挙げられる。塩の形態としては、例えば、塩化金属塩、臭化金属塩、ヨウ化金属塩などが挙げられる。また、上記金属を、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸等に溶解したものも塩の水溶液として用いることができる。溶質濃度は0.001〜1mol/Lが好ましい。
酸化ガリウム層203用の原料溶液(水溶液)104aには、少なくともガリウムを含んでいれば特に限定されない。すなわち、ガリウムの他、例えば、鉄、インジウム、アルミニウム、バナジウム、チタン、クロム、ロジウム、イリジウム、ニッケル及びコバルトから選ばれる1種又は2種以上の金属を含んでもよい。前記金属を錯体又は塩の形態で、水に溶解又は分散させたものを好適に用いることができる。錯体の形態としては、例えば、アセチルアセトナート錯体、カルボニル錯体、アンミン錯体、ヒドリド錯体などが挙げられる。塩の形態としては、例えば、塩化金属塩、臭化金属塩、ヨウ化金属塩などが挙げられる。また、上記金属を、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸等に溶解したものも塩の水溶液として用いることができる。溶質濃度は0.01〜1mol/Lが好ましい。
この酸化ガリウム層203用の原料溶液104aには、導電性を制御するためにドーパントが含まれていてもよい。このドーパントは特に限定されない。例えば、スズ、ゲルマニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、バナジウム又はニオブ等のn型ドーパント、又は、銅、銀、スズ、イリジウム、ロジウム等のp型ドーパントなどが挙げられる。
(ミスト化部)
ミスト化部120では、原料溶液104aをミスト化してミストを発生させる。ミスト化手段は、原料溶液104aをミスト化できさえすれば特に限定されず、公知のミスト化手段であってよいが、超音波振動によるミスト化手段を用いることが好ましい。より安定してミスト化することができるためである。超音波の周波数は1〜3MHzが好ましいが、ミスト化できればこれに限られない。
このようなミスト化部120の一例を図3に示す。例えば、原料溶液104aが収容されるミスト発生源104と、超音波振動を伝達可能な媒体、例えば水105aが入れられる容器105と、容器105の底面に取り付けられた超音波振動子106を含んでもよい。詳細には、原料溶液104aが収容されている容器からなるミスト発生源104が、水105aが収容されている容器105に、支持体(図示せず)を用いて収納されている。容器105の底部には、超音波振動子106が備え付けられており、超音波振動子106と発振器116とが接続されている。そして、発振器116を作動させると、超音波振動子106が振動し、水105aを介して、ミスト発生源104内に超音波が伝播し、原料溶液104aがミスト化するように構成されている。
(搬送部)
搬送部109は、ミスト化部120と成膜部140とを接続する。搬送部109を介して、ミスト化部120のミスト発生源104から成膜部140の成膜室107へと、キャリアガスによってミストが搬送される。搬送部109は、例えば、供給管109aとすることができる。供給管109aとしては、例えば石英管や樹脂製のチューブなどを使用することができる。
(成膜部)
成膜部140では、ミストを加熱し熱反応を生じさせて、基板110(すなわち、図1における基板201)の表面の一部又は全部に成膜を行う。成膜部140は、例えば、成膜室107を備え、成膜室107内には基板110が設置されており、該基板110を加熱するためのホットプレート108を備えることができる。ホットプレート108は、図2に示されるように成膜室107の外部に設けられていてもよいし、成膜室107の内部に設けられていてもよい。また、成膜室107には、基板110へのミストの供給に影響を及ぼさない位置に、排ガスの排気口112が設けられてもよい。
また、本発明においては、基板110を成膜室107の上面に設置するなどして、フェイスダウンとしてもよいし、基板110を成膜室107の底面に設置して、フェイスアップとしてもよい。
熱反応は、加熱によりミストが反応すればよく、反応条件等も特に限定されない。原料や成膜物に応じて適宜設定することができる。例えば、加熱温度は100〜700℃の範囲であり、好ましくは200℃〜650℃の範囲であり、より好ましくは300℃〜600℃の範囲とすることができる。
熱反応は、真空下、非酸素雰囲気下、還元ガス雰囲気下、空気雰囲気下及び酸素雰囲気下のいずれの雰囲気下で行われてもよく、成膜物に応じて適宜設定すればよい。また、反応圧力は、大気圧下、加圧下又は減圧下のいずれの条件下で行われてもよいが、大気圧下の成膜であれば、装置構成が簡略化できるので好ましい。
後述するが、成膜の際には先に酸化鉄(III)層を所定の時間成膜した後、引き続いて酸化ガリウム層を成膜する。
(キャリアガス供給部)
キャリアガス供給部130は、キャリアガスを供給するキャリアガス源102aを有し、キャリアガス源102aから送り出されるキャリアガス(以下、「主キャリアガス」という)の流量を調節するための流量調節弁103aを備えていてもよい。また、必要に応じて希釈用キャリアガスを供給する希釈用キャリアガス源102bや、希釈用キャリアガス源102bから送り出される希釈用キャリアガスの流量を調節するための流量調節弁103bを備えることもできる。
キャリアガスの種類は、特に限定されず、成膜物に応じて適宜選択可能である。例えば、酸素、オゾン、窒素やアルゴン等の不活性ガス、又は水素ガスやフォーミングガス等の還元ガスなどが挙げられる。また、キャリアガスの種類は1種類でも、2種類以上であってもよい。例えば、第1のキャリアガスと同じガスをそれ以外のガスで希釈した(例えば10倍に希釈した)希釈ガスなどを、第2のキャリアガスとしてさらに用いてもよく、空気を用いることもできる。
主キャリアガスの流量および希釈用キャリアガスの流量は成膜室や基板の大きさによって適宜決められるが、通例1〜20L/分であり、好ましくは2〜10L/分である。
(成膜方法)
次に、以下、図2を参照しながら、ミストCVD法による成膜方法の一例を説明する。まず、原料溶液104aをミスト化部120のミスト発生源104内に収容し、基板110をホットプレート108上に直接又は成膜室107の壁を介して設置し、ホットプレート108を作動させる。
次に、流量調節弁103a、103bを開いてキャリアガス源102a、希釈用キャリアガス源102bからキャリアガスを成膜室107内に供給し、成膜室107の雰囲気をキャリアガスで十分に置換するとともに、主キャリアガスの流量と希釈用キャリアガスの流量をそれぞれ調節し、キャリアガス流量を制御する。
ミストを発生させる工程では、超音波振動子106を振動させ、その振動を、水105aを通じて原料溶液104aに伝播させることによって、原料溶液104aをミスト化させてミストを生成する。次に、ミストをキャリアガスにより搬送する工程では、ミストがキャリアガスによってミスト化部120から搬送部109を経て成膜部140へ搬送され、成膜室107内に導入される。成膜を行う工程で、成膜室107内に導入されたミストは、成膜室107内でホットプレート108の熱により熱処理され熱反応して、基板110の主面上に成膜される。
このようなミストCVD法により、基板110(図1における基板201)上に、少なくとも、酸化鉄(III)層202を成膜した後、酸化ガリウム層203を成膜する。このようにして基体200を得ることができる。
そして、このような基体200に対し、本発明の酸化ガリウム膜の製造方法では、光の照射により酸化ガリウム層203と基板201とを酸化鉄(III)層202で分離する。以下、この分離(剥離)工程について詳述する。
(剥離)
図1に示すように、例えば酸化ガリウム層203側から、基体200に光を照射する(照射光205)。
照射光205の波長は、600nm以下の光を含んでいることが好ましい。このような波長の光を用いることで、より確実に照射光205を酸化鉄(III)層202に吸収させることができ、剥離効率をより向上させることができる。
また照射光205の光源としては、ハロゲンランプ、低圧放電ランプ、高圧放電ランプ等、いずれを用いても構わないが、レーザーもしくはフラッシュランプは、基体200、特に酸化鉄(III)層202に短時間に高エネルギー密度を与えることができるため好ましい。レーザー光やフラッシュランプの光を用いるのであれば、生産性高く剥離工程を行うことができる。
レーザー源としては、YAG系、YVO系、GdVO系等の第二次高調波が使用できる。レーザー照射時の基板温度は、室温でもかまわないが、100〜500℃に昇温してもよい。加熱により、成膜時の熱膨張が緩和され、熱歪、ひび割れ等の発生のおそれがなくなる。レーザーの条件は適宜決定可能であるが、例えば、出力が0.01〜20W、周波数が10〜500kHz、ガルボヘッドを備え、スキャン速度が1〜5000mm/秒、などとすることができる。
フラッシュランプは、例えば、基体温度を室温〜300℃として、処理時間を0.01〜1000ミリ秒とできる。フラッシュランプの波長としては、ランプである以上ある程度の波長域があるのは避けられないが、700nm以下の波長域でピーク強度を有するものが望ましい。この波長域に合致するランプ光源としては、キセノンランプによる加熱が一般的である。フラッシュランプは短時間で大面積に効果的に熱処理ができるので、熱歪、ひび割れ等の発生のおそれがなくなる。
照射光205は、前述したように基体200の上側、すなわち図1のように酸化ガリウム層203側から照射してもよいし、基板201が透明な場合は、基板201側すなわち図1の下側から照射しても構わない。当該方法により、簡便に、基板201から酸化ガリウム層203を分離して酸化ガリウム膜を得ることが可能となる。
図4、5にこの酸化ガリウム層の分離の様子を示す。
前者の場合、図4に示すように、酸化鉄(III)層202における酸化ガリウム層203側の部分が照射光205を吸収して、鉄と酸素に分解され、もしくは溶解し再凝固する際多結晶化して密着強度が低下し、酸化ガリウム層203が基板201から剥離されて酸化ガリウム膜206が製造される。
一方で後者の場合、図5に示すように、酸化鉄(III)層202における基板201側の部分が照射光205を吸収して、鉄と酸素に分解され、もしくは溶解し再凝固する際多結晶化して密着強度が低下し、酸化ガリウム層203が酸化鉄(III)層202とともに基板201から剥離されて酸化鉄(III)層付きの酸化ガリウム膜206が製造される。付いてきた酸化鉄(III)層は必要に応じて除去すれば良い。
なお、あらかじめ剥離前に、剥離後の酸化ガリウム膜206を支持する別の基板を酸化ガリウム層203に接着しておいてから、上記光照射処理をすることも可能である。こうすることにより、基板の貼り替えが可能となる。
そして、上記のようにして得られた酸化ガリウム膜は、横型や縦型の半導体装置に好適に用いることができる。特には縦型半導体装置に用いることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明について詳細に説明するが、これは本発明を限定するものではない。
(実施例1)
本発明の酸化ガリウム膜の製造方法に基づいて、図2−3に示す成膜装置101を用いて、まず、基板(c面サファイア基板)上に酸化鉄(α−Fe)/酸化ガリウム(α−Ga)積層体の成膜を行った。
酸化鉄(III)層形成: 35%塩化水素酸溶液を体積比2%で混合した水溶液に、鉄アセチルアセトナートを0.05mol/Lとなるよう混合したものを原料溶液104aとした。
得られた原料溶液104aをミスト発生源104内に収容した。次に、基板110として4インチ(直径100mm)のc面サファイア基板を、成膜室107内のホットプレート108上に戴置し、ホットプレート108を作動させて温度を550℃に昇温した。
続いて、流量調節弁103a、103bを開いてキャリアガス源102a、希釈用キャリアガス源102bからキャリアガスとして空気を成膜室107内に供給し、成膜室107の雰囲気をキャリアガスで十分に置換するとともに、主キャリアガスの流量を2L/分に、希釈用キャリアガスの流量を5L/minにそれぞれ調節した。
次に、超音波振動子106を2.4MHzで振動させ、その振動を、水105aを通じて原料溶液104aに伝播させることによって、原料溶液104aをミスト化してミストを生成した。このミストを、キャリアガスによって供給管109aを経て成膜室107内に導入した。大気圧下、550℃の条件で、成膜室107内でミストを熱反応させて、基板110上に酸化鉄(α−Fe)の薄膜を形成した。成膜時間は60分とした。成膜後はチャンバー内に基板を待機させたまま温度を450℃に変更し、引き続き以下による酸化ガリウム層の成膜を行った。
酸化ガリウム層形成: ヨウ化ガリウム0.05mol/Lとなるよう調整した水溶液を原料溶液104aとした。
以降は上記酸化鉄(III)層成膜と概ね同様の手続きで成膜を行った。具体的には、得られた原料溶液104aをミスト発生源104内に収容した。続いて、流量調節弁103a、103bを開いてキャリアガス源102a、希釈用キャリアガス源102bからキャリアガスとして窒素ガスを成膜室107内に供給し、成膜室107の雰囲気をキャリアガスで十分に置換するとともに、主キャリアガスの流量を2L/分に、希釈用キャリアガスの流量を5L/minにそれぞれ調節した。
次に、超音波振動子106を2.4MHzで振動させ、その振動を、水105aを通じて原料溶液104aに伝播させることによって、原料溶液104aをミスト化してミストを生成した。このミストを、キャリアガスによって供給管109aを経て成膜室107内に導入した。大気圧下、450℃の条件で、成膜室107内でミストを熱反応させて、基板110上にコランダム構造を有する酸化ガリウム(α−Ga)の薄膜を形成した。成膜時間は60分とした。
得られた基体に対し、分光エリプソメータを用いて膜厚(層の厚さ)を解析した。解析の結果、酸化鉄(III)層は1.1μm、酸化ガリウム層は1.2μmであった。また、X線回折により、α−Fe、α−Gaのピークがそれぞれ確認され、さらに、α−Gaピークに対しロッキングカーブを測定したところ、その半値幅は12秒であった。極めて結晶性の良好な酸化ガリウム層が得られていることがわかる。
得られた基体に対し、基板側からレーザー照射を行った。光源はNd:YVOの第二次高調波(波長532nm)とし、出力が0.1W、周波数が100kHz、スキャン速度が5mm/秒とした。レーザー照射により、酸化ガリウム層を容易に剥離でき、酸化ガリウム膜が得られたことを確認できた。
(実施例2)
実施例1において、酸化鉄(III)層の成膜時間を15分としたものを4試料用意した。これ以外は実施例1と同じ条件で成膜、評価、レーザー照射を行った。膜厚解析の結果、酸化鉄(III)層は平均で0.23μm、酸化ガリウム層は平均で1.1μmであった。X線回折によるα−Gaピークのロッキングカーブ半値幅は11〜14秒と良好であった。得られた1試料に対しレーザー照射を行ったところ、レーザー照射により酸化ガリウム層を容易に剥離でき、酸化ガリウム膜が得られたことを確認できた。
(比較例)
実施例1において、酸化鉄(III)層を形成しない、すなわち、酸化ガリウム層だけの基体を作製した。これ以外は実施例1と同じ条件で成膜、評価を行い、レーザー照射を行った。膜厚解析の結果、酸化ガリウム層は1.2μmであった。X線回折によるα−Gaピークのロッキングカーブ半値幅は13秒と良好であったが、レーザー照射しても試料に何ら変化は見られず、酸化ガリウム層を剥離することはできず、酸化ガリウム膜を得ることはできなかった。
(実施例3)
実施例2で得た1試料に対し、基体に照射するレーザー波長を1064nmとした。レーザー照射により酸化ガリウム層を剥離でき、酸化ガリウム膜が得られたことを確認できた。
(実施例4)
実施例2で得た1試料に対し、フラッシュランプとしてハロゲンランプを10ミリ秒照射した。ランプ照射により酸化ガリウム層を剥離でき、酸化ガリウム膜が得られたことを確認できた。
(実施例5)
実施例2で得た1試料に対し、フラッシュランプとしてキセノンランプを1ミリ秒照射した。ランプ照射により酸化ガリウム層を剥離でき、酸化ガリウム膜が得られたことを確認できた。
以上のように、基板と酸化ガリウム層間に酸化鉄(III)層を介在させることで、光照射により酸化ガリウム層を容易に剥離して酸化ガリウム膜を得ることができる。さらに、得られる酸化ガリウム膜は結晶性も極めて良好である。
(実施例6)
実施例2において、酸化ガリウム層の代わりにInGaO層を成膜した。これ以外は実施例2と同じ条件で成膜、レーザー照射を行った。得られた試料に対しレーザー照射を行ったところ、レーザー照射によりInGaO層を容易に剥離でき、InGaO膜が得られたことを確認できた。
以上のように、基板と結晶性酸化物半導体層であるInGaO層間に光吸収層である酸化鉄(III)層を介在させることで、光照射によりInGaO層を容易に剥離してInGaO膜を得ることができる。
(実施例7)
実施例2において、酸化鉄(III)層の代わりに酸化クロム層を成膜した。これ以外は実施例2と同じ条件で成膜、評価、レーザー照射を行った。X線回折により、α−Gaが形成されたことが確認できた。得られた試料に対しレーザー照射を行ったところ、レーザー照射により酸化ガリウム層を容易に剥離でき、酸化ガリウム膜が得られたことを確認できた。
(実施例8)
実施例2において、酸化鉄(III)層の代わりに酸化バナジウム層を成膜した。これ以外は実施例2と同じ条件で成膜、評価、レーザー照射を行った。X線回折により、α−Gaが形成されたことが確認できた。得られた試料に対しレーザー照射を行ったところ、レーザー照射により酸化ガリウム層を容易に剥離でき、酸化ガリウム膜が得られたことを確認できた。
(実施例9)
実施例2において、酸化鉄(III)層の代わりに酸化チタン層を成膜した。これ以外は実施例2と同じ条件で成膜、評価、レーザー照射を行った。X線回折により、α−Gaが形成されたことが確認できた。得られた試料に対しレーザー照射を行ったところ、レーザー照射により酸化ガリウム層を容易に剥離でき、酸化ガリウム膜が得られたことを確認できた。
(実施例10)
実施例2において、基板をc面サファイア基板の代わりにタンタル酸リチウム基板とした。これ以外は実施例2と同じ条件で成膜、評価、レーザー照射を行った。X線回折により、α−Gaが形成されたことが確認できた。得られた試料に対しレーザー照射を行ったところ、レーザー照射により酸化ガリウム層を容易に剥離でき、酸化ガリウム膜が得られたことを確認できた。
以上のように、基板と酸化ガリウム層間に光吸収層を介在させることで、光照射により酸化ガリウム層を容易に剥離して酸化ガリウム膜を得ることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
101…成膜装置、 102a…キャリアガス源、
102b…希釈用キャリアガス源、 103a…流量調節弁、
103b…流量調節弁、 104…ミスト発生源、
104a…原料溶液、 105…容器、 105a…水、 106…超音波振動子、
107…成膜室、 108…ホットプレート、 109…搬送部、
109a…供給管、 110…基板、 112…排気口、 116…超音波発振器、
120…ミスト化部、 130…キャリアガス供給部、 140…成膜部、
200…基体、 201…基板、 202…酸化鉄(III)層、
203…酸化ガリウム層、 205…照射光、 206…剥離した酸化ガリウム膜、
1200…基体、 1201…基板、 1202…光吸収層、
1203…結晶性酸化物半導体層、 1205…照射光、
1206…剥離した結晶性酸化物半導体膜。

Claims (7)

  1. 酸化ガリウム膜の製造方法であって、
    表面が単結晶構造を有する基板と、該基板上に酸化鉄(III)層と酸化ガリウム層とが、ミストCVD法によりこの順に形成されている基体に対し、前記酸化ガリウム層側から光を照射することで前記酸化ガリウム層と基板とを前記酸化鉄(III)層で分離し、
    該酸化ガリウム層の分離により酸化ガリウム膜を製造することを特徴とする酸化ガリウム膜の製造方法。
  2. 前記酸化鉄(III)層の厚みを、1〜500nmとすることを特徴とする請求項1に記載の酸化ガリウム膜の製造方法。
  3. 前記照射する光として、波長が600nm以下の光を含むものとすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の酸化ガリウム膜の製造方法。
  4. 前記照射する光を、レーザー光とすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の酸化ガリウム膜の製造方法。
  5. 前記照射する光を、フラッシュランプの光とすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の酸化ガリウム膜の製造方法。
  6. 前記基板の直径を、50mm以上とすることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の酸化ガリウム膜の製造方法。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の酸化ガリウム膜の製造方法により製造した酸化ガリウム膜を用いて縦型半導体装置を製造することを特徴とする縦型半導体装置の製造方法。
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