JP6927857B2 - ケイ酸塩蛍光体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、発光素子からの青色系の光を吸収し、青色系の光に対する補色光を発光可能な(Sr,Ba,Eu)2SiO4で表される緑色ケイ酸塩蛍光体の製造方法に関する。
従来、この種のケイ酸塩蛍光体は、例えば炭酸ストロンチウム(SrCO3)粉末と、炭酸バリウム(BaCO3)粉末と、酸化ユウロピウム(Eu23)粉末と、シリカ(SiO2)粉末とを十分に混合して原料粉末を作った後、この原料粉末に、フラックスとして、例えば塩化バリウム(BaCl2)粉末を均一に混合し、混合物を還元性ガスと不活性ガスの混合ガス雰囲気下で焼成し、続いて粉砕工程、洗浄工程、乾燥工程及び篩別工程等を経て、所定の粒度にして得られる(例えば、特許文献1参照。)。即ち、上記ケイ酸塩蛍光体は固相反応により製造される。
こうしたケイ酸塩系蛍光体を得るためのシリカ粉末として、サブミクロンから数μmの粒子サイズの蛍光体の凝集に起因する蛍光体のバインダへの分散不足を解消し、蛍光体膜を形成した際の発光特性を向上させる蛍光体用シリカ粒子が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2には、この蛍光体用シリカ粒子が、平均粒径0.5〜10μm、最大粒径20μm以下、粒径0.1μm以下の粒子の含有率5.0体積%以下であること、その比表面積が100m2/g以上であり、粒子の形状が真球度0.9以上の粒子の含有率が90体積%以上であることが記載されている。
特許第5369286号公報(段落[0014]〜段落[0016]) 特開2004−182480号公報(請求項1〜請求項3、段落[0023])
上述したように、ケイ酸塩蛍光体は、固相反応により製造するため、発光強度を高めるには、組成を均一にしてかつ不純物の含有量を少なくすることが求められている。特許文献2に示される蛍光体用シリカ粒子は、平均粒径0.5〜10μm又は比表面積が100m2/g以上であって、真球度が高く粒度分布がシャープである特徴を有するが、アルカリケイ酸塩水溶液と鉱酸による湿式反応で製造されるため、上記特徴だけでは、ケイ酸塩蛍光体の組成を均一にするには限界があり、発光強度の高いケイ酸塩蛍光体を得るには、まだ改善すべき余地があった。
本発明の目的は、発光強度が高いケイ酸塩蛍光体の製造方法を提供することにある。本発明の別の目的は、乾式シリカ粉末を用いてケイ酸塩蛍光体の不純物であるBaSiO3含有量を小さくし得るケイ酸塩蛍光体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、固相反応法により製造されるケイ酸塩蛍光体の発光強度を高めるには、蛍光体の組成の均一性が重要であるところ、原料として用いる高純度シリカ粉末として高い比表面積と高い嵩密度の乾式シリカ粉末を用いることにより、シリカ粉末が重くなることで他の粉末と混ざりやすくなって、原料粉末の焼成時に均一な固相反応を遂行でき、その結果高い発光強度の蛍光体が得られることを知見し、本発明に到達した。
本発明の第の観点は、Sr原料粉末、Ba原料粉末、Eu原料粉末及び乾式シリカ(SiO2)粉末を含む原料粉末と、ハロゲン化Ba粉末のフラックスとを均一に混合し、この混合粉末を還元性ガスと不活性ガスの混合ガス雰囲気下で焼成することにより、(Sr,Ba,Eu)2SiO4で表されるケイ酸塩蛍光体を製造する方法であって、前記乾式シリカ粉末がBET比表面積が90〜500m 2 /g、嵩密度が70〜400g/L、純度が99.987%以上、不純物であるAl含有量が20ppm以下、Na含有量が10ppm以下、Cl含有量が100ppm以下であって、水分含有量が2%以下であり、前記ケイ酸塩蛍光体が、X線回折においてBaSiOの最高回折線強度(B)と(Sr,Ba,Eu)2SiO4の最高回折線強度(A)との比(B/A)が5/100以下であるケイ酸塩蛍光体の製造方法である。
本発明の第の観点は、第の観点に基づく発明であって、前記乾式シリカ粉末を他の粉末と混合する前に粉砕メディアを用いて解砕することを特徴とするケイ酸塩蛍光体の製造方法である。
本発明の第の観点は、第又は第の観点に基づく発明であって、前記混合粉末を焼成する前にペレット化することを特徴とするケイ酸塩蛍光体の製造方法である。
本発明の第の観点に基づく発明では、フラックスとしてハロゲン化Ba粉末を用いて、(Sr,Ba,Eu)2SiO4で表されるケイ酸塩蛍光体を製造する際に、原料粉末としてBET比表面積が90〜500m 2 /g、嵩密度が70〜400g/L、純度が99.987%以上、不純物であるAl含有量が20ppm以下、Na含有量が10ppm以下、Cl含有量が100ppm以下であって、水分含有量が2%以下である蛍光体用シリカ粉末を用いるため、X線回折においてBaSiO3の最高回折線強度(B)と(Sr,Ba,Eu)2SiO4の最高回折線強度(A)との比(B/A)が5/100以下である不純物の少ないケイ酸塩蛍光体を得ることができる。
本発明の第の観点に基づく発明では、乾式シリカ粉末をボールミル等で解砕することにより、シリカ粉末の分散性と嵩密度が高められ、混合粉末の焼成時の固相反応が均一に行われ、発光強度がより高いケイ酸塩蛍光体が得られる。
本発明の第の観点に基づく発明では、混合粉末をペレット化してから、焼成するため、焼成時により均一に原料粉末を固相反応させることができ、結果として、発光強度がより高いケイ酸塩蛍光体が得られる。
次に本発明を実施するための形態を説明する。
〔蛍光体用乾式シリカ粉末〕
この蛍光体用乾式シリカ粉末は、BET法により測定される90〜500m2/gの範囲の比表面積を有する。この比表面積の範囲のシリカ粉末は、Sr原料粉末、Ba原料粉末及びEu原料粉末などの他の粉末(以下、単に「他の粉末」という。)と混合した後の焼成時に、粒径が小さいため、他の粉末との反応性がよく、蛍光体の組成が均一になる。比表面積がこの範囲の下限値未満のシリカ粉末は、他の粉末と混合した後の焼成時に反応性が悪く、均一な固相反応が遂行しない。また上限値を超えると、シリカ粉末が他の粉末と均一に混ざらなくなる。この比表面積から計算される蛍光体用乾式シリカ粉末の一次粒子径は約5〜25nmの範囲にあり、好ましくは5〜15nmの範囲にある。好ましい蛍光体用乾式シリカ粉末のBET法による比表面積は200〜500m2/gの範囲である。
またこの蛍光体用乾式シリカ粉末は、70〜400g/Lの嵩密度を有する。シリカ粉末がこの範囲の嵩密度を有すると、シリカ粉末が適度に重くなって、他の粉末と混ざりやすくなる。嵩密度がこの範囲の下限値未満では、他の粉末と混合するときにシリカ粉末が軽すぎて他の粉末と均一に混ざり合わなくなる。上限値を超えると、シリカ粉末が凝集体になり易く、この場合も他の粉末と均一に混ざり合わなくなる。好ましい蛍光体用乾式シリカ粉末の嵩密度は130〜400g/Lの範囲にある。
またこの蛍光体用乾式シリカ粉末は、不純物であるAl含有量が20ppm以下、Na含有量が10ppm以下、Cl含有量が100ppm以下であり、それから算出される純度が99.987%以上である。Al、Na、Clは乾式シリカ粉末の製造過程で不可避的に含まれる不純物である。純度が99.987%未満であるか、Al含有量が20ppmを超えるか、Na含有量が10ppmを超えるか、又はCl含有量が100ppmを超えると、シリカ粉末を用いてケイ酸塩蛍光体を作製したときに、ケイ酸塩蛍光体の不純物の含有量が多くなり、その発光効率が低下し、結果的にケイ酸塩蛍光体の発光強度が低下する。好ましい蛍光体用乾式シリカ粉末は、不純物であるAl含有量が3ppm以下、Na含有量が1ppm以下、Cl含有量が80ppm以下であり、それから算出される純度が99.992%以上である。
更にこの蛍光体用乾式シリカ粉末は、2%以下の水分含有量(シリカ粉末に含まれる水分質量%)を有するのが好ましい。ケイ酸塩蛍光体は、Sr原料粉末、Ba原料粉末、Eu原料粉末等の固相反応により作製されるので、この蛍光体用乾式シリカ粉末の水分含有量が2%を超えると、加熱により大きな重量減が生じるため化学量論比がずれて所望化学量論比の有した蛍光体を作製するのが困難になる等の問題がある。更に好ましくは蛍光体用乾式シリカ粉末の水分含有量は1%以下である。
〔蛍光体用乾式シリカ粉末の製造方法〕
本発明の蛍光体用乾式シリカ粉末は、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化による乾式法(又は気相法)で生成される。特に、乾式シリカ粉末としては、四塩化ケイ素等のケイ素化合物や金属ケイ素を火炎中、例えば酸水素火炎中で加水分解して製造される(噴霧火炎法で製造される)ヒュームドシリカが、溶媒を使用せず、乾燥時に凝集粒子を生成しないため、好ましい。本発明のシリカ粉末は、共沈法、水熱反応法、ゾルゲル法で生成される湿式シリカ粉末や、結晶性シリカを溶融する方法で生成された溶融式シリカ粉末を含まない。湿式シリカ粉末は、金属不純物が多く、これが蛍光体を作製したときに不純物になり、蛍光体の発光強度が低下するからである。また湿式シリカ粉末は、シラノール基が多く、蛍光体の作製時に水分を発生させるために反応性が低下する。またゾルゲル法で生成される湿式シリカ粉末は、水分含有量が多く、かつ水分散液から乾燥して得られるため、所望の平均粒径の一次粒子径にならない。溶融式シリカ粉末は比表面積が小さいため反応性が悪くなる不具合がある。
乾式法で得られたシリカ粉末をそのまま蛍光体用乾式シリカ粉末とすることもできるが、粉砕メディアを用いて解砕することにより分散性と嵩密度を高めた蛍光体用乾式シリカ粉末を利用することが好ましい。粉砕メディアを用いた解砕方法の場合、一般的に乾式シリカ粉末の嵩密度を高めることが可能である。粉砕メディアとしては、特に限定されないが、一例として、ボールが挙げられる。解砕はミル回転速度、解砕時間、ボール径を調整することにより行われる。ここで用いるボールとしては、一般的に使用されるものであれば良く、特に限定はされないが、アルミナボール、ジルコニアボール、SiCボール等が挙げられる。粉砕メディアを用いない解砕としてジェットミルがあるが、このジェットミルにより解砕すると、嵩密度が低くなるため、ジェットミルは本発明の蛍光体用乾式シリカ粉末の製造には不適である。解砕前と解砕後で嵩密度を1.8倍以上に高めることが好ましい。嵩密度を1.8倍以上に高密度化することにより、蛍光体の発光強度を1.1倍以上に高めることができる。
〔ケイ酸塩蛍光体の製造方法〕
本発明のケイ酸塩蛍光体を製造するには、まず、ストロンチウム(Sr)の原料粉末として例えば炭酸ストロンチウム(SrCO3)粉末と、バリウム(Ba)の原料粉末として例えば炭酸バリウム(BaCO3)粉末と、ユウロピウム(Eu)の原料粉末として例えば酸化ユウロピウム(Eu23)粉末と、ケイ素(Si)の原料粉末として、上述した乾式シリカ(SiO2)粉末とを所望の質量割合で均一に混合して原料粉末を調製する。シリカ粉末以外の原料粉末、即ち他の粉末は、炭酸塩に限らず、焼成時に酸化物に変化する化合物でもよい。上記粉末の混合割合は、各元素の元素比(モル比)として、アルカリ土類金属とユウロピウムのモル数の合計が、ケイ素のモル数の2倍を超える比率、すなわち化学量論比である2を超えて、2.02〜2.08の範囲にあることが好ましく、2.024〜2.05の範囲がより好ましい。
他の粉末の固相反応を促進するフラックスとしては、塩化バリウム(BaCl2)といったアルカリ土類金属のハロゲン化物を用いることができる。塩化アンモニウム(NH4Cl)といったハロゲン化物等を用いてもよい。フラックスの添加量としては原料粉末質量の1ないし4%程度が好ましい。
こうしてSr原料粉末、Ba原料粉末、Eu原料粉末、本発明の乾式シリカ粉末、ハロゲン化Ba粉末を混合した混合粉末を焼成する。焼成前に混合粉末を所定の型に入れ、25MPa以上、好ましくは30MPaの圧力を加えてペレットにすることが好ましい。ペレット化することにより、焼成時、より均一に原料粉末を固相反応させ、蛍光体の発光強度を高めることができる。ペレット化せずに粉末のままで焼成した場合、原料乾式シリカ粉末が所定範囲の嵩密度、純度等を有していてもペレット化した場合に比較して高い輝度を得ることができない。この理由は定かではないが、ペレット化することにより原料粉末同士の接触が良く密になることにより固相反応がより均一に進行するためであると推察される。焼成は、上記混合粉末を1250〜1450℃の温度範囲、好ましくは1320〜1370℃の温度範囲にて、4〜12時間、好ましくは6〜10時間、還元性ガスと不活性ガスの混合ガス雰囲気下で、行う。還元性ガスとしてはH2、CO等のガスが、不活性ガスとしてはN2、Ar、He、Xe等のガスが挙げられる。混合ガス中、還元性ガスは2〜9体積%であることが好ましく、3〜7体積%であることが更に好ましい。焼成を行った後、焼成体を粉砕することにより、所定の粒度の緑色ケイ酸塩蛍光体が得られる。
〔ケイ酸塩蛍光体〕
得られた蛍光体の組成は、(SrxBayEu1-x-y)2SiO4で表される。ここで、0.01≦x≦0.98、0.01≦y≦0.98、0.70<(x+y)<0.99、好ましくは0.05≦x≦0.95、0.05≦y≦0.95、0.80<(x+y)<0.98である。得られたケイ酸塩蛍光体で固相反応が均一に行われたかを確認するために、ケイ酸塩蛍光体をX線回折し、不純物であるBaSiO3と得られたケイ酸塩蛍光体について、それぞれ最高強度ピークを求める。BaSiO3の最高回折線強度(B)と(Sr,Ba,Eu)2SiO4の最高回折線強度(A)との比(B/A)が5/100以下であることが必要である。好ましくは1/100以下である。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
乾式シリカ粉末として、BET比表面積が200m2/g、嵩密度が45g/L、純度が99.8%、不純物であるAl含有量が2ppm、Na含有量が1ppm、Cl含有量が70ppm以下であって、水分含有量が0.3%のヒュームドシリカ(商品名AEROSIL(登録商標)200、日本アエロジル社製)を用意した。この乾式シリカ粉末を直径15mmのアルミナボールの入ったボールミル(増田理化工業社製Universal Ball Mill UBM-S)を用いて室温で60rpmの回転速度で90分間、解砕して嵩密度を136g/Lに高めた後、この乾式シリカ粉末0.367g(0.976モル)と、SrCO3粉末(レアメタリック社製、純度:99.9%)0.840g(0.91モル)と、BaCO3粉末(添川理化学社製、純度:99.9%)1.172g(0.95モル)と、Eu23粉末(レアメタリック社製、純度:99.9%)0.167g(0.14モル)と、フラックスとしてBaCl4粉末(シグマアルドリッチ社製、純度:99.9%)0.025gとをエタノール中で瑪瑙乳鉢でエタノールが蒸発するまで最低でも15分間以上粉砕混合し、再度瑪瑙乳鉢にエタノールを入れて同様に粉砕混合を繰り返し、均一に混合した原料粉末を作製した。
この混合粉末を直径15mm、深さ40mmのペレット成型器に入れ、30MPaの圧力を加えてペレットにした。このペレットを水素ガスと窒素ガスの混合ガス(水素ガス:5体積%)雰囲気下、1340℃で8時間焼成した。焼成後、ペレットを乳鉢で粉砕してケイ酸塩蛍光体を得た。この蛍光体の組成はSr0.46,Ba0.48,Eu0.06)2SiO4であった。本ケイ酸塩蛍光体の作製に用いた乾式シリカ粉末の性状を表1に示し、シリカ粉末の解砕(高密度化処理)の有無、その解砕条件、ペレット化の有無、不純物残渣の割合及び得られた蛍光体粉末の発光強度を表2に示す。
Figure 0006927857
Figure 0006927857
<実施例2>
乾式シリカ粉末として、表1の性状を有するヒュームドシリカ(商品名AEROSIL(登録商標)90G、日本アエロジル社製)を用意した。この乾式シリカ粉末を60rpmの回転速度で90分間解砕した以外、実施例1と同様に解砕して、嵩密度を59g/Lから190g/Lに高めた。実施例1と異なり、混合粉末のペレット化はしなかった。それ以外は、実施例1と同様にしてケイ酸塩蛍光体を得た。
<実施例3>
乾式シリカ粉末として、表1の性状を有するヒュームドシリカ(商品名AEROSIL(登録商標)130、日本アエロジル社製)を用意した。この乾式シリカ粉末を60rpmの回転速度で120分間解砕した以外、実施例1と同様に解砕して、嵩密度を42g/Lから169g/Lに高めた。混合粉末のペレット化はしなかった。それ以外は、実施例1と同様にしてケイ酸塩蛍光体を得た。
<実施例4>
乾式シリカ粉末として、表1の性状を有するヒュームドシリカ(商品名AEROSIL(登録商標)300、日本アエロジル社製)を用意した。この乾式シリカ粉末を40rpmの回転速度で240分間解砕した以外、実施例1と同様に解砕して、嵩密度を46g/Lから132g/Lに高めた。それ以外は、実施例1と同様にしてケイ酸塩蛍光体を得た。
<実施例5>
乾式シリカ粉末として、表1の性状を有する実施例4と同種のヒュームドシリカ(商品名AEROSIL(登録商標)300、日本アエロジル社製)を用意した。この乾式シリカ粉末を100rpmの回転速度で180分間解砕した以外、実施例1と同様に解砕して、嵩密度を46g/Lから380g/Lに高めた。それ以外は、実施例1と同様にしてケイ酸塩蛍光体を得た。
<実施例6>
乾式シリカ粉末として、表1の性状を有するヒュームドシリカ(商品名AEROSIL(登録商標)380、日本アエロジル社製)を用意した。この乾式シリカ粉末を60rpmの回転速度で120分間解砕した以外、実施例1と同様に解砕して、嵩密度を29g/Lから160g/Lに高めた。それ以外は、実施例1と同様にしてケイ酸塩蛍光体を得た。
<実施例7>
乾式シリカ粉末として、表1の性状を有するヒュームドシリカ(試作品)を用意した。この乾式シリカ粉末を60rpmの回転速度で60分間解砕した以外、実施例1と同様に解砕して、嵩密度を35g/Lから130g/Lに高めた。それ以外は、実施例1と同様にしてケイ酸塩蛍光体を得た。
<実施例8>
乾式シリカ粉末として、表1の性状を有する実施例1と同種のヒュームドシリカ(商品名AEROSIL(登録商標)200、日本アエロジル社製)を用意した。この乾式シリカ粉末の嵩密度は79g/Lであった。実施例1と異なり、この乾式シリカ粉末を解砕することなく、また混合粉末のペレット化もしなかった。それ以外は、実施例1と同様にしてケイ酸塩蛍光体を得た。
<実施例9>
乾式シリカ粉末として、表1の性状を有する実施例2と同種のヒュームドシリカ(商品名AEROSIL(登録商標)90G、日本アエロジル社製)を用意した。この乾式シリカ粉末を100rpmの回転速度で120分間解砕した以外、実施例1と同様に解砕して、嵩密度を35g/Lから130g/Lに高めた。それ以外は、実施例1と同様にしてケイ酸塩蛍光体を得た。
<比較例1>
乾式シリカ粉末として、表1の性状を有するヒュームドシリカ(商品名AEROSIL(登録商標)50、日本アエロジル社製)を用意した。この乾式シリカ粉末の嵩密度は58g/Lであった。実施例1と異なり、この乾式シリカ粉末は解砕しなかった。それ以外は、実施例1と同様にしてケイ酸塩蛍光体を得た。
<比較例2>
乾式シリカ粉末として、表1の性状を有する実施例1と同種のヒュームドシリカ(商品名AEROSIL(登録商標)200、日本アエロジル社製)を用意した。この乾式シリカ粉末の嵩密度は55g/Lであった。実施例1と異なり、この乾式シリカ粉末は解砕しなかった。それ以外は、実施例1と同様にしてケイ酸塩蛍光体を得た。
<比較例3>
シリカ粉末として、テトラエトキシシランを加水分解して、ろ過した後、乾燥して、ゾルゲル法で製造された表1の性状を有するシリカ粉末を作製した。このゾルゲルシリカ粉末の嵩密度は143g/Lであった。実施例1と異なり、このゾルゲルシリカ粉末は解砕しなかった。それ以外は、実施例1と同様にしてケイ酸塩蛍光体を得た。
<比較例4>
シリカを溶融する法で製造された表1の性状を有する溶融式シリカ粉末(ELSIL B030、日本アエロジル社製)を用意した。この溶融式シリカ粉末の嵩密度は900g/Lであった。実施例1と異なり、この溶融式シリカ粉末は解砕しなかった。それ以外は、実施例1と同様にしてケイ酸塩蛍光体を得た。
<比較例5>
乾式シリカ粉末として、表1の性状を有する実施例4と同種のヒュームドシリカを製造時の脱酸工程を変更し、塩素含有量の高い比表面積300m2/gの試作品を用意した。この乾式シリカ粉末を60rpmの回転速度で60分間解砕した以外、実施例1と同様に解砕して、嵩密度を47g/Lから155g/Lに高めた。またこの乾式シリカ粉末は実施例4のシリカ粉末と異なり、Clの含有量が101ppmと高かった。それ以外は、実施例1と同様にしてケイ酸塩蛍光体を得た。
<比較試験及び評価>
実施例1〜9及び比較例1〜5で用いた14種類のシリカ粉末のBET比表面積、嵩密度、純度、不純物(Al、Na、Cl)含有量及び水分含有量を次の方法により求めた。また実施例1〜9及び比較例1〜6で得られた14種類のケイ酸塩蛍光体に残存する不純物と、蛍光体の発光強度を次の方法により求めた。これらの結果を表1に示す。
(1)シリカ粉末のBET比表面積
シリカ粉末のBET比表面積は、BET比表面積測定装置(Macsorb; HM Model-1210, マウンテック社製)を用いて、シリカ粉末の表面に占有面積が既知の窒素分子を吸着させ、脱気を160℃で10分の条件にしてこの窒素分子の吸着量からシリカ粉末の表面積を求める気相吸着法により測定した。
(2)シリカ粉末の嵩密度
シリカ粉末の嵩密度は、250mLのメスシリンダーにシリカ粉末を所定量入れ、2分間静置後の容積(単位:リットル)で除算することにより求めた。
(3)シリカ粉末の純度
シリカ粉末の純度は、次に述べる不純物の測定方法で検出した値を差し引いて算出することにより求めた。
(4)シリカ粉末の不純物(Al、Na、Cl)含有量
シリカ粉末の不純物のうち、Al、Naの含有量については、シリカ粉末をICP発光分光分析装置(iCAP-6500:サーモフィッシャーサイエンティフィク社製)を用いて分析した。またClの含有量についてはイオンクロマトグラム(ICS-1100:サーモフィッシャーサイエンティフィク社製)を用いて分析した。
(5)シリカ粉末の水分含有量
シリカ粉末の水分含有量は、100℃で30分間乾燥して前処理した後、105℃で2時間乾燥させてから、その乾燥減量により測定した。
(6)ケイ酸塩蛍光体中の不純物残渣
ケイ酸塩蛍光体をX線回折装置(RINT2100、リガク社製)を用いて、不純物であるBaSiO3とケイ酸塩蛍光体である(Sr,Ba,Eu)2SiO4の各最高回折線強度を測定した。BaSiO3の最高回折線強度(B)と(Sr,Ba,Eu)2SiO4の最高回折線強度(A)からX線ピーク強度比(B/A)を算出した。このX線ピーク強度比からケイ酸塩蛍光体中の不純物残渣が求められ、固相反応が均一に行われたか確認できる。
(7)ケイ酸塩蛍光体の発光強度
ケイ酸塩蛍光体0.4gを試料として、試料ホルダーに詰めて、分光光度計(FP-6500、日本分光社製)を用いて、Xeランプで波長320nmの励起光を照射し、励起バンド幅5nm、蛍光バンド幅1nmの条件で測定した。各試料を比較した発光強度は発光スペクトルの最大強度である波長523nmの強度である。
表1及び表2から明らかなように、比較例1では、シリカ粉末のBET比表面積が50m2/gと小さく、また嵩密度が58g/Lと低かったため、焼成時に他の粉末との反応性が悪く、均一な固相反応が遂行せず、得られたケイ酸塩蛍光体の不純物残渣を示すB/Aが6.6%と高く、発光強度は80と低かった。
比較例2では、シリカ粉末の嵩密度が55g/Lと低く、他の粉末と均一に混ざり合わず、焼成時に他の粉末との反応性が悪く、均一な固相反応が遂行せず、得られたケイ酸塩蛍光体の不純物残渣を示すB/Aが5.1%と高く、発光強度は230と低かった。
比較例3では、シリカ粉末が他の実施例、比較例の乾式シリカ粉末と異なり、ゾルゲル法で生成された湿式シリカ粉末であったため、Naの含有量が21ppmと多く、水分含有量は3.0%と多かった。このため、得られたケイ酸塩蛍光体の不純物残渣を示すB/Aが12%と高く、発光強度は60と低かった。
比較例4では、シリカ粉末が他の実施例、比較例の乾式シリカ粉末と異なり、溶融式シリカ粉末であったため、BET比表面積が3.4m2/gと極端に小さく、嵩密度が900g/Lと極端に高かった。このため、得られたケイ酸塩蛍光体の不純物残渣を示すB/Aが15%と高く、発光強度は40と低かった。
比較例5は、シリカ粉末が乾式シリカ粉末であったが、Clの含有量が101ppmと多かった。このため、不純物残渣を示すB/Aが10%が高く、得られたケイ酸塩蛍光体の発光強度は430と低かった。
これに対して、実施例1〜9の乾式シリカ粉末は、各パラメータが第1の観点の範囲内にあったため、得られたケイ酸塩蛍光体の不純物残渣を示すB/Aが1%未満と低く、また発光強度は630〜2660と高かった。特にシリカ粉末を解砕して分散性と嵩密度を高めるとともに混合粉末をペレット化して焼成した実施例4〜7及び実施例9のケイ酸塩蛍光体の発光強度は1510〜2660と高かった。
本発明の乾式シリカ粉末は、例えば青色LEDを光源として発光する発光ディスプレイや照明等に使用される蛍光体原料として用いられる。

Claims (3)

  1. Sr原料粉末、Ba原料粉末、Eu原料粉末及び乾式シリカ粉末を含む原料粉末と、ハロゲン化Ba粉末のフラックスとを均一に混合し、この混合粉末を還元性ガスと不活性ガスの混合ガス雰囲気下で焼成することにより、(Sr,Ba,Eu)2SiO4で表されるケイ酸塩蛍光体を製造する方法であって、
    前記乾式シリカ粉末がBET比表面積が90〜500m 2 /g、嵩密度が70〜400g/L、純度が99.987%以上、不純物であるAl含有量が20ppm以下、Na含有量が10ppm以下、Cl含有量が100ppm以下であって、水分含有量が2%以下であり、
    前記ケイ酸塩蛍光体が、X線回折においてBaSiO3の最高回折線強度(B)と(Sr,Ba,Eu)2SiO4の最高回折線強度(A)との比(B/A)が5/100以下であるケイ酸塩蛍光体の製造方法。
  2. 前記乾式シリカ粉末を他の粉末と混合する前に粉砕メディアを用いて解砕する請求項記載のケイ酸塩蛍光体の製造方法。
  3. 前記混合粉末を焼成する前にペレット化する請求項1又は2記載のケイ酸塩蛍光体の製造方法。
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