JP6938986B2 - 粒子形状の評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スラリー中の粒子の形状を評価する評価方法に関する。
例えば、電子機器における配線層や電極等の形成には、樹脂型ペーストや焼成型ペースト、電磁波シールド塗料のような、銀粉や銀コート銅粉等の金属フィラーを使用したペーストや塗料が多用されている。銀粉や銀コート銅粉の金属フィラーペーストは、各種基材上に塗布又は印刷され、加熱硬化あるいは加熱焼成の処理を受けて、配線層や電極等となる導電膜を形成する。
樹脂型導電性ペーストは、金属フィラーと、樹脂、硬化剤、溶剤等からなり、導電体回路パターン又は端子の上に印刷され、100℃〜200℃で加熱硬化させて導電膜となり、配線や電極を形成する。樹脂型導電性ペーストは、熱によって熱硬化型樹脂が硬化収縮するために金属フィラーが圧着され相互に接触することで金属フィラー同士が重なり、その結果電気的に接続した電流パスが形成される。この樹脂型導電性ペーストは、硬化温度が200℃以下で処理することから、プリント配線板等の熱に弱い材料を用いる基板に使用されている。
また、焼成型導電性ペーストは、金属フィラーと、ガラス、溶剤等からなり、導電体回路パターン又は端子の上に印刷され、600℃〜800℃に加熱焼成して導電膜となり、配線や電極を形成する。焼成型導電性ペーストは、高い温度によって処理することで、金属フィラー同士が焼結して導通性が確保されるものである。この焼成型導電性ペーストは、このように高い焼成温度で処理されるため、樹脂材料を使用するようなプリント配線基板には使用できない点があるが、高温処理で金属フィラーが焼結することから低抵抗を実現することが可能となる。そのため、焼成型導電性ペーストは、積層セラミックコンデンサの外部電極等に使用されている。
一方、電磁波シールドは、電子機器からの電磁気的なノイズの発生を防止するために使用されるもので、特に近年では、パソコンや携帯の筐体が樹脂製になったことから、筐体に導電性を確保するために、蒸着法やスパッタ法で薄い金属皮膜を形成する方法や、導電性の塗料を塗布する方法、導電性のシートを必要な箇所に貼り付けて電磁波をシールドする方法等が提案されている。その中でも、樹脂中に金属フィラーを分散させて塗布する方法や樹脂中に金属フィラーを分散させてシート状に加工してそれを筐体に貼り付ける方法では、加工工程において特殊な設備を必要とせず自由度に優れており多用されている。
しかしながら、このような金属フィラーを樹脂中に分散させて塗布する場合やシート状に加工する場合においては、金属フィラーの樹脂中における分散状態が一様にならないため、電磁波シールドの効率を得るために金属フィラーの充填率を高める等の方法が必要となる。ところが、その場合には、多量の金属フィラーの添加することによってシート重量が重くなるとともに、樹脂シートの可撓性を損なう等の問題が発生していた。そのため、例えば特許文献1においては、それらの問題を解決するために平板状の金属フィラーを使用する方法が提案されており、このことによって、電磁波シールド効果に優れ、可撓性も良好な薄いシートを形成することができるとしている。
ここで、平板状の銅粉を作製するために、例えば特許文献2では、導電性ペーストのフィラーに適したフレーク状銅粉を得る方法が開示されている。具体的には、平均粒径0.5〜10μmの球状銅粉を原料として、ボールミルや振動ミルを用いて、ミル内に装填したメディアの機械的エネルギーにより機械的に平板状に加工するものである。
また、例えば特許文献3では、導電性ペースト用銅粉末、詳しくはスルーホール用及び外部電極用銅ペーストとして高性能が得られる円盤状銅粉末及びその製造方法に関する技術が開示されている。具体的には、粒状アトマイズ銅粉末を媒体攪拌ミルに投入し、粉砕媒体として1/8〜1/4インチ径のスチールボールを使用して、銅粉末に対して脂肪酸を重量で0.5〜1%添加し、空気中あるいは不活性雰囲気中で粉砕することによって平板状に加工するものである。
一方、これら導電性ペーストや電磁波シールド用に使用されている金属フィラーとしては、銀粉が多く用いられているが、低コスト化の流れにより、銀粉より安価な銅粉の表面に銀をコートすることで銀の使用量を低減させた銀コート銅粉を使用する傾向にある。
銅粉の表面に銀を被覆する方法としては、置換反応によって銅表面に銀を被覆する方法と、還元剤が含まれる無電解めっき溶液中で銀を被覆する方法がある。
置換反応によって銀を被覆する方法では、溶液中で銅が溶出するときに発生した電子によって銀イオンが還元されることで銅表面に銀の被膜が形成される。例えば特許文献4には、銀イオンが存在する溶液中に銅粉を投入することで、銅と銀イオンの置換反応によって銅表面に銀の被膜が形成される製造方法が開示されている。しかしながら、この置換反応による方法では、銅表面に銀の被膜が形成されると、それ以上の銅の溶解が進行しないため、銀の被覆量を制御できないという問題がある。
その問題を解決するために、還元剤が含まれた無電解めっき液で銀を被覆する方法がある。例えば特許文献5には、還元剤が溶存した溶液中で銅粉と硝酸銀との反応によって銀を被覆した銅粉を製造する方法が提案されている。
さて、銅粉としては、デンドライト状と呼ばれる樹枝状に析出した電解銅粉が知られており、形状が樹枝状になっていることから表面積が大きいことが特徴となっている。このようにデンドライト状の形状であることにより、これを導電膜等に用いた場合には、そのデンドライトの枝が重なり合い、導通が通りやすく、また球状粒子に比べて粒子同士の接点数が多くなることから、導電性ペースト等における導電性フィラーの量を少なくすることができるという利点がある。例えば、特許文献6及び7には、デンドライト状を呈した銅粉表面に銀を被覆した銀被覆銅粉が提案されている。
具体的に、特許文献6及び7には、デンドライト状により一層成長したものとして、主軸から分岐した長い枝が特徴のデンドライトが開示されており、その銀被覆銅粉は、従来のデンドライトよりも粒子同士の接点が多くなることで導通性が向上し、導電性ペースト等に用いると導電性粉末の量を少なくしても導電性を高めることができるとしている。
一方、樹枝状の銅粉を導電性ペーストや電磁波シールド用樹脂等の金属フィラーとして利用する場合に、その金属フィラーが樹枝状に発達した形状であると、樹枝状の銅粉同士が必要以上に絡み合ってしまうため、凝集が生じやすくなり、また流動性が低下して非常に扱い難くなり、生産性を低下させることの指摘が特許文献8に示されている。なお、特許文献8では、電解銅粉自体の強度を高めるため、電解銅粉を析出させるための電解液の硫酸銅水溶液中にタングステン酸塩を添加することで、電解銅粉自体の強度を向上させ、樹枝を折れ難くし、高い強度に成形することができるとしている。
このように、樹枝状の銅粉を導電性ペースト等の金属フィラーとして用いるのは容易でなく、ペーストの導電性の改善がなかなか進まない原因ともなっている。
導電性を確保するためには、3次元的な形状を有する樹枝状形状の方が粒状のものよりも接点を確保しやすく、導電性ペーストや電磁波シールドとして高い導電性を確保することが期待できる。しかしながら、従来のデンドライト状の形状を呈した銀被覆銅粉では、主軸から分岐した長い枝が特徴であるデンドライトであって、細長い枝状の形状であったことから、接点を確保する点から考えると構造が単純であり、より少ない銀被覆銅粉を用いて効果的に接点を確保する形状としては理想的な形状となっていない。
これらの問題を解決するために特許文献9には、直線的に成長した主幹と該主幹から分かれた複数の枝とを有する樹枝状の形状をなし、主幹及び枝は平板状の粒子が集合して構成される、銀コート銅粉が開示されている。この銀コート銅粉は、樹枝状であることの3次元的効果と、その樹枝状の形状を構成する粒子が平板状であることの効果により、銀コート銅粉同士の接点をより多く確保することができ、導電性ペーストや電磁波シールの金属フィラーとして使用したときに高い導電性が得られるとされている。
特開2003−258490号公報 特開2005−200734号公報 特開2002−15622号公報 特開2000−248303号公報 特開2006−161081号公報 特開2013−89576号公報 特開2013−100592号公報 特開2011−58027号公報 特許5907301号公報
ところで、例えば特許文献9に開示された銀コート銅粉は、フェナジン構造等を有する添加剤と、ノニオン界面活性剤と、塩化物イオンとを含有する硫酸酸性銅電解液から、陰極板上へ電解法により析出させた樹枝状銅粉に銀を被覆して作製されるが、この樹枝状銅粉を構成する平板状の粒子の断面平均厚さや樹枝状銅粉の平均粒子径等の形状を表す指標は、電解液中の添加剤、ノニオン界面活性剤、塩化物イオン、銅イオンの各濃度に影響を受ける。これらの電解液中の濃度は、電解中の消耗や樹枝状銅粉取り出し時の付着により刻々と変化するため、樹枝状銅粉を製造するに際しては、これらの濃度を適切な範囲に管理することのみならず、得られた樹枝状銅粉が所望の形状を有しているか否かを析出させた直後の段階で評価できる手法が望まれている。
そこで本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、粒子の形状を、容易かつ迅速に評価することができる粒子形状の評価方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、光を反射させやすい面を有する粒子の形状と反射率との間には相関関係があり、その反射率を指標とすることによって、粒子の形状を容易かつ迅速に評価できることを見出し、本発明を解決するに至った。すなわち、本発明は以下のものを提供する。
(1)本発明の第1の発明は、スラリー中の粒子の形状を評価する方法であって、前記スラリーを分取し測定セルに移送して前記粒子を沈降させ、前記測定セルの底部に粒子を充填する工程と、前記測定セルの底部に充填した粒子を固定化する工程と、前記測定セルを分光光度計に装填し、前記充填した粒子の反射率を測定する工程と、を有する、粒子形状の評価方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記測定セルの底部に充填した粒子を、遠心分離により固定化する、粒子形状の評価方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記測定セルは、スクリューキャップ付きセルである、粒子形状の評価方法である。
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記粒子は、銅粉である、粒子形状の評価方法である。
(5)本発明の第5の発明は、第4の発明において、前記粒子は、電解法により析出させた銅粉である、粒子形状の評価方法である。
(6)本発明の第6の発明は、第4又は第5の発明において、前記反射率の測定波長は、300nm〜500nmである、粒子形状の評価方法である。
(7)本発明の第7の発明は、第1乃至第6のいずれかの発明において、さらに、前記粒子の反射率と所定の基準反射率とに基づき、前記粒子が所望の形状を有しているか否かを判定する工程を有する、粒子形状の評価方法である。
本発明に係る粒子形状の評価方法によれば、粒子の形状を、容易かつ迅速に評価することができる。
粒子形状の評価方法の手順を示す図である。 測定セルの具体例を模式的に示した斜視図である。 実験例1の樹枝状銀コート銅粉を走査電子顕微鏡(SEM)により倍率5000倍で観察した時の観察像を示す写真図である。 実験例3の樹枝状銀コート銅粉をSEMにより倍率5000倍で観察した時の観察像を示す写真図である。 実験例4の樹枝状銀コート銅粉をSEMにより倍率5000倍で観察した時の観察像を示す写真図である。 実験例1〜5の銅粉の反射率と被膜の比抵抗値(体積抵抗率)の関係を示す図である。
以下、本発明に係る銀コート銅粉の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
すなわち、以下では、具体的な粒子として電解法により析出させた銅粉(樹枝状銅粉)及びその銅粉の表面に銀を被覆した銀コート銅粉を形状評価対象の例として説明しているが、これに限定されるものではなく、例えば粉砕法にて作製したフレーク粉等の形状を制御された粒子を含むスラリーであれば、適用は可能である。
なお、本明細書にて、「X〜Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
≪粒子形状の評価方法≫
本実施の形態に係るスラリー中の粒子形状の評価方法では、図1に示す通り、粒子を含むスラリーを分取し測定セルに移送して粒子を沈降させ、測定セル底部に粒子を充填する工程と、測定セルの底部に充填された粒子を固定化する工程と、この測定セルを分光光度計に装填し固定化した粒子の反射率を測定する工程とを備えている。以下、各工程についてさらに詳細に説明する。
<1.測定セル底部に粒子を充填する工程>
測定セル底部に粒子を充填する工程(以下、「充填工程」ともいう)では、分析試料として評価の対象となる粒子を含むスラリーを用意し、このスラリーを分取して、分光光度計に装填できる測定セルに移送する。
測定セルとしては、分光光度計に応じて適切に選択すればよいが、後述する充填された粒子を固定化する工程で遠心分離する場合には、キャップ付きの測定セルを用いることが好ましく、スクリューキャップ付きの測定セルを用いることがより好ましい。キャップ付きの測定セルとすることで、遠心分離の操作を容易とすることができる。
充填工程では、スラリーを測定セル内に移送後、含有する粒子を底部に沈降させて粒子を充填する。沈降させる操作としては、デカンテーション等の公知の方法を用いればよい。後述するように、粒子の反射率を分光光度計で測定するためには、装置に応じた所定の試料量が必要である。1回の移送でその必要量が確保できればよいが、不足している場合には、溶媒である上澄み液を廃棄して、さらにスラリーを分取して測定セル内に追加で移送してから粒子を沈降させる一連の操作を繰り返して、測定セルの底部に沈降して充填された粒子の高さが分光光度計による測定に必要とされる量とする。
<2.充填した粒子を固定化する工程>
次に、充填した粒子を固定化する工程(以下、「固定化工程」ともいう)では、測定セルの底部に充填した粒子を固定化する。粒子を固定化することで、測定セルを輸送したり分光光度計に装填したりするときの振動等で粒子が溶媒中に再分散することを防止することができる。さらに、固定化によって充填状態が均一化して密度も増すため、反射率の測定精度を向上させることができる。
固定化の方法としては、その固定化により粒子がさらに密に充填されるようになる方法であれば特に限定されないが、遠心分離機に測定セルを装填して遠心分離により固定化することが好ましい。
なお、遠心分離の条件としては、粒子が容易に再分散せず均一かつ密に充填される条件に適宜設定すればよいが、例えば、回転数を500rpm〜5000ppmとし、回転させる時間を10秒〜10分とした条件で行うことができる。
<3.粒子の反射率を測定する工程>
次に、粒子の反射率を測定する工程(以下、「反射率測定工程」ともいう)では、粒子を固定化した測定セルを分光光度計に装填し、特定の波長における粒子の反射率を測定する。特定の波長における粒子の反射率は、粒子の材料が持つ固有の反射率に幾何学的な形状の影響が加味されたものとなる。
具体的には、表面が平滑で平面を有する粒子であればその反射率が高くなり、表面の凹凸が激しい粒子であればその反射率が低くなる。したがって、本実施の形態に係るスラリー中の粒子形状の測定方法では、板状、鱗片状、フレーク状等の比較的平面を多く有する粒子や、それらが集合した樹枝状の形状を持つとされる粒子が、所望の形状を有しているか否かを評価するのに有効である。
反射率の測定波長は、対象となる粒子の種類や形状に応じて適宜選択すればよい。具体的には、粒子が銅粉である場合には、測定波長が300nm〜500nmの紫外から可視光の領域とすることが好ましい。なお、以下では、測定波長が300nm〜500nmの反射率を「紫外可視反射率」ということもある。
例えば、バルクの銅の反射率は、波長が600nm以上の領域では80%程度以上と高いが、波長が500nm以下の領域では低下し、波長500nmでは50%程度、波長300nmでは30%程度とそれほど高くはない。バルクの銅で反射率が50%程度以下となる領域では幾何学的な形状の影響を受けやすくなり、平板状の粒子は入射光を反射させやすいことから、平板状の銅粒子が集合した樹枝状形状が発達するに従って反射率が高くなる傾向があり、銅粉の形状を評価するのに適している。一方、バルクの銅で反射率が高い波長の領域では、平板状の粒子でなくても反射率は高くなり、銅粉の形状の違いに対する反射率の差は小さく感度が低下するため、評価に用いるには適さない。
よって、測定波長の上限としては、500nm以下が好ましい。なお、測定波長の下限としては、特に限定されることはないが、広く用いられている紫外可視分光光度計の測定波長の仕様を鑑みて、300nm以上であれば例えば銅粉の形状を有効に評価することができる。もちろん、測定波長を例えば200nmや250nmとして、銅粉の評価に用いることを妨げるものではない。
測定に用いられる分光光度計は、上記説明した通りの選択した測定波長の範囲を測定できる仕様であれば、市販の装置を適宜選択すればよい。具体的には、粒子が銅粉の場合には、紫外可視分光光度計を測定に用いることができる。
ここで、反射率(%)は、次式により求められる、分光光度計に付属されている基準となる標準白板に対する相対反射率とすることが好ましい。
反射率(相対反射率)(%)
=(試料である粒子で反射した光量/標準白板で反射した光量)×100
<4.粒子が所望の形状を有しているか判定する工程>
以上の通り、幾何学的に反射させやすい形状を有する粒子ほど反射率は高くなる。したがって、本実施の形態に係る粒子形状の測定方法によれば、測定された粒子の反射率と、予め定められた所定の基準反射率とに基づき、粒子が所望の形状を有しているか否かの判定をすることができる。
そこで、本実施の形態に係る粒子形状の測定方法においては、測定された粒子の反射率と、所定の基準反射率とに基づいて、測定した粒子が所望の形状を有しているか否かを判定する形状判定工程を有するようにしてもよい。
例えば、測定対象の粒子が電解法により析出して得られた銅粉であったとき、上記説明した方法で測定波長300nm〜500nmとして紫外可視反射率を測定すると、5%〜35%程度の反射率を示す。そこで、例えば、測定波長400nmに対しては、基準反射率を9%とし、測定した銅粉の反射率が9%以上であるか否かを判定することによって、反射率9%以上の銅粉は平面上の面が発達した粒子形状であると判定することができる。
なお、測定波長400nmでの銅粉の反射率の上限は、特に限定されるものではなく、バルクの銅の波長400nmでの反射率は40%程度であり、銅粉では実質的に30%以下となる。
また同様に、測定波長300nmに対しては、基準反射率を7.5%とし、測定した銅粉の反射率が7.5%以上であるか否かを判定することによって、反射率7.5%以上の銅粉は平面上の面が発達した粒子形状であると判定することができる。
なお、測定波長300nmでの銅粉の反射率の上限は、特に限定されるものではなく、実質的に25%以下となる。
また同様に、測定波長500nmに対しては、基準反射率を10%とし、測定した銅粉の反射率が10%以上であるか否かを判定することによって、反射率10%以上の銅粉は平面上の面が発達した粒子形状であると判定することができる。
なお、測定波長500nmでの銅粉の反射率の上限は、特に限定されるものではなく、実質的に35%以下となる。
上述したように、樹枝状銅粉の形状と反射率との間には相関関係がある。そして、後述する実験例からも明らかなように、樹枝状銅粉の形状と、その樹枝状銅粉を金属フィラーとして導電性ペースト等に使用した場合の導電性とは相関関係がある。すなわち、例えば平板状の銅粒子が集合した樹枝状を呈する銅粉のうち、平板状の面が発達した粒子ほど、これらを金属フィラーとした導電性ペーストにより作製された被膜の比抵抗値(体積抵抗率)は低くなり、導電性が高くなる。したがって、測定波長を選択して基準反射率を設定し、測定した銅粉の反射率が基準反射率以上(又は超える)か否かを判定することにより、導電性ペースト等に用いる金属フィラーとしての品質(導電性)を満たすか否かの検査を行うことが可能となる。
このように、銅粉等の粒子を分光光度計により測定し、測定される反射率を指標とすることによって、粒子の品質を容易にかつ迅速に評価することができる。このことにより、例えば、銅粉を用いて銀コート銅粉を製造するに際しては、銅粉を製造する工程の後、銅粉の品質を検査する工程を設けることにより、品質が良好な銅粉に対してのみ銀を被覆するようにすることができ、品質管理された銅粉を供することができる。その結果、導電性ペーストや電磁波シールド等の金属フィラーとして使用したときに高い導電性を確保できる銀コート銅粉を製造することができる。また、銀を被覆する前段において銅粉の品質を管理できるため、品質が劣る銅粉に対する銀の被覆操作を避けることができ、製造コストの低減にもつながる。
以下、本発明の実施例をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実験例に何ら限定されるものではない。
[実験例1〜5]
<評価対象となる樹枝状銅粉の作製>
容量が100Lの電解槽に、電極面積が200mm×200mmのチタンの製電極板を陰極とし、電極面積が200mm×200mmの銅製の電極板を陽極として用いて、その電解槽中に電解液を装入し、これに直流電流を通電して銅粉を陰極板に析出させた。
電解液としては、硫酸濃度が100g/Lの硫酸酸性溶液に、銅イオン濃度が5g/L、塩酸溶液(和光純薬工業株式会社製)を塩化物イオン濃度として50mg/Lとなるように添加した。さらに、サフラニン(関東化学工業株式会社製)と分子量が1000のポリエチレングリコール(和光純薬工業株式会社製)を表1の濃度となるように添加した。
このようにして調整した電解液を、ポンプを用いて15L/minの流量で循環させながら、温度を25℃に維持し、陰極の電流密度を10A/dmとなるように通電して、陰極板上に銅粉を析出させた。陰極板上に析出した銅粉は、スクレーパーを用いて機械的に電解槽の槽底に掻き落とした。
<銅粉の反射率の測定>
電解槽の槽底にある銅粉を電解液ごとピペットで分取し、図2に示すような測定セルであるスクリューキャップ付セルに移送し、デカンテーションして銅粉を沈降させ、上澄み液を廃棄した。そして、さらにピペットで分取された銅粉をスクリューキャップ付セル内に追加し、デカンテーションして銅粉を沈降させ、上澄み液を廃棄した。沈降した銅粉の高さが分光光度計での測定で必要とされる高さになるまでこの操作を繰り返して、スクリューキャップ付セルの底部からの高さが2cmになるまで測定セル内に銅粉を充填した。
次に、底部に銅粉が充填されたスクリューキャップ付のセル(内径10mm)を遠心分離機に装填し、3000rpmで1分間遠心分離して、充填状態を均一化してさらに密に充填して固定化した。
次に、スクリューキャップ付セルを紫外可視赤外分光光度計(日本分光株式会社製V−770iRM)に装填し、測定波長300nm〜500nmの範囲で走査速度1000nm/min.の条件でスキャンし、銅粉の反射率を測定した。なお、反射率は、標準白板を基準とした相対反射率より求めた。表1に、各実験例の波長400nmにおける反射率の測定結果をまとめて示す。
<銀被覆処理>
電解槽の槽底に掻き落とされた銅粉を回収し、純水で洗浄した後減圧乾燥器に入れて乾燥した。この銅粉100gを3%酒石酸水溶液中で約1時間攪拌した後、ろ過、水洗して2Lのイオン交換水中に分散させた。ここに、酒石酸6g、ぶどう糖6g、エタノール60mlを加え、さらに28%アンモニア水60mLを加えて攪拌し、その後、硝酸銀30gをイオン交換水4.5Lに溶かした水溶液と、ぶどう糖30g、酒石酸30g、エタノール300mLをイオン交換水900mLに溶かした水溶液と、28%アンモニア水300mLとをそれぞれ60分間にわたり徐々に添加した。なお、このときの浴温は25℃であった。
各水溶液の添加が終了した後、粉末をろ過、水洗してエタノールを通じて乾燥させたところ、銅粉の表面に銀が被覆された銀コート銅粉が得られた。得られた銀コート銅粉のうち、実験例1、実験例3、及び実験例4の走査電子顕微鏡(SEM)で観察した写真像をそれぞれ図3、図4、及び図5に示す。
表1の銅粉の反射率の結果、並びに図3、図4、及び図5より、銅粉の反射率が高くなるほど、平板状の粒子が発達してそれらが集合した樹枝状の形状を呈する銀コート銅粉が得られており、銅粉の反射率の測定により、その形状が評価できることが分かる。
<被膜の評価>
得られた銀コート銅粉を金属フィラーとした導電性ペーストを作製し、その塗膜を硬化させた被膜の比抵抗値(体積抵抗率)を測定して導電性を評価した。
具体的には、銀コート銅粉55質量部に、フェノール樹脂(群栄化学株式会社製,PL−2211)15質量部、ブチルセロソルブ(関東化学株式会社製,鹿特級)10質量部を混合し、小型ニーダー(日本精機製作所製,ノンバブリングニーダーNBK−1)を用いて、1200rpm、3分間の混錬を3回繰り返すことでペースト化した。得られた導電性ペーストを金属スキージでガラス上に印刷し、大気雰囲気中で硬化させた。被膜の比抵抗値は、低抵抗率計(三菱化学株式会社製,Loresta−GP MCP−T600)を用いて四端子法によりシート抵抗値を測定し、一方で、表面粗さ形状測定器(東京精密株式会社製,SURFCOM130A)により被膜の膜厚を測定して、シート抵抗値を膜厚で除することによって求めた。表1に、各実験例から得られた被膜の比抵抗値をまとめて示す。
Figure 0006938986
図6に、各実験例から得られた銅粉の反射率と被膜の比抵抗値の関係を示す。図6の結果から、銅粉の反射率と被膜の比抵抗値とには負の相関関係があることが分かる。すなわち、上述したように、銅粉の反射率が高くなるほど、平板状の粒子が発達してそれらが集合した樹枝状の形状を呈するものとなり、そのような反射率の高い銅粉から最終的に得られる銀コート銅粉では、比抵抗値が減少している。このことは、平板状の銅粒子が発達するほど、被膜中にて接点が増えて導電性が高くなるためであると考えらえる。
なお、特許文献9によれば、平板状の銅粒子が発達しそれらが集合した樹枝状の形状を呈した銀コート銅粉では、導電性ペースト等に用いたときに導電性が高いとされているが、反射率を指標として銀被覆処理前の銅粉の形状を評価することで、最終製品の導電性ペーストとしたときの導電性を予測することが可能である。

Claims (6)

  1. スラリー中の粒子の形状を評価する方法であって、
    前記粒子は銅粉であり、
    前記スラリーを分取し測定セルに移送して前記粒子を沈降させ、前記測定セルの底部に粒子を充填する工程と、
    前記測定セルの底部に充填した粒子を固定化する工程と、
    前記測定セルを分光光度計に装填し、前記充填した粒子の反射率を測定する工程と、
    を有する、粒子形状の評価方法。
  2. 前記測定セルの底部に充填した粒子を、遠心分離により固定化する
    請求項1に記載の粒子形状の評価方法。
  3. 前記測定セルは、スクリューキャップ付きセルである
    請求項2に記載の粒子形状の評価方法。
  4. 前記粒子は、電解法により析出させた銅粉である
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の粒子形状の評価方法。
  5. 前記反射率の測定波長は、300nm〜500nmである
    請求項1乃至4のいずれか一項に記載の粒子形状の評価方法。
  6. さらに、前記粒子の反射率と所定の基準反射率とに基づき、前記粒子が所望の形状を有しているか否かを判定する工程を有する
    請求項1乃至のいずれか一項に記載の粒子形状の評価方法。
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