JP6929719B2 - 未精製オリーブ油を含有する油脂組成物 - Google Patents

未精製オリーブ油を含有する油脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、未精製オリーブ油を含有する油脂組成物に関する。特に本発明は、未精製オリーブ油を含有する油脂組成物の耐寒性を向上させる技術に関する。
一般にオリーブ油は、その風味の良さから、イタリア料理をはじめとする種々の料理に使用されるほか、ドレッシングなどの食品にも広く利用されている。しかし、オリーブ油は低温での安定性が低く、低温で結晶が析出し、にごってしまうという問題がある。日本においては、室温でも結晶が析出してしまうことがあるため、乳化剤などを添加して結晶の析出を抑制したり、加温などによって結晶を溶解したりする作業が必要になり、オリーブ油の良好な風味が損なわれてしまうこともある。
オリーブ油の耐寒性を解決することを目的とした技術として、例えば、特許文献1には、オリーブ油にレシチンを配合することによって、低温雰囲気でもオリーブ油の透明性を維持することが提案されている。また、特許文献2には、未精製のオリーブオイル45〜70質量%に対して高オレイン酸低リノレン酸菜種油を55〜30質量%配合することによってオリーブオイルの耐寒性を向上させることが提案されている。
一方で、種々の目的で中鎖脂肪酸トリグリセリドを油脂組成物に配合することがある。例えば、特許文献3には、パーム油に中鎖脂肪酸トリグリセリドを配合することによってパーム油の風味劣化を抑制することが記載されている。また、特許文献4〜5には、米飯のほぐれやすさを向上させるための米飯用油脂組成物に中鎖脂肪酸トリグリセリドを配合することが記載されている。さらに、特許文献6には、食品に噴霧して使用するための噴霧用食用油に中鎖脂肪酸トリグリセリドを配合して、食用油の粘度を噴霧に適したものに調整することが記載されている。
特開2000−139348号公報 特開2011−254707号公報 特開2016−042814号公報 特開2015−198590号公報 特開2008−118986号公報 特開2001−178364号公報
上述したように、オリーブ油を含有する油脂組成物は耐寒性が低く、低温で保管すると濁りが生じて食品の外観が悪くなったり、流動性が失われて作業性が悪くなったりする。従来、いくつかの技術が提案されてきたが、特許文献1の技術は、オリーブ油に対してレシチンを配合するためオリーブ油の良好な風味が損なわれる場合があり、また、特許文献2の技術も、オリーブ油に対して55〜30質量%もの高オレイン酸低リノレン酸菜種油を配合するため、優れたオリーブ油の風味が損なわれてしまう。
また、近年、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどにおいて流通する際、チルド(冷蔵)の状態に食品が一定期間置かれることがあり、そのような場合にも安定して使用できるようなオリーブ油含有油脂組成物が求められていた。このような状況に鑑み、本発明は、オリーブ油の中でも特に耐寒性の低い未精製オリーブ油を含有する油脂組成物の耐寒性を向上する技術を提供することを目的とする。
本発明者らが上記課題について鋭意検討したところ、未精製オリーブ油に対して中鎖脂肪酸トリグリセリドを配合することによって油脂組成物の耐寒性が大きく向上することを見出した。特に、食用油脂組成物における未精製オリーブ油の配合量を20〜95質量%、中鎖脂肪酸トリグリセリドの配合量を5質量%以上とすることによって、低温で保管しても結晶の析出が大きく抑制された油脂組成物を得ることができ、本発明に係る油脂組成物は、低温で保管や流通されるような食品に好適に使用することができる。
本発明は、これに限定されるものではないが、以下の態様を包含する。
(1) 低温で流通または保管される食品用の油脂組成物であって、20〜95質量%の未精製オリーブ油と、5質量%以上の中鎖脂肪酸トリグリセリドと、を含有する、上記油脂組成物。
(2) 前記食品が、10℃以下において流通または保管される食品である、(1)に記載の油脂組成物。
(3) 麺類または麺皮類に付着させるための、(1)または(2)に記載の油脂組成物。
(4) ドレッシングに使用するための、(1)または(2)に記載の油脂組成物。
(5) 中鎖脂肪酸トリグリセリドの固体脂含量が、−2℃で7時間保持後において10%以下である、(1)〜(4)のいずれかに記載の油脂組成物。
(6) 中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量が、5〜40質量%である、(1)〜(5)のいずれかに記載の油脂組成物。
(7) (1)〜(6)のいずれかに記載の油脂組成物を含有する食品。
(8) 未精製オリーブ油および中鎖脂肪酸トリグリセリドを配合することを含む、低温で流通または保管される食品用の油脂組成物の製造方法であって、未精製オリーブ油が油脂組成物の20〜95質量%、中鎖脂肪酸トリグリセリドが油脂組成物の5質量%以上を構成する、上記方法。
(9) 未精製オリーブ油および中鎖脂肪酸トリグリセリドを配合することを含む、低温で流通または保管される食品用の油脂組成物の耐寒性を向上させる方法であって、未精製オリーブ油が油脂組成物の20〜95質量%、中鎖脂肪酸トリグリセリドが油脂組成物の5質量%以上を構成する、上記方法。
本発明によれば、未精製オリーブ油を含む油脂組成物の耐寒性を効果的に向上させることができる。特に本発明の油脂組成物は、チルド(冷蔵)の状態で保管や流通されるような食品について好適に使用することができる。
また、本発明に係る油脂組成物は結晶が析出しにくいため、加温などによって結晶を溶解する必要がなく、加温によってオリーブ油の良好な風味が損なわれてしまうことも避けられる。
図1は、実験1における冷蔵保管後の油脂組成物の外観写真である。
一つの態様において本発明は、未精製オリーブ油と中鎖脂肪酸トリグリセリドを配合した油脂組成物に関する。
未精製オリーブ油
本発明の油脂組成物は未精製オリーブ油を含有する。オリーブ油は、オリーブの果実から得られる植物油であり、比較的オレイン酸を多く含むため、他の食用油脂に比べて酸化されにくい性質を有する(不乾性油)。オリーブ油は紫外線により劣化するため冷暗所で保存することがあるが、低温下で保存した場合、オリーブ油の中でも未精製のオリーブ油は結晶の核となる物質が多く含まれるため、特に結晶が析出しやすく安定性が低いことが知られている。
本発明に用いる未精製オリーブ油の酸度は、3.3%未満であることが好ましく、2.0%未満がより好ましく、0.8%未満がさらに好ましい。未精製オリーブ油の酸度が低いと風味が良好であり、油脂組成物の風味が特に優れたものとなる。
本発明に用いる未精製オリーブ油は、一般的な未精製オリーブ油を使用することができる。好ましい態様において、例えば、オリーブから遠心分離などによって直接得られたバージンオリーブ油を好適に使用することができる。一般に、オリーブ油の中でも品質が特に優れているものをエクストラバージンオリーブ油と呼ぶが、本発明においても、好適に使用することができる。
本発明に係る油脂組成物は、未精製オリーブ油を20〜95質量%含有する。好ましい態様において、未精製オリーブ油の含有量は、例えば、25〜90質量%や30〜85質量%である。本発明の油脂組成物における未精製オリーブ油の含有量は、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上としてもよい。
中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)
中鎖脂肪酸トリグリセリド(Medium Chain Triglycerides)はMCTと称されるもので、主に炭素数が6〜12の中鎖脂肪酸、好ましくは炭素数が6〜10の中鎖脂肪酸から構成される。炭素数6〜12の中鎖脂肪酸としては、n−ヘキサン酸、n−ヘプタン酸、n−オクタン酸、n−ノナン酸、n−デカン酸、及びn−ドデカン酸が挙げられる。中鎖脂肪酸は、ヤシ油やパーム核油等を加水分解することにより得ることができる。
本発明に係る油脂組成物は、中鎖脂肪酸トリグリセリドを5質量%以上含有する。好ましい態様において、本発明に係る油脂組成物は、中鎖脂肪酸トリグリセリドを8質量%以上含有し、より好ましくは12質量%以上含有し、さらに好ましくは16質量%以上含有する。上限は特に制限されないが、本発明に係る油脂組成物における中鎖脂肪酸トリグリセリドは、50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下がより好ましく、35質量%以下としてもよい。
本発明に係る油脂組成物において、未精製オリーブと中鎖脂肪酸トリグリセリドの質量比は、例えば、95:5〜45:55とすることができ、好ましくは90:10〜50:50、より好ましくは85:15〜55:45としてもよい。
本発明に使用する中鎖脂肪酸トリグリセリドは、全構成脂肪酸中の炭素数8以下の中鎖脂肪酸が55%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上や80%以上としてもよい。
中鎖脂肪酸トリグリセリドの製造方法は、特に限定されず、既知の方法を用いることができる。例えば、ヤシ油やパーム核油などを原料とする中鎖脂肪酸とグリセリンとをエステル化反応させることにより得ることができる。
中鎖脂肪酸トリグリセリドの凝固特性は特に制限されないが、−2℃で7時間保持後の固体脂含量が10%以下であることが好ましく、7%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。中鎖脂肪酸トリグリセリドの−2℃で7時間保持後の固体脂含量が10%以下であると、未精製オリーブ油を含有する油脂組成物の低温での安定性を特に大きく向上させることができる。
中鎖脂肪酸トリグリセリドの凝固点は特に制限されないが、−1℃以下であることが好ましく、−5℃以下であることがより好ましく、−10℃以下としてもよい。凝固点の下限は特に制限されないが、−30℃以上や−20℃以上であると好ましい。中鎖脂肪酸トリグリセリドの凝固点が−1℃以下であると、油脂組成物の低温での安定性が特に大きく向上する。
(食用油)
本発明に係る油脂組成物は、未精製オリーブ油と中鎖脂肪酸トリグリセリドをブレンドすることにより製造できる。本発明においては、未精製オリーブ油と中鎖脂肪酸トリグリセリドの他に、別の食用油を配合することができる。
本発明の油脂組成物に用いる油脂は、食用であれば特に限定されるものではなく、植物由来であるか、動物由来であるか、また、合成品であるかも問わない。未精製オリーブ油の他に食用油を配合する場合、例えば、大豆油、菜種油、キャノーラ油、コーン油、ひまわり油、紅花油、綿実油、ゴマ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、精製オリーブ油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、米糠油、小麦胚芽油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂、牛脂、豚脂、鶏脂、乳脂、魚油、アザラシ脂、藻類油などを単独または組み合わせて使用することができる。また、水素添加油脂、グリセリンと脂肪酸のエステル化油、エステル交換油、分別油脂なども適宜使用することができる。さらに、遺伝子組換えの技術を用いて品種改良した植物から抽出したものであってもよい。中でもチルド温度帯で液状を呈する食用油脂とするのが好ましい。
また、本発明の油脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて通常用いられる添加剤を添加することができる。前記添加剤としては、保存安定性向上、酸化安定性向上、熱安定性向上、低温化での結晶抑制等を目的としたものであって、例えば、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート等の乳化剤、トコフェロール、アスコルビン酸脂肪酸エステル、リグナン、茶抽出物、コエンザイムQ、オリザノール等の抗酸化剤、β−カロテン等の色素、香料、シリコーンなどが挙げられる。前記添加剤を添加する場合は、油脂に対して10質量%以下とすることが風味の点で好ましく、5質量%以下や3質量%以下としてもよい。近年、添加物を摂取したくないという消費者も増えているところ、好ましい態様において、本発明の油脂組成物は乳化剤を無添加とすることができる。
(食品)
本発明の一つの態様において、本発明に係る油脂組成物を含ませた食品とすることができる。上述したように本発明に係る油脂組成物は、低温での安定性に優れているため、チルドなどの低温で流通・保管されるような食品に特に好適に使用される。具体的には、本発明に係る油脂組成物は、20〜95質量%の未精製のオリーブ油を含みながらも、10℃以下という低温において使用した場合に結晶の析出やにごりが生じにくく、耐寒性に優れるものである。本発明に係る油脂組成物は、8℃以下、特に5℃以下といった温度で使用しても結晶の析出やにごりが生じにくく、チルドの状態で流通・保管されるような食品に好適に使用することができる。
本発明の実施の形態に係る食品としては、特に限定されるものではないが、例えば、マヨネーズ、マーガリン、ファットスプレット、分離液状ドレッシング、乳化ドレッシング、アイスクリーム、クリーム等の乳化油脂組成物、カツ、コロッケ、天ぷら、フライドチキン、フライドポテトなどの揚げ物のほか、野菜炒め、チャーハンなどの炒め物、洋菓子類、パスタサラダ、スパゲティ、焼きそばなどの調理済み麺類、飲料などが挙げられる。
また、食品中における本発明の食用油の使用量は、食品中に加えられる油脂の60〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは70〜100質量%であり、さらに好ましくは80〜100質量%である。最も好ましくは90〜100質量%である。
本発明に係る未精製オリーブ油を含有する油脂組成物は、好ましい態様において、加熱せずに使用することができる。未精製オリーブ油は、オリーブの好ましい風味を備えており、加熱調理せずに使用する場合、オリーブの好ましい風味を十分に感じることができる。
本発明に係る油脂組成物は、好ましい態様において、10℃以下、特に5℃以下の低温雰囲気であっても常温で保存した時と同様の透明性を維持することができる。したがって、例えば、低温で使用される場合でもドレッシングなどにおいて美しい外観を維持できることはもちろん、低温においても食品に好ましいツヤを出すことができる。
本発明に係る油脂組成物は、麺類や麺皮類などに好適に使用することができる。すなわち、本発明に係る油脂組成物を麺類や麺皮類に付着させることによってくっつきを抑制するとともに、表面に好ましいツヤを出すことができる。本発明において麺類や麺皮類は、小麦粉(デュラム小麦由来のものも含む)、そば粉、米粉などの穀粉と水などを含む原料を混合又は混捏し、製造することができる。具体的には、麺類としては、例えば、スパゲッティ・マカロニなどのパスタ類、うどん、きしめん、ひやむぎ、そうめん、そば、中華麺などを挙げることができ、麺皮類としては、例えば、餃子やしゅうまい、春巻き、ワンタンなどに用いられる麺皮を挙げることができる。また、本発明における麺類は、例えば、茹で麺あるいは蒸し麺の形態で使用されるものであってよく、茹で麺あるいは蒸し麺としては、調理麺、チルド麺(低温流通麺)、冷凍流通麺あるいは常温流通麺(LL麺)などであってよい。
本発明の油脂組成物を用いて麺類や麺皮類のほぐれ性を向上させる場合、本発明の油脂組成物を麺類や麺皮類に付着させることが必要である。一つの態様においては、本発明は、油脂組成物を麺類または麺皮類に付着させることを含む、麺類または麺皮類のほぐれ性を向上させる方法である。また別の態様において本発明は、油脂組成物を付着させた麺類または麺皮類に関する。
一つの態様において、本発明は麺類や麺皮類のほぐれ性を向上させる方法である。具体的には、本発明に係る油脂組成物を麺類に付着させることを含む、麺類のほぐれ性を向上させる方法である。
本発明において、油脂組成物を麺類または麺皮類に付着させる方法に特に制限はない。例えば、茹で麺や蒸し麺などの麺表面に本発明に係る油脂組成物を添加する方法、具体的には、茹で・蒸し調理後の麺類に油脂組成物を塗布、浸漬させる方法などを挙げることができる。その他にも、麺類を茹でる際の茹で液に油脂組成物を添加する方法、茹で・蒸し調理前の麺類に油脂組成物を塗布、浸漬させる方法などによって、本発明に係る油脂組成物を麺類に付着させることができる。
本発明において油脂組成物の使用量は特に制限されないが、麺類や麺皮類の種類、使用態様(流通ないし保管期間など)などを勘案して適宜設定することができる。一つの態様において、調理済みの麺類や麺皮類に対して、0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜4質量%、より好ましくは1〜3質量%の量で使用してもよい。
本発明に係る油脂組成物は、原料を撹拌して混合することによって製造することができる。混合および撹拌は、食用油脂を加温した状態で実施してもよい。また、混合および攪拌は、加圧、減圧、常圧下で実施することが可能であり、ある態様では、常圧下で混合が行われる。
本発明に係る油脂組成物を製造する装置は、特に限定されないが、例えば、攪拌機、加熱用のジャケットなどを備えた加温可能な攪拌槽、邪魔板等を備えた通常の攪拌・混合装置を用いることができる。回転数、攪拌時間などの撹拌条件は、原材料が均一に混合されれば、特に制限されない。攪拌機における攪拌翼の形状は特に制限されないが、例えば、プロペラ型、かい十字型、ファンタービン型、ディスクタービン型またはいかり型などとすることができる。
以下、本発明を具体的な実験に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、特に記載しない限り、本明細書において濃度などは質量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
材料
以下の実験においては、下記の材料を使用した。なお、中鎖脂肪酸トリグリセリドの固体脂含量は、−2℃で7時間保持後に、SFC測定装置(アステック、SFC−2000)を用いて測定したものである。
・未精製オリーブ油(昭和産業、「昭和エクストラバージンオリーブオイル」、酸度:約0.2%)
・菜種油(昭和産業、「昭和キャノーラ油」、オレイン酸含量:約64%、リノレン酸含量:約9%、固体脂含量:1.4%)
・高オレイン酸低リノレン酸菜種油(昭和産業、「昭和風味さわやかオイルDX」、オレイン酸含量:約75%、リノレン酸含量:約3%、固体脂含量:2.5%)
・高オレイン酸ヒマワリ油(昭和産業、「昭和オレインリッチ」、オレイン酸含量:約82%)
・中鎖脂肪酸トリグリセリドA(花王、「ココナードMT」、固体脂含量:2.2%、炭素数8以下の中鎖脂肪酸含量:約82%)
・中鎖脂肪酸トリグリセリドB(花王、「ココナードML」、固体脂含量:5.9%、炭素数8以下の中鎖脂肪酸含量:約39%)
・中鎖脂肪酸トリグリセリドC(日清オイリオ、「MCTオイル」、固体脂含量:1.8%、炭素数8以下の中鎖脂肪酸含量:90%以上)
・中鎖脂肪酸トリグリセリドD(バイオアクティブスジャパン、「MCTオイル60/40」、固体脂含量:0.0%、炭素数8以下の中鎖脂肪酸含量:約60%)
実験1:油脂組成物の製造と評価
下表の配合に基づいて、未精製オリーブ油に対して中鎖脂肪酸トリグリセリドまたは食用菜種油を添加し、加温可能な容器において120℃で5分間撹拌して、均一な油脂組成物を得た。
得られた油脂組成物40gをスクリュー管(50ml容)に入れて密封し、5℃の恒温槽で14日間保管した。保管した油脂組成物について、その外観を、以下の基準により5段階で目視評価した(図1に、評価が1点と5点の場合の写真を示す)。評価結果は、10名のパネラーによる評価点の平均値を求めた。
(耐寒性の評価)
・5点:油脂のにごり・結晶の析出はみられず、透明性が維持されている
・4点:油脂のにごり・結晶の析出が若干あるが、透明性は維持されている
・3点:油脂のにごり・結晶の析出があるが、おおむね透明である
・2点:油脂のにごり・結晶の析出がかなりあり、不透明な部分がある
・1点:油脂が固化し、全体が不透明である
また、油脂組成物をスクリュー管に入れて密封し、25℃で24時間保管後、1℃の恒温槽に移して48時間後の濁度を測定した。濁度は、ラコムテスター濁度計(TN100IR)を用いて測定した。
Figure 0006929719
Figure 0006929719
結果を表に示すが、本発明によれば、未精製オリーブ油を含む油脂組成物の耐寒性を大幅に向上させることができた。特許文献2(特開2011−254707号公報)に記載されたように、高オレイン酸低リノレン酸の菜種油を配合すると、未配合の場合と比較して油脂組成物の耐寒性が向上したものの、本発明によれば、それと比較しても大幅に耐寒性を向上させることができた。表1−1に示すように、高オレイン酸低リノレン酸の菜種油を配合すると(サンプル6)、未配合の場合(サンプル1)と比較して結晶の析出やにごりが減少したが、本発明によれば、それと比較しても大幅に結晶の析出を抑制することができた。また、表1−2に示すように、高オレイン酸低リノレン酸の菜種油を配合すると(サンプル10)、未配合の場合(サンプル1)と比較して低温保管後の濁度が低くなったが、本発明によれば、それと比較しても大幅に濁度を低くすることができた。
実験2:パスタ用さばき油としての使用
スパゲティ(昭和産業、「昭和スパゲッティ1.6mm」)を約7分間、熱湯で茹でた後、流水にて1分間冷却し、さらに氷水にて1分間冷却した。この茹で麺100gに上記油脂組成物2gを絡めてから、樹脂製保存容器に充填し、蓋をして5℃の恒温槽で3日間(72時間)冷蔵保管した。
冷蔵で保管した後のパスタについて、ほぐれ性、ツヤ、オリーブ油の風味の観点から、下記の基準に基づいて5段階で官能評価した。評価結果は、10名のパネラーによる評価点の平均値を求めた。
(ほぐれ性)
・5点:麺同士の結着がなく、非常に良好
・4点:麺同士の結着がほぼなく、良好
・3点:麺同士の結着が少しある
・2点:麺同士がやや結着しており、悪い
・1点:麺同士が結着して塊になっており、非常に悪い
(ツヤ)
・5点:麺全体にツヤがあり、非常に良好
・4点:麺にツヤがあり、良好
・3点:普通
・2点:麺がやや白っぽくなっており、悪い
・1点:麺全体が白くなっており、非常に悪い
(オリーブ油の風味)
・5点:オリーブ油の風味を強く感じる
・4点:オリーブ油の風味を感じる
・3点:オリーブ油の風味をやや感じる
・2点:オリーブ油の風味を感じにくい
・1点:オリーブ油の風味を感じない
Figure 0006929719
Figure 0006929719
評価結果を表に示す。本発明に係る油脂組成物をパスタのさばき油として用いた場合、パスタ全体にツヤがあり、パスタのほぐれ易さも良好であった。一方、未精製オリーブ油のみをパスタに絡めた場合(サンプル2−1)、実施例と比較してツヤがなく、また、パスタのほぐれ易さも劣っていた。
表2−1に示すように、高オレイン酸低リノレン酸の菜種油を配合した場合(サンプル2−2)と比較して、本発明の油脂組成物(サンプル2−3)は冷蔵保管後のパスタのツヤが特に良好であった。また、表2−2に示すように、本発明に係る油脂組成物は、未精製オリーブに加えて別の食用油脂(ヒマワリ油)が含まれていても、冷蔵保管後のパスタのほぐれ性、ツヤが良好であり、優れた耐寒性を有していた。
実験3:分離液状ドレッシングとしての使用
下表の配合に基づいて、未精製オリーブ油に対して中鎖脂肪酸トリグリセリドまたは食用菜種油を添加し、加温可能な容器において120℃で5分間撹拌して、均一な油脂組成物を得た。
次いで、市販の調味液(理研ビタミン、リケンのノンオイル和風)と油脂組成物を7:3の重量比で混合して分離液状ドレッシングを得た。得られたドレッシング40gをスクリュー管(50ml容)に入れて密封し、5℃の恒温槽で3日間(72時間)冷蔵保管した。保管したドレッシングについて、油層の外観を、以下の基準により5段階で目視評価した。評価結果は、10名のパネラーによる評価点の平均値を求めた。
(ドレッシングの耐寒性評価)
・5点:油脂のにごり・結晶の析出はみられず、透明性が維持されている
・4点:油脂のにごり・結晶の析出が一部あるが、透明性は維持されている
・3点:油脂のにごり・結晶の析出があるが、おおむね許容できる
・2点:油脂のにごり・結晶の析出がかなりあり、不透明な部分が多い
・1点:油脂が固化し、全体が不透明である
Figure 0006929719
結果を表3に示すが、本発明によれば、低温で保管しても結晶の析出が抑制されており、耐寒性に優れた未精製オリーブ油含有油脂組成物を得ることができた。

Claims (8)

  1. 10℃以下で流通または保管される食品用の油脂組成物であって、
    20〜95質量%の未精製オリーブ油と、
    5質量%以上の中鎖脂肪酸トリグリセリドと、
    を含有し、ここで、中鎖脂肪酸トリグリセリドを構成する中鎖脂肪酸の炭素数が6〜12である、上記油脂組成物(ただし、液状コーヒーホワイトナー用油脂組成物を除く)
  2. 麺類または麺皮類に付着させるための、請求項に記載の油脂組成物。
  3. ドレッシングに使用するための、請求項に記載の油脂組成物。
  4. 中鎖脂肪酸トリグリセリドの固体脂含量が、−2℃で7時間保持後において10%以下である、請求項1〜のいずれかに記載の油脂組成物。
  5. 中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量が、5〜40質量%である、請求項1〜のいずれかに記載の油脂組成物。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の油脂組成物を含有する食品(ただし、液状コーヒーホワイトナーを除く)
  7. 未精製オリーブ油および中鎖脂肪酸トリグリセリドを配合することを含む、10℃以下で流通または保管される食品用の油脂組成物の製造方法であって、
    未精製オリーブ油が油脂組成物の20〜95質量%、中鎖脂肪酸トリグリセリドが油脂組成物の5質量%以上を構成し、ここで、中鎖脂肪酸トリグリセリドを構成する中鎖脂肪酸の炭素数が6〜12であり、油脂組成物が液状コーヒーホワイトナー用油脂組成物ではない、上記方法。
  8. 未精製オリーブ油および中鎖脂肪酸トリグリセリドを配合することを含む、10℃以下で流通または保管される食品用の油脂組成物の耐寒性を向上させる方法であって、
    未精製オリーブ油が油脂組成物の20〜95質量%、中鎖脂肪酸トリグリセリドが油脂組成物の5質量%以上を構成し、ここで、中鎖脂肪酸トリグリセリドを構成する中鎖脂肪酸の炭素数が6〜12であり、油脂組成物が液状コーヒーホワイトナー用油脂組成物ではない、上記方法。
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