JP6933942B2 - スポンジチタンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、四塩化チタンを金属マグネシウムにより還元してスポンジチタンを製造するスポンジチタンの製造方法に関する。
従来、金属チタンは、工業的にはクロール法によって製造されたスポンジチタンをもとに製造されている。そして、近年、半導体デバイス向けの高純度チタンの需要が増加しており、これに伴って高純度のスポンジチタンを安価に製造することが求められている。
このクロール法によるスポンジチタン製造工程は、塩化蒸留工程、還元分離工程、破砕工程及び電解工程の四工程に大別される。
先ず、塩化蒸留工程で、流動塩化炉内で、酸化チタンを含有する鉱石とコークスと塩素ガスとを、流動状態で反応させて、粗四塩化チタンを製造し、次いで、蒸留を行い、還元分離工程の原料となる精製四塩化チタンを得る。次いで、還元分離工程で、精製四塩化チタンを金属マグネシウムで還元して、スポンジチタン塊を生成させ、次いで、真空分離により、副生する塩化マグネシウム及び未反応マグネシウムを除去して、スポンジチタン塊を得る。次いで、破砕工程で、スポンジチタン塊を切削及び粉砕して、粒状のスポンジチタンを得る。
そして、スポンジチタンに含まれる不純物の起源は、還元反応の原料となる四塩化チタン、還元反応に用いられる金属マグネシウム、還元反応容器の材質である。そのため、還元反応の原料となる四塩化チタン中の不純物量を低減すれば、スポンジチタン中の不純物を低減する一つの方策となる。
そして、従来より、クロール法によるスポンジチタンの製造においては、スポンジチタン中の不純物を低減するために、四塩化チタンの蒸留精度を上げることにより、蒸留精製四塩化チタン中の不純物量を低減することが行われている(例えば、特許文献1)。
特開2007−302522号公報
しかしながら、特許文献1のような、四塩化チタンの蒸留精製による不純物の低減には限界がある。四塩化チタンを起源とするスポンジチタン中の不純物のうち、ジルコニウムは、特に除去が困難な成分であり、数回の蒸留工程を経てもなお、微量のジルコニウムが四塩化チタン中に混在してしまう。
そして、蒸留塔の能力強化には莫大なコストを要すため、蒸留による四塩化チタン中のジルコニウムの更なる低減には、コストがかかるという問題があった。
従って、本発明の目的は、安価且つ簡便に四塩化チタンを起源とするジルコニウム不純物を低減することができるスポンジチタンの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決は、以下に示す本発明により解決される。
すなわち、本発明(1)は、クロール法によりスポンジチタンを製造するスポンジチタンの製造方法において、塩化蒸留工程で蒸留を行い得られる蒸留精製四塩化チタンを、−10〜25℃の温度範囲に冷却する冷却操作を行い、次いで、冷却後の蒸留精製四塩化チタンを、−10〜25℃の温度範囲で、公称ろ過精度が0.01〜1.0μmの汎用プラスチック、フッ素樹脂又はセラミック製のろ過材を用いてろ過し、ろ過精製四塩化チタンを得るろ過操作を行い、得られた該ろ過精製四塩化チタンを還元分離工程に供給することを特徴とするスポンジチタンの製造方法を提供するものである。
また、本発明(2)は、前記ろ過操作の温度が、−10〜15℃であることを特徴とする(1)のスポンジチタンの製造方法を提供するものである。
また、本発明(3)は、前記ろ過操作において、前記蒸留精製四塩化チタンが流入する被処理液受器と、該被ろ過液受器内に設置されている前記ろ過材と、該被ろ過液受器の周囲に設置されている熱交換部と、を有し、該被ろ過液受器内且つ前記ろ過材の被ろ過液側に前記蒸留精製四塩化チタンを流入させるための被ろ過液流入管と、前記ろ過材の処理液側から前記ろ過精製四塩化チタンを流出させるためのろ過液流出管と、が付設されている温度保持機構付きろ過器を用い、該熱交換部で熱交換することにより、該被ろ過液受器内且つ前記ろ過材の被ろ過液側の前記蒸留精製四塩化チタンの温度を、前記ろ過操作を行う温度で一定に保ちつつ、前記蒸留精製四塩化チタンのろ過を行うことを特徴とする(1)又は(2)いずれかのスポンジチタンの製造方法を提供するものである。
また、本発明(4)は、前記被ろ過液流入管からの前記蒸留精製四塩化チタンの流入及び前記ろ過液流出管からの前記ろ過精製四塩化チタンの流出を行っていない間も、前記被ろ過液受器内且つ前記ろ過材の被ろ過液側に存在している前記蒸留精製四塩化チタンの温度を、前記ろ過操作を行う温度で一定に保つことを特徴とする(3)のスポンジチタンの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、安価且つ簡便に四塩化チタンを起源とするジルコニウム不純物を低減することができるスポンジチタンの製造方法を提供することができる。
本発明に係る温度保持機構付きろ過器の形態例を示す模式的な端面図である。
本発明のスポンジチタンの製造方法は、クロール法によりスポンジチタンを製造するスポンジチタンの製造方法において、塩化蒸留工程で蒸留を行い得られる蒸留精製四塩化チタンを、−10〜25℃の温度範囲に冷却する冷却操作を行い、次いで、冷却後の蒸留精製四塩化チタンを、−10〜25℃の温度範囲で、公称ろ過精度が0.01〜1.0μmの汎用プラスチック、フッ素樹脂又はセラミック製のろ過材を用いてろ過し、ろ過精製四塩化チタンを得るろ過操作を行い、得られた該ろ過精製四塩化チタンを還元分離工程に供給することを特徴とするスポンジチタンの製造方法である。
本発明のスポンジチタンの製造方法は、クロール法によりスポンジチタンを製造するスポンジチタンの製造方法であり、還元反応の原料となる四塩化チタンを製造するための工程であり、流動塩化炉内で、酸化チタンを含有する鉱石とコークスと塩素ガスとを、流動状態で反応させて、粗四塩化チタンを製造し、次いで、蒸留を行い、還元分離工程の原料となる精製四塩化チタンを得る塩化蒸留工程と、塩化蒸留工程を行い得られる精製四塩化チタンと、金属マグネシウムとを、反応させ、四塩化チタンを還元して、スポンジチタン塊を生成させ、次いで、副生する塩化マグネシウムと、未反応マグネシウムを真空分離して、スポンジチタン塊を得る還元分離工程と、還元分離工程を行い得られるスポンジチタンを、切削及び粉砕して、粒状のスポンジチタンを得る破砕工程と、還元分離工程で副生する塩化マグネシウムを電気分解して、金属マグネシウム得る電解工程とを有する。
本発明のスポンジチタンの製造方法で用いられるクロール法は、反応容器に予め溶融マグネシウムを入れておき、反応容器内に四塩化チタンを滴下して、溶融マグネシウムと反応させることにより、四塩化チタンをマグネシウムで還元する還元反応を行い、スポンジチタンを製造する方法である。本発明のスポンジチタンの製造方法に係る塩化蒸留工程、還元分離工程、破砕工程及び電解工程は、工業的なスポンジチタンの製造で行われている塩化蒸留工程、還元分離工程、破砕工程及び電解工程と同様である。
クロール法によるスポンジチタンを原料とする材料の性能への影響が大きい不純物の一つとして、ジルコニウム不純物がある。スポンジチタン中のジルコニウム不純物の起源は、四塩化チタンと金属マグネシウムである。このうち、四塩化チタン原料由来のジルコニウム不純物は、飛沫同伴が発生し易いという点で、精密蒸留による除去が難しかった。そこで、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ジルコニウム不純物は、蒸留精製四塩化チタンを25℃以下、好ましくは15℃以下に冷却することにより、微細な析出物として析出し、その析出物を、公称ろ過精度が0.01〜1.0μm、好ましくは0.01〜0.1μmのろ過材でろ過することにより、還元反応の原料となる四塩化チタン中のジルコニウム不純物を除去できるので、スポンジチタン中のジルコニウム不純物を低減できることを見出した。
そして、本発明のスポンジチタンの製造方法では、塩化蒸留工程で、粗四塩化チタンを蒸留することにより得られる蒸留精製四塩化チタンを、還元分離工程で反応させる四塩化チタンとして、還元分離工程に供給する前に、蒸留精製四塩化チタンを−10〜25℃の温度範囲に冷却する冷却操作を行い、次いで、冷却後の蒸留精製四塩化チタンを−10〜25℃の温度範囲で、ろ過材を用いてろ過する。
本発明のスポンジチタンの製造方法において、冷却操作は、ろ過操作を行う前に、蒸留精製四塩化チタンを、−10〜25℃の温度範囲、好ましくは−10〜15℃の温度範囲に冷却する操作である。本発明のスポンジチタンの製造方法では、冷却操作を行うことにより、塩化蒸留工程で得られた蒸留精製四塩化チタン中から、ジルコニウム化合物が微細な析出物として析出する。冷却操作の冷却温度範囲が、上記範囲にあることにより、ろ過精製四塩化チタン中のジルコニウム不純物の含有量が低くなる。一方、冷却操作の冷却温度範囲が、上記範囲を超えると、ろ過精製四塩化チタン中のジルコニウム不純物の含有量が低くならず、また、上記範囲未満だと、四塩化チタンの粘度が上昇することによりろ過操作が困難となる。なお、冷却操作の冷却温度とは、冷却操作を行った後の蒸留精製四塩化チタンの温度を指す。
本発明のスポンジチタンの製造方法に係る冷却操作において、被ろ過液である蒸留精製四塩化チタンを、−10〜25℃の温度範囲、好ましくは−10〜15℃の温度範囲の冷却温度に冷却する方法としては、特に制限されない。例えば、以下に示す方法が挙げられる。
(1)外気温がろ過操作のろ過温度の設定値より高い場合に、塩化蒸留工程で得られた蒸留精製四塩化チタンが一旦貯蔵される四塩化チタンタンク内の蒸留精製四塩化チタンの温度は、外気温と同程度となっているので、四塩化チタンタンクから還元分離工程が行われる還元反応容器まで、蒸留精製四塩化チタンを移送するための移送管に、冷却手段(例えば、冷媒ジャケット、熱交換器等)を設置し、移送管内で、ろ過操作のろ過温度の設定値まで、蒸留精製四塩化チタンを冷却する方法。
(2)外気温がろ過操作のろ過温度の設定値より高い場合に、蒸留精製四塩化チタンが流入する被処理液受器と、被ろ過液受器内に設置されているろ過材と、被ろ過液受器の周囲に設置されている熱交換部と、を有し、被ろ過液受器内且つろ過材の被ろ過液側に蒸留精製四塩化チタンを流入させるための被ろ過液流入管と、ろ過材の処理液側からろ過精製四塩化チタンを流出させるためのろ過液流出管と、が付設されている温度保持機構付きろ過器(以下、本発明に係る温度保持機構付きろ過器とも記載する。)を、塩化蒸留工程で得られた蒸留精製四塩化チタンが一旦貯蔵される四塩化チタンタンクから還元分離工程が行われる還元反応容器まで、蒸留精製四塩化チタンを移送するための移送管に設置し、本発明に係る温度保持機構付きろ過器の熱交換部で熱交換することにより、被ろ過液受器内且つろ過材の被ろ過液側の蒸留精製四塩化チタンを、ろ過操作のろ過温度の設定値まで冷却する方法。
(3)外気温が冷却操作の冷却温度範囲内にある場合には、塩化蒸留工程の蒸留後の温度が高い蒸留精製四塩化チタンを、四塩化チタンタンクに送液し、タンク内で一定時間貯蔵することで、四塩化チタンタンク内の蒸留精製四塩化チタンの温度は、外気温と同程度まで下がるので、塩化蒸留工程の蒸留後の蒸留精製四塩化チタンを、四塩化チタンタンクに送液して、タンク内で一定時間貯蔵することにより、四塩化チタンタンク内で、蒸留精製四塩化チタンを、冷却操作の冷却温度範囲まで冷却する方法。つまり、(3)の方法では、塩化蒸留工程の蒸留後の蒸留精製四塩化チタンを、四塩化チタンタンク内で貯蔵して、外気温により冷却することにより、冷却操作を行う。
本発明のスポンジチタンの製造方法において、ろ過操作は、冷却操作を行うことにより冷却された蒸留精製四塩化チタンを、−10〜25℃の温度範囲で、ろ過材を用いてろ過する操作である。
本発明のスポンジチタンの製造方法に係るろ過材は、四塩化チタンにより腐食を受けないことが必要である。そのため、本発明のスポンジチタンの製造方法に係るろ過材の材質としては、汎用プラスチック、フッ素樹脂又はセラミックが選択される。ろ過材の材質として用いられる汎用プラスチックとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。ろ過材の材質として用いられるフッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)が挙げられる。ろ過材の材質として用いられるセラミックスとしては、例えば、アルミナ(Al)、シリカ(SiO)、アルミナとシリカの複合酸化物(ムライト等)が挙げられる。
本発明のスポンジチタンの製造方法に係るろ過材の公称ろ過精度(目開き)は、0.01〜1.0μm、好ましくは0.01〜0.1μmである。ろ過材の公称ろ過精度が、上記範囲にあることにより、ろ過精製四塩化チタン中のジルコニウム不純物の含有量が低くなる。ろ過材の公称ろ過精度が、上記範囲を超えると、ろ過精製四塩化チタン中のジルコニウム不純物の含有量が低くならず、また、上記範囲未満だと、ろ過材がジルコニウム化合物によって目詰まりし、圧力損失が上昇することによりろ過操作が困難となる。
本発明のスポンジチタンの製造方法において、ろ過材の設置方法及び設置位置としては、特に制限されない。例えば、以下に示す方法が挙げられる。
(1)塩化蒸留工程で得られた蒸留精製四塩化チタンが一旦貯蔵される四塩化チタンタンクから還元分離工程が行われる還元反容器まで、蒸留精製四塩化チタンを移送するための移送管内に、ろ過材を設置する方法。
(2)塩化蒸留工程で得られた蒸留精製四塩化チタンが一旦貯蔵される四塩化チタンタンクから還元分離工程が行われる還元反応炉まで、蒸留精製四塩化チタンを移送するための移送管に、本発明に係る温度保持機構付きろ過器を設置する方法。
ろ過操作におけるろ過温度は、−10〜25℃の温度範囲、好ましくは−10〜15℃の温度範囲である。ろ過操作のろ過温度が、上記範囲にあることにより、ろ過精製四塩化チタン中のジルコニウム不純物の含有量が低くなる。一方、ろ過温度が、上記範囲を超えると、ろ過精製四塩化チタン中のジルコニウム不純物の含有量が低くならず、また、上記範囲未満だと、四塩化チタンの粘度が上昇することによりろ過操作が困難となる。なお、ろ過操作のろ過温度とは、ろ過材を通過させるときの蒸留精製四塩化チタンの温度を指す。
冷却操作の冷却温度と、ろ過操作のろ過温度の関係であるが、上記の冷却操作の冷却温度範囲内及びろ過操作のろ過温度範囲内であれば、冷却操作の冷却温度と、ろ過操作のろ過温度とが、同じ温度であっても、異なる温度であってもよい。例えば、ろ過操作のろ過温度が、冷却操作の冷却温度より高くても、ろ過操作のろ過温度が、上記ろ過操作のろ過温度範囲にあればよい。また、例えば、四塩化チタンタンクから還元反応容器までの四塩化チタンの移送管に、冷却手段を直接設置し、その後流の移送管内にろ過材を設置する場合で、冷却手段とろ過材とが離れている場合、冷却手段直後の蒸留精製四塩化チタンの温度は、ろ過材に到達するまでに変化することもあるが、冷却手段直後の蒸留精製四塩化チタンの温度が、上記冷却操作の冷却温度範囲内にあり、且つ、ろ過材を通過するときの蒸留精製四塩化チタンの温度が、上記ろ過操作のろ過温度範囲内にあればよい。また、例えば、四塩化チタンタンクから還元反応容器までの四塩化チタンの移送管の途中に、本発明に係る温度保持機構付きろ過器を設置する場合、熱交換部により冷却操作が行われる位置と、ろ過材によりろ過操作が行われる位置が、非常に近いので、冷却操作の冷却温度とろ過操作のろ過温度は同じ又はほぼ同じになる。また、例えば、外気温が上記冷却操作の冷却温度範囲内及び上記ろ過操作のろ過温度範囲にある場合で、且つ、冷却操作を四塩化チタンタンク内でのみ行い、四塩化チタンタンクからろ過材までの移送する間には、冷却操作を行わないで、移送管に設置したろ過材でろ過する場合、冷却操作の冷却温度とろ過操作のろ過温度は同じ又はほぼ同じになる。
ろ過操作を行う前に、冷却操作を複数回行ってもよい。例えば、外気温が上記冷却操作の冷却温度範囲内にある場合で、且つ、四塩化チタンタンクからろ過材までの移送する間に、冷却手段を設けて冷却操作を行い、移送管に設置したろ過材でろ過する場合、具体的には、外気温が上記冷却操作の冷却温度範囲内にある場合で、且つ、四塩化チタンタンクから還元反応容器までの四塩化チタンの移送管の途中に、本発明に係る温度保持機構付きろ過器を設置し、熱交換部で上記冷却操作の冷却温度範囲の温度且つ外気温よりも低い温度に冷却して、ろ過を行う場合、第一の冷却操作を四塩化チタンタンク内で行い、第二の冷却操作を、本発明に係る温度保持機構付きろ過器の熱交換部により行う。
本発明のスポンジチタンの製造方法では、塩化蒸留工程で得られた蒸留精製四塩化チタンが一旦貯蔵される四塩化チタンタンクから還元分離工程が行われる還元反応容器まで、蒸留精製四塩化チタンを移送するための移送管に、本発明に係る温度保持機構付きろ過器を設置し、被ろ過液流入管からの蒸留精製四塩化チタンの流入及びろ過液流出管からのろ過精製四塩化チタンの流出を行っていない間も、被ろ過液受器内且つろ過材の被ろ過液側に存在している蒸留精製四塩化チタンの温度を、ろ過操作を行う温度で一定に保つことが、外気温の変化に関わらず、一定の純度のスポンジチタンが得られ、安定操業が行える点で、好ましい。
本発明に係る温度保持機構付きろ過器としては、例えば、図1に示す温度保持機構付きろ過器10が挙げられる。図1は、温度保持機構付きろ過器の形態例を示す模式的な端面図である。図1中、温度保持機構付きろ過器10は、蒸留精製四塩化チタンが流入する被処理液受器1と、被ろ過液受器1内に設置されている円筒状のろ過材2と、被ろ過液受器1の周囲に設置されている熱交換部3と、を有し、被ろ過液受器1内且つろ過材2の被ろ過液側の部分8に、蒸留精製四塩化チタン6を流入させるための被ろ過液流入管4と、ろ過材2の処理液側の部分9からろ過精製四塩化チタン7を流出させるためのろ過液流出管5と、が付設されている。なお、ろ過材2の上端と下端は、ろ過材2の処理液側の部分9と、被ろ過液受器1内且つろ過材2の被ろ過液側の部分8とが混合しないように、上端封止部材12及び下端封止部材13で封止されており、上端封止部材12に、ろ過液流出管5が挿通されている。
温度保持機構付きろ過器10は、塩化蒸留工程で得られた蒸留精製四塩化チタンが一旦貯蔵される四塩化チタンタンクから還元分離工程が行われる還元反応容器まで、蒸留精製四塩化チタンを移送するための移送管の途中に、四塩化チタンタンク側に被ろ過液流入管4が、還元反応容器側にろ過液流出管5が繋げられることにより、設置される。
次いで、温度保持機構付きろ過器10を用いる蒸留精製四塩化チタン6のろ過について述べる。冷却操作の冷却温度(ろ過操作のろ過温度でもある。)に温度調節されている冷媒11を、熱交換部3内に流しながら、被ろ過液流入管4より蒸留精製四塩化チタン6を、被処理液受器1内に流入させる。このことにより、被ろ過液受器1内且つろ過材2の被ろ過液側の部分8の蒸留精製四塩化チタン6と、熱交換部3内の冷媒11との間で熱交換が行われ、蒸留精製四塩化チタン6が所定の冷却温度まで冷却される。そして、被ろ過液受器1内且つろ過材2の被ろ過液側の部分8で、蒸留精製四塩化チタン6が冷却されることにより、蒸留精製四塩化チタン6中のジルコニウム不純物が析出する。
次いで、所定の冷却温度まで冷却された蒸留精製四塩化チタン6を、ろ過材2を通過させる。このときに、蒸留精製四塩化チタン6中に析出したジルコニウム不純物が、ろ過材2で除去されるので、ろ過材2の処理液側の部分9には、ジルコニウム不純物が低減されたろ過精製四塩化チタン7が通過してくる。なお、この場合、ろ過操作のろ過温度は、冷却操作の冷却温度、すなわち、冷媒11の温度と同じ又はほぼ同じである。
そして、ジルコニウム不純物が低減されたろ過精製四塩化チタン7を、ろ過液流出管5から、温度保持機構付きろ過器10の外に流出させる。
このように、本発明のスポンジチタンの製造方法では、塩化蒸留工程で、粗四塩化チタンを蒸留することにより得られる蒸留精製四塩化チタンを、還元分離工程で反応させる四塩化チタンとして、還元分離工程に供給する前に、蒸留精製四塩化チタンを、−10〜25℃の温度範囲、好ましくは−10〜15℃の温度範囲の冷却温度に冷却にする。このことにより、蒸留精製四塩化チタンに溶解していたジルコニウム不純物が析出する。そして、蒸留精製四塩化チタンから析出してくるジルコニウム不純物は、非常に微細なので、次いで、本発明のスポンジチタンの製造方法では、蒸留精製四塩化チタン中から析出してきたジルコニウム不純物を、公称ろ過精度が、0.01〜1.0μm、好ましくは0.01〜0.1μmのろ過材でろ過して、蒸留精製四塩化チタン中のジルコニウム不純物を除去する。このことにより、本発明のスポンジチタンの製造方法では、ろ過によりジルコニウム不純物を低減させたろ過精製四塩化チタンを、還元反応の原料として、還元分離工程に供給するので、スポンジチタン中のジルコニウム不純物を低減することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(実施例1〜12及び比較例1〜6)
表1に示すジルコニウム含有量の四塩化チタンを用意し、表1に示す温度に10分間保持した。次いで、図1に示す温度保持機構付きろ過器10に、ろ過材2として、表1に示す公称ろ過精度(目開き)のろ過材2を設置し、該温度保持機構付きろ過器10を用いて、熱交換部3に、表1に示す温度のエチレングリコールを冷媒として流しながら、四塩化チタンを、被ろ過液流入管4より流入させて、ろ過を行い、ろ過液流出管5から流出した四塩化チタンを採取した。次いで、採取した四塩化チタン中のジルコニウム含有量の測定をICP−MSを用いて行った。その結果を表1に示す。
・ろ過材:3M社製、商品名(ナノシールド ポリプロピレン中空糸膜フィルター)、ろ過材の材質:ポリプロピレン(FP)、ろ過材の公称ろ過精度(目開き):0.01μm、0.1μm
・ろ過材:日本ポール社製、商品名(PE-クリーン)ろ過材の材質:ポリエチレン(PE)、ろ過材の公称ろ過精度(目開き):1μm
・ろ過材:日本ポール社製、商品名(ウルチクリーンG2・STG)、ろ過材の材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ろ過材の公称ろ過精度(目開き):10μm
Figure 0006933942
(実施例13)
塩化蒸留工程で製造した蒸留精製四塩化チタンが貯蔵される四塩化チタンタンクから還元分離工程の還元反応炉への四塩化チタンの移送管の途中に、図1中、ろ過材2として、PTFE製、公称ろ過精度0.1μmのろ過材を用いた、温度保持機構付きろ過器10を設置した。
熱交換部3に、溶媒として−15℃のエチレングリコールを流しながら、四塩化チタンタンクから、還元反応容器に四塩化チタンを供給して、還元反応を行いスポンジチタンの製造を行った。
分離工程を経て得られたスポンジチタン塊の上部範囲と中心部範囲から、任意にそれぞれ5個以上のスポンジチタンを採取し、各スポンジチタン中のジルコニウム含有量の測定をICP−MSを用いて行った。その結果を表2に示す。
<還元反応条件>
・四塩化チタンの使用量:30t/バッチ
・金属マグネシウム中のジルコニウム含有量:100ppb
・還元反応容器の材質:クラッド鋼(炭素鋼+SUS316)
<スポンジチタンの採取位置>
・上部範囲:(高さ方向)スポンジチタン全高Hに対し、下から0.8〜0.9Hの部分、且つ、(径方向)スポンジチタンの直径Dに対し、中心〜0.2Dの部分
・中心部範囲:(高さ方向)スポンジチタン全高Hに対し、下から0.45〜0.55Hの部分、且つ、(径方向)スポンジチタンの直径Dに対し、中心〜0.2Dの部分
(比較例7)
PTFE製、公称ろ過精度0.1μmのろ過材に代えて、ろ過材は設置せず、熱交換部3に、−15℃の冷媒を流すことに代えて冷媒を通液しないこと以外は、実施例13と同様に行った。その結果を表2に示す。
Figure 0006933942
1 被ろ過液受器
2 ろ過材
3 熱交換部
4 被ろ過液流入管
5 ろ過液流出管
6 蒸留精製四塩化チタン
7 ろ過精製四塩化チタン
8 被ろ過液受器内且つろ過材の被ろ過液側の部分
9 ろ過材のろ過液側の部分
10 温度保持機構付きろ過器
11 冷媒
12 上端封止部材
13 下端封止部材

Claims (6)

  1. クロール法によるスポンジチタンの製造方法において、塩化蒸留工程で蒸留を行い得られる蒸留精製四塩化チタンを、−10〜25℃の温度範囲に冷却する冷却操作を行い、次いで、冷却後の蒸留精製四塩化チタンを、−10〜25℃の温度範囲で、目開きが0.01〜1.0μmの汎用プラスチック又はフッ素樹脂製のろ過材を用いてろ過して、少なくともジルコニウム含有量を低減させ、ろ過精製四塩化チタンを得るろ過操作を行い、得られた該ろ過精製四塩化チタンを還元分離工程に供給することを特徴とするスポンジチタンの製造方法。
  2. 前記ろ過操作の温度が、−10〜15℃であることを特徴とする請求項1記載のスポンジチタンの製造方法。
  3. 前記ろ過操作において、前記蒸留精製四塩化チタンが流入する被ろ過液受器と、該被ろ過液受器内に設置されている前記ろ過材と、該被ろ過液受器の周囲に設置されている熱交換部と、を有し、該被ろ過液受器内且つ前記ろ過材の被ろ過液側に前記蒸留精製四塩化チタンを流入させるための被ろ過液流入管と、前記ろ過材の処理液側から前記ろ過精製四塩化チタンを流出させるためのろ過液流出管と、が付設されている温度保持機構付きろ過器を用い、該熱交換部で熱交換することにより、該被ろ過液受器内且つ前記ろ過材の被ろ過液側の前記蒸留精製四塩化チタンの温度を、前記ろ過操作を行う温度で一定に保ちつつ、前記蒸留精製四塩化チタンのろ過を行うことを特徴とする請求項1又は2いずれか1項記載のスポンジチタンの製造方法。
  4. 前記被ろ過液流入管からの前記蒸留精製四塩化チタンの流入及び前記ろ過液流出管からの前記ろ過精製四塩化チタンの流出を行っていない間も、前記被ろ過液受器内且つ前記ろ過材の被ろ過液側に存在している前記蒸留精製四塩化チタンの温度を、前記ろ過操作を行う温度で一定に保つことを特徴とする請求項3記載のスポンジチタンの製造方法。
  5. 前記ろ過精製四塩化チタンのジルコニウム含有量が9ppb以下であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のスポンジチタンの製造方法。
  6. 前記ろ過材が中空糸膜フィルターであることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載のスポンジチタンの製造方法。
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