JP7413803B2 - 不織布の製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、フィラメント集合体を空気力学的に延伸させる延伸手段を備える不織布の製造装置に関する。
不織布の製造装置において、フィラメントから不織布を形成するものがある。例えば、その製造装置の一つであるスパンボンド製法によるものにおいては、紡糸手段により、紡糸口金の多数の紡糸孔から熱可塑性樹脂を溶融紡糸して、フィラメントの束であるフィラメント集合体を形成する。このフィラメント集合体は、冷却手段により、制御された一様流である冷却エアーが水平方向から供給され、所望の硬さに冷却された後に、延伸手段により、垂直方向に引っ張られる。その後、搬送手段により、直接捕集ベルト上に堆積するフィラメント集合体が搬送されるとともに、絡合手段により、フィラメント集合体同士を絡合させ不織布を形成している。
このような不織布の製造装置においては、フィラメント集合体を捕集ベルト上に堆積させる際に、フィラメント集合体の分散を制御することなく、単に、捕集ベルトに対して略垂直方向から衝突及び堆積させているため、不織布にはムラが生じ、肌触りが低下していた。よって、不織布には、肌触りを向上させるために、つまり、地合の均一性を向上させるために、フィラメント集合体を捕集ベルト上に均一に分散させることが要望されていた。
ここで、例えば、特許文献1には、イジェクターの吐出口に、角度θ及び幅方向長さlの突起板を下方に有した平板を設け、フィラメント集合体を突起板及び平板に衝突させて、2方向に分離させることにより、捕集ベルトの搬送方向(以下、「MD方向」ともいう)におけるフィラメント集合体の分散状態を積極的に制御するものが記載されている。
また、例えば、特許文献2には、イジェクターの吐出口に、複数の溝を有したスタイライザを設け、コアンダ効果により、フィラメント集合体を複数の第1ガイド及び第2ガイドに対して非接触で沿わせて、2方向に分離させることにより、MD方向におけるフィラメント集合体の分散状態を積極的に制御するものが記載されている。
特開昭61-70060号公報 特開2005-146502号公報
ここで、特許文献1及び2は、接触状態又は非接触状態の違いはあるものの、共に、フィラメント集合体の分散状態を、MD方向へと広がるように積極的に制御する一方、搬送方向と直交する方向(以下、「CD方向」ともいう)へと広がるように積極的に制御をするものではない。したがって、このCD方向には、フィラメント集合体の偏り、つまり、MD方向へと延在する筋状のムラが生じ、地合の均一性が低下するおそれがあった(以下、「CD方向の偏り」という)。
本発明の目的は、捕集ベルトの搬送方向(MD方向)に加え、搬送方向と直交する方向(CD方向)おけるフィラメント集合体の分散状態を制御可能な不織布の製造装置を提供することである。
上記課題を解決するために、不織布の製造装置は、溶融した熱可塑性樹脂をフィラメントから構成されるフィラメント集合体として押し出す紡糸手段と、前記フィラメント集合体を空気力学的に延伸させる延伸手段と、前記フィラメント集合体を堆積させ所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、を備え、前記延伸手段は、吸引口と、吐出口と、前記吐出口の前記搬送方向の上流側又は下流側に設けられ、前記搬送方向に対向する一対の櫛歯状の羽と、を備え、前記一対の櫛歯状の羽は、前記吐出口に隣接して配置される複数の第1の櫛歯状の羽と、前記搬送方向からみて、前記複数の第1の櫛歯状の羽同士の隙間領域を覆うように千鳥配置される複数の第2の櫛歯状の羽とを有し、前記第1の櫛歯状の羽及び前記第2の櫛歯状の羽の下端部は、前記搬送手段の上面における前記搬送方向と直交する方向からみて、垂直方向に対して前記搬送方向の上流側又は下流側の同方向に向けて異なる角度で傾斜しているものである。
また、上記不織布の製造装置は、前記第1の櫛歯状の羽が、上底と比べ下底が長い台形形状であるものとしてもよい。
また、上記不織布の製造装置は、前記搬送方向からみて、前記第2の櫛歯状の羽が、矩形形状であるものとしてもよい。
また、上記不織布の製造装置は、前記一対の櫛歯状の羽は、前記吐出口の前記搬送方向の上流側に設けられ、前記第1の櫛歯状の羽及び前記第2の櫛歯状の羽は、上端部から下端部へ向かうにつれて、前記延伸手段の吐出口からそれぞれ遠ざかるように傾斜しており、前記搬送方向に直交する水平方向からみて、垂直方向に対して前記第1の櫛歯状の羽の下端側がなす角度を、1~55°とするとともに、垂直方向に対して前記第2の櫛歯状の羽の下端側がなす角度を、6~60°とするものとしてもよい。
また、上記不織布の製造装置は、前記搬送方向に直交する水平方向からみて、前記第1の櫛歯状の羽に対して前記第2の櫛歯状の羽がなす角度を、上端側に比べ下端側で大きくするものとしてもよい。
本発明によれば、捕集ベルトの搬送方向(MD方向)に加え、搬送方向と直交する方向(CD方向)おけるフィラメント集合体の分散状態を制御可能な不織布の製造装置を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係るスパンボンド不織布製造装置の一例を示す概略図である。 図1に示される一対の櫛歯状の羽の詳細を説明する図であり、(a)は側面図、(b)は正面図をそれぞれ表す。 図2(b)に示される一対の櫛歯状の羽の構成部材を説明する図であり、(a)は第1の櫛歯状の羽、(a)は第2の櫛歯状の羽をそれぞれ表す。 図1に示される捕集ベルトにおけるフィラメント集合体の堆積過程を説明する斜視図である。 図4に示されるフィラメント集合体の堆積過程を詳細に説明する図であり、(a)は側面図、(b)は正面図をそれぞれ表す。 本発明の第2の実施形態における一対の櫛歯状の羽の詳細を説明する図であり、(a)は側面図、(b)は第2の櫛歯状の羽の正面図をそれぞれ表す。
本発明の実施形態について、図1から図6を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明は本実施形態の態様に限定されるものではない。
<不織布製造装置>
本実施形態による複数のフィラメントの束(以下、「フィラメント集合体」という)3,4a,4b,5及びこれを含む不織布6は、特別な装置を用いることなく、通常の複合溶融紡糸法による不織布製造装置により得ることができる。中でも、生産性に優れるスパンボンド法による不織布製造装置が好ましく用いられる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る不織布製造装置の一例としてスパンボンド不織布製造装置(以下、「不織布製造装置」という)100における概略図を、限定目的ではなく例示目的で示す。図中の白抜きの矢印A、矢印B1、矢印B2、矢印C及び黒矢印Dは、フィラメント集合体3の紡出方向、第1のフィラメント集合体4aの偏向方向、第2のフィラメント集合体4bの偏向方向、捕集ベルト61の搬送方向(以下、「MD方向」ともいう)及び捕集ベルト61の周回方向をそれぞれ表している。また、図中のX軸方向は、搬送方向C(MD方向)を示すものであり、Y軸方向は、捕集ベルト61におけるMD方向と直交する方向(以下、「CD方向」ともいう)を示すものであり、Z軸方向は、X軸方向及びY軸方向と直交するとともに紡出方向Aと平行な方向を示すものである。
不織布製造装置100は、第1の押出機11及び第2の押出機12(紡糸手段)と、紡糸口金(紡糸手段)20と、冷却用送風機(冷却手段)30と、イジェクター(延伸手段)40と、捕集コンベア(搬送手段)60と、熱エンボスロール70と、ワインダー80と、から構成される。以下、それらの概要を順に説明する。
第1の押出機11は、第1の原料樹脂1を溶融しながら、螺旋状の第1のローター13の回転により、所定流量の溶融物を紡糸口金20へと送液する。同様に、第2の押出機12は、第2の原料樹脂2を溶融しながら、螺旋状の第2のローター14の回転により、所定流量の溶融物を紡糸口金20へと送液する。
(第1の原料樹脂)
第1の原料樹脂1は、熱可塑性樹脂を主成分とする。すなわち、第1の原料樹脂1は、第1の原料樹脂1の全固形分を基準にして90質量%以上100質量%以下の量で熱可塑性樹脂を含むことができる。第1の原料樹脂1に適用可能な熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系の樹脂が化学的に安定していて安全性が高いため、衛生材の用途として好ましく使用される。複合繊維からなるフィラメントの紡糸性等の観点から、熱可塑性樹脂には、ポリプロピレン(PP)がより好ましく使用される。
(第2の原料樹脂)
第2の原料樹脂2は、熱可塑性樹脂を主成分とする。詳細には、第2の原料樹脂2は、第2の原料樹脂2の全固形分を基準にして90質量%以上100質量%以下の量で熱可塑性樹脂を含む。
第2の原料樹脂2の主成分に適用可能な熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種類を使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。複合繊維からなるフィラメントの触り心地などの風合いの観点から、熱可塑性樹脂には、ポリエチレン(PE)を好ましく使用することができる。
(添加物)
複合繊維からなるフィラメントは、第1の原料樹脂1及び第2の原料樹脂2のそれぞれにおいて、熱可塑性樹脂に加えて、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて添加物を含有していてもよい。安全性を確保しつつ必要な機能を発揮させるために、添加物は第1の原料樹脂1及び第2の原料樹脂2を合わせた全固形分を基準にして1質量%以下とすることが好ましい。
添加物の原料としては、例えば、公知の耐熱安定剤及び耐候安定剤などの各種の安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス等が挙げられる。
安定剤としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)等の老化防止剤;テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステル、2,2’-オキザミドビス[エチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、1,2-ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩;グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等の多価アルコール脂肪酸エステルなどを挙げることができる。また、これらを組み合わせて用いることもできる。
滑剤としては、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド等が挙げられる。
また、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン等の充填剤を含有していてもよい。
紡糸口金20は、所望の繊維構造を形成して吐出するように構成された複数の複合紡糸ノズル(不図示)を有する。このノズルより、第1の押出機11及び第2の押出機12からのそれぞれ溶融物が複合した複合繊維からなるフィラメント集合体3を重力方向に紡出する。
冷却用送風機30は、オープン型であり、紡出されたフィラメント集合体3に対し、紡出方向Aと直交する方向であるX軸方向から冷却エアー31を送風し、フィラメント集合体3を冷却する。また、フィラメント集合体3から排気される高温の分離ガス32は、紡出方向Aに沿わず、冷却用送風機30の上方へと排気されることから、フィラメント集合体3を効率的に冷却することができる。
イジェクター(延伸手段)40は、オープン型であり、ボディー42と、一対の櫛歯状の羽50と、を備える。このボディー42は、吸引口42aと、吐出口42bと、吸引口42a及び吐出口42bを連通させる内壁42c(図2参照)と、を有する。本実施形態における一対の櫛歯状の羽50は、吐出口42b周縁における搬送方向Cの上流側又は下流側に設けられ、コアンダ効果を利用するものや、接触板として機能するもののいずれから選択される。ここでは、図1に示すように、本実施形態の一例として、一対の櫛歯状の羽50は、吐出口42b周縁における搬送方向Cの上流側に設けられ、コアンダ効果を利用するものとする。
イジェクター40は、ボディー42内において、駆動流体であるイジェクター用高圧エアー41aを紡出方向Aの成分をもたせて噴射させることにより、ボディー42内に低圧部を生成させる。この生成された低圧部により、フィラメント集合体3は、吸引口42aからボディー42の内部に吸引された後、コアンダ効果により、ボディー42の吐出口42b周縁に設けられる一対の櫛歯状の羽50に沿って、圧力回復された駆動流体である吐出エアー41b1,41b2とともに外部に吐出される。ここで、コアンダ効果とは、噴流が粘性効果により、周囲の流体を引き込む現象であり、本実施形態のように、噴流である吐出エアー41b1,41b2の一側に一対の櫛歯状の羽50がある場合、周囲の流体の代わりに吐出エアー41b1,41b2自体が一対の櫛歯状の羽50の方にそれぞれ引き込まれることにより、一対の櫛歯状の羽50に沿って流れる現象である。このコアンダ効果よって、イジェクター40から放出された第1のフィラメント集合体4a及び第2のフィラメント集合体4bは、第1の吐出エアー41b1及び第2の吐出エアー41b2とともに一対の櫛歯状の羽50と非接触状態で、紡出方向Aから偏向方向B1,B2へと、搬送方向Cの上流側に向けて偏向されながら延伸される。
捕集コンベア60は、捕集ベルト61と、捕集ベルト61の逆台形型の周回軌道の頂点に掛け回される第1乃至第4のロール65~68と、上側周回軌道における捕集ベルト61の下方に対向配置される吸引ボックス69と、を備える。この捕集ベルト61は、第1乃至第4のロール65~68の少なくとも一つの駆動回転に伴い、時計回りに周回軌道を周回方向Dに移動する。イジェクター40により延伸された第1のフィラメント集合体4a及び第2のフィラメント集合体4bは、直接、捕集コンベア60の捕集ベルト61上に所定の厚さに堆積されるとともに、搬送方向Cにある熱エンボスロール70へと搬送される。
熱エンボスロール70は、所定温度に加熱された凹凸の円筒面と、平らな円筒面とを有する一対の円筒ロールを備える。一対の円筒ロールは、堆積されたフィラメント集合体5を圧搾し、圧力と熱によりフィラメント集合体5の一部を絡合させ、不織布6を形成する。この交絡処理は、熱エンボス法ともいわれ、この方法により得られる不織布6は、表面にエンボスのパターンが現れる。
本実施形態による不織布6には、熱エンボス法の他、繊維の交絡処理の方法として、ニードルパンチ、ウォータージェット、超音波等の手段を用いる方法、またはホットエアースルーにより熱融着させる方法を採用することができる。ニードルパンチ手段は、ニードルをフィラメント集合体5に差し込んで絡合させる方法である。ウォータージェット手段は、高圧の水をフィラメント集合体5に噴射して、絡合させる方法である。超音波手段は、超音波を利用して、一部のフィラメントを溶かして、絡合させる方法である。ホットエアースルーは、ホットエアーをフィラメント集合体5に吹き出して、一部のフィラメントを溶かして絡合させる方法である。
(不織布)
本実施形態による不織布6は、フィラメント集合体5からなり、1つの層からなる単層構成を有していてもよく、また、複数の層からなる多層構成を有していてもよい。
ワインダー80は、連続する不織布6に皺の発生させることなく、所定の巻き硬さで巻き取る。
<一対の櫛歯状の羽の詳細について>
図2は、本実施形態の最適な一例として示される、吐出口42b周縁における搬送方向Cの上流側に設けられ、コアンダ効果を利用する一対の櫛歯状の羽50の詳細を説明する図である。なお、本実施形態の他の例については以下の理由により説明を省略する。まず、吐出口42b周縁における搬送方向Cの下流側に設けられ、コアンダ効果を利用する一対の櫛歯状の羽50-1(不図示)については、吐出口42bの中心を通る鉛直線c(図2(a)参照)に対して、一対の櫛歯状の羽50と鏡像の関係となっているためである。また、吐出口42b周縁における搬送方向Cの上流側に設けられ、接触板として機能する一対の櫛歯状の羽50-2(不図示)については、図2(a)に示される一対の櫛歯状の羽50のそれぞれの下端を下流側に向けて傾斜させて、Z軸方向からみた際に、吐出口42bに重なるように配置している点のみが、一対の櫛歯状の羽50と異なるためである。さらに、吐出口42b周縁における搬送方向Cの下流側に設けられ、接触板として機能する一対の櫛歯状の羽50-3(不図示)については、吐出口42bの中心を通る鉛直線c(図2(a)参照)に対して、一対の櫛歯状の羽50-2と鏡像の関係となっているためである。
ここから、本実施形態の最適な一例である一対の櫛歯状の羽50について説明する。一対の櫛歯状の羽50は、吐出口42b周縁における搬送方向Cの上流側、かつ、CD方向に所定間隔で配置される複数の第1の櫛歯状の羽51と、複数の第1の櫛歯状の羽51より搬送方向Cの上流側、かつ、CD方向に所定間隔で配置される複数の第2の櫛歯状の羽52と、を有する。
(第1の櫛歯状の羽について)
第1の櫛歯状の羽51は、図3(a)に示すように、それぞれ、上底の長さW1uが下底の長さW1dと比べ短い台形形状であり、また、複数の第1の櫛歯状の羽51の上底側同士の間隔S1uは、下底側同士の間隔S1dと比べ長い。これにより、詳細は後述するが、複数の第1の櫛歯状の羽51同士の隙間領域50a(図2(b)参照)を通過する第2のフィラメント集合体4bの流路面積を確実に確保することができる。本実施形態の第1の櫛歯状の羽51では、上底の長さW1u、下底の長さW1d、高さL1、上底側同士の間隔S1u及び下底側同士の間隔S1dを、例えば、11(mm)、17(mm)、75(mm)、9(mm)及び3(mm)とするものであるが、これに限るものではない。また、本実施形態の第1の櫛歯状の羽51は、台形形状であるが、これに限らず、隙間領域50aを通過する第2のフィラメント集合体4bの流路面積を確保することができる形状であればよい。
(第2の櫛歯状の羽について)
第2の櫛歯状の羽52は、図3(b)に示すように、それぞれ、横幅W2及び高さL2を有する矩形形状である。ここで、本実施形態において、複数の第2の櫛歯状の羽52同士の間隔S2は、複数の第1の櫛歯状の羽51の上底側同士の間隔S1u以下、かつ、下底側同士の間隔S1d以上としてもよい。これにより、複数の第1の櫛歯状の羽51同士の隙間領域50aより、複数の第2の櫛歯状の羽52同士の隙間領域を小さくしているため、第2のフィラメント集合体4bを、確実に、第2の櫛歯状の羽52に沿って、偏向させることができる。また、複数の第2の櫛歯状の羽52の間に間隔S2を設けることにより、第2の櫛歯状の羽52における表面(第2のフィラメント集合体4bが沿う面)から裏面への第2の吐出エアー41b2の流れを許容し、第2の吐出エアー41b2の流路抵抗を下げることができ、コアンダ効果をより効果的に働かせることができる。本実施形態の第2の櫛歯状の羽52では、横幅W2、高さL2、及び、第2の櫛歯状の羽52同士の間隔S2を、例えば、17(mm)、80(mm)及び3(mm)とするものであるが、これに限るものではない。
(一対の櫛歯状の羽について)
一対の櫛歯状の羽50は、搬送方向Cからみて、複数の第1の櫛歯状の羽51同士の隙間領域50aを覆うように、複数の第2の櫛歯状の羽52が千鳥配置されている。なお、図2(b)は、搬送方向Cとは反対側からみた図である。これにより、隙間領域50aを通過した第2の吐出エアー41b2及び第2のフィラメント集合体4bに対して、確実に、第2の櫛歯状の羽52によるコアンダ効果の影響を働かせることができるため、第2の櫛歯状の羽52に対して非接触で確実に沿わせることができる。ここで、本実施形態において、図2(b)に示すように、第2の櫛歯状の羽52の高さL2を第1の櫛歯状の羽51の高さL1と比べ長くしてもよい。これにより、隙間領域50aを通過した第2のフィラメント集合体4bを、確実に、第2の櫛歯状の羽52に対して非接触で沿わせることができるため、詳細は後述するが、CD方向におけるフィラメント集合体の分散状態を積極的に制御することができる。
また、図2(a)に示すように、第1の櫛歯状の羽51の下端部51b及び第2の櫛歯状の羽52の下端部52bは、CD方向からみて、垂直方向に対して搬送方向Cの上流側の同方向に向けて異なる角度(θ1<θ2)で傾斜させている。これにより、フィラメント集合体を第1の櫛歯状の羽51及び第2の櫛歯状の羽52に対して非接触で沿わせて、2方向に分離させることにより、MD方向におけるフィラメント集合体の分散状態を積極的に制御することができる。本実施形態における角度θ1,θ2の大きさの違いは、コアンダ効果がより強く働くために、25°以内にすることが好ましく、さらに5°以内とすることがより好ましい。
本実施形態における第1の櫛歯状の羽51の上端部51aは、コアンダ効果がより強く働くために、搬送方向Cの上流側の内壁42cと、滑らかに連続的に接続されることが好ましい。また、本実施形態における一対の櫛歯状の羽50は、CD方向からみて、同一形状となっている。さらに、本実施形態における一対の櫛歯状の羽50は、CD方向のコアンダ効果を一様に働かせるために、MD方向からみて、吐出口42b周縁の全てに亘るように、CD方向に延在させて設けることが好ましい。
<捕集ベルトにおけるフィラメント集合体の堆積過程について>
図4は、図1に示される捕集ベルト61におけるフィラメント集合体4a,4bの堆積過程を説明する斜視図であり、図5は、フィラメント集合体4a,4bの堆積過程を詳細に説明する図である。ここで、図4中の黒矢印Eは、吸引ボックス69の吸引方向を表している。
上側周回軌道の捕集ベルト61は、第1の櫛歯状の羽51により偏向された第1のフィラメント集合体4aが衝突及び分散する第1の分散領域αと、第2の櫛歯状の羽52により偏向されたフィラメント集合体4bが衝突及び分散する第2の分散領域βと、堆積されたフィラメント集合体5が搬送される搬送領域γと、に大別される。なお、図5(a),(b)に示されるように、CD方向及び/又はMD方向からみた第1の分散領域α及び第2の分散領域βは重なっていてもよい。
以下では、図5(a)中の(I)乃至(IV)を用いて、各領域におけるフィラメント集合体4a,4b,5の堆積過程を順次説明する。なお、詳細は後述するが、本実施形態において、MD方向に制御された分散状態でフィラメント集合体4a,4bを堆積させるために、第1の櫛歯状の羽51及び第2の櫛歯状の羽52のコアンダ効果を利用するものである。また、CD方向に制御された分散状態でフィラメント集合体4a,4bを堆積させるために、隙間領域50aを用いて、第1のフィラメント集合体4a及び第2のフィラメント集合体4bをそれぞれCD方向に間引くものである。
(I)における第1の分散領域αは、隙間領域50aを通過せずに、第1の櫛歯状の羽51により偏向された第1の吐出エアー41b1、つまり、第1のフィラメント集合体4aが捕集ベルト61と衝突及び分散する領域であり、図5(b)に示すように、CD方向へと間欠的に延在している。
まず、MD方向については、図5(a)に示すように、第1の吐出エアー41b1、つまり、第1のフィラメント集合体4aが、コアンダ効果により、第1の櫛歯状の羽51に沿って延伸され、捕集ベルト61と衝突する。この衝突した第1のフィラメント集合体4aの一部が搬送方向Cの上流側へと分散されるとともに、第1のフィラメント集合体4aの他部が捕集ベルト61上へと堆積される。これにより、第1のフィラメント集合体4aを、第1の櫛歯状の羽51により、MD方向に制御された分散状態で堆積させることができる。
次に、CD方向については、図5(b)に示すように、第1の吐出エアー41b1、つまり、第1のフィラメント集合体4aが、隙間領域50aにより、CD方向に間引かれたものとなっている。このため、第1のフィラメント集合体4aは、コアンダ効果により、第1の櫛歯状の羽51に引き寄せられることにより、一時的にMD方向へと縮まるが、その後、流路面積を確保するために、流路抵抗の低いCD方向へと広がりながら拡散され、捕集ベルト61と衝突する。これにより、第1のフィラメント集合体4aは、隙間領域50a及び第1の櫛歯状の羽51により、CD方向に制御された分散状態で堆積させることができる。
(II)における第2の分散領域βは、隙間領域50aを通過し、第2の櫛歯状の羽52により偏向された第2の吐出エアー41b2、つまり、第2のフィラメント集合体4bが捕集ベルト61と衝突及び分散する領域であり、図5(b)に示すように、CD方向へ間欠的に延在している。
まず、MD方向については、図5(a)に示すように、第2の吐出エアー41b2、つまり、第2のフィラメント集合体4bが、コアンダ効果により、第2の櫛歯状の羽52に沿って延伸され、捕集ベルト61と衝突する。この衝突した第2のフィラメント集合体4bの一部が搬送方向Cの上流側へと分散されるとともに、第2のフィラメント集合体4bの他部が捕集ベルト61上へと堆積される。これにより、第2のフィラメント集合体4bを、第2の櫛歯状の羽52により、MD方向に制御された分散状態で堆積させることができる。
次に、CD方向については、図5(b)に示すように、第2の吐出エアー41b2、つまり、第2のフィラメント集合体4bが、オリフィス(絞り機構)として機能する隙間領域50aを通過する際には、一時的に流路面積が絞られるが、通過後には広がりながら拡散される。そして、第2のフィラメント集合体4bは、コアンダ効果により、MD方向の第2の櫛歯状の羽52に引き寄せられることにより、一時的にMD方向へと縮まるが、その後、流路面積を確保するために、流路抵抗の低いCD方向の領域へと広がりながら拡散され、捕集ベルト61と衝突する。これにより、第2のフィラメント集合体4bは、隙間領域50a及び第2の櫛歯状の羽52により、CD方向に制御された分散状態で堆積させることができる。
(III)における第1の分散領域αは、(II)における第2のフィラメント集合体4bが堆積された捕集ベルト61上に、(I)における第1のフィラメント集合体4aが堆積される領域である。ここで、この第1のフィラメント集合体4aが堆積される第1の分散領域αと、第2のフィラメント集合体4bが堆積される第2の分散領域βとは、少なくとも互いの境界において重複させること、つまり、Z軸方向(積層方向)に制御された分散状態で堆積させることができる。
(IV)における搬送領域γでは、(II)及び(III)において、MD方向及びCD方向に制御され分散状態とされたフィラメント集合体5が搬送される。
したがって、本実施形態のように、MD方向からみて、複数の第1の櫛歯状の羽51同士の隙間領域50aを覆うように、複数の第2の櫛歯状の羽52が吐出口42bの搬送方向Cの上流側に千鳥配置されることにより、MD方向に加え、CD方向おけるフィラメント集合体の分散状態を制御するという効果を奏すること、つまり、前述した特許文献1及び2における問題点(CD方向の偏り)を解消することができる。
ここで、(I)の第1の分散領域αにおいて、MD方向の幅Wαxは、第1のフィラメント集合体4aのMD方向に制御された分散状態を示す一方、CD方向の幅Wαyは、第1のフィラメント集合体4aのCD方向に制御された分散状態を示すものである。この第1の分散領域αにおけるMD方向の幅Wαx及びCD方向の幅Wαyを調整するものとして、第1の櫛歯状の羽51によるコアンダ効果の影響の強さ、つまり、垂直方向からの第1の櫛歯状の羽51の下端側がなす角度θ1が重要なパラメータとなっている。
また、(II)の第2の分散領域βにおいて、MD方向の幅Wβxは、第2のフィラメント集合体4bのMD方向に制御された分散状態を示す一方、CD方向の幅Wβyは、第2のフィラメント集合体4bのCD方向に制御された分散状態を示すものである。この第2の分散領域βにおけるMD方向の幅Wβx及びCD方向の幅Wβyを調整するものとして、第2の櫛歯状の羽52によるコアンダ効果の影響の強さ、つまり、垂直方向からの第2の櫛歯状の羽52の下端側がなす角度θ2が重要なパラメータとなっている。
したがって、第1の櫛歯状の羽51の下端側がなす角度θ1及び第2の櫛歯状の羽52の下端側がなす角度θ2を、それぞれ所定の数値範囲内とすることにより、第1のフィラメント集合体4a及び第2のフィラメント集合体4bのMD方向及びCD方向により制御された分散状態で堆積させることができる。
本実施形態において、一対の櫛歯状の羽は、吐出口42b周縁(搬送方向Cの上流側又は下流側)に設けられ、コアンダ効果を利用するものや、接触板として機能するものから、最適な一例(吐出口42b周縁における搬送方向Cの上流側に設けられ、コアンダ効果を利用するもの)を用いて説明した。しかしながら、本実施形態の他の例においても、一対の櫛歯状の羽50-1,50-2,50-3は、MD方向からみて、複数の第2の櫛歯状の羽52が、複数の第1の櫛歯状の羽51同士の隙間領域50aを覆うように千鳥配置されている。よって、本実施形態の他の例は、実施解体の一例と作用する効果(コアンダ効果による分散、衝突による分散)の違いはあるものの、MD方向に加え、CD方向おけるフィラメント集合体の分散状態を制御するという効果を奏すること、つまり、前述した特許文献1及び2における問題点(CD方向の偏り)を解消することができる。
<分散手段及び捕集ベルトの領域の比較評価について>
本発明の実施例1乃至実施例9の各実施例に係る分散手段及び捕集ベルト61の各領域において、物性に係る9個のパラメータについて、比較例1及び比較例2に対する比較評価を行った。この比較評価について、以下の表1に示す。ここで、比較評価における共通する条件として、フィラメント集合体4a,4bの材質は、ポリプロピレン樹脂とし、捕集ベルト61の搬送速度は、一定(200(m/min))で稼動し、捕集ベルト61への吸引圧は、一定(-130(Pa))とした。また、第1の櫛歯状の羽51は、上底の長さW1u、下底の長さW1d、高さL1、上底側同士の間隔S1u及び下底側同士の間隔S1dを、11(mm)、17(mm)、75(mm)、9(mm)及び3(mm)とし、第2の櫛歯状の羽52は、横幅W2、高さL2、及び、第2の櫛歯状の羽52同士の間隔S2を、17(mm)、80(mm)及び3(mm)とする。さらに、第1の櫛歯状の羽51の下端部51bと捕集ベルト61との距離を、240(mm)とする。
<地合の均一性の評価について>
不織布には、フィラメントの太さのばらつきなどによりムラが生じる。よって、地合の均一性の評価は、地合計(野村商事株式会社製のFMT-MIII地合評価システム)を用いて、不織布5の光透過画像を取得し、地合指数(吸光度の変数係数であり、値が小さいほど地合が良好)を測定し、平均値が200以上であれば「×」、平均値が185以上200未満であれば「△」、平均値が175以上185未満であれば「○」、平均値が175未満であれば「◎」とした。
<櫛歯状の羽の配列について>
櫛歯状の羽の配列については、複数の櫛歯状の羽を、一列(第1の櫛歯状の羽51)、又は、搬送方向Cに対向する二列(第1の櫛歯状の羽51及び第2の櫛歯状の羽52)に配置するものを用いた。ここで、第1の櫛歯状の羽51や第2の櫛歯状の羽52は、本実施形態の最適な一例である吐出口42b周縁における搬送方向Cの上流側に設けられ、コアンダ効果を利用するものとする(図2乃至図5参照)。この櫛歯状の羽の配列は、「地合の均一性の評価」に影響を及ぼすパラメータである。
<櫛歯状の羽の配置について>
櫛歯状の羽の配置については、MD方向からみて、複数の第1の櫛歯状の羽51同士の隙間領域50aを覆うように千鳥配置、又は、この隙間領域50aを覆わないように整列配置されるものを用いた。この櫛歯状の羽の配置は、「地合の均一性の評価」に影響を及ぼすパラメータである。
本実施形態の櫛歯状の羽において、櫛歯状の羽の配列を二列とし、櫛歯状の羽の配置を千鳥配置とするものが好ましい。このように、櫛歯状の羽を、二列の千鳥配置とすることが採用されていれば、コアンダ効果により、捕集ベルト61上にフィラメント集合体4a,4bを、MD方向及びCD方向への分散状態を制御することができ、「地合の均一性の評価」を向上させることができる。
<垂直方向からの第1の櫛歯状の羽51の下端側がなす角度θ1(°)について>
垂直方向からの第1の櫛歯状の羽51の下端側がなす角度θ1(°)は、図2(a)及び図5(a)に示すように、第1のフィラメント集合体4aに対する第1の櫛歯状の羽51によるコアンダ効果の影響の強さを示すものである。よって、垂直方向からの第1の櫛歯状の羽51の下端側がなす角度θ1は、MD方向における「第1の分散領域αの幅Wαx」及びCD方向における「第1の分散領域αの幅Wαy」とは概ね比例するとともに、「地合の均一性の評価」に影響を及ぼすパラメータである。
本実施形態の垂直方向からの第1の櫛歯状の羽51の下端側がなす角度θ1(表1参照)は、1~55(°)であるのが好ましい。ここで、第1の櫛歯状の羽51の下端側がなす角度θ1が1(°)以上であれば、第1の櫛歯状の羽51によるコアンダ効果の影響を維持でき、第1のフィラメント集合体4aと捕集ベルト61との衝突角度が深くなること、つまり、MD方向における「第1の分散領域αの幅Wαx」及びCD方向における「第1の分散領域αの幅Wαy」が極端に狭くなることを抑制することができる。他方、第1の櫛歯状の羽51の下端側がなす角度θ1が55(°)以下であれば、第1の櫛歯状の羽51によるコアンダ効果の影響を維持でき、第2のフィラメント集合体4bが隙間領域50aに積極的に導入されること、つまり、MD方向における「第1の分散領域αの幅Wαx」及びCD方向における「第1の分散領域αの幅Wαy」が極端に広くなることを抑制することができる。これにより、第1の櫛歯状の羽51の下端側がなす角度θ1を、所定の数値範囲内(1~55(°))とすることにより、第1のフィラメント集合体4aをMD方向及びCD方向へと制御された分散状態で堆積させ、「地合の均一性の評価」を向上させることができる。
<垂直方向からの第2の櫛歯状の羽52の下端側がなす角度θ2(°)について>
垂直方向からの第2の櫛歯状の羽52の下端側がなす角度θ2(°)は、図2(a)及び図5(a)に示すように、第2のフィラメント集合体4bに対する第2の櫛歯状の羽52によるコアンダ効果の影響の強さを示すものである。よって、垂直方向からの第2の櫛歯状の羽52の下端側がなす角度θ2は、MD方向における「第2の分散領域βの幅Wβx」及びCD方向における「第2の分散領域βの幅Wβy」とは概ね比例するとともに、「地合の均一性の評価」に影響を及ぼすパラメータである。
本実施形態の垂直方向からの第2の櫛歯状の羽52の下端側がなす角度θ2(表1参照)は、6~60(°)であるのが好ましい。ここで、第2の櫛歯状の羽52の下端側がなす角度θ2が6(°)以上であれば、第2の櫛歯状の羽52によるコアンダ効果の影響を維持でき、第2のフィラメント集合体4bと捕集ベルト61との衝突角度が深くなること、つまり、MD方向における「第2の分散領域βの幅Wβx」及びCD方向における「第2の分散領域βの幅Wβy」が極端に狭くなることを抑制することができる。他方、第2の櫛歯状の羽52の下端側がなす角度θ2が60(°)以下であれば、第2の櫛歯状の羽52によるコアンダ効果の影響を維持でき、第2のフィラメント集合体4bが隙間領域50aへと積極的に吸引されること、つまり、MD方向における「第2の分散領域βの幅Wβx」及びCD方向における「第2の分散領域βの幅Wβy」が極端に広くなることを抑制することができる。これにより、第2の櫛歯状の羽52の下端側がなす角度θ2を、所定の数値範囲内(6~60(°))とすることにより、第2のフィラメント集合体4bをMD方向及びCD方向へと制御された分散状態で堆積させ、「地合の均一性の評価」を向上させることができる。
<MD方向における第1の分散領域αの幅Wαx(mm)について>
MD方向における第1の分散領域αの幅Wαx(mm)は、図5(a)に示すように、偏向された第1のフィラメント集合体4aと捕集ベルト61との衝突及び分散により生じる領域のMD方向幅を示し、「地合の均一性の評価」に影響を及ぼすパラメータである。
<MD方向における第2の分散領域βの幅Wβx(mm)について>
MD方向における第2の分散領域βの幅Wβx(mm)は、図5(a)に示すように、偏向された第2のフィラメント集合体4bと捕集ベルト61との衝突及び分散により生じる領域のMD方向幅を示し、「地合の均一性の評価」に影響を及ぼすパラメータである。
<CD方向における第1の分散領域αの幅Wαy(mm)について>
CD方向における第1の分散領域αの幅Wαy(mm)は、図5(b)に示すように、偏向された第1のフィラメント集合体4aと捕集ベルト61との衝突及び分散により生じる領域のCD方向幅を示し、「地合の均一性の評価」に影響を及ぼすパラメータである。
<CD方向における第2の分散領域βの幅Wβy(mm)について>
CD方向における第2の分散領域βの幅Wβy(mm)は、図5(b)に示すように、偏向された第2のフィラメント集合体4bと捕集ベルト61との衝突及び分散により生じる領域のCD方向幅を示し、「地合の均一性の評価」に影響を及ぼすパラメータである。
<分散手段及び捕集ベルトの領域の比較評価結果>
実施例1乃至実施例9の評価の対比から明らかなように、「櫛歯状の羽の配列」を「二列」とし、「櫛歯状の羽の配置」を「千鳥配置」とすることにより、「地合の均一性の評価」を「△」以上に高めることができるとの結論を得た。さらに、実施例1乃至実施例9における各分散領域の幅Wαx,Wβx,Wαy,Wβyが取り得る値を考察すると、MD方向及びCD方向おけるフィラメント集合体の分散状態が制御可能であることも分かった。
ここで、第1の櫛歯状の羽51の下端部51bがなす角度θ1が1~55(°)、または、第2の櫛歯状の羽52の下端部52bがなす角度θ2が6~60(°)であれば、「地合の均一性の評価」が「○」以上となり、さらに高めることができる(実施例1~5参照)。また、第1の櫛歯状の羽51の下端部51bがなす角度θ1、及び、第2の櫛歯状の羽52の下端部52bがなす角度θ2が、それぞれ好ましい数値範囲の中央値よりの値であれば、「地合の均一性の評価」が「◎」となり、より一層高めることができる(実施例1参照)。したがって、本実施形態における不織布製造装置100は、MD方向に加え、CD方向おけるフィラメント集合体の分散状態を制御するという効果を奏すること、つまり、前述した特許文献1及び2における問題点(CD方向の偏り)を解消することができる。
以上に対し、比較例1では、櫛歯状の羽の配列を一列とすることにより、「地合の均一性の評価」が「×」となり、低下している。これは、第2の櫛歯状の羽52がなく、フィラメント集合体を隙間領域50aへと積極的に吸引する第2の吐出エアー41b2が生じず、複数の第1の櫛歯状の羽51は、実質的に、CD方向に延在する一枚板のように作用するためである。また、比較例2では、櫛歯状の羽を、二列の整列配置とすることにより、「地合の均一性の評価」が「×」となり、低下している。これは、複数の第2の櫛歯状の羽52が、MD方向からみて、複数の第1の櫛歯状の羽51同士の隙間領域50aを覆うように配置されていないため、フィラメント集合体を隙間領域50aへと積極的に吸引する第2の吐出エアー41b2が生じず、複数の第1の櫛歯状の羽51は、実質的に、CD方向に延在する一枚板のように作用するためである。なお、比較例1及び比較例2におけるCD方向の第1の分散領域αの幅Wαyは、実施例1乃至実施例9におけるCD方向の第1の分散領域αの幅Wαyと比較し、大きな値(100(mm)以上)をとることから、ここでは、「計測対象外」とした。また、比較例1及び比較例2におけるMD方向の第2の分散領域βの幅Wβy及びCD方向の第2の分散領域βの幅Wβyは、明確な第2の分散領域βが存在していないことから、ここでは、「-(計測不能)」とした。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の基本的な構成は、第1の実施形態と同じであるから、以下では、第1の実施形態と異なる第2の櫛歯状の羽52’を中心に第2の実施形態を説明する。
一対の櫛歯状の羽50’は、第1の実施形態の一例と同様に、吐出口42bの上流側に設けられる複数の第1の櫛歯状の羽51と、MD方向からみて、複数の第1の櫛歯状の羽51同士の隙間領域を覆うように千鳥配置される複数の第2の櫛歯状の羽52’とを有している。この第2の櫛歯状の羽52’は、図6(a)に示すように、CD方向からみて、屈曲点52c’を介して、搬送方向Cの上流側に向けて屈曲している点が、第1の実施形態と異なっている。具体的には、CD方向からみた、第1の櫛歯状の羽51に対する第2の櫛歯状の羽52’の上端側(上端部52a’から屈曲点52c’までの高さL2u’)がなす角度θuを、第1の櫛歯状の羽51に対する第2の櫛歯状の羽52’の下端側(屈曲点52c’から下端部52b’までの高さL2d’)がなす角度θdより小さくしている。まず、隙間領域50a(図2(b)参照)に対向する第2の櫛歯状の羽52’との距離を近くする、つまり、なす角度θuを小さくすることにより、第2の櫛歯状の羽52’によるコアンダ効果の影響をより強く働かせることができる。これにより、第2のフィラメント集合体4bを隙間領域50aへと積極的に吸引することができるため、MD方向及びCD方向に広く制御された分散状態で堆積させることができる。また、なす角度θdを大きくすることにより、隙間領域50aを介して積極的に吸引された第2のフィラメント集合体4bを、搬送方向Cの上流側へと広く制御された分散状態で堆積させることができる。したがって、第2の実施形態における不織布製造装置100は、第1の実施形態と同様に、MD方向に加え、CD方向おけるフィラメント集合体の分散状態を制御するという効果を奏すること、つまり、前述した特許文献1及び2における問題点(CD方向の偏り)を解消することができる。
第2の実施形態における第2の櫛歯状の羽52’の形状は、CD方向からみて、1つの屈曲点52c’を介して、搬送方向Cの上流側に向けて2つの傾斜を有するものであるが、これに限らず、複数の屈曲点を介して、搬送方向Cの上流側に向けて複数の傾斜を有するものでもよい。また、第2の実施形態における第2の櫛歯状の羽52’の形状は、第1の実施形態の他の例における一対の櫛歯状の羽50-1,50-2,50-3にも採用できるものである。
<その他>
本発明は、上述した各形態や、各実施例、随所に述べた変形例に限られることなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で、適宜の変更や変形が可能である。
1 第1の原料樹脂
2 第2の原料樹脂
3 フィラメント集合体(延伸状態)
4 フィラメント集合体(偏向状態)
4a 第1のフィラメント集合体
4b 第2のフィラメント集合体
5 フィラメント集合体(搬送状態)
6 不織布
11 第1の押出機
12 第2の押出機
20 紡糸口金
30 冷却用送風機
40 イジェクター
41a イジェクター用高圧エアー
41b 吐出エアー
41b1 第1の吐出エアー
41b2 第2の吐出エアー
42 ボディー
42a 吸引口
42b 吐出口
42c 内壁
50 一対の櫛歯状の羽
51 第1の櫛歯状の羽
51a 上端部
51b 下端部
52,52’ 第2の櫛歯状の羽
52a,52a’ 上端部
52b,52b’ 下端部
52c’ 屈曲点
60 捕集コンベア
61 捕集ベルト
69 吸引ボックス
100 スパンボンド不織布製造装置
Wα 第1の分散領域の幅
Wαx MD方向への第1の分散領域の幅
Wαy CD方向への第1の分散領域の幅
Wβ 第2の分散領域の幅
Wβx MD方向への第2の分散領域の幅
Wβy CD方向への第2の分散領域の幅
α 第1の分散領域
β 第2の分散領域
γ 搬送領域
θ1 垂直方向に対する第1の櫛歯状の羽の下端側がなす角度
θ2 垂直方向に対する第2の櫛歯状の羽の下端側がなす角度

Claims (5)

  1. 溶融した熱可塑性樹脂をフィラメントから構成されるフィラメント集合体として押し出す紡糸手段と、
    前記フィラメント集合体を空気力学的に延伸させる延伸手段と、
    前記フィラメント集合体を堆積させ所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、
    を備え、
    前記延伸手段は、吸引口と、吐出口と、前記吐出口の前記搬送方向の上流側又は下流側に設けられ、前記搬送方向に対向する一対の櫛歯状の羽と、
    を備え、
    前記一対の櫛歯状の羽は、前記吐出口に隣接して配置される複数の第1の櫛歯状の羽と、前記搬送方向からみて、前記複数の第1の櫛歯状の羽同士の隙間領域を覆うように千鳥配置される複数の第2の櫛歯状の羽とを有し、
    前記第1の櫛歯状の羽及び前記第2の櫛歯状の羽の下端部は、前記搬送手段の上面における前記搬送方向と直交する方向からみて、垂直方向に対して前記搬送方向の上流側又は下流側の同方向に向けて異なる角度で傾斜していることを特徴とする不織布の製造装置。
  2. 前記第1の櫛歯状の羽が、上底と比べ下底が長い台形形状であることを特徴とする請求項1に記載の不織布の製造装置。
  3. 前記搬送方向からみて、前記第2の櫛歯状の羽が、矩形形状であることを特徴とする請求項2に記載の不織布の製造装置。
  4. 前記一対の櫛歯状の羽は、前記吐出口の前記搬送方向の上流側に設けられ、
    前記第1の櫛歯状の羽及び前記第2の櫛歯状の羽は、上端部から下端部へ向かうにつれて、前記延伸手段の吐出口からそれぞれ遠ざかるように傾斜しており、
    前記搬送方向に直交する水平方向からみて、垂直方向に対して前記第1の櫛歯状の羽の下端側がなす角度を、1~55°とするとともに、垂直方向に対して前記第2の櫛歯状の羽の下端側がなす角度を、6~60°とすることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の不織布の製造装置。
  5. 前記搬送方向に直交する水平方向からみて、前記第1の櫛歯状の羽に対して前記第2の櫛歯状の羽がなす角度を、上端側に比べ下端側で大きくすることを特徴とする請求項4に記載の不織布の製造装置。
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