JP6929620B2 - 毛髪変形用第2剤、毛髪変形用剤及び毛髪変形方法 - Google Patents

毛髪変形用第2剤、毛髪変形用剤及び毛髪変形方法 Download PDF

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Description

本発明は、毛髪形状を変形させるための毛髪変形用第2剤、毛髪変形用剤及び毛髪変形方法に関するものである。
パーマネントウェーブ処理や縮毛矯正処理は、毛髪形状を変形する方法として広く知られている。これらの処理では、還元剤が配合された毛髪変形用第1剤と、酸化剤が配合された毛髪変形用第2剤とを用いることで、毛髪形状の変形が行われる。毛髪形状の変形機構としては、毛髪変形用第1剤を用いた還元反応において毛髪のシスチン結合の切断により、毛髪を所望の形状に変形させたのち、毛髪変形用第2剤を用いた酸化反応において毛髪のケラチン繊維のジスルフィド結合を生じさせることにより、所望の毛髪形状に固定される。
毛髪形状の変形効果を高めるには、上記の還元反応を促進する目的で、毛髪変形用第1剤のpHをアルカリ性に調整することが知られている(例えば特許文献1参照)。しかし、アルカリ性にすれば還元剤の還元力が高まることに起因して、毛髪損傷が生じやすくなる。他方、毛髪変形用第1剤のpHを7.0以下とすれば、毛髪損傷が抑制されるものの、アルカリ性に比べて高い毛髪変更効果が得られないと考えられる。
特開2005−330267号公報
これに対して、発明者は、検討を行った結果、還元剤が配合された毛髪変形用第1剤のpHを7.0以下にすることで毛髪損傷を抑えた場合であっても、強酸と強塩基との正塩を毛髪変形用第1剤にさらに配合させることで、良好な毛髪変形効果が得られることを見出した。
このように、毛髪変形用第1剤のpHを7.0以下としつつ強酸と強塩基との正塩を配合させることで、毛髪損傷を抑えつつ良好な毛髪変形効果を得ることができるが、これに限られず、毛髪変形用第1剤がアルカリ性ではない場合であっても毛髪形状を変形させる処理を施した後の毛髪変形効果を長期間維持させることがさらに望まれることがある。
本発明は、毛髪変形効果に優れるpH7.0以下の毛髪変形用第1剤の後に用いた場合に毛髪変形効果を長期間維持させることが可能な毛髪変形用第2剤、並びに、当該毛髪変形用第2剤を備える毛髪変形用剤及び毛髪変形方法の提供を目的とする。
本発明者が毛髪変形処理について検討を行った結果、強酸と強塩基との正塩及び還元剤が配合されておりpHが7.0以下の毛髪変形用第1剤の後に用いられる毛髪変形用第2剤に、過酸化水素を配合することで、毛髪変形効果をより長期間にわたって維持できることを見出した。
(1)の毛髪変形用第2剤は、毛髪変形用第1剤の後に用いられる毛髪変形用第2剤であって、毛髪変形用第1剤は、強酸と強塩基との正塩及び還元剤が配合され、pHが7.0以下であり、毛髪変形用第2剤には、過酸化水素が配合されたことを特徴とする。
(2)の毛髪変形用第2剤は、(1)の毛髪変形用第2剤であって、毛髪変形用第2剤のpHが、2.0以上5.0以下である。これにより、毛髪変形用第2剤に配合されている過酸化水素の分解を抑え、毛髪変形用第2剤の保存安定性を高めることができる。
(3)の毛髪変形用第2剤は、(1)又は(2)の毛髪変形用第2剤であって、毛髪変形用第2剤の過酸化水素の配合量が、3質量%以下である。これにより、毛髪の過剰な酸化反応を抑制し、毛髪の損傷を小さく抑えることが可能になる。また、過酸化水素によって毛髪が褪色する程度を小さく抑えることが可能になる。
(4)の毛髪変形用第2剤は、(1)〜(3)のいずれか1つの毛髪変形用第2剤であって、酸化染毛剤による染毛処理の履歴がある毛髪を対象として用いられる。なお、「酸化染毛剤による染毛処理の履歴がある毛髪」とは、酸化染料の酸化反応を伴う染毛処理が行われた後の毛髪をいう。ここで、一般的には、毛髪変形処理によって、染毛処理履歴がある毛髪の褪色を進行させやすい傾向にあるが、この毛髪変形用第2剤によれば、そのような履歴のある毛髪を対象とした処理を行った場合であっても毛髪の褪色を抑制させることが可能となっている。
(5)の毛髪変形用第2剤は、(1)〜(4)のいずれか1つの毛髪変形用第2剤であって、毛髪変形用第1剤に配合された強酸と強塩基との正塩が、アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩である。毛髪変形用第1剤における強酸と強塩基との正塩がアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩であれば、高い毛髪変形効果が得られる。
(6)の毛髪変形用第2剤は、(5)の毛髪変形用第2剤であって、毛髪変形用第2剤にキレート剤が配合されたものである。ここでは、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が配合された毛髪変形用第1剤によって毛髪が処理された後に過酸化水素が配合された毛髪変形用第2剤によって毛髪が処理されることになるが、この毛髪変形用第2剤にはキレート剤が配合されているため、毛髪由来の金属が触媒となって過酸化水素が分解される反応を抑制させることが可能になる。また、キレート剤が配合されたこの毛髪変形用第2剤では、過酸化水素の保存安定性を高めることも可能になっている。
(7)の毛髪変形用剤は、強酸と強塩基との正塩及び還元剤が配合され、pHが7.0以下である毛髪変形用第1剤と、(1)〜(6)のいずれか1つの毛髪変形用第2剤と、を備える。
(8)の毛髪変形方法は、(7)の毛髪変形用剤を用いることを特徴とする。
本発明に係る毛髪変形用第2剤、毛髪変形用剤及び毛髪変形方法のいずれによっても、毛髪損傷を抑えつつ毛髪変形効果を得ることができ、さらに、毛髪変形効果を長期間維持させることが可能になる。
実施例1a、比較例1a〜1eのパーマネントウェーブ処理後における洗髪回数に応じたセット率の維持率の推移を示すグラフ。 ウェーブ未処理の評価用毛束と、実施例2a及び比較例2aのパーマネントウェーブ処理後の評価用毛束の写真。 毛髪変形用第1剤を用いたパーマネントウェーブ処理後の毛束写真(参考例1a〜1g)。 毛髪変形用第1剤を用いたパーマネントウェーブ処理後の毛束写真(参考例2a、2b)。 毛髪変形用第1剤を用いたパーマネントウェーブ処理後の毛束写真(参考例3a、3b)。 毛髪変形用第1剤を用いたパーマネントウェーブ処理後の毛束写真(参考例4a、4b)。 毛髪変形用第1剤を用いたパーマネントウェーブ処理後の毛束写真(参考例5a、5b)。
以下、本発明の実施形態を例に挙げつつ説明する。
本実施形態の毛髪変形用第2剤は、毛髪変形用第1剤の後に用いられる毛髪変形用第2剤であって、毛髪変形用第1剤は、強酸と強塩基との正塩及び還元剤が配合され、pHが7.0以下であり、毛髪変形用第2剤には、過酸化水素が配合されている。
また、本実施形態の毛髪変形用剤は、強酸と強塩基との正塩及び還元剤が配合され、pHが7.0以下である毛髪変形用第1剤と、毛髪変形用第1剤の後に用いられ、過酸化水素が配合された毛髪変形用第2剤と、を備える。
(毛髪変形用第1剤)
毛髪変形用第1剤は、本実施形態に係る毛髪変形用第2剤の前に毛髪に対して用いられるものであり、還元剤、強酸と強塩基との正塩が配合され、pHが7.0以下である。これにより、高い毛髪変形効果が得られる。
<還元剤>
毛髪変形用第1剤に配合される還元剤としては、特に限定されないが、チオール基を有する公知の還元剤を用いることができる。毛髪変形用第1剤に配合される還元剤は、毛髪形状に変形を与えることができる。毛髪変形用第1剤には、前記還元剤が1種又は2種以上配合される。
前記還元剤としては、例えば、チオグリコール酸、チオグリコール酸塩(チオグリコール酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸モノエタノールアミンなど)、メルカプトプロピオン酸、メルカプトプロピオン酸塩、システイン(L−システイン、DL−システインなど)、システイン塩(塩酸L−システイン、塩酸DL−システインなど)、アセチルシステイン(N−アセチル−L−システインなど)、システインアルキルエステル(L−システインメチルエステル、L−システインエチルエステルなど)、システアミン、システアミン塩(システアミン塩酸塩など)、チオグリコール酸グリセリル、チオグリセリン、チオ乳酸、チオ乳酸塩、チオリンゴ酸、チオリンゴ酸塩、ブチロラクトンチオールなどが挙げられる。
本実施形態の毛髪変形用第1剤に、前記還元剤として、チオグリコール酸以外の還元剤が配合されるときは、さらにチオグリコール酸が配合されていても良い。また、本実施形態の毛髪変形用第1剤に、後述する強酸と強塩基との正塩として、塩化ナトリウム以外の正塩が配合されるときは、還元剤としてチオグリコール酸のみが配合されていても良い。
pHが7.0以下において優れた毛髪変形効果を得る上で、前記還元剤のうち、例えば、チオグリコール酸、チオグリコール酸塩、チオグリコール酸グリセリル、システアミン、システアミン塩、ブチロラクトンチオールの1種又は2種以上が配合されると良い。
前記還元剤の毛髪変形用第1剤における配合量は、0.5質量%以上11質量%以下が好ましく、1.5質量%以上9質量%以下がより好ましく、3質量%以上9質量%以下がさらに好ましい。0.5質量%以上であると、毛髪変形効果がより高まる観点から好適であり、11質量%以下であると、毛髪の損傷抑制の観点から好適である。
<強酸と強塩基との正塩>
毛髪変形用第1剤に配合される強酸と強塩基との正塩は、強酸と強塩基との中和反応によって得られる塩であって、強酸の水素と強塩基の水酸基とが過不足なく反応して生じたものである。前記強酸とは、水に溶解させた際、全ての水素が解離する酸であり、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などが挙げられる。前記強塩基とは、水に溶解させた際、全ての水酸基が解離する塩基であり、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられる。
還元剤が配合されたpHが7.0以下の毛髪変形用第1剤に、強酸と強塩基との正塩をさらに配合すれば、高い毛髪変形効果が得られる。
毛髪変形用第1剤には、前記強酸と強塩基との正塩が、1種又は2種以上配合される。毛髪変形用第1剤に、前記強酸と強塩基の正塩として、塩化ナトリウム以外のものが配合されるときは、さらに塩化ナトリウムが配合されても良い。また、毛髪変形用第1剤に、前記還元剤として、チオグリコール酸以外の還元剤が配合されるときは、前記強酸と強塩基との正塩として塩化ナトリウムのみが配合されていても良い。さらに、毛髪変形用第1剤に、前記還元剤として、チオグリコール酸が配合されるときは、前記強酸と強塩基との正塩として塩化ナトリウムのみが配合されていても良い。
前記強酸と強塩基との正塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;などが挙げられる。
前記強酸と強塩基との正塩は、高い毛髪変形効果を得られることから、アルカリ金属塩が良い。そのようなアルカリ金属塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウムなどが挙げられる。それらのうち、毛髪変形効果をより高める上で、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウムの1種又は2種以上が配合されると良い。
前記強酸と強塩基との正塩の毛髪変形用第1剤における配合量は、0.02質量%以上5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上3質量%以下がより好ましい。0.02質量%以上であると、毛髪変形効果がより高まる観点から好適であり、5質量%以下であると、毛髪変形処理後の毛髪の柔らかな感触の観点から好適である。
毛髪変形用第1剤における前記強酸と強塩基との正塩に対する前記還元剤の配合比は、例えば、0.1以上10以下である。
<pH>
毛髪変形用第1剤のpHは7.0以下である。pHが高くなると毛髪損傷の抑制効果が小さくなる虞があるから、pHの上限値は、6.0以下が好ましく、5.0以下がより好ましい。pHの下限値は、pHが低すぎると皮膚への刺激が生ずる虞があるから、1.5以上が好ましく、2.0以上がより好ましく、4.5以上がさらに好ましい。pHは、25℃における測定値が採用される。
<毛髪変形用第1剤に配合可能な他の成分>
毛髪変形用第1剤には、上記以外の成分のうち、毛髪変形用剤に用いられる公知の成分を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。その公知の成分としては、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、高級アルコール、低級アルコール、多価アルコール、糖類、油脂、エステル油、脂肪酸、炭化水素、ロウ、シリコーン、合成高分子化合物、半合成高分子化合物、天然高分子化合物、蛋白、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、キレート剤、紫外線吸収剤、反応調整剤(ジチオジグリコール酸など)、色素、酸化防止剤、染料、顔料、噴射剤などが挙げられる。
<pH調整剤>
上記任意成分のうち、毛髪変形用第1剤のpHを7.0以下に調整するため、pH調整剤を適宜配合することができる。pH調整剤としては、毛髪変形用剤に用いられる公知の酸又はアルカリ剤から選ばれると良い。
pH調整剤には、酸又はアルカリ剤の1種以上を配合してもよく、酸とアルカリ剤の両方をそれぞれ1種以上配合してもよい。前記酸としては、例えば、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、グルタミン酸、アスパラギン酸などの有機酸;塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸が挙げられる。前記アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、アミノアルコール(モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールなど)、塩基性アミノ酸(アルギニンなど)、モルホリン、苛性アルカリ(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム)などが挙げられる。
<剤型>
毛髪変形用第1剤の剤型は、例えば、液状、クリーム状、ゲル状、フォーム状(泡状)が挙げられる。
(毛髪変形用第2剤)
本実施形態の毛髪変形用第2剤は、強酸と強塩基との正塩及び還元剤が配合されたpHが7.0以下の毛髪変形用第1剤の後に用いられるものであり、過酸化水素が配合されている。当該毛髪変形用第2剤には、酸化剤である過酸化水素が配合されているため、毛髪変形用第1剤によって還元された後の毛髪形状を固定することができる。また、当該毛髪変形用第2剤には、酸化剤として過酸化水素を配合させているため、酸化剤として臭素酸ナトリウム等を配合させる場合と比べて、毛髪変形効果を長期間維持させることが可能になる。
なお、本実施形態の毛髪変形用第2剤(及びこれを備えた毛髪変形処理剤)によれば、毛髪変形処理を施してから1週間経過後(1日1回洗髪するとして7回洗髪後)においても毛髪変形効果が維持されやすい。
本実施形態の毛髪変形用第2剤は、毛髪変形用第2剤における過酸化水素の配合量が3質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以下であることがより好ましい。当該配合量とすることで、毛髪の過剰な酸化反応を抑制し、毛髪の損傷を小さく抑えることが可能になるとともに、過酸化水素によって毛髪が褪色する程度を小さく抑えることが可能になる。
また、毛髪変形用第2剤における過酸化水素の配合量は、還元後の毛髪形状を十分に固定させる観点から、0.5質量%以上が好ましく、1.0質量%以上であることがより好ましい。
本実施形態の毛髪変形用第2剤のpHは、2.0以上5.0以下であることが好ましく、下限は2.5であることがより好ましく、上限は例えば4.5であってもよいし3.5であってもよい。過酸化水素は、一般的に分解が生じやすいが、毛髪変形用第2剤のpHを5.0以下とすることにより、毛髪変形用第2剤中での分解を抑制し、保存安定性を高めることができる。毛髪変形用第2剤のpHを2.0以上とすることにより、皮膚への刺激を小さく抑えることが可能になる。pHは、25℃における測定値が採用される。
本実施形態の毛髪変形用第2剤のpHを調整するため、pH調整剤を適宜配合してもよい。pH調整剤としては、毛髪変形用剤に用いられる公知の酸若しくはアルカリ剤、又はそれらの塩(例えば、リン酸塩など)を用いることができる。
本実施形態の毛髪変形用第2剤には、一種又は二種以上のキレート剤がさらに配合されていることが好ましい。毛髪変形用第2剤に配合されている過酸化水素は、毛髪変形用第2剤のpHが2.0以上5.0以下のように低い場合であっても、毛髪変形用第2剤中に存在する金属が触媒となって、分解されてしまうことがある。しかし、毛髪変形用第2剤にキレート剤が配合されている場合には、当該過酸化水素の分解を抑制し、毛髪変形用第2剤における過酸化水素の保存安定性を高めることができる。
キレート剤としては、例えば、エデト酸、エデト酸塩(エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、エデト酸二カリウムなど)、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸塩(ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウムなど)、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸塩(エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウムなど)、ヒドロキシエタンジホスホン酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸塩(ヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウムなど)が挙げられる。
本実施形態の毛髪変形用第2剤におけるキレート剤の配合量は、例えば0.01質量%以上2質量%以下であり、0.05質量%以上1質量%以下が良く、0.1質量%以上0.5質量%以下が好ましい。2質量%以下であると、処理後の毛髪の柔らかな感触を良好にすることに適する。
本実施形態の毛髪変形用第2剤におけるキレート剤に対する過酸化水素の配合比は、例えば、1以上50以下である。
<任意成分>
本実施形態の毛髪変形用第2剤には、上記以外の成分のうち、毛髪変形用剤に用いられる公知の成分を適宜配合してもよい。その公知の成分としては、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、アルコール、多価アルコール、糖類、油脂、エステル油、脂肪酸、炭化水素、ロウ、シリコーン、合成高分子化合物、半合成高分子化合物、天然高分子化合物、蛋白、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、紫外線吸収剤、色素、染料、顔料、噴射剤などが挙げられる。
本実施形態の毛髪変形用第2剤は、カチオン性高分子、アニオン性モノマー由来の構造単位とカチオン性モノマー由来の構造単位とを含む両性高分子、ジメチルポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上を、0.01質量%以上5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上3質量%以下配合すると、毛髪変形処理後の毛髪の滑らかさ、しっとり感、ごわつきのなさをいずれも向上させることができる。
カチオン性高分子としては、カチオン性多糖類又はカチオン性モノマー由来の構造単位を含むカチオン性高分子が好ましい。
カチオン性多糖類としては、ポリクオタニウム−4(塩化ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウム)、ポリクオタニウム−10(塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース)などのカチオン化セルロース;グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドなどのカチオン化グアーガム;カチオン化ローカストビーンガム;カチオン化カッシア;カチオン化フェヌグリークガム;カチオン化タラガム;カチオン化デンプン;が挙げられ、毛髪の滑らかさの向上とごわつきを抑える点において特に優れることから、カチオン化セルロースが好ましく配合される。
カチオン性モノマー由来の構造単位を含むカチオン性高分子としては、例えば、ポリクオタニウム−6などのポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム;ポリクオタニウム−7などの塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体;ポリクオタニウム−16などのビニルピロリドン・メチルビニルイミダゾリウム共重合体;ポリクオタニウム−52などのエチル[(メタクリロイルオキシ)エチル]ジメチルアンモニウムエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体;が挙げられ、毛髪の滑らかさの向上とごわつきを抑える点において特に優れることから、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウムが好ましく配合される。
アニオン性モノマー由来の構造単位とカチオン性モノマー由来の構造単位とを含む両性高分子のうち、前記アニオン性モノマー由来の構造単位としては、アクリル酸由来の構造単位を含むことが好ましい。また、前記カチオン性モノマー由来の構造単位としては、塩化ジメチルジアリルアンモニウム由来の構造単位、塩化メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム由来の構造単位などが挙げられ、塩化ジメチルジアリルアンモニウム由来の構造単位を含むものがより好ましい。したがって、アニオン性モノマー由来の構造単位とカチオン性モノマー由来の構造単位とを含む両性高分子としては、アクリル酸由来の構造単位と、塩化ジメチルジアリルアンモニウム由来の構造単位とを有する両性高分子(共重合体)であることがより好ましい。そのような両性高分子としては、例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体(ポリクオタニウム−22)、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体(ポリクオタニウム−39)、ポリクオタニウム−47、ポリクオタニウム−53などが挙げられる。
ジメチルポリシロキサンとしては、例えば、下記式(1)で表される直鎖状のジメチルポリシロキサンが挙げられる。
Figure 0006929620
上記式(1)中、平均重合度nは、1以上8000以下であることが好ましく、5以上3000以下であることがより好ましい。
ジメチルポリシロキサンの粘度は、1mm2/s以上100,000,000mm2/s以下であることが好ましく、10mm2/s以上3,000,000mm2/s以下がより好ましい。
ジメチルポリシロキサンの粘度(25℃での動粘度)は、化粧品原料基準一般試験法第一法により確認される25℃の動粘度の値である。
本実施形態の毛髪変形用第2剤の剤型は、例えば、液状、クリーム状、ゲル状、フォーム状(泡状)が挙げられる。
(対象毛髪)
本実施形態の毛髪変形用第2剤及び本実施形態の毛髪変形用剤によって処理を行う対象毛髪としては、特に限定されず、酸化染毛剤による染毛処理の履歴がある毛髪、酸化染毛剤による染毛処理の履歴がない毛髪等を対象毛髪とすることができる。
なお、一般的には、酸化染毛剤による染毛処理の履歴がある毛髪を対象毛髪として毛髪変形処理を行うと、毛髪変形用第1剤に配合されている還元剤の還元反応により毛髪の褪色を進行させやすい傾向にある。
これに対して、酸化剤として過酸化水素が配合された本実施形態の毛髪変形用第2剤及び本実施形態の毛髪変形用剤によれば、酸化染毛剤による染毛処理の履歴がある毛髪を対象毛髪とした場合であっても、毛髪の褪色を抑制させることができる。したがって、酸化染毛剤による染毛処理の履歴がある毛髪を対象毛髪とする場合には、毛髪変形効果を長期間維持させるだけでなく、毛髪の褪色を抑制させる効果も得ることができる。
(毛髪変形方法)
本実施形態の毛髪変形用剤を用いた毛髪変形方法は、パーマネントウェーブ、縮毛矯正に用いることができる。
<パーマネントウェーブ>
パーマネントウェーブは、毛髪をウェーブ状に変形させる毛髪変形方法である。
本実施形態の毛髪変形用第2剤及び毛髪変形用剤をパーマネントウェーブに用いる場合は、パーマネントウェーブにおいて通常行われる施術工程に準じるとよい。施術工程としては、例えば、下記(1)〜(3)の工程が挙げられる。
(1)毛髪を所望の大きさのウェーブロッドに巻きつけて、毛髪に毛髪変形用第1剤を所定の時間で適用する。
(2)毛髪に、本実施形態の毛髪変形用第2剤を所定の時間で適用する。
(3)本実施形態の毛髪変形用第2剤を適用した後、ウェーブロッドを毛髪から取り除き、毛髪を水洗したのち、乾燥させる。
なお、毛髪変形効果をより高める観点から、上記(1)の工程において、ウェーブロッドに巻き付けた毛髪を加温しても良い。また、毛髪中の還元剤をすすぎ落として毛髪損傷を抑制する観点から、上記(2)の工程の前に毛髪を中間水洗しても良い。
<縮毛矯正>
縮毛矯正は、くせ毛、ちぢれ毛又はウェーブ毛などの毛髪に対して、毛髪形状を伸ばし変形させる毛髪変形方法である。
本実施形態の毛髪変形用第2剤及び毛髪変形用剤を縮毛矯正に用いる場合は、縮毛矯正において通常行われ得る施術工程に準じると良い。施術工程としては、例えば、下記[1]〜[3]の工程が挙げられる。
[1]毛髪に毛髪変形用第1剤を適用し、所定の時間で適用する。
[2]毛髪を直線状に伸ばし整える。
[3]毛髪に本実施形態の毛髪変形用第2剤を所定の時間で適用した後、毛髪を水洗し、乾燥させる。
なお、毛髪中の還元剤をすすぎ落として毛髪損傷を防止する観点から、上記[1]の工程の後、毛髪を水洗しても良い。また、毛髪変形効果をより高める観点から、上記[2]の工程において、毛髪を乾燥させた後、高温整髪用アイロンを使用して、直線状の形状に伸ばしても良い。
以下、実施例により本発明を詳述するが、この実施例の記載により本発明が限定的に解釈されるものではない。
(実施例1a、比較例1a〜1e)
(毛髪変形用第1剤)
チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸、塩化ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.)及び適量の水を混合し、25%アンモニア水を加えて所定のpH値に調整した後、全量が100質量%となるようにさらに水を加え、実施例1a、比較例1aの毛髪変形用第1剤を製造した。また、上記で製造した毛髪変形用第1剤と同様の製造方法で、上記チオグリコール酸と塩化ナトリウムの代わりに水を配合したもの(比較例1b、比較例1c)、上記チオグリコール酸アンモニウムとチオグリコール酸と塩化ナトリウムの代わりにシステアミン塩酸塩と水を配合したもの(比較例1d)、及び、上記チオグリコール酸アンモニウムとチオグリコール酸と塩化ナトリウムの代わりにL−システインと水を配合したもの(比較例1e)、の各毛髪変形用第1剤を製造した(下記表1)。なお、下記表1において、便宜のため各毛髪変形用第1剤に配合された水の記載を省略している。
(毛髪変形用第2剤)
過酸化水素等の下記表1に記載の各成分と水とを混合して実施例1aの毛髪変形用第2剤を製造し、臭素酸ナトリウム等の下記表1に記載の各成分と水とを混合して比較例1a〜1eの毛髪変形用第2剤を製造した。
これらの毛髪変形用第1剤及び毛髪変形用第2剤の製造において、各成分の配合量及びpHは表1に記載の通りとした。なお、下記表1における配合量の数値は質量%である。なお、下記表1において、便宜のため各毛髪変形用第2剤に配合された水の記載を省略している。
(評価用毛束)
同一人物の日本人黒髪毛髪を50本集めて、長さ23cmにそろえた毛束を準備した。つづいて、当該毛束に対してブリーチ処理を行った。ブリーチ処理は、処理剤A1(アンモニア 2質量%、炭酸水素アンモニウム 2%、及び水酸化カリウム 0.5質量%の水溶液)1質量部と、処理剤A2(過酸化水素6質量%水溶液)2質量部の混合液を、当該毛束に塗布し、室温で30分放置させて行った。
ブリーチ処理後の毛束に対して水洗を行い、さらにミルボン社製のディーセス ノイ ドゥーエ ウィローリュクスシャンプーにより洗髪を2度行った後、タオルドライを行った。以上の処理を施した毛束を、ウェーブ処理の評価用毛束とした。
(ウェーブ処理、セット率及びセット率の維持率の評価)
直径12mmのパーマネントウェーブロッドに評価用毛束を巻き付けた。その後、実施例又は比較例の各毛髪変形用第1剤を評価用毛束に1mL塗布して、38℃の恒温槽で15分放置した。
つづいて、中間水洗を行い、実施例又は比較例の各毛髪変形用第2剤を評価用毛束に1mL塗布し、室温で10分放置した。
放置時間経過後に水洗を行い、パーマネントウェーブロッドを外した評価用毛束を水に浸漬し、以下の評価基準に基づいてウェーブ処理直後のセット率を算出した。そして、ウェーブ処理直後のセット率の算出後、濡れた毛束を固定して風乾を行った。
(1)風乾後の評価用毛束をミルボン社製のディーセス ノイ ドゥーエ ウィローリュクスシャンプーで洗髪し、タオルドライを行いドライヤーで乾燥させた。同様のシャンプーでの洗髪、タオルドライ及びドライヤーでの乾燥操作を2回繰り返し、乾燥後の毛束を水に浸漬させて、洗髪3回目のセット率を算出した。セット率を算出し、濡れた毛束を固定して風乾を行った。
(2)風乾後の評価用毛束を上記(1)と同様に、シャンプーで洗髪し、タオルドライを行いドライヤーで乾燥させる手順を4回繰り返した。乾燥後の毛束を水に浸漬させて、洗髪7回目のセット率を算出した。セット率を算出し、濡れた毛束を固定して風乾を行った。
(3)風乾後の評価用毛束を上記(1)と同様に、シャンプーで洗髪し、タオルドライを行いドライヤーで乾燥させる手順を7回繰り返した。乾燥後の毛束を水に浸漬させて、洗髪14回目のセット率を算出した。セット率を算出し、濡れた毛束を固定して風乾を行った。
なお、図1では、実施例1a、比較例1a〜1eそれぞれについて、パーマネントウェーブ処理後のセット率を100とした場合の洗髪回数に応じたセット率の維持率を示している。
(セット率の評価基準)
前記セット率は、水に浸漬して水中でほぼ同心円の形状となった評価用毛束を用いて、毛束の根元を起点として毛先を終点としたときの回転数を測定した。得られた回転数から次の式により各毛束のセット率を算出し、各実施例及び各比較例の毛束のセット率の平均値を求めた。
セット率(%)=回転数×ロッド径(cm)×π/毛束全長(cm)×100
なお、セット率の数値が大きいと、毛髪変形効果が大きい傾向にあることを示す。当該セット率は、Wortmannの報告(Wortmann F. -J., Kure N., J.Soc. Cosmet. Chem., 41, 123(1990))による曲げセットにおけるセット率(精製水に浮かべた際の毛束直径÷ロッド径×100)の算出に準拠したものであるが、ここでは、形式的に上記報告の算出式を僅かに変更して用いている。
Figure 0006929620
上記表1に示す結果から明らかなように、強酸と強塩基との正塩及び還元剤が配合されておりpHが7.0以下の毛髪変形用第1剤の後に用いられる毛髪変形用第2剤に配合させる酸化剤として、過酸化水素を配合させた実施例1aの方が、臭素酸ナトリウムを配合させた比較例1aよりも、洗髪7回目、洗髪14回目におけるセット率及びセット率の維持率において大きく上回っていることがわかる。特に、ウェーブ処理直後は、臭素酸ナトリウムを配合させた比較例1aの方が過酸化水素を配合させた実施例1aよりもセット率において僅かに上回っていたにもかかわらず、洗髪を繰り返すうちに、臭素酸ナトリウムを配合させた比較例1aではセット率が大きく減衰しており、過酸化水素を配合させた実施例1aではセット率の減衰を小さく抑えることができていることがわかる。
また、実施例1a、比較例1a、1bを比較すると、毛髪変形用第1剤のpHが低い場合であっても毛髪変形用第1剤に強酸と強塩基との正塩が配合されている場合には、ウェーブ処理直後の毛髪変形効果が向上しており、毛髪変形用第2剤に酸化剤として過酸化水素が配合されている場合には、ウェーブ処理後のセット率を高く維持できていることがわかる。
また、例えば、毛髪変形用第1剤をアルカリ性にした比較例1dでは、ウェーブ処理直後には十分な毛髪変形効果が得られているにもかかわらず、その後のセット率を高く維持することができていないことがわかる。
なお、実施例1aと各比較例1a〜1eの毛髪変形用第2剤では、酸化剤の種類以外に、酸化剤の配合量やpHにおいても異なっているが、これは各酸化剤による酸化力を十分に発揮させるための酸化剤毎の条件に従ったものである。また、他の成分の種類や配合量においても僅かに異なっているが、毛髪変形効果やその維持率に実質的に影響を与える違いではない。
(実施例2a、比較例2a)
(毛髪変形用第1剤)
チオグリコール酸、塩化ナトリウム、及び適量の水を混合し、25%アンモニア水を加えて所定のpH値に調整した後、全量が100質量%となるようにさらに水を加え、実施例2a、比較例2aの毛髪変形用第1剤を製造した(下記表2)。
(毛髪変形用第2剤)
過酸化水素、ヒドロキシエタンジホスホン酸、リン酸2水素ナトリウム・2水和物及び水を混合し実施例2aの毛髪変形用第2剤を製造した。また、臭素酸ナトリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸、リン酸1水素2ナトリウム・12水和物及び水を混合し比較例2aの毛髪変形用第2剤を製造した。
これらの毛髪変形用第1剤及び毛髪変形用第2剤の製造において、各成分の配合量及びpHは表2に記載の通りとした。なお、下記表2における配合量の数値は質量%である。
また、表2に記載の実施例2aの評価用毛束の例、比較例2aの評価用毛束の例の写真を図2に示している。図2では、参考のため、ウェーブ処理が行われていない状態の評価用毛束の例の写真も示している。
(評価用毛束)
5名分の日本人の黒髪毛髪から、実施例及び比較例の評価に用いる1.5gの毛束を、1名につき2本ずつ合計10本準備した。
各毛束に対してブリーチ処理を行った。ブリーチ処理は、処理剤A1(アンモニア 3.3質量%、及び炭酸水素アンモニウム 2%の水溶液)1質量部と、処理剤A2(過酸化水素12質量%水溶液)2質量部の混合液を、各毛束に塗布し、40℃で30分放置させて行った。
ブリーチ処理後の各毛束に対して水洗し、酸化染毛処理を行った。酸化染毛処理は、ミルボン社製のオルディーブ クリスタル 8−NBと、ミルボン社製のオルディーブ クリスタル オキシダン 6.0と、を混合比1:1となるように混合した混合物を調製し、その混合物を各毛束に塗布して室温で30分放置させて行った。
酸化染毛処理後、各毛束を水洗し、さらにミルボン社製のディーセス ノイ ドゥーエ ウィローリュクスシャンプーにより洗浄し、乾燥させた。乾燥後に得られた毛束を、評価用毛束とした。
(ウェーブ処理、及び△L*値の評価)
(1)上述のようにして得られた評価用毛束に対して、分光測色計(CM−5、コニカミノルタ社製)を用いて、測定モードをSCE測定(正反射光除去)にて、△L*値を測
定した(表2における「ウェーブ処理前の△L*値」)。
(2)各評価用毛束に対して下記の通りウェーブ処理を行った。直径26mmのパーマネントウェーブロッドに各評価用毛束を巻き付けた。つづいて、実施例2a、比較例2aの各毛髪変形用第1剤を1.5mL塗布した各評価用毛束をビニールラップで包んで、40℃で15分放置した。15分放置後、各評価用毛束を水洗し、実施例2a、比較例2aの各毛髪変形用第2剤を1.5mL塗布し、室温で10分放置した。
(3)放置時間経過後に水洗を行い、パーマネントウェーブロッドを外した各評価用毛束を再度水洗し、乾燥させて、上記(1)と同様に分光測色計を用いて△L*値を測定し
た(表2における「ウェーブ処理後の△L*値」)。
(4)上記(1)、(3)で測定した各評価用毛束の△L*値から、ウェーブ処理前△L*値の5名分の平均値、及び、ウェーブ処理後の△L*値の5名分の平均値をそれぞれ
求めた。表2においては、当該平均値が示されている。
なお、△L*値は、その値が大きい方が明度が高く、褪色していることを示している。
Figure 0006929620
表2及び図2の写真からも明らかなように、強酸と強塩基との正塩及び還元剤が配合されておりpHが7.0以下の毛髪変形用第1剤の後に用いられる毛髪変形用第2剤において、酸化剤として過酸化水素を配合させた実施例2aの方が、酸化剤として臭素酸ナトリウムを配合させた比較例2aよりも、ウェーブ処理後の△L*値の増大量を小さく抑える
ことができており、毛髪の退色を抑制できていることがわかる。
なお、実施例2aと比較例2aとでは、酸化剤の含有量やpH調整剤の種類やpH等が異なっているが、これは各酸化剤による酸化力を十分に発揮させるための酸化剤毎の条件に従ったものである。また、実施例2aと比較例2aとで、評価用毛束のウェーブ処理前の△L*値がわずかに異なっているが、これはサンプルの個体差に起因するものであり、
△L*値の変化の評価には実質的に影響を与えないものである。
(参考例1a〜1g)
チオグリコール酸、硫酸ナトリウム及び適量の水を混合し、25%アンモニア水を加えて所定のpH値に調整した後、全量が100質量%となるようにさらに水を加え、参考例1aの毛髪変形用第1剤を製造した。また、参考例1aの毛髪変形用第1剤と同様の製造方法で、参考例1aの組成から硫酸ナトリウムの代わりにそれぞれ、塩化カリウムを配合したもの(参考例1b)、塩化ナトリウムを配合したもの(参考例1c)、水を配合したもの(参考例1d)、リン酸一水素二ナトリウム・12水和物と塩化アンモニウムを配合したもの(参考例1e)、リン酸一水素二ナトリウム・12水和物と10%HClを配合したもの(参考例1f)、塩化アンモニウムと水酸化ナトリウムを配合したもの(参考例1g)を製造した。
この場合の各参考例1a〜1gの毛髪変形用第1剤の製造において、各成分の配合量は下記表3に記載の通りとした。なお、下記表3における配合量の数値は質量%である。
製造した各参考例1a〜1gの毛髪変形用第1剤をパーマネントウェーブに用いて、毛髪変形効果及びドライ後の指通りの評価を行った。
毛髪変形効果の評価は、次に示す評価方法及び評価基準に従って、パーマネントウェーブ処理した毛束のセット率の算出とウェーブのかかりを評価した。なお、毛髪変形効果の評価では、上記実施例1a、比較例1a〜1eと同様にして評価用毛束を用意した。
直径12mmのパーマネントウェーブロッドに評価用毛束を巻き付けた。その後、各参考例1a〜1gの毛髪変形用第1剤を評価用毛束に1mL塗布して、38℃の恒温槽で15分放置した。つづいて、中間水洗を行い、酸化剤が配合された毛髪変形用第2剤を評価用毛束に1mL塗布し室温で10分放置した。放置後、水洗を行い、パーマネントウェーブロッドを外した評価用毛束を水に浸漬し、実施例1a、比較例1a〜1eと同様にしてセット率を算出した。セット率の算出後、濡れた毛束を固定して風乾を行った。風乾後の毛束を以下の評価基準に基づいて、ウェーブのかかりを評価した。
なお、各参考例1a〜1gの毛髪変形用第1剤について、評価を2回行った。
ウェーブのかかりは、風乾後の毛束におけるウェーブのかかりの強さ(毛束の平均的なウェーブの大きさ及び毛束の上端から下端までの鉛直方向の直線距離の平均)を、下記評価基準に従って目視により評価した。
◎:基準に比べて、ウェーブのかかりが強い。
〇:基準に比べて、ウェーブのかかりがやや強い。
−:基準と比べて、ウェーブのかかりがほぼ同等。
△:基準に比べて、ウェーブのかかりがやや弱い。
×:基準に比べて、ウェーブのかかりが弱い。
ドライ後の指通りの評価は、次に示す評価方法及び評価基準に従って行った。なお、ドライ後の指通りの評価では、ヘアカラー処理履歴のある同一人物の日本人毛髪を重量2gとなるように集めたものを評価用毛束として用い、上記の毛髪変形効果の評価と同様の方法でパーマネントウェーブ処理を行い、処理後の乾燥させた評価用毛束に対して、ドライ後の指通りの評価を行った。
ドライ後の評価用毛束に対して、中間部分から毛先部分にかけての指通りを基準と比較し、パネラー5名で官能評価による評点付けを行った。
◎:基準に比べて、ドライ後の指通りが良いと5名中5名が回答。
〇:基準に比べて、ドライ後の指通りが良いと5名中4名が回答。
−:基準に比べてドライ後の指通りが良いと5名中3名以下が回答、
又は、基準に比べてドライ後の指通りが悪いと5名中3名以下が回答。
△:基準に比べて、ドライ後の指通りが悪いと5名中4名が回答。
×:基準に比べて、ドライ後の指通りが悪いと5名中5名が回答。
参考例1a〜1gの評価結果を下記表3に示し、表3においてウェーブのかかりを評価した毛束の写真を図3に示す。なお、表3は参考例1dを基準として、ウェーブのかかり及びドライ後の指通りの評価を行った。
Figure 0006929620
表3及び図3において、硫酸ナトリウム、塩化カリウム又は塩化ナトリウムを配合した参考例1a、1b、1cは、強酸と強塩基との正塩を配合していない参考例1d及びリン酸一水素二ナトリウム・12水和物又は塩化アンモニウムを配合した参考例1e〜1gに比べて、ウェーブのかかり及びセット率に優れることがわかる。
(参考例2a、2b)
上記参考例1a〜1gとは別に、同参考例と同様にして、チオグリコール酸の代わりにグリセリルモノチオグリコレートを配合した下記表4の参考例2a、2bの配合組成の毛髪変形用第1剤を製造した。
参考例2a、2bの評価結果を下記表4に示し、表4においてウェーブのかかりを評価した毛束の写真を図4に示す。なお、表4においては、参考例2bを基準としてウェーブのかかり及びドライ後の指通りの評価を行った。
Figure 0006929620
表4及び図4において、塩化ナトリウムを配合した参考例2aは、塩化ナトリウムを配合しない参考例2bに比べて、ウェーブのかかり及びセット率に優れることがわかる。
(参考例3a、3b)
上記参考例1a〜1gとは別に、同参考例と同様にして、チオグリコール酸の代わりにグリセリルモノチオグリコレートを配合した下記表5の参考例3a、3bの配合組成の毛髪変形用第1剤を製造した。
参考例3a、3bの評価結果を下記表5に示し、表5においてウェーブのかかりを評価した毛束の写真を図5に示す。なお、表5においては、参考例3bを基準としてウェーブのかかり及びドライ後の指通りの評価を行った。
Figure 0006929620
表5及び図5において、硫酸ナトリウムを配合した参考例3aは、硫酸ナトリウムを配合しない参考例3bに比べて、ウェーブのかかり及びセット率に優れることがわかる。
(参考例4a、4b)
上記参考例1a〜1gとは別に、同参考例と同様にして、チオグリコール酸の代わりにシステアミン塩酸塩を配合した下記表6の参考例4a、4bの配合組成の毛髪変形用第1剤を製造した。
参考例4a、4bの評価結果を下記表6に示し、表6においてウェーブのかかりを評価した毛束の写真を図6に示す。なお、表6においては、参考例4bを基準としてウェーブのかかり及びドライ後の指通りの評価を行った。
Figure 0006929620
表6及び図6において、硫酸ナトリウムを配合した参考例4aは、硫酸ナトリウムを配合しない参考例4bに比べて、ウェーブのかかり及びセット率に優れることがわかる。
(参考例5a、5b)
ブチロラクトンチオールとPOE(10)セチルエーテル及び適量の水を混合し、リン酸を所定の量で加えてpHを4.5に調整した後、全量が100質量%となるようにさらに水を加え、参考例5aの毛髪変形用第1剤を製造した。また、参考例5aの毛髪変形用第1剤と同様の製造方法で、参考例5aの組成から硫酸ナトリウムの代わりに水を配合した参考例5bを製造した。
参考例5a、5bの評価結果を下記表7に示し、表7においてウェーブのかかりを評価した毛束の写真を図7に示す。なお、表7においては、参考例5bを基準としてウェーブのかかり及びドライ後の指通りの評価を行った。
Figure 0006929620
表7及び図7において、硫酸ナトリウムを配合した参考例5aは、硫酸ナトリウムを配合しない参考例5bに比べて、ウェーブのかかり及びセット率に優れることがわかる。
(参考例6a〜6f)
上記参考例1a〜1gとは別に、同参考例と同様にして、下記表8の参考例6a〜6fの配合組成の毛髪変形用第1剤を製造した。
参考例6a〜6fの評価結果を下記表8に示す。なお、表8においては、参考例6fを基準としてドライ後の指通りの評価を行った。
Figure 0006929620
表8において、塩化ナトリウムを配合し、pHを7.0以下である参考例6a〜6dは、pHが7.0よりも大きいpHが9の参考例6e、6fに比べてドライ後の指通りに優れることがわかる。なお、pHが9において、塩化ナトリウムを配合した参考例6eと塩化ナトリウムを配合しない参考例6fを比べると、ドライ後の指通りに大きな差は認められない。
(参考例7a〜7d)
上記参考例1a〜1gとは別に、同参考例と同様にして、下記表9の参考例7a〜7dの配合組成の毛髪変形用第1剤を製造した。
参考例7a〜7dの評価結果を下記表9に示す。なお、表9においては、参考例7dを基準としてウェーブのかかり及びドライ後の指通りの評価を行った。
Figure 0006929620
表9の結果から、塩化ナトリウムを配合した参考例7a〜7cは、塩化ナトリウムを配合しない参考例7dに比べて、ウェーブのかかりに優れる。

Claims (8)

  1. 毛髪変形用第1剤の後に用いられる毛髪変形用第2剤であって、
    前記毛髪変形用第1剤は、強酸と強塩基との正塩及び還元剤が配合され、pHが7.0以下であり、
    前記強酸と強塩基との正塩として、塩酸、硫酸、及び硝酸からなる群より選ばれる強酸と強塩基との正塩が含まれ、
    前記毛髪変形用第2剤には、過酸化水素が配合されたことを特徴とする毛髪変形用第2剤(但し、毛髪変形用第1剤の後に用いられる毛髪変形用第2剤における毛髪変形用第1剤にトランスグルタミナーゼ、亜硫酸水素ナトリウム、及びピロ亜硫酸ナトリウムを配合したものを除く)
  2. 前記毛髪変形用第2剤のpHが、2.0以上5.0以下である請求項1に記載の毛髪変形用第2剤。
  3. 前記毛髪変形用第2剤の過酸化水素の配合量が、3質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の毛髪変形用第2剤。
  4. 酸化染毛剤による染毛処理の履歴がある毛髪を対象として用いられる請求項1〜3のいずれか1項に記載の毛髪変形用第2剤。
  5. 前記毛髪変形用第1剤に配合された強酸と強塩基との正塩が、アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩である請求項1〜4のいずれか1項に記載の毛髪変形用第2剤。
  6. キレート剤が配合された請求項5に記載の毛髪変形用第2剤。
  7. 強酸と強塩基との正塩及び還元剤が配合され、pHが7.0以下である毛髪変形用第1剤と、請求項1〜6のいずれか1項に記載の毛髪変形用第2剤と、を備える毛髪変形用剤。
  8. 請求項7に記載の毛髪変形用剤を用いた毛髪変形方法。
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