以下に添付図面を参照して、本実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面では、実質的に同一の機能を有する構成要素は、原則として同一の符号で表す。そして、これらの構成要素についての重複説明は、適宜省略する。
<ラベル作成装置>
まず、本実施形態が適用されるラベル作成装置の機能的構成を図1により説明する。
図1において、ラベル作成装置1は、制御回路2と、ユーザ(操作者)が適宜の操作を行える操作部3と、所定の表示を行う表示部4と、各種情報を記憶するRAM5と、搬送ローラ6と、印字ヘッド7と、カットレバー8と、カッタ9と、を有する。
ラベル作成装置1には、カートリッジホルダ12が設けられている。このカートリッジホルダ12には、筐体11内にテープロール10A(本来は渦巻き状であるが簡略化して同心円で図示している。ロール媒体の一例。)を収納したテープカートリッジ10(媒体カートリッジの一例)が着脱可能である。テープロール10Aには、被印字テープTo(媒体の一例)が巻回されている。このとき、このテープカートリッジ10は、被印字テープToのハーフカットによる切り込みHC(後述の図2参照。ハーフカットともいう。)を備えた被印字テープToが上記テープロールAに巻回された、いわゆるダイカットラベルタイプと、上記切り込みHCのない被印字テープToが上記テープロールAに巻回された、いわゆる無定長タイプ(図示省略)とが存在する。ラベル作成装置1では、どちらのタイプのテープカートリッジ10も使用可能である。なお、以下、特に断らない限り、上記ダイカットラベルタイプのテープカートリッジ10が使用される場合を例にとって説明する。
制御回路2は、図示しないCPU及びROMを備えている。制御回路2は、上記RAM5の一時記憶機能を利用しつつ、上記ROMに予め記憶された各種プログラムを実行するとともに、ラベル作成装置1全体の制御を行う。
搬送ローラ6は、印字ヘッド7に対向して設けられており、テープロール10Aから繰り出される被印字テープToを印字ヘッド7との間で挟持する。搬送ローラ6は、回転することによって被印字テープToをテープロール10Aから繰り出しながら搬送する。
印字ヘッド7は、搬送ローラ6によって搬送される被印字テープToの各ラベル部(詳細は後述)に対し、ユーザの意図する文字・図像等の所望の印字オブジェクトを印刷する。
カッタ9は、ユーザによるカットレバー8の操作によって作動し、搬送方向に沿って複数の印字ラベルLが形成された印字後の被印字テープT(詳細は後述)を切断する。なお、被印字テープTo,Tが各請求項記載の媒体に相当し、テープロール10Aが各請求項記載のロール媒体に相当し、テープカートリッジ10が各請求項記載の媒体カートリッジに相当している。
<被印字テープ>
上記被印字テープToの詳細構成を図2(a)に示す。図2(a)は、図中左右方向を搬送方向(言い換えればテープ長さ方向)、図中上下方向をテープ幅方向、図中紙面手前奥方向をテープ厚さ方向(積層する方向)とした、未印刷状態の被印字テープToの平面図を示している。図2(a)において、被印字テープToは、略矩形状の切り込みHC(基材層21及び粘着剤層22に切り込まれている。後述の図3参照)を介して、その内側領域がラベル部LA、外側領域が非ラベル部LBとなっている。なお、予め非ラベル部LBが剥がされたものを上記被印字テープToとして用いてもよい。ラベル部LAは、テープ長さ方向に沿って複数個備えられており、各ラベル部LAには、上記テープ幅方向(第1方向)の一方側(図2(a)中下側)へ向かって、粘着領域D1(第5領域の一例)、非粘着領域D2(第1領域の一例)、粘着領域D3(第2領域の一例)、粘着領域D4(第4領域の一例)、粘着領域D5(第3領域の一例)の5つの領域が含まれている。また粘着領域D1には、非粘着領域D2との境界近傍の上記基材層21及び粘着剤層22に、図2中の左右方向(上記搬送方向;上記第1方向及び上記厚さ方向にそれぞれ直交する、第2方向)に沿って断続しつつ延びる破断線Gが設けられている。また、粘着領域D4と粘着領域D1、非粘着領域D2、粘着領域D3との間、及び、粘着領域D5と粘着領域D1、非粘着領域D2、粘着領域D3との間には、図2中の上下方向(第1方向)に沿って断続しつつ延びる破断線GL,GRが設けられている。これらの領域及び破断線に関しては後述する。
上記印字Rが形成された後の被印字テープTの詳細構成を図2(b)に示す。図2(b)の例は、上記粘着領域D1〜粘着領域D5のうち非粘着領域D2に印字Rが印刷された後の被印字テープTの平面図を示している。図2(b)に示すように、この例では、上述した複数のラベル部LAに、上記印字オブジェクトとしてのテキストオブジェクト、すなわち「A01」「A02」「A03」・・・の印字Rが順次形成されることにより、複数の印字ラベルLが生成されている。
<印字ラベル>
次に、上記印字ラベルLの構造を図3(a)及び図3(b)により説明する。図3(a)には、非ラベル部LBから1つのラベル部LAを分離した状態の印字ラベルLの平面図を示し、図3(b)は、図3(a)中IIIB−IIIB断面による横断面図を示している。
これら図3(a)及び図3(b)において、印字ラベルLは、厚さ方向(図3(a)では図に向かって奥行き方向、図3(b)では図示左右方向。すなわち後述する各層が積層する方向)に沿って、図3(b)中の左側から右側(図3(a)に向かって手前側から奥側)へ、透明な基材層21と、透明な粘着剤層22と、透明な非粘着剤層23と、剥離材層24とがこの順序で積層されている。なお、この積層構造はそのまま上記被印字テープTo,Tにもあてはまることから、上記被印字テープTo,Tは、図2中の左右方向(上記搬送方向;上記第1方向及び上記厚さ方向にそれぞれ直交する、第2方向)に延びる長尺な層である、上記基材層21、上記粘着剤層22、上記非粘着剤層23、上記剥離材層24を備えていることとなる。
このとき、基材層21の表側(図3(b)中の左側。剥離材層24に接する側とは反対側。以下適宜「厚さ方向一方側」という)の面には、適宜の非透明な色彩を備え、上記印字ヘッド7により印字Rが形成される印字背景層25が部分的に設けられ、また非粘着剤層23は、上記粘着剤層22と剥離材層24との間に部分的に設けられている。なお、上記粘着剤層22は、基材層21の裏側(図3(b)中の右側。以下適宜「厚さ方向他方側」という)すなわち剥離材層24との間に、全面的に設けられるのではなく、部分的に配置されていても良い。
上記の積層構造の結果、印字ラベルLは、上記厚さ方向と直交する方向(図3(a)及び図3(b)において図示上下方向。後述する被着体302の周方向。以下適宜、「第1方向」という)に沿って、複数の領域を有する。本実施形態では、複数の領域として、少なくとも、印字ラベルLの上記第1方向における図示上側(以下適宜、「第1方向他方側」という)の端部を構成する粘着領域D1と、この粘着領域D1の図示下方(以下適宜、「第1方向一方側」という)に隣接して設けられた非粘着領域D2と、この非粘着領域D2の図示下方に隣接して設けられ、印字ラベルLの上記第1方向における図示下側の端部を構成する粘着領域D3と、粘着領域D1、非粘着領域D2及び粘着領域D3の、積層する方向と直交し第1方向と交差する第2方向の図示左側(他方側)に隣接して設けられた粘着領域D4と、粘着領域D1、非粘着領域D2及び粘着領域D3の、第2方向の図示右側(一方側)に隣接して設けられた粘着領域D5と、の5つの領域を有している。
粘着領域D1(この実施形態における第5領域に相当)では、上記厚さ方向一方側から他方側(図3(b)中左側から右側)へ向かって、上記基材層21、上記粘着剤層22、上記剥離材層24の順に積層されている。この結果、粘着領域D1は、全体として、上記剥離材層24に接する部分が、上記粘着剤層22による接着性(この例における付着性に相当。以下同様)を備えた領域となっている。また、この粘着領域D1は、上記第1方向における長さX1と上記第2方向における長さWmとを備えた、平面視が略長方形状の領域となっている(図3(a)参照)。
なお、粘着領域D1の上記第2方向の全域にわたり粘着剤層22が設けられる構成には限られず、粘着領域D1の上記第2方向の両端側に粘着剤層22が設けられていれば足り、例えばそれらの中間には粘着剤層22が設けられない構成であっても良い。
非粘着領域D2(この実施形態における第1領域に相当)は、粘着領域D1に対して第1方向に連結される。そして、非粘着領域D2は、粘着領域D1の上記第1方向一方側に隣接して設けられた非粘着領域D2aと、この非粘着領域D2aの上記第1方向一方側に隣接して設けられた非粘着領域D2bと、この非粘着領域D2bの上記第1方向一方側に隣接して設けられた非粘着領域D2cと、を備えている。
非粘着領域D2aでは、上記厚さ方向一方側から他方側(図3(b)中左側から右側)へ向かって、上記基材層21、上記粘着剤層22、上記非粘着剤層23、上記剥離材層24の順に積層されている。この結果、非粘着領域D2aは、全体として、上記剥離材層24に接する部分が(上記粘着剤層22による接着性が上記非粘着剤層23によって阻止されて)非接着性(この例における非付着性に相当。以下同様)となる、領域となっている。なお、非粘着領域D2aは、上記第1方向における長さX2Aと上記第2方向における長さWmとを備えた、平面視が略長方形状の領域となっている(図3(a)参照)。
非粘着領域D2bでは、上記厚さ方向一方側から他方側(図3(b)中左側から右側)へ向かって、上記印字背景層25、上記基材層21、上記粘着剤層22、上記非粘着剤層23、上記剥離材層24の順に積層されている。この結果、非粘着領域D2bは、全体として、上記剥離材層24に接する部分が(上記粘着剤層22による接着性が上記非粘着剤層23によって阻止されて)非接着性となる、領域となっている。この例では、上記印字背景層25は、例えば適宜の色のインクが予め基材層21上に塗布されることにより形成(インク塗布層)されており、テキスト「A01」の印字Rが上記印字ヘッド7により形成されている。なお、非粘着領域D2bは、上記第1方向における長さX2Bと上記第2方向における長さWmとを備えた、平面視が略長方形状の領域となっている(図3(a)参照)。
非粘着領域D2cでは、上記厚さ方向一方側から他方側(図3(b)中左側から右側)へ向かって、上記基材層21、上記粘着剤層22、上記非粘着剤層23、上記剥離材層24の順に積層されている。この結果、非粘着領域D2cは、全体として、上記剥離材層24に接する部分が(上記粘着剤層22による接着性が上記非粘着剤層23によって阻止されて)非接着性となる、領域となっている。なお、非粘着領域D2cは、上記第1方向における長さX2Cと上記第2方向における長さWmとを備えた、平面視が略長方形状の領域となっている(図3(a)参照)。
粘着領域D3(この実施形態における第2領域に相当)は、非粘着領域D2(非粘着領域D2c)に対して第1方向に連結される。この粘着領域D3では、上記厚さ方向一方側から他方側(図3(b)中左側から右側)へ向かって、上記基材層21、上記粘着剤層22、上記剥離材層24の順に積層されている。この結果、粘着領域D3は、全体として、上記剥離材層24に接する部分の少なくとも一部が、上記粘着剤層22による接着性を備えた領域となっている。
粘着領域D4(この実施形態における第4領域に相当)は、粘着領域D1、非粘着領域D2及び粘着領域D3の、第2方向の図示左側(他方側)に連結される。この粘着領域D4では、上記厚さ方向一方側から他方側(図3(b)中左側から右側)へ向かって、上記基材層21、上記粘着剤層22、上記剥離材層24の順に積層されている。この結果、粘着領域D4は、全体として、上記剥離材層24に接する部分が、上記粘着剤層22による接着性を備えた領域となっている。
粘着領域D5(この実施形態における第3領域に相当)は、粘着領域D1、非粘着領域D2及び粘着領域D3の、第2方向の図示右側(一方側)に連結される。この粘着領域D4では、上記厚さ方向一方側から他方側(図3(b)中左側から右側)へ向かって、上記基材層21、上記粘着剤層22、上記剥離材層24の順に積層されている。この結果、粘着領域D5は、全体として、上記剥離材層24に接する部分が、上記粘着剤層22による接着性を備えた領域となっている。
粘着領域D4,D5は粘着領域D1、非粘着領域D2及び粘着領域D3に対応して設けられるため、粘着領域D4,D5の第1方向における長さは、粘着領域D1、非粘着領域D2及び粘着領域D3の第1方向における長さを合わせた長さとなる。
非粘着領域D2に対応した粘着領域D4,D5それぞれの第2方向における長さWl,Wrは、非粘着領域D2の第2方向における長さWmよりも小さい。更に、粘着領域D4の第2方向における長さWlは、粘着領域D5の第2方向における長さWrと等しい。一方、この非粘着領域D2に対応した粘着領域D4,D5の第1方向一方側(図3(a)中下側)の端部の、第2方向両側の端部(図3(a)中左端及び右端)は、曲線状に面取りがなされたR形状部DL,DRとなっている。
粘着領域D3に対応した粘着領域D4,D5は、粘着領域D3と同様に接着性を備えるため、ここでは、説明の便宜上、粘着領域D3自体にこの粘着領域D3に対応した粘着領域D4,D5が含まれるものとして説明する。つまり、この例の粘着領域D3の全体(粘着領域D3に対応した粘着領域D4,D5を含む)は、いわゆる逆等脚台形状に形成されている。具体的には、粘着領域D3のうち上記第1方向他方側(図3(a)中上側)の端部の第2方向における長さWAは、上記粘着領域D1の第2方向における上記長さWよりも短い。また、粘着領域D3のうち上記第1方向の一方側(図3(a)中下側)の端部の第2方向における長さWBは、粘着領域D3のうち上記第1方向の他方側(図3(a)中上側)の端部の第2方向における上記長さWAよりも短い。
本実施形態の例では、粘着領域D1のうち非粘着領域D2との境界近傍の上記基材層21及び粘着剤層22に、上記第2方向に沿って(つまり第2方向と平行に)断続しつつ延びる破断線Gが設けられている。一方、本実施形態の例では、粘着領域D4と粘着領域D1、非粘着領域D2及び粘着領域D3との間には、第1方向に沿って(つまり第1方向と平行に)断続しつつ延びる破断線GLが設けられている。更に、本実施形態の例では、粘着領域D5と粘着領域D1、非粘着領域D2及び粘着領域D3との間には、第1方向に沿って(つまり第1方向と平行に)断続しつつ延びる破断線GRが設けられている。本実施形態の例における破断線G,GL,GRは、いわゆるミシン目及び/又はフルカットスリットとして形成されるが、この例に限られるものではなく、穴又は切れ目又は穴の列又は切れ目の列からなりものであれば様々な構成が取り得、破断可能なものであればよい。印字ラベルLには、この破断線G,GL,GRと前述の切り込みHCを除き、特にミシン目やスリットは設けられておらず、厚さ方向の横断面形状が上記第1方向に沿って連続した層となっている。
粘着領域D4,D5における基材層21と剥離材層24との間の粘着剤層22に備えられる粘着剤は、上記破断線GL及び破断線GRから、所定距離だけ離れて配置される(図示せず)。つまり、粘着領域D4の粘着剤は、破断線GLから図3(a)の左側に所定距離離れた位置から配置され、粘着領域D5の粘着剤は、破断線GRから図3(a)の右側に所定距離離れた位置から配置される。したがって、粘着領域D4,D5の粘着剤は、粘着領域D4,D5の全面に塗布されることが望ましいが、破断線GL,GRにはかからないようにその寸前までしか塗布されていないことが望ましい。
なお、上記剥離材層24のうち、少なくとも、粘着領域D1に接する面と、粘着領域D3に接する面と、には、公知の離型処理がなされている。これにより、剥離材層24が剥がされたとき、少なくとも粘着領域D1及び粘着領域D3においては、上記粘着剤層22は基材層21側に固着して残存するようになっている。
上記粘着領域D4及び粘着領域D5は、本実施形態では、粘着領域D1、非粘着領域D2及び粘着領域D3のうちすべての、第2方向の一方側及び他方側に連結されるが、この例に限定されるものではなく、非粘着領域D2及び粘着領域D3のうち少なくとも一方の、第2方向の一方側及び他方側の少なくとも一方に連結されればよい。この変形例については、後述する。
<印字ラベルの被着体への取り付け手順>
上記印字ラベルLの被着体への取り付け手順の例を図4に示す。図4において、この例では、半径r(直径2r)の円柱状又はケーブル状の被着体302に印字ラベルLを巻き付けて取り付ける例を示している。
まず、図4(a)に示すように、前述の構造の印字ラベルLから上記剥離材層24を剥離し、上記非粘着剤層23を露出させる。その後、図示のように粘着領域D1→非粘着領域D2a→非粘着領域D2b→非粘着領域D2c→粘着領域D3の順で連なる印字ラベルLのうち、粘着領域D1、非粘着領域D2a、非粘着領域D2bを、剥離材層24が接していた側(図4(a)中右側)が内側となるように凹状に曲げる(図示省略)。
そして、図4(b)に示すように、上記凹状の内側に被着体302を配置し、印字ラベルLの先端側に位置する上記粘着領域D1の上記粘着剤層22を被着体302に貼り付けた後に、非粘着領域D2a、非粘着領域D2b、非粘着領域D2c、粘着領域D3、を順次周方向に延ばして被着体302の周りを取り囲む円筒体を形成するように一周させた後(図4(a)中の矢印H参照)、巻き付けの最後には、粘着領域D3の粘着剤層22を(既に被着体302を周回するように巻き付いた)非粘着領域D2若しくは粘着領域D3に貼り付けられる。この結果、印字ラベルLは、前述した粘着剤層22と被粘着剤層23との接着によって自身の円筒体形状が固定される。
その後ユーザが、円筒体形状に形成された印字ラベルLの全体を、被着体302に対してその巻き付け方向と同じ方向(図4(c)中の矢印J参照)に適宜の力で相対的に回転させることで、粘着領域D1に設けられた上記破断線Gと上記破断線GR,GLが破断する。破断線GR,GLが破断されることにより、印字ラベルLは、ラベル本体部Lmと左ラベル部Llと右ラベル部Lrとに分離する。このとき、上記非粘着剤層23の第1方向における長さX2A+X2B+X2Cは、少なくとも被着体302の円周長2πr以上となっている。この結果、印字ラベルLのうちラベル本体部Lm(回転ラベル)は、自身の円筒体形状が固定されつつ、非粘着領域D2(非粘着領域D2a、非粘着領域D2b、及び非粘着領域D2c)によって非付着状態で被着体302の周りを一周していることで、被着体302に対して初期的には回転自在となる。
しかしここで、上述したように印字ラベルLのうちラベル本体部Lmにおける上記破断線Gは、非粘着領域D2の内部やその粘着領域D1との境界上ではなく、粘着領域D1のうちの非粘着領域D2との境界近傍で上記第2方向に沿って延びるよう設けられている。このため、破断線Gが破断した際には、図4(c)に示すように、非粘着剤層23の端部(図4(a)における上側(上記第1方向他方側)の端部)と、すでに破断状態となった破断線Gとの間において、粘着剤層22が突出する配置で残存(露出)する。その後にユーザからの手作業による当該ラベル本体部Lmへの把持操作や被着体302の曲げ操作などによって、上記の粘着剤層22の突出部分は、それより外周側に位置する非粘着領域D2又は粘着領域D3から押圧や締め付けを受けて被着体302の外周表面に接着する(図4(c)参照)。なお、この粘着剤層22の突出部分における接着は、ラベル本体部Lmにおける上記第2方向(被着体302の軸方向;図4(c)中の紙面手前−奥方向)の全体もしくは一部での接着となる。
このとき、上記粘着剤層22の突出部分における第1方向(被着体302の周方向)の突出長さ(特に図示せず)は十分短い寸法に設定されており、被着体302の円周長2πrに対する割合が十分に低い。また、上述したように上記粘着剤層22の突出部分における接着は、上記第2方向(軸方向)の全体で接着するとは限らない。このため、被着体302の外周表面に対する上記粘着剤層22の突出部分での接着面積は十分小さく、すなわちラベル本体部Lm全体での付着性は軽度となり、被着体302に対して当該印字ラベルLは適宜の摩擦を保持しつつ手作業でも容易に回転可能に取り付けられる。
一方、印字ラベルLのうち左ラベル部Llと右ラベル部Lrとが、ラベル本体部Lmと同様の第1方向の長さを有することにより、自身の円筒体形状が固定されつつ、粘着領域D4,D5によって被着体302の周りを一周していることで、被着体302に対して接着された状態となる。したがって、上述のように、ラベル本体部Lmが回転されたとしても左ラベル部Ll及び右ラベル部Lrは回転せずに被着体302に接着した状態を維持する。
<印字ラベルの利用例>
上記印字ラベルLの利用例を図5に示す。この例では、上記被着体302として、例えば有線LANのネットワーク上で情報の中継を行うスイッチングハブに使用されるケーブル(以下適宜、単に「ケーブル302」という)が適用される場合を示している。図5において、上記スイッチングハブ300は、上段、下段の各列でそれぞれ8つのスロット301(合計16のスロット)を有している。図示する例では、上段の8つのスロット301それぞれに対応して、左から順に「A01」〜「A08」の識別名称を表すプレートPLが設けられている。また、下段の8つのスロット301それぞれに対応して、左から順に「A09」〜「A16」の識別名称を表すプレートPLが設けられている。
上記各スロット301には、それぞれ、適切に対応する上記ケーブル302を接続する必要がある。接続の便宜を図るために、各コネクタスロット301にそれぞれ挿入される各ケーブル302の端部に、それぞれの接続先となるスロット301の上記識別名称と同じ内容の印字Rを形成した、上記印字ラベルLが装着される。つまり、ケーブル302には、接続されるべきスロット301のプレートPLの識別名称と同一のテキストが印字された印字ラベルLが取り付けられる。これにより、接続するスロット301とケーブル302との対応関係が明確となり、誤配線を防ぐことができる。
図6に、ケーブル302に対する上記印字ラベルLの取り付け状態を模式的に示す。図中には、上記ケーブル302の軸心kを併せて示している。前述した構造により、図6(a)に示す状態から、印字ラベルLのラベル本体部Lmを破断方向(すなわち周方向)に回転させることにより、破断線G,GL,GRが破断し、印字ラベルLは、図6(b)に示すようにラベル本体部Lmと左ラベル部Llと右ラベル部Lrとに分離される。ラベル本体部Lmは、被着体としての上記ケーブル302に対し手作業での適宜の力で回転可能に取り付けられており、例えば図6(b)に示す状態では、「A01」の印字Rが備えられた上記非粘着領域D2bが図に向かって手前側となる姿勢で配置されている。なお、実際にはケーブル302の直径が十分小さい場合、非粘着領域D2bのさらに外周側に透明な非粘着領域D2や粘着領域D3が覆うよう存在する場合もあるが、煩雑化防止と説明の明確化のために図6(a)〜図6(c)では図示を省略している。この図6(b)に示す状態から、例えば印字ラベルLのラベル本体部Lmを破線方向に回転させることで、図6(c)に示すように、上記非粘着領域D2cや粘着領域D3が図に向かって手前側となる姿勢とすることができる。また、図6(c)の位置で印字ラベルLのラベル本体部Lmがケーブル302に固定されていると印字Rが見え難いが、ラベル本体部Lmが回転可能になっていることにより、上記と反対方向に回転させて図6(b)の位置にすることにより、印字Rが見易くなる。一方、左ラベル部Llと右ラベル部Lrとは、ケーブル302に対し接着された状態が維持される。したがって、ラベル本体部Lmは、この左ラベル部Llと右ラベル部Lrがストッパとなることにより、軸心kの方向にずれることが防止される。
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態においては、剥離材層24を引き剥がし、粘着性の粘着領域D1と非付着性の非粘着領域D2を被着体302の外周部にあてがいつつ、それ以外の部分を被着体302の周りに周回させて円筒体を形成するように巻き付けた後、非粘着領域D2に対し第1方向に連結された粘着領域D3を、既に巻回済みの非粘着領域D2(又は粘着領域D3)の外周側に付着させる(いわゆるセルフラミネートの態様)。このとき、印字ラベルLには、非粘着領域D2及び粘着領域D3のうち少なくとも一方の、第2方向一方側に、付着性の粘着領域D5(又は粘着領域D4)が連結されており、上記の巻き付けにより、粘着領域D5(又は粘着領域D4)は、被着体302の外周側に付着する。
ここで、粘着領域D5(又は粘着領域D4)と、非粘着領域D2及び粘着領域D3のうち少なくとも一方との間には、穴(有底穴及び貫通孔の両方を含む)又は切れ目(いわゆるミシン目、スリット、厚さ方向の薄肉部等を含む)又は穴の列又は切れ目の列からなる破断線GL(又は破断線GR)が設けられており、容易に破断可能となっている。ユーザは、上記のようにして被着体302に貼り付けられた状態の印字ラベルLにおいて、破断線GL(又は破断線GR)を破断する。これにより、粘着領域D5(又は粘着領域D4)以外の部分(円筒状の結合体)から、上記粘着領域D5(又は粘着領域D4)を分離させることができるので、当該円筒状の結合体であるラベル本体部Lmは、非付着性の非粘着領域D2が被着体302に接することで被着体302に対し回転可能に取り付けられる結果、被着体302に対し回転可能な円筒型のラベル本体部Lm(回転ラベル)が完成する。そして、上記分離された粘着領域D5からなる右ラベル部Lr(又は粘着領域D4からなる左ラベル部Ll)が、当該回転可能な円筒型のラベル本体部Lmに対し上記第2方向(言い換えれば被着体の軸方向)に隣接して接することによって、当該ラベル本体部Lmが上記軸方向へ位置ずれするのを抑制することができる。
また、被着体302に貼り付いた状態の粘着領域にあるミシン目を破断し非粘着領域を分離させることで上記被着体に対し回転可能な円筒形媒体(回転ラベル)を完成させる従来手法では、円筒形媒体の内径が上記貼り付いた粘着領域の外径よりも大きい。この結果、上記貼り付いた粘着領域が、上記完成した回転ラベルが被着体の軸方向に移動するのを防止できない(粘着領域の外周側を乗り越えて軸方向に通過してしまう)可能性がある。しかし、本実施形態の印字ラベルLにおいては、前述の分離手法により、右ラベル部Lr(又は左ラベル部Ll)から分離された上記円筒型のラベル本体部Lm(回転ラベル)の内径と右ラベル部Lr(又は左ラベル部Ll)の内径とは同径であり、言い換えれば上記ラベル本体部Lmの内径は右ラベル部Lr(又は左ラベル部Ll)の外径よりも小さい。したがって、上記従来構造とは異なり、当該ラベル本体部Lmが上記軸方向へ位置ずれするのを確実に抑制することができる。
この際、本実施形態においては、印字ラベルLには、非粘着領域D2及び粘着領域D3のうち少なくとも一方の、第2方向一方側に付着性の粘着領域D5が連結されるのと同様に、第2方向他方側に付着性の粘着領域D4が連結されている。したがって、破断線GL,GRが破断されることにより、円筒形のラベル本体部Lmから左ラベル部Ll及び右ラベル部Lrを分離させることができるので、分離された左ラベル部Ll及び右ラベル部Lrで、上記ラベル本体部Lmを軸方向両側それぞれから挟み込むことができ、その結果、ラベル本体部Lmの上記軸方向への位置ずれを確実に抑制することができる。
また、本実施形態においては、非粘着領域D2に対応した粘着領域D4,D5それぞれの第2方向における長さWl,Wrは、非粘着領域D2の第2方向における長さWmよりも小さい。したがって、ラベル本体部Lmの第2方向の長さ(Wm)よりも、左ラベル部Llの第2方向の長さ(Wl)及び右ラベル部Lrの第2方向の長さ(Wr)を小さくすることができ、印字ラベルLの無駄な浪費を抑制することができる。また、粘着領域D4の第2方向における長さWlは、粘着領域D5の第2方向における長さWrと等しい。ラベル本体部Lmの第2方向両側において位置ずれを抑制するストッパとしてそれぞれ機能する2つの部分(左ラベル部Ll及び右ラベル部Lr)の第2方向における長さを互いに等しくでき、美観を向上することができる。
また、本実施形態においては、基材層21は透明である。したがって、巻き付け時において非粘着領域D2の印字領域の外周側を他の部分が覆った場合であっても、当該印字領域における印字表記内容を外部から確実に視認することができる。
また、本実施形態においては、図2に示すように、剥離材層24(つまり被印字テープTo,T)は、印字ラベルL(つまりラベル部LA)の第2方向に延びる長尺な層として形成される。そして、被印字テープTo,Tには、その第2方向が上記の長尺方向と平行となるように、複数の基材層21(つまりラベル部LA,印字ラベルL)が並んでいる。これにより、各印字ラベルL(ラベル部LA)の複数の領域(粘着領域D1,非粘着領域D2,粘着領域D3等)が被印字テープTo,Tの幅方向に並ぶ、すなわち、各印字ラベルLの同じ領域が被印字テープTo,Tの長尺方向(搬送方向)に沿って並ぶ配置となる。このため、被印字テープTo,Tの製造が容易となるとともに、特にラベル作成装置1での各印字背景層25に対する連続的な印字形成が可能となる。なお、第2方向が、剥離材層24の長尺方向と平行となることから、各印字ラベルLの粘着領域D5又は粘着領域D4と、非粘着領域D2及び粘着領域D3とが第2方向に対してこの順序で並ぶ配置となる。しかしながら、ラベル作成装置1において印字背景層25への印字形成のために上記長尺方向に沿って搬送する際、搬送方向の上流側に非粘着領域D2及び粘着領域D3、下流側に粘着領域D5又は粘着領域D4、となるように配置することで、搬送経路において付着性のない非粘着領域D2が剥離剤層24から浮き上がってしまうのを抑制できる。
また、本実施形態においては、粘着領域D3の全体(粘着領域D3に対応した粘着領域D4,D5を含む)は、第2方向における長さが、非粘着領域D2から離れるについて小さくなる。ここで、被着体302への巻き付けの際、当該巻き付けはユーザによる手作業であることから、巻き付ける側(外周側となる粘着領域D3)と貼り合わせられる側(内周側となる非粘着領域D2)とで第2方向に若干ずれる可能性がある。これに対して、本実施形態においては、粘着領域D3の第2方向における長さを徐々に小さくする(言い換えれば非粘着領域D2から第1方向に向けて離れるほど幅狭とする)ことにより、巻き付けの際、上記のような第2方向へのずれが多少生じたとしても、内周側に位置する非粘着領域D2の縁部から、外周側に位置する粘着領域D3の縁部がはみ出すのを抑制することができる。この結果、粘着領域D3の付着性部分が内周側に露出し被着体302に貼り付き回転が阻害されるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、非粘着領域D2の、第1方向における粘着領域D3と反対側に、付着性の粘着領域D1が連結される。本実施形態のようなセルフラミネートの態様では、剥離材層24を引き剥がし、まず付着性の粘着領域D1を被着体302の外周部に貼り付けた後に、非付着性の非粘着領域D2及びそれに続く粘着領域D3を被着体302の周りに周回させ巻き付けることができる。これにより、ユーザによる巻き付けを容易とすることができる。
また、本実施形態では、粘着領域D4,D5における粘着剤は、上記破断線GL及び破断線GRから、所定距離だけ離れて配置される。これにより、破断線GL及び破断線GRの破断後において、上記円筒形のラベル本体部Lm側に粘着剤が残存するのを確実に抑制することができる。
また、本実施形態では、粘着領域D1は、第2方向に延びる破断線Gを備える。したがって、ユーザは、上記被着体302に貼り付いた状態の粘着領域D1の破断線Gを破断することにより、粘着領域D1から、残りの部分(円筒状の結合体)を分離させ、これによって上記被着体302に対し回転可能な円筒形のラベル本体部Lm(回転ラベル)を完成させることができる。さらに、本実施形態では、破断線Gが粘着領域D1の外に設けられるのではなく、破断線Gが、粘着領域D1を通るように設けられている。したがって、上記のようにして破断線Gを破断した後において、上記円筒型のラベル本体部Lm(回転ラベル)の内面側の少なくとも一部に、付着性を備えた領域(粘着領域D1のうち破断線Gよりも第1方向の一方側部分)が残る。この結果、付着性を備えた領域が全く残らない構造と異なり、上記ラベル本体部Lmが過度に回転したり被着体302の軸方向へ位置ずれするのを抑制することができる。
また、本実施形態では特に、粘着領域D1は、破断線Gよりも第1方向一方側における付着性領域の面積が、破断線Gよりも第1方向他方側における付着性領域の面積よりも小さい。具体的には、破断線Gは、粘着領域D1のうちで非粘着領域D2との境界近傍に配置されている。これにより、巻き付け開始時における被着体302への比較的大きな付着力を確保しつつ、上記ラベル本体部Lmの過度な回転や位置ずれを抑制することができる。
また、本実施形態では特に、破断線Gのうち少なくとも一部分は、第2方向と平行である。これにより、破断線Gを破断するよう手作業でラベル本体部Lmにトルク(回転力)を負荷した際、少なくとも第2方向と並行な部分の破断線Gにおいては軸方向で均一にトルクが負荷される。それだけ、軸方向(第2方向)に対するそのトルクの偏りを抑制できるため、ラベル本体部Lm自身の円筒体形状を保持できる。
また、本実施形態では特に、破断線Gの全てが、粘着領域D1に配置されている。これにより、ラベル本体部Lmの軸方向(第2方向)の全体に渡って付着性領域を確保できるため、上記ラベル本体部Lmの過度な回転や位置ずれを安定して抑制できる。
また、本実施形態では特に、非粘着領域D2のうち、剥離材層24と接する側と反対側に、印字背景層25を有する。これにより、ラベル作成装置1で印字背景層25に印字ヘッド7を安定して接触させて、ユーザの意図する文字・図像等の所望の印字オブジェクトをきれいに印刷できる。
また、本実施形態では特に、テープロール10Aにおいて、第1方向が被印字テープTo,Tの幅方向に一致している。これにより、各ラベル部LAにおける複数の領域D1〜D3が被印字テープTo,Tの幅方向に並び、すなわち各ラベル部LAの間において同じ領域が被印字テープTo,Tの長手方向(搬送方向)に沿って並ぶ配置となる。このため、被印字テープToの製造が容易となるとともに、特にラベル作成装置1での各印字背景層25に対する連続的な印刷が可能となるなどの利点がある。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。ただし、以下の変形例では、上記実施形態とは異なる部分を中心に説明し、構成や効果が同一又は類似する部分についての説明は適宜省略する。
(1)被印字テープTo,Tにおけるラベル部LAの配置方向の変形例
上記実施形態においては、図2に示すように、被印字テープTo,Tには印字ラベルLが、被印字テープTo,Tの長手方向と印字ラベルLの第2方向とが平行になるように並べて配置されたが、この例に限定されるものではなく、被印字テープTo,Tには印字ラベルLが、図7に示すように、被印字テープTo,Tの長手方向と印字ラベルLの第1方向とが平行になるように並べて配置されてもよい。図7(a)は、図中上下方向を搬送方向(言い換えればテープ長さ方向)、図中左右方向をテープ幅方向、図中紙面手前奥方向をテープ厚さ方向(積層する方向)とした、未印刷状態の被印字テープToの平面図を示している。図2(b)の例は、粘着領域D1〜粘着領域D5のうち非粘着領域D2に印字Rが印刷された後の被印字テープTの平面図を示している。
つまり、図7に示すように、剥離材層24(つまり被印字テープTo,T)は、印字ラベルL(つまりラベル部LA)の第1方向に延びる長尺な層として形成される。そして、被印字テープTo,Tには、その第1方向が上記の長尺方向と平行となるように、複数の基材層21(つまりラベル部LA,印字ラベルL)が並んでいる。これにより、各印字ラベルL(ラベル部LA)において、粘着領域D1と非粘着領域D2と粘着領域D3とがこの順序で被印字テープTo,Tの長尺方向に並ぶ配置となる。この結果、各印字ラベルLの粘着領域D4及び粘着領域D5と、粘着領域D1,非粘着領域D2及び粘着領域D3とがこの順序で並ぶ配置となる場合(上記実施形態のように第2方向が、剥離材層24の長尺方向と平行となる場合)に比べて、ラベル作成装置1において印字背景層25への印字形成のために上記長尺方向に沿って搬送される際、搬送経路において付着性のない非粘着領域D2が剥離剤層24から浮き上がってしまうのを抑制できる。
(2)破断線が長孔で形成された変形例
上記の実施形態において、破断線G,GL,GRはいわゆるミシン目で形成されていたが、本発明はこの構成に限られない。つまり、破断線G,GL,GRは、それぞれの所定の経路に沿って破断が可能なように加工処理が施されていればよく、上記ミシン目以外で破断線Gを構成してもよい。
例えば、図8に示すように、破断線G,GL,GRのうち一部又は全部は、穴、又は、切れ目を構成する穴の一例として、長孔であってもよい。図8には、破断線GL,GRが長孔である場合を示している。長孔は、第1方向を長軸方向とし第2方向を短軸方向とし、第2方向に所定の開き寸法を備え、略楕円状に形成される。被着体302への巻き付けや貼り合わせはユーザによる手作業であることから、第1方向に沿って延びる非粘着領域D2及び粘着領域D3と粘着領域D4及び粘着領域D5との間の穴の列又は切れ目の列が、貼り合わせる側と貼り合わせられる側とで第2方向に若干ずれる可能性がある。この変形例においては、破断線GL,GRを、第2方向に開き寸法を備えた(第2方向に若干開いた形状となる)長穴とすることで、上記のような第2方向へのずれが多少生じたとしても、内周側の長穴の周方向位置と外周側の長穴の周方向位置とを、互いに概ね一致させることができる。この結果、前述の破断を円滑に行うことができる。
(3)粘着領域D3(対応した粘着領域D4,D5を含む)の形状の変形例
上記の実施形態では、図3に示すように、粘着領域D3(対応した粘着領域D4,D5を含む)の形状は、いわゆる逆等脚台形状に形成されたが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、図3に対応する図9に示すように、印字ラベルL全体の第2方向の寸法がほぼ一様になっていてもよい。したがって、対応した粘着領域D4,D5を含む粘着領域D3は、ほぼ長方形状になってもよい。なお、この場合、粘着領域D3に対応した粘着領域D4,D5の第1方向一方側(図9(a)中下側)の端部の、第2方向両側の端部(図9(a)中左端及び右端)は、曲線状に面取りがなされたR形状部DL,DRとなっていてもよい。
(4)左ラベル部Ll及び右ラベル部Lrのどちらか一方が設けられる変形例
上記実施形態では、図3(a)に示すように、粘着領域D1,非粘着領域D2,粘着領域D3の第2方向両側にそれぞれ粘着領域D4,D5が設けられた結果、図5に示すように、ラベル本体部Lmの第2方向両側にそれぞれ左ラベル部Ll及び右ラベル部Lrが設けられたが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、図3(a)に対応する図10及び図5に対応する図11に示すように、粘着領域D1,非粘着領域D2,粘着領域D3の第2方向片側にのみ、粘着領域D5が設けられた結果、ラベル本体部Lmの第2方向片側のみに右ラベル部Lrが設けられてもよく、同様に、粘着領域D4のみが設けられた結果、左ラベル部Llのみが設けられてもよい。この変形例によれば、ラベル本体部Lmの軸方向一方側にのみ位置ずれが発生する場合に、その位置ずれを適切に防止しつつ、ラベル本体部Lmの第2方向の寸法を長くすることが可能である。
(5)粘着領域D5が一部にだけ設けられる変形例
上記実施形態では、粘着領域D1、非粘着領域D2及び粘着領域D3全ての第2方向の両側に、それぞれ粘着領域D4,D5が設けられたが、本発明はこの構成に限定されない。粘着領域D4,D5のそれぞれは、非粘着領域D2及び粘着領域D3の少なくとも一方に連結するように設けられてもよい。
例えば、図12及び図13では、粘着領域D5が部分的に設けられる例を示している。図12では、粘着領域D5が非粘着領域D2にだけ連結するように設けられる例を示している。言い換えれば、図12では、図9に示した粘着領域D5の粘着領域D1及び粘着領域D3に対応する部分が欠損して形成されている。一方、図13では、粘着領域D5が粘着領域D3にだけ連結するように設けられる例を示している。言い換えれば、図12では、図9に示した粘着領域D5の粘着領域D1及び粘着領域D2に対応する部分が欠損して形成されている。図12及び図13に示す粘着領域D5の場合、図5に示した右ラベル部Lrのように円環形状とはならず、被着体302(ケーブル)の外周を一周しない部分円弧状に被着体302に貼り付けられることになる。このような部分円弧状の右ラベル部Lrとした場合、ラベル本体部Lmの軸方向への位置ずれを防止するストッパ機能を果たしつつも、構成を簡素化することが可能である。なお、図12及び図13では、粘着領域D5が部分的に設けられる例を示しているが、例えば、粘着領域D4が部分的に設けられてもよいことは言うまでもない。
(6)合掌貼りで構成される場合の変形例
上記実施形態では、印字ラベルLは、いわゆるセルフラミネートの態様で被着体302に対して付着したが、本発明はこの構成に限定されない。印字ラベルLは、いわゆる合掌貼りの態様で被着体302に付着してもよい。以下、この合掌貼りの例について、図14〜図16を参照しつつ説明する。
図2に対応する図14に示すように、この変形例における印字テープToのラベル部LAには、粘着領域D1の代わりに粘着領域D1’ (第5領域の一例)が配置され、非粘着領域D2の代わりに非粘着領域D2’ (第1領域の一例)が配置される。また、非粘着領域D2’は、非粘着領域D2とは異なり破断線Gを有さない。図3に対応する図15を参照しつつ、粘着領域D1’及び非粘着領域D2’についてより詳細に説明する。
粘着領域D1’は、図15に示すように、破断線Gが設けられないこと以外、粘着領域D1とほぼ同様に形成される。ただし、粘着領域D1は、セルフラミネートの態様において、被着体302に外周に付着したが、この粘着領域D1’は、合掌貼りの態様において、非粘着領域D2’の一部に付着する。当該印字ラベルLの被着体302への取り付け手順等については後述する。
非粘着領域D2’は、図15に示すように、非粘着領域D2と同様の非粘着領域D2a,D2bを備える。一方、非粘着領域D2’は、非粘着領域D2で備えられていた非粘着領域D2cに代えて、この非粘着領域D2cが2つの領域に区画された結果である非粘着領域D2p,D2c’を更に備える。当該、非粘着領域D2p,D2c’を備えること以外、非粘着領域D2’は、非粘着領域D2と同様に形成される。以下、非粘着領域D2p,D2c’について説明する。
非粘着領域D2pは、非粘着領域D2bの上記第1方向一方側に隣接して設けられる。この非粘着領域D2pは、非粘着領域D2cと同様に、上記厚さ方向一方側から他方側(図15(b)中左側から右側)へ向かって、上記基材層21、上記粘着剤層22、上記非粘着剤層23、上記剥離材層24の順に積層されている。この結果、非粘着領域D2pは、全体として、上記剥離材層24に接する部分が(上記粘着剤層22による接着性が上記非粘着剤層23によって阻止されて)非接着性となる、領域となっている。なお、非粘着領域D2pは、上記第1方向における長さX2Pと上記第2方向における長さWmとを備えた、平面視が略長方形状の領域となっている(図15(a)参照)。
非粘着領域D2c’は、非粘着領域D2pの上記第1方向一方側に隣接し、非粘着領域D3の第1方向他方側に隣接して設けられる。この非粘着領域D2c’は、非粘着領域D2と同様に、上記厚さ方向一方側から他方側(図15(b)中左側から右側)へ向かって、上記基材層21、上記粘着剤層22、上記非粘着剤層23、上記剥離材層24の順に積層されている。この結果、非粘着領域D2c’は、全体として、上記剥離材層24に接する部分が(上記粘着剤層22による接着性が上記非粘着剤層23によって阻止されて)非接着性となる、領域となっている。このとき、非粘着領域D2c’は、上記第1方向における長さX2C’と上記第2方向における長さWmとを備えた、平面視が略長方形状の領域となっている(図15(a)参照)。上記実施形態における非粘着領域D2と非粘着領域D2p,D2c’との第1方向における長さの関係は、X2C=X2p+X2c’をほぼ満たすことになる。一方、X2pは、ほぼX1と等しくなりように設定されてもよい。
次に、この変形例における印字ラベルLの被着体への取り付け手順の例を、図16を参照しつつ説明する。図16において、この例では、半径r(直径2r)の円柱状又はケーブル状の被着体302に印字ラベルLを巻き付けて取り付ける例を示している。
まず、図16(a)に示すように、前述の構造の印字ラベルLから上記剥離材層24を剥離し、上記非粘着剤層23を露出させる。その後、図示のように粘着領域D1’→非粘着領域D2a→非粘着領域D2b→非粘着領域D2p→非粘着領域D2c’→粘着領域D3の順で連なる印字ラベルLのうち、粘着領域D1’、非粘着領域D2a、非粘着領域D2bを、剥離材層24が接していた側(図16(a)中右側)が内側となるように凹状に曲げる(図示省略)。
そして、図16(b)に示すように、上記凹状の内側に被着体302を配置し、印字ラベルLを、被着体302の周りを取り囲む円筒体を形成するように一周させた後、先端側に位置する上記粘着領域D1’の上記粘着剤層22(後述の合掌貼りにおける合掌部として機能する)と、上記非粘着領域D2pの上記非粘着剤層23(後述の合掌貼りにおける被合掌部として機能する)とを互いに貼り合わせる(いわゆる合掌貼り)。このとき、上記非粘着剤層23の第1方向における長さX2A+X2B+X2P+X2C’は、少なくとも被着体302の円周長2πr以上となっている。この結果、印字ラベルL(破断線GL,GRが破断後のラベル本体部Lm)は、前述した粘着剤層22と被粘着剤層23との接着によって自身の形状は固定されつつ、非粘着領域D2a及び非粘着領域D2bによって非付着状態で被着体302の周りを一周することで、被着体302に対し回転可能に取り付けられる。
その後、上記被着体302周りの一周構造に使用されなかった非粘着領域D2C’及び粘着領域D3を、図16(b)中の矢印Gで示すように、上記粘着領域D1’及び非粘着領域D2pの貼り合わせ部分を内周側に巻き込む(例えば上記合掌部である粘着領域D1’は矢印カのように折り返され部位キに当接する)ようにしつつ、上記円筒体を構成する非粘着領域D2a→非粘着領域D2bをこの順に覆いながら、それら領域D2a,D2bの外周部に巻き付ける(図16(c)参照)。そして、粘着領域D3が、その粘着剤層22の接着性を利用して上記非粘着領域D2bの外周部に接着されることで、被着体302への取り付けが完了する。
この変形例によれば、上記セルフラミネートの態様における効果と同様の効果を奏することが可能である。また、この変形例によれば、非付着性の非粘着領域D2’を被着体302の外周部にあてがいつつ、それ以外の部分を被着体302の周りに巻き付けた後、被着体302の外周を取り囲んでいない部分である粘着領域D1’と非粘着領域D2’の非粘着領域D2pとを、粘着領域D1’の付着性を利用して互いに貼り合わせることができる。またその後、当該貼り合わせ部分を内周側に巻き込むようにしつつ、粘着領域D3の上記付着性を利用して被着体302に巻き付けることができる。これにより、上記貼り合わせや上記巻き込みつつの巻き付けを確実に行うことが可能である。
(7)その他
なお、以上においては、付着性の一例として、粘着剤層22の粘着剤による粘着性(接着性)が備えられる場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、例えばはがきなどに利用され、一度剥がすと再度くっつけることができないような加圧による疑似接着構造や、ラッピング等に用いられる樹脂性シートのように静電気により互いにくっつく構造等を利用しても良い。また上記疑似接着に用いられる接着剤として、貼り付ける前は濡れたウェットな状態にあり、乾いて剥がされるとその後は再度くっつけることができないような性質を備えたものを使用しても良い。
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
なお、以上において、図1等に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。