JP3914991B2 - サイアロン蛍光体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、サイアロン蛍光体の製造方法に関する。さらに詳細には、本発明は、
高い輝度を示すサイアロン蛍光体の製造方法に関する。
蛍光体は、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、陰極線管(CRT)、白色発光ダイオード(LED)などに用いられている。これらのいずれの用途においても、蛍光体を発光させるためには、蛍光体を励起するためのエネルギーを蛍光体に供給する必要があり、蛍光体は真空紫外線、紫外線、電子線、青色光などの高いエネルギーを有した励起源により励起されて、可視光線を発する。従って、蛍光体は前記のような励起源に曝される結果、蛍光体の輝度が次第に低下するという問題があった。そのため、従来のケイ酸塩蛍光体、リン酸塩蛍光体、アルミン酸塩蛍光体、硫化物蛍光体などの蛍光体より輝度低下の少ない蛍光体として、サイアロン蛍光体が提案されている。
このサイアロン蛍光体の製造方法としては、例えば、窒化ケイ素(Si34)、窒化アルミニウム(A1N)、酸化ユーロピウム(Eu23)を所定のモル比となるように混合し、1気圧(0.1MPa)の窒素中において1700℃の温度で1時間保持してホットプレス手法により焼成して緻密な焼結体を製造する方法が従来から行われ、これによって前示蛍光体を超える一定輝度のものが得られていた(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この製造方法によって得られた蛍光体においても、長時間の高エネルギー照射によって輝度が下がることは否めず、さらに安定した高い輝度を示すサイアロン蛍光体が求められていた。
特開2002−363554号公報
本発明の目的は、上記要望に応えようというものである。すなわち、従来のサイアロン蛍光体よりさらに高い輝度を示すサイアロン蛍光体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、かかる状況下、サイアロン蛍光体の製造方法について鋭意研究を重ねた結果、原料に焼成することによりサイアロン蛍光体を構成する金属化合物粉末の混合物ないしその凝集体(定義)使用して、これを特定の粒径に調整し、一定以下の嵩密度の充填率に保ちながら、特定の圧力の窒素ガス中において、特定の温度範囲で焼成し、これをさらに特定の粒径まで粉砕、分級し、必要に応じて熱処理を施すという一連の製造条件を精査したところ、これらの製造条件の中には、従来のものよりも安定で高い輝度を有するサイアロン蛍光体を製造することができる領域があることを見出したものであり、本発明は、この知見に基づいてなされたものであり、その構成は、以下(1)〜(11)に記載するとおりである。
(1) 金属化合物混合物であって焼成することにより、M(ただし、Mは、Li、Ca
、Mg、Y、ランタニド金属からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属元素を表
す)を含有するαサイアロンを構成しうる原料粉体混合物の凝集体を、平均粒径500μ
m以下に粒度制御し、嵩密度40%以下の充填率に保持した状態で、0.05MPa以上
10MPa以下の圧力範囲の窒素中において、1500℃以上1900℃以下の温度範囲
で焼成することを特徴とするサイアロン蛍光体の製造方法。
(2) 金属化合物の混合物が、Mの酸化物または炭酸塩、窒化ケイ素、窒化アルミニウムの混合物であることを特徴とする前記(1)項に記載のサイアロン蛍光体の製造方法。
(3) 該サイアロン蛍光体が組成式{M1(x1)、M2(x2)}(Si、Al)12(O、N)16(ただし式中、M1は、Li、Ca、Mg、Y、La、Gd、Luからなる群
より選ばれる1種または2種以上の金属元素、また、M2は、Ce、Pr、Eu、Tb、
Yb、Erからなる群より選ばれる1種または2種以上の金属元素、x1、x2は共に、0以上2以下の数値範囲を示す)で表されてなるものである、前記(1)または(2)項に記載のサイアロン蛍光体の製造方法。
(4) MあるいはM1金属元素が、CaまたはYあるいはこれらの混合物であること
を特徴とする、前記(1)ないし(3)のいずれか1項に記載のサイアロン蛍光体の製造方法。
(5) MあるいはM2金属元素が、Euであることを特徴とする、前記(1)ないし
(4)のいずれか1項に記載のサイアロン蛍光体の製造方法。
(6) 該サイアロン蛍光体が組成式Cax3Eux4(Si、Al)12(O、N)16(ただし式中、x3、x4は、それぞれ0.75≦ x3 ≦1.25、0.01≦ x4 ≦0.4、の数値範囲である。)であることを特徴とする前記(1)項に記載のサイアロン蛍光体の製造方法。
(7) 該粒度制御手段がふるい分け若しくは風力分級であることを特徴とする、前記(
1)ないし(6)のいずれか1項に記載のサイアロン蛍光体の製造方法。
(8) 前記焼成する焼結手段がホットプレスあるいは熱間静水圧プレス焼結によること
なく、専ら常圧焼結法もしくはガス圧焼結法による手段によるものであることを特徴とす
る、前記(1)ないし(7)のいずれか1項に記載のサイアロン蛍光体の製造方法。
(9) 焼成後に粉砕、あるいは分級、もしくはその双方の手法により合成したサイアロ
ン粉体を平均粒径10μm以下に粒度調整することを特徴とする、前記(1)ないし(8
のいずれか1項に記載のサイアロン蛍光体の製造方法。
(10) 焼成後、あるいは粒度調整後の粉末を、1400℃以上で焼成温度以下の温度
で熱処理することを特徴とする、前記(1)ないし(9)のいずれか1項に記載のサイア
ロン蛍光体の製造方法。
本発明の製造方法によって、従来のサイアロン蛍光体の製造方法に比し、高い輝度を示すサイアロンを安定して再現性よく提供することが出来、これによって、励起源に曝された場合における蛍光体の輝度の抵抗が少ない、VFD、FED、PDP、CRT、白色LEDなどに好適な新規且つ有用な材料を再現性よく提供することが可能となった。
以下に本発明について詳しく説明する。
本発明の製造方法においては、金属化合物の混合物であって焼成することにより、M(Mは、Li、Ca、Mg、Y、ランタニド金属からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属元素)を含有するαサイアロンを構成しうる原料粉体混合物の凝集体を、嵩密度40%以下の充填率に保持した状態で、0.05MPa以上10MPa以下の圧力範囲の窒素中において、1500℃以上1900℃以下の温度範囲で焼成する。
特に、焼成に使用する雰囲気ガスは、酸素は実質的に含まれていない(酸素含有量が0.1体積%以下)窒素である。アルゴンやヘリウム等の希ガスは1体積%程度含まれてもよいが、窒素に希ガスが多く含有される場合は、窒素分圧が変り、目的とするサイアロン蛍光体の合成が難しくなり、好ましくない。焼成に用いる窒素としては、純度が99.9体積%以上のものが好ましい。
焼成の雰囲気である窒素の圧力は、本発明の製造方法においては、0.05MPa以上10MPa以下の範囲であり、0.1MPa以上1MPa以下の範囲が好ましい。圧力が小さすぎると、高い輝度を示すサイアロン蛍光体が得られず、高すぎると、工場的生産を行なう上で不利となる。
本発明の製造方法においては、焼成温度は1500℃以上1900℃以下の温度範囲であり、好ましくは1600℃以上1700℃以下の温度範囲である。焼成温度が1500℃未満では、サイアロンの合成が不完全となり、1900℃を超えると、高い輝度を示すサイアロン蛍光体が得られなくなる。
ここで本発明の製造方法により製造されるサイアロン蛍光体は、Li、Ca、Mg、Y、La、Gd、Luからなる群より選ばれる1種以上の元素で安定化されたα型サイアロン結晶を母体として、これに付活剤として、Ce、Pr、Eu、Tb、Yb、Erからなる群より選ばれる1種以上を含有する化合物である。これを組成式で示すと、以下(1)に示す組成式で表される酸窒化物である。
(1);{M1(x1)、M2(x2)}(Si、Al)12(O、N)16
ただし、式中、M1はLi、Ca、Mg、Y、La、Gd、Luからなる群より選ばれ
る1種以上であり、M2はCe、Pr、Eu、Tb、Yb、Erなる群より選ばれる1種
以上であり、x1は0以上2以下であり、x2は0以上2以下である。
特に好ましくは、式中、M1がCaまたはYあるいはこれらの混合物であり、M2がE
uであることがさらに好ましく、これを組成式で示すと、以下(2)に示す組成式で表される酸窒化物からなるサイアロン蛍光体である。
(2);{Ca(x1a)、Y(x1b)、Eu(x2)}(Si、Al)12(O、N)16
さらに好ましい組成として、M1がCaでM2がEuである組成(3)を挙げることができる。
(3);Cax3Eux4(Si、Al)12(O、N)16
さらに式中、0.75≦ x3 ≦1.25かつ0.01≦ x4 ≦0.4を満たす組成では、特に高い輝度のサイアロン蛍光体が得られる。
本発明の製造方法において、金属化合物の混合物であって焼成する事によりサイアロンを構成しうる混合物を製造するために用いることが出来る金属化合物としては、Si、Al、Li、Ca、Mg、Y、ランタニド金属の化合物のうち、焼成による分解反応や酸化反応等によって酸化物を生成する化合物、酸窒化物、窒化物が挙げられる。焼成による分解反応や酸化反応等によって酸化物を生成する化合物としては、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、含水水酸化物、オキシ水酸化物等を挙げることができる。好ましくは、
Mの酸化物あるいは炭酸塩、窒化ケイ素、窒化アルミニウムの組み合わせが、反応性の点で優れている。
Si化合物、Al化合物として最も好ましいのはそれぞれ窒化ケイ素、窒化アルミニウムであり、いずれも、平均粒径1μm以下の粉末が好ましい。なお、窒化ケイ素はα型、β型ではどちらでも同様に用いることが出来る。
これらの化合物の混合には、例えばボールミル、振動ミル、V型混合機、撹拌機等の通常工業的に用いられている装置を用いることが出来る。
上記の混合工程を終えた金属化合物の混合物は、粒径数μmの微粉末が数百μmから数mmの大きさに凝集した形態をなす(粉体凝集体と呼ぶ)。本発明では、粉体凝集体を嵩密度40%以下の充填率に保持した状態で焼成する。すなわち、特許文献1ではホットプレス法により焼成を行なっており粉体の充填率が高い状態で焼成されているが、本発明では、粉体に機械的な力を加えることなく、また予め金型などを用いて成形することなく、混合物の粉体凝集体の粒度をそろえたものを、そのままの状態で容器などに嵩密度40%以下の充填率で充填する。必要に応じて、該粉体凝集体を、ふるいなどを用いて、平均粒径500μm以下に造粒して粒度制御することができる。また、スプレードライヤなどを用いて直接的に500μm以下の形状に造粒してもよい。
嵩密度を40%以下の状態に保持したまま焼成するのは、原料粉末の周りに自由な空間がある状態で焼成すると、反応生成物であるサイアロンが自由な空間に結晶成長することにより結晶同士の接触が少なくなるため、表面欠陥が少ない結晶を合成することが出来るためである。これにより、輝度が高い蛍光体が得られる。嵩密度が40%を超えると焼成中に部分的に緻密化が起こって、緻密な焼結体となってしまい結晶成長の妨げとなり蛍光体の輝度が低下する。またサイアロンの微細な粉体が得られない。また、粉体凝集体の大きさは500μm以下が、焼成後の粉砕性に優れるため特に好ましい。
次に、得られた混合物を前記条件で焼成する。焼成に用いる炉は、焼成温度が高温であり焼成雰囲気が窒素であることから、金属抵抗加熱抵抗加熱方式または黒鉛抵抗加熱方式であり、炉の高温部の材料として炭素を用いた電気炉が好適である。焼成の手法は、常圧焼結法やガス圧焼結法などの外部から機械的な加圧を施さない焼結手法が、嵩密度を高く保ったまま焼成するために好ましい。
焼成して得られたサイアロン粉体凝集体が固く固着している場合は、例えばボールミル、ジェットミル等の工場的に通常用いられる粉砕機により粉砕する。なかでも、ボールミル粉砕によれば高輝度の蛍光体が得られる。このとき使用するボールおよびポットは、窒化ケイ素焼結体またはサイアロン焼結体製が好ましい。特に好ましくは、製品となる蛍光体と同組成のαサイアロン製が好ましい。粉砕は平均粒径10μm以下となるまで施す。特に好ましくは平均粒径0.5μm以上5μm以下である。平均粒径が10μmを超えると粉体の流動性と樹脂への分散性が悪くなり、発光素子と組み合わせて発光装置を形成する際に部位により発光強度が不均一になる。0.5μm以下となると、蛍光体粉体表面の欠陥量が多くなるため蛍光体の組成によっては発光強度が低下する。粉砕だけで目的の粒径が得られない場合は、分級を組み合わせることができる。分級の手法としては、篩い分け、風力分級、液体中での沈殿法などを用いることができる。
以上の工程での微細なサイアロン蛍光体粉末が得られるが、輝度をさらに向上させるには熱処理が効果的である。この場合は、焼成後の粉末、あるいは粉砕や分級により粒度調整された後の粉末を、1400℃以上で焼成温度以下の温度で熱処理することができる。1400℃より低い温度では、表面の欠陥除去の効果が少ない。焼成温度以上では粉砕し
た粉体どうしが再度固着するため好ましくない。熱処理に適した雰囲気は、蛍光体の組成により異なるが、窒素、空気、アンモニア、水素から選ばれる1種又は2種以上の混合雰囲気中を使用することができ、特に窒素雰囲気が欠陥除去効果に優れるため好ましい。
以上の工程を経て得られる蛍光体の中でも特に、Cax3Eux4(Si、Al)12(O、N)16(ただし式中、0.75≦ x3 ≦1.25かつ0.01≦ x4 ≦0.4)で示されるαサイアロンを主成分とし、平均粒径が10μm以下であるものは、高い輝度を有する。
以上説明したように、本発明の製造方法により得られるサイアロン蛍光体は、従来のサイアロン蛍光体より高い輝度を示し、励起源に曝された場合における蛍光体の輝度の低下が少ないので、VFD、FED、PDP、CRT、白色LEDなどに好適に有するサイアロン蛍光体である。
次に本発明を以下に示す実施例によってさらに詳しく説明するが、これはあくまでも本発明を容易に理解するための一助として開示したものであって、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例1;
組成式Ca0.75Eu0.0833(Si、Al)12(O、N)16で表される化合物を得るべく、平均粒径0.5μm、酸素含有量0.93重量%、α型含有量92%の窒化ケイ素粉末と窒化アルミニウム粉末と炭酸カルシウムと酸化ユーロピウムとを、各々68.96重量%、16.92重量%、11.81重量%、2.3重量%となるように秤量し、n−ヘキサンを用いて湿式ボールミルにより2時間混合した。ロータリーエバポレータによりn−ヘキサンを除去し、混合粉体の乾燥物を得た。得られた混合物をメノウ乳鉢と乳棒を用いて粉砕した後に500μmのふるいを通すことにより流動性に優れる粉体凝集体を得た。この粉体凝集体を直径20mm高さ20mmの大きさの窒化ホウ素製るつぼに自然落下させて入れたところ、嵩密度は32体積%であった。嵩密度は、投入した粉体凝集体の重量とるつぼの内容積から計算した。つぎに、るつぼを黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットした。焼成操作は、まず、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空とし、室温から800℃まで毎時500℃の速度で加熱し、800℃で純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を1MPaとし、毎時500℃で1600℃まで昇温し、1600℃で8時間保持した。焼成後、得られたものの一部をメノウ乳鉢に移して粉砕し、X線回折パターンを調べた。その結果、αサイアロンが生成していることがわかった。この得られた焼成体を粗粉砕の後、窒化ケイ素焼結体製のポットとボールを用いたボールミル中でn−ヘキサン中で2時間粉砕を施した。粒度分布を測定したところ、平均粒径は4.5μmであった。つぎに、この粉末を窒化ホウ素製るつぼに粉体のまま充填し、黒鉛抵抗加熱方式の電気炉を用いて、0.1MPaの窒素中で1500℃で8時間保持した。その後にメノウ乳鉢と乳棒で粉砕した。
この粉末に、波長365nmの光を発するランプで照射した結果、黄色に発光することを確認した。この粉末の吸収(励起)スペクトルおよび発光スペクトルを蛍光分光光度計を用いて測定した結果、この粉末は、図1に示す励起スペクトル、発光スペクトル特性を有していることが明らかになった。
本実施例で得られたサイアロン試料は、これらの図から294nmと425nm近傍に励起スペクトルのピークがあり、294nmの紫外線や425nmの紫色光による励起によって、560nmの黄色光にピークがある蛍光体であることが明らかにされた。ピークの発光強度は294nm励起で1006カウント、425nm励起で948カウントであ
った。
比較例1;
実施例1と同じ組成の原料粉末をn−ヘキサンを用いて湿式ボールミルにより2時間混合した。ロータリーエバポレータによりn−ヘキサンを除去し、混合粉体の乾燥物を得た。得られた混合物をメノウ乳鉢と乳棒を用いて粉砕した後に500μmのふるいを通すことにより流動性に優れる粉体凝集体を得た。この粉体凝集体を金型に充填し0.2MPaの圧力で成形した後に、400MPaでラバープレスを施すことにより嵩密度58%の成形体を得た。嵩密度は成形体の形状と質量から計算した。つぎに、るつぼを黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットした。焼成操作は、実施例1と同様の工程で行った。焼成により得られた物は緻密な焼結体であった。焼成後、得られたものをハンマーで粉砕した後に、一部をメノウ乳鉢に移して粉砕し、X線回折パターンを調べた。その結果、αサイアロンが生成していることがわかった。この粉末の吸収(励起)スペクトルおよび発光スペクトルを蛍光分光光度計を用いて測定した結果、この粉末は、図2に示す励起スペクトル、発光スペクトル特性を有していることが明らかになった。
本実施例で得られたサイアロン試料は、これらの図から294nmと425nm近傍に励起スペクトルのピークがあり、294nmの紫外線や425nmの紫色光による励起によって、560nmに黄色光にピークがある蛍光体であることが明らかにされた。ピークの発光強度は294nm励起で811カウント、425nm励起で726カウントであった。
このように、成形体の嵩密度が高い状態で焼成すると、焼成中に緻密化が進行して、粉砕後に得られる蛍光体粉末の輝度は実施例より低いことがわかった。
実施例2;
組成式Ca0.75Eu0.25(Si、Al)12(O、N)16で表される化合物を得るべく、平均粒径0.5μm、酸素含有量0.93重量%、α型含有量92%の窒化ケイ素粉末と窒化アルミニウム粉末と炭酸カルシウムと酸化ユーロピウムとを、各々61.04重量%、20.94重量%、11.36重量%、6.66重量%となるように秤量し、n−ヘキサンを用いて湿式ボールミルにより2時間混合した。ロータリーエバポレータによりn−ヘキサンを除去し、混合粉体の乾燥物を得た。得られた混合物をメノウ乳鉢と乳棒を用いて粉砕した後に500μmのふるいを通すことにより流動性に優れる粉体凝集体を得た。この粉体凝集体を直径20mm高さ20mmの大きさの窒化ホウ素製るつぼに自然落下させて入れたところ、嵩密度は34体積%であった。嵩密度は、投入した粉体凝集体の重量とるつぼの内容積から計算した。つぎに、るつぼを黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットした。焼成操作は、まず、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空とし、室温から800℃まで毎時500℃の速度で加熱し、800℃で純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を1MPaとし、毎時500℃で1600℃まで昇温し、1600℃で8時間保持した。その後さらに、1MPaの窒素雰囲気中で1500℃で8時間熱処理を施した。焼成後、得られたものをメノウ乳鉢に移して粉砕し、X線回折パターンを調べた。その結果、αサイアロンが生成していることがわかった。
この粉砕後の粉末に、波長365nmの光を発するランプで照射した結果、黄色に発光することを確認した。この粉末の吸収(励起)スペクトルおよび発光スペクトルを蛍光分光光度計を用いて測定した結果、この粉末は、図3に示す励起スペクトル、発光スペクトル特性を有していることが明らかになった。
本実施例で得られたサイアロン試料は、これらの図から449nm近傍に励起スペクトルのピークがあり、紫色光による励起によって、568nmの黄色光にピークがある蛍光
体であることが明らかにされた。ピークの発光強度は658カウントであった。
比較例2;
実施例2と同じ組成の原料粉末をn−ヘキサンを用いて湿式ボールミルにより2時間混合した。ロータリーエバポレータによりn−ヘキサンを除去し、混合粉体の乾燥物を得た。得られた混合物をメノウ乳鉢と乳棒を用いて粉砕した後に500μmのふるいを通すことにより流動性に優れる粉体凝集体を得た。この粉体凝集体を金型に充填し0.2MPaの圧力で成形した後に、400MPaでラバープレスを施すことにより嵩密度58%の成形体を得た。嵩密度は成形体の形状と質量から計算した。つぎに、るつぼを黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットした。焼成操作は、実施例2と同様の工程で行った。焼成により得られた物は緻密な焼結体であった。焼成後、得られたものをハンマーで粉砕した後に、一部をメノウ乳鉢に移して粉砕し、X線回折パターンを調べた。その結果、αサイアロンが生成していることがわかった。この粉末の吸収(励起)スペクトルおよび発光スペクトルを蛍光分光光度計を用いて測定した結果、この粉末は、図4に示す励起スペクトル、発光スペクトル特性を有していることが明らかになった。
本実施例で得られたサイアロン試料は、これらの図から449nm近傍に励起スペクトルのピークがあり、紫色光によって、570nmの黄色光にピークがある蛍光体であることが明らかにされた。ピークの発光強度は475カウントであった。
このように、成形体の嵩密度が高い状態で焼成すると、焼成中に緻密化が進行して、粉砕後に得られる蛍光体粉末の輝度は実施例より低いことがわかった。
実施例3〜6;
原料組成の他は実施例2と同様の製造工程でαサイアロン粉末を作成したところ、全ての条件でαサイアロンが生成し、表2に示すとおり高い輝度を有する蛍光体が得られた。
本発明の製造方法により得られるサイアロン蛍光体は、従来のサイアロン蛍光体より高い輝度を示し、励起源に曝された場合の蛍光体の輝度の抵抗が少ない、VFD、FED、PDP、CRT、白色LEDなどに好適な新規且つ有用な材料を提供するものであるので、今後、この種分野は勿論、それ以外の分野においても有用な蛍光体として使用され、産業の発展に大いに寄与するものと期待される。
実施例1の蛍光スペクトル 比較例1の蛍光スペクトル 実施例2の蛍光スペクトル 比較例2の蛍光スペクトル

Claims (10)

  1. 金属化合物の混合物であって焼成することにより、M(Mは、Li、Ca、Mg、Y、
    ランタニド金属からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属元素)を含有するαサ
    イアロンを構成しうる原料粉体混合物の凝集体を、平均粒径500μm以下に粒度制御し
    嵩密度40%以下の充填率に保持した状態で、0.05MPa以上10MPa以下の圧
    力範囲の窒素中において、1500℃以上1900℃以下の温度範囲で焼成することを特
    徴とするサイアロン蛍光体の製造方法。
  2. 金属化合物の混合物が、Mの酸化物または炭酸塩、窒化ケイ素、窒化アルミニウムの混
    合物であることを特徴とする請求項1に記載のサイアロン蛍光体の製造方法。
  3. 該サイアロン蛍光体が組成式{M1(x1)、M2(x2)}(Si、Al)12(O、N)
    16(ただし式中、M1は、Li、Ca、Mg、Y、La、Gd、Luからなる群より選ば
    れる1種または2種以上の金属元素、また、M2は、Ce、Pr、Eu、Tb、Yb、E
    rからなる群より選ばれる1種または2種以上の金属元素、x1、x2は共に、0以上2以
    下の数値範囲を示す)で表されてなるものである、請求項1または2に記載のサイアロン
    蛍光体の製造方法。
  4. MあるいはM1金属元素が、CaまたはYあるいはこれらの混合物であることを特徴と
    する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のサイアロン蛍光体の製造方法。
  5. MあるいはM2金属元素が、Euであることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれ
    か1項に記載のサイアロン蛍光体の製造方法。
  6. 該サイアロン蛍光体が組成式Cax3Eux4(Si、Al)12(O、N)16(ただし式中
    、0.75≦
    3 ≦1.25かつ0.01≦ x4 ≦0.4)であることを特徴とする請求項1に記載
    のサイアロン蛍光体の製造方法。
  7. 該粒度制御手段がふるい分け若しくは風力分級であることを特徴とする、請求項1ない
    し6のいずれか1項に記載のサイアロン蛍光体の製造方法。
  8. 前記焼成する焼結手段がホットプレスあるいは熱間静水圧プレス焼結によることなく、
    専ら常圧焼結法もしくはガス圧焼結法による手段によるものであることを特徴とする、請
    求項1ないしのいずれか1項に記載のサイアロン蛍光体の製造方法。
  9. 焼成後に粉砕、あるいは分級、もしくはその双方の手法により合成したサイアロン粉体
    を平均粒径10μm以下に粒度調整することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1
    項に記載のサイアロン蛍光体の製造方法。
  10. 焼成後、あるいは粒度調整後の粉末を、1400℃以上で焼成温度以下の温度で熱処理
    することを特徴とする、請求項1ないしのいずれか1項に記載のサイアロン蛍光体の製
    造方法。
JP2003396605A 2003-11-27 2003-11-27 サイアロン蛍光体の製造方法 Expired - Lifetime JP3914991B2 (ja)

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