(本開示の基礎となった知見)
近年、ロボットの人間に対するコミュニケーション力が日々向上しており、テレビ会議技術及び遠隔操作技術等を自律移動型ロボットに組み込んだテレプレゼンスロボットが開発されている。テレプレゼンスロボットは、通信元のユーザの分身として、遠隔地で種々の場所を歩きまわったり、通信先のユーザとの通話等を行ったりすることにより、今までにない存在感を通信先のユーザに与えながら、良好なコミュニケーションを実現することができ、在宅勤務、各種イベント、オフィス、教育現場等において普及し始めている。
ここで、上記の特許文献1記載のコミュニケーションシステムでは、遠隔地に複数のコミュニケーションロボットがあることを想定し、ある人物にアクセスするにはどのロボットに接続するかという固定的な宛先情報を管理している。そのため、通信元のユーザは、通信先となるユーザの居場所を意識しなくてよい。
しかしながら、特許文献1記載のコミュニケーションシステムでは、宛先情報を固定的に管理しているため、宛先情報により特定されるコミュニケーションロボットが通信先となるユーザに適したコミュニケーションロボットとならない場合が発生する。すなわち、現実世界では、ユーザもロボットも動き回るため、通信先となるユーザに対して固定的に割り当てられたロボットが、通信先となるユーザと遠く離れてしまう場合があり、固定的に割り当てられたロボットが、永続的に、通信先となるユーザにアクセスする最適なロボットであり続けるとは限らない。
したがって、多数のテレプレゼンスロボットと、多数の人物(ユーザ)とが共存するオフィス環境を想定すると、当環境にいる人物に、遠隔地にいる人物がアクセスしたい場合、多数のユーザが動き回ったり、多数のテレプレゼンスロボットが動き回ったりするため、多数のテレプレゼンスロボットの中からどのテレプレゼンスロボットに接続すれば、最も効率的であるかが問題となる。
ここで、通信元となる人物が通信先となる人物にアクセスする際に、接続すべきテレプレゼンスロボットを適切に選ぶためには、上記の宛先情報を動的に更新し続ける必要がある。
例えば、複数のテレプレゼンスロボット(通信先通信装置)と、通信元通信装置と、近傍情報の管理及び対話接続を行う通信制御装置とから対話システム(通信システム)を構築し、通信制御装置には、どのテレプレゼンスロボットが通信先となる人物に最も近傍であるかという近傍情報を把握させる。このとき、複数のテレプレゼンスロボットのうち、映像装置(例えば、カメラ)で通信先となる人物を最後に認識したテレプレゼンスロボットを、当該人物に最もアクセスしやすいテレプレゼンスロボットとして近傍情報のデータベースに登録する。
このように、通信先となる人物を最後に認識したテレプレゼンスロボットを、通信先となる人物に最もアクセスしやすいテレプレゼンスロボットとして、近傍情報を逐次更新し、この近傍情報により通信先通信装置となるテレプレゼンスロボットを決定することにより、通信先となる人物に最も近いテレプレゼンスロボットを通信先通信装置として決定することができる。
上記の知見に基づき、本願発明者らは、通信先の複数のユーザ等が移動する環境下において、複数の通信先通信装置の中から通信先となるユーザが使用する通信先通信装置を如何に決定すべきかについて鋭意検討を行った結果、本開示を完成したものである。
本開示の一態様に係る通信制御方法は、通信元のユーザが使用する通信元通信装置と、通信先のユーザが前記通信元のユーザと通信するために使用可能な複数の通信先通信装置と、前記通信元通信装置及び前記複数の通信先通信装置の通信を制御する通信制御装置とを備える通信システムの通信制御方法であって、前記複数の通信先通信装置の各々は、当該通信先通信装置の近傍に位置するユーザを判定するためのユーザ判定データと、当該通信先通信装置を識別する通信装置識別情報とを前記通信制御装置に送信し、前記通信制御装置は、近傍情報記憶部を備え、前記通信制御装置は、前記複数の通信先通信装置の各々から前記ユーザ判定データ及び前記通信装置識別情報を受信し、前記ユーザ判定データを基に前記通信先通信装置の近傍に位置するユーザを判定し、判定したユーザを識別するユーザ識別情報を生成し、前記ユーザ判定データ及び前記通信装置識別情報を基に、前記ユーザ識別情報と、当該ユーザ識別情報により識別されるユーザに最も近い通信先通信装置を識別する通信装置識別情報とを対応付けた近傍情報を作成して前記近傍情報記憶部に記憶し、前記通信元通信装置は、前記通信先のユーザの前記ユーザ識別情報を含む通信要求コマンドを前記通信制御装置に送信し、前記通信制御装置は、前記通信要求コマンドを受信したとき、前記近傍情報記憶部の前記近傍情報を参照して、前記通信先のユーザの前記ユーザ識別情報に対応付けられている前記通信装置識別情報により識別される前記通信先通信装置と前記通信元通信装置とを通信可能に接続する。
このような構成により、複数の通信先通信装置の各々は、当該通信先通信装置の近傍に位置するユーザを判定するためのユーザ判定データと、当該通信先通信装置を識別する通信装置識別情報とを通信制御装置に送信し、通信制御装置は、複数の通信先通信装置の各々からユーザ判定データ及び通信装置識別情報を受信し、ユーザ判定データを基に通信先通信装置の近傍に位置するユーザを判定し、判定したユーザを識別するユーザ識別情報を生成し、また、ユーザ判定データ及び通信装置識別情報を基に、ユーザ識別情報と、当該ユーザ識別情報により識別されるユーザに最も近い通信先通信装置を識別する通信装置識別情報とを対応付けた近傍情報を作成して近傍情報記憶部に記憶している。したがって、ユーザ識別情報と、当該ユーザ識別情報により識別されるユーザに最も近い通信先通信装置を識別する通信装置識別情報とを対応付けた近傍情報が、複数の通信先通信装置からユーザ判定データ及び通信装置識別情報の送信に応じて逐次更新され、ユーザ毎に最も近い通信先通信装置を特定する近傍情報を作成することができる。
ここで、通信元通信装置は、通信先のユーザのユーザ識別情報を含む通信要求コマンドを通信制御装置に送信すると、通信制御装置は、通信要求コマンドを受信したとき、近傍情報記憶部の近傍情報を参照して、通信先のユーザのユーザ識別情報に対応付けられている通信装置識別情報により識別される通信先通信装置と通信元通信装置とを通信可能に接続しているので、通信元のユーザが使用する通信元通信装置と、通信先のユーザに最も近い通信先通信装置とを通信可能に接続することができる。この結果、通信先の複数のユーザが移動する環境下において、通信元のユーザが使用する通信元通信装置と、複数の通信先通信装置の中から通信先のユーザにとって適切な通信先通信装置とを通信可能に接続することができる。
前記複数の通信先通信装置の各々は、当該通信先通信装置の近傍に位置するユーザを撮影した画像データと、当該通信先通信装置を識別する通信装置識別情報とを前記通信制御装置に送信し、前記通信制御装置は、複数のユーザの各々に対して、当該ユーザの顔を表す基準顔画像データと、当該ユーザを識別する前記ユーザ識別情報とを対応付けて記憶する基準データ記憶部をさらに備え、前記通信制御装置は、前記複数の通信先通信装置の各々から前記画像データ及び前記通信装置識別情報を受信し、前記画像データからユーザの顔を表す顔画像データを抽出し、前記顔画像データと前記基準データ記憶部に記憶されている複数の基準顔画像データとを比較することにより、前記画像データに含まれるユーザを判定し、判定したユーザの前記基準顔画像データに対応付けられている前記ユーザ識別情報を前記基準データ記憶部から読み出し、前記近傍情報として、前記画像データの取得時刻が最も新しい前記ユーザ識別情報と、前記画像データとともに送信された前記通信装置識別情報とを対応付けて前記近傍情報記憶部に記憶するようにしてもよい。
このような構成により、複数の通信先通信装置の各々は、当該通信先通信装置の近傍に位置するユーザを撮影した画像データと、当該通信先通信装置を識別する通信装置識別情報とを通信制御装置に送信し、通信制御装置は、複数の通信先通信装置の各々から画像データ及び通信装置識別情報を受信し、画像データからユーザの顔を表す顔画像データを抽出し、顔画像データと基準データ記憶部に記憶されている複数の基準顔画像データとを比較することにより、画像データに含まれるユーザを判定し、判定したユーザの基準顔画像データに対応付けられているユーザ識別情報を基準データ記憶部から読み出し、近傍情報として、画像データの取得時刻が最も新しいユーザ識別情報と、画像データとともに送信された通信装置識別情報とを対応付けて近傍情報記憶部に記憶しているので、画像データから抽出した顔画像データを用いてユーザが判定できたときに、画像データの取得時刻が最も新しいユーザ識別情報及び通信装置識別情報に近傍情報を更新することができ、ユーザ毎に最も近い通信先通信装置を特定する近傍情報を作成することができる。
前記通信制御装置は、前記複数の通信先通信装置から所定期間内に送信された複数の画像データから同一のユーザが判定された場合、前記顔画像データからユーザの顔を表す顔画像領域を抽出し、前記顔画像領域の面積が最も大きい顔画像データと前記複数の基準顔画像データとを比較することにより、前記顔画像領域の面積が最も大きい顔画像データからユーザを判定し、判定したユーザの前記基準顔画像データに対応付けられている前記ユーザ識別情報を前記基準データ記憶部から読み出し、前記近傍情報として、前記顔画像領域の面積が最も大きい顔画像データに対して前記基準データ記憶部から読み出した前記ユーザ識別情報と、前記顔画像領域の面積が最も大きい顔画像データを送信した前記通信先通信装置を識別する前記通信装置識別情報とを対応付けて前記近傍情報記憶部に記憶するようにしてもよい。
このような構成により、複数の通信先通信装置から所定期間内に送信された複数の画像データから同一のユーザが判定された場合、顔画像データからユーザの顔を表す顔画像領域を抽出し、顔画像領域の面積が最も大きい顔画像データと複数の基準顔画像データとを比較することにより、顔画像領域の面積が最も大きい顔画像データからユーザを判定し、判定したユーザの基準顔画像データに対応付けられているユーザ識別情報を基準データ記憶部から読み出し、近傍情報として、顔画像領域の面積が最も大きい顔画像データに対して基準データ記憶部から読み出したユーザ識別情報と、顔画像領域の面積が最も大きい顔画像データを送信した通信先通信装置を識別する通信装置識別情報とを対応付けて近傍情報記憶部に記憶しているので、複数の通信先通信装置が同一のユーザを検出した場合でも、顔画像領域の面積が最も大きい顔画像データを送信した通信先通信装置、すなわち、ユーザに最も近い一の通信先通信装置を特定する近傍情報を作成することができる。
前記通信制御装置は、前記画像データから複数のユーザが判定された場合、前記複数のユーザの各々の顔を表す顔画像データを抽出し、前記顔画像データの各々と前記複数の基準顔画像データとを比較することにより、前記画像データに含まれる複数のユーザを判定し、判定した複数のユーザの前記基準顔画像データに対応付けられている複数のユーザ識別情報を前記基準データ記憶部から読み出し、前記複数のユーザの各々に対して、前記近傍情報として、前記画像データの取得時刻が最も新しい前記ユーザ識別情報と、前記画像データとともに送信された前記通信装置識別情報とを対応付けて前記近傍情報記憶部に記憶するようにしてもよい。
このような構成により、一の通信制御装置の画像データから複数のユーザが判定された場合、複数のユーザの各々の顔を表す顔画像データを抽出し、顔画像データの各々と複数の基準顔画像データとを比較することにより、画像データに含まれる複数のユーザを判定し、判定した複数のユーザの基準顔画像データに対応付けられている複数のユーザ識別情報を基準データ記憶部から読み出し、複数のユーザの各々に対して、近傍情報として、画像データの取得時刻が最も新しいユーザ識別情報と、画像データとともに送信された通信装置識別情報とを対応付けて近傍情報記憶部に記憶しているので、一の通信制御装置の周囲に複数のユーザがいる場合でも、ユーザ毎に最も近い通信先通信装置を特定する近傍情報を作成することができる。
前記複数の通信先通信装置の各々は、当該通信先通信装置の近傍に位置するユーザの音声を集音した音声データと、当該通信先通信装置を識別する通信装置識別情報とを前記通信制御装置に送信し、前記通信制御装置は、複数のユーザの各々に対して、当該ユーザの音声を表す基準音声データと、当該ユーザを識別する前記ユーザ識別情報とを対応付けて記憶する基準データ記憶部をさらに備え、前記通信制御装置は、前記複数の通信先通信装置の各々から前記音声データ及び前記通信装置識別情報を受信し、前記音声データと前記基準データ記憶部に記憶されている複数の基準音声データとを比較することにより、前記音声を発したユーザを判定し、判定したユーザの前記基準音声データに対応付けられている前記ユーザ識別情報を前記基準データ記憶部から読み出し、前記近傍情報として、前記音声データの取得時刻が最も新しい前記ユーザ識別情報と、前記音声データとともに送信された前記通信装置識別情報とを対応付けて前記近傍情報記憶部に記憶するようにしてもよい。
このような構成により、複数の通信先通信装置の各々は、当該通信先通信装置の近傍に位置するユーザの音声を集音した音声データと、当該通信先通信装置を識別する通信装置識別情報とを通信制御装置に送信し、通信制御装置は、複数の通信先通信装置の各々から音声データ及び通信装置識別情報を受信し、音声データと基準データ記憶部に記憶されている複数の基準音声データとを比較することにより、音声を発したユーザを判定し、判定したユーザの基準音声データに対応付けられているユーザ識別情報を基準データ記憶部から読み出し、近傍情報として、音声データの取得時刻が最も新しいユーザ識別情報と、音声データとともに送信された通信装置識別情報とを対応付けて近傍情報記憶部に記憶しているので、音声データを用いてユーザが判定できたときに、音声データの取得時刻が最も新しいユーザ識別情報及び通信装置識別情報に近傍情報を更新することができ、ユーザ毎に最も近い通信先通信装置を特定する近傍情報を作成することができる。
前記通信制御装置は、前記複数の通信先通信装置から所定期間内に送信された複数の音声データから同一のユーザが判定された場合、前記音声データを用いて前記音声データの前記通信先通信装置に対する音源位置を検出し、前記音源位置が前記通信先通信装置に最も近い音声データと前記複数の基準音声データとを比較することにより、前記音源位置が前記通信先通信装置に最も近い音声データのユーザを判定し、判定したユーザの前記基準音声データに対応付けられている前記ユーザ識別情報を前記基準データ記憶部から読み出し、前記近傍情報として、前記音源位置が前記通信先通信装置に最も近い音声データに対して前記基準データ記憶部から読み出した前記ユーザ識別情報と、前記音源位置が前記通信先通信装置に最も近い音声データを送信した前記通信先通信装置を識別する前記通信装置識別情報とを対応付けて前記近傍情報記憶部に記憶するようにしてもよい。
このような構成により、複数の通信先通信装置から所定期間内に送信された複数の音声データから同一のユーザが判定された場合、音声データを用いて音声データの通信先通信装置に対する音源位置を検出し、音源位置が通信先通信装置に最も近い音声データと複数の基準音声データとを比較することにより、音源位置が通信先通信装置に最も近い音声データのユーザを判定し、判定したユーザの基準音声データに対応付けられているユーザ識別情報を基準データ記憶部から読み出し、近傍情報として、音源位置が通信先通信装置に最も近い音声データに対して基準データ記憶部から読み出したユーザ識別情報と、音源位置が通信先通信装置に最も近い音声データを送信した通信先通信装置を識別する通信装置識別情報とを対応付けて近傍情報記憶部に記憶しているので、複数の通信先通信装置が同一のユーザを検出した場合でも、音源位置が最も近い音声を送信した通信先通信装置、すなわち、ユーザに最も近い一の通信先通信装置を特定する近傍情報を作成することができる。
前記複数の通信先通信装置の各々は、当該通信先通信装置の近傍に位置するユーザが所持する発信機から当該ユーザを識別するユーザ識別情報を含むビーコン信号を受信し、受信したビーコン信号の電波強度を示す強度情報と、前記ユーザ識別情報と、当該通信先通信装置を識別する通信装置識別情報とを前記通信制御装置に送信し、前記通信制御装置は、前記複数の通信先通信装置の各々から前記強度情報、前記ユーザ識別情報及び前記通信装置識別情報を受信し、前記近傍情報として、前記ビーコン信号の電波強度が最も大きい前記強度情報とともに送信された前記ユーザ識別情報及び前記通信装置識別情報を前記近傍情報記憶部に記憶するようにしてもよい。
このような構成により、複数の通信先通信装置の各々は、当該通信先通信装置の近傍に位置するユーザが所持する発信機から当該ユーザを識別するユーザ識別情報を含むビーコン信号を受信し、受信したビーコン信号の電波強度を示す強度情報と、受信したユーザ識別情報と、当該通信先通信装置を識別する通信装置識別情報とを通信制御装置に送信し、通信制御装置は、複数の通信先通信装置の各々から強度情報、ユーザ識別情報及び通信装置識別情報を受信し、近傍情報として、ビーコン信号の電波強度が最も大きい強度情報とともに送信されたユーザ識別情報及び通信装置識別情報を近傍情報記憶部に記憶しているので、ビーコン信号の電波強度が最も大きい強度情報を送信した通信先通信装置、すなわち、ユーザに最も近い通信先通信装置を特定する近傍情報をユーザ毎に作成することができる。
前記複数の通信先通信装置の各々は、移動可能に構成され、前記通信制御装置は、通信履歴記憶部をさらに備え、前記通信制御装置は、前記通信元通信装置と前記通信先通信装置との通信履歴情報として、前記通信先通信装置を用いて通信した前記通信先のユーザを識別する前記ユーザ識別情報と、前記通信先のユーザが前記通信先通信装置を使用した時刻を示す時刻情報とを対応付けて前記通信履歴記憶部に記憶し、前記通信履歴記憶部の前記通信履歴情報を参照して、通信頻度が所定値より高い前記通信先のユーザを特定し、前記特定された通信先のユーザの近傍に前記複数の通信先通信装置のうち少なくとも1つを配置するようにしてもよい。
このような構成により、通信元通信装置と通信先通信装置との通信履歴情報として、通信先通信装置を用いて通信した通信先のユーザを識別するユーザ識別情報と、通信先のユーザが通信先通信装置を使用した時刻を示す時刻情報とを対応付けて通信履歴記憶部に記憶し、通信履歴記憶部の通信履歴情報を参照して、通信頻度が所定値より高い通信先のユーザを特定し、特定した通信先のユーザの近傍に複数の通信先通信装置のうち少なくとも1つを配置しているので、高頻度にアクセスされる通信先のユーザが、近傍に位置する通信先通信装置を用いて、通信元通信装置との通信を容易に行うことができる。
前記通信制御装置は、前記通信履歴記憶部の前記通信履歴情報を参照して、前記通信先のユーザの通信頻度が所定値より高い時間帯を特定し、前記時間帯に前記通信先のユーザの近傍に前記複数の通信先通信装置のうち少なくとも1つを配置するようにしてもよい。
このような構成により、通信履歴記憶部の通信履歴情報を参照して、通信先のユーザの通信頻度が所定値より高い時間帯を特定し、特定した時間帯に通信先のユーザの近傍に複数の通信先通信装置のうち少なくとも1つを配置しているので、高頻度にアクセスされる通信先のユーザが、高頻度にアクセスされる時間帯に、近傍に位置する通信先通信装置を用いて、通信元通信装置との通信を容易に行うことができる。
前記通信先のユーザは、複数の通信先のユーザを含み、前記複数の通信先通信装置の各々は、移動可能に構成され、前記通信制御装置は、前記複数の通信先のユーザの各々の位置を示すユーザ位置情報及び前記複数の通信先通信装置の各々の位置を示す装置位置情報を取得し、前記ユーザ位置情報及び前記装置位置情報を基に、前記複数の通信先通信装置が前記複数の通信先のユーザに対して分散して配置されるように前記複数の通信先通信装置を移動させるようにしてもよい。
このような構成により、複数の通信先のユーザの各々の位置を示すユーザ位置情報及び複数の通信先通信装置の各々の位置を示す装置位置情報を取得し、取得したユーザ位置情報及び装置位置情報を基に、複数の通信先通信装置が複数の通信先のユーザに対して分散して配置されるように複数の通信先通信装置を移動させているので、複数の通信先のユーザの各々が、最も近くに位置する通信先通信装置を用いて、通信元通信装置との通信を容易に行うことができ、複数の通信先通信装置を効率的に使用することができる。
前記通信制御装置は、前記複数の通信先通信装置のうち前記通信元通信装置と通信していない未通信装置が前記複数の通信先のユーザのうち前記通信元通信装置と通信していない未通信ユーザに対して分散して配置されるように前記未通信装置を移動させるようにしてもよい。
このような構成により、複数の通信先通信装置のうち通信元通信装置と通信していない未通信装置が複数の通信先のユーザのうち通信元通信装置と通信していない未通信ユーザに対して分散して配置されるように未通信装置を移動させているので、未通信ユーザが、最も近くに位置する通信先通信装置を用いて、通信元通信装置との通信を容易に行うことができ、未通信装置を効率的に使用することができる。
前記複数の通信先通信装置の各々は、前記通信元のユーザのメッセージを前記通信先のユーザに伝えるためのテレプレゼンスロボットから構成され、前記テレプレゼンスロボットは、前記ユーザ判定データ及び前記通信装置識別情報を前記通信制御装置に送信する通信部と、自律移動するための自律移動部と、前記通信元のユーザのメッセージを前記通信先のユーザに提示する提示部とを備えるようにしてもよい。
このような構成により、複数のユーザだけでなく、複数のテレプレゼンスロボットが移動する環境下において、通信元のユーザが使用する通信元通信装置と、複数のテレプレゼンスロボットの中から通信先のユーザに最も近いテレプレゼンスロボットとを通信可能に接続することができる。
また、本開示の他の態様に係る通信制御方法は、通信元のユーザが使用する通信元通信装置と、通信先のユーザが前記通信元のユーザと通信するために使用可能な複数の通信先通信装置と、前記通信元通信装置及び前記複数の通信先通信装置の通信を制御する通信制御装置とを備える通信システムの通信制御方法であって、前記複数の通信先通信装置の各々は、移動可能に構成され、前記通信制御装置は、通信履歴記憶部を備え、前記通信制御装置は、前記通信元通信装置と前記通信先通信装置との通信履歴情報として、前記通信先通信装置を用いて通信した前記通信先のユーザを識別するユーザ識別情報と、前記通信先のユーザが前記通信先通信装置を使用した時刻を示す時刻情報とを対応付けて前記通信履歴記憶部に記憶し、前記通信履歴記憶部の前記通信履歴情報を参照して、通信頻度が所定値より高い前記通信先のユーザを特定し、前記特定した通信先のユーザの近傍に前記複数の通信先通信装置のうち少なくとも1つを配置する。
このような構成により、通信元通信装置と通信先通信装置との通信履歴情報として、通信先通信装置を用いて通信した通信先のユーザを識別するユーザ識別情報と、通信先のユーザが通信先通信装置を使用した時刻を示す時刻情報とを対応付けて通信履歴記憶部に記憶し、通信履歴記憶部の通信履歴情報を参照して、通信頻度が所定値より高い通信先のユーザを特定し、特定した通信先のユーザの近傍に複数の通信先通信装置のうち少なくとも1つを配置しているので、高頻度にアクセスされる通信先のユーザが、近傍に位置する通信先通信装置を用いて、通信元通信装置との通信を容易に行うことができる。
また、本開示の他の態様に係る通信制御方法は、通信元のユーザが使用する通信元通信装置と、通信先のユーザが前記通信元のユーザと通信するために使用可能な複数の通信先通信装置と、前記通信元通信装置及び前記複数の通信先通信装置の通信を制御する通信制御装置とを備える通信システムの通信制御方法であって、前記通信先のユーザは、複数の通信先のユーザを含み、前記複数の通信先通信装置の各々は、移動可能に構成され、前記通信制御装置は、前記複数の通信先のユーザの各々の位置を示すユーザ位置情報及び前記複数の通信先通信装置の各々の位置を示す装置位置情報を取得し、前記ユーザ位置情報及び前記装置位置情報を基に、前記複数の通信先通信装置が前記複数の通信先のユーザに対して分散して配置されるように前記複数の通信先通信装置を移動させる。
このような構成により、複数の通信先のユーザの各々の位置を示すユーザ位置情報及び複数の通信先通信装置の各々の位置を示す装置位置情報を取得し、取得したユーザ位置情報及び装置位置情報を基に、複数の通信先通信装置が複数の通信先のユーザに対して分散して配置されるように複数の通信先通信装置を移動させているので、複数の通信先のユーザの各々が、最も近くに位置する通信先通信装置を用いて、通信元通信装置との通信を容易に行うことができ、複数の通信先通信装置を効率的に使用することができる。
また、本開示は、以上のような特徴的な処理を実行する通信制御方法として実現することができるだけでなく、通信制御方法に含まれる特徴的な処理に対応する特徴的な構成を備える通信制御装置などとして実現することもできる。また、本開示の通信制御装置の構成要素の一部又は全部をテレプレゼンスロボットが備えてもよい。さらに、本開示の通信制御方法に含まれる特徴的な処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムとして実現することもできる。したがって、以下の他の態様でも、上記の通信制御方法と同様の効果を奏することができる。
本開示の他の態様に係る通信制御装置は、通信元のユーザが使用する通信元通信装置と、通信先のユーザが前記通信元のユーザと通信するために使用可能な複数の通信先通信装置との通信を制御する通信制御装置であって、前記複数の通信先通信装置の各々からの当該通信先通信装置の近傍に位置するユーザを判定するためのユーザ判定データと、当該通信先通信装置を識別する通信装置識別情報とを受信する通信部と、前記ユーザ判定データを基に前記通信先通信装置の近傍に位置するユーザを判定し、判定したユーザを識別するユーザ識別情報を生成する判定部と、前記ユーザ判定データ及び前記通信装置識別情報を基に、前記ユーザ識別情報と、当該ユーザ識別情報により識別されるユーザに最も近い通信先通信装置を識別する通信装置識別情報とを対応付けた近傍情報を作成する管理部と、前記近傍情報を記憶する近傍情報記憶部と、前記通信元通信装置から前記通信先のユーザの前記ユーザ識別情報を含む通信要求コマンドを前記通信部により受信したとき、前記近傍情報記憶部の前記近傍情報を参照して、前記通信先のユーザの前記ユーザ識別情報に対応付けられている前記通信装置識別情報により識別される前記通信先通信装置と前記通信元通信装置とを通信可能に接続する接続部とを備える。
また、本開示の他の態様に係る通信制御装置は、通信元のユーザが使用する通信元通信装置と、移動可能に構成され、通信先のユーザが前記通信元のユーザと通信するために使用可能な複数の通信先通信装置との通信を制御する通信制御装置であって、前記通信元通信装置と前記通信先通信装置との通信履歴情報として、前記通信先通信装置を用いて通信した前記通信先のユーザを識別するユーザ識別情報と、前記通信先のユーザが前記通信先通信装置を使用した時刻を示す時刻情報とを対応付けて記憶する通信履歴記憶部と、前記通信履歴記憶部の前記通信履歴情報を参照して、通信頻度が所定値より高い前記通信先のユーザを特定する通信履歴解析部と、前記特定した通信先のユーザの近傍に前記複数の通信先通信装置のうち少なくとも1つを配置する位置制御部とを備える。
また、本開示の他の態様に係る通信制御装置は、通信元のユーザが使用する通信元通信装置と、移動可能に構成され、複数の通信先のユーザが前記通信元のユーザと通信するために使用可能な複数の通信先通信装置との通信を制御する通信制御装置であって、前記複数の通信先のユーザの各々の位置を示すユーザ位置情報及び前記複数の通信先通信装置の各々の位置を示す装置位置情報を取得する取得部と、前記ユーザ位置情報及び前記装置位置情報を基に、前記複数の通信先通信装置が前記複数の通信先のユーザに対して分散して配置されるように前記複数の通信先通信装置を移動させる位置管理部とを備える。
本開示の他の態様に係るテレプレゼンスロボットは、通信元のユーザのメッセージを通信先のユーザに伝えるためのテレプレゼンスロボットであって、上記の通信制御装置と、自律移動するための自律移動部と、前記通信元のユーザのメッセージを前記通信先のユーザに提示する提示部とを備える。
前記通信部は、前記近傍情報記憶部に記憶されている前記近傍情報が更新された場合、更新された近傍情報を他のテレプレゼンスロボットに送信するようにしてもよい。
このような構成により、近傍情報記憶部に記憶されている近傍情報が更新された場合、更新された近傍情報を他のテレプレゼンスロボットに送信しているので、複数のテレプレゼンスロボットが同じ近傍情報を管理することができる。
本開示の他の態様に係る通信制御プログラムは、通信元のユーザが使用する通信元通信装置と、通信先のユーザが前記通信元のユーザと通信するために使用可能な複数の通信先通信装置との通信を制御する通信制御装置として、コンピュータを機能させるための通信制御プログラムであって、前記コンピュータに、前記複数の通信先通信装置の各々からの当該通信先通信装置の近傍に位置するユーザを判定するためのユーザ判定データと、当該通信先通信装置を識別する通信装置識別情報とを受信し、前記ユーザ判定データを基に前記通信先通信装置の近傍に位置するユーザを判定し、判定したユーザを識別するユーザ識別情報を生成し、前記ユーザ判定データ及び前記通信装置識別情報を基に、前記ユーザ識別情報と、当該ユーザ識別情報により識別されるユーザに最も近い通信先通信装置を識別する通信装置識別情報とを対応付けた近傍情報を作成して近傍情報記憶部に記憶し、前記通信元通信装置から前記通信先のユーザの前記ユーザ識別情報を含む通信要求コマンドを受信したとき、前記近傍情報記憶部の前記近傍情報を参照して、前記通信先のユーザの前記ユーザ識別情報に対応付けられている前記通信装置識別情報により識別される前記通信先通信装置と前記通信元通信装置とを通信可能に接続する、処理を実行させる。
また、本開示の他の態様に係る通信制御プログラムは、通信元のユーザが使用する通信元通信装置と、移動可能に構成され、通信先のユーザが前記通信元のユーザと通信するために使用可能な複数の通信先通信装置との通信を制御する通信制御装置として、コンピュータを機能させるための通信制御プログラムであって、前記コンピュータに、前記通信元通信装置と前記通信先通信装置との通信履歴情報として、前記通信先通信装置を用いて通信した前記通信先のユーザを識別するユーザ識別情報と、前記通信先のユーザが前記通信先通信装置を使用した時刻を示す時刻情報とを対応付けて通信履歴記憶部に記憶し、前記通信履歴記憶部の前記通信履歴情報を参照して、通信頻度が所定値より高い前記通信先のユーザを特定し、前記特定した通信先のユーザの近傍に前記複数の通信先通信装置のうち少なくとも1つを配置する、処理を実行させる。
また、本開示の他の態様に係る通信制御プログラムは、通信元のユーザが使用する通信元通信装置と、移動可能に構成され、複数の通信先のユーザが前記通信元のユーザと通信するために使用可能な複数の通信先通信装置との通信を制御する通信制御装置として、コンピュータを機能させるための通信制御プログラムであって、前記コンピュータに、前記複数の通信先のユーザの各々の位置を示すユーザ位置情報及び前記複数の通信先通信装置の各々の位置を示す装置位置情報を取得し、前記ユーザ位置情報及び前記装置位置情報を基に、前記複数の通信先通信装置が前記複数の通信先のユーザに対して分散して配置されるように前記複数の通信先通信装置を移動させる、処理を実行させる。
そして、このようなコンピュータプログラムを、CD−ROM等のコンピュータ読取可能な非一時的な記録媒体又はインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは、言うまでもない。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1に係る通信システムの構成の一例を示すブロック図である。図1に示す通信システムは、複数のテレプレゼンスロボット1a〜1n(以下、テレプレゼンスロボット1とも記載)、クラウドサーバ3及び通信装置4を備える。
テレプレゼンスロボット1は、通信元のユーザから離れた遠隔地のオフィス等に配置され、通信先のユーザが通信元のユーザと通信するために使用可能な複数の通信先通信装置の一例である。また、テレプレゼンスロボット1は、テレビ会議技術及び遠隔操作技術等を組み込んだ自律移動型ロボットであり、通信元のユーザの分身として、遠隔地で種々の場所を移動したり、通信先のユーザとの対話等を行ったりすることにより、通信元のユーザのメッセージを通信先のユーザに伝える。
なお、通信先通信装置は、上記のテレプレゼンスロボットに特に限定されず、種々の変更が可能であり、例えば、自律走行しない固定型のコミュニケーションロボット、所定の場所に設置されたパーソナルコンピュータ及び人工知能搭載型スピーカ、人間が運転操作を行わなくとも自律走行可能な自動自動車等の他の通信先通信装置を用いてもよい。
クラウドサーバ3は、例えば、プロセッサ、メモリ、通信装置、及び外部記憶装置等から構成され、有線又は無線の通信回線(図示省略)を介して、複数のテレプレゼンスロボット1a〜1n及び通信装置4に通信可能に接続されている。クラウドサーバ3は、通信装置4及び複数のテレプレゼンスロボット1a〜1nの通信を制御する通信制御装置の一例である。なお、通信制御装置は、クラウドサーバ3に特に限定されず、テレプレゼンスロボットがクラウドサーバ3の機能を実行したり、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等の通信端末によりクラウドサーバ3の機能を実行したりする等の種々の変更が可能である。
通信装置4は、例えば、タブレット等から構成され、通信先のユーザから離れた遠隔地のオフィス等で使用され、通信元のユーザが使用する通信元通信装置の一例である。なお、通信装置4は、上記の例に特に限定されず、複数の通信装置を用いたり、スマートフォン、パーソナルコンピュータ等の他の通信端末を用いたり、テレプレゼンスロボット1と同様に構成されたテレプレゼンスロボットを用いたりする等の種々の変更が可能である。
図2は、図1に示す通信システムの利用状態の一例を示す模式図である。例えば、東京のオフィスにいるユーザS1が通信装置4を用いて、大阪のオフィスにいるユーザR1にテレプレゼンスしたい場合を仮定する。
図2に示すように、大阪のオフィスには、ユーザR1だけではなく、他の多数のユーザR2〜R6がおり、また、複数のテレプレゼンスロボット1a〜1dが待機状態にあり、ユーザR1〜R6及びテレプレゼンスロボット1a〜1dは適宜移動している。また、複数のテレプレゼンスロボット1a〜1dは、自律移動するための略円柱状の自律移動部、ユーザにテレプレゼンスを行うためのタブレット状の提示部、及び、自律移動部と提示部とを連結する連結部等から構成されている。
ここで、図2に示す例では、ユーザR1に最も近いテレプレゼンスロボットは、テレプレゼンスロボット1dであり、クラウドサーバ3は、後述する通信制御処理により、通信装置4とテレプレゼンスロボット1dとを通信可能に接続する。テレプレゼンスロボット1dは、ユーザR1を探して自走したり、ユーザS1の入力に基づいて移動し、ユーザR1に近寄っていく。この状態で、東京のオフィスにいるユーザS1が通信装置4を用いて入力したメッセージ等をテレプレゼンスロボット1dに送信し、テレプレゼンスロボット1dが大阪のオフィスにいるユーザR1に東京のオフィスにいるユーザS1のメッセージ等を伝える。
再び、図1を参照して、テレプレゼンスロボット1は、カメラ11、映像取得部12、マイク13、音声取得部14、タッチパネル15、操作情報取得部16、通信部17、駆動制御部18、モータ19、映像再生部20、ディスプレイ21、音声再生部22、及びスピーカ23を備える。クラウドサーバ3は、通信部31、人物判定部32、ユーザDB(データベース)33、近傍情報管理部34、近傍情報DB(データベース)35、時刻情報取得部36、及び対話接続処理部37を備える。通信装置4は、通信部41、操作部42、表示部43、及び撮影部44を備える。
テレプレゼンスロボット1のカメラ11は、例えば、全方位の画像を取得できる全方位カメラから構成され、テレプレゼンスロボット1の近傍に位置する全てのユーザを常時又は所定間隔で撮影し、テレプレゼンスロボット1の近傍に位置するユーザを判定するためのユーザ判定データとして、撮影した画像データを映像取得部12に出力する。なお、カメラ11は、上記の例に特に限定されず、一方向を撮影可能なカメラを移動しながら、全方位の画像を取得する撮影装置を用いる等の種々の変更が可能である。
映像取得部12は、カメラ11から取得した画像データを通信部17に出力する。具体的には、テレプレゼンスロボット1がテレプレゼンス動作を行っているとき、映像取得部12は、テレプレゼンス動作の対象となる通信先のユーザを撮影した画像データを通信部17に出力し、通信部17は、通信先のユーザを撮影した画像データをクラウドサーバ3に出力する。
また、テレプレゼンスロボット1がテレプレゼンス動作を行っておらず、待機状態にあり、適宜移動しているとき、映像取得部12は、テレプレゼンスロボット1の全方位の画像データ(テレプレゼンスロボット1の近傍を360度の範囲で撮影した近傍画像データ)と、内部のメモリ(図示省略)に予め記憶しているテレプレゼンスロボット1を識別するロボット識別情報(通信装置識別情報)とを通信部17に出力する。通信部17は、近傍画像データと、ロボット識別情報とをクラウドサーバ3に出力する。
なお、カメラ11及び映像取得部12は、上記の例に特に限定されず、種々の変更が可能であり、例えば、ユーザ判定データとして他のデータを使用する場合は、テレプレゼンス動作に必要な機能のみを有するカメラ及び映像取得部を用いてもよい。
マイク13は、例えば、2個以上の無指向性のマイクロフォンから構成され、テレプレゼンスロボット1の近傍に位置する全てのユーザ音声を常時又は所定間隔で集音し、テレプレゼンスロボット1の近傍に位置するユーザを判定するためのユーザ判定データとして、集音した音声データを音声取得部14に出力する。
音声取得部14は、マイク13から取得した音声データを通信部17に出力する。具体的には、テレプレゼンスロボット1がテレプレゼンス動作を行っているとき、音声取得部14は、テレプレゼンス動作の対象となる通信先のユーザの音声を集音した音声データを通信部17に出力し、通信部17は、通信先のユーザの音声を集音した音声データをクラウドサーバ3に出力する。
また、テレプレゼンスロボット1がテレプレゼンス動作を行っておらず、待機状態にあり、適宜移動し、音声データをユーザ判定データとして使用するとき、音声取得部14は、テレプレゼンスロボット1の全方位の音声データ(テレプレゼンスロボット1の近傍を360度の範囲で集音した近傍集音データ)と、内部のメモリ(図示省略)に予め記憶しているテレプレゼンスロボット1を識別するロボット識別情報(通信装置識別情報)とを通信部17に出力する。通信部17は、近傍音声データと、ロボット識別情報とをクラウドサーバ3に出力する。
なお、マイク13及び音声取得部14は、上記の例に特に限定されず、種々の変更が可能であり、例えば、ユーザ判定データとして他のデータを使用する場合は、テレプレゼンス動作に必要な機能のみを有するマイク及び音声取得部を用いてもよい。
タッチパネル15は、テレプレゼンスロボット1がテレプレゼンス動作を行うときに、通信先のユーザが種々の操作情報等を入力するために使用され、種々の操作情報等を操作情報取得部16に出力する。
操作情報取得部16は、タッチパネル15から取得した操作情報を通信部17に出力する。具体的には、テレプレゼンスロボット1がテレプレゼンス動作を行っているとき、操作情報取得部16は、通信部17を介して、テレプレゼンス動作に関する操作情報を駆動制御部18、映像再生部20、及び音声再生部22に出力し、テレプレゼンスロボット1は、操作情報に応じたテレプレゼンス動作を行う。
なお、テレプレゼンスロボット1が通信元のユーザが使用する通信元通信装置(例えば、通信装置4)として使用される場合、操作情報取得部16は、接続要求取得部として機能し、通信元のユーザがタッチパネル15を用いて通信先のユーザのユーザ識別情報を含む通信要求を入力すると、操作情報取得部16は、通信先のユーザのユーザ識別情報を含む通信要求コマンドを作成して通信部17に出力し、通信部17は、通信要求コマンドをクラウドサーバ3に出力する。
駆動制御部18は、モータ19の回転を制御する。モータ19は、駆動制御部18の制御に応じて駆動輪(図示省略)を駆動し、テレプレゼンスロボット1を移動又は停止させる。駆動制御部18及びモータ19は、テレプレゼンスロボットを自律移動するための自律移動部の一例に相当する。
映像再生部20は、通信装置4又はクラウドサーバ3から通信部17を介して取得した通信元のユーザの映像データ等を再生した映像信号をディスプレイ21に出力する。ディスプレイ21は、通信元のユーザの映像等を表示する。映像再生部20及びディスプレイ21は、通信元のユーザのメッセージを前記通信先のユーザに提示する提示部の一例に相当する。
音声再生部22は、通信装置4又はクラウドサーバ3から通信部17を介して取得した通信元のユーザの音声データ等を再生した音声信号をスピーカ23に出力する。スピーカ23は、通信元のユーザの音声等を再生する。音声再生部22及びスピーカ23は、通信元のユーザのメッセージを前記通信先のユーザに提示する提示部の一例に相当する。
クラウドサーバ3の通信部31は、複数のテレプレゼンスロボット1a〜1n及び通信装置4と通信する。例えば、通信部31は、複数のテレプレゼンスロボット1a〜1nから送信された近傍画像データ及びロボット識別情報を受信し、近傍画像データを人物判定部32に出力し、近傍画像データ及びロボット識別情報を近傍情報管理部34に出力する。
ユーザDB33は、複数のユーザ(例えば、図2に示す大阪のオフィスにいる全てのユーザ)の各々に対して、当該ユーザの顔を表す基準顔画像データと、当該ユーザを識別するユーザ識別情報とを対応付けて予め記憶している。
人物判定部32は、近傍画像データからユーザの顔を表す顔画像データを抽出し、顔画像データとユーザDB33に記憶されている複数の基準顔画像データとを比較することにより、近傍画像データに含まれるユーザを判定し、判定したユーザの基準顔画像データに対応付けられているユーザ識別情報をユーザDB33から読み出し、人物判定されたユーザのユーザ識別情報を近傍情報管理部34に出力する。
近傍情報管理部34は、近傍画像データの取得時刻を最終発見時刻として時刻情報取得部36から取得し、最終発見時刻と、人物判定部32から出力されたユーザ識別情報と、当該ユーザ識別情報の作成に使用された近傍画像データとともに送信されたロボット識別情報とを対応付けて近傍情報として近傍情報DB35に記憶する。したがって、近傍情報DB35には、近傍情報として、近傍画像データの取得時刻が最も新しいユーザ識別情報と、近傍画像データとともに送信されたロボット識別情報とが対応付けて記憶されるので、人物判定されたユーザのユーザ識別情報と、当該ユーザに最も近いテレプレゼンスロボット1を識別するロボット識別情報とが最終発見時刻とともに記憶される。
また、近傍情報管理部34は、複数のテレプレゼンスロボット1a〜1nから所定期間内(例えば、ほぼ同時刻)に送信された複数の近傍画像データから同一のユーザを識別したか否かを都度判定する。具体的には、近傍情報管理部34は、人物判定部32から所定期間内に同一のユーザのユーザ識別情報が複数通知され、各ユーザ識別情報に対応するロボット識別情報が異なる場合、すなわち、テレプレゼンスロボット1a〜1nから所定期間内に送信された複数の近傍画像データから同一のユーザが判定された場合、人物判定部32に再人物判定を指示する。
人物判定部32は、同一のユーザの全ての顔画像データからユーザの顔を表す顔画像領域を抽出し、顔画像領域の面積が最も大きい顔画像データと複数の基準顔画像データとを比較することにより、顔画像領域の面積が最も大きい顔画像データからユーザを判定し、判定したユーザの基準顔画像データに対応付けられているユーザ識別情報をユーザDB33から読み出して近傍情報管理部34に出力する。ここで、顔画像領域の抽出処理は、種々の方法を用いることができ、例えば、人物判定部32は、顔画像データから顔に外接する四角形の横幅をW、縦幅をHとしたとき、面積W×Hを比較することにより、顔画像領域の面積が最も大きい顔画像データを決定することができる。
近傍情報管理部34は、顔画像領域の面積が最も大きい顔画像データを抽出した近傍画像データの取得時刻を最終発見時刻として時刻情報取得部36から取得し、最終発見時刻と、人物判定部32から出力された、顔画像領域の面積が最も大きい顔画像データに対する一のユーザ識別情報と、当該ユーザ識別情報の作成に使用された近傍画像データとともに送信された一のロボット識別情報とを対応付けて近傍情報として近傍情報DB35に記憶する。
したがって、テレプレゼンスロボット1a〜1nから所定期間内に送信された複数の近傍画像データから同一のユーザが判定された場合、近傍情報DB35には、近傍情報として、顔画像領域の面積が最も大きい顔画像データに対する一のユーザ識別情報と、当該ユーザ識別情報の作成に使用された近傍画像データとともに送信された一のロボット識別情報とが対応付けて記憶されるので、人物判定されたユーザの一のユーザ識別情報と、当該ユーザに最も近いテレプレゼンスロボット1を識別する一のロボット識別情報とが最終発見時刻とともに記憶される。
また、人物判定部32は、一つの近傍画像データから複数のユーザが判定された場合、複数のユーザの各々の顔を表す顔画像データを抽出し、顔画像データの各々と複数の基準顔画像データとを比較することにより、近傍前記画像データに含まれる複数のユーザを判定し、判定した複数のユーザの基準顔画像データに対応付けられている複数のユーザ識別情報をユーザDB33から読み出して近傍情報管理部34に出力する。
近傍情報管理部34は、上記の近傍画像データの取得時刻を最終発見時刻として時刻情報取得部36から取得し、複数のユーザの各々に対して、最終発見時刻と、人物判定部32から出力されたユーザ識別情報と、当該ユーザ識別情報の作成に使用された近傍画像データとともに送信されたロボット識別情報とを対応付けた複数の近傍情報を近傍情報DB35に記憶する。したがって、近傍情報DB35には、複数のユーザの各々に対して、近傍情報として、近傍画像データの取得時刻が最も新しいユーザ識別情報と、近傍画像データとともに送信されたロボット識別情報とが対応付けて記憶されるので、人物判定された複数のユーザのユーザ識別情報と、各ユーザに最も近いテレプレゼンスロボット1を識別するロボット識別情報とが最終発見時刻とともに記憶される。
また、上記の音声データをユーザ判定データとして使用する場合、ユーザDB33は、複数のユーザ(例えば、図2に示す大阪のオフィスにいる全てのユーザ)の各々に対して、当該ユーザの音声を表す基準音声データと、当該ユーザを識別するユーザ識別情報とを対応付けて予め記憶するようにしてもよい。この場合、人物判定部32は、通信部31を介して受信した音声データとユーザDB33に記憶されている複数の基準音声データとを比較することにより(例えば、声紋を用いた話者照合により)、音声を発したユーザを判定し、判定したユーザの基準音声データに対応付けられているユーザ識別情報をユーザDB33から読み出し、人物判定されたユーザのユーザ識別情報を近傍情報管理部34に出力する。
近傍情報管理部34は、音声データの取得時刻を最終発見時刻として時刻情報取得部36から取得し、最終発見時刻と、人物判定部32から出力されたユーザ識別情報と、当該ユーザ識別情報の作成に使用された音声データとともに送信されたロボット識別情報とを対応付けて近傍情報として近傍情報DB35に記憶する。したがって、近傍情報DB35には、近傍情報として、音声データの取得時刻が最も新しいユーザ識別情報と、音声データとともに送信されたロボット識別情報とが対応付けて記憶されるので、人物判定されたユーザのユーザ識別情報と、当該ユーザに最も近いテレプレゼンスロボット1を識別するロボット識別情報とが最終発見時刻とともに記憶される。
また、近傍情報管理部34は、複数のテレプレゼンスロボット1a〜1nから所定期間内(例えば、ほぼ同時刻)に送信された音声データから同一のユーザを識別したか否かを都度判定するようにしてもよい。近傍情報管理部34は、人物判定部32から所定期間内に同一のユーザのユーザ識別情報が複数通知され、各ユーザ識別情報に対応するロボット識別情報が異なる場合、すなわち、テレプレゼンスロボット1a〜1nから所定期間内に送信された複数の音声データから同一のユーザが判定された場合、人物判定部32に再人物判定を指示する。
人物判定部32は、同一のユーザが判定された全ての音声データを用いて各音声データのテレプレゼンスロボット1に対する音源位置を検出し、音源位置がテレプレゼンスロボット1に最も近い音声データと複数の基準音声データとを比較することにより、音源位置がテレプレゼンスロボット1に最も近い音声データのユーザを判定し、判定したユーザの基準音声データに対応付けられているユーザ識別情報をユーザDB33から読み出して近傍情報管理部34に出力する。ここで、複数のマイクロフォンを用いて音源位置を推定する処理は、種々の方法を用いることができ、例えば、取得された複数の音声データの間に音波の到来にかかる時間差が生じることを利用するTDOA(Time Difference Of Arrival)方式などを用いることができる。
近傍情報管理部34は、音源位置がテレプレゼンスロボット1に最も近い音声データの取得時刻を最終発見時刻として時刻情報取得部36から取得し、最終発見時刻と、人物判定部32から出力された、音源位置がテレプレゼンスロボット1に最も近い音声データに対する一のユーザ識別情報と、当該ユーザ識別情報の作成に使用された音声データとともに送信された一のロボット識別情報とを対応付けて近傍情報として近傍情報DB35に記憶する。
したがって、テレプレゼンスロボット1a〜1nから所定期間内に送信された複数の音声データから同一のユーザが判定された場合、近傍情報DB35には、近傍情報として、音源位置がテレプレゼンスロボット1に最も近い音声データに対する一のユーザ識別情報と、当該ユーザ識別情報の作成に使用された音声データとともに送信された一のロボット識別情報とが対応付けて記憶されるので、人物判定されたユーザの一のユーザ識別情報と、当該ユーザに最も近いテレプレゼンスロボット1を識別する一のロボット識別情報とが最終発見時刻とともに記憶される。
また、ユーザ判定データは、上記の例に特に限定されず、ユーザに最も近いテレプレゼンスロボット1を特定できれば、他のデータを用いてもよい。例えば、複数のテレプレゼンスロボット1a〜1nの各々の通信部17は、自身の近傍に位置するユーザが所持する発信機(図示省略)から当該ユーザを識別するユーザ識別情報を含むビーコン信号を受信し、受信したビーコン信号の電波強度を示す強度情報と、ユーザ識別情報と、当該テレプレゼンスロボットを識別するロボット識別情報とをクラウドサーバ3に送信するようにしてもよい。
この場合、クラウドサーバ3の通信部31は、複数のテレプレゼンスロボット1a〜1nの各々から強度情報、ユーザ識別情報及びロボット識別情報を受信する。近傍情報管理部34は、ビーコン信号の電波強度が最も大きい強度情報とともに送信されたユーザ識別情報及びロボット識別情報の取得時刻を最終発見時刻として時刻情報取得部36から取得し、最終発見時刻と、ビーコン信号の電波強度が最も大きい強度情報と、ユーザ識別情報と、ロボット識別情報とを対応付けて近傍情報として近傍情報DB35に記憶する。
したがって、近傍情報DB35には、近傍情報として、ビーコン信号の電波強度が最も大きい強度情報等の取得時刻が最も新しいユーザ識別情報と、当該ユーザ識別情報とともに送信されたロボット識別情報とが対応付けて記憶されるので、人物判定されたユーザのユーザ識別情報と、当該ユーザに最も近いテレプレゼンスロボット1を識別するロボット識別情報とが最終発見時刻とともに記憶される。
通信装置4の通信部41は、クラウドサーバ3(及び/又は複数のテレプレゼンスロボット1a〜1n)と通信する。通信部41は、通信先のユーザが使用するテレプレゼンスロボット1からクラウドサーバ3を介して(又は直接)、通信先のユーザを撮影した画像データや通信先のユーザの音声を集音した音声データ等を受信して表示部43に出力する。
操作部42は、例えば、タッチパネル等から構成され、通信元のユーザがテレプレゼンス(例えば、通信先のユーザとの対話)のための種々の操作情報等を入力するために使用される。
表示部43は、画像及び/又は音声を再生可能なディスプレイ及び/又はスピーカ等から構成される。表示部43は、通信部41を介して、通信先のユーザが使用するテレプレゼンスロボット1又はクラウドサーバ3からの通信先のユーザを撮影した画像データや通信先のユーザの音声を集音した音声データ等を入力され、通信先のユーザの画像を表示したり、通信先のユーザの音声を再生したりする。
撮影部44は、例えば、カメラ及び/又はマイク等から構成される。撮影部44は、通信元のユーザを常時又は所定間隔で撮影し、通信部41を介して、通信元のユーザを撮影した画像データや通信元のユーザの音声を集音した音声データをクラウドサーバ3又は通信先のユーザが使用するテレプレゼンスロボット1に送信する。
また、通信元のユーザが操作部42を用いて通信先のユーザのユーザ識別情報を含む通信要求を入力すると、操作部42は、通信先のユーザのユーザ識別情報を含む通信要求コマンドを作成して通信部41に出力し、通信部17は、通信要求コマンドをクラウドサーバ3に送信する。
クラウドサーバ3の通信部31は、通信要求コマンドを受信して対話接続処理部37に出力する。対話接続処理部37は、通信要求コマンドを受信したとき、近傍情報DB35の近傍情報を参照して、通信先のユーザのユーザ識別情報に対応付けられているロボット識別情報により識別されるテレプレゼンスロボット1と通信装置4とを通信可能に接続する。したがって、通信装置4は、通信先のユーザに最も近いテレプレゼンスロボット1と通信することができ、通信元のユーザは、通信先のユーザに最も近いテレプレゼンスロボット1を用いて、通信先のユーザにテレプレゼンスを行うことができる。
次に、上記のように構成された通信システムによる通信制御処理について説明する。図3は、図1に示す通信システムによる通信制御処理の一例を示すシーケンス図である。なお、以下の処理では、ユーザ判定データとして、近傍画像データを用いる例について説明する。
まず、複数のテレプレゼンスロボット1a〜1nの各々は、近傍を360度の範囲で撮影した近傍画像データを常時又は所定間隔で撮影し、近傍画像データと自身のロボット識別情報とをクラウドサーバ3に送信する(ステップS11)。
次に、クラウドサーバ3は、複数のテレプレゼンスロボット1a〜1nから送信された近傍画像データ及びロボット識別情報を受信し、クラウドサーバ3の人物判定部32は、近傍画像データから顔画像データを抽出し、顔画像データとユーザDB33に記憶されている複数の基準顔画像データとを比較することにより、近傍画像データに含まれるユーザを判定し、判定したユーザの基準顔画像データに対応付けられているユーザ識別情報をユーザDB33から取得して近傍情報管理部34に出力する(ステップS12)。
次に、近傍情報管理部34は、近傍画像データの取得時刻を最終発見時刻として時刻情報取得部36から取得し、最終発見時刻と、人物判定部32から出力されたユーザ識別情報と、当該ユーザ識別情報の作成に使用された近傍画像データとともに送信されたロボット識別情報とを対応付けた近傍情報を近傍情報DB35に順次登録し、最も新しい近傍情報を人物判定したユーザ毎に管理する(ステップS13)。
ここで、上記の近傍情報の管理処理(ステップS13)について具体的に説明する。図4は、図1に示すクラウドサーバ3の近傍情報の管理処理の一例を説明するための模式図である。例えば、図4の上段左側に示すように、ユーザR1が矢印の進行方向に移動しているとき、テレプレゼンスロボット1aがユーザR1の方向に移動し、また、テレプレゼンスロボット1aより離れた位置にあるテレプレゼンスロボット1bもユーザR1の方向に移動している場面を想定する。
ここで、時刻16:00に、テレプレゼンスロボット1bの近傍画像データにはユーザR1が撮影されておらず、テレプレゼンスロボット1aの近傍画像データにユーザR1が撮影されている場合、テレプレゼンスロボット1aは、ユーザR1を含む近傍画像データと、自身のロボット識別情報「A」とをクラウドサーバ3に送信する。クラウドサーバ3の人物判定部32は、テレプレゼンスロボット1aの近傍画像データからユーザR1を判定し、判定したユーザR1のユーザ識別情報「X」を近傍情報管理部34に出力する。
このとき、近傍情報管理部34は、図4の上段右側に示すように、ユーザR1のユーザ識別情報「X」と、ユーザR1に最も近いロボット識別情報「A」と、最終発見時刻「16:00」とを対応付けた近傍情報を近傍情報DB35に登録する。
次に、図4の下段左側に示すように、時刻「16:05」に、テレプレゼンスロボット1aは、ユーザR1とすれ違い、ユーザR1から離れて矢印の進行方向に移動しており、テレプレゼンスロボット1aの近傍画像データにはユーザR1が撮影されなくなる。一方、テレプレゼンスロボット1b及びユーザR1が矢印の進行方向に移動し、両者が接近すると、テレプレゼンスロボット1bの近傍画像データにユーザR1が撮影される。
したがって、テレプレゼンスロボット1bは、ユーザR1を含む近傍画像データと、自身のロボット識別情報「B」とをクラウドサーバ3に送信する。クラウドサーバ3の人物判定部32は、テレプレゼンスロボット1bの近傍画像データからユーザR1を判定し、判定したユーザR1のユーザ識別情報「X」を近傍情報管理部34に出力する。
このとき、近傍情報管理部34は、図4の下段右側に示すように、ユーザR1のユーザ識別情報「X」と、ユーザR1に最も近いロボット識別情報「B」と、最終発見時刻「16:05」とを対応付けた近傍情報を近傍情報DB35に登録し、ユーザR1の近傍情報を更新する。このように、近傍情報管理部34は、人物判定したユーザ毎に最終発見時刻が最も新しい近傍情報で近傍情報DB35を更新し、人物判定したユーザ毎に最も近いテレプレゼンスロボット1のロボット識別情報を登録する。
再び、図3を参照して、通信元のユーザが通信装置4の操作部42を用いて通信先のユーザのユーザ識別情報を含む通信要求を入力すると、操作部42は、通信先のユーザのユーザ識別情報を含む通信要求コマンドを作成して通信部41に出力し、通信部17は、通信要求コマンドをクラウドサーバ3に送信する(ステップS14)。
次に、クラウドサーバ3の通信部31は、通信要求コマンドを受信して対話接続処理部37に出力し、対話接続処理部37は、近傍情報DB35の近傍情報を参照して、通信先のユーザのユーザ識別情報に対応付けられているロボット識別情報を読み出し、通信先のユーザに最も近いテレプレゼンスロボット1を特定する(ステップS15)。
次に、対話接続処理部37は、特定されたテレプレゼンスロボット1と通信装置4とを通信可能に接続する(ステップS16)。
次に、対話接続処理部37は、通信装置4からの通信元のユーザのメッセージ等を通信先のユーザに最も近いテレプレゼンスロボット1に送信するとともに、テレプレゼンスロボット1からの通信先のユーザのメッセージ等を通信装置4に送信し、通信装置4とテレプレゼンスロボット1とを用いて、通信元のユーザと通信先のユーザとの間でテレプレゼンスを実現する(ステップS17)。このようにして、通信元のユーザに、遠隔地の通信先のユーザとその場で対面しているかのような臨場感を提供することができる。
次に、上記の通信システムによる通信制御処理のうちクラウドサーバ3による近傍情報更新処理についてさらに詳細に説明する。図5は、図1に示すクラウドサーバによる近傍情報更新処理の一例を示すフローチャートである。
まず、クラウドサーバ3の通信部31は、複数のテレプレゼンスロボット1a〜1nから送信された近傍画像データ及びロボット識別情報を受信する(ステップS21)。
次に、人物判定部32は、近傍画像データから顔画像データを抽出し、顔画像データとユーザDB33に記憶されている複数の基準顔画像データとを比較することにより、近傍画像データに含まれるユーザを判定し、判定したユーザの基準顔画像データに対応付けられているユーザ識別情報をユーザDB33から取得して近傍情報管理部34に出力する(ステップS22)。
次に、近傍情報管理部34は、近傍画像データの取得時刻を最終発見時刻として時刻情報取得部36から取得し、最終発見時刻と、人物判定部32から出力されたユーザ識別情報と、当該ユーザ識別情報の作成に使用された近傍画像データとともに送信されたロボット識別情報とを対応付けた近傍情報を作成する(ステップS23)。
次に、近傍情報管理部34は、所定期間内に作成した複数の近傍情報を確認し、複数の近傍画像データから同一のユーザが判定されたか否かを判断し(ステップS24)、同一のユーザが判定されていない場合(ステップS24でNO)、ステップS27に処理を移行する。
一方、同一のユーザが判定された場合(ステップS24でYES)、近傍情報管理部34は、人物判定部32に最大顔画像領域に基づく再人物判定を指示し、人物判定部32は、同一のユーザの全ての顔画像データからユーザの顔を表す顔画像領域を抽出し、顔画像領域の面積が最も大きい顔画像データと複数の基準顔画像データとを比較することにより、顔画像領域の面積が最も大きい顔画像データからユーザを判定し、判定したユーザの基準顔画像データに対応付けられているユーザ識別情報をユーザDB33から取得して近傍情報管理部34に出力する(ステップS25)。
次に、近傍情報管理部34は、近傍画像データの取得時刻を最終発見時刻として時刻情報取得部36から取得し、最終発見時刻と、人物判定部32から出力されたユーザ識別情報と、当該ユーザ識別情報の作成に使用された近傍画像データとともに送信されたロボット識別情報とを対応付けた最大顔画像領域に基づく近傍情報を作成する(ステップS26)。
次に、近傍情報管理部34は、作成した近傍情報を近傍情報DB35に登録して近傍情報DB35を更新する(ステップS27)。その後、ステップS21以降の処理を繰り返し、最も新しい近傍情報が人物判定したユーザ毎に管理され、人物判定されたユーザのユーザ識別情報と、当該ユーザに最も近いテレプレゼンスロボット1を識別するロボット識別情報とが最終発見時刻とともに記憶される。
ここで、図1に示す複数のテレプレゼンスロボット1a〜1nの各々がクラウドサーバ3の人物判定部32、ユーザDB33、近傍情報管理部34、近傍情報DB35、時刻情報取得部36、及び対話接続処理部37を備え、近傍情報を管理する通信制御装置としても機能する場合の近傍情報更新処理について説明する。この場合、複数のテレプレゼンスロボット1a〜1nの各々は、上記のステップS21〜S27の処理に加え、同期処理として、近傍情報管理部34を各テレプレゼンスロボット1に持たせる場合の近傍情報のハンドリング処理を以下のようにして実行する。
例えば、各テレプレゼンスロボット1は、他のテレプレゼンスロボットのロボット識別情報の一覧表を持ち、所定の記憶領域、例えば、近傍情報DB35に格納する。
図6は、図1に示すテレプレゼンスロボット1が近傍情報を管理する場合の近傍情報の一例を示す図であり、図7は、図1に示すテレプレゼンスロボット1が近傍情報を管理する場合の更新後の近傍情報の一例を示す図である。
図6に示すように、近傍情報として、ユーザ識別情報、最も近いロボット識別情報、及び顔面積の各情報が、その最終更新時刻(最終発見時刻)と共に、近傍情報DB35に格納され、さらに、他の全てのテレプレゼンスロボットと近傍情報が同期したか否かを表す同期済フラグが格納され、更新時に同期済フラグが立てられる。図6に示す例では、例えば、ユーザ識別情報「Z」と、最も近いロボット識別情報「C」と、顔面積「40」と、最終発見時刻「16:03」とが対応付けられ、この近傍情報の同期済フラグは立てられていない。
上記の状態で、例えば、ロボット識別情報「A」のテレプレゼンスロボット1が、時刻「16:10」にユーザ識別情報「Z」のユーザの顔面積「70」を検出したとする。この場合、時刻「16:10」は、図6の最終発見時刻「16:03」より新しく、顔面積も大きいので、図7に示すように、ロボット識別情報「A」のテレプレゼンスロボット1の近傍情報DB35のユーザ識別情報「Z」の近傍情報が更新され、さらに、同期済フラグに「1」がセットされて同期済フラグが立てられる。
次に、ロボット識別情報「A」のテレプレゼンスロボット1の対話接続処理部37は、通信部17を介して、他の全てのテレプレゼンスロボットにユーザ識別情報「Z」、ロボット識別情報「A」、顔面積「70」、及び最終発見時刻「16:03」の近傍情報をブロードキャストする。
上記の近傍情報を受信した他の全てのテレプレゼンスロボットの近傍情報管理部34は、自身の近傍情報DB35を参照し、対応する近傍情報の同期済フラグの欄にビットが立っていない場合は、受信した近傍情報で近傍情報DB35を更新する。一方、同期済フラグの欄にビットが立っている場合、近傍情報管理部34は、受信した近傍情報を基に、更新可能か否かを判定し、判定結果に応じて近傍情報DB35を更新する。
具体的には、近傍情報管理部34は、人物判定時の顔面積を比較し、受信した近傍情報の顔面積情報の方が大きい場合、近傍情報の送信元のテレプレゼンスロボット、例えば、ロボット識別情報「A」のテレプレゼンスロボット1がユーザ識別情報Zのユーザにより近傍であることになるため、近傍情報DB35を更新し、逆の場合は更新しない。
次に、他の全てのテレプレゼンスロボットは、データベースのデータを更新したら、近傍情報の更新完了信号を、近傍情報の送信元のテレプレゼンスロボット、例えば、ロボット識別情報「A」のテレプレゼンスロボット1に送信する。ロボット識別情報「A」のテレプレゼンスロボット1は、他の全てのテレプレゼンスロボットから近傍情報の更新信号を受信したら、同期済フラグをクリアする。
上記の同期処理により、複数のテレプレゼンスロボット1a〜1nが近傍情報を管理する場合でも、一のテレプレゼンスロボットの近傍情報DB35に記憶されている近傍情報が更新された場合、更新された近傍情報を他のテレプレゼンスロボットに送信しているので、複数のテレプレゼンスロボット1a〜1nで近傍情報を同期させることができ、同じ近傍情報を管理することができる。
次に、上記の通信システムによる通信制御処理のうちクラウドサーバ3による通信接続処理についてさらに詳細に説明する。図8は、図1に示すクラウドサーバ3による通信接続処理の一例を示すフローチャートである。
まず、通信元のユーザが通信装置4の操作部42を用いて通信先のユーザのユーザ識別情報を含む通信要求を入力し、通信部17が通信要求コマンドをクラウドサーバ3に送信すると、クラウドサーバ3の通信部31は、通信要求コマンドを受信して対話接続処理部37に出力する(ステップS31)。
次に、対話接続処理部37は、近傍情報DB35の近傍情報を参照して、通信先のユーザのユーザ識別情報に対応付けられているロボット識別情報を読み出し、通信先のユーザに最も近いテレプレゼンスロボット1を特定する(ステップS32)。
次に、対話接続処理部37は、特定されたテレプレゼンスロボット1と通信装置4とを通信可能に接続する(ステップS33)。
次に、対話接続処理部37は、通信装置4からの通信元のユーザのメッセージ等を通信先のユーザに最も近いテレプレゼンスロボット1に送信するとともに、テレプレゼンスロボット1からの通信先のユーザのメッセージ等を通信装置4に送信することにより、通信装置4とテレプレゼンスロボット1とを用いて、通信元のユーザと通信先のユーザとの間でテレプレゼンスを実現する(ステップS34)。
上記の処理により、本実施の形態では、複数のユーザだけでなく、複数のテレプレゼンスロボット1a〜1nが移動する環境下において、通信元のユーザが使用する通信装置4と、複数のテレプレゼンスロボット1a〜1nの中から通信先のユーザに最も近いテレプレゼンスロボットとを通信可能に接続し、通信元のユーザと通信先のユーザとの間でその場で対面しているかのような臨場感を実現しながら、良好なテレプレゼンスを行うことができる。
(実施の形態2)
図9は、本開示の実施の形態2に係る通信システムの構成の一例を示すブロック図である。図9に示す通信システムが図1に示す通信システムと異なる点は、複数の通信先のユーザが所持する複数の携帯端末5a〜5m(以下、携帯端末5とも記載)が追加され、クラウドサーバ3が、さらに、ユーザ位置管理部61、ユーザ位置DB(データベース)62、通信履歴解析部63、通信履歴DB(データベース)64、及びロボット位置制御部65を備えるクラウドサーバ3aに変更された点であり、その他の点は、図1に示す通信システムと同様であるので、同一部分には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
上記の実施の形態1では、通信元のユーザが使用する通信装置4と、複数のテレプレゼンスロボット1a〜1nの中から通信先のユーザに最も近いテレプレゼンスロボットとを通信可能に接続したが、本実施の形態では、上記の処理に加え、通信装置4と複数のテレプレゼンスロボット1a〜1nとの通信履歴に基づき、複数の通信先のユーザの中から高頻度にアクセスされるユーザを特定し、当該ユーザの近傍に複数のテレプレゼンスロボット1a〜1nの中から少なくとも1台のテレプレゼンスロボットを配置し、当該ユーザのテレプレゼンスを容易にする。
なお、クラウドサーバ3aは、上記の例に特に限定されず、例えば、人物判定部32、ユーザDB33、近傍情報管理部34、近傍情報DB35、及び時刻情報取得部36を省略して、通信装置4と複数のテレプレゼンスロボット1a〜1nとの通信履歴に基づき、複数の通信先のユーザの中から高頻度にアクセスされるユーザを特定し、当該ユーザの近傍に複数のテレプレゼンスロボット1a〜1nの中から少なくとも1台のテレプレゼンスロボットを配置するようにしてもよい。
携帯端末5a〜5mの各々は、例えば、スマートフォン等から構成され、少なくとも位置検出部51及び通信部52を備える。位置検出部51は、携帯端末5を所持する通信先のユーザの現在位置を示すユーザ位置情報を検出し、通信部52は、検出されたユーザ位置情報を通信先のユーザのユーザ識別情報とともにクラウドサーバ3aに送信する。
例えば、大阪のオフィス内に複数のWi−Fi(登録商標)基地局又はビーコン発信器を設置し、位置検出部51は、Wi−Fi(登録商標)測位法又はビーコン測位法を用いて、Wi−Fi(登録商標)基地局又はビーコン発信器からの電波の強度の違いを算出し、携帯端末5を所持する通信先のユーザの現在位置を推定する。なお、通信先のユーザの現在位置の検出方法は、上記の例に特に限定されず、例えば、通信先のユーザのスマートフォン等が備える加速度センサ、磁気センサ、角速度センサ等を用いて、通信先のユーザの移動方向及び移動量を推定する歩行者自立航法、GPS(Global Positioning System)と同じ方式(プロトコルと周波数)の発信器を屋内に設置し、既存のスマートフォンのGPS受信機能を流用して屋内と屋外との通信先のユーザの位置をシームレスに測定するIMES(Indoor Messaging System)測位法、屋内に設置されたスピーカから発生される超音波をスマートフォンで受信し、通信先のユーザの位置を推定する音波測位法等の他の方法を用いてもよい。
クラウドサーバ3aの通信部31は、各携帯端末5a〜5mから送信された通信先の各ユーザの現在位置を示すユーザ位置情報及びユーザ識別情報を受信してユーザ位置管理部61に出力する。ユーザ位置管理部61は、ユーザ位置情報及びユーザ識別情報をユーザ位置DB62に記憶する。
ここで、本実施の形態では、通信装置4の操作部42は、通信装置4を用いて通信する通信元のユーザのユーザ識別情報、及び通信先のユーザのユーザ識別情報を含む通信要求コマンドを作成して通信部41に出力し、通信部17は、通信要求コマンドをクラウドサーバ3aに送信する。
対話接続処理部37は、テレプレゼンスロボット1と通信装置4とを通信可能に接続したとき、テレプレゼンスロボット1と通信装置4との通信履歴情報として、テレプレゼンスロボット1を用いて通信した通信先のユーザのユーザ識別情報、通信先のユーザがテレプレゼンスロボット1を使用開始した時刻を示す時刻情報、及び通信装置4を用いて通信した通信元のユーザのユーザ識別情報を通信履歴解析部63に出力する。通信履歴解析部63は、通信履歴情報を通信履歴DB64に記憶する。
図10は、図9に示す通信履歴DB64に記憶される通信履歴情報の一例を示す図である。図10に示すように、通信履歴DB64は、通信履歴情報として、通信開始時刻を示す時刻の欄に時刻情報が格納され、通信元ユーザ識別情報の欄に通信元のユーザのユーザ識別情報が格納され、通信先ユーザ識別情報の欄に通信先のユーザのユーザ識別情報が格納される。例えば、「10:20」から通信元ユーザ識別情報「a」の通信元のユーザが通信先ユーザ識別情報「X」の通信先のユーザとの通信を開始した場合、時刻「10:20」と、通信元ユーザ識別情報「a」と、通信先ユーザ識別情報「X」とが対応付けられて通信履歴DB64に記憶される。
なお、時刻情報は、上記の使用開始時刻に特に限定されず、使用開始時刻及び使用終了時刻を用いて使用時間帯を特定したり、使用終了時刻のみを用いる等の種々の変更が可能である。
通信履歴解析部63は、通信履歴DB64の通信履歴情報を参照して、通信頻度が所定値より高い通信先のユーザを高頻度にアクセスされる人物として特定し、特定した通信先のユーザのユーザ識別情報をロボット位置制御部65に出力する。例えば、通信履歴解析部63は、通信頻度の上位数人を高頻度にアクセスされる人物として特定したり、通信頻度が最も高い人物を高頻度にアクセスされる人物として特定したり、所定期間内の通信回数が所定回数以上の人物を高頻度にアクセスされる人物として特定したりする。
図10に示す例の場合、ユーザ識別情報「X」の通信先のユーザが最も高頻度にアクセスされているので、通信履歴解析部63は、ユーザ識別情報「X」の通信先のユーザを高頻度にアクセスされる人物として特定する。
また、通信履歴解析部63は、通信履歴DB64の通信履歴情報を参照して、通信先のユーザの通信頻度が所定値より高い時間帯を特定し、特定した時間帯を示す時間帯情報を通信頻度が所定値より高い通信先のユーザのユーザ識別情報とともにロボット位置制御部65に出力するようにしてもよい。例えば、通信履歴解析部63は、通信時間を午前と午後に区分し、午前又は午後に通信頻度の上位数人を高頻度にアクセスされる人物として特定したり、午前又は午後に通信頻度が最も高い人物を高頻度にアクセスされる人物として特定したり、午前又は午後の通信回数が所定回数以上の人物を高頻度にアクセスされる人物として特定したりする。
図10に示す例の場合、ユーザ識別情報「X」の通信先のユーザは、午前中の通信頻度が最も高いので、通信履歴解析部63は、ユーザ識別情報「X」の通信先のユーザを高頻度にアクセスされる人物として特定するとともに、通信先のユーザの通信頻度が所定値より高い時間帯として「午前」を特定する。なお、時間帯の区分は、上記の例に特に限定されず、例えば、1時間毎に通信頻度の上位数人又は通信頻度が最も高い人物を高頻度にアクセスされる人物として特定する等の種々の変更が可能である。
ロボット位置制御部65は、ユーザ位置管理部61を用いて、通信履歴解析部63により特定された通信先のユーザの現在位置を示すユーザ位置情報をユーザ位置DB62から読み出す。ロボット位置制御部65は、通信部31を用いて、特定された通信先のユーザの近傍にテレプレゼンスロボット1a〜1nのうち少なくとも1台のテレプレゼンスロボットを移動させるための移動命令を当該テレプレゼンスロボットに送信する。
具体的には、ロボット位置制御部65は、近傍情報管理部34を用いて、近傍情報DB35を参照し、特定された通信先のユーザの近傍、例えば、一定距離内にテレプレゼンスロボットがいるか否かを判定する。一定距離内にテレプレゼンスロボットがいない場合、ロボット位置制御部65は、特定された通信先のユーザに最も近いテレプレゼンスロボットを特定し、通信部31を用いて、特定された通信先のユーザの近傍に移動させるための移動命令を特定したテレプレゼンスロボットに送信する。
この場合、移動命令を受信したテレプレゼンスロボットは、特定された通信先のユーザの近傍、例えば、1m以内の距離まで移動し、その後、その距離を維持しながら、特定された通信先のユーザを追尾する。したがって、よくアクセスされる人物の側には、通信可能な状態のテレプレゼンスロボットが可能な限り配置され、もし、よくアクセスされる人物の近くのテレプレゼンスロボットが使用された場合でも、別のテレプレゼンスロボットがよくアクセスされる人物の近傍に配置されることとなる。
また、時間帯が特定されている場合、ロボット位置制御部65は、通信部31を用いて、特定された時間帯に通信先のユーザの近傍にテレプレゼンスロボット1a〜1nのうち少なくとも1台のテレプレゼンスロボットを移動させるための移動命令を当該テレプレゼンスロボットに送信する。
この場合、移動命令を受信したテレプレゼンスロボットは、特定された時間帯に通信先のユーザの近傍、例えば、1m以内の距離まで移動し、その後、その距離を維持しながら、特定された通信先のユーザを特定された時間帯の間追尾する。したがって、午前中によくアクセスされる人物の側には、通信可能な状態のテレプレゼンスロボットが午前中に可能な限り配置され、もし、よくアクセスされる人物の近くのテレプレゼンスロボットが使用された場合でも、別のテレプレゼンスロボットがよくアクセスされる人物の近傍に午前中に配置される。
図11は、図9に示す通信システムによる通信制御処理の一例を示すシーケンス図である。
まず、複数の携帯端末5a〜5mの各々の位置検出部51は、通信先の各ユーザのユーザ位置情報を常時又は所定間隔で検出し、通信部52は、通信先の各ユーザのユーザ位置情報及びユーザ識別情報をクラウドサーバ3aに送信する(ステップS41)。
次に、クラウドサーバ3aの通信部31は、携帯端末5a〜5mから送信された通信先の各ユーザのユーザ位置情報及びユーザ識別情報を受信してユーザ位置管理部61に出力し、ユーザ位置管理部61は、通信先の各ユーザのユーザ位置情報及びユーザ識別情報をユーザ位置DB62に記憶する(ステップS42)。
次に、クラウドサーバ3aは、クラウドサーバ3と同様に、図3に示す通信制御処理を実行し、対話接続処理部37は、通信先のテレプレゼンスロボット1と通信装置4とを通信可能に接続し、通信装置4からの通信元のユーザのメッセージ等を通信先のユーザに最も近いテレプレゼンスロボット1に送信するとともに、テレプレゼンスロボット1からの通信先のユーザのメッセージ等を通信装置4に送信し、通信装置4とテレプレゼンスロボット1とを用いて、通信元のユーザと通信先のユーザとの間でテレプレゼンスを実現する(ステップS43)。
次に、対話接続処理部37は、テレプレゼンスロボット1と通信装置4との通信履歴情報として、テレプレゼンスロボット1を用いて通信した通信先のユーザのユーザ識別情報、通信先のユーザがテレプレゼンスロボット1を使用開始した時刻を示す時刻情報、及び通信装置4を用いて通信した通信元のユーザのユーザ識別情報を通信履歴解析部63に出力し、通信履歴解析部63は、通信履歴情報を通信履歴DB64に記憶する(ステップS44)。
次に、通信履歴解析部63は、通信履歴DB64の通信履歴情報を参照して、通信頻度が所定値より高い通信先のユーザを高頻度に通話している人物として特定し、特定した通信先のユーザのユーザ識別情報をロボット位置制御部65に出力する(ステップS45)。
次に、ロボット位置制御部65は、近傍情報管理部34及び近傍情報DB35を用いて、特定された通信先のユーザの一定距離内にテレプレゼンスロボットがいるか否かを判定する(ステップS46)。特定された通信先のユーザの一定距離内にテレプレゼンスロボットがいる場合(ステップS46でYES)、処理を終了する。
一方、特定された通信先のユーザの一定距離内にテレプレゼンスロボットがいない場合(ステップS46でNO)、ロボット位置制御部65は、近傍情報管理部34及び近傍情報DB35を用いて、特定された通信先のユーザに最も近いテレプレゼンスロボットを特定する(ステップS47)。
次に、ロボット位置制御部65は、通信部31を用いて、特定された通信先のユーザの近傍に移動させるための移動命令を特定したテレプレゼンスロボットに送信する(ステップS48)。
次に、テレプレゼンスロボットは、通信部31からの移動命令を受信し、特定された通信先のユーザの近傍まで移動し、その後、その距離を維持しながら、特定された通信先のユーザを追尾する(ステップS49)。なお、図11では、図示を容易にするため、各処理を1回実行するように図示しているが、この例に特に限定されず、各処理を適宜複数回実行し、最新の通信履歴に基づいて、高頻度に会話している人物の近くにテレプレゼンスロボットを配置するようにしてもよい。
上記の処理により、本実施の形態では、複数のユーザだけでなく、複数のテレプレゼンスロボット1a〜1nが移動する環境下において、通信元のユーザが使用する通信装置4と複数のテレプレゼンスロボット1a〜1nとの通信履歴情報として、テレプレゼンスロボットを用いて通信した通信先のユーザを識別するユーザ識別情報と、通信先のユーザがテレプレゼンスロボットを使用した時刻を示す時刻情報とを対応付けて通信履歴DB64に記憶し、通信履歴DB64の通信履歴情報を参照して、通信頻度が所定値より高い通信先のユーザを特定し、特定した通信先のユーザの近傍に複数のテレプレゼンスロボット1a〜1nのうち少なくとも1台のテレプレゼンスロボットを配置しているので、高頻度にアクセスされる通信先のユーザが、近傍に位置するテレプレゼンスロボットを用いて、通信元のユーザの通信装置4とのテレプレゼンスを容易に行うことができる。
(実施の形態3)
図12は、本開示の実施の形態3に係る通信システムの構成の一例を示すブロック図である。図12に示す通信システムが図1に示す通信システムと異なる点は、複数の通信先のユーザが所持する複数の携帯端末5a〜5mが追加され、クラウドサーバ3が、さらに、ユーザ位置管理部61、ユーザ位置DB62、ロボット位置管理部66、及びロボット位置DB(データベース)67を備えるクラウドサーバ3bに変更され、テレプレゼンスロボット1a〜1nが、さらに、位置検出部24を備えるテレプレゼンスロボット1a’〜1n’(以下、テレプレゼンスロボット1’とも記載)に変更された点であり、その他の点は、図1に示す通信システムと同様であるので、同一部分には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
上記の実施の形態1では、通信元のユーザが使用する通信装置4と、複数のテレプレゼンスロボット1a〜1nの中から通信先のユーザに最も近いテレプレゼンスロボットとを通信可能に接続したが、本実施の形態では、上記の処理に加え、全てのテレプレゼンスロボット1a’〜1n’の位置と、全ての通信先のユーザの位置とをモニタリングし、全ての通信先のユーザの位置に応じて全てのテレプレゼンスロボット1a’〜1n’の位置を自動的に調整し、テレプレゼンスロボット1a’〜1n’の一極集中を防ぐことにより、通信先のユーザのテレプレゼンスを容易にする。
なお、クラウドサーバ3bは、上記の例に特に限定されず、例えば、人物判定部32、ユーザDB33、近傍情報管理部34、近傍情報DB35、及び時刻情報取得部36を省略して、全てのテレプレゼンスロボット1a’〜1n’の位置と、全ての通信先のユーザの位置とをモニタリングし、通信先のユーザの位置に応じてテレプレゼンスロボット1a’〜1n’の位置を自動的に調整するようにしてもよい。
携帯端末5a〜5mの各々は、位置検出部51及び通信部52を備え、実施の形態2と同様に構成され、同様に動作する。
クラウドサーバ3bの通信部31は、各携帯端末5a〜5mから送信された通信先の各ユーザの現在位置を示すユーザ位置情報及びユーザ識別情報を受信してユーザ位置管理部61に出力する。ユーザ位置管理部61は、ユーザ位置情報及びユーザ識別情報をユーザ位置DB62に記憶する。
テレプレゼンスロボット1a’〜1n’の位置検出部24は、位置検出部51と同様に構成され、各テレプレゼンスロボット1a’〜1n’の現在位置を示すロボット位置情報(装置位置情報)を検出し、通信部17は、検出されたロボット位置情報をロボット識別情報とともにクラウドサーバ3bに送信する。
例えば、大阪のオフィス内に複数のWi−Fi(登録商標)基地局又はビーコン発信器を設置し、位置検出部24は、Wi−Fi(登録商標)測位法又はビーコン測位法を用いて、Wi−Fi(登録商標)基地局又はビーコン発信器からの電波の強度の違いを算出し、テレプレゼンスロボット1a’〜1n’の現在位置を推定する。なお、テレプレゼンスロボット1a’〜1n’の現在位置の検出方法は、上記の例に特に限定されず、例えば、加速度センサ、磁気センサ、角速度センサ等を用いて、テレプレゼンスロボット1a’〜1n’の移動方向及び移動量を推定する自立航法、GPSと同じ方式(プロトコルと周波数)の発信器を屋内に設置し、既存のGPS受信機能を流用して屋内と屋外とのテレプレゼンスロボット1a’〜1n’の位置をシームレスに測定するIMES測位法、屋内に設置されたスピーカから発生される超音波をマイク13で受信し、テレプレゼンスロボット1a’〜1n’の位置を推定する音波測位法等の他の方法を用いてもよい。
クラウドサーバ3bの通信部31は、各テレプレゼンスロボット1a’〜1n’から送信された各テレプレゼンスロボット1a’〜1n’の現在位置を示すロボット位置情報及びロボット識別情報を受信してロボット位置管理部66に出力する。ロボット位置管理部66は、ロボット位置情報及びロボット識別情報をロボット位置DB67に記憶する。
ロボット位置管理部66は、ユーザ位置管理部61を介してユーザ位置DB62からユーザ位置情報を読み出すとともに、ロボット位置DB67からロボット位置情報を読み出す。ロボット位置管理部66は、ユーザ位置情報及びロボット位置情報を基に、複数のテレプレゼンスロボット1a’〜1n’が複数の通信先のユーザに対して均一に分散される配置を決定する。ロボット位置管理部66は、通信部31を用いて、複数のテレプレゼンスロボット1a’〜1n’が複数の通信先のユーザに対して分散して配置されるようにテレプレゼンスロボット1a’〜1n’を移動させるための移動命令をテレプレゼンスロボット1a’〜1n’に送信する。
具体的には、ロボット位置管理部66は、通信先の各ユーザと、当該ユーザに最も近いテレプレゼンスロボットとの距離の和を最小化する配置を計算し、通信先の各ユーザとテレプレゼンスロボット1a’〜1n’との距離を最適化する。
また、通信先のユーザが位置する空間が複数の部屋に跨る場合や、広い空間内でも障害物が存在する場合には、ロボット位置管理部66は、テレプレゼンスロボットの現在位置をスタートとし、通信先の各ユーザの現在位置をゴールとした時の経路計画を、下記の手法を用いて行い、各テレプレゼンスロボットが移動する経路の和が最小化される位置に、各テレプレゼンスロボットを移動させるようにしてもよい。例えば、内田雅文、「移動ロボットのための最短経路計画法」、電学論C、115巻9号、平成7年、p.1079―1085、又は、陳謙、辻三郎、「更新効率を重視した屋内移動ロボットの経路計画のための新しい地図モデル」、日本ロボット学会誌、Vol.10、No.1、1992年、p89〜98等に記載される手法を用いることができる。なお、通信先のユーザが位置する空間のフロアの地図等は、ロボット位置DB67に予め記憶しておく。
図13は、図12に示すテレプレゼンスロボット1a’〜1n’の配置状態の一例を示す模式図である。例えば、6人のユーザR1〜R6と3台のテレプレゼンスロボット1a’〜1c’とが通信先となる大阪のオフィスにいる場合を仮定する。この場合、上記の移動命令が送信される前は、図13の左側に示すように、分散して位置する6人のユーザR1〜R6に対して、3台のテレプレゼンスロボット1a’〜1c’が一極集中している。このとき、クラウドサーバ3bが、上記の移動命令を2台のテレプレゼンスロボット1b’、1c’に送信すると、図13の右側に示すように、2台のテレプレゼンスロボット1b’、1c’が図示のように移動し、3台のテレプレゼンスロボット1a’〜1c’が6人のユーザR1〜R6に対して分散した位置に配置される。
図14は、図12に示す通信システムによる通信制御処理の一例を示すシーケンス図である。
まず、複数の携帯端末5a〜5mの各々の位置検出部51は、通信先の各ユーザのユーザ位置情報を常時又は所定間隔で検出し、通信部52は、通信先の各ユーザのユーザ位置情報及びユーザ識別情報をクラウドサーバ3bに送信する(ステップS51)。
次に、クラウドサーバ3bの通信部31は、携帯端末5a〜5mから送信された通信先の各ユーザのユーザ位置情報及びユーザ識別情報を受信してユーザ位置管理部61に出力し、ユーザ位置管理部61は、通信先の各ユーザのユーザ位置情報及びユーザ識別情報をユーザ位置DB62に記憶する(ステップS52)。
次に、複数のテレプレゼンスロボット1a’〜1n’の各々の位置検出部24は、各テレプレゼンスロボット1a’〜1n’のロボット位置情報を常時又は所定間隔で検出し、通信部17は、複数のテレプレゼンスロボット1a’〜1n’のロボット位置情報及びロボット識別情報をクラウドサーバ3bに送信する(ステップS53)。
次に、クラウドサーバ3bの通信部31は、テレプレゼンスロボット1a’〜1n’から送信されたロボット位置情報及びロボット識別情報を受信してロボット位置管理部66に出力し、ロボット位置管理部66は、各テレプレゼンスロボット1a’〜1n’のロボット位置情報及びロボット識別情報をロボット位置DB67に記憶する(ステップS54)。
次に、ロボット位置管理部66は、ユーザ位置管理部61を介してユーザ位置DB62からユーザ位置情報を読み出すとともに、ロボット位置DB67からロボット位置情報を読み出し、通信先の各ユーザと、当該ユーザに最も近いテレプレゼンスロボットとの現在の距離を算出する(ステップS55)。
次に、ロボット位置管理部66は、通信先の各ユーザと、当該ユーザに最も近いテレプレゼンスロボットとの距離の和を最小化する配置を計算し、通信先の各ユーザとテレプレゼンスロボットとの距離を最適化する(ステップS56)。
次に、ロボット位置管理部66は、通信部31を用いて、通信先の各ユーザと、当該ユーザに最も近いテレプレゼンスロボットとの距離の和を最小化する配置となるようにテレプレゼンスロボット1a’〜1n’を移動させるための移動命令をテレプレゼンスロボット1a’〜1n’に送信する(ステップS57)。
次に、テレプレゼンスロボット1a’〜1n’は、通信部31からの移動命令を受信し、移動命令に示される位置まで移動する(ステップS58)。したがって、複数のテレプレゼンスロボット1a’〜1n’が複数の通信先のユーザに対して分散した状態に配置される。なお、図14では、図示を容易にするため、各処理を1回実行するように図示しているが、この例に特に限定されず、各処理を適宜複数回実行し、複数のテレプレゼンスロボット1a’〜1n’が通信先の各ユーザの最新の位置に対して常に分散するようにしてもよい。
上記の処理により、本実施の形態では、複数のユーザだけでなく、複数のテレプレゼンスロボット1a’〜1n’が移動する環境下において、複数の通信先のユーザの各々の位置を示すユーザ位置情報及び複数のテレプレゼンスロボット1a’〜1n’の各々の位置を示すロボット位置情報を受信し、受信したユーザ位置情報及びロボット位置情報を基に、複数のテレプレゼンスロボット1a’〜1n’が複数の通信先のユーザに対して分散して配置されるように複数のテレプレゼンスロボット1a’〜1n’を移動させているので、複数の通信先のユーザの各々が、最も近くに位置するテレプレゼンスロボットを用いて、通信元のユーザの通信装置4との通信を容易に行うことができ、複数のテレプレゼンスロボット1a’〜1n’を効率的に使用することができる。
(実施の形態4)
図15は、本開示の実施の形態4に係る通信システムの構成の一例を示すブロック図である。図15に示す通信システムが図12に示す通信システムと異なる点は、クラウドサーバ3bが、さらに、通信状態管理部68、通信状態DB(データベース)69を備えるクラウドサーバ3cに変更された点であり、その他の点は、図12に示す通信システムと同様であるので、同一部分には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
上記の実施の形態3では、全てのテレプレゼンスロボット1a’〜1n’の位置と、全ての通信先のユーザの位置とをモニタリングし、全ての通信先のユーザの位置に応じて全てのテレプレゼンスロボット1a’〜1n’の位置を自動的に調整したが、本実施の形態では、全てのテレプレゼンスロボット1a’〜1n’の位置と、全ての通信先のユーザの位置とをモニタリングするとともに、通信状態のテレプレゼンスロボットを特定し、通信状態のテレプレゼンスロボットを使用しているユーザ以外の通信先の未通信ユーザの位置に応じて、通信状態のテレプレゼンスロボット以外の未通信テレプレゼンスロボット(未通信装置)の位置を自動的に調整し、未通信テレプレゼンスロボットの一極集中を防ぐことにより、未通信ユーザのテレプレゼンスを容易にする。
なお、クラウドサーバ3cは、上記の例に特に限定されず、例えば、人物判定部32、ユーザDB33、近傍情報管理部34、近傍情報DB35、及び時刻情報取得部36を省略して、全てのテレプレゼンスロボット1a’〜1n’の位置と、全ての通信先のユーザの位置とをモニタリングするとともに、通信状態のテレプレゼンスロボットを特定し、通信状態のテレプレゼンスロボットを使用しているユーザ以外の通信先の未通信ユーザの位置に応じて、通信状態のテレプレゼンスロボット以外の未通信テレプレゼンスロボットの位置を自動的に調整するようにしてもよい。
対話接続処理部37は、テレプレゼンスロボット1と通信装置4とを通信可能に接続したとき、テレプレゼンスロボット1と通信装置4との通信状態として、通信に使用されているテレプレゼンスロボット1のロボット識別情報、及び当該テレプレゼンスロボット1を用いて通信している通信先のユーザのユーザ識別情報を含む通信状態情報を通信状態管理部68に出力する。通信状態管理部68は、現在の通信状態情報を通信状態DB69に記憶して通信状態を更新する。
通信状態管理部68は、通信状態DB69の通信状態情報を参照して、全てのテレプレゼンスロボット1a’〜1n’のうち通信状態にあるテレプレゼンスロボットを特定し、通信状態にあるテレプレゼンスロボットのロボット識別情報及び当該テレプレゼンスロボットを使用している通信先のユーザのユーザ識別情報をロボット位置管理部66に出力する。
ロボット位置管理部66は、通信状態にあるテレプレゼンスロボット及び当該テレプレゼンスロボットを使用している通信先のユーザを除外して、ユーザ位置管理部61を介してユーザ位置DB62からユーザ位置情報を読み出すとともに、ロボット位置DB67からロボット位置情報を読み出す。ロボット位置管理部66は、通信状態にあるテレプレゼンスロボットを使用している通信先のユーザのユーザ位置情報及び当該テレプレゼンスロボットのロボット位置情報を除くユーザ位置情報及びロボット位置情報を基に、未通信テレプレゼンスロボットが未通信ユーザに対して均一に分散される配置を決定する。ロボット位置管理部66は、通信部31を用いて、未通信テレプレゼンスロボットが未通信ユーザに対して分散して配置されるように未通信テレプレゼンスロボットを移動させるための移動命令を未通信テレプレゼンスロボットに送信する。
図16は、図15に示すテレプレゼンスロボット1a’〜1n’の配置状態の一例を示す模式図である。例えば、6人のユーザR1〜R6と3台のテレプレゼンスロボット1a’〜1c’とが通信先となる大阪のオフィスにいる場合を仮定する。この場合、上記の移動命令が送信される前は、図16の左側に示すように、分散して位置する6人のユーザR1〜R6に対して、3台のテレプレゼンスロボット1a’〜1c’が分散して配置されている。このとき、ユーザR4がテレプレゼンスロボット1c’を用いてテレプレゼンスを開始すると、クラウドサーバ3bは、ユーザR4及びテレプレゼンスロボット1cを除外して、2台のテレプレゼンスロボット1a’、1b’が5人のユーザR1〜R3、R4、R6に対して分散して配置されるように、上記の移動命令を2台のテレプレゼンスロボット1a’、1b’に送信する。この結果、図16の右側に示すように、2台のテレプレゼンスロボット1a’、1b’が図示のように移動し、2台のテレプレゼンスロボット1a’、1b’が5人のユーザR1〜R3、R4、R6に対して分散した位置に配置される。
図17は、図15に示す通信システムによる通信制御処理の一例を示すシーケンス図である。
まず、図17に示す通信制御処理では、図14に示す通信制御処理と同様にステップS51〜S54の処理が実行される。
次に、クラウドサーバ3cは、クラウドサーバ3と同様に、図3に示す通信制御処理を実行し、対話接続処理部37は、通信先のテレプレゼンスロボット1と通信装置4とを通信可能に接続し、通信装置4からの通信元のユーザのメッセージ等を通信先のユーザに最も近いテレプレゼンスロボット1に送信するとともに、テレプレゼンスロボット1からの通信先のユーザのメッセージ等を通信装置4に送信し、通信装置4とテレプレゼンスロボット1とを用いて、通信元のユーザと通信先のユーザとの間でテレプレゼンスを実現する(ステップS61)。
次に、対話接続処理部37は、テレプレゼンスロボット1と通信装置4との通信状態として、通信に使用されているテレプレゼンスロボット1のロボット識別情報、及び当該テレプレゼンスロボット1を用いて通信している通信先のユーザのユーザ識別情報を含む通信状態情報を通信状態管理部68に出力し、通信状態管理部68は、現在の通信状態情報を通信状態DB69に記憶して通信状態を更新する(ステップS62)。
次に、通信状態管理部68は、通信状態DB69の通信状態情報を参照して、通信状態にあるテレプレゼンスロボットを特定し、通信状態にあるテレプレゼンスロボットのロボット識別情報及び当該テレプレゼンスロボットを使用している通信先のユーザのユーザ識別情報をロボット位置管理部66に出力し、ロボット位置管理部66は、通信状態にあるテレプレゼンスロボット及び当該テレプレゼンスロボットを使用している通信先のユーザを除外して、ユーザ位置情報及びロボット位置情報を読み出し、通信先の各未通信ユーザと、当該ユーザに最も近い未使用テレプレゼンスロボットとの現在の距離を算出する(ステップS63)。
次に、ロボット位置管理部66は、通信先の各未通信ユーザと、当該ユーザに最も近い未使用テレプレゼンスロボットとの距離の和を最小化する配置を計算し、未通信ユーザと未使用テレプレゼンスロボットとの距離を最適化する(ステップS64)。
次に、ロボット位置管理部66は、通信部31を用いて、未通信テレプレゼンスロボットが未通信ユーザに対して分散して配置されるように未通信テレプレゼンスロボットを移動させるための移動命令を未通信テレプレゼンスロボットに送信する(ステップS65)。
次に、未通信テレプレゼンスロボットは、通信部31からの移動命令を受信し、移動命令に示される位置まで移動する(ステップS66)。したがって、複数の未通信テレプレゼンスロボットが複数の通信先の未通信ユーザに対して分散した状態に配置される。なお、図17では、図示を容易にするため、各処理を1回実行するように図示しているが、この例に特に限定されず、各処理を適宜複数回実行し、複数の未通信テレプレゼンスロボットが通信先の各未通信ユーザの最新の位置に対して常に分散するようにしてもよい。
上記の処理により、本実施の形態では、複数のユーザだけでなく、複数のテレプレゼンスロボット1a’〜1n’が移動する環境下において、複数のテレプレゼンスロボット1a’〜1n’のうち通信装置4と通信していない未通信テレプレゼンスロボットが複数の通信先のユーザのうち通信装置4と通信していない未通信ユーザに対して分散して配置されるように未通信テレプレゼンスロボットを移動させているので、未通信ユーザが、最も近くに位置する未通信テレプレゼンスロボットを用いて、通信装置4との通信を容易に行うことができ、未通信テレプレゼンスロボットを効率的に使用することができる。
以上、本開示の一態様に係る通信システムについて、上記の実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記の実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が想到する各種変形を本実施の形態に施したもの、あるいは異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。