JP6936910B2 - 害虫用殺卵剤 - Google Patents
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Description
一方、匍匐害虫や飛翔害虫などの通常の害虫に対して殺卵効果が認められるものとしては、殺虫成分が含有されている通常の殺虫剤が使用されることが考えられるが、それ以外のより安全性の高い成分への展開については、更なる検討が必要であった。
本発明が対象とする害虫は、ノミ・シラミ・ダニ・アリ・ゴキブリ・蜘蛛などの匍匐害虫の卵、蚊・ハエ・蛾などの飛翔害虫の卵であり、イガなどの衣料害虫の卵を対象とするものではない。
本発明の害虫用殺卵剤に用いられる安息香酸デナトニウムまたは八アセチル化ショ糖は従前においては苦味剤として用いられているものであり、市販のものを用いることができる。
なお、安息香酸デナトニウムまたは八アセチル化ショ糖の配合量については特に限定されるものではないが、あまりにも配合量が多くなりすぎたり、逆に少なくなりすぎたりすると、ノニオン界面活性剤との併用による殺卵効果が低下することから、害虫用殺卵剤に対して0.001〜1重量%とすることが好ましく、その中でも0.001〜0.1重量%とすることが好ましい。
本発明の害虫用殺卵剤に用いられるノニオン界面活性剤は各種のノニオン界面活性剤を用いることができ、具体的には以下に記載したノニオン界面活性剤などを挙げることができる。
・ブラウノンEL−1502.2:ポリオキシエチレン(2.2)ラウリルエーテル
・ブラウノンEL−1505:ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル
・ブラウノンEL−1507:ポリオキシエチレン(7)ラウリルエーテル
・ブラウノンEL−1509:ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル
・ブラウノンEL−1512P:ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル
・ブラウノンEL−1515:ポリオキシエチレン(15)ラウリルエーテル
・ソルポールSM−100PD:ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルとポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルホルムアルデヒド重縮合物の混合物
・ノニオンE−202S:ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル(HLB値4.9)
・ソルポール4340:ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルとプロピレングリコールの混合物
・ノニオンS−207:ポリオキシエチレン(7)ステアリルエーテル(HLB値10.7)
・ノニオンS−220:ポリオキシエチレンステアリルエーテル(HLB値15.3)
・ノニオンO−4:モノオレイン酸ポリエチレングリコール(HLB値11.7)
・ノニオンLP−20R:モノラウリン酸ソルビタン
・ユニルーブ50MT−2200B:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル
・スタホームF:ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)
そしてその中でも、殺卵効果を効果的に発現させることができる点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系またはスチリルフェニルエーテル系のノニオン界面活性剤を用いることが好ましく、さらにその中でもポリオキシエチレンアルキルエーテル系についてはポリオキシエチレンラウリルエーテルを用いることが好ましく、スチリルフェニルエーテル系についてはポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルとポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルホルムアルデヒド重縮合物の混合物を用いることが好ましい。
本発明の害虫用殺卵剤においては、上記の必須構成要件の他に殺卵効果を向上させる目的で殺菌成分を添加することもできる。
そして、このような殺菌成分としては、殺卵効果を低下させることなく殺菌効果を発現させることができる観点(本発明の必須構成要件との相性の観点)から、イソチアゾリン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、イソプロピルメチルフェノール、クロルヘキシジングルコン酸ナトリウムを挙げることができる。
なお、これら殺菌成分の配合量についても特に限定されるものではないが、あまりにも配合量が多くなりすぎても更なる効力の増加は認められない。また、逆に少なくなりすぎても殺菌効果が認められなくなることから0.001〜1重量%とすることが好ましく、その中でも0.001〜0.1重量%とすることがより好ましい。
なお、本発明の害虫用殺卵剤は、上記した必須構成要件と必要に応じて添加される殺菌成分によって殺虫成分を用いることなく殺卵効果を発現することを特徴とするものであるが、殺虫成分の含有を否定するものではなく、殺卵効果に加えて殺虫効果を必要とする場合には各種の殺虫成分を配合することができる。
そして、このような殺虫成分としては、殺卵効果を低下させることなく殺虫効果を発現させることができる観点(本発明の必須構成要件との相性の観点)から、シラフルオフェン、ジノテフラン、シフルトリン、フィプロニルを用いることが好ましく、その中でも水系での安定性の点からシラフルオフェンを用いることが好ましい。
なお、これら殺虫成分の配合量についても特に限定されるものではないが、あまりにも配合量が多くなりすぎると必須構成要件による殺卵効果に影響を与えることになり、逆に少なくなりすぎると添加することによる効果が発現しなくなることから、0.001〜1重量%とすることが好ましく、その中でも0.001〜0.5重量%とすることが好ましい。
表1〜5に記載の配合にて実施例1〜33および比較例1〜26の害虫用殺卵剤(水溶液)を作製した。また、参考例として、殺虫成分であるシラフルオフェンのみを配合した害虫用殺卵剤(水溶液)も作製した。
次に、各実施例および各比較例の害虫用殺卵剤について殺卵効果(孵化阻害効果および孵化幼虫の駆除効果)の評価を行った。
具体的には、アカイエカの卵、アリの卵、ゴキブリの卵に対する孵化阻害率および致死率を評価することによって殺卵効果の評価を行った。
直径8cmで高さが4cmのプラスチック容器に各実施例および各比較例の害虫用殺卵剤を20ml入れた。そこに、アカイエカの卵塊を浮かべ、1日後に卵の様子を観察して孵化阻害効果を判定し、3回の試験の平均より、孵化阻害率を算出した。また、幼虫が孵化した場合は、孵化した幼虫を観察して致死率を算出した。
直径8cmで高さが4cmのプラスチック容器にろ紙を敷き、各実施例および各比較例の害虫用殺卵剤を2ml含浸させた。そこに、アミメアリの卵を置いて、7日後の卵の様子を観察して孵化阻害効果を判定した。また、幼虫が孵化した場合は、孵化した幼虫を観察して致死率を算出した。
直径10cmで高さが4cmのプラスチック容器にろ紙を敷き、そこに各実施例および各比較例の害虫用殺卵剤を4ml含浸させた。そこに卵鞘を付けた雌のチャバネゴキブリを放し、15日後の卵の様子を観察して孵化阻害効果を判定した。また、幼虫が孵化した場合は、孵化した幼虫を観察して致死率を算出した。
表1〜5の結果から、実施例の害虫用殺卵剤は比較例の害虫用殺卵剤に比べて、匍匐害虫や飛翔害虫の卵に対して、孵化阻害効果および致死効果を示したことから、高い殺卵効果を示すことがわかった。
実施例1、4、12、13の害虫用殺卵剤については、孵化阻害率は100%にはならなかったものの、致死率については100%を示していることから、仮に孵化した場合であってもその後の幼虫の駆除(幼虫の成長防止)を確実に行うことができることがわかった。
なお、比較例21〜26の害虫用殺卵剤については、一定の孵化阻害率を示したが、致死率は0%であることから、孵化してしまった場合には駆除することができない(幼虫の成長を止めることができない)ものであることがわかった。
Claims (7)
- 安息香酸デナトニウムまたは八アセチル化ショ糖と、ノニオン界面活性剤を含有し、前記ノニオン界面活性剤は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルとポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルホルムアルデヒド重縮合物の混合物、モノオレイ ン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドから選択される一種以上であることを特徴とする害虫用殺卵剤(但し、安息香酸デナトニウムとアクリル酸系吸水性ポリマーとを含む場合を除く)。
- 前記害虫が匍匐害虫または飛翔害虫である請求項1に記載の害虫用殺卵剤。
- 前記安息香酸デナトニウムまたは前記八アセチル化ショ糖の配合量が0.001〜1重量%であり、
前記ノニオン界面活性剤の配合量が0.001〜10重量%であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の害虫用殺卵剤。
- さらに、
イソチアゾリン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、イソプロピルメチルフェノール、クロルヘキシジングルコン酸ナトリウムから選択される1種以上の殺菌成分を含有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の害虫用殺卵剤。
- 前記殺菌成分の配合量が0.001〜1重量%であることを特徴とする請求項4に記載の害虫用殺卵剤。
- さらに、
シラフルオフェン、ジノテフラン、シフルトリン、フィプロニルから選択される1種以上の殺虫成分を含有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の害虫用殺卵剤。
- 害虫用殺卵剤の効果が孵化阻害効果および孵化幼虫の駆除効果である請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の害虫用殺卵剤。
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