以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明の建物を鉄骨ラーメン構造を有する二階建てユニット式建物として具体化している。まず、ユニット式建物について、図4、図5を参照しつつ説明する。図4は建物10の概略図、図5は建物ユニット20の構成を示す斜視図である。
図4に示すように、住宅等の建物10は、基礎11の上に設けられた建物本体12と、建物本体12の上に設けられた屋根13とを有している。建物本体12は、一階部分14及び二階部分15を有しており、一階部分14が下階部に相当し、二階部分15が上階部に相当する。屋根13は、一対の傾斜屋根部を有する切妻屋根になっている。なお、屋根13は、寄棟屋根や陸屋根とされていてもよい。
建物本体12は、直方体状の建物ユニット20が複数組み合わされることで構築されている。一階部分14及び二階部分15は、横並びに配置された複数の建物ユニット20をそれぞれ有しており、一階部分14の建物ユニット20と二階部分15の建物ユニット20とは上下に重ねて配置されている。建物ユニット20は、ユニット製造工場等の工場にて製造され、その後、トラック等により建築現場に運搬される。
図5に示すように、建物ユニット20は、四隅に配置された柱21と、柱21の上端部(上仕口)に連結された天井大梁22と、柱21の下端部(下仕口)に連結された床大梁23とを有しており、これら柱21、天井大梁22、床大梁23により直方体状の骨格(ユニット躯体)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。また、天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、溝部開放側を互いに向き合わせるようにユニット内側に向けて配置されている。
建物ユニット20において長辺部(桁面)に沿って延び且つ相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく長辺部に沿って延び且つ相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。天井小梁25及び床小梁26は、それぞれ同一の間隔で且つ短辺側(妻側)の天井大梁22及び床大梁23と平行に延びている。天井小梁25及び床小梁26はそれぞれリップ溝形鋼よりなる。天井小梁25によって天井面材27が支持され、床小梁26によって床面材28が支持されている。
建物10には、複数の居住空間の換気をまとめて行う全館換気設備が設けられている。ここでは、全館換気設備について図1を参照しつつ説明する。図1は一階部分14の平面図、図2は一階部分14の概略縦断面図、図3は基礎11の平面図である。なお、図3においては、一階部分14の建物ユニット20の配置を一点鎖線にて示している。
図1に示すように、一階部分14は、その屋内空間を屋外に対して区画している外壁31と、屋内空間を複数の居住空間に仕切っている間仕切壁32とを有している。一階部分14は、居住空間として、和室41、リビング42、ダイニング43、キッチン44、廊下45、洗面室46、浴室47、トイレ48を有しており、和室41、リビング42、ダイニング43及びキッチン44が居室空間に相当し、廊下45、洗面室46、浴室47及びトイレ48が非居室空間に相当する。なお、和室41やリビング42、洗面室46においては、外壁31に窓部が設けられている。
廊下45は、和室41やリビング42、ダイニング43、洗面室46に隣り合っている。和室41は、廊下45を挟んでリビング42やダイニング43、洗面室46とは反対側に配置されており、和室41からは廊下45を経由することでリビング42や洗面室46に行き来できるようになっている。間仕切壁32には、和室41の和室出入口51と、リビング42のリビング出入口52と、ダイニング43のダイニング出入口53と、洗面室46の洗面室出入口54とが設けられており、これら出入口51〜54は、それぞれ廊下45に通じている。
出入口51〜54には、引き戸や開き戸等の扉体56がそれぞれ設けられている。出入口51〜54には、扉体56により形成された屋内通気部57(図2参照)が設けられており、出入口51〜54においては、扉体56が閉状態になっていても、屋内通気部57を通じた通気が可能になっている。なお、屋内通気部57としては、扉体56(開き戸)と床面との間に形成されたアンダーカットや、扉体56(引き戸)とその扉体56を支持する枠体との間の隙間、扉体56に設けられた通気孔などが挙げられる。
外壁31には、屋内空間と屋外とを通気可能に連通した屋外通気部61,62が設けられている。屋外通気部61,62は、外壁31に形成された通気孔であり、和室41、リビング42、ダイニング43に第1屋外通気部61が設けられ、洗面室46に第2屋外通気部62が設けられている。これら第1屋外通気部61及び第2屋外通気部62は、和室41、リビング42、ダイニング43及び洗面室46のそれぞれにおいて、窓部よりも高い位置に配置されている。
第2屋外通気部62には、建物10内から屋外に空気を強制的に排出することが可能な排気ファン63が設けられている。排気ファン63は、電気式の送風装置であり、排気ファン63は、洗面室46に設置されており、第2屋外通気部62を屋内側から覆う状態で外壁31の屋内側面に取り付けられている。なお、排気ファン63が排出手段に相当する。
洗面室46の排気ファン63が動作した場合、屋内空間全体が屋外に対して負圧になることで、各第1屋外通気部61を通じて和室41やリビング42、ダイニング43に外気が流れ込み、これら和室41やリビング42、ダイニング43から出入口51〜53の各屋内通気部57を通じて廊下45に流れ出た空気が、洗面室出入口54の屋内通気部57を通じて洗面室46に流れ込み、第2屋外通気部62を通じて屋外に流れ出す、という空気の流れが生じやすくなっている。この場合、第1屋外通気部61は、外気を建物10内に取り込む外気取込部に相当し、第2屋外通気部62は、内気を屋外に排出する内気排出部に相当する。
図2に示すように、建物10においては、一階部分14の床部14aの下方に床下空間71が設けられている。基礎11は、床下空間71の周縁部に沿って延びていることで床下空間71を囲んでおり、平面視では基礎11の内側に床下空間71が配置された状態になっている。なお、基礎11は、地中に埋設されたフーチング部と、そのフーチング部から上方に向けて立ち上がった立ち上がり部とを有しており、この立ち上がりが床下空間71と屋外空間とを仕切っている。
建物10においては、基礎断熱工法が採用されており、基礎11に対して基礎断熱部72が設けられている。基礎断熱部72は、ウレタンフォーム等により板状に形成された発泡系断熱材であり、基礎11の床下空間71側に配置されている。この場合、基礎断熱部72は、基礎11の立ち上がり部の屋内側面(床下空間71側の面)に取り付けられている。
また、建物10においては、床下空間71の下側に防湿コンクリート層73が設けられている。防湿コンクリート層73は、平面視で基礎11の内側において地盤の上面に沿って延びており、床下空間71側に地盤が露出しないようになっている。このように、防湿コンクリート層73が床下空間71と地盤との間に配置されていることで、地盤の湿気が床下空間71に伝わりにくくなっている。しかしながら、基礎断熱工法が採用された建物10においては、防湿コンクリート層73が設けられていても、夏季など床下空間71に湿気がこもりやすい状況(雨天等)になっている場合には、床下空間71の湿度が過剰に高くなることが懸念される。
これに対して、建物10においては、和室41等の居室空間の空気を用いて床下空間71の換気が行われるようになっている。具体的には、図1、図2に示すように、建物10の全館換気設備は、居住空間と床下空間71とを通気可能に連通する床通気部75,76を有している。床通気部75,76はいずれも一階部分14の床部14aに設けられた貫通孔であり、和室41及びリビング42に第1床通気部75が設けられ、洗面室46に第2床通気部76が設けられている。
第1床通気部75は、和室41及びリビング42のそれぞれにおいて隅角寄りの位置に配置されている。この位置は、和室41及びリビング42のそれぞれにおいて外壁31の入隅部分寄りの位置になっている。ここで、和室41及びリビング42は、いずれも平面視で矩形状に形成されており、和室出入口51及びリビング出入口52に対して各第1床通気部75が対角寄りの位置に配置されている。
第2床通気部76は、洗面室46の隅角寄りの位置に配置されている。この位置は、洗面室46において、外壁31とは反対側であって建物10の内側寄りの位置になっている。ここで、洗面室出入口54は、間仕切壁32において直線的に延びた1つの壁部に設けられており、第2床通気部76は、その壁部寄りの位置であって、その壁部の厚み方向において洗面室出入口54に並ばない位置に配置されている。
次に、全館換気設備による建物10内の空気の流れについて、和室41と洗面室46との間の空気の流れを例示して説明する。
図2に示すように、洗面室46の排気ファン63が動作している場合、一階部分14においては、上述したように、第1屋外通気部61から和室41に外気が流れ込むとともに、洗面室46の第2屋外通気部62から屋外に空気が排出されることで、和室41や廊下45、洗面室46といった居住空間の換気が行われる。
また、この場合、居住空間に加えて床下空間71も屋外に対して負圧になることで、和室41等の居住空間の換気に加えて、床下空間71の換気も行われる。具体的には、排気ファン63の動作に伴って第1屋外通気部61から和室41に外気が流れ込んだ場合、和室41から第1床通気部75を通じて床下空間71に空気が流れ込み、床下空間71から第2床通気部76を通じて洗面室46に流れ込んだ空気が、第2屋外通気部62から屋外に排出される。
なお、第1床通気部75を通じて床下空間71に空気が流れ込み、第2床通気部76を通じて床下空間71から空気が流れ出す、という空気の流れは、第1屋外通気部61からリビング42に外気が流れ込んだ場合にも発生する。このため、第1床通気部75が、和室41等の居室空間から床下空間71に空気を取り込む床下取込部に相当し、第2床通気部76が、床下空間71から非居室空間としての洗面室46に空気を放出する床下放出部に相当する。
この場合、和室41及びリビング42が第1居住空間に相当し、洗面室46が第2居住空間に相当する。また、第1床通気部75が第1通気部に相当し、第2床通気部76が第2通気部に相当し、屋内通気部57が第3通気部に相当し、第2屋外通気部62が屋外通気部に相当し、排気ファン63が排出手段に相当する。
和室41等の居住空間や床下空間71においては、流れ込んでくる空気量と流れ出ていく空気量とが同じ量になっている。例えば、和室41やリビング42においては、第1屋外通気部61等から外気が流れ込んできた分だけ、屋内通気部57や第1床通気部75等から廊下45や床下空間71等に空気が流れ出ていく。この場合、第1屋外通気部61を通じて流れ込んでくる外気Siの流入量が、屋内通気部57を通じて廊下45に流れ出ていく空気So1の流出量と、第1床通気部75を通じて床下空間71に流れ出ていく空気So2の流出量との合計にほぼ同じになっている(Si≒So1+So2)。
また、洗面室46においては、第2屋外通気部62等から屋外に流れ出ていく分だけ、廊下45や床下空間71等から屋内通気部57や第2床通気部76等を通じて空気が流れ込んでくる。この場合、第2屋外通気部62を通じて洗面室46から屋外に流れ出ていく内気Toの流出量が、廊下45から屋内通気部57を通じて流れ込んでくる空気Ti1の流入量と、床下空間71から第2床通気部76を通じて流れ込んでくる空気Ti2の流入量との合計にほぼ同じになっている(To≒Ti1+Ti2)。
また、第1床通気部75及び第2床通気部76は、これら床通気部75,76の通気量が屋内通気部57の通気量よりも小さくなるように設定されている。例えば、和室41、リビング42及び洗面室46のそれぞれについて、床通気部75,76の開口面積が屋内通気部57の開口面積の1/4程度にされていることで、床通気部75,76の通気量は屋内通気部57の通気量の1/4程度になっている。この場合、和室41及びリビング42においては、第1屋外通気部61からの外気Siの流入量と、屋内通気部57からの空気So1流出量と、第1床通気部75からの空気So2の流出量との比が、ほぼ5:4:1になっている。また、洗面室46においては、第2屋外通気部62からの内気のToの流出量と、屋内通気部57からの空気Ti1の流入量と、第2床通気部76からの空気Ti2の流入量との比が、ほぼ5:4:1になっている。
建物10においては、全館換気設備による換気が24時間換気として常に行われており、その換気量は、建物10内の全体を対象として例えば0.5回/h程度になっている。ここで、屋内通気部57の通気量と床通気部75,76の通気量との比がほぼ4:1になっていることに起因して、和室41等の居住空間の換気量は0.4回/h程度になっており、床下空間71の換気量は0.1回/h程度になっている。つまり、床下空間71の換気量は居住空間の換気量の1/4程度になっている。
和室41及びリビング42には、エアコン等の空調装置81が設けられている。建物10には、空調装置81は、空調を行うための空調空気を生成する生成部と、生成された空調空気を和室41やリビング42に供給するための給気部とを有している。この場合、和室41及びリビング42においては、給気部から空調空気が直接的に供給されることで空調が行われるようになっている。
空調装置81により和室41やリビング42の空調が行われている場合、これら和室41やリビング42の空気が廊下45や洗面室46に流れ込むことで、和室41やリビング42に加えて廊下45や洗面室46にも空調効果が付与されることになる。ここで、和室41やリビング42の空気が第1床通気部75を通じて床下空間71に流れ込むと、床下空間71に空調効果が付与されることで和室41やリビング42の空調効果が低下することが懸念される。これに対して、上述したように、床下空間71の換気量が和室41やリビング42の換気量が1/4程度に制限されているため、和室41やリビング42の空調効果が過剰に低下するということが生じにくくなっている。
図3に示すように、基礎11は、床下空間71の周縁部に沿って延びている外側基礎部11aと、外側基礎部11aの内側に配置された内側基礎部11bとを有している。これら基礎部11a,11bは、いずれも立ち上がり部により形成されている。一階部分14においては、横並びに隣り合う建物ユニット20の柱21が集合した柱集合部が形成されており、内側基礎部11bは、その柱集合部の下方に配置されている。内側基礎部11bは、柱集合部の各柱21が載せられていることで、それら柱21を下方から支持している。また、内側基礎部11bは、外側基礎部11aから床下空間71の内側に離間した位置に配置されている。このように、内側基礎部11bが外側基礎部11aから離間していることで、床下空間71は、内側基礎部11bにより複数の空間に仕切られているのではなく、1つの大きな空間になっている。
床下空間71においては、和室41及びリビング42の各第1床通気部75がそれぞれ隅角寄りの位置に配置されており、これら第1床通気部75は、平面視で建物10の長手方向に沿って並んでいる。この場合、建物10の長手方向において、2つの第1床通気部75には内側基礎部11bが配置されている。また、第2床通気部76は、建物10の長手方向及び短手方向の両方において各第1床通気部75から離間した位置に配置されている。第2床通気部76は、建物10の長手方向において中間位置に配置されており、この第2床通気部76と2つの第1床通気部75とが三角形の頂点に配置された状態になっている。このため、各第1床通気部75を通じて床下空間71に空気が流れ込んできた場合、その空気が第2床通気部76から流れ出す前に床下空間71の全体に行き渡りやすくなっている。また、内側基礎部11bは、床下空間71に点在しているため、内側基礎部11bによって空気が著しく流れにくくなっているということもない。
一階部分14において、各第1床通気部75及び第2床通気部76は、それぞれ別の建物ユニット20に設けられている。この場合、一階部分14の複数の建物ユニット20には、第1床通気部75が設けられた第1建物ユニット20Aと、第2床通気部76が設けられた第2建物ユニット20Bと、床通気部75,76のいずれも設けられていない第3建物ユニット20Cとが含まれていることになる。第1建物ユニット20Aは、第1床通気部75が2つあることで2つあるが、これら第1建物ユニット20Aと第2建物ユニット20Bとは、互いに離間した位置に配置されている。つまり、第1建物ユニット20A及び第2建物ユニット20Bは、第3建物ユニット20Cに横並びに隣り合っていることになる。
2つの第1建物ユニット20Aは、建物10の長手方向に並ぶ位置に配置されているが、これら第1建物ユニット20Aの間には第3建物ユニット20Cが配置されている。第2建物ユニット20Bは、2つの第1建物ユニット20Aのそれぞれから建物10の長手方向及び短手方向の両方に離間した位置に配置されている。この場合、長手方向及び短手方向のそれぞれにおいて、各第1建物ユニット20Aと第2建物ユニット20Bとの間には第3建物ユニット20Cが配置されている。このように、第1建物ユニット20A〜第3建物ユニット20Cは、各第1床通気部75と第2床通気部76とが互いに離間した状態になるように配置されている。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
和室41から床下空間71に空気が取り込まれるため、和室41が人にとって快適な空気環境になっている場合、その適正な空気を用いて床下空間71の換気を行うことができる。このため、外気を用いて床下空間71の換気が行われる構成に比べて、床下空間71の温度や湿度の調整を容易に行うことができる。
建物10においては、基礎断熱構造が構築されているため、床下空間71に湿気がこもることが懸念されるが、和室41やリビング42の空気を用いて床下空間71の換気を行うことで、床下空間71の湿気を洗面室46から屋外に排出することができる。しかも、床下空間71の換気を可能にする床通気部75,76は、床部14aに形成された通気孔であるため、床下空間71においては空気が単に上昇することで第2床通気部76から洗面室46に流れ出すことになる。ここで、床下空間71に暖気が溜まりやすい冬季等においては、暖気が床下空間71から洗面室46に向けて上昇しやすいため、床下空間71の換気効率を高めることができるとともに、床下空間71の暖気を用いて洗面室46の温度調整を行うことができる。
また、例えば基礎11の立ち上がり部に通気孔が形成された構成では、冬季等において床下空間71の暖気を側方から屋外に向けて放出するためにファン装置等により大きなエネルギを消費することになってしまう。これに対して、本実施形態のように、床通気部75,76が床部14aの通気孔により形成された構成では、床下空間71の換気や洗面室46の温度調整を行いつつ、省エネルギ化を図ることができる。
床下空間71に空気を供給する供給元(和室41やリビング42)と、床下空間71の空気が流出する流出先(洗面室46)とが異なる居住空間とされているため、例えば供給元と流入先とがいずれも和室41とされた構成に比べて、和室41やリビング42の空気環境が床下空間71の空気環境に近付くことを抑制できる。つまり、和室41やリビング42の空気を用いて床下空間71の換気が行われる構成であっても、和室41やリビング42を人にとって快適な環境に保つことができる。
排気ファン63が設けられた洗面室46に床下空間71の空気が流れ込むため、仮に床下空間71からの空気が洗面室46の空気環境を乱す状態(湿気や埃、ゴミを含む状態)であったとしても、その空気を排気ファン63により強制的に屋外に排出することができる。このため、床下空間71の空気が流出する流出先(洗面室46)においても、空気環境が著しく乱れるということを抑制できる。なお、空気環境の乱れとしては、温度や湿度が過剰に上昇したり低下したりすることや、埃やゴミが流入することなどが挙げられる。
排気ファン63が洗面室46に設けられているため、排気ファン63の運転に伴って洗面室46が廊下45等の他の居住空間や床下空間71に対して負圧になりやすくなっている。このため、和室41や洗面室46等の居住空間の換気と床下空間71の換気とをまとめて行うことができる。この場合、床下空間71に専用のファン装置を設置する必要がないため、床下空間71を換気可能な構成を実現する上でコスト負担を低減することができる。
和室41やリビング42と洗面室46とは、屋内通気部57により通気可能に連通されているため、洗面室46の排気ファン63の運転に伴って和室41やリビング42から洗面室46に向けて空気が流れやすくなっている。しかも、屋内通気部57の通気量が床通気部75,76の通気量よりも小さくされているため、和室41等の居住空間の換気が床下空間71の換気よりも優先して行われることになる。このため、床下空間71の換気が優先して行われて和室41等の居住空間の換気効率が低下したり居住空間の空気環境が乱れたりするということを抑制できる。
建物10においては、排気ファン63が第2屋外通気部62に対して設けられていることなどにより第三種機械換気が実現されているため、洗面室46を廊下45など他の居住空間に対して負圧にすることができる。この場合、洗面室46の空気が他の空間に流出しにくくなっているため、床下空間71から洗面室46に流れ込んだ空気が空気環境を乱す状態であったとしても、その空気により他の居住空間の空気環境が乱れるということを抑制できる。
第1床通気部75と第2床通気部76とが互いに異なる居住空間に配置されているため、例えば、これら床通気部75,76が1つの居住空間に配置された構成に比べて、床通気部75,76の離間距離を大きくすることができる。この場合、第1床通気部75から床下空間71に流れ込んだ空気が床下空間71の全体に行き渡る前に第2床通気部76から流れ出てしまうということが生じにくくなっているため、床下空間71の換気効率を高めることができる。
床通気部75,76がそれぞれ異なる建物ユニット20に設けられているため、床通気部75,76の離間距離を確保しやすい構成を実現できる。ここで、床通気部75,76の配置は、間取りや家具の設置位置など設計において人の動線がある程度決まってきてから設定されると想定され、人の動線によっては床通気部75,76の離間距離を適正に確保することが困難な場合が想定される。これに対して、設計において床通気部75,76を設置する建物ユニット20を決めてしまうことで、それぞれの建物ユニット20において床通気部75,76の設置位置さえ設定してしまえば、結果として床通気部75,76の離間距離をある程度確保することになる。このため、床下空間71の換気効率を適正に確保できるように床通気部75,76の位置を設定することが可能になる。
しかも、第1床通気部75の第1建物ユニット20Aと第2床通気部76の第2建物ユニット20Bとの間に第3建物ユニット20Cが配置されているため、第1建物ユニット20A及び第2建物ユニット20Bのそれぞれにおいて第1床通気部75及び第2床通気部76をどの位置に配置したとしても、第3建物ユニット20Cの大きさの分だけは床通気部75,76の離間距離を確保することができる。
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、第1屋外通気部61や第2屋外通気部62が外壁31に設けられた通気孔とされていたが、第1屋外通気部61や第2屋外通気部62は、和室41等の居住空間と屋外空間とを連通する空調ダクト等により形成されていてもよい。
また、第1床通気部75や第2床通気部76は、床部14aに設けられた通気孔とされていたが、和室41等の居住空間と床下空間71とを連通する空調ダクト等により形成されていてもよい。
さらに、屋内通気部57は、出入口51〜54に形成されているのではなく、間仕切壁32に設けられた通気孔とされていてもよく、居住空間と廊下45とを連通する空調ダクト等により形成されていてもよい。
(2)上記実施形態では、排気ファン63が第2屋外通気部62に対して屋内側から取り付けられていたが、排気ファン63は、第2屋外通気部62に対して屋外側から取り付けられていてもよい。例えば、排気ファン63が第2屋外通気部62を屋外側から覆う状態で外壁31の屋外側面に取り付けられた構成とする。
また、排気ファン63は、その運転に伴って第2屋外通気部62から屋外側に空気が排出されるのであれば、第2屋外通気部62に対して設けられていなくてもよい。例えば、第2床通気部76に対して設けられていてもよい。この場合でも、排気ファン63の運転に伴って、床下空間71から第2床通気部76を通じて洗面室46に空気が強制的に流れ込むことで、洗面室46から第2屋外通気部62を通じて屋外側に空気が流れ出ることになる。
(3)上記実施形態では、床下空間71の換気量が和室41等の居住空間の換気量の1/4程度になっていたが、床下空間71の換気量は、居住空間の換気量よりも小さくなっていれば、居住空間の換気量の1/4より多くても少なくてもよい。
また、床下空間71の換気量は、居住空間の換気量と同じ又はそれよりも大きくされていてもよい。この場合、居住空間において空調効率が低下することが懸念される一方で、床下空間71の換気効率を高めることができる。
(4)上記実施形態では、床通気部75,76の開口面積が屋内通気部57の開口面積よりも小さくされていたが、床下空間71の換気量が居住空間の換気量よりも小さくなるように、床通気部75,76や屋内通気部57の通気量が設定される構成であればよい。例えば、床通気部75,76の開口面積と屋内通気部57の開口面積が同じとされ、床通気部75,76に対して通気量を調整する通気量調整部材が取り付けられた構成とする。この構成では、通気量調整部材により屋内通気部57の通気量と床通気部75,76の通気量との比を変更することが可能になる、つまり、居住空間の換気量と床下空間71の換気量との比を変更することが可能になるため、季節や天気、時間帯などに応じて、居住空間の換気量や床下空間71の換気量を適宜調整することができる。
(5)上記実施形態では、一階部分14において、第1居住空間としての和室41やリビング42から第2居住空間としての洗面室46に流れ込む空気が廊下45を経由する構成としたが、この空気が廊下45を経由しない構成としてもよい。例えば、第1居住空間と第2居住空間とが隣り合う位置に配置された構成とする。
(6)上記実施形態では、第1居住空間としての居室空間を和室41及びリビング42としたが、この居室空間をダイニング43や寝室としてもよい。また、第2居住空間としての非居室空間は、洗面室46ではなく、廊下45やトイレ48、倉庫としてもよい。
(7)上記実施形態では、居室空間としての和室41やリビング42から床下空間71に空気が流れ込み、床下空間71から非居室空間としての洗面室46に流れ出た空気が屋外に排出される構成としたが、非居室空間から床下空間71に空気が流れ込み、床下空間71から居室空間に流れ出た空気が屋外に排出される構成としてもよい。例えば、排気ファン63が和室41やリビング42の第1屋外通気部61に対して設けられた構成とする。
(8)上記実施形態では、第1建物ユニット20Aと第2建物ユニット20Bとの間に第3建物ユニット20Cが配置されていたが、第1建物ユニット20Aと第2建物ユニット20Bとは隣り合う位置に配置されていてもよい。また、第1床通気部75と第2床通気部76とが1つの建物ユニット20に設けられていてもよい。いずれの場合でも、第1床通気部75と第2床通気部76との離間距離がある程度確保されていれば、第1床通気部75を通じて床下空間71に流れ込んだ空気が床下空間71全体に行き渡りやすい構成を実現できる。
(9)上記実施形態では、基礎断熱部72が基礎11の屋内側面に取り付けられていたが、基礎断熱部72は、基礎11の屋外側面に取り付けられていてもよい。この場合でも、基礎断熱構造を実現できる。
(10)建物10は、ユニット式建物でなく、鉄骨軸組工法やスチール枠組工法により構築された建物であってもよい。この場合でも、床下空間71全体の換気を行う観点では、この床下空間71が複数に仕切られていないことが好ましい。
(11)上記実施形態では、内側基礎部11bが床下空間71に点在していたが、内側基礎部11bは床下空間71を複数の空間部に仕切るように設けられていてもよい。この場合でも、床下空間71の複数の空間部のそれぞれに対して第1床通気部75及び第2床通気部76が設けられていることで、これら空間部のそれぞれについて和室41等の居住空間の空気を用いて換気を行うことができる。つまり、床下空間71全体の換気を適正に行うことができる。