以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は基本的に模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。
図1及び図2には、本発明の吸収体の製造方法で製造される吸収体の一実施形態である吸収体10が示されている。吸収体10は、シート片11と親水性繊維12とを含む。
シート片11は、複数の繊維がまとまって一体となった繊維集合体(繊維塊)である。シート片11は、複数の繊維を集積させて製造されたものではなく、シート片11よりも寸法の大きな原料シートを、互いに交差する2方向で切断(クロスカット)することによって製造されたものであり、典型的には、原料シートとしての不織布から所定の大きさ及び形状に切り出された不織布片である。
図3及び図4には、長尺帯状のシート片用原料シート110A,110Bが互いに交差する2方向(第1方向D1、第2方向D2)でクロスカットされて、複数のシート片11A,11Bとされた状態が示されている。図3及び図4では、2方向D1,D2は互いに直交しており、シート片11A,11Bは、それぞれ、平面視形状が長方形形状である。複数のシート片11Aどうしは、平面視における形状及び寸法(長手方向長さL1、幅方向長さL2)が互いに同じであり、また、厚みも同じである。複数のシート片11Bどうしも同様である。
特許文献1に記載の不織布片の製造方法は、原料シートとしての不織布をカッターミル方式で粉砕する方法であるが、この方法では、シート片11A,11Bのような形状及び寸法が揃った定形性の高い複数のシート片を製造するのは困難である。形状及び寸法が揃った定形性の高いシート片を吸収体に含有させた場合、特許文献1に記載の不織布片の如き定形性の低いシート片を含有させた場合と比べて、吸収体におけるシート片の均一分散性が向上し、シート片を使用することで期待される効果(吸収体の柔軟性、クッション性、圧縮回復性などの向上効果)が安定的に発現するようになる。
なお、原料シート110A,110Bは、それぞれ、表面に凹凸形状を有する凹凸シートであり、これをクロスカットして製造されるシート片11A,11Bの表面には、凹凸シート110A,110B由来の凹凸形状が存在し得る。本発明は、シート片用原料シートとしてこのような凹凸シートを用いる点で特徴付けられる。斯かる本発明の特徴については後で詳述する。
本明細書では、前述した原料シート110A,110B、及び後述する他の原料シート110C,110D,110Eを含む、シート片の製造に用いる原料シート(シート片用原料シート)を「原料シート110」と言う場合がある。各原料シート110A等についての説明は、特に断らない限り、原料シート110すなわち本発明に係る原料シートに適用される。また、以下では、シート片11A,11Bを総合して「シート片11」と言う場合がある。
シート片用原料シート110の切断方向の1つである「第1方向D1」は、長尺帯状の原料シート110の長手方向であり、後述する切断工程における原料シート110の搬送方向でもある。また、原料シート110の切断方向の他の1つである「第2方向D2」は、第1方向D1に交差する方向であり、図3及び図4では、第1方向D1に対して直交しており、両方向D1,D2のなす角度は90度である。
シート片11の大きさは特に制限されず、吸収体10の用途、あるいは吸収体10が適用される吸収性物品の用途等に応じて適宜調整できる。
シート片11A,11Bの如き、平面視長方形形状のシート片11において、長手方向長さL1(図3及び図4参照)は、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは1mm以上、そして、好ましくは30mm以下、より好ましくは15mm以下であり、幅方向長さL2(図3及び図4参照)は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上、そして、好ましくは30mm以下、より好ましくは15mm以下である。
シート片11が平面視正方形形状の場合、その正方形の各辺の長さは、前記長さL1又はL2と同様の範囲に調整することができる。
シート片用原料シート110は合成繊維を含む。原料シート110は、典型的には、合成繊維を主体とする。原料シート110の全構成繊維に占める合成繊維の割合は、好ましくは30質量%以上であり、100質量%、すなわち原料シート110の構成繊維の全部が合成繊維でもよい。原料シート110は、合成繊維を含むシート状の繊維集合体であればよく、その製造方法は特に制限されず、紙、織布、不織布であり得る。原料シート110は、典型的には不織布であり、各種製法により製造された不織布を用いることができる。原料シート110が不織布の場合、これを切断して製造されるシート片11は不織布片であり、その性状は基本的に切断前の不織布と同じである。
シート片用原料シート110を構成する合成繊維の素材は特に制限されないが、親水性繊維12とは逆の性質、具体的には、非親水性ないし疎水性ないし非吸水性を有するものが好ましい。合成繊維の素材として好ましいものの一例として、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸アルキルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。原料シート110を構成する合成繊維は、1種類の合成樹脂(熱可塑性樹脂)又は2種類以上の合成樹脂を混合したブレンドポリマーからなる単一繊維でもよく、あるいは複合繊維でもよい。ここでいう複合繊維は、成分の異なる2種類以上の合成樹脂を紡糸口金で複合し、同時に紡糸して得られる合成繊維(熱可塑性繊維)で、複数の成分がそれぞれ繊維の長さ方向に連続した構造で、単繊維内で相互接着しているものをいう。複合繊維の形態には、芯鞘型、サイドバイサイド型等があり、特に制限されない。
また、吸収体10においてシート片11と併用される親水性繊維12としては、吸収性物品用の吸収体に従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、パルプ繊維、レーヨン繊維、コットン繊維等のセルロース系繊維が挙げられる。
本実施形態の吸収体10は、図1及び図2に示すように、シート片11を主体とする第1層10Aと、親水性繊維12を主体とする第2層10Bとの積層構造を有し、図1に示す如き平面視において長方形形状を有している。図1に示す如き平面視において、第1層10Aは略六角形形状、第2層10Bは長方形形状を有している。第1層10Aは、第2層10Bよりも面積が小さく、第2層10Bの一方の面の一部のみ、具体的には、該一面の長手方向中央部のみを被覆するように配されている。したがって吸収体10は、第1層10Aの配置部である長手方向中央部がその前後の領域よりも厚みが大きく、第1層10Aが配されている面において、長手方向中央部が周辺部よりも厚み方向外方に突出している。
第1層10Aにおけるシート片11の含有量は、第1層10Aの全質量に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、100質量%、すなわち第1層10Aの全部がシート片11でもよい。
第2層10Bにおける親水性繊維12の含有量は、第2層10Bの全質量に対して、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上であり、100質量%、すなわち第2層10Bの全部が親水性繊維12でもよい。
吸収体10には、さらに吸水性ポリマーが含有されていてもよく、該吸水性ポリマーとしては、吸収性物品用の吸収体に従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができる。吸水性ポリマーは、第1層10A及び第2層10Bの何れか一方又は両方に含有することができるが、典型的には少なくとも、親水性繊維12を主体とする第2層10Bに含有される。
吸収体10は、吸収性物品の構成部材として好適に用いられる。ここでいう吸収性物品は、人体から排出される体液(尿、軟便、経血、汗等)の吸収に用いられる物品を広く包含し、止着テープを有するいわゆる展開型の使い捨ておむつ、パンツ型の使い捨ておむつ、生理用ナプキン、生理用ショーツ、失禁パッド等が包含される。吸収性物品における吸収体は、典型的には、液吸収性の吸収性コアと、該吸収性コアの外面を被覆する液透過性のコアラップシートとを具備するところ、吸収体10はこの吸収性コアとして用いることができる。
吸収体10を具備する吸収性物品は、典型的には、着用時に着用者の肌と接触し得る液透過性の表面シートと、液不透過性ないし撥水性の裏面シートと、これら両シート間に介在配置された液保持性の吸収体とを具備している。表面シートとしては、各種の不織布又は多孔質の合成樹脂シート等を用いることができ、裏面シートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等からなる合成樹脂フィルム、又は合成樹脂フィルムと不織布との複合材料等を用いることができる。吸収性物品はさらに、該吸収性物品の具体的な用途に応じた各種部材を具備していてもよい。そのような部材は当業者に公知である。例えば吸収性物品を使い捨ておむつや生理用ナプキンに適用する場合には、表面シート上の左右両側部に一対又は二対以上の立体ガードを配置することができる。
吸収体10が吸収性物品の構成部材として用いられる場合には通常、吸収体10の長手方向が吸収性物品の縦方向に一致するように、吸収性物品に配置される。ここでいう「縦方向」は、吸収性物品の着用者の前後方向に対応する方向である。また、その場合、典型的には、第1層10Aの配置面を肌対向面、第1層10Aの非配置面を非肌対向面とするが、これとは逆にしてもよい。ここでいう「肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材(例えば吸収体)における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面、すなわち相対的に着用者の肌から近い側であり、「非肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側に向けられる面、すなわち相対的に着用者の肌から遠い側である。なお、ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置が維持された状態を意味する。
図5には、前述した吸収体10の製造方法の実施に使用可能な製造装置(積繊装置)1の概略構成が示され、図6には、製造装置1の要部である集積部2及びその周辺部が示され、図7には、集積部2が具備する集積用凹部21が示されている。
製造装置1は、図5及び図6に示すように、回転ドラム2A及び固定ドラム2Bを有する集積部2と、シート片11を回転ドラム2Aの集積用凹部21に供給するシート片供給ダクト3と、親水性繊維12を集積用凹部21に供給する親水性繊維供給ダクト4とを備え、回転ドラム2Aをそのドラム周方向2Yに沿って回転軸周りに回転させつつ、回転ドラム2Aの内部側からの吸引によってダクト3,4内に生じた空気流(バキュームエア)に乗って搬送された吸収体原料(シート片11、親水性繊維12)を、集積用凹部21に集積するようになされている。シート片供給ダクト3にはシート片製造手段5が接続され、親水性繊維供給ダクト4には親水性繊維製造手段6が接続されている。集積部2の下方には、集積用凹部21から離型された吸収体原料の集積物である吸収体10を受け取って次工程に搬送する、バキュームコンベア7が配されている。
集積部2は、不回転の円筒状の金属製固定ドラム2Bと、該ドラム2Bの外周部の上方を回転する円筒状の回転ドラム2Aとを備える。回転ドラム2Aは、その外周面2fに、吸収体原料が集積される集積用凹部21を有している。集積用凹部21は、回転ドラム2Aの周方向2Yの全周にわたって連続的に配置されている。回転ドラム2Aは、モータ等の駆動源(不図示)からの動力を受けて、固定ドラム2Bの外周部の上方を矢印R1方向に回転する。図中、符号Xは、回転ドラム2Aの回転軸方向であり、長尺帯状の原料シート110,120の長手方向と直交する幅方向でもある。集積部2は、例えば本出願人の先の出願に係る特開2015−59287号公報に記載されているように構成することができる。
集積用凹部21の内部形状は、製造目的物である吸収体10の外形形状に対応している。本実施形態における集積用凹部21は、図7に示すように、高吸引凹部21Kと低吸引凹部21Tとを備えている。高吸引凹部21Kは、後述する固定ドラム2Bの外周部における選択的吸引領域S1において、吸収体原料を比較的強い吸引力(大きい吸引風量)で吸引する領域であり、低吸引凹部21Tは、該領域S1において吸収体原料を比較的弱い吸引力(小さい吸引風量)で吸引する領域である。高吸引凹部21Kは、吸収体10における、シート片11を主体とする第1層10Aに対応しており、平面視形状が略六角形状である。低吸引凹部21Tは、吸収体10における、親水性繊維12を主体とする第2層10Bに対応しており、周方向2Yにおいて、高吸引凹部21Kを挟んだ両側に配されている。集積用凹部21の深さは部分的に異なっており、高吸引凹部21Kは、低吸引凹部21Tに比して深さが深い。集積用凹部21を挟んで回転ドラム2Aの回転軸方向Xの両側には、一対のリングプレート22,22が回転ドラム2Aの周方向2Yの全周にわたって連続的に配置されている。リングプレート22は、回転ドラム2Aの最外層を構成する部材であって、回転ドラム2Aの回転中心から最も遠い位置に配され、非通気性である。一対のリングプレート22,22どうしの間は、集積用凹部21の幅(回転軸方向Xの長さ)を決定し、リングプレート22の厚みは、集積用凹部21の深さを決定する要素の1つとなる。
固定ドラム2Bは、図5及び図6に示すように、内部に相互に独立した複数の空間を有しており、例えば4つの空間A〜空間Dを有している。空間A〜空間Dどうしの間はプレートにより仕切られている。固定ドラム2Bには吸気ファン(不図示)が接続されており、該吸気ファンの駆動により固定ドラム2B内の仕切られた空間A〜空間Dの圧力が個別に調整可能になされている。
固定ドラム2Bの外周部における空間Aに対応する領域は、シート片供給ダクト3で覆われている。ダクト3は、シート片製造手段5から回転ドラム2Aにわたって延在し、吸収体原料(シート片11)の供給方向の上流側の開口部と下流側(回転ドラム2A側)の開口部とを有し、これら両開口部間に吸収体原料の流路30が存している。なお、ダクト3の流路30を画成する周壁には、流路30に吸水性ポリマー粒子を供給するポリマー散布管(不図示)が配されていてもよく、吸収体10(より具体的には第1層10A)に吸水性ポリマー粒子を含有させる場合は該ポリマー散布管を使用することができる。
また、固定ドラム2Bの外周部における空間Bに対応する領域は、親水性繊維供給ダクト4で覆われている。ダクト4は、親水性繊維製造手段6から回転ドラム2Aにわたって延在し、吸収体原料(親水性繊維12)の供給方向の上流側の開口部と下流側(回転ドラム2A側)の開口部とを有し、これら両開口部間に吸収体原料の流路40が存している。なお、ダクト4の流路40を画成する周壁には、流路40に吸水性ポリマー粒子を供給するポリマー散布管(不図示)が配されていてもよく、吸収体10(より具体的には第2層10B)に吸水性ポリマー粒子を含有させる場合は該ポリマー散布管を使用することができる。
回転ドラム2Aは、回転方向R1の上流側から下流側に向かって、固定ドラム2Bの外周部を、空間Aに対応する領域、空間Bに対応する領域、空間Cに対応する領域、空間Dに対応する領域の順に移動する。空間Aに対応する領域の吸引力、及び空間Bに対応する領域の吸引力は、下流側の空間C〜Dに対応する領域の吸引力よりも強くすることができ、空間A及び空間Bが負圧に維持されるようになっている。
固定ドラム2Bの外周部における空間Aに対応する領域及び空間Bに対応する領域は、図5に示すように、集積用凹部21内に吸収体原料(シート片11、親水性繊維12)が集積される集積ゾーンSである。集積ゾーンSにおける固定ドラム2Bの外周部には、固定ドラム2B側からの吸引が部分的に可能な選択的吸引領域S1と、該吸引が全面的に可能な全面的吸引領域S2とが、回転ドラム2Aの回転方向R1にこの順で配されている。選択的吸引領域S1は空間Aに対応し、全面的吸引領域S2は空間Bに対応している。
選択的吸引領域S1における固定ドラム2Bの外周部には、通気性を有する通気部と通気性を有しない非通気部とが所定のパターンで配されており、具体的には、選択的吸引領域S1における固定ドラム2Bの外周部は、通気部(貫通孔)が部分的に形成された吸引制御体23(図5参照)からなる。斯かる構成により、選択的吸引領域S1にて固定ドラム2Bの外周部(すなわち吸引制御体23)上を通過中の集積用凹部21の底部においては、前記通気部に対応する部位で吸収体原料が吸引され、前記非通気部に対応する部位では、吸収体原料が吸引されない(吸引風量ゼロ)か、又は前記通気部に比して吸引風量が小さくなる。このように、選択的吸引領域S1はこれを通過する集積用凹部21の吸引風量を部分的に異ならせることが可能であり、したがって、該凹部21における吸収体原料の集積量を部分的に異ならせることが可能である。本実施形態では、選択的吸引領域S1を通過中の集積用凹部21に対しては、高吸引凹部21K(図7参照)のみに吸収体原料(シート片11)を集積させ、該凹部21の他の部位(低吸引凹部21T)には吸収体原料(シート片11)を集積させないので、このような高吸引凹部21Kへの優先的な集積が可能なように、吸引制御体23における通気部(貫通孔)のパターン(通気部の形状及び配置)、あるいは集積用凹部21の底部を構成する通気性プレートの開口パターン(開口の形状及び配置)などが適宜設定されている。
一方、全面的吸引領域S2における固定ドラム2Bの外周部は、吸引制御体23を含んでおらず、該外周部における集積用凹部21の底部に対応する部分の全域は空間となっているので、該外周部上を通過中の集積用凹部21の底部は、少なくとも該凹部21に原料が全く集積されていない状態では、その全域にわたって吸引風量が均一となる。したがって、全面的吸引領域S2を通過中の集積用凹部21においては、高吸引凹部21Kのみならず低吸引凹部21Tにも吸収体原料が集積され得る。本実施形態では、全面的吸引領域S2を通過中の集積用凹部21に対しては、その全域すなわち高吸引凹部21K及び低吸引凹部21Tの双方に親水性繊維12を集積させる。
前述したように、吸収体10は吸収体原料(繊維材料)としてシート片11及び親水性繊維12の2種類を含有するところ、製造装置1はこの2種類の吸収体原料の製造手段として、ダクト3に供給されるシート片11を製造するシート片製造手段5と、ダクト4に供給される親水性繊維12を製造する親水性繊維製造手段6とを備えている。
シート片製造手段5は、ダクト3における集積部2側とは反対側の開口部に配されている。シート片製造手段5は、図3及び図4に示すように、長尺帯状のシート片用原料シート110を互いに交差する2方向D1,D2に切断して、シート片11A,11Bの如き平面視四角形形状のシート片11を多数製造するもので、被切断物(原料シート110)を第1方向D1に切断する第1のカッターローラ53と、被切断物(細幅シート110N)を第2方向D2に切断する第2のカッターローラ54と、両カッターローラ53,54に対向して配された1個の受けローラ55とを備えている。これら3個のローラ53,54,55は、図5及び図6に示すように、それぞれ円筒状をなし、回転軸周りに回転可能に支持され、且つそれらの回転軸を平行に揃えつつ周面を対向させて配置されている。受けローラ55の周面近傍には、その回転方向R5の上流側から順に、ガイドローラ56、第1のカッターローラ53、ガイドローラ57、第2のカッターローラ54が配されている。
シート片製造手段5は、長尺帯状のシート片用原料シート110を、第1のカッターローラ53と受けローラ55との間に導入し第1方向D1に切断して複数の細幅シート110Nとし、更に、その複数の細幅シート110Nを、受けローラ55と第2のカッターローラ54との間に導入し第2方向D2に切断して、複数のシート片11を製造する。第1のカッターローラ53の周面には、該ローラ53の周方向に沿って該周方向の全長にわたって連続するカッター刃51が、該ローラ53の回転軸方向Xに複数間欠配置されている。第1のカッターローラ53は、モータ等の原動機(不図示)からの動力を受けて矢印R3方向に回転する。第2のカッターローラ54の周面には、該ローラ54の回転軸方向Xに沿って該方向Xの略全長にわたって連続するカッター刃52が、該ローラ54の周方向に複数間欠配置されている。第2のカッターローラ54は、モータ等の原動機(不図示)からの動力を受けて矢印R4方向に回転する。受けローラ55は、周面がフラットなフラットローラであり、周面にカッター刃を有していない。受けローラ55は、モータ等の原動機(不図示)からの動力を受けて矢印R5方向に回転する。
親水性繊維製造手段6は、ダクト4における集積部2側とは反対側の開口部に配されている。親水性繊維製造手段6は、この種のパルプ繊維等の積繊装置における繊維材料の製造手段と同様に構成されており、複数の親水性繊維12が集積した長尺帯状の親水性繊維用原料シート120を解繊する解繊機61を備えている。原料シート120は、典型的にはパルプシートである。
前述した構成の製造装置1を用いた吸収体10の製造方法は、複数のシート片11を集積用凹部21に向けて飛散状態で搬送し、該凹部21に集積して集積体としての吸収体10を得る集積工程を有し、また、該集積工程の前に、シート片11を製造する工程(シート片製造工程)を有する。
より具体的には、吸収体10の製造方法は、図5及び図6に示すように、複数のシート片11を製造する工程(シート片製造工程)と、製造された複数のシート片11を、集積用凹部21に向けて飛散状態で搬送し、別途飛散状態で搬送した親水性繊維12とともに、該凹部21に集積して集積体としての吸収体10を得る集積工程と、吸収体10を集積用凹部21内に保持しながら搬送する移送工程と、吸収体10を集積用凹部21から離型させて搬送中の帯状のコアラップシート13上に載置し、該シート13で吸収体10を被覆する被覆工程とを備える。
吸収体10の製造方法を実施するための準備として、集積部2内の空間A、空間B及びバキュームコンベア7用のバキュームボックス74内を、それぞれに接続された吸気ファン(不図示)を作動させて負圧にする。また、解繊機61及び回転ドラム2Aを回転させ、且つ第1のカッターローラ53、第2のカッターローラ54及び受けローラ55を回転させ、バキュームコンベア7を作動させる。空間A内を負圧にすることで、シート片供給ダクト3の流路30に、シート片製造手段5側から集積部2側に向かって流れる空気流が発生し、流路30内のシート片11は、この空気流に乗って回転ドラム2Aの集積用凹部21に集積される。また、空間B内を負圧にすることで、ダクト4の流路40に親水性繊維製造手段6側から集積部2側に向かって流れる空気流が発生し、流路40内の親水性繊維12は、この空気流に乗って回転ドラム2Aの集積用凹部21に集積される。
前記シート片製造工程は、合成繊維を含む帯状のシート片用原料シート110(例えば不織布)を、その搬送中に、第1方向D1及び第2方向D2に切断して、シート片11を複数形成する切断工程を有する。この切断工程は、シート片製造手段5によって実施される。
シート片製造手段5においては、図5及び図6に示すように、長尺帯状の原料シート110を、先ず、第1のカッターローラ53と受けローラ55との間にて、該シート110の長手方向であり搬送方向Yでもある第1方向D1に切断して、同方向D1に延びる細幅シート110Nを複数製造し、次いで、受けローラ55と第2のカッターローラ54との間にて、それら複数の帯状の細幅シート110Nを、それらの長手方向と直交する幅方向Xである第2方向D2に切断する。このように、長尺帯状の原料シート110を第1方向D1及びこれに交差(直交)する第2方向D2に順次切断することで、原料シート110は、図3及び図4に示す如く賽の目状に切断され、平面視四角形形状のシート片11が複数製造される。製造されたシート片11は、第2のカッターローラ54の下方に配された開口から、シート片供給ダクト3内の流路30に供給される。
流路30に供給されたシート片11は、空気流に乗って回転ドラム2Aの集積用凹部21に集積される。前述したとおり、空間Aに対応する選択的吸引領域S1では、回転ドラム2Aの回転に伴って移動する集積用凹部21に対して、ダクト3からシート片11が供給されるところ、その移動中の該凹部21においては、低吸引凹部21Tでは固定ドラム2B側からの吸引ができず、高吸引凹部21Kでのみ吸引ができるようになっている。そのため、ダクト3から供給された多数のシート片11は、集積用凹部21における高吸引凹部21Kに優先的に集積される。
また、親水性繊維製造手段6においては、長尺帯状の親水性繊維用原料シート120(例えばパルプシート)を解繊機61に供給し解繊して親水性繊維12を得る。得られた親水性繊維12は、解繊機61を通じてダクト4の流路40内に供給される。流路40内の親水性繊維12は空気流に乗って、空間Bに対応する全面的吸引領域S2を移動中の集積用凹部21に供給される。前述したとおり、全面的吸引領域S2では、集積用凹部21の底部の全域、すなわち低吸引凹部21T及び高吸引凹部21Kの双方で吸引ができるようになっており、そのため、ダクト4から供給された多数の親水性繊維12は、集積用凹部21の全域に集積される。
このように、本実施形態の吸収体10の製造方法における集積工程では、先ず、シート片11を集積用凹部21に供給・集積させ、次に、親水性繊維12を集積用凹部21に供給・集積させる。集積用凹部21は、前述したように図7に示す如くに、高吸引凹部21K及び低吸引凹部21Tを備えているところ、集積部2の選択的吸引領域S1にて、親水性繊維12よりも先にシート片11を集積用凹部21に集積することで、シート片11は、吸引力が相対的に弱い低吸引凹部21Tよりも、吸引力が相対的に強い高吸引凹部21Kに集中的に集積される。シート片11に続いて集積用凹部21に供給される親水性繊維12は、集積部2の全面的吸引領域S2にて、集積用凹部21における低吸引凹部21Tに集積されるとともに、高吸引凹部21Kに集積されたシート片11上にも集積され、つまり集積用凹部21の全域に集積される。なお、シート片11は、多数の繊維間空隙を有していて通気性があるため、シート片11が集積された状態でも高吸引凹部21Kは十分な吸引力を有しており、高吸引凹部21K内に集積されたシート片11上に親水性繊維12を重ねて集積することができる。こうして集積用凹部21内には、該凹部21の全域に親水性繊維12の集積部分が連続し、且つシート片11の積層部分が局在化した積層構造の集積体である吸収体10が形成される。
次いで、図5及び図6に示すように、集積体(吸収体10)を集積用凹部21内に保持しながら、回転ドラム2AをR1方向に回転させて、集積体を固定ドラム2Bの空間Dに対応する領域に搬送する。回転ドラム2Aの回転によって搬送中の集積体は、バキュームコンベア7が具備するバキュームボックス74の対向位置に到達すると、バキュームボックス74からの吸引によって、集積用凹部21から離型し、バキュームコンベア7上のコアラップシート13上に転移し、コアラップシート13で被覆される。なお、集積用凹部21から集積体を離型する際には、回転ドラム2Aにおける空間Dの内側から集積用凹部21に向かってエアーを吹き付けてもよい。
こうして製造された長尺帯状の集積体(吸収体10)は、その後、切断装置(不図示)によってコアラップシート13と共に単位長さに切断され、個々の吸収体10に分離される。この吸収体10は、図1及び図2に示すように、吸収体10の平面視における輪郭を形成する第2層10Bと、第2層10Bの長手方向中央部に局在する第1層10Aとを有しているところ、第1層10Aは、高吸引凹部21K内に集積されたシート片11を主体とする層であり、第2層10Bは、低吸引凹部21T内に集積された親水性繊維12を主体とする層である。
本発明の製造方法(シート片の製造方法及び吸収体の製造方法の双方を含む。以下、特に断らない限り同じ。)の主たる特徴の1つとして、前記シート片製造工程で用いるシート片用原料シート110として、表面に凹凸形状を有する凹凸シートを用いる点が挙げられる。シート片11としては、吸収性物品の吸収体用途を考慮すると、それ自体にある程度の厚みがあってクッション性を有するものが好ましいが、例えば、シート片用原料シート110がその使用前にロール状に巻回された状態で保管されていた場合には、その保管中に原料シート110が厚み方向に圧縮されてしまい、使用時(切断時)には厚みが薄くクッション性に乏しいものとなっている場合がある。
そこで、本発明の製造方法では、シート片用原料シート110として、図3及び図4に示す凹凸シート110A,110Bの如き、表面に凹凸形状を有する凹凸シートを用いることとした。このような凹凸シートであれば、使用前にロール状に巻回された状態で保管された場合でも、凹凸形状の存在によって、保管中あるいは切断工程における搬送時などにうける外力による圧縮の程度が緩和され、シート片用原料シート110のクッション性が維持されやすい。
吸収体に含有される複数のシート片11は、それぞれ、表面に凸部を有することが好ましい。図3に示すシート片11Aは、その表面に、原料シートである凹凸シート110A由来の凸部11P及び凹部11Qからなる凹凸形状を有しており、また、図4に示すシート片11Bも、その表面に原料シートである凹凸シート110B由来の凸部11P及び凹部11Qからなる凹凸形状を有しており、何れも前記の好ましいシート片の一実施形態である。例えば、複数のシート片11Aを吸収性物品の吸収体に含有させた場合には、吸収体において複数のシート片11Aどうしが凸部11Pを介して接触する機会が増加するので、表面に凹凸形状を有さないフラットなシート片を含有させた場合と比較して、吸収体中に空隙が多数存在するようになり、吸収体が嵩高でクッション性に富むものとなりやすい。これはシート片11Aに代えてシート片11Bを用いた場合でも同様である。つまり、表面に凹凸形状を有するシート片は、表面に凹凸形状を有さないフラットなシート片と比べて、吸収体のクッション性等の物性の改善効果に優れる。
したがって、前述した吸収体10の製造方法において、原料シート110として例えば凹凸シート110Aを用いた場合には、図3に示すように、形成された複数のシート片11Aそれぞれの表面に、凹凸シート110Aが有する凹凸形状を構成する凸部11Pが存在するように、凹凸シート110Aを切断することが好ましい。原料シート110として凹凸シート110A以外の他の凹凸シートを用いた場合も同様である。なお、図3及び図4では、凹凸シート110A,110Bが複数(9個)のシート片11A,11Bに切断され且つ各シート片11A,11Bどうしが間隔を置いて配置されているが、これらの間隔が無くなるように複数のシート片11A,11Bどうしを寄せることで1枚のシートを擬似的に作成した場合、その擬似的なシートは、原料シートとしての凹凸シート110A,110Bと実質的に同じと考えることができる。
凹凸シート110Aにおいては、図3に示すように、一方向(第1方向D1)に延在する畝状の凸部11Pと、同方向に延在する溝状の凹部11Qとが、該一方向と直交する方向(第2方向D2)に交互に配置されている。凹凸シート110Aは、その両面それぞれに凸部11P及び凹部11Qからなる凹凸形状を有している。
凹凸シート110Bにおいては、図4に示すように、一方の面に円錐台形状の凸部11Pが複数散在しており、該一方の面における凸部11Pの非形成部が凹部11Qである。複数の凸部11Pは、それぞれ、凹部11Qに包囲されている。凹凸シート110Bの他方の面には凸部11Pは存在せず、該他方の面は実質的に平坦である。なお、本発明に係る凹凸シート(シート片用原料シート)において、凸部11Pの形状及び配置は特に限定されず、任意に設定することができる。凸部11Pの平面視形状は、図4に示す如き円形以外に、例えば、楕円形、三角形、四角形、五角形以上の多角形等であり得る。
凹凸シート110A,110Bは単層構造であったが、図8に示す凹凸シート110Cは、複数のシートを厚み方向に積層してなる積層構造であり、具体的には、第1シート111と第2シート112との二層構造である。第1シート111と第2シート112とは、接合部113にて互いに接合されている。凹凸シート110Cにおいては、接合部113の形成部が凹部11Q、接合部113の非形成部が凸部11Pであり、凹凸シート110Cの両面それぞれに複数の接合部113が散在している。凹凸シート110Cの一方の面110aと他方の面110bとで、凸部11P(接合部113の非形成部)及び凹部11Q(接合部113)の形成位置は同じである。接合部113の平面視形状は、円形、楕円形、三角形、四角形、五角形以上の多角形等であり得る。
接合部113は、典型的には、熱、超音波などの、構成繊維たる合成繊維(熱可塑性繊維)の溶融を促進させる溶融促進手段を伴う圧搾加工、具体的には例えば、エンボス加工、ヒートシール加工、超音波シール等によって形成することができる。接合部113は、典型的には、周辺部(非接合部)に比して構成繊維が圧密化されており高密度である。また、特に溶融促進手段を用いて形成された接合部113は、その形成時の加圧加熱条件等によっては、構成繊維(合成繊維)の繊維形態が失われてフィルム化している場合があり得る。
図9に示す凹凸シート110Dは、一方の面110a及び他方の面110bの双方に、凸部11P及び凹部11Qからなる凹凸形状を有している。図9では、凸部11Pは中空構造であるが、中実構造でもよい。
図10に示す凹凸シート110Eは、該シート110E全体が波状をなす波状シートであり、その点では図3に示す凹凸シート110Aと同じである。
前述した、シート片用原料シートとして凹凸シート110を用いることによる作用効果をより一層確実に奏させるようにする観点から、凹凸シート110は、図8〜図10に示すように、見かけ厚みT1が実質厚みT2に比して大きいことが好ましい。見かけ厚みT1は、凹凸シート110が有する凹凸形状を含めて測定した場合の、厚みが最も大きい部分の厚みであり、凹凸構造を考慮しない実質厚みT2とは異なる。
凹凸シート110の見かけ厚みT1と実質厚みT2との比率は、前者>後者を前提として、前者/後者として、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上、そして、好ましくは30以下、より好ましくは20以下である。
凹凸シート110の見かけ厚みT1は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.8mm以上、そして、好ましくは5.5mm以下、より好ましくは4.5mm以下である。
凹凸シート110の実質厚みT2は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上、そして、好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下である。
前述の凹凸シート110Aないし110Eは、公知の圧搾加工、歯溝加工等を適宜組み合わせて製造することができる。例えば、圧搾加工による凹凸シートの製造は、典型的には、被加工物(表面に凹凸形状を有しないフラットなシート)の一面又は両面に、被加工物の構成繊維の溶融を伴うか又は伴わないエンボス加工等の圧搾加工を施すことによって実施される。斯かる圧搾加工によって製造された凹凸シートにおいて、圧搾加工が施された部分が凹部11Q、圧搾加工が施されていない部分が凸部11Pである。例えば、凹凸シート110B,110Dは、圧搾加工だけで製造することも可能である。
歯溝加工による凹凸シートの製造は、典型的には、歯と歯底とが周方向に交互に形成された一対の歯溝ロール間に、被加工物として、表面に凹凸形状を有しないフラットなシート(平坦シート)を通すことで実施される。すなわち、一対の歯溝ロール間に平坦シートを通すことで、凹凸シートを得ることができる。斯かる歯溝加工においては、被加工物における、一方の歯溝ロールの歯先及び他方の歯溝ロールの歯先に接している部分(当接部)を起点に、該部分以外の部分(非当接部)が延伸されるため、当接部に比して、強度が低下する傾向がある。歯溝加工としては、例えば、特開2017−43853号公報に記載の方法を利用することができる。例えば、凹凸シート110A,110Eは、歯溝加工だけで製造することも可能である。
凹凸シート110Cは、例えば、2枚の平坦シート(原反)を重ね合わせた状態で、エンボス加工等の圧搾加工により接合部113を所定のパターンで形成して、両シート111,112が接合部113にて一体化された複合シートを得、該複合シートに熱風処理などの加熱処理を施すことによって製造することができる。ただし、斯かる製造方法においては、前記2枚の平坦シート(原反)のうちの少なくとも1枚は、加熱により収縮ないし捲縮する性質を有する潜在収縮繊維を含むものであることを要する。例えば、図8を参照して、凹凸シート110Cを構成する第2シート112の原反として、潜在収縮繊維を含む平坦シート(図示せず)を用いた場合、前記複合シートの加熱処理によって、該平坦シートに含まれている潜在収縮繊維における接合部113以外に位置する部分が収縮し、それによって凸部11Pが形成され、該平坦シートは、該複合シートの加熱処理を経て第2シート112になる。凹凸シート110Cを構成する第1シート111の原反として、潜在収縮繊維を含む平坦シートを用いた場合も同様であり、該平坦シートは、前記複合シートの加熱処理を経て第1シート111になる。このような、シートのエンボス加工及び加熱による凹凸形成加工を伴う凹凸シートの製造方法としては、例えば、特開2010−156075号公報に記載の方法を利用することができる。
凹凸シート110(シート片用原料シート)は、延伸された合成繊維を含むことが好ましい。延伸された合成繊維を含む凹凸シート110は、これを含まないものと比べて潰れにくく、保形性、クッション性等の物性に優れる。したがって、延伸された合成繊維を含む凹凸シート110を切断して得られたシート片11は、保形性等の物性に優れ、吸収体に含有された場合には吸収体の物性を大幅に改善し得る。シートの構成繊維(合成繊維)が延伸されているか否かは、例えば次の方法で確認できる。すなわち、1本の構成繊維の長さ方向の少なくとも一部に、長さ方向の一方側から他方側に向かって繊維径が漸次増加又は減少する部分が存在する場合、当該構成繊維は延伸されていると判断できる。前記の圧搾加工や歯溝加工を経て製造された凹凸シート110は、延伸された合成繊維を含み得る。
本発明の製造方法は、前記切断工程の前に、表面に凹凸形状を有しない平坦シートの表面に凹凸形状を付与して凹凸シート(シート片用原料シート)を得る工程を有していてもよい。例えば、図5に示す製造装置1を用いた吸収体10の製造方法は、シート片製造手段5によって実施される前記切断工程の前に、表面に凹凸形状を有しない平坦シート110Zを凹凸付与部8に導入し、凹凸付与部8にて平坦シート110Zの表面に凹凸形状を付与して、凹凸シート110を得る工程を有していてもよい。凹凸付与部8で実施される凹凸形状の付与は、前記の圧搾加工や歯溝加工等の公知の凹凸形成加工を利用して実施することができる。なお、本発明の製造方法においては、このような平坦シートから凹凸シートを製造する工程は必須ではなく、シート片用原料シートとして平坦シートを用いずに当初から凹凸シートを用いてもよい。
本発明の製造方法においては、凹凸シート(シート片用原料シート)の切断(クロスカット)前に、該凹凸シートに熱風又は過熱蒸気を吹き付けてもよい。例えば、図5に示す製造装置1を用いた吸収体10の製造方法において、凹凸付与部8とシート片製造手段5との間にて凹凸シート(原料シート)110に熱風又は過熱蒸気を吹き付けてもよい。また、凹凸付与部8に導入前の平坦シート110Zに熱風又は過熱蒸気を吹き付けてもよい。これにより、凹凸シート110の嵩が回復し、クッション性等の諸物性が向上し得る。なお、このような「シートの加熱による嵩回復処理」は、凹凸シート110の切断前のみならず、凹凸シート110の切断後すなわちシート片11に対して実施することもできる。例えば、図5に示す製造装置1を用いた吸収体10の製造方法において、集積用凹部21に親水性繊維12とともにシート片11が集積された状態でその集積物(吸収体10)に対して前記嵩回復処理を実施してもよく、あるいは、集積用凹部21からシート片11を含む集積物(吸収体10)が離型されてバキュームコンベア7にて搬送されている状態でその集積物に対して実施してもよい。
なお、凹凸シート(原料シート)110の切断前にこれを加熱する工程を実施する場合、その切断に使用するシート片製造手段5を構成する各種ローラ53,54,55,56,57、特にカッターローラ53,54及び受けローラ55は、その周面が温調可能に構成されていることが好ましい。凹凸シート110が加熱されて比較的高温の状態でこれらのローラの周面に接触すると、その熱によってローラが熱膨張を起こすおそれがあるところ、ローラの周面が温調可能であれば、予め周面を加熱しておくなどすることで熱膨張を抑制することが可能となる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、図1及び図2に示す吸収体10においては、シート片11が厚み方向の一方側に偏在し、親水性繊維12が厚み方向の他方側に偏在していたが、シート片11(親水性繊維12)は偏在せずに、吸収体10の全体に均一に分布していてもよい。
また前記実施形態では、シート片用原料シート110を切断するカッターローラ53のカッター刃51及びカッターローラ54のカッター刃52は、何れも図6に示すように、一方向(カッターローラ53,54の周方向)に真っ直ぐに延びており、平面視すなわちカッターローラ53,54の周面をその法線方向の外方から見た場合において、直線状であったが、カッター刃51,52は平面視において波線状でもよい。波線状のカッター刃でシート片用原料シート110を切断した場合、斯かる切断によって製造されたシート片11の平面視における辺は、該カッター刃の波線状に対応した波線となる。