JP2016064961A - 結晶性積層構造体の製造方法および半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原料溶液24aを微粒子化して生成される原料微粒子をキャリアガス22によって成膜室27に供給して成膜室内27に配置された下地基板20上に、結晶性酸化物薄膜を結晶成長により形成する結晶性積層構造体の製造方法であって、下地基板20が、その表面の一部又は全部にβ−ガリア構造を有する結晶物を主成分として含み、前記結晶性酸化物薄膜が、β−ガリア構造を有する結晶性酸化物β−Ga2O3を主成分として含む、結晶性積層構造体の製造方法。
【選択図】図2
Description
[1] 原料溶液を微粒子化して生成される原料微粒子をキャリアガスによって成膜室に供給して前記成膜室内に配置された下地基板上に、結晶性酸化物薄膜を結晶成長により形成する結晶性積層構造体の製造方法であって、前記下地基板が、その表面の一部または全部にβ−ガリア構造を有する結晶物を主成分として含み、前記結晶性酸化物薄膜が、β−ガリア構造を有する結晶性酸化物を主成分として含むことを特徴とする結晶性積層構造体の製造方法。
[2] 前記結晶性酸化物薄膜が、β−Ga2O3を主成分として含む前記[1]記載の製造方法。
[3] 前記結晶性酸化物薄膜が、炭素を実質的に含有せず、半値幅が50arcsec以下である前記[1]または[2]に記載の製造方法。
[4] 前記β−ガリア構造を有する結晶物が、β−Ga2O3である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] 前記[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法を用いて得られることを特徴とする結晶性積層構造体。
[6] 前記[5]記載の結晶性積層構造体からなる半導体装置。
[7] 前記[5]記載の結晶性積層構造体を含む半導体装置。
[8] 前記[5]記載の結晶性積層構造体の結晶性酸化物薄膜と電極とを少なくとも備えていることを特徴とする半導体装置。
[9] 下地基板上に、直接または別の層を介して、β−Ga2O3を主成分として含む結晶性酸化物薄膜を備え、
前記結晶性酸化物薄膜が、炭素を実質的に含有せず、半値幅が50arcsec以下であることを特徴とする結晶性積層構造体。
下地基板は、上記の結晶性酸化物薄膜の支持体となるものであって、その表面の一部または全部にβガリア構造を有する結晶物を主成分として含むものであれば、特に限定されない。絶縁体基板であってもよいし、半導体基板であってもよいし、導電性基板であってもよい。表面の一部または全部にβ−ガリア構造を有する結晶物を主成分とする基板は、基板表面の一部または全部の組成比で、β−ガリア構造を有する結晶物を50%以上含むものであれば、特に限定されないが、本発明においては、70%以上含むものであるのが好ましく、90%以上であるのがより好ましい。表面の一部または全部にβ−ガリア構造を有する結晶物を主成分として含む基板としては、例えばβ−Ga2O3基板、又はβ−AlGaO系基板(好ましくはGa2O3とAl2O3とを含みAl2O3が0wt%より多くかつ60wt%以下である混晶体基板)などが挙げられる。また、下地基板の厚さは、本発明においては特に限定されないが、好ましくは、50〜2000μmであり、より好ましくは200〜800μmである。
本発明においては、前記下地基板が、β−Ga2O3基板、又はGa2O3とAl2O3とを含みAl2O3が0wt%より多くかつ60wt%以下である混晶体基板であるのが好ましく、β−Ga2O3基板であるのがより好ましい。このような好ましい下地基板を用いることで、前記結晶性酸化物薄膜の不純物のカーボン含有率、キャリア濃度および半値幅が、他の下地基板を用いた場合に比べてさらに低減することができる。
前記結晶性酸化物薄膜は、β−ガリア構造を有する結晶性酸化物を主成分として含んでいればそれでよいが、前記結晶性酸化物がβ−Ga2O3であるのが好ましい。「主成分」とは、β−ガリア構造を有する結晶性酸化物がβ−Ga2O3である場合、前記薄膜の金属元素中のガリウムの原子比が0.5以上の割合でβ−Ga2O3が含まれていればそれでよい。本発明においては、前記薄膜中の金属元素中のガリウムの原子比が0.7以上であることが好ましく、0.8以上であるのがより好ましい。また、結晶性酸化物半導体薄膜の厚さは、特に限定されず、1μm以下であってもよいし、1μm以上であってもよい。なお、前記結晶性酸化物薄膜は、通常、単結晶であるが、多結晶であってもよい。
本実施形態の結晶性積層構造体及びこれを用いた半導体装置の好適な例を図1に示す。図1の例では、下地基板1上に結晶性酸化物薄膜3が形成されている。結晶性酸化物半導体薄膜3は、下地基板1側から順に絶縁性薄膜3aと導電性薄膜3bが積層されて構成されている。導電性薄膜3b上にゲート絶縁膜5が形成されている。ゲート絶縁膜5上にはゲート電極7が形成されている。また、導電性薄膜3b上には、ゲート電極7を挟むように、ソース・ドレイン電極9が形成されている。このような構成によれば、ゲート電極7に印加するゲート電圧によって導電性薄膜3bに形成される空乏層の制御が可能となり、トランジスタ動作(FETデバイス)が可能となる。
前記ショットキー電極やオーミック電極は、公知のものであってよく、公知の手段を用いて、これらを前記結晶性積層構造体に備えることができる。なお、別の層を介する場合の別の層としては、公知の半導体層、絶縁体層、導体層などが挙げられ、これらの層は、公知のものであってよく、本発明においては、公知の手段でもって、これらの層を積層することができる。
まず、図2を用いて、本実施例で用いたミスト・エピタキシー装置19を説明する。ミスト・エピタキシー装置19は、下地基板等の被成膜試料20を載置する試料台21と、キャリアガスを供給するキャリアガス源22と、キャリアガス源22から送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁23と、原料溶液24aが収容されるミスト発生源24と、水25aが入れられる容器25と、容器25の底面に取り付けられた超音波振動子26と、内径40mmの石英管からなる成膜室27と、成膜室27の周辺部に設置されたヒータ28を備えている。試料台21は、石英からなり、被成膜試料20を載置する面が水平面から傾斜している。成膜室27と試料台21をどちらも石英で作製することにより、被成膜試料20上に形成される薄膜内に装置由来の不純物が混入することを抑制している。
<実施例1>
臭化ガリウム0.1mol/Lの水溶液を調整し、この際、さらに48%臭化水素酸溶液を体積比で10%となるように含有させ、これを原料溶液とした。
臭化ガリウムが0.1mol/L、ゲルマニウムが原子比で0.04%となるように、臭化ガリウムと酸化ゲルマニウムを混合して水溶液を調整し、この際、さらに48%臭化水素酸溶液を体積比で10%となるように含有させ、これを原料溶液とした。
臭化ガリウムが0.1mol/L、ゲルマニウムが原子比で1%となるように、臭化ガリウムと酸化ゲルマニウムを混合して水溶液を調整し、この際、さらに48%臭化水素酸溶液を体積比で10%となるように含有させ、これを原料溶液とした。
臭化ガリウムが0.1mol/L、ケイ素が原子比で0.04%となるように、臭化ガリウムと酸化ケイ素を混合して水溶液を調整し、この際、さらに48%臭化水素酸溶液を体積比で10%となるように含有させ、これを原料溶液とした。
臭化ガリウムが0.1mol/L、ケイ素が原子比で0.04%となるように、臭化ガリウムと酸化ケイ素を混合して水溶液を調整し、これを原料溶液とした。
臭化ガリウムが0.1mol/L、ケイ素が原子比で1%となるように、臭化ガリウムと酸化ケイ素を混合して水溶液を調整し、この際、さらに48%臭化水素酸溶液を体積比で10%となるように含有させ、これを原料溶液とした。
ガリウムアセチルアセトナート0.1mol/Lの水溶液のみを原料溶液とした。
ガリウムアセチルアセトナートが0.1mol/L、スズが原子比で0.04%となるように、ガリウムアセチルアセトナートと酸化スズを混合して水溶液を調整し、これを原料溶液とした。
ガリウムアセチルアセトナートが0.1mol/L、チタンが原子比で0.04%となるように、ガリウムアセチルアセトナートと酸化チタンを混合して水溶液を調整し、これを原料溶液とした。
ガリウムアセチルアセトナートが0.1mol/L、スズが原子比で1%となるように、ガリウムアセチルアセトナートと酸化スズを混合して水溶液を調整し、これを原料溶液とした。
上記2.で得られた原料溶液24aをミスト発生源24内に収容した。次に、被成膜試料20として、1辺が10mmの正方形の基板(厚さ600μm)を試料台21上に設置させ、ヒータ28を作動させて成膜室27内の温度を650℃にまで昇温させた。次に、流量調節弁23を開いてキャリアガス源22からキャリアガスを成膜室27内に供給し、成膜室27の雰囲気をキャリアガスで十分に置換した後、キャリアガスの流量を5L/minに調節した。なお、キャリアガスとして酸素を用い、前記基板として、実施例では、β−Ga2O3基板を用いた。また、比較例では、YSZ基板を用いた。
次に、超音波振動子26を2.4MHzで振動させ、その振動を、水25aを通じて原料溶液24aに伝播させることによって、原料溶液24aを微粒子化させて原料微粒子を生成した。この原料微粒子が、キャリアガスによって成膜室27内に導入され、成膜室27内で反応して、被成膜試料20の成膜面での熱反応によって被成膜試料20上に薄膜を形成した。なお、成膜の時間を調節することにより、膜厚の制御を行った。
上記4.にて得られたβ−Ga2O3薄膜の相の同定をした。同定は、薄膜用XRD回折装置を用いて、15度から95度の角度で2θ/ωスキャンを行うことによって行った。測定は、CuKα線を用いて行った。
また、得られたβ−Ga2O3薄膜の炭素不純物の有無や半値幅を測定した。なお、炭素不純物については、SIMS分析装置を用いて測定した。半値幅については、X線分析装置を用いて測定した。
成膜温度を580℃に代えたこと以外は、実施例1と同様にして結晶性積層構造体を得た。
臭化水素酸を用いなかったこと、および成膜温度を580℃としたこと以外は、実施例1と同様にして結晶性積層構造体を得た。
3 結晶性酸化物薄膜
3a 絶縁性薄膜
3b 導電性薄膜
5 ゲート絶縁膜
7 ゲート電極
9 ソース・ドレイン電極
19 ミスト・エピタキシー装置
20 被成膜試料
21 試料台
22 キャリアガス源
23 流量調節弁
24 ミスト発生源
24a 原料溶液
25 容器
25a 水
26 超音波振動子
27 成膜室
28 ヒータ
Claims (9)
- 原料溶液を微粒子化して生成される原料微粒子をキャリアガスによって成膜室に供給して前記成膜室内に配置された下地基板上に、結晶性酸化物薄膜を結晶成長により形成する結晶性積層構造体の製造方法であって、前記下地基板が、その表面の一部または全部にβ−ガリア構造を有する結晶物を主成分として含み、前記結晶性酸化物薄膜が、β−ガリア構造を有する結晶性酸化物を主成分として含むことを特徴とする結晶性積層構造体の製造方法。
- 前記結晶性酸化物薄膜が、β−Ga2O3を主成分として含む請求項1記載の製造方法。
- 前記結晶性酸化物薄膜が、炭素を実質的に含有せず、半値幅が50arcsec以下である請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記β−ガリア構造を有する結晶物が、β−Ga2O3である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法を用いて得られることを特徴とする結晶性積層構造体。
- 請求項5記載の結晶性積層構造体からなる半導体装置。
- 請求項5記載の結晶性積層構造体を含む半導体装置。
- 請求項5記載の結晶性積層構造体の結晶性酸化物薄膜と電極とを少なくとも備えていることを特徴とする半導体装置。
- 下地基板上に、直接または別の層を介して、β−Ga2O3を主成分として含む結晶性酸化物薄膜を備え、
前記下地基板が、その表面の一部または全部にβ−ガリア構造を有する結晶性酸化物を主成分として含み、
前記結晶性酸化物薄膜が、炭素を実質的に含有せず、半値幅が50arcsec以下であることを特徴とする結晶性積層構造体。
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