JP6929406B1 - 下水汚泥の焼却処理方法及び下水汚泥の焼却処理設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】流動空気圧の測定により、焼結抑制剤添加までのタイムラグを短縮して、焼結抑制剤の投入量を流動空気圧の経時変化に基づいてコントロールすることができる。これにより、焼結抑制剤の投入量を最小限にして、焼結抑制剤の投入量が過剰になることを防止する。【解決手段】流動層焼却炉100における下水汚泥の焼却処理方法であって、前記流動層焼却炉内の流動媒体に空気投入口より圧縮空気を導入し、前記流動媒体の流動層を形成する工程(a)と、脱水汚泥と焼結抑制剤と前記流動媒体とを前記流動層焼却炉内で流動させつつ前記脱水汚泥を燃焼する工程(b)と、前記流動層の一定位置における圧力を計測し、その経時変化を求める工程(c)と、前記経時変化に応じて前記焼結抑制剤の投入量をコントロールする工程(d)とを有する、下水汚泥の焼却処理方法。【選択図】図4

Description

本発明は、下水汚泥の焼却処理方法及び下水汚泥の焼却処理設備に関する。
周知のように、生活排水などの下水を処理するための方法としては、一般に図1に示すようなプロセスが適用されている。このプロセスは、概略的には、下水を浄化処理するとともに、汚泥を下水から分離、取り出すための水処理工程1と、水処理工程1で分離され取り出された汚泥を濃縮、脱水して脱水汚泥とする汚泥処理工程3と、脱水汚泥を焼却炉により焼却する汚泥焼却工程5とを有している。
ここで、前記水処理工程1における水浄化処理方法としては、一般には微生物を利用した活性汚泥法を適用する、またそれにいくつかの処理方法を組み合わせるのが通常である。また汚泥焼却工程5では、流動層焼却炉を用いることが多い。
さらに下水を処理するための従来の一般的なプロセスの一例の全体構成を、より具体的に図2に示す。
図2の例における水処理工程1では、外部からの流入下水10は、先ず沈砂池11に流入し、大きなゴミや土砂が除去された後、最初沈殿池12に流入し、初沈汚泥(後述する生汚泥に相当する)と上澄み水とに物理的に分離され、その上澄み水(排水)は、反応槽13に流入して、活性汚泥法による浄化がなされる。すなわち、排水に、微生物を含む活性汚泥が、送風機14からの空気によるエアレーションによって混合、曝気され、排水中の有機物が分解される。さらにその反応槽13からの活性汚泥と混合した排水は、最終沈殿池15に流入し、活性汚泥と排水とが物理的に分離され、活性汚泥は反応タンクに戻され、その一部は余剰汚泥として引き抜かれる。最終沈殿池15からの上澄み水は、浄化済の水(浄化水)16として放流されたり、あるいはさらに高度処理が施されたりしてから放流される。
汚泥処理工程3では、最初沈殿池12から引き抜かれた初沈汚泥(生汚泥)を、生汚泥濃縮手段としての例えば重力濃縮槽31において沈殿させ、その重力濃縮槽31における沈殿物(濃縮生汚泥)を、生汚泥受槽32を経て、後述する混合ポイント33に送給する。最終沈殿池15で沈殿された活性汚泥の一部は余剰汚泥として、最終沈殿池15から引き抜かれ、余剰汚泥貯留槽34を経て、余剰汚泥濃縮手段としての例えば遠心濃縮機35に送られ、この遠心濃縮機35で水と分離された濃縮余剰汚泥は、混合ポイント33に送られる。混合ポイント33で濃縮生汚泥と濃縮余剰汚泥が混合され、その混合濃縮汚泥は、例えば混合汚泥貯留槽36及び濃縮混和槽37を介して例えばベルトプレス脱水機などの脱水機38に供給される。本明細書において、生汚泥、余剰汚泥、混合汚泥を総称して下水汚泥という場合がある。混合濃縮汚泥は脱水機38により脱水されて、例えばケーキ状等となった状態で、圧送ポンプや搬送コンベヤなどの送給装置39によって、脱水汚泥として次の汚泥焼却工程5に送られる。
汚泥焼却工程5は、砂などの流動媒体に熱風を吹き込んで流動床を形成し、その流動床中で脱水汚泥を加熱し、焼却する流動層焼却炉51を備えている。この流動層焼却炉51は、ブロア52から空気予熱器53で加熱された高温の空気(熱風)が下部(流動床の下側)から吹き込まれるように構成されている。運転状況によっては、熱風発生炉54で高温の空気を更に加熱することもある。汚泥処理工程3の送給装置39から送給された脱水汚泥が、定量フィーダや投入コンベヤ、投入ポンプなどの供給機55によって流動層焼却炉51内に供給され、焼却される。このとき、焼却灰(焼却残渣物質;ダスト)が、排ガスとともに流動層焼却炉51の頂部から排出され、煙道56を通って空気予熱器53に導かれる。空気予熱器53は、ブロア52からの空気と流動層焼却炉51の排ガスとを熱交換して、ブロア52からの空気を予熱する。一方、空気予熱器53を通過した流動層焼却炉51からの排ガスは、集塵機57に導かれてダスト(焼却灰)が除去され、さらに必要に応じて図示しない冷却吸収塔などを経て大気中に放出される。また、集塵機57で補集された焼却灰は、必要に応じてリン回収設備に供給されて、有効活用される。
前述のように流動層焼却炉を用いた汚泥焼却工程5においては、流動層焼却炉の排出口からは、焼却灰(ダスト)が排ガスに同伴して排出される。そのため、流動層焼却炉の排出側の煙道や、熱交換器である空気予熱器付近において、焼却灰が付着して、粘着性を有する状態で堆積し、その結果、煙道での排ガスの流れが阻止されて、空気予熱器の例えばヘッダー部分において詰りが生じることがある。その場合には、安定した連続操業を続けられなくなることや、また空気予熱器の損傷を招く場合もある。
ところで、汚泥焼却灰が流動層焼却炉の出側の煙道や空気予熱器において付着・堆積する現象は、流動層焼却炉内で焼却灰の少なくとも一部が溶融して粘着性が生じ、その粘着性を示すようになった焼却灰が流動層焼却炉の出側で排ガス流路壁面などに付着し、さらに焼却灰粒子同士が粘着して、堆積してしまうためと考えられている。なお、このように少なくとも一部が溶融して粘着性を生じた焼却灰は、その後、いわゆる焼結により固化された状態となる。したがって、焼却炉の運転を停止させた状態で焼却灰の堆積物を観察すれば、その堆積物は焼結された固化状態で観察されることになる。本明細書中でも、焼却灰堆積物が固化されることを「焼結される」と称し、またその固化された焼却灰堆積物を「焼結物」と称することがある。
以上のように、流動焼却設備を安定して連続運転させ、かつ空気予熱器などの機器の損傷、破壊を防止するために、流動層焼却炉からの焼却灰の付着・堆積、焼結を防止する方法の確立が強く望まれている。
このような焼結を抑制するために、脱水汚泥に対してFeイオン、Alイオン、Caイオンを含む塩基物質(焼結抑制剤)を添加することが有効である。例えばFeイオンを含有する塩基物質(鉄塩)としては、ポリ硫酸第二鉄(以下「ポリ鉄」と記す)、硫酸第一鉄、塩化鉄のいずれかを用いることが望ましく、またAlイオンを含有する塩基物質(アルミニウム塩)としては、ポリ塩化アルミニウム(以下「PAC」と記す)、塩化アルミニウムを用いることが望ましく、特にポリ鉄やPACが望ましいとされている。またCaイオンを含有する塩基物質としては、例えばCa(OH)(水酸化カルシウム:消石灰)やCaCO(炭酸カルシウム)、CaO(酸化カルシウム:生石灰)などのカルシウム化合物を用いることが望ましい。
例えば、特許文献1では、上記の流動層焼却炉に供給される脱水汚泥の成分調整に関して、流動層焼却炉に供給される脱水汚泥中のNa、K、Ca、Mg、Al、Feのそれぞれの含有量と、Pの含有量とを、脱水汚泥を流動層焼却炉に供給する前に分析して、下記(1)式によってX1の値を求め、そのX1の値が1.0以上となるように、流動層焼却炉で焼却される脱水汚泥の成分を調整することを提案している。
X1=([Na]+[K]+2×[Ca]+2×[Mg]+3×[Al]+3×[Fe])/(3×[P])・・・(1)
特許第5711348号公報
しかし、特許文献1に記載のX1の値を求めるためには、脱水汚泥を元素分析する必要があり、元素分析は時間を要するためフィードバックのタイムラグが大きくなり、リアルタイムに焼結抑制剤の量をコントロールすることができず、焼結抑制剤の投入量が過剰になる場合があった。
上記目的を達成するために、本発明の各態様は以下の構成を採用する。
本発明に係る流動層焼却炉における下水汚泥の焼却処理方法は、前記流動層焼却炉内の流動媒体に空気投入口より圧縮空気を導入し、前記流動媒体の流動層を形成する工程(a)と、脱水汚泥と焼結抑制剤と前記流動媒体とを前記流動層焼却炉内で流動させつつ前記脱水汚泥を燃焼する工程(b)と、前記流動層の一定位置における圧力を計測し、その経時変化を求める工程(c)と、前記経時変化に応じて前記焼結抑制剤の投入量をコントロールする工程(d)とを有する、下水汚泥の焼却処理方法である。
前記の下水汚泥の焼却処理方法によれば、前記流動層の一定位置における圧力(流動空気圧)の測定により、焼結抑制剤添加までのタイムラグを短縮して、焼結抑制剤の投入量を流動空気圧の経時変化に基づいてコントロールすることができる。これにより、焼結抑制剤の投入量を最小限にして、焼結抑制剤の投入量が過剰になることを防止することができる。
前記工程(d)において、前記圧力の単位時間当たりの変化量が予め定めた値を超えないように前記焼結抑制剤の投入量をコントロールしてもよい。圧力を上昇させないために、予め定めた値は負の値であることが好ましい。予め定めた値が負の値である場合、燃焼の進行に伴って圧力は減少し、流動層の量を一定量以下に保ち燃焼を安定的に進行させることができ、焼却炉内における焼結を抑制することができる。また、この場合、定期的に適切な量の流動媒体を流動層焼却炉内へ追加投入することができる。
前記工程(d)において、前記圧力の単位時間当たりの変化量がゼロ又は負となるように前記焼結抑制剤の投入量をコントロールしてもよい。この場合、圧力は一定であるか又は減少し、流動層の量を一定量以下に保ち燃焼を安定的に進行させることができ、焼却炉内における焼結を抑制することができる。また、この場合、脱水汚泥は燃焼されてその灰分は外部に排出され、流動媒体は磨滅して、流動層焼却炉内の流動層の量は減少するため、定期的に適切な量の流動媒体を流動層焼却炉内へ追加投入することができる。
前記工程(c)において、前記流動層の前記一定位置における前記圧力は、前記空気投入口における前記圧縮空気の圧力であってもよい。圧縮空気の圧力を測定することにより、より確実に、一定位置における圧力を測定することができる。
前記工程(b)において、前記焼結抑制剤は前記下水汚泥に添加され、前記焼結抑制剤は粉末であり、前記粉末の粒子径は50〜100μmであってもよい。この場合、焼結抑制剤は、脱水機に投入される前の下水汚泥に添加される。焼結抑制剤の粉末の粒子径は生汚泥、余剰汚泥、混合汚泥等の下水汚泥に含まれる砂の粒子径と同程度であるため、焼結抑制剤の粉末が生汚泥、余剰汚泥、混合汚泥において沈降することが抑制され、焼結抑制剤の粉末は速やかに拡散される。
前記工程(b)において、前記焼結抑制剤は前記脱水汚泥に添加され、前記焼結抑制剤は粉末であり、前記粉末の粒子径は400〜800μmであってもよい。この場合、焼結抑制剤は、脱水機に投入された後の脱水汚泥に添加される。焼結抑制剤の粉末の粒子径が上記範囲内である場合、脱水汚泥に添加された焼結抑制剤の粉末は飛散せずに流動焼却炉の流動層に滞留し、焼結抑制剤の焼結抑制効果が向上する。また、この場合、焼結抑制剤の粉末の粒子径は、焼却炉内の流動層内の砂(流動媒体)の粒子径と同程度であるため、焼結抑制剤は、流動焼却炉の底に沈降することなく、流動層内に均一に分散する。
前記工程(b)において、前記焼結抑制剤は前記流動層焼却炉内に添加され、前記焼結抑制剤は粉末であり、前記粉末の粒子径は400〜800μmであってもよい。この場合、既存の砂ホッパを使用してもよいため、焼結抑制剤を貯留する設備を新たに設置することを省略することができる。また、焼結抑制剤をより確実に流動層へ混合させることができるため、焼結抑制剤の消費量を低減することができる。また、焼結抑制剤の粉末の粒子径が上記範囲内である場合、焼結抑制剤の粉末は飛散せずに流動焼却炉の流動層に滞留し、焼結抑制剤の焼結抑制効果が向上する。また、この場合、焼結抑制剤の粉末の粒子径は、焼却炉内の流動層内の砂(流動媒体)の粒子径と同程度であるため、焼結抑制剤は、流動焼却炉の底に沈降することなく、流動層内に均一に分散する。
前記下水汚泥の焼却処理方法は、前記流動層焼却炉が気泡流動型である場合、さらに、前記脱水汚泥中の各成分のうちのNa、K、Ca、Mg、Al、Feのそれぞれの含有量と、Pの含有量とを、前記脱水汚泥を前記流動層焼却炉に供給する前に分析して、下記の(1)式によってX1の値を求め、そのX1の値が1.0以上となるように調整する工程を有してもよい。
X1=([Na]+[K]+2×[Ca]+2×[Mg]+3×[Al]+3×[Fe])/(3×[P])・・・(1)
この場合、脱水汚泥の焼却灰に含まれるリンが焼結抑制剤と反応し、高融点のリン酸塩に変化して、高温下における焼却灰の溶融、それに伴う焼却灰の粘着性増加を防止して、焼結を抑制することができる。
前記下水汚泥の焼却処理方法は、前記流動層焼却炉が循環流動型である場合、さらに、前記脱水汚泥中の各成分のうちのNa、K、Ca、Mg、Al、Feのそれぞれの含有量と、Pの含有量とを、前記脱水汚泥を前記流動層焼却炉に供給する前に分析して、下記の(1)式によってX1の値を求め、そのX1の値が1.5以上となるように調整する工程を有してもよい。
X1=([Na]+[K]+2×[Ca]+2×[Mg]+3×[Al]+3×[Fe])/(3×[P])・・・(1)
この場合、脱水汚泥の焼却灰に含まれるリンが焼結抑制剤と反応し、高融点のリン酸塩に変化して、高温下における焼却灰の溶融、それに伴う焼却灰の粘着性増加を防止して、焼結を抑制することができる。
前記焼結抑制剤は、Caイオン、Alイオン及びFeイオンからなる群より選択される一種以上を含んでもよい。この場合、前記脱水汚泥の焼却灰に含まれるリンが前記焼結抑制剤と反応し、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、リン酸鉄等の高融点のリン酸塩に変化して、高温下における焼却灰の溶融、それに伴う焼却灰の粘着性増加を防止して、焼結を抑制することができる。
前記下水汚泥の焼却処理方法は、前記焼結抑制剤がCaイオンを含む場合、さらに、前記流動層焼却炉内の前記流動媒体におけるCaOの含有量を分析し、そのCaOの含有量が10〜15%となるように前記焼結抑制剤の投入量をコントロールする工程を有してもよい。この場合、流動層焼却炉内の流動媒体に蓄積された余剰のCaOを考慮して、焼結抑制剤の投入量をコントロールすることにより、焼結抑制剤の投入量を最小限にして、焼結抑制剤の投入量が過剰になることを防止することができる。
本発明に係る下水汚泥の焼却処理設備は、脱水汚泥を焼却処理する流動層焼却炉と、流動媒体に圧縮空気を吹き込む空気投入口と、前記流動層焼却炉の一定位置における圧力を計測するための圧力センサと、焼結抑制剤を前記流動層焼却炉に添加するための焼結抑制剤添加部と、前記焼結抑制剤添加部を制御し前記流動層焼却炉への前記焼結抑制剤の添加量を調整するための添加量調整部と、前記圧力センサにより測定された圧力の経時変化に応じて、前記添加量調整部を制御する制御装置とを有する。
前記の下水汚泥の焼却処理設備によれば、流動層焼却炉において、脱水汚泥と、流動媒体と、焼結抑制剤とを混合しつつ燃焼することができ、圧力センサにより測定された圧力の経時変化に応じて、焼結抑制剤の添加量を調節することにより、焼結を抑制することができる。
前記圧力センサは、前記圧縮空気の圧力を測定してもよい。圧縮空気の圧力を測定することにより、より確実に、一定位置における圧力を測定することができる。
前記流動層焼却炉は、前記流動層焼却炉の上端部から下端部へ向けて前記流動媒体を循環させるための戻り管を有してもよい。この場合、流動媒体が循環することにより、少ない量の流動媒体(例えば、砂)、空気量で安定した燃焼を行うことができる。
本願発明によれば、流動空気圧の測定により、焼結抑制剤添加までのタイムラグを短縮して、焼結抑制剤の投入量を流動空気圧の経時変化に基づいてコントロールすることができる。これにより、焼結抑制剤の投入量を最小限にして、焼結抑制剤の投入量が過剰になることを防止することができる。
従来の一般的な下水処理方法の一例の概要を示すフロー図である。 従来の下水処理方法の具体的な構成を模式的に示すフロー図である。 本発明の下水汚泥の焼却処理方法を組み入れた下水処理方法を実施するプロセスの全体を概略的に示すフロー図である。 本発明の一実施形態に係る下水汚泥の焼却炉の構成を概略的に示す模式図である。 本発明の他の実施形態に係る、下水汚泥の焼却炉の構成を概略的に示す模式図である。 実施例における、分析結果を示すグラフである。 実施例における、焼結抑制剤を添加しない場合の、下水汚泥の焼却炉下部において投入される圧縮空気の圧力を測定した結果である。 実施例における、焼結抑制剤を添加した場合の、下水汚泥の焼却炉下部において投入される圧縮空気の圧力を測定した結果である。 実施例における、焼結抑制剤を添加した場合の、下水汚泥の焼却炉下部において投入される圧縮空気の圧力を測定した結果である。 実施例における、焼結抑制剤を添加した場合の、下水汚泥の焼却炉下部において投入される圧縮空気の圧力を測定した結果である。 実施例における、焼結抑制剤を添加した場合の、下水汚泥の焼却炉下部において投入される圧縮空気の圧力を測定した結果である。 実施例における、焼結抑制剤を添加した場合の、下水汚泥の焼却炉下部において投入される圧縮空気の圧力を測定した結果である。 実施例における、焼結抑制剤を添加した場合の、下水汚泥の焼却炉下部において投入される圧縮空気の圧力を測定した結果である。 実施例における、焼結抑制剤を添加した場合の、下水汚泥の焼却炉下部において投入される圧縮空気の圧力を測定した結果である。 実施例における、焼結抑制剤を添加した場合の、下水汚泥の焼却炉下部において投入される圧縮空気の圧力を測定した結果である。 実施例における、焼結抑制剤を添加した場合の、下水汚泥の焼却炉下部において投入される圧縮空気の圧力を測定した結果である。
以下、本発明に係る下水汚泥の焼却処理方法及び下水汚泥の焼却処理設備について図面を参照しつつ詳細に説明する。
[下水汚泥の焼却処理設備]
図4は、下水汚泥の焼却処理設備の一実施形態を概略的に示す模式図である。本実施形態の下水汚泥の焼却処理設備の焼却炉100は、脱水汚泥を燃焼する焼却炉本体104と、流動媒体を循環させる戻り流路107と、脱水汚泥を投入するケーキ投入機118と、焼結抑制剤を添加する焼結抑制剤ホッパ114と、砂(流動媒体)を投入する砂ホッパ111と、を備え、焼却炉本体104の下部には砂ホッパ111から投入された砂が砂層102を形成している。本実施形態の焼却炉100は、焼却炉本体104が戻り流路107を有していることから、循環流動型焼却炉とも呼ばれる。焼却炉本体104の下部においては、ケーキ投入機118から投入された脱水汚泥と、砂ホッパ111から投入された砂と、焼結抑制剤ホッパ114から投入された焼結抑制剤とが混合される。
図4に例示するように、焼結抑制剤は焼結抑制剤ホッパ114からケーキ投入機118にある脱水汚泥に添加されて、脱水汚泥と焼結抑制剤は焼却炉本体104へ投入される。また、焼結抑制剤は、砂ホッパ111に投入された後、焼却炉本体104に投入されてもよい。砂ホッパ111には、砂と共に焼結抑制剤が投入されてもよい。焼結抑制剤ホッパ114と砂ホッパ111は焼結抑制剤添加部ということもできる。焼結抑制剤は及び脱水汚泥は、それぞれ単独で焼却炉本体104へ投入されてもよく、単独で投入された脱水汚泥及び焼結抑制剤は、焼却炉本体104の下部において砂と共に混合される。
焼却炉本体104の下部には、一次空気投入管(空気投入口)112が接続されており、流動ブロワ116から吐出された圧縮空気は一次空気投入管112から焼却炉本体104の下部に導入されて、脱水汚泥と、流動媒体と、焼結抑制剤とを含む混合物は流動して流動層を形成する。一次空気投入管112は、圧縮空気の圧力を測定する圧力センサ124を備えている。
焼結抑制剤添加部には、焼結抑制剤添加部を制御する添加量調整部が接続されており、添加量調整部には、添加量調整部を制御する制御装置が接続されている。制御装置は、圧力センサにより測定された圧力の経時変化に応じて、添加量調整部を制御し、焼結抑制剤の添加量をコントロールする。[下水汚泥の焼却処理方法]において後述するように、砂層102内の空気圧を測定し、経時変化を求めて、その経時変化に応じて焼結抑制剤の投入量をコントロールすることにより、焼結を抑制することができる。
焼却炉本体104は、焼却炉本体104へ助燃料を投入する助燃料導入管122と、始動用バーナ123とを有している。助燃料導入管122から助燃料は焼却炉本体104へ投入され、脱水汚泥と、砂と、焼結抑制剤とを含む混合物を流動させつつ、脱水汚泥が燃焼される。燃焼した脱水汚泥は、フリーボード101へと上昇し滞留し、更に燃焼が進み、完全に燃焼した脱水汚泥の灰は、焼却灰として出口ダクト106へと導かれて外へ排出される。
戻り流路107は、ホットサイクロン108と、砂戻り管110とを有し、ホットサイクロン108は焼却炉本体104の上部と連通しており、砂戻り管110は焼却炉本体104の下部と連通している。焼却炉本体104の下部にある、脱水汚泥の灰、砂、及び焼結抑制剤は燃焼されて上昇した後、戻り流路107のホットサイクロン108へ流入し、続いて、脱水汚泥の灰は出口ダクト106から排出され、砂及び焼結抑制剤は砂戻り管110を通じて焼却炉本体104の下部へと流入する。このように、焼結抑制剤及び砂が循環することにより、焼結抑制剤及び砂を再利用しつつ、脱水汚泥を燃焼することができる。
図5は、本発明の他の実施形態に係る、焼却炉100であり、焼却炉本体104は戻り流路を有さない。一般に、このような焼却炉は気泡流動型焼却炉と呼ばれる。
図5に例示するように、焼却炉本体104の下部において、脱水汚泥と、焼結抑制剤と、砂とが流動し、燃焼され、燃焼した焼却灰は出口ダクト106より排出され、砂と焼結抑制剤は、焼却炉本体104の内部に留まる。
[下水汚泥の焼却処理方法]
次に、下水汚泥の焼却処理方法について詳細に説明する。一実施形態に係る下水汚泥の焼却処理方法は、流動層焼却炉内の流動媒体に空気投入口より圧縮空気を導入し、前記流動媒体の流動層を形成する工程(a)と、脱水汚泥と焼結抑制剤と前記流動媒体とを前記流動層焼却炉内で流動させつつ前記脱水汚泥を燃焼する工程(b)と、前記流動層の一定位置における圧力を計測し、その経時変化を求める工程(c)と、前記経時変化に応じて前記焼結抑制剤の投入量をコントロールする工程(d)と、を有する。
この下水汚泥の焼却処理方法によれば、流動空気圧の測定により、焼結抑制剤添加までのタイムラグを短縮して、焼結抑制剤の投入量を流動空気圧の経時変化に基づいてコントロールすることができる。これにより、焼結抑制剤の投入量を最小限にして、焼結抑制剤の投入量が過剰になることを防止することができる。
本実施形態において、流動層焼却炉は気泡流動型であってもよいし、循環流動型であってもよい。本実施形態において、流動層焼却炉は下部に流動媒体を収容し、流動層焼却炉内に圧縮空気を導入するための空気投入口を流動層焼却炉の下部に備えている。工程(a)において、空気投入口から導入された圧縮空気は、流動層焼却炉内の流動媒体を流動させて流動層を形成する。本明細書において、流動層とは、脱水汚泥と、焼結抑制剤と、流動媒体がよく混合されて、流動媒体の温度、組成が均一に保たれている状態を指す。
工程(b)において、流動層焼却炉内に、脱水汚泥と、焼結抑制剤とが投入され、空気投入口から導入された圧縮空気により、脱水汚泥と、焼結抑制剤と、流動媒体とが混合されて、流動層が形成される。焼結抑制剤は、流動層焼却炉へ投入される前の脱水汚泥に添加されてもよいし、流動層焼却炉内に投入されてもよい。流動層は圧縮空気により流動されつつ加熱されて燃焼し、脱水汚泥は焼却灰となる。
工程(c)において、流動層の一定位置における圧力を測定して、その経時変化を求める。圧力は、焼却炉内の流動層に導入する圧縮空気の圧力であってもよい。
工程(d)では、圧力の単位時間当たりの変化量が予め定めた値を超えないように焼結抑制剤の投入量をコントロールしてもよい。圧力を上昇させないために、予め定めた値は負の値であることが好ましい。予め定めた値が負の値である場合、燃焼の進行に伴って圧力は減少し、流動層の量を一定量以下に保ち燃焼を安定的に進行させることができ、焼却炉内における焼結を抑制することができる。また、この場合、定期的に適切な量の流動媒体を流動層焼却炉内へ追加投入することができる。
工程(d)において、圧力の経時変化に応じて、焼結抑制剤の投入量をコントロールする。より具体的には、工程(d)において、圧力の単位時間当たりの変化量がゼロ又は負となるように焼結抑制剤の投入量をコントロールしてもよい。この場合、圧力は一定であるか又は減少し、流動層の量を一定量以下に保ち燃焼を安定的に進行させることができ、焼却炉内における焼結を抑制することができる。また、この場合、脱水汚泥は燃焼されてその灰分は外部に排出され、流動媒体は磨滅して、流動層焼却炉内の流動層の量は減少するため、定期的に適切な量の流動媒体を流動層焼却炉内へ追加投入することができる。
工程(d)では、圧力が予め定めた値以下となるように焼結抑制剤の投入量をコントロールしてもよい。この場合、流動層焼却炉に収容される流動層の量が確実に規定量以下となるため、流動層焼却炉の故障等を防止することができ、また、流動層の燃焼を安定的に進行させることができ、焼却炉内における焼結を抑制することができる。
流動層の一定位置における圧力は、空気投入口における圧縮空気の圧力であってもよい。圧縮空気の圧力を測定することにより、より確実に、一定位置における圧力を測定することができる。
焼結抑制剤は流動層焼却炉内へ投入されてもよい。この場合、既存の砂ホッパを使用してもよいため、焼結抑制剤を貯留する設備を新たに設置することを省略することができる。
本実施形態の下水汚泥の焼却処理方法においては、流動層焼却炉に供給される脱水汚泥中のNa、K、Ca、Mg、Feのそれぞれの含有量と、Pの含有量とから下記の(1)式によって求められる評価値X1の値を算出してもよい。流動層焼却炉が気泡流動型である場合、X1の値は1.0以上であることが好ましく、また、流動層焼却炉が循環流動型である場合、X1の値は1.5以上であることが好ましい。
X1=([Na]+[K]+2×[Ca]+2×[Mg]+3×[Al]+3×[Fe])/(3×[P])・・・(1)
この場合、前記脱水汚泥の焼却灰に含まれるリンが前記焼結抑制剤と反応し、高融点のリン酸塩に変化して、高温下における焼却灰の溶融、それに伴う焼却灰の粘着性増加を防止して、焼結を抑制することができる。
あるいは、上記の(1)式による評価値X1に代えて、流動層焼却炉に供給される脱水汚泥中のNa、K、Ca、Mg、Fe、Cu、Zn、Baのそれぞれの含有量と、Pの含有量とから下記の(2)式によって求められる評価値X2の値を算出してもよい。流動層焼却炉が気泡流動型である場合、X2の値は1.0以上であることが好ましく、また、流動層焼却炉が循環流動型である場合、X2の値は1.5以上であることが好ましい。
X2=([Na]+[K]+2×[Ca]+2×[Mg]+3×[Al]+3×[Fe]+2×[Cu]+2×[Zn]+2×[Ba])/(3×[P])・・・(2)
このような脱水汚泥の成分についての評価値X1もしくはX2を調整するため、図3の汚泥脱水工程3から汚泥焼却工程5との間において、脱水汚泥を流動層焼却炉に供給する前にサンプリングしてもよい。また、流動層焼却炉内の流動層の評価値X1もしくはX2を調整するため、流動層内の砂(流動媒体)及び焼却灰をサンプリングしてもよい。また、脱水汚泥中に含まれるNa、K、Ca、Mg、Al、Fe、Pの量、あるいはこれらのほかさらにCu、Zn、Baの量を分析し、その含有量から、適宜の演算装置により上記の(1)式もしくは(2)式によって評価値X1もしくはX2を算出してもよい(分析・評価工程7)。
ここで、(2)式で表わされる数式の分子であるNa、K、Ca、Mg、Al、Fe、Cu、Zn、Baの各成分のうち、Cu、Zn、Baは、その他の成分(Na、K、Ca、Mg、Al、Fe)と比較して、汚泥中に含有される量が少ない成分であり、したがって焼結に及ぼす影響も小さいのが通常である。そこで、評価値X1を規定する(1)式では、Cu、Zn、Baは省き、評価値X2について規定する(2)でCu、Zn、Baをも考慮にいれることとした。
(1)式による評価値X1を用いるか、あるいは(2)式による評価値X2を用いるかは、任意に選択可能であり、例えば汚泥中にCu、Zn、Baがほとんど含まれないと予想される場合には(1)式による評価値X1を用いればよく、逆に汚泥中にCu、Zn、Baがある程度含まれると予想される場合には、(2)式による評価値X2を用いればよい。またそのほか、分析機器による制約や分析時間などを考慮して、いずれかを選択することもできる。なお、汚泥中にCu、Zn、Baが含まれる場合であっても、(1)式による評価値X1の値がa以上であれば、(2)式による評価値X2は必ずa以上の値となる。したがって汚泥中にある程度のCu、Zn、Baが含まれる場合であっても、上述したように(1)式による評価値X1を上記下限値以上に規制することは焼結防止の点から好ましい。
ここで、脱水汚泥、流動層内の砂及び焼却灰のサンプリング及び分析は、一定期間を置いて行えばよい。例えば毎日定時に一回サンプリングして分析したり、また数日おき、1週間おき、あるいは数週間おき、1ヶ月おきなど、適宜の期間を置いてサンプリングして分析すればよいが、下水汚泥の季節的変動等を考慮して、できるだけ短い期間を置いてサンプリングすることが望ましく、汚泥処理施設で処理される生汚泥の処理量、余剰汚泥の混合比が変動する場合は適宜サンプリングすることが好ましい。
なお場合によっては、常時連続的に分析してもよいことはもちろんである。
分析装置の具体的構成は特に限定されず、例えば蛍光X線解析装置、ICP発光分光装置等を用いればよいが、特に蛍光X線解析装置が好ましい。
そして上述のようにサンプリングして分析した各成分量に基づく評価値X1もしくはX2が、上記下限値未満である場合には、塩基物質、例えばCaイオンを含有する化合物、Alイオンを含有する化合物及びFeイオンを含有する化合物から選ばれた1種または2種以上を、汚泥に添加しておいてもよい。この際に添加する塩基物質の添加量は、塩基物質の種類(価数)によって異なるが、流動焼結炉で焼却される脱水汚泥の評価値X1又はX2を上記下限値以上となるような添加量を目標値としてもよい。
添加する塩基物質は、評価値X1又はX2の値を上記下限値以上に調整し得る物質であってもよく、基本的にはその具体的種類は限定されない。効果的に評価値X1及びX2の値を調整するためには、少なくともFeイオン、Alイオン、Caイオンのうちのいずれか1種以上を含有する塩基物質を用いることが好ましい。この場合、脱水汚泥の焼却灰に含まれるリンが焼結抑制剤と反応し、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、リン酸鉄等の高融点のリン酸塩に変化して、高温下における焼却灰の溶融、それに伴う焼却灰の粘着性増加を防止して、焼結を抑制することができる。
Feイオンを含有する塩基物質(鉄塩)としては、ポリ硫酸第二鉄(以下「ポリ鉄」と記す)、硫酸第一鉄、塩化鉄のいずれかを用いることが好ましく、またAlイオンを含有する塩基物質(アルミニウム塩)としては、ポリ塩化アルミニウム(以下「PAC」と記す)、塩化アルミニウムを用いることが好ましい。特に好ましくはポリ鉄やPACである。
このように添加する塩基物質として鉄塩もしくはアルミニウム塩が好ましい理由は、次のとおりである。
すなわちポリ鉄などの鉄塩やPACなどのアルミニウム塩は、それ自体の溶融温度が、アルカリ金属塩類と比較して高いものが多く、したがって840〜900℃の範囲内の温度で溶融するリン化合物を生成しにくいことのほか、安価で大量に入手しやすく、また汚泥に添加した場合に汚泥中にとどまりやすい。
したがって、実操業上は、塩基物質として鉄塩もしくはアルミニウム塩、とりわけPACおよびポリ鉄のいずれか一方または双方を添加することが好ましい。
なお、従来、一般的な下水処理場でも、リン回収効率を高めるために水処理工程の活性汚泥処理段階(後述する反応槽)においてPACを添加することがあり、また消臭のために、汚泥処理工程においてポリ鉄を添加することがある。しかしながら、本発明においてPACやポリ鉄を添加する目的は、リン回収効率の向上や消臭のためではなく、あくまで焼却灰の改質による焼却灰の付着、堆積を防止することにある。そして上述のような従来技術にしたがって、リン回収効率の向上もしくは消臭のためにPACもしくはポリ鉄を添加しながら下水処理を行っている場合において、焼却すべき汚泥の分析による評価値X1もしくはX2が上記下限値未満であった場合には、PAC及び/またはポリ鉄の添加量を増量させるか、あるいは別の箇所で追加的に添加することによって、評価値X1もしくはX2が上記下限値以上となるように調整してもよい。
また、塩基物質としてCaイオンを含有する物質、例えばCa(OH)(水酸化カルシウム:消石灰)やCaCO(炭酸カルシウム)、CaO(酸化カルシウム:生石灰)を添加することも有効である。Caイオンを含む塩基物質は、安価であり、且つ、焼結抑制の効果が高い。
従来、一般的な下水処理場においても、排ガス中に含まれる有害な硫黄(S)分の吸収を目的として、流動層焼却炉内への消石灰、生石灰もしくは石灰石粉末の添加(吹き込み)を、炉内への脱水汚泥の供給と同時に行うことがあったが、この場合でも、焼却すべき汚泥の分析による評価値X1もしくはX2が上記下限値未満であった場合には、消石灰、生石灰もしくは石灰石の添加量を増量させるか、あるいは別の箇所で消石灰、生石灰、石灰石、あるいは炭酸カルシウムを追加的に添加することによって、評価値X1もしくはX2が上記下限値以上となるように調整してもよい。
本実施形態の下水汚泥の焼却処理方法においては、焼結抑制剤(塩基物質)としてCaイオンを含有する物質を添加する場合、流動層焼却炉内の流動媒体におけるCaOの含有量を分析し、そのCaOの含有量が10〜15%となるように焼結抑制剤の投入量をコントロールしてもよい。
実施例において後述するように、Caイオンを含む焼結抑制剤を投入し、その投入量が過剰であった場合、余剰のCaOは流動媒体(砂)に蓄積され、蓄積されたCaOは焼結の抑制に寄与する。そのため、例えば、流動媒体におけるCaOの含有量が15%を超える場合、焼結抑制剤の投入量をコントロールしてもよい。これにより、焼結抑制剤の投入量を最小限にして、焼結抑制剤の投入量が過剰になることを防止することができる。
ここで、流動層焼却炉内の流動媒体におけるCaOの含有量とは、流動媒体のうち水分と有機物を除く無機物に対する割合(質量%)を意味する。
また、上述の評価値X1又はX2を上記下限値以上となるように、焼結抑制剤の投入量をコントロールし、かつ、流動媒体におけるCaOの含有量を分析し、そのCaOの含有量が上記範囲内となるように焼結抑制剤の投入量をコントロールすることにより、焼結を抑制しつつ、焼結抑制剤の投入量を低減することができる。
塩基物質を添加する際の塩基物質の形態は特に限定されるものではなく、水などの分散媒に懸濁させたスラリーや水溶液などの液体状として、あるいは粉末の状態で添加してもよい。但し、流動層焼却炉において炉内へ添加する場合は、粉末の状態で添加することが望ましい。
塩基物質を添加する箇所は、特に限定されるものではなく、要は下水の処理が開始されてから、流動層焼却炉内において脱水汚泥が840℃以上の高温に曝されるまでのいずれかの段階の箇所とすればよい。すなわち水処理工程から汚泥処理工程までの間のいずれかの槽、あるいは汚泥配管途中、または汚泥処理工程から流動層焼却炉に至るまでの脱水汚泥(脱水汚泥ケーキ)の搬送経路、更には流動層焼却炉などの箇所のうち、できるだけ効果的に塩基物質を汚泥中にとどまらせることができる箇所を選定して、1か所もしくは2か所以上で添加すればよい。
上述のようにPのほかNaなどの多数の成分の分析には長時間を要するため、脱水ケーキのサンプルを採取してから、多数の成分の分析を経て、各成分量から評価値を算出し、さらに実際に評価値が上記下限値以上に維持されるように焼結抑制剤の添加量の調整を行うまでには長時間を要する。
脱水汚泥の各含有量が、定期的にサンプリングされた脱水汚泥と同様である場合には、評価値が上記下限値以上となるように必要量の焼結抑制剤を投入することで、焼結を抑制することができる。しかし、脱水汚泥の各成分量が短時間で変化して評価値が低下した場合、焼結抑制剤が一時的に不足して焼結が生じてしまうおそれがある。
発明者らは、流動層の一定位置における圧力を計測し、その圧力の経時変化に応じて焼結抑制剤の投入量をコントロールすることにより、より短時間で脱水汚泥の成分の変化に対応し焼結を抑制することができることを見出した。焼結抑制剤の必要量を短時間で算出ことにより、焼結抑制剤を過剰に投入することなく、焼結抑制剤の投入量を最小限にすることができる。
なお、前述のように一般には、水処理工程においては、例えば最初沈殿池などにおける物理的な沈殿分離処理と、活性汚泥処理とを組み合わせることが多く、その場合、沈殿分離処理によって生じる汚泥(生汚泥)と、活性汚泥処理によって生じる余剰汚泥とを混合して、その混合汚泥を、汚泥処理工程で脱水して脱水汚泥とし、焼却処理に付すことが多い。一方、汚泥中のリン成分は、生汚泥よりも余剰汚泥の方が格段に多いのが通常である。そこで、上述のように混合汚泥を処理する場合、水処理工程における余剰汚泥が生じる箇所、あるいは余剰汚泥が送られる配管や余剰汚泥の処理槽、更にはその余剰汚泥が生汚泥と混合された後の箇所において、塩基物質の添加を行うことが望ましい。具体的な添加箇所については、後に説明する具体的フロー(図3)を参照して説明する。
図3には、本発明の下水汚泥の焼却処理方法を組み込んだ下水処理方法の全体的なフローを、より具体化した例を示す。なお図3において、図2に示した工程、要素と同一の工程、要素については、図2と同一の符号を付し、その詳細は省略する。
図3において、脱水汚泥について、サンプリングして分析し、さらに評価値X1もしくはX2を算出するための分析・評価工程7が付加されている点、及び塩基物質を添加する手段(添加ポイントQ1〜Q9)が設けられている点以外は、図2に示した全体フローと同様である。但し、添加ポイントQ1〜Q9は、塩基物質を添加するために好適な箇所を示しているに過ぎない。すなわち、これらの添加ポイントQ1〜Q9のすべてにおいて塩基物質を添加するというものではなく、後述するように、これらのうちから、1または2以上の添加ポイントを選択して塩基物質を添加すればよい。言い換えれば、設備的には、これらの添加ポイントQ1〜Q9のうちの1又は2以上の箇所に、塩基物質添加装置が設けられていればよい。また、焼結抑制剤の添加ポイントは、Q1〜Q9以外であってもよい。
前記分析・評価工程7は、設備的には、脱水汚泥から分析用試料をサンプリングするサンプリング手段71と、サンプリングされた試料の成分を分析する分析装置72と、その分析装置7によって分析された各成分の量から、前記(1)式による評価値X1もしくはX2を算出する演算装置73を備えている。なお場合によっては、演算装置73によって算出された評価値X1もしくはX2が上記下限値未満であるかを自動的に判定するための判定手段を備えていてもよい。
そして演算装置73により得られた評価値X1もしくはX2に応じて、その評価値X1もしくはX2が上記下限値未満の場合には、添加ポイントQ1〜Q9のいずれか1以上のポイントにおいて、カルシウムイオンを含む塩基物質等を添加してもよい。
また、焼却炉内の流動層内の砂(流動媒体)及び脱水汚泥のサンプリング及び分析結果に基づいて、添加ポイントQ8、Q9においてカルシウムイオンを含む塩基物質等を添加してもよい。
各添加ポイントQ1〜Q9における添加装置としては、添加/非添加の状態(添加流路の開閉)を制御可能とするばかりでなく、添加量を調整可能に構成しておくことが望ましい。
本実施形態に係る下水汚泥の焼却処理方法においては、流動層の一定位置における圧力を計測し、その経時変化を求め、経時変化に応じて焼結抑制剤の投入量をコントロールする。このときに焼結抑制剤を添加するポイントは、各添加ポイントQ1〜Q9のいずれであってもよい。また、脱水汚泥の成分が短時間で変化した場合にも、上述のように圧力の経時変化に応じて焼結抑制剤の投入量をコントロールしてもよく、このときに焼結抑制剤を添加するポイントは、各添加ポイントQ1〜Q9のいずれであってもよい。
各添加ポイントQ1〜Q9について、詳細に説明する。
Q1:添加ポイントQ1は、水処理工程1における最初沈殿池12から図示しない引き抜きポンプによって引き抜かれた汚泥(生汚泥)を、汚泥処理工程3においてさらに重力によって沈殿・濃縮させるための重力濃縮槽31中に塩基物質を添加するポイントである。
Q1において添加した塩基物質は、生汚泥に添加されることになる。
重力濃縮槽31は、撹拌用の羽根を備えていることが好ましい。
Q2:添加ポイントQ2は、汚泥処理工程3における重力濃縮槽31から図示しない引き抜きポンプによって引き抜かれた生汚泥を一旦受けて貯留するための生汚泥受槽32中に塩基物質を添加するポイントである。
Q2において添加した塩基物質は、生汚泥に添加されることになる。
生汚泥受槽32は、撹拌用の羽根を備えていることが好ましい。
Q3:添加ポイントQ3は、水処理工程1における活性汚泥処理のための反応槽13中に塩基物質を添加するポイントである。
反応槽13からの反応後の分解残渣を主体とする排水は、最終沈殿池15に流入し、活性汚泥を主体とする汚泥(余剰汚泥)が、排水から物理的に分離されることになるため、Q3において添加した塩基物質は余剰汚泥に含まれることになる。
反応槽13では、送風機14からの空気によるエアレーション(曝気・混合)が行われることが好ましい。
Q4:添加ポイントQ4は、汚泥処理工程3における最終沈殿池15から図示しない引き抜きポンプによって引き抜かれた余剰汚泥を一旦受けて貯留するための余剰汚泥貯留槽34中に塩基物質を添加するポイントである。
Q4において添加した塩基物質は、余剰汚泥に塩基物質が含まれることになる。
特に添加ポイントQ4において余剰汚泥貯留槽34中に塩基物質を添加することが、他の添加ポイントで添加する場合と比較して、最も効果的であることが確認されている。
余剰汚泥貯留槽34は、沈降防止用の撹拌機や撹拌ポンプなどの撹拌装置が備えていることが好ましい。
Q5:添加ポイントQ5は、汚泥処理工程3において、混合ポイント33からの混合汚泥(生汚泥受槽32から図示しない引き抜きポンプによって引き抜かれた生汚泥と、遠心濃縮機35から引き抜かれた余剰汚泥との混合汚泥)を一旦貯留するための混合汚泥貯留槽36中に塩基物質を添加するポイントである。
したがって添加ポイントQ5における添加によって、混合汚泥に塩基物質が含まれることになる。
添加ポイントQ5における添加は、添加ポイントQ1、Q2における添加よりも効果的である。
混合汚泥貯留槽36は、撹拌機や撹拌ポンプなどの撹拌手段を備えていることが好ましい。
Q6:添加ポイントQ6は、汚泥処理工程3において、混合汚泥貯留槽36から図示しない引き抜きポンプによって引き抜かれた混合汚泥を濃縮、混和するための濃縮混和槽37中に塩基物質を添加するポイントである。
添加ポイントQ6における添加によって、混合汚泥に塩基物質が含まれることになる。
濃縮混和槽37は、混和用の羽根を備えていることが好ましい。
Q7:添加ポイントQ7は、汚泥処理工程3において、脱水機38により脱水された汚泥(脱水汚泥)を、汚泥焼却工程5の流動焼却炉51に向けて送給するための例えば圧送ポンプや搬送コンベヤなどの送給装置39において、脱水汚泥に塩基物質を添加するポイントである。
添加ポイントQ7における添加によって、脱水汚泥に塩基物質が含まれることになる。
Q8:添加ポイントQ8は、供給機55に塩基物質を添加することにより、流動焼却炉51内に脱水汚泥を供給すると同時に、流動焼却炉51内に塩基物質を添加するポイントである。
添加ポイントQ8における添加によって、脱水汚泥に塩基物質が含まれることになる。
供給機55は、塩基物質を脱水汚泥に混合する混錬装置を備えていることが好ましい。
より具体的には、添加ポイントQ8としては、例えば、上述の焼結抑制剤ホッパ114であってもよい。焼結抑制剤ホッパ114に投入された焼結抑制剤(塩基物質)は、ケーキ投入機118にある脱水汚泥に混錬される。
Q9:添加ポイントQ9は、流動焼却炉51内に、直接、塩基物質を投入するポイントである。
添加ポイントQ9における添加によって、焼却炉51内の流動層に塩基物質が含まれることになる。
添加ポイントQ9としては、例えば、上述の砂ホッパ111であってもよい。砂ホッパ111に投入された焼結抑制剤は、焼却炉本体104に投入される。
Q1〜Q6において添加する塩基物質としては、例えば、ポリ鉄等の鉄塩、PAC等のアルミニウム塩、炭酸カルシウム等が挙げられる。炭酸カルシウムは、粉末状であることが好ましい。炭酸カルシウムの粉末の粒子径は50〜100μmであることが好ましい。炭酸カルシウムの粉末の粒子径が上記範囲内である場合、炭酸カルシウムの粉末の粒子径は生汚泥、余剰汚泥、混合汚泥に含まれる砂の粒子径と同程度であるため、炭酸カルシウムの粉末が生汚泥、余剰汚泥、混合汚泥等の下水汚泥において沈降することが抑制され、炭酸カルシウムの粉末は速やかに拡散される。
本明細書において、「粒子径」は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算%が50%となる粒径を意味する。
Q7〜Q9において添加する塩基物質としては、例えば、炭酸カルシウム等が挙げられる。炭酸カルシウムは、粉末状であることが好ましい。炭酸カルシウムの粉末の粒子径は400〜800μmであることが好ましい。炭酸カルシウムの粉末の粒子径が上記範囲内である場合、炭酸カルシウムの粉末は飛散せずに流動焼却炉51の流動層に滞留し、炭酸カルシウムの焼結抑制効果が向上する。
なお、添加ポイントQ1、Q2においては、従来、消臭のためにポリ鉄を添加する場合がある。また、添加ポイントQ3においては、従来、リン回収率を向上させるためにPACを添加する場合がある。これらの場合においても、脱水汚泥の評価値X1もしくはX2が上記下限値未満であれば、塩基物質を更に添加してもよい。
例えば、脱水汚泥の成分が短時間で変化して評価値が低下した場合、焼結抑制剤が一時的に不足して焼結が生じてしまうおそれがある。焼却炉内の流動層の一定位置における圧力の経時変化に応じて焼結抑制剤の投入量をコントロールすることにより、より短時間で脱水汚泥の成分の変化に対応し焼結を抑制することができる。消臭のためにポリ鉄を添加する場合、リン回収率を向上させるためにPACを添加する場合においても、焼却炉内の流動層の一定位置における圧力の経時変化に応じて、塩基物質を更に添加してもよい。
また、流動層焼却炉内の流動媒体(砂)におけるCaOの含有量を分析し、そのCaOの含有量が10〜15%となるように焼結抑制剤の投入量をコントロールしてもよい。例えば、流動媒体におけるCaOの含有量が15%を超える場合、焼結抑制剤の投入量をコントロールしてもよい。これにより、焼結抑制剤の投入量を最小限にして、焼結抑制剤の投入量が過剰になることを防止することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実験例1]
生汚泥と余剰汚泥とを混合して脱水した脱水汚泥を、図4に示すような焼却炉を有する焼却設備によって焼却処理した。焼却処理の過程で焼結抑制剤として炭酸カルシウムを焼却炉内に添加した。また、各ポイントにおいて、脱水汚泥、焼却炉内の流動砂をサンプリングして分析した。また、焼却炉の排ガス経路における焼結の有無を調べた。
脱水汚泥は、焼却設備の定期修繕以外においては、1.3t/hrの割合で焼却炉へ投入した。
また、次に示す量の炭酸カルシウムを焼却炉内に添加した。炭酸カルシウムとしては、常陸砕石株式会社の砂状炭酸カルシウム(KS−30)を用いた。この炭酸カルシウムは粉末であり、粉末の粒子径は約500μmであった。
2016年12月20日以前は、炭酸カルシウムを添加せずに、脱水汚泥のみを投入した。
2017年6月1日〜2018年10月30日までの間、炭酸カルシウムを10kg/hrの割合で添加した。
2018年10月31日において、炭酸カルシウムを添加しなかった。
2018年11月1日〜2018年12月11日の間は、焼却設備の定期修繕のため、設備の運転を停止した。
2018年12月13日から、焼却設備の運転を再開し、脱水汚泥の投入を再開した。
2018年12月14日から、炭酸カルシウムを10kg/hrの割合で添加した。
2019年5月16日から、炭酸カルシウムの添加量を8kg/hrの割合に変更した。
2019年8月1日から、炭酸カルシウムの添加量を6kg/hrの割合に変更した。
各ポイントの日時は、表1に示す通りである。
各ポイントにおいて、投入された脱水汚泥をサンプリングして、含水率、VTS(Volatile Total Solids、強熱減量物)、P、CaO、Feの含有量を測定した。ここで、脱水汚泥におけるVTSの含有量とは、脱水汚泥の水分を除いたものに対する、強熱減量物の割合(質量%)を意味する。また、脱水汚泥におけるP、CaO、Feの含有量とは、脱水汚泥のうち水分と有機物を除く無機物に対する、P、CaO、Feの割合(質量%)を意味する。
また、各ポイントにおいて、焼却炉内の流動砂について、P、CaO、Feの含有量を測定した。ここで、流動砂におけるP、CaO、Feの含有量とは、流動砂のうち水分と有機物を除く無機物に対する、P、CaO、Feの割合(質量%)を意味する。
また、各ポイントにおいて、炭酸カルシウムを添加する前の脱水汚泥を分析して、評価値X1(CaCO添加前)を算出した。CaCO添加前の評価値X1と、添加した炭酸カルシウムを考慮して、評価値X1(CaCO添加後)を算出した。
以上の結果を、表1と図6に示す。ポイント1において焼結の発生が確認されたが、ポイント2〜13においては焼結の発生は確認されなかった。
Figure 0006929406
図6中、10個の矢印により示す時刻において、焼却炉の下部にある空気投入口から投入される圧縮空気の圧力の状態を表示した。圧縮空気の圧力は、焼却炉の底部の流動層内の圧力に相当する。
次に、各期間における流動層内の圧力変化について説明する。
ポイント1:
ポイント1において、脱水汚泥のリン濃度(P)は31.6%であり、評価値は1.46であった。ポイント1以前には、CaCOを添加しなかった。この時の流動層内の圧力変化を図7に示す。
焼結が発生した時期においては、流動層内の砂に灰が付着して、流動層内の圧力は徐々に上昇することが明らかになった。なお、図7中の矢印が示す時期において、焼却炉から流動砂の一部を除去したため、その直後は一過的に圧力が低下している。
ポイント2〜3:
ポイント1において焼結が発生したため、炭酸カルシウムを10kg/hで添加した。これにより、砂中のCaOは上昇し、ポイント3において35.9%という高い数値を示した。そこで、ポイント3(2018年10月31日)において、炭酸カルシウムの添加を停止したところ、ポイント3におけるCaCO添加前の評価値は1.27であったが、焼結は発生しなかった。この結果から、余剰のCaOが流動砂中に蓄積されて焼結抑制に寄与することが確認された。
ポイント4〜7:
ポイント4において、脱水汚泥中のリン濃度(P)は42.3%と高い状態であったため、炭酸カルシウムを10kg/hで添加した。ポイント4〜7において、脱水汚泥中リン濃度(P)が低下し、砂中のCaOが11.8〜15.1%に上昇した。ポイント4〜7におけるCaCO添加後の評価値は1.65〜2.06であった。
ポイント4〜7において、焼結は発生しなかった。
ポイント4〜7における、流動層内の圧力を図8〜11に示す。炭酸カルシウムの添加量が過剰である場合、流動層内の圧力は低下することが明らかになった。
ポイント8〜10:
ポイント4〜7におけるCaCO添加後の評価値が高い水準であったため、炭酸カルシウムの添加量を8kg/hに減少させた。ポイント8〜10において、脱水汚泥中のリン濃度(P)は徐々に低下し、砂中のCaOが11.4〜17.2%に上昇し、CaCO添加後の評価値は1.73〜1.88であった。
ポイント8〜10において、焼結は発生しなかった。
ポイント8〜10における、流動層内の圧力を図12、13に示す。炭酸カルシウムの添加量が過剰である場合、流動層内の圧力は低下することが明らかになった。
ポイント11〜13:
ポイント8〜10において、脱水汚泥中のリン濃度(P)は低い値で推移したため、炭酸カルシウムの添加量を6kg/hに減少させた。ポイント11〜13における砂中のCaOは12.7〜14.4%であり、CaCO添加後の評価値は1.63〜1.80であった。
ポイント11〜13において、焼結は発生しなかった。
ポイント11〜13における、流動層内の圧力を図14〜16に示す。流動層内の圧力はほぼ一定であることが明らかになった。
上述の通り、焼結が発生しなかった時期において、流動層内の圧力はほぼ一定であるか、徐々に低下することが明らかになった。なお、図8〜16中、矢印が示す時期において、焼却炉に流動砂を補給、又は、流動砂を一部除去したため、その直後は、一過的に圧力が上昇又は下降している。
以上の結果から、焼結が発生する場合、流動層内の圧力は上昇することが明らかになった。また、焼結が発生していない場合、流動層内の圧力はほぼ一定であるか、徐々に低下することが明らかになった。すなわち、焼結が発生していない場合、流動層内の圧力の単位時間あたりの変化量がゼロ又は負となることが明らかになった。
すなわち、流動層内の圧力をモニタリングし、その圧力がほぼ一定であるか、流動層内の圧力の単位時間あたりの変化量がゼロ又は負となるように焼結抑制剤の添加量を調節することにより、ほぼリアルタイムに焼結の発生を防止することができることが明らかになった。
焼却炉内の流動層内の砂(流動媒体)及び脱水汚泥のサンプリング及び分析結果と、流動層内の圧力とを比較参照することにより、より確実に焼結を抑制できることが明らかになった。
本願発明によれば、流動空気圧の測定により、焼結抑制剤添加までのタイムラグを短縮して、焼結抑制剤の投入量を流動空気圧の経時変化に基づいてコントロールすることができる。これにより、焼結抑制剤の投入量を最小限にして、焼結抑制剤の投入量が過剰になることを防止することができる。
1…水処理工程、3…汚泥処理工程、5…汚泥焼却工程、7…分析・評価工程、12…最初沈殿池、13…反応槽、15…最終沈殿池、38…脱水機、51…流動焼却炉、72…分析装置、73…演算装置、Q1〜Q9…塩基物質の添加ポイント(塩基物質添加装置)、100…焼却炉、101…フリーボード、102…砂層、104…焼却炉本体、106…出口ダクト、107…戻り流路、108…ホットサイクロン、110…砂戻り管、111…砂ホッパ、112…一次空気投入管、114…炭酸カルシウムホッパー、116…流動ブロワ、118…ケーキ投入機、120…砂抜出口、122…助燃料導入管、123…始動用バーナ、124…圧力センサ

Claims (14)

  1. 流動層焼却炉における下水汚泥の焼却処理方法であって、
    前記流動層焼却炉内の流動媒体に空気投入口より圧縮空気を導入し、前記流動媒体の流動層を形成する工程(a)と、
    脱水汚泥と焼結抑制剤と前記流動媒体とを前記流動層焼却炉内で流動させつつ前記脱水汚泥を燃焼する工程(b)と、
    前記流動層焼却炉の焼却炉本体の下部に形成された前記流動層の圧力を計測し、その経時変化を求める工程(c)と、
    前記経時変化に応じて前記焼結抑制剤の投入量をコントロールする工程(d)とを有する、下水汚泥の焼却処理方法。
  2. 前記工程(d)において、前記圧力の単位時間当たりの変化量が予め定めた値を超えないように前記焼結抑制剤の投入量をコントロールする、請求項1に記載の下水汚泥の焼却処理方法。
  3. 前記工程(d)において、前記圧力の単位時間当たりの変化量がゼロ又は負となるように前記焼結抑制剤の投入量をコントロールする、請求項1に記載の下水汚泥の焼却処理方法。
  4. 前記工程(c)において、前記圧力は、前記空気投入口における前記圧縮空気の圧力である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の下水汚泥の焼却処理方法。
  5. 前記工程(b)において、
    前記焼結抑制剤は前記下水汚泥に添加され、
    前記焼結抑制剤は粉末であり、
    前記粉末の粒子径は50〜100μmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の下水汚泥の焼却処理方法。
  6. 前記工程(b)において、
    前記焼結抑制剤は前記脱水汚泥に添加され、
    前記焼結抑制剤は粉末であり、
    前記粉末の粒子径は400〜800μmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の下水汚泥の焼却処理方法。
  7. 前記工程(b)において、
    前記焼結抑制剤は流動層焼却炉内に投入され、
    前記焼結抑制剤は粉末であり、
    前記粉末の粒子径は400〜800μmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の下水汚泥の焼却処理方法。
  8. 前記流動層焼却炉が気泡流動型である場合、さらに、前記脱水汚泥中の各成分のうちのNa、K、Ca、Mg、Al、Feのそれぞれの含有量と、Pの含有量とを、前記脱水汚泥を前記流動層焼却炉に供給する前に分析して、下記の(1)式によってX1の値を求め、そのX1の値が1.0以上となるように調整する工程を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の下水汚泥の焼却処理方法。
    X1=([Na]+[K]+2×[Ca]+2×[Mg]+3×[Al]+3×[Fe])/(3×[P])・・・(1)
  9. 前記流動層焼却炉が循環流動型である場合、さらに、前記脱水汚泥中の各成分のうちのNa、K、Ca、Mg、Al、Feのそれぞれの含有量と、Pの含有量とを、前記脱水汚泥を前記流動層焼却炉に供給する前に分析して、下記の(1)式によってX1の値を求め、そのX1の値が1.5以上となるように調整する工程を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の下水汚泥の焼却処理方法。
    X1=([Na]+[K]+2×[Ca]+2×[Mg]+3×[Al]+3×[Fe])/(3×[P])・・・(1)
  10. 前記焼結抑制剤は、Caイオン、Alイオン及びFeイオンからなる群より選択される一種以上を含むものである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の下水汚泥の焼却処理方法。
  11. 前記焼結抑制剤がCaイオンを含む場合、さらに、前記流動層焼却炉内の前記流動媒体におけるCaOの含有量を分析し、前記CaOの含有量が10〜15%となるように前記焼結抑制剤の投入量をコントロールする工程を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の下水汚泥の焼却処理方法。
  12. 脱水汚泥を焼却処理する流動層焼却炉と、
    流動媒体に圧縮空気を吹き込む空気投入口と、
    前記流動層焼却炉の焼却炉本体の下部に形成された流動層の圧力を計測するための圧力センサと、
    焼結抑制剤を前記流動層焼却炉に添加するための焼結抑制剤添加部と、
    前記焼結抑制剤添加部を制御し前記流動層焼却炉への前記焼結抑制剤の添加量を調整するための添加量調整部と、
    前記圧力センサにより測定された圧力の経時変化に応じて、前記添加量調整部を制御する制御装置とを有する、下水汚泥の焼却処理設備。
  13. 前記圧力センサは、前記圧縮空気の圧力を測定する、請求項12に記載の下水汚泥の焼却処理設備。
  14. 前記流動層焼却炉は、前記流動層焼却炉の上端部から下端部へ向けて前記流動媒体を循環させるための戻り管を有する、請求項12又は13に記載の下水汚泥の焼却処理設備。
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