JP6926167B2 - 駆動ユニットおよび電動補助自転車 - Google Patents

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Description

本発明は、電動補助自転車の車体フレームに取り付けられる駆動ユニットに関する。また、本発明は、そのような駆動ユニットを備えた電動補助自転車にも関する。
自転車は、手軽に利用できる交通手段として、老若男女を問わず、広く普及している。近年、乗員のペダル踏力を電動モータの駆動力でアシストする電動補助自転車の普及が進んでいる。電動補助自転車は、例えば特許文献1に開示されている。
電動補助自転車は、電動モータ等を含む駆動ユニットを備える。駆動ユニットとして、後輪のハブ内に配置されるタイプや、車体フレームの下端(ボトムブラケット周辺)に取り付けられるタイプが知られている。近年では、後者のタイプの駆動ユニットが主流になりつつある。
特許文献1に開示されている電動補助自転車は、車体フレームの下端に取り付けられた駆動ユニットを備える。この駆動ユニットは、ハウジング、電動モータおよびペダルクランク軸等を備える。電動モータは、ハウジングに収容されており、乗員のペダル踏力をアシストするための駆動力を発生させる。ペダルクランク軸は、ハウジングを車両の左右方向に貫通して配置される。ペダルクランク軸には、アームを介してペダルが取り付けられる。ペダルクランク軸は、ハウジング内で一対のベアリング(軸受)によって回転可能に支持されている。ペダルクランク軸の回転は、駆動スプロケット、チェーン、従動スプロケット等を介して、後輪に伝達される。
従来の駆動ユニットは、主に3つの外郭部品で構成されていた。具体的には駆動ユニットの外郭部品は、電動モータのステータを覆うステータカバーと、モータを収容し、ステータカバーが取り付けられる一方のケースと、当該ケースに対向して組み付けられる他方のケースとによって構成されていた。
特開2014−196080号公報
外郭部品の各々には通常塗装が必要である。そのため外郭部品が多くなるほど塗装の品質管理コストが増加する。
組み付け時にはステータカバーと一方のケースとを固定するとともに防水シール材を塗布し、さらに一方のケースと他方のケースとを固定するとともにシール材を塗布する必要がある。その結果、固定およびシール材塗布に関する検査も必要になり、組み付けのためのコストも増加する。
外郭部品の数を減らすことができれば、上述の課題は解消する。その一方、外郭部品の数を減らすと、これまで外郭部品同士が比較的多くの箇所で固定されていたために得られていた外郭の剛性、ひいては内部の剛性が損なわれる可能性がある。
本発明は、外郭部品を2つにしつつ、内部の剛性を維持することが可能な駆動ユニット、およびその駆動ユニットを備えた電動補助自転車を提供する。
本発明のある実施形態に係る駆動ユニットは、電動補助自転車の車体フレームに取り付けられ、車輪に伝達される駆動力を発生させる駆動ユニットであって、ハウジングと、前記ハウジング内に配置された電動モータと、前記ハウジングを前記電動補助自転車の左右方向に貫通し、前記ハウジングに回転可能に支持されるペダルクランク軸と、前記ペダルクランク軸が貫通し、かつ、前記ペダルクランク軸に結合された一端部から他端部へ踏力を伝達する筒状の連結軸と、前記連結軸の前記他端部に伝達された踏力を駆動スプロケットに伝達するワンウェイクラッチと、前記電動モータが発生させた回転を減速させる歯車回転軸を有し、前記電動モータの出力トルクを増加させる減速機と、を備え、前記ハウジングは、前記ペダルクランク軸の一端を通す第1開口部、および前記電動モータを収容する凹部を有する第1ケースと、前記ペダルクランク軸の他端を通す第2開口部を有し、前記第1ケースと共に前記ハウジングの外郭となる第2ケースと、前記第1ケースの前記凹部に収容された前記電動モータの少なくとも一部を覆う内蓋であって、前記電動モータの出力軸を通す第3開口部を有する内蓋と、を備え、前記内蓋は、前記減速機の前記歯車回転軸を回転可能に支持し、かつ、外周縁が前記歯車回転軸と前記ペダルクランク軸との間を通り、前記第1ケースの前記凹部は、前記電動モータの周囲に沿う壁部を有し、前記壁部は、前記内蓋を支持する。
凹部の壁部という剛性が高い部分で内蓋を支持することにより、内蓋の位置ずれを抑制できる。これにより、内蓋が支持する減速機の歯車回転軸の位置ずれを抑制できる。
ある実施形態において、前記第1ケースは、前記凹部と前記第1開口部との間において、前記第1開口部から前記壁部につながる傾斜部を有していてもよい。第1ケースが壁部につながる傾斜部を有することにより、壁部の剛性を高めることができる。
ある実施形態において、前記第1ケースは、前記第1開口部を底部に有する他の凹部を有しており、前記傾斜部は、前記他の凹部の一部であってもよい。電動モータを収容する凹部の壁部が、他の凹部と繋がっていることにより、電動モータを収容する凹部の壁部の剛性を高めることができる。
ある実施形態において、前記電動モータの前記出力軸に平行な方向から前記内蓋を見たとき、前記内蓋の前記外周縁は、前記電動モータの前記周囲に沿っていてもよい。内蓋がペダルクランク軸の方にまで延びずにサイズが小さいことにより、内蓋の剛性を高くできる。内蓋の剛性が高いことにより、内蓋が支持する減速機の歯車回転軸の位置ずれを抑制できる。
ある実施形態において、前記内蓋の前記外周縁は、複数の位置で前記壁部に固定されていてもよい。内蓋が複数の位置で壁部に固定されることにより、内蓋のたわみを抑制できる。
ある実施形態において、前記内蓋は、前記電動モータの前記出力軸を回転可能に支持してもよい。内蓋は、減速機の歯車回転軸と電動モータの出力軸とを支持する。一つの部品で減速機の歯車回転軸と電動モータの出力軸との両方を支持することにより、減速機の歯車回転軸と電動モータの出力軸との間の位置ずれを抑制できる。
ある実施形態において、前記駆動ユニットは、前記内蓋と前記第1ケースとの位置関係を決める位置決め構造をさらに備えていてもよい。内蓋と第1ケースとの位置決めを行うことにより、減速機の歯車回転軸とペダルクランク軸との位置決めを行うことができ、スムーズな動力伝達を実現できる。
ある実施形態において、前記内蓋は、前記第1ケースに対する前記内蓋の位置を決める突出部または凹部を有しており、前記第1ケースは、前記突出部または前記凹部に係合する凹部または突出部を有していてもよい。突出部と凹部とを係合させて内蓋と第1ケースとの位置決めを行うことにより、減速機の歯車回転軸とペダルクランク軸との位置決めをより精度良く行うことができ、スムーズな動力伝達を実現できる。
ある実施形態において、前記内蓋には第1穴があり、前記第1ケースには第2穴があり、ノックピンが前記第1穴を貫通して前記第2穴に入ってもよい。ノックピンを用いて内蓋と第1ケースとの位置決めを行うことにより、減速機の歯車回転軸とペダルクランク軸との位置決めをより精度良く行うことができ、スムーズな動力伝達を実現できる。
ある実施形態において、前記内蓋および前記壁部は、前記内蓋が前記壁部に嵌るインロー構造を有していてもよい。インロー構造(mate fitting)により内蓋と第1ケースとの位置決めを行うことにより、減速機の歯車回転軸とペダルクランク軸との位置決めを行うことができ、スムーズな動力伝達を実現できる。
ある実施形態において、前記内蓋および前記壁部は、前記内蓋が前記壁部に対して回転可能なインロー構造を有しており、前記内蓋には第1穴があり、前記第1ケースには第2穴があり、ノックピンが前記第1穴を貫通して前記第2穴に入り、前記第1穴は、前記ペダルクランク軸と前記減速機の前記歯車回転軸とを結ぶ線分に直交する直線上で、且つ前記外周縁上の位置にあってもよい。外周縁上で且つ歯車回転軸から離れた位置に第1穴を設けることにより、ノックピンによる位置決めにおいてずれが発生したとしても、それに起因する歯車回転軸の位置ずれを小さくすることができる。
ある実施形態において、前記内蓋および前記壁部は、前記内蓋が前記壁部に対して回転可能なインロー構造を有しており、前記内蓋には第1穴があり、前記第1ケースには第2穴があり、ノックピンが前記第1穴を貫通して前記第2穴に入り、前記第1穴は、前記外周縁上の位置であって、かつ、前記ペダルクランク軸と前記減速機の前記歯車回転軸とを結ぶ線分と、前記ペダルクランク軸から前記外周縁への接線とがなす角度が、90度に最も近くなる位置にあってもよい。外周縁上で且つ歯車回転軸から離れた位置に第1穴を設けることにより、ノックピンによる位置決めにおいてずれが発生したとしても、それに起因する歯車回転軸の位置ずれを小さくすることができる。
ある実施形態において、前記駆動ユニットは、前記電動モータを駆動させる駆動回路が搭載された基板をさらに備え、前記内蓋は、第1面および第2面を有しており、前記第1面は前記電動モータに対向する側の面であり、前記第2面は前記第1面と反対側の面であり、前記基板は、前記ハウジング内における前記内蓋の前記第2面側の空間に配置されてもよい。基板が電動モータを収容する凹部とは異なる位置に配置されることにより、凹部を小さくでき、凹部の壁部の剛性を高めることができる。
ある実施形態において、前記内蓋は、前記第1ケースと前記第2ケースとに囲われており、前記駆動ユニットの外部に露出していなくてもよい。内蓋が外部に露出していないことにより、ハウジングのうちの塗装が必要な部品を、第1ケースおよび第2ケースの二点と少なくできる。また、ハウジングのうちの防水シール材の塗布が必要な部品を、第1ケースおよび第2ケースの二点と少なくできる。これにより、製造コストを低減できる。
ある実施形態において、前記内蓋は、前記第1ケースおよび前記第2ケースにより密閉されていてもよい。内蓋が密閉されて外部に露出していないことにより、ハウジングのうちの塗装が必要な部品を、第1ケースおよび第2ケースの二点と少なくできる。また、ハウジングのうちの防水シール材の塗布が必要な部品を、第1ケースおよび第2ケースの二点と少なくできる。これにより、製造コストを低減できる。
本発明のある実施形態に係る電動補助自転車は、上述のいずれかの駆動ユニットを備えている。減速機の歯車回転軸を内蓋が支持することにより、歯車回転軸の位置ずれを抑制した駆動ユニットを搭載した電動補助自転車を実現することができる。
本発明の実施形態によると、駆動ユニットは、第1ケースの凹部に収容された電動モータの少なくとも一部を覆う内蓋であって、前記電動モータの出力軸を通す第3開口部を有する内蓋を備える。内蓋は、減速機の前記歯車回転軸を回転可能に支持し、かつ、外周縁が歯車回転軸とペダルクランク軸との間を通る。第1ケースの凹部は、電動モータの周囲に沿う壁部を有しており、壁部は内蓋を支持する。第1ケースの凹部の壁部という剛性が高い部分で内蓋を支持することにより、内蓋の位置ずれを抑制できる。これにより、内蓋が支持する減速機の歯車回転軸の位置ずれを抑制できる。
本発明の実施形態に係る電動補助自転車10を示す右側面図である。 本発明の実施形態に係る電動補助自転車10が備える駆動ユニット20の内部構造を示す断面図である。 第1ケース211の内側の斜視図である。 第1ケース211の外側の斜視図である。 凹部404と、他の凹部408との関係を説明するための断面図である。 内蓋213が取り付けられた第1ケース211の内側の斜視図である。 内蓋213とペダルクランク軸22と伝達軸241との位置関係を説明するための平面図である。 第1ケース211内に設けられた基板48を示す図である。 内蓋213が壁部406に嵌る位置決め構造500を示す図である。 位置決め構造500の拡大図である。 ノックピンを用いた位置決め用穴の決定方法を説明するための図である。 外周縁462上の位置に設けられている第1穴Rおよび/またはRaの位置を示す図である。 位置決め用穴の位置として採用可能な、さらに他の位置を説明するための図である。 内蓋213に開けられた第1穴213aと、壁部406に設けられた第2穴406aとに挿入されたストレート形状のノックピン502を示す断面図である。 ノックピンを用いる位置決め構造の第1変形例を示す図である。 ノックピンを用いる位置決め構造の第2変形例を示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る駆動システム、および駆動システムを備えた電動補助自転車を説明する。実施形態の説明においては、同様の構成要素には同様の参照符号を付し、重複する場合にはその説明を省略する。本発明の実施形態における前後、左右、上下とは、電動補助自転車のサドル(シート)に乗員がハンドルに向かって着座した状態を基準とした前後、左右、上下を意味する。以下の実施形態は例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
[電動補助自転車]
図1を参照しながら、本発明の実施形態による電動補助自転車10を説明する。図1は、電動補助自転車10の概略構成を示す右側面図である。
電動補助自転車10は、車体フレーム12、前輪14F、後輪14R、ハンドル16およびサドル18を備える。電動補助自転車10は、駆動ユニット20およびバッテリユニット26をさらに備える。
車体フレーム12は、ヘッドチューブ121、トップチューブ122、ダウンチューブ123、シートチューブ124およびブラケット125を含む。
ヘッドチューブ121は、車体フレーム12の前部に配置され、上下方向に延びている。ヘッドチューブ121には、ステム27が回転自在に挿入されている。ステム27の上端には、ハンドル16が固定されている。ステム27の下端には、フロントフォーク28が固定されている。フロントフォーク28の下端には、前輪14Fが回転可能に取り付けられている。つまり、前輪14Fは、ステム27およびフロントフォーク28を介して、車体フレーム12に支持されている。
トップチューブ122は、ヘッドチューブ121の後方に配置され、前後方向に延びている。トップチューブ122の前端は、ヘッドチューブ121に接続されている。トップチューブ122の後端は、シートチューブ124に接続されている。
ダウンチューブ123は、ヘッドチューブ121の後方に配置され、前後方向に延びている。ダウンチューブ123は、トップチューブ122の下方に配置されている。ダウンチューブ123の前端は、ヘッドチューブ121に接続されている。なお、図1に示す例では、ダウンチューブ123の前端部は、トップチューブ122の前端部にも接続されている。ダウンチューブ123の後端は、ブラケット125に接続されている。
ダウンチューブ123には、バッテリユニット26が取り付けられている。バッテリユニット26は、駆動ユニット20に電力を供給する。バッテリユニット26は、バッテリおよび制御回路を有する。バッテリは、充放電可能な充電池である。制御回路は、バッテリの充放電を制御するとともに、バッテリの出力電流および残量等を監視する。
シートチューブ124は、トップチューブ122およびダウンチューブ123の後方に配置され、上下方向に延びている。シートチューブ124の下端は、ブラケット125に接続されている。つまり、シートチューブ124は、ブラケット125から上方に延びている。
図1に示す例では、シートチューブ124は、上下方向の中間部分で折れ曲がっている。その結果、シートチューブ124の下部は上下方向に延びているが、シートチューブ124の上部は上下方向に対して傾斜した方向に延びている。
シートチューブ124には、シートポスト29が挿入されている。シートポスト29の上端には、サドル18が取り付けられている。
ブラケット125は、車体フレーム12の下端に位置している。ブラケット125は、駆動ユニット20を支持する。車体フレーム12に取り付けられた駆動ユニット20は、車輪(ここでは後輪14R)に伝達される駆動力を発生させる。駆動ユニット20の詳細については、後述する。
車体フレーム12は、さらに、スイングアーム30、一対の接続アーム303およびサスペンション304をさらに含む。スイングアーム30は、一対のチェーンステー301および一対のシートステー302を含む。
一対のチェーンステー301は、それぞれ前後方向に延びている。一対のチェーンステー301は、左右方向に並んで配置されている。一対のチェーンステー301の間には、後輪14Rが配置されている。一対のチェーンステー301は、左右対称に配置されている。そのため、図1では、右側のチェーンステー301だけが図示されている。
各チェーンステー301の前端部は、ブラケット125に取り付けられている。つまり、各チェーンステー301は、ブラケット125から後方に延びている。各チェーンステー301は、ブラケット125に対して、左右方向に延びる軸線周りで揺動可能に配置されている。
各チェーンステー301の後端部には、後輪14Rの車軸141が回転不能に取り付けられている。つまり、一対のチェーンステー301により、後輪14Rが車軸141の周りで回転可能に支持されている。言い換えると、後輪14Rは、車体フレーム12によって支持されている。後輪14Rには、複数段の従動スプロケット32が固定されている。
一対のシートステー302は、それぞれ前後方向に延びている。一対のシートステー302は、左右方向に並んで配置されている。一対のシートステー302の間には、後輪14Rが配置されている。一対のシートステー302は、左右対称に配置されている。そのため、図1では、右側のシートステー302だけが図示されている。
左側のシートステー302の後端部は、左側のチェーンステー301の後端部に接続さ れている。右側のシートステー302の後端部は、右側のチェーンステー301の後端部に接続されている。
一対の接続アーム303は、それぞれ前後方向に延びている。一対の接続アーム303は、左右方向に並んで配置されている。一対の接続アーム303の間には、シートチューブ124が配置されている。一対の接続アーム303は、左右対称に配置されている。そのため、図1では、右側の接続アーム303だけが図示されている。
各接続アーム303は、シートチューブ124に取り付けられている。各接続アーム303は、シートチューブ124に対して、左右方向に延びる軸線周りで揺動可能に配置されている。
車両の側面から見たときに、各接続アーム303の前端は、シートチューブ124よりも前方に位置している。車両の側面から見たときに、各接続アーム303の後端は、シートチューブ124よりも後方に位置している。
右側の接続アーム303の後端部は、右側のシートステー302の前端部に取り付けられている。右側の接続アーム303は、右側のシートステー302に対して、左右方向に延びる軸線周りで揺動可能に配置されている。
左側の接続アーム303の後端部は、左側のシートステー302の前端部に取り付けられている。左側の接続アーム303は、左側のシートステー302に対して、左右方向に延びる軸線周りで揺動可能に配置されている。
サスペンション304は、シートチューブ124の前方であって、且つ、ダウンチューブ123の後方に配置されている。サスペンション304の上端部は、一対の接続アーム303に取り付けられている。サスペンション304は、一対の接続アーム303に対して、左右方向に延びる軸線周りで揺動可能に配置されている。サスペンション304の下端部は、ブラケット125に取り付けられている。サスペンション304は、ブラケット125に対して、左右方向に延びる軸線周りで揺動可能に配置されている。サスペンション304のブラケット125への取付位置は、シートチューブ124のブラケット125への取付位置よりも前方にある。
駆動ユニット20には、支持部材33を介して、駆動スプロケット34が取り付けられている。駆動スプロケット34および従動スプロケット32には、チェーン36が巻き掛けられている。
[駆動ユニット]
図2を参照しながら、駆動ユニット20の構成例を説明する。図2は、駆動ユニット20の内部構造の一例を示す断面図である。
図2に示すように、駆動ユニット20は、ハウジング21、ペダルクランク軸22、回転軸(アクスル)23、減速機24および電動モータ25を備える。
まず、本実施形態に係るハウジング21の構成を説明する。
ハウジング21は、複数の締結具により、ブラケット125(図1)に固定される。ハウジング21は、第1ケース211、第2ケース212および内蓋213を含む。第1ケース211、第2ケース212および内蓋213は、それぞれ金属材料(例えばアルミニウム合金)で形成されている。
第2ケース212は、第1ケース211に対して、左右方向で右側から重ね合わせられる。第1ケース211と第2ケース212とは、複数の締結具により固定される。その結果、第1ケース211と第2ケース212との間には、空間214が形成されている。
内蓋213は、第1ケース211の電動モータ25を収容する凹部を塞ぐようにして、左右方向で右側から重ね合わせられる。内蓋213は、第1ケース211に対して、複数の締結具により固定される。第1ケース211の左部分と内蓋213との間には、第1ケース211と内蓋213とで覆われた空間215が形成されている。この空間215には電動モータ25が収容される。
次に、本実施形態に係るペダルクランク軸22の構成を説明する。
ペダルクランク軸22は、ハウジング21を車両の左右方向に貫通して配置されている。つまり、ペダルクランク軸22の中心軸線CL1は、左右方向に延びている。中心軸線CL1は、ペダルクランク軸22の軸方向(スラスト方向)から見た場合に、ペダルクランク軸22の回転中心軸RC1となる。ペダルクランク軸22は、中心軸線CL1周りでハウジング21に対して回転する。
ペダルクランク軸22は、ハウジング21内で一対のベアリング(軸受)38Lおよび38Rによって回転可能に支持されている。一対のベアリング38Lおよび38Rの一方は、スラスト方向における一側(ここでは左側)に配置されており、以下では「第1ベアリング」と呼ぶ。一対のベアリング38Lおよび38Rの他方は、スラスト方向における他側(ここでは右側)に配置されており、以下では「第2ベアリング」と呼ぶ。
第1ベアリング38Lは、内輪381、外輪382および転動体383を含む転がり軸受である。第1ベアリング38Lは、ペダルクランク軸22に対してスラスト方向に移動しないように設けられている。図2に示す例では、第1ベアリング38Lの内輪381は、ペダルクランク軸22に圧入されている。第1ベアリング38Lの外輪382は、弾性部材70によって左方向に付勢されている。
第2ベアリング38Rは、内輪384、外輪385および転動体386を含む転がり軸受である。第2ベアリング38Rは、後述するワンウェイクラッチ50のアウタ部材52および滑り軸受40を介してペダルクランク軸22を回転可能に支持する。
ペダルクランク軸22は、回転軸23を貫通して配置されている。回転軸23は、ハウジング21に収容されている。回転軸23の詳細については、後述する。ペダルクランク軸22には、左右一対のクランクアーム(不図示)が取り付けられる。クランクアームには、ペダル(不図示)が取り付けられる。
次に、本実施形態に係る電動モータ25および減速機24の構成を説明する。
電動モータ25は、ハウジング21に収容され、ハウジング21に固定されている。電動モータ25は、電動補助自転車10の走行をアシストするための駆動力を発生する。電動モータ25は、ステータ251およびロータ252を有する。
ステータ251は、コイル2511が巻き回されたボビン2512を複数(例えば14個)有する。各ボビン2512には、鉄心2513が挿入されている。ステータ251は、空間215内に配置されている。この状態で、ステータ251は、第1ケース211に固定されている。
ステータ251には、支持部材253が取り付けられている。支持部材253は、樹脂材料から形成されている。支持部材253には、複数のバスバー25Bが埋め込まれている。これらのバスバー25Bのそれぞれは、対応するコイル2511に接続されている。バスバー25Bへの通電を制御することにより、ステータ251に磁力が発生する。
ロータ252は、ステータ251の内側に配置されている。ロータ252の中心軸線CL2は、ペダルクランク軸22の中心軸線CL1と平行である。つまり、ロータ252は、ペダルクランク軸22と平行に配置されている。中心軸線CL2は、ペダルクランク軸22の軸方向から見たときに、ロータ252の回転中心軸RC2となる。
ロータ252は、ロータ本体2521と、出力軸2522とを含む。ロータ本体2521の外周面には、N極とS極とが周方向に交互に着磁されている。本実施形態では、N極およびS極それぞれの数は、例えば7個である。
出力軸2522は、ロータ本体2521を貫通して配置されている。出力軸2522は、ロータ本体2521に固定されている。つまり、出力軸2522は、ロータ本体2521とともに回転する。
出力軸2522は、2つのベアリング42Lおよび42Rにより、中心軸線CL2周りで、ハウジング21に対して、回転可能に支持されている。ベアリング42Lは、第1ケース211に固定されている。ベアリング42Rは、ロータ本体2521よりも右側に配置され、内蓋213に固定されている。出力軸2522は内蓋213を貫通して配置されている。本実施形態においては、内蓋213はベアリング42Rとともに出力軸2522を回転可能に支持しているが、そのような構成は必須ではない。例えばベアリング42Rを第2ケース212に設け、ベアリング42Rと第2ケース212とによって出力軸2522を回転可能に支持してもよい。出力軸2522のうち、空間214内に位置する部分には、出力歯車252Aが形成されている。出力歯車252Aは、例えば、はすば歯車である。
減速機24は、ハウジング21に収容されている。具体的には、減速機24は、空間214内に配置されている。減速機24は、伝達軸241、第1伝達歯車242および第2伝達歯車243を有する。本明細書では、伝達軸241を「歯車回転軸」と呼ぶこともある。
伝達軸241は、ハウジング21内に配置される。伝達軸241の中心軸線CL3は、ペダルクランク軸22の中心軸線CL1と平行である。つまり、伝達軸241は、ペダルクランク軸22の中心軸線CL1に対して平行に延びる。中心軸線CL3は、伝達軸241の軸方向、つまり、ペダルクランク軸22の軸方向から見たときに、伝達軸241の回転中心軸RC3となる。
伝達軸241は、2つのベアリング44Lおよび44Rにより、中心軸線CL3周りで回転可能に支持される。ベアリング44Lは、内蓋213に固定される。つまり、内蓋213は、伝達軸241を回転可能に支持する。ベアリング44Rは、第2ケース212に固定される。
第1伝達歯車242は、例えば樹脂材料から形成されている。第1伝達歯車242は、伝達軸241に配置される。第1伝達歯車242は、伝達軸241の軸方向で軸受44Rよりも軸受44Lの近くに配置される。第1伝達歯車242は、出力歯車252Aと噛み合う。これにより、電動モータ25で発生した駆動力が出力歯車252Aから第1伝達歯車242に伝達される。ここで、第1伝達歯車242と伝達軸241との間には、ワンウェイクラッチ244が配置される。これにより、出力歯車252Aの前転方向の回転力は、第1伝達歯車242を介して伝達軸241に伝達されるが、出力歯車252Aの後転方向の回転力は、伝達軸241には伝達されない。また、ワンウェイクラッチ244は、乗員の人力により発生したペダルクランク軸22の前転方向の回転力が、電動モータ25に伝達されることを防止している。第1伝達歯車242は、出力歯車252Aよりも大径であり、出力歯車252Aよりも多い歯を有する。つまり、第1伝達歯車242は、出力歯車252Aよりも減速される。
第2伝達歯車243は、金属材料(例えば鉄)から形成されている。第2伝達歯車243は、伝達軸241に配置される。第2伝達歯車243は、伝達軸241の軸方向で第1伝達歯車242と異なる位置に配置される。本実施形態では、伝達軸241と第2伝達歯車243とは一体に形成されている。第2伝達歯車243は伝達軸241とともに回転する。なお、第2伝達歯車243は、セレーション結合(または圧入)により、伝達軸241に固定されていてもよい。
回転軸23は、ペダルクランク軸22と同軸に配置され、ペダルクランク軸22とともに回転可能である。回転軸23は、連結軸231およびワンウェイクラッチ50を含む。
連結軸231は、円筒形状を有する。連結軸231には、ペダルクランク軸22が挿入されている。連結軸231は、ペダルクランク軸22と同軸に配置されている。
連結軸231の左端部(一端部)231Lは、ペダルクランク軸22に対して、セレーション結合等で連結されている。その結果、ペダルクランク軸22が前転方向および後転方向の何れに回転しても、連結軸231はペダルクランク軸22とともに回転する。
連結軸231の周囲には、トルク検出装置232が配置されている。トルク検出装置232は、第1ケース211に支持されている。
トルク検出装置232は、運転者がペダルを漕ぐときに連結軸231に発生するトルクを検出する。トルク検出装置232は、磁歪式のトルクセンサである。トルク検出装置232は、検出したトルクに応じた信号を、基板48に実装された制御装置に出力する。制御装置は、トルク検出装置232が検出したトルクを参照して、運転者によるペダリングの状態を把握し、電動モータ25を制御する。
トルク検出装置232は、取付軸部2321、コイル2322、検出素子2323およびシールド2324を含む。
取付軸部2321は、連結軸231の外周面に取り付けられており、連結軸231に対して、相対的に回転可能である。コイル2322は、取付軸部2321の外周面に配置されている。コイル2322には、所定の電圧が印加される。検出素子2323は、連結軸231の歪みに起因するコイル2322の電圧変化を検出する。これにより、連結軸231に発生するトルク、つまり、連結軸231と一体的に回転するペダルクランク軸22に発生するトルクを検出する。シールド2324は、外部磁場に起因して検出素子2323の検出精度が低下するのを防ぐ。シールド2324は、連結軸231とともに回転しない。
次に、本実施形態に係るワンウェイクラッチ50の構成を説明する。
ワンウェイクラッチ50は、ペダルクランク軸22の軸方向でトルク検出装置232よりも右側に配置されている。ワンウェイクラッチ50は、ペダルクランク軸22と同軸に配置されている。ワンウェイクラッチ50は、インナ部材51およびアウタ部材52を備える。
インナ部材51は、円筒形状を有する。インナ部材51の左端部(一端部)には、連結軸231の右端部(他端部)231Rが挿入されている。インナ部材51は、連結軸231と同軸に配置されている。この状態で、連結軸231の右端部231Rは、インナ部材51の左端部に対して、セレーション結合等で連結されている。その結果、連結軸231が前転方向および後転方向のいずれに回転しても、インナ部材51は、連結軸231とともに回転する。つまり、ペダルクランク軸22が前転方向および後転方向のいずれに回転しても、インナ部材51は、ペダルクランク軸22とともに回転する。連結軸231およびインナ部材51は、ペダルクランク軸22と一体的に回転するクランク回転入力軸として機能する。
インナ部材51の外周面にはリング磁石46が固定されている。リング磁石46は、ペダルクランク軸22の軸方向から見て、基板48の一部と重なる位置に配置されている。
リング磁石46は、インナ部材51とともに回転する。基板48に設けられた検出素子を用いて、リング磁石46の回転に伴う磁場の変化を検出することにより、ペダルクランク軸22の回転を検出することができる。
アウタ部材52は、円筒形状を有する。アウタ部材52には、ペダルクランク軸22が挿入されている。アウタ部材52とペダルクランク軸22との間には、すべり軸受40が配置されている。これにより、アウタ部材52は、ペダルクランク軸22に対して同軸で回転可能に配置されている。
アウタ部材52とインナ部材51との間には、ワンウェイクラッチ機構としてのラチェット機構が形成されている。これにより、インナ部材51の前転方向の回転力は、アウタ部材52に伝達されるが、インナ部材51の後転方向の回転力は、アウタ部材52に伝達されない。また、モータ25の回転により発生したアウタ部材52の前転方向の回転力は、インナ部材51に伝達されない。
アウタ部材52は、第2ベアリング38Rにより、ペダルクランク軸22の中心軸線CL1周りで、ハウジング21に対して回転可能に支持されている。第2ベアリング38Rは、その内輪384がワンウェイクラッチ50のアウタ部材52に圧入された状態で、その外輪385が第2ケース212にすきまばめされている。
アウタ部材52は、第2ケース212を貫通して配置されている。アウタ部材52のうち、ハウジング21の外側(右側)に位置する部分には、支持部材33(図1)を介して、駆動スプロケット34(図1)が取り付けられる。
アウタ部材52は、歯車2333を有する。歯車2333は、減速機24が有する第2伝達歯車243と噛み合っている。歯車2333は、第2伝達歯車243よりも大径であって、且つ、第2伝達歯車243よりも多い歯を有する。つまり、歯車2333の回転速度は、第2伝達歯車243の回転速度よりも遅くなる。
アウタ部材52は、連結軸231の他端部231Rに伝達された人力(踏力)と、電動モータ25の補助駆動力との合力を駆動スプロケット34に伝達する。アウタ部材52により、ワンウェイクラッチ50を介して入力される人力と、歯車2333を介して入力される補助駆動力との合力を出力する合力出力軸235が実現されている。合力出力軸235は、回転軸23に含まれる。
以下、図3から図14を参照しながら、本実施形態にかかる第1ケース211および第2ケース212と、内蓋213とをより詳細に説明する。
図3は、第1ケース211の内側の斜視図である。第1ケース211は、ペダルクランク軸22の一端を通す第1開口部402、および凹部404を有する。なお、第2ケース212にはペダルクランク軸22の他端を通す開口部(第2開口部)が設けられている。図3に示されているように、第2ケース212は、あたかも第1ケース211の蓋のように第1ケース211に固定され、第1ケース211と共にハウジング21の外郭をなす。第2開口部を有する第2ケース212の斜視図の記載は省略する。
第1ケース211内の凹部404には電動モータ25が収容される。そのため、電動モータ25のステータを覆うカバーは必要とされない。
凹部404は、電動モータ25が収容されたときにその電動モータ25の周囲に沿う壁部406によって形成される。図示される例では、第1ケース211の「前」側に相当する壁部406の一部(概ね前半分)は、第1ケース211と一体に形成されている。一方、壁部406の残りの一部(概ね後半分)は、第1ケース211の内部に構造体として設けられている。
後に詳細に説明するように、壁部406は、内蓋213と第1ケース211との位置関係を決める位置決め構造の一部として機能する。内蓋213が概ね平面的な円形状であるとすると、位置決め構造は、第1ケース211内における、内蓋213の前後方向および左右方向の位置と、内蓋213が回転角度に関する位置とを一意に決定する。壁部406は、第1ケース211内における、内蓋213の前後方向および左右方向の位置を決定するために利用され得る。なお図3では、電動モータ25の全周に沿うように壁部406が設けられているが、全周に沿う必要はない。例えば電動モータ25の全周の2/3程度に沿っていればよい。
第1ケース211は凹部404に加えて、他の凹部408を備えている。他の凹部408は概ね破線で囲まれた範囲である。他の凹部408は第1開口部402を底部としてみたとき、底部に向かってテーパ状に形成されている。換言すると、他の凹部408は、第1開口部402を上底として見たときの円錐台の内側面に相当する。
図4は、第1ケース211の外側の斜視図である。外側から見ると、第1ケース211には凹部404および他の凹部408にそれぞれ対応して、凸部424および他の凸部428が現れている。
図5は、凹部404と、他の凹部408との関係を説明するための断面図である。図5には、他の凹部408の一部である傾斜部408aおよび408bが示されている。凹部404と傾斜部408aとが出会う領域が壁部406の一部の上端を構成する。つまり壁部406は峰状である。凹部404および他の凹部408は、外郭をなす凸部424と他の凸部428の裏側の構造をなしているため、十分高い剛性を確保できる。そのような凹部404および他の凹部408を壁部406の一部として利用して内蓋213を支持するため、壁部406の剛性を高めることができ、内蓋213を強固に支持することができる。
図5に示されるように、内蓋213は、第1ケース211と第2ケース212とに囲われており、駆動ユニット20の外部に露出していない。すなわち、内蓋213は駆動ユニット20内に密閉されている。内蓋213が密閉されて外部に露出していないことにより、ハウジングのうちの塗装が必要な部品を、第1ケース211および第2ケース212の二点に抑制できる。また、ハウジングのうちの防水シール材の塗布が必要な部品を、第1ケース211および第2ケース212の二点に抑制できる。これにより、製造コストを低減できる。
次に、図6を参照しながら内蓋213を詳述する。
図6は、内蓋213が取り付けられた第1ケース211の内側の斜視図である。第1ケース211の凹部404には電動モータ25が収容されている。内蓋213は、電動モータ25の少なくとも一部を覆うように取り付けられている。内蓋213は開口部440を有しており、開口部440を通して電動モータ25の出力軸2522が「右」方向に伸びている。なお本明細書において開口部440は「第3開口部」と呼ぶことがある。
電動モータ25を覆う範囲は、例えば出力軸2522を通す穴、電動モータ25の配線を通す穴等の必要な空隙を除く、概ね全体であり得る。
内蓋213は、内蓋213に取り付けられたベアリング44Lとともに、伝達軸(歯車回転軸)241の一端を支持する。上述のように、内蓋213は、凹部404の壁部406という剛性が高い部分で支持されているため、内蓋213の位置ずれを抑制できる。これにより、内蓋213が支持する伝達軸241の位置ずれも抑制できる。なお、図6では伝達軸241に付随して設けられる出力歯車252A等の記載は省略している。
伝達軸241は、出力歯車252A、第1伝達歯車242およびワンウェイクラッチ244を介して、電動モータ25で発生した駆動力を受ける。伝達軸241に位置ずれ(ブレ)が発生すると、出力歯車252Aと第1伝達歯車242との噛み合わせに支障が生じ駆動力が適切に伝達されなくなるおそれがある。本実施形態では、従来のような、外郭部品が3ピース以上で構成された駆動ユニットではなく、第1ケース211および第2ケース212の2ピースで駆動ユニットを構成した。そして、内蓋213を設けて剛性の高い位置で支持して撓み等が生じにくくすることで、伝達軸241の位置ずれ(ブレ)を防ぐことができる。また、内蓋213に、電動モータ25の出力軸2522を通す穴を設け、かつ伝達軸241を支持する位置も固定することにより、両軸の間隔は固定され両軸の軸間精度を向上させることができる。
本実施形態では、内蓋213を設けた理由の一つが、高い精度で伝達軸241を支持することにある。内蓋213は、電動モータ25を覆う「蓋」としての機能も有するがその機能は必須ではない。そこで、内蓋213の伝達軸241を支持する機能と、電動モータ25を覆う「蓋」の機能とを分離し、複数の部材のそれぞれで各機能を実現してもよい。例えば内蓋213の伝達軸241を支持する機能は、剛性の高い壁部406で支持された金属フレームを用いてベアリング44Lを固定し、伝達軸(歯車回転軸)241の一端を支持することによって実現してもよい。この場合、金属フレームは本明細書における「内蓋」の範疇である。「蓋」としての機能は、例えば樹脂性のカバーを追加することにより実現される。樹脂性のカバーであれば、複雑な形状であっても加工が比較的容易である。必要な空隙を設け、電動モータ25のその他の部分を覆うように成形することが可能である。
なお、図6には参考としてペダルクランク軸22の一部を示している。これは、次に説明する内蓋213の物理的な配置・構成に関連する。以下、図7を参照しながら当該配置・構成を説明する。
図7は、内蓋213とペダルクランク軸22と伝達軸241との位置関係を説明するための平面図である。破線で示すペダルクランク軸22および伝達軸241の間を、内蓋213の外周縁462の一部460が通っている。ここで言う「外周縁」とは、内蓋213の縁であることを意味するに過ぎない。内蓋213は任意の形状であり、円形であることを要しない。
図5に示すように、電動モータ25の出力軸2522に平行な方向から内蓋を見たとき、内蓋213の外周縁462は、電動モータ25の周囲に沿っている。内蓋213はペダルクランク軸22の方にまで延びておらず、サイズが比較的小さいため、内蓋213自体の剛性を高くできる。
内蓋213は、複数の位置F1〜F3で第1ケース211に固定されている。本実施形態では、位置F1〜F3はいずれも壁部406上である。内蓋213は、ペダルクランク軸22および伝達軸241の間の、剛性が高い壁部406を利用して位置F1〜F3で固定され、さらに壁部406に沿って支持されるため、内蓋213のたわみを抑制できる。内蓋213の剛性が高いことと相まって、内蓋213が支持する伝達軸241の位置ずれをより強く抑制できる。
なお、位置F1〜F3をどこに設けるかは任意であるが、例えば伝達軸241および電動モータ25の出力軸2522により近い位置に設けることがより好ましい。その理由は、伝達軸241および電動モータ25の出力軸2522に近いほど、各軸周辺の剛性を高めることができるからである。固定方法は、ネジを用いてもよいし、固定用ピンの圧入でもよい。
内蓋213を壁部406に固定するに先立って、内蓋213と第1ケース211との位置関係を決めるための位置決めが行われる。位置決めに関しては後に説明する。
なお、内蓋を設けるとしても、凹部404と他の凹部408との間に存在するような壁部406(図3)を設けない構成も考えられる。そのような構成として、例えば内蓋213が第1ケース211の内側全体に広がり、第1ケース211の内側面だけで支持されるような構成が考えられる。しかしながらそのような例では内蓋のしなりが発生し、伝達軸241の位置ずれを生じさせる可能性がある。内蓋のしなりをなくすために内蓋213の肉厚化を図ると、重量およびコストが増加する。従って本実施形態にかかる構成の方がより有利である。
図8は、第1ケース211内に設けられた基板48を示している。基板48には、電動モータ25を駆動させる駆動回路が搭載されている。基板48は内蓋213の「右」側に設けられる。より具体的に説明する。いま、内蓋213の電動モータ25側の面を「第1面」、その反対側の面を「第2面」と呼ぶとする。基板48は、第1ケース211内の、第2面側の空間に配置される。電動モータ25と基板48とを一体化せず、基板48が電動モータ25を収容する凹部404とは異なる空間に配置することにより、凹部404の体積を小さくでき、凹部404の壁部406の剛性を高めることができる。本実施形態では、電動モータ25の出力軸2522と伝達軸241との噛み合わせ箇所と、電動モータ25との間に基板48および内蓋213を設けている。これにより、摩耗等の防止のために電動モータ25の出力軸2522と伝達軸241との噛み合わせ箇所に注入されるグリスが飛散したり垂れたりした場合であっても、電動モータ25が配置された凹部404へ侵入することを防止できる。内蓋213が電動モータ25を覆う面積を広げるほど、グリスの侵入をより効果的に防止できる。
なお上述の説明では、基板48は第1ケース211内に設けられているとした。しかしながら上述した位置関係を保つことができるのであれば、基板48は第1ケース211内ではなく第2ケース212内に設けられてもよい。つまり、駆動ユニット20のハウジング内で上述した位置関係を保っていれば、基板48が第1ケース211または第2ケース212のどちらに存在しているかは任意である。
なお、基板48の回路を保護するため、例えば樹脂性のカバーを基板48の「右」側に追加してもよい。
次に、内蓋213を第1ケース211に取り付ける際の位置決めについて説明する。
本実施形態にかかる第1ケース211には、位置決めのための位置決め構造を有している。「位置決め構造」とは、内蓋213が壁部406に嵌る構造、または、ノックピンを用いて位置決めをするための構造である。本実施形態では、位置決め構造は2箇所設けられている。具体的には、内蓋213が壁部406に嵌る構造(1箇所)とノックピンを用いて位置決めをするための構造(1箇所)とを設けること、または、ノックピンを用いて位置決めをするための構造を2箇所に設けること、である。
図9は、内蓋213が壁部406に嵌る位置決め構造500を示している。図10は、位置決め構造500の拡大図である。内蓋213の第1面(「左」側の面)から「左」側に第1ガイド510が突出しており、壁部406の第2ガイド211aの内側に嵌まり込んでいる。第1ガイド510および第2ガイド211aは、内蓋213が壁部406に正しく嵌め込まれたときに互いに接触するよう、内蓋213および壁部406に設けられている。
説明の簡単化のため、内蓋213に設けられた第1ガイド510が第1面上で円形であり、同様に壁部406の第2ガイド211aも円形であると仮定する。第1ガイド510の直径が100mmとしたとき、第2ガイド211aの直径は100.1mm程度である。第1ガイド510と第2ガイド211aとは、前後方向には実質的にがたつくことなく嵌め込まれる。このような位置決め構造500を本明細書では「インロー構造(mate fitting)」と呼ぶことがある。
インロー構造は、内蓋213の第1ガイド510と壁部406の第2ガイド211aとによって形成されるため、壁部406が電動モータ25の全周に沿って設けられていない位置では、対向する内蓋213にも第1ガイド510を設ける必要はない。
次に、ノックピンを用いて位置決めをするための構造を説明する。
図11Aは、ノックピンを用いた位置決め用穴の決定方法を説明するための図である。以下の説明では、内蓋213および壁部406にそれぞれ第1穴および第2穴を開けておき、ノックピンが第1穴を貫通して第2穴に入ることにより、位置決めを行う例を想定して説明する。図12は、内蓋213に開けられた第1穴213aと、壁部406に設けられた第2穴406aとに挿入されたストレート形状のノックピン502を示す断面図である。一例としてこのようなノックピン502を用いて、第1ケース211に対する内蓋213の位置を決定することができる。以下、説明する。
図11Aでは、ペダルクランク軸22の回転中心の位置を「P」、伝達軸241の回転中心の位置を「Q」とおく。また後述する図11Bおよび図11Cも同様である。
本発明者は、どの位置に第1穴Rを設けるかを検討した。その結果、本発明者は、(i)位置PおよびQを結ぶ線分L1に直交する直線L2上で、かつ、(ii)内蓋213の外周縁462上の位置に、第1穴Rを設けることとした。
ペダルクランク軸22と伝達軸241とを必要とされる精度で配置するためには、各軸の回転中心の位置Pおよび位置Qに位置ずれが生じていた場合にはその位置ずれが反映され、位置決め用穴を用いた位置決めができないことが求められる。換言すると、位置決め用穴を用いて位置決めができる場合には、各軸の回転中心の位置Pおよび位置Qに位置ずれが生じていない、または位置ずれが許容範囲に収まっていることが求められる。そうすると、上述の直線L2上の位置であれば、位置Pおよび位置Qの各々からの距離が確保できる。この場合、直線L2上の位置が直線L1と直線L2との交点から遠いほど、位置Pおよび位置Qに位置ずれが生じていた場合にはその位置ずれが反映されやすくなる。そのため直線L2上の位置を採用することとした。なお、位置Pおよび位置Qの各々からの距離を均等に保つには線分L1の中点を通過する直線L2上の点を採用すればよい。
一方、外周縁462上の位置を採用する理由は、第1ケース211に対して内蓋213の位置決めを行うためである。より具体的には、内蓋213が高い精度で伝達軸241を支持するためである。
位置決め構造は2箇所設ければよい。上述したインロー構造を設ける場合には、ノックピンを用いる位置決め構造は1箇所に設ければよい。
本実施形態では、内蓋213は概ね円形状に形成され、内蓋213と内壁406とが上述したインロー構造を採用している。そのため、内蓋213には回転方向に関する自由度のみが残される。そこで、中心位置から最も離れている外周縁462上の位置を位置決め用に採用する。インロー構造により内蓋213と壁部406との位置決めを行い、さらにノックピンを用いて内蓋213と壁部406との相対的な回転角度に関する位置決めを行うことにより、内蓋213に支持される伝達軸241の位置決めも容易に行うことができる。
第2穴については、正しい位置に内蓋213を設置したときの第1穴に対向する壁部406上の位置に第2穴を設ければよい。
以上のように、内蓋213の外周縁462上で、且つ伝達軸241およびペダルクランク軸22から離れた位置に第1穴を設けて位置決めを行うことにより、伝達軸241およびペダルクランク軸22を、それぞれ本来想定された位置にスムーズに位置決めすることができる。伝達軸241とペダルクランク軸22との軸間距離を設計した誤差の範囲内に収めることができるため、スムーズな動力伝達を実現できる。
図11Aには、上述の方法によって決定された第1穴Rの位置が示されている。図11Aには、他の位置に配置された第1穴Raの例がさらに示されている。すなわち第1穴Raは、線分L1に直交する直線L2a上で、かつ、内蓋213の外周縁462上の位置に設けられてもよい。
上述の例とは異なる例として、上述した条件(ii)のみを満足する位置を、内蓋213の外周縁462上の位置に位置決め用穴の位置として採用してもよい。図11Bは、外周縁462上の位置に設けられている第1穴Rおよび/またはRaの位置が示されている。条件(ii)のみを満足する位置は、条件(i)を満足する全ての位置を含み、さらにそれよりも広い範囲で第1穴の位置の選択を可能にする。
本発明者は位置決め精度をより高くすることが可能な第1穴の他の配置方法も考えた。図11Cは、位置決め用穴の位置として採用可能な、さらに他の位置を説明するための図である。図11Cでは、穴Rbが、位置決め用穴として採用される。具体的には、第1穴Rbの位置は、外周縁462上の位置で、かつ、上述の線分PQと、位置Pから外周縁462への接線L3とがなす角度θが、90度に最も近くなる位置である。なお、図11Cに示される例では、位置Pからは、図11Aおよび図11Bで示した穴Rの近傍に接点を有する外周縁462への接線を引くこともできる。しかしながら、角度に関する上述の条件から「Rb」として示される位置が第1穴の位置として採用される。
なお、インロー構造を設けない場合には、ノックピンを用いる位置決め構造を2箇所に設ければよい。その場合、2箇所の位置決め構造間の距離は可能な限り長いほうが好ましい。ノックピンを用いる位置決め構造を2箇所に設けた場合も同様に、伝達軸241とペダルクランク軸22との位置決めもスムーズに行うことができるため、上述と同じ効果を得ることができる。
次に、図13および図14を参照しながら、ノックピンを用いる位置決め構造の変形例を説明する。
図13は、ノックピンを用いる位置決め構造の第1変形例を示している。内蓋213は突出部213bを有している。突出部213bはノックピンとして機能して壁部406の穴または凹部406bに入ることにより、内蓋213と壁部406との位置合わせを実現する。突出部213bを設ける位置は、図9を説明しながら上述した方法によって決定することができる。本変形例の場合、内蓋213に貫通孔を設ける必要はない。また壁部406にも貫通孔は不要である。
図13では、内蓋213が突出部213bを有し、壁部406または第1ケース211が凹部406bを有している。しかしながら、内蓋213が凹部を有し、壁部406または第1ケース211が突出部を有してもよい。
図14は、ノックピンを用いる位置決め構造の第2変形例を示している。内蓋213には凹部530が設けられている。ノックピン510が凹部530に嵌まり込み、かつ、壁部406の凹部520にも嵌まり込むと、内蓋213と壁部406との位置合わせが実現される。本変形例でも、内蓋213および壁部406に貫通孔を設ける必要はない。
上述したノックピンおよびノックピンとして機能する突出部213bの形状は、任意である。突出部213bの形状は、典型的にはストレート形状である。しかしながら、突出部213bの一方または両方の端部がテーパ形状であってもよい。図12に記載されているノックピン502もまた、テーパ形状であってもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、サスペンションを備える電動補助自転車を例示したが、本発明は、サスペンションを備えていない電動補助自転車にも好適に用いることができる。
上述した実施形態では、人力および電動モータ25の補助力がペダルクランク軸22と同軸で回転する部品で合成されるタイプ(クランク合力型)の駆動ユニットを例示したが、本発明はそれに限定されない。本発明は、チェーンで人力および補助力が合成されるタイプ(チェーン合力型)の駆動ユニットにも好適に用いることができる。チェーン合力型の場合、アウタ部材52は、電動モータ25の補助駆動力を受けるための歯車2333を有していない。
以上、本発明の例示的な実施形態を説明した。本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、サスペンションを備える電動補助自転車を例示したが、本発明は、サスペンションを備えていない電動補助自転車にも好適に用いることができる。
本発明のある実施形態に係る駆動ユニットは、電動補助自転車10の車体フレーム12に取り付けられ、車輪14Rに伝達される駆動力を発生させる駆動ユニット20である。駆動ユニット20は、ハウジング21と、ハウジング21内に配置された電動モータ25と、ハウジング21を電動補助自転車10の左右方向に貫通し、ハウジング21に回転可能に支持されるペダルクランク軸22と、ペダルクランク軸22が貫通し、かつ、ペダルクランク軸22に結合された一端部231Lから他端部231Rへ踏力を伝達する筒状の連結軸231と、連結軸231の他端部231Rに伝達された踏力を駆動スプロケット34に伝達するワンウェイクラッチ50と、電動モータ25が発生させた回転を減速させる歯車回転軸241を有し、電動モータ25の出力トルクを増加させる減速機24と、を備える。ハウジング21は、ペダルクランク軸22の一端を通す第1開口部402、および電動モータ25を収容する凹部404を有する第1ケース211と、ペダルクランク軸22の他端を通す第2開口部を有し、第1ケース211と共にハウジング21の外郭となる第2ケース212と、第1ケース211の凹部404に収容された電動モータ25の少なくとも一部を覆う内蓋213であって、電動モータ25の出力軸2522を通す第3開口部440を有する内蓋213と、を備える。内蓋213は、減速機24の歯車回転軸241を回転可能に支持し、かつ、外周縁462の一部460が歯車回転軸241とペダルクランク軸22との間を通る。第1ケース211の凹部404は、電動モータ25の周囲に沿う壁部406を有する。壁部406は内蓋213を支持している。凹部404の壁部406という剛性が高い部分で内蓋213を支持することにより、内蓋213の位置ずれを抑制できる。これにより、内蓋213が支持する減速機24の歯車回転軸241の位置ずれを抑制できる。
ある実施形態において、第1ケース211は、凹部404と第1開口部402との間において、第1開口部402から壁部406につながる傾斜部408aを有していてもよい。第1ケース211が壁部406につながる傾斜部408aを有することにより、壁部406の剛性を高めることができる。
ある実施形態において、第1ケース211は、第1開口部402を底部に有する他の凹部408を有している。傾斜部408aは、他の凹部408の一部であってもよい。電動モータ25を収容する凹部404の壁部406が、他の凹部408と繋がっていることにより、電動モータ25を収容する凹部404の壁部406の剛性を高めることができる。
ある実施形態において、電動モータ25の出力軸2522に平行な方向から内蓋213を見たとき、内蓋213の外周縁462は、電動モータ25の周囲に沿っていてもよい。内蓋213がペダルクランク軸22の方にまで延びずにサイズが小さいことにより、内蓋213の剛性を高くできる。内蓋213の剛性が高いことにより、内蓋213が支持する減速機24の歯車回転軸241の位置ずれを抑制できる。
ある実施形態において、内蓋213の外周縁462は、複数の位置で壁部406に固定されていてもよい。内蓋213が複数の位置で壁部406に固定されることにより、内蓋213のたわみを抑制できる。
ある実施形態において、内蓋213は、電動モータ25の出力軸2522を回転可能に支持してもよい。内蓋213は、減速機24の歯車回転軸241と電動モータ25の出力軸2522とを支持する。一つの部品で減速機24の歯車回転軸241と電動モータ25の出力軸2522との両方を支持することにより、減速機24の歯車回転軸241と電動モータ25の出力軸2522との間の位置ずれを抑制できる。
ある実施形態において、駆動ユニット20は、内蓋213と第1ケース211との位置関係を決める位置決め構造をさらに備えていてもよい。内蓋213と第1ケース211との位置決めを行うことにより、減速機24の歯車回転軸241とペダルクランク軸22との位置決めを行うことができ、スムーズな動力伝達を実現できる。
ある実施形態において、内蓋213は、第1ケース211に対する内蓋213の位置を決める突出部213bまたは凹部を有しており、第1ケース211は、突出部213bまたは凹部に係合する凹部406bまたは突出部を有していてもよい。突出部と凹部とを係合させて内蓋213と第1ケース211との位置決めを行うことにより、減速機24の歯車回転軸241とペダルクランク軸22との位置決めをより精度良く行うことができ、スムーズな動力伝達を実現できる。
ある実施形態において、内蓋213には第1穴213aがあり、第1ケース211には第2穴406aがあり、ノックピン502が第1穴213aを貫通して第2穴406aに入ってもよい。ノックピン502を用いて内蓋213と第1ケース211との位置決めを行うことにより、減速機24の歯車回転軸241とペダルクランク軸22との位置決めをより精度良く行うことができ、スムーズな動力伝達を実現できる。
ある実施形態において、内蓋213および壁部406は、内蓋213が壁部406に嵌るインロー構造500を有していてもよい。インロー構造(mate fitting)500により内蓋213と第1ケース211との位置決めを行うことにより、減速機24の歯車回転軸241とペダルクランク軸22との位置決めを行うことができ、スムーズな動力伝達を実現できる。
ある実施形態において、内蓋213および壁部406は、内蓋213が壁部406に対して回転可能なインロー構造500を有している。内蓋213には第1穴213aがあり、第1ケース211には第2穴406aがある。ノックピン502は第1穴213aを貫通して第2穴406aに入る。第1穴213a(第1穴R)は、ペダルクランク軸22と減速機24の歯車回転軸241とを結ぶ線分L1に直交する直線L2上で、且つ外周縁462上の位置にあってもよい。外周縁462上で且つ歯車回転軸241から離れた位置に第1穴213a(第1穴R)を設けることにより、ノックピン502による位置決めにおいてずれが発生したとしても、それに起因する歯車回転軸241の位置ずれを小さくすることができる。
ある実施形態において、内蓋213および壁部406は、内蓋213が壁部406に対して回転可能なインロー構造500を有している。内蓋213には第1穴213aがあり、第1ケース211には第2穴406aがある。ノックピン502は第1穴213aを貫通して第2穴406aに入る。第1穴213a(第1穴Rb)は、外周縁462上の位置であって、かつ、ペダルクランク軸22と減速機24の歯車回転軸241とを結ぶ線分L1と、ペダルクランク軸22から外周縁462への接線L3とがなす角度θが、90度に最も近くなる位置にあってもよい。外周縁462上で且つ歯車回転軸241から離れた位置に第1穴213a(第1穴Rb)を設けることにより、ノックピン502による位置決めにおいてずれが発生したとしても、それに起因する歯車回転軸241の位置ずれを小さくすることができる。
ある実施形態において、駆動ユニット20は、電動モータ25を駆動させる駆動回路が搭載された基板48をさらに備えている。内蓋213は、第1面および第2面を有している。第1面は電動モータ25に対向する側の面であり、第2面は第1面と反対側の面である。基板48は、ハウジング21内における内蓋213の第2面側の空間に配置されてもよい。基板48が電動モータ25を収容する凹部404とは異なる位置に配置される。これにより、凹部404を小さくでき、凹部404の壁部406の剛性を高めることができる。
ある実施形態において、内蓋213は、第1ケース211と第2ケース212とに囲われており、駆動ユニット20の外部に露出していなくてもよい。内蓋213が外部に露出していないことにより、ハウジング21のうちの塗装が必要な部品を、第1ケース211および第2ケース212の二点と少なくできる。また、ハウジング21のうちの防水シール材の塗布が必要な部品を、第1ケース211および第2ケース212の二点と少なくできる。これにより、製造コストを低減できる。
ある実施形態において、内蓋213は、第1ケース211および第2ケース212により密閉されていてもよい。内蓋213が密閉されて外部に露出していないことにより、ハウジング21のうちの塗装が必要な部品を、第1ケース211および第2ケース212の二点と少なくできる。また、ハウジングのうちの防水シール材の塗布が必要な部品を、第1ケース211および第2ケース212の二点と少なくできる。これにより、製造コストを低減できる。
本発明のある実施形態に係る電動補助自転車は、上述のいずれかの駆動ユニット20を備えている。減速機24の歯車回転軸241を内蓋213が支持することにより、歯車回転軸241の位置ずれを抑制した駆動ユニット20を搭載した電動補助自転車10を実現することができる。
本発明は、電動補助自転車および電動補助自転車に搭載される駆動ユニットの分野において特に有用である。
10:電動補助自転車、 12:車体フレーム、 20:駆動ユニット、 21:ハウジング、 22:ペダルクランク軸、 25:電動モータ、 48:基板、 211:第1ケース、 211a:第2ガイド、 212:第2ケース、 213:内蓋、 241:伝達軸(歯車回転軸)、 402:第1開口部、 404:凹部、 406:壁部、 408:他の凹部、 408a、408b:傾斜部、 440:開口部、 460:外周縁の一部、 462:外周縁、 500:位置決め構造、 502:テーパ状のノックピン、 510:第1ガイド

Claims (16)

  1. 電動補助自転車の車体フレームに取り付けられ、車輪に伝達される駆動力を発生させる駆動ユニットであって、
    ハウジングと、
    前記ハウジング内に配置された電動モータと、
    前記ハウジングを前記電動補助自転車の左右方向に貫通し、前記ハウジングに回転可能に支持されるペダルクランク軸と、
    前記ペダルクランク軸が貫通し、かつ、前記ペダルクランク軸に結合された一端部から他端部へ踏力を伝達する筒状の連結軸と、
    前記連結軸の前記他端部に伝達された踏力を駆動スプロケットに伝達するワンウェイクラッチと、
    前記電動モータが発生させた回転を減速させる歯車回転軸を有し、前記電動モータの出力トルクを増加させる減速機と、
    を備え、
    前記ハウジングは、
    前記ペダルクランク軸の一端を通す第1開口部、および前記電動モータを収容する凹部を有する第1ケースと、
    前記ペダルクランク軸の他端を通す第2開口部を有し、前記第1ケースと共に前記ハウジングの外郭となる第2ケースと、
    前記第1ケースの前記凹部に収容された前記電動モータの少なくとも一部を覆う内蓋であって、前記電動モータの出力軸を通す第3開口部を有する内蓋と、
    を備え、
    前記内蓋は、前記減速機の前記歯車回転軸を回転可能に支持し、かつ、外周縁が前記歯車回転軸と前記ペダルクランク軸との間を通り、
    前記第1ケースの前記凹部は、前記電動モータの周囲に沿う壁部を有し、前記壁部は、前記内蓋を支持する、駆動ユニット。
  2. 前記第1ケースは、前記凹部と前記第1開口部との間において、前記第1開口部から前記壁部につながる傾斜部を有する、請求項1に記載の駆動ユニット。
  3. 前記第1ケースは、前記第1開口部を底部に有する他の凹部を有しており、
    前記傾斜部は、前記他の凹部の一部である、請求項2に記載の駆動ユニット。
  4. 前記電動モータの前記出力軸に平行な方向から前記内蓋を見たとき、前記内蓋の前記外周縁は、前記電動モータの前記周囲に沿っている、請求項1から3のいずれかに記載の駆動ユニット。
  5. 前記内蓋の前記外周縁は、複数の位置で前記壁部に固定されている、請求項1から4のいずれかに記載の駆動ユニット。
  6. 前記内蓋は、前記電動モータの前記出力軸を回転可能に支持する、請求項1から5のいずれかに記載の駆動ユニット。
  7. 前記内蓋と前記第1ケースとの位置関係を決める位置決め構造をさらに備える、請求項1から6のいずれかに記載の駆動ユニット。
  8. 前記内蓋は、前記第1ケースに対する前記内蓋の位置を決める突出部または凹部を有しており、前記第1ケースは、前記突出部または前記凹部に係合する凹部または突出部を有している、請求項1から7のいずれかに記載の駆動ユニット。
  9. 前記内蓋には第1穴があり、前記第1ケースには第2穴があり、
    ノックピンが前記第1穴を貫通して前記第2穴に入る、請求項1から8のいずれかに記載の駆動ユニット。
  10. 前記内蓋および前記壁部は、前記内蓋が前記壁部に嵌るインロー構造を有している、請求項1から9のいずれかに記載の駆動ユニット。
  11. 前記内蓋および前記壁部は、前記内蓋が前記壁部に対して回転可能なインロー構造を有しており、
    前記内蓋には第1穴があり、前記第1ケースには第2穴があり、
    ノックピンが前記第1穴を貫通して前記第2穴に入り、
    前記第1穴は、前記ペダルクランク軸と前記減速機の前記歯車回転軸とを結ぶ線分に直交する直線上で、且つ前記外周縁上の位置にある、請求項1から8のいずれかに記載の駆動ユニット。
  12. 前記内蓋および前記壁部は、前記内蓋が前記壁部に対して回転可能なインロー構造を有しており、
    前記内蓋には第1穴があり、前記第1ケースには第2穴があり、
    ノックピンが前記第1穴を貫通して前記第2穴に入り、
    前記第1穴は、前記外周縁上の位置であって、かつ、前記ペダルクランク軸と前記減速機の前記歯車回転軸とを結ぶ線分と、前記ペダルクランク軸から前記外周縁への接線とがなす角度が、90度に最も近くなる位置にある、請求項1から8のいずれかに記載の駆動ユニット。
  13. 前記電動モータを駆動させる駆動回路が搭載された基板をさらに備え、
    前記内蓋は、第1面および第2面を有しており、
    前記第1面は前記電動モータに対向する側の面であり、
    前記第2面は前記第1面と反対側の面であり、
    前記基板は、前記ハウジング内における前記内蓋の前記第2面側の空間に配置される、請求項1から12のいずれかに記載の駆動ユニット。
  14. 前記内蓋は、前記第1ケースと前記第2ケースとに囲われており、前記駆動ユニットの外部に露出していない、請求項1から13のいずれかに記載の駆動ユニット。
  15. 前記内蓋は、前記第1ケースおよび前記第2ケースにより密閉されている、請求項1から14のいずれかに記載の駆動ユニット。
  16. 請求項1から15のいずれかに記載の駆動ユニットを備えた電動補助自転車。
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