JP6938304B2 - バックコンタクト型太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は、バックコンタクト型太陽電池に関する。
一般的な太陽電池は、半導体基板の両面(受光面・裏面)に電極を配置させた両面電極型であるが、昨今、電極による遮蔽損のない太陽電池として、特許文献1に示されるような、裏面のみに電極を配置させたバックコンタクト(裏面電極)型太陽電池が開発されている。
特開2009−200267号
しかしながら、バックコンタクト型太陽電池は、両面の面積に比べて狭い裏面の面積内に、p型半導体層およびn型半導体層を電気的に分離させて形成させねばならず、特許文献1では、レーザーを用いてp型半導体層とn型半導体層とを電気的に分離させている。そのため、バックコンタクト型太陽電池は、例えば両面電極型の太陽電池に比べて、製造が非常に煩雑になる。
また、レーザーを用いてp型半導体層とn型半導体層との電気的に分離を行ってしまうと、レーザーの精度不足またはレーザーの出力不足等により、分離を十分に行えないこともある。このような場合、バックコンタクト型太陽電池の性能は低下してしまう。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものである。そして、その目的は、簡易に製造されて、高性能なバックコンタクト型太陽電池を提供することにある。
本発明に係るバックコンタクト型太陽電池では、半導体基板の一方の主面側に、第1導電型半導体層および第2導電型半導体層を配置させるとともに、第1導電型半導体層および第2導電型半導体層と半導体基板との間に、中間層を介在させている。そして、第1導電型半導体層、第2導電型半導体層、および中間層の少なくとも1つの層が、層の面内方向よりも層の厚み方向に、高い導電性を有する異方導電性膜である。
そして、前記異方導電性膜は、
導電性無機化合物と、誘電性および/絶縁性を有する無機化合物とを含み、
前記面内方向にて、前記層の両面に表出するように延びる前記導電性無機化合物を島、前記島以外の部分を占める前記誘電性および/絶縁性を有する無機化合物を海とする、海島構造を含むか、
又は、
導電性化合物と、絶縁性高分子化合物とを含み、
前記面内方向にて、前記層の両面に表出するように延びる前記導電性化合物を島、
前記島以外の部分を占める絶縁性高分子化合物を海とする、海島構造を含む。
本発明によれば、高性能なバックコンタクト型太陽電池が簡易に製造される。
は、バックコンタクト型太陽電池の模式的な断面図である。 は、異方導電性の真性半導体層を含むバックコンタクト型太陽電池の断面図である。 は、異方導電性の導電型半導体層を含むバックコンタクト型太陽電池の断面図である。 は、異方導電性の真性半導体層・導電型半導体層を含むバックコンタクト型太陽電池の断面図である。 は、異方導電性の導電型半導体層を含むバックコンタクト型太陽電池の断面図である。 は、異方導電性の導電型半導体層を含むバックコンタクト型太陽電池の断面図である。 は、バックコンタクト型太陽電池の製造工程を示す説明図である。 は、バックコンタクト型太陽電池を裏側からみた平面図である。 は、バックコンタクト型太陽電池を側方からみた説明図である。
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、便宜上、見やすいように調整されている。
図9は、本実施形態に係る太陽電池モジュールの一例を示す模式的な説明図である。図9に示すように、太陽電池モジュール40は、二次元的に配列された複数の太陽電池(太陽電池セル)10を含む。
太陽電池10は、導電性の配線部材42によって、電気的に接続される。具体的には、配線部材42は、太陽電池10の電極層におけるバスバー部(後述)に接続される。
太陽電池10および配線部材42は、受光面保護部材43と裏面保護部材44との間に配置される。受光面保護部材43と裏面保護部材44との間には、液体状または固体状の透明な封止材45が充填されており、これにより、太陽電池10および配線部材42は封止される。受光面保護部材43は、例えばガラス基板であり、裏面保護部材44は、例えばガラス基板または樹脂シートである。
以下、太陽電池10について詳細に説明する。図1の模式的な断面図は、シリコン製の半導体基板11を用いた太陽電池10を表す。この太陽電池10には2つの主面11Sがあり、本明細書においては、一方側に相当する半導体基板11の主面11SU[表側主面]の側を表側、これに対して反対側にあたる他方の主面11SB[裏側主面]の側を裏側と称する。そして、便宜上、表側は裏側よりも積極的に受光させようとする側(受光側)とし、積極的に受光させない裏側を非受光側として説明する。
また、この太陽電池10は、いわゆるヘテロ接合結晶シリコン太陽電池であり、電極層17を主面11Sの一方側(裏側)のみに配置させたバックコンタクト型(裏面電極型)太陽電池10である。
太陽電池10は、半導体基板11、真性半導体層12(12U,12B)、導電型半導体層13(p型半導体層14,n型半導体層15)、低反射層16、および、電極層17(透明電極層18,金属電極層19)を含む。
なお、以降では、便宜上、p型半導体層14またはn型半導体層15に個別に対応付けされる部材には、部材番号の末尾に「p」/「n」を付すことがある。また、p型、n型のように、導電型は相違することから、一方の導電型を「第1導電型」、他方の導電型を「第2導電型」と称しても構わない。
半導体基板11は、単結晶シリコンで形成された基板であっても多結晶シリコンで形成された基板であっても構わない。以下では、単結晶シリコン基板を例に挙げて説明する。
また、半導体基板11の導電型は、シリコン原子に対して電子を導入する不純物(例えば、リン原子)を含有するn型単結晶シリコン基板であっても、シリコン原子に対して正孔を導入する不純物(例えば、ホウ素原子)を有するp型単結晶シリコン基板であっても構わないが、以下では、キャリア寿命の長いといわれるn型の半導体基板11を例に挙げて説明する。
また、半導体基板11は、受けた光を閉じこめておく観点から、2つの主面11S(11SU,11SB)の表面のうち、少なくとも受光側(受光面11SU)は、山(凸)と谷(凹)とで形成されるテクスチャ構造が有ると好ましい。なお、テクスチャ構造(凹凸面)は、例えば、半導体基板11における(100)面のエッチングレートと(111)面のエッチングレートとの差異を応用した異方性エッチングによって形成される。
また、半導体基板11の厚みが、250μm以下であると好ましい。なお、厚みを測定する場合の測定方向は、半導体基板11の平均面(平均面とは、テクスチャ構造に依存しない基板全体としての面を意味する)に対する垂直方向である。そこで、以降、この垂直方向、すなわち厚みを測定する方向を厚み方向とする。
半導体基板11の厚みは、250μm以下であると、シリコンの使用量が減少するため、シリコン基板が確保し易くなり、低コスト化も図れる。その上、シリコン基板内で光励起により生成した正孔と電子とを裏面側のみで回収するバックコンタクト構造では、各励起子の自由行程の観点からも好ましい。
一方で、半導体基板11の厚みが過度に小さいと、機械的強度の低下が生じたり、外光(太陽光)が十分に吸収されず、短絡電流密度が減少しかねない。そのため、半導体基板11の厚みは、50μm以上が好ましく、70μm以上がより好ましい。なお、半導体基板11の主面11Sにテクスチャ構造が形成されている場合、半導体基板11の厚みは、受光側および裏面側のそれぞれの凹凸構造における凸の頂点を結んだ直線間の距離で表される。
真性半導体層12(12U,12B)は、半導体基板11の両主面11S(11SU,11SB)を覆うことで、半導体基板11への不純物拡散を抑えつつ表面パッシベーションを行う。なお、「真性(i型)」との用語は、導電型不純物を含まない完全に真性であるものに限られず、シリコン系層が真性層として機能し得る範囲で微量のn型不純物またはp型不純物を含む「弱n型」または「弱p型」の実質的に真性な層も包含する。
真性半導体層12の材料は、特に限定されるものではないが、非晶質シリコン系薄膜であると好ましく、シリコンと水素とを含む水素化非晶質シリコン系薄膜(a-Si:H薄膜)、または、シリコンと酸化ケイ素とを含む水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜(a-Si:H/SiOx薄膜)であるとより好ましい。なお、水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜は、異方導電性を示すが、その点については後述する。
また、真性半導体層12の厚みは、特に限定されるものではないが、2nm以上20nm以下であると好ましい。厚みが2nm以上であると、パッシベーション層としての効果が高まり、厚みが20nm以下であると、高抵抗化により生じる変換特性の低下を抑えられるためである。
真性半導体層12の形成方法は、特に限定されるものではないが、例えば、水素化非晶質シリコン系薄膜または水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜のいずれであっても、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法であると好ましい。
これらの薄膜が、単結晶シリコンで形成された半導体基板11上にCVD製膜されると、単結晶シリコンへの不純物の拡散を抑制しつつ、基板表面のパッシベーションを有効に行えるためである。また、プラズマCVD法であれば、真性半導体層12の膜中水素濃度を膜厚方向で変化させることで、キャリア回収を行う上で有効なエネルギーギャッププロファイルの形成も行える。
なお、プラズマCVD法による薄膜の形成条件としては、例えば、基板温度100℃以上300℃以下、圧力20Pa以上2600Pa以下、高周波パワー密度0.003W/cm以上0.5W/cm以下が好適である。
また、薄膜の形成に使用される原料ガスとしては、水素化非晶質シリコン系薄膜の場合、SiH、Si等のシリコン含有ガス、または、それらのガスとHを混合したものが好適である。また、上記ガスに、COという異種元素を含むガスを添加すれば、水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜が形成される。
なお、上記ガスに、CH、NH、GeH等の異種元素を含むガスを添加して、シリコンカーバイド、シリコンナイトライド、または、シリコンゲルマニウム等のシリコン合金を形成することで、適宜、薄膜のエネルギーギャップを変更しても構わない。
導電型半導体層13としては、p型半導体層14とn型半導体層15とが挙げられる。図1に示すように、p型半導体層14は、半導体基板11の裏面側の一部に真性半導体層12Bを介して形成されており、n型半導体層15は、半導体基板11の裏面側の他の一部に真性半導体層12Bを介して形成される。つまり、p型半導体層14およびn型半導体層15と半導体基板11との間に、中間層として、真性半導体層12が介在する。
また、p型半導体層14およびn型半導体層15は、半導体基板11の裏側において、図8の平面図(電極層17は便宜上省略)に示すように、櫛型に形成され、p型半導体層14の櫛背部E14に連結する複数の櫛歯部T14およびn型半導体層15の櫛背部E15に連結する複数の櫛歯部T15が、交互に並ぶように形成される。なお、p型半導体層14とn型半導体層15とは、電気的に分離されるように配置される。
導電型半導体層13は、p型またはn型の特性を示す半導体材料を、樹脂中に含ませたインク材料(樹脂組成物)で形成されてもよい。また、導電型半導体層13は、ドーピングされることでp型またはn型の電気特性を発揮する、水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜で形成されてもよい。
このようなインク材料および水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜といった材料は、異方導電性を示すので、その点については後述する。
低反射層16は、太陽電池10の受けた光の反射を抑制させる層である。低反射層16の材料としては、光を透過させる透光性の材料であれば、特に限定されるものではないが、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化亜鉛、または酸化チタンが挙げられる。また、低反射層16の形成方法としては、例えば、酸化亜鉛または酸化チタン等の酸化物のナノ粒子を分散させた樹脂材料で塗布しても構わない。
なお、低反射層16の屈折率または厚みは、太陽電池モジュール40の光学設計に沿って決定される。そのため、太陽電池モジュール40の光学設計によっては、低反射層16は、形成しなくてもよいこともある。
電極層17は、p型半導体層14またはn型半導体層15上を覆うように形成されることで、それら半導体層14,15に電気的に接続される。これにより、電極層17は、p型半導体層14またはn型半導体層15に生じるキャリアを導く輸送層として機能する。
なお、電極層17は、導電性の高い金属のみで形成されても構わないが、p型半導体層14,n型半導体層15との電気的接合の観点、または、電極材料である金属の両半導体層14,15への原子拡散を抑制する観点から、透明導電性酸化物で形成される電極層を、金属製の電極層とp型半導体層14,n型半導体層15との間に設けると好ましい。
本明細書では、透明導電性酸化物で形成される電極層を透明電極層18、金属製の電極層を金属電極層19、と称する。また、p型半導体層14,n型半導体層15において、櫛背部E14,E15上に形成される電極層17をバスバー部、櫛歯部T14,T15上に形成される電極層17をフィンガー部、と称することがある(図8参照)。
透明電極層18は、材料としては特に限定されるものではないが、例えば、酸化亜鉛若しくは酸化インジウム、または、酸化インジウムに種々の金属酸化物、例えば酸化チタン、酸化スズ、酸化タングステン、若しくは酸化モリブデン等を1重量%以上10重量%以下で添加した透明導電性酸化物が挙げられる。
また、透明電極層18の厚みは、50nm以上200nm以下が望ましく、このような膜厚に好適な透明電極層18の形成方法としては、例えば、スパッタ法等の物理気相堆積法(PVD)、または、有機金属化合物と酸素または水との反応を利用した化学気相堆積法(MOCVD)法等が挙げられる。
金属電極層19は、材料としては特に限定されるものではないが、例えば、銀、銅、アルミニウム、または、ニッケル等が挙げられる。
また、金属電極層19の厚みは、20μm以上80μm以下が望ましく、このような膜厚に好適な金属電極層19の形成方法としては、材料ペーストをインクジェット若しくはスクリーン印刷する印刷法、または、めっき法が挙げられる。ただし、これに限定されるものではなく、真空プロセスを採用する場合には、蒸着またはスパッタリング法が採用されても構わない。
また、p型半導体層14,n型半導体層15の櫛歯部T14,T15の幅と、それらの上に形成される金属電極層19p,19nの幅とは、同程度であると好ましい。ただし、これに限定されることはなく、櫛歯部T14,T15の幅よりも、金属電極層19p,19nの幅が狭くても構わない。また、金属電極層19p,19n同士のリークが防止されているのであれば、櫛歯部T14,T15の幅よりも、金属電極層19p,19nの幅が広くても構わない。
なお、半導体基板11に対して、真性半導体層12、導電型半導体層13、低反射層16、および、電極層17を積層させた段階で、各接合界面のパッシベーション、半導体層およびその界面における欠陥準位の発生抑制、透明電極層18における透明導電性酸化物の結晶化を目的として、アニール処理を施す。
アニール処理としては、例えば、各層を配置した半導体基板11を150℃以上200℃以下に加熱したオーブンに投入して加熱処理が挙げられる。この場合、オーブン内の雰囲気は、大気でも構わないが、水素または窒素を用いることで、より効果的なアニール処理が行える。また、アニール処理は、各層を配置した半導体基板11に対して赤外線ヒーターを用いて赤外線を照射させるRTA(Rapid Thermal Annealing)処理であっても構わない。
次に、以上のような、半導体基板11の一方の主面側に、p電型半導体層14およびn型半導体層15である導電型半導体層13を配置させるとともに、p型半導体層14およびn型半導体層15と半導体基板11との間に、中間層である真性半導体層12を介在させるバックコンタクト型太陽電池10における、真性半導体層12の異方導電性、および、導電型半導体層13の異方導電性について詳説する。
なお、本明細書での異方導電性とは、真性半導体層12および導電型半導体層13の少なくとも1つの層において、その層12,13の厚み方向の導電率と面内方向(厚み方向に対する交差方向)の導電率とが異なる特性を意味する。例えば、抵抗率の場合、厚み方向は0.1Ωcm以上100Ωcm以下の抵抗率であるのに対して、面内方向は100000Ωcm以上の抵抗率であれば、異方導電性を示しているといえる。
まず、図2を用いて、真性半導体層12が異方導電性を発揮する場合について説明する。かかる場合、真性半導体層12は、水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜で形成される。そして、水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜が2nm以上20nm以下の厚みで形成されると、ナノサイズの水素化非晶質シリコン系粒子(以下、単純にシリコン系粒子またはシリコン22kと称することがある)が、図2に示すように、真性半導体層12の膜厚方向に優先的に成長する。
一方、かかる粒子22kの集合体以外の部分は、酸化シリコン系粒子の集合体(以下、単純に酸化シリコン22cと称することがある)で形成される。その結果、真性半導体層12は、シリコン22kを「島」、酸化シリコン22cを「海」、とする海島構造を含む。
このようなシリコン22kは、真性半導体層12における両面12S・12Sに表出するとともに、その一方面12Sの表出部分から他方面12Sの表出部分に至るまで延びている。つまり、シリコン22kの粒子は、真性半導体層12の膜厚方向に沿って貫通するように成長し、両面12S・12Sに表出するように延びている。そして、シリコン22kは、酸化シリコン22cに比べて、導電性を有する導電性無機化合物である。
一方、酸化シリコン22cは、誘電性の無機化合物であることから、シリコン22kに比べて低導電性を示す。そのため、酸化シリコン22cは、真性半導体層12の面内方向において、散らばって配置されるシリコン22k同士の間を絶縁する(そこで、酸化シリコン22cを誘電性/絶縁性無機化合物と称する)。このことから、真性半導体層12が異方導電性を発揮する。
そして、このように、真性半導体層12が、層12の厚み方向に、層12の面内方向よりも高い導電性を有する異方導電性膜であると、この真性半導体層12上に、p型半導体層14およびn型半導体層15が配置された場合、p型半導体層14とn型半導体層15との短絡が抑えられる。
また、このような真性半導体層12の形成のために、水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜を使用した場合、工程は煩雑になることなく、例えば、水素化シリコン系薄膜を使用する場合と同様の工程で得ることができるが、完成したバックコンタクト型太陽電池10は、短絡を生じないため高性能になる。つまり、高性能なバックコンタクト型太陽電池10が簡易に製造される。
また、異方導電性膜で形成される真性半導体層12は、シリコン22kのような導電性無機化合物と、酸化シリコン22cのような誘電性/絶縁性無機化合物とを含み、層12の面内方向にて、層12の両面12S・12Sに表出するように延びる導電性無機化合物を島、島以外の部分を占める誘電性/絶縁性無機化合物を海とする、海島構造を含む。
この海島構造は、例えばプラズマCVD法という、比較的簡単な製法で形成されるだけでなく、異方導電性のための構造としては、シンプルでありつつも、高い確実性を発揮する。
なお、導電性無機化合物は、ナノサイズのシリコン22kの粒子を使用していることから、半導体ナノ粒子と称してもよい。また、このような半導体ナノ粒子の一例としては、シリコン22kを挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、シリコン化合物であっても構わない。
また、シリコン22kは、微結晶シリコンであると好ましく、シリコン化合物は、真性半導体層12のエネルギーギャップの設計の自由度を上げるために、例えば、シリコンオキサイド、シリコンナイトライド、およびシリコンカーバイドのうち少なくとも1種を含むと好ましい
次に、図3を用いて、導電型半導体層13が異方導電性を発揮する場合について説明する。導電型半導体層13を形成する材料がインク材料27の場合、半導体材料23(p型半導体材料24,n型半導体材料25)と、樹脂26とを含む。
p型半導体材料24としては、有機系または無機系の材料が使用される。有機化合物であれば、例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレン硫化物[PEDOT−PSS]のようなポリチオフェン類、または、カーボンブラックが、p型半導体層14の材料として挙げられる。
無機化合物であれば、酸化銅、酸化亜鉛、酸化ニッケル、若しくは酸化モリブデンのような金属酸化物、または、チオシアン酸銅、銅−インジウム−ガリウム−硫黄、若しくは銅−インジウム−ガリウム−セレン等の金属化合物が、p型半導体材料24として挙げられる。
このような材料のうち、p型半導体材料24には、有機化合物であれば、PEDOT−PSSおよびカーボンブラックのうち少なくとも1種が含まれていると好ましく、無機化合物であれば、酸化銅および酸化亜鉛のうち少なくとも1種が含まれていると好ましい。
n型半導体材料25は、無機系の材料が使用され、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物、または、フッ化リチウムが、n型半導体材料25として挙げられる。そして、このような、酸化チタンおよび酸化亜鉛のうち少なくとも1種が含まれていると、n型半導体材料25として好ましい。
なお、以上のp型半導体材料24またはn型半導体材料25は、樹脂26に比べて、導電性を有する材料であることから、導電性化合物と称する場合がある。
樹脂26は、絶縁性の高分子化合物であり、例えば、シリコーン樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)のようなアクリル樹脂、ポリエチレン若しくはポリイソブチレンのようなポリオレフィン樹脂が挙げられる。耐熱性の観点から、シリコーン樹脂またはアクリル樹脂が好ましい。
シリコーン樹脂は、例えば末端にアルケニル基のような反応性官能基を有するポリシロキサンを使用すると好ましい。シリコーン樹脂は、架橋性の硬化剤と反応触媒とを添加され、さらに混合されることで、反応し、硬化する。そこで、このような、ポリシロキサン、硬化剤、および触媒を含むシリコーン樹脂(シリコーンオイル)に、半導体材料23が混ぜられることで形成されるインク材料は、印刷後に反応して硬化する。
アクリル樹脂は、イソプロピルアルコールまたはテトラヒドロフランのような有機溶媒に、スクリーン印刷可能な粘度にまで溶解される。そして、この溶液に、半導体材料23が混ぜられることで形成されるインク材料は、印刷後に乾燥して硬化する。なお、アクリル樹脂は、熱可塑性樹脂のため、高温で溶融させ、そこに半導体材料23を混ぜてインク材料を形成してもよい。このようなインク材料は、高温で溶融状態にされ、その状態で印刷される。
このように、樹脂26に対して半導体材料23が加えられ、さらに混錬されることでインク材料27は製造される。このインク材料27が異方導電性材料として機能するためには、樹脂26の半導体材料23への相溶性は、一定以上を要するが、必要以上に高すぎると不適である。
この相溶性の程度は、例えば、ヒルデブラントの溶解度パラメーター(SP値)で評価すればよい。そして、樹脂26のSP値は10未満であると好ましく、シリコーン系樹脂のSP値は7.0以上7.5以下、ポリメタクリル酸メチルのSP値は9.0以上9.5以下、ポリエチレンまたはポリイソブチレンのSP値は8.0程度となりやすいため、これら樹脂26はインク材料に含有される樹脂として好ましい。
このようなインク材料27は、スクリーン印刷法により、真性半導体層12に塗布すると好ましい。スクリーン印刷用のスクリーン版にインク材料が通過する場合、せん断力によって、半導体材料23が厚み方向に配向しやすいためである。なお、相溶性が高すぎると、半導体材料23が、樹脂26中に均一に分散して配向し難くなり、異方導電性を発揮しなくなる。
このように配向すると、図3に示すように、導電型半導体層13は、層13の厚み方向にて、層13の両面13S、・13Sに表出するように延びる半導体材料23を島、島以外の部分を占める樹脂26を海とする、海島構造を形成する。すると、導電型半導体層13が、層13の厚み方向に、層13の面内方向よりも高い導電性を有する異方導電膜となる。
このようなインク材料27製の異方導電性膜で、導電型半導体層13が形成される場合、例えばフォトリソグラフィー法で形成されるp型半導体層またはn型半導体層の基となる膜に対するエッチングが不要になるだけでなく、p型半導体層14とn型半導体層15との短絡も抑えられる。したがって、完成したバックコンタクト型太陽電池10は、短絡を生じないため高性能でありながら、簡易に製造される。
なお、このような異方導電性膜で形成される導電型半導体層13は、図3に示すように、p型半導体層14およびn型半導体層15の両方に採用されてもよいが、これに限定されない。すなわち、p型半導体層14およびn型半導体層15のうちのいずれか一方に採用されてもよい。
一方の導電型半導体層13だけでも、異方導電性膜が採用されれば、エッチングの工程を減らせ、簡易に高性能なバックコンタクト型太陽電池10が製造されるためである。すなわち、p型半導体層14およびn型半導体層15のうちの少なくとも一方に、異方導電性膜が採用されればよい。
また、図4に示すように、p型半導体層14およびn型半導体層15の導電型半導体層13と、真性半導体層12との全てが、各々の層12,14,15の厚み方向に、層12,14,15の面内方向よりも高い導電性を有する異方導電性膜であっても構わない。また、p型半導体層14と真性半導体層12とが、または、n型半導体層15と真性半導体層12とが、各々の層14,12/15,12の厚み方向に、層14,12/15,12の面内方向よりも高い導電性を有する異方導電性膜であっても構わない。
要は、p型半導体層14およびn型半導体層15の導電型半導体層13と、真性半導体層12との全ての層のうち少なくとも1つの層が、各々の層12,14,15の厚み方向に、層12,14,15の面内方向よりも高い導電性を有する異方導電性膜であればよい。
なお、インク材料27は、印刷での広がりおよび擦れを抑える観点から、10ポイズ以上数100ポイズの粘度であると好ましい。また、樹脂26中の半導体材料23は、例えばスクリーン印刷のスクリーンを通過できないような凝集体を生じさせない程度の分散度で構わない。また、インク材料27の硬化方式は、樹脂26に依存し、例えば、熱または紫外線によって硬化する方式が挙げられる。
また、導電型半導体層13の厚みは、特に限定されるものではないが、20nm以上80nm以下であると好ましく、25nm以上50nm以下であるとより好ましい。厚すぎる導電型半導体層13は、直列抵抗の原因となって太陽電池特性を悪化させるおそれがあり、薄すぎる導電型半導体層13は、光励起子の取り出し効率を低下させるだけでなく、短絡またはバンドベンディングに由来する再結合抑制の効果を落とさせるおそれがあるためである。
また、導電型半導体層13の幅は、50μm以上3000μm以下であると好ましく、80μm以上500μm以下であるとより好ましい。加えて、p型半導体層14とn型半導体層15との乖離間隔は、3000μm以下であると好ましく、1000μm以下であるとより好ましい。
また、半導体基板11で生成した光励起子が、導電型半導体層13を介して取り出される場合、正孔は電子よりも有効質量が大きいため、輸送損を低減させる観点から、p型半導体層14がn型半導体層15よりも幅狭であると好ましい。例えば、p型半導体層14の幅がn型半導体層15の幅よりも、0.5倍以上0.9倍以下であると好ましく、0.6倍以上0.8倍以下であるとより好ましい。
次に、図5、図6を用いて、異方導電性を有する導電型半導体層13が、インク材料ではなく、水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜で形成される場合について説明する。かかる場合、真性半導体層12上に、ドーピングされた水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜で導電型半導体層13が形成される。
図5に示すように、異方導電性のp型半導体層14が形成される場合、例えばプラズマCVD法にて、ジボラン等のホウ素化合物がドーピングガスとして使用される。また、図6に示すように、異方導電性のn型半導体層15が形成される場合、ホスフィン等のリン化合物がドーピングガスとして使用される。これにより、ドーピングされた水素化非晶質シリコン系粒子(シリコン)がp型またはn型の半導体として機能する。
これにより、導電型半導体層13は、ドーピングされたシリコン33d(33dp、33dn)のような半導体型無機化合物と、酸化シリコン33rのような誘電性/絶縁性無機化合物とを含む。そして、この導電型半導体層13は、層13の面内方向にて、層13の両面13S・13Sに表出するように延びる導電性無機化合物を島、島以外の部分を占める誘電性/絶縁性無機化合物を海とする、海島構造を含み、異方導電性を発揮する。
この海島構造は、例えばプラズマCVD法という、比較的簡単な製法で形成されるだけでなく、異方導電性のための構造としては、シンプルでありつつも、高い確実性を発揮する。
なお、図5に示すように、水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜製のp型半導体層14が形成された場合、n型半導体層15は、異方導電性を有するインク材料27で形成されてもよいし、異方導電性を有さないインク材料で形成されても構わない。また、同様に、図6に示すように、水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜製のn型半導体層15が形成された場合、p型半導体層14は、異方導電性を有するインク材料27で形成されてもよいし、異方導電性を有さないインク材料で形成されても構わない。
すなわち、p型半導体層14pおよびn型半導体層15うち少なくとも一方が、厚み方向に、層14,15の面内方向よりも高い導電性を有する異方導電性膜であればよい。
また、導電型半導体層13に、水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜を使用する場合、真性半導体層12同様に、厚みが5nm以上20nm以下であると好ましく、導電性の観点から、8nm以上12nm以下であるとより好ましい。
なお、ドーピングされたシリコン33d(33dp、33dn)は、ナノサイズの粒子[半導体ナノ粒子]であり、層13の両面13S・13Sに表出するように延びて1つの導電ユニット(ナノ粒子の凝集体)を形成する場合、その導電ユニットの面内方向のサイズは、0.10μm以上2.00μm以下であると好ましく、0.30μm以上1.00μm以下であるとより好ましい。
導電ユニットにおける面内方向のサイズが大きすぎる場合、その導電ユニットは、自身の導電型とは異なる導電型半導体層13に接合するおそれが生じる。一方、同サイズが小さい場合、半導体基板11で生成された光励起子が電極層17に到達する前に、抵抗による熱ロスとなるおそれがある。
また、このような半導体ナノ粒子の一例としては、ドーピングされたシリコン33d(33dp、33dn)を挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、ドーピングされたシリコン化合物であっても構わない。
また、ドーピングされたシリコン33d(33dp、33dn)は、微結晶シリコンであると好ましく、ドーピングされたシリコン化合物は、導電型半導体層13のエネルギーギャップの設計の自由度を上げるために、例えば、シリコンオキサイド、シリコンナイトライド、およびシリコンカーバイドのうち少なくとも1種を含むと好ましい。
ところで、導電型半導体層13に、水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜を使用する場合、真性半導体層12は、水素化非晶質シリコン系薄膜で形成されると好ましい。
例えば、水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜でp型半導体層14を形成する場合、図7Aに示すように、まず、水素化非晶質シリコン系薄膜で形成される真性半導体層12を形成し、次に、図7Bに示すように、p型半導体層14の基となる水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜の膜14’を製膜する。
次に、図7Cに示すように、フッ化水素酸をエッチング液を用いたフォトリソグラフィによってパターニングする。このフッ化水素酸は、水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜を溶かさないため、水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜のみを溶かせる。そのため、図7Dに示すように、露出した水素化非晶質シリコン系薄膜の真性半導体層12に、インク材料27製のn型半導体層15が印刷で形成でき、さらに、図7Eに示すように、電極層17が形成されると、バックコンタクト型太陽電池10が完成する。
この製造方法は、真性半導体層12をエッチングしないことから、従来のような真性半導体層までエッチングする製造方法と異なって、p型半導体層14の形成後に、再度、真性半導体層の形成を要しない。
また、この製造方法は、露出した水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜の真性半導体層12に、n型半導体層15を印刷で形成するので、従来のように真性半導体層がエッチングされた場合に必要であった、n型半導体層の直下への真性半導体層の形成を要しない。
つまり、真性半導体層12に水素化非晶質シリコン系薄膜が用いられ、かつ、導電型半導体層13に水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜が用いられると、バックコンタクト型太陽電池10の製造方法が簡易になる上、p型半導体層14とn型半導体層15との短絡が抑えられ、そのバックコンタクト型太陽電池10が高性能になる。
なお、図7では、水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜でp型半導体層14を形成する場合のバックコンタクト型太陽電池10の製造方法であったが、水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜でn型半導体層15を形成する場合のバックコンタクト型太陽電池10の製造方法であっても、上記同様、簡易にバックコンタクト型太陽電池10が製造され、その太陽電池10は高性能になる。
また、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。実施例および比較例は、以下のようにして製作した(表1参照)。
[半導体基板]
まず、半導体基板として、厚み200μmの単結晶シリコン基板を採用した。そして、単結晶シリコン基板の裏側主面をレジスト材料で保護した上で、表側主面に対して、異方性エッチングを行った。これにより、半導体基板の表側主面にピラミッド型のテクスチャ構造を形成した。
[真性半導体層の形成]
<水素化非晶質シリコン系薄膜:両主面>
上記半導体基板のレジスト材料を除去した後、この単結晶シリコン基板をCVD装置へ導入し、両方の主面に、シリコン製の真性半導体層(膜厚8nm)を形成した。なお、製膜条件は、基板温度が150℃、圧力が120Pa、SiH/H流量比が3/10、パワー密度が0.011W/cmであった。
<水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜:裏側主面>
上記半導体基板のレジスト材料を除去した後、この単結晶シリコン基板をCVD装置へ導入し、表側主面に、上記同様にシリコン製の真性半導体層(膜厚8nm)を形成した。一方、半導体基板の裏側主面には、水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜(膜厚10nm)を形成した。なお、製膜条件は、基板温度が150℃、圧力が0.9kPa、SiH/CO/H流量比が1/10/750、パワー密度が0.15W/cmであった。
[導電型半導体層の形成]
<p型水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜>
両主面に水素化非晶質シリコン薄膜が形成された単結晶基板をCVD装置に導入し、裏面主面の水素化非晶質シリコン系薄膜に、p型水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜(膜厚10nm)を形成した。なお、製膜条件は、基板温度が150℃、圧力が0.9kPa、SiH/CO/H流量比が1/10/750、パワー密度が0.15W/cmであった。
<n型水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜>
両主面に水素化非晶質シリコン薄膜が形成された単結晶基板をCVD装置に導入し、裏面主面の水素化非晶質シリコン系薄膜に、n型水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜(膜厚10nm)を形成した。なお、製膜条件は、基板温度が150℃、圧力が0.9kPa、SiH/CO/PH/H流量比が1/10/0.08/750、パワー密度が0.15W/cmであった。
<インク材料を用いた膜>
以下の化合物、触媒を準備した。
(I−1)アルケニル基を有する化合物
アクリロイル基末端ポリジメチルシロキサン(PDMS:信越化学工業(株)製アクリル変性シリコーンオイル)
(I−2)ヒドロシリル基を有する化合物
KF−99(信越化学工業(株)製メチルハイドロジェンシリコーンオイル、ヒドロシリル基16.6mmol/g含有)
(I−3)ヒドロシリル化触媒
白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(3重量%白金イソプロパノール溶液)
そして、(I−1)100重量部に対して、(I−2)を15重量部、(I−3)を0.4重量部加え、さらに、各種p型半導体材料またはn型半導体材料(表1参照)を添加し、混錬した。得られたインク材料の粘度は400ポイズであった。これをスクリーン印刷(スクリーン版の目開きサイズ:50μm)により基板上に所定の形状に印刷し、その後、150℃で2時間加熱処理した。
[電極層の形成]
マグネトロンスパッタリング装置を用いて、透明電極層の基となる膜(膜厚100nm)を、半導体基板における導電型半導体層上に形成した。透明導電性酸化物としては、酸化スズを10重量%含有した酸化インジウム(ITO)をターゲットとして使用し、装置のチャンバー内に、アルゴンと酸素との混合ガスを導入させて、そのチャンバー内の圧力を0.6Paとなるように設定した。
なお、アルゴンと酸素との混合比率は、抵抗率が最も低くなる(いわゆるボトム)条件とした。また、直流電源を用いて、0.4W/cmの電力密度で、製膜を行った。
次に、フォトリソグラフィ法により、p型半導体層・n型半導体層上の透明導電性酸化物製の膜のみが残るようにエッチングして、透明電極層を形成した。このエッチングにより完成した透明電極層により、p型半導体層上の透明導電性酸化物製の膜とn型半導体層上の透明導電性酸化物製の膜との間での導通が防止された。
さらに、透明電極層上に、銀ペースト(藤倉化成製 ドータイトFA−333)を希釈せずにスクリーン印刷し、150℃のオーブンで60分間加熱処理した。これにより、金属電極層を形成した。
最後に、真性半導体層、導電型半導体層、および、電極層を積層させた半導体基板を赤外線ヒータ付きの真空チャンバーに投入し、真空排気した後に、水素ガスを導入し100Paとなるように調圧し、さらに、赤外線ヒーターで180℃まで昇温し、15分間加熱処理した。以上により、バックコンタクト型太陽電池を完成させた。
なお、実施例1では、p型半導体層となる水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜をn型半導体層より先にCVD製膜した。また、実施例2では、n型半導体となる水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜をp型半導体層より先にCVD製膜した。
また、実施例1および実施例2では、水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜を基板全面に製膜した後、フッ化水素酸をエッチング液としたフォトリソグラフィ法によりパターニングを行った。この後に、実施例1ではn型半導体材料を含むインク材料を、実施例2ではp型半導体材料を含むインク材料を、スクリーン印刷した。
比較例1,2では、インク材料はインクジェット式を採用して印刷した。具体的には、エアパルス式ディスペンサー(武蔵エンジニアリング製)を用いた。なお、ディスペンサーニードルの開口は、内径0.1mmのものを使用した。
次に、バックコンタクト型太陽電池に対する評価方法について説明する。評価結果は、表1を参照とする。
[膜厚・粒径の評価]
透明電極層の膜厚・粒径は、SEM(フィールドエミッション型走査型電子顕微鏡S4800、日立ハイテクノロジーズ社製)を用い、10万倍の倍率で観察して測定した。
[抵抗評価]
膜厚方向の抵抗は、30mm四方の対象となる層の均一膜をアルミニウム板上に製膜し、さらにその上にアルミニウム薄膜を蒸着法により1μmの厚みで形成した。そして、両アルミニウム電極間の抵抗を測定した。
面内方向の抵抗は、30mm四方の対象となる層の均一膜を無アルカリガラス上に膜を製膜し、さらにその上に10mmの間隔を開けた平行な2本のアルミニウム電極を蒸着法により1μmの厚みで形成した。そして、両アルミ電極間の抵抗を測定した。
[光電変換特性の評価]
ソーラーシミュレータにより、AM(エアマス)1.5の基準太陽光を、100mW/cmの光量で照射して、開放端電圧(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、曲線因子(FF)および変換効率(Eff)を測定した。
Figure 0006938304
実施例と比較例とを比較すると、実施例は、比較例に比べて高い太陽電池特性を示した。これは、実施例1〜5では、導電型半導体層が異方導電性を有し、さらに、実施例4では、真性半導体層も異方導電性を有する一方、比較例では、導電型半導体層が異方導電性を有さないためである。すなわち、異方導電性を有さない導電型半導体層において、p型半導体層とn型半導体層との間で、微小な短絡が発生したことが原因と推察される。
また、実施例3と比較例1との比較、または、実施例5と比較例2との比較から、スクリーン印刷に起因して、導電型半導体層が異方導電性を発揮しやすくなることが判った。
また、実施例3と実施例4とを比較すると、真性半導体層に水素化非晶質シリコン系薄膜を用いた実施例3ほうが、水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜を用いた実施例4よりも、曲線因子が高くなった。実施例4で曲率因子が低下した原因は、水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜形成時に、単結晶の半導体基板の主面が酸化され、それに起因して、直列抵抗の成分として寄与したと推察される。
逆に、短絡電流密度は、水素化非晶質シリコン・酸化シリコン系薄膜を使用した実施例4が、水素化非晶質シリコン系薄膜を使用した実施例3に比べて若干高くなった。実施例3で短絡電流密度が低下した原因は、水素化非晶質シリコン系薄膜の屈折率または透明性に起因した光学的現象と推察される。
また、実施例1,2は、実施例3〜5に比べて、高性能な太陽電池特性を示した。実施例1は、CVD製膜でp型半導体層を形成し、実施例2は、同じくCVD製膜でn型半導体層を形成したが、実施例3〜5は、インク材料で導電型半導体層を形成していた。これから、CVD製膜によると、導電型半導体層と真性半導体層と界面の接合が、インク材料製の導電型半導体層と真性半導体層との界面の接合に比べて良好になると推察され、これにより、実施例1,2は高性能な太陽電池特性を示したと考えられる。
10 バックコンタクト型の太陽電池
11 半導体基板
11S 半導体基板の主面
11SU 受光側の主面(受光面)
11SB 裏側の主面(裏面)
12 真性半導体層[中間層]
12S 真性半導体層の表面
13 導電型半導体層
13S 導電型半導体層の表面
14 p型半導体層
E14 p型半導体層の櫛背部
T14 p型半導体層の櫛歯部
15 n型半導体層
E15 n型半導体層の櫛背部
T15 n型半導体層の櫛歯部
16 低反射層
17 電極層
18 透明電極層
19 金属電極層
22k シリコン[導電性無機化合物、半導体ナノ粒子]
22c 酸化シリコン[誘電性/絶縁性無機化合物]
23 半導体材料[導電性化合物]
24 p型半導体材料[導電性化合物]
25 n型半導体材料[導電性化合物]
26 樹脂[絶縁性高分子化合物]
27 インク材料
33d ドーピングされたシリコン
33dp ドーピングされたシリコンでp型
33dn ドーピングされたシリコンでn型
33r 酸化シリコン[誘電性/絶縁性無機化合物]
40 太陽電池モジュール
42 配線部材
43 受光面保護部材
44 裏面保護部材
45 封止材

Claims (9)

  1. 半導体基板の一方の主面側に、第1導電型半導体層および第2導電型半導体層を配置させるとともに、前記第1導電型半導体層および前記第2導電型半導体層と前記半導体基板との間に、中間層を介在させるバックコンタクト型太陽電池にあって、
    前記第1導電型半導体層、前記第2導電型半導体層、および前記中間層の少なくとも1つの層が、前記層の面内方向よりも前記層の厚み方向に、高い導電性を有する異方導電性膜であり、さらに、
    前記異方導電性膜は、導電性無機化合物と、誘電性および絶縁性を有する無機化合物とを含み、
    前記面内方向にて、前記層の両面に表出するように延びる前記導電性無機化合物を島、前記島以外の部分を占める前記誘電性および絶縁性を有する無機化合物を海とする、海島構造を含む、バックコンタクト型太陽電池。
  2. 前記導電性無機化合物は、半導体ナノ粒子である請求項に記載のバックコンタクト型太陽電池。
  3. 前記半導体ナノ粒子は、シリコンまたはシリコン化合物である請求項に記載のバックコンタクト型太陽電池。
  4. 前記シリコンは、微結晶シリコンであり、
    前記シリコン化合物は、シリコンオキサイド、シリコンナイトライド、およびシリコンカーバイドのうち少なくとも1種を含む、請求項に記載のバックコンタクト型太陽電池。
  5. 半導体基板の一方の主面側に、第1導電型半導体層および第2導電型半導体層を配置させるとともに、前記第1導電型半導体層および前記第2導電型半導体層と前記半導体基板との間に、中間層を介在させるバックコンタクト型太陽電池にあって、
    前記第1導電型半導体層、前記第2導電型半導体層、および前記中間層の少なくとも1つの層が、前記層の面内方向よりも前記層の厚み方向に、高い導電性を有する異方導電性膜であり、さらに、
    前記異方導電性膜は、導電性化合物と、絶縁性高分子化合物とを含み、
    前記面内方向にて、前記層の両面に表出するように延びる前記導電性化合物を島、
    前記島以外の部分を占める絶縁性高分子化合物を海とする、海島構造を含む、
    バックコンタクト型太陽電池。
  6. 前記導電性化合物は、有機化合物または無機化合物である、請求項に記載のバックコンタクト型太陽電池。
  7. 前記有機化合物は、PEDOT−PSSおよびカーボンブラックのうち少なくとも1種を含み、
    前記無機化合物は、酸化銅および酸化亜鉛のうち少なくとも1種を含む、請求項に記載のバックコンタクト型太陽電池。
  8. 前記導電性化合物と絶縁性高分子化合物とを含む異方導電性材料は、インク材料である請求項のいずれか1項に記載のバックコンタクト型太陽電池。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載のバックコンタクト型太陽電池を搭載する太陽電池モジュール。
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