JP6937847B2 - 有機アミンの回収方法 - Google Patents

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Description

本発明は、イソシアネートの製造において生じる液相成分から有機アミン化合物や芳香族ヒドロキシ化合物等の有効成分を回収する方法に関する。
本願は、日本に、2017年12月27日に出願された特願2017−252607号と2018年1月30日に出願された特願2018−014143に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
少なくとも1つのイソシアネート基(NCO基)を有するイソシアネート化合物は、ポリウレタン、ポリ尿素等の原料として、工業的に広く用いられている。
イソシアネート化合物の製造方法として、主原料となる有機アミン化合物及び副原料としてホスゲンを使用する方法、有機アミン化合物及び炭酸エステルや尿素を使用する方法が知られている。
これらのイソシアネート化合物の製造方法においては、生成するカルバメートやNCO化合物、又は、それらの中間体等が、例えば、多量化、ビウレット化及びアロファネート化等の重合反応を惹起することが知られており、製造過程において、化合物(I)の分離後に、該重合反応に起因する副生成物を含む組成物が得られる。該副生成物は、イソシアネート化合物及びイソシアネート化合物の原料となる有機アミン化合物に由来する副生成物であって、有効成分として回収することができれば、工業的に有利である。
また、前記副生成物を含む組成物は室温付近では高粘性の液又は固形となる場合があり、イソシアネート化合物の連続的生産において、閉塞等が生じる場合もある。
例えば特許文献1には、特定の温度、圧力条件下でジイソシアネート含有有機残留物からイソシアネートを分離し、かつ、残留物を強制的な運搬によって搬出する方法が開示されている。
特許文献2〜6には、イソシアネートの製造で生じた残渣の後処理方法が開示されている。
特許文献7には、イソシアネートの製造で生じた残渣の後処理方法において、副生する気体成分をアルカリ金属で全量炭酸塩として吸収させる方法が開示されている。
特許文献8には、トリレンジイソシアネートの合成で生成する蒸留残渣を水と反応させることにより後処理する方法であって、当該蒸留残渣を水解物の存在下に逆混合反応器で連続又は半連続で水と反応させる方法が開示されている。
特許文献9には、イソシアネート系化合物に、アンモニア及び/又は脂肪族アミンを含む高温高圧水を接触させることで、イソシアネート系化合物の原料として回収する分解回収方法が開示されています。
国際公開第2007/036479号 国際公開第2009/127591号 特許第5563816号公報 特許第5563886号公報 特許第5240678号公報 国際公開第2009/130842号 特公昭58−048538号公報 特表2002−518369 特開2002−173471
しかしながら、特許文献1の方法では、ジイソシアネート含有有機残留物を、ジイソシアネートを分離する装置に搬送する際に、該ジイソシアネート含有有機残留物が高粘度である場合が多く、その搬送自体が困難となる場合がある。
特許文献2〜7に記載の方法では、十分にイソシアネート化合物を得られず、処理工程の後、さらにカルバメートを熱分解してイソシアネート化する必要があり、反応原理的に追加されたこの熱分解工程でも副生成物が副生する課題を有していた。また、炭酸エステルを添加する方法では、イソシアネート化合物の処理によって生成した有機アミン化合物と炭酸エステルとが反応して、副反応を促進させるカルバメートを生成させるという本質的な課題を有している。
特許文献8に記載の方法では、反応効率が低く、反応完結に長時間を要するという課題を有している。
特許文献9に記載の方法では、反応効率が、水相/有機相の界面接触効率に依存し、攪拌動力がない部分では液液分離し、反応効率が低いという課題を有している。
本発明の目的は、イソシアネートを回収後の高沸点化合物を含む液相成分から有機アミン化合物や芳香族ヒドロキシ化合物等の有用成分を効率よく回収する方法を提供することにある。
本発明は、以下の態様を含む。
(1)下記一般式(I)で表される化合物の製造方法で副生する液相成分から、下記一般式(III)で表される化合物を回収する方法であって、下記工程(1)〜工程(4)を含む回収方法。
工程(1):前記液相成分と少なくとも一種の活性水素含有化合物とを反応器内で反応させる工程。
工程(2):前記反応器の気相成分を冷却することにより得られた凝縮液を前記反応器内へ戻す工程。
工程(3):前記工程(2)において、凝縮されなかった気相成分を前記反応器以外へ排出する工程。
工程(4):前記反応器内の液相成分として、前記一般式(III)で表される化合物を含有する反応液を前記反応器外に排出する工程。
Figure 0006937847
前記一般式(I)中、R11は1価以上3価以下の有機基であり、n11は1以上3以下の整数である。
Figure 0006937847
前記一般式(III)中、R31は1価以上3価以下の有機基であり、n31は1以上3以下の整数である。
(2)前記活性水素含有化合物が、水、尿素、アルコール、芳香族ヒドロキシ化合物および有機第1アミンからなる群から選ばれることを特徴とする、前記(1)に記載の回収方法。
(3)下記一般式(I)で表される化合物の製造方法で副生する液相成分から、下記一般式(III)で表される化合物を回収する方法であって、下記工程(A)、工程(B)及び工程(4)を含む回収方法。
工程(A):前記液相成分と水と前記一般式(III)で表される化合物とを混合する工程。
工程(B):前記液相成分と水とを反応器内で反応させる工程。
工程(4):前記反応器内の液相成分として、前記一般式(III)で表される化合物を含有する反応液を前記反応器外に排出する工程。
Figure 0006937847
前記一般式(I)中、R11は1価以上3価以下の有機基であり、n11は1以上3以下の整数である。
Figure 0006937847
前記一般式(III)中、R31は1価以上3価以下の有機基であり、n31は1以上3以下の整数である。
(4)前記一般式(I)で表される化合物の製造方法が、炭酸誘導体とヒドロキシ化合物と前記一般式(III)で表される化合物から製造する方法である、前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の回収方法。
(5)前記一般式(I)で表される化合物の製造方法で副生する液相成分が、炭酸誘導体とヒドロキシ化合物と前記一般式(III)で表される化合物から製造される、カルバメートを含むカルバメート含有液を、熱分解反応装置に供給して、前記カルバメートと熱分解反応に付し、生成する前記一般式(I)で表される化合物を含む気相成分を回収する際に熱分解反応装置から抜き出される液相成分である、前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の回収方法。
(6)前記熱分解反応装置が、管型反応器と、前記液相成分と前記一般式(I)で表される化合物を含む気相成分を分離する分離槽からなり、前記管型反応器における単位浸辺長流量が10kg/時・m以上1000kg/時・m以下である、前記(5)に記載の回収方法。
(7)前記液相成分と前記一般式(I)で表される化合物を含む気相成分を分離する分離槽における気相成分の線速度が10m/秒以下である、前記(5)または(6)に記載の回収方法。
(8)前記熱分解反応装置から抜き出される液相成分を150℃以上350℃以下に保持した状態で工程1)がおこなわれる反応器に供給する、前記(5)〜(7)のいずれか一項に記載の回収方法。
(9)前記液相成分が、ヒドロキシ化合物を含有することを特徴とする、前記(1)〜(8)のいずれか一項に記載の回収方法。
(10)前記液相成分が、下記式(II−1)で表される基及び下記式(II−2)で表される基のうち少なくともいずれか1種類の基を有する化合物を含む、前記(1)〜(8)のいずれか一項に記載の回収方法。
Figure 0006937847
(11)前記液相成分が、ヒドロキシ化合物を、液相成分の総質量に対して、20質量%〜70質量%含有する、前記(10)に記載の回収方法。
(12)前記液相成分の粘度が150℃において100mPa・s以下である、前記(1)〜(11)のいずれか一項に記載の回収方法。
(13)前記反応器が、槽型反応器、押出機及び薄膜蒸発機からなる群から選ばれる少なくとも1つの反応器である、前記(1)〜(12)のいずれか一項に記載の回収方法。
(14)前記活性水素含有化合物の少なくとも一種が、水であり、工程(3)で排出する気相成分が、二酸化炭素を含む、前記(1)、(2)及び(4)〜(12)のいずれか一項に記載の回収方法。
(15)前記活性水素含有化合物の少なくとも二種が、水及び芳香族ヒドロキシ化合物である、前記(1)、(2)及び(4)〜(12)のいずれか一項に記載の回収方法。
(16)前記活性水素含有化合物の少なくとも二種が、尿素及び芳香族ヒドロキシ化合物であり、工程(3)で排出する気相成分が、二酸化炭素及びアンモニアを含むことを特徴とする、前記(1)、(2)及び(4)〜(12)のいずれか一項に記載の回収方法。
(17)前記工程(2)の凝縮液が水である、前記(14)または(15)のいずれか一項に記載の回収方法。
(18)前記活性水素含有化合物として前記一般式(III)で表される化合物がさらに使用される、前記(15)〜(17)のいずれか一項に記載の回収方法。
(19)下記工程(5)〜工程(6)をさらに含む、前記(1)〜(18)に記載の回収方法。
工程(5):前記工程(4)で得た反応液から前記一般式(III)で表される化合物を分離する工程。
工程(6):前記一般式(III)で表される化合物を精製する工程。
(20)前記工程(6)において、前記一般式(III)で表される化合物の総質量に対して、金属成分の含有量が1000質量ppm以下およびハロゲン原子の含有量が1000質量ppm以下となるように前記一般式(III)で表される化合物を蒸留回収することを特徴とする、前記(19)に記載の回収方法。
(21)前記工程(6)で回収された前記一般式(III)で表される化合物を、前記一般式(I)で表される化合物の製造工程にリサイクルすることを特徴とする、前記(19)または(20)に記載の回収方法。
(22)前記液相成分が、一般式(IV)で表される基を有する化合物を含有し、
前記工程(5)において、前記工程(4)で得た反応液から、前記一般式(III)で表される化合物と共に、下記一般式(V)で表される化合物を分離し、さらに、
前記工程(6)の後に、下記工程(7)を含む、前記(19)〜(21)のいずれか一項に記載の回収方法。
工程(7):前記一般式(V)で表される化合物を精製する工程
Figure 0006937847
前記一般式(IV)及び(V)中、X41は炭素数6以上12以下の無置換又は置換基を有する芳香族炭化水素環又は複素芳香族環を表し、R41は、フェニル基及びヒドロキシフェニル基からなる群から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいC1〜20アルキル基、アミノ基、又はヒドロキシ基を表し、n41は0〜4の整数を表し、n41が2以上の時、R41は同一であっても異なっていてもよい。
(23)前記工程(7)において、前記一般式(V)で表される化合物の総質量に対して、金属成分の含有量が1000質量ppm以下およびハロゲン原子の含有量が1000質量ppm以下となるように前記一般式(V)で表される化合物を蒸留回収する、前記(22)記載の回収方法。
(24)前記工程(7)で回収された前記一般式(V)で表される化合物を、前記一般式(I)で表される化合物の製造工程にリサイクルする、前記(22)または(23)に記載の回収方法。
本発明によれば、イソシアネートを回収後の高沸点化合物を含む液相成分から有機アミン化合物や芳香族ヒドロキシ化合物等の有用成分を効率よく回収することができる。
本発明の回収方法で使用される回収装置の一例を示す概略構成図である。 本発明の回収方法で使用される回収装置の他の一例を示す概略構成図である。 本発明の回収方法で使用される回収装置の他の一例を示す概略構成図である。 本発明の回収方法で使用される回収装置の他の一例を示す概略構成図である。 本発明の回収方法で使用される回収装置の他の一例を示す概略構成図である。 本発明の回収方法で使用される回収装置の他の一例を示す概略構成図である。 本発明の回収方法で使用される回収装置の他の一例を示す概略構成図である。 本発明の回収方法で使用される回収装置の他の一例を示す概略構成図である。 本発明の回収方法で使用される回収装置の他の一例を示す概略構成図である。 本発明の回収方法で使用される回収装置の他の一例を示す概略構成図である。 本発明の回収方法で使用される回収装置の他の一例を示す概略構成図である。 本発明の回収方法で使用される回収装置の他の一例を示す概略構成図である。 実施例1の工程(1−A)で使用したカルバメート製造設備を示す説明図である。 実施例2の工程(2−A)で使用したカルバメート製造設備を示す説明図である。 実施例2の予備濃縮工程で使用した装置を示す説明図である。 実施例2のカルバメートの熱分解工程で使用した装置を示す説明図である。 実施例3及び4で使用したカルバメート製造設備を示す説明図である。 実施例4のエステル交換反応で使用した装置を示す説明図である。 実施例5の工程(5−1)で使用した、ウレイド基を有する化合物の製造装置を示す説明図である。
本発明の好適な実施形態について以下に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書中において、「有機基」、「脂肪族」、「芳香族」等という用語は国際公開第2014/069605号(参考文献1)の段落番号[0017]〜[0023]で開示されている内容と同じである。
具体的には、本明細書中において、IUPAC規則及びこれ以降にも示すIUPACで定められたNomenclature規則(特別に他年度のIUPAC勧告等を引用する場合を除く)を指す場合は、Recommendations 1979に基づいて、1980年に「化学の領域」の別冊として刊行された有機化学と生化学の規則すべてと日本語への字訳規則を包含した版を元にしてその後のすべての改訂及び勧告を加えた「有機化学・生化学命名法」(日本国 南江堂出版 1992年発行の改訂第2版)を引用したものを意味する。
「有機」とは、該命名法に開示されている命名法の対象とされる化合物群一般を指す。該対象は、1993年に出された勧告に記載された対象であってもよい。ただし、上記Nomenclatureの対象とした「有機」化合物には、有機金属化合物や金属錯体も含有される。
本実施形態においては、特に説明のない場合、「有機基」及び「置換基」等の用語は、金属原子及び半金属のうち少なくともいずれか1種類を含まない原子で構成される基を意味する。さらに本実施形態では、好ましくは、H(水素原子)、C(炭素原子)、N(窒素原子)、O(酸素原子)、S(硫黄原子)、Cl(塩素原子)、Br(臭素原子)、I(ヨウ素原子)からなる群より選ばれる原子から構成される「有機化合物」、「有機基」又は「置換基」を使用する。
以下の説明に、「脂肪族」及び「芳香族」という用語を多用する。上記したIUPACの規則によれば、有機化合物は、脂肪族化合物と芳香族化合物とに分類されることが記載されている。脂肪族化合物とは、1995年のIUPAC勧告に基づいた脂肪族化合物に沿った基の定義である。該勧告では、脂肪族化合物を“Acyclic or cyclic, saturated or unsaturated carbon compounds, excluding aromatic compounds”と定義している。
また、本実施形態の説明で用いる「脂肪族化合物」は、飽和及び不飽和、鎖状及び環状のいずれも含有するものであり、上記したH(水素原子);C(炭素原子);N(窒素原子);O(酸素原子);S(硫黄原子);Si(ケイ素原子);Cl(塩素原子)、Br(臭素原子)又はI(ヨウ素原子)のハロゲン原子からなる群より選ばれる原子で構成される「有機化合物」、「有機基」又は「置換基」を指す。
アラルキル基等の芳香族基が脂肪族基に結合している場合は、そのように「芳香族基で置換された脂肪族基」又は「芳香族基が結合した脂肪族基からなる基」と表記することがある。これは、本実施形態における反応性に基づくもので、アラルキル基のような基の反応に関する性質は、芳香族性ではなく脂肪族の反応性に極めて類似しているからである。
また、アラルキル基、アルキル基等を包含した非芳香族反応性基を、「芳香族基で置換されていてもよい脂肪族基」、「芳香族基が結合していてもよい脂肪族基」等と表記することがある。
なお、本明細書中で使用する化合物の一般式を説明する際は、上記したIUPACで定められたNomenclature規則に沿った定義を使用するが、具体的な基の名称、例示する化合物の名称には、慣用名を使用する場合がある。また、本明細書中に、原子の数、置換基の数、個数を記載する場合は、それらは全て整数を表している。
本明細書中において、「活性水素」とは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ケイ素原子等と結合している水素原子(芳香族性ヒドロキシ基は除く)、及び、末端メチン基の水素原子を指す。「活性水素」は、例えば、−OH基、−C(=O)OH基、−C(=O)H基、−SH基、−SOH基、−SOH基、−SOH基、−NH基、−NH−基、−SiH基、−C≡CH基等の原子団に含まれている水素である。なお、ヒドロキシ基(−OH基)を有する化合物としては、アルコール及び芳香族ヒドロキシ化合物が挙げられる。
本明細書中における「アルコール」とは、IUPACの定義(Rule C−201)に記載された、「ヒドロキシ基が飽和炭素原子に結合した化合物(Compounds in which a hydroxy group, −OH, is attached to a saturated carbon atom:RCOH)」であり、ヒドロキシ基が芳香環に結合した芳香族ヒドロキシ化合物は含まれない。
本明細書中における「芳香族ヒドロキシ化合物」とは、IUPACの定義(Rule C−202)に記載されたフェノール類(phenols)「1つ又はそれ以上のヒドロキシ基がベンゼン環又は他のアレーン環に結合した化合物(Compounds having one or more hydroxy groups attached to a benzene or other arene ring.)」である。
≪回収方法≫
本発明の第1の実施形態の有機アミンの回収方法は、下記一般式(I)で表される化合物(以下、「化合物(I)」と称する場合がある)の製造方法で副生する高沸点化合物を含む液相成分から、下記一般式(III)で表される化合物(以下、「化合物(III)」と称する場合がある)を回収する方法であって、下記工程(1)〜工程(4)を含む。
工程(1):前記高沸点化合物を含む液相成分と少なくとも一種の活性水素含有化合物とを反応器内で反応させる工程。
工程(2):前記反応器の気相成分を冷却することにより得られた凝縮液を前記反応器内へ戻す工程。
工程(3):前記工程(2)において、凝縮されなかった気相成分を前記反応器以外へ排出する工程。
工程(4):前記反応器内の液相成分として、前記一般式(III)で表される化合物を含有する反応液を前記反応器外に排出する工程。
Figure 0006937847
前記一般式(I)中、R11は1価以上3価以下の有機基であり、n11は1以上3以下の整数である。
Figure 0006937847
前記一般式(III)中、R31は1価以上3価以下の有機基であり、n31は1以上3以下の整数である。
まず、本実施形態の回収方法で使用又は生成される各化合物について、以下に説明する。
<化合物(I)>
化合物は(I)は、下記一般式(I)で表される化合物であり、少なくとも1つのイソシアネート基を有するイソシアネート化合物である。
Figure 0006937847
前記一般式(I)中、R11は1価以上3価以下の有機基であり、n11は1以上3以下の整数である。
[R11
前記一般式(1)中、R11は1価以上3価以下の有機基である。中でも、R11としては、炭素数1以上20以下の1価以上3価以下の脂肪族基又は炭素数6以上20以下の1価以上3価以下の芳香族基が好ましく、炭素数1以上20以下の1価以上3価以下の脂肪族炭化水素基、炭素数6以上20以下の1価以上3価以下の芳香族基、又は、これら脂肪族炭化水素基及び芳香族基のうち少なくとも2つの基がエステル基を介して結合してなる炭素数1以上20以下の基が好ましい。
(R11:脂肪族炭化水素基)
11が脂肪族炭化水素基である場合、R11は、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、アルキレン基若しくはアルカントリイル基、シクロアルキル基、シクロアルキレン基若しくはシクロアルカントリイル基、又は、前記アルキル基、前記アルキレン基若しくは前記アルカントリイル基と、前記シクロアルキル基、前記シクロアルキレン基若しくは前記シクロアルカントリイル基とから構成される基が好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基若しくはアルカントリイル基、シクロアルキレン基若しくはシクロアルカントリイル基、又は、前記アルキレン基若しくは前記アルカントリイル基と、前記シクロアルキル基、前記シクロアルキレン基若しくは前記シクロアルカントリイル基とから構成される基がより好ましい。
直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ペンチレン基、n−ヘキシレン基、デカメチレン基等が挙げられる。
シクロアルキレン基としては、例えば、シクロブチレン基、シクロヘキレン基等が挙げられる。
直鎖状又は分岐鎖状アルカントリイル基としては、例えば、ヘキサントリイル基、ノナントリイル基、デカントリイル基等が挙げられる。
シクロアルカントリイル基としては、例えば、シクロプロパントリイル基、シクロブタントリイル基、シクロペンタントリイル基、シクロヘキサントリイル基等が挙げられる。
11が脂肪族炭化水素基である場合、化合物(I)として具体的には、例えば、脂肪族ジイソシアネート類、脂肪族トリイソシアネート類、置換された環式脂肪族ポリイソシアネート類等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネート類としては、例えば、エチレンジイソシアネート、ジイソシアナトプロパン(各異性体)、ジイソシアナトブタン(各異性体)、ジイソシアナトペンタン(各異性体)、ジイソシアナトヘキサン(各異性体)、ジイソシアナトデカン(各異性体)、イソホロンジイソシアネート(各異性体)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(各異性体)等が挙げられる。
脂肪族トリイソシアネート類としては、例えば、トリイソシアナトヘキサン(各異性体)、トリイソシアナトノナン(各異性体)、トリイソシアナトデカン(各異性体)等が挙げられる。
置換された環式脂肪族ポリイソシアネート類としては、例えば、ジイソシアナトシクロブタン(各異性体)、ジイソシアナトシクロヘキサン(各異性体)、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(シス体及びトランス体のうち少なくともいずれかの異性体)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(各異性体)等が挙げられる。
(R11:芳香族基)
11が芳香族基である場合、置換基を有してもよい炭素数6以上13以下の芳香環を有する基が好ましい。置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。芳香環としては、芳香族炭化水素環であってもよく、複素芳香族環であってもよく、具体的には、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環等が挙げられる。
11が芳香族基の場合、化合物(I)として具体的には、例えば、芳香族ジイソシアネート類、芳香族トリイソシアネート類等が挙げられる。
芳香族ジイソシアネート類としては、例えば、ジイソシアナトベンゼン(各異性体)、ジイソシアナトトルエン(各異性体)、メチレンジアニリン(各異性体)、ジイソシアナトメシチレン(各異性体)、ジイソシアナトビフェニル(各異性体)、ジイソシアナトジベンジル(各異性体)、ビス(イソシアナトフェニル)プロパン(各異性体)、ビス(イソシアナトフェニル)エーテル(各異性体)、ビス(イソシアナトフェノキシエタン)(各異性体)、ジイソシアナトキシレン(各異性体)、ジイソシアナトアニソール(各異性体)、ジイソシアナトフェネトール(各異性体)、ジイソシアナトナフタレン(各異性体)、ジイソシアナトメチルベンゼン(各異性体)、ジイソシアナトメチルピリジン(各異性体)、ジイソシアナトメチルナフタレン(各異性体)、ジイソシアナトジフェニルメタン(各異性体)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(各異性体)等が挙げられる。
芳香族トリイソシアネート類としては、例えば、トリイソシアナトベンゼン(各異性体)、トリイソシアナト−メチルベンゼン(各異性体)、トリス(イソシアナトプロパン−イル)ベンゼン(各異性体)、トリス(イソシアナトプロパン−イル)−メチルベンゼン(各異性体)、トリス(イソシアナトメチル)−メチルベンゼン(各異性体)、((イソシアナト−フェニレン)ビス(メチレン))ビス(イソシアネートベンゼン)(各異性体)等が挙げられる。
(R11:上記脂肪族炭化水素基及び上記芳香族基のうち少なくとも2つの基がエステル基を介して結合してなる炭素数1以上20以下の基)
11が、上記脂肪族炭化水素基及び上記芳香族基のうち少なくとも2つの基がエステル基を介して結合してなる炭素数1以上20以下の基である場合、化合物(I)として具体的には、例えば、アクリル酸−2−イソシアナト−エチルエステル、2−メチル−アクリル酸−2−イソシアナト−エチルエステル、アクリル酸−2−イソシアナト−プロピルエステル、2−メチル−アクリル酸−2−イソシアナト−プロピルエステル、アクリル酸−3−イソシアナト−プロピルエステル、2−メチル−アクリル酸−3−イソシアナト−プロピルエステル、アクリル酸−4−イソシアナト−ブチルエステル、2−メチル−アクリル酸−4−イソシアナト−ブチルエステル、アクリル酸−5−イソシアナト−ペンチルエステル、2−メチル−アクリル酸−5−イソシアナト−ペンチルエステル、アクリル酸−6−イソシアナト−ヘキシルエステル、2−メチル−アクリル酸−6−イソシアナト−ヘキシルエステル、アクリル酸−8−イソシアナト−オクチルエステル、2−メチル−アクリル酸−8−イソシアナト−オクチルエステル、アクリル酸−10−イソシアナト−デシルエステル、2−メチル−アクリル酸−10−イソシアナト−デシルエステル、アクリル酸−11−イソシアナト−ウンデシルエステル、2−メチル−アクリル酸−11−イソシアナト−ウンデシルエステル、アクリル酸−12−イソシアナト−ドデシルエステル、2−メチル−アクリル酸−12−イソシアナト−ドデシルエステル、リジンメチルエステルジイソシアネート、リジンエチルエステルジイソシアネート、2−イソシアナトエチル−2,5−ジイソシアナトペンタノエート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、ビス(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトブタンジオエート、ビス(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトペンタンジオエート、トリス(2−イソシアナトエチル)ヘキサン−1,3,6−トリカルボキシレート等が挙げられる。
[n11]
前記一般式(I)中、n11は、イソシアネート基の数を表し、1以上3以下の整数である。n11は2以上3以下が好ましい。
これらの中でも、化合物(I)は、ジイソシアナトヘキサン、ジイソシアナトトルエン、ジイソシアナトメチルトリメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトプロピル)ベンゼン、ビス(イソシアナトプロピル)シクロヘキサン、又はイソシアナトメチルオクタンジイソシアネートであることが好ましい。
<化合物(III)>
化合物(III)は、下記一般式(III)で表される化合物であり、少なくとも1つのアミノ基を有するアミノ基含有化合物である。
Figure 0006937847
前記一般式(III)中、R31は1価以上3価以下の有機基であり、n31は1以上3以下の整数である。
[R31
前記一般式(III)中、R31は1価以上3価以下の有機基である。R31としては、上記R11において例示されたものと同様のものが挙げられる。
(R31:脂肪族炭化水素基)
31が脂肪族炭化水素基である場合、化合物(III)として具体的には、例えば、脂肪族ジアミン類、脂肪族トリアミン類、置換された環式脂肪族ポリアミン類等が挙げられる。
脂肪族ジアミン類としては、例えば、エチレンジアミン、ジアミノプロパン(各異性体)、ジアミノブタン(各異性体)、ジアミノペンタン(各異性体)、ジアミノヘキサン(各異性体)、ジアミノデカン(各異性体)等が挙げられる。
脂肪族トリアミン類としては、例えば、トリアミノヘキサン(各異性体)、トリアミノノナン(各異性体)、トリアミノデカン(各異性体)等が挙げられる。
置換された環式脂肪族ポリアミン類としては、例えば、ジアミノシクロブタン(各異性体)、ジアミノシクロヘキサン(各異性体)、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(シス体及びトランス体のうち少なくともいずれかの異性体)、メチレンビス(シクロヘキシルアミン)(各異性体)等が挙げられる。
(R31:芳香族基)
31が芳香族基である場合、化合物(III)として具体的には、例えば、芳香族ジアミン類、芳香族トリアミン類等が挙げられる。
芳香族ジアミン類としては、例えば、ジアミノベンゼン(各異性体)、ジアミノトルエン(各異性体)、メチレンジアニリン(各異性体)、ジアミノメシチレン(各異性体)、ジアミノビフェニル(各異性体)、ジアミノジベンジル(各異性体)、ビス(アミノフェニル)プロパン(各異性体)、ビス(アミノフェニル)エーテル(各異性体)、ビス(アミノフェノキシエタン)(各異性体)、ジアミノキシレン(各異性体)、ジアミノアニソール(各異性体)、ジアミノフェネトール(各異性体)、ジアミノナフタレン(各異性体)、ジアミノメチルベンゼン(各異性体)、ジアミノメチルピリジン(各異性体)、ジアミノメチルナフタレン(各異性体)、ジアミノジフェニルメタン(各異性体)、テトラメチルキシリレンジアミン(各異性体)等が挙げられる。
芳香族トリアミン類としては、例えば、トリアミノベンゼン(各異性体)、トリアミノメチルベンゼン(各異性体)、トリス(アミノプロパン−イル)ベンゼン(各異性体)、トリス(アミノプロパン−イル)−メチルベンゼン(各異性体)、トリス(アミノメチル)−メチルベンゼン(各異性体)、((アミノフェニレン)ビス(メチレン))ビス(アミンベンゼン)(各異性体)等が挙げられる。
(R31:上記脂肪族炭化水素基及び上記芳香族基のうち少なくとも2つの基がエステル基を介して結合してなる炭素数1以上20以下の基)
31が上記脂肪族炭化水素基及び上記芳香族基のうち少なくとも2つの基がエステル基を介して結合してなる炭素数1以上20以下の基である場合、化合物(III)として具体的には、例えば、アクリル酸−2−アミノエチルエステル、2−メチル−アクリル酸−2−アミノエチルエステル、アクリル酸−2−アミノプロピルエステル、2−メチル−アクリル酸−2−アミノプロピルエステル、アクリル酸−3−アミノプロピルエステル、2−メチル−アクリル酸−3−アミノプロピルエステル、アクリル酸−4−アミノブチルエステル、2−メチル−アクリル酸−4−アミノブチルエステル、アクリル酸−5−アミノペンチルエステル、2−メチル−アクリル酸−5−アミノペンチルエステル、アクリル酸−6−アミノヘキシルエステル、2−メチル−アクリル酸−6−アミノヘキシルエステル、アクリル酸−8−アミノクチルエステル、2−メチル−アクリル酸−8−アミノクチルエステル、アクリル酸−10−アミノデシルエステル、2−メチル−アクリル酸−10−アミノデシルエステル、アクリル酸−11−アミノンデシルエステル、2−メチル−アクリル酸−11−アミノンデシルエステル、アクリル酸−12−アミノドデシルエステル、2−メチル−アクリル酸−12−アミノドデシルエステル、リジンメチルエステルジアミン、リジンエチルエステルジアミン、2−アミノエチル−2,5−ジアミノペンタノエート、2−アミノエチル−2,6−ジアミノヘキサノエート、ビス(2−アミノエチル)−2−アミノブタンジオエート、ビス(2−アミノエチル)−2−アミノペンタンジオエート、トリス(2−アミノエチル)ヘキサン−1,3,6−トリカルボキシレート等が挙げられる。
[n31]
前記一般式(III)中、n31は、アミノ基の数を表し、1以上3以下の整数である。n31は2以上3以下が好ましい。
これらの中でも化合物(III)は、ジアミノヘキサン、ジアミノトルエン、ジアミノメチルトリメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、キシリレンジアミン、ビス(アミノプロピル)ベンゼン、ビス(アミノプロピル)シクロヘキサン、又はアミノメチルオクタンジアミンであることが好ましい。
<高沸点化合物>
高沸点化合物は、化合物(I)の製造方法で副生する化合物であって、前記化合物(I)の製造工程において、熱分解反応器から気相成分として抜き出される化合物に対して、同条件で気相成分とならなかった化合物であり、その沸点は特に限定されないが、例えば、熱分解反応器の操作圧力において300℃以上である。
<化合物(I)の製造方法>
化合物(I)の製造方法は、炭酸誘導体とヒドロキシ化合物と化合物(III)とから製造する方法であることが好ましい。
前記化合物(I)の製造方法で副生する高沸点化合物を含む液相成分は、炭酸誘導体とヒドロキシ化合物と化合物(III)とを反応させて得られるカルバメートを含むカルバメート含有液を、熱分解反応装置に供給して、前記カルバメートと熱分解反応に付し、生成する化合物(I)を含む気相成分を回収する際に、熱分解反応装置から抜き出される液相成分であることが好ましい。
[炭酸誘導体]
炭酸誘導体としては、例えば、尿素、N−無置換カルバミン酸エステル、炭酸エステル等が挙げられる。
(N−無置換カルバミン酸エステル)
N−無置換カルバミン酸エステルとしては、例えば、N−無置換カルバミン酸エチエル、N−無置換カルバミン酸ブチル、N−無置換カルバミン酸ヘキシル、N−無置換カルバミン酸オクチル、N−無置換カルバミン酸フェニル等が挙げられる。
なお、「N−無置換」とは、HN−COOR(Rは、1価の炭化水素基である)であることを指し、窒素原子に結合している1つの水素原子が炭化水素基に置換された構造R’−NH−COOR(R及びR’は、それぞれ独立に1価の炭化水素基である)との違いを明確にするために使用している。
(炭酸エステル)
炭酸エステルとしては、例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジブチル、炭酸ジヘキシル、炭酸ジオクチル、炭酸ジフェニル、炭酸ジ(メチルフェニル)等が挙げられる。
これらの中でも、炭酸誘導体としては、尿素、又は、炭酸ジフェニル、炭酸ジブチル等の炭酸エステルが好ましく用いられ、尿素がより好ましく用いられる。
[ヒドロキシ化合物]
ヒドロキシ化合物としては、例えば、アルコール、芳香族ヒドロキシ化合物等が挙げられる。中でも、ヒドロキシ化合物としては、芳香族ヒドロキシ化合物が好ましく用いられる。
(アルコール)
アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール(各異性体)、ブタノール(各異性体)、ペンタノール(各異性体)、ヘキサノール(各異性体)、ヘプタノール(各異性体)、オクタノール(各異性体)、ノナノール(各異性体)、デカノール(各異性体)、ドデカノール(各異性体)、オクタデカノール(各異性体)、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、フェニルメタノール、フェニルエタノール(各異性体)、フェニルプロパノール(各異性体)、フェニルブタノール(各異性体)、フェニルペンタノール(各異性体)、フェニルヘキサノール(各異性体)、フェニルヘプタノール(各異性体)、フェニルオクタノール(各異性体)、フェニルノナノール(各異性体)等が挙げられる。
(芳香族ヒドロキシ化合物)
芳香族ヒドロキシ化合物としては、例えば、フェノール、メチルフェノール(各異性体)、プロピルフェノール(各異性体)、ブチルフェノール(各異性体)、ペンチルフェノール(各異性体)、オクチルフェノール(各異性体)、ノニルフェノール(各異性体)、フェニルフェノール(各異性体)、フェニルメチルフェノール(各異性体)、フェニルプロピルフェノール(各異性体)、フェノキシフェノール(各異性体)等が挙げられる。
炭酸誘導体とヒドロキシ化合物と化合物(III)とから化合物(I)を製造する方法では、まず、炭酸誘導体とヒドロキシ化合物と化合物(III)とからカルバメートを製造し、該カルバメートを熱分解して化合物(I)を製造する。このうち、カルバメートを製造する方法は、大別して、以下のi)〜ii)の2通りの方法で行うことができる。本実施形態の製造方法においては、下記方法i)及び下記方法ii)を組み合わせて用いてもよい。
i)化合物(III)と炭酸誘導体とヒドロキシ化合物とを「同時に」反応させてカルバメートを製造する方法。
ii)炭酸誘導体として尿素及びN−無置換カルバミン酸エステルのうち少なくともいずれかの化合物を用いる方法であって、化合物(III)と炭酸誘導体とを反応させてウレイド基を有する化合物を製造する工程(以下、「工程a)」と称する場合がある)と、得られた該ウレイド基を有する化合物とヒドロキシ化合物とを反応させてカルバメートを製造する工程(以下、「工程b)」と称する場合がある)と、を含む方法。
[方法i)]
上記方法i)において、ヒドロキシ化合物の量は、使用される化合物(III)のアミノ基に対して化学量論比(モル比)で、1倍以上500倍以下の範囲とすることができる。
炭酸誘導体の量は、使用される化合物(III)のアミノ基に対して化学量論比(モル比)で1倍以上100倍以下の範囲とすることができる。
反応温度は、100℃以上350℃以下の範囲とすることができる。
反応圧力は、0.01kPa以上10MPa以下(絶対圧)の範囲とすることができる。
炭酸誘導体として尿素及びN−無置換カルバミン酸エステルのうち少なくともいずれかの化合物を用いる場合、カルバメートの収率を高めるためには、可能な限り、副生されるアンモニアを系外に除去しながら反応を行う必要がある。アンモニアを系外に除去する方法としては、例えば、反応蒸留法、不活性ガスにより置換する方法、膜分離による方法、吸着分離による方法等が挙げられる。該反応において必要な場合は、溶媒や触媒を使用することができる。
反応時間(連続反応の場合は滞留時間)は、0.01時間以上100時間以下で実施され、反応時間は、方法i)の目的化合物であるカルバメートの生成量によって決定することもできる。
[方法ii)]
(工程a))
上記方法ii)において、工程a)は、化合物(III)と炭酸誘導体とを反応させて、ウレイド基を有する化合物を含む反応混合物を得る工程である。工程a)において、炭酸誘導体の量は、使用される化合物(III)のアミノ基に対して化学量論比(モル比)で1倍以上100倍以下の範囲とすることができる。
反応温度は、30℃以上250℃以下の範囲とすることができる。
反応圧力は、0.01kPa以上10MPa以下(絶対圧)の範囲とすることができる。
反応時間(連続法の場合は滞留時間)は、0.001時間以上100時間以下とすることができ、ウレイド基を有する化合物が所望量生成していることを確認して反応を終了することもできる。工程a)において必要な場合は、触媒や溶媒を用いることができる。中でも、続く工程b)で使用するヒドロキシ化合物を溶媒として使用することが好ましい。
(工程b))
上記方法ii)において、工程b)は、前記工程a)で得られたウレイド基を有する化合物と、ヒドロキシ化合物とを反応させて、カルバメートを製造する工程である。工程a)で反応溶媒としてヒドロキシ化合物を使用した場合は、工程a)で得られる反応液を使用して、そのまま工程b)を行うことができる。
ヒドロキシ化合物の使用量は、使用するウレイド基を有する化合物のウレイド基に対して化学量論比(モル比)で1倍以上500倍以下の範囲とすることができる。
反応温度は、100℃以上350℃以下の範囲とすることができる。
反応圧力は、0.01kPa以上10MPa以下(絶対圧)の範囲とすることができる。
カルバメートの収率を高めるためには、可能な限り、副生されるアンモニアを系外に除去しながら反応を行う必要がある。アンモニアを系外に除去する方法としては、上記「[方法i)]」において例示された方法と同様の方法が挙げられる。
工程b)において必要な場合は、溶媒や触媒を使用することができる。
反応時間(連続反応の場合は滞留時間)は、0.01時間以上100時間以下とすることができ、工程b)の目的化合物であるカルバメートの生成量によって決定することもできる。
方法i)及び方法ii)のいずれの方法においても、必要に応じて、さらに、その他の工程を付加することができる。該その他の工程としては、例えば、上記方法で得られるカルバメートと、上記方法で用いるヒドロキシ化合物と別種のヒドロキシ化合物とを用いて、カルバメートのエステル交換反応を行い、別種のカルバメートを製造する工程;上記方法で得られる反応液からヒドロキシ化合物の一部又は全部を分離する工程;上記方法で生成するアンモニアを回収する工程等が挙げられる。
方法i)及び方法ii)によって製造されるカルバメートは、下記一般式(XII)で表される化合物(以下、「化合物(XII)」と称する場合がある)である。
Figure 0006937847
前記一般式(XII)中、R121は1価以上3価以下の有機基である。R122は1価の有機基である。n121は1以上3以下の整数である。
121としては、化合物(I)のR11において例示されたものと同様のものが挙げられる。
122は上記ヒドロキシ化合物のヒドロキシ基を除いた基である。すなわち、R122は、1価の脂肪族基又は芳香族基であり、炭素数1以上20以下の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、炭素数6以上13以下のアリール基、又は、炭素数7以上20以下のアラルキル基が好ましい。
炭素数1以上20以下の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
炭素数1以上20以下の環状のアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
炭素数6以上13以下のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、ビフェニル基、フェニルエチルフェニル基、フェニルプロピルフェニル基、フェノキシフェニル基等が挙げられる。
炭素数7以上20以下のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルメチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基、フェニルへプチル基、フェニルオクチル基、フェニルノニル基等が挙げられる。
方法i)及び方法ii)によって製造されるカルバメートを含むカルバメート含有液を、熱分解反応装置に供給して、前記カルバメートを熱分解反応に付し、生成する化合物(I)を含む気相成分を回収する。
カルバメートの熱分解を行う反応温度は、100℃以上350℃以下の範囲とすることができる。
反応圧力は、通常10Pa以上1×10Pa以下(絶対圧)の範囲で行うことができる。
触媒は必ずしも必要ではなく、触媒を使用しないことが好ましいが、反応温度を低下させたり、反応を早期に完結させるために、触媒を使用してもよい。該触媒としては、カルバメートの質量に対して0.01質量%以上30質量%以下の範囲で用いることができ、具体的には、例えば、有機スズ化合物、銅族金属の化合物、亜鉛化合物、鉄族金属の化合物等が挙げられる。
方法i)及び方法ii)において、カルバメート含有液に含まれるヒドロキシ化合物等を溶媒として用いることができる。
反応時間(連続法の場合は滞留時間)は、目的の反応の進行を妨げない範囲で可能な限り短時間であることが好ましい。
カルバメートの熱分解反応は、具体的には、カルバメートを含有する混合物を反応装置(熱分解反応装置と呼称する場合がある)に連続的に供給して、熱分解反応に付し、生成する化合物(I)及びヒドロキシ化合物の一部を気相成分として該熱分解反応装置から連続的に抜き出し、残りを液相成分として該熱分解反応装置から連続的に抜き出す方法が採用される。
ここでいう「気相成分」とは、熱分解反応装置内の気相に存在する成分を意味し、該気相成分は、反応目的物である化合物(I)を含み、原料として使用したヒドロキシ化合物の一部又は全部を含んでもよい。
また、「液相成分」とは、熱分解反応装置内の液相に存在する成分を意味し、該液相成分は、高沸点化合物として、下記式(II−1)で表される基(以下、「基(II−1)」と称する場合がある)及び下記式(II−2)で表される基(以下、「基(II−2)」と称する場合がある)の少なくとも1種を有する化合物を含むことが好ましい。
Figure 0006937847
上記基(II−1)を有する化合物としては、例えば、下記一般式(XIII)で表される化合物(以下、「化合物(XIII)」と称する場合がある)等が挙げられる。
Figure 0006937847
前記一般式(XIII)中、R131及びR134は、それぞれ独立に1価の有機基である。R132及びR133は、それぞれ独立に2価又は3価の有機基である。n131及びn132は、それぞれ独立に0以上2以下の整数である。
131及びR134としては、上記R122において例示されたものと同様のものが挙げられる。また、R131及びR134はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
132及びR133としては、化合物(I)のR11において例示された2価又は3価の基と同様のもの、例えば、炭素数1〜20程度のアルキレン基、炭素数5〜20程度のシクロアルキレン基、炭素数6〜20程度のアリーレン基等が挙げられる。また、R132及びR133はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記基(II−2)を有する化合物としては、例えば、下記一般式(XIV)で表される化合物(以下、「化合物(XIV)」と称する場合がある)等が挙げられる。
Figure 0006937847
前記一般式(XIV)中、R141、R144及びR146は、それぞれ独立に1価の有機基である。R142、R143及びR145は、それぞれ独立に2価又は3価の有機基である。n141、n142及びn143は、それぞれ独立に0以上2以下の整数である。
141、R144及びR146としては、上記R122において例示されたものと同様のものが挙げられる。また、R141、R144及びR146はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
142、R143及びR145としては、化合物(I)のR11において例示された2価又は3価の基と同様のもの、例えば、炭素数1〜20程度のアルキレン基、炭素数5〜20程度のシクロアルキレン基、炭素数6〜20程度のアリーレン基等が挙げられる。また、R142、R143及びR145はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
前記液相成分は、前記高沸点化合物として、アロファネート基を有する化合物、及び/又は、イソシアヌレート基を有する化合物を更に含んでいてもよい。
アロファネート基を有する化合物としては、例えば、下記一般式(XV)で表される化合物(以下、「化合物(XV)」と称する場合がある)等が挙げられる。
Figure 0006937847
前記一般式(XV)中、R151、R153及びR155は、それぞれ独立に1価の有機基である。R152及びR154は、それぞれ独立に2価又は3価の有機基である。n151及びn152は、それぞれ独立に0以上2以下の整数である。
151、R153及びR155としては、上記R122において例示されたものと同様のものが挙げられる。また、R151、R153及びR155はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
152及びR154としては、化合物(I)のR11において例示された2価又は3価の基と同様のもの、例えば、炭素数1〜20程度のアルキレン基、炭素数5〜20程度のシクロアルキレン基、炭素数6〜20程度のアリーレン基等が挙げられる。また、R152及びR154はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
イソシアヌレート基を有する化合物としては、例えば、下記一般式(XVI)で表される化合物(以下、「化合物(XVI)」と称する場合がある)等が挙げられる。
Figure 0006937847
前記一般式(XVI)中、R161、R164及びR166は、それぞれ独立に1価の有機基である。R162、R163及びR165は、それぞれ独立に2価又は3価の有機基である。n161、n162及びn163は、それぞれ独立に0以上2以下の整数である。
161、R164及びR166としては、上記R122において例示されたものと同様のものが挙げられる。また、R161、R164及びR166はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
162、R163及びR165としては、化合物(I)のR11において例示された2価又は3価の基と同様のもの、例えば、炭素数1〜20程度のアルキレン基、炭素数5〜20程度のシクロアルキレン基、炭素数6〜20程度のアリーレン基等が挙げられる。また、R162、R163及びR165はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
前記高沸点化合物として、原料として使用されたヒドロキシ化合物の少なくとも一部を更に含んでいてもよい。
また、化合物(I)を製造する際にヒドロキシ化合物として芳香族ヒドロキシ化合物を使用する場合は、前記液相成分に、カルバメート基がフリース転位したフリース転位末端を含む化合物が含まれる場合があり、又は、上記した熱分解反応においてカルバメート基の一部若しくは全部がイソシアネート基に変換された化合物が含まれる場合もある。また、熱分解反応装置から抜き出されなかった化合物(I)、化合物(I)の一部又は全部のイソシアネート基とヒドロキシ化合物とが反応してカルバメート基を形成した化合物、熱分解反応装置で熱分解されなかった前記化合物(XII)が、前記液相成分に含まれていてもよい。
該液相成分は、本実施形態における液相成分と少なくとも一種の活性水素含有化合物との反応を行う反応器への移送の観点から、好ましくは150℃における粘度が100mPa・s以下、より好ましくは1〜50mPa・sのものが使用される。該液相成分の粘度は、公知の測定器、例えば、細管式粘度計、落球式粘度計、回転式粘度計によって測定することができる。具体的には、例えば、窒素雰囲気下で該液相成分を所定の温度に加熱してB型粘度計を用いて測定することができる。該液相成分が揮発成分を含み、150℃における粘度測定が難しい場合は低温で粘度測定を行い、粘度の対数と測定温度(絶対温度)の逆数をプロットして150℃における粘度を算出してもよい。
前記熱分解反応装置としては、特に制限はなく、例えば、蒸留塔、多段蒸留塔、多管式反応器、連続多段蒸留塔、充填塔、薄膜蒸発器、内部に支持体を備えた反応器、強制循環反応器、落膜蒸発器、落滴蒸発器等を含む反応装置を用いることができる。
中でも、熱分解反応装置としては、生成する低沸点成分を気相に速やかに移動させられる気−液接触面積の大きな構造が好ましく、管状薄膜蒸発器、管状流下膜蒸発器等の管型反応器を含む反応装置を用いることがより好ましい。上記したように、該熱分解反応装置から化合物(I)を含む気相成分を回収する観点から、前記熱分解反応装置が、上記した管型反応器と、前記気相成分及び前記液相成分を分離する分離槽からなることがさらに好ましい。
その際に、反応器壁面の濡れ性を保ち反応器壁面への付着物の形成を防止する観点から、前記管型反応器における単位浸辺長流量は、10kg/時・m以上1000kg/時・m以下が好ましく、20kg/時・m以上500kg/時・m以下がより好ましく、50kg/時・m以上300kg/時・m以下がさらに好ましい。
ここでいう「浸辺長」とは、流体の流れ方向に対して垂直方向の、流体が接触している反応器の壁の周囲の長さ(反応器が円筒形である場合は反応器の断面円周の長さ)を指す。「単位浸辺長流量」は、流体の単位時間流量(kg/時)を浸辺長(m)で除することにより算出することができる。
また、該反応器において液流量が変化する場合は、その最小流量に対する単位浸辺長流量が上記範囲となることが好ましい。
また、化合物(I)を含む気相成分を分離する際に、該気相成分に液相成分が飛沫同伴すると該気相成分を回収する配管等で液相成分が付着し配管の閉塞を惹起することをより抑制する観点から、該分離槽における気相成分の線速度は、10m/秒以下が好ましく、7m/秒以下がより好ましく、3m/秒以下がさらに好ましい。
線速度は、該分離槽を通過する気相成分の体積速度(m/秒)を、該分離槽の断面積(m)で除することにより決定される。
上記方法によって前記熱分解反応装置から連続的に抜き出される液相成分を、高沸点化合物を含む液相成分として、本実施形態の回収方法に使用することができる。
液相成分を、熱分解反応装置から、本実施形態の回収方法における工程1)の反応を行う反応器に移送する際は、該液相成分を液体の状態で保持したまま移送することが好ましい。そのために、前記液相成分を、好ましくは150℃以上350℃以下、より好ましくは200℃以上260℃以下に保持した状態で、工程1)がおこなわれる反応器に供給する。
また、上記した副生成物を溶解し液相状態を保持する観点から、上記液相成分は、上記基(II−1)及び基(II−2)のうち少なくともいずれか1種類の基を有する化合物に加えて、ヒドロキシ化合物を含有することが好ましく、前記ヒドロキシ化合物を、該液相成分の総質量に対して、20質量%以上70質量%以下含有することが好ましく、30質量%以上50質量%以下含有することがより好ましい。ヒドロキシ化合物を上記した量含有させるために、熱分解反応装置からの液相成分を回収する配管及び熱分解反応装置の分離槽のうち少なくともいずれかにヒドロキシ化合物を供給する配管を設けてヒドロキシ化合物を加えることができる。
<回収方法の各工程>
次いで、本実施形態の回収方法の各工程について、以下に詳細を説明する。
[工程(1)]
工程(1)は、上記化合物(I)の製造方法で副生する高沸点化合物を含む液相成分と少なくとも一種の活性水素含有化合物とを反応器内で反応させる工程である。
活性水素含有化合物としては、水、尿素、アルコール、芳香族ヒドロキシ化合物及び有機第1アミンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、水、尿素、アルコール及び芳香族ヒドロキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。これらの化合物は1種単独で使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。中でも、水、水及び芳香族ヒドロキシ化合物の組み合わせ、水及びアルコールの組み合わせ、尿素及び芳香族ヒドロキシ化合物の組み合わせ、又は、尿素及びアルコールの組み合わせが好ましい。
また、水、水及び芳香族ヒドロキシ化合物の組み合わせ、水及びアルコールの組み合わせ、尿素及び芳香族ヒドロキシ化合物の組み合わせ、又は、尿素及びアルコールの組み合わせに加え、化合物(III)を工程(1)に供給することも、該反応器内での分解反応を速やかに進行させたり、収率を向上させる効果を奏することから好ましい。
活性水素含有化合物の量は、上記液相成分に含有される、ビウレット基、アロファネート基、イソシアヌレート基、カルバメート基、ウレア基及びフリース転位末端の総モル量に対して、化学量論比で、1倍以上500倍以下の範囲とすることができる。
ビウレット基、アロファネート基、イソシアヌレート基、カルバメート基、ウレア基及びフリース転位末端の含有量は、該液相成分を試料として、例えば、赤外分光測定(IR測定)、核磁気共鳴スペクトル測定(NMR測定)によって定量することができる。
簡易的には、NMR測定によって、上記例示された基のN原子に隣接する−CH−基(メチレン基)を定量し、この値から上記例示された基の総量を見積もることができる。
活性水素含有化合物として、2種以上の化合物を含み、そのうち1種が水である組み合わせで使用する場合は、水の量を、該液相成分に含有される、ビウレット基、アロファネート基、イソシアヌレート基、カルバメート基及びウレア基の総モル量に対して、化学量論比で、1倍以上200倍以下の範囲とし、アルコール、芳香族ヒドロキシ化合物及び有機第1アミンを適量、すなわち、水に対して化学量論比(モル比)で、0.01倍以上200倍以下の範囲とすることが好ましい。
上記液相成分及び活性水素含有化合物は、予め混合して、該分解反応をおこなう反応器に供給してもよいし、別々に供給してもよい。また、本実施形態の本質に差し障りのない範囲で、該分解反応をおこなう反応器に供給する前に予め加熱をしておくこともできる。
分解反応を行う温度は、使用する化合物に応じて設定することができ、100℃以上350℃以下の範囲が好ましく、150℃以上330℃以下の範囲がより好ましく、200℃以上300℃以下の範囲がさらに好ましい。
圧力は、使用する化合物にもよるが、0.01kPa以上15MPa以下(絶対圧)の範囲であり、減圧でも常圧でも加圧でも実施できる。
上記好ましい温度範囲、使用する活性水素含有化合物、及び、該分解反応で生成する化合物等を勘案すると、加圧での実施が好ましく、0.101MPa以上15MPa以下(絶対圧)の範囲がより好ましく、0.5MPa以上13MPa以下(絶対圧)の範囲がさらに好ましく、2MPa以上8MPa以下(絶対圧)の範囲が特に好ましい。
反応時間(連続反応の場合は滞留時間)は、0.01時間以上100時間以下で実施され、反応液を適宜サンプリングして、目的化合物である化合物(III)の生成量を測定し、所望の生成量に達する時間を反応時間とすることができる。
[工程(2)]
工程(2)は、上記工程(1)で副生する気相成分を冷却することにより得られた凝縮液を、前記反応器内へ戻す工程である。
上記工程(1)の分解反応において副生する気相成分は、工程(1)における原料物質である、化合物(I)の製造方法で副生する液相成分や活性水素含有化合物に比べて低沸点である成分であって、例えば、沸点が30℃以下の成分をいう。副生する気相成分は使用する活性水素含有化合物に依存し、具体的には、前記活性水素含有化合物が水を含む場合は二酸化炭素を含み、前記活性水素化合物が尿素を含む場合は二酸化炭素及びアンモニアを含む。
該気相成分によって反応系の圧力が上昇したり、該分解反応が遅くなったりする場合があるため、気相成分の少なくとも一部を反応系外に抜き出しながら上記工程(1)における分解反応を行う。反応系の圧力を一定範囲に保持する、分解反応を速やかに進行させるといった観点から、気相成分は連続的に抜き出すことが好ましい。気相成分を反応器から抜き出す際には、活性水素含有化合物が気相成分とともに反応器外に抜き出されないようにしたり、圧力を調整する保圧弁を設けて反応器内の圧力を調整することが好ましい。
該反応器から抜き出された気相成分は、該反応器に連結された凝縮器に導入されて冷却される。凝縮器内での冷却により得られた凝縮液が該反応器内へ戻される。該凝縮液は、水であることが好ましい。該凝縮器での冷却は0〜80℃程度で行われることが好ましい。
[工程(3)]
工程(3)は、上記工程(2)において凝縮されない気相成分を、反応器以外に排出する工程である。凝縮されない気相成分は使用する活性水素含有化合物に依存する。具体的には、前記活性水素含有化合物の少なくとも1種が水である場合は、凝縮されない気相成分は二酸化炭素を含み、前記活性水素化合物の少なくとも1種が尿素である場合は、凝縮されない気相成分は二酸化炭素及びアンモニアを含む。
[工程(4)]
工程(4)は、上記工程(1)における分解反応により生じた液相成分を前記反応器外に排出する工程である。排出される液相成分(反応液)には、化合物(III)が含まれる。
(反応器)
工程(1)で用いられる反応器は特に制限がなく、公知の反応器が使用できる。例えば、攪拌槽、貯槽、塔型反応器、蒸留塔、充填塔、薄膜蒸発機、強制的運搬装置を備えたパドル型乾燥器、脱ガス機能を備えた押出機、強制的運搬装置を備えた薄膜蒸発機、チューブ状反応器等、反応方法や条件に応じて、従来公知の反応器を適宜組み合わせて使用できる。
また、反応は、バッチ式でもあってもよく、連続流通式であってもよく、それぞれの反応形式に合わせて反応装置を選択すればよい。
反応器の材質にも特に制限はなく、公知の材質が使用できる。例えば、ガラス製、ステンレス製、炭素鋼製、ハステロイ製、基材にグラスライニングを施したもの、テフロン(登録商標)コーティングを行ったもの等を使用できる。SUS304やSUS316、SUS316L等が安価でもあり、好ましく使用できる。反応器は、必要に応じて、さらに、流量計、温度計等の計装機器、圧力を保持する機構、リボイラー、ポンプ、コンデンサー、フラッシュタンク等の公知のプロセス装置を備えていてもよい。また、反応器の加熱はスチーム、ヒーター等の公知の方法を用いることができ、冷却も自然冷却、冷却水、ブライン等公知の方法を用いることができる。また、反応器は、必要に応じて、さらに、その他の装置を備えていてもよい。
これらの反応器のうち、本実施形態において、槽型反応器、押出機、及び薄膜蒸発機からなる群から選ばれる少なくとも一つが好ましく用いられ、槽型反応器がより好ましく用いられる。
(1)槽型反応器
図1は、本実施形態の回収方法において用いられる回収装置の一例を示す概略構成図であって、反応器として(1)槽型反応器が使用されている。
槽型反応器としては、攪拌器を有する耐圧反応器であることが好ましく、貯槽及び凝縮器と配管を介して連結されていることが好ましい。
図1に示す回収装置は、化合物(I)の製造工程で副生する液相成分と少なくと1種の活性水素含有化合物とを反応させる攪拌槽(耐圧反応器)B101;攪拌槽B101における分解反応で副生した気相成分を冷却する凝縮器B102;攪拌槽B101における分解反応で生じた液相成分を収容する貯槽B103;凝縮器B102で凝縮されなかった気相成分の排出を許容する圧力を保持する保圧弁B104;化合物(I)の製造工程で副生する液相成分を攪拌槽B101に供給するラインB1;攪拌槽B101で生じた気相成分を凝縮器B102に送るラインB2;凝縮器B102で冷却されて得られた凝縮液を攪拌槽B101に戻すラインB3;凝縮器B102で凝縮されなかった気相成分を排出するラインB4;及び、攪拌槽B101で得られた液相成分を貯槽B103に送るラインB5を有する。 図1に示す回収装置は、必要に応じて、さらに、送液ポンプ、流量計、温度計等の計装機器、熱交換器等の公知のプロセス装置を備えていてもよい。また、図1に示す回収装置は、必要に応じて、複数個の槽型反応器を連結して備えてもよい。
図2は、本実施形態の回収方法において用いられ、反応器として(1)槽型反応器が使用されている回収装置の他の例を示す概略構成図である。
図2に示す回収装置は、化合物(I)の製造工程で副生する液相成分と少なくとも1種の活性水素含有化合物とを混合し反応させる反応槽(耐圧反応器)B201;反応槽B201における分解反応で副生した気相成分を冷却する凝縮器B203;反応槽B201における分解反応で生じた液相成分を収容する貯槽B205;凝縮器B203で凝縮されなかった気相成分の排出を許容する圧力を保持する保圧弁B204;反応槽B201の液相成分を抜き出し、再度反応槽B201に戻すことで液相成分を撹拌・循環させるポンプB202;化合物(I)の製造工程で副生する液相成分を反応槽B201に供給するラインB20;反応槽B201で副生した気相成分を凝縮器B203に送るラインB24;凝縮器B203で冷却されて得られた凝縮液を反応槽B201に戻すラインB23;凝縮器B203で凝縮されなかった気相成分を排出するラインB26;反応槽B201から抜き出された液相成分を通し、反応槽B201に戻す、あるいは、貯槽B205に送るラインB21;及び、反応槽B201から抜き出された液相成分を貯槽B205に送るラインB25を有する。
ポンプB202による送液量は、攪拌槽B201における反応液量や使用する物資に応じて適宜決定される。
図3は、本実施形態の回収方法において用いられ、反応器として(1)槽型反応器が使用されている回収装置の他の例を示す概略構成図である。
図3に示される回収装置は、化合物(I)の製造工程で副生する液相成分と少なくとも1種の活性水素含有化合物とを混合・反応させる攪拌槽(耐圧反応器)B301;攪拌槽B301の分解反応から得た液相成分を反応させる反応槽(耐圧反応器)B302;攪拌槽B301における分解反応で副生した気相成分を冷却する凝縮器B303;反応槽B302における分解反応で生じた液相成分を収容する貯槽B305;凝縮器B303で凝縮されなかった気相成分の排出を許容する圧力を保持する保圧弁B304;化合物(I)の製造工程で副生する液相成分を攪拌槽B301に供給するラインB30;攪拌槽B301で生じた気相成分を凝縮器B303に送るラインB32;凝縮器B303で冷却されて得られた凝縮液を攪拌槽B301に戻すラインB31;凝縮器B303で凝縮されなかった気相成分を排出するラインB36;攪拌槽B301における分解反応で生じた液相成分を反応槽B302に送るラインB33;反応槽B302における分解反応で副生した気相成分を攪拌槽B301に戻すラインB34;及び、反応槽B302における分解反応で生じた液相成分を貯槽B305に送るラインB35を有する。
(2)押出機
押出機としては、プランジャーで押し出す往復式、スクリューを回転して押し出す連続式のいずれも用いることができるが、安定した条件下で分解反応を行うために連続式の押出機を用いることが好ましい。スクリューは単軸であってもよく、複数軸(例えば、2軸)であってもよいが、反応液粘度が高い場合や、後述するように押出機に脱ガス機能を備えて分解生成物の一部又は全部を気相成分として押出機から抜き出しながら分解反応を行う場合に残留成分が高粘度化したり固化する場合があることから、複数軸のものが好ましく、2軸のものがより好ましい。
図4は、本実施形態の回収方法において用いられる回収装置の一例を示す概略構成図であって、反応器として(2)押出機が使用されている。
図4に示す回収装置は、化合物(I)の製造工程で副生する液相成分と活性水素含有化合物とを反応させる押出機B401;押出機B401における分解反応で副生した気相成分を冷却する凝縮器B405;押出機B401における分解反応で生じた液相成分を収容する貯槽B406;押出機B401における分解反応で生じた液相成分の排出を許容する圧力を保持する保圧弁B403;凝縮器B405で凝縮されなかった気相成分の排出を許容する圧力を保持する保圧弁B404;化合物(I)の製造工程で副生する液相成分を押出機B401に供給するラインB40;押出機B401における分解反応で副生した気相成分を抜き出すベント口B402;ベント口B402から抜き出された気相成分を凝縮器B405に送るラインB41;凝縮器B405で冷却されて得られた凝縮液を押出機B401に戻すラインB43;凝縮器B405で凝縮されなかった気相成分を排出するラインB44;及び押出機B401で得られた液相成分を貯槽B406に送るラインB42を有する。
図4において、ベント口B402が1つ記載されているが、複数あってもよい。
ラインB40、B41、B42、B43及びB44も1つのみ記載されているが、複数あってもよい。
また、図5は、本実施形態の回収方法において用いられ、反応器として(2)押出機が使用されている回収装置の他の一例を示す概略構成図である。
図5に示す回収装置は、化合物(I)の製造工程で副生する液相成分と活性水素含有化合物とを反応させる押出機B501;押出機B501における分解反応で副生した気相成分を抜き出すベント口B502;ベント口B502から抜き出された気相成分を冷却する凝縮器B506;凝縮器B506で凝縮されなかった気相成分の排出を許容する圧力を保持する保圧弁B504;押出機B501における分解反応で生じた液相成分を収容する貯槽B507;押出機B501から排出される分解生成物を回収する受器B505;ベント口B502から排出されずに受器B505に回収された分解生成物に含まれる気相成分の排出を許容する圧力を保持する保圧弁B503;受器B505に回収された分解生成物に含まれる液相成分を収容する貯槽B507;化合物(I)の製造工程で副生する液相成分を押出機B501に供給するラインB50;ベント口B502から抜き出された気相成分を凝縮器B506に送るラインB51;凝縮器B506で冷却されて得られた凝縮液を押出機B501に戻すラインB53;凝縮器B506で凝縮されなかった気相成分を排出するラインB54;及び受器B505で回収された分解生成物に含まれる気相成分を排出するラインB52を有する。図5に示される回収装置は、特に、該残留成分が高粘度化したり固化する場合に好ましく使用される。受器505に回収された分解生成物を、受器505から回収する機構を設けることは、該分解反応を連続的に行う上で好ましい。
(3)薄膜蒸発機
加熱表面に反応液の薄膜を形成させる機構を有する装置として、薄膜蒸発機、分子蒸留機、遠心薄膜蒸発機と称するものが挙げられる。
図6は、本実施形態の回収方法において用いられ、反応器として(3)薄膜蒸発機が使用されている回収装置の一例を示す概略構成図である。
図6に示す回収装置は、化合物(I)の製造工程で副生する液相成分と活性水素含有化合物とを反応させる加熱蒸発面B601を具備する薄膜蒸発機B602;加熱蒸発面B601における分解反応で副生した気相成分を冷却する凝縮器B604;加熱蒸発面B601における分解反応で生じた液相成分を回収する回収部B603;回収部B603に回収された液相成分を収容する貯槽B605;凝縮器B604で凝縮されなかった気相成分の排出を許容する圧力を保持する保圧弁B606;化合物(I)の製造工程で副生する液相成分を薄膜蒸発機B602に供給するラインB60;加熱蒸発面B601で副生した気相成分を凝縮器B604に送るラインB64;凝縮器B604で冷却されて得られた凝縮液を薄膜蒸発機B602に戻すラインB63;凝縮器B604で凝縮されなかった気相成分を排出するラインB61;及び、回収部B603に回収された液相成分を貯槽B605に送るラインB62を有する。
前記ラインB60から薄膜蒸発機B602に供給された液相成分と活性水素含有化合物とは、薄膜蒸発機、加熱蒸発面B601に薄膜状に展開される。
加熱蒸発面B601は電気ヒーター、オイルジャケット等によって適宜加熱される。
薄膜蒸発機B602は公知の方式であれば特に制限はなく、遠心分散させる方式、撹拌翼によって液を加熱蒸発面B601に押しつけて薄膜化する方式であってもよい。加熱蒸発面B601に展開した該液相成分と該活性水素含有化合物とは分解反応を生起する。
加熱蒸発面B601における分解反応により副生した気相成分は、ラインB64から抜き出され、凝縮器B604に導入される。凝縮器B604で冷却されて得られた凝縮液は、ラインB63を通して薄膜蒸発機B602に供給される。凝縮器B604において凝縮されない気相成分は、保圧弁B606により、ラインB61を通して排出される。
加熱蒸発面B601における分解反応により生じた液相成分は、加熱蒸発面B601の表面を伝い、回収部B603に回収される。回収部B603に回収された成分はラインB62を経て貯槽B605に回収される。その際に回収部B603に撹拌翼やスクリュー翼の排出機構を設けることも好ましい。回収部B603が具備する撹拌翼やスクリュー翼は、薄膜蒸発機B602と同じ支持駆動に接続されていてもよく、異なる支持駆動に接続されていてもよい。
[工程(5)]
本実施形態の回収方法は、さらに、前記工程(4)で排出された液相成分(反応液)から化合物(III)を分離する工程(5)を含むことが好ましい。
前記工程(4)で得られた反応液から、上記化合物(III)を分離する方法は公知の方法を用いることができ、例えば、蒸留分離、液液分離、固液分離、膜分離等が挙げられる。
当該工程(5)は、前記工程(4)で連続的に排出された液相成分(反応液)から化合物(III)を連続的に分離することもできる。
[工程(6)]
本実施形態の回収方法は、さらに、前記工程(5)で分離された上記化合物(III)を精製する工程(6)を含むことが好ましい。上記化合物(III)を精製する方法は、公知の方法を用いることができ、例えば、蒸留分離、液液分離、固液分離、膜分離等が挙げられる。工程(6)は工程(5)において連続的に分離された化合物(III)を連続的に生成することもできる。
工程(6)で回収された化合物(III)を、化合物(I)の製造工程にリサイクルすることが好ましい。その際に、化合物(I)の製造方法や、該方法によって製造される化合物(I)の品質に影響を与える場合が多いため、工程(6)において、化合物(III)の総質量に対して、金属成分の含有量が1000質量ppm以下及びハロゲン原子の含有量が1000質量ppm以下となるように化合物(III)を蒸留回収することが好ましい。
[工程(7)]
例えば、上記一般式(XIII)〜(XVI)で表される化合物のように、カルバメート基(−NH−C(=O)−OR)を含む化合物を用いて、上記工程(1)を行う場合、活性水素含有化合物との反応によってROHで表されるヒドロキシ化合物が生成する。
特に、ヒドロキシ化合物として下記一般式(V)で表される化合物(以下、「化合物(V)」と称する場合がある)を、化合物(I)の製造方法に使用する場合、カルバメート基は下記一般式(IV)で表される基(以下、「基(IV)」と称する場合がある)であり、該基(IV)を含む化合物を用いて、上記工程(1)を行うと、化合物(V)、すなわち、芳香族ヒドロキシ化合物が生成する。
Figure 0006937847
前記一般式(IV)中、X41は炭素数6以上12以下の芳香族炭化水素環又は複素芳香族環である。R41はX41の置換基を表し、フェニル基及び/又はヒドロキシフェニル基で置換されていてもよいC1〜20アルキル基、アミノ基、又はヒドロキシ基を表す。n41は、置換基R41の数を表し、0〜4、好ましくは0〜3の整数を表す。n41が2以上の時、R41は同一であっても異なっていてもよい。
Figure 0006937847
前記一般式(V)中、X41、R41及びn41は前記一般式(IV)に記載の通りである。
41は、炭素数6以上12以下の芳香族炭化水素環又は複素芳香族環である。
芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられるが、ベンゼン環が好ましい。
複素芳香族環としては、例えば、ピリジン環等が挙げられる。
化合物(V)としては、フェノール、テトラメチルブチルフェノール、ジ(ジメチルベンジル)フェノール、ヘプチルフェノール、ノニルフェノール、トリベンジルフェノール、ジ−tert−アミノフェノール、フェニルフェノール、ジイソプロピルフェノール、トリベンジルフェノール、ヒドロキノン、ビスフェノールA等が好ましく例示される。
この場合、工程(5)において、工程(4)で得られた反応液から、化合物(III)と共に、化合物(V)を分離し、工程(6)の後に、さらに、以下に示す工程(7)を行うことで、化合物(V)を回収することが好ましい。
(7)上記化合物(V)を精製する工程
工程(5)で分離された化合物(V)を精製する方法は、公知の方法を用いることができ、例えば、蒸留分離、液液分離、固液分離、膜分離等が挙げられる。
工程(7)は、工程(5)又は工程(6)と同時に行うことができ、工程(1)〜(5)を連続的に行うこともできる。
工程(7)で回収された化合物(V)を、化合物(I)の製造方法にリサイクルすることが好ましい。その際に、化合物(I)の製造方法や、該方法によって製造される化合物(I)の品質に影響を与える場合が多いため、工程(7)において、前記化合物(V)の総質量に対して、金属成分の含有量が1000質量ppm以下及びハロゲン原子の含有量が1000質量ppm以下となるように化合物(V)を蒸留回収することが好ましい。
≪回収方法≫
本発明の第2の実施形態の有機アミンの回収方法は、化合物(I)の製造方法で副生する高沸点化合物を含む液相成分から、化合物(III)を回収する方法であって、下記工程(A)、工程(B)及び工程(4)を含む。
工程(A):前記液相成分と水と化合物(III)とを混合する工程。
工程(B):前記液相成分と水とを反応器内で反応させる工程。
工程(4):前記反応器内の液相成分として、前記化合物(III)を含有する反応液を前記反応器外に排出する工程。
本実施形態の回収方法において、第1の実施形態の回収方法と同様の構成についてはその説明を省略する場合がある。
[工程(A)]
工程(A)は、化合物(I)の製造方法で副生する高沸点化合物を含む液相成分と水と化合物(III)とを混合する工程である。
ここで、化合物(I)の製造方法で副生する高沸点化合物を含む液相成分及び化合物(III)は前記第1の実施形態で記載の通りである。
工程(A)において使用される水の量は、前記液相成分に含有される、ビウレット基、アロファネート基、イソシアヌレート基、カルバメート基及びウレア基の総モル量に対して、化学量論比で、1倍以上200倍以下の範囲とすることが好ましい。
工程(A)において使用される化合物(III)の量は、水に対して、化学量論比(モル比)で、0.01倍以上200倍以下の範囲とすることが好ましい。
前記ビウレット基、アロファネート基、イソシアヌレート基、カルバメート基、ウレア基及びフリース転位末端の含有量は、前記第1の実施形態で記載の通りである。
上記液相成分、水及び化合物(III)は、予め混合して、工程(B)を行う反応器に供給してもよいし、別々に供給して反応器内で混合してもよい。また、本実施形態の本質に差し障りのない範囲で、工程(B)を行う反応器に供給する前に予め加熱をしておくこともできる。
[工程(B)]
工程(B)は、前記液相成分と水とを反応器内で反応させる工程である。
工程(B)における反応器内の温度は、100℃以上350℃以下の範囲が好ましく、150℃以上330℃以下の範囲がより好ましく、200℃以上300℃以下の範囲がさらに好ましい。
反応器内の圧力は、0.01kPa以上15MPa以下(絶対圧)の範囲であることが好ましく、減圧でも常圧でも加圧でも実施できる。
上記好ましい温度範囲や該分解反応で生成する化合物等を勘案すると、加圧での実施が好ましく、0.101MPa以上15MPa以下(絶対圧)の範囲がより好ましく、0.5MPa以上13MPa以下(絶対圧)の範囲がさらに好ましく、2MPa以上8MPa以下(絶対圧)の範囲が特に好ましい。
反応時間(連続反応の場合は滞留時間)は、0.01時間以上100時間以下で実施されることが好ましく、反応液を適宜サンプリングして、目的化合物である化合物(III)の生成量を測定し、所望の生成量に達する時間を反応時間とすることができる。
[工程(4)]
工程(4)は、前記反応器内の液相成分として、前記化合物(III)を含有する反応液を前記反応器外に排出する工程であり、前記第1の実施形態と同様に実施することができる。
(回収装置)
本実施形態の回収方法において用いられる回収装置として、前記第1の実施形態と同様の回収装置を用いることができるが、以下に示す回収装置も使用することができる。
図8Aは、本実施形態の回収方法において用いられる回収装置の一例を示す概略構成図であって、反応器として(1)槽型反応器が使用されている。
図8Aに示す回収装置は、化合物(I)の製造工程で副生する液相成分と水とを反応させる攪拌槽(耐圧反応器)C101;化合物(I)の製造工程で副生する液相成分、水及び化合物(III)を攪拌槽C101に供給するラインC1;及び、攪拌槽C101で得られた液相成分を排出するラインC5を有する。
図8Aに示す回収装置は、必要に応じて、さらに、送液ポンプ、流量計、温度計等の計装機器、熱交換器等の公知のプロセス装置を備えていてもよい。
図8Bは、本実施形態の回収方法において用いられる回収装置であって、反応器として(1)槽型反応器が使用されている回収装置の他の例を示す概略構成図である。
図8Bに示す回収装置は、化合物(I)の製造工程で副生する液相成分と水とを反応させる攪拌槽(耐圧反応器)C101;攪拌槽C101における分解反応で生じた液相成分を収容する貯槽C103;攪拌槽C101で副生された気相成分の排出を許容する圧力を保持する保圧弁C104;化合物(I)の製造工程で副生する液相成分、水及び化合物(III)を攪拌槽C101に供給するラインC1;攪拌槽C101で生じた気相成分を排出するラインC4;及び、攪拌槽C101で得られた液相成分を貯槽C103に送るラインC5を有する。
図8Bに示す回収装置は、必要に応じて、さらに、送液ポンプ、流量計、温度計等の計装機器、熱交換器等の公知のプロセス装置を備えていてもよい。また、図8Bに示す回収装置は、必要に応じて、複数個の槽型反応器を連結して備えてもよい。
図9は、本実施形態の回収方法において用いられる回収装置の一例を示す概略構成図であって、反応器として(2)押出機が使用されている。
図9に示す回収装置は、化合物(I)の製造工程で副生する液相成分と水を反応させる押出機C201;押出機C201における分解反応で副生した気相成分を抜き出すベント口C202;押出機C201における分解反応で生じた液相成分の排出を許容する圧力を保持する保圧弁C203;押出機C201で副生された気相成分の排出を許容する圧力を保持する保圧弁C204;化合物(I)の製造工程で副生する液相成分、水及び化合物(III)を押出機C201に供給するラインC20;ベント口C202から抜き出された気相成分を排出するラインC21;及び押出機C201で得られた液相成分を排出するラインC22を有する。
図9において、ベント口C202が1つ記載されているが、複数あってもよい。
ラインC20、C21及びC22も1つのみ記載されているが、複数あってもよい。
また、図10は、本実施形態の回収方法において用いられ、反応器として(2)押出機が使用されている回収装置の他の一例を示す概略構成図である。
図10に示す回収装置は、化合物(I)の製造工程で副生する液相成分と水とを反応させる押出機C301;押出機C301における分解反応で副生した気相成分を抜き出すベント口C302;ベント口C302から気相成分の排出を許容する圧力を保持する保圧弁C304;押出機C301から排出される液相成分を回収する受器C305;受器C305から液相成分の排出を許容する圧力を保持する保圧弁C303;化合物(I)の製造工程で副生する液相成分、水及び化合物(III)を押出機C301に供給するラインC30;ベント口C302から抜き出された気相成分を排出するラインC31;及び受器C305から液相成分を排出するラインC32を有する。
図11は、本実施形態の回収方法において用いられ、反応器として(3)薄膜蒸発機が使用されている回収装置の一例を示す概略構成図である。
図11に示す回収装置は、化合物(I)の製造工程で副生する液相成分と水とを反応させる加熱蒸発面C401を具備する薄膜蒸発機C402;加熱蒸発面C401における分解反応で生じた液相成分を回収する回収部C403;化合物(I)の製造工程で副生する液相成分、水及び化合物(III)を薄膜蒸発機C402に供給するラインC40;加熱蒸発面B601で副生した気相成分を排出するラインC41;及び、回収部C403から液相成分を排出するラインC42を有する。
図7は、本実施形態の回収方法において用いられ、反応器として(3)薄膜蒸発機が使用されている回収装置の他の一例を示す概略構成図である。
図7に示す回収装置は、化合物(I)の製造工程で副生する液相成分と活性水素含有化合物とを反応させる加熱蒸発面B701と、加熱蒸発面B701における分解反応で副生した気相成分を冷却する凝縮器B704とを具備する薄膜蒸発機B702;加熱蒸発面B701における分解反応で生じた液相成分を回収する回収部B703;化合物(I)の製造工程で副生する液相成分を薄膜蒸発機B702に供給するラインB70;凝縮器B704で凝縮されなかった気相成分を排出するラインB71;凝縮器B704で冷却されて得られた凝縮液を排出するラインB73;及び、回収部B703に回収された液相成分を排出するラインB72を有する。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、工程(5)〜(7)を含むことが好ましい。
以下に実施例及び比較例を挙げて本実施形態を詳しく説明するが、本実施形態はこれに限定されるものではない。以下、「%」は「質量%」を意味し、「ppm」は「質量ppm」を意味する。
<分析方法>
(1)NMR分析方法
装置:日本国、日本電子(株)社製JNM−A400 FT−NMRシステム
H−NMR分析サンプルの調製
サンプル溶液を0.3g秤量し、重クロロホルムを0.7gと内部標準物質としてテトラメチルスズを0.05g加えて均一に混合した溶液をNMR分析サンプルとした。
・定量分析法
各標準物質について分析を実施し、作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施した。
(2)ガスクロマトグラフィー分析方法
装置:日本国、島津製作所社製、GC−14B
カラム:Porapack N
直径3mm、長さ3m、SUS製
カラム温度:60℃
注入口温度:120℃
キャリアガス:ヘリウム
キャリアガス流量:40mL/min
検出器:FID(水素炎イオン化型検出器)
・ガスクロマトグラフィー分析サンプル
サンプル溶液を1.0g秤量し、トルエンを10gと内部標準物質としてn−ヘキサンを0.1g加えて均一に混合した溶液をガスクロマトグラフィー分析サンプルとした。
(3)液体クロマトグラフィー分析方法
装置:日本国、島津製作所社製、LC−10AT
カラム:Inertsil ODS
粒子径5μm、内径2.1mm、長さ250mm
カラム温度:40℃
展開溶媒:水/アセトニトリル=90/10
展開溶媒流量:1mL/min
検出器:フォトダイオードアレイ検出器
・液体クロマトグラフィー分析サンプル
サンプル溶液を1.0g秤量し、酢酸を10g加えて均一に混合した溶液を液体クロマトグラフィー分析サンプルとした。
・定量分析法
各標準物質について分析を実施し、作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施した。
[実施例1]
工程(1−A):化合物(I)の製造で副生する高沸点化合物を含む液相成分を得る工程
(カルバメートの製造)
図12に示す装置を使用した。
2,4−トルエンジアミン9.8kg、尿素10.3kg、4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール261.9kgの混合物を90kg/HrでラインA1より連続多段蒸留塔A101に供給した。
連続多段蒸留塔A101は、カルバメート化工程を行うための装置であり、リボイラーA111で加熱することで塔底温度を250℃とし、塔頂圧力5kPaとした。
連続多段蒸留塔A101の底部より反応液を90.7kg/Hrで抜き出した。
連続多段蒸留塔A101の塔頂部より気相成分を抜き出し、ラインA3を通して凝縮器A103に導入した。凝縮器A103に導入された気相成分は、凝縮器A103で100℃に冷却され、4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールと尿素との混合液を得た。ラインA4より、凝縮器A103で得られた4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールと尿素との混合液を9kg/HrでラインA1に供給した。
凝縮器A103で凝縮されなかった気相成分は、ラインA9を通して、凝縮器A103から排出した。
(カルバメートの熱分解)
連続多段蒸留塔A101の底部より反応液を、ラインA5を経て熱分解装置A102に供給した。熱分解装置A102は、カルバメートの熱分解反応によってイソシアネートを生成するための装置であり、管型反応器と、前記液相成分とイソシアネートを含む気相成分を分離する分離槽からなるものであった。内部圧力を1kPaとし、外部加熱により250℃に加熱した。
熱分解装置A102にて生成した気相成分を8m/秒でラインA7から分離塔A109に供給し、4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールと2,4−トルエンジイソシアネートの分離を行った。蒸留分離に必要な熱量はリボイラーA112より供給した。
分離塔A109の塔底より4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールをラインA18から回収した。
分離塔A109の塔頂から回収した2,4−トルエンジイソシアネートを含む成分は、凝縮器A114及びラインA20を経て精製塔A110に供給し、2,4−トルエンジイソシアネートの蒸留精製を行った。蒸留精製に必要な熱量はリボイラーA113より供給した。
精製塔A110の塔頂より、凝縮器A115及びラインA17を経て2,4−トルエンジイソシアネートが2.4kg/Hrで回収された。
精製塔A110の塔底成分はラインA19より抜き出した。
熱分解装置A102の底部より回収される液相成分の一部はラインA8を経て回収し液温度を180℃として下記工程(1―1)に高沸点化合物を含む液相成分として供給した。それ以外の液相成分はラインA6を経て再び熱分解装置A102に供給した。このとき、熱分解装置A102底部における単位浸辺長流量は50kg/m・時であった。
ラインA8より回収した液相成分の150℃における粘度は70mPa・sであった。
ラインA8より回収した液相成分をH−NMRにて分析したところ、液相成分1kgあたり、カルバメート結合を0.90モル、基(II−1)と基(II−2)を合わせて0.13モル、アロファネート結合とイソシアヌレート結合を合わせて0.12モル、フリース転位末端を0.22モル含んでいた。
また、液体クロマトグラフィー分析の結果、該液相成分は、下記式(1−a−1)で表される化合物および下記式(1−b−1)で表される化合物を含み、4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールを57質量%含んでいた。
Figure 0006937847
工程(1−1):高沸点化合物を含む液相成分と活性水素含有化合物とを反応させる工程
図1に示す装置を使用した。ラインA8を経て回収した高沸点化合物を含む液相成分50kgを180℃に保持した状態でラインB1を通じて耐圧反応器B101に供給した。次いで水100kgを耐圧反応器B101に供給し混合液とした。該耐圧反応器B101を280℃、圧力6.5MPaで5時間加熱した。
工程(1−2):気相成分を冷却することにより得られた凝縮液を反応器内へ戻す工程
前記工程(1−1)において耐圧容器内B101の気相成分をラインB3を通して凝縮器B102に導入した。凝縮器B102に導入された気相成分は、凝縮器B102で10℃に冷却され、凝縮液を得、これをラインB2を通して該耐圧容器B101に戻した。前記工程(1−1)をおこなっている間、この工程を継続しておこなった。
工程(1−3):凝縮されなかった気相成分を前記反応器以外へ排出する工程
前記工程(1−2)において凝縮されなかった気相成分は、保圧弁B104よりラインB4を通じてガス成分(分析の結果、二酸化炭素が主成分であった)として抜き出した。前記工程(1−1)をおこなっている間、この工程を継続しておこなった。
工程(1−4):反応液を前記反応器外に排出する工程
前記工程(1−1)をおこない、冷却した後、ラインB5を通じて貯槽B103に反応液を回収した。反応液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、2,4−トルエンジアミンが8.3モル含まれていた。
工程(1−5):化合物(III)を分離する工程
回収した反応液を減圧蒸留し、粗2,4−トルエンジアミンを回収した。収率は80%であった。
工程(1−6):化合物(III)を精製する工程
前記工程(1−5)で回収した粗2,4−トルエンジアミンを蒸留精製した。回収した2,4−トルエンジアミンは純度が99質量%以上(ガスクロマトグラフィーの分析誤差を含む)であった。また、2,4−トルエンジアミンの総質量に対する金属原子含有量は1000ppm未満、ハロゲン原子含有量は1000ppm未満であった。
工程(1−7):化合物(V)を分離する工程
前記工程(1−5)で、化合物(III)を回収した後の残留液を減圧蒸留し、粗4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールを回収した。収率は81%であった。
工程(1−8):化合物(V)を精製する工程
前記工程(1−7)で回収した粗4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールを蒸留精製した。回収した4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールは純度が99質量%以上(ガスクロマトグラフィーの分析誤差を含む)であった。また、4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールの総質量に対する金属原子含有量は1000ppm未満、ハロゲン原子含有量は1000ppm未満であった。
工程(1−B):回収された化合物(III)と化合物(V)の再利用による化合物(I)の製造
工程(1−6)と工程(1−8)で回収した2,4−トルエンジアミンと4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールを使用し、不足分の2,4−トルエンジアミンと4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールは新たに追加して、ラインA1より連続多段蒸留塔A101に供給し、工程(1−A)をおこなったところ、ライン17より2,4−トルエンジイソシアネートが2.4kg/Hrで回収された。
[実施例2]
工程(2−A)
(カルバメートの製造)
図13に示す装置を使用し、カルバメート化工程をおこなった。1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン11.3kg、尿素15.1kg、1−ブタノール220.3kgの混合物を20kg/HrでラインA21より連続多段蒸留塔A201に供給した。ラインA25からは適宜、1−ブタノールを供給した。
連続多段蒸留塔A201で生じた気相成分は、ラインA23を通して、凝縮器A203に導入された。凝縮器A203に導入された気相成分は、0℃に冷却されて、1−ブタノールと尿素との混合液を得た。当該混合液の一部は、ラインA24より、3.5kg/Hrで連続多段蒸留塔A201に供給し残部は貯槽A204に回収した。
連続多段蒸留塔A201は、カルバメート化工程を行うための装置であり、リボイラーA202で加熱することにより塔底温度を220℃とし、塔頂圧力1.2MPaとした。
連続多段蒸留塔A201の底部より反応液を抜き出し、ラインA22を経て貯槽A205に回収した。
(予備濃縮)
次に図14に示す装置を使用して、予備濃縮工程をおこなった。カルバメート化工程で貯槽A205に回収した反応液を、ラインA31を通して21kg/Hrで薄膜蒸発器A301に供給した。薄膜蒸発器A301は加熱蒸発面の温度を130℃、内部の圧力を70kPaとした。
薄膜蒸発器A301で生成した気相成分は凝縮器A302で凝縮し、貯槽A304に回収した。回収物は1−ブタノールであった。
一方、薄膜蒸発器A301で生成した液相成分を、ラインA32を経て貯槽A303に10kg/Hrで回収した。
(カルバメートの熱分解)
図15に示す装置を使用して、熱分解工程をおこなった。熱分解装置A401は、N−置換カルバメートの熱分解反応によってイソホロンジイソシアネートを生成するための多段蒸留塔であり、塔頂圧力を25kPaとし、リボイラーA403で加熱することでジベンジルエーテルの全還流状態とした。ここにラインA40より予備濃縮工程で貯槽A303に回収した液相成分を5kg/Hrで供給し、ラインA49よりジベンジルエーテルを供給した。気相成分は塔頂より抜き出し、凝縮器A402を経てラインA42より回収し、液相成分はラインA41より回収した。
熱分解装置A401の中段に設けたラインA43よりイソホロンジイソシアネートを含む留分を回収し分離塔A404に供給した。分離塔A404にて1−ブタノールを含む気相成分を蒸留分離し、該気相成分は凝縮器A405を経てラインA44より回収した。蒸留分離に必要な熱量はリボイラーA406より供給した。
分離塔A404の塔底部から回収された液相成分を、ラインA45及びラインA46を経て分離塔A407に供給した。分離塔A407では液相成分を蒸留分離し、ラインA48より回収した。分離塔A407にて蒸留分離に必要な熱量はリボイラーA409より供給した。
分離塔A404の塔頂より回収した気相成分は、凝縮器A408で凝縮し、ラインA47よりイソホロンジイソシアネートを回収した。
ラインA41より回収した液相成分を本実施形態の高沸点化合物を含む液相成分として使用した。
該高沸点化合物を含む液相成分の粘度は150℃において40mPa・sであった。
当該液相成分をH−NMRにて分析したところ、液相成分1kgあたり、カルバメート結合を2.56モル、基(II−1)と基(II−2)を合わせて0.14モル、アロファネート結合とイソシアヌレート結合を合わせて0.10モルとジベンジルエーテルを含有する混合物であった。
当該液相成分を液体クロマトグラフィーにて分析したところ、下記式(2−a−1)で表される化合物および下記式(2−b−1)で表される化合物を含んでいた。
Figure 0006937847
工程(2−1):高沸点化合物を含む液相成分と活性水素含有化合物とを反応させる工程
図2に示す装置を使用した。ラインA41を経て回収した高沸点化合物を含む液相成分50kgを180℃に保持した状態でラインB20を通じて耐圧反応器B201に供給した。
耐圧反応器B201に水100kgとエタノール16kgを添加したのち、ポンプB202により、ラインB21とラインB22を経由して液相成分を循環させながら250℃、4.3MPaで5時間反応をおこなった。
工程(2−2):気相成分を冷却することにより得られた凝縮液を前記反応器内へ戻す工程
工程(2−1)において耐圧反応器B201内の気相成分を、ラインB24を通して、凝縮器B203に導入した。導入された気相成分を、凝縮器B203で10℃に冷却して得た凝縮液を、ラインB23を通して耐圧反応器B201に戻した。工程(2−1)をおこなっている間、この工程を継続しておこなった。
工程(2−3):凝縮されなかった気相成分を前記反応器以外へ排出する工程
工程(2−2)において凝縮されなかった気相成分を、保圧弁B204よりガス成分(分析の結果、二酸化炭素が主成分であった)としてラインB26を通して抜き出した。工程(2−1)をおこなっている間、この工程を継続しておこなった。
工程(2−4):反応液を前記反応器外に排出する工程
工程(2−1)をおこない、冷却した後、反応液をラインB25を通して貯槽B205に回収した。
反応液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサンが含まれていた。
工程(2−5):化合物(III)を分離する工程
回収した反応液を減圧蒸留し、粗1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサンを回収した。収率は90%であった。
工程(2−6):化合物(III)を精製する工程
工程(2−5)で回収した粗1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサンを蒸留精製した。回収した1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサンは純度が99質量%以上(ガスクロマトグラフィーの分析誤差を含む)であった。また、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサンの総質量に対する金属原子含有量は1000ppm未満、ハロゲン原子含有量は1000ppm未満であった。
[実施例3]
工程(3−A):化合物(I)の製造で副生する高沸点化合物を含む液相成分を得る工程
(カルバメートの製造)
図16に示す装置を使用した。
ライン50を通じて、フェノール50kgを撹拌槽A501に供給し、次いで、炭酸ジフェニル38kgを供給し均一な溶液とした。撹拌槽A501を40℃に保持した状態で4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン15kgをゆっくりと添加した。添加終了後5時間撹拌を継続したのち、ラインA51を通じて貯槽502に反応液を移送した。
(カルバメートの熱分解)
実施例2の「カルバメートの熱分解」と同様の方法をおこないジシクロヘキシルメタンジイソシアネートと、高沸点化合物を含む液相成分を得た。
該高沸点化合物を含む液相成分の粘度は150℃において50mPa・sであった。
当該高沸点化合物を含む液相成分をH−NMRにて分析したところ、液相成分1kgあたり、カルバメート結合を2.67モル、基(II−1)と基(II−2)を合わせて0.17モル、アロファネート結合とイソシアヌレート結合を合わせて0.62モル、フリース転位末端を0.02モルとジベンジルエーテルを含有する混合物であった。
当該高沸点化合物を含む液相成分を液体クロマトグラフィーにて分析したところ、該高沸点化合物を含む液相成分は、下記式(3−a−1)で表される化合物および下記式(3−b−1)で表される化合物を含んでいた。
Figure 0006937847
工程(3−1):高沸点化合物を含む液相成分と活性水素含有化合物とを反応させる工程
図3に示す装置を使用した。
工程(3−A)で回収した高沸点化合物を含む液相成分50kgを180℃に保持した状態でラインB30を通じて撹拌槽B301に供給した。
撹拌槽B301に水100kgとメタノール50kgを添加して250℃、4.9MPaで均一な溶液とした。該溶液をラインB33を通じて、250℃に加熱され、4.9MPaに加圧された攪拌槽B302に連続的に供給した。
攪拌槽B302で生じた気相成分は、ラインB34を通して、攪拌槽B301に導入した。
工程(3−2):気相成分を冷却することにより得られた凝縮液を前記反応器内へ戻す工程
工程(3−1)において撹拌槽B301内の気相成分をラインB32を通して凝縮器B303に導入した。導入された気相成分は、凝縮器B303で5℃に冷却し、凝縮液を得た。得られた凝縮液は、ラインB31を通して、撹拌槽B301に戻した。工程(3−1)をおこなっている間、この工程を継続しておこなった。
工程(3−3):凝縮されなかった気相成分を前記反応器以外へ排出する工程
工程(3−2)において凝縮されなかった気相成分を保圧弁B304よりガス成分(分析の結果、二酸化炭素が主成分であった)としてラインB36を通して抜き出した。工程(3−1)をおこなっている間、この工程を継続しておこなった。
工程(3−4):反応液を前記反応器外に排出する工程
工程(3−1)において、攪拌槽B302の底部からライン35を経て反応液を貯槽B305に回収した。平均滞留時間は3時間であった。
得られた反応液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、4、4’−ジシクロヘキシルメタンジアミンが含まれていた。
工程(3−5):化合物(III)を分離する工程
回収した反応液を減圧蒸留し、粗4、4’−ジシクロヘキシルメタンジアミンを回収した。収率は90%であった。
工程(3−6):化合物(III)を精製する工程
工程(3−5)で回収した粗4、4’−ジシクロヘキシルメタンジアミンを蒸留精製した。
回収した4、4’−ジシクロヘキシルメタンジアミンは純度が99質量%以上(ガスクロマトグラフィーの分析誤差を含む)であった。また、4、4’−ジシクロヘキシルメタンジアミンの総質量に対する金属原子含有量は1000ppm未満、ハロゲン原子含有量は1000ppm未満であった。
[実施例4]
工程(4−A):化合物(I)の製造で副生する高沸点化合物を含む液相成分を得る工程
(カルバメートの製造)
図16に示す装置を使用し、フェノールを50kg、炭酸ジフェニルを38kg、1,6−ヘキサメチレンジアミンを8.2kg使用した以外は実施例3の「カルバメートの製造」と同様の方法をおこない反応液を得た。該反応液を液体クロマトグラフィーで分析したところ、下記式(4−1)で表されるカルバメートが1,6−ヘキサメチレンジアミンに対して収率95%で生成していた。
Figure 0006937847
(エステル交換反応)
図17に示す装置を使用した。
多段蒸留塔A601にラインA65を通じて4−(α,α−ジメチルベンジル)フェノールを供給し、リボイラーA602で加熱して多段蒸留塔A601を全還流状態とした。ここにラインA61を通じて上記「カルバメートの製造」で得た反応液を供給し、上記式(4−1)で表される化合物のエステル交換反応をおこなった。エステル交換反応で生じたフェノールを含む気相成分をラインA63に通して凝縮器A603に供給した。凝縮器A603にて100℃に冷却して得た凝縮液の一部をラインA64を通じて多段蒸留塔A601に供給し、残りの凝縮液を貯槽A604に回収した。得られた反応液はラインA62を通じて貯槽A605に回収した。
反応液を液体クロマトグラフィーで分析したところ、下記式(4−2)で表される化合物が、式(4−1)に対して収率95%で生成していた。
Figure 0006937847
(カルバメートの熱分解)
実施例1の「カルバメートの熱分解」と同様の方法をおこない、高沸点化合物を含む液相成分を得た。
当該高沸点化合物を含む液相成分をH−NMRにて分析したところ、液相成分1kgあたり、カルバメート結合を2.05モル、基(II−1)と基(II−2)を合わせて0.19モル、アロファネート結合とイソシアヌレート結合を合わせて0.48モル、フリース転移末端0.02モルと4−(α,α−ジメチルベンジル)フェノール1.25モルを含有する混合物であった。
当該高沸点化合物を含む液相成分を液体クロマトグラフィーにて分析したところ、該高沸点化合物を含む液相成分は、下記式(4−a−1)で表される化合物および下記式(4−b−1)で表される化合物を含んでいた。
Figure 0006937847
工程(4−1):高沸点化合物を含む液相成分と活性水素含有化合物とを反応させる工程
図4に示す装置を使用した。
前記工程(4−A)で回収した高沸点化合物を含む液相成分50kgを180℃に保持した状態でラインB40を通じて280℃に加熱し、6.7MPaに加圧された押出機B401に供給した。
押出機B401に、水を、高沸点化合物を含む液相成分50kgに対して100kgの割合で連続的に添加した。
工程(4−2):気相成分を冷却することにより得られた凝縮液を前記反応器内へ戻す工程
工程(4−1)において押出機B401の気相成分を押出機B401が具備するベント口B402からライン41を通じて抜出し、凝縮器B405に導入した。導入された気相成分は、凝縮器B405で冷却され、凝縮液を得た。得られた凝縮液は、ラインB43を通して押出機B401に戻した。工程(4−1)をおこなっている間、この工程を継続しておこなった。
工程(4−3):凝縮されなかった気相成分を前記反応器以外へ排出する工程
工程(4−2)において凝縮されなかった気相成分を保圧弁B404よりガス成分(分析の結果、二酸化炭素が主成分であった)としてラインB44を通して抜き出した。工程(4−1)をおこなっている間、この工程を継続しておこなった。
工程(4−4):反応液を前記反応器外に排出する工程
工程(4−1)において、押出機401の吐出口からライン42を経て保圧弁B403により反応液を貯槽B406に回収した。
反応液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、1,6−ヘキサメチレンジアミンが含まれていた。
工程(4−5):化合物(III)を分離する工程
回収した反応液を減圧蒸留し、粗1,6−ヘキサメチレンジアミンを回収した。収率は78%であった。
工程(4−6):化合物(III)を精製する工程
工程(4−5)で回収した粗1,6−ヘキサメチレンジアミンを蒸留精製した。回収した1,6−ヘキサメチレンジアミンは純度が99質量%以上(ガスクロマトグラフィーの分析誤差を含む)であった。また、1,6−ヘキサメチレンジアミンの総質量に対する金属原子含有量は1000ppm未満、ハロゲン原子含有量は1000ppm未満であった。
工程(4−7):化合物(V)を分離する工程
工程(4−5)で、1,6−ヘキサメチレンジアミンを回収した後の残留液を減圧蒸留し、粗4−(α,α−ジメチルベンジル)フェノールを回収した。収率は74%であった。
工程(4−8):化合物(V)を精製する工程
工程(1−7)で回収した粗4−(α,α−ジメチルベンジル)フェノールを蒸留精製した。4−(α,α−ジメチルベンジル)フェノールは純度が99質量%以上(ガスクロマトグラフィーの分析誤差を含む)であった。また、4−(α,α−ジメチルベンジル)フェノールの総質量に対する金属原子含有量は1000ppm未満、ハロゲン原子含有量は1000ppm未満であった。
[実施例5]
工程(5−A):化合物(I)の製造で副生する高沸点化合物を含む液相成分を得る工程
(ウレイド基を有する化合物の製造)
図18に示す装置を使用した。
尿素10.3kg、4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール261.9kgを、ラインA70を通じて撹拌槽A701に供給した。130℃で均一溶液とした後、2,4−トルエンジアミン9.8kgを添加し5時間撹拌し、反応液を、ライン71を通じて貯槽702に回収した。
該反応液を液体クロマトグラフィーで分析したところ、下記式(5−1)で表される化合物が、2,4−トルエンジアミンに対して収率90%で生成していた。
Figure 0006937847
(カルバメートの製造)
上記「ウレイド基を有する化合物の製造」において得た反応液を90kg/HrでラインA1より連続多段蒸留塔A101に供給した以外は、実施例1の「カルバメートの製造」と同様の方法をおこなった。
(カルバメートの熱分解)
実施例1の「カルバメートの熱分解」と同様の方法をおこない、高沸点化合物を含む液相成分を得た。
得られた液相成分の150℃における粘度は、82mPa・sであった。
該高沸点化合物を含む液相成分をH−NMRにて分析したところ、液相成分1kgあたり、カルバメート結合を1.33モル、式(II−1)で表される結合と式(II−2)で表される結合を合わせて0.10モル、アロファネート結合とイソシアヌレート結合を合わせて0.10モル、フリース転位末端を0.16モルを含んでいた。
該高沸点化合物を含む液相成分を液体クロマトグラフィーにて分析したところ、該高沸点化合物を含む液相成分は、下記式(5−a−1)で表される化合物、および下記式(5−b−1)で表される化合物を含み、4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールを42質量%含んでいた。
Figure 0006937847
工程(5−1)高沸点化合物を含む液相成分と活性水素含有化合物とを反応させる工程
図5に示す装置を使用した。
工程(5−A)で回収した高沸点化合物を含む液相成分50kgを180℃に保持した状態でラインB50を通じて280℃に加熱し、6.7MPaに加圧された押出機B501に供給した。
押出機B501に、水を、高沸点化合物を含む液相成分50kgに対して100kgの割合で連続的に添加した。
工程(5−2):気相成分を冷却することにより得られた凝縮液を前記反応器内へ戻す工程
工程(5−1)において押出機B501にて生じた気相成分を、押出機B501が具備するベント口B502からライン51を通じて抜出し、凝縮器B506に導入した。導入された気相成分は、凝縮器B506で10℃に冷却され、凝縮液を得た。得られた凝縮液は、ラインB53を通して、押出機B501に戻した。工程(5−1)をおこなっている間、この工程を継続しておこなった。
工程(5−3):凝縮されなかった気相成分を前記反応器以外へ排出する工程
工程(5−2)において凝縮されなかった気相成分を保圧弁B504よりガス成分(分析の結果、二酸化炭素が主成分であった)としてラインB54を通して抜き出した。工程(5−1)をおこなっている間、この工程を継続しておこなった。
工程(5−4):反応液を前記反応器外に排出する工程
工程(5−1)において、押出機B501の吐出部に具備する受器B505に回収した反応液を、ラインB55を経て貯槽B507に回収した。
回収された反応液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、2,4−トルエンジアミンが含まれていた。
工程(5−5):化合物(III)を分離する工程
回収した反応液を減圧蒸留し、粗2,4−トルエンジアミンを回収した。収率は73%であった。
工程(5−6):化合物(III)を精製する工程
工程(5−5)で回収した粗2,4−トルエンジアミンを蒸留精製した。回収した2,4−トルエンジアミンは純度が99質量%以上(ガスクロマトグラフィーの分析誤差を含む)であった。また、2,4−トルエンジアミンの総質量に対する金属原子含有量は1000ppm未満、ハロゲン原子含有量は1000ppm未満であった。
工程(5−7):化合物(V)を分離する工程
工程(5−5)で、化合物(III)を回収した後の残留液を減圧蒸留し、粗4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールを回収した。収率は78%であった。
工程(5−8):化合物(V)を精製する工程
工程(5−7)で回収した粗4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールを蒸留精製した。回収した4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールは純度が99質量%以上(ガスクロマトグラフィーの分析誤差を含む)であった。また、4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールの総質量に対する金属原子含有量は1000ppm未満、ハロゲン原子含有量は1000ppm未満であった。
[実施例6]
工程(6−A):化合物(I)の製造で副生する高沸点化合物を含む液相成分を得る工程
1,5−ペンタメチレンジアミンとホスゲンとの反応により2,4−トルエンジイソシアネートを製造する際に生成する蒸留残渣(溶融物)を得た。これを、高沸点化合物を含有する組成物として使用した。
該高沸点化合物を含む液相成分は、サンプル調製時の不溶成分が多く、フィルターでろ過して可溶成分のみをH−NMRで分析した結果、基(II−1)及び基(II−2)を有する化合物の存在が確認された。
工程(6−1):
図6に示す装置を使用した。
工程(6−A)の蒸留残渣50kgと300℃に保持した状態で、水50kgとエタノール30kgを混合し、該混合液を、ラインB60を通じ薄膜蒸発機B602に供給した。
供給された混合液は、6.7MPaで、280℃に加熱された加熱蒸発面B601に、薄膜状に展開された。
工程(6−2):気相成分を冷却することにより得られた凝縮液を前記反応器内へ戻す工程
工程(6−1)において、加熱蒸発面B601における分解反応により副生した気相成分は、ラインB64から抜き出され、凝縮器B604に導入された。凝縮器B604で10℃に冷却されて得られた凝縮液は、ラインB63を通して薄膜蒸発機B602に戻された。工程(6−1)をおこなっている間、この工程を継続しておこなった。
工程(6−3):凝縮されなかった気相成分を前記反応器以外へ排出する工程
工程(6−2)において凝縮されなかった気相成分を保圧弁B606よりガス成分(分析の結果、二酸化炭素が主成分であった)としてラインB61を通して抜き出した。工程(6−1)をおこなっている間、この工程を継続しておこなった。
工程(6−4):反応液を前記反応器外に排出する工程
工程(6−1)において、加熱蒸発面B601における分解反応により生じた反応液は、加熱蒸発面B601の表面を伝い、回収部B603に回収された。回収部B603に回収された成分はラインB62を経て貯槽B605に回収された。
回収された反応液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、2,4−トルエンジアミンが含まれていた。
工程(6−5):化合物(III)を分離する工程
回収した反応液を減圧蒸留し、粗1,5−ペンタメチレンジアミンを回収した。
工程(6−6):化合物(III)を精製する工程
工程(6−5)で回収した粗1,5−ペンタメチレンジアミンを蒸留精製した。回収した1,5−ペンタメチレンジアミンは純度が99質量%以上(ガスクロマトグラフィーの分析誤差を含む)であった。また、1,5−ペンタメチレンジアミンの総質量に対する金属原子含有量は1000ppm未満、ハロゲン原子含有量は1000ppm未満であった。
[実施例7]
工程(7−A):化合物(I)の製造で副生する高沸点化合物を含む液相成分を得る工程
実施例6の工程(6−A)と同様の方法で、1,5−ペンタメチレンジアミンを製造し、高沸点化合物を含有する組成物を回収した。
該高沸点化合物を含む液相成分は、サンプル調製時の不溶成分が多く、フィルターでろ過して可溶分のみをH−NMRで分析した結果、基(II−1)と基(II−2)を有する化合物の存在が確認された。
工程(7−1):
図7に示す装置を使用した。
工程(7−A)の蒸留残渣50kgと300℃に保持した状態で、水50kgと1,5−ペンタメチレンジアミン25kgを混合し、該混合液を、ラインB70を通じ薄膜蒸発機B702に供給した。
供給された混合液は、6.7MPa下で280℃に加熱された加熱蒸発面B701に薄膜状に展開された。気相成分は凝縮器B704にて50℃に冷却し、凝縮された液をラインB73を通して排出した。
工程(7−2):反応液を前記反応器外に排出する工程
工程(7−1)において、反応液を、薄膜蒸発機の底部に設けられた回収部B703に回収後、ラインB72を通して排出した。
排出された反応液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、1,5−ペンタメチレンジアミンが含まれていた。
工程(7−3):化合物(III)を分離する工程
排出された反応液を減圧蒸留し、粗1,5−ペンタメチレンジアミンを回収した。
工程(7−4):化合物(III)を精製する工程
工程(7−3)で回収した粗1,5−ペンタメチレンジアミンを蒸留精製した。回収した1,5−ペンタメチレンジアミンは純度が99質量%以上(ガスクロマトグラフィーの分析誤差を含む)であった。また、1,5−ペンタメチレンジアミンの総質量に対する金属原子含有量は1000ppm未満、ハロゲン原子含有量は1000ppm未満であった。
[実施例8〜52]
上記実施例1〜7に記載の方法を組み合わせて、化合物(I)の製造で副生する高沸点化合物を含む液相成分を得、高沸点化合物を含む液相成分と活性水素含有化合物とを反応器内で反応させる工程(1)、反応器内の気相成分を冷却することにより得られた凝縮液を前記反応器内へ戻す工程(2)、凝縮されなかった気相成分を反応器以外へ排出する工程(3)、反応器内の液相成分を反応器外に排出する工程(4)、化合物(III)を分離する工程(5)、化合物(III)を精製する工程(6)、化合物(V)を分離する工程(7)、及び化合物(V)を生成する工程をおこなった。その結果を表に示した。活性水素化合物として使用した有機第1アミンは、有機第1アミンの収率に含まない。
カルバメートの熱分解を実施例2のカルバメートの熱分解と同様の方法でおこなった実施例8〜10、14〜17、34、39、43では、ジベンジルエーテルの代わりに下表に示す化合物を使用した。
Figure 0006937847
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[比較例1]
凝縮器B102を冷却せず、実施例1の工程(1−2)に相当する工程をおこなわなかった以外は実施例1と同様の方法をおこない、粗2,4−トルエンジアミンを回収した。その収率は38%であった。また、粗4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールを回収した。その収率は43%であった。
[比較例2]
凝縮器B203を冷却せず、実施例2の工程(2−2)に相当する工程をおこなわなかった以外は実施例2と同様の方法をおこない、粗1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサンを回収した。その収率は41%であった。
[比較例3]
凝縮器303を冷却せず、実施例3の工程(3−2)に相当する工程をおこなわなかった以外は実施例3と同様の方法をおこない、粗4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミンを回収した。その収率は42%であった。
[比較例4]
凝縮器405を冷却せず、実施例4の工程(4−2)に相当する工程をおこなわなかった以外は実施例4と同様の方法をおこない、粗1,6−ヘキサメチレンジアミンを回収した。その収率は37%であった。また、粗4−(α,α−ジメチルベンジル)フェノールを回収した。その収率は46%であった。
[比較例5]
凝縮器506を冷却せず、実施例5の工程(5−2)に相当する工程をおこなわなかった以外は実施例5と同様の方法をおこない、粗2,4−トルエンジアミンを回収した。その収率は48%であった。また、粗4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールを回収した。その収率は35%であった。
[比較例6]
凝縮器604を冷却せず、実施例6の工程(6−2)に相当する工程をおこなわなかった以外は実施例6と同様の方法をおこない、粗1,5−ペンタメチレンジアミンを回収した。その収率は32%であった。
[比較例7]
工程(7−1)において1,5−ペンタメチレンジアミンを添加しなかった以外は実施例7と同様の方法をおこない、粗1,5−ペンタメチレンジアミンを回収した。その収率は22%であった。
B1、B2、B3、B4、B5、B20、B21、B22、B23、B24、B25、B26、B30、B31、B32、B33、B34、B35、B36、B40、B41、B42、B43、B44、B50、B51、B52、B53、B54、B55、B60、B61、B62、B63、B64、B70、B71、B72、B73、A1、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A17、A18、A19、A20、A21、A22、A23、A24、A31、A32、A40、A41、A42、A43、A44、A45、A46、A47、A48、A49、A50、A51、A61、A62、A63、A64、A65、A70、A71、C1、C4、C5、C20、C21、C22、C30、C31、C32、C40、C41、C42:ライン
B101、B301、A501、A701、C101:攪拌槽(耐圧反応器)
B201、B302:反応槽
B102、B203、B303、B405、B506、B604、B704、A103、A114、A115、A203、A302、A402、A405、A408、A603:凝縮器
B103、B205、B305、B406、B507、B605、A204、A205、A303、A304、A502、A604、A605、A702、C103:貯槽
B104、B204、B304、B403、B404、B503、B504、B606、C104、C203、C204、C303、C304:保圧弁
B202:ポンプ
B401、B501、C201、C301:押出機
B402、B502、C202、C302:ベント口
B505、C305:受器
B601、B701、C401:加熱蒸発面
B602、B702、A301、C402:薄膜蒸発機
B603、B703、C403:回収部
A101、A201:連続多段蒸留塔
A601:多段蒸留塔
A102、A401:熱分解装置
A111、A112、A113、A202、A403、A406、A409、A602:リボイラー
A109、A404、A407:分離塔
A110:精製塔
本発明によれば、イソシアネート化合物の製造時に副生する高沸点成分から有機アミン化合物等の有用成分を効率よく回収することができる。

Claims (16)

  1. 下記一般式(I)で表される化合物の製造方法で副生する液相成分から、下記一般式(III)で表される化合物を回収する方法であって、下記工程(A)、工程(B)及び工程(4)を含む回収方法。
    工程(A):前記液相成分と水と前記一般式(III)で表される化合物とを混合する工程。
    工程(B):前記液相成分と水とを反応器内で反応させる工程。
    工程(4):前記反応器内の液相成分として、前記一般式(III)で表される化合物を含有する反応液を前記反応器外に排出する工程。
    Figure 0006937847
    前記一般式(I)中、R11は1価以上3価以下の有機基であり、n11は1以上3以下の整数である。
    Figure 0006937847
    前記一般式(III)中、R31は1価以上3価以下の有機基であり、n31は1以上3以下の整数である。
  2. 前記一般式(I)で表される化合物の製造方法が、炭酸誘導体とヒドロキシ化合物と前記式(III)で表される化合物から製造する方法である、請求項に記載の回収方法。
  3. 前記一般式(I)で表される化合物の製造方法で副生する液相成分が、炭酸誘導体とヒドロキシ化合物と式(III)で表される化合物から製造される、カルバメート含有液を、熱分解反応装置に供給して、前記カルバメートと熱分解反応に付し、生成する前記一般式(I)で表される化合物を含む気相成分を回収する際に熱分解反応装置から抜き出される液相成分である、請求項1または2に記載の回収方法。
  4. 前記熱分解反応装置が、管型反応器と、前記液相成分と前記一般式(I)で表される化合物を含む気相成分を分離する分離槽からなり、前記管型反応器における単位浸辺長流量が10kg/時・m以上1000kg/時・m以下である、請求項に記載の回収方法。
  5. 前記液相成分と前記式(I)で表される化合物を含む気相成分を分離する分離槽における気相成分の線速度が10m/秒以下である、請求項またはに記載の回収方法。
  6. 前記液相成分が、ヒドロキシ化合物を含有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の回収方法。
  7. 前記液相成分が、下記式(II−1)で表される基及び下記式(II−2)で表される基のうち少なくともいずれか1種類の基を有する化合物を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の回収方法。
    Figure 0006937847
  8. 前記高沸点化合物を含む液相成分が、ヒドロキシ化合物を、前記液相成分の総質量に対して、20質量%〜70質量%含有する、請求項に記載の回収方法。
  9. 前記液相成分の粘度が150℃において100mPa・s以下である、請求項1〜のいずれか一項に記載の回収方法。
  10. 前記反応器が、槽型反応器、押出機及び薄膜蒸発機からなる群から選ばれる少なくとも1つの反応器である、請求項1〜のいずれか一項に記載の回収方法。
  11. 下記工程(5)及び工程(6)をさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の回収方法。
    工程(5):前記工程(4)で得た反応液から前記一般式(III)で表される化合物を分離する工程。
    工程(6):前記一般式(III)で表される化合物を精製する工程。
  12. 前記工程(6)において、前記一般式(III)で表される化合物の総質量に対する金属成分の含有量が1000質量ppm以下およびハロゲン原子の含有量が1000質量ppm以下となるように前記一般式式(III)で表される化合物を蒸留回収することを特徴とする、請求項1に記載の回収方法。
  13. 前記工程(6)で回収された式(III)で表される化合物を、式(I)で表される化合物の製造工程にリサイクルすることを特徴とする、請求項1または12に記載の回収方法。
  14. 前記液相成分が、式(IV)で表される基を有する化合物を含有し、
    前記工程(5)において、前記工程(4)で得た反応液から、前記式(III)で表される化合物と共に、下記式(V)で表される化合物を分離し、
    さらに、前記工程(6)の後に、下記工程(7)を含む、請求項113のいずれか一項に記載の回収方法。
    工程(7):式(V)で表される化合物を精製する工程
    Figure 0006937847
    前記一般式(IV)及び(V)中、X41は炭素数6以上12以下の無置換又は置換基を有する芳香族炭化水素環又は複素芳香族環を表し、R41は、フェニル基及びヒドロキシフェニル基からなる群から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいC1〜20アルキル基、アミノ基、又はヒドロキシ基を表し、n41は0〜4の整数を表し、n41が2以上の時、R41は同一であっても異なっていてもよい。
  15. 前記工程(7)において、前記一般式(V)で表される化合物の総質量に対する金属成分の含有量が1000質量ppm以下およびハロゲン原子の含有量が1000質量ppm以下となるように前記一般式(V)で表される化合物を蒸留回収する、請求項14記載の回収方法。
  16. 前記工程(7)で回収された前記一般式(V)で表される化合物を、前記一般式(I)で表される化合物の製造工程にリサイクルする、請求項14または15に記載の回収方法。
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