JP6937542B2 - 合成樹脂製キャップ - Google Patents

Description

本発明は、例えば、飲料物等の内容物を収容する容器の口部に装着される合成樹脂製キャップに関する。

飲料物等の内容物を収容する容器の口部に装着されるキャップとして、一目で開封の有無を確認可能に構成されたものが広く用いられている。このようなキャップとして、容器口部の雄ねじに螺合する雌ねじが設けられたスカート壁を有するキャップ本体と、スカート壁の下部に環状弱化部を介して連結されたタンパーエビデンスバンドとを具備するものが知られている。

上記従来のキャップでは、容器口部に装着された状態からの開封操作（回転操作）に伴い、タンパーエビデンスバンドの内周に設けられた係止片（フラップ）が容器口部の外周に設けられた環状突起（係止あご部）に係止した後、タンパーエビデンスバンドとスカート壁と連結するブリッジ（橋絡部）が破断され、キャップ本体とタンパーエビデンスバンドとが互いに分離される（特許文献１参照）。従って、ブリッジの破断の有無を視認することにより、開封操作が行われたか否かを容易に確認することができる。

特開２０１０−１９５４５５号公報

ところで、従来の軽量化キャップでは、スカート壁の薄肉化による軽量化が図られている。そして、更なる軽量化のために、本発明者らは係止片を薄肉化する試みを行っているが、係止片の薄肉化により、容器口部の環状突起への係止力が不足する恐れがある。

本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、軽量化を図りつつ、容器口部の環状突起への係止力を十分に保つことのできる合成樹脂製キャップを提供することにある。

上記目的を達成するために、本発明に係る合成樹脂製キャップは、容器口部の外周に形成された雄ねじに螺合する雌ねじを設けたスカート壁と、該スカート壁の下部に環状弱化部を介して連結したタンパーエビデンスバンドとを具備するキャップであって、前記タンパーエビデンスバンドの内周側に、前記容器口部の外周に設けられた環状突起に下方から係止可能な係止片を周方向に間隔をおいて複数設け、前記係止片の先端側の縁部と左右両側の縁部とにわたって厚肉部を設け、前記係止片の下面中央部に、前記厚肉部によって三方から囲まれ上側に凹入する凹入部を設け、前記凹入部の左右両端に、前記係止片の左右両側の縁部に設けた厚肉部に向かって徐々に肉厚かつ幅広になるぼかし面部を設けた（請求項１）。

上記合成樹脂製キャップにおいて、前記凹入部において前記係止片の先端側の厚肉部に接する部分に、この厚肉部に向かって徐々に厚肉になるぼかし面部を設けてもよい（請求項２）。

上記合成樹脂製キャップにおいて、前記係止片の左右両側の縁部に設けた前記厚肉部は、前記係止片の基端側に向かって薄肉となっていてもよい（請求項３）。

本願発明では、軽量化を図りつつ、容器口部の環状突起への係止力を十分に保つことのできる合成樹脂製キャップが得られる。

すなわち、本願の各請求項に係る発明の合成樹脂製キャップでは、係止片の縁部に厚肉部を設け、この厚肉部に基づくリブ効果により、係止片の強度の向上を図りつつ、全体として係止片の軽量化、ひいてはキャップの軽量化を図ることができる。

請求項３に係る発明の合成樹脂製キャップでは、係止片の基端部には適度の柔軟性を持たせることが容易となり、キャッピング時に係止片が環状突起に押し上げられて反転する際、係止片の基端部が破損し難くなるようにすることができる。

請求項１に係る発明の合成樹脂製キャップでは、キャッピング時に係止片が環状突起に押し上げられる際、環状突起が薄肉状の凹入部には当接せず、強度が相対的に高い厚肉部に当接することになるので、薄肉状の凹入部に環状突起が衝突して係止片が破損する、といった不具合が生じ難くなる。

本発明の一実施の形態に係る合成樹脂製キャップの構成を概略的に示す底面図である。 図１のＡ−Ａ線断面図である。 （Ａ）は図１のＢ−Ｂ線断面図、（Ｂ）は図１のＣ−Ｃ線断面図である。

本発明の実施の形態について図面を参照しながら以下に説明する。

図１、図２、図３（Ａ）及び（Ｂ）に示す合成樹脂製キャップ（以下、キャップという）１は、例えばペットボトル等の容器の口部Ｍ（図３（Ａ）参照）に装着されて使用されるものであり、コンプレッション成形又はインジェクション成形によって、ポリエチレンで一体的に成形されている。なお、キャップ１を形成する素材は、特に限定されるものではなく、本実施形態で用いたポリエチレンの他、ポリプロピレン等が好適に用いられる。

また、図１及び図２に示すように、キャップ１は、平面視において略円形状の天壁２と、この天壁２の外周部から下向きに延びる略円筒状のスカート壁３を有している。ここで、スカート壁３の外周面にはローレット溝４を、内周面には雌ねじ５を設けてあり、この雌ねじ５は容器口部の外周に形成された雄ねじＭ１（図３（Ａ）参照）に結合可能である。

そして、容器口部Ｍの雄ねじＭ１にスカート壁３の雌ねじ５が結合するようにキャップ１を回転させて容器口部Ｍに装着すると、天壁２の内面（下面）に連設された環状の中足（インナーリング）６、環状リブ７及び環状の外足（アウターリング）８が容器口部Ｍに密着し、これにより、容器口部Ｍが密封された状態となる（図３（Ａ）参照）。すなわち、図３（Ａ）に仮想線で示すように、キャップ１が容器口部Ｍに装着された状態では、中足６は容器口部Ｍ内に差し込まれて容器口部Ｍの内周面に密着し、環状リブ７は容器口部Ｍの環状の上端面に密着し、外足８は容器口部Ｍの外周面に密着するように構成されている。

また、キャップ１は、未開封（開栓が一度もされていないこと）を証明する機能を有するピルファープルーフキャップであり、容器口部Ｍに装着された未開封のキャップ１の開封時（最初の開栓時）に、雄ねじＭ１と雌ねじ５の結合が解除されるようにキャップ１を回転させると、キャップ１は容器口部Ｍから離脱するが、スカート壁３の下部に連結されたタンパーエビデンスバンド（以下、単に「バンド」という）９は容器口部Ｍに残留するように構成されている。

すなわち、スカート壁３の下部には、スカート壁３の全周にわたって延びる環状弱化部１０を介してバンド９を連結してあり（図３参照）、環状弱化部１０は、スカート壁３とバンド９との境界の内周側に存在する複数のブリッジ１０ａと、スカート壁３とバンド９とを上下に画するようにスカート壁３及びバンド９の周方向に延びるスリット１０ｂとで構成され、ブリッジ１０ａが所定の力で引っ張られると破断するように、ブリッジ１０ａの一部（外周部分）もスリット１０ｂで切断されている。

また、バンド９の内周側には、内向きに突出する係止片（フラップ）１１を、周方向に間隔をおいて複数（本例では８個）設けてある（図１〜図３参照）。各係止片１１は、キャップ１が容器口部Ｍに装着された状態で、容器口部Ｍの外周において雄ねじＭ１よりも下方に形成された環状突起（ビード部）Ｍ２の略下側へ位置し、開栓操作によって環状突起Ｍ２に係止する（図３（Ａ）参照）。すなわち、係止片１１は、環状突起Ｍ２に下方から係止可能に構成され、開封の際に、環状弱化部１０より上方にあるキャップ本体部（スカート壁３及び天壁２）は容器口部Ｍから離脱し、環状弱化部１０より下方にあるバンド９は容器口部Ｍに残留し、これに伴って環状弱化部１０は破断する。

ここで、バンド９はキャップ本体部（スカート壁３及び天壁２）と一体成形され、バンド９に設けられる係止片１１は、キャップ１の成形時には図２に示すように下向きに突出しているが、容器口部Ｍへのキャップ１の装着の際に、環状突起Ｍ２に押し上げられて反転し、図３（Ａ）に仮想線で示すように上向きに突出する状態となる。

そして、本実施形態では、図１、図３（Ａ）及び（Ｂ）に示すように、係止片１１の縁部に厚肉部１２を設け、この厚肉部１２に基づくリブ効果により、係止片１１の強度の向上を図りつつ、全体として係止片１１の軽量化、ひいてはキャップ１の軽量化を図ることができるようにしてある。

具体的には、図１に示すように、厚肉部１２を、係止片１１の先端側の縁部と左右両側の縁部とにわたって設けてある。そして、係止片１１の左右両側の縁部に設けた厚肉部１２は、図３（Ａ）に示すように、係止片１１の基端側に向かって徐々に薄肉になるように構成してある。これにより、係止片１１の基端部には適度の柔軟性を持たせることができ、キャッピング時に係止片１１が環状突起Ｍ２に押し上げられて反転する際、係止片１１の基端部が破損し難くなる。

また、本実施形態では、図１〜図３に示すように、係止片１１の上面を略面一にし、係止片１１の下面中央部に、厚肉部１２によって三方から囲まれ上側に凹入する凹入部１３が形成されるようにしてあるので、キャッピング時に係止片１１が環状突起Ｍ２に押し上げられて反転する際、環状突起Ｍ２が薄肉状の凹入部１３には当接せず、強度が相対的に高い厚肉部１２に当接することになるので、薄肉状の凹入部１３に環状突起Ｍ２が衝突して係止片１２が破損する、といった不具合が生じ難くなる。

さらに、本実施形態では、図１に示すように、凹入部１３の両端に、左右両側の縁部に設けた厚肉部１２に向かって徐々に肉厚かつ幅広になるぼかし面部を設けてあるので、係止片１１が環状突起Ｍ２による接触を受けた際に、凹入部１３の両端に応力が集中し難くなり、これにより、係止片１１の破損防止を図ることができる。

ここで、開封時に、上向きに突出している係止片１１が大きく倒れてしまうと、係止片１１が環状突起Ｍ２の接触を受けて再反転して下向きに突出する状態になり易く、係止片１１が環状突起Ｍ２に良好に係止しなくなる。しかし、本実施形態では、係止片１１の先端側に設けた厚肉部１２が下面側に膨出するように構成してあるので、上向きに突出している係止片１１が大きく倒れてしまうこと（倒れ込むこと）は、容器口部Ｍの外周面（環状突起Ｍ２の直下に位置する部分Ｍ３）に対する厚肉部１２の当接によって防止され、これにより、環状突起Ｍ２に対する係止片１１の係止が良好に行われることとなる。

なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。

上記実施の形態では、凹入部１３の両端にぼかし面部１４を設け、また、凹入部１３において係止片１１の先端側の厚肉部１２に接する部分に、この厚肉部１２に向かって徐々に厚肉になるぼかし面部１５（図１参照）を設けてあるが、このようなぼかし面部を他の部位にも設けるようにしてもよい。

上記実施形態では、係止片１１の上面を略面一にし、係止片１１の下面中央部に、厚肉部１２によって三方から囲まれ上側に凹入する凹入部１３が形成されるようにしてあるが、これに限らず、例えば、係止片１１の下面を略面一にし、係止片１１の上面中央部に、厚肉部１２によって三方から囲まれ上側に凹入する凹入部１３が形成されるようにしてもよい。

上記実施の形態では、全ての係止片１１に厚肉部１２を設けているが、一部の係止片１１のみに厚肉部１２を設けるようにしてもよく、この場合、例えば、厚肉部１２を設けた係止片１１と設けていない係止片１１とがバンド９の周方向に交互に並ぶようにする、といったことも可能となる。

上記実施の形態では、各係止片１１を独立させているが、例えば、隣り合う係止片１１の先端部どうしを連結し、全ての係止片１１を環状に繋げてもよい。

なお、本明細書で挙げた変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。

１ キャップ
２ 天壁
３ スカート壁
４ ローレット溝
５ 雌ねじ
６ 中足
７ 環状リブ
８ 外足
９ タンパーエビデンスバンド
１０ 環状弱化部
１０ａ ブリッジ
１０ｂ スリット
１１ 係止片
１２ 厚肉部
１３ 凹入部
１４ ぼかし面部
１５ ぼかし面部
Ｍ 容器口部
Ｍ１ 雄ねじ
Ｍ２ 環状突起
Ｍ３ 環状突起の直下の部分

Claims (3)

1. 容器口部の外周に形成された雄ねじに螺合する雌ねじを設けたスカート壁と、該スカート壁の下部に環状弱化部を介して連結したタンパーエビデンスバンドとを具備するキャップであって、
   前記タンパーエビデンスバンドの内周側に、前記容器口部の外周に設けられた環状突起に下方から係止可能な係止片を周方向に間隔をおいて複数設け、
   前記係止片の先端側の縁部と左右両側の縁部とにわたって厚肉部を設け、
   前記係止片の下面中央部に、前記厚肉部によって三方から囲まれ上側に凹入する凹入部を設け、
   前記凹入部の左右両端に、前記係止片の左右両側の縁部に設けた厚肉部に向かって徐々に肉厚かつ幅広になるぼかし面部を設けたことを特徴とする合成樹脂製キャップ。
2. 前記凹入部において前記係止片の先端側の厚肉部に接する部分に、この厚肉部に向かって徐々に厚肉になるぼかし面部を設けた請求項１に記載の合成樹脂製キャップ。
3. 前記係止片の左右両側の縁部に設けた前記厚肉部は、前記係止片の基端側に向かって薄肉となる請求項１又は２に記載の合成樹脂製キャップ。
   

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