以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施例による中間免震層対応パレット式機械駐車装置の正面図である。
機械駐車装置側の本体建物1は、隣接する他の建物などの中間免震装置用躯体2がその中間部に位置しているのを利用して構成され、中間免震装置用躯体2の上部に位置する上部本体建物1Aと、中間免震装置用躯体2の下部に位置する下部本体建物1Bを有している。下部本体建物1Bの下方位置には、機械駐車装置に駐車する駐車車両の乗込口1Cを有した乗込面1Dと、ピット底面1Eが形成されている。
中間免震装置用躯体2の上には、複数台ここでは四台の中間免震装置3が配置され、各中間免震装置3で総荷重を受けて支持されるようにした駐車装置側構造部が構成されている。駐車装置側構造部は、各中間免震装置3のすぐ上部で各中間免震装置3上に搭載された剛接合大梁4と、この剛接合大梁4上の各中間免震装置3に対応する位置で下端を固定されて、かつ、上部本体建物1Aの内壁近傍における四隅などに固定された鉄骨柱5A〜5Dを備えている。同図では、前面側に配置された鉄骨柱5A,5Bのみが示されているが、後述する図3に示すように、それらの裏面側には他の鉄骨柱5C,5Dが配置されている。
各鉄骨柱5A〜5Dの上端部には、上部本体建物1Aの前面側における天井付近に配置された前面天井大梁6Aと、上部本体建物1Aの裏面側における天井付近に配置された裏面天井大梁6Bが固定されており、両天井大梁6A,6Bには機械駐車装置の主要な構成要素の全てが吊り下げられている。この吊り下げ構造は徐々に説明して行くが、上部本体建物1A内の中心部寄りにほぼ鉛直に配置された四本のガイドレール7A〜7Dと、ガイドレール7A〜7Dの片側にそれぞれ鉛直に配置された四本の吊柱8A〜8Dと、ガイドレール7A〜7Dの他の片側にそれぞれ鉛直に配置された四本の吊柱9A〜9Dの各上端部が、詳細を後述する連結装置を用いて連結されて吊り下げられている。本実施例では、吊柱8B,8Dには、ガイドレール7A,7Cが軸方向に所定の間隔で機械的に結合されており、吊柱9B,9Dには、ガイドレール7B,7Dが軸方向に所定の間隔で機械的に結合されている。
図1では、前面側に配置された天井大梁6A、ガイドレール7A,7B、吊柱8A,8Bおよび吊柱9A,9Bのみが示されているが、後述する図3に示すように、それらの裏面側には他の天井大梁6B、ガイドレール7C,7D、吊柱8C,8Dおよび吊柱9C,9Dが配置されている。
吊り下げ構造とされたガイドレール7A〜7D、吊柱8A〜8Dおよび吊柱9A〜9Dの下端部は、本体建物1の最下部に形成されたピット底面1Eには接触しておらず、ピット底面1Eから浮いた状態となっている。
図2および図3は、図1に示した中間免震層対応パレット式機械駐車装置における天井大梁6A,6Bの近傍を示す拡大図および平面図である。
図3に示すように本体建物1は四隅の配置した本体建物柱10A〜10Dを有し、各本体建物柱10A〜10Dの間に本体建物梁11A〜11Dがそれぞれ結合されている。各中間免震装置3の上部に下端部が固定された各鉄骨柱5A〜5Dは、本体建物1の上端部まで延ばされており、鉄骨柱5A,5Bの上端部間に天井大梁6Aの両端がそれぞれ結合され、鉄骨柱5C,5Dの上端部間に天井大梁6Bの両端がそれぞれ結合されている。鉄骨柱5A,5Cの上端部間には天井大梁結合部材6Cの両端部がそれぞれ結合され、鉄骨柱5B,5Dの上端部間には天井大梁結合部材6Dの両端部がそれぞれ結合されている。
しかも、本体建物梁11A,11Cの内壁近傍に天井大梁6A,6Bがそれぞれ配置され、天井大梁結合部材6Cが本体建物梁11Dの内壁面近傍に配置され、また天井大梁結合部材6Dが本体建物梁11Bの内壁面近傍に配置されている。天井大梁6A,6Bおよび天井大梁結合部材6C,6Dによって井桁状の天井大梁6として補強されており、その中心側に十分に大きなスペースが確保されている。詳細は後述するが、このスペースは、駐車車両が格納されるための格納スペース、昇降リフト15、パレット27A〜27N,28A〜28Nが配置されるために活用される。
天井大梁6Aと天井大梁6Bの対向部間には、対を成す天井小梁40A,40Bと、天井小梁40C,40Dと、天井小梁40E,40Fと、天井小梁40G,40Hの四組が結合されている。天井小梁40A,40Bの両端部付近には、詳細を後述する頂部吊装置48を用いて吊柱8A,8Cの上端部が固定され、天井小梁40C,40Dの両端部付近には、同様の頂部吊装置48を用いて吊柱8B,8Dの上端部が固定されている。また、天井小梁40E,40Fの両端部付近には、同様の頂部吊装置49を用いて吊柱9B,9Dの上端部が固定され、天井小梁40G,40Hの両端部付近には、同様の頂部吊装置49を用いて吊柱8B,8Dの上端部が固定されている。上述したようにガイドレール7A〜7Dは、吊柱8B,8Dおよび吊柱9B,9Dに結合されているので、ここでの図示は省略されている。
図1に示した天井大梁6Aには、上述したようにガイドレール7A,7B、吊柱8A,8Bおよび吊柱9A,9Bが吊り下げられ、また、天井大梁6Bには、上述したようにガイドレール7C,7D、吊柱8C,8Dおよび吊柱9C,9Dが吊り下げられている。
しかも、各ガイドレール7A〜7D、各吊柱8A〜8Dおよび各吊柱9A〜9Dの中間部と、図1に示した剛接合大梁4とは、詳細を後述する図8〜図10に示すように長孔により鉛直方向の結合関係を持たず、剛接合大梁4で鉛直方向荷重を負担することなく地震時水平力のみを負担する構成の支持装置50および支持装置51によってそれぞれ支持されている。
図1に示したように、剛接合大梁4を通過した各ガイドレール7A〜7D、各吊柱8A〜8Dおよび各吊柱9A〜9Dの下端部は、本体建物1の下方部に形成されたピット底面1Eの近くまで延びているが、ピット底面1Eに接触することなく浮いている状態である。
このため、各ガイドレール7A〜7D、各吊柱8A〜8Dおよび各吊柱9A〜9Dは、それぞれの上端部のみを天井大梁6A,6Bに固定した吊り下げ構造であり、後述する機
械駐車装置のその他の主要な構成要素も、各ガイドレール7A〜7D、各吊柱8A〜8Dおよび各吊柱9A〜9Dに支持され、全体としても吊り下げ構造にされている。このような構成であるため、中間免震層対応パレット式機械駐車装置における主要な構成要素は、中間免震装置3によって支持されることになり、天井大梁6A,6Bから鉄骨柱5A〜5Dを介して中間免震装置3で支持される。つまり、中間免震層対応パレット式機械駐車装置は、機械駐車装置の総荷重が運転時も地震時も全て中間免震装置で支持される構造となっている。
上述した天井大梁6A,6Bは、図2に示すように本体建物1の内壁面近傍の空間を活用して、上部つなぎ梁12Aと、下部つなぎ梁12Bと、上部つなぎ梁12Aおよび下部つなぎ梁12B間を結合するブレース13などによって補強されている。補強部材としてブレース13などを使用しているため、仮想水平面上に井桁状に構成された天井大梁6A,6Bおよび天井大梁結合部材6C,6Dは、その内外側に大きく突出することのない構成で、天井大梁6A、6Bのたわみ量を小さくするように補強することができる。また、補強部材としてブレース13などを使用しているため、平面的には井桁状に構成された天井大梁6A,6Bと天井大梁結合部材6C,6Dの中心側空間部を損なうことがなく、同中心側空間部を駐車車両が格納されるための格納スペース、昇降リフト15、パレット27A〜27N,28A〜28Nを配置するために活用することができる。
また、最上部にブレース13およびブレース用つなぎ梁12A,12Bを設置しているため、天井大梁6の全体的なたわみ量を抑えることができ、詳細を後述するパレット27A〜27N,28A〜28Nの棚送りおよび棚出し時における水平移動を円滑に行わせることができる。
天井大梁6の上部には、図2に示すように駆動部58が搭載されており、この駆動部58は、その構成要素の一部であるシーブに巻き掛けた主索を介して、詳細を後述する昇降リフト15やカウンターウェイト16を互いに異なる方向に昇降移動させるために使用される。
また、図1に示すように各ガイドレール7A〜7D、各吊柱8A〜8Dおよび各吊柱9A〜9Dの外周部と、中間免震装置用躯体2および中間免震装置3の内面間の空間部には、地震時水平変位制限吊柱17A〜17Hと、地震時水平変位制限梁18A〜18Dを備えた地震時水平変位制限装置19が構成されている。同図において、地震時水平変位制限吊柱17A〜17Cは前面側に配置されており、他の地震時水平変位制限吊柱は図示されていないが、詳細は図4で説明する。
地震時水平変位制限装置19は、図4で詳細を説明するように平面図で見たとき仮想水平面上でほぼ井桁状に組み立てた地震時水平変位制限梁18A〜18Dを有して構成されている。このため、その井桁状の中央空間部に、上端部を吊り下げ構造とした各ガイドレール7A〜7D、各吊柱8A〜8Dおよび各吊柱9A〜9Dをそのまま垂下させることができ、また、地震時水平変位制限装置19における井桁状に組み立てた地震時水平変位制限梁18A〜18D内を、駐車車両を格納するための格納スペースとして利用できる構成となっている。
こうして、各ガイドレール7A〜7D、各吊柱8A〜8Dおよび各吊柱9A〜9Dの長手方向のほぼ全領域にわたって駐車車両を格納するための格納スペースを効率的に構成できる。つまり、本機械駐車装置は、中間免震装置3よりも上方部に構成した駐車車両を格納させるための格納スペースに加えて、さらに、中間免震装置3の下方部にも駐車車両を格納させるための格納スペースを構成して、両格納スペースに駐車できる車両台数を増加させることができる。
各地震時水平変位制限吊柱17A〜17Cの下端部は、図1に示すようにピット底面1Eにまで達しておらず、ピット底面1Eから浮いた状態となっている。各地震時水平変位制限吊柱17A〜17Cの下端部間は、ピット面1Eから浮いている地震時水平変位制限水平梁30によって結合されているが、各ガイドレール7A〜7D、各吊柱8A〜8Dおよび各吊柱9A〜9Dの下端部は、この地震時水平変位制限水平梁30からも浮いている状態である。
乗込面1Dにおいては、上述した地震時水平変位制限装置19を効果的に機能させるために、中間免震層対応パレット式機械駐車装置の下方部に形成された乗込面1Dにおける駐車車両の進入面に、免震用エキスパンションジョイント29A,29Bを設けられている。
次に、格納スペースの具体的な構成について説明する。
図1に示すように各吊柱8A〜8Dの鉛直方向には、所定の車高長間隔を隔てて複数段の棚レール21A〜21Nおよび棚レール22A〜22Nがそれぞれ固定されており、各棚レール21A〜21Nおよび棚レール22A〜22N毎にパレット27A〜27Nおよびパレット28A〜28Nがそれぞれ配置されている。つまり、詳細を後述する図4に示した段をC段とすると、ガイドレール7A〜7Dに沿って昇降移動される昇降リフト15の両側列に、それぞれ棚レール21Cおよび棚レール22Cが本体建物1の前面側と裏面側で対を成すように配置されている。対を成す棚レール21C間には、昇降リフト15の上面側に構成されている棚送り・棚出し装置によって水平移動されるパレット単体または駐車車両を搭載した状態のパレット27Cおよびパレット28Cがそれぞれ配置されている。
ここで、ガイドレール7A〜7Dの両外側に吊柱8A〜8Dおよび吊柱9A〜9Dをそれぞれ設置して両側に駐車車両を格納するために使用する格納スペースをガイドレール7A〜7Dの両外側に構成した両列構成としている。このため、左右の棚レール21C,22Cにおける相対沈下量差を小さくしながら、パレット27C,28Cを円滑に移動させることができる。
また、上述の説明から分かるように本実施例による中間免震層対応パレット式機械駐車装置は、本体建物1の中間部に構成した中間免震装置用躯体2の上部に中間免震装置3を配置し、中間免震装置3の上部に支持した天井大梁6A,6Bに上端部を固定して吊り構造とし、中間免震装置3よりも下部に形成されているピット底面1Eからその他端部を浮かせた状態のガイドレール7A〜7D、吊柱8A〜8Dおよび吊柱9A〜9Dと、ガイドレール7A〜7Dに沿って昇降可能なパレット式の昇降リフト15と、吊柱8A〜8Dの鉛直方向でほぼ水平にそれぞれ固定した多段の棚レール21A〜21Nと、吊柱9A〜9Dの鉛直方向でほぼ水平にそれぞれ固定した多段の棚レール22A〜22Nと、各棚レール21A〜21N,22A〜22Nに沿ってほぼ水平方向に移動可能で、かつ昇降リフト15との間で駐車車両の受け渡し可能なパレット27A〜27N,28A〜28Nを有した構成としている。
このような構成であるため、中間免震装置3の上方に位置した天井大梁6A,6Bに吊り構造としたガイドレール7A〜7D、吊柱8A〜8Dおよび吊柱9A〜9Dの下端部を中間免震装置3の下方に形成されたピット底面1E近くまで延ばすことができるので、中間免震装置3の上方に位置する部分の吊柱8A〜8Dおよび吊柱9A〜9Dを用いて鉛直方向に駐車車両を格納するために使用された多段の格納スペースを形成できるだけでなく、中間免震装置3の下方に位置する部分の吊柱8A〜8Dおよび吊柱9A〜9Dを用いて鉛直方向に駐車車両を格納するために使用された多段の格納スペースを形成できるので、全体として駐車可能台数を効率的に増加させることができる。
このように各ガイドレール7A〜7D、吊柱8A〜8Dおよび各吊柱9A〜9Dは、本体建物1の天井付近に配置された天井大梁6A,6Bに上端部を固定した吊下げ構造とし、下端側は剛接合大梁4および各中間免震装置3を配置した部分を通過してピット底面1E付近まで延びた長尺構造となっている。このため、機械駐車装置の構造物側でも地震時における水平変位制限構造について考慮している。
次に、剛接合大梁4より上方における上部水平変位制限構造について説明する。
各鉄骨柱5A〜5Dには、図1および図2に示すようにその長手方向に所定間隔で多段に防振ゴム装置14A〜14Dが取り付けられている。各防振ゴム装置14A〜14Dの先端側には防振ゴムが取り付けられており、この防振ゴムが各本体建物梁11A〜11Dなどの対向部内面に圧接されている。ここで、各防振ゴム装置14A〜14Dは同一構成であり、図3に示すように本体建物1の四隅において前後方向および左右方向の振動をほぼ同様に抑制または吸収するように複数の防振ゴムが異なる向きで配置された構成となっている。
次に、ガイドレール7A〜7D、吊柱8A〜8Dおよび吊柱9A〜9Dの上端部と天井大梁6A,6Bを連結した連結構造について説明する。
図5、図6および図7は、図2に示したガイドレール7Aの上端部と天井大梁6Aを連結した頂部吊装置48を示す平面図、正面図および側面図である。
本実施例で、ガイドレール7A〜7D、吊柱8A〜8Dおよび吊柱9A〜9DはそれぞれH形鋼で製作されてほぼ同一構成であり、また頂部吊装置48,49もほぼ同一構成であるから、ここでは吊柱8Aの上端部と天井大梁6Aを連結した頂部吊装置48を代表して説明する。吊柱8Aは、H形鋼で製作されており、この吊柱8Aの頂部近傍には、吊柱8Aの両外側部をそれぞれ橋絡するようにほぼ平行に配置した一対の梁側結合部材36A,36Bが結合されている。両梁側結合部材36A,36Bは、ほぼ垂直に配置された板状であり、橋絡方向幅よりも十分に長くされた幅を有し、その両端部が後述する梁吊金具37A〜37Dに面接触するように形成されている。また、両梁側結合部材36A,36Bは、図6および図7に示すように吊柱8Aの高さ方向では比較的短くされており、ガイドレール7Aよりも外側に位置する部分には、複数の孔39が形成されている。
一方、図3に示したように天井大梁6A,6Bの下面側には、天井小梁40A,40Bが並置されている。H鋼で構成された天井小梁40A,40Bの端部には、一体的に結合された梁吊金具37A〜37Dが梁側結合部材36A,36Bにそれぞれ面接触するように配置されている。各梁吊金具37A〜37Dの裏面側には下方に向かって幅寸法を縮小しながら延びた逆三角形状の補強リブ41A〜41Dが一体的に形成されている。各梁吊金具37A〜37Dには、梁側結合部材36A,36Bと対応させたときに、梁側結合部材36A,36Bに形成されている複数の孔39に合致して一連の挿入孔を形成することになる複数の孔が形成されている。
より具体的には、梁側結合部材36A,36Bは平行な仮想垂直面上に配置され、各梁吊金具37A〜37Dも梁側結合部材36A,36Bにそれぞれ対応するように配置されている。しかも、これら両者の結合部は、吊柱8Aの外周部を包囲するように同じ高さ位置の四箇所に形成されている。このため、天井大梁6A,6B間に形成されている空部を余り犠牲にすることなく、頂部吊装置48を構成することができる。こうして昇降リフト15の移動を大きく制限することなく、軸方向に小型化した頂部吊装置48を構成することができる。
吊柱8Aをその頂部側に位置した天井小梁40C,40Dに固定する場合、図4に示した梁側結合部材36A,36Bの裏面側に各梁吊金具37A〜37Dを配置して、梁側結合部材36A,36Bに形成されている孔39と、各梁吊金具37A〜37Dに形成されている孔とを合致させる。このとき、梁側結合部材36A,36Bと各梁吊金具37A〜37Dの各接触面は、同じ向きで互いに近接したり離反したりすることができ、作業を容易に行うことができる。その後、合致した一連の孔39などにそれぞれボルト42を挿入し、ナットを用いて各梁側結合部材36A,36Bに梁吊金具37A〜37Dを固定する。
吊柱8Aには、ガイドレール7A〜7Dを介して図1に示した昇降リフト15が移動するときに曲げ荷重が加わる。しかしながら、図5〜図7に示した吊柱8Aは、上述した頂部吊装置48によって変位を十分に抑制するように強固に支持固定することができる。しかも、頂部吊装置48は、吊柱8の外周部に固定した一対の梁側結合部材36A,36Bと、天井小梁40C,40Dに固定されて梁側結合部材36A,36Bにそれぞれ対向して接触する四個の梁吊金具37A〜37Dを有して構成している。このため、軸方向に大型化することなく、梁側結合部材36A,36Bと梁吊金具37A〜37Dの間を強固に固定して、地震発生時のガイドレール7A側の振動振幅をより効果的に抑制することができる。
次に、上端部を吊り下げ構造とした各ガイドレール7A〜7Dおよび各吊柱8A〜8Dの剛接合大梁4の近傍における地震時水平変位制限装置19について説明する。
図4は、剛接合大梁4の上方から見た剛接合大梁4および地震時水平変位制限装置19の平面図である。
地震時水平変位制限装置19の少し上方に位置した剛接合大梁4は、中間免震装置3の上部に位置した鉄骨柱5A〜5Dの下端部近傍を結合している。この剛接合大梁4は、図3で説明した天井大梁6を投影した構成であり、鉄骨柱5A,5B間を結合した前面剛接合大梁4Aと、鉄骨柱5C,5D間を結合した裏面剛接合大梁4Bと、鉄骨柱5A,5C間を結合した側面剛接合大梁4Cと、鉄骨柱5B,5D間を結合した側面剛接合大梁4Dを有し、全体としてほぼ井桁状に構成されている。
しかも、図3に示した天井大梁6Aの真下に配置された前面剛接合大梁4Aの内側近傍には、ガイドレール7A,7Bと吊柱8A,8Bと吊柱9A,9Bが配置され、図1や詳細を後述する図8〜図10に示した支持装置50,51によって、剛接合大梁4で鉛直方向荷重を負担することなく地震時水平力のみを負担するように支持されている。また図3に示した天井大梁6Bの真下に配置された裏面剛接合大梁4Bの内側近傍には、ガイドレール7C,7Dと吊柱8C,8Dと吊柱9C,9Dが配置され、同様に構成された支持装置50,51によって、剛接合大梁4で鉛直方向荷重を負担することなく地震時水平力のみを負担するように支持されている。
このような剛接合大梁4の下方には、地震時水平変位制限装置19が構成されている。この地震時水平変位制限装置19は、平面図で見たとき仮想水平面上でほぼ井桁状に組み立てた地震時水平変位制限梁18A〜18Dと、地震時水平変位制限梁18A〜18Dに上端部を固定して鉛直に下方へ延ばして配置した地震時水平変位制限吊柱17A〜17Hを有して構成されている。
地震時水平変位制限梁18Aは、上述した前面剛接合大梁4Aの真下にほぼ平行に配置され、地震時水平変位制限梁18Bは、上述した裏面剛接合大梁4Bの真下にほぼ平行に配置されている。これに対して、地震時水平変位制限梁18C,18Dは、側面剛接合大梁4C,4Dよりも少し内側に配置されている。
地震時水平変位制限梁18Aと地震時水平変位制限梁18Cの結合部には、地震時水平変位制限吊柱17Aの上端部が結合され、地震時水平変位制限梁18Cと地震時水平変位制限梁18Dの結合部には、地震時水平変位制限吊柱17Eの上端部が結合され、地震時水平変位制限梁18Bと地震時水平変位制限梁18Dの結合部には、地震時水平変位制限吊柱17Gの上端部が結合され、地震時水平変位制限梁18Dと地震時水平変位制限梁18Aの結合部には、地震時水平変位制限吊柱17Bの上端部が結合されている。
また、地震時水平変位制限梁18Aの長手方向の中間部には地震時水平変位制限吊柱17Cの上端部が結合され、地震時水平変位制限梁18Cの長手方向の中間部には地震時水平変位制限吊柱17Dの上端部が結合され、地震時水平変位制限梁18Bの長手方向の中間部には地震時水平変位制限吊柱17Fの上端部が結合され、地震時水平変位制限梁18Dの長手方向の中間部には地震時水平変位制限吊柱17Hの上端部が結合されている。
上述したように各地震時水平変位制限吊柱17A〜17Hの下端部は、ピット底面1Eにまで達しておらず、ピット面9から浮いた状態となっており、地震時水平変位制限水平梁30によって結合されている。
地震時水平変位制限装置19における井桁状の中空部内には、上端部を吊り下げ構造とした各ガイドレール7A〜7D、各吊柱8A〜8Dおよび各吊柱9A〜9Dが配置されている。このため、地震時水平変位制限梁18A〜18Dによる井桁状の大きさは、その内面側を本体建物1の中心側に多少突出するように配置された中間免震装置用躯体2によって制限されるが、中間免震装置用躯体2よりも下方側の空間部でも、中間免震装置用躯体2よりも上方側の空間部で吊り構造とした各ガイドレール7A〜7D、各吊柱8A〜8Dおよび各吊柱9A〜9Dをそのまま垂下させることができる。
しかも、天井大梁6、剛接合大梁4、地震時水平変位制限装置19における地震時水平変位制限梁18A〜18Dは、それぞれ井桁状に構成され、かつ、各井桁状の中央空間部を鉛直方向に投影するように同心的に構成されている。このため、各井桁状の中央空間部に大きなスペースを効率的に形成することができる。このスペースは、駐車車両が格納されるための格納スペース、昇降リフト15、パレット27A〜27N,28A〜28Nを配置するために活用される。
こうして、本機械駐車装置は、中間免震装置3よりも上方部に構成した駐車車両を格納するための格納スペースに加えて、さらに、中間免震装置3の下方部にも駐車車両を格納するための格納スペースを構成して、これらの格納スペースに格納できる駐車台数を増加させることができる。
図1に示したように、地震時水平変位制限吊柱17A〜17H間は、地震時水平変位制限ブレース20によって結合されている。地震時水平変位制限装置19は、図1に示すように剛接合大梁4の下部で、各地震時水平変位制限吊柱17A〜17H間を結合するように取り付けた地震時水平変位制限ブレース20によって補強されている。地震時水平変位制限ブレース20を使用することによって、地震時水平変位制限装置19の内外側に大きく突出することなく、地震時水平変位制限装置19の地震時水平変位量を小さくすることができる。
次に、剛接合大梁4へガイドレール7A〜7D、各吊柱8A〜8Dおよび各吊柱9A〜9Dを支持した支持装置50,51について説明する。
図8、図9および図10は、図1に示した剛接合大梁4における吊柱8Aの支持装置50を示す平面図、正面図および側面図である。
それぞれH形鋼で製作された各ガイドレール7A〜7D、各吊柱8A〜8Dおよび各吊柱9A〜9Dの中間部における支持装置50,51は、図1に丸囲いで示すようにほぼ同一構成であるから、ここでは吊柱8Aを代表して説明する。
図9および図10から分かるように吊柱8Aは、剛接合大梁4の近傍を鉛直方向に通過している。吊柱8Aに対向する位置の剛接合大梁4における上下には、一対の上部受金具43A,43Bと一対の下部受金具44A,44Bがそれぞれ一体的に結合されている。上部受金具43A,43Bの先端部には、吊柱8Aを挟み込むように配置した上部結合プレート45A,45Bが複数本のボルト46とナットにより結合されている。下部受金具44A,44Bの先端部も同様であり、吊柱8Aを挟み込むように配置した下部結合プレート47A,47Bが複数本のボルト48とナットにより結合されている。
上部受金具43A,43Bおよび下部受金具44A,44Bは、剛接合大梁4に固定されているが、上部結合プレート45A,45Bおよび下部結合プレート47A,47Bは、位置調整可能であり、吊柱8Aに対して位置合わせすることができる。このため、図10に示すように結合用のボルト46,48を挿入する孔は、上下左右方向に長孔となっている。位置調整が完了した時点で、ボルトの座金などを溶接して水平方向の動きを阻止しているが、鉛直方向は長孔でスライドできるようにしている。
従って、上部受金具43A,43Bと下部受金具44A,44Bは、吊柱8Aと鉛直方向には結合関係を持たずに挟み込むように配置した支持装置50を構成しているため、長孔によりガイドレール7Aの鉛直方向荷重を負担しない。ただし、地震時におけるガイドレール7Aからの水平力のみを負担する。
こうして、上端部を天井大梁6A,6Bに固定して吊り構造とした吊柱8Aは、中間免震装置3および剛接合大梁4を通過して乗込面2まで延びた長尺物としても、その中間が通過する剛接合大梁4で鉛直方向荷重を負担することなく地震時水平力のみを負担することになる。
このような構成の中間免震層対応パレット式機械駐車装置によれば、ガイドレール7A〜7D、吊柱8A〜8D、吊柱9A〜9D、昇降リフト15、棚レール21A〜21N,22A〜22N、パレット27A〜27N,28A〜28Nなどの主要な構成における鉛直方向の総荷重を天井大梁6A、6Bで受けるように吊り構造とし、中間免震装置3のすぐ上に配置した剛接合大梁4では、ガイドレール7A〜7Dおよび吊柱8A〜8Dの鉛直方向荷重を負担することなく地震時水平力のみを負担することになる。つまり、中間免震層対応パレット式機械駐車装置は、機械駐車装置の総荷重が運転時も地震時も全て中間免震装置で支持される構造となっている。
次に、上述した中間免震層対応パレット式機械駐車装置によって、乗込口1Cから進入した駐車車両を移動して格納スペースに格納する場合について、簡単に説明する。
定常状態で、昇降リフト15は乗込面1Dに待機されている。図2に示した駆動部58に巻き掛けられた主索の端部が昇降リフト15に連結されており、駆動部58によって主索を一定方向に巻き取ると昇降リフト15を昇降動作させることができる。
乗込面1Dでの待機状態で、図1に示した下方の乗込面1Dに形成されている乗込口1Cから進入してきた駐車車両を、乗込面1Dに配置されている昇降リフト15上に搭載させると、パレット式機械駐車装置に受け渡される。駐車車両を図4に示した格納部をC段の構成と仮定して、その後、乗込面1Dの駐車車両をC段の左方における棚レール21C上に格納するものとして説明する。
上述した駆動装置58によって昇降リフト15をガイドレール7A〜7Dに沿って上昇移動させ、駐車車両を搭載した状態の昇降リフト15が、例えばC段に到着すると停止される。その後、昇降リフト15の上面側に構成されている棚送り・棚出し装置によって駐車車両を搭載した状態のパレット27Cを棚レール21Cに沿って水平移動させて図示の位置へ戻すと、駐車車両はこの格納スペースへの格納状態となる。駐車車両を他の格納スペースに格納する場合も、同様に行われる。
尚、本発明による中間免震層対応パレット式機械駐車装置は、上述した実施例に限らず適用することができる。例えば、上記実施例ではガイドレール7A〜7Dに沿って昇降移動する昇降リフト15の両側に棚レール21A〜21N,22A〜22Nをそれぞれ配置した両列構成としたが、片列構成のものにも適用できる。また本体建物1の具体的な構造、地震時水平変位制限装置19の具体的な構造、上部吊装置48,49および支持装置50,51の具体的な構造などは、図示のものに限定しない。
以上説明したように本発明は、本体建物1の中間部に構成した中間免震装置用躯体2の上部に中間免震装置3を配置し、中間免震装置3の上部に支持した天井大梁6A,6Bと、天井大梁6A,6Bに上端部を固定して吊構造とすると共に、中間免震装置3よりも下部に形成されているピット底面1Eからその他端部を浮かせた状態のガイドレール7A〜7Dおよび少なくとも片列の吊柱8A〜8Dと、ガイドレール7A〜7Dに沿って昇降可能なパレット式の昇降リフト15と、吊柱8A〜8Dの鉛直方向でほぼ水平にそれぞれ固定した多段の棚レール21A〜21Nと、棚レール21A〜21Nに沿ってほぼ水平方向に移動可能で、かつ昇降リフト15との間で駐車車両の受け渡し可能なパレット27A〜27Nとを設けたことを特徴とする。
このような構成によれば、中間免震装置3の上方に位置した天井大梁6A,6Bに吊構造としたガイドレール7A〜7Dおよび吊柱8A〜8Dの下端部を中間免震装置3の下方に形成されたピット底面1E近くまで延ばすことができるので、中間免震装置3の上方に位置する部分だけでなく、中間免震装置3の下方に位置する部分の吊柱8A〜8Dを用いて鉛直方向に駐車車両を格納するために使用された多段の格納スペースを形成でき、全体として駐車可能台数を効率的に増加させることができる。
また本発明は上述の構成に加えて、中間免震装置3の上部に複数本の鉄骨柱5A〜5Dを支持固定し、各鉄骨柱5A〜5Dの上端部に井桁状の構成とした天井大梁6を固定し、各鉄骨柱5A〜5Dの下端部近傍に井桁状の構成とした剛接合大梁4を固定し、天井大梁6および剛接合大梁4の両井桁状をほぼ同心的に位置させたことを特徴とする。
このような構成によれば、中間免震装置3の上方だけでなく中間免震装置3の下方にまで延ばしたガイドレール7A〜7Dおよび吊柱8A〜8Dを使用しても、剛接合大梁4を利用して垂直方向に大きくした機械駐車装置側の地震時における水平変位量を簡単な構成で抑制しながら、天井大梁6A,6Bに吊構造としたガイドレール7A〜7Dおよび吊柱8A〜8Dをそのまま剛接合大梁4を通過させて、中間免震装置3の上方に位置する部分だけでなく、中間免震装置3の下方に位置する部分にも鉛直方向に駐車車両を格納するために使用された多段の格納スペースを簡単に効率的に形成することができる。
また本発明は上述の構成に加えて、天井大梁6A,6Bとガイドレール7A〜7Dおよび吊柱8A〜8Dの連結固定部の近傍に、本体建物1の内壁近傍に配置して天井大梁6A〜6Dと各鉄骨柱5A〜5Dを結合して補強するために上部つなぎ梁12Aと、下部つなぎ梁12Bと、上部つなぎ梁12Aおよび下部つなぎ梁12B間を結合するブレース13を設け、ブレース13の内側にも駐車スペースを形成したことを特徴とする。
このような構成によれば、本体建物1の内壁面近傍の空間を活用して、上部つなぎ梁12Aと、下部つなぎ梁12Bと、上部つなぎ梁12Aおよび下部つなぎ梁12B間を結合するブレース13により、天井大梁6A,6Bのたわみ量を小さくすることができる。従って、ブレース13を構成した部分の内側も、駐車車両の格納スペースとして利用することができ、全体としてもスペースを効率的に使用して駐車台数を増加させることができる。
また本発明は上述の構成に加えて、ガイドレール7A〜7Dおよび吊柱8A〜8Dと対向する部分の剛接合大梁4に、ガイドレール7A〜7Dおよび吊柱8A〜8Dの鉛直方向荷重を負担することなく地震時水平力のみを負担するように支持した支持装置50,51をそれぞれ設けたことを特徴とする。
このような構成によれば、剛接合大梁4では、ガイドレール7A〜7Dおよび吊柱8A〜8Dの鉛直方向荷重を負担することなく地震時水平力を負担する支持装置50,51によって支持されるため、ガイドレール7A〜7D、吊柱8A〜8C、昇降リフト15、棚レール21A〜21N、パレット27A〜27Nなどの主要な構成における鉛直方向の総荷重を天井大梁6A,6Bで受けるように吊構造とした効果を損なうことはない。
また本発明は上述の構成に加えて、仮想水平面上における四角形の各角部に相当する位置に四本のガイドレール7A〜7Dを分散して配置し、ガイドレール7A〜7Dの両外側にそれぞれ対を成す吊柱8A〜8Dおよび吊柱9B〜9Dを分散して配置して、駐車車両を格納するために使用する格納スペースを両列構成としたことを特徴とする。
このような構成によれば、パレット27A〜27Nの横方向への移動時に、左右の棚レール21A〜21N,22A〜22Nにおける相対沈下量差を小さくしながら円滑に移動させることができる。
また本発明は上述の構成に加えて、仮想水平面上でほぼ井桁状に組み立てた地震時水平変位制限梁18A〜18Dと、井桁状の地震時水平変位制限梁18A〜18Dに上部を連結されて鉛直方向に配置した地震時水平変位制限吊柱17A〜17Hを有して地震時水平変位制限装置19を構成し、剛接合大梁4の下部に、かつ、本体建物1の内壁側とガイドレール7A〜7Dおよび各吊柱8A〜8Dの外周部との間に地震時水平変位制限梁18A〜18Dおよび地震時水平変位制限吊柱17A〜17Hを配置し、地震時水平変位制限装置19の井桁状の構成を、天井大梁6および剛接合大梁4の両井桁状をほぼ同心的に形成したことを特徴とする。
このような構成によれば、中間免震装置用躯体2よりも下方側の空間部でも、中間免震装置用躯体2よりも上方側の空間部で吊り構造とした各ガイドレール7A〜7Dおよび各吊柱8A〜8Dをそのまま垂下させることができ、また四角形状の地震時水平変位制限梁18A〜18Dの内側空間部を駐車車両の格納スペースとして利用できる。従って、本機械駐車装置は、中間免震装置3よりも上方部に構成した駐車車両の格納スペースに加えて、さらに、中間免震装置3の下方部にも駐車車両の格納スペースを構成して、駐車台数を増加させることができる。
また本発明は上述の構成に加えて、地震時水平変位制限吊柱17A〜17の下端部も本体建物1の下部に形成されているピット底面1Eから浮いている状態で配置したことを特徴とする。
このような構成によれば、新たに追加した地震時水平変位制限装置19の構成も中間免震装置3によって支持されることになり、地震時における水平方向に大きくなりがちな構成である機械駐車装置側の水平変位量を地震時水平変位制限装置19によって吸収し、かつ、本体建物1に伝達させることができる。
また本発明は上述の構成に加えて、各鉄骨柱5A〜5Dに、各鉄骨柱5A〜5Dの長手方向に所定間隔で、それぞれ本体建物1の内壁側に防振ゴムを接触させた防振ゴム装置14A〜14Dを取り付け、防振ゴム装置14A〜14Dにより地震時水平力を吸収し、かつ、各鉄骨柱5A〜5D側から本体建物1へ伝達させるようにしたことを特徴とする。
このような構成によれば、防振ゴム装置で地震時の水平方向変位を吸収して、かつ、地震時水平力を本体建物に伝達することができる。