JP6937744B2 - 多価ヒドロキシ樹脂、その製造方法、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

多価ヒドロキシ樹脂、その製造方法、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 Download PDF

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Description

本発明は、全塩素量が低い多価ヒドロキシ樹脂、その製造方法、それを用いたエポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物に関する。
エポキシ樹脂は工業的に幅広い用途で使用されてきているが、その要求性能は近年ますます高度化している。この様な中で、近年開発が進められているパワーデバイスにおいては、デバイスのパワー密度の更なる向上が求められており、その結果、動作時のチップ表面の温度は250℃にも達し、その温度に耐え得る封止材料の開発が望まれている。
このような中、特許文献1にはビフェノール−ビフェニルアラルキル構造を有するエポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物が開示されており、耐熱性、耐湿性、及び熱伝導性に優れることが示されている。
特許文献2、3にも同様にビフェノール−ビフェニルアラルキル構造を有するエポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂硬化物の製造方法、及び半導体装置が開示されており、耐熱性、熱分解安定性に優れる硬化物が得られることが示されている。
しかしながら、特許文献1〜3は、原料に塩素を含む化合物を用いて得られる多価ヒドロキシ樹脂やエポキシ樹脂を開示するものの、その塩素量については触れられておらず、実際には、多価ヒドロキシ樹脂に残留する塩素量が高いため、続いてエポキシ化して得られるエポキシ樹脂においても塩素量が高くなり、硬化物の信頼性が悪化するという課題があった。また、特許文献3においては、得られるエポキシ樹脂の溶融粘度が高いことから成形工程における作業性低下に課題があり、またn=0成分の除去工程を必須としその操作が増えるため、工業的に好ましくない。
WO2011/074517号公報 WO2014/065152号公報 WO2015/146606号公報
本発明の目的は、高い耐熱性を有した上で、信頼性や成形作業性にも優れたエポキシ樹脂硬化物を与えるエポキシ樹脂、及びこのエポキシ樹脂を効率よく得るための原料として有用な多価ヒドロキシ樹脂、及びその製造方法を提供することである。
また、本発明の別の目的は、この多価ヒドロキシ樹脂を原料として得られるエポキシ樹脂を使用することにより、パワーデバイス封止材等の電気・電子部品類の封止材料、または回路基板材料、シート材料に有用なエポキシ樹脂組成物を提供すること、及びその硬化物を提供することにある。
すなわち、本発明は、式(1)で表される4,4’−ジヒドロキシビフェニルと式(2)で表される芳香族架橋剤としての4,4’−ビスクロロメチルビフェニルとを反応させて得られる一般式(3)で表される多価ヒドロキシ樹脂であって、n=0成分が30%以下15%以上であって、n=6以上の高分子量成分が30%以下であり、かつ全塩素量が1000ppm以下であることを特徴とする多価ヒドロキシ樹脂である。
Figure 0006937744

Figure 0006937744

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ここで、nは0〜20の数を示す。
本発明は、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(1)1モルに対して、芳香族架橋剤(2)を0.3〜0.6モル使用し、固形分濃度が30〜65wt%となるように溶媒を使用して反応させることを特徴とする上記多価ヒドロキシ樹脂の製造方法である。
また、本発明は、上記の多価ヒドロキシ樹脂とエピクロルヒドリンを反応させて得られることを特徴とするエポキシ樹脂である。
さらに、本発明は、上記のエポキシ樹脂、及び硬化剤を必須成分とすることを特徴とするエポキシ樹脂組成物、及びそのエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物である。
本発明によれば、原料架橋剤としてビスクロロメチルビフェニルを使用しているにも拘らず、全塩素量が低減された多価ヒドロキシ樹脂であり、この多価ヒドロキシ樹脂を原料としてエピクロロヒドリンと反応させることで、低粘度かつ低塩素性に優れるエポキシ樹脂を効率よく製造することができる。また、このエポキシ樹脂を配合したエポキシ樹脂組成物を加熱硬化させることで、高Tg性を有した上で、抽出水塩素イオンの低減効果や成形作業性に優れる硬化物を与え、電気・電子部品類の封止材料、高放熱シート、高放熱基板等の回路基板材料等の用途に好適に使用することが可能である。
実施例1で得られた多価ヒドロキシ樹脂AのGPCチャートである。 比較例1で得られた多価ヒドロキシ樹脂DのGPCチャートである。 実施例2で得られたエポキシ樹脂AのGPCチャートである。
本発明の多価ヒドロキシ樹脂は、一般式(3)で表され、繰り返し単位nの値が異なる成分の混合物であり、n=0成分が30%以下15%以上、好ましくは20%以上、n=6以上の成分が30%以下、好ましくは10%以上である。n=0成分が30%より大きいと、この多価ヒドロキシ樹脂をエポキシ化して得られるエポキシ樹脂を用いて硬化させた硬化物において、ガラス転移点(Tg)の低下や熱分解安定性の低下を生じ、15%より小さいと、この多価ヒドロキシ樹脂をエポキシ化して得られるエポキシ樹脂溶融粘度が高くなる。一方、n=6以上の成分が30%より大きいと、この多価ヒドロキシ樹脂をエポキシ化して得られるエポキシ樹脂の製造段階においてゲル化物を多量に生成するため、樹脂の収率が低下する傾向にあり、更に得られるエポキシ樹脂の高分子量体成分が増えるため、エポキシ樹脂の溶融粘度が高くなってしまう。nは、0〜20の数であるが、好ましくは平均値(数平均)として1.0〜5.0である。なお、本発明の多価ヒドロキシ樹脂は、主成分が式(3)で表される樹脂であるが、反応上不可避に生成する副成分として、多分岐の多価ヒドロキシ樹脂や末端に塩素や水酸基を有するものが微量存在してもよい。
また、本発明の多価ヒドロキシ樹脂は、樹脂中に含有する全塩素量が1000wtppm以下であり、好ましくは500ppm以下、より好ましくは350ppm以下である。全塩素量がこれより多い場合、本発明の多価ヒドロキシ樹脂をエポキシ化して得られるエポキシ樹脂を用いて硬化させた硬化物において、抽出水塩素イオンの低減効果が期待できず、またガラス転移点(Tg)の低下や熱分解安定性の低下する傾向にある。なお、本発明でいう全塩素とは、樹脂中に含有する塩素分子の重量割合を示し、以下の方法により測定される。すなわち、試料1.0gをブチルカルビトール25mlに溶解後、1N−KOHプロピレングリコール溶液25mlを加え、230℃以上で10分間加熱還流した後、室温まで冷却し、さらに80%アセトン水100mlを加え、0.002N−AgNO水溶液で電位差滴定を行い得られる値である。
本発明の多価ヒドロキシ樹脂は、4,4’−ジヒドロキシビフェニルと芳香族架橋剤を反応させることにより得られる。芳香族架橋剤としては、4,4’−ジヒドロキシビフェニルの反応性の観点から、4,4’−ビスクロロメチルビフェニルを必須とする。但し、その他の芳香族架橋剤として、4,4’−ビスヒドロキシメチルビフェニル、4,4’−ビスブロモメチルビフェニル、4,4’-ビスメトキシメチルビフェニル、4,4’-ビスエトキシメチルビフェニルを併用してもよいが、その架橋剤全体における配合量は、50wt%以下、好ましくは30wt%以下である。
二官能フェノール性化合物である4,4’−ジヒドロキシビフェニルと芳香族架橋剤としての4,4’−ビスクロロメチルビフェニルとの反応においては、芳香族架橋剤に対して過剰量の4,4’−ジヒドロキシビフェニルを使用する。すなわち、芳香族架橋剤の使用量は、4,4’−ジヒドロキシビフェニル1モルに対し0.3〜0.6モルであり、好ましくは0.4〜0.5モルである。芳香族架橋剤の使用量が0.6モルより多いと、得られる多価ヒドロキシ樹脂中は高分子量体が多く形成されるため、この多価ヒドロキシ樹脂をエポキシ化して得られるエポキシ樹脂の製造段階においてゲル化物を多量に生成するため、樹脂の収率が低下する傾向があり、更に得られるエポキシ樹脂の高分子量体成分が増えるため、エポキシ樹脂の溶融粘度が高くなってしまう。一方、芳香族架橋剤の使用量が0.4モルより少ないとn=0成分が多くなるため、この多価ヒドロキシ樹脂をエポキシ化して得られたエポキシ樹脂を使用した硬化物は十分な高Tg性が発現できない。
この反応は、先ず、無触媒、又は無機酸、有機酸等の酸触媒の存在下に行う。クロロメチル基とOH基が反応してエーテル結合が生じるなどの副反応が生じることがあるが、これを抑制するため酸性条件で行う。無触媒であっても、クロロメチル基の芳香族環への置換反応によって塩化水素が副生して酸性条件となるので、酸触媒は必須ではなく、むしろ反応物を汚染する恐れがあるが、酸触媒を存在させれば初期から所望の反応を生じさせることができる。このような酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、燐酸等の鉱酸や、ギ酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸や、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄、三フッ化ホウ素等のルイス酸や、活性白土、シリカ−アルミナ、ゼオライト等の固体酸などが挙げられる。
この反応は、温度10〜250℃、好ましくは100〜180℃で、1〜30時間、好ましくは3〜24時間行うとよい。反応温度が100℃以下だと4,4’−ビスクロロメチルビフェニルと4,4’−ジヒドロキシビフェニルとの反応性が乏しく反応に時間がかかる上に、4,4’−ジヒドロキシビフェニルが析出し、4,4’−ビスクロロメチルビフェニルと4,4’−ジヒドロキシビフェニルのモル比がずれて高分子量体が多く生成してしまう。一方で反応温度が180℃以上だと樹脂の分解の恐れがある。また、反応時間が3時間以下だと未反応の4,4’−ビスクロロメチルビフェニルが残存してしまい、反応時間が24時間以上だと生産性が悪化する。
本反応中の固形分濃度は溶剤を使用して30〜65%、好ましくは45%〜57%とするのがよい。固形分濃度が30%より薄いと、4,4’−ビスクロロメチルビフェニルと4,4’−ジヒドロキシビフェニルとの反応性が乏しく反応に時間がかかる上、未反応の4,4’−ビスクロロメチルビフェニルが残留しやすいため、得られる多価ヒドロキシ樹脂の全塩素量が高くなりやすい傾向にある。一方、65%より濃いと4,4’−ジヒドロキシビフェニルが多量に析出し、4,4’−ビスクロロメチルビフェニルと4,4’−ジヒドロキシビフェニルのモル比が大きくずれるため、高分子量体の割合が増加してしまう。ここで、固形分濃度とは、多価ヒドロキシ樹脂を製造するために使用する全ての原料のうち、溶媒及び触媒を除いた固形分の濃度である。
本反応に使用する溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリグライム等のアルコール類や、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族化合物などがよく、これらの中でエチルセロソルブ、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリグライムなどが特に好ましい。また、エポキシ化工程における生産性の観点より、ジエチレングリコールジメチルエーテルが特に好ましい。反応終了後、得られた多価ヒドロキシ樹脂は、減圧留去、水洗又は貧溶剤中での再沈殿等の方法により溶剤を除去してもよいが、溶剤を残したままエポキシ化反応の原料として用いてもよい。
次いで、本発明では、無触媒又は酸触媒の存在下での反応終了後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を加えて反応させてもよい。この工程により、未反応クロロメチル基を反応させることができるため、多価ヒドロキシ樹脂中の全塩素量を大きく低減することができる。また、過剰のアルカリ金属水酸化物を、除去することなく、多価ヒドロキシ樹脂をエポキシ化する場合のアルカリ触媒として、そのまま利用することができる。
この反応において、反応温度は10〜200℃、好ましくは80〜150℃であり、反応時間は1〜10時間、好ましくは1〜5時間行うとよい。
本発明のエポキシ樹脂は、上記多価ヒドロキシ樹脂とエピクロルヒドリンとを反応させることにより製造することができる。この反応は、通常のエポキシ化反応と同様に行うことができる。例えば、多価ヒドロキシ樹脂を過剰のエピクロルヒドリンに溶解した後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の存在下に50〜150℃、好ましくは60〜120℃で1〜10時間反応させる方法が挙げられる。この際、アルカリ金属水酸化物の使用量は、多価ヒドロキシ化合物中の水酸基1モルに対し、0.8〜1.2モル、好ましくは0.9〜1.1モルである。また、エピクロルヒドリンは多価ヒドロキシ樹脂中の水酸基に対して過剰に用いられるが、通常多価ヒドロキシ化合物中の水酸基1モルに対し、1.5〜15モル、好ましくは2〜8モルである。反応終了後、過剰のエピクロルヒドリンを留去し、残留物をトルエン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解し、濾過し、水洗して無機塩を除去し、次いで溶剤を留去することにより、エポキシ樹脂を得ることができる。
なお、エポキシ化する際に、生成したエポキシ化合物のエポキシ基が開環、縮合してオリゴマー化したエポキシ化合物が少量副生する場合が、かかるエポキシ化合物が存在しても差し支えない。
本発明のエポキシ樹脂の純度、特に全塩素量は、適用する電子部品の性能向上の観点から少ない方がよい。特に本発明では、全塩素量を低減させた多価ヒドロキシ樹脂から誘導されるエポキシ樹脂を用いて得られる硬化物において、高Tg性、熱分解安定性、熱伝導性が向上し、抽出塩素イオンが低減する。そのエポキシ樹脂の全塩素量の範囲は、好ましくは2000ppm以下、さらに好ましくは1500ppm以下であり、加水分解性塩素の範囲は、好ましくは500ppm以下、更に好ましくは400ppm以下である。
また、このエポキシ樹脂の溶融粘度は、混合処理したエポキシ樹脂組成物の均一性の観点より、150℃において0.55Pa・s以下、好ましくは0.40Pa・s、さらに好ましくは0.30Pa・s以下である。これより溶融粘度が高い場合、混合処理後のエポキシ樹脂組成物に不均一な部分が生じ、硬化性や耐熱性等の物性が低下する傾向にある。
本発明のエポキシ樹脂は、軟化点とともに融点も示すことから、n数の異なる成分の混合物でありながら、結晶性のエポキシ樹脂である。また、このエポキシ樹脂の軟化点又は融点は、エポキシ樹脂原料である多価ヒドロキシ樹脂を合成する際のビフェノール類と架橋剤のモル比を変えることにより容易に調整可能であるが、エポキシ樹脂組成物の混合処理する際の高融点成分の溶け残りによる物性低下を抑制する観点からすると、その軟化点又は融点は135℃以下が好ましく、さらに好ましくは130℃以下である。これより軟化点又は融点が高い場合、硬化性や耐熱性等の物性が低下する傾向にある。また、軟化点又は融点を低くするためには、融点の高いn=0成分を少なくする必要があるが、通常n=0成分を少なくするようにビフェノール類と架橋剤のモル比を変更すると、分子量が増加するため、軟化点又は融点が増加する傾向にある。対して、本発明のエポキシ樹脂は、n=0成分が少なく、しかもn=6以上の高分子量成分の含有量が低いため軟化点又は粘度の増加を抑制でき、これを使用したエポキシ樹脂組成物から得られる硬化物の硬化性や耐熱性等の物性低下を抑制する。すなわち、本発明の多価ヒドロキシ樹脂をエピクロルヒドリンと反応させて得られるエポキシ樹脂は、エポキシ化の反応において、樹脂中のエポキシ基同士が結合することがあるため若干高分子量体が増える傾向にあるが、原料としての多価ヒドロキシ樹脂の分子量分布をほぼ反映しており、n=0成分が35%以下、n=6以上の成分が30%以下である。ただし、原料の多価ヒドロキシ樹脂の高分子量体が多すぎると、上述の反応で高分子量化した樹脂がゲル化物となり系外に除去されるため、高分子量体のピーク割合が減少し、n=0成分が増加する傾向となる。なお、エポキシ樹脂においても、繰り返し単位nは、0〜20の数であり、平均値(数平均)として1.0〜5.0程度である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記の本発明のエポキシ樹脂と、硬化剤を必須成分とする。有利には、これらと無機充填材を必須成分とする。
本発明のエポキシ樹脂組成物に配合する硬化剤としては、半導体封止材等の高い電気絶縁性が要求される分野においては、多価フェノール類を硬化剤として用いることが好ましい。以下に、硬化剤の具体例を示す。
多価フェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、ビフェノール類、ナフタレンジオール類等の2価のフェノール類、更にはトリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂等に代表される3価以上のフェノール類、更にはフェノール類、ナフトール類又は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4' −ビフェノール、2,2'−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、ナフタレンジオール類等の2価のフェノール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−キシリレングリコール、p−キシリレングリコールジメチルエーテル、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、ジメトキシメチルビフェニル類、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル類等の架橋剤との反応により合成される多価フェノール性化合物、フェノール類とビスクロロメチルビフェニル等から得られるビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、ナフトール類とパラキシリレンジクロライド等から合成されるナフトールアラルキル樹脂類等が挙げられる。
また、他の硬化剤成分も使用でき、例えば、ジシアンジアミド、酸無水物類、芳香族及び脂肪族アミン類等が使用できる。本発明のエポキシ樹脂組成物には、これら硬化剤の1種又は2種以上を混合して用いることができる。
硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂中のエポキシ基と硬化剤の官能基(多価フェノール類の場合は水酸基)との当量バランスを考慮して配合する。エポキシ樹脂及び硬化剤の当量比は、エポキシ基1当量に対し、硬化剤の官能基が、通常0.2から5.0の範囲であり、好ましくは0.5から2.0の範囲であり、さらに好ましくは0.8〜1.5の範囲である。これより大きくても小さくても、エポキシ樹脂組成物の硬化性が低下するとともに、硬化物の耐熱性、力学強度等が低下する。
また、このエポキシ樹脂組成物中には、エポキシ樹脂成分として、本発明の多価ヒドロキシ樹脂を使用することによって得られるエポキシ樹脂以外に別種のエポキシ樹脂を配合してもよい。この場合の別種のエポキシ樹脂としては、分子中にエポキシ基を2個以上有する通常のエポキシ樹脂はすべて使用できる。例を挙げれば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4' −ビフェノール、3,3',5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、レゾルシン、ナフタレンジオール類等の2価のフェノール類のエポキシ化物、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック等の3価以上のフェノール類のエポキシ化物、ジシクロペンタジエンとフェノール類から得られる共縮合樹脂のエポキシ化物、クレゾール類とホルムアルデヒドとアルコキシ基置換ナフタレン類から得られる共縮合樹脂のエポキシ化物、フェノール類とパラキシリレンジクロライド等から得られるフェノールアラルキル樹脂のエポキシ化物、フェノール類とビスクロロメチルビフェニル等から得られるビフェニルアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物、ナフトール類とパラキシリレンジクロライド等から合成されるナフトールアラルキル樹脂類のエポキシ化物等がある。これらのエポキシ樹脂は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。そして、エポキシ樹脂全体中の本発明のエポキシ樹脂の配合量は、5〜100wt%、好ましくは60〜100wt%の範囲であることがよく、別種のエポキシ樹脂の配合量は、0〜40wt%の範囲であることが好ましい。
更には、硬化物の応力を低減させる目的で、エポキシ樹脂組成物中に架橋弾性体を含有することもできる。架橋弾性体を配合すると、硬化物の熱衝撃テストにおけるパッケージクラックの発生を著しく少なくすることが可能である。
架橋弾性体の含有量は、エポキシ樹脂100重量部に対し、3〜30重量部の範囲がよいが、好ましくは5〜20重量部であり、より好ましくは5〜15重量部である。これより少ないと硬化物の応力低減効果が十分に発揮されない。また反対にこれより大きくなると、硬化物のTgが低くなるとともに、流動性が低くなり成形加工性に劣る傾向にある。
架橋弾性体としては、公知のものを用いることができるが、エポキシ樹脂との相溶性向上の観点から、スチレン系ゴム、アクリル系ゴムを用いることが好ましい。
無機充填材を必須成分として配合する場合、無機充填材としては、例えば、球状あるいは破砕状の溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ粉末、アルミナ粉末、ガラス粉末、又はマイカ、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ、水和アルミナ等が挙げられ、半導体封止材に用いる場合の好ましい配合量は、組成物中において70重量%以上であり、より好ましくは80重量%以上である。無機充填材の形状には制限はないが、球状、破砕状、扁平状、繊維状等が使用でき、その粒径又は長径は1〜1000μmの範囲が好ましい。プリプレグとする場合の繊維状基材の繊維長は、10mm以上であることが好ましく、これに配合される無機充填材の量は、10〜70重量%の範囲であることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、上記必須成分の他に、他の添加剤を加えることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物中には、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、石油樹脂、インデン樹脂、インデン・クマロン樹脂、フェノキシ樹脂等のオリゴマー又は高分子化合物を他の改質剤等として適宜配合してもよい。添加量は、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して、2〜30重量部の範囲である。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、顔料、難然剤、揺変性付与剤、カップリング剤、流動性向上剤等の添加剤を配合できる。
顔料としては、有機系又は、無機系の体質顔料、鱗片状顔料等がある。揺変性付与剤としては、シリコン系、ヒマシ油系、脂肪族アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス、有機ベントナイト系等を挙げることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて硬化促進剤を用いることができる。例を挙げれば、アミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ルイス酸等があり、具体的には、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの三級アミン、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−へプタデシルイミダゾールなどのイミダゾール類、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレートなどのテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩などがある。添加量としては、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.2〜5重量部の範囲である。
更に必要に応じて、本発明の樹脂組成物には、カルナバワックス、OPワックス等の離型剤、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、三酸化アンチモン等の難燃剤、ステアリン酸カルシウム等の滑剤等を使用できる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、有機溶剤に一部又は全部を溶解させたワニス状態(ワニスという。)として有利に使用することができる。無機充填材等の溶剤不溶分を含む場合は、それを溶解させる必要はないが、懸濁状態にして、可級的に均一の溶液とすることが望ましい。樹脂組成物中の、エポキシ樹脂は全部を溶解させることが望ましいが、本発明の製法によって得られるエポキシ樹脂は、溶解性が優れ、保存状態において、固形分が析出しにくい。ワニス中のエポキシ樹脂の一部が固形物となって分離すると、これの硬化物の特性が劣るものとなる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、有利には樹脂分を溶剤に溶解させた状態の組成物(ワニス)とした後に、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー系のポリエステル不織布等の繊維状の基材に含浸させた後に溶剤除去を行うことにより、エポキシ樹脂組成物と繊維状の基材を複合化したプリプレグとすることができる。また、場合により銅箔、ステンレス箔、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム等のシート状物上に上記ワニスを塗布することにより積層物とすることができる。また、上記プリプレグを複数積層することにより、プリプレグと上記シート状物を積層することによっても、積層物とすることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を加熱硬化させれば、エポキシ樹脂硬化物とすることができ、この硬化物は低吸湿性、高耐熱性、密着性、難燃性等の点で優れたものとなる。この硬化物は、エポキシ樹脂組成物を注型、圧縮成形、トランスファー成形等の方法により、成形加工して得ることができる。この際の温度は通常、120〜220℃の範囲である。
多価ヒドロキシ樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物の試験条件を次に示す。
1)水酸基(OH)当量
電位差滴定装置を用い、1,4−ジオキサンを溶媒に用い、1.5mol/L塩化アセチルでアセチル化を行い、過剰の塩化アセチルを水で分解して0.5mol/L−水酸化カリウムを使用して滴定した。
2)エポキシ当量
電位差滴定装置を用い、溶剤としてクロロホルムを使用し、臭素化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液を加え、電位差滴定装置にて0.1mol/L過塩素酸−酢酸溶液を用いて測定した。
3)軟化点
自動軟化点装置(明峰社製、ASP−M4SP)を用い、JIS−K−2207に従い環球法にて測定した。
3)融点
示唆走査熱量分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 DSC7000X)を用い、昇温速度5℃/分で測定により得られるピーク温度を融点とした。
4)溶融粘度
BROOKFIELD製、CAP2000H型回転粘度計を用いて、150℃にて測定した。
5)全塩素
試料1.0gをブチルカルビトール25mlに溶解後、1N−KOHプロピレングリコール溶液25mlを加え、230℃以上で10分間加熱還流した後、室温まで冷却し、さらに80%アセトン水100mlを加え、0.002N−AgNO水溶液で電位差滴定を行うことにより測定した。
6)加水分解性塩素
試料0.5gをジオキサン30mlに溶解後、1N−KOHメタノール溶液5mlを加え、100℃にて30分間煮沸還流した後、室温まで冷却し、さらに80%アセトン水100mlを加え、0.002N−AgNO水溶液で電位差滴定を行うことにより測定した。
7)ガラス転移点(Tg)
熱機械測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 EXSTAR6000TMA/6100)により、昇温速度10℃/分の条件でTgを求めた。
8)抽出塩素イオン
耐圧容器にエポキシ樹脂硬化物2gとイオン交換純水50gを秤量後、加熱抽出を行い、イオンクロマトグラフを用いて、抽出水中の塩素イオン濃度を求め、エポキシ樹脂硬化物の抽出塩素イオン濃度を算出した。
9)樹脂の分子量分布
GPC測定装置(東ソー製、HLC−8220 GPC)を用い、カラムにTSK Guardclumn一本(東ソー製)、TSKgel 2000H XL(東ソー製)1本、TSKgel 3000H XL(東ソー製)1本、TSKgel 4000H XL(東ソー製)1本、を使用し、検出器をRIとし、溶媒にテトラヒドロフラン、流量1.0ml/min、カラム温度40℃として測定した。
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明を具体的に説明する。
実施例1
1000mlの4口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシビフェニル77.5g(0.4モル)、ジエチレングリコールジメチルエーテル119.3g、4,4’−ビスクロロメチルビフェニル41.8g(0.16モル)を仕込み、窒素気流下、攪拌しながら160℃まで昇温して20時間反応させた。続いて、48%水酸化カリウム溶液2.8gを加え、130℃で3時間反応させた。この反応において、反応モル比は0.40、固形分濃度は50%である。
反応後、大量の純水に滴下して再沈殿により回収し、淡黄色の樹脂104gを得た。得られた樹脂のOH当量129g/eq.であった。得られた樹脂のGPC測定により求められた一般式(1)におけるn=0成分は28.9%、n=6以上の成分は14.1%であった。また、全塩素は220ppmであった。
実施例2
実施例1で得た樹脂104gにエピクロルヒドリン449gを仕込み溶解させた。続いて、減圧下65℃にて49%水酸化ナトリウム水溶液65.8gを3時間かけて滴下した。この滴下中に還流留出した水とエピクロルヒドリンを分離槽で分離しエピクロルヒドリンは反応容器に戻し、水は系外に除いて反応した。反応終了後、エピクロルヒドリンを留去し、トルエンに溶解した。その後、水洗により塩を除き、トルエンを留去し、エポキシ樹脂143gを得た(エポキシ樹脂A)。得られた樹脂のエポキシ当量は197g/eq.、軟化点は126℃、150℃における溶融粘度は0.27Pa・s、全塩素は1020ppm、加水分解性塩素は270ppmであった。
実施例3
1000mlの4口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシビフェニル77.5g(0.4モル)、ジエチレングリコールジメチルエーテル129.8g、4,4’−ビスクロロメチルビフェニル52.3g(0.2モル)を仕込み、窒素気流下、攪拌しながら160℃まで昇温して20時間反応させた。続いて、48%水酸化カリウム溶液2.8gを加え、130℃で3時間反応させた。この反応において、反応モル比は0.50、固形分濃度は50%である。
反応後、大量の純水に滴下して再沈殿により回収し、淡黄色の樹脂110gを得た。得られた樹脂のOH当量138g/eq.であった。得られた樹脂のGPC測定により求められた一般式(1)におけるn=0成分は21.4%、n=6以上の成分は25.6%であった。また、全塩素は310ppmであった。
実施例4
実施例3で得た樹脂110gにエピクロルヒドリン447gを仕込み溶解させた。続いて、減圧下65℃にて49%水酸化ナトリウム水溶液65.5gを3時間かけて滴下した。この滴下中に還流留出した水とエピクロルヒドリンを分離槽で分離しエピクロルヒドリンは反応容器に戻し、水は系外に除いて反応した。反応終了後、エピクロルヒドリンを留去し、トルエンに溶解した。その後、水洗により塩を除き、トルエンを留去し、エポキシ樹脂111gを得た(エポキシ樹脂B)。得られた樹脂のエポキシ当量は208g/eq.、軟化点は117℃、150℃における溶融粘度は0.33Pa・s、全塩素は1240ppm、加水分解性塩素は260ppmであった。
実施例5
1000mlの4口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシビフェニル77.5g(0.4モル)、ジエチレングリコールジメチルエーテル90.0g、4,4’−ビスクロロメチルビフェニル41.8g(0.16モル)を仕込み、窒素気流下、攪拌しながら160℃まで昇温して20時間反応させた。続いて、48%水酸化カリウム溶液2.8gを加え、130℃で3時間反応させた。この反応において、反応モル比は0.40、固形分濃度は57%である。
反応後、大量の純水に滴下して再沈殿により回収し、淡黄色の樹脂104gを得た。得られた樹脂のOH当量129g/eq.であった。得られた樹脂のGPC測定により求められた一般式(1)におけるn=0成分は29.9%、n=6以上の成分は22.2%であった。また、全塩素は150ppmであった。
実施例6
実施例5で得た樹脂104gにエピクロルヒドリン449gを仕込み溶解させた。続いて、減圧下65℃にて49%水酸化ナトリウム水溶液65.8gを3時間かけて滴下した。この滴下中に還流留出した水とエピクロルヒドリンを分離槽で分離しエピクロルヒドリンは反応容器に戻し、水は系外に除いて反応した。反応終了後、エピクロルヒドリンを留去し、トルエンに溶解した。その後、水洗により塩を除き、トルエンを留去し、エポキシ樹脂110gを得た(エポキシ樹脂C)。得られた樹脂のエポキシ当量は196g/eq.、軟化点は131℃、150℃における溶融粘度は0.13Pa・s、全塩素は1110ppm、加水分解性塩素は290ppmであった。
比較例1
1000mlの4口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシビフェニル77.5g(0.4モル)、ジエチレングリコールジメチルエーテル97.9g、4,4’−ビスクロロメチルビフェニル52.3g(0.2モル)を仕込み、窒素気流下、攪拌しながら160℃まで昇温して10時間反応させた。その後、水酸化カリウム溶液は添加しなかった。この反応において、反応モル比は0.50、固形分濃度は57%である。
反応後、大量の純水に滴下して再沈殿により回収し、淡黄色の樹脂110gを得た。得られた樹脂のOH当量138g/eq.であった。得られた樹脂のGPC測定により求められた一般式(1)におけるn=0成分は21.7%、n=6以上の成分は35.0%であった。また、全塩素は3000ppmであった。
比較例2
比較例1で得た樹脂110gにエピクロルヒドリン447gを仕込み溶解させた。続いて、減圧下65℃にて49%水酸化ナトリウム水溶液65.5gを3時間かけて滴下した。この滴下中に還流留出した水とエピクロルヒドリンを分離槽で分離しエピクロルヒドリンは反応容器に戻し、水は系外に除いて反応した。反応終了後、エピクロルヒドリンを留去し、トルエンに溶解した。その後、水洗により塩を除き、トルエンを留去し、エポキシ樹脂95gを得た(エポキシ樹脂D)。得られた樹脂のエポキシ当量は198g/eq.、軟化点は125℃、150℃における溶融粘度は0.71Pa・s、全塩素は2180ppm、加水分解性塩素は790ppmであった。
比較例3
2000mlの4口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシビフェニル186.0g(1.0モル)、ジエチレングリコールジメチルエーテル860g、4,4’−ビスクロロメチルビフェニル75.3g(0.3モル)を仕込み、窒素気流下、攪拌しながら160℃まで昇温して10時間反応させた。その後、水酸化カリウム溶液は添加しなかった。この反応において、反応モル比は0.30、固形分濃度は23%である。
反応後、大量の純水に滴下して再沈殿により回収し、淡黄色の樹脂220gを得た。得られた樹脂のOH当量131g/eq.であった。得られた樹脂のGPC測定により求められた一般式(1)におけるn=0成分は39.3%、n=6以上の成分は7.6%であった。また、全塩素は6080ppmであった。
比較例4
比較例3で得た樹脂120gにエピクロルヒドリン509gを仕込み溶解させた。続いて、減圧下65℃にて49%水酸化ナトリウム水溶液76.5gを4時間かけて滴下した。この滴下中に還流留出した水とエピクロルヒドリンを分離槽で分離しエピクロルヒドリンは反応容器に戻し、水は系外に除いて反応した。反応終了後、エピクロルヒドリンを留去し、トルエンに溶解した。その後、水洗により塩を除き、トルエンを留去し、エポキシ樹脂148gを得た(エポキシ樹脂E)。得られた樹脂のエポキシ当量は184g/eq.、軟化点は139℃、150℃における溶融粘度は0.05Pa・s、全塩素は2960ppm、加水分解性塩素は1400ppmであった。
実施例1、3、5で得られた多価ヒドロキシ樹脂及び比較例1で得られた多価ヒドロキシ樹脂の樹脂特性を表1に示す。
実施例2、4、6で得られたエポキシ樹脂A〜C、及び比較例2で得られたエポキシ樹脂Dの樹脂特性を表2に示す。
実施例7〜9
上記の実施例2、4、6で得られたエポキシ樹脂A〜C、硬化剤、及び硬化促進剤を表3に示す配合割合で混練してエポキシ樹脂組成物を調製した。表中の数値は配合における重量部を示す。
比較例5,6
上記の比較例2、4で得られたエポキシ樹脂D、硬化剤、及び硬化促進剤を表3に示す配合割合で混練してエポキシ樹脂組成物を調製した。表中の数値は配合における重量部を示す。
その他の使用した成分を、次に示す。
・硬化剤;トリフェノールメタン型多価ヒドロキシ樹脂(TPM−100(群栄化学工業株式会社製)、OH当量 97.5g/eq.、軟化点 105℃)
・硬化促進剤:2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(製品名;2PHZ−PW、四国化成株式会社製)
これらのエポキシ樹脂組成物を用いて175℃で成形し、更に200℃にて5時間ポストキュアを行い、硬化物試験片を得た後、物性測定に供した。結果を表3に示す。
Figure 0006937744
Figure 0006937744

Figure 0006937744
本発明によれば、低粘度かつ低塩素性に優れるエポキシ樹脂を効率よく製造することができることから、このエポキシ樹脂を配合したエポキシ樹脂組成物を加熱硬化させることで、高Tg性を有した上で、抽出水塩素イオンの低減効果や成形作業性に優れる硬化物を与え、電気・電子部品類の封止材料、高放熱シート、高放熱基板等の回路基板材料等の用途に好適に使用することが可能である。特に、要求性能が近年ますます高度化しているパワーデバイス用封止材料として有用である。

Claims (4)

  1. 式(1)で表される4,4’−ジヒドロキシビフェニルと式(2)で表される芳香族架橋剤としての4,4’−ビスクロロメチルビフェニルとを反応させて一般式(3)で表される多価ヒドロキシ樹脂を製造する方法であって、4,4’−ジヒドロキシビフェニル1モルに対し、4,4’−ビスクロロメチルビフェニル0.3〜0.6モルを、固形分濃度が45〜57wt%となるように溶媒を使用して無触媒又は酸触媒の存在下で反応させた後、アルカリ金属水酸化物を加えて反応させることにより、得られる多価ヒドロキシ樹脂が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した面積%でn=0成分が30%以下15%以上であって、n=6以上の高分子量成分が30%以下であり、かつ全塩素量が1000wtppm以下であることを特徴とする多価ヒドロキシ樹脂の製造方法。
    Figure 0006937744

    Figure 0006937744

    Figure 0006937744

    ここで、nは0〜20の数を示す。
  2. 請求項1に記載の製造方法によって得られた多価ヒドロキシ樹脂と、エピクロルヒドリンを反応させて得られるとを特徴とするエポキシ樹脂の製造方法
  3. 請求項に記載のエポキシ樹脂、及び硬化剤を必須成分とすることを特徴とするエポキシ樹脂組成物の製造方法
  4. 請求項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させたことを特徴とするエポキシ樹脂硬化物の製造方法
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