以下では、本発明の実施の形態に係る建物ユニットについて、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ(工程)、並びにステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態において、略同じ又は略正方形などの「略」を伴った表現を用いる場合がある。例えば、略同じは、完全に同じであることを意味するだけでなく、実質的に同じである、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。他の「略」を用いた表現についても同様である。
[実施の形態]
[1−1.建物ユニット]
実施の形態に係る建物ユニット1の概要について、図1を用いて説明する。図1は、実施の形態に係る建物ユニット1の外観を模式的に示す斜視図である。建物ユニット1は、建物の一部を構成する。建物ユニット1を用いて建物を建設する際、建設場所に設置された建物ユニット1をコアとして、建物ユニット1の周囲に、玄関、居室等のその他の構造物が構築される。例えば、建物ユニット1を基に、建物の柱、梁、外壁、内壁、天井等が、構築される。このような建物ユニット1は、建物を建設する際のコアとなるコアユニットとも呼ばれる。本実施の形態では、建物ユニット1が適用される建物は、木造住宅であるが、一部のみが木造である非木造住宅でもよく、店舗、工場又は倉庫等の木造若しくは木造以外の非住宅でもよい。建物は、本実施の形態では、2階建てであるが、3階建て以上であってもよく、1階建てであってもよく、さらに地階を有してもよい。
本実施の形態に係る建物ユニット1は、住宅に必要な水廻り設備の多く、電気設備、空調設備、階段等を集約して含むコアユニットである。上記設備及び階段を建物ユニット1に集約することは、住宅において、建物ユニット1以外の領域に、広い居住空間を確保することを可能にする。建物ユニット1は、上記設備及び階段の全てではなく一部を含む構成であってもよい。
図1に示すように、本実施の形態では、建物ユニット1は、各々が略直方体状の外形を有する1つ以上のユニットで構成される。建物ユニット1の少なくとも1つの側面が建物の外壁を構成してもよい。建物ユニット1は、1つのユニットで構成されてもよく、結合及び分割可能な2つ以上のユニットで構成されてもよい。2つ以上のユニットは、例えば2階建て以上の住宅の一部を構成する。この場合、2つ以上のユニットは、上下に積み上げられて連結され、複数階の各々を構成してもよく、水平方向に並べられて連結されてもよい。本実施の形態では、建物ユニット1は、2階建て住宅の一部を構成し且つ互いに連結される4つのユニット100、200、300及び400で構成される。なお、水平方向及び側方とは、設置された状態の建物ユニット1の重力方向に略垂直な方向であり、鉛直方向及び上下方向とは、上記重力方向に沿った方向である。
ユニット100、200、300及び400はそれぞれ、複数階のうちの1つの階を構成する。第二ユニット200及び第四ユニット400はそれぞれ、第一ユニット100及び第三ユニット300の直上階を構成し、第一ユニット100及び第三ユニット300と上下方向で連結される。本実施の形態では、第一ユニット100及び第三ユニット300は、建物の1階を構成し、第二ユニット200及び第四ユニット400は、建物の2階を構成する。第一ユニット100及び第三ユニット300は、水平方向に並べられて互いに連結され、第二ユニット200及び第四ユニット400は、水平方向に並べられて互いに連結される。第一ユニット100及び第三ユニット300は、建物の基礎2上に配置され、基礎2に固定される。基礎2は、例えば、鉄筋コンクリート製の布基礎又はべた基礎であってよく、基礎2に埋め込まれ且つ基礎2の上面から上方へ突出するアンカーボルト(図示せず)を有している。アンカーボルトは、第一ユニット100及び第三ユニット300の柱部分の底部に設けられた柱脚金具110及び310に締結され、それにより、第一ユニット100及び第三ユニット300を基礎2に固定する。
本実施の形態では、第一ユニット100及び第二ユニット200には、建物の水廻り設備及び電気設備が配置され、第三ユニット300及び第四ユニット400には、階段、空調機器及び電気設備が配置される。このような第一ユニット100及び第二ユニット200は、水廻ユニット1000を形成し、第三ユニット300及び第四ユニット400は、階段空調ユニット2000を形成する。
ユニット100、200、300及び400は、工場等の建物の建設場所以外の場所で、個々に、予め組み立てられる。つまり、ユニット100、200、300及び400は、工場等で各種設備が予め組み込まれた工業化ユニットである。ユニット100、200、300及び400の工場生産化は、高品質且つ高機能なユニットの製造を可能にし、さらに、建設場所での工期の短縮を可能にする。
工場で組み立てられた、つまり工場生産されたユニット100、200、300及び400は、個別に、トラックなどの運搬車両によって建設場所に運搬される。運搬されたユニット100、200、300及び400は、建設場所で水平方向に並べられる又は鉛直方向に積み重ねて設置され、互いに連結及び固定される。なお、トラックの高さ制限を満たす場合、トラックの高さ制限が存在しない場合等の運搬が可能な状況であれば、ユニット100、200、300及び400のうちの2つ以上のユニットが、工場等で連結固定された状態で建設場所に運搬されてもよい。
ユニット100、200、300及び400はいずれも、略直方体状の外形を有している。第一ユニット100及び第二ユニット200は、同等の大きさであり、第三ユニット300及び第四ユニット400は、同等の大きさである。ユニット100、200、300及び400はそれぞれ、例えば、トラック等の運搬車両の荷台に載せたときに道路交通法の高さ制限を超えないような高さに設計され得る。第一ユニット100及び第二ユニット200の各々のサイズは、一例として、平面サイズが約364cm×182cmであり、高さが約273cmである。第三ユニット300及び第四ユニット400の各々のサイズは、一例として、平面サイズが約273cm×182cmであり、高さが約273cmである。ユニット100、200、300及び400の各々は、木造軸組工法によって形成されている。具体的には、ユニット100、200、300及び400の各々は、複数の柱、梁及び土台などの横架材、面材等によって形成される枠組みを備える。
このようなユニット100、200、300及び400はそれぞれ、例えば、木造軸組工法による軸組構造体としての建築構造体を備える。建築構造体は、梁及び土台などの横架材並びに柱等の建材からなる軸組と、大引き等の建材からなる床組とを備える。横架材は、第一ユニット100及び第三ユニット300の土台等を構成し、第二ユニット200及び第四ユニット400の梁等を構成する。建築構造体は、工場等の建設場所以外の場所で予め組み立てられる。建築構造体を備えるユニット100、200、300及び400は、これらが適用される建物の躯体の一部を構成する。
[1−2.第一及び第二ユニットの具体的な構成]
まず、図1〜図3を参照して、第一ユニット100の具体的な構成を説明する。なお、図2は、図1の第一ユニット100を斜め上方から見た斜視図であり、天井及び一部の部材が透けて描かれている。図3は、図1の第一ユニット100を水平方向に切断する断面を上方から下方に向かって見た断面図であり、第一ユニット100の内部の模式的な平面図を示す図でもある。
第一ユニット100の建築構造体は、矩形枠状の土台101、土台101上に建てられる複数の柱102、柱102間にわたって架け渡される面材103、柱102間に配置される複数の間柱104、土台101に架け渡される図示しない複数の大引き、大引き上に敷設される床面材、柱102の上部に設置される図示しない天井パネル等によって形成される。柱102及び間柱104は、上下方向に延在し、土台101及び大引きは、略水平方向に延在する。
柱102の底部には、柱102と土台101と大引きとを互いに連結する柱脚金具110が取り付けられる。なお、本実施の形態では、第一ユニット100は、天井側の梁、具体的には、胴差し及び2階床梁を備えない。そして、第一ユニット100の上に第二ユニット200を設置したときには、第一ユニット100の複数の柱102の上部には、第二ユニット200の床側に配置された胴差し及び2階床梁を構成する床側横架材201が、第一ユニット100の天井側の梁等を兼ねて、接続される。本実施の形態では、土台101、柱102、面材103、間柱104及び図示しない大引き等の建材は、木材である。
柱102、面材103及び間柱104は、第一ユニット100の壁105を形成する。壁105の内側に配置される面材103上には、石膏ボード等の図示しない壁材が、設置され得る。さらに、壁材上に、壁紙が貼り付けられ得る。本実施の形態では、面材103は、壁105の内側及び外側に配置されるが、いずれか一方のみでもよい。柱102、面材103及び間柱104は、土台101に個別に組み付けられてもよく、土台101への組み付けの前に壁パネルとして組み立てられてもよい。そして、壁パネルが、土台101上に建て込まれることによって、壁105を形成してもよい。限定するものではないが、本実施の形態では、上方から下方に向かう平面視において、矩形状の平面形状を有する第一ユニット100の長手方向に沿う2つの側部を形成する2つの壁105について、一方の壁105aは、建物の外壁を構成し、他方の壁105bは、建物の内壁を構成する。
土台101、柱102及び壁105は、第一ユニット100がその一部を構成する建物の骨組みを形成する構造材としての役割を果たす。よって、第一ユニット100は、ユニットバス等の設備のみを構成するユニットではなく、建物の構造材を含み且つ建物の主要構造体の一部を構成するユニットである。このような第一ユニット100は、建物の躯体を構成する。
次に、図1、図4及び図5を参照して、第二ユニット200の具体的な構成を説明する。なお、図4は、図1の第二ユニット200を斜め上方から見た斜視図であり、天井及び一部の部材が透けて描かれている。図5は、図1の第二ユニット200を水平方向に切断する断面を上方から下方に向かって見た断面図であり、第二ユニット200の内部の模式的な平面図を示す図でもある。
第二ユニット200の建築構造体は、床側横架材201、複数の柱202、柱202間にわたって架け渡される面材203、柱202間に配置される複数の間柱204、柱202の上部に配置される天井側横架材206、床側横架材201上に設置される図示しない床材、柱202の上部に設置される図示しない天井パネル等によって形成される。床材は、第一ユニット100と同様に、床面材等から構成されてもよい。柱202及び間柱204は、上下方向に延在し、床側横架材201及び天井側横架材206は、略水平方向に延在する。床側横架材201は、胴差し及び2階床梁等によって構成され、天井側横架材206は、2階天井梁等によって構成される。
床側横架材201は、複数の柱202の下部を互いに繋ぎ、天井側横架材206は、複数の柱202の上部を互いに繋ぐ。本実施の形態では、柱202は、床側横架材201の上に配置され、天井側横架材206は、柱202の上端に配置される。なお、床側横架材201及び天井側横架材206は、柱202の側部に配置されてもよい。床側横架材201の底部には、床側横架材201と第一ユニット100の柱102とを互いに連結する図示しない連結金具が取り付けられる。なお、連結金具は、建物の建設場所以外の場所で予め柱102に取り付けられてもよく、建設場所で柱102に取り付けられてもよい。本実施の形態では、床側横架材201、柱202、面材203、間柱204及び天井側横架材206等の建材は、木材である。
柱202、面材203及び間柱204は、第二ユニット200の壁205を形成する。壁205の内側に配置される面材203上には、石膏ボード等の図示しない壁材が、設置され得る。さらに、壁材上に、壁紙が貼り付けられ得る。本実施の形態では、面材203は、壁205の内側及び外側に配置されるが、いずれか一方のみでもよい。柱202、面材203及び間柱204は、床側横架材201に個別に組み付けられてもよく、床側横架材201への組み付けの前に壁パネルとして組み立てられてもよい。そして、壁パネルが、床側横架材201上に建て込まれることによって、壁205を形成してもよい。限定するものではないが、本実施の形態では、平面視において矩形状の平面形状を有する第二ユニット200の長手方向に沿う2つの側部を形成する2つの壁205について、一方の壁205aは、建物の外壁を構成し、他方の壁205bは、建物の内壁を構成する。
床側横架材201、柱202、壁205及び天井側横架材206は、第二ユニット200がその一部を構成する建物の骨組みを形成する構造材としての役割を果たす。よって、第二ユニット200は、ユニットバス等の設備のみを構成するユニットではなく、建物の構造材を含み且つ建物の主要構造体の一部を構成するユニットである。このような第二ユニット200は、建物の躯体を構成する。
図2〜図5を参照すると、本実施の形態では、第一ユニット100及び第二ユニット200は、設備を備える。設備は、具体的には、住宅設備であり、より具体的には、水廻り設備、電気設備、内装等を含んでいる。これらの設備は、第一ユニット100及び第二ユニット200に、建設場所以外で予め設置されている。なお、上記設備は、第一ユニット100及び第二ユニット200の一方にのみ配置されてもよい。内装は、第一ユニット100及び第二ユニット200内の床、壁、天井などに施された仕上げ材、建具、収納具等を含み得る。
水廻り設備は、例えば、バス(浴室)、トイレ、洗面台及びキッチンの少なくとも1つを含む。水廻り設備は、さらに、給湯器(給湯システム)を含んでもよく、天井裏、床下又は壁内に形成されたパイプスペースに設置される排水管、給水管及び給湯管などの配管等を含んでもよい。
本実施の形態では、第一ユニット100の内部に、トイレ11、洗面台12及びユニットバス13が設置されている。ユニットバス13は、浴室を形成し、浴槽及び洗い場を含む。以下において、ユニットバス13を浴室とも呼ぶ。さらに、第一ユニット100の内部には、第一配管スペース14が設けられている。図3に示すように、第一ユニット100の平面視において、ユニットバス13は、矩形状の平面形状を有する第一ユニット100の長手方向の一方の端部の壁105cに隣接して配置され、洗面台12は、第一ユニット100の長手方向の他方の端部、つまり、ユニットバス13と反対側の端部の壁105dに隣接して配置されている。第一配管スペース14は、壁105dに隣接し且つ洗面台12に隣接して配置されている。第一配管スペース14は、第一ユニット100内で上下に延びる空間である。本実施の形態では、第一配管スペース14の水平方向の側部は、壁105a及び105dの面材103と、面状の部材とによって覆われている。また、第一ユニット100の壁105bには、開口部111が形成されている。開口部111は、トイレ11及び洗面台12のある空間と第一ユニット100の外部とを繋ぐ。
また、第二ユニット200の内部には、トイレ11及びキッチン15が設置されている。キッチン15は、台所を形成し、流し台、加熱調理器、換気設備、作業台、収納庫、冷蔵庫等の器具を含み得る。さらに、第二ユニット200の内部には、第二配管スペース16及び第三配管スペース17が設けられている。図5に示すように、第二ユニット200の平面視において、キッチン15は、矩形状の平面形状を有する第二ユニット200の長手方向の一方の端部の壁205cに隣接して配置され、トイレ11は、第二ユニット200の長手方向の他方の端部の壁205dに隣接して配置されている。第二配管スペース16は、トイレ11の便座の近傍で、壁205dに隣接して配置されている。第二配管スペース16は、第二ユニット200で上下に延びる空間である。本実施の形態では、第二配管スペース16の水平方向の側部は、壁205a及び205dの面材203と、面状の部材とによって覆われている。第三配管スペース17は、キッチン15の収納棚15aの背部で、壁205cに隣接して配置されている。第三配管スペース17は、収納棚15a内を通ってもよい。第三配管スペース17は、第二ユニット200で上下に延びる空間である。また、第二ユニット200の壁205dには、開口部211が形成され、壁205bには、開口部212が形成されている。開口部211は、トイレ11のある空間と第二ユニット200の外部とを繋ぐ。開口部212は、キッチン15のある空間と第二ユニット200の外部とを繋ぐ。
第一配管スペース14及び第二配管スペース16は、第一ユニット100及び第二ユニット200が積み重ねられたとき、上下方向に一列に並び、互いに連通するように配置されている。このとき、第一配管スペース14及び第二配管スペース16は、水平方向の位置が合い、それぞれの上下方向の開口部が互いに対向する。そして、給水管、排水管、空調ダクト等の配管が、第一配管スペース14及び第二配管スペース16内に通されることによって、第一ユニット100及び第二ユニット200を貫通する配管が、容易に配置される。第一配管スペース14及び第二配管スペース16内の配管は、第一ユニット100及び第二ユニット200の積み重ねの前に予め配置されてもよく、積み重ね後に配置されてもよい。このような第一配管スペース14及び第二配管スペース16は、第一ユニット100の上に第二ユニット200を積み重ねる設計の場合でも、第二ユニット200の上に第一ユニット100を積み重ねる設計の場合でも、互いの位置が合う。このため、第一ユニット100及び第二ユニット200のいずれを上側に配置する設計を行う場合でも、第一配管スペース14及び第二配管スペース16の位置変更が必要でなく、それにより、配管の設計変更が少なく抑えられる。このことは、第一ユニット100及び第二ユニット200の設備の自由なプランニングを容易にする。
第三配管スペース17の位置は、第一ユニット100及び第二ユニット200が積み重ねられたとき、浴室13の排水管の位置に対応する。例えば、第一ユニット100を第二ユニット200の上に積み重ねるように構成する場合、第三配管スペース17は、第一配管スペース14及び第二配管スペース16よりも、浴室13の排水管の近くに位置する。第三配管スペース17に通された配管は、少ない配管長で、浴室13の排水管と容易に接続される。浴室13からの排水量は多いため、浴室13から延びる排水管は、配管長が短く、曲がりが少ない方が好ましい。このような第三配管スペース17は、第一配管スペース14及び第二配管スペース16と同様に、第一ユニット100及び第二ユニット200の設備の自由なプランニングを容易にする。
電気設備は、例えば、分電盤、インターホン、情報盤、各種設備機器を操作するための操作盤、創蓄連携機器(創蓄連携システム)、及び照明等の設備機器を含んでもよい。電気設備は、さらに、スイッチ、コンセント、並びに情報配線及び電気配線等の配線設備を含んでもよい。分電盤、インターホン、情報盤、操作盤、創蓄連携機器、スイッチ、コンセント等は、屋内に配置され得る。各種配線は、天井裏、床下又は壁内に配置され得る。限定するものではないが、本実施の形態では、第一ユニット100及び第二ユニット200は、分電盤及び創蓄連携機器等の建物全体の電気系統を集約して制御する設備を含まず、このような設備は、後述するように、第三ユニット300及び第四ユニット400に配置される。
[1−3.第三及び第四ユニットの具体的な構成]
まず、図1、図6〜図10を参照して、第三ユニット300の具体的な構成を説明する。なお、図6は、図1の第三ユニット300及び第四ユニット400を面材、内装パネル等の一部の部材を透かして描いた斜視図であり、空調機器500が見えるように示されている。図7は、図6の第三ユニット300及び第四ユニット400を背部から見た斜視図である。図8は、図7の第三ユニット300及び第四ユニット400を面材等の一部の部材を透かして描いた斜視図であり、空調機器500が見えるように示されている。図9は、図8の室外機スペース800を拡大し、別の方向から見た斜視図である。図10は、図6の第三ユニット300を水平方向に切断する断面を上方から下方に向かって見た断面図であり、第三ユニット300の内部の模式的な平面図を示す図でもある。
図1及び図10に特に詳細に示されるように、第三ユニット300の建築構造体は、第一ユニット100と同様に、矩形枠状の土台301、複数の柱302、面材303、複数の間柱304、図示しない複数の大引き、床面材、図示しない天井パネル等によって形成される。柱302の底部には、柱脚金具310が取り付けられる。柱302、面材303及び間柱304は、壁305を形成する。壁305の内側に配置される面材303上には、石膏ボード等の図示しない壁材が、設置され得る。さらに、壁材上に、壁紙が貼り付けられ得る。面材303は、壁305の内側及び外側の少なくとも一方に配置されてよい。柱302、面材303及び間柱304は、土台301に個別に組み付けられてもよく、予め壁パネルとして組み立てられ、土台301に組み付けられてもよい。限定するものではないが、本実施の形態では、平面視において矩形状の平面形状を有する第三ユニット300の長手方向に沿う2つの側部の一方を、壁305aが形成し、この壁305aは、建物の外壁を構成する。
また、本実施の形態では、第三ユニット300も、胴差し及び2階床梁等の天井側の梁を備えない。そして、第三ユニット300の上に第四ユニット400を設置したときには、第三ユニット300の複数の柱302の上部には、第四ユニット400の床側に配置された胴差し及び2階床梁を構成する床側横架材401が、第三ユニット300の天井側の梁等を兼ねて、接続される。本実施の形態では、土台301、柱302、面材303、間柱304及び図示しない大引き等の建材は、木材である。
土台301、柱302及び壁305は、第三ユニット300がその一部を構成する建物の骨組みを形成する構造材としての役割を果たす。よって、第三ユニット300は、ユニットバス等の設備のみを構成するユニットではなく、建物の構造材を含み且つ建物の主要構造体の一部を構成するユニットである。このような第三ユニット300は、建物の躯体を構成する。また、本実施の形態では、第三ユニット300は、土台301の鉛直方向の高さ位置が、第一ユニット100の土台101の鉛直方向の高さ位置と揃うように、基礎2上に設置される。
次に、図1、図6〜図8及び図11を参照して、第四ユニット400の具体的な構成を説明する。図11は、図6の第四ユニット400を水平方向に切断する断面を上方から下方に向かって見た断面図であり、第四ユニット400の内部の模式的な平面図を示す図でもある。
図1及び図11に特に詳細に示されるように、第四ユニット400の建築構造体は、第二ユニット200と同様に、床側横架材401、複数の柱402、面材403、複数の間柱404、天井側横架材406、図示しない床材、図示しない天井パネル等によって形成される。本実施の形態では、床側横架材401、柱402、面材403、間柱404及び天井側横架材406等の建材は、木材である。床材は、第三ユニット300と同様に、床面材等から構成されてもよい。本実施の形態では、柱402は、床側横架材401の上に配置され、天井側横架材406は、柱402の上端に配置されるが、床側横架材401及び天井側横架材406は、柱402の側部に配置されてもよい。床側横架材401の底部には、床側横架材401と第三ユニット300の柱302とを互いに連結する図示しない連結金具が取り付けられる。柱402、面材403及び間柱404は、壁405を形成する。壁405の内側に配置される面材403上には、石膏ボード等の図示しない壁材が、設置され得る。さらに、壁材上に、壁紙が貼り付けられ得る。面材403は、壁405の内側及び外側の少なくとも一方に配置されてよい。柱402、面材403及び間柱404は、床側横架材401に個別に組み付けられてもよく、予め壁パネルとして組み立てられ、床側横架材401に組み付けられてもよい。限定するものではないが、本実施の形態では、平面視において矩形状の平面形状を有する第四ユニット400の長手方向に沿う2つの側部の一方を、壁405aが形成し、この壁405aは、建物の外壁を構成する。
床側横架材401、柱402、壁405及び天井側横架材406は、第四ユニット400がその一部を構成する建物の骨組みを形成する構造材としての役割を果たす。よって、第四ユニット400は、ユニットバス等の設備のみを構成するユニットではなく、建物の構造材を含み且つ建物の主要構造体の一部を構成するユニットである。このような第四ユニット400は、建物の躯体を構成する。また、本実施の形態では、第三ユニット300上に設置された第四ユニット400の床側横架材401及び天井側横架材406の鉛直方向の高さ位置がそれぞれ、第一ユニット100上に設置された第二ユニット200の床側横架材201及び天井側横架材206の鉛直方向の高さ位置と揃うように、構成されている。
図6〜図11を参照すると、本実施の形態では、第三ユニット300及び第四ユニット400は、設備及び階段を備える。設備は、具体的には、住宅設備であり、より具体的には、空調機器、電気設備、内装等を含んでいる。設備及び階段は、第三ユニット300及び第四ユニット400に、建物の建設場所以外の場所で予め設置されている。内装は、第三ユニット300及び第四ユニット400内の床、壁、天井などに施された仕上げ材、建具、収納具等を含み得る。空調機器は、例えば、冷暖房機、熱交換器、排熱利用暖房機、換気設備の少なくとも1つを含む。空調機器は、天井裏、床下又は壁内に形成されたパイプスペースに設置されるダクト等の配管を含んでもよい。
本実施の形態では、上方から下方に向かう平面視において、第三ユニット300及び第四ユニット400はそれぞれ、壁305a及び405aと反対側である屋内側の1つの側部に、直方体状の第一及び第二空調機器スペース501a及び501bを有している。第一及び第二空調機器スペース501a及び501bはそれぞれ、上方から下方に向かう平面視において、壁305a及び405aと反対側の側部の中央に配置されている。そして、第三ユニット300及び第四ユニット400それぞれにおいて、第一及び第二空調機器スペース501a及び501bの両側は、壁で塞がれずに開放している。例えば、図10に示すように、第三ユニット300では、第一空調機器スペース501aの両側に、開口部311及び312が形成されている。開口部311及び312は、第三ユニット300における壁305aと反対側の部位に位置している。開口部311及び312は、建物の屋内から第三ユニット300内に人が入ることを可能にする。また、図11に示すように、第四ユニット400では、第二空調機器スペース501bの両側に、開口部412及び413が形成されている。開口部412及び413は、第四ユニット400における壁405aと反対側の部位に位置している。開口部412及び413は、建物の屋内から第四ユニット400内に人が入ることを可能にする。
第一及び第二空調機器スペース501a及び501bは、第三ユニット300及び第四ユニット400が積み重ねられたとき、上下方向に一列に並び、互いに連通するように配置されている。水平方向の位置が合い且つ互いに連通する第一及び第二空調機器スペース501a及び501bは、1つの空調機器スペース501を形成する。空調機器スペース501は、第三ユニット300から第四ユニット400にわたって、上下に延びる空間である。第一空調機器スペース501aの水平方向の3つの側部は、柱302、面材303及び間柱304が形成する壁305によって覆われ、屋内側の1つの側部は、内装パネル307によって覆われている。第二空調機器スペース501bの水平方向の3つの側部は、柱402、面材403及び間柱404が形成する壁405によって覆われ、屋内側の1つの側部は、内装パネル407によって覆われている。第一空調機器スペース501aの周囲の壁305は、建物の建設場所以外の場所での第三ユニット300の製造時に、他の部材と共に組み立てられる。第二空調機器スペース501bの周囲の壁405は、建物の建設場所以外の場所での第四ユニット400の製造時に、他の部材と共に組み立てられる。
本実施の形態では、空調機器スペース501内に、空調機器500及びヒートポンプ式給湯器530が配置されている。空調機器500は、冷暖房機511及び512、熱交換器521及び522、並びに、各機器用の配管を備える。冷暖房機511及び512は、冷暖房設備における空調室内機である。冷暖房機511及び512は、冷媒の冷凍サイクルを利用した冷暖房機であるが、これに限定されない。第一冷暖房機511及び第二冷暖房機512はそれぞれ、建物の1階の空気及び2階の空気を冷暖房処理する冷暖房機であってもよい。第一熱交換器521は、建物の1階の空気と建物の外気とを熱交換処理する熱交換器であり、第二熱交換器522は、建物の2階の空気と建物の外気とを熱交換処理する熱交換器である。ヒートポンプ式給湯器530は、建物の外気の熱を利用して水を昇温する。限定されるものではないが、本実施の形態では、ヒートポンプ式給湯器530は、二酸化炭素等の自然冷媒を使用した自然冷媒ヒートポンプ式給湯器である。ヒートポンプ式給湯器530は、建物の外気から吸熱した後に圧縮することで昇温する自然冷媒から熱エネルギーを取得し、その後、自然冷媒を膨張させ降圧することで温度低下させる。温度低下後の自然冷媒は、建物の外気と熱交換して吸熱することができる。ヒートポンプ式給湯器530は、上述のサイクルを繰り返すことによって得られる熱エネルギーを用いて、水を昇温する。詳細は後述するが、ヒートポンプ式給湯器530の排熱が、建物の暖房用に利用され得る。
冷暖房機511及びヒートポンプ式給湯器530は、各機器の配管と共に、第三ユニット300の第一空調機器スペース501aに配置され、建物の建設場所以外の場所での第三ユニット300の製造時に、第三ユニット300に組み付けられる。冷暖房機512、並びに熱交換器521及び522は、各機器の配管と共に、第四ユニット400の第二空調機器スペース501bに配置され、建物の建設場所以外の場所での第四ユニット400の製造時に、第四ユニット400に組み付けられる。そして、建設場所において第三ユニット300の上に第四ユニット400を積み重ねる際に、第一空調機器スペース501a及び第二空調機器スペース501b内の各機器の配管が接続される。
図6及び図10に示すように、階段600が、第三ユニット300内に配置される。階段600は、第一空調機器スペース501aの周りでらせん状に延びる廻り階段である。具体的には、階段600は、第一空調機器スペース501aの3つの側部を囲む3つの壁305の外側で、3つの壁305を囲むようにらせん状に延び、平面視において、U字状の形状を有する。階段600が形成するらせんの巻き数は、本実施の形態のような半回転等の1回転未満の巻き数であってもよく、1回転以上の巻き数であってもよい。
階段600は、建物の建設場所以外の場所での第三ユニット300の製造時に、第三ユニット300に組み付けられる。図1、図10及び図11に示すように、本例では、階段600の1階の昇降口600aは、壁305のうちの第一ユニット100に隣接する壁305cと第一空調機器スペース501aとの間に位置し、開口部311に隣接する。階段600の2階の昇降口600bは、壁305のうちの壁305cと反対側の壁305dと第一空調機器スペース501aとの間に位置し、開口部413に隣接する。昇降口600bは、第一空調機器スペース501aに対して、昇降口600aと反対側に位置する。本実施の形態では、昇降口600a及び600bは、同様の方向に開口しており、具体的には、壁305aと反対方向に向かって、つまり、建物の現場建築部分に向かって、開口している。なお、建物の現場建築部分は、建物における建物ユニット1以外の部分であってよい。また、昇降口600a及び600bの開口方向は異なっていてもよい。例えば、昇降口600a及び600bの一方が、壁305aと反対方向に向かって開口し、他方が、壁305c又は305dに向かって開口してもよい。この場合、階段600は、平面視において、L字形状を有する。
さらに、本実施の形態では、昇降口600a及び600bの水平方向の幅は、略同一であるが、昇降口600a及び600bの位置及び寸法は、上記位置及び寸法に限定されない。例えば、昇降口600a及び600bの位置は、上記位置と逆であってもよい。1階及び2階の昇降口600a及び600bの幅が略同一である場合、昇降口600a及び600bの位置を逆に変更しても、第一空調機器スペース501aの位置を変更する必要がない。
図1及び図11に示すように、第四ユニット400内では、第二空調機器スペース501bの周りに空間が形成され、この空間は、人が階段600を昇降するための上方スペースである。第四ユニット400内の第二空調機器スペース501bの周りにおいて、階段600の1階の昇降口600aの上方の位置には、転落防止用の手摺409付きの床408が形成されている。壁405のうちの床408及び第二ユニット200に隣接する壁405cには、開口部411が、床408に隣接して形成されている。そして、開口部411及び412は、床408の近傍に位置し、第四ユニット400の角部の柱402を挟んで隣接する。これにより、建物の2階にいる人は、開口部412を通って床408上を歩き、さらに、開口部411と第二ユニット200の壁205dの開口部211(図5参照)とを通り、第二ユニット200内に入ることができる。床408及び手摺409は、建物の建設場所以外の場所での第四ユニット400の製造時に、組み立てられる。なお、本例では、壁405のうちの壁405cと反対側の壁405dには、開口部が形成されていないが、開口部が形成されてもよい。
図6及び図10に示すように、第三ユニット300内において、階段600の下方に電気設備スペース700が形成されている。具体的には、電気設備スペース700は、階段600の2階の昇降口600bの近傍に配置され、壁305dに隣接している。このような電気設備スペース700は、階段600下のスペースを有効利用し、さらに、電気設備スペース700の上下方向の寸法を大きくとることができる。第三ユニット300は、電気設備スペース700内に、分電盤等の電気設備を備える。本実施の形態では、分電盤は、建物全体の電気系統を制御する分電盤であるが、ユニットの設備等の建物の電気系統の一部を制御する分電盤であってもよい。上記電気設備から延びる配線は、階段600の下を通って配置され、ユニット100、200、300及び400の電気機器等の建物内の他の電気機器と電気的に接続されてもよい。電気設備スペース700の周囲の壁305は、建物の建設場所以外の場所での第三ユニット300の製造時に、他の部材と共に組み立てられる。
上述のような第三ユニット300では、開口部311は、階段600の1階の昇降口600aと建物の1階の屋内空間とを繋ぎ、開口部312は、電気設備スペース700と建物の1階の屋内空間とを繋ぐ。第四ユニット400では、開口部411は、床408上の空間と第四ユニット400の外部とを繋ぎ、開口部412は、床408上の空間と建物の2階の屋内空間とを繋ぎ、開口部413は、階段600の2階の昇降口600bと建物の2階の屋内空間とを繋ぐ。
また、図7に示すように、第三ユニット300の壁305aは、その全体において平面的な形状を有するわけではなく、下部で窪みを形成するように、段差を伴った形状を有している。壁305aは、第三ユニット300の内方へ窪む室外機スペース800を形成する。なお、土台301も、壁305aの窪み形状に合わせた形状を有している。室外機スペース800は、第三ユニット300の側方外方へ開放し、且つ下方へ開放している。さらに、図8及び図9に示すように、室外機スペース800は、階段600の下方に位置している。このような室外機スペース800は、階段600下のスペースを有効利用している。室外機スペース800は、建物の建設場所以外の場所での第三ユニット300の製造時に、形成される。
壁305aのうちの室外機スペース800内に位置し且つ直立する壁305aaには、冷暖房機511及び512の第一室外機513と、ヒートポンプ式給湯器530の第二室外機531とが、壁掛け金具等の取付金具540を用いて取り付けられる。第一室外機513、並びに、第一室外機513と冷暖房機511及び512との接続配管及び電気配線は、建物の建設場所以外の場所での第三ユニット300の製造時に、第三ユニット300に組み付けられる。さらに、第一室外機513と冷暖房機511とは、第三ユニット300の製造時に、接続配管及び電気配線を介して接続される。第二室外機531、及び、第二室外機531とヒートポンプ式給湯器530との接続配管及び電気配線は、建物の建設場所以外の場所での第三ユニット300の製造時に、第三ユニット300に組み付けられる。さらに、第二室外機531とヒートポンプ式給湯器530とは、第三ユニット300の製造時に、接続配管及び電気配線を介して接続される。
階段600の下のスペースを利用する室外機スペース800は、壁305aaに取り付けられた第一室外機513及び第二室外機531並びに取付金具540が、土台301よりも下方に突出しないような大きさに、形成されることができる。室外機スペース800は、壁305aaに取り付けられた第一室外機513及び第二室外機531並びに取付金具540が、水平方向側方に第三ユニット300よりも突出しないような大きさにも、形成されることができる。これにより、第三ユニット300の運搬及び建設場所での第三ユニット300の設置に与える支障を抑えつつ、第一室外機513及び第二室外機531を第三ユニット300に建設場所以外の場所で事前に設置することが可能である。
[1−4.第一〜第四ユニットの配置構成]
上述したように、第一ユニット100及び第二ユニット200では、配管スペース14及び16の位置を変更せずに、様々な設備の配置を設計することができ、配置の変更に伴う設計変更の作業量は低く抑えられる。このため、第一ユニット100及び第二ユニット200の上下方向の積み重ね順序を入れ替えるような変更も、比較的容易に可能である。
例えば、図3及び図12に示すように、第一ユニット100において、壁105bにのみ1つの開口部111が形成されている。なお、図12は、図1の建物ユニット1において、内部が見えるように一部の部材を透かして描いた斜視図である。また、図5及び図12に示すように、第二ユニット200では、壁205dに開口部211が形成され、壁205bに開口部212が形成されている。図10及び図12に示すように、第三ユニット300では、壁305には開口部は形成されず、第一空調機器スペース501aの両側に開口部311及び312が形成されている。また、図11及び図12に示すように、第四ユニット400では、壁405cに開口部411が形成され、第二空調機器スペース501bの両側に開口部412及び413が形成されている。
上述のように構成された第一〜第四のユニット100〜400が、図12に示すような配置で構成された場合、建物ユニット1の外部、つまり建物の屋内から各設備及び階段600へのアクセスが可能である。
また、第一〜第四のユニット100〜400が、図13に示すような配置で構成された場合、第三ユニット300及び第四ユニット400における階段600及び開口部の構成を変更することによって、建物の屋内から各設備及び階段600へのアクセスが可能になる。なお、図13は、図12の建物ユニット1において、第二ユニット200の上に第一ユニット100が配置される構成を示す斜視図である。
この場合、種々の設備を備える第一ユニット100及び第二ユニット200では、開口部の配置が変更されなくてもよい。その代わりに、第四ユニット400の壁405cの開口部411が塞がれ、開口部411と同様の開口部313が、第三ユニット300の壁305cに形成される。この開口部313は、第三ユニット300の内部と第二ユニット200の開口部211とを繋ぐ。さらに、第三ユニット300では、階段600の廻り方向が変更される。つまり、階段600の1階の昇降口600aが、開口部312に位置し、2階の昇降口600bが開口部412に位置する。そして、電気設備スペース700は、図13及び図14に示すように、階段600の下方に位置し、開口部311及び313並びに壁305cに隣接する。図14に示す例では、電気設備スペース700には、分電盤701、蓄電池702、情報盤703、各種設備機器を操作するための操作盤704等が配置されている。分電盤701、蓄電池702、情報盤703及び操作盤704等から延びる配線は、階段600の下を通って配置されてよく、さらに、ユニット100、200、300及び400の電気機器等の建物内の他の電気機器と電気的に接続されてもよい。なお、図14は、図13の建物ユニット1の電気設備スペース700を示す模式的な斜視図である。
なお、第一ユニット100及び第二ユニット200では、第二ユニット200が土台を備え、第一ユニット100が床側横架材及び天井側横架材を備えるように構成される。上述のような構成によって、建物の屋内から各設備及び階段600へのアクセスが可能である。そして、第一〜第四のユニット100〜400は、軽微な部分的な設計変更によって、設備の複数の配置パターンに対応することができる。例えば、設備配置の変更に、配管スペース14、16及び17の変更が伴う場合、各配管の配置、配管に接続される設備の配置等の再設計が必要となり、大幅な設計変更が必要になる。
また、第一〜第四ユニット100〜400それぞれの壁105a〜405aは、建物ユニット1を備える建物の外壁を構成する。これにより、第一〜第四ユニット100〜400は、建物の周縁にまとまって配置されることができる。例えば、図12に示すように配置された第一〜第四ユニット100〜400は、図15に示す例のように、建物A1内に配置され得る。なお、図15は、建物A1内における第一〜第四ユニット100〜400の配置の一例を示す平面図である。建物A1の建設の際、第一〜第四ユニット100〜400は、例えば、第一〜第四ユニット100〜400の製造工場から、建物A1の建設場所に運搬され、設置される。そして、建物A1における第一〜第四ユニット100〜400以外の部分は、現場建築部分であり、第一〜第四ユニット100〜400を基準として、建物A1の建設場所で現場施工される。
図15の例では、第一ユニット100及び第三ユニット300が配置される1階では、第一ユニット100及び第三ユニット300以外の広い居住空間の確保が可能であり、複数のベッドルームが形成されている。第二ユニット200及び第四ユニット400が配置される2階では、第二ユニット200及び第四ユニット400以外の広い居住空間の確保が可能であり、リビングダイニングルーム、書斎、及び和室が形成されている。上述のような居住空間の確保は、建物の平面形状が、矩形状、細長い形状、図15のようなL字形状等のいかなる形状であっても可能である。
また、図13に示すように配置された第一〜第四ユニット100〜400は、図16に示す例のように、建物A2内に配置され得る。なお、図16は、建物A2内における第一〜第四ユニット100〜400の配置の別の一例を示す平面図である。図16の例では、第二ユニット200及び第三ユニット300が配置される1階では、第二ユニット200及び第三ユニット300以外の広い居住空間の確保が可能であり、リビングダイニングルーム、書斎、及び和室が形成されている。第一ユニット100及び第四ユニット400が配置される2階では、第一ユニット100及び第四ユニット400以外の広い居住空間の確保が可能であり、複数のベッドルームが形成されている。上述のような居住空間の確保は、建物の平面形状がいかなる形状であっても可能である。
図15及び図16に示すように、第一〜第四ユニット100〜400において、第一ユニット100及び第二ユニット200の配置を変更することによって、様々な建物のルームプランへの対応が可能である。例えば、リビングダイニングルームを1階に配置するルームプラン、及び、リビングダイニングルームを2階に配置するルームプランのいずれに対しても対応が可能である。
[1−5.空調機器スペースの構成]
空調機器スペース501内に配置される各機器の構成を説明する。空調機器スペース501内には、空調機器500及びヒートポンプ式給湯器530が配置されている。まず、空調機器500の構成を説明する。
図17〜図21を参照すると、空調機器500は、冷暖房機511及び512、熱交換器521及び522、第一室外機513、並びに、各機器用の配管を備える。なお、図17は、図6の空調機器スペース501を建物の屋内から屋外に向かって見た斜視図である。図18は、図17の空調機器スペース501を建物の屋内から屋外に向かう別の方向から見た斜視図である。図19は、図17の空調機器スペース501を背部から、つまり建物の屋外から屋内に向かって見た斜視図である。図20は、図17の空調機器スペース501において熱交換器521及び522並びにそれらの周辺を拡大して示す斜視図である。図21は、図20の吹出部550及びその周辺を拡大して示す斜視図である。
限定されるものではないが、本実施の形態では、空調機器スペース501内において、上方から下方に向かって、第二熱交換器522、第一熱交換器521、第二冷暖房機512、第一冷暖房機511、ヒートポンプ式給湯器530の順で配置されている。具体的には、第一冷暖房機511、ヒートポンプ式給湯器530、並びに、各機器に付随する配管及びダクトは、第一空調機器スペース501aに配設され、第三ユニット300の製造時に、第三ユニット300に組み付けられる。第二熱交換器522、第一熱交換器521、第二冷暖房機512、並びに、各機器に付随する配管及びダクトは、第二空調機器スペース501bに配設され、第四ユニット400の製造時に、第四ユニット400に組み付けられる。
特に図20に示されるように、第一熱交換器521には、外気吸入管521aと、排気管521bと、室内給気管521cとが接続されている。さらに、第一熱交換器521の前面には、建物の屋内に向いた開口部が形成されており、この開口部は室内吸入部521dを構成している。第二熱交換器522には、外気吸入管522aと、排気管522bと、室内給気管522cとが接続されている。さらに、第二熱交換器522の前面には、建物の屋内に向いた開口部が形成されており、この開口部は室内吸入部522dを構成している。空調機器スペース501内に位置する外気吸入管521a及び522a、排気管521b及び522b、並びに、室内給気管521c及び522cは、第二空調機器スペース501b内に収められている。
外気吸入管521a及び522aはそれぞれ、第一熱交換器521及び第二熱交換器522が熱交換用の外気を吸入するための配管である。熱交換用の外気は、第一熱交換器521及び第二熱交換器522において、建物内の空気と熱交換する。外気吸入管521a及び522aはそれぞれ、第一熱交換器521及び第二熱交換器522から上方に延びて、空調機器スペース501外に延び、第四ユニット400の外部、つまり屋外に開口している。外気吸入管521a及び522aは、第四ユニット400内の上部を通り、壁405aで開口する。
排気管521b及び522bはそれぞれ、第一熱交換器521及び第二熱交換器522が、熱交換後の空気を排出するための配管である。熱交換後の空気は、第一熱交換器521及び第二熱交換器522において、熱交換用の外気と熱交換した後の建物内の空気である。排気管521b及び522bはそれぞれ、第一熱交換器521及び第二熱交換器522から上方に延びて、空調機器スペース501外に延び、第四ユニット400の外部、つまり屋外に開口している。排気管521b及び522bは、第四ユニット400内の上部を通り、壁405aで開口する。
室内給気管521c及び522cはそれぞれ、第一熱交換器521及び第二熱交換器522が、熱交換後の外気を建物内に供給するための配管である。室内給気管521c及び522cはそれぞれ、第一熱交換器521及び第二熱交換器522から下方へ延び、さらに、第三ユニット300及び第四ユニット400の連結部分近傍に配置された吹出部550で、略水平方向に屋内に向かって開口している。室内給気管521c及び522cは、吹出部550において、ユニット300及び400から離れる方向、つまり屋内に向かって略水平に延び、ユニット300及び400から突出している。室内給気管521c及び522cは、後述する冷暖房機511及び512の冷暖房吹出部551の水平方向両側に配置され、冷暖房吹出部551よりも突出している。なお、本実施の形態では、吹出部550は、第四ユニット400の製造時に、第四ユニット400に組み付けられ、室内給気管521c及び522c等と接続される。ここで、吹出部550は、吹出口の一例であり、冷暖房吹出部551は、冷暖房吹出口の一例である。
室内吸入部521d及び522dはそれぞれ、第一熱交換器521及び第二熱交換器522が、建物内の空気を吸入するための開口部である。具体的には、室内吸入部521dは、建物の1階に配置された図示しない吸入管と接続され、第一熱交換器521は、室内吸入部521dを介して、建物内の1階の空気を吸入し、吸入した空気と外気とを熱交換する。室内吸入部522dは、建物の2階に配置された図示しない吸入管と接続され、第二熱交換器522は、室内吸入部522dを介して、建物内の2階の空気を吸入し、吸入した空気と外気とを熱交換する。
上述のような第一熱交換器521は、建物内の1階の空気と外気とを熱交換し、熱交換後の1階の空気を建物の屋外に排出し、熱交換後の外気を吹出部550を経由して建物の屋内に給気する。また、第二熱交換器522は、建物内の2階の空気と外気とを熱交換し、熱交換後の2階の空気を屋外に排出し、熱交換後の外気を吹出部550を経由して屋内に給気する。
また、図20及び図21に特に示されるように、冷暖房機511及び512のうちの第一冷暖房機511は、吹出部550の下方に配置され、第二冷暖房機512は、吹出部550の上方に配置されている。第一冷暖房機511から延びる2つの冷暖房給気管511aが、吹出部550の冷暖房吹出部551の下部に接続している。第二冷暖房機512から延びる2つの冷暖房給気管512aが、冷暖房吹出部551の上部に接続している。第一冷暖房機511及び第二冷暖房機512は、冷暖房後の空気を冷暖房吹出部551を通じて建物の屋内に送る。また、第一冷暖房機511及び第二冷暖房機512は、図示しない配管を介して、図7に示す第一室外機513と接続されている。
吹出部550は、第一熱交換器521及び第二熱交換器522の室内給気管521c及び522cそれぞれの吹出口と、第一冷暖房機511及び第二冷暖房機512の冷暖房給気管511a及び512aそれぞれの吹出口とを集約して含む。吹出部550は、水平方向の中央に、冷暖房吹出部551を有している。冷暖房吹出部551は、略水平方向に開放したチャンバである。冷暖房吹出部551は、指向板551a及び551bによって上下に分割され、2つのチャンバを形成している。上方から水平方向側方に向かう湾曲を形成する指向板551aは、冷暖房給気管511aから吹出部550の下側のチャンバ内に、上方に向かって送り出される冷暖房空気を、建物の屋内に向かう略水平方向に指向する。下方から水平方向側方に向かう湾曲を形成する指向板551bは、冷暖房給気管512aから吹出部550の上側のチャンバ内に、下方に向かって送り出される冷暖房空気を、建物の屋内に向かう略水平方向に指向する。
冷暖房吹出部551の水平方向の両側にはそれぞれ、略水平方向に延びる室内給気管521c及び522cが位置している。吹出部550は、冷暖房吹出部551と室内給気管521cとを隔てる隔壁551cと、冷暖房吹出部551と室内給気管522cとを隔てる隔壁551dとを有している。隔壁551c及び551dは、略鉛直に延び、冷暖房給気管511a及び512aから冷暖房吹出部551に送り出された冷暖房空気が、室内給気管521c及び522cに向かって拡散することを抑える。なお、隔壁551c及び551dの間に、指向板551a及び551b、並びに、冷暖房給気管511a及び512aの開口が配置されている。室内給気管521c及び522cの略水平方向の開口は、冷暖房吹出部551の略水平方向の開口から、ユニット300及び400から離れる方向である略水平方向にずれて位置し、具体的には、冷暖房吹出部551の開口よりも、ユニット300及び400から離れた位置にある。冷暖房吹出部551を流れる冷暖房空気の温度と、室内給気管521c及び522cを流れる熱交換後の外気の温度とは、差が大きくなる場合がある。冷暖房吹出部551の開口と室内給気管521c及び522cの開口とが離れているため、冷暖房空気と熱交換後の外気との接触による結露の発生が抑えられる。また、隔壁551c及び551dによっても、冷暖房空気と熱交換後の外気との接触が抑えられる。
図22を参照すると、吹出部550と、ユニット100〜400が配置される建物Aとの関係が示されている。なお、図22は、建物Aの空調構成を示す模式図である。図22に示すように、建物Aは、1階と2階との間の1階の天井に天井懐Bを備えている。天井懐Bは、建物Aの床、天井、壁等によって囲まれ、閉じられた空間を形成している、つまり、チャンバ化されている。天井懐Bは、建物Aの1階の天井及び2階の床のそれぞれに形成された複数の通気孔によって、建物Aの1階の空間及び2階の空間と連通している。さらに、吹出部550は、天井懐Bに連通している。具体的には、吹出部550の室内給気管521c及び522cが天井懐B内で開口し、冷暖房吹出部551が天井懐B内で開口している。
これにより、第一熱交換器521及び第二熱交換器522での熱交換後の外気、並びに、第一冷暖房機511及び第二冷暖房機512による冷暖房空気は、天井懐B内に送り出され、天井懐Bから建物Aの1階の空間及び2階の空間に放出される。建物Aの1階の空間の空気の一部は、第一熱交換器521によって、室内吸入部521dを介して吸入された後に外気と熱交換され、建物Aの外に排出される。建物Aの1階の空間の空気の他の一部は、第一冷暖房機511によって吸入され、冷暖房処理を受ける。建物Aの2階の空間の空気の一部は、第二熱交換器522によって、室内吸入部522dを介して吸入された後に外気と熱交換され、建物Aの外に排出される。建物Aの2階の空間の空気の他の一部は、第二冷暖房機512によって吸入され、冷暖房処理を受ける。このように、チャンバ化された天井懐Bと吹出部550とを用いて、建物A全体の空調制御が可能である。
また、第一冷暖房機511が、建物Aの1階の空間内の温度を検知する第一温度センサ511bを備え、第二冷暖房機512が、建物Aの2階の空間内の温度を検知する第二温度センサ512bを備えてもよい。このとき、第一冷暖房機511は、第一温度センサ511bの検知温度に基づき、冷暖房空気の温度を制御してよく、第二冷暖房機512は、第二温度センサ512bの検知温度に基づき、冷暖房空気の温度を制御してよい。例えば、第一温度センサ511bが、1階の天井付近の温度を検知し、第二温度センサ512bが、2階の床付近の温度を検知してもよい。例えば、建物Aの暖房の際、1階よりも2階の方が暖かくなり、各階において床近傍よりも天井近傍の方が暖かくなる。このため、2階の天井近傍が最も暑くなり、1階の床近傍が最も冷たくなる。上述のように第一温度センサ511b及び第二温度センサ512bを配置することによって、第一温度センサ511b及び第二温度センサ512bの検知温度が、比較的近い温度となるため、第一冷暖房機511及び第二冷暖房機512は、建物A全体を適切な温度に保つことができる。一方、2つの温度センサが、2階の天井近傍の温度及び1階の床近傍の温度を検知する場合、第一冷暖房機511及び第二冷暖房機512は、建物A全体の温度が低くなりすぎる又は高くなりすぎるような空調制御をする可能性がある。
さらに、図17〜図19及び図23〜図25を参照して、ヒートポンプ式給湯器530及びその周辺の構成を説明する。なお、図23は、ヒートポンプ式給湯器530が配置される給湯器空間532の構成を示す模式的な斜視図である。図24は、図23の給湯器空間532を背部から見た斜視図である。図25は、図23のサーキュレーション設備533の下部開口部533ba及びその周囲を拡大して示す模式的な斜視図である。
特に図23に示すように、第三ユニット300は、第一空調機器スペース501a内において、第一冷暖房機511の下方に、ヒートポンプ式給湯器530が配置される給湯器空間532を形成している。本実施の形態では、給湯器空間532は、第三ユニット300の床面上に位置する。給湯器空間532の周囲は、内装パネル307(図1参照)によって覆われる面を除き、断熱壁532aによって覆われている。断熱壁532aは、板状の断熱材で構成されてもよく、断熱材が貼り付けられた板状部材で構成されてもよい。このような給湯器空間532は、断熱空間を形成している。さらに、通気孔532abが、断熱壁532aの内装パネル307と対向する部分である第一断熱壁532aaを貫通して形成されている。通気孔532abは、第一断熱壁532aaの上部に配置されている。図24に示すように、通気孔532abには、断熱壁532aの外側に配置されたサーキュレーション設備533の第一ダクト533aが接続されている。給湯器空間532内に配置されたヒートポンプ式給湯器530が発生する熱は、断熱壁532aによって周囲への放散が抑えられ、通気孔532abから第一ダクト533a内に流出する。
図17、図19及び図24に示すように、サーキュレーション設備533は、第一ダクト533aに加えて、第二ダクト533bと、第二ダクト533bに配置された送風装置533cとを備えている。第二ダクト533bは、第一空調機器スペース501a及び第二空調機器スペース501bを通って上下に延び、両端で開口している。第二ダクト533bは、第一空調機器スペース501aの下部、具体的には、第三ユニット300の床及び土台301の近傍に、末広がり形状の下部開口部533baを有し、第二空調機器スペース501bの上部、具体的には、第四ユニット400の天井の近傍に、円筒状の上部開口部533bbを有している。下部開口部533ba及び上部開口部533bbの形状は、上記形状に限定されない。
図23及び図25に示すように、下部開口部533baは、給湯器空間532の断熱壁532aに外側で隣接して位置し、建物の屋内に向かって開口している。このため、第二ダクト533b内を流れる空気は、下部開口部533baを通って、建物の1階の床面の近傍に放出され得る。又は、建物の1階の床面近傍の空気が、下部開口部533baを通って、第二ダクト533b内に吸入され得る。
図17〜図20に示すように、上部開口部533bbは、下部開口部533baと同様に、建物の屋内に向かって開口している。第二ダクト533b内を流れる空気は、上部開口部533bbを通って、建物の2階の天井の近傍に放出され得る。又は、建物の2階の天井近傍の空気が、上部開口部533bbを通って、第二ダクト533b内に吸入され得る。
また、第一ダクト533aは、通気孔532abから上方へ延び、第二空調機器スペース501b内で、第二ダクト533bと接続し、第二ダクト533bに連通する。送風装置533cは、第二ダクト533bにおいて、第一ダクト533a及び第二ダクト533bの接続部分と下部開口部533baとの間に配置されている。本実施の形態では、送風装置533cは、電動ファンであり、第二空調機器スペース501b内に配置されている。本実施の形態では、送風装置533cは、第二ダクト533b内で、上部開口部533bbから下部開口部533baに向かう空気の流れを形成する。しかしながら、これに限定されず、送風装置533cは、下部開口部533baから上部開口部533bbに向かう空気の流れを形成するようにも構成されてもよい。なお、送風装置533cが上部開口部533bb及び下部開口部533ba間を流れる空気の流れを第二ダクト533b内に形成することができれば、送風装置533cの位置は、上記位置に限らず、いかなる位置であってもよい。また、第一ダクト533a及び第二ダクト533bの接続部分の位置も、第二ダクト533bにおけるいかなる位置であってもよい。
上述のように構成されたサーキュレーション設備533において、例えば、送風装置533cが上部開口部533bbから下部開口部533baに向かう空気の流れを第二ダクト533b内に形成する。この場合、建物の2階の空気が、上部開口部533bbから第二ダクト533b内に吸入され、給湯器空間532内のヒートポンプ式給湯器530の排熱を含む空気が、第一ダクト533aを通って第二ダクト533b内に吸入される。そして、建物の2階の空気及び排熱を含む空気は、第二ダクト533b内で混合され、下部開口部533baから屋内に送り出される。これにより、建物の1階の床面近傍には、建物の2階の空気の熱とヒートポンプ式給湯器530の排熱とを含む比較的暖かい空気が給気される。よって、ヒートポンプ式給湯器530の排熱と、建物の2階の天井にたまった空気の熱とを利用した暖房が可能である。
また、例えば、図26に示すように、サーキュレーション設備533の第二ダクト533bの下部開口部533baの位置、冷暖房機511及び512の冷暖房給気管511a及び512aの開口位置、並びに、熱交換器521及び522の室内給気管521c及び522cの開口位置を変更してもよい。なお、図26は、サーキュレーション設備533、冷暖房機511及び512、並びに、熱交換器521及び522による建物の屋内への給気位置の別例を示す斜視図である。サーキュレーション設備533の第二ダクト533bは、第四ユニット400の天井の近傍に、上部開口部533bbを有し、階段600の背部に、下部開口部533baを有している。具体的には、下部開口部533baは、階段600のけこみ板に向かって開口している。階段600のけこみ板は、空気を通過させることができるように構成されている。例えば、階段600のけこみ板には、複数のスリット、複数の通気孔等の複数の穴が形成される、又は、けこみ板が、グリル状、メッシュ状等の構成を有している。このため、下部開口部533baからの給気は、けこみ板を通過して、建物の屋内に供給される。限定するものではないが、本例では、下部開口部533baは、建物の1階に位置し、具体的には、第三ユニット300の床面の近傍に位置する。
また、第一冷暖房機511の冷暖房給気管511aは、第二ダクト533bの下部開口部533baと同様に、階段600のけこみ板の背部で開口している。限定するものではないが、本例では、冷暖房給気管511aは、第三ユニット300の床面の近傍で開口している。冷暖房給気管511aから送り出される冷暖房空気は、けこみ板を通過して、建物の1階の屋内に供給される。第二冷暖房機512の冷暖房給気管512aは、第四ユニット400の天井の近傍で開口し、冷暖房空気を建物の2階の屋内に供給する。第一熱交換器521の室内給気管521cは、図21に示す吹出部550と同様の位置で開口し、熱交換後の外気を建物の1階の屋内に供給する。第二熱交換器522の室内給気管522cは、第四ユニット400の天井の近傍で開口し、熱交換後の外気を建物の2階の屋内に供給する。なお、階段600の背部には、建物の屋内に給気するための配管及びダクトが配置されていたが、これに限定されず、建物の屋内から吸気するための配管及びダクトが配置されもよい。
[2.効果など]
実施の形態において、第一の態様の建物は、建物の躯体を構成し且つ建物の建設場所以外で製造される建物ユニット1と、建設場所で建築される現場建築部分とを含む。建物ユニット1は、階段600を備え且つ建物の少なくとも2つの階層を形成する階段ユニットとしての階段空調ユニット2000と、水廻設備を備え且つ建物の少なくとも2つの階層を形成する水廻ユニット1000とを含み、階段空調ユニット2000及び水廻ユニット1000は、隣接して配置される。
上記構成において、2階建て以上の建物に必要な「階段」及び「水廻設備」を隣接させて1つのパッケージにまとめてしまうことで、建物内の残りの空間を広く使えることになり、建物内の自由設計領域を広く取ることができる。さらに、水廻ユニット1000に水廻設備を集中させることによって、給排水管をコンパクトに集約して納めることが容易になり、給排水管のメンテナンスも容易になる。さらに、例えば、空調機器、電気設備等の電気的な設備を階段空調ユニット2000に配置すれば、電気的な設備及びその配線を、給排水管等による水分の影響を受けないように納めることができる。そして、このようなユニットでは、「階段」及び「水廻設備」の様々な配置プランへの対応が可能である。また、「階段」及び「水廻設備」を1つのユニットにまとめると、ユニットが大型化し、建設場所以外の場所で製造されたユニットを、建設場所に運搬することができなくなる。また、階段、水廻設備の施工は、工数が多く複雑であるため、作業者の数を増加しても工期短縮にそれ程の効果がなく、工期を要する。これらの施工を予め済ませた状態の建物ユニット1を建設場所に搬入し設置するように施工すれば、工期の短縮が可能である。
第一の態様の建物において、水廻ユニット1000の水廻設備は、浴室13、洗面台12、トイレ11、キッチン15のうちの少なくとも1つを含む。上記構成において、上述のような水廻設備の施工は、特に、工数が多く複雑であるため、水廻ユニット1000に予め組み込んでおくことは、工期及び施工精度の面から特に好ましい。
第一の態様の建物において、階段空調ユニット2000の壁305a及び405aと水廻ユニット1000の壁105a及び205aとは一緒に、建物の外壁を構成する。階段空調ユニット2000は、建物の外壁を構成する壁305a及び405aと反対側の部位に開口部311、312、412及び413を有する。水廻ユニット1000は、建物の外壁を構成する壁105a及び205aと反対側の部位に開口部111及び212を有する。上記構成において、人が、建物の屋内から、水廻ユニット1000及び階段空調ユニット2000に入ることが容易である。水廻ユニット1000及び階段空調ユニット2000は、建物の外壁を構成するため、建物の周縁にまとめて配置することができる。これにより、建物内の残りの空間の利用の自由度が向上する。
第一の態様の建物において、階段空調ユニット2000は、互いに分離及び連結可能である複数の分割階段ユニットとして、第三ユニット300及び第四ユニット400を含み、第三ユニット300及び第四ユニット400は、互いに積み重ねられて連結され、第三ユニット300及び第四ユニット400はそれぞれ、1つの階層を形成する。また、水廻ユニット1000は、互いに分離及び連結可能である複数の分割水廻ユニットとして、第一ユニット100及び第二ユニット200を含み、第一ユニット100及び第二ユニット200は、互いに積み重ねられて連結され、第一ユニット100及び第二ユニット200はそれぞれ、1つの階層を形成する。
上記構成において、製造場所から建設場所までの運搬の際、水廻ユニット1000及び階段空調ユニット2000はそれぞれ、コンパクトな状態で輸送可能である。これにより、一般道路を使用したトラックでの水廻ユニット1000及び階段空調ユニット2000の輸送が可能になる。分割された各ユニットは1つの階層を形成するため、ユニットの設計、製造、並びに、建設場所での組み立て及び連結が容易である。
第一の態様の建物において、階段空調ユニット2000は、階段空調ユニット2000から水廻ユニット1000に向かう第一の方向に開口する第一開口部としての開口部411と、階段空調ユニット2000から建物の屋内に向かい且つ第一の方向と異なる第二の方向に開口する第二開口部としての開口部412とを、同一の階層に有する。例えば、階段空調ユニット2000の開口部411及び412は、階段空調ユニット2000の角部を挟んで隣り合ってもよい。
上記構成において、例えば、水廻ユニット1000において、階段空調ユニット2000と隣接する壁に開口がある場合、開口部411を利用した水廻ユニット1000及び階段空調ユニット2000間の人の出入りが可能である。水廻ユニット1000において、階段空調ユニット2000と隣接する壁に開口がない場合、開口部412を利用した水廻ユニット1000及び階段空調ユニット2000間の人の出入りが可能である。例えば、1階層の配置と2階層の配置とが入れ替わるなどの水廻ユニット1000の水廻設備及び開口部の様々な配置プランに対応して、水廻ユニット1000及び階段空調ユニット2000間の通路の確保が可能である。さらに、開口部411及び412が階段空調ユニット2000の角部を挟んで隣り合う場合、開口部411及び412が近接して位置するため、水廻ユニット1000での配置プランに対応した水廻ユニット1000及び階段空調ユニット2000間の通路の変化が、小さく抑えられる。
第一の態様の建物において、階段空調ユニット2000は、階段600の下のスペースに、分電盤701と、分電盤701から水廻ユニット1000に延びる配線とを備える。例えば、階段空調ユニット2000の分電盤701は、階段600の下のスペース内において、水廻ユニット1000の方向に偏った位置に配置されてもよい。
上記構成において、分電盤701を、階段600下の空きスペースに配置することができる。分電盤701に集中する複雑な電気配線は建設場所以外での建物ユニット1の製造時に設置されるため、建設場所での省施工につながる。さらに、階段空調ユニット2000及び水廻ユニット1000が隣り合うため、これらの間で、電気配線を短く無駄なく配線することができる。さらに、図14の例のように、分電盤701が水廻ユニット1000の方向へ偏った位置にあると、階段空調ユニット2000及び水廻ユニット1000間の電気配線を効率的に短くすることができる。
実施の形態において、第二の態様の建物は、建物の躯体を構成し且つ建物の建設場所以外で製造される建物ユニット1と、建設場所で建築される現場建築部分とを含む。建物ユニット1は、浴室13を備える第一ユニット100と、キッチン15を備える第二ユニット200とを含み、第一ユニット100及び第二ユニット200は、積み重ねて配設され、建物の少なくとも2つの階層を形成する。
上記構成において、浴室13とキッチン15とが、上下の階層に分かれて配置される。これにより、水平方向で水廻りが集約され、浴室13及びキッチン15等に接続される給排水管路長が短くなり、給排水管の施工が容易になる。また、給排水経路が集約されるため、水廻設備の自由設計領域を広げることができる。
第二の態様の建物において、第一ユニット100及び第二ユニット200はそれぞれ、建物の互いに異なる1つの階層を形成する。上記構成において、第一ユニット100及び第二ユニット200は互いに上下に配置される。これにより、第一ユニット100及び第二ユニット200の給排水管も上下方向に延在するため、給排水管の水平方向での集約が可能である。
第二の態様の建物において、第一ユニット100は、上下に延びる第一配管スペース14を備え、第二ユニット200は、上下に延びる第二配管スペース16を備え、第一配管スペース14及び第二配管スペース16は、積み重ねられた状態の第一ユニット100及び第二ユニット200において、上下に並び且つ互いに連通するように配置される。上記構成において、例えば、第一ユニット100と第二ユニット200とを上下に入れ替えるような水廻設備のプランニングをする際、第一配管スペース14及び第二配管スペース16の位置を維持するように設計することができる。これにより、給排水管の大きな設計変更を伴わずにプランニングを行うことができるため、効率のよいプランニングが可能である。
第二の態様の建物において、第一配管スペース14は、第一ユニット100内において、浴室13と反対側に配置され、第二配管スペース16は、第二ユニット200内において、キッチン15と反対側に配置される。上記構成において、第一配管スペース14及び第二配管スペース16の位置を、水廻設備の配置に与える影響が小さい位置にすることができる。よって、水廻設備のプランニングの自由度が大きくなる。
第二の態様の建物において、第二ユニット200は、第一ユニット100の浴室13から延びる排水管と接続される配管を収容する第三配管スペース17を備え、第三配管スペース17は、キッチン15の背部に配置され、第三配管スペース17及び浴室13の排水管は、積み重ねられた状態の第一ユニット100及び第二ユニットにおいて、上下に並んで配置される。上記構成において、浴室13の排水管のように流量が大きい管と接続される配管長を短くすることが可能である。これにより、配管に作用する負荷、配管コストの低減が可能になる。例えば、浴室13と反対側にある第一配管スペース14及び第二配管スペース16を用いる場合、浴室13の排水管と接続される配管の長さが大きくなる。
第二の態様の建物において、第三配管スペース17は、キッチン15に配設される収納棚15aを通る。上記構成において、例えば、収納棚15aの裏側を第三配管スペース17にすることができ、これにより、第三配管スペース17及び配管を屋内から見えにくくすることができる。収納棚15aを通る第三配管スペース17は、水廻設備の配置に与える影響を低く抑えることができる。また、浴室13を含む第一ユニット100が第二ユニット200の下に配置される場合、第三配管スペース17は、不要になるため、収納棚15aの一部として利用可能である。
実施の形態において、第三の態様の建物ユニット1は、建物の躯体を構成し且つ建物の建設場所以外で製造される。建物は、建物ユニット1と、建設場所で建築される現場建築部分とを含む。建物ユニット1を構成する階段空調ユニット2000は、建物の現場建築部分に向かって開口する昇降口600a及び600bを有する階段600と、建物の空調を行う空調機器500とを備える。
上記構成において、建物の空調を行う空調機器500の全てを階段空調ユニット2000に集約して納めるように構成することができる。この場合、空調機器500の全てが、建設場所以外での階段空調ユニット2000の製造時に、階段空調ユニット2000に組み付けられてもよい。又は、空調機器500の一部が階段空調ユニット2000の製造時に階段空調ユニット2000に組み付けられ、空調機器500の一部が、建設場所で階段空調ユニット2000に組み付けられてもよい。また、建物内において、階段空調ユニット2000以外の領域の設計の自由度が大きくなる。なお、昇降口600a及び600bの両方が現場建築部分に向かって開口してもよく、昇降口600a及び600bの一方が建物の現場建築部分に向かって開口してもよい。
第三の態様の建物ユニット1の階段空調ユニット2000において、空調機器500は、階段600によって繋がれる建物の階層それぞれの空調を行うように構成される。上記構成において、階段600が延びる上下の階層に対して、空調機器500は、空調を行う。空調機器500及び階段600が、例えば、空調機器500のダクト及び配管等と共に、同一の階段空調ユニット2000に組み込まれるため、上述のような空調範囲を有する空調機器500を構成することが容易である。
第三の態様の建物ユニット1において、階段空調ユニット2000は、空調スペースとしての空調機器スペース501をさらに備え、空調機器スペース501は、階段600によって繋がれる建物の各階層を通って延び、且つ空調機器500を収容し、階段600は、空調機器スペース501の周りにらせん状に延びる。上記構成において、階段空調ユニット2000内で、空調機器500及び階段600が、スペースの無駄を低減して配置されることができる。また、階段600は、空調機器スペース501の周りにらせん状に延びるため、階段長を長くすることができ、階段の勾配を緩くすることができる。さらに、階段600は、時計回り及び反時計回りのいずれの周回方向にも、空調機器スペース501の周りでらせん状に延びるように構成することができる。つまり、階段600の廻り階段の方向の反転が可能である。よって、階段空調ユニット2000の周囲の状態に応じて、階段600における廻り階段の方向を任意に選択することが可能である。なお、階段600が形成するらせんの巻き数は、半回転等の1回転未満であってもよく、1回転以上であってもよい。
第三の態様の建物ユニット1の階段空調ユニット2000において、階段600は、建物の第一階層と、第一階層の上方の建物の第二階層とを繋ぐ。さらに、階段600における第一階層及び第二階層それぞれの昇降口600a及び600bは、空調機器スペース501を挟んで互いに反対側に位置し、建物の現場建築部分に向かって同様の方向に向いている。上記構成において、階段空調ユニット2000は、昇降口600a及び600bの開口方向が現場建築部分に向かうように、つまり、1つの方向が現場建築部分に向かうように配置されれば、現場建築部分と階段600とのアクセスを確立することができる。よって、建物内における階段空調ユニット2000の配置の自由度が大きくなる。
第三の態様の建物ユニット1の階段空調ユニット2000において、階段600は、建物の第一階層と、第一階層の上方の建物の第二階層とを繋ぎ、空調機器500は、第一階層の温度を検知する第一温度センサ511bを備え且つ第一温度センサ511bの検知結果に基づき空調を行う第一空調機器としての第一冷暖房機511と、第二階層の温度を検知する第二温度センサ512bを備え且つ第二温度センサ512bの検知結果に基づき空調を行う第二空調機器としての第二冷暖房機512とを含む。上記構成において、第一階層の温度及び第二階層の温度に対応した空調制御が可能である。
第三の態様の建物ユニット1の階段空調ユニット2000において、空調機器500は、階段600に、吸気口及び送気口の少なくとも一方を有する。例えば、空調機器500は、サーキュレーション設備533の送気口である下部開口部533ba、及び、第一冷暖房機511の冷暖房給気管511aの開口が、階段600に配置されてもよい。上記構成において、吸気口又は送気口を有する配管又はダクトは、階段600の下のスペースに配置され得る。これにより、階段600の下のスペースの有効利用が可能である。また、建物の屋内から空調機器500を見たとき、配管及びダクトの吸気口又は送気口が、階段600によって隠される。これにより、建物の屋内の美観が向上する。また、階段600への吸気口及び送気口の配置は、建設場所以外での階段空調ユニット2000の製造時に行うことができる。例えば、階段600が複雑な構造であっても、建設場所での工期への影響を抑え、高い施工精度を伴った吸気口及び送気口の施工が可能である。
第三の態様の建物ユニット1の階段空調ユニット2000において、階段600は、建物の第一階層と、第一階層の上方の建物の第二階層とを繋ぎ、建物ユニットを構成する階段空調ユニット2000は、第二階層の階段600の昇降口600bの周囲に、異なる方向に開口する2つの開口部を有する。上記構成において、階段空調ユニット2000の周囲の建物のプランニングに応じて、第二階層の階段600の昇降口600bへの出入り口として、2つの開口部の少なくとも一方を選択することによって、当該昇降口600bへの通路が確保される。例えば、上記2つの開口部は、図11に示される第四ユニット400の開口部413と、壁405dに形成される開口部とであってもよい。また、上記のような2つの開口部は、第一階層の階段600の昇降口600aの周囲に配置されてもよい。
実施の形態において、第四の態様の建物ユニット1は、少なくとも2つの階層を含む建物の躯体を構成し且つ建物の建設場所以外で製造される。建物は、建物ユニット1と、建設場所で建築される現場建築部分とを含む。建物ユニット1を構成する階段空調ユニット2000は、空調機器500と、空調機器500の吹出口としての吹出部550とを備え、吹出部550は、建物の2つの階層の間の天井懐B内に開口する。
上記構成において、吹出部550から天井懐B内に供給される空調機器500の空調空気を、天井懐Bから上下の階層に放出するように構成することによって、上下の階層全体の空調が可能である。建物が2階建ての場合、天井懐Bをチャンバとした建物全体の空調、つまり全館空調が可能である。さらに、上下の階層に空調空気を放出する構成は、大掛かりなダクト等の設置を必要とせず、階段空調ユニット2000と天井懐Bとを隣接させ、吹出部550を天井懐B内に開口させるだけで実現可能である。よって、建設場所での省施工化が可能になる。
第四の態様の建物ユニット1の階段空調ユニット2000において、空調機器500は、冷暖房機511,512及び熱交換器521,522を備え、吹出部550は、冷暖房機511,512の第一吹出口としての冷暖房吹出部551と、熱交換器521,522の第二吹出口としての室内給気管521c,522cとを含む。上記構成において、冷暖房機511,512の第一吹出口及び熱交換器521,522の第二吹出口が、吹出部550でコンパクトに集約される。これにより、第一吹出口及び第二吹出口と天井懐Bとの接続が容易になり、建設場所での省施工化が可能になる。
第四の態様の建物ユニット1の階段空調ユニット2000において、吹出部550は、冷暖房吹出部551と室内給気管521c,522cとを隔てる隔壁551c,551dを有する。上記構成において、隔壁551c,551dは、冷暖房吹出部551からの放出直後の冷暖房機511,512の冷暖房空気と、室内給気管521c,522cからの放出直後の熱交換器521,522の熱交換空気とが接触して急激な温度変化を起こし、天井懐B内で結露を発生することを抑制する。
第四の態様の建物ユニット1の階段空調ユニット2000において、冷暖房吹出部551と室内給気管521c,522cとは、階段空調ユニット2000から天井懐Bに向かう方向に位置をずらして配置される。上記構成において、冷暖房吹出部551の開口と室内給気管521c,522cの開口とは、離されている。これにより、冷暖房吹出部551からの放出直後の冷暖房空気と、室内給気管521c,522cからの放出直後の熱交換空気とが、接触し結露を発生することが抑えられる。
実施の形態において、第五の態様の建物ユニット1は、建物の躯体を構成し且つ建物の建設場所以外で製造される。建物は、建物ユニット1と、建設場所で建築される現場建築部分とを含む。建物ユニット1を構成する階段空調ユニット2000は、階段600と、ヒートポンプ式給湯器530と、ヒートポンプ式給湯器530の排熱を階段空調ユニット2000外に送り出すサーキュレーション設備533とを備える。
上記構成において、サーキュレーション設備533が、ヒートポンプ式給湯器530の排熱を建物の屋内に送り出すように構成することによって、ヒートポンプ式給湯器530の排熱を暖房等の空調に利用することができる。そして、階段空調ユニット2000には、階段600に加え、ヒートポンプ式給湯器530、及び、ヒートポンプ式給湯器530の排熱を利用した空調設備を集約することができる。
第五の態様の建物ユニット1において、階段空調ユニット2000は、ヒートポンプ式給湯器530が配置される給湯器空間532をさらに備え、給湯器空間532は、給湯器空間532の外部に対して断熱されており、サーキュレーション設備533は、給湯器空間532内のヒートポンプ式給湯器530の排熱を階段空調ユニット2000外に送り出す。上記構成において、ヒートポンプ式給湯器530の排熱は、給湯器空間532から外部に放散することが抑えられ、サーキュレーション設備533へ効率的に流入する。これにより、ヒートポンプ式給湯器530の排熱の活用効率が向上する。
第五の態様の建物ユニット1において、階段空調ユニット2000は、建物の少なくとも2つの階層を形成し、サーキュレーション設備533は、ヒートポンプ式給湯器530から排熱を導出する第一ダクト533aと、階段空調ユニット2000が形成する少なくとも2つの階層それぞれで開口する第二ダクト533bとを備え、第二ダクト533bは、第一ダクト533aと連通する。上記構成において、例えば、第二ダクト533b内に上方から下方に向かう気流を発生させることによって、上側の階層の暖かい空気を、第二ダクト533bを通じて、空気の温度がより低い下側の階層に送ることが可能である。このとき、ヒートポンプ式給湯器530の排熱が、第一ダクト533a及び第二ダクト533bを通じて、下側の階層に送られ得る。これにより、上側の階層の暖かい空気とヒートポンプ式給湯器530の排熱とによる下側の階層の空調が可能である。
第五の態様の建物ユニット1の階段空調ユニット2000において、サーキュレーション設備533は、ヒートポンプ式給湯器530から排熱を導出する第一ダクト533aと、階段空調ユニット2000の外部から吸気する吸気ダクトとしての第二ダクト533bとを備え、第二ダクト533bは、第一ダクト533aと連通する。上記構成において、第一ダクト533a及び吸気ダクトに吸入方向の気流を発生させることによって、第一ダクト533a及び吸気ダクト内にそれぞれ、ヒートポンプ式給湯器530の排熱、及び、階段空調ユニット2000の外部の空気が吸入されて混ざり合い、サーキュレーション設備533によって空調空気として送り出される。吸気ダクトが建物の屋内に開口している場合、屋内空気とヒートポンプ式給湯器530の排熱とが混合した空調空気が形成される。
第五の態様の建物ユニット1の階段空調ユニット2000において、サーキュレーション設備533は、ヒートポンプ式給湯器530からの排熱の流れを制御する送風装置533cをさらに備える。上記構成において、送風装置533cによって、ヒートポンプ式給湯器530の排熱の流れの能動的な制御が可能になる。これにより、排熱を利用した効果的な空調が可能になる。
第五の態様の建物ユニット1の階段空調ユニット2000において、階段600は、廻階段であり、ヒートポンプ式給湯器530は、廻階段の内側に配置される。上記構成において、ヒートポンプ式給湯器530は、階段空調ユニット2000内、つまり、建物の屋内に納められる。これにより、建物の外観の美観が向上する。
実施の形態において、第六の態様の建物ユニット1は、建物の躯体を構成し且つ建物の建設場所以外で製造される。建物は、建物の外壁を構成する建物ユニット1と、建設場所で建築される現場建築部分とを含む。建物ユニット1を構成する階段空調ユニット2000は、階段空調ユニット2000内に配置される階段600と、建物の外側で、建物の外壁を構成する階段空調ユニット2000の壁305aに形成された室外機スペース800とを備え、室外機スペース800は、設備機器の室外機が配置されるスペースであり、階段600の下方に位置する。
上記構成において、室外機スペース800は、階段600の下方の通常利用されない空間、つまり、階段600下のデッドスペースを利用して形成することができる。このような室外機スペース800に室外機を配置することによって、スペースの有効利用が可能である。そして、室外機が階段空調ユニット2000から側方へ突出する量も低減することができる。
第六の態様の建物ユニット1の階段空調ユニット2000において、室外機スペース800は、建物の外壁を構成する階段空調ユニット2000の壁305aに形成された窪みであり、階段600の下方で階段空調ユニット2000の内方へ窪む。上記構成において、室外機スペース800は、階段600の下のデッドスペースを利用した窪みである。室外機スペース800内に配置される室外機513,531は、階段空調ユニット2000から側方へ突出しないように、階段600の下に潜るように配置されることができる。これにより、室外機513,531は、建物の外観上で目立たなくなり、建物の美観への影響を低減する。
第六の態様の建物ユニット1において、設備機器は、階段空調ユニット2000に配置され、室外機513,531が、室外機スペース800に配置される。上記構成において、例えば、冷暖房機511,512及びヒートポンプ式給湯器530等の設備機器と、室外機513,531とが近く位置するため、両者を接続する配管長の低減が可能である。
第六の態様の建物ユニット1の階段空調ユニット2000において、室外機513,531は、室外機スペース800の階段空調ユニット2000の壁305aaに取り付けられる。上記構成において、室外機513,531は、階段空調ユニット2000に取り付けられるため、階段空調ユニット2000と共に移動する。さらに、室外機513,531は、階段空調ユニット2000よりも下方に突出しないように、階段空調ユニット2000に取り付けられると、運搬、設置等の階段空調ユニット2000の移動時に外部の障害物と接触して損傷することを抑えることができる。
第六の態様の建物ユニット1の階段空調ユニット2000において、設備機器及び室外機513,531は、階段空調ユニット2000に搭載された状態で建設場所に運搬されるように、建設場所以外で階段空調ユニット2000に設置されて互いに接続されている。上記構成において、階段空調ユニット2000が建設場所に搬入される前に、設備機器及び室外機513,531が予め、階段空調ユニット2000に取り付けられる。例えば、建物の外構工事が終わった後、従来では、室外機が設置されていたが、建設場所において、室外機の設置工事が不要になり、室外機と設備機器との接続工事が低減する。
第六の態様の建物ユニット1の階段空調ユニット2000は、階段空調ユニット2000内の階段600の下方に形成された電気設備スペース700と、電気設備スペース700に配置された分電盤701とをさらに備える。また、階段空調ユニット2000は、電気設備スペース700に配置された蓄電池702をさらに備えてもよい。上記構成において、階段600の下方のスペースを有効利用して、室外機513,531、分電盤701及び蓄電池702を集約して配置することができる。室外機513,531、分電盤701及び蓄電池702は、日常的には利用されない階段600の下方のスペースに納められるため、建物の使用の妨げになること、並びに、建物の内観及び外観を損なうことを抑えることができる。また、分電盤701及び蓄電池702は、電気設備スペース700内に集約して配置されるため、メンテナンスを容易にする。
第六の態様の建物ユニット1の階段空調ユニット2000において、設備機器は、階段空調ユニット2000に配置され、設備機器は、ヒートポンプ式給湯器530及び空調機器500を含み、室外機は、ヒートポンプ式給湯器530の室外機531及び空調機器500の室外機513を含み、空調機器500は、ヒートポンプ式給湯器530の上方に配置される。上記構成において、ヒートポンプ式給湯器530と室外機531との距離が小さくなるため、ヒートポンプ式給湯器530と室外機531とを接続する配管の長さの低減が可能である。
なお、上記の説明では、室外機スペース800には、冷暖房機511及び512の室外機513と、ヒートポンプ式給湯器530の室外機531とが配置されていたが、いかなる機器が配置されてもよい。例えば、図27に示すように、冷暖房機511及び512の室外機513と、ガス給湯器の室外機560とが、室外機スペース800内に配置され、壁305aaに固定されてもよい。なお、図27は、室外機スペース800に配置される機器の別例を示す斜視図である。
[その他]
以上、本発明について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、実施の形態では、建物ユニット1は、水廻ユニット1000と階段空調ユニット2000とを備えていたが、これに限定されず、水廻ユニット1000及び階段空調ユニット2000の一方のみを備えてもよい。又は、建物ユニット1は、水廻ユニット1000及び階段空調ユニット2000の少なくとも一方を2つ以上備えてもよい。
また、実施の形態では、水廻ユニット1000及び階段空調ユニット2000はいずれも、積み重ねられる2つのユニットで構成されていたが、これに限定されず、1つのユニットで構成されてもよく、3つ以上のユニットで構成されてもよい。3つ以上のユニットで構成される水廻ユニット1000及び階段空調ユニット2000は、3階以上の上層階を構成してもよく、地下1階等の地階を構成してもよい。
また、実施の形態では、階段空調ユニット2000は、階段600と、空調機器500等の設備とを備えていたが、いずれか一方のみを備える構成であってもよい。
また、実施の形態では、水廻ユニット1000及び階段空調ユニット2000を構成する第一〜第四ユニット100〜400はそれぞれ、建物の1つの階層を形成していたが、これに限定されない。第一〜第四ユニット100〜400の少なくとも2つが一緒に、建物の1つの階層を形成してもよく、第一〜第四ユニット100〜400の1つが、建物の1つ超の階層を形成してもよい。
また、実施の形態では、第一〜第四ユニット100〜400が木造軸組工法によって形成される例について示したが、これに限定されない。例えば、2×4工法などの木造枠組壁工法、又は、鉄骨造等の他の工法が、第一〜第四ユニット100〜400に用いられてもよい。よって、第一〜第四ユニット100〜400の柱材は、木材に限らず、鉄骨材でもよい。また、第一〜第四ユニット100〜400の柱材は、第一〜第四ユニット100〜400の枠の一部でもよい。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。