JP6939951B1 - 主ロープの振れ抑制装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】主ロープが横振れしたときに横振れを効率よく抑制できる主ロープの振れ抑制装置を提供する。【解決手段】主ロープの振れ抑制装置30は、乗りかご14上方のかご側主ロ—プ群12に取り付けられ、かご側主ロープ群12の振れを抑制する振れ抑制用ロープ52の一端が連結された連結具34と、連結具34と同じ高さ位置に設けられ振れ抑制用ロープ52が架け渡された滑車44と、滑車44の下方に配置され、振れ抑制用ロープ52の他端側を引っ張ることによりかご側主ロープ群12の振れを抑制するアクチュエータ48と、連結具34と滑車44の間に配置され、振れ抑制用ロープ52が弛まないよう同ロープ52に張力を付与する張力付与機構70とを備える。【選択図】図2
Description
本発明は、主ロープの振れ抑制装置に関し、特に、地震等によりエレベータが設置された建物が揺れるのに起因して生じる主ロープの振れを抑制する主ロープの振れ抑制装置に関する。
近年、建築物の高層化が進むにつれ、ロープ式のエレベータにおいて、地震や強風によって建物に揺れが生じた場合における主ロープの振れが問題となっている。
高層建築物に設置されるロープ式エレベータは、かごの昇降路上部の直上に機械室が設けられ、当該機械室にかごを駆動する巻上機が設置されている場合が多い。巻上機の一部を構成する綱車には、主ロープが掛けられており、主ロープの一端側には乗りかごが、他端側には釣合いおもりが各々連結され、各々主ロープによって吊り下げられている。
そして、原動機によって綱車を正転または逆転することにより、鉛直方向に敷設された一対のかご用ガイドレールに案内された乗りかごが昇降される構成となっている。
このような構成のエレベータにおいて、例えば、長周期地震動により建物が揺れると建物最上部から乗りかごを吊り下げている主ロープも建物の揺れとほぼ同じ向きに水平方向に振れる(以下、この水平方向の主ロープの振れを「横振れ」と称する)。
従来、建物に設置された長周期振動感知器によって感知される当該建物の揺れの大きさから主ロープの振れの大きさを推定し、当該主ロープの振れの大きさの程度に応じて、エレベータの管制運転を実施し、一時的にエレベータの運行を停止するなどしている。
しかしながら、建物の振れが収まった後も主ロープの振れが収束するまでの間、エレベータの通常運転を再開できないという問題がある。また、地震や強風により発生する建物揺れの周波数に主ロープが共振した場合には、主ロープの振れが大きくなることも考えられる。このような場合には、主ロープが昇降路内に設置された機器類などに接触して破損させることも起こり得る。そして、機器類が破損してしまうと、保守員などによる修理作業が必要になるため通常運転の再開までにより長い期間を要するという問題もある。
特許文献1には、主ロープに取り付けられたクランプ(連結具)に接続されるとともに、両端側が各々クランプから斜め下方に延びて乗りかご上面の対向する角部に固定設置された滑車に架け渡された状態で同上面中央部のアクチュエータに連結された振れ抑制用ロープを、同アクチュエータでいずれか一方の角部に接近する方向に引っ張ることによりクランプを加振して主ロープの横振れを抑制する主ロープの振れ抑制装置が開示されている。
上記特許文献1に記載の振れ抑制装置では、振れ抑制用ロープが乗りかご上面の対向する角部に各々配置された滑車に架け渡された状態で同上面中央部に設置されたアクチュエータに連結されている。このため、振れ抑制用ロープをどちらか一方の角部に接近する方向に引っ張ろうとすると一方の角部に向かってアクチュエータから延びる振れ抑制用ロープに弛みが生じやすい。このようにして振れ抑制用ロープに弛みが生じてしまうと、アクチュエータの引っ張り力がクランプにスムーズに伝達され難くなる。このため、アクチュエータの駆動力を用いて主ロープの横振れを効率よく抑制するのが難しいという問題がある。
本発明では、主ロープが横振れしたときに横振れを効率よく抑制できる主ロープの振れ抑制装置を提供することを目的とする。
本発明の主ロープの振れ抑制装置は、エレベータ用乗りかごを吊り下げる主ロープに振れが生じたときに、主ロープの振れを抑制する主ロープの振れ抑制装置であり、乗りかご上方の主ロープに取り付けられ主ロープの振れを抑制する振れ抑制用ロープの一端が連結された連結具と、連結具と同じ高さ位置に設けられ、振れ抑制用ロープが架け渡された滑車と、滑車の下方に配置され、振れ抑制用ロープの他端側を引っ張ることにより主ロープの振れを抑制する機能を有する駆動部と、連結具と滑車との間に配置され、振れ抑制用ロープが弛まないように振れ抑制用ロープに張力を付与する張力付与機構と、を備えるものである。
本発明の主ロープの振れ抑制装置において、張力付与機構は、振れ抑制用ロープを下方に付勢する付勢部材と、付勢部材の変位を検知する検知部とを含むのが好ましい。
また、本発明の主ロープの振れ抑制装置において、検知部は、振れ抑制用ロープの上下方向の変位が所定値に達した場合に所定値に達したことを報知する信号を発信するように構成するのが好ましい。
本発明の主ロープの振れ抑制装置によれば、張力付与機構を介して振れ抑制用ロープに張力が付与される。このため、振れ抑制用ロープに弛みが生じ難く、駆動部の駆動力を振れ抑制用ロープを介して主ロープに効率よく伝達することができる。この結果、主ロープの横振れを効率よく抑制することができる。
以下、本発明の一実施形態である主ロープの振れ抑制装置が適用されるエレベータ10について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において、図中に示す「X」は上梁14A−1の長手方向と略平行をなす水平方向Xを示し、「Y」は水平方向Xに直交する水平方向Yを示し、「Z」は水平方向X,Yに各々直交する上下方向Zを示すものとする。また、必要に応じて水平方向XをX方向と、水平方向YをY方向とも表記する。
図1は、エレベータ10の概略構成を示す図である。図1において、図示簡略化のため主ロープ群12は1本のロープとして図示している。図1に示すように、エレベータ10は、トラクション方式のロープ式エレベータであり、複数本の主ロープ12−1,12−2,12−3,…,(図2参照)からなる主ロープ群12の一端側に乗りかご14を支持するかご枠14Aが吊り下げられ、他端側に釣合おもり15が吊り下げられる。かご枠14Aには、主ロープの振れ抑制装置(以下、「振れ抑制装置」と表記する)30が取り付けられている。また、乗りかご14は、昇降路17の壁面に同かご14に対応して設けられている一対のガイドレール(不図示)に沿って上下方向Zに昇降可能に構成されている。同様に、釣合おもり15も、同おもり15に対応して設けられている一対のガイドレール(不図示)に沿って上下方向Zに昇降可能に設けられている。
さらに、かご枠14Aには、乗りかご14の昇降位置によって吊り下げ重量が変動する主ロープ群12やトラベリングケーブル(不図示)などの重量のアンバランスを補償する機能を有する補償ロープ16の一端が接続されている。この補償ロープ16は、昇降路17の底部であるピット17−1に設置された張車19に架け渡されており、他端側が釣合おもり15の下端部に接続される。
主ロープ群12は、昇降路17直上の機械室Mに設置されている巻上機18の綱車18A及びそらせ車18Bに架け渡されており、不図示の巻上機モータにより綱車18Aを正転または逆転させることにより乗りかご14及び釣合おもり15を相対的に昇降させる機能を有する。また、機械室Mには、巻上機18等の運転や振れ抑制装置30の動作を統括的に制御する制御部20が設けられている。なお、本実施形態では、機械室Mに設けられた制御部20により振れ抑制装置30の動作を制御しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、乗りかご14の上面14Rに振れ抑制装置30の動作を制御する制御部を設けるようにしてもよい。
以下の説明では、主ロープ群12における乗りかご14を吊り下げている部分をかご側主ロープ群12Aと称し、釣合おもり15を吊り下げている部分を釣合おもり側主ロープ群12Bと必要に応じて呼称する。上記の定義に従えば、主ロープ群12に占めるかご側主ロープ群12Aと、釣合おもり側主ロープ群12Bの長さは乗りかご14の昇降位置によって変動する。ここで、図1に1点鎖線で示すかご側主ロープ群12Aは、かご側主ロープ群12Aが横振れ(後段に詳述)したときの状態の一例を模式的に示すものである。
図2(a)は、振れ抑制装置30の斜視図である。図2(b)は、振れ抑制装置30の平面図である。図2(b)において、図示が頻雑なものとなるのを避けるため上梁14A−1および連結具34よりも下方のかご側主ロープ群12Aの図示を省略するとともに、かご側主ロープ群12Aの断面ハッチングを省略している。図3は、振れ抑制装置30の側面視における構成を示す図である。
図2(a)〜図3に示すように、振れ抑制装置30は、かご側主ロープ群12Aが水平方向に振れた(以下、この水平方向におけるかご側主ロープ群12Aの振れを「横振れ」と称する)場合において、かご側主ロープ群12Aの横振れを抑制する機能を有する。振れ抑制装置30は、支持体32と、乗りかご14の上方に位置するかご側主ロープ群12Aに取り付けられた連結具34と、かご側主ロープ群12Aの横振れを抑制する2つの振れ抑制ユニット40,42とを備える。
支持体32は、かご枠14Aの一部を構成する上梁14A−1に取り付けられており、かご側主ロープ群12Aを取り囲むように設けられた上面視略四角枠状をなす構造体である。
図2(a)〜図3に示すように、各振れ抑制ユニット40,42は、上面視において互いに直交するように配置されている。ここで、各振れ抑制ユニット40,42はほぼ同一の構成を備えているため、以下の説明では、主に振れ抑制ユニット40についてのみ説明を行い、振れ抑制ユニット42については適宜説明を省略する。
図2(a)〜図3に示すように、振れ抑制ユニット40は、連結具34に連結された振れ抑制用ロープ52,54を介してかご側主ロープ群12Aの横振れを抑制する機能を有する。また、振れ抑制ユニット40は、連結具34を間に挟んで対向するとともに連結具34と同じ高さ位置に各々設置された滑車44,46と、両滑車44,46に各々架け渡された振れ抑制用ロープ52,54に張力を付与するアクチュエータ(駆動部)48および弾性ユニット49を備える。
また、振れ抑制ユニット40は、両滑車44,46を各々回動可能に支持する回動機構60,61と、両滑車44,46に架け渡された振れ抑制用ロープ52,54に張力を付与する張力付与機構70,71とを含む。
以下の説明において、各回動機構60,61の構成は同一であるため、主に回動機構60の構成について説明を行うとともに、回動機構61については適宜説明を省略する。また、張力付与機構70,71の構成は各々同一であるため、主に張力付与機構70の構成について説明を行うとともに、張力付与機構71については適宜説明を省略する。また、以下の説明において、振れ抑制用ロープ52のうち、滑車44よりも連結具34側に位置する部分を連結具側振れ抑制用ロープ52Aと呼称し、滑車44よりもアクチュエータ48側に位置する部分を駆動側振れ抑制用ロープ52Bと必要に応じて呼称する。
ここで、図4は、回動機構60および張力付与機構70を含む滑車44周辺の構成を示す図である。図4に示すように、回動機構60は、支持体32の一部を構成する上部フレーム32−1に取り付けられた台座62と、水平方向に沿って台座62に回動可能に支持される可動台64とを含む。より具体的には、可動台64は、後段にて詳述する筒状軸63を介して台座62に回動可能に支持される。また、可動台64には、上述した滑車44を軸支する支持部44−1が設置される。台座62および可動台64は、各々平面視略長方形状を呈するプレートによって構成される。
上記構成により、振れ抑制用ロープ52が連結具34(図3参照)を引っ張るときに連結具34の位置に応じて滑車44を回動させることができる。このため、アクチュエータ48が駆動側振れ抑制用ロープ52Bを引っ張る力を連結具側振れ抑制用ロープ52Aを介して連結具34に効率よく作用させることが可能となる。
筒状軸63は、図2(a)および図2(b)に示すように平面視において略円環状を呈する中空構造63Aを軸の中心部に有し台座62および可動台64を各々厚み方向に貫通するように取り付けられている。筒状軸63は、図2(b)に1点鎖線および2点鎖線で示すように可動台64を台座62に回動可能に支持させる役割を有する。また、駆動側振れ抑制用ロープ52Bは筒状軸63に挿通された状態でアクチュエータ48から滑車44に向かって延びるように配置される。
ここで、可動台64および台座62に対する筒状軸63の取り付け位置は、駆動側振れ抑制用ロープ52Bが連結具34に張力を作用させている状態で、同ロープ52Bが滑車44からアクチュエータ48に向かって延びる位置に中空構造63Aが位置するように設定するのが好適である。
これにより、図2(b)に1点鎖線および2点鎖線で示すように、平面視において、可動台64が回動するときの回動中心の位置を上下方向に延びる駆動側振れ抑制用ロープ52B(図2(a)参照)の周辺とすることができる。このため、滑車44を搭載した可動台64が回動する際、駆動側振れ抑制用ロープ52Bの水平方向における変位が低減され、滑車44の回動に伴う駆動側振れ抑制用ロープ52Bの横振れを抑制できる。この結果、滑車44の回動動作に伴って駆動側振れ抑制用ロープ52Bが弛んだり、或いは、滑車44から脱落するといったことを防止できる。
張力付与機構70は、図4に示すように、滑車44よりも連結具34に近接するように可動台64に設置されており、張力付与滑車(付勢部材)72と、同滑車72が取り付けられた支持アーム73とを含む。この支持アーム73は、可動台64に固定設置された支持部73−1と、支持部73−1に取り付けられたガイドレールGLを介して上下方向Zに移動可能に支持される可動アーム73−2とを含む。可動アーム73−2の上端部には、張力付与滑車72が軸支されている。また、可動アーム73−2と支持部73−1との間には、弾性バネ74が取り付けられている。この弾性バネ74は、可動アーム73−2を介して張力付与滑車72に弾性力を作用させる機能を有する。
そして、張力付与滑車72は、自重および弾性バネ74の弾性力により連結具側振れ抑制用ロープ52Aを下方に付勢する機能を有する。これにより、連結具側振れ抑制用ロープ52Aの弛みを抑制することができる。
また、図4に示すように、張力付与機構70には、張力付与滑車72の上下方向Zにおける変位を検知する距離検知センサ(検知部)80が設けられている。この距離検知センサ80は、接触式のセンサであり、可動アーム73−2の側面に取り付けられた検知片82と、検知片82の直下方に配置された検知ユニット84とを含む。検知片82は、略水平方向に延びるとともに先端部82Aが下方に膨らむように形成される。一方、検知ユニット84は、上端部84Aが支持アーム73に近接するように略水平に折れ曲がってなる略L字状の外観形状を具備し、検知片82の先端部82Aが上端部84Aに接触するのを検知する機能を有する。
検知ユニット84の上端部84Aは、可動アーム73−2が基準上下方向位置から下方に所定距離Tだけ下降したときに検知片82の先端部82Aに当接する位置に設置される。可動アーム73−2の基準上下方向位置は、例えば、振れ抑制用ロープ52を滑車44に架け渡した状態で張力付与滑車72を用いて連結具側振れ抑制用ロープ52Aを下方に付勢するよう設置した初期状態、すなわち、振れ抑制用ロープ52に経年使用による伸びが生じていない状態における可動アーム73−2の上下方向位置などに基づいて設定すればよい。
上記構成により、張力付与滑車72の位置が基準上下方向位置から所定距離Tだけ下降したことを距離検知センサ80によって検知することができる。距離検知センサ80は、張力付与滑車72の上述した下降を検知すると、異常検知信号を後述する制御部20に送信する。
これにより、経年使用によって振れ抑制用ロープ52に伸びが生じたり、或いは、振れ抑制用ロープ52が滑車44から脱落したことなどに起因して張力付与滑車72の位置が下降した場合に、同滑車72の下降を検知することができる。
本実施形態では、接触式の距離検知センサ80を用いて張力付与滑車72の上下方向位置を検知しているが、例えば、光学式変位センサや超音波式変位センサなどの非接触式の距離検知センサを用いてもよい。
また、本実施形態では、基準上下方向位置から所定距離Tだけ張力付与滑車72が下降したときに距離検知センサ80が異常検知信号を送信しているが、所定時間間隔ごとに張力付与滑車72の上下方向位置を制御部20に送信するようにしてもよい。この場合には、張力付与滑車72の上下方向位置を経時的に把握することができるので、より精度高く上下方向位置を確認すること可能となる。
本実施形態では、振れ抑制用ロープ52,54を用いてかご側主ロープ群12Aを引っ張るよう構成しているが、このうち振れ抑制用ロープ52のみ用いてかご側主ロープ群12Aを引っ張るようにしてもよい。この場合においても、振れ抑制用ロープ52をアクチュエータ48が引っ張ることによりかご側主ロープ群12Aの振れを抑制することが可能である。
また、図2(a)に示すように、滑車44には、振れ抑制用ロープ52の脱落を防ぐため外れ止め44A,44B,44Cを設けてもよい。これにより、振れ抑制用ロープ52が滑車44から脱落するのをより確実に防止できる。滑車46は、滑車44と同一の構成を備える。
図3に示すように、連結具34は、乗りかご14の上面14Rから予め設定した距離Lだけ離れた上方位置でかご側主ロープ群12Aに取り付けられた板状部材である。ここで、かご側主ロープ群12Aの横振れを抑制する効果を充分に得るために距離Lは0.5m以上とすることが好適である。
一方で、安全確保の観点から、最上階に停止(着床)した状態で振れ抑制装置30の最上部と昇降路17の天井17R(図1参照)との間の距離が所定値よりも大きくなるように設定する必要があるため、距離Lを1.9m以内とすることが好ましい。従って、距離Lは、0.5m≦L≦1.9mの範囲に収まるよう設定するのが好適である。
また、かご側主ロープ群12Aを構成する各主ロープ12−1,12−2,12−3,…は、各主ロープ12−1,12−2,12−3,…に対応して連結具34に設けられている貫通孔に各々挿通される。ここで、各主ロープ12−1,12−2,12−3,…は、連結具34に対して上下方向Zに移動可能な状態としてもよいし、ボルトなどの固定金具を用いて連結具34に固定するようにしてもよい。
図2(b)に示すように、振れ抑制用ロープ52,54は、各々、上下方向Zに略平行な軸周りに回転自在な継手34A,34Bを介して一端側の端部を連結具34に連結するのが好ましい。このように継手34A,34Bを用いることにより、かご側主ロープ群12Aが横振れしているときに振れ抑制用ロープ52,54に作用する同ロープ52,54を曲げようとする力を各々緩和することができる。なお、継手34A,34Bとして自在継手(ユニバーサルジョイント)を用いてもよい。
また、滑車44に架け渡されている振れ抑制用ロープ52の他端側の端部は、同滑車44の直下方の支持体32側面に取り付けられたアクチュエータ48に接続されている。アクチュエータ48は、油圧式または電動式のアクチュエータを用いるのが好ましい。一方、滑車46に架け渡されている振れ抑制用ロープ54の他端側の端部は、同滑車46の直下方の支持体32側面に取り付けられた弾性ユニット49に接続されている。この弾性ユニット49には、弾性バネ(不図示)が格納されており、同バネの弾性力によって振れ抑制用ロープ54に張力が付与される。
上記構成により、かご側主ロープ群12Aが横振れしていない状態で、振れ抑制用ロープ52,54を介して連結具34が水平方向Xと略平行な方向において互いに反対方向に引っ張られる。さらに、連結具34は、振れ抑制用ロープ53,55を介して水平方向Yと略平行な方向において互いに反対方向に引っ張られる。このように、連結具34は、水平方向Xおよび水平方向Yと各々略平行な方向に引っ張られた状態で支持体32中央の原点位置Pに保持される。
また、上述のように、アクチュエータ48および弾性ユニット49を用いて振れ抑制用ロープ52,54を互いに反対向きに引っ張るよう構成している。このため、アクチュエータ48の駆動に伴って振れ抑制用ロープ52に作用する張力が変化すると、反対側の振れ抑制用ロープ54に弾性ユニット49が作用させる張力も追従して変化する。この結果、アクチュエータ48が駆動する際、振れ抑制用ロープ52,54に弛みや撓みが生じ難いという利点がある。
本実施形態では、振れ抑制ユニット40は、弾性ユニット49を備えているが、弾性ユニット49の代わりにアクチュエータ48と同一構成からなるアクチュエータを備えるようにしてもよい。この場合には、振れ抑制用ロープ54をアクチュエータが引っ張ることにより、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
アクチュエータ48は、支持体32の側面に取り付けられており、かご側主ロープ群12Aが横振れしたときに振れ抑制用ロープ52を引っ張る機能を有する。このように、乗りかご14の上面14Rではなく、支持体32の側面にアクチュエータ48を取り付けることにより、アクチュエータ48の駆動音が乗りかご14内に伝わり難くできる。
制御部20(図1参照)は、振れ抑制ユニット40の異常を報知する異常検知ランプ22Aを備える。制御部20は、上述した距離検知センサ80の異常検知信号を受信したときの異常検知ランプ22Aを点灯させる。これにより、保守点検時に振れ抑制ユニット40の異常を報知し保守員に点検を促すことができる。
また、制御部20は、昇降路17内に、複数設置されているロープ振れ検知センサ(不図示)を介してかご側主ロープ群12Aの振れを検知し、検知結果に基づいてかご側主ロープ群12Aの横振れを抑制するように振れ抑制装置30の動作を制御する。より具体的には、制御部20は、建物揺れによって生じたかご側主ロープ群12Aの横振れである入射波に対し、この入射波を打ち消す反射波が発生するよう振れ抑制ユニット40,42にかご側主ロープ群12Aを加振、換言すると、横振れさせるよう制御を行うことなどが考えられる。これにより、かご側主ロープ群12Aの横振れを抑制することができる。
制御部20における振れ抑制装置30の動作制御については、シミュレーションなどを用いてかご側主ロープ群12Aの横振れを抑制するのに適切な動作パターンを予め算出して用いてもよい。また、かご側主ロープ群12Aを実際に横振れさせた状態で振れ抑制装置30を動作させるなどしてかご側主ロープ群12Aの横振れを抑制させる上で適切な動作パターンを実験的に算出するようにしてもよい。
本実施形態において、制御部20は、ロープ振れ検知センサ(不図示)から取得されるかご側主ロープ群12Aの位置情報に基づき、上下方向Zにおいてかご側主ロープ群12Aの振れ幅が最大となる位置を割り出す。そして、制御部20は、上記振れ幅が最大となる位置における同ロープ群12Aの振れ幅のX,Y方向成分を各々算出し、このX,Y方向成分の大きさに基づいて振れ抑制装置30の駆動を制御する。
より具体的には、制御部20は、上述したX方向成分に基づいて振れ抑制ユニット40の駆動を制御するとともに、上述したY方向成分に基づいて振れ抑制ユニット42の駆動を制御する。このように、かご側主ロープ群12Aの横振れのX方向成分およびY方向成分を各々振れ抑制ユニット40,42で別々に抑制する。
次に、制御部20における振れ抑制ユニット40,42に対する動作制御について図5(a),図5(b)を用いて説明する。図5(a)は、双方のアクチュエータ48,58から離れる方向にかご側主ロープ群12Aが横振れした状態を示す図であり、これに対して図5(b)は図5(a)と反対側、すなわち、双方のアクチュエータ48,58に接近する方向にかご側主ロープ群12Aが横振れした状態を示す図である。図5(a)および図5(b)において、上述した原点位置Pを1点鎖線で示している。
各振れ抑制ユニット40,42に対する動作制御はほぼ同一であるため、以下において振れ抑制ユニット40に対する動作制御について主に説明を行うものとし、振れ抑制ユニット42については適宜説明を省略する。
ここで、図5(a)および図5(b)に示すように、かご側主ロープ群12Aは原点位置PからE1方向に横振れして位置P1に至るとともに、位置P1で振れ方向がE2方向に変化して再び原点位置Pを通過し反対側の位置P2に至り、位置P2で振れ方向がE1方向に変化して原点位置Pに向かうよう横振れしているものとする。また、原点位置Pと位置P1との間を領域Aとし、原点位置Pと位置P2との間を領域Bとする。
さらに、弾性ユニット49が振れ抑制用ロープ54を引っ張る張力を張力Ts、アクチュエータ48が振れ抑制用ロープ52を引っ張る張力をTaとする。本実施形態では、X方向における張力の大きさは、振れ抑制用ロープ54に作用する張力Tsの方が振れ抑制用ロープ53,55に作用する張力よりも充分に大きいため、振れ抑制用ロープ54に作用する張力Tsのみ考慮して振れ抑制用ロープ52に作用させる張力Taを設定する。
図5(a)に示すように、本実施形態では、ロープ振れ検知センサ(不図示)によってかご側主ロープ群12Aの振れを検知し、制御部20がアクチュエータ48の駆動を制御する。より具体的には、連結具34が領域Aにおいて横振れしている場合には、Ts≧Taとなるように制御部20がアクチュエータ48の駆動を制御すればよい。
一方、図5(b)に示すように、連結具34が領域Bにおいて横振れしている場合には、Ta≧Tsとなるように制御部20がアクチュエータ48の駆動を制御すればよい。また、この際、位置P2において張力Taが最大張力となるようアクチュエータ48の駆動を制御するのが、かご側主ロープ群12Aの横振れを早期に抑制する上で好適である。
さらに、制御部20における振れ抑制ユニット40,42に対する動作制御について図6(a),図6(b)を参照しつつ説明を行う。図6(a)は、アクチュエータ58及び弾性ユニット49に接近する方向にかご側主ロープ群12Aが横振れした状態を示す図であり、図6(b)は反対側のアクチュエータ58及び弾性ユニット49から離間する方向にかご側主ロープ群12Aが横振れした状態を示す図である。図6(a)および図6(b)において、上述した原点位置Pを1点鎖線で示している。
図6(a)および図6(b)に示すように、かご側主ロープ群12Aが原点位置PからE3方向に横振れして位置P3に至るとともに、位置P3において振れ方向がE4方向に変化して再び原点位置Pを通過して位置P4に至り、位置P4で振れ方向がE3方向に変化して原点位置Pに向かうよう横振れするものとする。ここで、原点位置Pと位置P3との間を領域Cとし、原点位置Pと位置P4との間を領域Dとする。
図6(a)に示すように、連結具34が領域Cにおいて横振れしている場合には、領域Aの場合と同様に、Ts≧Taとなるように、制御部20はアクチュエータ48の駆動を制御すればよい。一方、図6(b)に示すように、連結具34が領域Dにおいて横振れしている場合には、領域Bの場合と同様に、Ta≧Tsとなるように、制御部20はアクチュエータ48の駆動を制御すればよい。また、この際、位置P4において張力Taが最大張力となるようにアクチュエータ48の駆動を制御するのが、かご側主ロープ群12Aの横振れを早期に抑制する上で好適である。
本実施形態では、アクチュエータ48が振れ抑制用ロープ52に作用させる張力Taの大きさを振れ抑制用ロープ54の張力Tsの大きさを考慮して設定しているが、張力Tsに補正係数を乗じて得た補正値との大小関係を考慮して張力Taを設定するようにしてもよい。また、振れ抑制用ロープ54の張力TsのうちX方向の分力と、振れ抑制用ロープ53の張力のうちX方向の分力とを合算した値との大小関係を踏まえてアクチュエータ48が振れ抑制用ロープ52に作用させる張力Taを設定するようにしてもよい。
本実施形態の主ロープの振れ抑制装置30によれば、張力付与機構70を介して振れ抑制用ロープ52に張力が付与される。このため、振れ抑制用ロープ52に弛みが生じ難く、アクチュエータ48の駆動力、換言すると、引張力を振れ抑制用ロープ52を介してかご側主ロープ群12Aに効率よく伝達することができる。この結果、かご側主ロープ群12Aの横振れを効率よく抑制することができる。
なお、本実施形態では、振れ抑制ユニット40,42を直交配置することによりかご側主ロープ群12Aの横振れを抑制する例を挙げているが、振れ抑制ユニット40,42のいずれか一方のみを備えるものとしてもよい。この場合においてもかご側主ロープ群12Aの横振れを抑制することが可能である。
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
10 エレベータ
12 主ロープ群
12−1,12−2,12−3 主ロープ
12A かご側主ロープ群
12B 釣合おもり側主ロープ群
14 乗りかご
14A かご枠
14A−1 上梁
30 振れ抑制装置(主ロープの振れ抑制装置)
32 支持体
34 連結具
34A,34B 継手
44,45,46 滑車
48,58 アクチュエータ(駆動部)
49 弾性ユニット
52,53,54,55 振れ抑制用ロープ
60,61 回動機構
62 台座
63 筒状軸
64 可動台
70,71 張力付与機構
72 張力付与滑車(付勢部材)
73 可動アーム
73−1 支持部
73−2 可動アーム
74 弾性バネ
80 距離検知センサ(検知部)
82 検知片
84 検知ユニット
P 原点位置
P1,P2,P3,P4 位置
X,Y 水平方向
Z 上下方向
12 主ロープ群
12−1,12−2,12−3 主ロープ
12A かご側主ロープ群
12B 釣合おもり側主ロープ群
14 乗りかご
14A かご枠
14A−1 上梁
30 振れ抑制装置(主ロープの振れ抑制装置)
32 支持体
34 連結具
34A,34B 継手
44,45,46 滑車
48,58 アクチュエータ(駆動部)
49 弾性ユニット
52,53,54,55 振れ抑制用ロープ
60,61 回動機構
62 台座
63 筒状軸
64 可動台
70,71 張力付与機構
72 張力付与滑車(付勢部材)
73 可動アーム
73−1 支持部
73−2 可動アーム
74 弾性バネ
80 距離検知センサ(検知部)
82 検知片
84 検知ユニット
P 原点位置
P1,P2,P3,P4 位置
X,Y 水平方向
Z 上下方向
Claims (3)
- エレベータ用乗りかごを吊り下げる主ロープに振れが生じたときに、前記主ロープの振れを抑制する主ロープの振れ抑制装置であって、
前記乗りかご上方の前記主ロープに取り付けられ前記主ロープの振れを抑制する振れ抑制用ロープの一端が連結された連結具と、
前記連結具と同じ高さ位置に設けられ、前記振れ抑制用ロープが架け渡された滑車と、
前記滑車の下方に配置され、前記振れ抑制用ロープの他端側を引っ張ることにより前記主ロープの振れを抑制する機能を有する駆動部と、
前記連結具と前記滑車との間に配置され、前記振れ抑制用ロープが弛まないように前記振れ抑制用ロープに張力を付与する張力付与機構と、
を備えることを特徴とする主ロープの振れ抑制装置。 - 前記張力付与機構は、前記振れ抑制用ロープを下方に付勢する付勢部材と、前記付勢部材の変位を検知する検知部とを含む、
請求項1に記載の主ロープの振れ抑制装置。 - 前記検知部は、前記振れ抑制用ロープの上下方向の変位が所定値に達した場合に前記所定値に達したことを報知する信号を発信するように構成されている、
請求項2に記載の主ロープの振れ抑制装置。
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JP2020097725A JP6939951B1 (ja) | 2020-06-04 | 2020-06-04 | 主ロープの振れ抑制装置 |
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