JP6926501B2 - 糸条の交絡付与装置およびそれを用いた合繊繊維の製造方法 - Google Patents

糸条の交絡付与装置およびそれを用いた合繊繊維の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、糸条の交絡付与装置およびそれを用いた合成繊維の製造方法に関する。
従来、合成繊維の製造工程において、糸条に圧縮流体を噴射することで単糸同士に絡まりを生じさせ、交絡部と開繊部を形成し、集束性を付与した糸条は交絡糸として広く知られている。これらの交絡糸を形成する糸条交絡付与装置として、これまで様々なものが提案されている。
特許文献1には、糸道部の糸条走行方向に垂直な断面における面積が最も小さくなる絞り部を有し、その断面積が絞り部から糸道部の糸条の出入り口部に向かってなだらかに拡大している交絡付与装置が開示されている。絞り部を設けることにより、糸条走行方向と反対方向に流れる流体を塞き止め、糸条走行方向に流体を積極的に流すことができ、糸の弛みによる単糸繊維の糸道壁面への擦過による毛羽を抑制できる。また、断面積がなだらかに拡大していることから、供給された流体が、出口部側に向かって整流されるため、乱流による糸乱れを抑制し、その結果、毛羽や弛みを抑制できる。
特許文献2には、糸条走行方向に垂直な断面が、円形もしくは長円状の糸道部を有し、その両端には、流体を外部に導出する放出孔が設置されており、この放出孔が糸条走行方向に並行に配置された交絡付与装置が開示されている。これにより、糸道をセンターに確実に固定できる。また、供給された流体の排出が、放出孔からバランス良く実施できる。また、ループ発生の原因となる乱流、特に糸条の走行方向に垂直な流体作用を軽減できる。
特開2013−227711号公報 特開平5−33235号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている交絡付与装置では、本発明者らの知見によると、高い噴射圧の場合では、糸条が走行している糸道部の流路形状を変更することから、急激な流速低下による圧力変動を起こしやすくなり、その結果、交絡性能が低下し、安定して交絡を付与することが難しくなる場合がある。また、糸条がその流体の変動によって振動しやすくなるため、ノズル内部の壁面と衝突し、糸のダメージが大きくなる場合がある。
また、特許文献2に開示されている交絡付与装置では、本発明者らの知見によると、糸条の入口側と出口側に配置される放出孔は、糸条の走行方向と平行に配置されているため、走行糸の近傍において、走行方向と反対の流れが生じやすくなり、糸弛みが生じる場合がある。また、糸道部の両端に絞り部を設けていることから、流体の速度が急激に低下し、糸走行速度との差が発生し、糸弛みが生じる場合がある。また、両端部の壁面に流体が衝突することから、気流乱れが発生し、毛羽が発生する場合がある。
本発明は、上記の課題を鑑み、低い噴射圧から高い噴射圧の広範囲での処理圧力においても糸条の毛羽や弛みなどの糸ダメージを起こしにくい流体交絡付与装置を提供する。
上記課題を解決する本発明のマルチフィラメント糸の交絡付与装置は、糸条が通過する糸道部と、前記糸道部を挟んで互いに向かい合う噴射孔面および対向壁面とからなり、前記噴射孔面には2つの流体噴射孔が開口し、前記流体噴射孔の中心軸が交差し、前記流体噴射孔から噴射された流体によって前記糸道部にて糸条に交絡を付与するマルチフィラメント糸の交絡付与装置において、
前記噴射孔面および/または前記対向壁面には、前記流体噴射孔よりも糸条走行方向の上流側に、前記交絡付与装置の外部空間と連通する排気穴が設けられ、
2つの前記流体噴射孔の中心軸を含む平面の中で、2つの流体噴射孔の内側の稜線、噴射孔面および対向壁面に囲まれた領域、又は2つの流体噴射孔の内側の稜線および噴射孔面に囲まれた領域の重心点をG1とし、
前記重心点G1から糸条走行方向の上流側へ引いた糸条走行方向に平行な線を線CDとして、前記線CDを、前記噴射孔面および/または前記対向壁面の前記排気穴の輪郭線を通る平面へ投影した線CD’が、前記排気穴の輪郭線の内側の領域を通過している。
本発明のマルチフィラメット糸の交絡付与装置は、前記排気穴の輪郭線と前記線CD’との交点の中で前記重心点G1に近接した側の点と、前記重心点G1との距離T2が、以下の式(1)を満たすことが好ましい。
(1) 0.6≦T2/D1≦1.4
D1:噴射孔面および/または対向壁面での排気穴の孔径。
本発明の合成繊維の製造方法は、本発明のマルチフィラメント糸の糸条の交絡付与装置を用いて糸条に交絡を付与することで、交絡が付与された合成繊維を製造する。
本発明の流体噴射孔の中心軸とは、流体噴射孔の断面が丸形状であれば、その中心を通る軸線とし、断面が楕円形状であれば、流体噴射孔の輪郭線に接する外接円の中心を通る軸線とする。
本発明の排気穴の孔径とは、排気穴が丸形状であれば、排気穴の輪郭線を形成する径であり、楕円形状であれば、排気穴の輪郭線に接する外接円の外径とする。
本発明の糸条走行方向の上流側とは、糸条走行方向とは反対の方向の側とする。
本発明のマルチフィラメント糸の交絡付与装置を用いれば、走行糸の近傍において、糸条走行方向と反対に向かう流体の流れを抑制することにより、糸条の毛羽や弛みなどの糸ダメージを防止でき、かつ低い噴射圧から高い噴射圧の流体での処理においても交絡の付与が可能となる。
本発明の実施形態に用いられる糸条の交絡付与装置の構造を概略的に示した斜視図である。 図1のZ方向から見た噴射孔面を示す図である。 図1の中心軸CA、CBを含む平面にて切断した断面図である。 図3の糸道通過部の拡大図である。 本発明の別の実施形態に用いられる糸条の交絡装置の概略図であり、噴射孔面に中央溝があり、かつ排気穴と中央溝とが連通した構成の概略図である。 図5のZ方向から見た噴射孔面を示す図である。 図5における中心軸CA、CBを含む平面にて切断した断面図である。 図7の糸道通過部の拡大図である。 噴射壁面に排気穴がある場合の一例を示す図である。 図1のX方向から見た、噴射壁面に廃棄穴が1つある場合の排気穴の流路の一例を示す図である。 ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸を溶融紡糸して交絡処理に供して交絡マルチフィラメント糸を製造するプロセスの1例をモデル的に示した図である。 本発明にかかる交絡付与装置の糸条の入口側の排気圧力P1と出口側の排気圧力P2の測定方法を説明する概略図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に用いられる糸条の交絡付与装置の概略図であり、図2は図1のZ方向から見た噴射孔面を示す図であり、図3は図1の中心軸CA、CBを含む平面にて切断した断面図であり、図4は図3の糸道通過部の拡大図である。本発明の糸条の交絡付与装置1は、流体供給部11、流体噴射ノズル部材12、側板部材13およびスペーサ14で構成されている。そして、流体噴射ノズル部材12、側板部材13およびスペーサ14を組み合わせることで、糸条が通過して糸条に交絡を付与する糸道部17と、糸道部17と外部とを連通して糸道部17に糸条を導入するためのスリット部16とが、交絡付与装置1の内部に形成されている。流体噴射ノズル部材12のスリット部16側の面が噴射孔面21、側板部材13のスリット部16側の面が対向壁面22となる。なお、噴射孔面21や対向壁面22の形状が平面ではなく、凹凸や湾曲している場合には、その凹凸もしくは湾曲部における粗さ曲線の平均線を平均値平面とし噴射孔面21、対向壁面22とする。
流体噴射ノズル部材12には、スリット部16に開口し、走行する糸条に流体を噴射する2つの流体噴射孔15が形成されている。この2つの流体噴射孔15は、中心軸CAと中心軸CBとが交わるように形成されている。なお、中心軸CAと中心軸CBとは、対向壁面22に達する前に交わっていてもよい。流体噴射孔15の形状は円または楕円となるように設計されているのが好ましく、製作誤差の範囲内で多少円や楕円形状から外れていてもよい。中心軸CAとCBは、図2に示すように糸条の走行方向と直角に交差していてもよく、糸条走行方向に傾いていてもよい。
図4を参照して、糸道部17について更に詳しく説明する。糸道部17は、2つの流体噴射孔15の内側の稜線を、中心軸CAと中心軸CBと平行になるように対向壁面22に向かって延長した仮想線、噴射孔面21及び対向壁面22に囲まれた領域の糸条走行方向に延在する空間のことである。また、2つの流体噴射孔15の内側の稜線が対向壁面22に達する前に交差する場合は、2つの流体噴射孔15の内側の稜線を、中心軸CAと中心軸CBと平行になるように対向壁面22に向かって延長した仮想線、および噴射孔面21に囲まれた領域の糸条走行方向に延在する空間のことである。この糸道部17の空間を糸条が通過し、糸条が弦振動挙動を起こして交絡が施される。
糸道部17の形状については、2つの流体噴射孔の配置や角度、または噴射孔面21や対向壁面22の組み合わせによって、三角、四角、六角形などだけでなく、噴射孔面21や対向壁面22に球面がある場合などあらゆる形状であってもよい。また、噴射孔面21や対向壁面22が流体噴射孔15の付近から糸条走行方向に向かって拡大していくなどさまざまな形状であってもよい。
ここで、本発明の重要なポイントである、走行糸の近傍において、糸条走行方向と反対に向かう流体の流れを抑制することができる原理について説明する。
噴射孔面21もしくは対向壁面22、又は噴射孔面21と対向壁面22の双方には、排気穴18が設けられており、流体噴射孔15から噴射された流体が、糸道部17を通過して糸条走行方向の上流側に流れることを抑制することができる。
さらに、排気穴18の配置は、糸道部17の重心点をG1、重心点G1から糸条走行方向の上流側へ引いた糸条走行方向に平行な線を線CDとし、線CDを、噴射孔面21および/または対向壁面22の排気穴18の輪郭線を通る平面へ投影した線を線CD’とした場合、排気穴18は、排気穴18の輪郭線の内側の領域を線CD’が通過するように配置されている。なお、糸道部17は、重心点G1を起点にして糸条の入口側、および出口側までの距離が同じ長さであってもよく、また、入口側までの距離が出口側までの距離よりも長くてもよく、その反対に、入口側までの距離が出口側までの距離よりも短くてもよい。このような配置とすることで、排気穴18を設けない場合に比べて、流体噴射孔15から噴出される流体が、走行する糸条Yに沿って流れることを抑制し、流体が適切に排気穴18に導かれ、排気穴18の流路を通じて外部空間に排出する。また、流体噴射孔15から噴出される流体によって開繊した糸条Yの単糸のうち、流体噴射孔15よりも糸条走行方向の上流側の単糸は、排気穴18が設けられていることにより、糸道部での壁面に接触する機会が減少する。
その結果、流体の糸条走行方向の上流側への流れによる糸条の毛羽や弛み、単糸切れなど糸条への損傷や、単糸の壁面接触が少なくなり、低い噴射圧力での処理はもとより、高い噴射圧力での処理においても交絡を付与することができる。また、スリット部16には、流路の急縮小、急拡大等が無いため、流速の変動が小さくできるため、糸揺れを抑制し、壁面接触を低減できる。更には、スリット部16には、流体の流れを阻害する障害物が無いため、気流乱れを極小化できることから、糸揺れを抑制できる。
ここで、排気穴18の輪郭線の外側の領域を線CD’が通過する場合には、糸道部17と排気穴18とが離れて配置されるため、走行する糸条が排気穴18から排出される流体の流れに引っ張られた際に、排気穴18と糸道部17との境目であるエッジ部や、排気穴18を設けた壁面と糸とが接触し、交絡の抜けや不均一な交絡付与や、エッジ部で糸の引っ掛かりによる糸切れが発生する場合がある。また、エッジ部や糸道部の壁面に糸が接触することで、単糸切れや、単糸のささくれ、めくれを発生しやすく、糸ダメージとなって糸の品位が低下する場合がある。
また、図2に示すように、排気穴18の輪郭線と線CD’との交点の中で重心点G1に近接した側の点と、重心点G1との距離をT2としたとき、距離T2と排気穴18の孔径D1とが、以下の式を満たすことが好ましい。
0.6≦T2/D1≦1.4。
ここで、T2/D1とは、排気穴18の孔径と比べた流体噴射孔15と排気穴18との間の領域の相対的な広さを意味している。T2/D1が大きいほど、流体噴射孔15と排気穴18との間の領域が広くなるので、糸条の挙動領域が広くなり交絡数は増加するが、一方で、走行糸が壁面に接触する確率が増えて毛羽は増加する。逆に、T2/D1が小さいほど、流体噴射孔15と排気穴18との間の領域が狭くなるので、走行糸が壁面に接触する確率が減って毛羽は抑制できるが、一方で、糸条の挙動領域が狭くなるので交絡数は減少する。T2/D1が0.6以上1.4以下の範囲であれば、流体噴射孔15と排気穴18との間の領域が適切な広さとなり、従来は相反する関係であった糸ダメージの低減(毛羽の抑制)と、糸条の交絡付与を両立できる。
次に、噴射壁面21での排気穴18の形態について、詳細を説明する。図9には、噴射壁面21に排気穴18が形成された様々な形態が図示されている。排気穴18は、線CD’が排気穴18の輪郭線の内側の領域を通過する位置に少なくとも一つ設けられていればよく、排気穴18の形状や数などは特に限定はされない。図9の(b)、(d)に示すように異形状であってもよく、また、図9の(c)、(e)に示すように、複数個が配置されていてもよい。この場合、線CD’を軸として、対象の形状とすることで、気流乱れを抑制できる。
次に、排気穴18の流路形状について、詳細を説明する。図10には、噴射壁面21に排気穴18が1つ形成された様々な流路形態が図示されている。排気穴18の重心点から交絡処理装置の外部空間と連通する排出空気の流路の中心軸を線CEとする。排気穴18の流路は、流体噴射孔15や、流体供給路20と連通していなければよく、流路の形状や数は、特に限定はされていない。図10の(a)、(b)に示すように、排気穴18は、流体噴射ノズル部材12の側面(糸走行方向の上流側の面)にまで貫通していてもよく、また、図10の(c)に示すように、流体噴射ノズル部材12の上面にまで貫通していてもよく、また、図10の(d)に示すように、流体噴射ノズル部材12の背面(噴射孔面21の反対側の面)にまで貫通していてもよい。図10の(c)の場合、線CEは糸条の走行軸Yに対して垂直に交わっている。また、図10の(e)、(f)に示すように、上面と側面との角部にまで貫通していてもよい。また、流路形状は、断面積が一定の円筒形状でもよいが、図10(e)に示すように、断面積が漸増する円錐形状でもよい。また、図10(f)に示すように、断面積が段階的の漸増した形状でもよい。
次に、本発明の別の実施形態に用いられる糸条の交絡付与装置について、図5、6、7、8を参照して説明する。本発明の糸条の交絡付与装置1は、噴射孔壁面21及び/または対向壁面22に、糸条走行方向に沿って延在する中央溝23を有することが好ましい。中央溝23は、図6に示すように、糸条走行方向の上流側の糸道部開始地点から距離Tを経た位置から始まり、下流側の糸道部の終了地点まで到達している。そして、この中央溝23と排気穴18とは連通している。
ここで、距離Tは、糸道部の全長をLとした場合に、L/10≦T≦L/2であることが好ましい。TがL/10以上であると、糸条走行方向の上流側における噴射孔面21と対向壁面22との間隔が短い領域を一定の長さ確保できるので、糸条走行方向の上流側に流れる流体を抑制することができる。その結果、糸条走行方向の上流側への糸条の移動をより効果的に抑制できる。その結果、糸条の弛みや糸条走行方向の上流側の噴射孔面21や対向壁面21との糸条の擦過をより減らせ、毛羽や単糸切れなどの損傷をさらに減らすことができる。また、TがL/2以下であると、中央溝23の領域を一定の長さ確保できるので、交絡付与した際の糸条の挙動領域を広くでき、単糸各々の挙動範囲が大きくなり、より均一な交絡付与や交絡数の増加や単糸各々の集束部の結束が強い交絡形態を実現できる。
図11は、後述の実施例で使用したポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸を溶融紡糸して流体交絡付与に供して流体交絡マルチフィラメント糸を製造するプロセスの概略図である。給油ガイド31は、図示していない紡糸口金より紡出されたマルチフィラメント糸の工程通過性を向上させるために油剤を付与するものである。第1ホットローラユニット32、第2ホットローラユニット33は、3,000m/分前後の引き取り速度においてマルチフィラメント糸を延伸し搬送するもので、巻取機34は、延伸し搬送されたマルチフィラメント糸を巻き取る巻きものである。
次に、本発明の糸条の交絡付与装置によって得られるマルチフィラメント糸とは、単成分ポリマーからなる繊維であってもよいが、2種類以上のポリマーが組み合わされた繊維であってもよい。ここで、本発明で言う2種類以上のポリマーとは、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン等々の分子構造が異なるポリマーを2種類以上使用するということが含まれるのは言うまでもないが、製糸安定性等を損なわない範囲で、二酸化チタン等の艶消し剤、酸化ケイ素、カオリン、着色防止剤、安定剤、抗酸化剤、消臭剤、難燃剤、糸摩擦低減剤、着色顔料、表面改質剤等の各種機能性粒子や有機化合物等の添加剤や粒子の添加量が異なること、また、分子量が異なること、あるいは、共重合がなされている等などが含まれる。
また、本発明の糸条の交絡付与装置によって得られるマルチフィラメント糸の単糸の断面は、丸形状はもとより、三角、扁平等の丸形以外の形状や中空であってもよく、丸断面の異形断面の混繊糸であってもよい。また、本発明は、極めて汎用性の高い発明であり、単糸繊度により特に限られるものではなく、単糸数により特に限られるものではなく、さらには、糸条数により特に限られるものでも無く、1糸条であってもよく、2糸条以上の多糸条であってもよい。
次に、本発明で用いられる流体は、圧縮空気が最も好ましいがこの限りでは無く、非圧縮の空気であってもよく、また、スチームや窒素などのガス、混合ガスであってもよい。
以下、実施例を用いて本実施形態の効果を詳細に説明する。なお、実施例6、7は参考例である。
まず、交絡付与装置において、排気穴の有無によって交絡付与装置の外へ排気される圧縮空気の排気圧力の変化を測定した。
本検討では、図1、図2に示す交絡付与装置を使用した。実施例1の排気穴18の孔径D1は3mmの円形形状とした。距離T2は3mmとした。また、流体噴射孔15の噴射孔径は直径0.9mmの円形、2つの流体噴射孔15の中心軸CA、CBを含む平面は走行する糸条に対して垂直であり、CAとCBとがなす角度は90度、糸道長さLは12mm、噴射壁面21と対向壁面22は糸条走行方向の上流側、下流側に向かって拡大せず、平行な形状で、且つ平滑な面とした。また、噴射壁面21と対向壁面22との間隙を調整するスペーサ厚みHは0.2mmとした。比較例1は、排気穴18が無い以外は全て実施例1と同一の構成および寸法とした。
(1)交絡付与装置の出口側と入口側の排気圧力:
流体噴出孔15から圧縮空気を噴射したときの、交絡付与装置の糸条走行方向の上流側の排気圧力P1と、下流側の排気圧力P2の測定を実施した。図12に排気圧力の測定の概略図を示す。P1、P2は圧力計を示し、L1は交絡付与装置の重心点G1からそれぞれP1、P2の圧力計までの距離である。排気圧力の測定には、日本電産コパル電子株式会社製 ハンディーマノメーターPG−100を用いて、距離L1は9mmとした。
流体噴射の設定圧力は0.2、0.3、0.4、0.5MPaの条件とし、その際の各圧力での測定結果と、排気圧力差ΔP(=P2−P1)を表1に表記した。
(2)集束性(交絡数の測定と判定):
実施例、及び比較例で得られたマルチフィラメント糸について交絡数を測定した。測定装置にはロッシールド社製自動連続交絡度試験器R−2072を用いた。プリテンションを10cN、トリップテンションを17cNに設定し、設定係数交絡部数を20個として試料糸を走行させて、交絡部が20個カウントされるまでに要した糸長さ(走行糸長さ)を測定し、交絡部から次の交絡部までの長さの平均値を求めた。
更に、上記長さの平均値から糸長さ1m当たりの交絡の個数に換算し、この換算値を「糸長さ1mあたりの交絡数」として求めた。測定にあたっては、n数を20回としてその平均値を求めた。
交絡数についての判定は、糸1m当たりの交絡数が3個未満を「不良」として表2では「×」で表記し、3個以上6個未満を「やや未達」として表2では「△」で表記し、6個以上10個未満を「良」として表2では○で表記し、10個以上を「最良」として表2では「◎」で表記した。「最良」と「良」を合格とし、「やや未達」と「不良」は不合格とした。
(3)パッケージ品位(毛羽数の測定と判定):
実施例、比較例で得られたマルチフィラメント糸について毛羽数を測定した。測定装置には東レ・エンジニアリング株式会社製毛羽計数装置DT-105を用いた。S型検出器により検出高さを0.5mmに設定し、パッケージの解舒速度を500m/分として、10,000mの糸長さについて測定し、そのまま糸10, 000m長さ当たりに存在する毛羽数として求めた。
毛羽数についての判定は、糸10,000m長さ当たりの毛羽数が3個以上を「不良」として表2では「×」で表記し、1.5個以上3個未満を「やや未達」として表2では「△」で表記し、1個以上1.5個未満のものを「良」として表2では「○」で表記し、1個未満を「最良」として「◎」で表記した。「最良」と「良」を合格とし、「やや未達」と「不良」は不合格とした。
(4)総合評価:
総合評価は、集束性とパッケージ品位の双方の判定結果の低い方を総合評価の判定に反映した。「最良」と「良」を合格とし、「やや未達」と「不良」は不合格とした。 実施例1〜7、比較例1における交絡付与装置の構成と、集束性、パッケージ品位および総合評価の結果を表2に示す。
(実施例1、比較例1)
実施例1および比較例1の交絡付与装置を用いて、図11に示した工程概要で実際にマルチフィラメント糸を採取した。84デシテックス、フィラメント数36本の異型断面のポリエチレンテレフタレートを溶融紡糸して流体交絡処理に供し、巻取速度3000m/分で巻き取りマルチフィラメント糸を採取した。流体噴射の設定圧力は0.3MPaとした。
(実施例2、実施例3)
実施例2にて、流体噴射ノズル部材に中央溝を設置した場合の効果、ならびに実施例3にて対向壁面の絞り部を設置した場合の効果について、説明する。実施例2では、中央溝(体積9mmのV溝形状)を配置した以外は実施例1と同じである。実施例3では、噴射壁面と対向壁面との間に、流体噴射孔よりも糸条走行方向の上流側に噴射壁面と対向壁面の間隙が短くなる絞り部を配置し、対向壁面が糸条走行方向の下流側、上流側に向かって拡大していく形状とした以外は実施例2と同じである。また、絞り部における噴射壁面と対向壁面の間隙はスペーサ厚みHの0.2mmとし、噴射壁面は走行する糸条の走行軸Yと平行で平滑な面とした。中央溝、絞り部以外は、実施例1と同じ交絡付与装置を用いて、同じ条件にてマルチフィラメント糸を採取した。
(実施例4、実施例5、実施例6、実施例7)
実施例4、5、6、7では、式(1)0.6≦T2/D1≦1.4の効果について、説明する。実施例4のT2は1.8mm、実施例5のT2は4.2mm、実施例6のT2は0.9mm、実施例7T2は5.4mmとした以外は、実施例1と同じ交絡付与装置を用いて、同じ条件にてマルチフィラメント糸を採取した。
Figure 0006926501
表1から下記の結論が得られた。実施例1の交絡付与装置は、排気穴が設けられていることで排気穴から圧縮空気を排気することで、流体噴出孔からの噴出圧力が低圧(0.2MPa)から高圧(0.5MPa)にかけて、入口側の排気圧力P1が出口側の排気圧力P2よりも低くなり、糸条走行方向の上流側に流れる圧縮空気を抑制できている。一方、比較例1の交絡付与装置は、排気穴が設けられておらず、流体噴出孔からの噴出圧力に関わらず入口側の排気圧力P1と出口側の排気圧力P2はほぼ同等であり、排気穴のある実施例1に比べて糸条走行方向の上流側に流れる圧縮空気が多い。
Figure 0006926501
表2から下記の結論が得られた。実施例1では、交絡数11.6ヶ/m、毛羽数0.5ヶ/mとなり、集束性、パッケージ品位共に「最良」の評価となった。実施例1の構成に中央溝を設けた実施例2では、実施例1よりも交絡数は増加して14.3ヶ/mとなり、一方で毛羽数は減少して0.3ヶ/mとなり、集束性、パッケージ品位も共に「最良」の評価となった。実施例2の構成に絞り部を設けた実施例3では、交絡数は12.4ヶ/mで実施例2よりも減ったものの、毛羽数はさらに減少して0ヶ/mとなり、集束性、パッケージ品位共に「最良」の評価となった。
実施例4では、実施例1に比べてT2/D1の値が小さくなったので、実施例1に比べて交絡数は若干低下して10.4ヶ/mとなったが、毛羽数は0.4ヶ/mであり、集束性、パッケージ品位共に「最良」の評価のままであった。実施例6では、T2/D1の値が0.6未満となったので更に交絡数は低下して8.1ヶ/mで、集束性の評価は「良」となったが、毛羽数は0.5ヶ/mであり、パッケージ品位は「最良」の評価のままであった。
実施例5では、実施例1に比べてT2/D1の値が大きくなったので、実施例1に比べて毛羽数は若干増加して0.7ヶ/mとなったが、交絡数は10.1ケ/mであり、集束性、パッケージ品位共に「最良」の評価のままであった。実施例7では、T2/D1の値が1.4より大きくなったので、更に毛羽数が増加して1.3ヶ/mで、パッケージ品位の評価は「良」となったが、交絡数は12ヶ/mであり、集束性は「最良」の評価のままであった。
1:交絡付与装置
11:流体供給部
12:流体噴射ノズル部材
13:側板部材
14:スペーサ
15:流体噴射孔
16:スリット部
17:糸道部
18:排気穴
19:流体導入路
20:流体供給路
21:噴射孔面
22:対向壁面
23:中央溝
31:給油ガイド
32:第1ホットローラユニット
33:第2ホットローラユニット
34:巻取機
G1:糸道部17の重心点
L:糸道長さ
T:糸条走行方向の上流側の糸道部開始地点から中央溝開始地点までの距離
Y:糸条の走行軸
H:スペーサの厚み
CA:流体噴射孔15の中心軸
CB:流体噴射孔15の中心軸

Claims (2)

  1. 糸条が通過する糸道部と、前記糸道部を挟んで互いに向かい合う噴射孔面および対向壁面とからなり、前記噴射孔面には2つの流体噴射孔が開口し、前記流体噴射孔の中心軸が交差し、前記流体噴射孔から噴射された流体によって前記糸道部にて糸条に交絡を付与するマルチフィラメント糸の交絡付与装置において、
    前記噴射孔面および/または前記対向壁面には、前記流体噴射孔よりも糸条走行方向の上流側に、前記交絡付与装置の外部空間と連通する排気穴が設けられ、
    2つの前記流体噴射孔の中心軸を含む平面の中で、2つの流体噴射孔の内側の稜線、噴射孔面および対向壁面に囲まれた領域、又は2つの流体噴射孔の内側の稜線および噴射孔面に囲まれた領域の重心点をG1とし、
    前記重心点G1から糸条走行方向の上流側へ引いた糸条走行方向に平行な線を線CDとして、前記線CDを、前記噴射孔面および/または前記対向壁面の前記排気穴の輪郭線を通る平面へ投影した線CD’が、前記排気穴の輪郭線の内側の領域を通過
    前記排気穴の輪郭線と前記線CD’との交点の中で前記重心点G1に近接した側の点と、前記重心点G1との距離T2が、以下の式(1)を満たす、マルチフィラメント糸の交絡付与装置。
    (1) 0.6≦T2/D1≦1.4
    D1:噴射孔面および/または対向壁面での排気穴の孔径
  2. 請求項のマルチフィラメント糸の交絡付与装置を用いて糸条に交絡を付与することで、交絡が付与された合成繊維を製造する、合成繊維の製造方法。
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