JP6928930B2 - 目的物質検出チップ、目的物質検出装置及び目的物質検出方法 - Google Patents

目的物質検出チップ、目的物質検出装置及び目的物質検出方法 Download PDF

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本発明は、光の全反射に伴って生成される増強電場を利用して、液体中に存在する目的物質を光学的に検出可能な目的物質検出チップ、目的物質検出装置及び目的物質検出方法に関する。
近年、溶液中に存在する微小物質、特にDNA、RNA、タンパク質、ウイルス、細菌等の生体関連物質を検出・定量する方法が開発されている。このような方法としては、例えば、表面プラズモン共鳴を利用する方法、導波モード(光導波モード、導波路モード、光導波路モードなどとも呼ばれる)の励起を利用する方法が知られている。
前記表面プラズモン共鳴を利用する方法としては、例えば、表面プラズモン共鳴励起増強蛍光分光法が知られている。
この方法は、クレッチマン配置と呼ばれる光学配置を用いて、プリズムに接したガラス表面の金薄膜層と液体試料との界面での入射光の全反射によって、前記金薄膜上に表面プラズモン共鳴を励起し、前記金薄膜表面に増強電場を形成することを特徴とする。前記表面プラズモン共鳴によって前記金薄膜表面近傍において増強された光を励起光として、前記増強電場内に存在する蛍光分子を励起し、強い蛍光を生じさせ、バックグラウンド光が少ない蛍光観察を行う技術である(特許文献1参照)。
また、前記導波モードの励起を利用する方法は、シリカガラス基板上にシリコン層(半導体層)とSiO層とをこの順で積層した検出チップを、シリカガラス製の台形プリズム上に設置して、前記検出チップで全反射される条件で前記台形プリズム側から光を照射し、増強電場を得ることを特徴とする(非特許文献1参照)。この方法では、前記検出チップに対して裏面側(前記シリカガラス基板側)から前記全反射条件を満たしつつ特定の入射角で前記光を照射すると、特定波長の光が前記検出チップ内を伝搬する前記導波モードと結合し、前記導波モードが励起される。前記導波モードが励起されると、前記検出チップ表面近傍に前記増強電場が発生する。これにより、前記増強電場内に存在する蛍光分子が励起され、バックグラウンド光が少ない蛍光観察を行うことができる(非特許文献2参照)。なお、前記半導体層としては、金属層で形成することもでき、前記半導体層を前記金属層で構成する検出チップにおいて励起される前記導波モードは、リーキーモード、漏洩モードなど呼ばれることがある(非特許文献3参照)。
ところで、前記表面プラズモン共鳴を利用する方法について、目的物質と結合する磁性粒子を用い、磁場の印加により前記目的物質と前記磁性粒子との結合体を前記検出チップ表面の局所領域に引き寄せ、この局所領域に前記励起光を照射して、前記目的物質の検出を行う方法が提案されている。この方法では、前記磁場の印加によって前記検出チップ表面に対する前記目的物質の吸着又は近接が促され、短時間での測定が可能となる(特許文献2参照)。
この前記磁性粒子を用いる場合の光学装置を図面を参照しつつ、説明する。図1は、光学装置の概要を説明するための断面図である。
図1に示すように、光学装置100は、光学プリズム101上に、ガラス基体102及び金属膜103で構成される検出チップ104が配されて構成される。ガラス基体102は、函状とされ、金属膜103が配される内部側に液体試料が導入される。また、光照射部105と、磁場印加部としての磁石106とを備える。
光学装置100では、検出チップ104の裏面側(光学プリズム101と接する面側)に対し、全反射条件で光照射部105から光を照射し、金属膜103における光照射領域を前記局所領域として、前記局所領域上に増強電場を発生させ、前記液体試料中に含まれる前記目的物質からの蛍光を検出する。
この際、前記目的物質は、前記磁性粒子との結合体とされるため、磁石106からの磁場の印加によって前記局所領域に引き寄せられ、短時間で検出可能とされる。
しかしながら、光学装置100では、光学プリズム101が存在するため、前記局所領域となる金属膜103と磁石106との間の距離を十分に近づけることができず、磁石106により印加される磁場の強さが減衰してしまい、十分に前記目的物質を前記局所領域に引き寄せることができない問題を有する。
また、この問題を解決するために強い磁場を印加させようとすると、装置が大掛かりになるとともに製造コストが嵩む問題を発生させる。
また、前記磁性粒子を用いた前記蛍光検出方法として、磁場印加部(例えば、磁石)による磁場の印加前後の様子を比較観察することで、前記磁場印加前における光信号のうち、ノイズ信号を排除した検出を行う方法が提案されている。この方法によれば、前記磁性粒子と結合した前記目的物質が前記磁場の印加により移動するのに対し、前記検出チップ表面のキズ等に生ずるノイズは、前記磁場の印加により移動しないことから、移動する光信号に着目した検出を行うことで、前記ノイズ信号を排除することができる(非特許文献4,5参照)。なお、前記目的物質が蛍光等の光を発しない物質である場合には、前記目的物質を標識化する蛍光物質等を結合させて、その発光を検出する。
この磁場の印加前後の様子を比較観察する方法においても、光学装置100と同様、光学プリズムが用いられるため、前記磁場の強さの減衰によって前記目的物質を移動させにくく、また、前記磁場の強さを高めようとすると、装置が大掛かりになるとともに製造コストが嵩むこととなる。
前記光学プリズムによる大型化を避けるため、前記光学プリズムを用いず、前記検出チップの前記液体試料を導入するV字状等の溝に電場増強層を形成することで前記検出チップ自身に前記光学プリズムの役割を付与する方法も提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、この方法においても、前記磁性粒子を用いた前記蛍光検出方法を行う場合には、検出面をなす前記検出チップの前記溝が形成される面(表面)と対向する面(裏面)側から前記溝に対して光を照射するように前記光照射部が配されるため、前記検出チップの裏面側に配される前記磁石等と配置上競合することとなる。
この点、前記検出チップの裏面側において、前記光照射部から照射される光の光路から外れた位置に前記磁石等を配すると、その分、前記液体試料が導入される前記検出チップの表面側と前記磁石等との間の距離が長くなる。例えば、図2に示すように、検出チップ204裏面側において、光照射部205から照射される光の光路から外れた位置に磁石206a,bを配することとすると、検出チップ204の金属膜203が形成される表面側と磁石206a,bとの間の距離が長くなる。なお、図2は、前記検出チップの表面側と前記磁石等との間の距離が長くなる様子を示す説明図である。
したがって、前記磁場の強さが減衰して前記目的物質の引き寄せや移動をさせにくくなる。また、この問題を前記磁場の強さを高めて解決しようとすると、結局のところ、装置が大掛かりになるとともに製造コストが嵩むこととなる。
国際公開2015/194663号公報 特許第5301894号公報 特許第5920692号公報
M. Fujimaki et al. Optics Express, Vol. 23 (2015) pp.10925-10937 K. Nomura et al. J. Appl. Phys. Vol. 113, (2013) pp.143103-1-143103-6 R. P. Podgorsek, H. Franke, J. Woods, and S .Morrill, Sensor. Actuat. B51 pp.146-151 (1998年) 安浦 雅人、藤巻 真「微量検出のための導波モードイメージセンサの開発」電気学会研究会資料 センサ・マイクロマシン部門総合研究会(2016年6月29日,30日)、pp.45〜52、一般社団法人電気学会(2016年) M. Yasuura and M. Fujimaki, Sci. Rep. Vol. 6, pp. 39241-1-39241-7 (2016)
本発明は、従来技術における前記諸問題を解決し、磁性粒子を用いた目的物質の検出に用いることができ、目的物質検出装置を小型でかつ低コストに製造可能な目的物質検出チップ、目的物質検出装置及び目的物質検出方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 裏面に対し全反射条件で光を照射したときに表面側に増強電場が形成される電場増強層と、前記電場増強層を前記裏面側から支持可能とされる支持面と、厚み方向に対し前記支持面が形成される面を上面として前記上面から底面側に向かうにつれて前記支持面から離れる方向に傾斜する上向き傾斜面及び前記厚み方向に対し前記底面から前記上面側に向かうにつれて前記支持面から離れる方向に傾斜する下向き傾斜面のいずれかの傾斜面と、前記光を受光して内部に導光可能とされる本体部とを有する全体略板状の光透過性部材とを備え、前記光透過性部材が前記上面側から照射され前記上向き傾斜面を通過させた前記光を前記本体部を介して前記裏面に対し全反射条件で入射させる第1の光入射構造及び前記上面側から照射され前記下向き傾斜面で反射された前記光を前記本体部を介して前記裏面に対し全反射条件で入射させる第2の光入射構造のいずれかの光入射構造を有するし、かつ、前記光透過性部材が前記上面に形成されるとともにV字における一辺を断面形状とする前記上向き傾斜面を有する上面側切欠き部及び前記底面に形成されるとともにV字における一辺を断面形状とする前記下向き傾斜面を有する底面側切欠き部の少なくともいずれかの切欠き部を有することを特徴とする目的物質検出チップ
> 切欠き部に本体部よりも屈折率の低い低屈折材料が埋設される前記<>に記載の目的物質検出チップ
> 光入射構造が、第1の光入射構造における上向き傾斜面を通過させた光及び第2の光入射構造における下向き傾斜面で反射された光の少なくともいずれかを底面で反射させた後に裏面に対し全反射条件で入射可能とされる前記<1>から<>のいずれかに記載の目的物質検出チップ。
> 傾斜面における光入射位置と電場増強層における光照射位置との間の最短距離が、1.0mm〜50.0mmとされる前記<1>から<>のいずれかに記載の目的物質検出チップ。
> 光透過性部材の厚みが0.1mm〜10.0mmとされる前記<1>から<>のいずれかに記載の目的物質検出チップ。
> 光透過性部材の上面に少なくとも一部を支持面とする液体試料貯留溝が形成される前記<1>から<>のいずれかに記載の目的物質検出チップ。
> 液体試料貯留溝が支持面として光透過性部材の厚み方向に対し上面から底面側に向かうにつれて傾斜面から離れる方向に傾斜する傾斜支持面を有する前記<>に記載の目的物質検出チップ。
> 光透過性部材の上面の一部が支持面とされるとともに前記支持面を底とする函状体を形成するように前記支持面の周囲に側壁部が立設される前記<1>から<>のいずれかに記載の目的物質検出チップ。
裏面に対し全反射条件で光を照射したときに表面側に増強電場が形成される電場増強層と、前記電場増強層を前記裏面側から支持可能とされる支持面と、厚み方向に対し前記支持面が形成される面を上面として前記上面から底面側に向かうにつれて前記支持面から離れる方向に傾斜する上向き傾斜面及び前記厚み方向に対し前記底面から前記上面側に向かうにつれて前記支持面から離れる方向に傾斜する下向き傾斜面のいずれかの傾斜面と、前記光を受光して内部に導光可能とされる本体部とを有する全体略板状の光透過性部材とを備え、前記光透過性部材が前記上面側から照射され前記上向き傾斜面を通過させた前記光を前記本体部を介して前記裏面に対し全反射条件で入射させる第1の光入射構造及び前記上面側から照射され前記下向き傾斜面で反射された前記光を前記本体部を介して前記裏面に対し全反射条件で入射させる第2の光入射構造のいずれかの光入射構造を有する目的物質検出チップと、前記光透過性部材の前記上面側に配され、前記光入射構造を介して前記電場増強層の前記裏面に前記全反射条件で前記光を照射可能とされる光照射部と、前記光透過性部材の前記底面側に配される磁場印加部と、前記電場増強層の前記表面上に配され、前記電場増強層の前記表面近傍の領域を検出領域とし、前記光の照射に伴い目的物質と磁性粒子とを含む結合体から発せられる光信号を検出可能とされる光検出部と、を備え、前記磁場印加部が磁場を印加した状態で前記電場増強層表面の面内方向と平行な方向のベクトル成分を持つ方向に移動可能とされ、前記光検出部が前記磁場印加部の移動前後の前記光信号を検出するとともに、検出された前記光信号のうち前記磁場印加部の移動に追従する前記光信号のみを前記結合体に基づく前記光信号として検出可能とされることを特徴とする目的物質検出装置。
10裏面に対し全反射条件で光を照射したときに表面側に増強電場が形成される電場増強層と、前記電場増強層を前記裏面側から支持可能とされる支持面と、厚み方向に対し前記支持面が形成される面を上面として前記上面から底面側に向かうにつれて前記支持面から離れる方向に傾斜する上向き傾斜面及び前記厚み方向に対し前記底面から前記上面側に向かうにつれて前記支持面から離れる方向に傾斜する下向き傾斜面のいずれかの傾斜面と、前記光を受光して内部に導光可能とされる本体部とを有する全体略板状の光透過性部材とを備え、前記光透過性部材が前記上面側から照射され前記上向き傾斜面を通過させた前記光を前記本体部を介して前記裏面に対し全反射条件で入射させる第1の光入射構造及び前記上面側から照射され前記下向き傾斜面で反射された前記光を前記本体部を介して前記裏面に対し全反射条件で入射させる第2の光入射構造のいずれかの光入射構造を有する目的物質検出チップに対し、前記光透過性部材の前記上面側から前記光入射構造を介して前記電場増強層の前記裏面に前記全反射条件で前記光を照射する光照射工程と、前記光透過性部材の前記底面側に配される磁場印加部から磁場を印加する磁場印加工程と、前記光の照射に伴い前記増強電場内の目的物質と磁性粒子とを含む結合体から発せられる光信号を検出する光検出工程と、を含み、前記磁場印加工程が前記磁場を印加した状態で前記磁場印加部を前記電場増強層表面の面内方向と平行な方向のベクトル成分を持つ方向に移動させる工程であり、前記光検出工程が前記磁場印加部の移動前後の前記光信号を検出するとともに、検出された前記光信号のうち前記磁場印加部の移動に追従する前記光信号のみを前記結合体に基づく前記光信号として検出することを特徴とする目的物質検出方法。
本発明によれば、従来技術における前記諸問題を解決することができ、磁性粒子を用いた目的物質の検出に用いることができ、目的物質検出装置を小型でかつ低コストに製造可能な目的物質検出チップ、目的物質検出装置及び目的物質検出方法を提供することができる。
光学装置の概要を説明するための断面図である。 検出チップの表面側と磁石等との間の距離が長くなる様子を示す説明図である。 第1実施形態に係る目的物質検出チップの概要を説明する説明図である。 第2実施形態に係る目的物質検出チップの概要を説明する説明図である。 光の入射角度の一例を示す説明図(1)である。 光の入射角度の一例を示す説明図(2)である。 光の入射角度の一例を示す説明図(3)である。 第3実施形態に係る目的物質検出チップの概要を説明する説明図である。 第4実施形態に係る目的物質検出チップの概要を説明する説明図である。 第5実施形態に係る目的物質検出チップの概要を説明する説明図である。 変形例を示す説明図(1)である。 変形例を示す説明図(2)である。 第6実施形態に係る目的物質検出チップの概要を説明する説明図である。
(目的物質検出チップ)
本発明の目的物質検出チップは、電場増強層と、光透過性部材とを備える。
<電場増強層>
前記電場増強層は、裏面に対し全反射条件で光を照射したときに表面側に増強電場が形成される層である。
前記電場増強層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の表面プラズモン励起層及び導波モード励起層を適用することができる。
前記表面プラズモン励起層としては、例えば、金、銀、プラチナ及びアルミニウムの少なくともいずれかを含む金属層が挙げられる。
前記金属層では、前記裏面側から照射される前記光によって前記表面に表面プラズモン共鳴が励起され、前記表面近傍に前記増強電場が得られる。
前記金属層の厚みとしては、構成材料及び照射する光の波長によって最適値が決定されるが、この値は、フレネルの式を用いた計算から算出可能であることが知られている。一般に、近紫外から近赤外域で前記表面プラズモン共鳴を励起させる場合、前記金属層の厚みは、数nm〜数十nmとなる。
前記金属層の形成方法としては、特に制限はなく、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、PVD法、スピンコート法等の公知の形成方法が挙げられるが、前記光透過性部材の形成材料がプラスチック材料やガラス材料である場合、前記金属層を直接、前記光透過性部材上に形成すると、密着性が低くなり、簡単にはがれてしまうことがある。
そのため、密着性を向上させる観点から、前記光透過性部材の面上にニッケルやクロムを形成材料とする接着層を形成し、この接着層上に前記金属層を形成することが好ましい。
目的物質又は前記目的物質を標識化する蛍光物質等からの光を検出する場合、前記目的物質及び前記蛍光物質等が前記金属層に近接すると、前記目的物質及び前記蛍光物質等が励起光から得たエネルギーが前記金属層に移行し、発光効率が低下するクエンチングと呼ばれる現象が生ずる場合がある。
この場合、前記目的物質及び前記蛍光物質等を前記金属層の表面から離間させる目的で、前記金属層の表面上に被覆層を形成すると、前記クエンチングが抑制され、発光効率の低下を抑制することができる。
前記被覆層としては、特に制限はなく、シリカガラス等のガラス材料、有機高分子材料等で形成される厚みが数nm〜数十nmの透明な層により形成することができる。
前記導波モード励起層としては、特に制限はなく、金属材料又は半導体材料で形成される薄膜層と、光透過性誘電材料で形成される誘電体層との積層体が挙げられる。
前記導波モード励起層では、前記裏面側から照射される前記光によって前記誘電体層内に前記導波モードが励起され、前記表面近傍に前記増強電場が得られる。
なお、前記導波モード励起層では、前記薄膜層が前記裏面側の層を構成し、前記誘電体層が前記表面側の層を構成する。
前記金属材料としては、特に制限はなく、例えば、金、銀、銅、プラチナ、アルミニウム等が挙げられる。
また、前記半導体材料としては、特に制限はなく、例えば、シリコン、ゲルマニウム等の半導体材料又は既知の化合物半導体材料が挙げられるが、中でも、安価で加工が容易なシリコンが好ましい。
前記薄膜層の厚みとしては、前記表面プラズモン励起層と同様で、構成材料及び照射する光の波長によって最適値が決定されるとともに、この値は、フレネルの式を用いた計算から算出可能であることが知られている。一般に、近紫外から近赤外域の波長帯の光を使用する場合、前記薄膜層の厚みは、数nm〜数百nmとなる。
前記光透過性誘電材料としては、特に制限はなく、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、アクリル樹脂等の樹脂材料、酸化チタン等の金属酸化物、窒化アルミニウム等の金属窒化物が挙げられるが、作製が容易で、化学的安定性が高い酸化シリコンが好ましい。
なお、前記薄膜層及び前記誘電体層の形成方法としては、材料に応じて公知の形成方法から適宜選択することができる。
<光透過性部材>
前記光透過性部材は、前記電場増強層を前記裏面側から支持可能とされる支持面と、厚み方向に対し前記支持面が形成される面を上面として前記上面から底面側に向かうにつれて前記支持面から離れる方向に傾斜する上向き傾斜面及び前記厚み方向に対し前記底面から前記上面側に向かうにつれて前記支持面から離れる方向に傾斜する下向き傾斜面のいずれかの傾斜面と、前記光を受光して内部に導光可能とされる本体部とを有する全体略板状の部材である。
また、前記光透過性部材は、前記上面側から照射され前記上向き傾斜面を通過させた前記光を前記本体部を介して前記裏面に対し全反射条件で入射させる第1の光入射構造及び前記上面側から照射され前記下向き傾斜面で反射された前記光を前記本体部を介して前記裏面に対し全反射条件で入射させる第2の光入射構造のいずれかの光入射構造を有するように構成される。
なお、前記光透過性部材において、光学的に作用する面、つまり、光が入射する面や光が反射する面は、光学的に平滑であることが好ましい。
前記光透過性部材は、従来の検出チップにおける光学プリズムの役割を有するとともに、前記目的物質検出チップにおける前記電場増強層が形成される位置の下側に磁場印加部を配設可能とするため、前記光透過性部材の上面側から照射される前記光を前記電場増強層の前記裏面に導光させる役割を有する。
即ち、前記光透過性部材は、上面側から照射される前記光を前記増強電場層の前記裏面に対し全反射条件で入射させる前記光入射構造を有することを特徴とする。
前記光透過性部材の形成材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、射出成型により量産可能なポリスチレン、ポリカーボネート、シクロオレフィン、アクリル等のプラスチック材料、高い透明性を確保できるシリカガラス等のガラス材料が好ましい。前記ポリスチレン、前記シクロオレフィンは、自家蛍光が少なくノイズの低減が可能であり、前記ポリカーボネートは高い屈折率を実現できるため小型化が可能になる。また、前記アクリルは、高い透明性を持つため導光時の光の減衰を抑制することが可能である。
前記光透過性部材の厚みとしては、特に制限はないが、剛性、導光性能、及び、磁気の減衰度合いの観点から、0.1mm〜10.0mmであることが好ましい。前記厚みが0.1mm未満であると、割れ、歪みなどが生じやすく取り扱いが難しくなることがある。また、前記厚みが入射光のビーム径より小さいと入射時に光のロスが生じると共に、ノイズ光が生じるため、前記厚みとしては、前記ビーム径よりも大きいことが好ましい。また、裏面より磁場を印加することから、前記厚みが10.0mmを超えると減衰により好適な磁場を表面上に付与することが難しくなることがある。また、前記厚みが5.0mm以下であれば、磁場の減衰を大きく抑制することができる。
前記光透過性部材としては、前記電場増強層(及び前記支持面)が形成される領域に前記目的物質の存否等が検証される液体試料が導入される。導入される前記液体試料を保持するための構成としては、特に制限はないが、次の構成を適用することが好ましい。
即ち、一つの構成として、前記光透過性部材の上面の一部が前記支持面とされるとともに前記支持面を底とする函状体を形成するように前記支持面の周囲に側壁部が立設される構成が挙げられる。この構成では、前記函状体内に前記液体試料が保持される。なお、前記側壁部としては、例えば、前記光透過性部材と同じ材料及び形成方法で形成することができる。
また、他の一つの構成として、前記光透過性部材の前記上面に少なくとも一部を支持面とする液体試料貯留溝が形成される構成が挙げられる。この構成では、前記液体試料貯留溝内に前記液体試料が保持される。なお、前記液体試料貯留溝としては、前記光透過性部材を構成する板状部材の形成時に成形加工により形成してもよいし、前記板状部材形成後、切削加工により形成してもよい。
前記液体試料貯留溝を形成する場合、前記溝の形状としては、断面視で凹状、V字状、台形状等の任意の形状を適用することができるが、半円形のような平坦な面がない形状であると前記支持面を形成できないため、こうした形状は除かれる。
また、前記液体試料貯留溝としては、特に制限はないが、前記支持面として前記光透過性部材の厚み方向に対し上面から底面側に向かうにつれて前記傾斜面から離れる方向に傾斜する傾斜支持面を有する構成としてもよい。即ち、このような傾斜支持面を前記支持面として有すると、前記本体部内を伝播する前記光を前記支持面上の前記電場増強層に前記全反射条件で照射させるために設定される前記傾斜面に対する前記光の入射角度を広範囲で設定することができ、設定の自由度を広げることができる。
前記目的物質検出チップは、前記光透過性部材の底面側に配される前記磁場印加部との競合を避ける観点に基づき、前記光透過性部材の上面側に配された光照射部から前記光が照射されることを前提とした構成とされる。
即ち、前記光入射構造では、前記光透過性部材の上面側から照射される前記光の進行方向を前記傾斜面により変更させることで、前記電場増強層の裏面に対して前記光を全反射条件で入射可能とする。
前記傾斜面としては、このような役割を果たす限り、前記光透過性部材の側面として形成されていてもよく、また、前記光透過性部材の上面及び底面の少なくともいずれかに形成される切欠き部の構成面として形成されていてもよい。
前記切欠き部としては、前記光透過性部材の上面に形成されるとともに前記上向き傾斜面を有する上面側切欠き部及び前記光透過性部材の底面に形成されるとともに前記下向き傾斜面を有する底面側切欠き部の少なくともいずれかとして形成される。なお、前記切欠き部としては、前記光透過性部材を構成する板状部材の形成時に成形加工により形成してもよいし、前記板状部材形成後、切削加工により形成してもよい。
また、前記上面側切欠き部としては、切欠かれた部分が空隙とされてもよいが、この部分に前記液体試料が侵入した場合に洗浄しにくいため、前記本体部よりも屈折率の低い低屈折材料が埋設されてもよい。即ち、前記上面側切欠き部が前記低屈折材料で埋設されると、前記上面側切欠き部内に前記液体試料が侵入することを防止することができる。
また、前記低屈折材料を用いるため、前記上面側切欠き部の前記上向き傾斜面と前記本体部との界面における屈折を利用して前記電場増強層に前記光を導光させることができる。
なお、前記上面側切欠き部に前記低屈折材料を埋設させる場合、例えば、屈折率が1.4程度の公知のプラスチック材料を前記上面側切欠き部に埋設させ、前記本体部を屈折率が1.6程度の公知のプラスチック材料で形成することで、前記光透過性部材を構成することができる。
また、前記底面側切欠き部では、前記光透過性部材の底面に形成されることから、上面側に導入される前記液体試料が切欠かれた部分に侵入することがない。
ただし、前記底面側切欠き部の前記下向き傾斜面が外部に露出して大気中の塵などの付着により汚れることを防止する観点から、前記上面側切欠き部と同様、切欠かれた部分に前記低屈折材料を埋設させることが好ましい。
ところで、前記傾斜面における光入射位置と前記電場増強層における光照射位置との間の距離が長い場合、前記本体部内を進行する前記光が弱められ、また、前記本体部での前記光の反射が生じるごとに前記光が弱められる。一方で、光入射位置と前記電場増強層における光照射位置の距離が近すぎると、入射時に生じる散乱などによるノイズが光信号中に混じり、検出精度を落とす原因になる。
したがって、前記傾斜面における光入射位置と前記電場増強層における光照射位置との間の距離としては、好適な範囲が存在し、具体的には、最短距離で1.0mm〜50.0mmとされることが好ましい。
このような距離とすると、前記本体部内を進行する前記光が弱まることを抑制することができ、かつ、ノイズを抑制し、また、前記本体部で前記光が反射する回数を減らし、最適には、前記回数が1回となるように設定できる。また、前記傾斜面が前記下向き傾斜面として形成される場合も、前記本体部で前記光が反射する回数を減らすことが好ましく、前記本体部での前記光が反射する回数をゼロとし、前記下向き傾斜面における1回の反射だけで前記電場増強層に前記光を入射させるように設定されることが最適である。
なお、本明細書において「光透過性」とは、可視光透過率が0.5%以上であることを示す。
なお、前記光入射構造としては、前記傾斜面の傾斜角度、前記傾斜面に対する前記光の照射角度、前記光透過性部材の材質(屈折率)、前記傾斜面における光入射位置と前記電場増強層における光照射位置との間の距離及び前記光透過性部材の厚み等の条件を与えて、前記光透過性部材の上面側から照射される前記光の前記電場増強層の裏面に対する経路を公知の光学的算出方法で算出することで設定することができる。
(目的物質検出装置)
本発明の目的物質検出装置は、本発明の前記目的物質検出チップと、光照射部と、磁場印加部とを有し、更に、必要に応じて、光検出部を備える。なお、前記目的物質検出チップについては、本発明の前記目的物質検出チップについて説明した事項を適用することができるため、重複した説明を省略することとする。
<光照射部>
光照射部は、前記光透過性部材の上面側に配され、前記光透過性部材の前記光入射構造を介して前記電場増強層の裏面に全反射条件で光を照射可能とされる部である。
前記光照射部の光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知のランプ、LED、レーザー等が挙げられる。前記目的物質検出装置では、前記電場増強層の裏面に対し前記全反射条件で前記光を照射することで表面近傍に前記増強電場を形成し、前記目的物質と磁性粒子とを含む結合体から光信号を発生させることを検出原理とする。そのため前記光照射部に求められる役割としては、前記電場増強層の裏面に対し前記全反射条件で前記光を照射することのみであり、このような役割を担うものであれば光源の選択に制限がない。
なお、ランプ、LED等の放射光源を用いる場合には、照射光の照射方向を特定の方位に規制するコリメートレンズ等の案内部を用いて、前記光入射部に前記照射光を入射させることができる。
また、前記光入射部に入射させる前記光としては、前記結合体に対して、蛍光を励起可能な波長を持つ単色光か、または、ランプ、LED等の広い波長帯域を持つ光源からの光をバンドパスフィルタ等の光学フィルタに透過させて単色化し、前記蛍光を励起可能な波長のみとした光とすることが好ましい。
前記磁場印加部は、前記光透過性部材の底面側に配される部である。
前記磁場印加部として、特に制限はないが、前記液体試料に強い磁場を及ぼす観点から、前記目的物質検出チップにおける前記電場増強層と前記厚み方向で対向する位置における前記光透過性部材底面の直下に配されることが好ましい。
前記磁場印加部の構成部材としては、前記液体試料が導入される領域に磁場を印加可能であれば、特に制限はなく、公知の永久磁石、電磁石等を挙げることができる。
前記液体試料には、磁気ビーズ等の公知の磁性粒子が添加され、前記目的物質が存在する場合、前記目的物質と前記磁性粒子との結合体が形成される。なお、前記目的物質が蛍光を生じにくい物質である場合には、前記目的物質と特異的に吸着ないし結合して前記目的物質を標識化する蛍光標識物質を用いてもよい。前記蛍光標識物質としては、例えば、蛍光色素、量子ドット、蛍光染色剤等の公知の蛍光物質を用いることができる。
また、前記目的物質の検出方法としては、蛍光検出に加え、前記増強電場で強められた光を受けて前記結合体から発せられる散乱光を検出する方法も挙げられる。
前記散乱光を検出する場合、前記目的物質が散乱光を生じにくい物質である場合には、前記目的物質と特異的に吸着ないし結合して光を散乱する光散乱物質を用いてもよい。前記光散乱物質としては、例えば、ナノ粒子、例えばポリスチレンビーズや金ナノ粒子などが挙げられる。
なお、前記目的物質、前記磁性粒子、前記蛍光標識物質及び前記光散乱物質の結合方法としては、特に制限はなく、物質に応じて、物理吸着、抗原−抗体反応、DNAハイブリダイゼーション、ビオチン−アビジン結合、キレート結合、アミノ結合などの公知の結合方法を適用することができる。
前記目的物質等からの光は、前記電場増強層の表面近傍に形成される前記増強電場内で生じるため、短時間で前記光信号の検出を行うためには、前記液体試料中を浮遊する前記結合体を前記電場増強層の表面近傍まで引き寄せることが必要となる。
前記磁場印加部では、前記磁場の印加により、前記液体試料中を浮遊する前記結合体を前記電場増強層の表面に引き寄せ、短時間での検出を可能とする。
ところで、前記検出では、前記電場増強層の表面におけるキズ等を原因とするノイズを排除した検出を行うため、前記磁場印加部による前記磁場の印加を伴う前記結合体の移動前後の様子を比較観察することで、前記結合体移動前における光信号に含まれるノイズ信号を排除した検出を行うこととしてもよい。このような検出によれば、前記磁性粒子と結合した前記目的物質が前記磁場印加部により移動するのに対し、前記検出チップ表面のキズ等に生ずるノイズは、前記磁場印加部により移動しないことから、移動する光信号に着目した検出を行うことで、前記ノイズ信号を排除することができる。
このような検出を行う場合、前記磁場印加部としては、前記結合体の移動前後の様子を比較観察するため、前記光透過性部材の底面側において、前記磁場を印加した状態で前記電場増強層表面の面内方向と平行な方向のベクトル成分を持つ方向に移動可能な部材とされ、例えば、前記永久磁石等と前記永久磁石等を支持した状態でスライド移動可能なスライド部材とで構成することができる。
<光検出部>
前記光検出部は、前記目的物質検出チップの前記電場増強層が形成される面(前記電場増強層の表面)上に配され、前記電場増強層の表面近傍の領域を検出領域とし、前記光の照射に伴い前記目的物質を含む前記結合体から発せられる光信号を検出可能とされる。
前記光検出部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知のフォトダイオード、光電子増倍管等の公知の光検出器やCCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等の公知の撮像デバイスを用いることができる。
(目的物質検出方法)
本発明の目的物質検出方法は、少なくとも、光照射工程と、磁場印加工程とを含み、更に、必要に応じて、光検出工程を含む。
<光照射工程>
前記光照射工程は、本発明の前記目的物質検出チップに対し、前記光透過性部材の上面側から前記光透過性部材の前記光入射構造を介して前記電場増強層の裏面に全反射条件で光を照射する工程である。
なお、前記光照射工程の実施方法としては、本発明の前記目的物質検出装置における前記光照射部について説明した事項を適用することができるため、重複した説明を省略することとする。
<磁場印加工程>
前記磁場印加工程は、前記磁場印加部により前記光透過性部材の底面側から磁場を印加する工程であり、好適には、前記磁場を印加した状態で前記磁場印加部を前記電場増強層の面内方向と平行なベクトル成分を持つ方向に移動させる工程である。
なお、前記磁場印加工程の実施方法としては、本発明の前記目的物質検出装置における前記磁場印加部について説明した事項を適用することができるため、重複した説明を省略することとする。
<光検出工程>
前記光検出工程は、前記光の照射に伴い前記結合体から発せられる光信号を検出する工程である。
なお、前記光検出工程の実施方法としては、本発明の前記目的物質検出装置における前記光検出部について説明した事項を適用することができるため、重複した説明を省略することとする。
[第1実施形態]
以下では、本発明の前記目的物質検出チップの構成例を図面を参照しつつ、具体的に説明する。
先ず、第1実施形態に係る目的物質検出チップを図3を参照しつつ、説明する。なお、図3は、第1実施形態に係る目的物質検出チップの概要を説明する説明図である。
図3に示すように、第1実施形態に係る目的物質検出チップ1は、電場増強層2と、光透過性部材3とを有する。
電場増強層2は、裏面に対し全反射条件で光を照射したときに表面側に増強電場が形成される層として形成される。
また、光透過性部材3は、板状の部材であり、上面の一部が電場増強層2を前記裏面側から支持可能とされる支持面3aとされ、側面が上向き傾斜面3bとされ、胴部が上面から光を受光して内部に導光可能な本体部3cとされる。
また、光透過性部材3の上面には、支持面3aを底とする函状体を形成するように支持面3aの周囲に側壁部5が立設され、前記函状体内に液体試料Aが導入される。
ここで、光透過性部材3の側面として構成される上向き傾斜面3bは、光透過性部材3の厚み方向Yに対し上面から底面側に向かうにつれて支持面3aから離れる方向に傾斜する面とされ、上向き傾斜面3bと対向して配される光照射部Bから照射される光が光透過性部材3の厚み方向Yと直交する長さ方向Xに対して傾斜する状態で本体部3c内に入射される。
本体部3c内に入射される光は、本体部3cの上面及び底面で複数回反射されつつ、本体部3c内を長さ方向Xに沿って伝播される。
本体部3c内を伝播する光は、支持面3a上の電場増強層2の裏面の位置で全反射され、電場増強層2の表面近傍に増強電場を形成させる(第1の光入射構造)。
目的物質検出チップ1を用いて目的物質検出装置を構成する場合、図3に示すように、光照射部Bが光透過性部材3の上面側における、光透過性部材3側面の上向き傾斜面3bと対向した位置に配され、磁場印加部Cが電場増強層2と厚み方向Yで対向する位置における光透過性部材3底面の直下に配され、光検出部Dが光透過性部材3の上面側に配される。
磁場印加部Cでは、磁場の印加により、液体試料A中を浮遊する目的物質と磁性粒子とを含む結合体を前記結合体が光信号を発することが可能な電場増強層2の表面近傍に引き寄せ、短時間での測定を可能とする。また、磁場印加部Cを例えば長さ方向Xにスライド移動させ、スライド移動前後の光信号の検出を行うことで、磁場印加部Cのスライド移動に追従する前記結合体のみを検出可能とし、電場増強層2表面におけるキズ等を原因とするノイズ信号を排除した検出を行うことができる。
また、光検出部Dでは、電場増強層2表面近傍における前記結合体からの光を検出可能とされる。
このように目的物質検出チップ1を用いて前記目的物質検出装置を構成する場合、光照射部Bと磁場印加部Cとの配設位置を競合させず、磁場印加部Cを光透過性部材3底面における電場増強層2との距離が近い位置に配設させることができ、かつ、光照射部Bから照射される光を電場増強層2の裏面に対し全反射条件で照射させることができるため、電場増強層2と離れた位置から磁場を印加可能な強力な磁場印加部材を用いる必要がなく、装置が大掛かりになることを避けることができ、前記目的物質検出装置を小型で低コストに製造可能とする。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る目的物質検出チップを図4を参照しつつ、説明する。なお、図4は、第2実施形態に係る目的物質検出チップの概要を説明する説明図である。
図4に示すように、第2実施形態に係る目的物質検出チップ10は、電場増強層12と、光透過性部材13とを有する。
光透過性部材13では、第1実施形態における光透過性部材3と異なり、上面に液体試料Aを導入する液体試料貯留溝15が形成される。液体試料貯留溝15は断面凹状の形状で形成され、その底面が電場増強層12の支持面13aとされる。
また、光透過性部材13では、第1実施形態における光透過性部材3と異なり、上面に形成されるとともに上向き傾斜面13bを有する上面側切欠き部16が形成される。上面側切欠き部16は、断面略V字状の形状で形成される。
ここで、上向き傾斜面13bは、光透過性部材13の厚み方向Yに対し上面から底面側に向かうにつれて支持面13aから離れる方向に傾斜する面とされ、上向き傾斜面13bと対向して配される光照射部Bから照射される光が光透過性部材13の厚み方向Yと直交する長さ方向Xに対して傾斜する状態で本体部13c内に入射される。
また、上向き傾斜面13bにおける光入射位置と電場増強層12における光照射位置との間の距離Wは、最短距離として1.0mm〜50.0mmが好適である。
また、本体部13c内に入射される光は、本体部13cの底面で可能な限り少ない回数、好ましくは1度だけ反射された状態で、支持面13a上の電場増強層12の裏面に導光され、前記裏面の位置で全反射されるとともに電場増強層12の表面近傍に増強電場を形成させる(第1の光入射構造)。
目的物質検出チップ10を用いて目的物質検出装置を構成する場合、図4に示すように、光照射部Bが光透過性部材13の上面側における、上向き傾斜面13bと対向した位置に配される。
このように構成される目的物質検出チップ10では、上向き傾斜面13bにおける光入射位置と電場増強層12における光照射位置との間の距離Wが、第1実施形態に係る目的物質検出チップ1における上向き傾斜面3b(光透過性部材3の側面)における光入射位置と電場増強層2における光照射位置との間の距離よりも短いことから、本体部13c内を進行する光の減衰を抑えることができる。
なお、これ以外の構成及び効果については、第1実施形態における目的物質検出チップ1及び目的物質検出装置と同様であるため、説明を省略する。
続いて、第1実施形態に係る目的物質検出チップ1における光透過性部材3の上向き傾斜面3bに対する光の入射角度に関し、図5〜7を参照しつつ、補足説明を行う。なお、図5〜7の各図は、光の入射角度の一例を示す説明図である。
図5に示すように、目的物質検出チップ1’は、光透過性部材3’の上面に電場増強層2’が配された構造とされる。
ここで、図5に示す例では、光透過性部材3’の側面として構成される上向き傾斜面3b’に対し、法線方向、即ち、上向き傾斜面3b’と垂直な方向から光が透過性部材3’内に入射されるよう、光照射部Bの光照射方向が設定され、光透過性部材3’の上面側を開放させたV字の溝角としてみたときの上向き傾斜面3b’と光照射部Bの光照射方向との成す角度であるθが90°とされる。
このように、θを90°として、上向き傾斜面3b’と垂直な方向から光を入射させると、上向き傾斜面3b’での光の屈折が生じない。また、光透過性部材3’の厚み方向Yと光透過性部材3’の底面に対する光の入射方向との成す角度θと、光透過性部材3’の底面と側面(上向き傾斜面3b’)との成す角度αとが等しくなる(θ=α)。そして、これらの事象は、光透過性部材3’の材質に依らずに生じることから、角度αの設定に基づき、一意に光透過性部材3’の本体部における光の反射位置を特定して目的物質検出チップにおける電場増強層の設定及び目的物質検出装置における光学系の設定を簡単化させることができる。図5に示す例では、角度αが小さすぎるとθも小さくなりすぎ、入射された光が光透過性部材3’の底面で全反射されず、そのまま光透過性部材3’外に透過する成分を生じさせる。この状態になると、入射された前記光が前記裏面に対し前記全反射条件で照射されなくなってしまうことから、留意する必要がある。一方、角度αが大きすぎると上面側からの光の入射が困難になることから、角度αとしては、50°〜80°が好ましい。
一方、図6に示す例では、光透過性部材3’の上面側を開放させたV字の溝角としてみたときの上向き傾斜面3b’と光照射部Bの光照射方向との成す角度であるθが90°未満とされる。
このように、θを90°未満として、上向き傾斜面3b’に光を入射させると、上向き傾斜面3b’で屈折された光が光透過性部材3’の底面で反射され、上面に導かれる。
ただし、光入射角度θが90°よりも小さすぎると、上向き傾斜面3b’で屈折された光が光透過性部材3’の底面で全反射されず、そのまま光透過性部材3’外に透過する成分を生じさせる。この状態になると、入射された前記光が前記裏面に対し前記全反射条件で照射されなくなってしまうことから、留意する必要がある。
また、θが90°よりも小さすぎると、反射光が導かれる上面の位置が側面(上向き傾斜面3b’)に近づきすぎとなり、この上面の位置に電場増強層2’を形成し難くなることに留意する必要がある。
したがって、θを90°未満とする場合、その下限としては、角度αに依存するものの、電場増強層2’側における、光照射部Bの光照射方向と光透過性部材3’の長さ方向Xとの成す角が90°以上となる角度であることが好ましい。
一方、図7に示す例では、光透過性部材3’の上面側を開放させたV字の溝角としてみたときの上向き傾斜面3b’と光照射部Bの光照射方向との成す角度であるθが90°を超える角度とされる。
このように、θを90°を超える角度として、上向き傾斜面3b’に光を入射させると、上向き傾斜面3b’で屈折された光が光透過性部材3’の底面で反射され、上面に導かれる。反射の際、上向き傾斜面3b’で屈折された光が光透過性部材3’の底面で全反射され易く好ましい。
ただし、θが90°よりも大きすぎると、反射光が導かれる上面の位置が上向き傾斜面3b’と遠ざかる結果、目的物質検出チップ1’が大型化することに留意する必要がある。
θを90°を超える角度とする場合、その上限としては、角度αに依存するものの、光照射部Bの光照射方向が目的物質検出チップ1’の長さ方向Xに対し平行に至らない角度である。
なお、ここでは、図5〜7を挙げ、第1実施形態に係る目的物質検出チップ1における光透過性部材3の上向き傾斜面3bに対する光の入射角度の補足説明を行ったが、θとしては、第2実施形態に係る目的物質検出チップ10における光透過性部材13の上向き傾斜面13bに対しても、適用することができる。
ただし、θを90°を超える角度とする場合、θが90°よりも大きすぎると、V字状の上面側切欠き部16の上向き傾斜面13bと反対側の面をなす光透過性部材13の構成部分が光照射の障害となり、θの角度設定に制約が生じることに留意する必要がある。逆に、θを90°及び90°未満とする場合には、このような制約が生じにくい。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る目的物質検出チップを図8を参照しつつ、説明する。なお、図8は、第3実施形態に係る目的物質検出チップの概要を説明する説明図である。
図8に示すように、第3実施形態に係る目的物質検出チップ20は、電場増強層22と、光透過性部材23とを有する。
光透過性部材23は、板状の部材であり、上面の一部が電場増強層22を裏面側から支持可能とされる支持面23aとされ、胴部が上面から光を受光して内部に導光可能とされる本体部23cとされる。また、光透過性部材23の上面には、支持面23aを底とする函状体を形成するように支持面23aの周囲に側壁部25が立設され、函状体内に液体試料Aが導入される。
光透過性部材23では、第1実施形態における光透過性部材3と異なり、側面が厚み方向Yに対し底面から上面側に向かうにつれて支持面23aから離れる方向に傾斜する下向き傾斜面23bとされ、側面と厚み方向Yで対向する位置における光透過性部材23の上面に前記光が入射される。
ここで、上面に対して光照射部Bから照射される光は、本体部23cに導入後、例えば、図示のように下向き傾斜面23b、底面の順で反射され、支持面23a上の電場増強層22の裏面の位置で全反射されるとともに電場増強層22の表面近傍に増強電場を形成させる(第2の光入射構造)。
このように、光透過性部材3の側面が上面側を向く第1実施形態に係る目的物質検出チップ1と異なり、光透過性部材3側面が底面側を向くように形成される第3実施形態に係る目的物質検出チップ20においても、第1実施形態における目的物質検出チップ1と同様に増強電場を得ることができる。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態に係る目的物質検出チップを図9を参照しつつ、説明する。なお、図9は、第4実施形態に係る目的物質検出チップの概要を説明する説明図である。
図9に示すように、第4実施形態に係る目的物質検出チップ30は、電場増強層32と、光透過性部材33とを有する。
光透過性部材33では、第1実施形態における光透過性部材3と異なり、上面に液体試料Aを導入する液体試料貯留溝35が形成される。液体試料貯留溝35は、断面略V字状の形状で形成され、前記断面略V字状の溝の一辺を形成する面が電場増強層32の支持面33aとされる。
ここで、光透過性部材33では、第1実施形態における光透過性部材3と異なり、側面が厚み方向Yに対し底面から上面側に向かうにつれて支持面33aから離れる方向に傾斜する下向き傾斜面33bとされ、側面と厚み方向Yで対向する位置における光透過性部材33の上面に前記光が入射される。
光照射部Bでは、光透過性部材33の上面に対し、厚み方向Y方向、つまり、上面と垂直な方向から光を照射し、本体部33c内に入射される光は、下向き傾斜面33bで1度だけ反射され、即ち、本体部33cの上面及び底面で反射されることなく、本体部33c内を長さ方向Xに沿って伝播され、支持面33a上の電場増強層32の裏面の位置で全反射されるとともに電場増強層32の表面近傍に増強電場を形成させる(第2の光入射構造)。
このように構成される目的物質検出チップ30では、本体部33c内に入射される光が本体部33cの上面及び底面で反射されることなく、支持面33a上の電場増強層32の裏面に導光されることから、上面及び底面での反射に伴う前記光の劣化を抑制することができる。
また、これ以外の構成及び効果については、第1実施形態における目的物質検出チップ1及び目的物質検出装置と同様であるため、説明を省略する。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態に係る目的物質検出チップを図10を参照しつつ、説明する。なお、図10は、第5実施形態に係る目的物質検出チップの概要を説明する説明図である。
第5実施形態に係る目的物質検出チップ40は、第2実施形態に係る目的物質検出チップ10の変形例であり、第2実施形態に係る目的物質検出チップ10と同様、電場増強層42と、支持面43a、上向き傾斜面43b、本体部43c及び液体試料貯留溝45を有する光透過性部材43とを備える。
第5実施形態に係る目的物質検出チップ40では、上面側切欠き部46が第2実施形態に係る目的物質検出チップ10と相違し、上面側切欠き部46に本体部43cの形成材料よりも屈折率の低い低屈折材料46aが埋設される。
このように構成される目的物質検出チップ40では、上面側切欠き部46に低屈折材料46aが埋設され、光透過性部材43の上面全体がフラットな状態とされるため、液体試料Aの導入及び排出時に液体試料貯留溝45から侵入等する液体試料Aにより、上面側切欠き部46内が汚れることがない。
また、このように上面側切欠き部46を構成する場合でも、低屈折材料46aと高屈折材料で形成される本体部43cとの界面をなす上向き傾斜面43bにおける光の屈折を利用して、第2実施形態に係る目的物質検出チップ10と同様に、光照射部Bから照射される光を本体部43c内で1度だけ反射させる状態で電場増強層42の裏面に導光させることができる。
なお、これ以外の構成及び効果については、第2実施形態における目的物質検出チップ10及び目的物質検出装置と同様であるため、説明を省略する。
続いて、第5実施形態に係る目的物質検出チップ40について、図11,12に示す変形例を交えつつ、補足説明を行う。なお、図11,12の各図は、変形例を示す説明図である。
図11に示すように、目的物質検出チップ40’は、光透過性部材43’の上面に対して、電場増強層42’が配され、かつ、上面側切欠き部46’が配された構造とされる。
ここで、図11に示す例では、図10に示す例と比較して、光照射部Bが上面側切欠き部46’の上向き傾斜面43b’に対し、光透過性部材43’の上面側から光を照射することとされ、光透過性部材43’の上面側を開放させたV字の溝角としてみたときの上向き傾斜面43b’と光照射部Bの光照射方向との成す角度(図11中の角度β)が比較的小さな角度で設定される。
βが小さい場合、上向き傾斜面43b’から導入される光が光透過性部材43’の底面で全反射されず、そのまま光透過性部材43’における本体部43c’の外に透過する成分を生じさせることから(図11中の点線矢印参照)、この状態になると、入射された前記光が前記裏面に対し前記全反射条件で照射されなくなってしまうことに留意する必要がある。
したがって、βとしては、入射された前記光が前記裏面に対し前記全反射条件を満たしうる最小角度以上でなければならない。
なお、上面側切欠き部46’に低屈折材料46a’が埋設されない場合も、光透過性部材43’の屈折率が高くないと、上向き傾斜面43b’で屈折された光が光透過性部材43’の底面で全反射されず、そのまま光透過性部材43’外に透過する成分を生じさせることに留意する必要がある。
また、光入射角度βを比較的小さな角度とする場合であっても、図12に示すように、光透過性部材の底面の面内方向に対して傾斜して形成され、下向き傾斜面47aを有する底面側切欠き部47を光透過性部材43’の底面に形成することで、上面に配される電場増強層42’に対して全反射条件となるように反射光を導くように構成してもよい。なお、底面側切欠き部47は、上面側切欠き部46’と同様の方法で形成することができる。また、底面側切欠き部47には、上面側切欠き部46’と同様に低屈折材料47aが埋設されていてもよい。
[第6実施形態]
次に、第6実施形態に係る目的物質検出チップを図13を参照しつつ、説明する。なお、図13は、第6実施形態に係る目的物質検出チップの概要を説明する説明図である。
第6実施形態に係る目的物質検出チップ50は、第3実施形態に係る目的物質検出チップ20の変形例である。図13に示すように、第6実施形態に係る目的物質検出チップ50は、電場増強層52と、光透過性部材53とを有する。
光透過性部材53では、第3実施形態における光透過性部材23と異なり、上面に液体試料Aを導入する液体試料貯留溝55が形成される。液体試料貯留溝55は断面凹状の形状で形成され、その底面が電場増強層52の支持面53aとされる。
また、光透過性部材53では、第3実施形態における光透過性部材23と異なり、底面に形成されるとともに下向き傾斜面53bを有する底面側切欠き部57が形成され、底面側切欠き部57には、必要に応じて本体部53cの形成材料よりも屈折率の低い低屈折材料57aが埋設される。
このように構成される目的物質検出チップ50では、光透過性部材53の底面に底面側切欠き部57が形成されるため、液体試料Aの導入及び排出時に液体試料貯留溝55から侵入等する液体試料Aにより、底面側切欠き部57内が汚れることがない。
また、底面側切欠き部57が低屈折材料57aを埋設させて構成されると、下向き傾斜面53bが外部に露出して大気中の塵などの付着により汚れることを防止することができる。
また、底面側切欠き部57においても、下向き傾斜面53bにおける光の反射を利用して、光照射部Bから照射される光を下向き傾斜面53b及び底面で1度ずつ反射させて電場増強層52の裏面に導光させることができる(第2の光入射構造)。
なお、これ以外の構成及び効果については、第3実施形態における目的物質検出チップ20及び目的物質検出装置と同様であるため、説明を省略する。
1,1’,10,20,30,40,40’,50 目的物質検出チップ
2,2’,12,22,32,42,42’,52 電場増強層
3,3’,13,23,33,43,43’,53 光透過性部材
3a,13a,23a,33a,43a,53a 支持面
3b,3b’,13b,43b,43b’ 上向き傾斜面
3c,13c,23c,33c,43c,43c’,53c 本体部
5,25 側壁部
15,35,45,55 液体試料貯留溝
16,46,46’ 上面側切欠き部
46a,46a’,57a 低屈折材料
47,57 底面側切欠き部
23b,33b,47a,53b 下向き傾斜面
100 光学装置
101 光学プリズム
102 ガラス基体
103,203 金属膜
104,204 検出チップ
106,206a,206b 磁石
A 液体試料
B,105,205 光照射部
C 磁場印加部
D 光検出部
W 距離
X 長さ方向
Y 厚み方向
θ,θ,α,β 角度

Claims (10)

  1. 裏面に対し全反射条件で光を照射したときに表面側に増強電場が形成される電場増強層と、
    前記電場増強層を前記裏面側から支持可能とされる支持面と、厚み方向に対し前記支持面が形成される面を上面として前記上面から底面側に向かうにつれて前記支持面から離れる方向に傾斜する上向き傾斜面及び前記厚み方向に対し前記底面から前記上面側に向かうにつれて前記支持面から離れる方向に傾斜する下向き傾斜面のいずれかの傾斜面と、前記光を受光して内部に導光可能とされる本体部とを有する全体略板状の光透過性部材とを備え、
    前記光透過性部材が前記上面側から照射され前記上向き傾斜面を通過させた前記光を前記本体部を介して前記裏面に対し全反射条件で入射させる第1の光入射構造及び前記上面側から照射され前記下向き傾斜面で反射された前記光を前記本体部を介して前記裏面に対し全反射条件で入射させる第2の光入射構造のいずれかの光入射構造を有し、
    かつ、前記光透過性部材が前記上面に形成されるとともにV字における一辺を断面形状とする前記上向き傾斜面を有する上面側切欠き部及び前記底面に形成されるとともにV字における一辺を断面形状とする前記下向き傾斜面を有する底面側切欠き部の少なくともいずれかの切欠き部を有することを特徴とする目的物質検出チップ。
  2. 切欠き部に本体部よりも屈折率の低い低屈折材料が埋設される請求項1に記載の目的物質検出チップ。
  3. 光入射構造が、第1の光入射構造における上向き傾斜面を通過させた光及び第2の光入射構造における下向き傾斜面で反射された光の少なくともいずれかを底面で反射させた後に裏面に対し全反射条件で入射可能とされる請求項1から2のいずれかに記載の目的物質検出チップ。
  4. 傾斜面における光入射位置と電場増強層における光照射位置との間の最短距離が、1.0mm〜50.0mmとされる請求項1から3のいずれかに記載の目的物質検出チップ。
  5. 光透過性部材の厚みが0.1mm〜10.0mmとされる請求項1から4のいずれかに記載の目的物質検出チップ。
  6. 光透過性部材の上面に少なくとも一部を支持面とする液体試料貯留溝が形成される請求項1から5のいずれかに記載の目的物質検出チップ。
  7. 液体試料貯留溝が支持面として光透過性部材の厚み方向に対し上面から底面側に向かうにつれて傾斜面から離れる方向に傾斜する傾斜支持面を有する請求項6に記載の目的物質検出チップ。
  8. 光透過性部材の上面の一部が支持面とされるとともに前記支持面を底とする函状体を形成するように前記支持面の周囲に側壁部が立設される請求項1から5のいずれかに記載の目的物質検出チップ。
  9. 裏面に対し全反射条件で光を照射したときに表面側に増強電場が形成される電場増強層と、前記電場増強層を前記裏面側から支持可能とされる支持面と、厚み方向に対し前記支持面が形成される面を上面として前記上面から底面側に向かうにつれて前記支持面から離れる方向に傾斜する上向き傾斜面及び前記厚み方向に対し前記底面から前記上面側に向かうにつれて前記支持面から離れる方向に傾斜する下向き傾斜面のいずれかの傾斜面と、前記光を受光して内部に導光可能とされる本体部とを有する全体略板状の光透過性部材とを備え、前記光透過性部材が前記上面側から照射され前記上向き傾斜面を通過させた前記光を前記本体部を介して前記裏面に対し全反射条件で入射させる第1の光入射構造及び前記上面側から照射され前記下向き傾斜面で反射された前記光を前記本体部を介して前記裏面に対し全反射条件で入射させる第2の光入射構造のいずれかの光入射構造を有する目的物質検出チップと、
    前記光透過性部材の前記上面側に配され、前記光入射構造を介して前記電場増強層の前記裏面に前記全反射条件で前記光を照射可能とされる光照射部と、
    前記光透過性部材の前記底面側に配される磁場印加部と、
    前記電場増強層の前記表面上に配され、前記電場増強層の前記表面近傍の領域を検出領域とし、前記光の照射に伴い目的物質と磁性粒子とを含む結合体から発せられる光信号を検出可能とされる光検出部と、
    を備え、
    前記磁場印加部が磁場を印加した状態で前記電場増強層表面の面内方向と平行な方向のベクトル成分を持つ方向に移動可能とされ、
    前記光検出部が前記磁場印加部の移動前後の前記光信号を検出するとともに、検出された前記光信号のうち前記磁場印加部の移動に追従する前記光信号のみを前記結合体に基づく前記光信号として検出可能とされることを特徴とする目的物質検出装置。
  10. 裏面に対し全反射条件で光を照射したときに表面側に増強電場が形成される電場増強層と、前記電場増強層を前記裏面側から支持可能とされる支持面と、厚み方向に対し前記支持面が形成される面を上面として前記上面から底面側に向かうにつれて前記支持面から離れる方向に傾斜する上向き傾斜面及び前記厚み方向に対し前記底面から前記上面側に向かうにつれて前記支持面から離れる方向に傾斜する下向き傾斜面のいずれかの傾斜面と、前記光を受光して内部に導光可能とされる本体部とを有する全体略板状の光透過性部材とを備え、前記光透過性部材が前記上面側から照射され前記上向き傾斜面を通過させた前記光を前記本体部を介して前記裏面に対し全反射条件で入射させる第1の光入射構造及び前記上面側から照射され前記下向き傾斜面で反射された前記光を前記本体部を介して前記裏面に対し全反射条件で入射させる第2の光入射構造のいずれかの光入射構造を有する目的物質検出チップに対し、前記光透過性部材の前記上面側から前記光入射構造を介して前記電場増強層の前記裏面に前記全反射条件で前記光を照射する光照射工程と、
    前記光透過性部材の前記底面側に配される磁場印加部から磁場を印加する磁場印加工程と、
    前記光の照射に伴い前記増強電場内の目的物質と磁性粒子とを含む結合体から発せられる光信号を検出する光検出工程と、
    を含み、
    前記磁場印加工程が前記磁場を印加した状態で前記磁場印加部を前記電場増強層表面の面内方向と平行な方向のベクトル成分を持つ方向に移動させる工程であり、
    前記光検出工程が前記磁場印加部の移動前後の前記光信号を検出するとともに、検出された前記光信号のうち前記磁場印加部の移動に追従する前記光信号のみを前記結合体に基づく前記光信号として検出することを特徴とする目的物質検出方法。
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