本発明の一実施の形態に係る過給機用配管の取付構造は、エンジン本体と、エンジン本体の前面に取付けられたケース部材と、エンジン本体の車両の幅方向側面に取付けられた過給機とを備え、車両の前部に設置される内燃機関と、内燃機関の前方に設置され、過給機で圧縮された空気を冷却するインタクーラとを備えた車両に設けられ、過給機とインタクーラとを連絡する過給機用配管の取付構造であって、過給機用配管が、上流端が過給機に接続される第1の過給機用配管と、第1の過給機用配管の下流端に接続され、第1の過給機用配管からインタクーラに向かって延びる第2の過給機用配管とを含んで構成されており、第1の過給機用配管がケース部材に支持されている。
これにより、過給機用配管の振動を抑制して、過給機の耐久性が悪化することを防止できる。
以下、本発明の一実施例に係る過給機用配管の取付構造について、図面を用いて説明する。
図1から図7は、本発明の一実施例に係る過給機用配管の取付構造を示す図である。図1から図7において、上下前後左右方向は、車両の進行する方向を前、後退する方向を後とした場合に、車両の幅方向が左右方向、車両の高さ方向が上下方向である。
まず、構成を説明する。
図1において、車両1は、フレーム部2と、ボディ部3とを備えており、フレーム部2と、ボディ部3とは車体4を構成する。
フレーム部2は、一対のサイドメンバ5、6、クロスメンバ7を備えている。一対のサイドメンバ5、6は、車両1の幅方向(以下、単に車幅方向という)に離隔しており、前後方向に延びている。クロスメンバ7は、車幅方向に延びており、サイドメンバ5、6の前端部を連結している。
ボディ部3は、サイドフェンダ9、10、フロントホイールハウス11、12、後壁13およびフードロックメンバ14を備えている。
サイドフェンダ9、10は、サイドメンバ5、6に対して車幅方向外方に設けられており、車両1の上下方向に延び、かつ、前後方向に延びている。
フロントホイールハウス11、12は、サイドフェンダ9、10の車幅方向内方からサイドメンバ5、6に向かって延びており、延びる方向の先端部がサイドメンバ5、6に固定されている。
フロントホイールハウス11、12の下方には図示しない前輪が設けられており、フロントホイールハウス11、12は、前輪の上方において前輪が回転するための空間を確保している。フードロックメンバ14は、車幅方向に延び、サイドフェンダ9、10を連結している。
車両1の前部にはサイドフェンダ9、10、フロントホイールハウス11、12、後壁13およびフードロックメンバ14に囲まれたエンジンルーム21が形成されており、エンジンルーム21には内燃機関としてのエンジン22が設置されている。
図2において、エンジン22は、シリンダブロック23、シリンダヘッド24、シリンダヘッドカバー25およびオイルパン26を備えている。本実施例のシリンダブロック23、シリンダヘッド24、シリンダヘッドカバー25およびオイルパン26は、エンジン本体22Aを構成する。
シリンダブロック23には図示しない複数の気筒が設けられている。気筒には図示しないピストンが収納されており、ピストンは、気筒に対して上下方向に往復運動する。ピストンは、図示しないコネクティングロッドを介してクランクシャフト23S(図3参照)に連結されており、ピストンの往復運動は、コネクティングロッドを介してクランクシャフト23Sの回転運動に変換される。
シリンダヘッド24には複数の吸気ポート24A(図4参照)、吸気ポート24Aを開閉する図示しない複数の吸気バルブ、複数の排気ポートおよび排気ポートを開閉する複数の排気バルブ等が設けられている。
シリンダヘッド24の右側面には吸気マニホールド27が設けられており(図3参照)、シリンダヘッド24の左側面には排気マニホールド28(図2参照)が設けられている。
吸気マニホールド27は、吸入空気を、吸気ポートを通して気筒に導入する。排気マニホールド28は、シリンダヘッド24と一体に形成されており、排気マニホールド28には気筒内で燃焼された排気ガスが排気ポートを通して排出される。
シリンダヘッド24とシリンダヘッドカバー25との間には動弁室61(図4参照)が形成されており、エンジン本体22Aの上部に位置する動弁室61には吸気カム62Aを有する吸気カムシャフト62と、排気カム63Aを有する排気カムシャフト63とが回転自在に設置されている。
吸気カム62Aおよび排気カム63Aは、吸気カムシャフト62および排気カムシャフト63の回転に伴ってそれぞれ吸気バルブおよび排気バルブを駆動することにより、吸気ポートおよび排気ポートをそれぞれ開閉する。
図3において、シリンダヘッドカバー25の上部にはエアクリーナ29が設けられている。エアクリーナ29の上流側には吸気ダクト30が接続されており、吸気ダクト30は、エアクリーナインレットパイプ31を介してエアクリーナ29に接続されている。
吸気ダクト30は、エンジンルーム21に取り入れられた空気Wを取り込んだ後、エアクリーナインレットパイプ31を介してエアクリーナ29に導入する。エアクリーナ29は、エアクリーナインレットパイプ31から導入される空気Wを浄化する。図3において、空気の流れを空気Wで示す。
エアクリーナ29の下流側にはエアクリーナアウトレットホース37が接続されている。ここで、上流、下流とは、空気の流れる方向に対して上流、下流をいう。
図3おいて、エアクリーナアウトレットホース37の下流端は、ターボインレットパイプ38の上流端に接続されている。ターボインレットパイプ38は、過給機32に接続されている。
図2において、過給機32は、シリンダブロック23の車幅方向の左側面に取付けられており、コンプレッサハウジング32Aおよびタービンハウジング32Bを有する。
コンプレッサハウジング32Aには図示しないコンプレッサホイールが回転自在に設けられており、コンプレッサハウジング32Aにはターボインレットパイプ38の下流端が接続されている。
タービンハウジング32Bには排気管41の下流端が接続されている。タービンハウジング32Bには図示しないタービンホイールが回転自在に設けられており、タービンホイールは、コンプレッサホイールと一体で回転する。
排気管41の上流端は、シリンダヘッド24に接続されており、排気管41には排気マニホールド28を通して排気ガスが排出され、排気管41に排出される排気ガスは、タービンハウジング32Bに導入される。
過給機32は、排気圧によってターボンホイールが回転され、タービンホイールの回転に伴ってコンプレッサホイールが回転することにより、コンプレッサハウジング32Aに供給される空気を加圧する。
コンプレッサハウジング32Aにはターボアウトレットパイプ39の上流端が接続されている。ターボアウトレットパイプ39の下流端にはインタクーラインレット配管33の上流端が接続されており、コンプレッサハウジング32Aで加圧される空気は、コンプレッサハウジング32Aからターボアウトレットパイプ39を介してインタクーラインレット配管33に供給される。
インタクーラインレット配管33の下流端にはインタクーラ34が接続されている。インタクーラ34は、インタクーラインレット配管33から導入される空気W、すなわち、過給機32によって圧縮された空気Wを冷却することにより、空気Wの密度を高める。
図1において、インタクーラ34は、エンジン22の前方に設置されており、インタクーラブラケット45によってラジエータサポート43に支持されている。ラジエータサポート43は、車体に固定されており、インタクーラ34は、ラジエータサポート43を介して車体に支持されている。
図3において、インタクーラ34にはインタクーラアウトレット配管35の上流端が接続されており、インタクーラアウトレット配管35の下流端は、スロットルボディ36を介して吸気マニホールド27に接続されている。
スロットルボディ36には図示しないスロットルバルブが収容されており、スロットルバルブは、インタクーラアウトレット配管35から吸気マニホールド27に吸入される空気量を調整する。
これにより、過給機32によって加圧され、インタクーラ34で冷却された密度の高い空気Wを、吸気マニホールド27を通して気筒に導入することができ、エンジン22の燃費と出力の向上を図ることができる。
図1に示すように、エンジンルーム21にはエンジン22の前方にラジエータ42が設置されている。ラジエータ42は、図示しない冷却水配管を介してエンジン22に接続されており、エンジン22とラジエータ42との間を循環する冷却水と外気とを熱交換する。
これにより、ラジエータ42から流出される低温の冷却水がエンジン22に供給され、エンジン22が低温の冷却水によって冷却される。エンジン22と熱交換された高温の冷却水は、冷却水配管からラジエータ42に流入し、ラジエータ42によって冷却される。
図1において、エンジン22は、マウント装置51によってサイドメンバ5に弾性的に連結されており、マウント装置55によってサイドメンバ6に弾性的に支持されている。
図4において、吸気カムシャフト62の前端部には吸気カムスプロケット62Bが設けられており、排気カムシャフト63の前端部には排気カムスプロケット63Bが設けられている。クランクシャフト23Sには図示しないクランクスプロットが設けられており、吸気カムスプロケット62B、排気カムスプロケット63Bおよびクランクスプロットは、タイミングチェーン(図3に仮想線で示す)66によって連結されている。
タイミングチェーン66は、クランクシャフト23Sの回転を、クランクスプロケットを介して吸気カムスプロケット62Bと排気カムスプロケット63Bとに伝達する。これにより、吸気カム62Aおよび排気カム63Aがクランクシャフト23Sと同期して回転する。
図3において、エンジン本体22Aの前面にはチェーンケース65が設けられており、タイミングチェーン66は、エンジン本体22Aの前面においてチェーンケース65によって覆われている。
図4において、吸気カムシャフト62の先端部には可変動弁機構の油圧アクチュエータ60が設けられている。油圧アクチュエータ60は、オイルが導入される図示しない進角室と遅角室とを備えている。
油圧アクチュエータ60は、進角室にオイルが導入されると、吸気カムシャフト62の回転位相を進角側に制御し、遅角室にオイルが導入されると、吸気カムシャフト62の回転位相を遅角側に制御する。
なお、吸気カムシャフト62に代えて排気カムシャフト63の先端部に油圧アクチュエータ60を設けてもよく、吸気カムシャフト62および排気カムシャフト63の先端部に油圧アクチュエータ60を設けてもよい。
図3において、ターボアウトレットパイプ39は、上流端が過給機32に接続されており、本実施例の第1の過給機用配管を構成する。インタクーラインレット配管33は、ターボアウトレットパイプ39の下流端に接続されてターボアウトレットパイプ39からインタクーラ34に向かって延びており、本発明の第2の過給機用配管を構成する。さらに、ターボアウトレットパイプ39およびインタクーラインレット配管33は、本発明の過給機用配管を構成する。
ターボアウトレットパイプ39にはブラケット67が設けられており(図6参照)、ターボアウトレットパイプ39は、ブラケット67によってチェーンケース65に支持されている。本実施例のチェーンケース65は、本発明のケース部材を構成する。
図3において、チェーンケース65にはウォータポンププーリ68が設けられており、ウォータポンププーリ68は、図示しないタイミングベルトを介してクランクシャフト23Sの図示しないクランクプーリに連結されている。
クランクプーリは、ウォータポンププーリ68と同様にチェーンケースの前面に設けられており(図3では図示省略)、タイミングベルトを介してクランクシャフトの動力をウォータポンププーリ68に伝達する。
ウォータポンププーリ68には図示しないウォータポンプの回転軸69が設けられており、ウォータポンプは、エンジン本体22Aの内部に冷却水を循環させるとともに、エンジン本体22Aとラジエータ42との間で冷却水を循環させる。
図5に示すように、チェーンケース65を車両の前方から見た場合に、チェーンケース65の過給機32側の車幅左端部の外周縁には複数の締結部70Aから70Eが設けられている。チェーンケース65の過給機32と反対側の車幅右端部の外周縁には複数の締結部70Fが設けられている。
締結部70Aから70Fは、ボス部とボス部に挿入されるボルトとを含んで構成されており、締結部70Aから70Fは、エンジン本体22Aの前面に締結されている。これにより、チェーンケース65がエンジン本体22Aの前面に固定される。
チェーンケース65の過給機32側の車幅左端部の外周縁にはボス部70G、70Hが形成されている。ボス部70Hは、ボス部70Gに対してチェーンケース65の車幅方向外方に成形されており、ボス部70Hにはボルト71Aによってブラケット67の一端部が締結されている(図6参照)。
ボス部70H、70Gは、上下方向において締結部70Aと締結部70B、70Cとの間に設けられている。これにより、ターボアウトレットパイプ39は、ブラケット67を介してチェーンケース65に支持される。
本実施例のボス部70Hは、本発明の配管取付部を構成する。ボス部70Gには必要に応じて図示しないボルトによってブラケット67が締結されるか、他の車載部品が締結される。ボス部70Gの用途は、限定されるものではない。
締結部70Aと締結部70B、70Cとは、上下方向に並んで形成されており、締結部70Aは、ターボアウトレットパイプ39と同じ高さの位置に形成されている。換言すれば、ターボアウトレットパイプ39は、締結部70Aと同じ高さ位置に設置されている。なお、締結部70B、70Cをターボアウトレットパイプ39と同じ高さの位置に形成してもよい。
図4において、チェーンケース65は、エンジン本体22Aの上部であるシリンダヘッド24から前方に向かって膨出する吸気側膨出部65Aおよび排気側膨出部65Bを有し、吸気側膨出部65Aは、油圧アクチュエータ60を収容している。
吸気側膨出部65Aは、吸気カムシャフト62と前後方向に対向している。排気側膨出部65Bは、吸気側膨出部65Aに車幅方向で連結されており、排気カムシャフト63と前後方向に対向している。
図5において、ボス部70H、70Gの上方は、排気側膨出部65Bで覆われており、図4に示すように、ボス部70H、70Gは、排気側膨出部65Bにより遮られて上方から目視不能である。本実施例の吸気側膨出部65Aおよび排気側膨出部65Bは、本発明の膨出部を構成する。
チェーンケース65にはシリンダ部72が形成されており、シリンダ部72には油圧アクチュエータ60にオイルを供給する油圧制御弁73が挿入されている。
油圧制御弁73は、シリンダ部72に挿入される図示しないプランジャと、シリンダ部72から外方に突出し、プランジャを駆動する電磁ソレノイド等の制御部73Aとを備えている。
シリンダ部72には後述するオイルポンプ74からオイルが導入される。シリンダ部72は、チェーンケース65に形成された図示しないオイル通路を通して油圧アクチュエータ60の進角室と遅角室とにそれぞれ連通している。
プランジャは、制御部73Aによって駆動されることにより、オイルポンプ74からシリンダ部72に供給されるオイルを進角室および遅角室のいずれか一方に供給するようにオイルの流れる方向を切換える。本実施例のシリンダ部72は、本発明の油圧制御弁取付部を構成する。
シリンダ部72は、吸気側膨出部65Aおよび排気側膨出部65Bを跨がるようにして吸気側膨出部65Aおよび排気側膨出部65Bの下部に連結されており、高さ方向においてボス部70G、70Hと同じ高さ位置に形成されている。
チェーンケース65は、オイルポンプ74と、第1のオイル通路75Aと、第2のオイル通路75Bとを有する。
オイルポンプ74は、チェーンケース65の裏面に設けられており、クランクシャフト23Sと一体回転する図示しないインナロータと、インナロータの外周部に設置され、チェーンケース65の裏面に回転自在に設置された図示しないアウタロータとを有する。
オイルポンプ74は、インナロータがクランクシャフト23Sと一体で回転すると、インナロータとアウタロータとによって形成されるポンプ室の容積を可変させることで、オイルパン26に貯留されるオイルを吸い上げて第1のオイル通路75Aに吐出する。
第1のオイル通路75Aは、オイルポンプ74から右斜め上方に延びており、上端部が第2のオイル通路75Bに連通している。第2のオイル通路75Bは、第1のオイル通路75Aの上端から吸気側膨出部65Aの下側を横切って排気側膨出部65Bに向かって延びており、第2のオイル通路75Bには第1のオイル通路75Aからオイルが供給される。
第2のオイル通路75Bは、シリンダ部72に連通しており、シリンダ部72にオイルを供給する。
第2のオイル通路75Bは、シリンダ部72の下方に設けられており、第2のオイル通路75Bの延びる方向の先端部は、締結部70A、70Bまで延びている。
チェーンケース65の幅方向中央部には締結部70I、70Jが形成されている。締結部70I、70Jは、ボス部とボス部に挿入されるボルトとを含んで構成されており、エンジン本体22Aとチェーンケース65と締結している。
締結部70I、70Jは、上下方向において第2のオイル通路75Bとシリンダ部72とに重なるようにして設けられており、第2のオイル通路75Bとシリンダ部72とを連結している。本実施例の締結部70I、70Jは、本発明の中央側締結部を構成する。
チェーンケース65は、ウォータポンプが取付けられるウォータポンプ取付部76を有する。ウォータポンプ取付部76は、第1のオイル通路75Aに対してボス部70G、70H側で、かつ第2のオイル通路75Bの下方に位置しており、第1のオイル通路75A、第2のオイル通路75Bおよびボス部70G、70Hによって囲まれている。
締結部70Dは、ウォータポンプ取付部76と上下方向に重なるようにウォータポンプ取付部76の下方に設けられている。ウォータポンプ取付部76の上側外縁部76aは、締結部70Cに連結されており、ウォータポンプ取付部76の下側外縁部76bは、締結部70Dに連結されている。
本実施例の締結部70Aは、本発明の第1の締結部を構成し、締結部70B、70Cは、本発明の第2の締結部を構成する。締結部70Dは、本発明の第3の締結部を構成し、これら締結部70A、70B、70C、70Dは、本発明の締結部を構成する。
図4に示すように、車両1の平面視において、インタクーラ34は、車幅方向でエンジン本体22Aのクランクシャフト23Sの軸線(以下、クランク軸線23Lという)に対して過給機32と反対側に設けられており、エンジン本体22Aは、車幅方向においてインタクーラ34と過給機32との間に位置している。
図7において、ターボアウトレットパイプ39は、過給機32に接続される空気導入部39Aと、空気導入部39Aから前方に延びる水平部39Bと、水平部39Bからチェーンケース65の前側に屈曲し、インタクーラインレット配管33に接続される屈曲部39Cとを有する。
水平部39Bの下方には支持部39bが形成されており(図6参照)、支持部39bは、空気導入部39Aよりも屈曲部39Cに偏倚した位置に設けられている。支持部39bにはブラケット67が取付けられており、ブラケット67は、支持部39bとボス部70Hとを連結することにより、ターボアウトレットパイプ39がチェーンケース65に支持されている。
次に、作用を説明する。
本実施例の車両1は、エンジン本体22Aと、エンジン本体22Aの前面に取付けられたチェーンケース65と、エンジン本体22Aの車幅方向左側面に取付けられた過給機32とを備え、車両1の前部のエンジンルーム21に設置されるエンジン22を有する。
車両1は、エンジン22の前方に設置され、過給機32で圧縮された空気を冷却するインタクーラ34を備えており、過給機32とインタクーラ34とがターボアウトレットパイプ39およびインタクーラインレット配管33によって連絡されている。
これにより、ターボアウトレットパイプ39が過給機32からインタクーラ34に向かって前方にオーバーハングした状態に延びる。このため、ターボアウトレットパイプ39は、ターボアウトレットパイプ39およびインタクーラインレット配管33の内部を流れる空気の脈動やエンジン本体22Aから伝達される振動によって大きく振動する。
本実施例の過給機用配管の取付構造によれば、上流端が過給機32に接続されるターボアウトレットパイプ39と、ターボアウトレットパイプ39の下流端に接続され、ターボアウトレットパイプ39からインタクーラ34に向かって延びるインタクーラインレット配管33とを含んで構成されており、ターボアウトレットパイプ39がチェーンケース65に支持されている。
これにより、ターボアウトレットパイプ39を振動源であるエンジン本体22Aに近づけてチェーンケース65に支持することができる。このため、ターボアウトレットパイプ39がエンジン22Aの振動やターボアウトレットパイプ39およびインタクーラインレット配管33を流れる空気の脈動によって振動することを抑制できる。
さらに、ターボアウトレットパイプ39をチェーンケース65に支持することにより、ターボアウトレット配管33と過給機32とをエンジン本体22Aの振動や揺れに合わせることができる。
この結果、ターボアウトレットパイプ39の振動の抑制と相俟って、ターボアウトレットパイプ39の上流端と過給機32との接続部に局所的に応力が集中することを防止でき、過給機32の耐久性を容易に向上できる。
また、本実施例の過給機用配管の取付構造によれば、チェーンケース65を車両1の前方から見た場合に、チェーンケース65の過給機32側の車幅方向左端部に、エンジン本体22Aとチェーンケース65とを締結する締結部70Aから70Eと、ターボアウトレットパイプ39が取付けられるボス部70Hとが設けられている。
これにより、チェーンケース65の外周縁(車幅方向左端部)の剛性を締結部70Aから70Eによって高くでき、この剛性の高いチェーンケース65の外周縁にボス部70Hを設けることでボス部70Hの剛性も高くできる。
そして、ボス部70Hにブラケット67を介してターボアウトレットパイプ39を支持することにより、ターボアウトレットパイプ39の支持剛性をより効果的に高くでき、ターボアウトレットパイプ39の振動をより効果的に抑制できる。
また、ターボアウトレットパイプ39が剛性の高いボス部70Hに支持され、かつ、ボス部70Hに隣接して剛性の高いボス部70Gが形成されているので、ターボアウトレットパイプ39が支持される部位の剛性をより一層高くできる。このため、ターボアウトレットパイプ39の支持剛性をより効果的に高くできる。
ここで、仮に、ボス部70Hを車体やその他の補機類に設けた場合には、エンジン本体22Aから伝わる振動と車体から伝わる振動あるいは補機類を通した振動とがターボアウトレットパイプ39に伝わることになる。
このとき、エンジン本体22Aからターボアウトレットパイプ39に伝わる振動と車体からターボアウトレットパイプ39に伝わる振動は、異なる性質の振動であるので、ターボアウトレットパイプ39の振動を容易に抑制することができない。
また、過給機32が取付けられるエンジン本体22Aの左側面にボス部70Hを設けた場合には、ボス部70Hと過給機32との距離が短くなるので、ボス部70Hから前方に延びるターボアウトレットパイプ39の部分の振動を容易に低減できない。
逆に、過給機32側と反対側のチェーンケース65の車幅方向右端部にボス部70Hを設けた場合には、ボス部70Hが過給機32から離れてしまう上に、ターボアウトレットパイプ39を過給機32からボス部70H側に大きく曲げる必要がある。
これにより、ターボアウトレットパイプ39が長くなり、ボス部70Hと過給機32の間においてターボアウトレットパイプ39の振動を容易に低減できない。
これに対して、本実施例の過給機用配管の取付構造は、ボス部70Hを過給機32が設けられるエンジン本体22Aの車幅方向左側面よりも前方において、エンジン本体22Aの前面に設けられたチェーンケース65に設けている。
これにより、過給機32からボス部70Hまでの距離をターボアウトレットパイプ39の振動を容易に抑制できる最適な距離にできる。したがって、ターボアウトレットパイプ39の振動を容易に抑制できる。
また、本実施例の過給機用配管の取付構造によれば、締結部70Aと締結部70B、70Cとが上下方向に並んで形成されており、ボス部70Hが、上下方向において締結部70Aと締結部70B、70Cとの間に設けられている。これに加えて、締結部70Aがターボアウトレットパイプ39と同じ高さの位置に形成されている。
これにより、ターボアウトレットパイプ39と過給機32との高低差を小さくすることができ、かつ、ターボアウトレットパイプ39を剛性の高いチェーンケース65の部位に支持できる。このため、チェーンケース65の前方においてターボアウトレットパイプ39を上下方向に曲げて設置することなく、水平方向に設置することが可能となる。
この結果、ターボアウトレットパイプ39が長くなることを抑制しつつ、ターボアウトレットパイプ39の支持剛性を高くでき、ターボアウトレットパイプ39の振動を容易に抑制できる。
また、本実施例の過給機用配管の取付構造によれば、エンジン本体22Aの上部に、吸気カムシャフト62および排気カムシャフト63と、吸気カムシャフト62の前端部に取付けられた油圧アクチュエータ60とが設けられている。
チェーンケース65は、エンジン本体22Aの上部から前方に向かって膨出し、油圧アクチュエータ60を収容する吸気側膨出部65Aおよび排気側膨出部65Bを有する。
吸気側膨出部65Aは、吸気カムシャフト62と前後方向に対向しており、排気側膨出部65Bは、吸気側膨出部65Aに車幅方向で連結され、排気カムシャフト63と前後方向に対向している。これに加えて、ボス部70Hの上方が排気側膨出部65Bで覆われている。
これにより、剛性の高い排気側膨出部65Bに近づけてボス部70Hをチェーンケース65に形成できるので、ボス部70Hの剛性を排気側膨出部65Bによってさらに高くできる。
このため、ボス部70Hの上方が振動することや変形することを抑制でき、ターボアウトレットパイプ39の支持剛性をより効果的に高くできる。この結果、ターボアウトレットパイプ39の振動をより効果的に抑制できる。
また、本実施例の過給機用配管の取付構造によれば、チェーンケース65に、油圧アクチュエータ60にオイルを供給する油圧制御弁73が挿入されるシリンダ部72が形成されている。
シリンダ部72は、吸気側膨出部65Aおよび排気側膨出部65Bを跨がるようにして吸気側膨出部65Aおよび排気側膨出部65Bの下部に連結されており、高さ方向においてボス部70Hと同じ高さ位置に形成されている。
これにより、シリンダ部72を吸気側膨出部65Aおよび排気側膨出部65Bに近づけて形成することができ、シリンダ部72、吸気側膨出部65Aおよび排気側膨出部65Bによってチェーンケース65の剛性をより高くできる。
さらに、ボス部70Hを剛性の高いシリンダ部72、吸気側膨出部65Aおよび排気側膨出部65Bに近づけて形成できるので、ボス部70Hとその周辺のチェーンケース65の剛性を高くできる。
このため、ボス部70Hの上方および側方が振動することや変形することを抑制でき、ターボアウトレットパイプ39の支持剛性をより効果的に高くできる。このため、ターボアウトレットパイプ39の振動をより効果的に抑制できる。
また、本実施例の過給機用配管の取付構造によれば、チェーンケース65は、オイルポンプ74と、オイルポンプ74から供給されるオイルが流れる第1のオイル通路75Aおよび第2のオイル通路75Bとを有する。
第1のオイル通路75Aは、オイルポンプ74から上方に延びており、第2のオイル通路75Bは、第1のオイル通路75Aの上端から吸気側膨出部65Aの下側を横切って排気側膨出部65Bに向かって延びている。
さらに、第2のオイル通路75Bは、シリンダ部72の下方に設けられており、第2のオイル通路75Bの延びる方向の先端部は、締結部70B、70Cまで延びている。
これにより、第2のオイル通路75Bを剛性の高いシリンダ部72と締結部70B、70Cとに近づけて形成することができる。このため、ボス部70Hの周辺のチェーンケース65の剛性を高くできる。
したがって、ボス部70Hの周辺が振動することや変形することを抑制でき、ターボアウトレットパイプ39の支持剛性をより効果的に高くできる。この結果、ターボアウトレットパイプ39の振動をより効果的に抑制できる。
また、本実施例の過給機用配管の取付構造によれば、チェーンケース65の幅方向中央部に、エンジン本体22Aとチェーンケース65と締結する締結部70I、70Jが設けられており、締結部70I、70Jによって第2のオイル通路75Bとシリンダ部72とが連結されている。
これにより、第2のオイル通路75Bとシリンダ部72の間の剛性を締結部70I、70Jによってさらに高くでき、ボス部70Hの周辺の剛性を高くできる。
このため、ボス部70Hの周辺が振動することや変形することを抑制でき、ターボアウトレットパイプ39の支持剛性をより効果的に高くできる。したがって、ターボアウトレットパイプ39の振動をより効果的に抑制できる。
また、本実施例の過給機用配管の取付構造によれば、チェーンケース65は、エンジン本体22Aの内部に冷却水を循環させるウォータポンプが取付けられるウォータポンプ取付部76を有する。
ウォータポンプ取付部76は、第1のオイル通路75Aに対してボス部70H側で、かつ第2のオイル通路75Bの下方に位置しており、締結部70Dは、ウォータポンプ取付部76の下側に形成されている。
さらに、ウォータポンプ取付部76の上側外縁部76aは、締結部70Cに連結されており、ウォータポンプ取付部76の下側外縁部76bは、締結部70Dに連結されている。
これにより、剛性の高いウォータポンプ取付部76に締結部70Cと第2のオイル通路75Bとを近づけて形成することができるので、締結部70Cと第2のオイル通路75Bとの剛性をより一層高くできる。
このため、ボス部70Hの周辺が振動することや変形することを抑制でき、ターボアウトレットパイプ39の支持剛性をより効果的に高くできる。この結果、ターボアウトレットパイプ39の振動をより効果的に抑制できる。
また、本実施例の過給機用配管の取付構造によれば、ターボアウトレットパイプ39は、ブラケット67を介してボス部70Hに取付けられている。
車両1の平面視において、インタクーラ34は、車幅方向でエンジン本体22Aのクランク軸線23Lに対して過給機32と反対側に設けられている。
ターボアウトレットパイプ39は、過給機32に接続される空気導入部39Aと、空気導入部39Aから前方に延びる水平部39Bと、水平部39Bからチェーンケース65の前側に屈曲し、インタクーラインレット配管33に接続される屈曲部39Cと、ブラケット67によって支持される支持部39bとを有する。
これに加えて、支持部39bは、水平部39Bのうち空気導入部39Aよりも屈曲部39C側に偏倚した位置に設けられている。
これにより、支持部39bを屈曲部39C側に偏倚した位置に設けることで、すなわち、チェーンケース65の近傍で屈曲される屈曲部39Cに支持部39bを設けることで、ブラケット67の寸法を短くできる。
このため、寸法の長いブラケットでターボアウトレットパイプ39をチェーンケース65に支持する場合に比べて、ブラケット67の振動を低減できる。この結果、ターボアウトレットパイプ39の振動の抑制をより効果的に行うことができる。
これに加えて、ターボアウトレットパイプ39を流れる空気の圧力損失を低減できる。
具体的には、屈曲部39Cがチェーンケース65よりも前方に離れた位置で屈曲している場合、インタクーラ34とターボアウトレットパイプ39の前後方向の長さを確保できないので、ターボアウトレットパイプ39をインタクーラ34に向けて急激に曲げる必要がある。
とかろが、ターボアウトレットパイプ39を急激に曲げてレイアウトすると、ターボアウトレットパイプ39の内部の圧力損失が高まってしまう。
本実施例の過給機用配管の取付構造によれば、ターボアウトレットパイプ39の屈曲部39Cをチェーンケース65の近傍で屈曲させることができる。
このため、インタクーラ34とターボアウトレットパイプ39との前後方向の距離を十分に取ることができ、ターボアウトレットパイプ39の内部の圧力損失が高くなることを防止して、ターボアウトレットパイプ39の内部において空気を円滑に流すことができる。
なお、支持部39bは、屈曲部39Cに設けられてもよく、このように支持部39bを屈曲部39bに設けても、支持部39bをチェーンケース65に近づけて設置することができる。
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。