JP2021031375A - 積層構造体、半導体装置及び結晶性酸化膜の成膜方法 - Google Patents

積層構造体、半導体装置及び結晶性酸化膜の成膜方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低抵抗率の、ガリウムを主成分としベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜を有する積層構造体を提供することを目的とする。【解決手段】結晶性基板と、ガリウムを主成分としベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜とを有する積層構造体であって、前記結晶性基板が、タンタル酸リチウムを主成分とする結晶性基板であり、前記結晶性酸化物膜の膜厚が1.0μm以上であり、前記結晶性酸化物膜の電気抵抗率が80mΩcm以下である積層構造体。【選択図】図1

Description

本発明は、積層構造体、半導体装置及び結晶性酸化膜の成膜方法に関する。
酸化ガリウム(Ga)に代表される酸化物半導体は、バンドギャップの大きな半導体として、高耐圧、低損失及び高耐熱を実現できる次世代のスイッチング素子への応用が期待されている。
特開2014−072463号公報 特開2014−015366号公報 特開2015−091740号公報 特開2013−028480号公報
特許文献1には、比較的低温で、コランダム構造を有する酸化ガリウム(α−Ga)を作製する手法が記載されているが、α−Gaは準安定相であるため、熱的に不安定であるという問題がある。
これに対し、β−Gaは最安定相であり、上記のような相転移は生じない。しかし、特許文献2や特許文献3にあるように、成膜を行うためには極めて高い温度に加熱することが必要とされており、より低温で成膜することが好ましい。また、β−Gaのようなガリウムを主成分としベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜を半導体装置に適用するためには、結晶性酸化物膜の導電性を制御し、特に低抵抗のものとする必要がある。特許文献4には、α−Ga膜に不純物のドーピングを行う技術が開示されているが、これまで、ベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜の導電性の制御については、検討が進められてこなかった。特に、抵抗率の低いベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜を得る技術的な知見は知られていなかった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、導電性が制御され抵抗率が低い、ガリウムを主成分としベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜を有する積層構造体を提供すること、及び、ガリウムを主成分としベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜の導電性を容易に制御し、抵抗率の低いガリウムを主成分としベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜を容易に得ることが可能な成膜方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、結晶性基板と、ガリウムを主成分としベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜とを有する積層構造体であって、前記結晶性基板が、タンタル酸リチウムを主成分とする結晶性基板であり、前記結晶性酸化物膜の膜厚が1.0μm以上であり、前記結晶性酸化物膜の電気抵抗率が80mΩcm以下である積層構造体を提供する。
このような積層構造体は、抵抗率の低い結晶性酸化物膜を有し、半導体装置に適用可能で半導体特性が優れたものとなる。
このとき、前記結晶性酸化物膜の表面粗さ(算術平均粗さ:Ra)が0.1μm以下である積層構造体とすることができる。
これにより、半導体装置により適した結晶性酸化物膜を有する積層構造体となる。
このとき、前記結晶性基板が、タンタル酸リチウム単結晶基板である積層構造体とすることができる。
これにより、結晶性がより高いベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜を有する積層構造体となる。
このとき、前記結晶性酸化物膜がβ−Gaを主成分とするものである積層構造体とすることができる。
これにより、熱的により安定で、結晶性の高い結晶性酸化物膜を有する積層構造体となる。
このとき、前記結晶性酸化物膜の面積が100mm以上である積層構造体とすることができる。
これにより、半導体装置により有用な、大面積の結晶性酸化物膜を有する積層構造体となる。
このとき、上記の積層構造体を含む半導体装置とすることができる。
これにより、優れた特性を有する半導体装置となる。
また、少なくともガリウムを含有する水溶液を霧化又は液滴化して生成されたミストを、キャリアガスを用いて基板へ搬送し、前記基板上で前記ミストを熱反応させて、ガリウムを主成分としベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜を成膜する方法であって、前記基板としてタンタル酸リチウムを主成分とする結晶性基板を用い、膜厚が1.0μm以上となるように前記結晶性酸化物膜を成膜し、前記結晶性酸化物膜を500℃以上の温度でアニール処理することで、電気抵抗率が80mΩcm以下の前記結晶性酸化物膜とする結晶性酸化物膜の成膜方法を提供する。
このような結晶性酸化物膜の成膜方法によれば、ガリウムを主成分としベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜の導電性を容易に制御し、抵抗率の低い、ガリウムを主成分としベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜を容易に得ることができ、半導体特性の優れた半導体装置に適する結晶性酸化物膜を成膜することができる。
このとき、前記基板として、タンタル酸リチウム単結晶基板を用いる結晶性酸化物膜の成膜方法とすることができる。
これにより、結晶性がより高いベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜を成膜することができる。
このとき、前記結晶性酸化物膜をβ−Gaを主成分とするものとする結晶性酸化物膜の成膜方法とすることができる。
これにより、熱的により安定な結晶性酸化物膜を成膜することができる
このとき、前記基板として、成膜面の面積が100mm以上のものを用いる結晶性酸化物膜の成膜方法とすることができる。
これにより、抵抗率の低い大面積の結晶性酸化物膜を得ることができる。
以上のように、本発明の積層構造体によれば、抵抗率の低いベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜を有し、半導体装置に適用可能で半導体特性が優れたものとなる。このような積層構造体は導電性に優れているので、半導体装置などに有用である。また、本発明の結晶性酸化物膜の成膜方法によれば、ベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜の導電性を容易に制御し、抵抗率の低いベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜を容易に得ることができ、半導体装置に適した半導体特性の優れた結晶性酸化物膜を成膜することが可能となる。特に、β−酸化ガリウム及びタンタル酸リチウム基板は、ともに熱的に安定であるため、高温でのアニールが可能になる。
本発明に係る積層構造体の一例を示す概略構成図である。 本発明に係る成膜方法に用いる成膜装置の一例を示す概略構成図である。 成膜装置におけるミスト化部の一例を説明する図である。 結晶性酸化物膜の膜厚と、結晶性酸化物膜の電気抵抗率(アニール処理前及び後)の関係を示す。 アニール処理温度とアニール処理後の結晶性酸化物膜の抵抗率を示す。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上述のように、導電性が制御され、抵抗率の低いベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜を有する積層構造体を提供すること、及び、ベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜の導電性を容易に制御し、抵抗率の低いベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜を容易に得ることが可能な成膜方法を提供することが求められていた。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、結晶性基板と、ガリウムを主成分としベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜とを有する積層構造体であって、前記結晶性基板が、タンタル酸リチウムを主成分とする結晶性基板であり、前記結晶性酸化物膜の膜厚が1.0μm以上であり、前記結晶性酸化物膜の電気抵抗率が80mΩcm以下である積層構造体により、抵抗率の低い結晶性酸化物膜を有し、半導体装置に適用可能で半導体特性が優れたものとなることを見出し、本発明を完成した。
また、本発明者らは、少なくともガリウムを含有する水溶液を霧化又は液滴化して生成されたミストを、キャリアガスを用いて基板へ搬送し、前記基板上で前記ミストを熱反応させて、ガリウムを主成分としベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜を成膜する方法であって、前記基板としてタンタル酸リチウムを主成分とする結晶性基板を用い、膜厚が1.0μm以上となるように前記結晶性酸化物膜を成膜し、前記結晶性酸化物膜を500℃以上の温度でアニール処理することで、電気抵抗率が80mΩcm以下の前記結晶性酸化物膜とする結晶性酸化物膜の成膜方法により、ベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜の導電性を容易に制御し、抵抗率の低いベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜を容易に得ることができ、半導体装置に適した半導体特性の優れた結晶性酸化物膜を成膜することができることを見出し、本発明を完成した。
以下、図面を参照して説明する。
(積層構造体)
本発明に係る積層構造体1の一実施形態は、図1に示すように、タンタル酸リチウムを主成分とする結晶性基板10上に、ガリウムを主成分としベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜20が積層されている積層構造体1である。なお、結晶性基板10と結晶性酸化物膜20との間には、バッファ層などが介在していてもよい。
ここで「結晶性」という場合、結晶状態が多結晶又は単結晶のものを含むことを意味する。多結晶又は単結晶に、非晶質が混在していてもよい。
(タンタル酸リチウムを主成分とする結晶性基板)
まず、本発明に係る積層構造体が有するタンタル酸リチウムを主成分とする結晶性基板について説明する。
本発明に係る積層構造体を製造する場合、まず、タンタル酸リチウムを主成分とする結晶性基板を準備する。ここで、「タンタル酸リチウムを主成分とする結晶性基板」には、タンタル酸リチウムが50〜100%含まれる基板であって、タンタル酸リチウムが単結晶のほか、多結晶のものを含む。
タンタル酸リチウムはイルメナイト構造を有し、格子定数はα−Gaに比較的近い。α−Ga(001)面およびβ−Ga(−201)面、ならびにタンタル酸リチウム(001)面における、酸素原子間の距離の大小関係は概ね、α−Ga<タンタル酸リチウム<β−Gaである。β−Gaはα−Gaに比べエネルギー的に安定であるため、タンタル酸リチウム基板上では低温においてもα−Gaは形成されずにβ−Gaが優先的に形成されるものと推測される。
タンタル酸リチウムを主成分とする結晶性基板としては、タンタル酸リチウム単結晶基板を用いることが最も好ましい。結晶性酸化物膜の膜質が、最も高品質なものとなるためである。
以下、タンタル酸リチウム単結晶基板を例に説明する。タンタル酸リチウム単結晶基板は、例えば、チョクラルスキー法によってタンタル酸リチウム単結晶を成長させてタンタル酸リチウム単結晶インゴットとし、このインゴットをスライスして基板形状に加工することによって得られる。
本発明に用いることのできるタンタル酸リチウム単結晶基板は、その表面の格子定数を後に堆積する結晶性酸化物膜の格子定数に近づけるようにカットするのが好ましい。例えば、β−Gaを主成分とする結晶性酸化物膜を堆積する場合、結晶方位がZ±10°以内となるようにカットされているのが好ましく、更に好ましくは、結晶方位がZ±5°以内となるようにカットされているのが良い。
また、本発明に用いることのできるタンタル酸リチウム単結晶基板は、基板の分極状態が均一化されていると酸化物単結晶膜の均一な成長が促進され、好ましい。すなわち、タンタル酸リチウム基板が、単一分極化処理又は多分極化処理されているのが好ましい。
単一分極化処理された基板を得るには、例えば、チョクラルスキー法で作製したタンタル酸リチウム単結晶インゴットを700℃に加熱し、結晶方位Z方向に200Vの電圧を印加して10時間のポーリング処理施した後、そのインゴットをスライスして基板形状に加工すると良い。また、基板形状に加工された基板自体を700℃に加熱し、結晶方位Z方向に200Vの電圧を印加して10時間のポーリング処理施しても良い。
単一分極処理を施した基板を用いる場合、更に基板表面に焦電性抑制処理を施すと、加熱した基板に結晶性酸化物膜を堆積する際に基板が帯電するのを抑制することが出来て、好ましい。焦電性抑制処理は、例えば、単一分極処理を施されたタンタル酸リチウム単結晶基板を炭酸リチウム粉末中に埋め込んで、還元性ガス雰囲気下において、350℃以上、キュリー温度(約610℃)以下の温度で熱処理を行う。このとき、基板の厚さ方向における体積抵抗率が1.0×1011Ω・cm以上、2.0×1013Ω・cm以下で、かつ、基板内における体積抵抗率の最大値と最小値の比が4.0以下となるように処理を施しておくと、基板に結晶性酸化物膜を堆積する際の基板の耐電が効果的に抑制できる。
一方、多分極化処理された基板を得るには、例えば、一旦単一分極化した単結晶(インゴットまたは基板)、または単一分極化処理を施さない単結晶(インゴットまたは基板)に対して、700℃以上に加熱して数時間(好ましくは1000℃以上、好ましくは5時間以上、更に好ましくは10時間以上)アニールし、歪緩和の処理を行い、インゴットの場合はそれをスライスして基板形状に加工すると良い。多分極化処理された基板を用いると、加熱した基板に結晶性酸化物膜を堆積する際に基板が帯電するのを抑制することが出来て、好ましい。特に、基板表面の分極の平均分域サイズを5μm以下となるようにすると、帯電が効果的に抑制できる。タンタル酸リチウム基板の帯電効果が抑制されると、結晶性酸化物膜が安定に堆積されることより好ましい。なお、タンタル酸リチウム単結晶の(少なくとも基板表面の)組成をコングルエント組成にすると、基板表面の分極の平均分域サイズが小さくなり易く好ましい。ここで、コングルエント組成とは、タンタル酸リチウムの場合は、LiとTaの比率がLi:Ta=48.5−α:51.5+αであり、αは−0.5≦α≦0.5の範囲であることをいう。
タンタル酸リチウムを主成分とする結晶性基板の表面は凹凸が小さくなるように平滑に研磨しておくと、結晶性酸化物膜の平坦な積層膜が得られる。Raが10nm以下にするのが好ましい。Raが5nm以下にすると更に好ましい。
また、タンタル酸リチウムを主成分とする結晶性基板の、結晶性酸化物膜を堆積する面に、予め水素、ヘリウム、アルゴン、他の希ガス類から選択されるイオンを注入し、堆積面の50nmから3μm直下に脆弱層を形成しておくことも出来る。こうすることで、結晶性酸化物膜を堆積後に、脆弱層に衝撃を与えることによって、堆積した結晶性酸化物膜をタンタル酸リチウム単結晶基板から容易に剥離することが出来る。
結晶性基板の厚さは特に限定されないが、好ましくは、10〜2000μmであり、より好ましくは50〜800μmである。また基板の面積は100mm以上が好ましく、より好ましくは口径(直径)が2インチ(50mm)以上である。
(結晶性酸化物膜)
本発明に係る積層構造体における結晶性酸化物膜は、ガリウムを主成分としベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜である。結晶性酸化物膜は、通常、金属と酸素から構成されるが、本発明に係る結晶性酸化物膜においては、金属としてガリウムを主成分としていれば問題ない。ここで、本発明で「ガリウムを主成分とし」という場合、金属成分のうち50〜100%がガリウムであることを意味する。ガリウム以外の金属成分としては、例えば、鉄、インジウム、アルミニウム、バナジウム、チタン、クロム、ロジウム、イリジウム、ニッケル及びコバルトから選ばれる1種又は2種以上の金属を含んでもよい。なお、結晶性酸化物膜はベータガリア構造であれば、単結晶でも多結晶でもよい。
ガリウムを主成分としベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜の中でも、特に、β−Gaを主成分(膜中の50〜100%)とするものであることが好ましい。β−Gaは、熱的により安定な結晶性酸化物膜である。
結晶性酸化物膜中にはドーパントが含まれている。例えば、スズ、ゲルマニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、バナジウム又はニオブ等のn型ドーパント、又は、銅、銀、スズ、イリジウム、ロジウム等のp型ドーパントなどが挙げられる。前記ドーパントは特に限定されないが、スズであることが好ましい。ドーパントの濃度は、例えば、約1×1016/cm〜1×1022/cmであってもよく、約1×1017/cm以下の低濃度にしても、約1×1020/cm以上の高濃度としてもよい。
本発明に係る積層構造体においては結晶性酸化物膜の膜厚は、1.0μm以上とする。例えば、1.0〜50μmであってよく、好ましくは5.0〜30μmであり、より好ましくは10〜20μmである。結晶性酸化物膜の膜厚を1.0μm以上とすることについては、後で詳述する。
なお、結晶性基板と結晶性酸化物膜の間に別の層が介在しても構わない。別の層とは、基板ならびに最表層の結晶性酸化物膜と組成が異なる層であり、例えば、結晶性酸化物膜、絶縁膜、金属膜等、いずれでも構わない。
本発明に係る積層構造体もしくは前記積層構造体から得られる結晶性酸化物膜は、適宜構造設計を行うことで、半導体装置に利用できる。例えば、ショットキーバリアダイオード(SBD)、金属半導体電界効果トランジスタ(MESFET)、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、静電誘導トランジスタ(SIT)、接合電界効果トランジスタ(JFET)、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)、発光ダイオード(LED)などそれぞれの半導体層を構成することができる。
(成膜装置)
本発明に係る積層構造体及び成膜方法の一実施形態は、少なくともガリウムを含有する水溶液を霧化又は液滴化して生成されるミストをキャリアガスを用いて基板へ搬送し、ついで該基板上で該ミストを熱反応させて結晶性酸化物膜を成膜する方法により製造され、該基板はタンタル酸リチウムを主成分とする結晶性基板であり、該結晶性酸化物膜はガリウムを主成分としベータガリア構造を有するものであり、結晶性酸化物膜の膜厚が1.0μm以上であり、前記結晶性酸化物膜の電気抵抗率が80mΩcm以下の積層構造体である。このような結晶性酸化物膜を成膜可能な成膜装置について説明する。
図2に、本発明に係る結晶性酸化物膜の成膜方法に使用可能な成膜装置101の一例を示す。成膜装置101は、原料溶液をミスト化してミストを発生させるミスト化部120と、ミストを搬送するキャリアガスを供給するキャリアガス供給部130と、ミストを熱処理して基板上に成膜を行う成膜部140と、ミスト化部120と成膜部140とを接続し、キャリアガスによってミストが搬送される搬送部109とを有する。また、成膜装置101は、成膜装置101の全体又は一部を制御する制御部(図示なし)を備えることによって、その動作が制御されてもよい。
なお、ここで、本発明でいうミストとは、気体中に分散した液体の微粒子の総称を指し、霧、液滴等と呼ばれるものを含む。
(原料溶液)
原料溶液(水溶液)104aには、少なくともガリウムを含んでいれば特に限定されない。すなわち、ガリウムの他、例えば、鉄、インジウム、アルミニウム、バナジウム、チタン、クロム、ロジウム、イリジウム、ニッケル及びコバルトから選ばれる1種又は2種以上の金属を含んでもよい。前記金属を錯体又は塩の形態で、水に溶解又は分散させたものを好適に用いることができる。錯体の形態としては、例えば、アセチルアセトナート錯体、カルボニル錯体、アンミン錯体、ヒドリド錯体などが挙げられる。塩の形態としては、例えば、塩化金属塩、臭化金属塩、ヨウ化金属塩などが挙げられる。また、上記金属を、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸等に溶解したものも塩の水溶液として用いることができる。溶質濃度は0.01〜1mol/Lが好ましい。
原料溶液104aには、結晶性酸化物膜の導電性を制御するためのドーパント元素を含有させる。例えば、スズ、ゲルマニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、バナジウム又はニオブ等のn型ドーパント、又は、銅、銀、スズ、イリジウム、ロジウム等のp型ドーパントなどが挙げられる。前記ドーパントは特に限定されないが、スズであることが好ましい。また、前記ドーパント元素はイオン化していることが好ましい。従って、原料溶液104aには酸を混合してドーパント元素の溶解を促進させてもよい。前記酸としては、例えば、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸などのハロゲン化水素、次亜塩素酸、亜塩素酸、次亜臭素酸、亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、ヨウ素酸等のハロゲンオキソ酸、蟻酸等のカルボン酸、硝酸、等が挙げられる。なお、溶解の促進には、加熱したり超音波を与えるのも有効である。
(ミスト化部)
ミスト化部120では、原料溶液104aを調整し、前記原料溶液104aをミスト化してミストを発生させる。ミスト化手段は、原料溶液104aをミスト化できさえすれば特に限定されず、公知のミスト化手段であってよいが、超音波振動によるミスト化手段を用いることが好ましい。より安定してミスト化することができるためである。
このようなミスト化部120の一例を図3に示す。例えば、原料溶液104aが収容されるミスト発生源104と、超音波振動を伝達可能な媒体、例えば水105aが入れられる容器105と、容器105の底面に取り付けられた超音波振動子106を含んでもよい。詳細には、原料溶液104aが収容されている容器からなるミスト発生源104が、水105aが収容されている容器105に、支持体(図示せず)を用いて収納されている。容器105の底部には、超音波振動子106が備え付けられており、超音波振動子106と発振器116とが接続されている。そして、発振器116を作動させると、超音波振動子106が振動し、水105aを介して、ミスト発生源104内に超音波が伝播し、原料溶液104aがミスト化するように構成されている。
(搬送部)
搬送部109は、ミスト化部120と成膜部140とを接続する。搬送部109を介して、ミスト化部120のミスト発生源104から成膜部140の成膜室107へと、キャリアガスによってミストが搬送される。搬送部109は、例えば、供給管109aとすることができる。供給管109aとしては、例えば石英管や樹脂製のチューブなどを使用することができる。
(成膜部)
成膜部140では、ミストを加熱し熱反応を生じさせて、基板(結晶性基板)110の表面の一部又は全部に成膜を行う。成膜部140は、例えば、成膜室107を備え、成膜室107内には基板(結晶性基板)110が設置されており、該基板(結晶性基板)110を加熱するためのホットプレート108を備えることができる。ホットプレート108は、図2に示されるように成膜室107の外部に設けられていてもよいし、成膜室107の内部に設けられていてもよい。また、成膜室107には、基板(結晶性基板)110へのミストの供給に影響を及ぼさない位置に、排ガスの排気口112が設けられてもよい。
また、基板(結晶性基板)110を成膜室107の上面に設置するなどして、フェイスダウンとしてもよいし、基板(結晶性基板)110を成膜室107の底面に設置して、フェイスアップとしてもよい。
熱反応は、加熱によりミストが反応すればよく、反応条件等も特に限定されない。原料や成膜物に応じて適宜設定することができる。例えば、加熱温度は250〜900℃の範囲であり、好ましくは300℃〜800℃の範囲であり、より好ましくは350℃〜700℃の範囲とすることができる。
熱反応は、真空下、非酸素雰囲気下、還元ガス雰囲気下、空気雰囲気下及び酸素雰囲気下のいずれの雰囲気下で行われてもよく、成膜物に応じて適宜設定すればよい。また、反応圧力は、大気圧下、加圧下又は減圧下のいずれの条件下で行われてもよいが、大気圧下の成膜であれば、装置構成が簡略化できるので好ましい。
(キャリアガス供給部)
キャリアガス供給部130は、キャリアガスを供給するキャリアガス源102aを有し、キャリアガス源102aから送り出されるキャリアガス(以下、「主キャリアガス」という)の流量を調節するための流量調節弁103aを備えていてもよい。また、必要に応じて希釈用キャリアガスを供給する希釈用キャリアガス源102bや、希釈用キャリアガス源102bから送り出される希釈用キャリアガスの流量を調節するための流量調節弁103bを備えることもできる。
キャリアガスの種類は、特に限定されず、成膜物に応じて適宜選択可能である。例えば、酸素、オゾン、窒素やアルゴン等の不活性ガス、又は水素ガスやフォーミングガス等の還元ガスなどが挙げられる。また、キャリアガスの種類は1種類でも、2種類以上であってもよい。例えば、第1のキャリアガスと同じガスをそれ以外のガスで希釈した(例えば10倍に希釈した)希釈ガスなどを、第2のキャリアガスとしてさらに用いてもよく、空気を用いることもできる。
本明細書においては、キャリアガスの流量Qは、キャリアガスの総流量を指す。上記の例では、キャリアガス源102aから送り出される主キャリアガスの流量と、希釈用キャリアガス源102bから送り出される希釈用キャリアガスの流量の総量を、キャリアガスの流量Qとする。
キャリアガスの流量Qは成膜室や基板の大きさによって適宜決められるが、通例1〜60L/分であり、好ましくは2〜40L/分である。
(成膜方法)
次に、図2を参照しながら、本発明に係る結晶性酸化物膜の成膜方法の一例を説明する。まず、原料溶液104aをミスト化部120のミスト発生源104内に収容し、基板(結晶性基板)110であるタンタル酸リチウムを主成分とする結晶性基板を、ホットプレート108上に直接又は成膜室107の壁を介して設置し、ホットプレート108を作動させる。結晶性基板として用いるタンタル酸リチウムは熱膨張係数が大きいため、低温から徐々に昇温するのが好ましい。
次に、流量調節弁103a、103bを開いてキャリアガス源102a、102bからキャリアガスを成膜室107内に供給し、成膜室107の雰囲気をキャリアガスで十分に置換するとともに、主キャリアガスの流量と希釈用キャリアガスの流量をそれぞれ調節し、キャリアガス流量Qを制御する。
ミストを発生させる工程では、超音波振動子106を振動させ、その振動を、水105aを通じて原料溶液104aに伝播させることによって、原料溶液104aをミスト化させてミストを生成する。次に、ミストをキャリアガスにより搬送する工程では、ミストがキャリアガスによってミスト化部120から搬送部109を経て成膜部140へ搬送され、成膜室107内に導入される。成膜を行う工程で、成膜室107内に導入されたミストは、成膜室107内でホットプレート108の熱により熱処理され熱反応して、基板(結晶性基板)110上に成膜される。
このとき、結晶性酸化物膜の膜厚が1.0μm以上となるように成膜を行う。このような範囲とすることで、成膜後にアニールを行った場合に結晶性酸化物膜の抵抗率を低くすることができる。
(アニール処理)
結晶性酸化物膜を成膜した後、膜の抵抗率を低くするためにアニールを行う。アニール処理の条件として、温度を500℃以上とする。上限は特に限定されず、結晶性酸化物膜や結晶性基板が熱処理に耐えうる範囲であればよいが、例えば、1000℃とすることができる。アニール処理の時間は特に限定されないが、例えば1分以上とすることができる。また、生産性を考慮すれば、1時間以下が好ましく、30分以下とすることがより好ましい。アニール処理の雰囲気は特に限定されないが、窒素や希ガスなどの不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。また、このようなアニール処理により、結晶性酸化物膜の表面粗さ(算術平均粗さ:Ra)を0.1μm以下とできる。なお、表面粗さは、原子間力顕微鏡(AFM)により10μm角の領域についての表面形状測定結果を用い、JIS B0601に基づき算出して得た算術平均粗さ(Ra)を表す。
(剥離)
結晶性基板を結晶性酸化物膜から剥離してもよい。剥離手段は特に限定されず、公知の手段であってもよい。例えば、機械的衝撃を与えて剥離する手段、熱を加えて熱応力を利用して剥離する手段、超音波等の振動を加えて剥離する手段、エッチングして剥離する手段、レーザーリフトオフなどが挙げられる。前記剥離によって、結晶性酸化物膜を自立膜として得ることができる。
(電極)
半導体装置を構成するために必要となる電極の形成は、一般的な方法を用いることができる。すなわち、蒸着、スパッタ、CVD、めっきなどの他、樹脂等と一緒に接着させる印刷法など、いずれを用いてもかまわない。電極材料としては、Al、Ag、Ti、Pd、Au、Cu、Cr、Fe、W、Ta、Nb、Mn、Mo、Hf、Co、Zr、Sn、Pt、V、Ni、Ir、Zn、In、Ndなどの金属の他、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の金属酸化物導電膜、ポリアニリン、ポリチオフェンまたはポリピロールなどの有機導電性化合物、いずれを用いてもかまわないし、これらの2種以上の合金、混合物でもかまわない。電極の厚さは、1〜1000nmが好ましく、より好ましくは10〜500nmである。
以下、実施例を挙げて本発明について詳細に説明するが、これは本発明を限定するものではない。
(参考例)
まず、電気抵抗率の低い結晶性酸化物膜を得るための条件について、本発明者が調査した結果について説明する。
上述の結晶性酸化物膜の成膜方法に基づいて、βガリア構造を有する酸化ガリウム(β−Ga)の成膜を行い、積層構造体を得た。
具体的には、まず、結晶性基板としてコングルエント組成(Li/(Li+Ta)の値は、0.485)のタンタル酸リチウム単結晶基板を準備した。チョクラルスキー法によって作製したタンタル酸リチウム単結晶を、Z軸カットして、C面基板に加工し、700℃、10時間の加熱処理を行って多分極化処理を施し、表面を研磨して表面粗さRa=0.5nmとした。
次に、原料水溶液を作製した。ガリウム源として臭化ガリウムを用い、臭化ガリウムの濃度を1.0×10−1mol/Lとし、臭化ガリウムと塩化スズを、ガリウム、スズの原子数比で1:0.02となるように水溶液を調整した。調製した水溶液に、体積比で10%の48%臭化水素酸溶液を加え、原料水溶液を調製とした。
上述のようにして得た原料溶液104aを、ミスト発生源104内に収容した。次に、基板(結晶性基板)110として2インチ(直径50mm)、厚さ200μmのタンタル酸リチウム単結晶基板を、成膜室107内でホットプレート108に戴置し、ホットプレート108を作動させて温度を400℃に昇温した。
続いて、流量調節弁103a、103bを開いてキャリアガス源102a、102bからキャリアガスとして窒素ガスを成膜室107内に供給し、成膜室107の雰囲気をキャリアガスで十分に置換するとともに、主キャリアガスの流量を2L/分に、希釈用キャリアガスの流量を4.5L/分にそれぞれ調節した。すなわち、キャリアガス流量Q=6.5L/分とした。
次に、超音波振動子106を2.4MHzで振動させ、その振動を、水105aを通じて原料溶液104aに伝播させることによって、原料溶液104aをミスト化してミストを生成した。このミストを、キャリアガスによって供給管109aを経て成膜室107内に導入した。そして、大気圧下、400℃の条件で、成膜室107内でミストを熱反応させて、タンタル酸リチウム単結晶基板上にGaを成膜した。なお、成膜時間を調節することで、膜厚の制御を行った。
アニール処理は、タンタル酸リチウム単結晶基板上にGa膜が成膜された積層構造体を横型炉に静置し、窒素気流10L/mの下で20分間の処理を行った。
成膜したGa膜の相の同定を、XRD回折装置を用い、10度から120度まで2θ/ωスキャンを行うことによって行った。測定はCuKα線を用いて行った。その結果、形成した酸化ガリウム膜は、ベータガリア構造を有する酸化ガリウム(β−Ga)であった。
また、Ga膜の膜厚を、反射率分光式膜厚計を用いて計測した。抵抗率は、4探針法抵抗率・シート抵抗測定器を用いて測定した。
図4には、結晶性酸化物膜の膜厚と、結晶性酸化物膜の抵抗率(アニール処理前及び後)の関係を示す。また、表1に、結晶性酸化物膜の膜厚と、結晶性酸化物膜の電気抵抗率(アニール処理前及び後)の具体的な数値を示す。
Figure 2021031375
図4に示すように、膜厚が1.0μm以上の範囲では、アニール処理を行うことにより抵抗率を大きく低下させることができ、膜厚が1.0μm未満の範囲では、アニール処理を行っても抵抗率が低下しないことがわかる。なお、アニール処理により、結晶性は変化しなかった。
また、アニール処理温度とアニール処理後の抵抗率について調査を行った。上述の成膜条件で成膜を行い、膜厚が1.0μmの結晶性酸化物膜を形成し、抵抗率のアニール温度依存性を調査した。図5に、アニール処理温度とアニール処理後の結晶性酸化物膜の抵抗率を示す。また、表2に、結晶性酸化物膜の膜厚と、アニール処理温度とアニール処理後の抵抗率の具体的な数値を示す。
Figure 2021031375
図5に示すように、アニール処理温度が500℃以上の範囲では抵抗率が大きく低下し、500℃未満の範囲では抵抗率が低下しないことがわかった。このことから、アニール処理温度は500℃以上とする必要があることがわかった。なお、アニール処理により、結晶性は変化しなかった。また、結晶性酸化物膜表面の表面粗さRaは、0.1μm以下であった。
(実施例1)
成膜時間を120分としたこと、成膜温度を450℃としたこと以外は、参考例と同様に成膜を行った。得られた積層構造体の結晶性酸化物膜の相を同定したところ、β−Gaであった。また、膜厚は3.6μmであった。成膜後にGaが成膜された積層構造体を横型炉に静置し、窒素気流10L/mの下、600℃で20分間アニールを行ったところ、結晶性は変化しなかった。アニール後の抵抗率は26mΩcmであった。
(実施例2)
成膜時間を150分としたこと、成膜温度を350℃としたこと以外は、参考例と同様に成膜を行った。得られた積層構造体の結晶性酸化物膜の相を同定したところ、β−Gaであった。また、膜厚は1.6μmであった。成膜後にGaが成膜された積層構造体を横型炉に静置し、窒素気流10L/mの下、600℃で20分間アニールを行ったところ、結晶性は変化しなかった。アニール後の抵抗率は58mΩcmであった。
(実施例3)
原料溶液のGa/Snを0.05に変更したこと、成膜時間を60分としたこと以外は、参考例と同様に成膜を行った。得られた積層構造体の結晶性酸化物膜の相を同定したところ、β−Gaであった。また、膜厚は1.4μmであった。成膜後にGaが成膜された積層構造体を横型炉に静置し、窒素気流10L/mの下、600℃で20分間アニールを行ったところ、結晶性は変化しなかった。アニール後の抵抗率は25mΩcmであった。
(実施例4)
臭化ガリウムの濃度を0.05mol/Lにしたこと、成膜時間を120分としたこと以外は、参考例と同様に成膜を行った。得られた積層構造体の結晶性酸化物膜の相を同定したところ、β−Gaであった。また、膜厚は1.2μmであった。成膜後にGaが成膜された積層構造体を横型炉に静置し、窒素気流10L/mの下、600℃で20分間アニールを行ったところ、結晶性は変化しなかった。アニール後の抵抗率は45mΩcmであった。
(実施例5)
ガリウム源の原料にヨウ化ガリウムを用いたこと、成膜時間を90分としたこと以外は、参考例と同様に成膜を行った。得られた積層構造体の結晶性酸化物膜の相を同定したところ、β−Gaであった。また、膜厚は1.2μmであった。成膜後にGaが成膜された積層構造体を横型炉に静置し、窒素気流10L/mの下、600℃で20分間アニールを行ったところ、結晶性は変化しなかった。アニール後の抵抗率は63mΩcmであった。
(比較例)
結晶性基板としてc面サファイア基板を用いたこと、成膜時間を60分としたこと以外は参考例と同様に成膜を行った。得られた積層構造体の結晶性酸化物膜の相を同定したところ、α−Gaであった。なお、膜厚は1.1μmであった。この積層構造体を横型炉に静置し、窒素気流10L/mの下、600℃で20分間アニールを行ったところ、α−Gaのピーク強度が低下し、新たにβ−Gaのピークが出現した。
以上述べたように、従来は、ガリウムを主成分としベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜であって、電気抵抗率の低い結晶性酸化物膜を得ることが困難であったが、特定の結晶性基板を用い、1μm以上の結晶性酸化物膜を成膜して、500℃以上の温度でアニール処理を行うことにより、電気抵抗率が80mΩcm以下の、ガリウムを主成分としベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜を得ることができるようになった。特に、SiCと同等の電気抵抗率(30mΩcm)を実現することも可能であることもわかった。半導体装置への適用が可能な、ガリウムを含むベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜を有する積層構造体を得ることができた。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…積層構造体、 10…結晶性基板、 20…結晶性酸化物膜、
101…成膜装置、 102a…キャリアガス源、
102b…希釈用キャリアガス源、 103a…流量調節弁、
103b…流量調節弁、 104…ミスト発生源、 104a…原料溶液(水溶液)、
105…容器、 105a…水、 106…超音波振動子、 107…成膜室、
108…ホットプレート、 109…搬送部、 109a…供給管、
110…基板(結晶性基板)、 112…排気口、 116…発振器、
120…ミスト化部、130…キャリアガス供給部、140…成膜部。

Claims (10)

  1. 結晶性基板と、ガリウムを主成分としベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜とを有する積層構造体であって、
    前記結晶性基板が、タンタル酸リチウムを主成分とする結晶性基板であり、
    前記結晶性酸化物膜の膜厚が1.0μm以上であり、
    前記結晶性酸化物膜の電気抵抗率が80mΩcm以下であることを特徴とする積層構造体。
  2. 前記結晶性酸化物膜の表面粗さ(算術平均粗さ:Ra)が0.1μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層構造体。
  3. 前記結晶性基板が、タンタル酸リチウム単結晶基板であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の積層構造体。
  4. 前記結晶性酸化物膜がβ−Gaを主成分とするものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の積層構造体。
  5. 前記結晶性酸化物膜の面積が100mm以上であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の積層構造体。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の積層構造体を含むことを特徴とする半導体装置。
  7. 少なくともガリウムを含有する水溶液を霧化又は液滴化して生成されたミストを、キャリアガスを用いて基板へ搬送し、前記基板上で前記ミストを熱反応させて、ガリウムを主成分としベータガリア構造を有する結晶性酸化物膜を成膜する方法であって、
    前記基板としてタンタル酸リチウムを主成分とする結晶性基板を用い、
    膜厚が1.0μm以上となるように前記結晶性酸化物膜を成膜し、
    前記結晶性酸化物膜を500℃以上の温度でアニール処理することで、電気抵抗率が80mΩcm以下の前記結晶性酸化物膜とすることを特徴とする結晶性酸化物膜の成膜方法。
  8. 前記基板として、タンタル酸リチウム単結晶基板を用いることを特徴とする請求項7に記載の結晶性酸化物膜の成膜方法。
  9. 前記結晶性酸化物膜をβ−Gaを主成分とするものとすることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の結晶性酸化物膜の成膜方法。
  10. 前記基板として、成膜面の面積が100mm以上のものを用いることを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の結晶性酸化物膜の成膜方法。
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