以下、本発明の詳細を説明する。
(導電性粒子)
本発明に係る導電性粒子は、基材粒子と、結晶構造を有する導電部とを備える。上記導電部は、上記基材粒子の表面上に配置されている。上記導電部が、層界面を有さない単層の導電部内で、第1の領域と、第1の領域の結晶子サイズ(1)よりも結晶子サイズ(2)が5nm以上大きい第2の領域とを有する。すなわち、第2の領域の結晶子サイズ(2)は、第1の領域の結晶子サイズ(1)よりも5nm以上大きい。結晶構造を有する導電部は、第1,第2の領域を有する導電部である。層界面を有さない単層の導電部とは、層界面を有する多層の導電部ではないことを意味する。多層の導電部における内側の導電層と外側の導電層との間には層界面がある。単層の導電部には、このような多層の導電部は含まれない。層界面は、一般に粒界とは異なり、導電部内のある境界で結晶子サイズを変えるとき、一般にその境界とも異なる。
本発明に係る導電性粒子では、上記の構成が採用されているので、電極間を電気的に接続した場合に、電極間に導電性粒子を効率的に配置することができる。また、電極間の接続抵抗を低くすることができる。本発明者らは、電極間に導電性粒子を効率的に配置し、かつ電極間の接続抵抗を十分に低くするためには、結晶子サイズ(1)と結晶子サイズ(2)とを異ならせて、第1の領域と第2の領域とを形成すればよいことを見出した。さらに、本発明者らは、電極間に導電性粒子をかなり効率的に配置し、かつ電極間の接続抵抗をかなり低くするためには、結晶子サイズ(1)と結晶子サイズ(2)とが異なるだけでは不十分であり、結晶子サイズ(2)を結晶子サイズ(1)よりも5nm以上大きくする必要があることを見出した。結晶子サイズ(2)が結晶子サイズ(1)よりも5nm以上大きい場合に、結晶子サイズ(2)が結晶子サイズ(1)よりも5nm以上大きくない場合と比べて、電極間に配置される導電性粒子の数が多くなり、電極間の接続抵抗が低くなる。
近年、電子機器の小型化に伴って、電極が形成されている部分のライン(L)と、電極が形成されていない部分のスペース(S)との間隔が狭くなってきている。例えば、L/Sが30μm以下/30μm以下の微細な電極間を電気的に接続する必要が高まっている。これは、単位面積当たりのライン数を多くとるためである。従って、L/Sが小さい電極間を電気的に接続する場合には、従来の導電性粒子を用いた場合には、ライン(L)に配置される導電性粒子が少なくなりやすいので、接続抵抗が高くなりやすく、更にスペース(S)に導電性粒子が配置されると、絶縁不良が特に生じやすいという問題がある。
これに対して、本発明に係る導電性粒子の使用により、ライン(L)に電極を効率的に配置することができ、接続抵抗を効果的に低くすることができ、更にスペース(S)に導電性粒子が配置され難くなり、絶縁不良が生じるのを効果的に抑制できる。
また、近年、電極が形成されている部分のライン(L)と、電極が形成されていない部分のスペース(S)との間隔が狭くなってきており、ライン(L)の数が増えてきている。このような電極の1つのライン(L)上に配置される導電性粒子の数が少なくなりやすく、結果として接続抵抗が高くなりやすい傾向がある。一方で、このような電極の1つのライン(L)上に配置される導電性粒子の数を多くすることを目的として、導電材料における導電性粒子の含有量を多くすることが考えられるが、導電材料における導電性粒子の含有量を多くすると絶縁不良が生じやすくなる。本発明では、導電材料における導電性粒子の含有量を多くしなくても、接続抵抗を充分に低くすることができる。
また、結晶子サイズが異なる2つの導電部を互いに接するように設けることで、外部応力が緩和され、導電部全体の厚みを薄くしても、導電部の割れを生じ難くすることができる。さらに、小さいL/Sに対応して、導電性粒子を小さくするために、導電部の厚みを薄くしても、良好な導通信頼性が発揮される。
層界面を有さない単層の導電部内で、第1の領域と、第2の領域との位置は特に限定されない。本発明の効果が効果的に得られることから、第1の領域と第2の領域とは、導電部の厚み方向において並んでいることが好ましく、導電部の厚み方向において内側と外側とに位置していることが好ましい。
電極間に導電性粒子をより一層効率的に配置し、かつ電極間の接続抵抗をより一層低くする観点からは、結晶子サイズ(2)は結晶子サイズ(1)よりも、好ましくは8nm以上、より好ましくは10nm以上大きい。結晶子サイズ(1)と結晶子サイズ(2)との差の絶対値の上限は特に限定されない。結晶子サイズ(1)と結晶子サイズ(2)との差の絶対値は50nm以下であってもよく、40nm以下であってもよい。
電極間に導電性粒子をより一層効率的に配置し、かつ電極間の接続抵抗をより一層低くする観点からは、上記結晶構造を有する導電部の内側の厚み1/2の領域における結晶子サイズ(A)と、上記結晶構造を有する導電部の外側の厚み1/2の領域における結晶子サイズ(B)とが好ましくは5nm以上、より好ましくは8nm以上、更に好ましくは10nm以上、好ましくは50nm以下、より好ましくは40nm以下異なる。導電部の内側の厚み1/2の領域に、第1の領域があってもよく、第2の領域があってもよい。導電部の外側の厚み1/2の領域に、第1の領域があってもよく、第2の領域があってもよい。なお、導電部内のある境界で結晶子サイズを変えるとき、その境界は厚み1/2の部分でなくてもよい。結晶子サイズ(A)及び結晶子サイズ(B)は、各領域における結晶子サイズの平均である。
電極間に導電性粒子をより一層効率的に配置し、かつ電極間の接続抵抗をより一層低くする観点からは、結晶子サイズ(A)は、結晶子サイズ(B)よりも大きいことが好ましい。
上記導電部における結晶子サイズを微細にし、結晶子サイズを上記上限以下にする方法としては、Ni導電部中のリン含有量の増加による微細化、Ni導電部中のボロン含有量の増加による微細化、めっき液中の有機系光沢剤の添加による微細化、並びに金属系光沢剤の添加による微細化が挙げられる。特にニッケルめっき導電部中のリン及びボロン含有量の増加、有機光沢剤の添加が、導電部における結晶子サイズの微細化に効果がある。
ニッケルめっき導電部中のリン及びボロン含有量を増加させる方法としては、めっき液のpHを低くしてニッケルめっき液の反応の速度を遅くする方法、ニッケルめっき液の温度を下げる方法、ニッケルめっき液中のリン系還元剤及びボロン系還元剤の濃度を高くする方法、ニッケルめっき液中の錯化剤濃度を高くする方法等が挙げられる。これらの方法は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記有機系光沢剤としては、サッカリン、ナフタレンジスルホン酸ナトリウム、ナフタレントリスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、プロパギルスルホン酸ナトリウム、ブチンジオール、プロパギルアルコール、クマリン、ホルマリン、エトキシ化ポリエチレンイミン、ポリアルキルイミン、ポリエチレンイミン、ゼラチン、デキストリン、チオ尿素、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ケイ皮酸、ニコチン酸及びベンザルアセトン等が挙げられる。上記有機系光沢剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
さらに、上記有機系光沢剤の好ましい例としては、エトキシ化ポリエチレンイミン、ポリアルキルイミン、ポリエチレンイミン、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
上記結晶子サイズの測定では、FE−SEM−EBSPを用いて、導電性粒子の断面について、結晶粒マッピング測定を実施する。結晶子サイズの粒径分布チャートを確認することにより、結晶子サイズを判定する。なお、導電部の内側の厚み1/2の領域における結晶子サイズと、導電部の外側の厚み1/2の領域における結晶子サイズとを評価することが好ましい。上記結晶構造を有する導電部が、同一の金属を含むめっき液を用いて形成されていることが好ましい。同一の金属とは、同一の金属元素を含んでいればよく、単体でも化合物でもよい。
接続抵抗をより一層低くし、導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子は、上記導電部の外表面に複数の突起を有することが好ましい。さらに、上記導電性粒子は、複数の上記突起を形成するように、上記導電部内において、上記導電部の表面を隆起させている複数の芯物質を備えることが好ましい。
接続抵抗をより一層低くし、導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子の全表面積100%中、上記突起がある部分の表面積は好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上であり、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。なお、参照した図面では、大きさ及び厚みなどは、図示の便宜上、実際の大きさ及び厚みから適宜変更している。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図1に示すように、導電性粒子1は、基材粒子2と、導電部3とを備える。導電部3は、結晶構造を有する。導電部3は、層界面を有さない単層の導電部である。導電部3は、上記の第1,第2の領域を有する。導電部3は、最外層である。導電性粒子1では、単層の導電部が形成されている。導電部3は、基材粒子2の表面上に配置されている。
図示しないが、導電部3の外表面は防錆処理されている。従って、導電性粒子1は、導電部3の外表面に、防錆膜を備える。
導電性粒子1は、芯物質を有さない。導電性粒子1は、導電性の表面に突起を有さない。導電性粒子1は球状である。導電部3は表面に突起を有さない。このように、本発明に係る導電性粒子は導電性の突起を有していなくてもよく、球状であってもよい。また、導電性粒子1は、絶縁物質を有さない。但し、導電性粒子1は、導電部3の表面上に配置された絶縁物質を有していてもよい。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図2に示す導電性粒子21は、基材粒子2と、導電部22と、芯物質23と、絶縁物質24とを備える。導電部22は、層界面を有さない単層の導電部である。導電部22は、上記の第1,第2の領域を有する。導電部22は、基材粒子2の表面上に配置されている。
図示しないが、導電部22の外表面は防錆処理されている。従って、導電性粒子21は、導電部22の外表面に、防錆膜を備える。
導電性粒子21は、導電性の表面に突起21aを有する。突起21aは複数である。導電部22は外表面に、複数の突起22aを有する。複数の芯物質23が、基材粒子2の表面上に配置されている。複数の芯物質23は導電部22内に埋め込まれている。芯物質23は、突起21a,22aの内側に配置されている。導電部22は、複数の芯物質23を被覆している。複数の芯物質23により導電部22の外表面が隆起されており、突起21a,22aが形成されている。
このように、導電性粒子は導電性の外表面に突起を有していてもよい。導電性粒子は、導電部の外表面に突起を有していてもよい。また、導電性粒子は、多層の導電部を有する場合に、内側の導電部(第1の導電部など)の外表面に突起を有さず、かつ外側の導電部(第2の導電部など)の外表面に突起を有していてもよい。
導電性粒子21は、導電部22の外表面上に配置された絶縁物質24を有する。導電部22の外表面の少なくとも一部の領域が、絶縁物質24により被覆されている。絶縁物質24は絶縁性を有する材料により形成されており、絶縁性粒子である。このように、導電性粒子は、導電部の外表面上に配置された絶縁物質を有していてもよい。
図3は、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図3に示すように、導電性粒子31は、基材粒子2と、第1の導電部32と、第2の導電部33とを備える。
第1の導電部32は、基材粒子2の表面上に配置されている。基材粒子2と第2の導電部33との間に、第1の導電部32が配置されている。第2の導電部33は、第1の導電部32の外表面上に配置されている。第2の導電部33は、第1の導電部32と接している。導電性粒子31は、基材粒子2の表面が第1の導電部32及び第2の導電部33により被覆された被覆粒子である。
第1の導電部32と第2の導電部33とで、全体の導電部が構成されている。第2の導電部33は、導電部における最外層である。導電性粒子31では、多層の導電部が形成されている。
第1の導電部32と第2の導電部33との内の少なくとも一方が、結晶構造を有する。第1の導電部32及び第2の導電部33との内の少なくとも一方が、層界面を有さない単層の導電部である。第1の導電部32と第2の導電部33との内の少なくとも一方が、上記の第1,第2の領域を有する。
第1の導電部32が、特定の上記第1,第2の領域を有する導電部であってもよい。第2の導電部33が、特定の上記第1,第2の領域を有する導電部であってもよい。第1の導電部32及び第2の導電部33の双方が、特定の上記第1,第2の領域を有する導電部であってもよい。第1の導電部32及び第2の導電部33の双方が、特定の上記第1,第2の領域を有する導電部である場合に、第1の導電部32及び第2の導電部33のそれぞれが、層界面を有さない単層の導電部に相当する。
第1,第2の領域を有する導電部の内側に他の導電部が配置されていてもよい。第1,第2の領域を有する導電部の外側に、他の導電部が配置されていてもよい。本発明の効果が効果的に得られることから、第1,第2の領域を有する導電部は、導電部全体における最外層であることが好ましい。
導電性粒子31は、第2の導電部33の表面上に配置された絶縁物質を有していてもよい。導電性粒子31は、第2の導電部33の外表面が防錆処理されており、防錆膜を備えることが好ましい。
以下、基材粒子及び導電部の詳細を説明する。なお、以下の説明において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」と「メタクリル」との一方又は双方を意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」と「メタクリレート」との一方又は双方を意味する。
[基材粒子]
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、金属粒子を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることがより好ましい。上記基材粒子は、コアシェル粒子であってもよい。
上記基材粒子は、樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることが更に好ましく、樹脂粒子であってもよく、有機無機ハイブリッド粒子であってもよい。これらの好ましい基材粒子の使用により、電極間の電気的な接続により一層適した導電性粒子が得られる。
上記導電性粒子を用いて電極間を接続する際には、上記導電性粒子を電極間に配置した後、圧着することにより上記導電性粒子を圧縮させる。基材粒子が樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であると、上記圧着の際に上記導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
上記樹脂粒子を形成するための樹脂として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が挙げられる。導電材料に適した任意の圧縮時の物性を有する樹脂粒子を設計及び合成することができ、かつ基材粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を複数有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する単量体を重合させて得る場合には、上記エチレン性不飽和基を有する単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合に、上記基材粒子を形成するための無機物としては、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム、ジルコニア及びカーボンブラック等が挙げられる。上記無機物は金属ではないことが好ましい。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上持つケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記有機無機ハイブリッド粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを有するコアシェル型の有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。上記コアが有機コアであることが好ましい。上記シェルが無機シェルであることが好ましい。電極間の接続抵抗を効果的に低くする観点からは、上記基材粒子は、有機コアと上記有機コアの表面上に配置された無機シェルとを有する有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。
上記有機コアを形成するための材料としては、上述した樹脂粒子を形成するための樹脂等が挙げられる。
上記無機シェルを形成するための材料としては、上述した基材粒子を形成するための無機物が挙げられる。上記無機シェルを形成するための材料は、シリカであることが好ましい。上記無機シェルは、上記コアの表面上で、金属アルコキシドをゾルゲル法によりシェル状物とした後、該シェル状物を焼成させることにより形成されていることが好ましい。上記金属アルコキシドはシランアルコキシドであることが好ましい。上記無機シェルはシランアルコキシドにより形成されていることが好ましい。
上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子を形成するための金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。但し、上記基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
[導電部]
上記第1,第2の領域を有する導電部及び他の導電部に含まれる金属としては、ニッケル、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、パラジウム、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、ケイ素、タングステン、モリブデン及び錫ドープ酸化インジウム(ITO)等が挙げられる。これらの金属は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
結晶子サイズの調整が容易であり、電極間に導電性粒子を効率的に配置し、かつ電極間の接続抵抗を効果的に低くする観点からは、上記第1,第2の領域を有する導電部及び他の導電部は、金、銅、ニッケル又はパラジウムを含むことが好ましく、ニッケルを含むことが好ましい。
ニッケルを含む導電部には、金属として、ニッケルのみを用いた場合だけでなく、ニッケルと他の金属とを用いた場合も含まれる。上記ニッケルを含む導電部は、ニッケル合金部であってもよい。
上記ニッケルを含む導電部は、ニッケルを主金属として含むことが好ましい。上記ニッケルを含む導電部100重量%中、ニッケルの含有量(平均含有量)は50重量%以上であることが好ましい。上記ニッケルを含む導電部100重量%中、ニッケルの含有量は好ましくは65重量%以上、より好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上である。ニッケルの含有量が上記下限以上であると、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
電極間の接続抵抗をより一層低くする観点からは、上記ニッケルを含む導電部はリン又はボロンを含むことが好ましい。上記ニッケルを含む導電部100重量%中、リンの含有量(平均含有量)及びボロンの含有量(平均含有量)は好ましくは0重量%を超え、より好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは2重量%以上であり、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。リンの含有量及びボロンの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、接続抵抗がより一層低くなる。
電極間の接続抵抗をより一層低くし、かつ高温高湿下での電極間の接続信頼性をより一層高めるために、上記ニッケルを含む導電部100重量%中、リンの含有量は15重量%未満であることがより好ましい。電極間の低い接続抵抗と、高温高湿下での電極間の高い接続信頼性との双方を効果的に発現させる観点からは、上記ニッケルを含む導電部はリンを含むことが好ましく、上記ニッケルを含む導電部100重量%中、リンの含有量は0重量%を超え、より好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは2重量%以上である。リンの含有量が上記下限以上であると、接続抵抗がより一層低くなる。接続抵抗をより一層低くする観点からは、上記ニッケルを含む導電部100重量%中、リンの含有量は好ましくは13重量%以下、より好ましくは11重量%以下、更に好ましくは3重量%以下である。
上記第1,第2の領域を有する導電部の厚みは、好ましくは10nm以上、より好ましくは30nm以上、更に好ましくは60nm以上であり、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm以下、更に好ましくは150nm以下、特に好ましくは130nm以下である。上記第1,第2の領域を有する導電部の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、電極の表面の酸化被膜がより一層効果的に除去され、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。上記厚みは、導電性粒子における上記導電部の平均厚みを示す。
また、本発明では、結晶子サイズが異なる第1,第2の領域を設けているので、導電部の厚みを薄くしても、良好な導通信頼性が発揮される。導電部の厚みが150nm以下であっても、良好な導通信頼性が発揮される。
また、本発明に係る導電性粒子は、上記第1,第2の領域を有する導電部の基材粒子側又は外表面側に他の導電部を更に有していてもよい。上記他の導電部は、上記第1,第2の領域を有する導電部に含まれる金属と、同種の金属を含んでいてもよく、異種の金属を含んでいてもよい。例えば、上記他の導電部に含まれる金属としては、Au、Ag、Cu、Pt、Fe、Pb、Al、Cr、Pa、Rh、Ru、Sb、Bi、Ge、Sn、Co、In、Ni、W、Pd、Ir、Mo、Ti、及びこれらの1種以上を含む合金等が挙げられる。
上記導電性粒子の粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは5.0μm以下、特に好ましくは4.0μm以下である。上記導電性粒子の粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積が充分に大きくなり、かつ導電部を形成する際に凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電部が基材粒子の表面から剥離し難くなる。上記導電性粒子の粒子径は、3.0μm以下であってもよい。
上記導電性粒子の粒子径は、導電性粒子が真球状である場合には、直径を示し、導電性粒子が真球状ではない場合には、最大径を示す。
上記導電性粒子は、導電性の表面に複数の突起を有することが好ましい。上記導電性粒子は、上記導電部の外表面に複数の突起を有することが好ましい。導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。導電性の突起を有する導電性粒子の使用により、電極間に導電性粒子を配置した後、圧着させることにより、突起により酸化被膜が効果的に排除される。このため、電極と導電性粒子とをより一層確実に接触させることができ、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができる。さらに、導電性粒子が表面に絶縁物質を有する場合、又は導電性粒子が樹脂中に分散されて導電材料として用いられる場合に、導電性粒子の突起によって、導電性粒子と電極との間の絶縁物質又は樹脂を効果的に排除できる。このため、電極間の導通信頼性を高めることができる。
上記導電性粒子1個当たりの上記導電部の外表面の突起は、好ましくは3個以上、より好ましくは5個以上である。上記突起の数の上限は特に限定されない。突起の数の上限は導電性粒子の粒子径等を考慮して適宜選択できる。
複数の上記突起の平均高さは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上であり、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。上記突起の平均高さが上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗が効果的に低くなる。
上記突起の高さは、導電性粒子の中心と突起の先端とを結ぶ線(図2に示す破線L1)上における、突起が無いと想定した場合の導電部の仮想線(図2に示す破線L2)上(突起が無いと想定した場合の球状の導電性粒子の外表面上)から突起の先端までの距離を示す。すなわち、図2においては、破線L1と破線L2との交点から突起の先端までの距離を示す。
[芯物質]
上記芯物質が上記導電部中に埋め込まれていることによって、上記導電部が外表面に複数の突起を有するようにすることが容易である。但し、導電性粒子及び導電部の表面に突起を形成するために、芯物質を必ずしも用いなくてもよい。
上記突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電部を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより導電部を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより導電部を形成する方法等が挙げられる。
上記基材粒子の表面上に芯物質を配置する方法としては、例えば、基材粒子の分散液中に、芯物質を添加し、基材粒子の表面に芯物質を、例えば、ファンデルワールス力により集積させ、付着させる方法、並びに基材粒子を入れた容器に、芯物質を添加し、容器の回転等による機械的な作用により基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法等が挙げられる。なかでも、付着させる芯物質の量を制御しやすいため、分散液中の基材粒子の表面に芯物質を集積させ、付着させる方法が好ましい。
上記芯物質が上記導電部中に埋め込まれていることによって、上記導電部が外表面に複数の突起を有するようにすることが容易である。但し、導電性粒子の導電性の表面及び導電部の表面に突起を形成するために、芯物質を必ずしも用いなくてもよい。
上記突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電部を形成する方法、基材粒子の表面に無電解めっきにより導電部を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより導電部を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより導電部を形成する途中段階で芯物質を添加する方法等が挙げられる。
上記芯物質の材料としては、導電性物質及び非導電性物質が挙げられる。上記導電性物質としては、例えば、金属、金属の酸化物、黒鉛等の導電性非金属及び導電性ポリマー等が挙げられる。上記導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン等が挙げられる。上記非導電性物質としては、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム及びジルコニア等が挙げられる。なかでも、導電性を高めることができ、更に接続抵抗を効果的に低くすることができるので、金属が好ましい。上記芯物質は金属粒子であることが好ましい。上記芯物質の材料である金属としては、上記導電材料の材料として挙げた金属を適宜使用可能である。
上記芯物質の材料の具体例としては、チタン酸バリウム(モース硬度4.5)、ニッケル(モース硬度5)、シリカ(二酸化珪素、モース硬度6〜7)、酸化チタン(モース硬度7)、ジルコニア(モース硬度8〜9)、アルミナ(モース硬度9)、炭化タングステン(モース硬度9)及びダイヤモンド(モース硬度10)等が挙げられる。上記無機粒子は、ニッケル、シリカ、酸化チタン、ジルコニア、アルミナ、炭化タングステン又はダイヤモンドであることが好ましく、シリカ、酸化チタン、ジルコニア、アルミナ、炭化タングステン又はダイヤモンドであることがより好ましく、酸化チタン、ジルコニア、アルミナ、炭化タングステン又はダイヤモンドであることが更に好ましく、ジルコニア、アルミナ、炭化タングステン又はダイヤモンドであることが特に好ましい。上記芯物質の材料のモース硬度は好ましくは5以上、より好ましくは6以上、更に好ましくは7以上、特に好ましくは7.5以上である。
上記芯物質の形状は特に限定されない。芯物質の形状は塊状であることが好ましい。芯物質としては、例えば、粒子状の塊、複数の微小粒子が凝集した凝集塊、及び不定形の塊等が挙げられる。
上記芯物質の平均径(平均粒子径)は、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上であり、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。上記芯物質の平均径が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗が効果的に低くなる。
上記芯物質の「平均径(平均粒子径)」は、数平均径(数平均粒子径)を示す。芯物質の平均径は、任意の芯物質50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
[絶縁物質]
上記導電性粒子は、上記導電部の外表面上に配置された絶縁物質を備えることが好ましい。この場合には、導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁物質が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、導電性粒子の導電部と電極との間の絶縁物質を容易に排除できる。導電性粒子が導電部の外表面に複数の突起を有する場合には、導電性粒子の導電部と電極との間の絶縁物質を容易に排除できる。
電極間の圧着時に上記絶縁物質をより一層容易に排除できることから、上記絶縁物質は、絶縁性粒子であることが好ましい。
上記絶縁物質の材料である絶縁性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン類、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。
上記ポリオレフィン類としては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート及びポリブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水素添加物等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。なかでも、水溶性樹脂が好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましい。
上記導電部の外表面上に絶縁物質を配置する方法としては、化学的方法、及び物理的もしくは機械的方法等が挙げられる。上記化学的方法としては、例えば、界面重合法、粒子存在下での懸濁重合法及び乳化重合法等が挙げられる。上記物理的もしくは機械的方法としては、スプレードライ、ハイブリダイゼーション、静電付着法、噴霧法、ディッピング及び真空蒸着による方法等が挙げられる。なかでも、絶縁物質が脱離し難いことから、上記導電部の表面に、化学結合を介して上記絶縁物質を配置する方法が好ましい。
上記絶縁物質の平均径(平均粒子径)は、導電性粒子の粒子径及び導電性粒子の用途等によって適宜選択できる。上記絶縁物質の平均径(平均粒子径)は好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。絶縁物質の平均径が上記下限以上であると、導電性粒子がバインダー樹脂中に分散されたときに、複数の導電性粒子における導電部同士が接触し難くなる。絶縁性粒子の平均径が上記上限以下であると、電極間の接続の際に、電極と導電性粒子との間の絶縁物質を排除するために、圧力を高くしすぎる必要がなくなり、高温に加熱する必要もなくなる。
上記絶縁物質の「平均径(平均粒子径)」は、数平均径(数平均粒子径)を示す。絶縁物質の平均径は、粒度分布測定装置等を用いて求められる。
[防錆処理]
導電性粒子の腐食を抑え、電極間の接続抵抗を低くするために、上記導電部の外表面は防錆処理されていることが好ましい。
導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電部の外表面は、炭素数6〜22のアルキル基を有する化合物により、防錆処理されていることが好ましい。上記導電部の表面は、リンを含まない化合物により防錆処理されていてもよく、炭素数6〜22のアルキル基を有しかつリンを含まない化合物により防錆処理されていてもよい。導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電部の外表面は、アルキルリン酸化合物又はアルキルチオールにより、防錆処理されていることが好ましい。防錆処理により、導電部の外表面に、防錆膜を形成できる。
上記防錆膜は、炭素数6〜22のアルキル基を有する化合物(以下、化合物Aともいう)により形成されていることが好ましい。上記導電部の外表面は、上記化合物Aにより表面処理されていることが好ましい。上記アルキル基の炭素数が6以上であると、導電部全体で錆がより一層生じ難くなり、特に導電部に錆がより一層生じ難くなる。上記アルキル基の炭素数が22以下であると、導電性粒子の導電性が高くなる。導電性粒子の導電性をより一層高める観点からは、上記化合物Aにおける上記アルキル基の炭素数は16以下であることが好ましい。上記アルキル基は直鎖構造を有していてもよく、分岐構造を有していてもよい。上記アルキル基は、直鎖構造を有することが好ましい。
上記化合物Aは、炭素数6〜22のアルキル基を有していれば特に限定されない。上記化合物Aは、炭素数6〜22のアルキル基を有するリン酸エステル又はその塩、炭素数6〜22のアルキル基を有する亜リン酸エステル又はその塩、炭素数6〜22のアルキル基を有するアルコキシシラン、炭素数6〜22のアルキル基を有するアルキルチオール、及び炭素数6〜22のアルキル基を有するジアルキルジスルフィドからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。すなわち、上記炭素数6〜22のアルキル基を有する化合物Aは、リン酸エステル又はその塩、亜リン酸エステル又はその塩、アルコキシシラン、アルキルチオール及びジアルキルジスルフィドからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの好ましい化合物Aの使用により、導電部に錆をより一層生じ難くすることができる。錆をより一層生じ難くする観点からは、上記化合物Aは、上記リン酸エステルもしくはその塩、亜リン酸エステルもしくはその塩、又は、アルキルチオールであることが好ましく、上記リン酸エステルもしくはその塩、又は、亜リン酸エステルもしくはその塩であることがより好ましい。上記化合物Aは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記化合物Aは、導電部の外表面と反応可能な反応性官能基を有することが好ましく、導電部の外表面と反応可能な反応性官能基を有することが好ましい。上記化合物Aは、上記絶縁物質と反応可能な反応性官能基を有することが好ましい。上記防錆膜は、導電部と化学結合していることが好ましい。上記防錆膜は、上記絶縁物質と化学結合していることが好ましい。上記防錆膜は、上記導電部及び上記絶縁物質の双方と化学結合していることがより好ましい。上記反応性官能基の存在により、及び上記化学結合により、上記防錆膜の剥離が生じ難くなり、この結果、導電部に錆がより一層生じ難くなり、かつ導電性粒子の表面から絶縁物質が意図せずにより一層脱離し難くなる。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有するリン酸エステル又はその塩としては、例えば、リン酸ヘキシルエステル、リン酸ヘプチルエステル、リン酸モノオクチルエステル、リン酸モノノニルエステル、リン酸モノデシルエステル、リン酸モノウンデシルエステル、リン酸モノドデシルエステル、リン酸モノトリデシルエステル、リン酸モノテトラデシルエステル、リン酸モノペンタデシルエステル、リン酸モノヘキシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノヘプチルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノオクチルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノノニルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノウンデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノドデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノトリデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノテトラデシルエステルモノナトリウム塩及びリン酸モノペンタデシルエステルモノナトリウム塩等が挙げられる。上記リン酸エステルのカリウム塩を用いてもよい。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有する亜リン酸エステル又はその塩としては、例えば、亜リン酸ヘキシルエステル、亜リン酸ヘプチルエステル、亜リン酸モノオクチルエステル、亜リン酸モノノニルエステル、亜リン酸モノデシルエステル、亜リン酸モノウンデシルエステル、亜リン酸モノドデシルエステル、亜リン酸モノトリデシルエステル、亜リン酸モノテトラデシルエステル、亜リン酸モノペンタデシルエステル、亜リン酸モノヘキシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノヘプチルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノオクチルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノノニルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノデシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノウンデシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノドデシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノトリデシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノテトラデシルエステルモノナトリウム塩及び亜リン酸モノペンタデシルエステルモノナトリウム塩等が挙げられる。上記亜リン酸エステルのカリウム塩を用いてもよい。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有するアルコキシシランとしては、例えば、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、トリデシルトリメトキシシラン、トリデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ペンタデシルトリメトキシシラン及びペンタデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有するアルキルチオールとしては、例えば、ヘキシルチオール、ヘプチルチオール、オクチルチオール、ノニルチオール、デシルチオール、ウンデシルチオール、ドデシルチオール、トリデシルチオール、テトラデシルチオール、ペンタデシルチオール及びヘキサデシルチオール等が挙げられる。上記アルキルチオールは、アルキル鎖の末端にチオール基を有することが好ましい。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有するジアルキルジスルフィドとしては、例えば、ジヘキシルジスルフィド、ジヘプチルジスルフィド、ジオクチルジスルフィド、ジノニルジスルフィド、ジデシルジスルフィド、ジウンデシルジスルフィド、ジドデシルジスルフィド、ジトリデシルジスルフィド、ジテトラデシルジスルフィド、ジペンタデシルジスルフィド及びジヘキサデシルジスルフィド等が挙げられる。
(導電材料)
本発明に係る導電材料は、上述した導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。上記導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散されて用いられることが好ましく、バインダー樹脂中に分散されて導電材料として用いられることが好ましい。上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。上記導電材料は、電極間の電気的な接続に用いられることが好ましい。上記導電材料は、回路接続材料であることが好ましい。
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、公知の絶縁性の樹脂が用いられる。
上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
上記導電材料は、上記導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
本発明に係る導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。本発明に係る導電材料が、導電フィルムである場合には、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは、異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは、異方性導電フィルムであることが好ましい。
上記導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上であり、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。上記バインダー樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に導電性粒子が効率的に配置され、導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性がより一層高くなる。
上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であり、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下、更に好ましくは40重量%以下、特に好ましくは20重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
(接続構造体)
上記導電性粒子を用いて、又は上記導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
上記接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、第1,第2の接続対象部材を接続している接続部とを備え、該接続部が上述した導電性粒子により形成されているか、又は上述した導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている接続構造体であることが好ましい。導電性粒子が用いられた場合には、接続部自体が導電性粒子である。すなわち、第1,第2の接続対象部材が導電性粒子により接続される。
図4に、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を用いた接続構造体を模式的に断面図で示す。
図4に示す接続構造体51は、第1の接続対象部材52と、第2の接続対象部材53と、第1,第2の接続対象部材52,53を接続している接続部54とを備える。接続部54は、導電性粒子1を含む導電材料を硬化させることにより形成されている。なお、図4では、導電性粒子1は、図示の便宜上、略図的に示されている。導電性粒子1にかえて、導電性粒子21,31等を用いてもよい。
第1の接続対象部材52は表面(上面)に、複数の第1の電極52aを有する。第2の接続対象部材53は表面(下面)に、複数の第2の電極53aを有する。第1の電極52aと第2の電極53aとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材52,53が導電性粒子1により電気的に接続されている。
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例としては、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記加圧の圧力は9.8×104〜4.9×106Pa程度である。上記加熱の温度は、120〜220℃程度である。
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板などの電子部品等が挙げられる。上記接続対象部材は電子部品であることが好ましい。上記導電性粒子は、電子部品における電極の電気的な接続に用いられることが好ましい。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、銀電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(参考例1)
基材粒子Aとして、粒子径が2.5μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−2025」)を用意した。
上記基材粒子Aの表面上に、以下のようにして導電部を形成した。導電部における内側の厚み1/2の領域と、導電部における外側の厚み1/2の領域とで、結晶子サイズを異ならせた。
パラジウム触媒液5重量%を含むアルカリ溶液100重量部に、上記基材粒子A10重量部を、超音波分散器を用いて分散させた後、溶液をろ過することにより、基材粒子Aを取り出した。次いで、基材粒子Aをジメチルアミンボラン1重量%溶液100重量部に添加し、基材粒子Aの表面を活性化させた。表面が活性化された基材粒子Aを十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、分散液を得た。
次に、アルミナ粒子スラリー(平均粒子径150nm)1gを3分間かけて上記分散液に添加し、芯物質が付着された基材粒子Aを含む懸濁液を得た。
また、硫酸ニッケル0.12mol/L、次亜リン酸ナトリウム1.38mol/L及びクエン酸ナトリウム0.25mol/L、及び光沢剤としてポリアルキルイミン1000mg/Lを含む第1のニッケルめっき液(pH4.0)を用意した。また、硫酸ニッケル0.12mol/L、ジメチルアミンボラン0.46mol/L及びクエン酸ナトリウム0.25mol/Lを含む第2のニッケルめっき液(pH8.5)を用意した。
得られた懸濁液を60℃にて攪拌しながら、上記第1のニッケルめっき液を懸濁液に徐々に滴下し、無電解ニッケルめっきを行い、内側の厚み1/2の領域にニッケル−リン導電層(ニッケル含有量91重量%、リン含有量8重量%)を形成した。
続けて上記第2のニッケルめっき液(pH8.5)を徐々に滴下し、無電解ニッケルめっきを行い、外側の厚み1/2の領域にニッケル−ボロン導電層(ニッケル含有量98重量%、ボロン含有量1重量%)を形成し、液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥した。このようにして、基材粒子Aの表面上に導電部(厚み100nm、導電層)が形成されており、導電部の外表面の全表面積100%中、突起がある部分の表面積が30%以上(70%)である導電性粒子を得た。
(参考例2)
アルミナ粒子スラリーをニッケルスラリー(150nm)に変更したこと以外は参考例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(参考例3)
突起形成に粒子スラリーを用いずに、導電部の形成時に部分的に析出量がかわるように調整して突起を形成したこと以外は、参考例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(参考例4)
内側の厚み1/2の領域をニッケル−リン導電層のニッケル含有量を87重量%、リン含有量を12重量%に変更したこと、並びに第1のニッケルめっき液に光沢剤を添加しなかったこと以外は参考例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(参考例5)
内側の厚み1/2の領域をニッケル−リン導電層のニッケル含有量を90重量%、リン含有量を9重量%に変更ししたこと、並びに第1のニッケルめっき液に添加する光沢剤の濃度を500mg/Lに変更したこと以外は参考例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(参考例6)
内側の厚み1/2の領域をニッケル−ボロン導電層(ニッケル含有量97重量%、ボロン含有量2重量%)に変更したこと以外は参考例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例7)
内側の厚み1/2の領域をニッケル−ボロン導電層(ニッケル含有量98重量%、ボロン含有量1重量%)に変更したこと、外側の厚み1/2の領域をニッケル−リン導電層(ニッケル含有量91重量%、リン含有量8重量%)に変更したこと、第1のニッケルめっき液に光沢剤を添加しなかったこと、並びに第2のニッケルめっき液に光沢剤1000mg/Lを添加したこと以外は参考例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(実施例8)
内側の厚み1/2の領域をニッケル−ボロン導電層(ニッケル含有量98重量%、ボロン含有量1重量%)に変更したこと、外側の厚み1/2の領域をニッケル−リン導電層(ニッケル含有量87重量%、リン含有量12重量%)に変更したこと、並びに第1のニッケルめっき液に光沢剤を添加しなかったこと以外は参考例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(参考例9)
第2のニッケルめっき液のジメチルアミンボランを塩化チタン(III)0.24mol/Lに変更することで、外側の厚み1/2の領域をリンやホウ素が含有されていない高純度のニッケル導電層(ニッケル含有量99重量%)に変更したこと以外は参考例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(参考例10)
内側の厚み1/2の領域をニッケル−ボロン導電層(ニッケル含有量98重量%、ボロン含有量1重量%)に変更したこと、並びに第1のニッケルめっき液に光沢剤を添加しなかったこと以外は参考例9と同様にして、導電性粒子を得た。
(参考例11)
基材粒子Aと粒子径のみが異なり、粒子径が1.5μmである基材粒子Bを用意した。基材粒子Aを基材粒子Bに変更したこと以外は参考例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(参考例12)
基材粒子Aと粒子径のみが異なり、粒子径が3.5μmである基材粒子Cを用意した。基材粒子Aを基材粒子Cに変更したこと以外は参考例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(参考例13)
基材粒子Aと粒子径のみが異なり、粒子径が5μmである基材粒子Dを用意した。基材粒子Aを基材粒子Dに変更したこと以外は参考例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(参考例14)
導電部の外表面の全表面積100%中、突起がある部分の表面積を25%に変更したこと以外は参考例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(参考例15)
粒子径が2.0μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−202」)の表面を、ゾルゲル反応による縮合反応を用いて無機シェル(厚み250nm)により被覆したコアシェル型の有機無機ハイブリッド粒子(基材粒子E)を得た。上記基材粒子Aを上記基材粒子Eに変更したこと以外は参考例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(参考例16)
攪拌機及び温度計が取り付けられた500mLの反応容器内に、0.13重量%のアンモニア水溶液300gを入れた。次に、反応容器内のアンモニア水溶液中に、メチルトリメトキシシラン4.1gと、ビニルトリメトキシシラン19.2gと、シリコーンアルコキシオリゴマー(信越化学工業社製「X−41−1053」)0.7gとの混合物をゆっくりと添加した。撹拌しながら、加水分解及び縮合反応を進行させた後、25重量%アンモニア水溶液2.4mLを添加した後、アンモニア水溶液中から粒子を単離して、得られた粒子を酸素分圧10−17atm、350℃で2時間焼成して、粒子径が2.5μmの有機無機ハイブリッド粒子(基材粒子F)を得た。上記基材粒子Aを上記基材粒子Fに変更したこと以外は参考例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(参考例17)
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブが取り付けられた1000mLのセパラブルフラスコに、メタクリル酸メチル100mmolと、N,N,N−トリメチル−N−2−メタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロライド1mmolと、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩1mmolとを含むモノマー組成物を固形分率が5重量%となるようにイオン交換水に秤取した後、200rpmで攪拌し、窒素雰囲気下70℃で24時間重合を行った。反応終了後、凍結乾燥して、表面にアンモニウム基を有し、平均粒子径220nm及びCV値10%の絶縁性粒子を得た。
絶縁性粒子を超音波照射下でイオン交換水に分散させ、絶縁性粒子の10重量%水分散液を得た。
参考例1で得られた導電性粒子10gをイオン交換水500mLに分散させ、絶縁性粒子の水分散液4gを添加し、室温で6時間攪拌した。3μmのメッシュフィルターでろ過した後、更にメタノールで洗浄し、乾燥し、絶縁性粒子が付着した導電性粒子を得た。
走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、導電性粒子の表面に絶縁性粒子による被覆層が1層のみ形成されていた。画像解析により導電性粒子の中心より2.5μmの面積に対する絶縁性粒子の被覆面積(即ち絶縁性粒子の粒子径の投影面積)を算出したところ、被覆率は30%であった。
(比較例1)
内側の厚み1/2の領域をニッケル−リン導電層(ニッケル含有量87重量%、リン含有量12重量%)に変更したこと、外側の厚み1/2の領域をニッケル−リン導電層(ニッケル含有量89重量%、リン含有量10重量%)に変更したこと、並びに第1のニッケルめっき液に光沢剤を添加しなかったこと以外は参考例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(比較例2)
内側の厚み1/2の領域をニッケル−リン導電層(ニッケル含有量96重量%、リン含有量3重量%)に変更したこと、外側の厚み1/2の領域をニッケル−ボロン導電層(ニッケル含有量98重量%、ボロン含有量1重量%)に変更したこと、並びに第1のニッケルめっき液に光沢剤を添加しなかったこと以外は参考例1と同様にして、導電性粒子を得た。
(評価)
(1)結晶子サイズ
FE−SEM−EBSPを用いて、導電性粒子の断面について、結晶粒マッピング測定を実施した。結晶子サイズの粒径分布チャートを確認することにより、結晶子サイズを判定した。なお、導電部の内側の厚み1/2の領域における結晶子サイズ(A)と、導電部の外側の厚み1/2の領域における結晶子サイズ(B)とを評価した。
(2)導電部100重量%中のニッケル、リン及びボロンの含有量
導電部におけるニッケル、ボロン及びリンの各含有量を、FE−TEM/EDX分析(JEOL社製「JEM−ARM200F」)にて測定した。導電部の内側の厚み1/2の領域と、導電部の外側の厚み1/2の領域と、導電部全体における平均含有量を求めた。
(3)導電部の割れ
得られた導電性粒子1gと、トルエン60gと、直径0.5mmのジルコニアボールとを混合し、直径3cmの攪拌羽根で400rpmの条件で2分間攪拌した。固液分離した粒子を乾燥した後、SEM観察を行った。導電性粒子1000個中、導電部に割れが生じた導電性粒子の個数をカウントして、導電部の割れを下記の基準で判定した。
[導電部の割れの判定基準]
○○:導電部に割れが生じた導電性粒子の個数の割合が3%未満
○:導電部に割れが生じた導電性粒子の個数の割合が3%以上、10%未満
△:導電部に割れが生じた導電性粒子の個数の割合が10%以上、20%未満
×:導電部に割れが生じた導電性粒子の個数の割合が20%以上
(4)電極上の導電性粒子の配置精度(捕捉率)
得られた導電性粒子を含有量が10重量%となるように、三井化学社製「ストラクトボンドXN−5A」に添加し、分散させて、異方性導電ペーストを作製した。
L/Sが30μm/30μmであるITO電極パターンを上面に有する透明ガラス基板を用意した。また、L/Sが30μm/30μmである銅電極パターンを下面に有する半導体チップを用意した。
上記透明ガラス基板上に、作製直後の異方性導電ペーストを厚さ30μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、異方性導電ペースト層上に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電ペースト層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、3MPaの圧力をかけて異方性導電ペースト層を185℃で硬化させて、接続構造体を得た。
得られた接続構造体において、導電材料により形成された接続部に含まれる導電性粒子の全個数100重量%中、電極上に配置されている導電性粒子の個数の割合(%)を評価した。電極上の導電性粒子の配置精度を下記の基準で判定した。
[電極上の導電性粒子の配置精度の判定基準]
○○:電極上に配置されている導電性粒子の個数の割合が80%以上
○:電極上に配置されている導電性粒子の個数の割合が70%以上、80%未満
△:電極上に配置されている導電性粒子の個数の割合が60%以上、70%未満
×:電極上に配置されている導電性粒子の個数の割合が60%未満
(5)導通信頼性
上記(4)の評価で得られた接続構造体15個の上下の電極間の接続抵抗を、4端子法により測定した。2つの接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。接続抵抗を下記の基準で判定した。
[接続抵抗(導通信頼性)の判定基準]
○○:接続抵抗の平均値が8.0Ω以下
○:接続抵抗の平均値が8.0Ωを超え、10.0Ω以下
△:接続抵抗の平均値が10.0Ωを超え、15.0Ω以下
×:接続抵抗の平均値が15.0Ωを超える
(6)絶縁信頼性
上記(4)の評価で得られた接続構造体15個を、85℃及び湿度85%にて500時間放置した。放置後の接続構造体において、隣接する電極間に、5Vを印加し、抵抗値を25箇所で測定して、絶縁抵抗の平均値を算出した。絶縁信頼性を下記の基準で判定した。
[絶縁信頼性の判定基準]
○○:絶縁抵抗が1000MΩ以上
○:絶縁抵抗が100MΩ以上、1000MΩ未満
△:絶縁抵抗が10MΩ以上、100MΩ未満
×:絶縁抵抗が10MΩ未満
詳細及び結果を下記の表1,2に示す。